03/02/27 新たな看護のあり方に関する検討会(第11回)議事録          第11回新たな看護のあり方に関する検討会議事録        日時     平成15年2月27日(木)        10:00〜12:00 場所     厚生労働省専用第22会議室 出席メンバー 井部俊子、上野桂子、内布敦子、川越厚、川村佐和子、國井治子、        西澤寛俊、平林勝政、藤上雅子、宮武 剛、柳田喜美子        (五十音順、敬称略) ○田村看護課長  ただいまから、第11回「新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたします。年 度末を迎え、委員の皆様方におかれましてはお忙しい日々をお過ごしのことと思います が、本検討会にご出席いただきまして本当にありがとうございます。また本日もよろし くお願いいたします。  それでは、川村座長、議事進行等をよろしくお願いいたします。 ○川村座長  議事に入らせていただきます。最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○勝又補佐  本日は座席表と議事次第、メンバー表、その後に資料といたしまして報告書の素案と いうことで、前回と同様の資料を準備させていただいております。 ○川村座長  資料は前回と同様ということで、全体を討論していただきたいということです。前回 は「患者の生活の質の向上のための専門性の高い看護判断とその実践に向けて」につい て議論をいたしました。その中でいくつかご意見をいただきましたけれども、本日は残 りの部分について議論をしていただきます。  それでは、前回同様、項目ごとに順番に検討していきたいと思います。「2 看護師 等の専門性を活用した在宅医療の推進」の「(1)在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和 ケアの推進」について、事務局から読み上げをお願いいたします。 ○土生企画官  (「在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進」読み上げ) ○川村座長  それでは、この件に関してご意見をいただきたいと思います。 ○柳田委員  6頁の2番目の○の3行目に「在宅医療に対して医師が更に積極的に取り組むことと あわせて」という文がありますけれども、医師のことは、医師の新たなあり方に関する 検討会で検討すればよいことでございまして、ここで触れる必要はないと思っておりま すので、削除していただきたいと思います。  もう一つ、「在宅がん末期患者の適切な疼痛緩和ケアの推進」の項についてはほとん ど書き改めていただきたい。麻薬の量を多くすることが看護のすべてではないと思いま す。看護サイドでやることは薬ではなくて、ほかに方法があるはずだと思いますし、例 えば家族が来た日は麻薬が少なくて済むとか、いろいろな方法もある。  麻薬をただ増やせばいいという話ではありませんで、むしろエモーショナルなサポー トが必要なのではないでしょうか。「患者のニーズの拡大」と書いてありますけれども、 疼痛緩和の目的でドーズを上げるのは安楽死につながるものであると考えられ、患者の ニーズ拡大にどう応えるかということと、ドーズのことを一緒に述べるのは非常に危険 であると思っております。  7頁の4番目の○の所でプロトコールについて述べられていますけれども、前回も申 しましたように、これを普及することはプロトコールのとおりに動くということにもな りかねない。本当にプロトコールが必要であるのかどうかというのは、もう少し別に十 分に検討すべきであって、軽々しくこれをつくっていいものかどうかということには私 は反対です。  5番目の○の本文です。診療所や医師について言及していますけれども、これは看護 のあり方とは関係ないことではないかと思います。ですから、麻薬だけが疼痛緩和では ないということを十分に、私たちも留意する必要があるのではないかと思っています。 ○川村座長  ほかにいかがでしょうか。 ○上野委員  「新たな看護のあり方検討会」ということで看護に言及するとおっしゃいますけれど も、看護が独自で勝手にこういうことをしていいのかというと、それはそうではないと 思うのです。「医師との関係で看護を提供する」というようになっていくことが特に麻 薬疼痛緩和等の行為に対しては非常に大事です。  例えば、6頁の先ほどの2つ目の○の所で「在宅医療に対して医師がさらに積極的に 」と、医師が取り組むところで看護も一緒にという。その辺も医師だけが在宅医療をや るわけではありませんし、看護師だけが在宅療養者を支えているわけでもありませんの で、「医師が一緒に」という所はこのまま置いていただいたほうがいいと思います。 それと、プロトコールに関しては、安全にケアを提供するために医師との協定を結んで いくということですので、プロトコールが一人歩きをするというものではないだろうと 思います。さらに安全な看護を提供するために、こういう場合は医師に連絡をする、と いうような形の内容になっていますので、このプロトコールの普及はぜひ続けていくべ きだと思っています。 ○國井委員  医師の検討会ではないというお話でしたけれども、医療は医師が重要な役割をとって いますけれども、看護職もそれとのかかわりで重要な役割をとっているわけなので、い ろいろな看護の話をするときに、その連携のあり方は検討をしながら、お互いの役割を 確認していくことが大事なのではないかと思います。  先ほどの疼痛コントロールの麻薬の件に関してですけれども、それも十分な教育をき ちっと提供しながら麻薬をコントロールするというよりも、先ほどおっしゃったように、 精神的なかかわりとか、いろいろなことで疼痛が軽くなったりするわけですから、生活 状況に合わせて量をコントロールする。それはあくまでお医者さんの指示の下、連携の 下という範囲の中ですけれども、そういう適切な使用の仕方をする判断がナースにはで きるので、それを活用していくべきという今後のあり方に向けての検討だったように思 うので、ぜひこれは盛り込んでおいてほしいと思います。 ○柳田委員  医師との連携は当然前提でございます。これは申すまでもないことで、その辺は強調 していただきたい。ドーズを上げるとか下げるとかいう問題は、これはあまり細かすぎ る問題ではないかと思いますし、公文書にこういうことが再々細かに出てきていいもの かどうかということで、もう少し表現を上手にしていただかないといけないのではない かなと思います。 ○川村座長  私がきちんと読んでいないということかもしれませんが、そのドーズを増減させると いうことは、具体的にどこの件になるのでしょうか。 ○土生企画官  7頁の2つ目の○の所で「疼痛の増悪時の麻薬の投与量などについて指示を行い、そ の範囲内で」という、この記述がいちばん直接的にかかわっています。 ○川村座長  これは医師の指示の範囲内でということですね。勝手に看護師がやるということでは ない。 ○田村看護課長  やることではないつもりで、素案をつくって書いてあります。 ○川村座長  そこをもう少し誤解が生じないように書くことを、求められていると考えていいので しょうか。それとも、「ここの書き振りがまずい」というのがあるのであれば。 ○柳田委員  全体的にですね。 ○西澤委員  柳田委員も連携をすることは当然だということですし、また、これは看護師がどうす べきだということで、医師のあり方をと言っているものではない。この文章なのですが、 「医師が…具体的な指示を行い」ということで、もしかしたらこの辺りが医師のあり方 というか、医師はこうしなさいというように読みとれないこともないのかなと。そうだ とすれば「医師の具体的な指示の下に」とか、そういうことで変えるだけで医師のこと を言及していないので、そういう書き方にすればよろしいのかなと思います。 ○柳田委員  そういうことですが、もう少し表現があるれかなと思いますし、麻薬の部分に突っ込 んでいますのでこの文章に入れるのはどうかなと思います。 ○川村座長  医師の指示の下にきちんとやるのだということが、全体に出るような書き振りをする。 それについて看護側が反対をしているわけではないですよね。医師の指示を無視してや りましょう、ということではないのですね。 ○上野委員  西澤委員がおっしゃったような言い方でよろしいと思います。医師の指示ありきです から、医師の指示の下にある範囲内をやるということです。 ○川村座長  それから、先ほど柳田委員からご指摘があったのが、看護師は麻薬を使うことについ て一生懸命になっているのではないかと。6頁の上から3つ目の○の3行目の所に「が ん患者の疼痛に対しては、当然のことながら、看護師等は、様々な看護技術や精神的な ケアにより疼痛の緩和を図ることが重要であるが…」と、ここについてどのようにやっ ているか、ということをもう少し看護の方々にご説明いただいておいたほうがいいのか と思いますが、いかがでしょうか。 ○柳田委員  患者のニーズの拡大にどう応えるかということとドーズのことを一緒に述べるのは、 安楽死を予想されることで非常に危険ではないかなと感じました。 ○川村座長  6頁の3つ目の○の中で、患者のニーズに盲目的に合わせるというように読み取れる ことが1つの問題点、もう1つは看護が麻薬の使用に依存して疼痛緩和をしようとして いるのではないか、という危惧があるというご指摘なのだと思いますが、どうでしょう か。 ○内布委員  この3つ目の○から、それが読み取れるということですか。どういうふうに読んだら 読み取れるのか、もう少し教えていただければわかりやすいかなと思いますのでお願い します。 ○藤上委員  「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」の所を読んでいきますと、麻薬のこ とがかなり出てきています。麻薬及び向精神薬取締法上の規定にない表現もかなりある ということで、その言葉の使い方を先に改めなければいけないのではないかなと思いま した。例えば、「麻薬を投与する」という言葉は成り立たないわけなのです。法規上は 「麻薬を施用する」となっています。  したがって、いろいろあるのですが、6頁の3つ目の○の5行目の「その一方で」の 文章ですが、「在宅のがん患者の増加が予想されることから、医師が適当と判断した場 合には麻薬製剤を適正に使用」、これは使用ではなくて施用です。「施用した疼痛緩和 を看護師等ができるように」、できるようにというのは少しおかしいのではないか。「 支援できるように」という言葉を入れることによって、そういう点がかなり打開できる のではないかと思うのです。  それから、今の件の下の○の所で「EBMに基づく薬物療法を主体とするがん疼痛治 療の実践的なガイドラインである『がん疼痛治療ガイドライン』の普及」ということに なっていますけれども、このがん疼痛治療のガイドラインのオリジンは何なのか、とい うこともきちんと言っておかなければいけないと思います。そのガイドラインの位置付 けはどういうものなのか、あるいはその内容を全面的に是として普及を図る必要がある ということなのか。問題点や指摘事項が多分あったと思うのですが、そういうことに関 してはどう解釈するのか。また、このガイドラインの内容については本検討会で説明は 受けましたけれども、議論をしたわけではないということで、普及の必要性はあると思 われますが、全面的に是として取り扱うかというのは問題外であろうかなと思います。  7頁目のいちばん上の文章ですけれども、2行目で「患者の生活の質の向上を高める ということを基本的な視点としながら、麻薬の適正管理の必要性を考慮しつつ…」とあ ります。ここは「現行の麻薬及び向精神薬取締法を遵守し医師、看護ステーション…」 と続いていくべきであろうと思います。というのは、これは麻薬の適正な使用というこ とではなくて、麻薬及び向精神薬取締法を遵守するということが前提で行われるべきで あると思うからです。2番目の○の所の2行目で「その範囲内で、看護師等が患者の疼 痛の状況に応じて適切な麻薬投与を行うとともに…」と、ここも麻薬の投与はまずいの ではないのかなと。「適切な服薬等の補助を行う」というような表現に変えるべきでは ないのかなと思います。  その次の文章ですが「麻薬による治療開始の決定や種類の選択については、医師が責 任を持って判断すべき」とあります。ここで医師の責任についてあえて触れたのはどう いうことなのか。治療開始や種類の選択は医師の責任ですけれども、万が一、麻薬投与 の際に何か問題が生じた場合には誰が責任をとるのか、誰の責任になるのか、というこ とも明確にしておかなければいけないのではないかと思います。  7頁の下から4行目に「麻薬製剤供給のための薬局の24時間対応や麻薬製剤の廃棄の 際の立ち会いを徹底すべき」とあります。薬局の24時間対応を徹底するのはよろしいと 思うのですが、麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いを徹底するといったことはかなりやられ ていることであって、これがやられていないとするならば、取締法の取締りの対象にな るというようなこともあるのではないかと思いますので、「麻薬製剤の廃棄の際の立ち 会いを徹底すべき」というのは消去すべきだろうと思います。  4つ目の○のいちばん下の所に「医療機関の個別性に十分配慮しながら」と書いてあ るのですが、医療機関の個別性というのがわからなかったのでお教え願いたいと思いま す。次の頁で、シリンジポンプの云々のことなのですが、前回のときに、シリンジポン プのことに関しては麻薬課のご意見をお聞きしてくださいと申し上げたのですが、それ はどうなったのでしょうか。 ○土生企画官  いくつかご質問と前回の宿題がありますけれども、8頁のいちばん上に関しましてシ リンジポンプ式のものが書いてあるわけですが、ソフトバック式を使用したものはどう かということを担当部局に確認する、というご趣旨であったと思っております。聞いた ところ、ソフトバック式のものについては、院内では麻薬の疼痛管理にも使用されてい ると伺っていますが、在宅での使用例は、現時点ではないということです。これは、一 つは診療報酬上の評価以上にコストがかかるということもあって、ソフトバック式のも のはそうした背景もあって現時点では使用例がないということです。したがいまして、 今回、その普及を図ることが望ましいと書いてあるものは、あくまでシリンジポンプ式 のものということで、ソフトバックのものはこの文章の中には含まれていないと理解し ております。 ○藤上委員  そのシリンジポンプ式のものでも何でも構わないのですが、在宅で麻薬を注射液とし て使用するときは診療報酬上の条件がありますよね。例えば、「以下のバルーン式ディ スポーザルタイプの連続注入器等に」、等とありますからシリンジポンプ式のものでも いいと思うのですが、「必要に応じて生理食塩水等で希釈の上、充填して交付した場合 に限る。薬液が取り出せない構造であること、患者等が注入速度を変えることができな いものであること」というような注釈が付いています。ですから、それに対応できるも のであれば構わないと思うのですが、ここの「シリンジポンプ式」という表現そのもの が、ある一部のメーカーのことを行政があたかも推進しているような形になりますので、 もしこれを残しておきたいのであれば、そこのところは考えなければいけないというこ とと、これはなくても診療報酬上の中に、そういう条件で使ってもいいとなっているわ けですから、それに対応できるシリンジポンプ式のものがあればそれはそれでよろしい のではないかと思います。これをあえてここに書いておく必要はないのではと思います。 もう一つは、新たな看護のあり方について検討する所ということで、バルーン式だけで はなくシリンジポンプ式も認めろというような内容は、別の所で検討すべき問題である かと思いました。  その次の「内服薬の場合も」云々という文章なのですが、ここの所はその前に「麻薬 を適正に施用できるように支援する」といったようなところで盛り込まれていますので、 この部分は要らないのではないのかなと思います。 ○川村座長  このシリンジポンプ式のものが出てきたのは、その次の行のセーフティロックを備え た使用が安全にいくので、こういう安全性の高いものを普及させたらどうかというご趣 旨で、教えてくださったところがあると思います。ぜひ安全にやるべきですので、その 安全性が担保できるやり方を普及させたい、という趣旨を残しておくことはよろしいで しょうか。 ○藤上委員  それはいいと思います。 ○川村座長  では、そういうことをお願いいたします。 ○柳田委員  今いみじくもおっしゃっていただいたと思うのですが、全く賛成でございます。シリ ンジポンプがどうのこうの、ということはまた別に新たに検討すべきだと思っています。 公文書に入れるようなものではないと思います。 ○川村座長  今のご意見は理解をいたしました。そのほかにいかがでしょうか。 ○平林委員  先ほどの柳田委員の話に戻らせていただきたいのですが、確かに、がんの疼痛緩和を するために麻薬を使うことだけが唯一の方法ではないということはそのとおりだと思い ますし、この新たな看護のあり方検討会においても、そのことについては合意がされて いると思います。それでもなおかつ、看護の技術でもなお疼痛緩和できないという患者 さんがいらっしゃるわけです。そういう患者さんに対して、どういう対応を看護として 新たにできるのか、ということが今まさに我々が考えていることなのです。そこのとこ ろを踏まえて議論をしていきますと、どうしても麻薬というものの施用がどこまで可能 なのか、ということを検討せざるを得ないという流れになっているのだろうと思います。 さらにもう一言申し上げれば、麻薬を使用することが即、安楽死をイメージさせるとい うのはいささか短兵急の議論であります。安楽死が違法であるというのは、いわゆる積 極的な安楽死という、殺すという意思を持って麻薬等の薬剤を与えた場合に問題になる のであって、痛みを緩和するために麻薬を投与することが、当然に安楽死として違法で あるという議論はされていないと思います。そこら辺、正確に議論をしていく必要があ るのではないかと思っております。 ○川越委員  平林委員が指摘されたことは私もこの間から気になっていたことです。、柳田委員が おっしゃった麻薬を増やすと死につながるのではないかということは、柳田委員個人の 意見でしょうか。それとも、医師会の意見として理解をしていいのでしょうか。その辺 を教えていただきたいのです。 ○柳田委員  どちらもです。 ○内布委員  平賀先生に来ていただいて疼痛緩和について講義をしていただいたときに、がんの末 期の患者さん、疼痛のある患者さんに麻薬を使用する場合に、それが安楽死につながる ようなことはなくて、もしセデーション、鎮静をかけるのであれば麻薬ではない薬を普 通は使います。麻薬でセデーションをかけることはやらないし、ガイドラインにもそう いうことは絶対に載っていないのです。私も緩和医療学会に属していますけれども、む しろ、麻薬は鎮静用の薬剤としては専門家の間では認識されていない。ですから、川越 委員のご質問に対する回答で、医師会または柳田委員が麻薬を鎮静の薬剤としてあげて おられること自体が、どうしてなのか私にはよくわからないのです。説明していただけ ればありがたいと思います。 ○柳田委員  これは一般に法律を変えないと。その前に、麻薬を使用すること自体を自由に「医師 の指示の下に」みたいなことになっていますけれども、先ほど出ましたようにいろいろ な問題が出てくるわけです。ですから、簡単にこういうふうに淡々としていいのかとい うことで、この辺りについてはもう一遍議論を深めていただいて、麻薬課のお考え等も お聞きしあれしていただかないと、ここで簡単に決められる問題ではないのではないか。 ○田村看護課長  私ども、ここに提案させていただいていますのは、医薬局の麻薬の担当課と協議をし た結果を出させていただいていますので、それは踏まえているつもりです。 ○國井委員  在宅で麻薬を使うというところも看護師が決定して使うわけではなくて、医師の指示 の中で、麻薬はいろいろな飲み方とかタイミングを適切に調整することで非常に有効に 効くというか、そういうことがあるので患者さんのQOLを保つには、いろいろな状況 を見ながらコントロールすることはすごく大事ですし、在宅で暮らしていてすごく痛み が増強するときがあるのです。そこの不安を適切に対応することで、患者さんが在宅で 頑張れるというメリットもあるわけです。その辺の判断は、あくまでも医師との連携や 指示の下ですけれども、そういう柔軟性を看護職が持って働けることが在宅医療推進に つながるのではないかと思います。 ○藤上委員  麻薬を在宅で投与する場合は必要最小限を投与する形になっています。レスキュー的 に使われるものはまた別に処方制定することができるということで、私は、レスキュー 的に使われるものとして出したものの範囲で、適切に服用できるように支援することは いいのではないかと思うのですが、それを超えた範囲では少し問題があると。 ○川村座長  それを超えた範囲というように読み取れそうな所はありますか。あれば、誤解を生じ ないようにきちんとしたほうがいいと思います。 ○藤上委員  「レスキュー的な使い方」という言葉を、どこかに入れておけばいいのかなと思うの です。それと、注射薬の持続注入器に関しましても、患者さんが流速を変えられないこ とと、レスキュー的に追加投与ができるような構造になっているものまでは認められて いますので、その範囲での増減はいいのかなと思うのです。多めに薬を出しておいて、 その中でどうのこうのというような誤解を受けるようなことはないようにしなければい けないと思います。 ○川村座長  8頁の2つ目の・に、医師がレスキュードーズを必要とすることを認めた場合にはそ れに従って、というのがここの件で入っていると読んでいたのですが、そういうことで はなかったのでしょうか。 ○土生企画官  先ほど申し上げましたように、7頁の2つ目の○の所が、いわば総論的にといいます か、麻薬の投与量についての指示ということを書いてありますので、あるいは藤上委員 がおっしゃるような単に投与量という漠然とした書き方ではなくて、基礎的な投与量と、 さらに必要な場合はレスキュードーズというように具体的に書けば、おっしゃる趣旨が 明確になるのかなという気がしています。 8頁の所は、そのレスキュードーズという ものが現行の法律上、どこまで可能なのかというところを明らかにした件でありまして、 1つ目の・は委員がおっしゃるように特定のものを普及させるという書き方は問題かと 思いますが、そうしたしっかりとした管理ができるものを、安全性のあるものを使うこ とが望ましい、という書き振りにすればよろしいのかなということです。  もう一つ、内服薬の場合はご指摘のように管理方法という問題がありまして、それは 逆にさらに検討が必要というようなことで、「管理方法を検討すべき」というふうに書 いてあるわけですので、書き振りが不適当であれば、ご指摘いただければ修正は当然で すけれども、そういう頭の整理で書いているつもりですので、また構成も合わせてご議 論いただければと思います。 ○藤上委員  先ほどの総論的に書かれた所がありますね。そこに続けてこのレスキュードーズ云々 という所が入ってくると、きちんとしたものになるのではないのかと思います。 ○川越委員  先ほどの8頁のいちばん上の所で「シリンジ式の」云々ということがあったのですが、 ここにあえてシリンジ式のものを書かなくていいのではないかというご意見が、藤上委 員から出ていました。その点について私の意見を述べさせていただきたいのですが、第 6回の会議の資料1の6頁の所に、ディスポーザブルタイプの連続注入器に入った麻薬 を取り扱ってもいいですよ、という件が厚労省医薬安全局麻薬課長のほうからの通達で 出ているわけです。このことに関してですけれども、これはある意味で非常に規制緩和 ということで我々としては非常にありがたいことなわけです。現場としては、規制緩和 をすると、麻薬に関して突っ走ってしまうのではないかという危惧を持たれている、と 聞きながら思っていたのですが、現実にはそんなことは決してないわけで、麻薬に関し ては必要以上に十分神経質になっていると思います。ここで本論に戻りますと、ディス ポーザブルについてはいいですよということが出たときに非常に喜んだわけですけれど も、もう少し使いやすくしてもらうことはできないかなということで、このセーフティ ロック式のものをかね備えたシリンジポンプが出てくるようになったわけです。だけど、 これはまだ正式に、このタイプのものがいいですよ、というある意味でのお墨付きがほ しいわけで、認可といいますか、原則から言ったら多分いいのだろうというのだけれど も本当にいいのか、ということに対して使うほうの現場は非常に危惧しながら使ってい るのが現状なのです。ここのところも、実は、現実に言うと、バルーン式であれば何で もいいのかというと必ずしもそうではなくて、バルーン式でも家で流量を調整しようと 思ったらできるのです。その辺のところを、先ほどは表現云々ということがありました けれども、ディスポーザブルのことが出ているということですので、表現をして、こう いうセーフティロックを備えたものもできるという形を、きちんとわかるような格好で 保証していただければ、現場としては非常にありがたいと思います。 ○藤上委員  そうなのです。ただ、診療報酬上の麻薬の在宅での投与の仕方の所に、先ほど読み上 げましたように「以下の条件を備えたバルーン式ディスポーザブルタイプの連続注入器 等」というふうに入っています。「必要に応じて」云々とした後に次のことを守れと。 薬液が取り出せない構造であること、患者さん等が注入速度を変えることができないも のであることという縛りがありますので、バルーン式の中でも変えられるものは駄目だ よ、ということがこれに入っているのではないかと思うのです。その「等」という言葉 の中に、例えばシリンジタイプのもので安全性が確認できるものがあるならば使っても いいという、そういう文章だと思うのです。だから、あえてシリンジタイプという言葉 は出さなくてもいいと思うのです。 ○川越委員  藤上委員のように非常にわかっていらっしゃる方が在宅でやれば問題はないのですが、 現場としてはディスポーザブルはいいけれどもシリンジはどうなのかということを、私 などもいろいろと相談を受けることがありるのですが、非常に戸惑いを感じています。 これは今回の議論から少し外れるかもしれませんけれども、こういう在宅で医療がやり やすいという新たな動きが出ている中で、現場の監督官庁との間でやり取りをしている うちに、ディスポはいいけれどもあれは駄目だ、という押し問答になりまして結局は使 えないというようなことが、現場で実際には起きているのです。ですから、解釈の仕方 でこうなるということではなくて、ディスポーザブルがいいのだからということで、「 等」ということではなくて「セーフティロックが付いているものであればディスポでも 構いません」という形でやる。こういう通達ですから、多分、法律を変えてということ ではないと思う。ので、そういうものをしっかり出していただいたほうが、医師も看護 師も非常にこの疼痛緩和がやりやすくなるということで、この表現の仕方を変えていた だくことに関しては異論はないわけですけれども、これをあえて削除することは必要な いと思います。 ○藤上委員  削除するということを申し上げたわけではなくて、先ほど座長も「表現を変えて書く ことはよろしいですね」とおっしゃいましたよね。私はそれでいいと思っています。 ○川村座長  その辺、修正を図るときに誤解されないような表現にお願いいたします。それから、 7頁の4つ目の○の下から2行目の右端の所にある、「医療機関の個別性」という言葉 はどういう内容かというご質問をいただいていますのでお願いいたします。 ○土生企画官  この検討会でもご意見があったと思いますけれども、プロトコールの必要性やその内 容というものは、個別の地域はもちろん、その医療機関によっても当然異なるというこ とで、標準的なものができれば、それが一律に既成服のようにやっていくことではない というご意見があったと承知しています。それをあまり短く書いてしまったので、わか りにくい表現になっているのかもしれませんけれども、そのことはその上の3つ目の○ で「この場合、医師と看護師との連携のあり方は、個々に異なるそれぞれの場合にふさ わしい対応が求められる」と。いわば、そのことを繰り返しプロトコールの所でも入念 的に書いたということです。ついでにですけれども、その3つ目の○の「また」の所の 趣旨はということもご質問がありましたけれども、検討会の議論の中で、医師の判断す べき事項ということで書いておかないと、看護師が勝手にやるというような議論にもつ ながる、ということで書いたほうがいいのかなということで取り入れさせていただいた わけです。書くか書かないか、書き振りについてまたさらにご議論を賜ればと思います。 ○川村座長  このご説明についてはいかがでしょうか。宮武委員、全体的にでもこの件にご意見が ありますか。 ○宮武委員  ここは新たな看護職のあり方に関する検討会ですので、お医者さんのことを云々する のということはこの範囲外ではないのかもしれませんが、在宅医療に対してお医者さん がさらに積極的に取り組むというのは、日本医師会がずっと主張し抱えてこられた不動 の大方針です。ので、それをについて書くいたことはで何のも問題もはないと思います。  それから、ここでずっと議論をしている中で、私は素人だからではありますが、注射 で麻薬を注入するときには危険度も高いかもしれませんが、ずいぶんさまざまな薬が出 てきて飲み薬もあれば貼り薬もある。ということですが、それを貼るとき、飲むときに 必ずお医者さんがいなければ飲めない、貼れないということでは現場はやっていけない。 ということですから、そこのところはお医者さんの指示を受けながら、看護職が適切に 指導をしていくということがなければ現場は困るわけです。逆に言えば、在宅医療、特 に末期医療についてご熱心な開業医さんたちはむしろそのことを望んでおられる。私の 知人、友人の医師たちに聞いてもそう言っています。ですから、これもまた日本医師会 の方々がむしろ助けられる行為ものではないかと、私は素人なりにそう思います。  自分自身が読んでいて少しだけ注文があるとすれば、7頁の4つ目の○の所で「医師、 看護師と薬剤師、患者・家族等の関係者が相互の信頼関係の下に」と書いてありますけ れども、現実には、実際にお医者さんの指示を受けながらも看護師が一定程度、麻薬に ついての投与をやることになると、そのことを患者や家族たちにきちっと説明をして同 意を得ていくことが本来は必要なのだろうと思います。この「相互の信頼関係」だけで はなくて、今すぐでなくてもいいですけれども「説明と同意を得ながら進めていく」と いう説明を加え件があったほうが前向きではないかなと思いました。 ○川村座長  最後のところは、ともすればケア提供に偏りがちであった議論を、患者さんのご意見 もきちんと踏まえるということをご指摘いただいたと思います。これはどこかに入れて いただいたほうがいいですね。 ○柳田委員  積極的に取り組んでいる方は、かなり積極的に取り組んでおられるわけです。一部に この間の文章に出てきたような方もおられたのかもしれませんが、在宅医療が始まって から、介護保険制度が始まってから3年になりますので、かなり取り組んできていると 思います。そうでないとやっていけないわけですよね。あとのおっしゃった部分はその とおりではないかと思います。納得のいく医療、説明と同意、インフォームド・コンセ ントは絶対的に必要であるということです。これは非常に大事なことだと思います。 ○井部委員  宮武委員がおっしゃることはいつも感心するのですが、医療の受け手側の視点が重要 だなと思いつつ、ときどきそれが弱くなったりするのです。この7頁の4つ目の○につ きましては、先ほど柳田委員が在宅療養プロトコールなどは要らないのではないかと、 一貫して前回も看護プロトコールについて批判をされたので、一貫して批判をするとい うスタンスはさすがだなと思っています。そういう意味では、標準的な在宅療養プロト コールというものについて、関係者に提示をするという意味で、この関係者の中に医師、 看護師、薬剤師だけではなくて患者や家族も踏まえてこうしたプロトコールを共有する ことが求められていくと思います。新たな看護のあり方としては医療提供者側だけがプ ロトコールを知っているのではなくて、これを共有して相互に診療や看護を続けていけ るようにするという意味におきまして、標準的な在宅療養プロトコールを持つ、あるい は見直しをするということは極めて重要であると思います。 ○内布委員  6頁の下から2つ目ですが、先ほど藤上委員からこれは是とするのか、ガイドライン を是としてここに書いているのかというご指摘がありました。私たちが資料でいただい たのは緩和医療学会がつくっているガイドラインだと思いますが、一つの特定の学会が つくったものということではなくて、これはWHOがつくっているガイドラインという ことだと思うのです。オリジンはWHOだと思うのです。私はそのように理解をして読 んでいたのですが、WHOがつくっているガイドラインを是としないという議論がある のかどうかということもありますが、もしそれの根拠がおありになるようでしたらぜひ お伺いしたいのです。 ○藤上委員  WHOでつくられたものを基になさっているとおっしゃいましたけれども、その中に 盛り込まれていることをすべて是とするのかということをきちんと議論した上で、やる ということがいいのではないかと申し上げたのです。ここの検討の場で、そういうこと が議論されたわけではないですよね。 ○内布委員  ここでそれをするべきですか。 ○川村座長  事務局側から準備していただいたところは我が国ではオーソライズされているものと してお出しいただいたのでしょうか。 ○田村看護課長  はい。 ○藤上委員  オーソライズされたものとしてお出しになったとすれば、これはきちんとオーソライ ズされたものである、ということを盛り込んだ文言が必要なのではないかと思います。 ○川村座長  わかりました。そこは書き振りを工夫すればいいと思います。 ○田村看護課長  はい。 ○川越委員  私が答えることではないかもしれないのですが、ガイドラインというのはWHOのこ とだけを言っているのではなくて、これは第4回のときにがんセンターの平賀さんが来 て説明してくださいました。第4回の所をめくっていただいたら平賀先生の資料がある のですが、ここの所に「がん疼痛治療ガイドラインについて」というタイトルで、彼が ある意味でレクチャーしてくれたわけです。ですから、ここで挙げているのはこのこと を言っているのだと思うのですが、WHOそのものではない。骨子になっているのはW HOがある意味で骨子になっていますけれども、それを基にもっと具体的に、このガイ ドラインをつくったということを明記されたらいいのではないか。藤上委員もそのこと をおっしゃっていたと思うのです。その前に、これが本当にいいのかなということも確 かに問題があると思いますけれども、一応、専門家が集まってこれだけのものをつくっ たのだから、今の中ではかなり信頼していいといいますか、我々が使っていいものでは ないかなということを感じています。 ○川村座長  では、その点を最終報告書に上手に盛り込んでいただけるようにお願いいたします。 ○藤上委員  先ほど質問した中にあったと思うのですが、治療開始や種類の選択はもちろん医師の 責任なのですが、万が一、在宅において看護師さんたちが支援をする過程の中で、在宅 の中で麻薬を施用する中で、何か問題が起きたときは誰がどういう責任を持っているの か、ということを明確にしておくべきではないかなと思ったのです。在宅というのは、 薬の服用に関しても、ほとんど患者さんが管理することが前提になっています。患者さ ん側が管理することが前提になっているところにそういう問題が起きたら、責任はすべ て患者さんに行ってしまうようなこともあるのではないかと危惧するのですが、そうい ったときに誰がどういうような責任をとるべきなのか、とることができるのか、という ことをお尋ねしたいのです。 ○國井委員  看護職がそういう意味で、責任がとれないということではないですね。 ○藤上委員  そういうことではないと思います。 ○平林委員  藤上委員のおっしゃることは私もそのとおりだと思います。例えば7頁の3つ目の○ の所では「麻薬による治療開始の決定や種類の選択については、医師が責任を持つべき 」ということとのカウンターバランスで、その上の所で「看護師等が患者の疼痛の状況 に応じて適切な麻薬投与を行う」というふうにあります。これは少し文言を変えるとし ても、そういうふうに基本的に患者の疼痛の状況を判断するのは、看護師の責任におい て行うわけですから、少なくとも、看護師がその疼痛の状況について判断を誤れば、看 護師が責任を負うべきだということになります。その医師の責任と看護師の責任それぞ れが分担をしてこの問題に対応していくのだ、ということを少し具体的に書き込んでお けば藤上委員がおっしゃったことは解決されるのではないかなと思います。少しまとめ てお話をさせていただいたほうがいいのか、実は、私の意見は既に厚生労働省に提出し てありますので、それをもって代えるということでもいいのかなと思いますけれども、 全体として検討会の議論に書けないといけないと思いますので、簡単に検討してきたこ とを申し述べさせていただきたいと思います。  例えば、6頁の2の「看護師等の専門性を活用した在宅医療の推進」以下の1番目の ○です。これは(1)と(2)に対する総論の立場にあると思うのですが、総論である にしては6頁の2番目の○の所では、「がん末期患者に対する在宅での疼痛緩和ケア」 が少し強調されすぎているのではないか。それはむしろ(1)以下の所で議論をするの で、総論であるならば個別的なところは削除して、総論としての位置付けを明確にすべ きではないかというのが私の考えです。  その意味で、6頁のいちばん下にあります「在宅がん末期患者の疼痛緩和ケアを含め …」とあるのも、いま申し上げたところを除けば、これは総論になるだろうと思います ので、そこを削除して上に上げたほうがいいと思います。全体として総論・各論という 構成をとるのであればそのほうがいいのではないかなと思っています。  それから、先ほどの看護師の責任について言ったほうがいいというのも申し上げたと ころですし、プロトコールについて、上野委員でしたか井部委員でしたか、おっしゃっ たようにプロトコールを活用することによって医師と患者、医師と看護師との関係がス ムーズにいくだけではなくて、患者あるいは家族を巻き込んだ療養をしていく上でその プロトコールを提示して、こういうプロトコールに従って処置を行いますよ、というこ とをすることがこの問題の解決に非常に役立つだろうということは私も全く同感ですの で、そこのところを書き加えておくことが必要だろうと思います。そのプロトコールに ついては前回、私の意見を述べさせていただきましたので今日は省略いたしますが、ぜ ひそこのところを医師会でも十分にご理解いただいて、少なくとも誤解をされないで、 プロトコールというものが何であるか、ということを明確に理解していただいた上で、 ご議論していただけるとありがたいと思います。プロトコールが一人歩きをするという のはプロトコールが本来持つ意味と相反するわけですので、そこのところは繰り返し申 し上げておきたいと思います。  7頁の下から2つ目の○の「さらに医療関係者」云々の所ですが、「麻薬施用者とな る診療所」というのは文章が少しおかしいのではないかと思います。麻薬施用者という のは、診療所が麻薬施用者になることはあり得ないわけですから、「麻薬施用者の免許 を有する医師が診療に従事する診療所で麻薬診療施設」というふうに言うのが、法律の 文言に照らしてみると正確なのかなと思っています。  その○の中に2つの・があるのですが、その2つ目の・は○として独立させたほうが いいのではないか。それほど重要な問題を含んでいると思いますので、これは○に格上 げをしたほうがいいのではないかなと思っています。前半部分についてはおおよそそん なところでしょうか。細かなところはまたいくつか文言訂正等を含めてあろうかと思い ますが、それは既に提出しておりますので省略いたします。 ○川村座長  いまのご意見の中で大きなことは、7頁の下から2つ目の○の2番目の・を○にした らどうかというご意見ですが、これはいかがでしょうか。 ○川越委員  藤上委員の意見を聞きながら感じていたことがあるので、述べさせていただきます。 麻薬製剤の廃棄の際の立ち会いは現行でやっているから要らないのではないか、という のはそのとおりだと思います。ただ、ここの議論で問題になったのは24時間の麻薬の出 し入れ、廃棄も含めてですが、それをどうするかということを問題として、これは私が 出した問題だったと思うのです。そのことによって、実は薬局はこれだけのことをやっ ている、ということを藤上委員がおっしゃってくださったので安心したところがあるの ですが、現実は決してそうなっていないということは私が申し上げたとおりで、この24 時間対応をして麻薬製剤の供給を行う、麻薬廃棄の立ち会いをやってくれることになり ましたら、我々として医者だけではなくて看護師さんたちもすごくありがたいことです し、ぜひ推進していただきたいと思うのです。ただ、これはかなりの覚悟をしていただ かないと、絵に描いた餅になることがあります。現場を踏まえて目標として掲げるのは いいと思うのですが、その辺の議論はお願いしたいと思います。 ○藤上委員  24時間対応のことはまた後で申し上げますけれども、麻薬製剤の廃棄のことに関しま しては24時間、夜中に廃棄をしなければならないすることはあり得ないわけです。必要 なくなってから30日以内にきちんとやりなさい、ということがここに書いてあるわけで す。ですから、廃棄のことに関しては24時間対応というのは問題必要ないと思うのです が、薬局の24時間対応というのは、店を24時間開けているということではなくて、夜中 でも、店が閉まった後でも対応ができるような体制です。  例えば、救急体制などでも当番医というものが整備されてきておりますけれども、そ ういったような対応もできますし、店を24時間開いているということではなくて、何か 起きたときに必ず連絡がとれるような対応をしておけば、「対応できる」ということに なると思います。川越委員がご心配になっているような店を24時間開きながらやる、と いうことではありませんで、そういう対応をすることで、麻薬の供給に24時間対応して いくという形を申し上げているのです。 ○川越委員  まとめの段階であまり具体的なことを言うと問題になると思うのですが、現実につい 最近あったことをお話します。患者さんが夜中の1時に亡くなられたのです。看護師が 行って死亡確認をして帰ったわけですけれども、そのときに、余った麻薬をどうするか、 ということで看護師さんが診療所に持って帰ってしまったのです。我々の所は院外処方 ですから、麻薬を廃棄することもできませんし、麻薬を保管する設備もないのです。そ ういうことをどういう具合にしたらいいかという中で、この議論が出てきたわけです。 私は藤上委員が言っていたことは十分承知しているつもりですし、それで問題は解決し ないので取り上げてほしいということで挙げたわけです。 ○藤上委員  廃棄のことに関しては、医療機関あるいは薬局が提供するときに必ず患者さんに要ら なくなった場合のことをきちんと申し上げているはずなのです。我々薬局側から見れば、 なぜこれがいま問題になるのかな、対応しているのに、というのが実際の感覚です。看 護師さんたちがポケットに入れて持って帰ってしまうということ自体が問題なので、そ れとこれとはまた問題が違うと思います。麻薬の廃棄のことに関しては、看護師さんた ちにきちんとご理解いただいておけば済むことではないのかなと。看護師さんたちにや っていただくことは、患者さんが亡くなりました、麻薬が余っていますからお願いしま す、ということを薬局に連絡する。それで済むことではないかと私は思いますけれども、 現実にそういう対応をしているはずです。 ○川村座長  本日のテーマはまだ半分残しておりまして、いまのは薬局の対応がどうなのかという ことで、新たな看護とは少し違うかと思いますので、大変申し訳ありませんが切らせて いただきます。ここのところは藤上委員のご意見と川越委員のご意見をうまく調整でき るのかどうかわかりませんが、新たな看護を促進していく上で薬局にどのようにしてい ただきたいか、そのことがうまく担保されるような書き方にしていただければいいかと 思います。 ○藤上委員  最後に1つだけよろしいですか。7頁のいちばん下の○の「麻薬の取扱いについては …」という文章ですけれども、これはそれまでに書かれていたことをまとめて書いたよ うな形になっていますので、必要ないのではないかと思うとともに、どうしてもこれを ここに載せるということであれば「適正な管理」という所の文言を「麻薬を適正に管理 する」ということではなくて、麻薬取締薬法を遵守することが前提になっていることが わかるような文章にしていただきたいと思います。 ○川村座長  この点につきましては、医師の指示の範囲内でということと、安全にということ、看 護技術を十分に駆使して患者さんのご意見を入れて看護をしていく、というところを踏 まえて次の文章を作成していただくことを考えています。では、次の8頁に進みます。 よろしくお願いします。 ○土生企画官  (「(2)在宅医療を推進するためのその他の関連諸制度の見直し」読み上げ) ○川村座長  前回のときに、例えば「が必要」とか「すべき」というふうに体言で止まっている所 は、「である」というような動詞を付けることで皆さんのご同意を得ておりますので、 それを踏まえた上でご議論いただきたいと思います。 ○柳田委員  8頁の「在宅で死を迎える患者への対応」の1番目の○の所で、「死亡診断書に係る 医師法解釈が十分に周知されていない」とは、これが医師に対するものであれば非常に 僭越なことでありまして、看護師に対するものであれば不要だと思いますので削除をお 願いしたい。  9頁の1番目の○については私の発言だったと思います。もしそういうことがあるな らば直ちにそれを徹底すべきだということですが、これは医師に関することですから医 師会がやるべきだと言っただけでありまして、報告書に書くべきことではないというこ とです。これは削除していただきたい。 9頁の2番目の○の後段の部分の「医師の判断に沿って…望ましい」という文章があり ますけれども、医師の判断、指示によって処置すべきであるのは当然ですので、「指示 によって」ということを入れていただきたい。  3番目の○につきましては、「医師法の解釈の周知、理解の促進が必要」とあります が、看護師がその医師による死亡確認の前に死後処置をしてはいけないことを徹底すれ ばよいことでありまして、逆に、死亡確認前にそういう処置をすれば異状死体になりま すので、十分に注意する必要があるのではないかということです。それから、死亡診断 書や死体検案書等を看護師が熟知していることが必要なのではなくて、死期が近い患者 さんを診ているときは特に、医師との連携を密にする必要があるということを強調すべ きではないかということで、この書き方を考えていただきたい。 ○川村座長  医師との指示関係をはっきりすることと、医師が何々をするということは看護のあり 方に関する報告書としては不適当である、ということなどを基本的な考えとしてきちん と盛り込むべきである、誤解されないように、ということだと伺いました。いかがでし ょうか。 ○川越委員  柳田委員のおっしゃったことはある意味でわかるし、ある意味ではもう少しやり方が あるのではないかと思っています。今までの一連の柳田委員の発言は、これは医師に関 係することだからそれに口を出すのは僭越だという、そういう表現がいいのかどうかわ かりませんけれども、専権事項といいますか、医師に関係することだからここで決める ことではない、触れることではないということを一貫しておっしゃっていると思うので すが、そういうやり方では新たな看護は語れないということが確認されてきていると思 うのです。これは決して、医師にこれをやりなさいとかということを強要しているわけ ではない、あるいは何かを決めているということではない。確かに、公文書であること は間違いないわけですが、新たな看護を考える場合には、看護だけを考えることが実際 問題難しくなってできなくなっていることがわかってきている、そういう時代に私たち はあると思うのです。かといって、柳田委員の意見もよくわかります。これを消してい くことは簡単なのですが、折角ここで議論をしたことだし、何らかの良い形で残してい く努力をこの委員会の中ですべきではないかと思います。一つ、この間の最後の辺りで 議論があったように、報告書の中に前文を付けるという議論もありましたけれども、そ の前文の中に新たな看護を考えるにあたっては看護師の仕事だけを見直すということで はなくて、関連職種との仕事の共同ということをどうしても考えていかなければいけな い。これはこの会から逸脱したことになるかもしれないけれども、そういうものに関し ては「関連する所で十分に話し合っていただきたい」ということを入れておくことによ って、医師会の先生方が心配されていることがかなり緩和されるのではないかと思って おります。これは薬剤師の方の心配も同じだと思うのです。ですから、どういう形にす るかわかりませんけれども、関連した職種に対する配慮を持った表現をぜひ入れていた だきたいと思います。  それから、先ほど出ていました患者さんや家族の方が抜けているというのも、非常に 大事な指摘だったと思いますので、そういうことも含めたことを前文で。実は、読んで いくといろいろ出ているのですが、そういう基本的な姿勢でやっているのだということ を考えたらいいのではないかという気がいたしました。 ○柳田委員  もちろん、何もかも消したがっているわけではないのであって、医師と看護師がより 密接に連携していきましょう、ということは基本に出していただきたいということです。 医師の判断、処方の分野に新たな看護という名の下に、少しあれが入っている部分もあ るかなということで申し上げているので、報告書としては全体的に内容が細かすぎるよ うな気がしますので、方向性を示すにとどめるべきだと考えています。全体を眺めてみ ますと、この問題は訪問看護ステーションの看護師と、かかりつけ医との連携が密では ないということから生じたものですから。それで、その点の原因をもっと究明すべきだ と思いますし、私どものお世話する部分からではなくて、患者さんの視点から本当にそ の患者さんのためになっているのか、ということを老婆心ながら危惧しているというこ とです。 ○平林委員  柳田委員のお話を聞いてとても安心したのですが、もしそうであるとすると、柳田委 員からそういう医師と看護師の連携をより密にするために医師側としてはこういうこと をしていく、それが今後の新たな看護のあり方に結び付いていくのだ、というところを 出していただく。医師の問題はすべてここから削除ということではなくて、医師の立場 で新たな看護のあり方に対してこういう立場をとるのだ、ということをもう少し具体的 に出していただくとより内容のあるフルーツフルな議論ができるのではないかと。 ○柳田委員  表現が少しおかしいあれの部分がありますので、その辺を考えていただかないと。そ のような次元で物を書かれることは、公文書としてちょっとおかしくなるのではないか と思うのです。 ○平林委員  公文書であるからこそ、今後の新たな看護師のあり方のみならず、医療全体のあり方 をきちんと提示することがこの検討会の使命だろうと思っていますので、これを削れと 言うだけではなくて、こう変えろという積極的なご意見を出していただく。これは私が 言うことではないのかもしれませんが、ほかの委員の方々もそう思っていらっしゃると 思うので、私はあまり遠慮をしないものですから言ってしまうのですが、私としてはそ こを柳田先生にお願いしたいということです。  それから、報告書が細かすぎるのではないかというお話でしたが、事柄の性質上、在 宅医療とか訪問看護という、現実に問題になっているテーマ、そこで悩んでいる問題を 解決しようと思うと、どうしても細かくならざるを得ない。それをしないと、それこそ 報告書が一人歩きをして何を言っているのかよくわからない、それを皆さんが勝手に解 釈していく、ということではこの検討会を持った意味がないだろうと思います。もちろ ん、細かすぎることは気をつけなければいけないと思いますが、ある程度きちんとアイ テムを立てた上で議論をしていくことが、実際に役に立つ検討会の報告書になると思い ます。その点についてもご留意をいただければありがたいと思います。 ○柳田委員  言葉の表現とか、そういうことでずいぶんまた違ってくるのではないかと思いますし、 法的な意味ももちろん押さえなければいけませんが、その辺りは十分注意をしていた だきたいと。 ○藤上委員  いまお2人のお話をお聞きして思ったのですが、報告書の中に書かれることは何が問 題で、それを解決するためにはどうすればいいのか、また、どのような反対意見があっ たのかということも含めて表現を工夫して書いていただけるといいのかなと。ここで検 討することは多数決で決まるわけではありませんので、少数意見であったとしても理に かなう反対意見があったとするならば、それもきちんと書いておくべきだろうと思うの です。 ○川村座長  貴重なご意見だと思います。 ○西澤委員  柳田委員がおっしゃったことも理解できます。本当だと思うのですが、この委員会は 医師のあり方を言って議論しているのではないから、もしもこれは医師のあり方に言及 している、医師は新たにこういうことをすべきだということが書いててるのは問題だと。 あるのであれば表現が違うかなと。ただ、私としては、もう片方で心配しているのはよ うに、全くそこを抜いてしまってうと、看護師のあり方だけで書かれるとでどんどん行 ってしまうと、場合によっては何でも看護師ができるようになる的なこともあるのかな と。とすれば、明らかなに医師の役割がここまでしているのだということを明記するこ とによって、看護師のあり方をは今回新たに考えるけれどもここまでですよという縛り も逆にあるかなと。そういう意味では、日本医師会が懸念していることを払拭きちっと するためにも、医師はこういうことをしている、という辺りの織り込みは必要ではない かなと思っています。  もう一つ、先ほどインフォームド・コンセントのところが抜けていると言われたとき は確かにそうだなと思ったのですが、サラっと読んだときに7頁の4つ目の○の所で医 師、看護師、薬剤師、患者、家族が同じラインに並んで相互の信頼関係と言っているの は、ある意味でインフォームド・コンセントは当然なことであると。そこを一段上って 更に、これは決して医療提供側だけが「こうしますよ」と説明をして同意を得るのでは なくて、患者さん本人、家族が一緒になってやって行っていくのだということが読み取 れたような気がしましたので、もしインフォームド・コンセントを書くのであれば、逆 にそこのところも片方で強調していただければ、ある意味で本当の主役である患者さん、 家族の方が主体になって協同でやっていくという辺りがは強調されるのでしていただけ ればありがたいなと思います。 ○内布委員  別のことなのですが、新たな看護のあり方の将来を提言していくことが1つと、在宅 療養を進めていくということが1つと、2つが同時に議論されているわけです。そうい う意味では、在宅に関してはかなり議論が進んできて内容が充実して入ってきたのだと 思うのですが、新たな看護のほうは、そこはできないとか、そこも駄目とか言われてだ んだんできなくなってきています。  題名は新たな看護なのですが、新たな看護の方向性という点では、例えば7頁の下か ら2つ目の○の1つ目の・で「看護師については」とありますが、これを大きく取り上 げていく。日本看護協会の専門看護師とか認定看護師という名前を出すのは適切でない のであれば違う表現で結構ですので、ジェネラルな教育の上にスペシャリストとしての 教育を受け、それのコースも既につくられて育っている専門性を付けてきている人たち が現場で非常に活躍しているわけですから、その人たちについて活用していく方向をも う少し分量を取って、これに関しては項を上げて書いていただくことがとても必要です。 これだと在宅療養の進め方が8割の話の報告書になってしまうので、むしろ、半分ぐら いは看護師の専門性について、もう少し書いていく必要があると思うのです。 ○川越委員  9頁の2つ目の○の所です。医師の死亡確認、死亡診断の前にご遺体に触っていいと いう、あるいは死後のそういうケアを行ってもいいということです。そういう意味で、 こういうことを謳ったことで訪問看護師さんたちが喜ぶことではないかと思うのです。 ただ、こういう表現だけでいいのか。死亡診断のときには、継続中に診ていた患者、24 時間以内に診ている患者さんに関しては、死亡診察をしないで死亡診断書を発行してよ いという通達があるわけですけれども、そういうこととの兼ね合いで医師がオーケーと 言えば何でもいいのかなと。その辺のことはこれでいいのかなということを心配したの ですが、よろしいのでしょうか。 ○上野委員  以前に私が報告をさせていただいたときに、訪問看護ステーションはターミナルイム ランが近くなってくると、必ず医師と連携をとって医師に症状報告をして、医師が前日 に訪問診療をしているということがあった場合に、こういうことがいいのではないかと いうお願いをしたと思うのですが、そういう形で付け加えていただくといいのではない でしょうか。 ○川村座長  川越委員のご意見は、これは事実上の問題ではなくて、法的にこういう場合にはとい うことをきちんと書き込んだほうがよろしいということですね。 ○川越委員  つまり、基本的にご遺体に触っていいというのは医師の死亡診断があった上でという ことになります。ですから、もしこのことを書くとしたら、24時間以内に医師が診察し ていてという。 ○川村座長  その辺は、この前、かなりいろいろな場合を説明していただきましたので、それに則 ってできるのはこそういう場合なのだという確認の下に、それが書かれていると思いま す。その条件をもう一度、ここにリフレインして載せておくということですね。 ○川越委員  そうです。 ○川村座長  それはここで文言を考えても、もう決まりきっていることになると思いますので、う まく入れていただいて誤解されないようにお願いしたいと思います。そのほかにはいか がでしょうか。 ○平林委員  そこの点は私が非常にこだわったところなので、一言申し上げる必要があろうかなと 思います。前回も申し上げましたように、私の意見と厚生労働省の意見は必ずしも一致 していないだろうと思うのですが、こういう検討会ですから、基本的には厚生労働省の 解釈の下で検討をしていかないと、話が進んでいかないだろうと思います。川越委員が おっしゃった先ほどの医師法20条の但書の問題、そこのところを厚生労働省はどのよう に考えているのだと。こういう考え方の下で新たな看護のあり方、在宅医療のあり方を 考えてほしいという基本的なフレームワークを出していただいたほうが、議論としては すっきりすると思いますので、その点を一つお願いできればと思います。 ○土生企画官  解釈のところの説明だけをさせていただきますけれども、20条で「但し診療中の患者 が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書についてはその限りではない 」ということですので、先ほど川越委員からご指摘がありましたように、受診後24時間 経っていない場合に限ることが前提と理解しております。ですから、そのことを明記す べきということであれば、そういう形で書かせていただければと思います。 ○平林委員  それと同時に、もう一つ川越委員がおっしゃったのは、死後診察をしなくても死亡診 断書を交付することができるということの意味です。私がこだわったのは、死亡の確認 をしないでもいいのか悪いのかということにこだわったので、そこら辺について、厚生 労働省としての行政解釈を示していただくとありがたいなと思うのです。 ○土生企画官  もちろん、診断書を書くわけですから、何らかの方法で死亡している事実を当然のこ とながら把握するわけですけれども、そのことは直ちに自らが赴いて死後診察をする必 要はないということで解しているわけです。ただ、それができるからといってそうすべ きだということではない、ということもこの検討会で相当ご指摘をいただいたと思って おりますので、書くかどうかは別として、求めに応じて駆けつけるべきだということも 法律を超えた対応といいますか、モラルといいますか、そういう面で当然だと思います し、但書があるからといってそれを積極的に進めるということではないという、そうい う頭の整理でおります。 ○平林委員  先ほど言ったような理由でこだわりませんので、そういう解釈でこの検討会として議 論をしていくことが前提になると思うのです。ただ、私として少し反省すべきことは、 従来の議論がややもすると医師法21条但書の解釈に少しこだわりすぎてしまったことは 非常に反省をしております。しかし、結論としては医者がきちんと行くべきだという結 論には変わりないのですが、それは医師法20条の但書をどう解釈するかという問題より も、在宅医療を引き受けた医師の責任、法律的に言えば契約を結んでいるわけですから、 在宅医療を行うという契約を結んだ医師の契約上の義務とでも言いましょうか、その問 題として求めがあったときには必ず行かなければならないだろうと。それが在宅医療の 本来のあり方だろうと解釈しています。その観点から見ると、医師法20条但書をどのよ うに解釈しようとも、この9頁のいちばん上にありますように、医師としては要請があ れば必ず行かなければならないことは医師法20条の解釈とは別にして、当然医師の義務 として発生する問題だろうということは一つ考えるべきだと思っています。そういうふ うに考えていくと、そして、いまの厚生労働省の解釈を前提にして考えていくと、ここ にありますように24時間以内というのは、この報告書の中に書き込まなければいけない と思いますが、どうしても主治医が行けない場合があるだろうと。その場合に考えるべ きことは、これは前回か前々回かに申し上げたと思いますが、主治医ではなくて他の医 師が駆けつけるシステムをつくれないだろうか、ということが一つ考えられ得る解決策 です。それも駄目で、どうしてもやむを得ない状況があった場合に、少なくともこの9 頁の2つめの○の24時間以内ということを踏まえた上で、3行目にある「看護師等が医 師に連絡をとって状況を報告し」という、看護師について1つの限定を付けるべきでは ないか。即ち、その看護師というのはあくまでも患者さんが死亡している過程、ダイイ ングプロセスに立ち会っている看護師さんで、通常の経過の中で患者さんが死亡したと いうことを責任もって判断できる。あるいはそのことについて、どこをチェックするか ということについて医師が事前に指示を出している。そういうかなり極めて限定した例 外的な場合に限ってのみであるならば、医師法20条についての厚生労働省の見解に従う 限りにおいては、そういう条件を付してこれを認めることができるのではないか。私個 人としてそれに賛成か反対かということは置くとして、検討会の議論としてはそういう ような形で、これは例外中の例外なのだ、ということを明確にした上で、報告書を書い ていただけるとありがたいなと思っています。 ○川村座長  何かご意見がありますか。それでは、それも一つ踏まえた形で最終案をつくっていた だきたいと思います。 ○藤上委員  今のところではありませんけれども、小さなことなのですが、9頁のいちばん最後に 「地域によっては医療機器・衛生材料」云々という文章があります。この供給体制の問 題は地域差の問題ということでしたか。 ○川村座長  地域の差の問題と、医療機関の対応の話と2種類あったかと思います。 ○藤上委員  地域差というのはどういうところでしたでしょうか。 ○川村座長  山間へき地というか、そういうようなお話だったと思います。 ○藤上委員  わかりました。 ○川越委員  10頁の最後の在宅における注射の取扱いの件ですけれども、これはこういう表現でよ ろしいのでしょうか。たしか、議論の中では看護師が注射をしているけれども、それに 対して診療報酬上の保障がないということに不満があったように思いますし、一方では それは訪問看護料の中に含まれているのだ、という意見もあったように理解していたの ですが、これはこういう表現でよろしいのですね。 ○國井委員  看護師の技術の評価というところで、別なところで検討すべきというような意見だっ たような気がするのです。私はそういうことも必要だということを、ここに盛り込んで もらえばいいかなと考えています。 ○川村座長  ここに盛り込みたいというご意見ですね。 ○國井委員  はい。 ○内布委員  これは主語は「医師は」と書いてあるのですが、現実に自分が出向いて行っていない 場合は、処方料というか、薬剤の料金とか処方料とか、そういうものは取れると思うの ですが、取れないのですか。 ○田村看護課長  現在の診療報酬の体系ではそれもできない。ですから、もし医師がなさるとすれば持 ち出しという形になっています。 ○内布委員  それで主語が「医師は」になっているのですね。 ○田村看護課長  そうです。 ○川越委員  田村課長にお伺いしたいのですが、たしか、この間のときの話の中で、いままでは例 えば鉄剤を注射したときは、再診療プラス注射料が取れるけれども、そこが少し変わっ て、例えば1週間分の鉄剤の処方といいますか、請求をして取れるようになったと。私 の理解の間違いかもしれませんけれども、再診療は1回しか取れないけれども、使った 7日分の注射薬については一括して請求できるというような感じになったと、そういう 理解をしたのですが間違いでしょうか。 ○土生企画官  第8回の検討会の資料−3ですが、「在宅における注射の取扱い」ということです。 表紙をめくっていただきますと、この検討会の報告で静脈注射の実施は看護師等が医師 の下にできるということですが、在宅の場合、看護師が訪問した場合の診療報酬の請求 はどうかということが問題になっているわけです。下に簡単な図がありますけれども、 1日目は医師が行って診察をして注射をする。2日目、3日目に看護師が単独で行くの はどうかということが問題です。  2頁ですが、これは保険局医療課の通知です。ずっと書いてありまして、最後に「往 診して治療をすべきものである」ということですので、医師が往診をすることが前提に なっていると。次の頁もそうですが、結論として「保険医が往診して治療をすべき」と いうことになっているわけです。もちろん、最初に診察するのは当然医師ですが、その 指示の下に看護師が訪問してできるようにすべきではないかということです。  もう一つ、議論としましてはそれを訪問看護の側で評価すべきかどうかという議論が ありましたが、これは両論ありましたし、中医協で決定すべきというようなご議論であ ったと思います。そういったご議論を踏まえて医療課と相談しまして、現行そういうこ とができないようになっていることを指摘した上で、「これを見直すべき」という表現 にしているのが事務局側の考え方です。 ○川越委員  よく理解できなかったのですが、端的に言うと、そういう行ってないものに関して請 求はできませんよ、ということですか。 ○土生企画官  今は看護師は行けないし、請求は当然できないということです。 ○川越委員  医師もできないのですか。 ○土生企画官  医師は往診してできます。 ○川越委員  看護師さんは静脈注射をやってもいいということになっているけれども、実際に在宅 で注射をしようと思ったら、医師が行かないとできないということになると。 ○土生企画官  それを見直すべきだというご提言をいただきたいということです。 ○川越委員  わかりました。 ○平林委員  今のは2つの問題があるわけです。最初の問題がこの○の所に出ていて、今、川越委 員が確認されたような議論だったと思うのですが、厚生労働省の方からは、それはもと もと中医協でやることだからここでは書かないのだと。もちろん、議論をするのは中医 協で議論をするのでしょうが、新たな看護のあり方の検討会としては、そのことも中医 協できちんと議論をしてほしいという意思表示をする意味で、注射等の技術料について 診療報酬上、一定の評価がされることが望ましいとか、必要であるとか、そういうよう な一文を入れておくことは一向に差し支えないのではないかなと思っております。 ○川村座長  西澤委員、今日はご発言が少なかったのですが、よろしいでしょうか。宮武委員も1 回だけでしたが。 ○藤上委員  この検討会の結果は今後どういう位置付けになるのでしょうか。 ○田村看護課長  報告書をまとめていただいた後は、それぞれ関係する団体等には普及をしていただく ということがあります。いくつかは宿題として残りますので、場合によっては検討会を さらにつくる。マニュアル作成が必要であるということであれば、例えば、プロトコー ルの見直しが必要であるということであれば、そうした研究班を立ち上げるとか、ある いは教育の問題に関しての検討会をということになろうかと思います。 ○井部委員  報告書は前文が必要だという何人かの委員からの意見もありましたけれども、総括み たいなものが後ろにも付くのでしょうか。「見直すべき」で終わるのは、何となく報告 書としては格調が高くないなと思います。 ○田村看護課長  それも考えたいと思いますが、最後に書いておくべきご指摘がありましたら、ご意見 をいただければと思います。 ○井部委員  新たな看護のあり方を検討するにあたって、どういうスタンスでこの会が開かれたか ということを前書きで述べるわけですので、後書きではそれについてどうだったか、新 たな看護はこういう点なのだ、という要点をまとめていただくとよろしいのではないか と思います。 ○柳田委員  余計なことですけれども、医師法23条に保健指導を行う義務というのがありまして「 医師は診療をしたときは、本人またはその保護者に対し療養の方法、その他保健の向上 に必要な事項の指導をしなければならない」となっておりまして、必ずしも療養の方法 を指示してはいけないということではないということを付け加えておきます。 ○平林委員  9頁の上から3つ目の○の「また、患者の死亡に際しての死亡診断書」云々という所 が、少し概括的に書きすぎているように思えます。もう少し具体的に書いておいたほう が報告書を読んだ人にはわかりやすいだろうと思いますので、これはまた少しご検討願 えればと思います。 ○川村座長  場合によっては、今ご指摘のあった○の部分をきちんと書いて、前のものと順番を変 えるという方法もあるかもしれません。その辺は、これで何かを決めてしまうというこ とではありませんので、まだ検討会は開催いたしますので、今日のご意見と前回のもの と一緒にしてまとめの原案をつくっていただければ幸いです。  本日の検討会はここで終わりにしたいと思いますが、次回のことについて事務局から お話がありますか。 ○勝又補佐  次回の第12回の検討会は、3月13日木曜日10時30分から経済産業省において開催させ ていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○川村座長  今日もたくさんご意見をいただきましたけれども、さらに「後からこれが」というこ とがありましたら、事務局にファックスでもメールでもご連絡をいただければ、できる だけそれを考慮に入れてまとめの段階に入りたいと思っております。では、お忙しいと ろですが、次回もどうぞよろしくお願いいたします。本日は大変ありがとうございまし た。 照会先 厚生労働省医政局看護課 課長補佐 勝又(内線2599) 保健師係長 習田(内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206