03/02/07 平成15年2月7日(金)医薬品等安全対策部会議事録         薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年2月7日(金) 10:00〜   KKRホテル東京 孔雀の間 2.出席委員(15名)五十音順   井上 章治、 上田 志朗、 甲斐 知恵子、岸田  浩、   北村 啓次郎、倉田  毅、 倉田 雅子、 首藤 紘一、   菅谷  忍、 田代 眞人、 土屋 文人、 埜中 征哉、   長谷川 隆一、堀内 龍也、◎松本 和則   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(8名)五十音順  ○池田 康夫、 大澤 真木子、菊池 博達、 相楽 裕子、   柴川 雅彦、 清水 弘之、 山口 照英、 渡辺  亨 3.行政機関出席者   黒川 達夫(安全対策課長)、池田 年仁(安全対策企画官) 、   日下田 俊彦、関野 秀人、 池田 三恵  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまより第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策 部会を始めさせていただきます。  委員の先生方におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうござ います。本部会の定員23名のうち、出席予定の先生方は15名で、過半数以上の先生方に お集まりいただいております。したがいまして、本日の部会は定足数に達しておりま す。  また、本日の会議は公開で行っておりますので、その旨御承知おき願いたいと思いま す。  まず初めに、本部会の開催に当たりまして、黒川安全対策課長より一言ごあいさつを お願いいたします。 ○安全対策課長   おはようございます。医薬局安全対策課長の黒川でございます。薬事・食品衛生審 議会医薬品等安全対策部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  委員の皆様には日ごろより高い識見に基づく御意見を賜るなど医薬品等の安全対策に つきまして御指導、お力添えを頂いておりますことに、この場をかりまして厚く御礼申 し上げます。また、今回、本部会の委員に御就任いただき誠にありがとうございます。  医薬行政の基本は有効で安全な医薬品、医療機器などを安定に供給することを通じ国 民医療の向上に寄与することでありますが、特に市販後の安全対策の取組につきまして は副作用、不具合の発現状況などを漏れなく把握いたしまして、それらの情報を基に迅 速かつ的確な安全対策を実施していくことが求められております。  本日は、資料にもございますとおり、オランザピンやチクロピジン等、平成14年度に 緊急安全性情報の発出を指示いたしました五つの薬剤についての対応を御報告させてい ただきます。また、昨年12月25日に行われました「安全性問題検討会」の結果、及びそ の報告を受けて採られました対応についても御紹介させていただきたいと思っておりま す。先生方にも率直な御意見を頂ければと考えております。  さらに昨年7月に国会で改正薬事法が可決成立いたしましたところですが、このうち 1年以内に施行される部分、当部会に関係深い事項についても本日改めて御説明を申し 上げます。今後の運用面などについて専門的な見地から忌憚のない御意見をお願い申し 上げる次第でございます。  委員の皆様におかれましては薬事・食品審議会に対する国民の厚い信頼にこたえるべ く、それぞれの専門分野における最新の科学的知見、豊かな御経験を基に厳正な御議論 をいただき、また、医薬行政の推進のため格別の御指導、御協力を賜りますよう重ねて お願い申し上げまして私のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いい たします。 ○事務局  本日の部会は、先般、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われました後の最初の 部会になります。先般開かれました薬事・食品衛生審議会におきまして、その総会及び 分科会が開催されまして、各部会に属する委員の指名及び各部会の部会長の選出が既に 行われております。当医薬品等安全対策部会の部会長といたしましては松本先生にお願 いすることを決めさせていただいておりますので、その旨御報告させていただきます。  お手元の資料の中に先生方のみに配付してあります「薬事分科会規程」というものが ございまして、その中で本部会の関連のところにアンダーラインを引かせていただいて おります。後ほど御覧いただきまして、参考にしていただければと思います。最後の7 ページに薬事・食品衛生審議会の組織図を付けさせていただいておりますので、この部 会の位置付け等も参考になるかと思います。  それでは、以後の議事につきましては松本先生にお願いしたいと思います。よろしく お願いいたします。 ○松本部会長   おはようございます。この度、引き続きこの部会の部会長を務めさせていただくこ とになりました松本でございます。よろしくお願いします。議事を始めます前に一言だ けあいさつをさせていただきます。  このところ医薬品の安全性に対する関心が一般に高まっておりまして、私はこの部会 を担当しておりまして、この部会に課せられている役目は年々重くなっているのではな いかということを痛感しております。特に最近開発される医薬品は分子標的薬剤が多く なっておりまして、強い効果が期待できる反面、予想できないような副作用も出てきて おり、その場合の副作用の発現の仕方もこれまでとはちょっと異なった機序で起こって いるように感じられます。こういう事態に対応するには、これから少し発想の転換が必 要ではないかと私は感じているわけですが、委員の先生方の御協力を得まして、医薬品 の安全性を確保するために適切な助言、また提言ができるように努めてまいりたいと思 っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は改めて委員が指名された最初の 部会ですし、今回初めて委員になられた先生方もおいでになりますので、本日お集まり の先生方の御紹介から始めさせていただきたいと思います。事務局から御紹介をお願い します。 ○事務局  お手元の委員の名簿を御覧いただきたいと思います。本日は8名の先生が御欠席です が、この名簿の順に御紹介させていただきます。  慶応義塾大学医学部の池田先生ですが、本日は御欠席でございます。  日本薬剤師会常務理事の井上先生でございます。  千葉大学大学院薬学研究院教授の上田先生でございます。  東京女子医科大学主任教授の大澤先生ですが、本日は御欠席でございます。  東京大学医科学研究所の甲斐先生でございます。  東邦大学医学部教授の菊地先生ですが、本日は御欠席でございます。  日本医科大学第一内科教授の岸田先生でございます。  埼玉医科大学客員教授の北村先生でございます。  国立感染症研究所副所長の倉田毅先生でございます。  納得して医療を選ぶ会の倉田雅子先生でございます。  横浜市立市民病院感染症部部長の相楽先生ですが、本日は御欠席でございます。  国立循環器病センター薬剤部長の柴川先生ですが、本日は御欠席でございます。  岐阜大学医学部教授の清水先生ですが、本日は御欠席でございます。  日本医薬情報センター理事長の首藤先生でございます。  日本医師会常任理事の菅谷先生でございます。  国立感染症研究所ウイルス第3部長の田代先生でございます。  東京医科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長の土屋先生でございます。  国立精神・神経センター武蔵病院長の埜中先生でございます。  国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部長の長谷川先生でございます。  群馬大学医学部臨床薬理学教授の堀内先生でございます。  国際医療福祉大学教授の松本部会長でございます。  国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部長の山口先生ですが、本日は御欠席でご ざいます。  国立がんセンター中央病院内科医長の渡辺先生ですが、本日は御欠席でございます。  委員の紹介は以上です。 ○松本部会長  それでは次に、事務局より本日の配付資料の確認をお願いします。 ○事務局  配付資料一覧というものがあるかと思います。そちらを横に置いていただきまして、 それぞれの資料がお手元にあるか御確認いただけたらと思います。  資料1は緊急安全性情報関連資料というもので、32ページです。  資料2はゲフィチニブ安全性問題検討会関連資料というもので、34ページです。  資料3は改正薬事法関連資料ですが、枝番が付いてまして、合計で9種類あります。  資料3-1は薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について というもので、二枚紙のものです。  資料3-2は薬事制度の見直しについて、厚生労働省という資料です。  資料3-3は薬事制度の見直しについて、参考資料というものです。  資料3-4は生物由来製品臨時部会(平成15年1月10日)資料です。  資料3-5は二つに分かれていまして、3-5-1 は生物由来製品の添付文書記載要領(医薬 品)、3-5-2 は特定生物由来製品添付文書記載見本(医薬品)という資料です。  資料3-6は患者への特定生物由来製品に係る情報の提供についてという資料です。  資料3-7は感染症定期報告制度についてという資料です。  資料3-8は医薬品・医療用具等安全情報報告制度についてという資料です。  資料3-9は副作用不具合等報告の薬事・食品衛生審議会への報告についてという資料 です。  配付資料は以上ですが、お手元にない資料、あるいは落丁等がありましたらお知らせ いただければと思います。 ○松本部会長  それでは次に、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。審議会のルールに よりますと、部会長があらかじめ指名することになっております。私としましては、今 日は御欠席ですが、これまでに引き続きまして池田委員に部会長代理をお願いしたいと 思っておりますが、いかがでしょうか。  よろしいですか。どうもありがとうございます。  それでは議題3、平成14年度における安全対策についてに入りたいと思います。議題 の中には二つありますので、まずは(1)の緊急安全性情報の発出指示について、最初に 事務局から説明をお願いします。 ○事務局  資料1、「緊急安全性情報関連資料」を御覧いただきたいと思います。最初のページ ですが、平成14年度に我々が収集した副作用の情報等に基づきまして、こうした措置の 一つとして緊急安全性情報の発出というものがあります。これは企業に対して我々の方 が指示するものですが、ここにあります5種類の薬剤について緊急安全性情報の発出を 指示しています。それぞれについて簡単に内容を御紹介させていただきます。  1ページですが、平成14年4月16日付けで措置を講じた向精神薬のジプレキサ錠とい うものです。成分名でいうとオランザピンですが、本品は1.製品の概要のところに書 いてありますように、平成12年12月に承認されている薬剤です。  2.経緯の(3)を御覧いただきますと、我が国での発売開始後約10か月間に、本剤と の因果関係が否定できない重篤な高血圧等の副作用症例が9例(死亡例2例を含む)報告 されていることから、今般、改めて使用上の注意を改訂するとともに、「緊急安全性情 報」の発出を行ったものです。  4ページにありますのが実際に医療機関に配られた緊急安全性情報です。本日の資料 は白黒ですが、実際は黄色地に赤で縁取りをした非常に目立つ紙媒体という形での配布 を行っています。これによって注意喚起をしようということです。  具体的な改訂の内容は四角の中に書いてあります3項目が中心的な対応となっていま す。  2件目ですが、8ページを御覧いただきたいと思います。平成14年7月23日、塩酸チ クロピジン製剤に対して講じた措置です。パナルジンは第一製薬が製造販売しているも のですが、この品目に関しては多くの後発品がありまして、後発品も含めて同様の措置 を講じています。  2.経緯の(2)に書いてありますように、本剤については血栓性血小板減少性紫斑病 等の重大な副作用が発現することが知られており、注意喚起という意味で情報提供をこ れまで行ってきたところです。  重い副作用の約9割が投与開始後2か月以内に発現していることから、本医薬品投与 開始2か月間は2週間に1回の定期的な検査を行うという措置も既に講じてきたところ です。  (3)のところですが、そうした措置を講じてきたにもかかわらず、副作用報告数は減 少しておらず、ここに書かれているような症例数が集まってきている状況であることか ら、2週に1回の検査実施が一層徹底されるように周知を図ることとしました。  11ページにありますのが具体的に医療機関に配布した資料ですので、後ほど覧いただ ければと思います。  3件目ですが、15ページを御覧いただきたいと思います。平成14年10月15日に措置を 講じたもので、薬剤名はイレッサ錠、成分名はゲフィチニブです。  2.経緯の(3)にありますように、本剤は平成14年7月に販売を開始しており、10月 に措置を講ずるまでの間に22例の間質性肺炎を含む肺障害の副作用が起こっておりまし て、そのうち半数の11例が亡くなられているという情報が入っていました。医療機関か ら直接報告を頂いたものの中にも間質性肺炎が4例ありまして、うち死亡が2例ありま した。合計で26例の副作用件数のうち13例が亡くなられたということです。そうした副 作用情報をベースとして、今回、10月15日に措置を講じたということです。  後ほど資料2でも御紹介させていただきますので詳細は省かせていただきますが、実 際に医療機関に配布した資料は17ページ以降に載せてあります。  4件目ですが、21ページを御覧いただきたいと思います。平成14年10月28日に講じた もので、薬剤名はラジカット注という注射薬、成分名はエダラボンです。  2.経緯の(3)にありますように、腎機能障害の増悪を含む急性腎不全の副作用の報 告が29例あり、そのうち因果関係が否定できない死亡例が10例、因果関係不明の死亡例 が2例ありました。特に80歳以上の患者において致命的な経過をたどることが多く、80 歳以上の死亡例8例、80歳未満では死亡4例です。  22ページに報告症例患者年齢区分の表がありますが、報告症例数が合計で29例のうち 死亡例が12例ありました。80代では報告症例数8例、うち死亡1例、90歳以上では報告 症例数2例、うち死亡1例となっています。  こうしたことから、10月の時点で緊急安全性情報を発出したということです。23ペー ジ以降に医療機関に配布した資料を載せておりますので、御覧いただければと思いま す。  5件目ですが、27ページを御覧いただきたいと思います。平成14年11月7日に講じた もので、薬剤名はセロクエル錠、一般名はフマル酸クエチアピンというものです。  2.経緯の(3)にありますように、糖尿病性昏睡、高血糖といった副作用が13例あり まして、うち死亡1例という報告があったことから、この時点で緊急安全性情報を発出 したということです。  29ページ以降に医療機関に配布した資料を載せておりますので、御覧いただければと 思います。説明は以上です。 ○松本部会長  ありがとうございました。御質問、御意見はございませんでしょうか。 ○堀内委員  チクロピジンは先発会社は第一製薬ですが、19社から発売されていますね。後発薬品 メーカーから緊急安全性情報が末端の医療機関まできちんと伝えられているのでしょう か。その辺の状況が分かりましたら教えていただければと思います。最近、いろいろな 後発品メーカーの医薬品を使わざるを得ない状況が増えているのですが、後発メーカー からの情報提供がきちんと行われるシステムが今後ますます重要になるのではないかと 考えております。 ○事務局  安全対策課の稲生でございます。塩酸チクロピジンにつきましては、ここにリストが ありますとおり、後発品メーカーがたくさんあります。これらのメーカーにつきまして はチクロピジン連絡会というのを日薬連でつくっておりまして、その中で情報提供の媒 体を共有化し、情報提供を行っております。 ○堀内委員  末端まで行っているかどうかということは、今後、大きな問題になるだろうというこ とだけ申し上げておきたいと思います。 ○松本部会長  この緊急安全性情報を出したことによる効果というのはいかがなのでしょうか。 ○安全対策課長  効果につきましては、安全対策の適否あるいはその方法を評価する上で重要な指標だ と考えております。それぞれ医薬品の特殊性に応じて具体的な方法は考えられるかと思 いますが、今回の塩酸チクロピジンの例を見ますと、様々な症例が蓄積されてくる中 で、時間的な要素が加わってくることにも改めて対応していく、それはすなわち評価を しながら足りない部分を補うということです。  この議題の(2)でゲフィチニブについての安全対策があるわけですが、そこで具体的 な数値を踏まえながら御説明する機会があると思いますので、よろしくお願いいたしま す。 ○松本部会長  ほかに御質問、御意見はございませんでしょうか。よろしければ、(2)のゲフィチニ ブ安全性問題検討会について事務局から説明をお願いします。 ○事務局  資料2を御覧いただきたいと思います。これはゲフィチニブ安全性問題検討会のとき に用いました資料でして、この中で主要なものを抜粋しまして、今回、資料とさせてい ただいております。  1ページに名簿がありますが、12名の先生方に御参画いただきました。ゲフィチニ ブ、製品名で申しますとイレッサ錠ですが、これの承認に至るまでの経緯、市販の状況 などを御紹介させていただきまして、その中で御議論いただきました。12月25日に開か れた本会議におきまして、この資料を基に事務局から説明させていただきましたが、そ の中のポイントになるところを御紹介したいと思います。  2ページですが、イレッサ錠の申請から市販までの経緯について冒頭に御説明させて いただきました。14年1月に承認申請が出されまして、7月に承認されています。  7月16日から販売が開始されまして、その後10月、12月、そして検討会が開かれまし た12月25日の段階において、それぞれ我々が報告を受けました副作用の件数を取りまと めております。  10月15日、先ほど御紹介しました緊急安全性情報を発出した段階におきましては、間 質性肺炎、急性肺障害といった副作用が合計26例がありまして、そのうち13例が死亡例 だったということを緊急安全性情報の発出と同時に公表しております。  その後供給会社であるアストラゼネカ社が10月26日に個別に症例数を公表しておりま して、間質性肺炎などの副作用が125例、うち死亡例が39例でした。  12月4日、我々も11月25日時点の数字を公表しましたが、間質性肺炎等の副作用が 291例、うち死亡例が81例となっています。以上が検討会の前までの経緯です。  3ページは、検討会が行われる時点で改めて副作用の件数を取りまとめたものです。 会議は25日ですが、作業の関係上、12月13日に報告を頂いた分までを集計した数字で す。間質性肺炎・急性肺障害に関する副作用報告は358例、うち死亡が114例でした。こ のときはその他の副作用も集計しておりまして、その数が136例、うち死亡が10例あっ たということを報告しております。  4ページから13ページまで、個別の1例ごとの副作用名、転帰をリストにして御紹介 しております。4ページから10ページまでが間質性肺炎・急性肺障害に関する副作用を 取りまとめたものです。11ページから13ページまでが、その他の副作用を一覧にしたも のです。この資料のうち、詳しい症例を報告いただいた40例の症例データに関して、当 日、検討会で御議論いただきました。事務局では、今申し上げました件数の解析を行い ました。それを14ページ以降に載せています。  14ページは、10月15日に緊急安全性情報を発出した前後の間質性肺炎及び急性肺障害 の発現状況を比較した表です。ここでの解析の対象になるものが358例あるわけですが、 発現日が不明の症例は比較ができませんので、残された症例数での検討ということにな ります。10月15日以前は副作用件数は155例、そのうち死亡例は71例で、報告例数に対 する割合は45.8%でした。緊急安全性情報を出した後の10月16日以降は副作用件数は133 例、うち死亡例は31例で23.3%となっています。  15ページは、発売を開始してから12月13日に取りまとめをした時点までの間質性肺炎 等に関する報告件数を1週間単位で棒グラフにしたものです。棒グラフの頂点がその週 における件数、黒い部分は死亡例の数です。折れ線グラフで示しました右上がりの曲線 が累積の報告件数です。トータルの症例数は358例ありましたが、発現日が分からない 70例を除いて、288例が解析の対象になっています。全体の週別の推移は、このような 傾向にあることが分かるかと思います。  16ページは間質性肺炎及び急性肺障害の発現時期別症例数の状況です。棒グラフの頂 点が副作用の件数、黒い部分が死亡数です。1週から4週目ぐらいまでが副作用が起こ りやすく、死亡例も比較的多く報告されたという状況が見てとれるかと思います。  これらについて検討会で我々が紹介させていただき、それを基にして御議論いただき まして、今後の対応を取りまとめております。それが17ページです。大きく分けて五つ のポイントから今後の対応を実施すべきだというお話がありました。  前文として、ゲフィチニブについて、これまで「緊急安全性情報」の発出等により安 全確保がなされてきたところであるが、今後、より一層安全に使用するための方策とし て、5つのことを実施する必要があるという御意見を頂きました。  一点目はインフォームド・コンセントや情報提供の徹底です。  二点目は、より適切な管理下での使用の徹底ということで、経験をもつ医師が使用す るとともに、緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。投与開始後4週間は注意 を要する時期であるため、入院又はそれに準ずる管理の下でこの薬剤が使われるべきで はないかという御意見もありました。  三点目は、間質性肺炎、肺線維症、またはこれらの疾患の既往歴のある患者への投与 を慎重にすべきだという御意見もありました。  四点目は、「服用者向けの情報提供資料」を作成すべきであるという御意見がありま した。  五点目は、企業による市販後安全対策の強化です。承認条件として付された試験研究 を早急に実施するとともに、その原因究明のための専門家による検討会を設置し、それ らの検討結果について報告する必要があるという御意見がありました。  また、本薬剤を供給する企業として副作用情報の収集や医療機関等への情報提供の実 施方法について再検討するとともに、間質性肺炎・急性肺障害の発現因子、ハイリスク の患者背景等を明らかにするためのプロスペクティブな調査・分析を行うこと等によ り、本剤の適正使用を推進すべきだという御意見もありました。  以上のことを我々として関係団体、当該企業に対して具体的に通知という形で指示を したわけですが、それを19ページ以降に載せています。検討会が行われた翌日の12月26 日に対応を採らせていただいております。資料の説明は以上です。 ○松本部会長  ありがとうございました。この検討会には本日御出席の委員の方の中にも参画された 方がおられますが、本題に関して御質問、御意見はございませんでしょうか。 ○倉田(毅)委員  この薬は日本オリジンではないですよね。外国でも承認されて使っていると思うので すが、その場合、このようなことは起きていないのですか。 ○堀内委員  外国では使われておりません。日本だけです。 ○倉田(毅)委員  使われていないのですか。失礼しました。 ○田代委員  15ページのグラフを見ますと、緊急安全性情報が出た後副作用が減っていますから緊 急安全性情報の効果があったことは分かるのですが、情報の内容として使用上の注意と いうのはいろいろありますね。使っていてこうなった場合は中止しろとか、そういうこ とを守ったために、今まで起こっていた副作用が未然に予防されたのか、それともトー タルの使用量が減ったために副作用も少なくなったのか、どちらなのでしょうか。 ○松本部会長  10月15日の緊急安全性情報の発出から検討会までの経過を、もう一度説明していただ けますか。 ○事務局  使用された患者数を御紹介した方がよろしいかと思いますので、それについて触れさ せていただきますと、緊急安全性情報を発出したのが10月15日で、その前の9月時点で 使用された患者数は6,700程度と推定されています。11月末の段階で我々は企業から推 定患者数を入手しましたが、その数は約14,000です。9月の時点より倍になっていると いうことで、緊急安全性情報が出された直後も全体の使用患者数は減っていません。11 月末の段階の数字が約17,000例ありまして、この検討会を開く前の12月13日の段階では 18,960という数字を25日の検討会の場で御紹介させていただいています。したがって、 ベースになります患者数は緊急安全性情報の発出にはそれほど影響を受けずに使われて いるということではないかと思います。  一方、資料1の17ページにありますような措置を講じたことによって、このグラフで 見ますと、情報発出の前後における傾向の変化が効果として表れたのではないかと推察 されます。 ○堀内委員  今のことに関連して、12月から1月の間に発生した副作用についての報告があったら 教えていただきたいと思います。検討会後は減った状況が続いていると考えてよろしい わけですか。 ○事務局  検討会後の経過ですが、発現日ですと12月27日以降の報告症例は今のところまだ10例 程度しか報告がありませんので、発現日からいうとかなり少ないというのが現在の状況 です。 ○事務局  通常、緊急安全性情報を発出する際に我々は症例の精査を行いまして、自信を持って 発表できる件数が出てくるわけですが、12月25日の段階で検討した以降の傾向を御紹介 させていただきたいと思います。26日以降の分も含めて1月24日の段階で単純に報告の 数を数えますと、間質性肺炎等の副作用の件数は471例で、うち死亡数が167例です。こ れはあくまでも概数ですが、そのような状況です。  資料2の3ページを改めて御覧いただきたいと思います。12月13日に取りまとめた数 字ですが、間質性肺炎等の副作用の件数が358例で、うち死亡例が114例ですので、こち らの方が副作用の件数は113例、死亡例は53例少ないということです。  報告をもらった時点と発現日という形で分けると、資料2の3ページの358例という 数字は12月13日より前に起こっているわけですが、先ほど御紹介した471例というのは 知った時点で我々の方に報告してもらっていますので、発現日からすると12月13日に報 告したよりも前の発現日のものも含まれています。したがって、一概にこの二つの数の 比較はできないわけです。  発現別に分けてみた数字を申し上げます。12月27日以降を見ますと、その時点で新た に発現したものは現在のところ10例ほどで、うち死亡例が2例となっていまして、情報 を発出した後は副作用の件数自体も新たに発現したものとしてとらえた場合では非常に 少なくなっているというのが現時点で我々の知り得た情報です。ただ、冒頭に申し上げ ましたように、これらは概数ですので、改めて精査した数字は必要に応じて確定してい くということですが、取りあえず状況を申し上げました。 ○松本部会長  今事務局が報告したとおりだとすると大変よい結果だと思うのですが、いかがでしょ うか。 ○堀内委員  検討会以後というか、情報提供をしてから大幅に減ってきているということですね。 そうすると厚生労働省の考えとしては、間質性肺炎はイレッサに関連しているというこ とですね。なぜそういうことを聞くかというと、1月25日のランセットに、アストラゼ ネカの本社が間質性肺炎とイレッサとは直接因果関係があるかどうか不明であると発言 したという記事が出てますね。その後毎日新聞にもイレッサの記事が出ています。デー タを見ると因果関係は明確ではないかと私は思うのですが、それにもかかわらず、いま だにそういう姿勢をとるメーカーには問題があるのではないかと思います。  もう一つは、12月にアメリカで学会がありまして、そのときにアストラゼネカ社が主 催したモーニングシンポジウムがあって、それに出席したのですが、そこでアメリカに おける治験データが報告されました。副作用については軽微な副作用だけで重篤な副作 用は現れていないということが言われておりました。後でその演者に、当時、日本で80 例ぐらいの死亡が報告されていましたので、日本で80例ぐらいの死亡が起こっていると 言われているけれども、それを知ってるかと聞きましたら、知っていると言っていまし たが、シンポジウムでは全くそれを言わなかった。  こういうことが起こっているにもかかわらずメーカーがそれに対してきちんとした対 応をしない、プロトコールもいまだにできていない。これは承認審査の条件になってい ると思うのですが、その辺の資料をきちんと整備していただく必要があるのではないか と強く感じている次第です。 ○安全対策課長  御指摘ありがとうございます。現在の私どもの考え方を御説明申し上げます。冒頭、 ごあいさつの中で申し上げましたように、薬物療法を受けておられる患者の皆様の安全 が最も重要なことでございまして、それを一番の対策のターゲットとして数回にわたる 対応を行ってまいりました。具体的には緊急安全性情報で間質性肺炎がかなり患者の健 康に対して悪影響を及ぼすおそれがあるということを再度インポーズいたしまして、注 目していただく。また、12月25日の専門家会議におきまして、得られた症例の詳細な調 査等を行って、それを臨床の第一線にフィードバックする。そういうことで、とにかく 医薬品からの副作用でお困りになる患者の数を少なくしていく、あるいは万が一なった としても重くならずに済むようにしていくということに優先順位を置いております。  次に、その医薬品が本当に副作用を起こしているのかどうかということになるわけで すが、これにつきましては、もうそろそろスパンの長い観察、あるいは基礎的な研究に 立ち戻った全般的な対応が同時並行的に進められてしかるべきであると考えておりま す。  具体的には、資料2の22ページにあります企業による市販後安全対策の強化というと ころで試験研究について、これはメーカーが資料を出しつつあるところですし、プロス ペクティブな調査についても、例えば1週間に1度ぐらいずつプロトコールの検討とい うことで、とにかく早急にできるようにしていきたいと考えております。  少々具体的に申し上げますと、例えば肺がんで化学療法の対象になる患者さんのうち ゲフィチニブの投与対象になり得る患者さんの経過を調べて、全体としての副作用の発 現率を疫学的な調査による蓋然性の検討とか、どういう時期にどういう症状になって、 どのような治療法が最も効果があったかということについて、逐次、その情報を解析 し、第一線に戻すということを積み重ねることが大切だと思っております。  本部会でも改めて御報告申し上げる機会があると思いますが、お気付きの点などを事 務局の方に随時お知らせいただければありがたいと思っております。 ○松本部会長  一つだけ確認したいのですが、この通達が出た後、使用量は減っているのですか。 ○安全対策課長  新たに投与を開始される患者さんの数はごくわずかながら減っているような報告を受 けておりますが、累積としては毎月伸びていくという状況でございます。 ○田代委員  緊急安全性情報に、こういうことが起こった場合には投与を中止しろと書いてあるの ですけれども、中止した例というのはモニターされているのでしょうか。その数はどう なっていますか。 ○事務局  本日、そういったデータは手元にございませんので、調べてあるかどうかも含めまし て確認させていただきます。 ○田代委員  それを調べておかないと、堀内先生がおっしゃったようなことが解決できないのでは ないかと思います。 ○安全対策課長  医療機関から企業あるいは直接我々に御報告を頂く記載の中に詳細な経過があるわけ ですね。例えば何月何日の時点で投与を中止した、その結果、PaO2とか、すりガラ ス状の陰影がどうなったということが書いてあるのがかなりありまして、そういうとこ ろから分析は可能かと思います。それも含めた形で、12月25日の検討会では症例を検討 していただいておりますので、一通り目に触れていただいていると思いますが、改めて そういったことの重要性を踏まえて対応したいと思います。 ○倉田(雅)委員  17ページの4に「服用者向けの情報資料」の作成等と書いてありますが、これは既に 出来上がっているものなのでしょうか。 ○事務局  服用者向けの情報提供の媒体ですが、従前よりありましたものをリニューアルしまし て、間質性肺炎、急性肺障害について強調した書き方をしております。企業の方には新 たに患者向けに間質性肺炎、急性肺障害に特化した情報を作成するように指導している ところです。 ○倉田(雅)委員  患者向けにはまだ出来上がってないということですか。 ○安全対策企画官 患者さん向けの小冊子等につきましては以前から使ってたものがあ ったのですが、今回の指示で作り直したものもできております。それを使ってやってお りますが、それ以外にもやるべきだということで追加の指導もしているということで す。 ○倉田(雅)委員  17ページの2に「投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で」と書いてあ りますが、入院できない方もいらっしゃったわけですね。入院してない方が急に具合が 悪くなって病院に行かなければならないというときの対応の方法というのは病院でもし ていらっしゃると思うのですが、夜間の救急の受付の電話の対応とか、急に救急車を呼 んだときに救急隊員にどういうふうに言ったらすぐに病院に連れていってもらえるかと か、患者向けのパンフレットがあれば、そういう具体的なことを是非入れていただきた いと思います。 ○松本部会長  そのような趣旨だったのですが、やはり具体的な情報というのは必要だろうと思いま すので、対応していただければと思います。 ○倉田(雅)委員  この委員の中で唯一私が素人の代表だと思うのですが、患者さんというのは自分が病 気で困っているときに何かいいお薬が出たら、わらをもつかみたいということで先生に 私のために使ってくださいという強い要望があると思うのです。12月の朝日新聞に出て いた記事によりますと、適用外使用でも使ってらっしゃるし、患者の強い希望を拒むこ とができないで使ったということが書いてありましたけれども、患者の強い要望を、だ から使ったという言い訳の一つにしてほしくないと思います。お医者さんはプロなので すから、患者が半ば身勝手な要望をしたときに冷静にプロとして対応して、インフォー ムド・コンセントをきちんとしていただきたいと思います。セカンドオピニオンも勧め ていただきたいと思いますし、治療をしないという方法もあるということも患者に伝え ていただきたいと思います。 ○松本部会長  その辺をよろしくお願いいたします。ほかにございますか。 ○倉田(毅)委員  申請して承認されてから非常に短い期間に多数の死亡例が出ているわけですが、申請 時に治験のデータが出ていると思うのです。その情報の中にはこういうものはなかった のですか。それは非常に奇異だと思うのですが、審査過程においてそういう問題が何も 議論されていなければ、それはそれでよろしいのですけれども。 ○事務局  審査管理課からお答えします。臨床試験において日本人133例のうち3例、間質性肺 炎と思われるものが出ておりました。審査過程におきまして、間質性肺炎は原疾患から 起こる可能性もあるわけですが、この薬剤との関連性について調査をして、これは因果 関係が否定できないと判断しまして、重大な副作用のところに載せて、このような症状 が出た場合には注意しなさいということを盛り込んでおります。 ○松本部会長  この前の専門家会議のときに専門家の先生がおっしゃっていたのですが、肺がんの患 者さんはほとんどが肺線維症を持っているということです。堀内委員のおっしゃること は非常に重要なことでありまして、この辺はこれから解明していくべきことだろう、余 り時間を置いてもいけないのではないかと感じております。 ○堀内委員  冒頭に部会長がおっしゃったように、これから分子標的薬剤のような生体内の調整機 能の基本的なところに作用する薬がたくさん出てくる可能性があるわけで、治験をやっ た段階で副作用が見えないということも幾らでもあり得ると思うのですね。後で何が起 こるか分からない。患者に効くかどうかも分からない。こういう薬は最初に全症例追跡 をきちんとやるべきではないかと思います。  いい例がイリノテカンです。これは16,000人ぐらいだと思いますが、その全症例をチ ェックして、そのデータがきちんと添付文書に出ています。イリノテカンについても 160人ほど亡くなったと思いますが、いろいろなプロトコールの組合せで大きな評価を 受けている。最初の間は一定の患者に使って、評価をして、安全性と有効性を確認して からたくさんの患者に使っていくということがきちんとシステムとして作られるべきで はないかと考えています。 ○松本部会長  審査段階において、そういう条項も追加していただければと思います。 ○菅谷委員  この薬ばかりではないと思いますけれども、治験の対象になる患者さんと市販後の対 象になる患者さんというのは背景が違うわけですね。治験において副作用や有害事象が 出ていないから、その治験がどうのこうのというのは問題があることですし、市販後に どういう状況が起こるかということを常に念頭において、市販後に利用される患者さん の状況も検討した上で承認の際の対応が求められるべきだと思います。その辺のことを これからきちんと考えていかなくてはいけない一番重要なところではないかと思いま す。 ○松本部会長  おっしゃるとおりでありまして、そのためにもこの安全対策部会の委員の先生方、よ ろしくお願い申し上げます。ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら次の議 題に進ませていただきます。  議題4の改正薬事法についてに入りたいと思います。昨年7月に国会で可決成立しま した改正薬事法は、3年後の平成17年度に施行されるものと、この1年以内に施行され るものが含まれています。今回の改正薬事法には当部会とも関連が深い事項がたくさん 含まれておりまして、実際に制度が運用されますとまた御審議、御検討いただくことが あるかと思います。  この改正薬事法の概要につきましては前回の部会で事務局から御紹介させていただい ているのですが、本日は、1年以内に施行される部分のうち当部会に関係の深いものを もう一度、説明してもらいたいと思っております。制度的な部分はともかくとしまし て、今後の運用上、事務局の参考になるような御意見を委員の先生方から頂ければと願 っております。よろしくお願いいたします。  それでは最初に、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  資料3-1から3-9 まで9種類ほど制度改正関係の資料を用意しておりますので、端的 に御紹介させていただきたいと思います。  まず資料3-1を御覧いたいただきたいと思いますが、今回の制度改正に絡みます法律 の国会審議等の関する状況が書いてあります。  ポイントだけ申し上げますと、6月5日に参議院で可決され、その後7月に衆議院で 審議を行いまして、7月25日に衆議院の本会議で可決されました。  その中で参議院におきましては我々が提出した法案に関して一部修正が入っておりま して、1ページの下半分のところに概要を書いております。本部会と関係のあるところ として、薬事法関係の中の1.審議会機能の強化(大臣による副作用報告等の状況の報 告)というのがありますが、後ほど別の資料で紹介させていただきます。内容は後ほど 御覧いただければと思います。  次は資料3-2です。これは我々は国会等で法律を議論する際に全体的なテキストとし て作ったものでして、今回の制度改正全般的な事柄が盛り込んであります。既に前回の 部会でも御紹介しておりますので、本日は御意見を頂く際に適宜使わせていただくとい うことで、冒頭の説明は省かせていただきます。  次に資料3-3ですが、制度改正全般に関してイメージ図のようなものを付してありま す。これも前回の部会で御紹介しておりますので説明は省かせていただきまして、意見 を頂く際にこれを使って我々も補足説明をしたいと思っております。  続きまして資料3-4です。従来、医薬品あるいは医療用具という規制のくくりで取り 扱っていた生体由来の原料を用いた製品を別の切り口で生物由来製品と定義付けまし て、その取扱いについて、今回、制度改正の中で取り組んできております。薬事・食品 衛生審議会の中に臨時部会を設けまして、どういったものを生物由来製品として指定す るかということを議論してきましたが、その概要が書いてあります。詳細な説明は省か せていただきまして、本部会と関連のあるところを御紹介させていただきます。  14ページを御覧いただきますと、ここに生物由来製品の表示事項のまとめを書いてお りますが、容器に直接書く表示に関する事項が上段の部分になります。下の方に添付文 書の記載事項とありますが、法律に基づく表示事項として施行規則で定めるということ が書かれています。次のページにわたって概略を書いておりますが、本日の部会と密接 に関係しますので、資料3-5で説明させていただきたいと思います。  資料3-5に移らせていただきます。これは二つに分かれておりまして、資料3-5-1の方 が生物由来製品の添付文書記載要領を文章で書いたものです。資料3-5-2は特定生物由 来製品添付文書記載見本です。資料3-5-1を基に説明させていただきますが、適宜、資 料3-5-2を参照していただければと思います。  まず1ページですが、生物由来製品の添付文書の記載の仕方ということで、医薬品に ついての考え方を整理してあります。生物由来製品の中で特定生物由来製品というのが 特別なカテゴリーとして設けられていまして、血液製剤が代表的なものです。  一点目は、名称の前に「特定生物由来製品」と記載する。  資料3-5-2で申しますと、冒頭、太めの縁取りをした真下に○○○○剤とありますが、 そこが製品の名称が来る部分です。その左側に矢印で「規制区分を記載する」と解説が 書いてありますが、ここに特定生物由来製品と明確に書いていただく。それによって、 個々の製剤の名前を見て、左側に目を移していただくと、その品目が特定生物由来製品 であることが分かる、そういった考え方です。  二点目は、感染症伝播の危険性に関する事項として、(1)から(4)に掲げてあることを 添付文書に書いていただくという考え方です。  資料3-5-2で申しますと、先ほどの下の、○がたくさん並んでいる部分です。解説と して「感染症伝播の危険性に関し、〔冒頭に注意書〕を記載」という記述があります が、添付文書の冒頭にそういった内容の記載をしていただくという考え方です。  具体的な記載の例としては、資料3-5-1の3ページを御覧いただきたいと思います。 表の中に書かれているのが一つの書きぶりの例示です。ポイントだけ申しますと、本剤 は、ヒト血液由来成分を含有しており、原料となった血液を採取する際には問診、感染 症関連の検査を実施するとともに、製造工程においても一定の不活化処理などを実施 し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感 染症伝播の危険性を完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分 に検討した上、必要最小限の使用にとどめる。こうした内容が一つの例として挙げられ るかと思います。  1ページに戻りまして、三点目は「組成・性状」の項として、(1)から(4)に書いてあ ることを記載していただきます。原料となったヒト、動物の名前及び使用部位を書いて いただく。血液製剤であれば採血国、献血か非献血かを明確に書いていただくという内 容です。  資料3-5-2で申しますと、1ページの左側の真ん中の表が該当します。  四点目は「使用上の注意 重要な基本的注意」の項ですが、これは従来から添付文書 の中に設けられておりまして、当該製品使用者に対して説明し、その理解を得るよう努 めなければならない旨を記載するということです。  4ページの真ん中に具体的な記載例がありますが、こういったことを一つの例とし て、これを重要な基本的注意の中に書いていただくということです。  五点目は、「取扱い上の注意」の項です。当該製品を使用した場合、医薬品の名称、 製造番号、処方を受けた患者の氏名・住所等を記録し、20年間保存する旨を記載すると いうことです。  特定でない生物由来製品もありますが、その記載に関しては2ページの中段に示して あるような内容となっています。特定生物由来製品に関して、より具体的な記載を求め ておりまして、それよりは書くべき内容は生物由来製品に関しては少なくなっていま す。  今回の資料では医薬品に限らず医療用具の添付文書の書き方も付けておりますが、こ の場では医薬品を例として記載の考え方を御紹介させていただきました。  続きまして資料3-6に移らせていただきます。添付文書に書かれている情報を基に、 製剤を使う患者への情報の提供ということが今回の制度改正によって、第68条の7で規 定されました。  その趣旨は、特定生物由来製品については、その特性を踏まえた安全性と有効性に関 して関係者が必要な情報を共有している必要があるという考え方です。  具体的に提供する情報の例としては、2のところに書いてあるような事柄について説 明していただくということです。  2ページに参考として、特定生物由来製品の特性について情報提供する際の具体例を 書いてありますので、参考にしていただければと思います。  資料3-7に移らせていただきます。感染症定期報告制度というものでして、条文とし ては第68条の8で規定されたものです。  2ページの冒頭の(注)のところを御覧いただきますと、(1)と(2)という形で感染症に 関する情報のとらえ方が今回の制度改正で整理されることになります。(1)感染被害が 発生した個別症例・研究論文に関しては、これまでも一例ごとに情報を我々の方に報告 していただいておりまして、それに基づいて迅速な安全対策を講じる仕組みになってい ます。  それに加えて、今回の感染症定期報告というのは(2)に書いたような内容でして、感 染被害が発生するか否かが不明な段階において、原材料及び製品による感染症に関する 最新の知見・論文等を集積し、定期的な報告を求めることによりリスクを評価し、必要 に応じて対策を講ずる。感染の症例が起こった場合だけをとらえるのではなくて、感染 被害かどうか不明の段階でも情報をとらえて、しっかり把握しておくための制度になろ うかと思います。  これは生物由来製品を供給する企業に対して求めるものでして、幅広い文献等を調べ ることによって情報を集めて、それを解析して報告として求めるということです。  その手続が2ページの2のところに書いてありますが、図で御説明した方が分かりや すいと思いますので、6ページを御覧いただきたいと思います。  感染症定期報告の審議会への報告の流れという図です。  左上に生物由来製品を取り扱っている製造業者・輸入販売業者がいて、そちらから厚 生労働省に対して定期報告という形で報告がなされる。そうしますと我々安全対策課 と、血液製剤であれば血液対策課も深く関係してきますので、両課にまたがって本省で 取り扱うことになります。報告を受けたものを審議会に資料として逐次お配りして、内 容について御検討いただくことになりますが、その場合の検討の場として安全対策部会 あるいは血液事業部会が考えられます。どちらが先ということは決めてありませんが、 両方の部会がそれぞれの観点から御検討いただくことになると考えております。それら の審議は公開で行い、資料と議論の内容は国民に対して広く公開していこうと考えてお ります。  2ページに戻りまして、3.厚生労働省令で定める事項等のところですが、報告の対 象となる情報としては、ここに書いてありますような幅広い文献をいろいろ調べること になろうかと思います。企業が独自に収集しますが、国内外の文献を広く調べることが 必要になります。  8ページの別紙4に感染症定期報告の範囲を図にしてあります。右側に具体例とし て、ウシの血漿を原材料にした製品を持つ企業の場合が例示してあります。ウシの血漿 を使っていますので、ウシの血漿に係る文献はフォローしてもらう。それ以外にウシの 尿、腎臓、血液、更にはウシそのものに関連のあるものは一通り目を通して、検討の対 象にしていただくということです。この場合はウシの血漿が原材料ですので、動物種が 違うブタの血漿などに関しては報告範囲ではないという整理です。個々に扱う原材料に 応じて調べる範囲が決まってくるという内容です。  3ページに戻りまして、(4)報告期間等のルール事項です。  報告期間(論文等収集期間)は6か月とし、年2回、国への報告を求めることとする。 なお、当該品目等による感染症の発生状況等を踏まえ、必要に応じて審議会等の意見を 聞いて、個別品目ごとに報告回数を増やすこととします。  報告に当たっては、原材料の成分ごとにまとめて報告することを可とする。  感染症定期報告の報告事項の起点は、前回提出時の1か月前からとする。1か月前以 降の分については次回の報告内容としてカバーしていただく。報告書の取りまとめに当 たって、このようなタイムラグが出てくるということです。  9ページ以降に別紙5として、チェックしておくべき学会誌、学会発表の抄録、利用 するデータベース等の種類などを載せています。このような標準的なものは必要かなと 思っておりまして、制度の施行までの間に検討して、より充実したものにしていきたい と考えております。  次に資料3-8「医薬品・医療用具等安全性情報報告制度について」を御覧いただきた いと思います。これは生物由来製品という切り口ではありませんで、すべての医薬品が 対象になる制度です。従来、我々の方から通知で副作用の報告を医療関係の先生方にお 願いして、直接我々の方に報告を頂いています。企業に対して先生方が情報を提供して いただいて、企業から我々の方に報告されてくる制度も併せてありますが、従来、通知 により運用してきたものを、今回の制度改正において第77条の4の2という条文で明確 にされました。  従来いただいていた情報と同じような項目に関して今後も引き続きいただきたいと思 っておりまして、様式の見本を2ページに載せております。おなじみの様式かと思いま すが、何点か変更点がありますので、御紹介させていただきます。  1ページの2.現行制度の改正点のところを御覧いただきたいと思います。  (1)医薬品については、従来、幾つかの薬剤が並べて書いてあった場合、どれが第一 被疑薬かが見分けにくかったということがありますので、第一被疑薬に丸印を付けてい ただいたらどうかということです。  (2)医療機器に関する事項ですので、省略させていただきます。  (3)医療機関から直接厚生労働省へ報告された副作用・不具合等の報告については、 必要な安全対策をしっかりやっていくという観点から、必要に応じて、当該製品を提供 する企業へ情報提供することもあろうかと考えています。また、当該情報については、 報告書の出どころや個人のプライバシーに関する部分を除いて、公開することがあろう と考えております。  こうした事柄を知っていただいた上で報告していただくべきだろうということから、 報告書の冒頭で、こういうことがあるということを明記すべきだと考えています。2ペ ージの報告書(案)の冒頭に3つほど○が付いていますが、2つ目の○のところが、今説 明した部分です。以上が医療機関等における副作用報告についての整理の仕方です。  最後に資料3-9を御覧いただきたいと思います。医療機関、企業からの報告を含めて 我々が入手した副作用の情報を薬事・食品衛生審議会へ報告する制度です。先ほど国会 等の経緯で御紹介しましたとおり、審議会の機能強化という中で国会等で修正が入った 部分です。  2ページの2.報告事項及び報告方法のところに書いてありますが、(1)の(1)から (7)までをサマリーととらえまして、これらの症例をすべて審議会に報告してはどうか ということです。  そのほか(2)品目別の切り口で整理したもの、(3)具体的に採った措置の概要も併せ て審議会にお示しして、必要な御意見を頂くという制度に変わっていくということで す。長くなりましたが、説明は以上です。 ○松本部会長  ありがとうございました。改正薬事法のうち当部会に関係のある部分について説明し ていただきましたが、御質問、御意見はございますでしょうか。 ○倉田(毅)委員  資料3-5-1の中で感染症伝播の危険性とか、「危険性」という言葉を使っているので すが、「危険性」という言葉は使い方としておかしいですね。その他のところは「リス ク」という言葉を使っているのですが、ここでは「リスク」という言葉は使うべきでは ないかなと思います。  ある治療をしようとして、このコップの中にある程度の量のものを入れて、それを遺 伝子で調べたら何かある。しかし入ってる量は非常に微量である。どうしてもその治療 に使わなくてはいけない。こういう場合は明らかに危険なものを使うわけで、これは危 険なのですね。「リスク」という言葉と「危険」という言葉は意味が違うのですね。 「危険」というのは、明らかにその中に何かあるという場合が危険であって、今ここで 使われるものは事前にメーカーでチェックをし、必要に応じて私どもの研究所でやるこ ともありますが、そういう中で、今ある科学技術のレベルでは見付からないものを使っ てるわけです。そのリスクはゼロかというと、ゼロではないわけです。  10年以上前には病原体の遺伝子診断が簡単にできなかったのですが、今は事前にでき るわけです。そこで技術の進歩があって、これからまた更に進めば、ウシの問題にして も、今は検出できないレベルのものも10年たったら、あれば出るという時代が来ると思 うのです。今はそれができないので、この問題が起きているわけです。  病原体に関しては、危険に陥る可能性というのが「リスク」という使い方なのです ね。病原体を扱うときにバイオセーフティの上ではこれは世界中共通の使い方なので す。この言葉をお使いいただくときに感染伝播のリスクの有無に関するとか、そういう 使い方をされた方がいいかなと思います。  資料6、7、8の方は感染のリスクとか感染症のリスクとなっていて、意味としては 分かりやすくなっています。「危険」という言葉と「リスク」という言葉はちょっと違 うので、その場に適切な言葉を使うべきだと思います。 ○松本部会長  その辺は検討していただければと思います。ほかにございますか。 ○上田委員  資料3-5-1の2ページの5.「取扱い上の注意」の項で「氏名・住所等を記録し、20 年間保存する旨を記載すること」とありますが、このシステム自身がかなり困難ではな いか。患者さんに使った場合、カルテに書くということがありますね。カルテ以外のも のを作るということになるのか。カルテの保存期間は5年とか10年の義務ですね。医療 機関が途中で解散したりということもありますが、そういうときの担保はどうするの か。どのくらいの拘束力を持つかとか、医療機関にとっては大きいことだと思うのです けれども、その辺についてお願いします。 ○事務局  今日御紹介いたしました事項は7月からの施行で、これから準備を進めていくことに なりますので、その中で細かい現場での対応については考えていきたいと思います。 ○首藤委員  先ほどの倉田委員の御意見に関連して、「リスク」という言葉は使うべきなのでしょ うけれども、「リスク」というのは日本語にならないので、一般の人は必ずしも理解し ていないという問題があります。  資料3-6の趣旨のところに「その特性を踏まえた安全性と有効性(いわゆるリスクと ベネフィット)」と書いてあるのですね。対応させてみると、ここではリスクが安全性 という言葉で使われているのですね。その辺を考えると、分かりやすい言葉ということ だったら若干の意味の違いがあるかもしれませんけど、倉田委員がおっしゃったよう に、ここの場所は「危険性」と書いた方が一般の人に分かるのではないかという気がい たします。 ○松本部会長  語句の解釈の問題ですから、御意見を伺っておくということでいいですね。ここで白 黒を付けることではない。 ○岸田委員  資料3-8の2ページに医薬品安全性情報報告書(案)というのがあって、3ページの上 に検査値(副作用と関係のある検査値等)と書いてありますね。循環器系の方から申し上 げますと、薬剤性のQT延長症候群というのがありまして、これは突然の意識消失、失 神発作などを来す疾患ですが、原因は重症の不整脈ということになっています。そうい うことから、我々はいろいろな資料を見る場合でも心電図が重要になってきます。ここ に書いてある検査値という表現だけですと、そういう資料が漏れる可能性があるわけで す。安全対策の面からも資料をできるだけ多く欲しいというのが私の希望でして、「検 査値」と言うとニュアンスが弱くなります。その後に「及び検査資料のコピー」とか、 そのようなものを追加していただきますと有り難いと思います。 ○松本部会長  これまでは肝機能異常とか血液異常が主に報告されていたので、こういう表現になっ ていると思うのですが、最近の副作用というと、それ以外にもいろいろとありますの で、この形式は少し変えてみることが必要ではないかと思います。よろしくお願いしま す。 ○土屋委員  資料3-4の14ページですが、二点あります。「直接の容器、被包の表示」の1に「生 物」又は「特生物」の文字は、白地、黒枠、黒字をもって記載するとありますが、私が 一つ危惧しますのは、生物と特生物というものが、例えば黒枠といったときに、パッと 見て視認性があるかどうかという検討をきちんとされたのかということです。この目的 は、それを分からせたいということだと思うのですね。生物の方は角張った黒枠にする とか、片方は角のとれた楕円形のような形にするとか、パッと見て生物、特生物が分か るような規定ということが考えられているのか。  位置も問題でして、私は注射薬の画像をいろいろ検討していたときに、ラベル上に記 載はあるのですが、それを一べつして見ることができない。クルッと回さないと分から ないということがあるのですね。記載する位置も非常に重要な情報ですが、そういうこ との検討がなされているのかどうかということが一つです。  もう一つは、ロット番号を記載するというのは意味がないような気がします。従来の 考え方でいくとロット番号という考え方もありますが、特に特生物の方は20年間記録し なくてはいけないという義務が医療機関として出てくるわけです。  記録方式をどうするかですが、ICチップを利用するとか、医療機関が記録のトレー サビリティをとるのに楽ができるというか、確実にできるようなやり方が考えられても いいのではないか。その場合にはロット番号などというラフなものではなくて、1本1 本にシリアル番号を振るという考え方もあるわけです。ロット番号だと標準化ができて いないとかいろいろな意見が出ていますので、そんなことをやるぐらいだったらシリア ル番号を決めてしまって、シリアル番号で1本単位の管理がきちんとできるような、I Tを利用した管理の仕方の細かさを検討されたらいかがかなという気がします。 ○松本部会長  おっしゃるとおりだと思います。可能であれば、そういうことも考慮に入れていただ ければと思います。 ○堀内委員  資料3-5-1の添付文書ですが、遺伝子組換え製剤にあっては、遺伝子組換えである旨 を書くことになっていますね。これだけだとどういう組換えをしたのか全く分からない ので、添付文書を見て、どこが換わっているかはっきり分かるような記載にすべきでは ないかと思います。幾つかの組換え物質が出てきて、添付文書だと区別がつかないこと も起こる可能性もありますし、もう少し具体的に記載した方がいいのではないでしょう か。 ○松本部会長  添付文書を分かりやすくするというのは大事なことだと思います。特に生物由来製品 の場合、見たらはっきり分かるような、先ほど土屋委員のおっしゃったことも含めて検 討する必要があるのではないかと思います。  ほかに御意見はございませんでしょうか。全体を通じて御発言はございませんでしょ うか。それでは最後に、黒川課長から一言お願いいたします。 ○安全対策課長  本日は大変重要な御指摘を多々頂きましたので、まとめてお話し申し上げ、また御指 摘を頂ければと思います。順番はばらばらになりますが、まず、副作用のある医薬品で 後発品の多いものがある。今後、ジェネリック製品の採用が増えるであろう中で、安全 対策の根幹である情報提供が実態としてどうなっているのか。実際にお使いいただく医 療の場で十分満足いける、あるいは活用できる形になっているのかという御指摘があっ たかと思います。  採られた安全対策の事後評価はどうなっており、そのフィードバックはうまくいって いるのかということについても御指摘がありました。  また、最近、分子標的薬と言われるような新しいメカニズムの新薬が増えつつある中 で、承認申請のための治験が行われるわけですが、一方で市販後では一挙に臨床の多様 性の中で使われる。それぞれの役割というか、再整理などが必要ではないか。より安全 で有効な医薬品を医療の場に送り出すために、しっかり対応する上で見直しというか、 見ていくことが必要であろうという御指摘があったかと思います。  関連して、塩酸イリノテカンは全症例調査などがあって、かなり強い副作用が知られ ている薬ではあるものの、辛くも成功している例がある。  二つ目の関連として、生命自身あるいは細胞レベルのシグナル伝達を左右するような 極めて新しいメカニズムのものもあるわけでして、副作用のメカニズムを明らかにする ことが大切である。人類が経験していない部分もあるという御指摘だったかと思いま す。  また、患者向け説明文書の内容が大切である。使用上の注意の充実もさることなが ら、それをフォローアップできる内容が重要ではないか。患者は病気で苦しんでいる立 場からわがままなことも言いかねない場合もあるわけでして、これに対して、適正使用 の推進というところから医療情報等を活用して、きちんとした説明を行うことも重要で あるという御指摘もあったかと思います。  企業の基本姿勢に疑問を持たざるを得ないようなケースがあったということで、問題 提起がなされたかと思っております。  分かりにくい問題、難しい問題をどう分かりやすく表現し、お伝えしていくかという ことに関連して、幾つかありましたが、「リスク」と「危険性」の用語の使い分けとい うことで象徴されているのではないかと思っております。  法関連では、実際には些細なことに見えて、かなり影響の大きい問題があるのだとい う御指摘を頂きまして、これについても期待される効果があるような方法でいくべきで はないかという御指摘があったかと思います。  以上、いろいろ大切な問題を御指摘いただきましたが、ただ単に御意見を聞くという ことで終わらせずに、改めてこの部会で御報告し、御指導いただくということで考えて いきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○松本部会長  今日、委員の先生方から出されました御意見を参考にして、より良い制度の運用をし ていただければと思います。よろしくお願いいたします。  それでは、以上をもちまして閉会とさせていただきます。長時間にわたりましてあり がとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊 (内線2748)