03/02/17 第7回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第7回              厚生科学審議会生活環境水道部会                 水質管理専門委員会                    議事録                厚生労働省健康局水道課            第7回厚生科学審議会生活環境水道部会               水質管理専門委員会議事次第  日時 平成15年2月17日(月) 10:00〜12:30  場所 第5合同庁舎専用第21会議室  出席委員(敬称略)   安藤正典、宇都宮暁子、江馬眞、遠藤卓郎、大谷倫子   国包章一、中村栄子、西村哲治、平田強、眞柄泰基 1.開会 2.議事 (1) 前回委員会における検討結果の確認等について (2) 水質検査に係る品質保証(QA/QC)について (3) 水質検査のためのサンプリング・評価について (4) 水質検査計画について (5) その他 3.閉会 ○松田室長補佐  定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会の水質管理専門委員会を開催 いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうござい ます。  本日は、伊藤委員、大村委員、古米委員におかれましては、所用によって御欠席とい う御連絡をいただいております。  それでは、眞柄委員長、よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。今、御紹介があ りましたように、大学の人間は今、卒業論文だ、修士論文だ何だとせわしいときでござ いまして、3人の先生が御欠席でございますが、私は不幸にしてか幸いにしてか先週で 終わりましたので、今日専門委員会を開くことができました。  先回、後ほど確認をいただきますが、水質基準の項目について一通り御議論をいただ きました。それを受けまして今日は、水質検査における品質保証のこと、それから、サ ンプリングと結果の評価、水質検査計画のことなどについて御議論をいただきたいと思 いますので、よろしくお願いします。  それでは、議事に入ります前に資料の確認をしたいと思いますので、よろしくお願い します。 ○松田室長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。まず、1枚目が議事次第となってござ います。  1枚おめくりいただきますと資料1となってございまして、これは前回委員会におけ る検討結果の確認等ということでございます。資料1−1が「前回水質管理専門委員会 における検討結果の確認」でございます。  資料1−2「水質基準等の改正案」でございます。  資料1−3「水道水中のCNとCNClについて」でございます。  資料1−4「有機物の指標について(TOCの基準値案について)」でございます。  資料2「水質検査における精度と信頼性保証のあり方」でございます。  資料3「水質検査のためのサンプリング・評価について」でございます。  資料4「水質検査計画について」でございます。  資料5「水道水の安全確保方策に関する基本的考え方(提言)」でございます。  参考資料でございますが、参考資料1「平成14年度水道水質検査の精度管理に係る調 査の実施について(速報)」をおつけしております。  参考資料2は、今後の審議日程の目安でございます。  資料については以上でございます。 ○眞柄委員長  それでは、もし足りないものがございましたら、事務局にお申し出ください。  それでは、最初の議題で、前回の議事録の確認でございますが、事務局の方で資料が すべて整っていないということで、資料1−1に前回の議事録に代わる確認のためのメ モと、それから資料1−2に改正案、資料1−3に残っておりましたシアンと塩化シア ン、それから、過マンガン酸カリウムとTOCのことについて、議題1の関連で資料が 準備されておりますので、これについて事務局から御報告をいただいて確認をとるとい う形で、前回委員会の議事の確認をしたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、まず、前回の水質管理専門委員会における検討結果の確認について、事務 局から御説明をください。 ○岸部水道水質管理官  資料1−1で御説明をさせていただきたいと思います。前回の検討経過の概要でござ います。1点目は、微生物関係でございます。一般細菌と大腸菌について水質基準とす るということでございます。それから、クリプトスポリジウムにつきましては、水質基 準を設定せず衛生上の措置として措置をすべきであるというような御提案を遠藤委員の 方からいただきまして、おおむね了承をいただいたところでございます。ただ、今後の 課題で、HPCの検査法の研究を追加するようにというような御指摘がありました。  それから、化学物質につきましては、おおむね私どもで準備いたしました資料のとお りに御了解いただいたわけですけれども、何点か宿題等がございました。  化学物質による汚染というのは、原水だけではなくて資機材や消毒剤に起因する項目 もあるということで、一覧表にそういった欄を設けて整理をしてほしいというようなこ とがございました。この点につきましては、今回資料1−2という形で整理をさせてい ただいております。  それから、具体的な項目といたしまして、モリブデン、ミクロキスティンを要検討項 目とするということでございます。  それから、ジクロロ酢酸については、毒性評価が確定され、評価値を0.02mg/lから 0.04mg/lに移行することで基準とするということになりました。  それから、シアンの問題でございます。シアンにつきましては、塩素処理で塩化シア ンに転換をするというようなことがございます。そういうことで、シアンと塩化シアン の項目を分けて独立させるかという議論があったかと思います。もし、これがそれぞれ 共存しないものであれば独立してよろしかろう。一方、共存するということであれば、 項目は分けないというようなことも考えなければいけないだろうということでございま す。この点につきましては、安藤委員に資料1−3ということで準備していただいてお りますので、今回、再確認をいただければと思います。  有機物の指標として従来、過マンガン酸カリウム消費量というものを使っていたわけ ですが、それを総有機炭素(TOC)に変更したらどうかというような御提案がござい まして、前回はペンディングとして今回御審議いただくということで、これも安藤委員 に資料1−4として準備いただいております。  それから、農薬につきましては、総農薬方式で検討するというようなことが了承され て、とりあえず101の農薬を対象として、それについて総農薬方式で水質管理目標設定 項目とするということでございました。ただ、その値につきましては、当初0.5という 原案でございましたけれども、御審議の結果1.0以下というようなことにされたかと思 います。  それから、水質検査方法でございますけれども、おおむね原案通りでございますが、 もう一度、定量下限を確認した上で検査方法を確定しておくというようなところで、こ れは資料2に整理をさせていただいております。  その他でございますが、今後の審議日程ということで、当初は3月の末までに専門委 員会報告案をとりまとめるということでお願いしていたわけでございますけれども、専 門委員会報告案をパブリック・コメント手続に付す前に生活環境水道部会に御報告した いというようなことで御無理を申し上げまして、とりあえずの専門委員会報告のまとめ を3月3日にお願いしたいということでご了承いただきました。  前回の議事の概要は以上かと思います。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、資機材や消毒剤の欄をつくることについては後から御説明いただきます。  モリブデンとミクロキスティンは要検討項目とすることであったかと思います。  ジクロロ酢酸は毒性評価が確定しましたので、基準値としては0.04mg/lにするという ことです。  それから、農薬については総農薬方式で1.0にするということでございますが、これ についてはよろしゅうございますか。  微生物も原案どおりということでございました。  それでは、具体的に資料1−2でペンディングに残っていることを踏まえて、まず、 資料1−2を確認していきたいと思いますので、お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料1−2について御説明させていただきます。この前は、各物質の性格 別に分類した表でございましたけれども、それを水質基準値に該当するもの、水質管理 目標設定項目に該当するもの、要件検討項目に該当するものというような形で整理し直 したものでございます。そして、検査の省略あるいは検査省略時に当たっての検討すべ き箇所について、前回の会議の御指摘を踏まえ、再度整理させていただきました。  「検査の省略」の欄に「不可」と書いてあるのは、水道事業をやっていれば水質検査 を省略できない項目という意味でございまして、この前に重み付けをして整理をという ような御指摘がございましたので、私どもで整理をしてみたものでございます。  簡単に御説明を申し上げます。ここの順番どおりでございますけれども、「大腸菌」 と書いてございますが、これは従来「大腸菌群」だったものを「大腸菌」に変えるとい うことでございます。  それから、クロムにつきましては、メッキの関係で資機材から溶出するということ で、資機材の欄に「○」をつけてございます。  鉛につきましても、資機材の鉛管から出てくるということでございます。  硝酸性窒素につきましては、従来から検査は省略できないということで「不可」をつ けてございます。  ほう素につきましては、新しく基準項目にしたらどうかという御提言をいただいたも のでございます。主として問題になるのが、海水を淡水化して飲料水に使う、水道に使 うというときということで、海水の淡水化の場合は検査を省略することができないとし てございます。  1,4−ジオキサンは、新しく基準項目にしたらどうかということで御提言いただい たものでございます。基本的には原水由来の汚染、特に、地下水からの汚染ということ でございます。  それから、基準21のところに塩化シアンがございますけれども、ここは消毒副生成物 としてシアンとは分けたらどうかということで前回御審議いただいた部分でございまし て、これについて、このまま別立てするかシアンに合わせるかについては、本日後ほど 御議論いただくところでございます。それから、資料の不手際がございまして、「検査 の省略」の欄が空欄になっておりますけれども、ここは「不可」ということで考えてお ります。  次の臭素酸も新しく基準項目として提言されたということでございまして、これも空 欄になってございますけれども、これも消毒副生成物ということで「不可」と考えてお ります。ただ、この場合は、オゾン処理を行った場合と消毒剤として次亜塩素酸を使う 場合というふうに限定してもよかろうかと思います。  それから、基準28、基準29、基準30のクロロ酢酸類は新しく水質基準にしたらどうか と御提言いただいたものでございまして、当然、消毒副生成物でございますので検査の 省略はできないこととしたらどうかということでございます。  それから、ホルムアルデヒドにつきましても、消毒副生成物ということで検査の省略 は不可としてはどうかということでございます。  亜鉛につきましては原水由来、資機材・管からの溶出ということが考えられるという ことで印をつけてございます。  次のアルミニウムにつきましては、新しく水質基準にしたらどうかというようなこと でございまして、当然、原水からの由来も考えますし、凝集沈殿剤として用いられてお りますポリ塩化アルミニウム、これからの付加も考えられるということでございます。  塩素イオンつきましては、従来どおり検査の省略は不可とするというようなことでご ざいます。  それから、基準41のジェオスミンでございますけれども、これにつきましては、停滞 水由来の汚染ということで、河川水あるいは湖沼水、特に河川水につきましては、流れ が順調なところよりも停滞している水という趣旨でございます。  非イオン界面活性剤も新しく基準値にすべしとされたものでございます。これも原水 由来の汚染であろうということでございます。  それから、2−メチルイソボルネオールでございますが、これもジェオスミンと同じ く停滞水からの汚染が問題になるということで、湖沼水あるいは河川水の停滞水の部分 が問題になろうかと思います。  次の有機物のTOCにつきましては、今回基準値、検査法を検討いただくということ になりますが、有機物質以下は基本的な性状でもございますし、微生物汚染のインデッ クスというような性格も持ちますので、検査の省略はできないということで印をつけて ございます。  それから、次のページでございますけれども、水質管理目標設定項目を整理いたしま すとこういうようなところでございます。このうち目の10、11、12のところ亜塩素酸、 塩素酸、二酸化塩素というのは、二酸化塩素消毒をする場合の副生成物として生ずると いうようなことで、二酸化塩素消毒をやる場合には、水質基準に準じて取り扱うべきも のであろうかなと思います。  それから、検査の優先度の高いものということで、ニッケルは毒性評価が暫定的とい うことで水質管理目標設定項目になったわけでございますけれども、水道の資機材とし て使われておりまして、相当頻繁に高い濃度で検出されるということで検査の優先度と いうのは高いと考えております。  それから、亜硝酸性窒素につきましては、当然高いものであろうということでござい ます。  それから、ジクロロアセトニトリルとか抱水クロラールも消毒副生成物で必ず消毒の 場合に出てくるわけですが、毒性評価が当面暫定というようなところで基準にできな かったという点がございますので、現在の優先度としては高いであろうということでご ざいます。  目22の有機物質(過マンガン酸カリウム消費量)がございます。これも検査頻度が高 いと考えました。と申しますのは、有機物の指標としてTOCという提案がなされてお りますけれども、数値の連続性というか評価の連続性を測る意味でも、これは並行して 測ることが望ましいというような考えでございます。  それから、3枚目に「要検討項目(案)」とありますけれども、これは整理をしたと いうことで、これから情報収集をしていかなければいけないということでございます。  次の4枚目が、リストアップいただきました101の農薬のリストでございます。  以上が、前回の専門委員会での宿題のうち、事務局の方で整理させていただいたもの でございます。 ○眞柄委員長  今、岸部管理官から御説明いただいたことについて、御意見や追加的な御提言があれ ばお願いしたいと思います。シアンとTOCについては後ほど議論いたしますので、そ れ以外のものについてお願いいたします。 ○中村委員  いつもこの基準を見ていて気になっていることが幾つかあるのですけれども、大学で 基礎教育を教えているときに、化合物名はIUPACに従ってというのをかなり言うのです が、水道の方はいいのですか。例えば「シアン化物イオン」とか「塩化物イオン」と言 わないで「シアンイオン」「塩素イオン」。それで、特に今回、例えば、11番は「ふっ 素」となっているのですけれども、測るのは「ふっ化物イオン」ですよね。この辺 「ふっ素」と言うと、Fマイナス以外にもいろいろなアルミニウムの錯イオンとかある わけで、それは対象にしないのだったら、この辺どうするのかとか、ほう素もその辺は どういうふうに整理されていくのか、考え方をお聞きしたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  委員御指摘のとおりでございまして、当然、水質基準ということで改正することにな りますれば、厚生労働省令で整理することになります。そのような場合には、化学物質 名につきましてはIUPACの命名法に従い命名し、それを日本語化してというようなこと が基本的な決まりになっておりますので、今回の改正に当たってはそういうような形で 整理したいと考えております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。では、是非お願いします。おっしゃるとおりです。  そのほかございますか。基準33番のアルミニウムですが、これは例えば、地下水で塩 素消毒だけをしている場合に、土砂、粘土由来のアルミニウムもあるわけですよね。そ れは濁度とすれば勿論基準値以下ですが、凝集剤由来のアルミニウムを0.1mg/lとする のか、トータルのアルミニウムとして見るかというのは随分違うんですよね。試験方法 のところでは安藤委員、酸性にしてフレームレスかICPですよね。 ○安藤委員  はい。サンプルをとった段階で硝酸酸性になっていますから。 ○眞柄委員長  その硝酸酸性する段階で、土砂、粘度由来も可溶化してアルミニウムになってしまい ますよね。 ○安藤委員  可能性は十分あります。 ○眞柄委員長  そこは何か整理をする必要はないですか。 ○岸部水道水質管理官  それは水質基準の性格でございまして、これは浄水中のアルミニウムということでご ざいますので、浄水中のアルミニウムとして測られるものにつきましては、水質基準と して測られるということでございます。 ○眞柄委員長  では、そういうことだそうですが。 ○安藤委員  では、こちらの試験方法としては、アルミニウムについては土砂と分離できる状況を つくらなければいけないということですね。ろ過なりあるいは酸性を変えるということ ですね。 ○眞柄委員長  それから、もう一つは、水質管理目標設定項目の農薬類について、検査の優先度につ いて先ほどの御説明ですと何も入っていないですが、これについては入れないのです か。社会的関心が高いというので総目標方式をつくったのだとすれば、やはり検査の優 先度は高いというふうにしておいた方がいいのではないかと思いますけれども、いかが ですか。 ○岸部水道水質管理官  これは、あくまで事務局で整理したものでございまして、御提言に従ってその辺のと ころは修正すべきものと思います。 ○眞柄委員長  宇都宮委員、どうですか。 ○宇都宮委員  社会的関心が高い割には、農薬が何となく後退しているという気がどうしてもぬぐえ ませんので、1つには、現状で原水から検出されているもの、それから、過去7年間に 浄水からたとえ10%値でも検出されたもの、使用量(生産量)が多いものを優先的に 高くしたらと考えています。  と言いますのは、農薬は地域性、播く時期、降雨の後でかなり濃度的な違いが出てき ます。今までの検査で不検出だったということで、本当に不検出と考えていいのかなと いう危惧がどうしても残りますので、検査の優先度や頻度を高くする必要があると思っ ています。 ○眞柄委員長  総農薬方式にしても、実質的には検査すれば目標値より高い低いというのは出てくる わけですので、そういう意味では、農薬類については検査の優先度が高いというふうに した方がよろしいかと思いますので、特に御異論がなければそのようにしたいと思いま すが、よろしいですか。  それから、農薬に関して言えば、農薬の検査方法と定量限界については、最終的には 前の項目と同じようにリストをつけていただければと思いますので、お願いします。  それから、要検討項目でいわゆる化学物質、無機物質などでありますが、先回の微生 物のところで、HPCも今後検討してほしいということだったと思いますので、要検討 項目の方にHPCも書き加えるようにしていただきたいと思いますが、遠藤委員、そう いうことでよろしいでしょうか。 ○遠藤委員  是非よろしくお願いします。 ○眞柄委員長  それでは、資料1−2まで御確認をいただいたということで、まず、安藤委員からシ アンイオンと塩化シアンについて御説明をください。 ○安藤委員  それでは、資料1−3でございます。これは前回、いわゆる平成4年のときに検討し たものを持ってまいりました。そのほかにも資料は幾つかありますが、とりあえずこれ で御説明いたします。時間もございませんので、簡単に御説明いたしますと、懸案でご ざいました汚染物質としてのシアンというものは塩素によってどう変わるかということ でございます。これは塩素によって塩化シアンになるということです。ただ、それは全 部が瞬時になるかというとそうではございませんで、両方が共存することもあり得ると いうことでございます。時間によって多少変化はしてまいりますが、いずれにしても、 汚染物質としてのシアンというものは塩素によって塩化シアンになりますが、シアンも 多少残るということになります。それは塩素の添加量によって変わるということでござ います。  それから、もう一つ、処理した水の中に、例えばアミノ酸などが存在した場合にどう なるかといいますと、これが塩素によって塩化シアンが生成する可能性が十分あるとい うことでございます。したがいまして、いずれにしても、ちゃんと塩素処理された水道 水中には塩化シアンというものが存在するということと、もう一つは、多少シアンが存 在するという状況が設定されるということでございます。  そういうことからしますと、今の測定方法をどう考えるかということですが、もう一 つ、シアンと塩化シアンをどういうふうに扱うかということでございます。平成4年の ときに、シアンとして比色法で測定するということになっていました。これは、シアン も塩化シアンも両方測れるということから、「シアンイオン」ではなくて「シアン」と わざわざ変えたということでございます。当時はそのときは合量が測れるという考え方 に立っていました。  現在は、この測定方法をイオンクロマトグラフに変えようということになります。そ うすると、イオンクロマトグラフ法では、シアンと塩化シアンは別々に測られてしまう ということになります。ということは、1つの定義としては、シアンというものはシア ンと塩化シアン、これは両方健康影響上重要なわけですから、両方を合量でちゃんと 測ってもらわなければ困るということになります。あるいはシアンあるいは塩化シアン というものを別々にするかということになろうかと思います。  これが、シアンイオンの件でございます。 ○眞柄委員長  具体的な数値としては、先ほどの資料1−2にありましたように、シアンイオンが 0.01mg/lで塩化シアンが0.05mg/lということで。 ○安藤委員  これは、本来は両方同じでなければまずいだろうと。シアンが0.01mg/lならば塩化シ アンも0.01mg/lでなければおかしい。 ○眞柄委員長  ただ、今の0.01mg/lというのは、あってはならないという意味で0.01mg/lですよね。 WHOでブタか何かでやっているのは毒性の鑑定からすれば0.07mg/lですよね。0.07mg /lを日本人の体重で割り戻すと0.05mg/lということですよね。この資料1−2にある塩 化シアンが0.05mg/lというのは、WHOの毒性評価から持ってきた数字が0.05mg/lに なっているということですよね。 ○岸部水道水質管理官  違います。江馬委員のところで評価いただいたところでは、シアンの評価はWHOで用 いているブタの試験結果を使うのは適切ではないということで別の試験結果から評価し ています。それによれば、シアンとして0.01mg/lということで、従来の検出限界で決め ていた数値と同じになります。 ○眞柄委員長  それでCNClにすると0.05mg/lという意味ですか。 ○岸部水道水質管理官  はい。ですから、これは消毒副生成物ということで20%のアロケーションをして0. 05mg/lですから、10%のアロケーションをすればその半分、CNClとして0.025mg/lとい うことになります。 ○眞柄委員長  そうすると、確認しますが、シアンイオンとしては0.01mg/lで、塩化シアンは消毒副 生成物として20%のアロケをとって0.05mg/lという理解でいいですか。 ○岸部水道水質管理官  この計算はそういうことになっています。 ○眞柄委員長  安藤委員、そういうことでいいですか。 ○安藤委員  アロケーションが20%で。 ○眞柄委員長  だから、塩化シアンのTDIの20%をとって0.05mg/lという数字ですよね。シアンは あってはいけないというので0.01mg/lという理解ですね。 ○岸部水道水質管理官  従来はあってはいけないということで0.01mg/lだったのですが、毒性評価の値とたま たま一致したということです。ちなみに、塩化シアンも体内で、シアンに転換されます ので、もし共存するとなると項目を2つ立てるのはおかしくなるかなというのが前回御 相談申し上げたところですけれども。 ○眞柄委員長  でも、共存するといっても実質的には塩化シアンの存在率は非常に少ないわけでしょ う。そうすると、安藤委員のお考えは、資料1−2にあるシアンイオンが0.01mg/lで、 塩化シアンが0.05mg/lでいいと。 ○安藤委員  というよりも、毒性から言うと0.05mg/lでしょうけれども、実質出るわけですよね。 本来はシアンが塩化シアンになるとこうなります。その値が5倍も緩いということに見 えてしまう、そこが問題だなと思います。だから、シアンが0.01mg/lならば塩化シアン も0.01mg/l。 ○眞柄委員長  CNClだからCNマイナスだと0.01mg/lなのでしょう。CNClだと幾つになるのです か、0.02mg/lぐらい。だから、シアンと書いて、これはシアンイオンと塩化シアンの合 量であると書いて0.01mg/lにするということですか。 ○岸部水道水質管理官  従来はそうなっています。 ○眞柄委員長  前は、シアンと塩化シアンは測れていなかったけれども、今度は測れるようになるわ けですよね。 ○安藤委員  そうです。ですから、そこはちゃんと別々ですから足さなければまずいと。 ○眞柄委員長  だから、足して0.01mg/lにする。 ○宇都宮委員  硝酸性窒素と亜硝酸性窒素のような扱いはできないのですか。要するに、両方足して シアンイオンと考えて0.01mg/lとする。硝酸性窒素と亜硝酸性窒素もイオンクロマトで はピークが別に出ますから、全く同じような考え方ができるのではと思って今聞いてい たのですが。 ○安藤委員  そこの定義付けを明確にしていただければ、それは構わないですが。 ○眞柄委員長  だから、シアンイオンはシアンと塩化シアンの中のシアンで表して、合計量が0.01mg /lと言えば今までと一緒ですね。国包委員、それでよろしいですか。 ○国包委員  例えば、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素の場合は、もともとは基本的に健康影響の中身が 同じだということで合計量という基準ですよね。最近では、亜硝酸性窒素については新 しい観点からの指針値も加わっていますけれども。今の場合は、健康影響の面から見れ ば明らかに違うわけですよね。 ○岸部水道水質管理官  それは同じです。 ○国包委員  同じと考えてよろしいのですか。 ○岸部水道水質管理官  硝酸性窒素の場合も、亜硝酸が硝酸性窒素に転換されるという理由から合計量で基準 が設定されています。 ○国包委員  シアンはどうですか。 ○岸部水道水質管理官  塩化シアンはすぐシアンに体内で転換されますので、健康影響としてはシアンと同じ です。 ○国包委員  クロロシアンの作用とシアンの作用というのは全く同じですか。 ○岸部水道水質管理官  同じです。ですから、塩化シアンの毒性評価というのはシアンの毒性評価で出してい ます。体内では転換されてしまうということです。 ○国包委員  では、もしそういうことであれば、特に問題はないと思います。 ○眞柄委員長  では、安藤委員、いいですか。 ○安藤委員  はい。ですから、今までのシアンというものを明確に含んだよということが非常に大 事な話だと。定義がということですね。 ○眞柄委員長  それでは、そういうことで決したいと思います。 ○岸部水道水質管理官  確認ですけれども、従来どおりの扱いということでよろしいわけですか。 ○眞柄委員長  シアンは0.01mg/l、中身はシアンイオンとCNClのCN分を足して0.01mg/l。 ○中村委員  ICのポストカラムが入るのはいいのですけれども、吸光光度法も残るわけですよ ね。 ○安藤委員  吸光光度法は今の段階では削除しようかと思っております。 ○中村委員  でも、そのポストカラムも結局ピリジンピラゾロンですか。それをピリジンではなく て、4−ピリジンカルボン酸に変えてほしいのですが。 ○安藤委員  それは変えます。 ○眞柄委員長  それでは、TOCの方にいきましょう。 ○安藤委員  それでは、資料1−4をお願いいたします。有機物として、いわゆる過マンガン酸カ リウム消費量というものが今まで使われてきたわけですが、そこの問題を整理いたしま した。過マンガン酸カリウム消費量というのは、あくまで最初の段階では微生物の汚 染、いわゆる水系感染の汚染の一つの指標としてスタートしたという経緯がございま す。これは、もう100年以上前の試験方法でして、当然そこには問題点がいろいろある ということでございます。それが1−1に書いてございます。  それから、1−2にまいりまして、質の変化ということで大腸菌の検査としてそうい うものが代替法として使われてきたわけですが、最近では当然その意味合いというのは 全く失われたということです。むしろ工程管理という意味合いが非常に強いこと、ある いはトリハロメタンでのそういう問題ということから、工程管理というのが非常に強い 項目となってきたということです。  ただ、1−3で書いてございますように、過マンガン酸カリウム消費量というのは幾 つかの問題を抱えています。当然、有機物の指標としては不十分だということ、それか ら、水道水と環境水との整合性という関係がなかなか見えにくいということ、あるいは 酸化力によって値というものを決めておりますので、その条件によって値がぶれるとい うこと、あるいは個人差がある、精度が悪いだとかそういう幾つかの状況がございま す。  そういうことから、何か考えなければならないだろうということになってきたわけで ございます。とは言いながら、1−4の終わりに書いてございますが、ここの河川ある いは湖沼それぞれの水域での過マンガン酸カリウム消費量と、新しく導入するであろう TOCとの関係というものを見てみますと、個々の河川だとか湖沼では非常に相関性は あるということが出ております。しかしながら、河川それぞれを全部一まとめにして相 関性を見ると、なかなか難しいものがあるということがわかっております。  そういうところから、どういうことを考えていったらいいのかということでございま す。それが2というところでございまして、ここではいずれにしても、有機物の指標と してはTOCというものが一番妥当であろうということでございます。TOCが妥当で あろうということになりますが、当然、今まで使ってきた過マンガン酸カリウム消費量 というのは、工程管理で100%定着しておりますので、それについても、やはり評価し ておかなければならないだろうということになります。  そういうことを踏まえて、先ほどの相関性ということから求めることは非常に難しい ということがございます。ですが、幾つかの事例をとってそれをやってみました。ま ず、そのモデル化合物について検討してみました。それが6ページの表1ということで ございます。これは幾つかのモデル物質について、過マンガン酸カリウム消費量とTO Cの関係というものを見たわけでございます。これについて「理論炭素濃度に対する割 合」というところを両方見ていただきますと「−」になっているものもございますが、 TOCの場合は理論炭素濃度に対する割合というものは大体100%近い値を出すのです が、過マンガン酸カリウム消費量で見てみますと、このように10倍のもあるし2倍のも あるし、1%しか出ないというものもある。つまり、いかに過マンガン酸カリウム消費 量が水中の有機物の指標として、本来は妥当性が低いものということを示したわけでご ざいます。  次に、もう一回戻っていただきまして、環境水における比較というものが3ページに 書いてございます。環境水での過マンガン酸カリウム消費量に対応するCODというも のがございまして、それが「CODMn」というふうに書いてございますが、そういうもの がございます。これとの評価というものがございます。これは何十という論文がござい ますので、我が国におけるそういうものを比較いたしますと、それぞれの地域では相関 性が見られております。ですが、地域を全部1つにしてしまうと、その相関性というの は見えにくいということでございます。  それから、水道原水と水道水というものについて、現在研究を続行している最中でご ざいますが、その一部を御紹介いたしますと表4に書いてあります。これは後でも述べ ますが、相関式だけを4ページに書いてございます。水道原水で評価いたしますと、大 体Y=2Xから5Xまで、大体Y=3Xという関係式が出ております。つまり、過マンガ ン酸カリウムに対してTOCは大体3分の1ぐらいの値が出るということでございま す。  では、水道水はどうかといいますと、水道水ではこういう関係式はほとんど見られま せん。見られないということはどういう意味かといいますと、水中の有機物が非常に少 ないものですから、母集団が1か所に集まってしまうということで相関性が見られな い。これは我が国の水道がいかにしっかりと浄水処理されているかという逆の裏付けに もなりますが、そういうことでございます。  以上の3つのことから、TOCというものをこれからどういうふうに考えていこうか ということでございます。いずれにしても、過マンガン酸カリウム消費量というのは、 今のままではまずいだろうということでございます。したがいまして、TOCというも のを導入していった方がいいだろうということになります。  それについて2−2で幾つかのものを挙げました。例えば、水道法で言う過マンガン 酸カリウム消費量、それから、環境基準で言うCOD、ここでも過マンガン酸カリウム を使います。それから、水質汚濁防止法では過マンガン酸カリウムに代えて、もう少し 酸化力の強い重クロム酸カリウムというものを使います。そのほかに、EPAあるいは 最初の段階は過マンガン酸カリウム消費量というのは薬局方から導入されたものですの で、それについて書いてございます。  4ページにまいりまして、では具体的に過マンガン酸カリウム消費量をTOCとした 場合、どのくらいの値にすべきかということになります。一応3つ手法を挙げました。 自然水域における過マンガン酸カリウム消費量とTOCの関係というものをいろいろ換 算いたしますと、途中は省きまして大体TOCとしては2mg/lという値になるという ことでございます。  水域における過マンガン酸カリウム消費量とTOCの関係と申しますのは、先ほどの 表4に書いてございますように、大体平均3から4mg/lというTOCということにな ろうかということでございます。  それから、日本もそうですし、アメリカあるいはヨーロッパでも薬局方というのがご ざいますが、そこに出ております、既に薬局方では過マンガン酸カリウムを使わなくて TOCに変わっております。それに対する換算をいたしますと、それが約1.58というふ うな数字になります。  こういうことから5ページにまいりまして、私の考え方あるいはここの考え方として こういうことが提案できるのではなかろうかということでございます。すなわち(1)か ら(9)までその過程を書いてございまして、1つは、従来の有機物指標の過マンガン酸 カリウム消費量というのは、当然、被酸化物質によって依存されてしまうということ、 それによってデータは動いてしまうということでございます。そういうことからいたし ますと、TOCというものは非常によろしいのではないかということになります。  それから、その後(5)にまいりまして、環境水ではTOCに換算したものが約2mg/l になるということ。  それから、水道水の水質基準の過マンガン酸カリウム消費量とTOCの回帰式からし ますと、大体3から4程度ということになります。  それから、薬局方で示しております値からしますと1.58ということでございます。  こういうことからいたしますと、少なくとも我が国の水道水のTOCというものは3 を上回ることは少ないだろうということを思いますが、この有機物の指標ということか らいたしますと、ある程度幅を持たせてもよろしいだろうという考え方になります。そ ういうことからいたしますと、TOCといたしまして5mg/lということが整うのでは なかろうかということでございます。  とはいいながら、今までの過マンガン酸カリウム消費量というものは、当然水質管理 ということは非常に重要な項目でございましたので、それについて何らかの測定という ものはしていった方がよかろうということでございます。  以上が、過マンガン酸カリウム消費量の考え方でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  では、これについて御質問や御意見をいただきたいと思いますが、その前に確認です けれども、3ページの水質汚濁防止法の排水基準が重クロム酸カリウムと書いてありま すが、なっていましたか。 ○中村委員  過マンガン酸だと思います。 ○安藤委員  これはちょっと違います。環境基準の方では。 ○中村委員  環境基準も排水も過マンガン酸だったと思います。 ○安藤委員  排水基準はですね。 ○中村委員  環境基準と両方とも。 ○眞柄委員長  両方ともまだ過マンガン酸カリウムで、0.025Mだと思います。総量規制も入っていな いですよね。 ○中村委員  総量も過マンガン酸です。 ○眞柄委員長  ただ、JISでは書いてある。だけれども、法律の排水基準は過マンガン酸というこ とですので、そこだけ御修正をお願いします。 ○安藤委員  すみません。諸外国は過マンガン酸ではないというギャップがあるということです。 失礼しました。 ○眞柄委員長  それでは、いろいろお考えを出していただきましたので、これについて大谷委員、い かがですか。 ○大谷委員  猶予期間があるということで少し安心したところですが、TOCを測定したことのある 水道事業体というのはそれほど多くはないだろうという気がするのですけれど、どうで しょうか。 ○安藤委員  水道事業体でTOCを持っているところは、まだ少ないかなというふうに思われま す。それは事実かなと思っております。 ○大谷委員  機器がなければ測れないですよね。そうなると機器購入に際して国からの補助金など はどうなのでしょう。 ○岸部水道水質管理官  補助はないです。 ○大谷委員  そうであれば機器を購入するための期間が何年か必要になります。それから、水道水 の品質保証という意味ではTOCを採用するとしても、工程管理の上での過マンガン酸カ リウム消費量は原水やプロセス水の変動を把握するのに有効であると思います。特にト リハロメタンなどの消毒副生成物とも関係が深いと思いますので、試験法としては残っ ていた方がいいと思います。 ○眞柄委員長  平田委員、これについてはいかがですか。 ○平田委員  1つは、ちょっと説明を聞き漏らしたのかもしれませんが、5ページの(8)でTOC について5mg/lという数字がありますが、これはどこから出てくるのか教えていただき たいのですが。 ○安藤委員  大体2mg/lぐらいで収まっているだろうなと私は思っております。ただ、全国の水道 についてすべて網羅しているわけではございませんで、規模の大きな水道事業体にデー タ提供をお願いしております。ということは、更に高い値が出る可能性もあるというこ とでございます。そういうことからいたしますと、これはいわゆる工程管理という意味 合いが非常に強いわけですので、多少は安全を見越した値にしてもよろしいのではない かという考え方でございます。かなりのデータが出そろった段階で、もっと落としても いいという状況が設定されればそうですが、いずれにしてもデータが少のうございます ので、現在の段階ではこのぐらいがよろしいのかなと思っております。 ○平田委員  そういう意味では、プロビジョナルという位置付けになるということですね。  それと、健康影響に関連しないのであれば、小規模水道でも測定可能かどうかという ことが気になります。特に工程管理ということになりますと、測定頻度が非常に高いと いうことになりますね。測定しないと意味がないということになります。その辺りの整 合性がとれるのか、あるいは新たなそういう計測装置をどこまで普及させることができ るのかという点では、私もすこししんどいなという気がします。考え方としては非常に よいと思います。従来の過マンガン酸カリウムに比べれば、はるかにTOCの方が意味 付けとしては明解ですし、糞便汚染に類するイメージの一インデックスとしての価値は ないという判断に立てば、非常に適切だと思います。 ○中村委員  私もTOCの基準値が本当にこれでいいのか。さっき安藤委員がおっしゃった、今、 大規模の事業体でCODとTOCの相関はとれていて、それから考えるとこの値とおっ しゃったのですけれども、もうちょっと小規模も中規模も含めたデータでこういう換算 値が成り立つのかどうかという点で、もう少しこれを導入する経過措置、とりあえずC ODにしておいて、たくさんデータが出た段階でというのではいけないのかなというふ うに感じます。  過マンガン酸カリウムというのは、条件によって全く違う値が出てくるというのは周 知のことで、やはりある条件で酸化された有機物量を出しているわけで、そういう点 で、先ほど安藤委員も、ある水道系列は成り立つとおっしゃっていたのですけれども、 すべての水道原水でそういう関係というところで、やはりもう少しデータをというふう な気もします。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  宇都宮委員、何かございますか。 ○宇都宮委員  TOCは準備等で初動時間が結構掛かります。工程管理では過マンガン酸カリウム消 費量は、現場の方々にとって非常に便利な方法と思いますが、将来的には猶予期間を3 年あるいは5年設けて移行するという方向性を示していく必要があると考えています。  それから、目標値ですが、私が測っていた限りでは、ある水系の水道水に限ってはT OCが非常に安定していまして、大体1mg/lです。TOCの目標値としては3mg/lでよ ろしいのではという気がいたします。 ○眞柄委員長  では、国包委員。 ○国包委員  皆さん方の意見とほぼ同じですので繰り返しは避けますが、いずれにしても、より有 機物の総量をきちんと評価できるような指標に変えていこうということに関しては、私 も大賛成です。  1つちょっと気になりますのは、後でまた話題にさせていただきたいのですが、工程 管理の指標としてというのは今はむしろ置いておいた方がいいと思います。製品の品質 評価の指標として過マンガン酸カリウム消費量かTOCかという議論にすべきだと思い ます。そういった意味で考えても、私はTOCに移行する方向で考えていくことに関し ては非常にいいと思っております。  あと、これは行政的にどういうふうな規制を掛けていくか、移行措置とかも含めての ことですが、今も考えてみますと「有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)」となっ ていますよね。ですから、「有機物等(過マンガン酸カリウム消費量またはTOC)」 というふうにするのかなと思ったりもしておりまして、あるいは「または」ではなくて 英語で言えば「and/or」というふうな期間をつくるのかとか、この辺はうまく移行して いけるように規制上の扱いを事務局の方で考えていただければいいのではないかと思っ ております。  以上です。 ○眞柄委員長  ほかの先生方はいかがですか。  例えば、TOCが5mg/lになったときに、定量限界0.5mg/lというのは絶対大丈夫で すね。そうすると、水質基準としてTOCを入れたとしたら、先ほど来のお話で機器整 備が伴うためにしばらく時間が掛かるのではないかという御意見もあったし、現実もそ うだとは思いますが、国包委員の「有機物等(過マンガン酸カリウム消費量あるいはT OC)」という考え方もあるのではないかという御意見もありますね。それから、過マ ンガン酸カリウム消費量10mg/l、TOC5mg/lと書いて、先ほどの資料1−2を見ると 省略可、不可という項目があるので、過マンガン酸カリウム消費量は不可にしておい て、TOCを省略可という扱いにするという考え方もあるし、この辺はどうなのかなと いうこと。  それから、TOCと過マンガン酸カリウム消費量は、相関を幾らとったって過マンガ ン酸カリウム消費量の試験法の性格上、過マンガン酸カリウム消費量の横軸の値がもと もと信用ないもので、こっちはきちんと信用があるので、幾ら相関係数をとったって出 てこない。だから、どこかでは合うかもしれないけれども、全国的に広く日本の水道水 の過マンガン酸カリウムとTOCの相関をとっても、これはいつまでやっても出てくる 問題ではないので、ですから、そういう試験方法をいつまでも水道で基準として設定す るということは、余り科学的な妥当性がそろそろ揺らいできているという認識が、ほと んどの委員の方々の御意見だろうと思います。  あとは、今の水質基準の体系の中で「有機物等」というのを今回の水質基準の改正で どう変えるか、どう踏み込むかというところが問われているのだろうと思います。  私の意見としては、水質基準の項目にTOCを追加してTOCは5mg/lとして、TO Cの方は省略可のグループに入れるというのが、1つ前進するという考えではないかと 思うんですが、それについて厚生労働省としてはどのようなお考えになりましょうか。 ○岸部水道水質管理官  多分これは行政的にどういうふうに移行させていくかということでございますけれど も、TOCに移行していくという方向性であれば、TOCと過マンガン酸カリウムを並 列させておくと行政としては進まないのではないかと思います。と申しますのは、並列 している間は当然過マンガン酸カリウム消費量を測っておって、TOCを測る水道事業 体は多分ないと思います。当然自主的な測定はあるにしても、それが増えるということ はない。そうすると、3年データをとった後変えようと思っても、データの集積量につ いては変わっていないだろうというふうに想像されます。もし、TOCに移行していく という方向性であれば、基準値としてはTOCとし、ただし、いついつまではこれに代え てこれこれでもよいといった経過措置を設けるというような方向でいかないと、なかな か進まないだろうと考えます。 ○眞柄委員長  国包委員、今の岸部管理官の御説明については。 ○国包委員  それはよろしいと思います。 ○安藤委員  環境水でもやはりこういう試みはやっていて、それが結局実現していないということ からすると、今の考え方というのは非常にそのとおりだろうなという気がいたします。 ○眞柄委員長  それでは、今の岸部管理官の御意見を踏まえると、TOCで5mg/lというふうに基準 をするとして、過マンガン酸カリウム消費量で置き換えることができるとしたときに何 年間ですか。3年ですか。 ○安藤委員  私は3年ぐらいかなと思っていたのですが。 ○宇都宮委員  TOCの普及率がわからないから5年かなと。 ○安藤委員  大体3年すれば、水源でのTOCの変動というのは大体気候変動も考えればわかるか なという程度かなと思ったのですけれども。 ○遠藤委員  余り根拠がある話がある話ではないかもしれませんが、TOCをなるべく早目に導入 していただくことは、微生物学の分野での水道水系内での微生物の増殖問題 (regrowth)からも要性が高いと思います。 ○眞柄委員長  20条の検査機関はほとんど持っていますよね。 ○中村委員  安藤委員、それは1チャンネルでも、2チャンネルでもどちらでもいいということで すか。今は、1チャンネルと2チャンネルと両方ありますけれども。 ○安藤委員  そうですね。どっちでもいいのではないですか。要するに、無機が排除できて測れれ ばいいだろうと。2段階になるでしょうけれども。 ○眞柄委員長  あとは水道事業体ですね。200か所ぐらいですね。 ○安藤委員  そうです。 ○眞柄委員長  それこそ20年ぐらい前にトリハロメタンを水質管理の体系の中に入れたときに苦労し たことを考えれば、はるかに実現の可能性は早いですね。 ○安藤委員  それはもう確実です。あの苦労に比べれば。 ○眞柄委員長  1年ということはないから、まず3年ですかね。施行後3年。  ところで、今は幾らぐらいですか。300万円ぐらい、500万円ぐらいですか。 ○宇都宮委員  以前(6年前)は1,000万円ぐらいしましたが、今はだいぶ安くなっていると思います が、300万円ということはないと思います。 ○眞柄委員長  うちの研究室で買ったのはアカデミック・ディスカウントだから。ただ、やはり化学 量を測定していない試験方法というのは、もともと非常にあいまいだから。  それでは、有機物等についてはTOCを適用します。基準については5mg/lというこ とにして、水質管理目標設定項目のところには過マンガン酸カリウム消費量をとりあえ ず置いておきます。経過的な措置として3年というのが一応、専門委員会の今日の結論 として、次回までに3年で水道の水質検査で導入できるかどうかの可能性を安藤委員と 事務局で御検討いただいて、3年が不可能であれば5年ということもあり得るというこ とで、今日はそういう形で結論としたいと思います。  それでは、続いてQA/QCのことに入りたいと思います。資料2がQA/QCのことであり ますので、安藤委員から御説明ください。 ○安藤委員  それでは、資料2を御説明いたします。今日資料2として提出させていただきました のは、前々回の資料と基本的に変わっておりません。そのスタンスでまとめてみました ということでございます。  1ページ目では、水質検査の意義というものが書いてございますが、いずれにしても 水道水質の管理ということが非常に大事だということです。それと、精度と信頼性保証 というものを混同されては困ると、そこを明確にするということが基本的な建前だとい うことでございます。  システム管理のための水質検査ということになりますと、これは非常に重要でござい まして、原水から末端の給水栓まで一連の水質管理というものが当然必要なわけで、そ ういうためのデータというのは非常に大事だということになります。当然、水質管理と いう観点、先ほど国包委員から品質という見方というのはまた別にあるということでご ざいますが、それに続く非常に大事な項目ということになります。  そういうことからいたしますと、水質管理という観点からのいろいろなデータを出す ということは、当然、水道事業体が独自でしっかりやっていかなければいけないという ことでございます。それを忘れては困るということ、QA/QCを議論するに当たりまし て、まず、それを頭に入れておいていただきたいということでございます。  ちょっと別に資料がございますが、その表を見ていただけるとありがたいのですが、 3枚の表でございます。これは、大規模水道事業体、中規模水道事業体、小規模水道事 業体というふうに分けて、水源、浄水処理工程、浄水、いわゆる末端の給水栓での水質 基準項目とその他の項目の検査頻度を一覧表に示したものでございます。  例えば、大規模水道の平均のところを見ていただきますと、水道水源ではどのくらい 検査をしているかということでございます。これを見ていただきますと、4,555検査を していますよということです。これは水質基準項目に該当するものを測定しているとい うことになりますし、浄水処理工程では約5万9,637というふうに6万近くのデータを 出しているということです。それから、最終段階の給水栓というか浄水処理の段階で は、1万6,000というデータを出しているということでございます。つまり、ここの専 門委員会では、最終的な水質基準項目だけについて議論しておりますが、実はそうでは なくて、水道事業体では、そのほかにいろいろな段階で検査をしているということ。そ れを十分御理解いただいておかないといけないなと思います。それはQA/QCに入る前 に、まず、これを理解していただかなければ困るということでございます。これは中規 模水道でもあるいは小規模水道でも同じようなことでございまして、どのくらい検査し ているかということです。小規模水道でも当然、浄水処理工程では1,973検査をしてい るということになります。そういうことを御理解いただきたいということです。  前段の話はその程度にいたしまして、先ほどの資料2に戻っていただきまして2ペー ジでございますが、そういうことを踏まえた上で、いずれにしても水質基準というもの の整合性はしっかりとっていただかなければ困るということになります。そういうこと からいたしますと、GLP的な考え方を導入するということでございます。その条件と しては、例えばISO9000だとかISO17025というものを土台にしたようなものにしていく べきだということでございます。  更に、2ページあるいは3ページ、4ページ、5ページというのは前回と同様なこと でございますので省略いたします。  最終的に、精度と信頼性保証というものについて導入すべきだということでございま す。それについては、登録水質検査機関、それから、水道事業体、そのほか地方公共団 体とでは若干のレベルの差ということがございます。ですが、それについては登録制度 というものも導入していただかなければまずいだろうということでございます。  例えば、登録水質検査機関につきましては、前回、精度について精度管理調査をさせ ていただきましたが、そこでも満足できる状況ではございませんので、やはり品質保証 体制というものを導入していかなければいけないだろうということでございます。  水道事業体につきましては、先ほど申し上げましたように、この精度の保証というも のが独り歩きされては困るということでございます。つまり、工程管理ということを十 分に考えていただかなければいけないということが重要でございまして、とは言いなが ら、水道事業体では水質検査機関というものは当然幾つかの業務量の増大だとか人員不 足ということが発生いたしますので、一定の猶予期間というものを設ける必要があるだ ろうということでございます。  それが基本的なスタンスでございまして、いずれにしても、QA/QCについては導入し ていくべきだというふうにまとめてございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  それでは、関係すると思いますので、参考資料1を事務局の方で御紹介いただけます か。 ○岸部水道水質管理官  参考資料1「水道水質検査の精度管理に係る調査の実施について」、これはまだ最終 集計ではございませんけれども、今回の審議の参考になればということで準備させてい ただいたものでございます。私どもは平成12年度から、いわゆる20条機関を対象に精度 管理調査を実施して参りました。平成14年度につきましては、水道事業体が所有する水 質検査機関につきましても参加を呼び掛けたところ、手を挙げていただいた機関が155 機関ございました。現在、厚生労働省大臣が指定する158機関と任意で参加いただいた 水道事業体の検査機関155機関について今年度調査を実施したものでございます。  検査項目といたしましては、カドミウム、鉛、総トリハロメタン、それから、それぞ れの個別のトリハロメタン類でございます。これらについて同じ濃度の試料、標準試料 をこれら300余の機関に送付いたしまして、その結果を測定していただいて、その結果 を集計したものでございます。  概要が2ページに書いてございますけれども、Zスコアーの絶対値により、不満足の 機関、質疑ありの機関、満足の機関を20条機関、水道事業者の検査機関ごとに分けて集 計をしてございます。大体どちらもZスコアーで見る限り同じようなレベルということ でございます。  4ページ目からは、具体的にどんなイメージかというのがわかるように、検査機関は 特定できないようになっていますけれども、まず、20条機関について、変動係数とZス コアーの点数のよろしくない順に並べてございます。太字になっていますけれども、Z スコアーで3を超えるのが大体最初の1枚ぐらいのところで出てまいります。  それから、8ページからは水道事業者が保有する検査機関ですが、大体同じようなレ ベルになっているのかなと思います。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  では、QA/QCについて委員の方々の御質問や御意見がありましたら、どうぞお出しく ださい。よろしいでしょうか。先回も御議論いただきましたのであれですが、水質検査 を行う機関がQA/QCを行うべきであるというのが、当委員会の報告の中に盛り込むこと である。20条の検査機関の登録に際しては、QA/QCが実行できるかどうかというのを登 録の要件に記載してほしいというのが委員会の結論であったと思います。それから、水 道事業体に対しても、できるだけ早く登録検査機関と同等のQA/QCが行えるようになる べきだというのが、専門委員会の報告であるということでよろしいですね。 ○国包委員  水道水質の品質保証という面からは、私は今、委員長からまとめてお話がありました ことに関して何も異存はありません。ただ、恐らくこれからそういった方向である意味 では厳しくなるわけですから、現状では例えば、自前で水質検査をやっていたところ が、必ずしもこれからはやっていけないというふうなケースも出てくるのではないかと 思います。品質保証の検査という意味では、それは致し方ないのかなと思いますが、片 一方で日常的な言わば工程管理の方が、そういったことによって手薄になるおそれがか なりあるのではないかと思います。やはりそうであってはまずいので、何とかそういう ところに関して行政の面から、むしろエンカレッジするような手だてがとれるといいな と思いますけれども。少なくとも現状以上に手薄になるのは、やはりまずいと思うので 是非。 ○谷津水道課長  御指摘の趣旨はよく理解できます。今、水質管理については、都道府県が中心となっ て広域的な水質管理を進めるような政策ツールもあって、そういうものに基づいて複数 の事業体で水質管理体制を整備すれば、国としても財政的な援助をするというようなイ ンセンティブ制度はあります。若干歴史が長くなっておりますので、もう一度そういっ た政策にも光を当てて、広域的な管理体制の整備という方向で進めていければと考えて おります。 ○眞柄委員長  今、谷津課長から心強い御発言をいただきましたので、安藤委員のメモにも書いてご ざいますが、今、谷津課長がおっしゃったことあるいは国包委員がおっしゃったような ことも忘れないようにして、きちんと報告書の中に盛り込むように御配慮を願いたいと 思います。  では、国包委員、よろしくお願いします。 ○国包委員  それでは、資料3について御説明をさせていただきたいと思います。水質検査のため のサンプリング・評価の方法についてでございます。  前々回も少し途中の段階の考えを御説明させていただきましたが、今回、一部を残し てある程度整理をしてまいりました。時間の関係もありますので、なるべく要点だけを 要領よくお話ししたいと思います。まず、資料の順を追って御説明させていただきます と、「水質検査の意義」というところで、先ほど来話題にさせていただいております が、いわゆる工程管理のための検査と品質の保証のための検査、これは水質基準に適 合、不適合という意味ですけれども、そういった検査には大きく分けて2つの種類があ るわけですが、そのうちの後者の水質基準適合性の判断のための検査に焦点を当てての 議論だというのをまず御理解いただきたいと思います。  サンプリングのことに関してなんですが、水道水質の基準に関しましては、当然のこ とながら、水道により供給される水が満たすべき水質上の要件でありまして、それか ら、水道により供給される水すべてについて、当然満たされる必要があるということで ございます。そういったことから、基本的には給水栓で水質検査を行うということにな りますが、これは必ずしも合理的とは言えないといいますか、なかなか仕事量も多くな りますし、必ずしも給水栓で測定しなくても大丈夫というケースもございます。そう いったことから、基本は給水栓ですが、場合によっては浄水場等においてサンプリング をしてもいいというふうな考え方に立って以下をまとめております。  それから、1ページの下ですが、例を幾つか挙げておりますけれども、水質項目に よっては給配水の過程で水質濃度が変化するといったこと、それから、農薬についての 季節的な変化等、そういったことも考えに入れながら記述をいたしております。  2ページの採水地点に関しましては、現行の規則等におきましてもいろいろ書かれて おりまして、詳細は省略をいたしますが、基本的にはこういった考え方にのっとって採 水地点を選ぶということで、特に問題はないだろうと考えております。  2ページの下の方に箇条書きにしておりますように、採水地点として選ぶべきところ について、まず、基本は給水栓だということにしておりますが、送配水システムに入る ところ、浄水場の出口といったところも水質項目によっては採水地点として選ぶことが できるというふうにしております。  それから、配水系統ごとに1地点以上選定するということも原則にしたいと考えてお りまして、可能な限りということになりますが、配水池も採水地点に含めることが望ま しいというふうにいたしております。  それから、給水栓の選定に当たりましては、配水管の末端等水が停滞しやすい場所も 選定することにいたしております。  4番目ですが、項目によって違った給水栓で調べるということはしないという考え方 に立っております。後でまた話題にさせていただくかもしれませんが、鉛給水管を使っ ているところについて、鉛の濃度だけを調べるといった考え方もあり得ないわけではな いかと思いますが、そういった方法は基本的には採用しない。つまり、給水栓で水質検 査を行う場合は、全項目について測定するというふうにしたいと思っています。  次の3ページ目でございますが、一番上に5番として水道用水供給事業者におきまし ては、採水地点として受水団体への受け渡し地点も含めるということにしたいと思いま す。  以上が採水地点でございまして、次に採水の地点数に関してでございます。これにつ きましては、基本的には水道の規模に応じて、合理的な採水箇所数を設定するという考 え方でこれまで検討を進めてきておりますが、実際にはまだ考えを十分に整理できると ころまで至っておりません。御承知のように、EPAではそういった考え方を採用して いるということがありますし、それから、WHOのガイドラインでもそういった考え方 が紹介されております。そういったものも参考にしながら、統計学的に水道の規模、例 えば、給水人口といったものと、それから、必要な採水地点数とを科学的に関連付ける というふうなことを試みようとしているのですが、いかんせんまだそこのところについ て明確な整理が私の方でできていないということでございます。ということで申し訳ご ざいませんが、この点に関してはもう少しお時間をいただきたいと思います。具体的に は、この次の会にも何がしかの御報告をさせていただきたいと思っておりますが、少な くとも規模の小さいところについては、最小の地点数としては1地点としたいと考えて おります。これは現行のことから考えましても、そういうふうに考えるのが妥当だろう と思っております。  更に、先ほど安藤委員からも御紹介がありましたが、それぞれの事業体での実績も十 分に考慮に入れたものにしたいとは思っております。  次の検査頻度につきましては、現行の規制では月1回というのが一応の基本になって おります。これまでこういった考え方で、なおかつ、一定の項目以外については検査頻 度を下げてよろしいとされているわけでございますが、このことについていろいろ検討 をいたしておりまして、その中で4ページ以降に書いておりますが、基本的に現行の月 1回の検査が必要であるとされている項目、この中の一般細菌、大腸菌群といったもの につきましては、やはり省略不可ということで現行の月1回とする必要があると考えて おります。  それから、塩素イオン以下の項目につきましても、基本的には省略が不可というふう に考えております。もっともこの塩素イオン以下の項目につきましては、基本的にはい わゆる健康項目ではございませんし、年4回ということで考えてよろしいのではないか と考えているところでございます。  それから、1つ飛ばしましたが、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に関しましては、現在 データを整理いたしておりまして、これも十分にまだ整理が済んでいないために今日は 御提示できませんが、一般に問題になりますケースは地下水の場合でございますし、そ ういった場合に濃度の大きな変動というものがそれほどないと考えられますので、これ につきましても、月1回ではなくて年4回ということで考えてよろしいのではないかと 思っております。  それ以外の項目につきましても、現在、更にデータの整理を続けているところでござ いますが、基本的には月1回ということではなくて、年4回ということでよろしいので はないかと今のところ考えております。  上記の10項目以外の項目については、状況に応じて3年に1回まで頻度を下げてよろ しいというふうにしたいと考えております。この3年に1回というのは最低限のレベル ということでございまして、どういったケースにおいてもこの頻度は守らなければいけ ないという考え方に立っております。  それから、頻度を原則の年4回から下げていく場合の考え方ですが、4ページの下の 方の箇条書きのところに書いておりますように、2番目以降ですが、過去3年間におけ る検査結果がいずれも基準値の10分の2以下の場合であって、原水等の変動による汚染 のおそれがないときは年1回以上に検査頻度を下げることができる。  更に、3番目ですが、過去3年間における検査結果がいずれも基準値の10分の1以下 の場合は、3年に1回以上にまで検査頻度を下げることができるという考え方で整理を いたしております。  それから、4番目、5ページの上の方ですが、ただし、水源が変更された場合、新た な汚染のおそれが生じた場合、浄水処理方式を変更した場合、検査結果がそれぞれ基準 値10分の2及び10分の1を超えた場合については、検査頻度を元に戻すとしなければな らないということにしております。  更に、この検査頻度を少なくする場合の考え方についてでございますが、いわゆる資 機材関連の項目、それから、消毒剤とか消毒副生成物に関連する項目等につきまして は、省略の考え方は基本的に適用しないというふうに整理をいたしております。  更に、いわゆる藻類が産生します臭気物質につきましては、時期を選んで測定を月1 回以上の頻度でするといたしております。  以上のような頻度の考え方等につきましては、後ろの方の表2にまとめておりますの で、御参照いただければありがたいと思います。最後のページでございます。  以上が、定期の水質検査のことに関してでございまして、5ページの中ほどよりちょ っと下からですが、給水開始前及び臨時の水質検査について書いております。これにつ きましては、基本的には現行の考え方で特に大きな支障はないと考えておりまして、更 に基本的には、次の6ページにも書いておりますように、採水地点ですとか地点数等に つきましては、定期の検査に準じて選定をするという考え方で整理をさせていただいて おります。  更に、水質検査結果の評価と事後対応、特に基準を超過した場合の事後対応につい て、6ページの3のところに書いてございます。これにつきましては、現行規定では必 ずしも明確でない部分が多いですが、基本的な考え方としましては、いかなる項目につ いても検査結果が基準を超えている場合には直ちに原因究明を行い、基準を満たす水質 を確保するために必要な措置を講じなければならないという考え方に立つべきだとして おります。  それから、水質検査のための試料採取を行うときに、基本的には同時に予備試料を採 取して、万が一基準を超えるような結果が出た場合には、予備試料について検査をし直 すという考え方を出しております。勿論、検査結果が基準を超えたときには、改めて試 料の採取から行って検査をすべきだと思っておりますし、そういうことについては必ず しもここに明確に書いておりませんが、そういったことと並行して、当初採取した試料 についても検査をし直すことが必要だと考えております。  以下、3.2からは幾つかの項目群に分けまして、検査結果が基準を超えた場合にど ういうふうに考えるべきかということを書いておりますが、基本的には先ほど申し上げ ましたような、一度でも超えれば基準超過だということで、きちんと原因究明なりある いは事後の必要な措置をとらなければいけないということで書いております。  以下、7ページの囲みのところは参考でございます。  それから、9ページに表1というものがございます。これはちゃんと御紹介をしませ んでしたが、先回の水質基準項目の設定の見直しを踏まえまして、水質検査を省略する ことができない項目と、それから、条件によって省略することができる項目、これは2 以下でございますが、資機材関連の項目ですとか、地下水を水源とする場合、停滞水を 水源とする場合、それから、海水淡水化を行う場合、その他というふうなことで書いて おります。  それから、最後の10ページの7番ですが、留意事項としまして上記の2〜6に掲げる 場合に該当しない場合であっても、現に過去に基準値の10分の5を超えて検出されたこ とがある項目については、水質検査を省略してはならないという考え方を示していま す。  ちょっと長くなりましたが、以上、サンプリング・評価方法について、まだ不完全な ところがございますが、現在の段階での考え方でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  では、委員の先生方から御質問や御意見をいただきたいと思います。よろしくお願い します。 ○西村委員  今の御説明は、基準項目について整理なさって説明をしていただいたと思いますけれ ども、1つ農薬に関して、基準項目にはなっていませんが、国民的関心なり、重要性な りで、どのような形で入れられるかはありますが、できればここに農薬についても少し 記載していただけるとありがたいなと思いますが、いかがでしょうか。 ○眞柄委員長  農薬というよりも水質管理目標設定項目について。今のところは基準に対する項目で すが、水質管理目標設定項目について専門委員会の報告書として考え方を示していただ ければと思いますので、ちょっと工夫をしてください。 ○国包委員  事務局の方とも少し相談をさせていただきたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  現在御議論いただいているのは基準項目についてというふうに認識しております。水 質管理目標設定項目につきましては、専門委員会報告でなんらかの記述をしていただい て、私どもがそれを受ける形で何らかの通知をするというようなことが適当かと思いま す。 ○西村委員  よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  7ページの参考の水質異常時における対応という、いわゆる通知ですが、これは基準 が変われば内容も当然のことながら書き直されるという理解でよろしいですね。 ○岸部水道水質管理官  はい。 ○眞柄委員長  そのほかございましょうか。 ○平田委員  ひとつ教えていただきたいのですけれども、4ページの2.3.2「その他の項目」の 2)の2行目に「原水等の変動による汚染のおそれがない」とありますが、これは、原水 等に水質変動があって、それが汚染のおそれを示唆するようなものではないというふう に読めばよろしいのですか。 ○国包委員  ちょっと書き方が変だったかもしれません。要は、原水に起因して10分の2を超える おそれがまずないというふうにお考えいただければ。 ○眞柄委員長  汚染のおそれというのは、あくまでも10分の2という数値を超えることがないという 理解ですか。 ○国包委員  原水は10分の2を超えるかもしれませんが、どういうふうに変動しようが、その影響 を受けて浄水の方が10分の2を超えることはないと。 ○眞柄委員長  要するに、浄水システムの中のバリアがしっかりしているということが確認できたと きには、省略することができるようになるという理解ですね。 ○西村委員  わかりました。  それともう一点、10ページの「現に過去に基準値の10分の5を超えて」という、7の 「留意事項」なんですが、これと今お話のありました10分の2以下あるいは10分の1以 下と過去3年間というのは、さかのぼって過去3年以上のところに10分の5の数値が あってもいいよというふうに理解してよろしいのでしょうか。それとも、3年間よりも さかのぼって10分の5というのが検出されたところは、ずっとというふうに読むべきな のでしょうか。 ○国包委員  少なくとも基本的には過去3年間と考えてよろしいのではないか思っております。 ずっと過去にさかのぼってということは妥当ではないだろうと思っております。 ○西村委員  わかりました。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。 ○遠藤委員  5ページの目の「給水開始前及び臨時の水質検査」のところで、箇条書きで1)から6) まで条件がありますが、例えば、降雨とか融雪によっての水源水質の変化は、この中に 当然含まれると考えてよろしいのでしょうか。 ○国包委員  はい。表流水の場合、降雨の影響を当然受けますので、それは例えば1)の水源の水質 が著しく悪化したという中に含めるという理解でいかがでしょうか。著しく悪化したと いうことにしますと、ちょっと拡大解釈になるかもしれませんが、通常の変動範囲には 入っているということになりますでしょうか。説明が悪くてすみません。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  ほかにいかがですか。 ○中村委員  予備試料の保存という考え方はいいと思うのですが、項目によって保存の仕方がそれ ぞれ違うので、現実的にそういうことができるのか、現場ではどうなのかちょっとわか らないので教えていただきたいのですが。 ○国包委員  先ほどきちんと申し上げなかったかもしれませんが、一般細菌、大腸菌以外の項目に ついては、基本的に保存は可能ではないかと思っております。ただ、1個1個の項目に ついて改めてその辺見直しておりませんので、これは少し安藤委員とも御相談させてい ただければありがたいと思っております。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。今のことに関して言えば、遠藤委員のときにもお話があったか もしれませんが、氷でもよし、あるいはカートリッジのようなもので1週間単位で微生 物をトラップできるような工夫をするというようなことは今後の課題にもなると思いま すので、報告書のところでその辺も書き加えるということで対応したいと思います。  国包委員にお伺いしたいのですが、ジェオスミンや2−メチルイソボルネオールが発 生する時期を選んで月1回以上というのは、トータルで年12回以上になってもいいとい うことですよね。ある月は2回やるけれども、トータルとして12回以上にならなくても いいということですよね。 ○国包委員  それは勿論そうです。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。  大分厳しい一方、3年に1回ということで、ある意味では水道水の水質に応じた検査 体制の在り方という意味で、少し今までとは性格が違うかもしれませんが、必要なとこ ろは頻度を上げる、そうでないところは下げてもいいという意味で、従来とは一歩進ん でいると思います。それをどうするかというのが次の水質検査計画だと思いますので、 これについて国包委員から御紹介をください。  一応、予定は12時まででしたが、恐れ入りますが少し延ばさせていただきます。お願 いいたします。 ○国包委員  それでは、資料4をごらんいただきたいと思います。これも前にお話を1回させてい ただきましたが、水質検査計画につきましては、以前の水質管理専門委員会でいろいろ 議論がされまして、「今後の水道水質管理の在り方について」という報告の中で、ある 程度明確な水質検査計画の在り方について示されております。基本的には、その考え方 を踏襲してよろしいのではないかと考えているところでございます。  今回、先般の水質検査計画の考え方を見直しているところですが、改めてその内容も 踏まえまして、以降の項に各論を書かせていただいております。  「関係者の役割について」という2番目の項ですが、ここでは水道事業者の役割、そ れから、都道府県の役割、国の役割といったものを改めて整理いたしております。ここ は基本的に先般の考え方と変わりはないとお考えいただいて結構です。  2ページの中ほど3番の「水道事業者による水質検査計画について」のところです が、この水質検査計画の在り方について、このページの下の方に箇条書きで書いており ますので、ここのところを紹介させていただきたいと思います。  まず、水道事業者は水質検査の内容、つまり項目、頻度、地点といったものの適正化 とか透明性を確保するために、水源の種別ですとか、水源の状況、汚染動向等、それか ら、浄水処理の方法、送配水・給水といったものの状況等を考慮して、計画的に水質検 査計画を定める必要があるということでございます。  それから、水質検査計画の中身に関してですが、計画の基本方針、それから、水道事 業の概要、水質検査の方法、それから、項目、頻度、地点等の設定の根拠、水質検査計 画及び結果の公表方法、それ以外に配慮すべき事項といったことについて定めるという ふうにいたしております。  更に、水道事業者はこの計画に規定する方法で検査を実施して、結果を評価し、必要 に応じて見直す必要があるということでございます。  それから、同じく事業者はこの水質検査計画、それから、検査結果を需要者に対して 公表する必要があるということ。  以下、監督官庁の役割についても言及いたしております。  それから、臨時の水質検査ですとか、水質管理目標設定項目、原水、切り口が少しず つ違いますが、こういったことに関しても、水質検査計画の中できちんと位置付ける必 要がある、あるいは位置付けることが望ましいという考え方を記述いたしております。  次の4ページ以降は、この水質検査計画をつくるときの指針というのを作成するとい う方向で考える必要があると思っているわけですが、この指針の中身について概要はこ ういったことになるというところを整理しております。内容に関しては、先ほど御紹介 しましたことと基本的にダブりますので省略をさせていただきたいと思っております。  以上、簡単ですが。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  サンプリングのところで事務局から御注意を受けて忘れていました。鉛のサンプリン グについて御紹介いただけますか。 ○国包委員  すみません。私も飛ばしてしまいましたが、鉛に関しましては、先般、一度御報告を させていただきました。口頭で申し上げさせていただきますが、先般提案をさせていた だきました15分間滞留水あるいは停滞水を5L採取するという方法でございますが、先 般の委員会で委員長からもこういった方法以外に第三の方法があるかどうか、適当なも のがほかにないかというような御指摘もございましたし、そういったことも含めて検討 させていただきました。ただ、結論から申し上げますと、実際にこれに代わる適当な方 法というのは今のところなかなか見当たるものがございません。それにはいろいろな事 情も関係しますが、これまでの15分5Lという方法につきましては、かなりデータを とっております。そういったデータをある程度集めるに関しましても、実際には事業体 の方に動いていただいて、ほかとの比較もできるような形でデータをお取りいただいて いるんですが、いかんせん時間の制約があるということが1つございます。  それから、前回も御報告申し上げましたが、真の平均暴露濃度と言えばよろしいで しょうか、これがどの辺にあるかということに関しては、これまでそういったものをき ちんと見極めるような調査ができておりませんで、そういったものがあるはずではあり ますが、その見極めがつかないまま、どの方法がいい悪いという評価をしても余り意味 がないということもございます。  それから、流水で評価する現行の方法に比べれば、何がしか滞留水をとる、停滞水を とるというふうなサンプリング方法は、やはり平均暴露量の評価という面からは避けて 通れないことだと考えております。  以上のようなことも含めまして、あとは15分で5Lをとれば鉛管を使っている場合 に、大体鉛管の部分の水はどういった場合にもほぼ100%とれるだろうということがご ざいますし、15分であれば多いところでは10か所以上のサンプリングということになる と思いますが、水道事業体の方で実際にサンプリングの作業に掛かる時間ですとか労力 といったことを考慮しても、妥当な範囲であろうということ、以上のようなことを総合 的に考えまして、やはり15分で5Lという方法がとりあえず今の段階では妥当ではない かと考えております。  それから、併せてもう一言、鉛のサンプリング方法に関連して申し上げたいのです が、やはり現実にこういう方法を採用するとなりますと、基準を超えているというふう に判定される例が、実際には箇所数として相当たくさん出てくることはまず間違いあり ません。このことは前回も申し上げましたとおりです。  現実の問題として、ほかの項目ではそういったケースはまずないわけですが、鉛に 限っては基準を超えるというふうに判定される箇所が非常に多く出る、まず、これは間 違いない現実だと考えれば、むしろ基準を超えた場合に、あるいは鉛管を使っている多 くの箇所が検査すれば基準を超えるということを前提に、こういった問題について今後 いわゆるリスク管理ということになると思いますが、どういうふうに行政上考えていく か、取り扱っていくかということが非常に大事になってくると思います。具体的には、 その中で水道事業者がどういうふうに動くべきかとか、あるいは国なり都道府県がどう いうふうにこの問題に対して取り組むべきかといったこともきちんと整理して考えてい く必要があるだろうと思います。  そういった中で、改めて検査方法というものを考えた場合、今は検査方法なりサンプ リング方法というふうに限定して考えておりますが、ここのところについては、とりあ えず15分で5Lと考えて、できるだけたくさんそういった方法でデータをとって、ま た、科学的な評価をきちんとしていくということが当面重要だろうと思っております。  以上、資料のないままお話をさせていただきましたが、現状はそういうふうに考えて おります。 ○眞柄委員長  それでは、水質検査計画と鉛のサンプリング、これも言わば検査計画の範疇に入ると 思いますが、これにつきまして、委員の方々の御質問や御意見があったらお出しくださ い。よろしゅうございますか。  念のために確認ですが、臨時の検査の中には検査請求に伴う臨時の水質検査も入って いるという理解でよろしいですか。 ○岸部水道水質管理官  国包委員の資料の5ページの部分は、多分私どもの通知を引用していただいていると 思うのですけれども、これは検査請求に伴うものではなくて20条に基づく部分でござい ますので、水道事業体が臨時にやるべきと判断する場合としては、こんな場合があると いう例示でございます。また検査を求めるのは、たしか別の条文だったと思います。 ○眞柄委員長  水道法ですばらしいところは、水道利用者が検査請求することができるというところ なので、これは確かに4条の関係の検査でしょうけれども、どこかに検査請求は18条で したか。 ○岸部水道水質管理官  18条ですね。 ○眞柄委員長  どこかに残しておいて、ここに書いておいてくださると、水道法の宣伝にもなります ので。 ○大谷委員  最低で3年に1回ということで、検出状況に応じて柔軟に運用できるという面は評価 できると思います。現行の監視項目等で何年間かのデータの集積がある場合は、検査の 頻度を決める根拠になると思いますが、初めて基準に入った項目については、当面全て 測定して、何年間か後に検出状況を評価して測定頻度をおとすというようなことになら ざるを得ないのでしょうか。それとも、水道事業体にとっては説明責任などかなり厳し いことが求められる場合もあると思うのですけれど、水源や浄水処理方法から考えて、 検出される確率は非常に低いと考えられるので、検査は3年後にやりますというような ことなのでしょうか。 ○国包委員  一応私なりの考えをお答えしますが、後でまた事務局の方からお答えいただければあ りがたいと思いますけれども、現行の基準が決まったときに、こういった項目について は省略可能という扱いがされておりますね。あのときは5年間なりはずっとデータをと り続けるということをされたのだろうと思うんですが、基本的には同様の扱いというの が一応無難だろうと思います。  ただ、ここから先は私の個人的な考えですけれども、そうはいえ、過去の検査結果の データは十分にないけれども、それに代えて、我が方では問題ないということをきちん と証拠立てることができるということであれば、頭から省略してもいいというふうな考 えは出せるのではないかと思います。例えば、ほう素などについては、実際に高い値で 出るところはある程度限られておりますので、そういう考えは適応できるのではないか と思います。 ○岸部水道水質管理官  その点に関しては、国包委員のお話のとおりでございまして、規定上は水質基準項目 について、これこれについては省略できるというようなことでございまして、その省略 については水道事業者の責任において御判断いただくということで、そのデータがない ので3年間やってみるというのも一つの御判断でしょうし、経験からしてうちとしては 要らないというふうに考えれば、それでもよろしいでしょうと。ただ、その判断につい ては、水質検査計画という形、何度も言いますけれども、この時期上位官庁の認可とい う話にはなりませんので、事前に公表して、需要者の判断を仰ぐというか、需要者に対 して説明できるようにしておくというようなことかと思います。 ○眞柄委員長  よろしゅうございますか。 ○大谷委員  わかりました。かなり省略できるとはいいながら、水道事業体にとって当初はかなり 負担がかかるということになると思います。 水質基準を策定し、その基準に適合した安全な水を住民に配るというのが最終目的です ので、基準の遵守を実効性あるものにするためにフォローしていく体制、例えばガイド ラインやQ&Aの作成、あるいは提言など国としても是非考えていただきたいと思います。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。大谷委員が言われたことは非常に大事なことで、これから水 道統計が出てくるときに事業体ごとに、ばらばらになりますよね。ですから、そういう 意味では、水道統計の記載の方式だとか、同時に事業体ごとに検査計画が違ってくるの で、要するに国が見ている水道事業体も都道府県が見ている水道事業体も、どこかで統 計を見たときに、例えば、検査項目なり検査頻度が違っているよというようなエビデン スを示せるような統計を別途お考えいただきたいと思いますので、よろしくお願いしま す。今、大谷委員が言われたことも同じことだと思いますので、そういう意味ではお願 いしたいと思います。  それでは、最後に、国包委員からもう一つ資料がございますので。 ○国包委員  それでは、資料5をごらんいただきたいと思います。「水道水の安全確保方策に関す る基本的考え方(提言)」ということで、これはサンプリング・評価方法とか私の担当 ということで書いたものではなくて、単なる一委員として個人的な意見をまとめさせて いただいたというものでございます。  当初より、この委員会で水質検査の意義とか方法というお話をずっとさせていただい ているわけですが、その中で必ず、今日も何回か申し上げましたように、工程管理の検 査ですとか、あるいは品質保証のための検査という使い分けもされております。私もし ております。そういったことを考えた場合、これまでメインに議論させていただいてい るのは、いわゆる基準に適合する、しないというのを判定するための検査であるわけで すが、実際にはそういった製品の品質保証のための検査というのは、先ほど御紹介させ ていただきましたように、そんなに高い頻度でやらなくてもいいのではないかと思って おります。  ただ、それとはちょっと別に、やはり水道水の安全性ですとか、もっと広く言います と快適性も含めて、やはりいい品質の水道水を常に水道で各家庭に送り届けるというよ うな使命について考えますと、やはり月1回とか年4回というようなことではなくて、 基本的には毎日、毎時水道水の品質というのが確保される必要があります。そういった ことを考えた場合に、なかなか適当な言葉がないのですが、品質のそういった意味での 工程管理というのは、やはり非常に重要な仕事になりますし、そういったことのきちん とした積み重ねがあって初めて、本委員会のメインの課題であります基準適合、不適合 の判定のための検査というのも、あるいはその検査の結果というものも保証されるとい うことになるのだろうと思います。  そういった意味で、日常的な水質管理あるいは工程管理のための仕事にもっとスポッ トライトを当てて、その重要性を特に水道事業体の方々には御理解いただくとともに、 安全性あるいは快適性をより高める方向で頑張っていただきたいということで、それを この紙にいろいろと取りまとめさせていただいたということでございます。  それと併せて、行政上の手だてとして何とかそういったことについてきちんと整理が できないものかということで、私なりにいろいろ考えてもおりますし、事務局ともお話 をさせていただいているところですが、いろいろ難しい面も現実にはあるようでして、 今すぐにそういったことに関して明確な制度化というのはできないかもしれませんが、 ただ、少なくとも必要性については指摘する必要があるだろう、あるいはその意味もあ るだろうというふうに考えまして、こういったものを書かせていただきました。  中身に関しては一々御紹介するほどのことはないですが、ざっと見ていただきます と、1ページ目には「水質検査の意義とその限界」ですとか、これはさっきもお話しし たようなことでございますので省略させていただきます。  それから、2番目のところには「総合的アプローチによる水質管理の必要性」という ことで、現にWHOのガイドライン改訂の中でもいろいろ議論もされており、特に今回 の第3版の作成に当たっては、新しい重要な考え方として取り入れられておりますWater  Safety Plansのことについても触れさせていただいております。  それから、2ページの3番目のところでは、行政施策としてどういった方向で考えて いくべきかということを書いております。  更に、4ページ目の4番のところでは、ちょっとこれは具体的な話になりますが、安 全確保のために日常的に監視すべき水質項目ということで幾つか挙げておりまして、こ の中には基準項目になっていないものあるいはそれ以外としても特に指定がないものも 入っていたかもしれませんが、5ページの表−1のように、工程管理の中でそれぞれの 項目について監視をしていくべきだというようなことを書いております。  それから、その後最後の5番目ですが、原水とか浄水過程等の水質の監視体制につい ても一言触れております。  6ページからは参考資料ですので説明は省かせていただきますが、5ページまでに書 かせていただいたようなことに関連して、現行の制度の中では、せいぜいこういった通 知ぐらいしか見当たらないのではないかということで挙げさせていただいております。  以上、時間の関係もありますので、これぐらいにさせていただきたいと思います。 ○眞柄委員長  これは、前に遠藤委員から微生物のことについてもお話があったことだと思います し、専門委員会の報告の中で水道水の安全性確保策というか、水道における水質管理の 在り方ということでもよろしいかと思いますが、報告の中でそういう事柄について盛り 込みたいと思いますので、それについては次回以降、関係の先生方で原案の作成をして いただいて盛り込みたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  ほかにございますか。なければ、予定が大分過ぎてしまいましたが、これで終わりた いと思います。どうもありがとうございました。  お手元に参考資料2で、今後の審議日程の目安というものがございます。既にお約束 しておりますように、3月3日にあと残っております34条機関の在り方と専門委員会の 報告案を取りまとめることをしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思 います。  それを受けまして、3月中旬までの間に専門委員会の報告を生活環境水道部会に御報 告して、この資料によりますと、それを受けて一月ぐらいの間でパブリック・コメント を受け、4月中旬にパブリック・コメントを受けた上で最終的な報告を取りまとめ、生 活環境水道部会に答申をするということにしたいと思いますので、よろしくお願いしま す。  3月3日の時間は10時からでよろしいですか。 ○岸部水道水質管理官  午後だったのですが。 ○眞柄委員長  時間が掛かるから午後の方がいいのですか。 ○岸部水道水質管理官  いえ、前回に午後とお決めいただいたものですから午後に予定していたのですが、先 生方の御都合で午前でも結構です。 ○眞柄委員長  午後でも結構ですが、どっちがよろしいですか。では、13時から17時までということ にしましょうか。  では、今度は最後ですので、少し時間を掛けたいということだそうですので、13時か ら17時ということでよろしくお願いいたします。  それでは、どうもありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)