03/02/24 第4回看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会      第4回看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会      日時     平成15年2月24日(月)        14:00〜 場所     厚生労働省専用第21会議室 出席メンバー 内布敦子、大内宏子、神田律子、木村光江、國井治子、世古美恵子、        竹尾恵子、辻本好子、西澤寛俊、濱田悦子、正木治恵、柳田喜美子、        (五十音順、敬称略) ○田村看護課長  それでは、だいまから第4回「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討 会」を開催いたします。先生方におかれましては、本日、年度末に近いお忙しい中、ま た足元の悪い中、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  今日は急遽川原委員が欠席、辻本委員は1時間ほど遅れて出席との連絡をいただいて おります。それでは座長、よろしくお願いいたします。 ○竹尾座長  お寒い中、皆さんありがとうございます。本日の議題に早速入ります。本日は、「看 護の技術教育における法的側面について」と「臨地実習における患者の同意書」につい てご議論いただく予定です。初めに木村委員から、法的側面について意見を発表してい ただき、そのあとで検討をお願いしたいと思います。その前に事務局から資料の確認を お願いいたします。 ○勝又補佐  それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。まず「座席表」「メンバー表」 「議事次第」です。資料1は、木村委員からの提出資料の「看護基礎教育・技術教育の あり方(法的側面)」。資料2は、「臨地実習説明書(案)」。資料3は、「学生が当 事者となる医療事故の予防、発生後の対応について」。資料4は、これまで先生方に議 論していただいた「看護技術の考え方の案」を付けてあります。 ○竹尾座長  それでは、まず初めに木村委員から「看護基礎教育における技術教育のあり方の法的 側面」ということで、20分程度ご意見を発表していただきます。 ○木村委員  資料1の表紙の次から4枚にわたってレジュメを付けましたので、それをご覧いただ きながらお願いいたします。技術教育を実施するに当たっての法的側面ですが、これま で検討会で先生方の実際にやっておられる様子を伺って、それを基に叩き台としてこう いうものを作りました。不十分な点や誤解に基づく点などあると思いますので、是非ご 教示いただきたいと思います。  まず大前提として、法的側面は2つの問題があると思います。1つは、そもそも資格 がない人間がやってよいかという問題。もう一つは、万一の事故のときにどうなるのか ということだろうと思います。基本的には、この検討会では資格がない者に実習をさせ ることの是非が第一だと思いますので、それを中心にお話し、万一の場合について体制 をどう整えたらいいかも併せて最後のほうで少しお話したいと考えております。  まず1の「技術教育実施に関する実質的違法阻却の考え方」です。(1)の法的整備 の要否で、いきなり結論めいたことを申し上げて大変恐縮ですが、結論として、いわゆ る保助看法上の無資格者の問題があり、その中に項目を立てて、「看護教育の場合には、 違法性が阻却される」という文言を書くかどうかという問題です。結論から申しますと、 i)に書きましたように、一般的な違法阻却の規定を設けるのは少し難しいのではない かと思っております。  その理由は、平成3年の医師の臨床実習検討委員会の最終報告の中でも同じような結 論が取られています。その理由づけとして3点ほどにまとめられると思います。まず第 1は、もともと実質的にそれほど違法性の強いものではないということです。「この場 合は違法性はありません」とわざわざ書く場合は多々ありますが、そういうものは競馬 法に、競馬はやってもいい、本当は賭博罪だが競馬は違法ではないと書くとか。あるい は学校教育法で教師には懲戒権があることを書くとか、もっと適切でない例かもしれま せんが、母体保護法で、堕胎は人工妊娠中絶として許されるといった、かなり犯罪にか かわるようなことに関しては、わざわざ規定する必要があるのかもしれません。それに 比べると、およそ違法性の小さいものと考えられますので、わざわざ書く必要がないの ではないかというのが第1点目です。  第2点目として、いわば技術的な問題ですが、人体への危険性というのは患者の状態 にもよりますし、1つ1つの行為によってかなり差があると思いますので、具体的に書 くことが事実上極めて困難であるという側面があります。ですから、一般規定を設けた としても、逆にいうと、書いてあるからと言ってすべて許されるわけではないという問 題もあるので、書くことが困難であるし、あまり意味がないと思います。  3点目は、特に看護技術に関して医師以上に言えることかと思ったのですが、適法性 の基準として具体的にこれからお話するいくつかの条件が整えば許されるだろうという 話をするつもりですが、その基準を看護基礎教育では、従来からかなりきちんと守られ てやっているのではないかという印象を持ちました。その意味で、その基準をより具体 的にして、しかも文章化するなり、あとから記録で見られる形にするということさえ担 保しておけば法令で書く必要はない、法令で書かないほうがむしろいいのではないかと 思いました。それが(1)のi)の内容です。  ii)ですが、これはいま言ったことの裏返しですが、逆に法文化しないということは、 それなりの体制を整えて基礎教育に当たることが必要で、その体制をどう整えるかが、 まさに万が一のときの違法阻却であるし、そもそも学生たちが無資格でやっていもいい と許される条件になると思います。具体的には、抽象的ですが、カリキュラムがきちん と立てられていることとか、実施基準を作成して、それに基づいて実施することがきち んと確保されていることが必要になろうかと思います。これの具体化が実際には1頁の 2以下になります。  その前提として1の(2)に「違法阻却の考え方」というのがあります。違法阻却の 考え方は、法律的には違法阻却というのはどのように考えられるか、特に医療行為に関 して違法阻却というのはどのように考えられるかをまとめたものです。i)が一般的な 基準ということですが、法的には、まず患者の同意があること。その下に正当な目的の ための相当な手段でなされていれば、無資格者の行為であっても、無資格行為、いわゆ る保助看法違反、民事の不法行為、刑事の犯罪行為についての違法性はないものと解さ れています。  ただし、看護教育の目的であって、きちんと先生の下で行われているという正当目的 ・相当手段であれば、どんな行為でも許されるかというと、そういうことではなく、「 法益侵害性が当該目的から見て、相対的に小さいこと」。分かりにくい書き方ですが、 法益侵害性ということは、患者の看護を無資格者が行うということです。それはそれで 形式的に言えば、違法性を帯びることになってしまうのですが、それを上回るだけの利 益があるのだということが説明できれば、法益の権衡(法益のバランス)が許されると 理解されることになります。具体的には、そういう法益侵害性があるとしても、教育目 的できちんと行われていれば違法性はないと考えるということです。  (5)の「当該目的から見て、そのような行為の必要性が高いこと」いうのは、あとから も説明しますが、どうしても臨地実習でなければできない、看護教育はそれでなければ できないという必要性が、きちんと説明できていれば許されるということになろうかと 思います。ですから、これらの条件が整えば適法であることが担保されることになりま す。  ii)の具体的に看護教育の場合は、正当な看護教育目的でなされたものであれば、必 要性はもちろん認められるということになろうかと思います。  法益のバランスがとれているかに関しても、「実質的には手段の相当性が確保される ことにより充足される」と書いたのは、患者の身体の侵襲がある行為を行うわけですが、 そういう場合でも看護教育のために、より大きな利益が守られる、得られることによっ て、その患者に対する法益侵害性が違法でないことになるということです。違法でない と言えるためには、手段の相当性、つまり、きちんとした監督の下で、きちんとした教 育を受けて、技術もある程度のレベルに達した学生がやるということが、きちんと保障 されていることによって、いま言ったような条件がクリアできることになろうかと思い ます。これをもう少し具体的に言いますと、2以下ということになります。  1のまとめとしては、結論から言いますと、5つの条件を挙げましたが、中でもいち ばん大事なのが、相当の手段で、あとはかなり抽象的なことで説明できるのですが、き ちんとした基準に基づいてやっている、相当な手段と言えるのだということが、具体的 にはいちばん大事になってきます。  いまの(1)から(5)のそれぞれについて、2以下で説明することになりますが、まず (1)で挙げたとにかく患者の同意がなければ始まらないということが第一です。必須の 要件で同意がなければ、およそ違法阻却の余地はないと考えていいと思います。お話を 伺った中では、現実には書面による同意書が実施されている例はほとんどないだろうと いうことでしたが、同意の確認書は取られている場合があるというお話でした。その現 状からいうと、一歩踏み出すことになると思いますが、基本的には同意書は必要とされ るのではないかと考えました。  なぜかと申しますと、患者により明確な形で説明することが必要になる。それが患者 の利益になるのだということがもちろん第一ですが、その裏返しというか、先生方、あ るいは病院の担当の方の立場からいっても、万一の場合にきちんと説明したのだと示せ ることは非常に重要になろうかと思います。  具体的には、(1)から(4)まで書きましたが、「説明書・依頼書を示し、それぞれ了承 した旨の署名をもらう」。これは患者と病院側、教育機関側の双方が文書に署名するこ とになるのかどうかは議論の余地があろうかと思います。医師の場合は、患者および家 族と教員との間で交わされる文書ということになっていましたが、看護でそのまま当て はまるかどうかは議論の余地があろうかと思います。  同意書の内容に関しては、資料で付けているようです。あとで説明があるかもしれま せんが、基本的にはこのような形のものになるのではないかと思います。具体的に個々 の学生ごとというのは、非常に現実的ではありませんので、ある程度抽象化せざるを得 ないかと思いますが、私としては資料に挙げられているようなものが妥当ではないかと 思いました。  (3)の「ケーススダディでのデータ利用」は、以前に話が出ていたので、少し個人情報 との関係で気になったのですが、むしろ教えていただきたいというか、書く必要がある かどうかは委員の方々のご判断にお任せしたいと思いました。  (4)の「病院内に実習実施施設であることを明示する」というのは、施設内にそういう 掲示を出すことが可能だというのは看護課からの説明でありましたので、そういうこと であれば、患者の同意を得やすくなると思いますので、そういうことも工夫が必要かと 思いました。  「問題点」としては、いくつか意見があったように、同意書を要求した結果、実際に 協力が得られなくなる可能性があるのではないかという懸念が、この検討会でも示され ていたかと思いますが、あくまでも患者の権利を制限するものではないということを、 十分説明する必要があろうかと思います。同意書の内容に関しては、示された資料が参 考になろうかと思います。  (2)の「目的の正当性」です。これはかなり抽象的にならざるを得ないのですが、 看護臨地実習が、看護教育としての正当目的を要すること。ii)の看護教育実習が、看 護学生教育としての必要性を有することということで、具体的には(1)、(2)あるいは(1) から(3)に挙げるような理由が考えられるかと思います。これは私が個人的に考えたもの ですので、もっと具体的、かつ、有効な理由があれば委員の方々から教えていただきた いと思います。  (3)の「手段の相当性」です。先ほどからの繰り返しになりますが、きちんとした 手段でやられていることが何より大事なので、ここのところが法的に問題になる側面と しては、内容的にはいちばん厚くなるかと思っています。手段の相当性と言いますと、 何かきちんと順序どおりやっているというイメージに取られてしまうのかもしれません が、法律的に見ますと、手段の相当性はかなり広いものを含むことになり、具体的にi )からv)に挙げられたようなものを含むことになるのですが、形式的に手順を間違え ずにやっているということではなく、患者に対する危険性、あるいは学生自身に対する 危険性ということもあるかと思いますが、危険性を小さくするためにとり得る最善の手 段、方策が採られているという趣旨と考えていただければと思います。  i)からv)は、2頁、3頁、4頁にかけて、それぞれもう少し詳しく内容を説明し ています。i)侵襲性が相対的に小さいことというのが2頁の下から3頁にかけて書か れていますが、まず看護技術の水準をきちんと踏まえて行われていることがi)-1で す。  i)-2として、患者の安全確保のための方策がきちんと採られていること。その内 容としては、そもそも患者を選ぶところから始まり、指導体制がきちんとしていること。 学生の技術水準がきちんと確保されていること等が含まれると思いますが、そういうこ とが整えられた上での実習だということが必要かと思います。これは実際には看護教育 の場合、お話を伺っていますと、随分きちんとなされているという印象を受けたのです が、あとあと説明できるように文書化するなり、記録をとっておくことが必要なのかと 思いました。  5つあるうちの2番目が、ii)の資格者の監督の下に実施されていることということ ですが、これも話を伺う限りは、実施計画の策定、指導者及びその研修体制なども含め て、かなりきちんとされていると思いました。  問題点として挙げたのは、病院以外の訪問看護ステーションなどの場合、どのような 体制になるのかが、私自身もイメージができません。これからますますそういう所で実 習する必要性が高くなるのかもしれないので、その点をどう整備していくのかが課題か と思いました。  ii)-3の「指導担当者、指導教員の指導体制の確立」ですが、人的、物的ともに看 護師等養成所の運営に関する手引等でかなり詳しく定められているようですので、それ に則ってやっていることがきちんと示せればよろしいのかと思いました。  1点だけ気になったのは、3頁の最後ですが、緊急時の体制です。万が一、何か事故 があったときに体制がきちんと組まれているか。病院などはかなりきちんとそういう体 制がとられているのだと思いますが、それが学生にまで徹底しているかが問題になる余 地があるかと思いました。  (3)の「手段の相当性」のiii)の学生の技術水準の確保です。これもカリキュラ ムにきちんと則って先生方が、実習に出しても大丈夫というところまで学内で行われ、 その上で実習に出すという形式がとられていると伺いましたので、そういう体制がとら れているのなら、十分だとは思うのですが、技術到達レベルの確認をきちんと実施する 体制がとられているかということと、場所的にここに入れたらいいのかどうか、私自身 も迷ったのですが、学生自身の事故の場合です。  学生相互の学内の実習における安全の確保という点も問題になろうかと思います。こ れは基本的、法的には患者に対するのと同じ構造で、やはり同意を取り、一定の条件を 整えた上で実施することになろうかと思いますが、患者との決定的な違いは、自分が患 者側になることも教育の一環として行っていると思いますので、いわゆる同意書を取る ということまでは要らないのかとは思いましたが、教えていただきたいと思います。  5つあるうちの4つ目のiv)の「教育計画の下に実施されていること」ですが、これ はカリキュラムがきちんと整備されていることが確保されればよろしいかと思います。  v)が法的側面の2つあると言ったうちの2つ目の、万一の事故の場合に関係します が、緊急時の体制がきちんと医療機関側にもとれているし、学校側にも体制がきちんと 組まれていることが必要かと思います。看護課から伺った話では、医療機関側は、医療 法の改正で安全管理委員会を設置するという改正がなされているようなので、そちらの 体制は万全なのかもしれませんが、むしろ学校側で教育のカリキュラムの中にどの程度 取り込まれているのかという点が、私はまだきちんと理解できていなかったのです。も しこれがなされていればよろしいのですが、万一の医療事故に関する対応のようなもの も学習としてちゃんと学んだ上で実習に出ることが必要かと思いました。  4頁の最後ですが、実習委託契約書とか実習に関する覚書が、医療機関側と学校との 間でなされるという話を伺いました。そこでは基本的には「何か事故があったときは学 校が責任を負います」と書いてあるのですが、確かに物損事故の場合にはそういうこと になるのかとは思いました。ただ人身事故の場合は、契約でそうなっていたからといっ て、必ずしもそういう結論にはならない可能性が非常に高く、民事上の不法行為にしろ、 刑事上の責任にしろ、結局どこに過失があったか、誰の過失がいちばん大きかったかが 問題になるので、文面どおりにはいかなのかなとは思いました。 ○竹尾座長  大変貴重なご意見をいただきましたが、この点はいま聞いておきたいということがあ れば承ります。ないようでしたら、事務局から説明をいただいたあとで、議論のところ でご意見を伺いたいと思います。  それでは、事務局から、臨地実習説明書と同意書の文例等について、資料の補足説明 をお願いいたします。 ○勝又補佐  資料2と資料3に関して説明いたします。木村委員から同意が前提条件ということで、 事務局のほうでいろいろな所から資料をいただいて臨地実習の同意書に関して案を作っ てみましたので、ご覧になっていただきたいと思います。  1枚目が「臨地実習説明書(案)」で、「○○看護学校○年生の○○実習に当たり、 平成○年○月○日より平成○年○月○日までの間、受け持ちとして日常生活の援助及び 診療の補助等の看護援助をさせていただきたいと思います。なお、学生の臨地実習につ いては、以下の基本的な考え方で臨むこととしております」ということで、4点あって、 1は、事前に十分かつ分かりやすい説明を行って、患者・家族の同意を得て行う。2は、 事前に教員や看護師の助言・指導を受け、実践可能なレベルまで学生の技術を修得させ てから臨ませることとしている。3は、患者・家族からの意見、質問などについては、 教員や看護師に直接尋ねていただきたい。4は、学生が行う看護援助に対して、無条件 に拒否をするということであればできるということで、さらにそれを拒否したことを理 由にして、看護及び診療上の不利益な扱いを受けないといったことが重要なのではない かということで、説明のときにはこの4点をお話しするというのはどうだろうか。その 際に、説明した人のサインとして、学校養成所の側と臨床側のサインが必要なのではな いかということです。  次の頁が「臨地実習同意書」ということで、これらを説明した上で、患者に同意書に 署名していただくということです。「私は、○○看護学校○年生の○○が、○○病院○ ○病棟における臨地実習において、私の受け持ちとなり、看護援助を行うことについて、 別紙のとおり、説明を受け、納得したので同意します」ということで、患者の氏名、代 理同意人の氏名ということで、同意書をこういう形で取ったらどうかという1つの案で す。  木村委員が最後に説明されたところで、特に責任体制の問題があると思います。「2 1世紀における医学・歯学教育の改善方策について」というのが、平成13年3月27日に 出ていますが、それらのところから、議論をしていただくための参考ということで準備 をしたのが資料3の「学生が当事者となる医療事故の予防、発生後の対応について」で す。1つ目は、学生に障害が起こる事故について。2つ目に、学生の行為により、患者 に障害が起こる事故についてということで、特に2番目をご覧いただきたいと思って、 資料の印刷をしました。  (1)の「指導に当たる医師の指示に基づく医行為」ということで、(1)は、当該医 行為を受けた患者さんは当該病院と契約関係にあり、かつ指導にあたる医師は、当該病 院の職員として業務を遂行しているので病院の経営者が民法上の使用者責任を問われる 場合がある。(2)は、事故の状況によっては、病院の経営者が職員である指導にあたる 医師ならびに学生に対し、応分の責任を問うことがある。法律上の損害賠償責任をいず れがどの程度負うかは、当事者間の話し合いあるいは民事訴訟の結果による。(3)は、 事故の状況やその後の対応によっては、学生に医行為を指示した指導にあたる医師個人 の責任を問われる可能性がある。このことが指導にあたる医師に不安を抱かせ、学生の 診療参加に対して消極的となる原因の一つとなっている。法律上の損害賠償責任が指導 にあたる医師個人にどの程度あるかは、最終的には民事訴訟の結果による。(4)は、当 事者の話し合いや民事訴訟の結果にしたがって指導にあたる医師が責任を問われた場合、 もし指導にあたる医師が医師賠償責任保険に加入していれば、補償金が支払われる。調 査した範囲では、学生は約款で「補助者」と表現されているものに含まれるとみなされ、 事故は加入している医師の直接指導監督下にある看護師、X線技師等による事故として 扱われ、保障金が支払われるとされている。しかし、各保険会社との契約に当たっては、 その内容について個別に調査、確認が必要である、といったことが例として示されてい ましたので、一応議論の参考にということで資料を準備いたしました。 ○竹尾座長  それでは、木村委員のご説明を含めて、ご意見、ご議論をいただきたいと思います。 まず「臨地実習における患者の同意書等について」、同意書の文例内容等も含めてご議 論をいただきたきたいと思います。日ごろ私どもが学生を実習に連れていって、いちば ん神経を尖らせて、半分不安を持ちながらやっているところですが。いつかの検討会で 正木委員から、学生に資格がないが、実習していることについてという発言がありまし たが、いまのこのような見解を聞かれて、何かありますか。 ○正木委員  木村委員のまとめられたものは、私たちが押さえておいていただきたいことが、本当 に適切に表現されており、自分の考え方とか、教育者としての考え方をまとめる上では、 とても参考になりました。  特に、目的の正当性というところが、教育という意味で臨地実習を位置づけ、それを 可能にするために、この水準等を出しているという位置づけが、すごく明確に出されて いるので、その辺は素晴らしいなと思っております。  木村委員がまとめられた考え方で、目的の正当性などがありますが、この部分が法的 な位置づけの中で、もちろん位置づけられていると思いますが、検討会の報告書の中で、 どのように位置づけられるのかをお聞きしたいと思います。  というのは、臨地実習のあり方、技術教育を考える上で、重要な視点がすごく入って いて、これが法律を考える上での前提として位置づけられるのか、その辺がもっと前面 に出して報告書全体の基本的な考え方として位置づけられてもいいのではないかという 部分があります。木村委員がまとめられた部分が、全体の中でどのように位置づけられ るのか、よく分からないというのはあります。ただ、内容については押さえていただき たい点が、すごくきちんと整理されていると思います。 ○田村看護課長  私どもとしては、今日の検討会が終わったあと、報告書の案を準備したいと考えてお りました。特に看護教育における実習というものの位置づけ、その目的の正当性という ところを、きちんと前面に出すべきという正木委員のご意見を踏まえた形でまとめられ ればと思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○正木委員  はい。それを前提に考えたときに、例えば、木村委員が言われたように、同意書を取 らなければいけないレベルとか、学生同士で行うときの同意の取り方に対する考え方な どの面が多少変わってくるのかと思います。個対個として考えると、当然必要なのかも しれませんが、その実習自体が教育として位置づけられるという前提がきっちりあれば、 同意をどの程度詳細に取らなければいけないかという基準を、考える上で多少変わって くるかなと思います。 ○竹尾座長  今日このようなポイントが出されて、皆さんがこういうことがはっきりすれば少し安 心して実習がやれるという視点ですね。無資格な学生がやるが、こういう点がクリアさ れていれば許されるであろうということがはっきり出せればということですね。そのこ とについては、これだけはっきりとしていれば、実習に当たる教官としては何を備えれ ばいいかが見えて準備ができるようになります。ですから、今日はこれが非常に大事だ という委員の意見をいただければ、報告書に是非入れてくれというご意見が出てくれば、 そういうことになるのだろうと思います。私ももやもやしていたことが、すごくクリア になったという気がしました。 ○神田委員  実習を受ける立場から意見を述べさせていただきます。法的な意味はよく分かったの ですが、実習を受ける臨床の状況が、いまいかに実習指導に専念できる体制がないかと いうことを初回にお話したところです。保助看法的には、実習生は看護単位ごとにの規 定でいくと、10名以内、人に1人の実習指導者は、また、そういう人が病棟に2名以上 いるのが望ましいというの状況が、実習指導の規定になっています。もし事故があった 場合、医師の場合は指導した医師個人に責任が問われると同じようにいったときに、も し実習指導を担当した看護師個人に責任が問われることになりますと、いまの現場の指 導体制の中で実習をどのぐらい受けられるかは、逆に今日報告を聞いて緊張が高まった というか、今までのような気持では実習は受けられないという感想を持ったのが事実で す。私としては、これから実習をどうやって受けていこうかを、改めていま考えたとこ ろで、実習指導者をどのように選定して、どのような体制で実習を受けていけばいいの だろうかということで迷いが生じたところですています。 ○大内委員  そうですね、学生が臨地で、何らかの技術を提供するといったとき、このことについ てどれだけ分かっているかとか、患者の状態が分かって、なぜこのようなことをするか などの指導体制がある。のこと。また患者も新たに同意を得ているという3点がきちん と合わないと実習という形にはなかなかならないわけです。  そうした中で、説明の話をいただいて大変分かった部分もありますが、現在の臨床の 状況から見ると、実習の指導体制がまだまだ不十分な点が多々あると感じました。りま すので、その点では新たな心配があるというのは考えます。 ○竹尾座長  それは、例えば、それなりにトレーニングを受けなければ病棟で、そこの実習ができ るまでの準備段階のようなものは条件として入っていますが、そういったものを考えて、 学校側との連携かと思うのですが、病院だけがこれだけを全部やるとなれば大変ですが。 ○大内委員  先ほど神田委員からお話がありましたように、指導体制の点などの中では、まず、指 導者を確保するのは難しいということい点が現実かなと思っています。 ○竹尾座長  その点はいかがでしょうか。 ○神田委員  西澤委員と柳田委員にお聞きしたいのですが、医師の実習の場合は、実習生と指導者 の人数の割合は一般的にどのぐらいなのでしょうか。例えば、グループで普通は2人ぐ らいで実習するとか、それに対して指導の医師が何名ぐらい付くのですか。 ○西澤委員  内容によって違います。例えば、これも3段階あるので、それぞれ別だと思いますが、 かなり危険性の高い場合はマン・ツー・マンでやります。  もう一つは、指導するというのは、例えばある病院で複数の医師がいた場合、責任者 は1人おりますが、そのドクターがマン・ツー・マンではないということです。ですか ら、今回の指導者というと、常に指導者の下に学生がいなくてはならないような議論で すが、そうではなく、実習先の病院においては、指導者の看護師は実習を全部統括する 方で、個々にするのはすべてそのときに働いている看護師だと思います。ですから、そ れぞれの責任の度合とか、何かあったときの責任というのは、学生直接の責任、それか ら直接その場にいた看護師の責任、施設の中の指導看護師の責任、場合によっては施設 の管理者の責任、実習先病院の責任を分けて議論しなければ駄目だと思います。その辺 はいまの議論の中でごっちゃになっているのかなという気がしましたので、それを整理 するとそんなに恐れることはないと思います。病院のほうでも、そういうことで複数の ドクターが絡んでいますが、絡んでいるドクターがすべて指導医ではありません。 ○神田委員  ただ看護の実習の場合には、ドクターの実習以上に直接患者とかかわって、いろいろ なことを実施する場面がとても多いのです。1つの行為をやって、その前後を考えたり 調べたりまとめたりというのではなく、実習時間帯のかなりの時間を臨床にいて、ベッ ドサイドにいる。またベッドサイドにたくさんいさせてもらうこと、いろいろなことを 体験させてもらうことが、良い実習という見方も一方ではありますので、指導者との関 係は、おそらく医師の実習よりも厳しくなるのではないかと思っています。  例えば従来、私たちは実習指導を受ける責任者は病棟の看護師長であって、実習指導 者は指導の中心となる人とという捉え方ですが、責任者のこととか実習指導者の位置づ けなどが、今までとは違った形で、もしかしたら整理し直さなければならないのかとい う印象を受けました。 ○西澤委員  おっしゃることは分かりますが、それで今回3段階に分けて、危険度の高いのは本当 に指導者が直接しなければならない。そうではないのは現場の看護師の資格さえあれば、 このぐらいはいいのではないかという整理がされたのかなという気もしておりますので、 1つの項目ごとに整理すると、すべてを指導看護師がする必要はない。看護師の資格だ けでも十分していいというか、やれるべきものはたくさんあって、それを整理すればい いのではないかと思います。 ○内布委員  学校格差がかなりあるなと思って聞いていました。私どもの所は教員が5人に1人付 き、病棟で2人の臨床指導者が挙げられています。その人は一応受け持ちを外れて動い ています。それは看護師長ではない、看護師長はまた別に責任をとっておりますので、 3人体制で5人を見ているという状況です。  あとは実習調整という段階がありますので、実習調整段階で施設の長との話し合いが、 各病棟看護師長、主任、または副看護師長レベルの人、臨床指導者レベルの人まで出て くることもありますが、3人ないし2人が出てきて、会議の中でどこまで責任をとるか という話し合いがされています。  直接看護ケアについては、そのとき付いていた看護師免許を持っている人が、自分の 責任の下に指導を行っています。学生がケアの代行をしているわけだから、何かあった ときの責任は取りますということの了解を病院と大学の間で口頭ですが、得ていますの で、その点については病棟は理解していただいています。私たちもそんなに危険なこと はやらせていませんので、そんなに心配してはいませんが、そういう形で受けていただ いていますので、いま言われたような心配は多少あるとは思いますが、私どもの大学の 実習を受けてくださっている病院は、末端の1年目の看護師に至るまで責任は取ります ということで受けてもらっている状況です。  兵庫県にも看護学校がありまして、その看護学校も一緒の病棟に入っていて、ロッカ ールームが一緒なので聞くのですが、看護学校の先生たちは週に2回ぐらい病棟に来て、 学生の状況を聞いてお帰りになるのを、私たちは見ていますが、人がいないのだそうで す。すごく厳しい状況で実習指導をしておられるので、いまのようなことは想像はでき ます。そうすると、向こうの学生に関しても、うちの学生に付いた指導者とは別途、ま た指導者が付いて、その人は大体張り付きでやっていますが、西澤委員が言われたよう に、そのケアを担当した看護師の責任で実際は動いているようです。 ○國井委員  今回、この看護師の技術教育で問題になったのは、特に実習でも患者にとって侵襲の 大きい技術研修が全然できない。そのための環境整備ということで3つに分けたのです。 いま実習のところで教員がいないのならいないなりに、臨床側がそれなりの体制を組ん でやっていると思うのですが、今度、技術教育を充実するために、こういうことをさせ る体制を整えていこうとなると、少し今までとは状況が違うのではないかと思いますの で、これの検討と一緒に体制の検討もする。法的には問題はないとなっても、患者側の 権利というか、同意書をいただくというところで、どうやって理解を得ていくかという 大変難しい問題があると感じました。 ○竹尾座長  どのように議論を進めたらいいかと思っているのですが、1つは臨地実習が目的の正 当性からして、学生はやはり臨地である程度実習しなければならないだろうということ はご了解いただける。そのためにどうするかというので、いま言ったように技術のレベ ルがあろうかと思います。それに応じて全部同じレベルの体制を整えていくのは大変な ことですが、ある程度事前にトレーニングをしていれば、かなり危険が少ないものと、 非常に危険があるもの。これで見ると、リスクの高いものは見学になっていますが、付 いていなければならないものを分けて整理して、その上でどうするかという話に整理を させていただかないと、こちらから来たり、こちらから来たりでは、どこを議論したら いいか混乱してきますが、この会としては、看護教育の中で、特に技術の実習について、 しっかりとした実習が必要であろう。そのレベルを分けようというところは、ここがグ ラグラしてしまうと、どのようにしたらいいのか分からなくなってくるという気がしま す。 ○木村委員  説明が足りなかったかと思います。いろいろ心配が出てきてしまうのはよく分かりま した。これを書いたときに不十分な点が多々あったので心配が出たのかと思うのです。 基本的には現在出されている指導要領とか手引以上のことを要求するつもりは全くなく、 それをきちんと遵守していることが表にちゃんと説明できるような形でなされることが 必要だろうと思いました。ですから、新たに何か付け加えるのではなく、きちんとそれ に則ってやっていますねという了解がとれているのなら、まず第一には無資格であって も許されるということもクリアできるし、万が一の事故の場合にも、それがきちんと担 保されていれば、変な言い方ですが、過失がそれだけ小さく認定されることになろうか と思います。  医療機関側の心配というのは、非常によく分かりました。こういう基準を出さなくて も、やはり心配は心配な状況が現にあって、むしろこのようにきちんと体制を整えてや っていますということのほうが、万が一の場合にはきちんと説明できると思うのですが、 いかがでしょうか。 ○内布委員  全く賛成です。いま文書化されていない部分がかなりあって、先ほどの木村委員のお 話を聞いて、安全性担保のための方策をどれほどとっているか、教育上、カリキュラム はどれだけ整備されているか、指導体制がどのようになっているかということを、すで にきちんとやられて、明文化された部分もありますが、文書化をして示すことが必要だ と思います。既存のもので8割ぐらいはカバーできるというのも、先ほどの説明を伺い ながら思いました。カバーできない患者への説明書の部分がきちんとされていないとい うのはカバーされていない点があります。ただ、今日は看護課科から示された説明書の 案を見る限り、いままでいいと言っていた患者がこれを読んで「待ってくれ」という事 態にはならないだろうと思います。  私たちは、毎年100人の学生を預かっていますが、学生の人間関係上のトラブルが8 年ぐらいの間に、1件ぐらいあり「外してほしい」と言われすぐ外しましたが、現実は 部屋で1人だけ受け持っていますと、ほかの患者が「自分も持ってほしい」と言ってく れたり、私たちが調整で病棟に入っていても、「私には学生は付かないのか、是非付け てくれ」と言ってくださる方のほうが、断られる頻度よりも何十倍も高いのです。この 案は、臨床の中に非常にスムーズに入っていくのではないかと思います。  私が1つ思っているのは、個人に対して取る同意書ですが、例えば、実習の形態によ っては部屋持ちということがあります。看護師の動きを学ぶという実習が数日間組まれ る場合もあるので、その場合は特定の患者にお願いしているわけではなく、看護師にく っ付いているので、その方が転々とすると、一緒になって転々とするわけです。そうい うときの了解の取り方は別途また考えなければいけないかとは思いました。  1つ根幹にかかわることで、臨地実習でなければ修得できないという教育上の必要性 に関してですが、医師や歯科医師の場合は、卒後研修制度があるので、学生の身分で資 格がない状態で実習をする必要性があまりないということがあるのかと思います。そう すると知識を十分修得しさえすければ手技に関しては出てからでも構わないという考え 方があるわけです。片方では卒後研修制度は看護の場合も必要だと思っているのですが、 それがもし整備されてきたときに、学校での手枝の実施のほうは要らないという話にな るのかどうかは、どうなるのだろうと思って聞いていました。覆すような話になってし まい、申し訳ないのですが、その辺はどうなるのでしょうか。 ○西澤委員  最後のは全く別な問題なので議論から外したほうがいいと思います。私が先ほど責任、 責任と、現場の看護師に即責任を負わせるように誤解されたかと思いますが、逆にその 辺を整備することによって現場は責任が少なくなり、自分の負える責任の範囲内ででき るようになります。ですから、実習を受け入れやすくなる、そういうためにはきちんと したほうがいいというのが私の意見です。  大内委員と神田委員が言われることは、非常によく分かり、特に民間病院を中心とす る現場の病院では、いまの現状は実習どころか、日常業務で私たちはめいっぱいです。 ここにそんなのを押し付けられたら、とても私たちは責任を取れませんということが一 緒になっているので、それはそれとして是非別なほうで考えていただければと思います。 ○柳田委員  医師の場合は、平成16年度からの卒後研修が変わってくるのだろうと思います。しか し、先ほど西澤委員が言われましたことに関してはように、そんなに大した変わりはな いだろうと思います。  今までの議論で結構だと思うのですが、その中でいわゆる医療安全管理の部分では、 日本医師会でも医療安全従事者対策養成講座をやっており、医療機関から勉強にきて、 講習を終了された方が随分おられます。例えば、私どもの医師会病院等においても、毎 週医療安全委員会をして、どういう医療事故が起こってきたかを、小さなものから全部 書き出しす報告するわけです。そういうものがあるということを十分研修させ、事故が 起こらないようにするのが最大の目的なのです。  それと先ほども出た人間的なトラブルなどです。今までもずさんにやってきたのでは なく、しっかりした基礎の下に、しっかりした臨床実習指導者を付けてやってきている わけですから、それに少し法的なことで問題が起こらないようにしようということにな ってきていますので、あまりこれをしますと、臨床実習指導者が足りなくなるという問 題等も起こってきますので、現場で混乱が起こらない程度にやっていただければいいの かと思います。 ○竹尾座長  状況がはっきりしてくるということは、私などは聞いていてもいいかなと思います。 今まではどうもはっきりしなかった、その中で同意書に関しては私たちが何となく曖昧 にしてきたもので、これをいま提示資料にあるようにはっきりした形で、これからこう いうことが必要だということは、先生方、あるいは病院側で、こういう形で良いかとい うのが1つご意見をいただければと思います。 ○柳田委員  余計な話ですが、救急救命士の30例の気管内挿管のインフォームドコンセントがどう なるのかを、むしろ心配しているぐらいです。看護師のほうに関してはその辺がちゃん とすできれば、それでいいのかと思います。 ○竹尾座長  もう一つは過誤に対する対応をどうしているか。これももしかしたらクリアではなか ったかもしれないというので、その辺のご意見もいただきながら、そこを整備すべきで あるということは、病院は当然持っているかもしれませんが、教育サイドとしてどうや っているかも必要かと思います。同意書についてはいかがでしょうか。 ○西澤委員  資料2の説明書と同意書を見ていてちょっと首を傾げているのですが、これが説明書 であり同意書なのかなという疑問があります。というのは、1に「事前に十分、かつ分 かりやすい説明を行い」という分かりやすい説明は口頭でやるのか、文書かということ で、もし説明を文書でやるのなら、それが説明書ではないのかなと思います。  特に、2枚目の同意書ですが、「別紙のとおり説明を受け」という別紙のとおり説明 というのがいちばん上だとしたら、ちょっと違うのではないか、もう少し具体的なもの がなくてはならないかと思っています。  同意書に関してですが、一つは実習の学生が来ますということに対しての同意で、も う一つは、個々の行為についての同意も必要ではないかという感じがしています。例え ばこれは1、2、3と分かれていますが、単独でできるぐらいのものだったらひとまと めに、すべての患者で同意を取るけれども、より高度なものに関しては個々に取る必要 もあるのではないか。その辺、もう少し説明書と同意書の整理が必要なのではないかと 思います。 ○竹尾座長  ありがとうございます。 ○田村看護課長  私どもで提案しましたのは、まず受け持ち患者になっていただけるかどうかというこ と、その患者に対しては看護学生が行える範囲の看護援助をさせていただきたい、とい うことをご同意願えるかという臨地実習説明書であり、同意書として提案させていただ きました。個々の行為のことに関しては、ここにはそうしたものを掲げていないのです が、いまのご意見だとそれが必要だということでしょうか。 ○西澤委員  そういうものもなくてはならないのではないかという意見です。 ○竹尾座長  その辺、いかがでしょうか。まず総論的に、学生の実習の受け持ちになるということ と、例えば基礎実習ならこういうことをしますという項目を書くということでしょうか。 どの辺は書くべきで、どの辺はいいか、どの辺が必要かということもあると思います。 全部書くと、結局みんな出てくることになってしまいます。いままでほとんどやってい ませんから、新しく見本を作ることになるかと思います。 ○辻本委員  実習説明書の中で2点発言します。1つはやはりプライバシー、守秘義務、「実習で 知り得た情報について」という1項目を患者の立場としては明記してほしいと思いまし た。  この4つについて、全体のどこを見ても、多分私が入る前の議論ではないかと推測す るのですが、責任の所在ということが明確ではないなと思いました。そのことがとりあ えず、受け持ちを了解するに当たっても、もし何かあったときに誰が責任者で、患者と しては誰にそういったことを相談すればいいのかということが明確になってほしい。そ して、「病んだということでのプライバシーもちゃんと守ります」という一文もほしい と思いました。 ○竹尾座長  守秘義務と責任の所在を明記してほしいということでした。 ○田村看護課長  守秘義務に関しては工夫できるかと思います。責任の所在という点は先ほど木村委員 からご説明があったとおりで、まさに起きた事故などに応じて、どれだけの過失が誰に あるかということの話になってくるわけで、明確にここに書くということは難しいので はないかと思います。そのために、説明者に実習施設側と学校側の説明者を並べて書く ということにおいて、ある意味で責任の所在を明確にするという意図と考えて、この案 を提示したところです。 ○竹尾座長  例えば、そこが実習施設だと少しわかりにくい。病院の長、看護部長や婦長であると いうことがきちんと書いてあるほうが、患者としては見えるわけです。 ○田村看護課長  実習施設で何々病院、例えば5階病棟の師長の名前といった形になるでしょうね。あ るいは師長ではなくて、臨床実習指導者の資格を有する人の名前ということになるかも しれない。そこはその病院の中での取り決めだろうと思います。学校、養成所について も、その説明にかかわった担当の教員ということもあるでしょうし、場合によっては学 課長レベルの名前を書くところもあるかもしれません。さらには、養成所長の名前を書 くところもあるのかもしれません。よくわかりませんが、いろいろな名前をサインする 可能性はあるだろうと思います。 ○竹尾座長  婦長の上まで、養成所の長まで書くのもやぶさかではありませんが、実習であれば実 習責任教官、教授がおられますから、おそらくはそのレベルか、もしその人と重ねれば、 その病棟の担当者のような形になるかと思います。一応、その辺も決めておいたほうが 安心かと思います。ただ、病院によって体制が変わりそうではあります。あるいは学校 の体制というか、規模という点でも変わると思います。 ○辻本委員  患者の立場としては、何か相談するというときに誰なのかがあまりに漠然としている と見えないと思います。その辺が少し見える形になっているといいと思います。 ○竹尾座長  学校、養成所というように書かれると、いまこのレベルで見ると、誰かよく見えない という点があるかもしれません。いままで、一般的にはこういう格好ではやり取りして いなかったかもしれませんが、病院と教育側とのやり取りは誰が出ていたでしょうか。 実習指導教官でしょうか、責任教官でしょうか。 ○内布委員  単位認定者と看護部長、患者に対しては大体2人が名前をどこにでも出します。 ○竹尾座長  教育全般に関してはそういうことです。 ○渡津委員  担当病棟でのある科の実習のときは、やはりそこの担当教官と実際の現場の看護目標 から、きちんと、具体的な看護行為がどうであるかを見ているのは現場のナース、具体 的にはなので、実習指導者が表立って、直接ベッドサイドにかかわっている2人だと思 います。そこで、教官も必ず受け持ちの患者に挨拶に行って、「私が今回ここの学校の 学生の担当をしますので、何かありましたら是非おっしゃってください」ということは、 文章では書いていませんけれども、挨拶はしています。  辻本委員がおっしゃったように、病棟の方に言いにくいときには教官に情報が入って くるときがあります。そうすると、教官から私に来ると、病棟の看護師長へすぐ情報を 出して、その受け持ちが本当にいいのかどうか。ちょうど最近あったのですが、お願い されたがゆえに患者がもし苦痛であるならばいけないから、もう少しそこの真意を探っ て、受け持ちをまず外すことも検討しながら話し合いをしてくださいということで、今 回受け持ちのあり方を考えた例がありました。  やはり、個別にはベッドサイドできちんと耳を傾けられる人を前に出す。ただ、在宅 などになると、これも最近例があったのですが、15年度のお願いに行ったときに、今度 利用者の方に説明するには学校長の名前で、こういう実習に行くので、もし不都合があ るときには是非、一緒に行かれたナースに申し出てくださいという文書をくださいとい う要望がありました。実習の領域によっても違うのではないかと思っています。 ○竹尾座長  状況によって少し変わるかと思います。学校が臨床の場にというときにはちょうどこ ちらの長になりますが、病棟のレベルではまた担当者となると思います。ご希望として は、はっきりさせておくということかと思います。 ○大内委員  こういった説明書があり、同意書を書いていただくとなったとき、何か法的な問題が からんで、最終的に責任者がどうなるかということまで来るような問題が生じたときに は、こういった説明書や同意書の中にはそういった施設長、患者の名前ではなくという のは要るものなのかどうか、教えていただければと思いました。単に、相談の窓口の方 が明らかになっているだけでよろしいのですかどうか。 ○竹尾座長  いかがでしょうか。 ○木村委員  基本的には文書があるからといって、これが絶対ではないのです。ですから、ここに 責任者としてお名前を挙げたからといって、その方に直接責任が行くとは限らないと思 います。それでは取らなくてもいいかというと、そうではなくて、こういう体制で臨ん でいる。苦情などがあったときには、ここで引き受けるという体制できちんと臨んでい る。きちんと説明をしている、ということを示すための文書と考えたほうがよろしいか と思います。ですから、万が一の事故のときにはかなり個別で、あるいは学生がいちば ん悪いということになる可能性もありますし、場合場合で変わってくると思います。 ○竹尾座長  サインしたら、あなただけの責任でなどということはないということでした。 ○渡津委員  説明書の4、「受け持ちに同意したあとも、学生が行う看護援助に対して無条件に拒 否できる」ということは、これは看護援助への拒否ですか。私は最初読み間違えていて、 受け持ちを断ることができるという解釈だと思い込んでいたのです。これは援助ですね。 ○竹尾座長  そうですが、受け持ちを断ることも当然可能だと思います。現実にいまやっています。 表現がまずければ、これは直したほうがいいと思います。 ○渡津委員  というのは、最初に「受け持ちをお願いできますか」の文章だったので、先ほど私が 例で言ったように、もし受け持ち続行中の途中に、行為もだけれども、そのことがもと で、もうこのような状況を続けることが苦痛でのときに、誰に相談したらいいかわから ないときに、やはりそこが明白になっていて、かつ行為プラス受け持ち続行を拒否する こともいいということを言っているためのものと思い込んでいたのです。 ○竹尾座長  そう思います。ですから表現が不足で、それは少しわかるように変えたほうがいいか と思います。もう少し同意書については。 ○田村看護課長  次回が最終回の予定だったのですが、最終回には今日ご意見をいただいた守秘義務の 件、いまの渡津委員のご意見を踏まえて、若干修正した文書をお出ししたいと思います。 ○竹尾座長  いまの感じでは大枠での了解と、あるいは個別に出す場合のものということですか。 ○田村看護課長  例えば先ほどの西澤委員からのご意見、個別の看護行為に関する同意書も必要ではな いかという点に関しては、こういうペーパーを準備することまではできないまでも、そ の報告書の中に必要な行為に関して、そういうこともそれぞれの学校において検討すべ きという、あるいはそういうことでもよろしいのかなと勝手に思ったのですが、いかが でしょうか。 ○西澤委員  おっしゃるとおりです。この委員会ですべてを細かく規定するという意味ではなくて、 そういう点をこれからの検討課題としてやっていただきたいという意味です。例えば受 け持ちするのはいい、いろいろな行為があるわけです。でも、例としてどうかと思いま すが、学生に注射だけはしてほしくないという方もいらっしゃるのかなと思います。そ ういう場合にどう対応したらいいか。それを最初にOKを取ったから、何でもかんでも してしまうというのはよくない。あるいは、当然、そのときには口頭でやるかもしれま せんけれども、やはり書類で残しておいたほうがいいとすれば、それも十分考えておい たほうがよろしいのではないかということですので、よろしくお願いいたします。 ○竹尾座長  確かに、おっしゃるとおりだと思います。 ○内布委員  違う点で発言します。木村委員の報告の中で1頁目、「ケーススタディでのデータ利 用について」という点でご意見を伺いたいとおっしゃっていました。疫学調査に関する 指針が出ましたが、あれに準ずる取扱いでいいのではないかと私は思います。個人情報 の取扱いに関してはプライバシーにかかわる部分、つまり年齢や名前、出身地などを除 外する。診療記録自体、管理責任者は院長だと思います。ですから、院長の許可があれ ば研究など、学問発展のために、専門家の研鑽のために使うことについては、全部伏せ て使うということであればケーススタディはいい。そうでなければその領域の発展が狭 められていく。諸外国でも書面は取っていませんし、院長がきちんとプライバシーを保 護した状態で診療記録を提供できるのであればいい。それは既に、指針が国から出てい ますのでそれを使えばいいのではないかと思うのですが、駄目なのでしょうか。 ○竹尾座長  ケーススタディについてはいろいろな使い方があるかと思います。ケーススタディと いっても外に出してパブリッシュするようなものから、学内での発表のものまで。 ○内布委員  もちろんパブリッシュすることを前提に疫学調査の指針は出されているわけで、いち ばん大きいところをカバーしていると思います。 ○竹尾座長  もう1つは教育の中で、割と学生がケーススタディと称して、自分の受け持った患者 についていろいろ記録をして、例えば学内でプレゼンテーションをするなどということ があります。そういう意味もあると、だいぶ幅があるかという気がちょっとしています。 ○内布委員  それも診療記録を使うという点では全く同じなので、やはり院長の許可は要ると思い ます。 ○竹尾座長  そうかもしれません。 ○内布委員  全部プライバシーを保護した状態であれば。そうでないと勉強ができないというか、 私たちはいろいろな事例で学んでいくわけです。それがいちばん大きな財産なのです。 例えば患者が亡くなられているのだけれどもどうしたらいいか、それは大変な作業にな ってきます。事実上、いまのところ家族の同意は認められていませんから、ご本人の了 解ということになると亡くなった方についてはできない、究極のところはそうなってし まうのです。そのために疫学調査の指針というのは出ているわけですので、それをきち んと守っていただければと思います。  学生に対して、プライバシーの保護に関しては十分に専門家として教育しているわけ です。だから、そういう情報が外に出ることは全くありませんし、自分たちの研鑽のた め以外に用いることはないわけです。それを了解していただいて、院長の了解が得られ ていればそれは可能ではないかと思います。 ○竹尾座長  私が了解できないのは、疫学というとどうしても数でこなすという感じがあります。 我々が言うケーススタディというのはあの方のこのケースという、人間関係から家族か らみんな出てくるわけです。その辺、疫学調査の基準というのはどうなっているのです か。 ○内布委員  「診療記録の使用に関して」と出ていますので、別に量的なデータとして、研究結果 を出す、出さないに関しては規定がありません。どちらでも適用できる指針というよう に私は理解しています。 ○竹尾座長  その辺、私は少しニュアンスが違って取っています。たとえ名前を消し、年齢を消し ても、数で集めてきて診療記録を使う場合と、看護としてケーススタディといったらま さにケーススタディなのです。その辺、それはいいのではないかというご意見ですが、 委員の方々はいかがでしょうか。 ○内布委員  もちろん、むやみにということはできないわけです。診療記録を使うわけですからで、 そこから持ってくるものだから。 ○竹尾座長  院長の許可レベルでいいのではないかというご意見ですね。 ○内布委員  それは必要だと書いてあります。 ○竹尾座長  勝手に、どんどん使っては困るというのは当然だと思います。 ○内布委員  診療記録の管理者というのは、プライバシーにかかわる情報に関しての管理責任を追 っているわけです。その責任のもとに承諾をしていることであれば、どういう目的で使 うかということまで含めて了解が出ているのであればいいと思います。 ○竹尾座長  その辺、いまのケーススタディでのデータによる点について、ほかの先生はいかがで しょうか。 ○正木委員  木村委員がまとめられた点、教育にすべて活用するということで、悪質な活用ではな いと思います。教育に活用するために、正当な理由で活用しているという意味で、その 条件なり環境なりをきちんと言語化し、明文化しておく必要がある。その基本前提を内 布委員が言われたことに適用すると、ケーススタディに関しても、例えば振り返り学習 で活用させていただきたい。ただ、ケースが外に漏れたりとか、本当に安易な扱いをし てほかの人に渡ったりなど、そういうことは絶対避けるような形で倫理的な配慮をして いる。そこを学校側も明文化したり、倫理的なものをきちんと整備しておくということ で対応できるのかなと思います。 ○竹尾座長  いままで確かに、患者のデータをその辺に置いてはいけないなど、きちんと言ってい るけれども、文章としてはないのです。実習指導のとき、口頭で学生にビシッとは言っ ています。それをきちんと整備する必要はあるかもしれません。「こういうことにも気 をつけてやっています」ということをどこかに出す。  もう1つ、学習といっても、患者の記録を最後にまとめてケーススタディとして発表 したりということがあります。その辺の意味合いと、外にまでパブリッシュするときの 意味合いをみんな一緒だと考えてもいいし、委員の方々のご意見を聞いてどうするかな と思いました。学内でやっているときにはいままではあまりやらずに、ただ記録をきち んと管理するというだけまででやっていました。 ○正木委員  ほかにパブリッシュするという場合には、内布委員が言われたように疫学調査に準ず るものがある。研究など、何らかでそのデータを活用するし、公表することが前提に作 られたものなので、私は準じていいと思います。学内の教育のための倫理規定だけで済 むものではなくて、やはり外に公表という面では、そのような基準に適合する必要があ るかと思います。 ○竹尾座長  いまおっしゃった院長許可という。 ○内布委員  疫学調査の指針というのは、かなり厳しいのは厳しいのです。 ○竹尾座長  外に行くときは当然、そういうものに縛られる。だけど、個人の了解はないというこ とですね。 ○内布委員  個人の了解はありません。 ○竹尾座長  確かに100も1,000もになったら取れないというのはありますが、たまたま1ケースの 報告みたいなことも想定できるわけです。 ○内布委員  うちの学生がやっているのは10数ケース、診療記録からデータだけを取ってくる。名 前などはもちろんありません。ケーススタディと疫学調査、数で結果を出すものと内容 で出すもの、ちょうど中間ぐらいだと思います。現時点でもあります。疫学調査のため の指針が出ましたので、今年からその指針に全部従って、伏せ字というか、診療記録に 手を加えていただいて院長に提供していただくことをお願いしています。 ○竹尾座長  いまのケーススタディのデータ利用というのは、教育に関してというように取りまし ょうか。それとも、いま教育をやっていますので、実習で学生が患者からデータを取っ てきたそのものについてという限定で考えないと難しいと思います。あまりバッと、パ ブリケーションしてもいいというところまで行くと。 ○内布委員  そちらのほうが厳しいのです。その厳しい規定に従うのであれば、私はここはカバー できるのではないかと言っているのです。 ○竹尾座長  例えば患者の了解は要らない、院長がいいと言えばいいというレベルになりますか。 ○内布委員  はい、診療記録ですから。 ○西澤委員  そのようないろいろ発表するものについて、専門職である医師や看護師が出すときは いま言ったとおりだと思います。ただ、学生の場合は立場が違って、守秘義務などがど の程度関わっているのかわかりませんが、全く有資格の職員と同じに扱うわけにはいか ないのかなという考えが片方であります。1つ、ここでお聞きしたいのですが、そうで あれば学生という立場で、まだ資格がない立場でそのような症例を使うことの是非も片 方では議論が必要かという気がしますが、いかがでしょうか。看護師が発表するものと、 学生として発表するものとではちょっと違うかなという気がします。 ○竹尾座長  ちょっと引っかかるのですが、いかがでしょうか。 ○木村委員  いまご指摘のとおりで、守秘義務がかからないと思います。学生にはかけることがで きない。私もうっかりしていましたが、そこが決定的に違うというのは指摘しなければ いけなかった点だと思います。  あくまで、教育目的で使わせていただくということなのだろうと思います。内布委員 がおっしゃるとおり、まさにやらなければ学べないので、使うということはやむを得な いというか、むしろやらざるを得ないと思います。  そのときに、私がここでいちばん気になったのは、患者にそのことを知らせる必要が あるかどうかでした。私はどちらかという結論が出せないのです。そこまで言うと、ま すます同意が取りにくくなるのかなという心配があります。一応、「教育目的」で協力 させていただく了解が取れればいいのではないかと、私は思ったのです。だから、1頁 の(3)では必要かどうか、皆さんに教えていただきたいという趣旨で書きました。  実はいま、弁護士で全く同じ問題が起こっています。ロースクールで、いわゆる弁護 士業務の一部のような実習を学生にやらせるかどうかが大問題になっています。守秘義 務がかけられないので、学生に実際のケースを扱わせるのは難しいのではないかという 議論になっています。ですから、そこはどのような方向になるのか、法整備をするのか どうかも含めてよくわかっていないのです。同じ問題だなということはよくわかりまし た。ただ、看護の場合はもう実践されているわけです。それをやめろというわけにはい かないので。 ○竹尾座長  勉強のために、レポートを書くところまでは学生がやっているわけですね。外に出す ところはまだということですか。 ○木村委員  先ほど正木委員がおっしゃったように、倫理規定のほうできちんと押さえていく。患 者にはあえてそこまでの了解は難しいような気がしました。 ○竹尾座長  いまは教育の範囲のお話です。外へ出すときはもちろんもっと厳しいとか、こちらの 基準で。 ○世古委員  ケーススタディの看護一連のプロセスを学ぶという点では、私もこれは教育の一環だ と考えています。受け持ち患者に同意を取りつけるときに、そこのところは当然出てく るだろうと思います。ただ、これを他に向けて発表する場合とは線を画したほうがいい と思います。そのときには教員が深くかかわるわけですから、また別個に設けて行うべ きではないかと考えます。 ○竹尾座長  ありがとうございます。その辺、内布先生のご意見から、少し教育のところに限定し ての話になりますが、よろしいでしょうか。 ○正木委員  別の点でよろしいでしょうか。資料1の4頁目、いちばん上のiii)、「問題点」の いちばん上、「学内における学生の技術到達レベルの確認の実施」という部分がありま す。先ほど、実習を受け入れる現場側から「心配」という意見が出ていました。お願い する教育側は、やはり実習でさせていただくに足るぐらいの教育をきちんとやり、それ を確認していますということは何らかの形でお願いする実習施設側に伝えるべきだと思 います。おそらく、いままではお互いに信用レベルで、きっと学生はきちんとやってく れているだろう。ならば、学生にも対応しましょうということだったと思います。今後、 いろいろな面で明文化しておく必要があるという点では、技術到達レベルを実習に行く 前に確認していることを学校側が示し、それを提示する必要があるのかなと思いました。 ○竹尾座長  そうですね。一般には、先生方は演習できちんとチェックしているわけです。何回も 反復させて送り出すということはやっていますが、それをきちんと病院側にも報告する ということだと思います。 ○正木委員  現場の方々と、ああ、それはもう必要ないのですね。 ○竹尾座長  そこは不安で、どこまでやってきたかは知りたいと思います。 ○大内委員  うちの場合、何の実習についてはこのういうような方法で技術の確認をしていますと いうことが、打ち合わせのときにきちんと報告があります。それ技術の演習に落ちて、 何回も繰り返してどうにかクリアし、全員合格になったとか、若干1名はどうしていま すとか、その辺は打ち合わせの中で確認し合っているようですので、大丈夫だと思いま した。 ○神田委員  技術チェックがあったり技術テストがありますけれども、単位を進めることのほうが 先で、実際に合格しなくても臨地実習に出てくるということはあるようです。実習計画 が年間で立っています。例えば看護専修学校3年の場合、入学のときから3年までのカ リキュラムが立っています。1年間過ぎた段階で、落としている単位があまり多ければ 留年ということもあるようですが、そうでなければある時期になったら実習に出る。必 ずしも、到達したから実習に出るということではない。実際、そのような実習を受けて います。その辺はもっと明確になってもいいのではないか。ある程度、ここまで到達し なければ実習に出さない、ここまで到達しなければ卒業できない。それがもっと明確に ならなければ、いまの教育ではかなり厳しいかと感じています。 ○竹尾座長  教育する側としては補習してでもやっているわけですね。 ○濱田委員  私のところでは、まず基本的に技術の単位が取れていなければ実習に行けないという 基準を作っています。そのときにかなり補習をしています。受けて、受かったというあ たりで、うち本学ではレベル1、レベル2、レベル3と分けています。レベル1という のは基礎実習、レベル2というのは基礎II・成人の実習各論です。レベル1(基礎実習 )が通らなければ、当然各論の実習には出られないという、ステップを作ってやってい ます。 ○神田委員  看護師養成学校において、専修門学校と大学の違いがあるのかなと思います。専門学 校の場合にはどうしても指導体制、教育体制、専任教員の人数などの制約があって、も しかして十分ではないのかなという気がします。今回、大学の先生方のご意見をお伺い しながら、その差を痛切に感じているところです。 ○渡津委員  弁護しているわけではないのですが、確かにそういう体制の違いはあります。そこに 専修学校と大学の持つ狙い等の違いがあるからでしょう。でも、最終的に国家資格、国 家免許を取って患者の前に出すときは同じように入っていかなければいけないわけです。 その分、いままで専修学校はかなり頑張って技術というものをやってきたのですが、こ こ3〜4年の間に大学のそのような考え方もずいぶん入ってきました。「無免許の者に させてはいけない」という言葉がずいぶん沢山聞こえてきて、専修学校のほうは怖くな ってきてしまい、学内の演習のあり方がずいぶん変わってきました。  そうなってくると、独自性は何だったのだろうと振り返ってみたときに、前回、3回 目のときに発表したように、最終的に患者にベッドサイドで針を刺す行為や採血行為を する以上は、臨床に迷惑がかかってはいけないから、学内の正規の時間で教官が「評価 」という項目をきちんと考えながら、そこまで到達するのが私たちの仕事であろうとい うポリシーを持ってやっていたわけです。前回、その差がずいぶんあることを知ったと きに、こういう水準が決められたことをもとに、今日の木村委員の意見を聞いて、逆に、 ある程度侵襲を与えるものについてだけは、せめてこれだけは学校として学生同士、 同意のもとにきちんとしなければいけないということがみえてきて、。今日、聞きなが らすっきりしました。  いま臨床のほうから言われましたが、それだけではなく、そこの学校が置かれた範囲 の中でどのような工夫をするか。これは個人的ですが、手が足りない云々もありますけ れども、臨床の方に試行で今年1年間、学校に入ってもらおうと思っています。この検 討会がきっかけなのですが、「うちはこのようにやっています」だけではなくて、技術 のときの演習は公開しますから是非来てください。学生たちがどのようにやっているか を現場の目で見てもらって、このようなレベルなのだと知ってもらったり、私たちは臨 床とこれだけ違いがあることを見せていく。臨床から批判もいただきながら、乖離があ るなら指摘してもらったり、学校はこのように原理原則を押さえている。このことをも とにベッドサイドでは気をつけてほしいということを是非、「母体病院と共に、実習等 指導者会」でやっていこうではないかと提案したら、みんなに興味を持ってもらえまし た。そのように、やり方1つで近づくのではないかと思いますので、一概に専修学校と 言われると辛いものがあります。 ○神田委員  実は私どもの病院も既に、隣接する専修看護学校の学内実習には臨床指導者など、学 内実習指導の教員が足りないということもあって派遣しています。したがって、学校で どのように教えているかを承知はしています。  ただし、ここまでできなければ実習には出さないというラインが見えない。例えば今 回看護技術を提案され、表に整理したのも、最低これとこれができなければ卒業できな いというラインではないのです。したがって、そのラインを明確にするという点につい ては今回の議論でもあやふやですし、実際に実習を受ける立場としても、これとこれは 必ずクリアしていますというラインが十分ではない、そういう現状はございます。 ○濱田委員  いまのことお考えでは、ペーパー・シュミレーションというか、いくら学内でできて も、実際、生身の患者さんのところで同じことができるかといったら別なのです。その 当たり辺、教育という意味合いでどうするかは、やはり各学校が考えていかなければい けないのではないでしょうか。相手によって変わってきますし、これは残された課題だ ろうと思います。  特に学生は非常に過緊張になります、最近とみに感じています。学内でこあれだけで きた人がどうして患者さんのところではできないのか、というあたりで学生とゆっくり 話し合いをして、できなかった理由を聞いていくと、本当に過度に緊張しているという ことがわかります。もありますから、その当たり辺はケースバイケースかと思います。 学校では基本的にここまでできる。だけど患者さんのところで、それが完全にできるか どうかというのは別問題ではないかと私は思います。水準値レベルまではできるように、 みんなで努力しようとは思っていますが、侵襲のひどい患者さんに対して、学生は非常 にビビッてしまう傾向が強く見受けられますので、現実厳しいものを感じています。 ○内布委員  神田委員がおっしゃったこと、実際演習でできても現場でできない、ということは十 分ご承知の上でおっしゃっているのだと思います。ただ、私も反省するところがあるの ですが、実はうちの大学も技術の具体的なレベルまでは臨床側に示していません。前提 条件として前の実習、基礎実習が課題実習も含めて3つあるのですが、それらの1つで も落とせば前に行けないという考え方なのです。基礎の基礎の実習があるのですが、そ れに落ちると前に行けないので、学生は学年を上がれないのです。ほかの課目を全部取 っていても、実習だけは上に上がれないという仕組みは作っています。  ですが、私も聞いていて、多分それだけでは不十分ではないかと思ったのが、例えば 気器管内吸引ができます。見学しました、何回やりました、監督していれば単独できま す、そして、単位認定者の印鑑がボンと押してあるような、そういうものがほしいとお っしゃっているのだと思います。もちろん演習レベルでかまわない、違うのですか。 ○神田委員  そこまでは厳しくないのです。例えば血圧測定が正しくできる、せめてここまでは注 射器の扱いはできますという学内実習でのレベルということです。 ○内布委員  この人はちゃんとできました、というところで印が付いているような、表のようなも のを連想していらっしゃるのですか。 ○神田委員  例えば基礎実習に出るまでは、これとこれとこれの技術は全員クリアしていますとい う点がカリキュラム上ではわかりますが、具体的な水準がわからないという意味です。 例えば、新人が夜勤に入るまでに何ができればいいかということがあるとように、これ とこれができるようになってから基礎1には出るとか、学内ではここまではきちんと押 さえてあるということです。その水準が違っているというか、と見えないということで す。 ○内布委員  そうすると、例えば基礎実習ではこういう項目をやります、この学生はそれに合格し た学生ですということがわかっていれば個々の項目、例えばシーツ交換ができる、全身 清拭ができるという、個々のレベルでの到達度はわからなくてもいいということですか。 むしろ、そちらのほうがほしいのかなと思って聞いていました。 ○竹尾座長  いくつか演習の中でそのような項目について、教育側は「すべてできた」と判こを押 して出すわけです。できない人は出さないのです。だけど、行くとできないということ なのです。なぜなのか。演習では血圧を測れない人は行かせないと言っているのです。 だけど、そこに書類がないか、あるいは連携が不十分か。 ○内布委員  いや、いま聞いていたら、あったほうがいいのかなと思いました。 ○國井委員  到達レベルがはっきりすると思います。 ○竹尾座長  だけど、その到達レベルが、病院側ができると言われてもできないではないですか。 そこで見るとできるのです。 ○國井委員  学内での演習も含めて、そういうところできちんとクリアしているという点は1つ、 はっきりしたほうがいいと思います。 ○内布委員  もう1つ、片方で違う意見が出てくるのが教条主義的になってくると、昔やっていた 看護教育に戻ってしまうような感じがするのです。それも手先の訓練というか、私たち は1度その反省のもとに新しい看護教育が生まれて、大学化が進んでという流れの中に いるわけです。  その中で舞い戻るような感覚になるのですが、決して舞い戻るのではないのです。舞 い戻るのではなくて、看護というのは自分たちの看護の考え方、理論、知識などを結果 的には患者に、自分の身体を通して実現できなければほとんど教育の意味はない、看護 とはそういうものだと思います。  やはり、技術が看護学の中で非常に大きな位置を占めていて、臨地実習など、現場の 実習が教育の中核をなしている。それは実践科学である看護の宿命だと思います。その 意味では是非、舞い戻るという感覚を教育者のほうが払拭して、もう少し新しい位置づ けで。「チェックリスト」と言ってしまうとまた昔に戻ったような気がしますが、そう いうものがあって、この項目については自分は押さえたということを書いていくものは、 舞い戻るような危機感に陥るかもしれないけれども必要な気がします。  1つには、先進諸国では結構そういうものを使っているのです。彼らは少し頭を切り 換えて考えている部分があるのですが、やはりチェックリストをきちんと使って、自分 はどこまでできたということを4年間ずっと持っていて、チェックしながら回っている わけです。やはり、自分がどれほど高邁な知識や理想を掲げていても、自分の身体を通 して患者に実現できなかったら意味がないので、それは必要なのかなと思います。いま 言われた点、「そこまでは要求されておりません」と言われたけれども、私としては大 学もそういうことをきちんとやっていかなくてはいけないのではないかと思っています。 ○竹尾座長  大学側としては、単位を認定することはそういうことができることを意味しているわ けです。個々に1つずつやるとおかしくなってしまうのです。 ○内布委員  書いたものが必要で、現場と共有しながら教育を進めていくということなのだと思い ます。私はやはり、リストアップしたものが必要だと思います。 ○竹尾座長  到達レベルとおっしゃっているような気がします。 ○神田委員  例えば、どれだけ技術の項目をたくさん経験したかではなくて、最も核になる技術の これとこれとこれは身に付けています。極端な言い方をすれば、手を洗うという行為が きちんとできるか、無菌操作の考え方、医療面で言う清潔と不潔の区別がつくか。その ように本当に基本的なこと、ここだけはわかっていますというレベルを明確にすべきで はないかということなのです。 ○西澤委員  いま言っているのは、例えばすべての項目をチェックリストで、何百項目書いてみる というのではなくて段階的なものがあるだろう。大きく言えば3段階や5段階にして、 手洗いなどはいちばん下、EならEとランクづけすると、例えばCにいる人は大体ここ までの人なのだなというのがわかる。その程度のものがほしいと言っているのかなとい う気がしますので、それは検討していただければと思います。 ○竹尾座長  ある意味では両方が教育のことをよく連携して、情報をしっかり流すということだと 思います。しかもトータルではなくて、個々の学生についてバリエーションがあるから、 そのことをきちんと情報として伝えるということかなと思います。グレードを付けるの はもちろん先生がおっしゃるとおりだけれども、私がいま感じているのはやはり学校で できるということ、到達ということです。こちらに行ったときに、到達しているならで きるはずではないかと言われても、そこはそういかない。そのギャップのところで、「 やっていないではないか」、「いや、やりました」という話になるのかなという気が少 しします。学生は1回はできても、またそこへ行くとできないわけです。 ○大内委員  臨床側では、学内の演習では十分できましたとおっしゃっても、実際環境が変わり、 相手が本物の患者であるということでは緊張感が出たり、頭の中が急に真っ白になると いうこと話もあります。学内でできたことが即、臨床でできるというようには思ってお りません。どその辺のところまで押さえていますということかと思います。  例えば、うちの学院などでは事例というか、場面や患者の設定をします。そのときに どのように判断し、どういった技術が必要か。そのときに1つ、2つの技術を入れて、 それをこと細かに確認していく。このような考え方のもとに、こういった技術がひとと おりできるようになりましたという形で演習をしています。実習の打ち合わせではその ようなことを確認し合っています。 ○竹尾座長  いまいくつか工夫が出ました。やはり連携というか、情報をもう少しうまく伝え、そ の差をどうやって克服できるかという点が必要かなという気がしました。  少し先に進みたいと思います。もう1つ、学生の実習のときの安全確保について、少 しご議論をいただけたらと思います。医療過誤対応も含めて、学生本人の危険、あるい は何か過ちができたときの対応ということではいかがでしょうか。これもきちんと整備 しておく必要があると思います。それぞれ病院側、学校側が準備をしておく必要がある かと思います。  木村委員の資料の4頁、下のほうに「医療過誤対応の体制」と学生の事故ということ も含めていかがでしょうか。実習のときにそうした体制を取って、実習に出している教 育サイドとしてはいかがでしょうか。  例えば万一、学生が事故を起こした、あるいは何かあったときの体制について、教育 側は必ず整備をしている。例えばどういう報告をして、誰に何を伝えてということです。 これはみんなやっているでしょうか。特にコーションをかけなくとも、みんな言われれ ば「うちはやっている」という状況でしょうか。それはそれほど問題ではないでしょう か。あと、学生自身の危険に対しての保険ということも、皆さん大体はやっておられる と思います。その点、特にはよろしいでしょうか。看護・実習における学生の安全確保、 医療過誤の対応、体制確立ということについてはいいでしょうか。  それでは先に進んで、資料4に入ります。資料4をご覧ください。水準分けについて、 先にやりましたが、修正点を含めてご説明をお願いします。 ○勝又補佐  資料4をご覧ください、前回の議論を踏まえて修正箇所がいくつかあります。まず1 頁目、2つ目の○と3つ目の○、辻本委員からのご指摘を受け追加したところは2つの ○です。「技術の実施に当たっては、患者の権利の保障と安全性の確保を最優先に考え て臨ませることとし」となっています。そのあと「事前に患者・家族に十分、かつわか りやすい説明を行い」という文言を追加しています。その次の○、「それと同様に、援 助内容についての説明能力をはじめ」というようなことを追加しています。  次に3頁の臨地実習において、看護学生に許容される基本的な看護技術の水準1、2、 3の分類のところで「食事援助技術」ですが、事務局としては流動食の注入に関して、 独りで胃にちゃんとチューブが入ったかどうかの確認が必要だという意味でレベル2に 置いていたのですが、先生方から「これは独りで実施できるのではないか」というご意 見をいただきましたので、流動食の注入については水準1に移動させました。  「活動と休息援助技術」ですが、その部分の「歩行・移動の介助」、「ストレッチャ ーの移送」をレベル2に置き、「歩行と移動の介助」についてはレベル1に移動させま した。次に呼吸・循環を整える技術のところ、「酸素ボンベの操作」に関してはレベル 2のほうが妥当ではないかということで、そこに移動させました。最後に「感染予防の 技術」、下から3つ目、「医療廃棄物の取扱い」となっています。前のときは「医療廃 棄物の管理」となっていたのですが、今回訂正して「感染性廃棄物の取扱い」とし、そ れはレベル1、すべての学生がやらなければいけないという修正を加えています。以上 が修正箇所でございます、ご確認をお願いします。 ○竹尾座長  ありがとうございました。 ○西澤委員  変更のあったいまの点、3頁の表、経管栄養療法の流動食の注入なのですが、挿注入 のときは確かに入れるだけだから、水準1でや2ではないだろうということでした。し かし、最近、いろいろ医療事故が起こり、流動食の注入時れたときにチューブがきちん と入っているかどうかの確認がなされていなかったということが一部あったと思います。 もし、そこまでのことを注意してやるということになると、やはり2のほうがふさわし いのかなと思います。 ○竹尾座長  いかがでしょうか。 ○田村看護課長  私どももまさに、チューブの先がどこに入っているかの確認を取ることの必要性を考 えて、当初2のレベルで「指導者の指導・監視のもとで」というようにさせていただき ました。前回のご意見でそのようにしたのですが、いかがでしょうか。 ○竹尾座長  私としては、ちょっと怖いかなという気もします。どうですか。 ○田村看護課長  また元に戻したほうがよろしければ、そのようにいたします。 ○竹尾座長  ただ入れるだけの話ではないかとも思うのですが、ちょっと怖い感じがします。特に 依存がなければ、元に戻してよろしいでしょうか。 ○田村看護課長  そういたしましょう。 ○正木委員  同じく3頁目、「救命救急処置技術」なのですが、いわゆる気道確保、人工呼吸、閉 鎖式心マッサージという救急時のABCに相当する部分は、例えば一般の人も道端で、 こういう人を見かけたときに、一定の訓練を受けた人は人道行為としてするわけです。 これはいわゆる臨地実習における看護学生の行為だから、見学のみというのもわからな いではないのですが、その辺で語弊が生じないかなと思います。  特に全体のタイトルが、「臨地実習において看護学生に許容される」というようにま とめられています。この辺、もし本当に道端など、実習に行く途中にこのような人を目 の前にして、誰も周りにいなかったら、看護学生はその辺はどうなのでしょうか。「許 容される」という言葉自体を変えていただくと、臨地実習における看護学生の看護技術 の考え方のようなものであれば、ここに置いてもいいのではないかと思います。「許容 される」という言葉と、そのものがちょっとかけ離れているような気がします。 ○竹尾座長  「臨地実習において」という制限が頭に付くわけで、非常事態や一般という意味では ないのです。 ○正木委員  そこを前提にすると、病院など、ほかにも医療者がいる中でやる行為なので、これは これでOKだと思います。ただ、「許容される」という言葉が独り歩きすると影響を考 えたいなと思い、むしろここはこのまま残しておいて、「許容される」という言葉を「 臨地実習における看護学生の」とか何か。 ○竹尾座長  「実施する」ですか、「基本的に行う」ですか。 ○正木委員  「実施する」など、何かその辺を考えていかないといけないと思います。 ○内布委員  こちらのほうが高度な技術ですが、例えば、技術的には意識レベル把握はのほうが難 しい技術だと思います。でも、これは別に看護学生が行っても、ほかでも看護師も平行 してやっているからということだと思います。行っても患者には危害が加わらないと思 うので、これはいいと思います。 ○神田委員  例えば、救急法を実習でやる場合と道路を歩いていて、技術を持っているから、倒れ ている人を見つけてやるのとは全く意味が違うと思います。病院に入院している方で、 もし急変があった場合にはまず知らせる、連絡をするというところを言っています。確 かに職員が来るまでの間は大変なのですが、学習としてやるものとは意味が違うような 気がするのですが、いかがでしょうか。 ○竹尾座長  そこは多分了解なのですが、「許容される」という言葉が独り歩きすることを懸念さ れているわけです。 ○内布委員  道端ではできるけれども、病院の中ではできないというのは。 ○竹尾座長  病院の中ではできないというのはおかしいことになりますから。 ○内布委員  でも、「教育として」ということなので置いてあるのでしょうね。 ○竹尾座長  「許容される」という言葉を変えたらどうかというのは、何かいい言葉がありますか。 「臨地実習における看護学生の技術教育の水準」などのようにしてしまいますか。 ○田村看護課長  「許容」という言葉が非常に強い印象を与えるので、そこはいま正木委員のご提案が ありましたように、「臨地実習において看護学生が行う基本的な看護技術の考え方」な どのように。資料4の最初の頁がそれに近い表現で書いてあるのですが、それにはまた 「許容される」と書き込んであるわけです。「許容される」を落としたとしても、「基 本的な看護技術の考え方」といったタイトルにしたとしても、さほど問題はないのかな と思います。先生、いかがですか。そのような整備をしたとしても、先生が先ほど整理 してくださったような点において、特に問題はありませんでしょうか。 ○木村委員  はい、そのように思います。 ○田村看護課長  そうであれば、その辺のタイトルを変えて、もう少しみんなにわかりやすく、流動性 を持たせられる表現にしたいと思います。 ○竹尾座長  意味についてはそれほど変わりませんので、そのほうがいいかもしれません。それで よろしいですか。そして、分類としてはここに置こうということですね。あとはいかが でしょうか、よろしいですか。前文などについて、何かご意見があればお願いします。 特にないようであれば、以上で一応ご了解を得たということにさせていただきたいと思 います。  どうなることかと思いましたが、何とか時間内でご意見をいただけたかと思います。 今日のご意向をまたまとめて、事務局のほうで整理していただきたいと思います。  時間がまいりましたので、本日はこれで終了したいと思います。本当にいろいろあり がとうございました。事務局から連絡があったらお願いします。 ○勝又補佐  第5回の検討会ですが、3月17日(月)の16時から開催したいと思います。場所につ いては、追って連絡させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○竹尾座長  どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 勝又、平良 連絡先 03-5253-1111(内線 2599、2595)