03/02/03 第6回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第6回              厚生科学審議会生活環境水道部会                 水質管理専門委員会                    議事録                厚生労働省健康局水道課            第6回厚生科学審議会生活環境水道部会               水質管理専門委員会議事次第  日時  平成15年2月3日(月) 10:00〜17:12      平成15年2月4日(火) 10:00〜12:45  場所  第5合同庁舎専用第21会議室  出席委員(敬称略)   2月3日午前    安藤正典、伊藤禎彦、宇都宮暁子、江馬眞、大谷倫子、中村栄子    西村哲治、平田強、古米弘明、眞柄泰基   2月3日午後    安藤正典、伊藤禎彦、江馬眞、遠藤卓郎、大谷倫子、国包章一    中村栄子、西村哲治、平田強、眞柄泰基   2月4日午前    安藤正典、伊藤禎彦、宇都宮暁子、江馬眞、遠藤卓郎、大谷倫子    国包章一、西村哲治、平田強、古米弘明、眞柄泰基 1.開会 2.議事   (1)水質基準及び水質検査方法(各論3)   (2)その他 3.閉会                 ( 2月3日 ) ○松田室長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会水質管理専門委員 会を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうござい ます。  本日は午前、午後と開催予定でございます。遠藤委員、国包委員は所用によって本日 は午後以降の御出席となっております。それから、宇都宮委員と古米委員におかれまし ては、午後は所用により御欠席との御連絡をいただいております。  それから、手続上でございますが、委員の皆様のお手元に配付してございますが、厚 生科学審議会の委員の改正に伴う手続といたしまして、眞柄部会長から本委員会の委員 への指名書をお配りしているかと思います。御確認いただければと思います。改めてよ ろしくお願いいたします。なお、委員長には、眞柄先生が選任されてございます。  それでは、眞柄委員長からよろしくお願いいたします。 ○眞柄委員長  おはようございます。今、松田室長補佐から御紹介がありましたように、厚生科学審 議会の再選がありまして、生活環境水道部会につきましては引き続き、私が部会長を務 めることになりました。また、専門委員の先生方につきましても、引き続き専門委員と して御参加をいただき、水質基準等に関することについて御審議をいただきたいと思い ますので、よろしくお願いいたします。  なお、先ほどありましたように、本日は10時から17時、明日も午前中を予定しており まして、両日におきまして水質基準の項目と基準値等について一応の結論を出したいと 思っておりますので、よろしく御協力のほどお願いをいたします。  それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をしたいと思いますので、事務局よ り御紹介ください。お願いいたします。 ○松田室長補佐  それでは、資料の確認をさせていただきます。  1枚目が議事次第でございます。おめくりいただきますと、専門委員会の名簿をつけ てございます。  資料1、第5回水質管理専門委員会議事録でございます。  資料2「微生物に係る基準について」でございます。  資料3につきましては分かれてございます。化学物質に関する基準関係資料というこ とで、資料3−1「検討対象化学物質選定の考え方について」でございます。資料3− 2「化学物質に係る評価値の算出方法等について」でございます。資料3−3「水質検 査方法の概要について」でございます。資料3−4「化学物質の水質基準等への分類基 準について(試案)」でございます。資料3−5「検討対象項目一覧−化学物質関係 (農薬を除く)−」でございます。資料3−6「検討対象農薬選定の考え方について (案)」でございます。資料3−7「検討対象農薬一覧」でございます。資料3−8 「今後の検討対象農薬リスト」でございます。  資料については以上でございまして、参考資料1「今後の審議日程の目安」でござい ます。  参考資料2「公益法人に係る改革を推進するための厚生労働省関係法律の整備に関す る法律案(仮称)の概要」ということでございます。  資料については以上でございますが、足りないものがございましたら事務局までお申 し付けいただければと思います。 ○眞柄委員長  よろしゅうございますか。それでは、一応お手元に参考資料があるというふうに扱わ せていただきたいと思います。  なお、先生方のところにはこういう厚いファイルがございまして、検討対象項目一覧 ということで、番号順に検討の対象となる項目について概要をまとめたものがございま す。検討の過程で御参考にしていただきたいと思いますので、これについてもあるとい うことを御確認ください。  なお、間違いないと思いますが、それぞれの項目の審議の折で、もし欠けていた場合 には、その都度事務局に御指示をいただきたいと思います。  それでは、まず、資料1は前回の専門委員会の議事録でございます。委員の方々には 事前に目を通していただきまして間違いはないと思いますが、もし、間違い等がござい ましたら、追って事務局に御連絡をいただきたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  1点だけ事務局から御報告申し上げます。前回の専門委員会で、私が指定制度から登 録制度に移る関係の法律が4法律というふうに御報告申し上げましたけれども、実際は 6法案でございましたので、議事録では「6」というふうに変えさせていただいており ますので御了承いただきたいと思います。 ○眞柄委員長  わかりました。  それでは、早速ですが、議題に入りたいと思います。今回は、微生物に係る基準と化 学物質に関する基準、それから、水質検査方法、個別項目ごとに具体的に検討を進めて いきたいと思います。順番でいきますと微生物に係る基準でございますが、遠藤委員が 先ほど御紹介がありましたように、午前中は所用があって御欠席だそうでございますの で、微生物に係る基準につきましては、午後から検討したいと思います。したがいまし て、資料3関係の化学物質に関する基準について検討に入らせていただきたいと思いま す。  まず、検討項目を水質基準とするかどうかという分類に関しまして事務局より御紹介 をいただきまして、その基本的な原則を御了解いただいた上で以後の議論に入っていき たいと思いますので、最初に、化学物質の水質基準への分類基準について、事務局より 御説明ください。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料3−4「化学物質の水質基準等への分類基準について(試案)」とご ざいますけれども、これについて御説明を申し上げます。  化学物質の分類基準につきましては、先般御議論いただきました総論に基づきまし て、4分類を考えてみました。1番目として水質基準でございます。それから、2番目 といたしまして水質管理目標設定項目、これは総論のときには「水質目標設定項目(仮 称)」というふうなことで御議論いただいたのですが、「管理」を入れた方が内容がわ かりやすいのかなと思いまして「水質管理目標設定項目」とさせていただきました。3 番目といたしまして要検討項目、これは毒性評価が定まらないとかあるいは浄水中の存 在量が不明というようなことで、評価値を設定できないあるいは設定してもそれを基準 にするべきかどうか判断できないというような項目でございまして、逐次改正、今後の 改正に当たって情報収集を進め、必要な情報がそろった段階で判断をするということで ございます。4番目はその他の項目でございまして、これは検討の結果、水質基準ある いは水質管理目標設定項目といったものには該当しない、当面注意は払わなくてよいだ ろうという項目でございます。  水質基準につきましては、総論で御議論いただきましたように、地域性、効率性をふ まえた柔軟な運用ということでございますので、評価値の10分の1に相当する値を超え て検出され、あるいは検出されるおそれの高い物質を水質基準にしたらどうかというこ とでございます。  それから、水質管理目標設定項目につきましては、水質基準の要件には該当しないも のの、場合によっては、浄水において評価値の10分の1に相当する値を超えて検出され る可能性がある物質または項目ということでございます。  その他項目につきましては、検討の結果、先ほど申し上げましたとおり、当面注意を 払わなくてよいだろうという物質でございます。  それ以外のものにつきましては、要検討項目ということで今後の検討を待つという項 目でございます。  留意事項でございますけれども、水銀やシアンにつきましては水道法第4条に例示さ れており、水道水中に含まれてはならないとされております。こういった経緯を踏まえ まして、水銀やシアンにつきましては、上記の分類条件にかかわらず現状どおり水質基 準として維持するということでございます。  それから、毒性評価が暫定的なものであるということから、評価値も暫定的とならざ るを得ない場合には、上記の(1)の分類基準に合致する場合であっても水質基準とはせ ず、(2)の水質管理目標設定項目に分類しております。  それから、農薬につきましては、総論で御審議いただいたときも御指摘がありました が、特に社会的な関心も高いということで、特別な配慮を払うべきであろうということ でございます。実際、農薬につきましては、(1)あるいは(2)というふうに分類されるこ とはまれなのですが、社会的な関心の高さを考慮して、個別の農薬ごとに(1)の分類に 該当する場合には水質基準として設定し、それに該当しない農薬については、下記の式 で与えられる検出指標値が0.5を超えないという、いわゆる総農薬方式により水質管理 目標設定項目に位置付けたらどうかということでございます。  数式がうまく書けないのですが、検出指標値というものは、ある農薬の検出された値 をその農薬の評価値で除して、その結果を足し算をするということでございます。その 結果が0.5を超えるか超えないかで判断をしようということでございます。ちみなに、 こういった方式はEUでも似たような例がございます。  ここの「農薬i」というのは検出状況、使用量などを勘案し、浄水で検出される可能 性の高い農薬を選定致します。これは後ほど議論になると思いますけれども、別途リス トアップをされております。  「説明」でございますけれども、水質基準への分類基準でございますが、全国的に見 れば検出率は低い項目、物質であっても、地域、原水の種類または浄水方法により人の 健康の保護または生活上の支障を生ずるおそれのあるものについては、すべて第4条の 水質基準項目として設定するとの総論の考え方を踏まえ、また、WHOで眞柄委員長が 委員になっておられるワーキンググループで議論されておりますけれども、10−fold  concept、WHOがガイドライン値を示すに当たって、私どもの評価値に該当する数値 の10分の1を超えて検出されるものについてガイドライン値を設定しようという考え方 などを参考といたしまして、現行の分類基準を緩和し、より広範囲の項目が基準に含ま れるようにしたということでございます。  2番目といたしまして、水質管理目標設定項目への分類基準でございます。現行の監 視項目への分類基準である「評価値の数%レベル以上」を「評価値の10分の1に相当す る値を超えて検出される可能性」というふうに変えたものでございます。なお、水質基 準への分類基準と同様、地域性を勘案し、検出率の条件を緩和して、より広範囲の項目 が含まれるようにしたところでございます。  最後に、四角で囲った注意書きがございますが、種々の化学物質の分類作業というよ うなことでございますので、これを効率的に行うために、一応、作業仮説としてこう いった形で事務局として作業をさせていただいたものでございます。個別の物質、項目 について検討した上で、不適切あるいは不適当な部分があれば、これについては戻って 修正をいただくということでございます。  説明は以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  以前に、新しい制度の枠組みについて御議論をいただきましたが、今回このような形 で考え方の試案が提示されました。これについて、先生方の御意見や御質問があれば、 どうぞお出しください。 ○古米委員  私自身がちょっとわかっていないところを確認したいと思います。総農薬方式では、 「i」という農薬に対して検出値と評価値の比率みたいなものを出しますね。その比率 を「Σ」しているということは、何に対して「Σ」をされているのですか。 ○岸部水道水質管理官  これは、数式がうまく書けなかったのですが、例えば、ある水道事業者がその地域で 使われている20農薬を選んで、その20農薬について検査をしたと致します。そうする と、それぞれの農薬ごとに検出値と指標値が設定されていますので、その比をとったも のを総和するということでございます。それで0.5を超えるかどうかで判断しようとい うようなことでございます。 ○古米委員  ということは、「Σ」は農薬の種類になっているということですか。 ○岸部水道水質管理官  「Σ」は比についての総和です。 ○古米委員  いいえ、「Σ」をとっているというのは、農薬の種類に対して和をとっておられると いうことですね。 ○岸部水道水質管理官  そういう意味ではそういうことです。 ○古米委員  年に1回測るのではなくて何回か測っている場合には、農薬の検出値自体は平均値を とらないと意味が混乱するように思います。たくさん測れば測るほど、和をとると0.5 をいずれ超えていくわけですから、そこら辺の定義を私の理解が不十分だったのでお聞 きしたのですけれども。それは年の平均値か何か一つの値を代表させて総和されている というように認識してよろしいですか。 ○岸部水道水質管理官  それは何かアドバイスがあれば。 ○眞柄委員長  それでは、西村委員から。 ○西村委員  各農薬の設定値に対して、その10分の1という数値が出てくると思いますが、その数 値以下の検出がされたときの数値の取扱いをどのようにするか、ここで検討していただ ければと思います。例えば、設定値の10分の1未満の測定値に関しては、検出評価値を 「ゼロ」とあてはめれば、農薬の測定項目がたくさんあっても「Σ」としてはゼロとみ なして評価できるという形でもいいのかと考えておりますけれども、ご意見をいただけ ればと思いますが、それでよろしいでしょうか。 ○眞柄委員長  古米委員が言われたのは、1年間で何回か測定したときに平均値でいくのかどうかと いうお話も含んでいますよね。この考え方は、測定したときのその水について0.5を超 えるか超えないかということを判断しようということです。後ほど安藤委員から水質検 査方法について御説明がありますが、農薬類についてはこれまでの検討や実績から見た ときに、ある資料をGC/MSで測定すれば50項目ぐらい一遍に測れる。あるいはLC/MSと 併用すれば100項目ぐらいは測れる。1回に100ぐらいの情報が出たときに、その情報を 基にしてこういう考え方でその水の農薬を評価して、0.5を超えたらしかるべき対応を とるようにという管理目標値だというふうにお考えいただければいいと思います。 ○伊藤委員  (4)の「その他」の項目の扱いについてですが、これは上までの3つの表と同じよう に、4つ目の表として一覧表にして示すようなものになるのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  「その他」のところは、事務局としては特段、今こうしたいというような意向はない のですが、もし、そうすることが望ましいというようなアドバイスをいただけるのであ ればそうしたいと思いますし、必要ないということであれば。 ○眞柄委員長  これについては、今、伊藤委員がおっしゃったように、現在の水質基準の改定の際 に、基準や監視項目になる以外にもっとたくさんの項目を検討の対象にしたわけです が、言わば(4)に相当するようなものがどういう化学物質であったかということについ て、必ずしも公開されていなかったと思います。逆に、そういう項目群は我が国の水道 水には存在しないということですので、言わば安全宣言、そういう意味では今、伊藤委 員がおっしゃったように、これは我が国では水道水質管理上問題にすべき項目でないと いう意味の言わば安全宣言になるのかもしれませんが、そういう意味では、情報を公開 するようにしていただいた方がいいと、伊藤委員はそういう趣旨ですね。 ○伊藤委員  そうですね。そう考えると、今ですと表が4つありますけれども、実質的な意味では 今回は表は3つになると思ってよろしいですか。 ○岸部水道水質管理官  表が3つといいますと。 ○伊藤委員  (1)(2)(3)の3つです。 ○眞柄委員長  「その他」はこういうものでしたという表も一緒につけて。 ○岸部水道水質管理官  それは、先ほどアドバイスいただいて、今、眞柄委員長もお話しになったように、「 その他」もリストアップして公表したらどうですかというお話がありましたので、そう いったことにする場合に4つの表ということになります。水質基準は法令で決めますけ れども、管理目標設定項目と要検討項目、今後の積み残し課題と言わば安全宣言したも のと、それについてはすべて公表するというような形になろうかと思います。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。 ○宇都宮委員  資料3−4の「化学物質の分類基準」のところですけれども、大体これでいいと思い ますが、1つだけ「留意事項」の(2)について意見があります。毒性評価が暫定的とい うものの中に、現状では10%を超過してかなり出ている項目、例えばアンチモン、ウラ ン、ニッケル、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸というふうに、検出率が高いものがあり ます。実際に10%を大幅に超過して検出されている項目は、毒性的に暫定的な評価値で あっても水質管理目標設定項目ではなく基準項目とした方がよろしいのではと思ってい ます。根本的なところですので最初に意見を述べさせていただきました。 ○眞柄委員長  これについて、ほかの委員の方の御意見はいかがでしょうか。 ○伊藤委員  やはりこの分類基準に対して例外はあるという立場をとるのがよろしいのではないで しょうか。既に、例外的な扱いをされたものが個別表の資料の中にはあると思います。 ○眞柄委員長  それでは、一応、基本的にはこういう方式でいくけれども、個々の化学物質等につい て議論の検討の過程で、宇都宮委員が言われたように、毒性評価が暫定的であっても、 それより非常に超えているようなものがあれば、そのときには皆さん方の御検討を勢力 的にしていただいて、その結果、基準にするべきであるという御判断が出れば、それは 水質基準の方にするし、そうはいってもまだ短期の毒性試験で、しかも無作用量がわ かっていないようなデータであるから、それは水質管理目標設定項目にするというの は、個々で議論するということにさせていただきたいと思います。  ほかにございますか。それでは、私から事務局に質問させていただきたいのですが、 水質基準は4条でというふうに掲げられておりますが、水質管理目標設定項目について 水道行政上どういう位置付けになるかということの御説明をしていただければありがた いと思います。 ○岸部水道水質管理官  総論のときの審議内容によれば、水質管理目標設定項目というのは、水質基準には該 当しないけれども、水道水質管理上注意を要する物質あるいは項目というような位置付 けでございます。ただ、それにも軽重があろうかと思いまして、中身によって取扱いが 異なってくるのではないかと思っております。法律効果上はこういうものを注意してい ますよという、単にそれだけでございます。ただ、ものによっては、基準にはしなかっ たけれども、現行の監視項目のように監視を私どもで指導させていただく物質もあろう かと思います。それは個別の物質の性格によるかと考えております。 ○眞柄委員長  今、岸部管理官のおっしゃったことは、いわゆる水質検査計画というものを今回の水 質基準の制度改正で水道事業体が立てるということになるわけですよね。その水質検査 項目の中身に、例えば、今言っている水質管理目標設定項目をどのように扱っているか というようなことも含まれると理解すればいいのですか。 ○岸部水道水質管理官  いえ、水質検査計画というのは、水質基準の設定項目についてつくるものでございま す。ただ、先ほど申し上げましたように、指導するかどうかというのはまた別問題でご ざいます。 ○眞柄委員長  安藤委員、何かございますか。 ○安藤委員  私も今、眞柄委員長と同じようなことを考えていまして、つまり水道事業体にとって は、具体的にこの位置付けはどうするのかというのは非常に関心が高いのだろうなと思 います。つまり、単なる注意なのかと。そうすると、前回も申し上げましたが、大きな ところはちゃんと注意するけれども、小さいところは注意だから関係ないということに なります。そうすると、非常にアンバランスができてきます。ですから、行政的にどう いう位置付けになるのかなというところが議論の中でも出てくるのでしょうが、もう ちょっとしていただければと思います。 ○岸部水道水質管理官  その意味で、今回御審議いただく中で、実際、水道事業体がやらなければいけないの は可能な限り水質基準に取り込むという考え方でございます。必要なものは法令に取り 込んでやっていただくというようなことを目指したいというふうに考えています。その ために今回、水質基準というのは地域性ということも含めて考え方は広がっておりま す。ですから、全国の水道事業体で問題になる項目なり物質というのは、地域ごとに異 なると思いますけれども、日本で問題になりそうなものはだいたい水質基準項目に含ま れているというふうな考え方でございます。そうはいいましても、水質管理目標設定項 目に絶対ないかと言うと、必ずしもそうではないでだろうということがあろうかと思い ます。それは先ほど申し上げましたが、物質の軽重が中にはあると思います。ですが、 水質管理目標設定項目すべてをやりなさいという指導は考えておりません。ぎりぎりの ところで基準に入らなかったけれども、これについて注意をしなさいというような物質 については、従来の監視項目のように御指導させていただこうということでございま す。それについては個別項目の審議の中で、これはというような御指摘をいただけれ ば、指導させていただく項目になろうかと思います。 ○眞柄委員長  よろしいですか。 ○大谷委員  今のお話ですと、従来に比べると水質基準がかなり大幅に増えるということになると 思います。これはまた後の水質検査計画とも関係するのかもしれませんが、それぞれが 地域性や水源や浄水処理方法によって水質基準項目の中の何に注目していくのか、その 水質検査計画の中にどういうものを盛り込んで検査していくのかということは、それぞ れの事業体が計画を作成することになると思いますが、その計画の認証というか、作成 にあたっての指導などは、厚生労働省なり地方厚生局がやることになるのでしょうか。 というのは、水質基準の項目が増えるということは、水質管理をする側にはかなりの負 担になります。例えば、水源や浄水処理方法から、この項目については3年に1回の頻度 まで省略できるということで検査計画を作成しても、厚生労働省や厚生局のそれでいい というお墨付きや、実際に5年なり10年のデータの積み重ねに基づいて説明しなければ、 実際に使っていただいている方になかなか納得していただけない部分もあると思いま す。水質基準を柔軟に運用するという考え方は良いと思いますが、結果的に、運用上水 道事業体にとって負担ばかり大きくなるのではないかということが一番心配な点です。 ○岸部水道水質管理官  今、御指摘のありました点ですけれども、いわゆるお墨付きという言葉でお話になり ましたが、認証とか認定ということは考えておりません。こういう時代でございますの で、そういうことは許されないということでございます。これについて総論で御議論い ただいたときに、要は自己責任原則というのでしょうか、それぞれの水道事業体で水質 検査計画をつくって、それを公開する、実際に利用者に見ていただくということになろ うかと思います。個別に指導というのは、地方分権の関係で給水人口5万人以上は大臣 直轄、それ以下は都道府県知事というふうになっておりますので、その仕分けに従って 個別指導をした際に、当然、水質検査計画についても見せていただいて指導をすること になろうかと思います。そうはいっても、地域的な水系の状況がございますから、都道 府県の水道部局の役割もまた出てこようかなというふうに考えております。 ○眞柄委員長  大谷委員、よろしいですか。とりあえず水道事業体が水質検査計画をつくって、こう いう計画でやるというのを市民に公開して、1年経てば結果も公開すると。今のペース で言えば、多分2年か3年に1度、厚生労働省なりあるいは都道府県の水道部局が事業 体に指導に入ります。指導に入ったときに過去の検査計画を見て、これでは足りない よ、これを足しなさいということもあるし、これで結構ですよというようなこともある という理解ですね。  では、とりあえず、こういう分類の基準に基づいて化学物質の個々の物質について検 討していくということにしまして、資料3−4は「試案」ということになっています が、「試案」は「試案」という形で残しておいて、一応このルールで後の検討をすると いうことにして、検討した結果、直すべきところがあったら直すという形でいきたいと 思いますので、お願いします。  それでは、続いて、検討化学物質選定の考え方と化学物質に係る評価値の算定方法に ついて、江馬委員からこれまでの検討結果を踏まえた資料を御準備していただきました ので、それについて御説明をいただきたいと思います。  江馬委員、よろしくお願いします。 ○江馬委員  検討対象化学物質選定の考え方につきまして、資料3−1です。  まず、化学物質に係る水質基準、健康関連項目の対象としては、次のものを選定いた しました。農薬については、西村委員の方から別途御説明があると思います。  まず、現在設定されている水質基準等の項目、水質基準(健康関連項目)、監視項目 等です。それから、2番目としましては、WHOの飲料水水質ガイドライン第3版で健 康影響の観点からガイドライン値の改訂・追加の検討がなされている項目です。3番目 にWHO、EPA、EU等におきまして、健康影響の観点からガイドライン値や基準値 が設定されている項目のうち、日本の水道水中で検出報告のあるものです。それから、 最後に、専門的観点から検討する必要のある物質等です。  2番目に、性状に係る水質基準の対象としては次のものを選定いたしました。まず、 現在設定されている水質基準等、水質基準(性状関連項目)、快適水質項目です。それ から、WHO飲料水水質ガイドライン第3版で、性状の観点からガイドライン値の改 訂・追加の検討がなされている項目です。それから、専門的観点から検討する必要のあ る物質等であります。  続きまして、化学物質に係る評価値の算出方法等につきまして御説明いたします。資 料は3−2です。  まず、「人の健康の保護に関する項目」として毒性評価ですが、毒性に評価に当たり ましては、以下の方法により検討を行いました。まず、WHO飲料水水質ガイドライ ン、IPCS環境保健クライテリア等の国際的な評価や検討時点において入手可能な文献情 報等によりまして、人の暴露データや動物を用いた毒性試験等の情報を収集・整理し て、毒性の評価を行いました。評価に当たりましては、暴露経路を考慮いたしました。  まず、閾値があると考えられる物質です。閾値というのは、それ以下の暴露量では化 学物質による悪影響が発現しないと考えられる値ですが、閾値があると考えられる物質 につきましては、物質の毒性に関する各種の知見から動物または人に対して影響を起こ さない最大の量、最大無毒性量(NOAEL)を求めまして、これを不確実係数で割りまし て、耐容1日摂取量、TDIを求めました。NOAELが求められない場合、これは実験の doseの設定の仕方等でNOAELが求められない場合は、最小毒性量(LOAEL)を用いまし た。  不確実係数につきましては、個体差10、種差10で100を用いることといたしました。 短期の毒性のNOAELを用いた場合、それから、NOAELではなくLOAEL、最小毒性量を用い た場合、NOAELの根拠となった毒性が重篤な場合、毒性試験の質が不十分な場合、この ような場合には、最大10の不確実係数を追加いたしました。  また、非遺伝子障害性の発がん性の場合は、不確実係数10を追加いたしました。  次に、閾値がないと考えられる化学物質につきましては、遺伝子障害性物質による発 がん性を有する等毒性に関する閾値がないと考えられる物質については、当該物質の摂 取による生涯を通じたリスク増分が10万分の1となるリスクレベルをもってTDIに相 当する値を求めました。外挿法といたしましては、線形多段外挿法を基本として用いま した。  次に、閾値の有無の検討に当たりましては、国際がん研究機関、IARCの発がん性評価 を基本として、米国EPA、その他の発がん性評価の結果も参考としました。  次に、内分泌かく乱物質につきましては、哺乳類、特に人への低用量域での健康影響 に関しては、現在のところ評価は確定しておりませんので、今後の研究を待たなければ なりません。したがって、現時点ではこの観点からの評価は見送ることといたしまし た。  次に、評価値の設定に当たりましては、WHO等が飲料水の水質基準設定に当たって 広く採用している方法を基本といたしました。食物、空気等他の暴露源からの寄与を考 慮し、生涯にわたる連続的な摂取をしても人の健康に影響が生じない水準を基として設 定いたしました。  具体的には、閾値があると考えられる物質につきましては、1日に飲用する水の量を 2L、人の平均体重50kg、水道水経由の暴露割合を10%、しかし、消毒副生成物につき ましては20%として、対象物質の1日暴露量が上の方法で決めましたTDIを超えない 値として評価値を設定いたしました。  水質基準の設定に当たりましては、水道水経由の暴露の割合を的確に反映させたもの とする必要がありますが、これらの暴露割合に関するデータを得ることは一般的に容易 ではありませんので、従来どおり水道水経由の暴露割合としてTDIの10%、消毒副生 成物につきましては20%を割り当てることを基本といたしました。  閾値がないと考えられる物質につきましては、VSDを基に評価値を設定いたしまし た。  水質基準は、水道において維持されることが必要であることにかんがみ、評価値の設 定に当たりましては、水処理技術及び検査技術についても考慮することといたしまし た。  具体的には、評価値が水道として実用可能な分析技術によって定量可能なレベルでな い場合には、評価値に代えて、必要な場合には一定の技術的手法により確保を図る方 法、定量下限を評価値とすること等の検討をいたしました。  それから、現時点におきましては、評価値を設定する水処理技術が存在しない場合に は、利用可能な最善の技術を取り入れ、既存の処理技術で得られる最小の値を評価値と することを検討することとしました。  最後に「性状に係る項目」ですが、色、濁り、においなど生活利用上障害の生ずるお それのある項目につきましては、水道水の性状として基本的に必要とされる項目を選定 しまして、障害を生ずる濃度レベルを基に評価を行い、評価値を設定いたしました。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まず、検討対象化学物質選定の考え方についてでありますが、これについ て御意見あるいは御質問があれば、どうぞお出しください。いかがでしょうか。よろ しゅうございますか。  それでは、評価値の算出方法についてでありますが、農薬選定の考え方については、 後ほど農薬のところで改めて西村委員から御説明をいただいて御審議いただくことにし たいと思っております。よろしいでしょうか。 ○安藤委員  1つお伺いしたいのですが、今の資料3−2の「性状に係る項目」で、色、濁り、に おいなど云々と書いてございまして「項目を選定し、障害を生ずる濃度レベルを元に」 の「障害」というのはどういうものを考えていらっしゃるのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  それは従来の基準設定項目に従い、それによって例えば異臭味被害を生ずるといった 形で選ばせていただいております。実際に個別表を見ていただきますと、従来の項目を 踏襲というような形になっております。 ○安藤委員  基本的にそれでよろしいのかなとは思いますが、この審議会の大分前に生物について どうしようかということが、生物というのはクリプトスポリジウムとかそういうもので はなくて、一般的にそこら辺にある藻類的なそういうものですね。それについては、注 意しましょうねということがちょっと書いてありました。今、水道では、そういう藻類 というのはリークしてきてしまいます。これは当然のお話でして、そういうものは性状 として、この濁度の中で全部網羅してしまうのか、あるいは濁りの中で網羅してしまう のか、こういう議論をしたら切りがなくなるので余り言いませんが、そこで障害という のはどういうことなのかということについてお伺いしたいのです。 ○眞柄委員長  それでは、今の安藤委員の御指摘のことは不快生物のことだと思いますので、いわゆ る生物・微生物学的性状のことについて議論するときに検討するということにさせてく ださい。性状に関することで障害を生ずる濃度レベルというのは、非常に個人差もあっ たりして難しい判断を迫られることになると思いますので、性状に関する項目について 議論をするときに、要するに、水道を使っている方々のいわゆる味やにおいに対する感 受性というようなものもどう考えるか、あるいはそれを考えた上で評価値をどう設定す るかということに気を配っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ほかにございますか。人の健康の保護に関する項目の不確実係数のところであります が、基本的には100ということになっておりまして、短期毒性のときには更に10、それ から、LOAELのときには10を足すというのは、一般的な化学物質のリスクを当てはめる ときのやり方ですが、毒性が重篤な場合とか非遺伝子障害性の発がんのときに更に10を 足すということは、農薬を含めてほかの化学物質の評価ではやっていないことだと思い ます。ただ、WHOのガイドラインのときにはこういうふうにやっていて、水道水によ る健康影響をできるだけ高く見積もるというか、要するに、水道というのは食品等に比 べて非選択性が多いメディアであるから、こういう物質については更に10見込もうとい うのがWHOのやり方でございますし、これまでも水道の水質基準を設定する際に、更 に10を加えるということはずっとやってきたことだと思います。今回の評価値の決定に 際しても、ある意味では公衆衛生の保護に対して配慮をして、更に10を加えるというの を継続したいというのが事務局の考え方であり、江馬委員のお考え方でもございますの で、そういうものを今回も適用したいということでありますが、それでよろしいです か。 ○安藤委員  ちょっとお伺いしたいのですが、不確実係数を追加するということは足すというこ と、例えば100だったら110になるということですか。 ○江馬委員  100×10です。 ○安藤委員  そうですよね、追加ではないですよね。ちょっと表現に注意が必要かと。 ○眞柄委員長  「不確実係数10を考慮する」とか「更に考慮する」と。ありがとうございます。日本 語はなかなか難しくて、「追加」と言うと110になってしまうみたいだけれども、そう ではなくて掛けるという意味です。  それでは、選定と算出方法についてはよろしゅうございますか。 ○宇都宮委員  閾値がないと考えられる化学物質のところで、リスクの10のマイナス5乗というの は、前回の改正と同じと考えてよろしいのでしょうか。それとも、ここのところは各国 によって決めていいとされる部分ですので、その根拠があればお聞きしたいと思いま す。 ○岸部水道水質管理官  これは前回どおりです。 ○宇都宮委員  特にそこはいじらなかったというふうに解釈してよろしいわけですね。 ○岸部水道水質管理官  はい。前回も10のマイナス5乗の増分ということで評価していただいていますので。 ○眞柄委員長  公式に言いますと、前回の水質基準の基準値を閾値がないものについては10のマイナ ス5乗でVSDを求めてやっていました。ただし、報告書には「十分に安全性を考慮し て」という文章になっておりまして、10のマイナス5乗という数字は出ておりませんで した。が、それ以来10年経ちましたので、そのときに10のマイナス5乗で実質的に評価 値を決定してきたことについて広く社会の認識が得られたということで、私の理解で は、江馬委員も担当の方も10のマイナス5乗というのを公式の文書として残すというふ うに御判断をされたと理解をいたしました。我が国の政府でさまざまな基準値を決める ときに、リスクの増分を10のマイナス5乗ないし10のマイナス6乗というふうにとると いうことを公式に文書で出しておりますので、今回このような形できちんと明記された というふうに理解をしておりますが、そういう理解をしていただければと思います。い や、10のマイナス6乗がいいという御意見があればまた別ですが。 ○宇都宮委員  そうできれば、すばらしいですよね。いろいろなことを考えて落ち着くところが、一 応10のマイナス5乗というふうに理解してよろしいのですか。 ○眞柄委員長  そう思いますが、後ほど閾値なしのVSDを求めるものが出てきて、10のマイナス6 乗で評価値を決めても、後ろの方に書いてありますように、分析測定も不可能だし、B ATを使ってもだめだしというようなものが多くなって、その根拠があいまいになるよ りも、やはり10のマイナス5乗というふうに書いた方が理解を得られるのではないだろ うかという意味では、10のマイナス5乗が妥当なところではないかと思います。  それでは、そんなルールに基づいて、個別の項目について議論をしていただきたいと 思いますが、もう一つ水質検査方法が、今の江馬委員が御準備いただいたものの中で一 つのポイントになりますので、水質検査方法について安藤委員からまとめていただきま した概要の御説明をいただきたいと思います。お願いします。 ○安藤委員  それでは、資料3−3をお願いいたします。基本的には、ここではまず1番目に書い てございますように、幾つかの許容値を定めたものに従って物事を考えていきますとい うことでございます。そうは申しましても水質検査技術というのは、まさに日進月歩と いいますか、去年と今年はがらっと変わるということもございますので、そういう技術 革新に対して適切に対応できるようにしていきたいということでございます。  水質の試料というのは当然ながらいろいろな状況がございますので、そのためにいろ いろな観点から検査方法というものは可能な方向にしていきたいということがございま す。とはいっても、もう一方でQA/QCいうものがございますので、そうそう何でも挙げ るというわけはいかないということになります。そういうことを考えまして、以下のよ うな考え方で検査方法というものを考えてまいりました。  それが「3」というところに書いてございます、一応7つの項目として挙げました。 まず、基準項目については、確度よく測定できる方法だということ、これは当然のこと でございます。  (2)といたしまして、当然定量下限としてどこを設定するかというのは、これから議 論されます基準値の10分の1を測定できる。それが測定できるということで、我々は測 定方法を確立するということになります。その10分の1の値がどういう精度で測れる か、これがまた非常に大事な問題になります。  そこで、精度の高い方法として基準値の10分の1というレベルで、無機化合物として は10%以内の変動係数というものを求めます。それから、有機化合物については幾つか の前処理調査というのがございますで、それを考慮して20%以内ということを基本的な 原則としようというところでございます。  それから、もう一つは、例えば、基準項目になるであろう化合物の中には、(2)(3)を クリアするために、どうしても有害物質を使わざるを得ないという状況が今までござい ました。それはなるべく避けようという観点に立っております。つまりベンゼンなどは 使いたくないということになりますし、そのほか有害物質というのはいまだにまだ使っ ている部分がございますが、それはなるべく減らすということをやっております。  それから、もう一つは、使わない方法をねらおうと。ただそうしますと、どうしても (3)がクリアできないという、当然裏腹の関係が出てくるということになります。そこ の接点を求めていくということを今も続けているということでございます。  (5)としては、できる限り複数の方法を挙げていってもいいだろうということにして いきたいと。ただし、(2)(3)あるいは(4)というのはクリアしていかなければいけない という条件が設定されるということでございます。  もう一つは、先ほどまでの議論の中で幾つかございましたように、水質管理目標設定 項目というのは非常に増える可能性があるということになります。そういうことも考え ますと、自動分析という考え方を積極的に取り入れていこうということでございます。 (2)(3)(4)というものがクリアできるならば、これを入れていってもいいということに していきいたということでございます。  それから、(7)としては、(1)から(4)の幾つかの問題を確保するために必要最低限の 要素というものがございますので、そういうことについて基本的なものを書く、つまり 記載方法についてはそういう観点で書くということになります。つまり、これはどうい うことかと申しますと、今までの検査方法というのは省令法として方法のみを記載して おりました。具体的な方法については、部長通知あるいは課長通知という形になってお りますので、そこを省令法という形でもう一回きちんと書くということになります。そ こについては、基本的な原則に従って問題を書くということになります。幾つかの工夫 すべき点は、試験方法では全部を書くことはできませんので、そういうものについて は、ある程度余地を残そうということでございます。  もう一つは、検査方法が多くなるということからいたしますと、なるべく一斉分析法 を基本的な原則とする。これは前回の改正でも行いましたけれども、更にその考え方は 推し進めていこうということでございます。  次のページにまいりまして、検査方法といたしましては同等以上のレベル、つまり幾 つかの検査方法というのが可能になるわけですから、それを公定法にしていこうという ことになります。つまり省令法になりますと、なかなかその考え方から新しいものを導 入しにくいという面が出てまいりますので、公定法にするためのシステムというものを つくっていかなければならないだろうということでございます。  その次が微生物に係る水質検査方法でございますが、一般細菌については標準寒天培 地ということ、それから、大腸菌につきましては、昔ながらという言い方はもうござい ませんが、大腸菌という基本的定義がございますのでそういうものと、もう一つは特定 酵素基質培地法ということを取り上げていこうということになります。  後で議論が出るかと思いますが、いわゆる大腸菌というものと大腸菌群というものが ございますので、そこでここでは多少変わってくるかもしれないというところはござい ます。  それから、化学物質につきましては、後に書いてございますような基本的な考え方で ございます。  まず、無機物質につきましては幾つか書いてございます。つまり重金属類につきまし てはフレームレス−原子吸光光度法、それから、還元気化−原子吸光光度法、水素化物 発生−原子吸光光度法、この3つの方法というものを取り上げていくべきだろうという ふうに考えております。当然、金属は1つでできればよろしいですが、原子吸光光度法 という方法と金属の物理的な性質ということからすると、これは変えられないというこ とになります。それから、4番目がICP法ということになります。これも従来どおり になります。それから、水素化物発生−ICP法。誘導結合プラズマ−質量分析法、つま りICP−MSという方法を採用するということでございます。それから、もう一つは吸光 光度法として鉄というもの、これは当然、水道事業体ではしょっちゅう測るし、あるい は現場で測るということもございますので、この吸光光度法を入れておくべきなのかな という、そこはまた御議論の中に入りますが、今の段階ではそういうふうに考えてござ います。  次のページにまいりまして、その他の無機化合物として幾つかございます。ここには 問題のある物質もございます。例えば、シアンイオンだとかあるいは硝酸性あるいは亜 硝酸性窒素、ふっ素というようなものがございますが、そういうものについては既にイ オンクロマトグラフ法が採用されておりますので、そういうものを採用していきたいと いうところでございます。そのほかに吸光光度法、滴定法というものも考えてございま す。  ただ、滴定法については、必要頻度ということからすると、これを残すべきかどうか というのはやはり御議論いただくものかなと思っております。  それから、非常に低濃度を測らなければいけない物質として有機物質がございます。 これは大きく分けますとヘッドスペース、つまり揮発性の高い物質、それから、そうで ない物質ということになります。揮発性の高い物質につきましては、一応2つの考え方 でいこうということでございます。1つはヘッドスペース−ガスクロマトグラフ法、も う一つはパージ・トラップ−ガスクロマトグラフ法ということになります。  もう一つは、これから議論がなされる農薬類でございますが、一応、固相抽出−GC/ MS法という考え方でいこうということでございます。  それから、農薬類でまだ幾つかございまして、固相抽出の高速液体クロマトグラフ法 ということもございます。それから、もう一つ、これから議論なされる幾つかの農薬に つきましては、LC/MSという方法についても考えなければいけないことが出てくるかも しれませんが、ここでは一応今までの観点を踏襲してこういう書き方をしております。  幾つかの有機物の中で、陰イオン界面活性剤あるいはフェノール類が現在の段階では 吸光光度法ということがあります。ただし、ここではクロロホルムというものを使って おりまして、これがそうではないものに代えられるかどうかというのは、今ぎりぎりま で検討をしております。クロロホルムというのは当然、水道では非常に大きなテーマで ございますので、それはやめるという方向にいきたいというふうには思っております。 ですが、現在の段階では、この方法を挙げさせていただいているというところでござい ます。  その他、対象項目としては7つほど書いてございます。蒸発残留物、有機物、pH、そ の他濁度までございます。蒸発残留物は重量法、それから、有機物につきましては現在 の段階では過マンガン酸カリウム消費量という形になっていますが、現在検討しており ますものがTOCに変えられるかという作業をしております。これは全国のデータを今 集めてございます。そういう段階で最終的に決めていきたいと思っております。当然な がら、過マンガン酸カリウム消費量というものは、精度という面ではかなり大きな誤差 が生じることが考えられるということでございますし、そのほかに有機物によってその 値は変わってしまうということもございますので、できる限りTOCに変えていきたい というところでございます。ただし、基準値をどうするかということは、データを蓄積 しなければいかんだろうというふうに考えているところです。  それから、pH、味、臭気、色度、濁度というものにつきましては、ここに書いてある ような考え方でやっていこうというところでございます。  そのほかの農薬につきましては、今幾つか申し上げましたけれども、後の表に出てま いりますので、機会をいただければお話ししたいというふうに考えております。具体的 な方法につきましては、表に別添という形で記載しておりますので、御参照いただけれ ば、あるいはそれぞれの項目で御議論いただく中で御指摘いただければよろしかろうと いうふうに思っております。  基本的には、今申し上げた方法でございますが、なるべくガスクロマトグラフ法とい うものはやめていきたいという考え方でございます。ガスクロマトグラフ−質量分析法 という考え方にしていきたいというところでございます。  だいたい以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、水質検査方法の概要について、基本的には基準値の10分の1を定量限界と して、その10分の1の変動係数が無機物で10%、有機物で20%。それから、ベンゼンの ようなものを使わない、いわゆるクリーンラボということを前提にお考えいただいたと いうことだろうと思いますが、いかがでしょうか。  中村委員、何か御意見がございましたら、どうぞお出しください。 ○中村委員  基本的な考え方はこれでいいと思います。「基本的考え方」の5番目に、例えば新し い分析法がどんどんできた場合に、それを公定検査法と認める柔軟なシステムを取り入 れるというのは、今お考えのシステムというのはどういう形になるかというのをお聞き したいのが1点です。  それから、すごく個別的なことも幾つか質問したいのですけれども。 ○眞柄委員長  それでは、まず、1番目のシステムの方をお願いします。 ○安藤委員  具体的にどういうものかというのはまだしっかりは固まっておりませんが、いずれに しても、どこかの機関が提案してきたものについて検証するシステムをつくらなければ いけないだろうというふうに考えております。私どもは、今までの試験方法についてす べて検証してきているということでございます。水道事業体というのは前から申し上げ ておりますように、技術の低いところから高いところもある。とにかく、そういうとこ ろでクリアできるような方法ということを考えておりますので、チェックを何度もやっ ていくということでございますので、そういうシステムをつくって、そこで検証してい けますねという評価を下したい、そういうシステムを考えているというところでござい ます。  どういう機関でやるかというのは、これからのお話だろうと思っておりますけれど も。 ○眞柄委員長  水質基準が今回、ある意味ではレビューをし直して新しい基準の体系をつくるわけで すが、先ほど分類のところで逐次改正という仕組みを今後考えて、そのための体制がつ くられるということを総論のところでも議論したわけで、その際には、基準の項目だけ ではなくて、今、安藤委員がおっしゃったように、検査方法についても逐次追加なり入 れ替えるというような作業を行うという理解でいいわけですね。 ○安藤委員  はい。是非そうお願いしたいということです。と申しますのは、検査方法というのは 1年、2年、場合によっては3年というふうに掛かります。したがいまして、なるべく 早くこちらの体制をつくらないと次が進まない、実態調査もできないということになり ますので、是非そこはお願いしたいと思っております。 ○眞柄委員長  では、中村委員、細かいことでも何でも結構です。 ○中村委員  測定方法の重金属のところで、前の検討のときにもナトリウムがICPに入っている のですが、本当に大丈夫なデータなのかというのはちょっと心配です。環境のJISの 方は、まだナトリウムはICPに入っていませんよね。その辺で、やはり非常にナトリ ウムが心配だなというのと、それから、一斉分析という考え方であれば、例えば硬度の カルシウム、マグネシウムはICPに入れてしまう。ICPだと測定濃度範囲が非常に 広いので、かなり高濃度でも測れるので、そういう考え方もいいのではないかという点 があります。 ○眞柄委員長  まず、ナトリウムはどうですか。 ○安藤委員  異論はありません。検討していないという言い方もおかしいですが、当然適用の方向 だろうという考え方が非常に強くなっているというだけですので、むしろ幾つかの問題 がやはりあるのだろうなというふうには思っております。それは、もう一度見直してみ たいと思います。 ○眞柄委員長  ナトリウムはイオンクロマトグラフの方がいいですよね。 ○安藤委員  はい。むしろ、その方がいいです。 ○眞柄委員長  ICPではちょっと心配ですよね。 ○安藤委員  むしろ希釈してしまうからいいかなという。ですから、そういう面で、希釈率の誤差 の方が大きいという考え方です。 ○眞柄委員長  カルシウム、マグネシウムもICPで測れるし、一方、伝統的に硬度というニュアン スがあるので、カルウシム、マグネシウムというよりも硬度ということだとすれば、 こっちの滴定法を残しておかなければいけないという、イオンクロマトグラフで塩素イ オンは入っていますね。  それから、鉄で吸光光度法が入っているけれども、これは比色法だっていいのでしょ う。だから、後ろの方で吸光光度法と比色法、透過光測定法とか似たようなものがぱら ぱら混じっているので、これはちょっと統一してくれないと。 ○岸部水道水質管理官  言葉遣いだけですが、事務局方で整理したときに、比色法というのは、比色計を用い るものを比色法と言っていまして、分光光度計を使って吸光度を測るものは吸光光度法 というふうに整理致しました。 ○眞柄委員長  透過光は固定のフィルターを使うのが透過光測定法ということになっているわけです か。細かいことを言えば、濁度も粒子カウンターで換算する方法などというのもある し、その辺は一つあれですが、ほかに何かございますか。 ○中村委員  あと、有機物をTOCに変えた場合に、基準値からの見直しということですが、今ま での過マンガン酸カリウム消費量でやっていたときの有機物の基準値とTOCの基準値 で、今データを集めていらっしゃるとおっしゃいましたが、その辺の取入れ方の考え方 を教えていただけませんか。 ○安藤委員  私の勝手な考え方ですが、理想は過マンガン酸カリウム消費量、つまり環境ではCO Dですね。それとTOCの相関関係を見ます。これは「Y=X」が理想です。こうはな りません。それは当然の話です。いろいろな水道事業体あるいは環境でもいろいろそう いうデータがあります。それぞれの水源では相関性がとれるということは大体出ていま す。ただし、その相関係数、それから、切片はそれぞれ違うこともわかっています。さ て、どうするかというお話かなと思います。1つの考え方としては、過マンガン酸カリ ウム消費量とTOCというのは何年かダブルでやっていってもいいよとか、そういう段 階で何かを決めていくだとか、幾つか考え方はあるのだろうなと。ただ、今そういう 「Y=幾つ」というのをずらずらと書いてみようかなという気がいたしております。そ れは明らかに「Y=X」にはならないと。ですから、ある程度のところで大体こんなも のかなというところを決めるしかないのかなと、今そんな感じでおります。ただ、これ は当然、環境筋でも今まで多く議論されてきたわけですから、それでも設定できないと いうのは、1つの根拠がそういう不明確さというのがあるわけですから、不明確はいつ まで経ったって不明確だろうと思います。ですから、それはある程度の1つの考え方で 決めていいだろうという感じに今は思っております。委員のおっしゃるとおりの問題は あろうとは思っております。 ○眞柄委員長  それについては、今日、明日の議論では安藤委員から資料の御提供が困難だというこ とでございましたので、次回の専門委員会の折に過マンガン酸カリウムとTOCの扱い については御議論をいただいて、委員の御判断をいただきたいと思います。一応そのと きにも、WHOなりEPAなりEUのTOCの値なども参考にしていただければ、水道 水として有すべき水準というのはおのずと明らかになるだろうと思いますので、その辺 も配慮して資料の準備をお願いいたします。  検査方法について、大谷委員、何か御意見ございますか。 ○大谷委員  5番の柔軟な体制ということで、何らかの形で検証するというお話だったのですが、例 えば食品衛生法等であれば、ほかの方法でも同等と認められる場合にはいいですよとい うふうになっています。それは特に、どこかがその方法を検証するということではな く、検査機関の自己責任というか、その検査法について標準作業書がきちんとできてい て、GLPに基づいてやっていることが証明できれば、それでいいということなのです。 事業体なりどこかの研究所が、公定法とは違うけれどもこういう方法を開発した場合 に、それをいったんどこかに提案して、検証して、では認めましょうというよりは、迅 速に取りれることができると思います。そのような柔軟な体制というのも1つの方法か と思いますが。 ○安藤委員  私はちょっと違いまして、食品の場合はそれぞれサンプルが前処理というのは全部違 う。水道の場合はそこまではいかない。そうしますと、水道事業体というのは先ほどか ら申し上げていますように、それぞれいろいろなレベルがあって、ある程度こういうも のが理想だよということは提示してあげた方がいいだろうと思います。それを検証する というのは当然GLP対応ということが求められるわけですから、それができればいい わけですが、それがないということになりますと、それはこれからつくるという状況に なりますので、ある程度の行く先というものは見せた方がいいのではないかという考え 方です。こういう方法が理想だろうなということは出しておいた方がいいだろうという ことです。あとは御勝手におやりなさいよと。ただし、後でだめだったらちゃんと見ま すよということよりも、ある程度出した方がいいのではないかと思っております。 ○岸部水道水質管理官  行政の立場から申し上げますと、結論としては安藤委員と同じですが、公定検査法と いうのは基準値とセットのものでございます。今回、公定法としてイメージしているの は、あくまでも一例でございまして、それにこれと同等と認められるものというような ことは当然追加したいと思いますが、では、だれが同等と認めるかというのは、やはり 基準値を設定している私ども行政サイドで認めるのかなと考えております。その際、安 藤委員がお話しになったように、検証プロセスを組み込んでどういう形にしていくかと いうのは、これから具体的な検討をしていかなければいけないと思っております。行政 としてはそういうふうな感じを持っております。 ○大谷委員  検査法と測定対象物質というのが一覧表になって示されていますが、水質基準として は、例えば、カドミウムであれば複数ある検査法の中のいずれかによって検査しなさい ということになるのでしょうか。今までは、こういう前処理をして何を何cc入れてとい うような、かなり詳しい方法が省令で述べられていたと思うのですが、これからはいく つかこういう方法がありますというのを提示して、どの方法を選ぶかは、検査する側の 裁量によるとなっていますが、具体的には水質基準に示される検査方法はどのような形 になるのでしょうか。 ○安藤委員  私は逆だと思っています。 ○眞柄委員長  確認で、フレームですから普通のネブライザーと超音波のネブライザーとICP−MSと 4つの方法が測定方法として書いてありますよね。実際に省令で示されるときには、大 谷委員が言われるのは、個々の例えばフレームレス−原子吸光光度法のときには、従来 の省令のように、要するにフローチャートまで詳しく書いてあった。こういうふうに なったときには、この4つの方式について細かな検査の手順から、どこで何を何ml入れ るとかあるいはICP−MSの条件は何ぼだとか、どの辺まで書くのですかという御質問だ と思います。 ○安藤委員  今まで省令法というのは何々方式まで、それしか書いていません。具体的に何mlとい うのは部長通知です。つまり、部長通知であったものをこっち側につくろうと。 ○大谷委員  それでは現在部長通知で詳しく述べられているような形で、法律に提示されるという ことですか。 ○安藤委員  基本的な原理原則だけは書きますよという考え方です。 ○眞柄委員長  この4つの方法が書かれるわけですね。 ○安藤委員  そうです。4つの方法は書くと。このどれかを使うと、大体CV10%でこのぐらいは できるはずですよという方法を載せる。 ○大谷委員  その1つ1つについて、今の部長通知と同じくらいの詳しさで記載されることになる のですか。 ○安藤委員  そういうふうに考えています。 ○岸部水道水質管理官  省令法の話が出ましたので、行政からお話しいたしますと、現在の方法というのは先 ほど安藤委員からお話がありましたように、フレームレス−原子吸光光度法というふう にしか書いていない。それではわからない。平成4年の前回改正以前のものについて は、今、委員が御指摘のように非常に詳細に書いてありました。私どもといたしまして は、従前のものは縛り過ぎるし、現在のものは簡単過ぎるというようなことで、本質的 な部分を要領よく書こうということで、その辺のところを安藤委員の方にお願いしたと いうことでございます。要するに必要最低限の要素だけということで、平成4年以前の 細かい省令ほどではないけれども、現在みたいな素っ気ない方法ではなくて、それを見 ればポイントを押さえられるようなところまでもう少し詳しく書いたものをつくりたい なと思っております。 ○眞柄委員長  宇都宮委員、何か御意見はありますか。 ○宇都宮委員  詳しい分析法は1つちゃんとあっていいし、簡単なところは簡単でいいのかなと思って 聞いていました。中途半端なのはかえってやめた方がいいのではないかと。詳しいもの は、分析法についてあれを見れば絶対わかるというのが1つは欲しいし、簡単なものは どういう機器をそろえたらいいかぐらいのところでいいのかなと、予算や分析準備など の参考になればいいのかなと思って聞いていました。私の意見はそんなところです。 ○眞柄委員長  中村委員もそうですよね。実際にフローチャートで全部書いてあれば、それはそれな りにちゃんとできるのだけれども、クリティカル・パスだけぱっぱっと書かれて、これ でやれと言われたって、それは難しいよ。委員長が余り発言してはいけないけれども、 現行の省令で試験方法しか書いていなくて、それと同等以上という文章が入っていたか どうか知らないけれども、その方が私は、現実の問題として水道協会が出しておられる 上水試験方法が少なくとも日本語でアベイラブルだし、それから、指定検査機関や水道 事業体の水質試験室で試験業務に従事されていらっしゃる方は、大学で科学的なことに ついて教育を受けられている方がかなり多くなっているので、AWWAやWPCFのいわゆるス タンダード・メソッドも読めるというようなことを考えると、測定方法だけ書いたらい いではないかと思うのだけれども、そこまで書かなければならない理由はあるのです か。 ○岸部水道水質管理官  先ほども申し上げましたように行政といたしましては、基準値というものは検査法と セットと考えておりますので、例えば、フレームレス−原子吸光光度法でも、単にそれ だけだと、具体的な方法が不明であり、それは検査者の自由裁量に任せるというわけに はいきません。例えば、前段で酸処理をするとか、あるいは場合によっては溶媒抽出す るといった、最低限ここは外してはいけないというようなものはお示しないといけない のかなと思っております。当然、他法令における基準値等を見てもこのような形になっ ていまして、現状で水道法の水質基準だけが、法令の整理から言うと異質なところにい るという感じがしますので、普通の形に戻したいなというふうに思っております。 ○谷津水道課長  今まで法体系と通知との2つで規定していたわけですが、通知で規定するということ が全体の行政の中で好ましいのか好ましくないのかという議論があるわけです。なるべ く法体系の中でしっかり規定すべきものは規定すべきという考えの下、なるべく3点 セットの法律、政令、省令の中で書き切るというのは、今の政府全体としては望ましい 世界だと。そういうものにどうやって近づけるかという御議論なものですから、そうい う要請と現場での要請の両方を頭に置いてご議論いただければと思います。 ○眞柄委員長  そういうことだそうですので、わかりました。谷津課長がおっしゃるように、行政の 流れというのはよく理解しますので、それでいいと思います。  もう一つは、先ほど中村委員や大谷委員が言われたように、同等である方法を開発し ましたよと、それを持っていくところを整備していただきたいですよね。だから、中村 委員のところとか我々のところでも学生が分析法や何か開発しますよね。それは勿論 ジャーナルに載るのだけれども、ジャーナルに載るのはこっちがパブリケーションする ので、それをピックアップしてくれるかどうかというのは、必ずしも信頼が置ける機関 がないわけで、そういうものを開発した人間が、例えば、水道の水質試験用に試験法を 開発したとしたら、これはどこへ行けば真剣に検討の対象にしてやるよという仕組み を、これとは関係ないけれども、全体の報告書を取りまとめるときの1つのポイントみ たいなところに書き忘れないように、安藤委員、覚えておいてください。よろしくお願 いいたします。 ○安藤委員  それは非常に大事なことで、こちらが開発する場合も結局そこらじゅうを探して持っ てくるということもございますので、窓口があると非常にありがたいと思います。 ○眞柄委員長  ほかにございましょうか。 ○宇都宮委員  先ほど安藤委員も言われましたけれども、新しいシステムをなるべく早く取り入れて いきたいというのが原則的な姿勢としてあると思います。3ページの有機化合物のとこ ろで安藤委員も触れられましたけれども、LC/MSを、実際には固相抽出−高速液体クロ マトグラフ法ですが、チウラムなどに現実に使っておりますので、これは逐次などと 言っていないで、今の段階で入れていっていただければと考えております。  それから、もう一つ「その他」で味、臭気の官能法というのが、検査する立場では結 構問題でして、特に味は何だかわけがわからないものを口に含まなければならないとい う、検査する方の健康上の理由で、全国的にも問題がある項目となっています。臭気は 感度が良いので危険性は少ないと思いますが、味の方は危険なことも予想されるので、 私もいろいろなところで味の検査が必要かどうかの議論に参加しております。味につい てどのように考えたらいいのか悩んでいます。この味というものが、どうしても水質の 評価として欠かすことのできないものかどうかも含めて。 ○眞柄委員長  わかりました。では、LC/MSについては安藤委員もおっしゃっていましたし、私の認 識も、今回入らなかったら先ほどのお話のように3年間などという話になるとちょっと 困るので、やはりLC/MSで対応できる物質については対応の欄をつくっていただければ と思います。  さて、宇都宮委員がおっしゃられた味ですね、これは本当に困りますね。本当に責任 がとれないのですよ。測れと言っても、測る人間は死ぬ思いで味を見なければならない ですよね。度胸を決めて。これは、いわゆる試験法としての開発とか進歩だとか、どう いうふうにしたらいいかというような検討は今いかにされているのですか、安藤委員。 ○宇都宮委員  これはいつも問題になりますよね。 ○安藤委員  私も答えられません。 ○眞柄委員長  たしか「異常でないこと」でしたよね。勿論、何ml含んでとか書いていないですよ ね。何度の水でどうこうというのもないですよね。とにかくそこに行って、その水で異 常でないことですよね。もうやめてしまったらどうですか。 ○宇都宮委員  味が総合評価ということで水質基準項目として必要があるのかなという疑問が、先ず あります。 ○安藤委員  事業体にとっては大事なのではないかと何となく思うことはあるのですが。味センサ ーという機械がありますけれども、そういう話でもないだろうし。 ○眞柄委員長  においは感度がいいから、検査をする人間にとってのリスクはそれほどではないです よね。味というのは、まして人によって個人差が大きいし。 ○岸部水道水質管理官  ケミカル・パラメータで置き換えられればいいのですが、それで置き換えられるとい うことは余り聞きません。 ○安藤委員  抜いてしまった場合どういう弊害が出てくるのでしょうか。 ○眞柄委員長  省令の中で味というのは書いてありますか。 ○岸部水道水質管理官  たしか「異常がないこと」というふうに書いてあります。 ○眞柄委員長  「異常な味」ですか。 ○矢野水道計画指導室長  4条に「異常な臭味がないこと」と書いてあります。 ○眞柄委員長  「異常な臭味」でしょう。だから、味とにおいと一緒に合わせて「臭味」として「異 常でないこと」。「臭味」で、最初に、検査方法としてにおいでやって、それでにおい がなければ味を見ろと。大概においの方が感度が高いですよね。それで味を見ろと。両 方なければいいと。もうにおいがだめだったら「異常な臭味」。省令は「臭味」と書い てあるのだったら、臭味でもいいのではないかという気がするのですけれども。 ○岸部水道水質管理官  法律も「臭味」ですね。 ○眞柄委員長  法律も「臭味」ですよね。思い付きみたいで申し訳ないけれども、確かに問題ですよ ね。省令はどうですか。 ○岸部水道水質管理官  「味」と書いて「異常でないこと」と。 ○眞柄委員長  省令は分けているんですね。 ○岸部水道水質管理官  省令は「味」と「臭気」と分けています。 ○眞柄委員長  4条の法律は「異常な臭味」ですよね。だって「異臭味があることと」とか「異臭味 水」と言うから、国民もその認識ですよね。この際、省令の方も「臭味」にしてしまっ たらどうですか。今日決める話ではないけれども、今更そんなことを言われても困りま すか。 ○谷津水道課長  実際に検査を担当される方のお立場はよく理解できますけれども、要は、その水は消 費者に直接配られますよね。そういう懸念というのはどこでフィルターを掛けるかとい う話で、なるべく元で掛けておいた方がいいような気がします。それが、いきなり人間 のバイオセンサーで測ればいいということではないのかもしれないですが、そういう理 由だから問題だというのは、ちょっと水道事業体本来の責務からして、いかがなものか なという気がしないでもないですね。 ○眞柄委員長  一般的にというよりも、異臭味の水質障害で一番多いのは、やはり油気のにおいで最 初に苦情が来ますよね。直結給水だったらまずないでしょうね。むしろ、味で来るの は、例えば、マンションの中の給排水管の現場のライニングをやったり、家が新しく なったり、銅のパイプに取り替えたときとか、どっちかといえば給水設備の方で障害が ありますね。でも、それもやはり水道の水質基準だから味ですか。しようがないですか ね。 ○宇都宮委員  一応議論していただいて仕方がないということなら了解します。いつも話題に出る項 目なので、あえて挙げたのですけれども。 ○眞柄委員長  それは確かにそうです。課長がおっしゃることもわかります。実際に検査する人間の 方も、においと味に異常がなければ大して問題はありませんと。あとpHを測るぐらいで しょうか。 ○大谷委員  実際の苦情でも、使っておられるお宅で、自分のところの蛇口から出ている水が変な 味がするという苦情であれば、実際にそこのご家庭の方が飲んでおられるので、進んで 飲んでにおいをかいで、大丈夫ですよとかこうこうですよとか説明するのですが、苦情 として持ち込まれた水の場合には、口の含むのは非常に抵抗があります。 ○眞柄委員長  そうですか。そういう問題が指摘されたけれども、やはりしようがないですね。水道 検査をする人のミッションだと思って覚悟してもらうしかないですね。 ○谷津水道課長  公定検査法として官能試験というのは余り変えられないのかもしれないですけれど も、今、言わば特殊災害的な議論も一方である中で、いろいろな意味でのリスクマネジ メントをどう考えるかという議論もあるかもしれないので、そこは、何か障害がある水 をいきなり飲めというのもまた極論のような気がしますので、検査法は検査法で一応 あって、そういう別の要素の議論というのは、また関連した議論として少し深める必要 があるのかもしれませんね。 ○眞柄委員長  そうですね。谷津課長がおっしゃるように、やはり議論はしなければならないのだけ れども、安藤委員が先ほど水道事業体は水質検査水準が低いところから高いところまで あるというふうに言われたけれども、基本的には水質検査に従事する人間が、例えば、 こういうものに対してどう対応しなければならないか、それこそリスクマネジメントも 含めて、そういうことができる人間が本来は従事すべきであって、だからむしろ、そう いうことに従事できるにふさわしい技術力を持っているかどうか、クオリフィケーショ ンするシステムの方が案外大事なのかもしれない。それは、この議論とは別かもしれな いけれども、そういうことではないかなと思います。かつて私も大学で実験していたと きに、実存抽出をやるのに一生懸命溶媒を自分でピペットでばんばん吸っていたのだけ れども、若い学生は「先生、怖いからピペッターを買ってくれ」と言って、「そんな金 はない」と何度ももめたことがあるのだけれども、考えてみれば同じような話ですよ ね。だから、やはりそういうものは検査方法よりも水質検査体制そのものの仕組みの中 で、要するに、自分で危機管理できる人間であるというぐらいのものが対応するのだと いうことを考えていくべきことかなと思います。  それでは、一応、江馬委員から選定の考え方と算出方法と水質検査方法、それから、 最初に分類の基準を伺いました。午前中は一通り、午後の各項目に関して検討する上 で、お互いに認識しておかなければならないことの御議論をいただいたと思います。改 めて午前中検討した4つのことについて、御意見や御質問がありましょうか。なけれ ば、これで午前中を終わりまして、午後は1時から再開したいと思いますが、よろしゅ うございますか。それでは、午前中どうも御苦労様でした。午後は、具体的な項目につ いて検討に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。                   (休憩) ○眞柄委員長  それでは、時間になりましたので再開したいと思います。  午後は、午前中のディスカッションに基づき、それぞれの項目ごとに評価値を幾らに するか、その評価値に照らして検出状況、それから、水質検査の方法、その基準値を満 たす最善の技術があるかどうかという観点で議論を進めていきたいと思います。  お手元に「検討対象項目一覧」というものと、この分厚いファイルがございますの で、これらを参考にしながら進めてまいりますので、お願いいたします。  それでは、最初は、大分類の「健康に関する項目」の無機物質から順に御検討に入っ ていただきたいと思いますので、事務局から順次御説明をください。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料3−5に基づきまして順次御説明申し上げます。  2ページ目に、ここで使っている略語表を整理しておきましたので、随時御参照いた だきたいと思います。  最初に、検討対象項目一覧の(1)でございます。この表について簡単に御説明いたし ますと、整理番号は私どもが整理のためにつけた番号で、特段意味があるものではござ いません。  それから、「現行基準」は現行の水質基準があるものについて記載をいたしました。  「WHO」と書いてございますのは、WHOのガイドライン値を記載してございま す。  「TDI」の欄につきましては、今回、江馬委員のところで評価していただきました TDIを書いてございます。このときに「P」と書いてありますのは、プロビジョナル ということで暫定評価であるという趣旨でございます。それから、数字のところに「a q」と書いてございますのは、通常毒性試験は混餌あるいは経口でやるのですが、飲料 水でやったという試験でございます。それから、「v」と書いてありますのは、閾値が ないということで10のマイナス5乗リスクの増分ということでVSDの値でございま す。「RISK」と書いてございますのは、同じ閾値のない物質ではございますけれども、 VSDという形では計算されていなかったものを書いてございます。  それから、「水道の寄与率」が書いてございます。先ほど御説明申し上げましたとお り、基本的には10%、消毒副生成物については20%ということでございますけれども、 それなりのデータがある場合には、それなりの数値を使ってございます。  「評価値」は、先ほどの江馬委員のお話でありました形で算定した評価値でございま す。  「基準設定の要否」でございますが、「予備判定」と「本判定」とございます。あら かじめ審議を円滑化させるために、事務局でこんな感じだろうということで予備判定を したものがここでございまして、「基」と書いてございますのが基準に分類されるもの であろうもの、「目」と書いてございますのは水質管理目標設定項目に分類されるもの であろうというもの、それから「検」と書いてございますのが要検討項目に分類される であろうもの、それから「−」を引いてございますのは、その他でございます。  「水質検査方法」につきましては、先ほど安藤委員からお話があったところを略語を 使って書いてございます。  次の「主として問題となる原水」ということで、河川水を原水として用いるときに問 題になる場合、あるいは湖沼水、地下水というような形で書いてございます。  「備考」の欄は、現行の監視項目があれば書いてございます。  それでは、(1)の金属類でございますけれども、まず、アンチモンについては現行は 監視項目ということで0.002mg/lという指針値が設定されております。今回、毒性評価 でプロビジョナルがとれましてTDIが0.006mg/kg/dayということで、10%のアロケー ションで評価値を算定いたしますと、0.015mg/lというようなことでございます。  検出状況を見ますと、単純に見れば10%を超えるものはございませんけれども、過去 に原水でこれを超えるような例があったというようなこと、あるいは数字が変動したと いうようなことから、当面、水質管理目標設定項目に置いておいてはどうかということ で分類したものでございます。検査方法につきましては、ここに書いてあるとおりでご ざいまして、主として問題となる原水でございますけれども、アンチモンの場合は地殻 からの由来でございますので、原水の種類というものもその辺りの地殻構造というよう なことかと思います。  次はどうしますか。 ○眞柄委員長  どうしましょうか。1つ1ついきますか、それともある程度くくっていきましょう か。 ○岸部水道水質管理官  では、金属類までいきましょうか。 ○眞柄委員長  5つずついきましょう。 ○岸部水道水質管理官  ウランでございますけれども、これは現行の監視項目0.002mg/lでございます。検出 状況を見ますと10%を超えるものというのは度々検出されておりますので水質基準に分 類してもいいのですが、毒性の評価がまだ暫定的なものであるというようなことから、 水質管理目標設定項目としております。  カドミウムにつきましては、従来0.01mg/lの数値になってございます。現在カドミウ ムにつきましては、国際的な場で議論されているところでございまして、その結果を 待って改訂等を考えたいということで、当面、従来の水質基準0.01mg/lに据え置いたら どうかということでございます。  銀でございますけれども、一部浄水器等に殺菌効果を目的として使用されているとい うことでお話しをいただきまして調べましたが、現在のところ毒性について評価情報が ないといようなことで要検討項目ということでございます。  クロムにつきましては0.05mg/lという数値でございます。これについても従来からの 評価を変えるような新たなデータはないということで、従来どおり基準値ということで 予備判定をしてございます。  以上、5項目でございます。 ○眞柄委員長  アンチモンについては毒性評価が変わったということで、評価値では0.015mg/lにな るけれども、浄水での検出状況は0.015mg/lを超えることはない。ただし、原水で超え ていることもあったので水質管理目標設定項目にする。  それから、ウランについては、毒性評価が確定していないということから水質管理目 標設定項目にする。  その他については、現在の基準を定めることから変わる情報がないのでそのままであ るということでありますが、これでよろしいでしょうか。  ウランですが、これまでの検出状況として高いのは専ら地下水か湧水だったので、湧 水を起源としている河川水はあり得ると思いますが、湖沼水はなかったと思うので湖沼 水のマークはとっておいてもいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。  伊藤委員、関西にいらっしゃるので関西はウランが高いですが、「目」でいいです か。どっちかというと。 ○伊藤委員  特に私からは意見はございません。 ○眞柄委員長  よろしいですか。それでは、そこまでは皆さん方御異論がないようですので。 ○伊藤委員  1つ質問させていただいてよろしいでしょうか。アンチモンのところですけれども、 原水で評価値の10%を超える値が観測されているということですが、浄水に加えて原水 での値というものも判断材料になるという理解でよろしいでしょうか。 ○眞柄委員長  今の伊藤委員の御意見は、アンチモンについて浄水を超えることはないけれども、原 水で超えることがありました。一応、水質管理目標設定項目にしたということは、原水 の検出状況も考慮の対象にしているのだけれども、ほかの項目についても原水も一応、 基準設定の要否のときに考慮の対象にするのですかという御質問ですよね。 ○岸部水道水質管理官  この物質は水質管理目標設定項目ということで、浄水において評価値の10分の1に相 当する値を超えて検出される可能性があるかどうか判断するわけですが、可能性の判断 においては原水についても1つの判断要素になりますでしょうし、現に浄水で超えてい れば、それも判断要素になるかと思います。特にアンチモンの場合は、通常の浄水処理 工程で除去されないというふうに聞いておりますので、例えば、浄水の測定の問題が生 じたのかなというようなことから、当面、水質管理目標設定項目にして様子を見たらど うかという判断を事務局方ではしたものでございます。 ○眞柄委員長  伊藤委員、そういうことでよろしいですか。 ○伊藤委員  結構でございます。 ○眞柄委員長  具体的に言いますと、アンチモンは浄水処理でとれない。浄水から検出されていない ところは、アンチモンを含んでいない系列の水とブレンドしているということで、浄水 からは超えていないという対応をとっているので、私も水質管理目標設定項目に置いて おいて、逆にそういうことをするかあるいは浄水場の系列を変えるときにアンチモンに ついて配慮を払うべきだということもあって、水質管理目標設定項目に設定するという 判断は成立するだろうというふうに思います。  ほかにございますか。では、続いて水銀からお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  次に、水銀でございます。これは、冒頭の分類基準のところでもお話ししましたけれ ども、過去の経緯をということで水銀については従来どおりとさせていただきたいと思 います。ちなみに基準値は毒性評価から出たものではなくて、そもそも水質基準ができ た当時、水銀というのは検出されないこととなってございまして、検出されない限界と いうのが0.0005mg/lであったということでございます。これにつきましては、毒性評価 の結果とも齟齬を来たさないということで、従来どおり基準とさせていただきたいとい うことでございます。  次に、セレンでございますが、毒性評価については前回の評価を変えるようなものは なかったということでございます。水質検査結果におきましても10%を超えて検出され るような場合があるということで、基準のまま維持するということでございます。  鉛でございます。「現行基準」の欄、括弧書きで0.05mg/lとございますが、今年の3 月31日までは0.05mg/l、4月1日から0.01mg/lになるということでございます。毒性評 価につきましては、TDIが0.0035mg/kg/dayで10%の寄与率として0.01mg./l。当然 10%を超えて検出されるということで、基準値として維持するということでございま す。  次に、ニッケルでございます。これは、午前中に委員からも御指摘がございましたけ れども、10%を超えて検出されているのですが、毒性評価がいまだ暫定的であるという ようなことで水質管理目標設定項目ということにしてございます。  バリウムにつきましては、0.7mg/lという数字が出ておりまして、それをそのまま評 価値と致しました。まだ濃度状況に関するデータが少ないということで要検討項目とい うふうに判断したものでございます。  以上5項目でございます。 ○眞柄委員長  これについて御質問や御意見がございましたらお出しください。よろしゅうございま すか。  さかのぼって申し訳ないですけれども、安藤委員、この評価値の10分の1の定量下限 の検査方法は大丈夫ということでいいですね。 ○安藤委員  どっちですか。 ○眞柄委員長  アンチモンからバリウムまで。 ○安藤委員  大丈夫です。 ○眞柄委員長  国包委員、いかがですか。 ○国包委員  ちょっと別のことですが、先々この表の内容をどういうふうに活用するかということ と関連するのですけれども、先ほども眞柄委員長から御指摘があった「主として問題と なる原水」という欄がありますね。ここの欄の「○」というのは、例えば、鉛のところ を見てみますと全部ついているわけですが、実際には鉛が問題になるのは原水というよ りも給水装置ですよね。このまま表に出てしまいますと誤解を受けそうな感じもするも のですから、とりあえず作業シートだということであればいいのではないかと思います が、もし、公に使ったりされるようなことがあるということであれば、少し御配慮いた だければありがたいなと思います。ほかの項目でもそういったことはあると思います。 銀などもそういう意味ではそうです。銀の場合は今何もついておりませんけれども。 ○眞柄委員長  そういう意味では、今、国包委員から御意見がありましたように、主として問題とな る原水のほかに、資機材、材料に由来するというような項目とか、後から消毒副生成物 が関係してくると思いますので、消毒あるいは消毒に関係するもの、それから、資機材 に関係するものという欄を1つ立てていただいて、例えば、先ほどの鉛とかあるいは ニッケル辺りも、場合によれば資機材に関係するところもあるという意味で、もう2列 足していただいて、表をもう少し理解していただきやすいように工夫をすることにいた しましょう。そういう観点で言うと、鉛とニッケルが関係してくるだろうと思います。  では、その次をお願いします。 ○安藤委員  一応確認ですが、まず、クロムについて検査方法はトータルクロムで測ります。「6 価」と読み替えていいという一応の了解を得ていただきたいと。 ○眞柄委員長  これは、水道ではクロムでよろしいのではないかと思います、安藤委員、それでいか がですか。 ○安藤委員  平成4年のときはいろいろな状況があって、水道では「トータルクロム」を「6価ク ロム」と読み替える、安全的な立場に立つのだという考え方をいたしました。したがい まして、測定方法はトータルクロムで測るということにいたしました。今回もその御了 解をいただければ、試験法はこのままということになります。 ○眞柄委員長  国包委員、いかがですか。 ○国包委員  私は、以前からのそういった経緯というのは十分承知していなかったものですから、 それはそれで安全側の判断ですから私は理解できるつもりでおります。ただ、測定値と してデータが表に出るときのことを考えると、その都度きちんとした断りがないと、水 道水の中に6価クロムがこんなにあるということにもなりかねないので、そこのところ はきちんと配慮しておく必要があるなというふうに思いました。 ○眞柄委員長  我が国の水道は、遊離塩素処理しかやっていないからクロムは全部6価クロムになる ので、6価を測る方法でいいではないかということですよね。 ○安藤委員  その実験も昔やりまして、6価クロムが塩素で3価になってしまいますよと。だか ら、こっちとしてはトータルで押さえておかないとまずいですよという考え方に立って おります。 ○眞柄委員長  だから「クロム」にしますか、それとも、広く飲み水の基準に準用されるということ を判断して「6価クロム」にしますか。 ○岸部水道水質管理官  「6価クロム」にしていただければと思います。 ○眞柄委員長  では、原案のまま「6価クロム」。試験法は、要するにトータルのクロムを測る試験 方法になっていると。 ○安藤委員  それから、幾つかの検査方法では10分の1をクリアしない測定方法も出てまいりま す。 ○眞柄委員長  クロムですか。 ○安藤委員  いえ、そのほかの今までの10のうちで。 ○眞柄委員長  水銀ですか。 ○安藤委員  水銀だとかカドミウムのICP、通常のネブライザーというふうに、セレンのフレー ムレス−原子吸光光度法だとか、鉛のICP、通常のネブライザーとか。つまり10分の 1を測定するというのを原則とするのか、そうしてしまうことによってこれがなくな る。 ○眞柄委員長  午前中の原則は10分の1を測定できる方法を試験法にする。 ○安藤委員  原則としてそういうふうにしたいということだったのです。 ○眞柄委員長  落ちるものはやはり落ちると。それはその原則にしましょう。やはり定量限界10% で、10%測定できる方法があればそれを採用するのであって、要するに、水質基準とし て示す試験方法で10%を超える方法を公定の検査方法にするというのは、やはり基本的 な原則から外れるので、それは外しましょう。なければもうしようがないと。 ○安藤委員  そういたしますと、場合によると最終的に削っていくと1つだけ何かが残っている と。 ○眞柄委員長  それはしようがないですよ。 ○安藤委員  そうすると、一斉分析法という立場からすると、これだけ残るのもおかしいなという ことが起こり得るかもしれない。 ○眞柄委員長  まあ、やってみましょう。 ○安藤委員  それはそのとき考えるということでよろしいですか。 ○国包委員  今のことに関連してよろしいですか。この場での議論は、やはり水道の水質基準とい う見方ですので、当面は10分の1のところで問題になることはそうそうないと思います が、これはいずれ資機材ですとか給水装置あるいは薬品といったものの基準にも波及し ていきますよね。今、数値がそんなに大きく変わっているわけではないと思いますが、 通常ですとそういったものの基準値というのは、この辺の数字の10分の1ということで すから、定量下限ぎりぎりのところで基準が決まっているというふうに10分の1の場合 はなりますよね。あるいは場合によっては、それよりも大きな値にせざるを得ないと か。そうしますと、そういったものの基準値をどう考えるのかということにもかかわっ てきますので、これはむしろ事務局の方へのお願いですけれども、個々の項目につい て、ほかの基準との関係がどうなるかという辺りを少し御配慮しておいていただければ ありがたいと思います。それだからといって、ここの水道水質基準の定量下限値をもう 一遍見直すとか、検査方法を見直すということまでは当面考えなくていいのではないか と思いますけれども。 ○眞柄委員長  よろしいでしょうか。  それでは、続いてビスマスからモリブデンまで3無機物質をお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  まず、ビスマスでございますけれども、これは給水装置で鉛に代わって使われるとい う、たしか大村委員だったと思いますが、問題提起をいただきまして私ども調べました けれども、評価するべき情報がなかったということでございまして、これについては要 検討項目として先送りになろうかと思います。  次に、ひ素につきましては、従来の知見を超えるものはないということで、評価値は そのまま維持されるわけですが、検出も場合によっては基準値を超過するレベルまで出 ておりますので、引き続き基準値として維持すべきであろうということでございます。  それから、モリブデンはほとんど検出されておりません。そもそもモリブデンは海に 多くて河川にはそれほどない物質なので、それほど問題はないので、単純に分類をすれ ば、その他の項目でもよろしいのではないかというような感じはします。ただ、監視項 目になってそれほど時間が経っていないということで、全国で浄水で測られたのが300 ぐらいでデータが少ないのかなと思ったりもしまして、これは迷いながらも水質管理目 標設定項目にさせていただきましたけれども、その他項目でよいのかもしれません。  以上でございます。 ○眞柄委員長  それでは、ビスマスとひ素とモリブデンですが、ビスマスについては情報がないとい うことで要検討項目。ひ素は0.01mg/lを超えることも当然ありますので基準項目。モリ ブデンについては、今、水質管理目標設定項目ということになっておりますが、その他 でもいいのではないかということも考えられるということですが、これについてはいか がでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  地球化学的に見ますと、モリブデンは海水に、淡水は同属のタングステンとかクロム が分布することになりますので、人為汚染が余りないとモリブデンというのは陸水では 余り出てこないのではないかという気はします。 ○眞柄委員長  いかがいたしますか。 ○国包委員  ちょっと質問ですが、よろしいでしょうか。毒性評価のことに関して、私はよくわか らないのですが、これは江馬委員にでもお伺いしたいんですけれども、少なくともこの 分厚い資料の方には、以前のデータで必ずしも確たるデータではないようなことが書い てあるのですが、WHOでは特にプロビジョナルというふうにはなっていないですけれ ども、どういうふうに考えたらいいのでしょう。 ○江馬委員  データ自身が古いですね。1979年の論文ですので、質も余りよくはないと思うのです けれども、これしかないので。 ○国包委員  この後は有力なデータはありませんか。検出状況から見れば、要検討項目でもいいよ うな感じもするのですが、わかりません。 ○眞柄委員長  では「目」から「要検討項目」にして「その他」にはしないと。間違っていたかもし れませんが、かつて水系に縁の深い工業用のプロセスでモリブデンが使われていたこと もあったような気もしますので、要検討項目まで落とすということにしたいと思いま す。  それでは、その他の5項目についてお願いします。 ○岸部水道水質管理官  まず、亜硝酸性窒素でございます。これについて毒性評価が前回と変わったというこ とではございませんが、毒性評価は現状でも暫定的であるというようなところから、水 質管理目標設定項目としておくのが妥当であろうということでございます。  シアンにつきましては過去の経緯を踏まえて、従前どおり0.01mg/lという基準で維持 させていただきたいということでございます。ちなみに、この0.01mg/lも毒性評価から 出た数字ではなくて、シアンにつきましては「検出されないこと」という基準がござい まして、その検出されないことの限界が0.01mg/lであったということでございます。ち なみに、シアンに関する毒性評価の結果ともこの値は齟齬を来たさないということでご ざいます。  硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素につきましては、毒性について新たな知見はないという ことで従前どおりの評価値。当然これについては10%を超える値があるということで、 基準として維持したいということでございます。  ふっ素につきましても、0.8mg/lという現行数値がございますが、これを変えるだけ の新たなデータはない。検出状況もそれなりに10%を超えて検出されているというよう なことで、基準値として維持させていただきたいということでございます。  ほう素につきましては、TDIが0.096mg/kg/day、それから、水道の寄与率が40%に なっておりますけれども、ほう素につきましては、マーケットバスケットによる暴露経 路別の水道の寄与割合というのが計算されておりまして、40%という寄与率が計算され ております。その寄与率で評価値を計算しますと1mg/lということでございます。ここ に「地域」と書いてございますけれども、要するに海水を淡水化する場合、それから、 地質的にほう素を多く含むような場合について、基準値の10%を超える値が観測される ということでございまして、新たな考え方に基づきましてこれは基準に該当するであろ うと考えました。ただし、注意すべきなのは、先ほど申し上げましたように、海水の淡 水化の場合、それから、地質としてほう素が多く含まれるところということでございま す。  以上が説明でございますが、事務局で1つ疑問に思ったのは、硝酸性窒素と亜硝酸性 窒素でございますけれども、WHOなどですと窒素換算せずにnitritesとnitratesとい う形で勘定していますけれども、その辺のところはどうした方がいいのか、従来どおり の考え方の方がいいのかアドバイスをいただければと思っております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  江馬委員にお伺いしますが、亜硝酸性窒素のTDIが0.06mg/kg/dayというのと、亜 硝酸・硝酸を50(NO3)mg/kg/dayというのでは違う影響を見ていたのでしたか、どうでし たか。 ○岸部水道水質管理官  亜硝酸は亜硝酸としての毒性があるということですよね。それから、硝酸性窒素と亜 硝酸性窒素というのは、亜硝酸も転換されて硝酸性窒素になるからということで足し算 されているのではなかったかと思いますが。 ○眞柄委員長  国包委員、亜硝酸、硝酸についてはいかがですか。 ○国包委員  毒性のことに関しては私も細かくはわかりませんが、委員長からお話がありましたよ うに、亜硝酸性窒素単独の場合と硝酸性窒素と合わせた場合とで違ったところで評価し ていることはたしかです。  今、事務局の御質問のことですが、結論としては、私は今までどおりで何ら差し支え はないと思っております。といいますのは、別の観点からちょうど今、話題になってお りますように亜硝酸性窒素について、現行ですと監視項目の指針値が決まっております し、恐らくこれは目標値なり水質管理目標設定項目として残ることになると思いますの で、これが別にあればいいのではないかと思います。WHOの考え方は資料にもありま すが、硝酸性窒素との合計量を見る場合ですけれども、亜硝酸塩としては3.0mg/lとい うのがマキシマムの濃度になっているわけですね。これが分母で実際の濃度を割るとい うことです。ですから、亜硝酸性窒素としては大まかには3分の1と見ていいですか ら、1mg/lぐらい。亜硝酸性窒素が1mg/lという水は、水道原水で使っているような水 ではどう考えたってあり得ませんので、先ほどの監視項目の指針値が0.05mg/lですね。 これを超えているケースは時々あるというぐらいですから、ちょっとややこしいです が、実質的には、合算したときに亜硝酸性窒素の濃度はそれほど問題にならないという ふうに私は思っております。そういった意味で、それぞれ日本の基準とWHOのガイド ラインの設定の仕方とがちょっとずれておりますが、そこの違いはさしたる違いではな くて、要は硝酸性窒素あるいは硝酸塩の濃度でほとんど現実には決まってしまうし、そ このところをきちんと規制しておけばいいというふうに思っております。  それ以外の項目に関しては、特に異論はありません。 ○眞柄委員長  亜硝酸性窒素のプロビジョナルですが、0.05mg/lというものはニトロソアミン、これ はWHO/FAOの食添の毒性評価で、食品中の亜硝酸性窒素がニトロソアミンになる可能性 があるから、そのリスクを考慮して0.05mg/lというのをWHOは採用したはずですが、 実際に、飲み水の中の亜硝酸性窒素が消化器官中でそれを吸収して血中でニトロソアミ ンになるという話はたしかなかったと思いますが、安藤委員、どうでしょうか。 ○安藤委員  アミンがあればニトロソアミンができる。だから、かなり厳しく考えていただくとい う面はあったかなというふうに思いますが、それが今、消えたわけではないですよね。 ○眞柄委員長  そういう意味では、水質管理目標設定項目としておくことには、それはそれでいいだ ろうと。 ○安藤委員  よろしいのではないかと思います。 ○眞柄委員長  わかりました。 ○岸部水道水質管理官  これは江馬委員の御判断をいただいた方がいいと思いますが、毒性評価についてJECFA で1998年に0.06mg/lを出して、安全係数が100なものですからプロビジョナルはとって もいいのかなと思いますが、もし、江馬委員の方でこれはとってもいいのではないかと いうことであれば、検出状況からいって基準にということになろうかと思います。 ○江馬委員  JECFAの1998年であれば、新しいので信頼性はあるとは思います。 ○眞柄委員長  1998年で飲料水のワーキンググループがディスカッションしたときに、JECFAのデー タはげっ歯類の動物実験のデータを使っています。それで、ヒトの窒素の代謝は唾液腺 の影響を受けていて、げっ歯類の窒素の代謝は唾液腺の影響を受けていない。だから、 ヒトの窒素の代謝と違う動物を使った実験は水の方では採用できないというので、JECFA はそう決めていても、水の方は納得できないからプロビジョナルだという判断をしたの です。今回の判断のときもその判断を尊重しようということで、JECFAはそうしている けれども、飲料水のリスクをするワーキンググループはそれはプロビジョナルだという 判断をして、プロビジョナルになっております。水の方のワーキンググループは、この データは飲み水の方では採用したくないというのが大意だったのですが、JECFAがそう いう数値を出しているということを尊重して、プロビジョナルに扱おうというのがワー キンググループの結論です。ですから、そういう意味では、プロビジョナルで水質管理 目標設定項目にしておいていただきたいと、私はそういう意見ですが、よろしいでしょ うか。 ○安藤委員  1つシアンのことです。シアンは比色でやりますと、トータルのシアンということに なります。シアンは当然、消毒副生成物と考えてもいいだろうと思っておりまして、つ まり水道水中では、塩素がある限り遊離のシアンというのはあり得ない。つまり、塩化 シアンということになっていると。このシアンというのは、シアンも塩化シアンも両方 入っているというふうに考えていいですね。 ○眞柄委員長  これは、水質検査方法はイオンクロマトグラフですか。 ○安藤委員  今は比色になっています。 ○眞柄委員長  この試験方法は。 ○安藤委員  今度イオンクロマトグラフを入れようと思っています。それは、シアンと塩化シアン は分けて測れます。 ○眞柄委員長  今、この検討対象項目一覧で、IC-PC/ASというは。 ○岸部水道水質管理官  シアンについては今度新しくイオンクロマトグラフ・ポストカラム法を検査法としよ うということでございます。 ○眞柄委員長  イオンクロマトグラフ・ポストカラムか。ASというのはAbsorptionですね。 ○岸部水道水質管理官  そうです。ということで記載をさせていただいております。 ○眞柄委員長  では、非常に微妙な話ですが、検出限界でいくと0.01mg/lより低くなってしまいます よね。今のヒロリジンの検出限界は0.001mg/lまで測れることがわかっているけれども、 イオンクロマトだとそれと同等まで測れてしまいますね。4条はシアンは検出されない ことですか。 ○岸部水道水質管理官  そういったものが含まれないものであるということです。シアンと水銀が例示されて おります。過去の経緯で水銀とシアンについては、当時の検出されないことをもって数 値をつくってきた経緯がございますので、当時は比色で0.01が限界だったと思います。 ですから、従来の検出されないことという考え方を引き継げば、現在のイオンクロマト のポストカラム方を使えば、もっと下げられますので、では、下げましょうかという話 ですけれども。 ○眞柄委員長  これは、国包委員か安藤委員にお伺いした方がいいけれども、原水にシアンが入って いても、今の浄水処理で塩素処理したらシアンはなくなってしまうのでしょう。 ○安藤委員  塩化シアンになります。 ○眞柄委員長  だから、遊離のシアンはない。 ○安藤委員  ありません。 ○眞柄委員長  だから、このシアンは遊離のシアンだという理解でいいのですね。 ○安藤委員  平成4年から今までは塩化シアンを測っています、測れるようにしました。 ○眞柄委員長  それで、これは0.01mg/lになるのですか。 ○安藤委員  はい。 ○眞柄委員長  ちょっと悩ましいですね。 ○岸部水道水質管理官  現行は、シアンと塩化シアンを測る方向です。 ○眞柄委員長  でも、もともとは遊離のシアンでしょう。それこそ最初の水質基準ができたときの試 験方法は、遊離のシアンですよね。 ○安藤委員  そうです。 ○岸部水道水質管理官  ただ、平成4年のときにそういった整理をして、今、眞柄委員長からお話があったよ うな、水道水中にはシアンが裸でいることはなくて塩化シアンになっているということ で、それも含めてシアンという形で整理をされたというふうに承知しております。です から、今回もそういった整理を引き継ぐのかなと思っていたのですが。 ○眞柄委員長  では、これは「as CN」ですか。 ○安藤委員  そうです。 ○眞柄委員長  「ClCN」ではない。 ○安藤委員  そうではないです。もっと言いますと、平成4年以前はシアンイオンだったのです。 それはまずいと、それはやめよう、イオンをとろうということにしたのです。そうすれ ば「as CN」になる。 ○岸部水道水質管理官  その整理で塩化シアンという項目が後ほど出てまいりますが、それはシアンとして勘 定するから独立して立てる必要はないというように、このペーパーではなっています。 ○眞柄委員長  イオンクロマトにすれば、ポストカラムでも遊離のシアンと塩化シアンと別々に測れ るわけですね。今、岸部管理官からお話があったように、塩化シアンを立てて遊離のシ アンは0.01mg/lだけれども、塩化シアンは0.07mg/lということはできる。 ○安藤委員  たしかできます。 ○眞柄委員長  では、シアンについては0.01mg/lということにしておいて、塩化シアンをどうするか というのは、塩化シアンのところでもう一度議論させていただくということでよろしい ですか。  では、それ以外について何かありますか。 ○国包委員  この分厚い方の中身も含めてお話しさせていただいた方がいいですか。先ほど、ほか は結構ですというふうに申し上げたのですが、ほう素処理技術に関してなんですけれど も、この資料の中では、とりあえず逆浸透により除去できるという項目を入れておりま す。短い言葉でこういう表現なりを強いられているということで、誤解を受けやすく なっているのですが、逆浸透でほう素が条件によっては1mg/l以上の濃度で処理水に 残ってしまうというのはよく承知しているんですが、除去できるという書きぶりの通則 として、50%以上除去できる場合には一応そういう表現にしようということで除去でき るとしていただいている経緯があります。ただ、それも原水が海水の場合にそういった とれ具合ということですので、非常に限定的なところだけをとらえて除去できるけれど も、その基準は満たさないということになってしまいますので、そこのところはどうい う書きぶりにするのか事務局とも検討させていただきますけれども、誤解のないように お願いしたいと思います。 ○眞柄委員長  前の1にするときも、変えたところは2段のあれを適用するというふうに専門委員会 の報告では書いてあったと思いますので、その辺は参考にしていただきたいと思いま す。  ほかに無機物質関係でよろしいですか。また何かあれば後から戻ることにしましょ う。  それでは、次のアクリルアミドから塩化ビニルまで7つですがお願いします。 ○岸部水道水質管理官  アクリルアミドとアクリル酸は資機材などに使われているものでございます。アクリ ルアミドにつきましては閾値がないということで、10のマイナス5乗のリスク増分とい うことで0.0005mg/lという数値が出されます。これについては、浄水ではほとんど検出 されておりませんが、データがちょっと少ないというようなことで、まだ判断をするに は時期尚早だというふうに考えます。  それから、アクリル酸につきましては毒性情報等を調べましたけれども、適当なもの がなくて云々できないという状況でございます。  エストラジオール2種類でございます。これはTDIというところは出ます。それか ら、単純計算すれば評価値というのは出ます。ただ、これは江馬委員の方で暫定的な評 価であろうというようなお話でございました。それから、検出状況でございますけれど も、これは厚生科学研究などで明らかになっておりますように、水道の塩素処理で分解 されるということで、実際検出はされません。しかしながら、非常に社会的な関心の高 い物質であるということで、要検討項目ということにしておくのかなということでござ います。  エチレンジアミン四酢酸、EDTAとかエデト酸とか呼ばれておりますけれども、こう いったものは水道の寄与率が極めて低いだろうということで、評価値としては0.5mg/l という数値が出てございます。ただ、これについては水道として着目して浄水を検査し たことはなく、データがないということで要検討項目ということでございます。  それから、エピクロロヒドリンにつきましても、毒性評価をしていただきまして評価 値を出しましたけれども、実際浄水では測ったデータが十分ないということで要検討項 目ということでございます。  塩化ビニルでございます。VSDとしてこういう値が出まして、そこから評価値を計 算しますと0.002mg/lということでございます。塩化ビニルにつきまして浄水について、 原水も含めてですが厚生科学研究費でやってございます。その結果によれば、ほとんど 検出をされていないということでございます。ただ、データ数も少ないということで要 検討ということにさせていただきました。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  この表で右の備考のところに「JWWA規格」という言葉が入っていますが、この御説明 をしていただけますか。 ○岸部水道水質管理官  日本水道協会の水道用ダクタイル鋳鉄管の本体塗装にアクリル酸が入っているという ことでございます。 ○安藤委員  JWWA規格と申しますのは、水道の管だとかそのほかの内面に塗装をいたします。その 塗装の塗料の規格としてつくったものです。私どもは、それぞれのモノマーの毒性デー タを基にして、これを入れておいた方がいいかなというものを挙げて規格化してきまし た。そのうちの1つが、このアクリル酸ということでございます。これが出ないという 証明をつけてもらわなければ困りますよということで、これを挙げておいたということ でございます。 ○眞柄委員長  わかりました。  それから、先ほど国包委員から御指摘があった、施設基準で含有量とか溶出試験の対 象になっているものが、例えばアクリルアミドというのはそういうものですよね。例え ば、アクリルアミドは先ほどお願いしたように、水道用の資機材が原因で加わるという ところに「○」が入ると。でも、水質基準としては要検討であるけれども、施設基準の 方では溶出試験の対象になり得るという意味も入っているという理解でいいですよね。 ○岸部水道水質管理官  というか、アクリルアミドについては施設基準のところを書き漏らしたのです。多分 これは単純なミスですけれども、今回そういった施設基準に決められておって水質基準 にならないものも、対象物質をつくるときに1回洗い出してみたということです。 ○眞柄委員長  そうすると、アクリルアミドは今、要検討項目になっていますよね。これは、水質基 準では要検討項目になっているので施設基準の資機材の方の基準から外れるということ ですか。 ○岸部水道水質管理官  そういうことではないです。現在でも水質基準はないけれども、資機材としては注意 すべきだということです。今回、施設基準のあるものについて水質基準としても検討す る必要があるのかということで母集団として拾い出した、ただ、水質基準として検討す るについては、データがちょっと不足しているということで要検討項目になったけれど も、施設基準は施設基準で従来どおりという整理でございます。 ○眞柄委員長  ということはあるということですね。わかりました。 ○国包委員  今のことを念のために全体を通じての議論ということで確認させていただきたいので すが、現行の規制の体系の中ですと、資機材とか薬品に関しての基準項目と水道の水質 基準項目ということで比べてみますと、必ずしも1対1にはなっていないですね。1対 1になっていないのはいいですが、例えば、現状の監視項目が資機材の方のあるいは薬 品の基準ではアクリルアミドのように基準項目というふうに挙がっているケースもあり ますよね。今度、体系が変わることは確かなわけですけれども、そのときに改めて、 今、眞柄委員長から御指摘があったような基準間での項目の取扱いの整合みたいなもの をどうするのかというのは、ちょっと整理して考えておく必要があろうかと思います。  結論的には、私自身はどうするのがベストなのか今はわからないですけれども、今、 管理官の方からお話がありましたように、水道水質基準はそれはそれ、それから、資機 材の溶出基準はそれでまた別にという考えもあり得るかと思いますが、そうではなく て、基準項目として挙げるものはどこでも基準項目にしてしまうという考え方の方が、 一般にはわかりやすいかなという感じもするんですけれども、この辺は改めて、すべて について足並みは必ずしもそろえないということで統一するのか、それともできるだけ そろえるというふうにするのか、その辺を御検討いただければありがたいなと思いま す。 ○眞柄委員長  それでは、塩化ビニルまでで特にありますか。よろしいですか。では、その次にキシ レンから四塩化炭素までお願いします。 ○岸部水道水質管理官  まず、キシレンでございます。現行監視項目0.4mg/lということで示されております。 これについて毒性評価上は、新たにこれを変えるほどのものはないということでござい ます。検出実態を見ますと、ほとんど検出されていないということでございまして、健 康項目としてはその他、とりあえず注意を払わなくてもいいのではないかという物質に 分類されようかと思います。ただ、備考欄で「異臭注意」とございますけれども、やは りにおい物質としての性格がございます。ただ、におい物質としての数値と、それを意 識した測定が行われていませんので、におい物質としては注意が必要ですが、直ちに目 標設定というようなところまでの判断には至らなかったということでございます。  酢酸ビニル、ジアミノトルエンにつきましては、TDIを設定して評価値を出すだけ の情報はなかったということで、将来的な検討課題項目ということでございます。  四塩化炭素につきましては、毒性評価については従来どおりで10%を超えて検出され ておりますので基準項目として維持するとしています。ただ、問題となりますのは、地 下水ということでございますので、主として問題となる原水として地下水に「○」をつ けております。  以上、5項目でございます。 ○眞柄委員長  それでは、キシレンから四塩化炭素までですが、何か御意見はありましょうか。よろ しいですか。  では、次のジオキサンからお願いします。 ○岸部水道水質管理官  ジオキサンにつきましては、新たにWHOのガイドラインでも追加される物質でござ います。これにつきましては、TDIアプローチで数値を出す方法もあるようですが、 江馬委員のところでリスク評価で出していただきまして、0.05mg/lという評価値が算出 されております。これにつきましては、正確には忘れましたけれども、一括計上という ふうに呼んでおりますが、私どもと国立保健医療科学院と国立医薬品食品衛生研究所で やっている調査でございますけれども、その実態調査の結果から、この評価値の10分の 1を超える数値が検出されているということ、それから、東京都の調査で、多摩地区の 方の地下水、井戸を水源とするところで高濃度が検出されたということ、それから、大 阪府の調査で、藤井寺市の水源井戸で高濃度が検出されたというようなことがございま すので、新たな項目ではございますけれども、水質基準とするのが適当であろうという ことでございます。  問題となる原水でございますが、表流水は実態調査の結果から見ましてほとんど問題 にならない。問題となるのは地下水だということで地下水に「○」をつけてございま す。ただ、これは国包委員が御専門だと思いますけれども、非常に水処理で除去するの が難しいというふうに聞いております。  それから、次の1,2−ジクロロエタンでございます。これについて毒性評価につい ては新しく変わったということはございません。評価値も従来どおりでございますが、 10%を超える検出事例がおおむねないということで、従来基準ではございましたけれど も、水質管理目標設定項目にしてもいいのではないだろうかということでございます。  1,1−ジクロロエチレンでございます。これについて毒性評価は特段変化はござい ません。当然10%を超えて検出されておりますので、基準として維持をするということ でございます。これも注意すべきなのは地下水でございます。  それから、シス−1,2−ジクロロエチレンも前と同様、地下水に注意をすべきもの で、毒性評価は変わってございません。  トランス-1,2-ジクロロエチレンにつきましては、現在監視項目として設定されてお ります。毒性評価は変わってございません。検出状況から見て、水質管理目標設定項目 にするのが適当であろうということでございます。やはり注意すべき原水としては地下 水ということでございます。  以上5物質でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まずジオキサンにつきましては、0.05mg/lの10分の1を測定する方法はあ るということで安藤委員よろしいですか。 ○安藤委員  はい。 ○眞柄委員長  それでは、処理の方ですが、国包委員どうですか。これは処理できないので井戸をや めると。 ○国包委員  眞柄委員長ですとか西村委員の方が、むしろよく御存じではないかと思いますけれど も、十分に確認できていませんが、生物活性炭でとれるというような情報もあるにはあ るのですが、通常の浄水処理ですとかエアレーションではとれないというのははっきり しております。 ○眞柄委員長  我が国の状況で言えば、大体水源が割と近くにあるということも処理のオプションと 考えるという意味で0.05mg/lということだろうと思いますが、ジオキサンも含めてそれ 以外の項目について委員方の御意見がありましたら、お出しいただきたいと思います。 専ら地下水ということでよろしいですか。  それでは、その後適当なところまでお願いします。 ○岸部水道水質管理官  では、次の1,2−ジクロロプロパンでございますけれども、現在監視項目でござい ます。毒性評価については変わっておりませんが、ほとんど検出をされていないという ことで、当面水道としてはよろしいのではないかということでございます。  次の1,3−ジクロロプロペンはD−Dと呼ばれる農薬でございます。これにつきま しては、現在の評価値0.002mg/lを変えるというデータはないんですが、検出状況を見 ますとほとんど検出されていないということで、別途農薬として検討していただいて、 化学物質としては外すということでございます。  1,4−ジクロロベンゼンでございますけれども、現在監視項目として0.3mg/lという 数値が設定されております。毒性評価としてこれに変わるものはございません。検出状 況からいきまして、ほとんど水には出てこないということがございますので、その他項 目としたらどうかということでございます。  次のジクロロメタンにつきましては、毒性関係は変化がございません。評価値、検出 状況から見ますと、引き続き基準として維持すべきものであろうということでございま す。  次のシマジンも農薬でございます。評価値が変わったということはございません。し かしながら、検出状況、水道浄水ではほとんど検出されないということで、化学物質と してはその他項目に移した上で農薬として検討していただくということでございます。 ○眞柄委員長  以上、5項目について御質問や御意見がありましたら。 ○安藤委員  基本的によろしいのかと思いますが、1,4−ジクロロベンゼン、先ほど終わったキ シレンもそうですが、寄与率というのはほとんど空気ですよね。本当の意味で寄与率と いうのは何と言ったらいいのですか、本当は1%以下だろうなという気はするのです が、ということは、値も下がってしまうなと。そうすると見方も変わるかなという気は いたしますが、データとしてはないですね。10分の1以下は測っていないですね。 ○岸部水道水質管理官  そうですね。監視項目の集計としては、定量下限値以下が10%刻みまでしかわからな い。ただ、物性的にジクロロベンゼンが水に行くとはちょっと考えられないと思います けれども。あとは、もし水に行っても付着物に吸着していますので、ろ過で除去される のではないかというふうには推測されますが。 ○眞柄委員長  これについては、せっかく御意見をいただきましたので、ほかに空気暴露の寄与率が 高い化学物質であるというものが後ほど出てきたときに御指摘をいただいて、水道とし て行うかどうかは別にして、国として暴露量調査を行うのが望ましいプライオリトリス ト群というようなものも報告の中で立てて、その中で記述をするということにしたらど うだろうかと思いますので、前の方にそういうものもあったかもしれませんが、後ほど 出てきたときには、そういうものだよという御指摘をいただくことにいたしましょう。  それでは、その後の項目についてお願いします。 ○岸部水道水質管理官  N,N−ジメチルアニリンでございます。これは施設基準があるということでリスト アップされたものでございますが、水質基準あるいは評価値を設定するための毒性情報 はありませんでしたので要検討項目にしております。  スチレンにつきましては、毒性評価から評価値としては0.02mg/lという数値が出ます けれども、浄水中の濃度というのはデータが少ないということで要検討項目ということ でございます。  ダイオキシン類でございます。これにつきましては、政府として4pgというTEQが 決まってございます。あとは水道への割り振りを1%ということで割り振ると、1pgTEQ /lという数字が出ます。現在は、監視項目として1pgTEQ/lというふうになっているわ けでございますけれども、実態調査を見ますと浄水では検出をされない。なぜ浄水では 検出されないかということも眞柄委員長の御研究で明らかになっております。したがい まして、その他項目にしてもよろしいのですが、WHOで毒性評価を再検討していまし て、更に下がるというような情報がございますので、当面要検討項目にした上で情報収 集に当たるということでございます。  次のチウラムとチオベンカルブにつきましては、先ほど例示いたしました農薬と同 様、検出状況からいって化学物質として取り扱うのは当たらない、農薬として一括して 検討するというような整理にさせていただいたらどうかということでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  これらの項目群について、御質問や御意見がありましたら出していただきたいと思い ます。よろしゅうございますか。  それでは、その次の5つをお願いします。 ○岸部水道水質管理官  次はテトラクロロエチレンでございます。これについては、毒性評価で新しいものは ございませんでした。数値も現在の数値で評価をいたしております。当然10%を超えて 検出されておりますので、基準値として維持されるべきものであろうということでござ います。この場合も問題となる原水は地下水を水源とする場合ということでございま す。  トリエチレンテトラミンにつきましては、施設基準があるということで情報収集いた しましたが、評価値を設定するだけの情報が得られなかったので要検討項目ということ でございます。  1,1,2−トリクロロエタンでございます。これは毒性評価については変わらず、評 価値はそのままでございます。検出状況からいって、基準というよりも水質管理目標設 定項目の方がよいのではないかと。5,000検体調査されて1検体だけ10%から20%とい うことでございますので、基準だったこともあり、水質管理目標設定項目として当面見 るのかなというふうなことでございます。  それから、トリクロロエチレンにつきましては、テトラクロロエチレンと同様でござ いまして、従来どおり基準として維持をするのが適当であろうと。この場合、やはり地 下水に注意をすべきということでございます。  それから、トルエンでございます。これについては毒性評価が変更されております。 現在、監視項目として0.6mg/lという数値が設定されておりますけれども、今回、江馬 委員の方に評価をお願いしまして、下がりまして0.2mg/lという数値になってございま す。ただ、検出状況から見ると、それほどトルエンが水から出るということは考えられ ないのですが、評価値が3分の1に下がったということもあり、当面、水質管理目標設 定項目として様子を見るのかなということで水質管理目標設定項目に印をつけてござい ます。  以上5項目でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  いかがでしょうか。よろしいですか。先ほどキシレンはその他になりましたが、トル エンが目標に入っていれば、地下水のガソリン汚染はこれでわかるだろうという理解 で、ベンゼンも入っていますので水質管理目標設定項目でよろしいということかと思い ますが、よろしいですか。  では、その次の項目をお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  最初の2項目のノニルフェノール、ビスフェノールAにつきましては、暫定的ではご ざいますがTDIが算定されまして、そこから計算すれば評価値が出てまいります。し かしながら、浄水での検出状況を見れば、ほとんど検出されていないということであり ます。そうはいっても情報量が少ないということで、要検討項目ということかと思いま す。  それから、ヒドラジン以下の3物質につきましては、施設基準等があるということで 調べましたけれども、評価値を設定するほどのデータが得られなかったということで要 検討項目とさせていただきました。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  御意見ございましょうか。ノニルフェノールとビスフェノールAのTDIの算定の根 拠は、どういう影響で評価されたのでしょうか。 ○江馬委員  ノニルフェノールは90日の亜慢性毒性試験のNOAELです。それから、ビスフェノール Aは3世代の繁殖試験のNOAELで、両方とも通常の係数100で割っています。通常のやり 方で、特に内分泌環境絡みの要因を入れるという方法では算出しておりません。 ○眞柄委員長  という数値だそうですけれども、一応プロビジョナルに置いておこうということで、 要検討項目に入ったということだと思います。  何かこれらのものに対して御質問や御意見はありますか。国包委員、いかがですか。 ○国包委員  今のノニルフェノール、ビスフェノールAに関しては、いわゆる内分泌かく乱作用の 面からの評価ではないというお話だったと思いますが、そういったことをきちんと併せ て公表するという前提であったと思います。是非、その辺情報も含めて、この数字を表 に出すというふうにしたいと思います。それだけです。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  それでは、その次をお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  フタル酸エステル類が3物質ございます。最初の2−エチルヘキシルの部分でござい ますけれども、現行監視項目で0.06mg/lという指針値を設定されております。新たにこ の部分につきましては毒性評価がなされまして、評価値を計算しますと0.1mg/lという 数値が出てまいります。ということで、浄水としては検出されておりませんが、原水で 検出されていることや、あるいは内分泌かく乱が疑われているというようなことで、情 報収集の意味を兼ねて水質管理目標設定項目にしておいたらどうかということでござい ます。  フタル酸の次の2物質につきましては、毒性が暫定的なことや調査はやられています けれども、必ずしも十分な調査数が得られていないということで、要検討項目というこ とでございます。  それから、ベンゼンにつきましては毒性評価としては新たに変わったということでは ございませんし、検出状況からして10%を超える検出が見られるということで、引き続 き基準として維持をしたらどうかということでございます。やはり検出されております のは地下水ということでございますので、注意すべきものは地下水ということでござい ます。  以上4物質でございます。 ○谷津水道課長  「☆」は何か意味があるんですか。 ○岸部水道水質管理官  説明が遅れました、従来の評価と変わったものは「☆」で印をさせていただきまし た。 ○眞柄委員長  今のところは、0.008mg/lの根拠から評価値が0.04mg/kg/dayのTDIベースになった という理解でよろしいですか。 ○江馬委員  そうです。これは、厚生労働省で値を出したもので、それに合わせています。 ○眞柄委員長  4物質についていかがでしょうか。ちょっと緩くなった気もしないわけではないです が。 ○岸部水道水質管理官  最後の3物質でございますけれども、ミクロキスチンは平成10年の専門委員会でも御 審議いただきましたが、そのときも問題ないということでございました。しかしなが ら、最近いろいろと騒がれたりもしましたので取り上げて、もう一度確認のため書かせ ていただきました。評価値を設定しますと0.0008mg/lということでございます。これ は、御承知のとおりアオコと呼ばれるミクロキスチスが出す毒素ですけれども、これに つきましては、活性炭吸着、塩素処理、又は、オゾン処理で分解をされるということ、 それから、実際、実態調査をしても検出をされないというようなことから、水道として は当面注意をしなくてもよい物質だろうということでございます。  メチル−t−ブチルエーテル、MTBEでございます。評価値は暫定的に0.4mg/lという 数値が出てございます。検出状況からいきますと、これを超えるような値というものは ございません。ただ逆に、臭気、においの観点からいうと0.02mg/lという数字が言われ ておりまして、それから比べると現在の検出状況は、水質管理目標設定項目ぐらいには なってもいいのではないかということで、性状項目で検討したらどうかということでご ざいます。  それから、有機すず化合物でございます。これはTBTOについての評価でございますけ れども、評価値として0.0006mg/l、これはプロビジョナルでございますが、こういう数 値が出てございます。ただ、有機すずに関しましては、その存在状況について十分デー タがないということで、要検討項目ということかなと思っております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  3物質、ミクロキスチン、MTBE、有機すずについてですが、MTBEについては性状項目 のところで再度議論をしようということでありますが、これについていかがでしょう か。 ○国包委員  よろしいですか。MTBEではないですが、ミクロキスチン−LRについては予備判定で その他という分類になっておりますが、先ほど管理官からもお話がありましたように、 最近ですと奈良県の水道水源になっているダム湖で出たというふうな話題がありました ね。ほかにこういった項目もないですし、私は、藻類が産生する毒素についても十分に 目配りをするようにという意味も込めて、要検討項目にしておいてはどうかなと思いま す。ちょっと午前中おりませんでしたので、この要検討項目の趣旨なり取扱いがどうい うことかというのを十分承知しておりませんが、何がしか気を配っておくようにという ことにしておいた方が、何かと無難だろうと思います。ついでに申し上げますと、塩素 消毒している限りは簡単に分解されますのでいいのですけれども、万が一将来、塩素消 毒をしないケースが出てくるかもしれませんし、そういったことも含めてということ で。 ○岸部水道水質管理官  それに関しましては、午前中に伊藤委員から御指摘がありましたけれども、この 「−」を引いたのはどちらかというと、水道からいえば白という物質ですが、それのい ずれについても公表したらどうですかというようなサジェスチョンをいただきましたの で、これについては今お話のあったように、塩素消毒しておけば大丈夫ですよというよ うな意味で公表させていただいたらいいのかなと思います。実際に、これは御承知のと おり平成10年に、今、私が御説明したような同じ結論をいただいています。 ○安藤委員  今の国包委員のお話にもちょっと関係するのですが、ミクロキスチンは環境省では最 終的にどうなったのかよくわかりませんが、環境項目に入れようかどうしようかという 案に入っていたかなと思います。検査法をどうしようかということを言っていましたの で、ある程度考慮しておいた方がいいのかなというふうにも思いました。 ○眞柄委員長  ミクロキスチンにつきましては、LRも含めていろいろな異性体もありますし、それ から、動物実験の結果もTDIの値がプロビジョナルでありますように、2年間の長期 慢性毒性試験の結果も行われていない。発がん性の非遺伝障害性の影響もあるというよ うな発表もありますし、あるいはWHOの今度のガイドラインでは、ミクロキスチンを 含めて藻類毒を持っているものに対して、サポーティング・ドキュメントも出している というようなこともありますので、事務局の判断ではその他項目ということでありまし たけれども、委員会の委員方の御意見を伺うと要検討項目に残しておいた方がいいとい う御意見のようでございますので、要検討項目ということにさせていただきましょう。  以上で、一応無機と有機が終わりました。遠藤委員、微生物・生物をやるとどのくら いの時間が掛かりますか。2時間ですか。 ○遠藤委員  そんなに掛からないと思います。1時間ぐらいだと思います。 ○眞柄委員長  それでは、今日は最後に微生物をやろうと思っていますので、その微生物の前段とし て消毒剤と消毒副生成物を。 ○伊藤委員  すみません、今の中分類の中のほかの物質のことですけれども、エストラジオールと エチニル−エストラジオールの分析方法についてですが、これは評価値に対して、分析 方法の定量限界ではそれを測定できないというレベルになってしまっていますが、そこ をどういうふうに考えておけばいいか。先ほど事務局からは、検出されなかったという 御説明がありましたが、それは、ここの機器分析の定量限界では引っ掛からなかったと いうことであって、評価値になっている濃度レベルがなかったということまでは確認さ れていないように思います。 ○眞柄委員長  これは、安藤委員いかがですか。 ○安藤委員  そのとおりです。開き直っているわけではないですが、そういう項目がいっぱいあり ます。基準値が設定された場合ちょっと測れない、あるいは10分の1は不可能だなとい う項目がいっぱいございます。それは、ここで議論したら終わらないと思いますし、設 定されたらばどこまで定量加減が下がるかという検討をしなければいけない項目もあり ますし、どうしようかなと。ある程度濃縮は可能でしょうけれども、それ以上は無理で す。例えば、10倍ぐらいだったら何とかクリアできるかもしれない。だけれども、無理 だということも出てくるでしょうし、それ自体が無理だということも出てくるでしょう し、私がつけると黄色がいっぱいつく状況です。 ○眞柄委員長  では、今のことは安藤委員の宿題として、分析法で例えばプロビジョナルに出ている けれども、これについて定量限界は、例えば、サンプル1Lだったらここが限界だとい うようなことをやはりちゃんと記述するようにしてください。伊藤委員、そういうこと でよろしいですか。 ○伊藤委員  そうですね。 ○眞柄委員長  それでは、まず、消毒剤の無機化合物についてお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  亜塩素酸と塩素酸と二酸化塩素は、それぞれ毒性評価をするとこういうふうな形に なってございます。いずれも二酸化塩素による消毒を行う場合の副生成物というか残留 物というようなことでございます。ただ、我が国で二酸化塩素による消毒というのはほ とんど行われていませんので、一応、数値としては二酸化塩素で消毒を行う場合には、 副生成物あるいは残留物としてこういった数値を注意していただきたいということで、 水質管理目標設定項目に設定したらどうかということでございます。  それから、塩化シアンは先ほど議論になりましたけれども、塩化シアンにつきまして 評価をいただきますと、評価値が0.05mg/lというようなことでございます。WHOにい たしましても、シアンとセットでガイドラインを示していることもあり、従来からも我 が国においても、シアンに含めて設定をしていたというようなこともあり、塩化シアン の0.05mg/lというのはシアンの0.01mg/lで頭を押さえておけば、独立して数値を設定す る必要はないだろうというような事務局の整理をさせていただいたところでございま す。  臭素酸につきましては、オゾン処理をしたときの副生成物として出てきます。一方、 消毒のときに使う次亜塩素酸は購入してくる場合もそうですし、浄水場で電気分解でつ くる場合もそうですが、原料の塩の質によってはそこに多量に含まれております。とい うことで、現在のところはオゾン処理をするところかあるいはそういった臭素酸を多く 含んだ次亜塩素酸で消毒をする場合に問題になるということです。評価値は0.01m/lと いうことで、これを超えるレベルの検出事例もありますし、当然新たに基準をすべきで あろうということで書いてございます。その意味で、ここは主として問題になるという よりも、委員がお話ししたように消毒によって問題になる物質という欄でございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  という御説明ですが、亜塩素酸は二酸化塩素だけではなくて次亜塩素酸の中にも入っ ているので、必ずしも二酸化塩素というふうに限らなくても塩素剤の不純物として添加 されるということで書いておいて、塩素酸も時として存在しますから、それはそれとし てよろしいのではないかと思います。  塩化シアンですが、さっきの話の蒸し返しになりますけれども、クロラミネーション をやったときにはまた別ですよね。塩化シアンはできるのですよね。だから、さっきの シアンの0.01mg/lというのはやはりシアンにしておいてもらって、塩化シアンは除い て、ここで塩化シアン0.05mg/lというのを別に立ててもらった方が、測定法もイオンク ロマトグラフになっているし、わかりやすいのではないかと思うんだけれども、安藤委 員どうですか。 ○安藤委員  別々に測れるはずでしたから大丈夫だと思います。ということは、比色は没になる と。 ○眞柄委員長  だから、フィールドで水源事故で魚が浮いた、急いで測るというのは比色の試験法で シアン化合物が検出されるからいいかもしれないけれども、水道水の水質基準の方はイ オンクロマトグラフ一本にしてしまって、遊離のシアンと塩化シアンと別々に測定する という方が科学的ではないかと思いますが、いかがですか。 ○安藤委員  それで問題はないと思います。 ○眞柄委員長  事務局は、それで困りますか。 ○岸部水道水質管理官  これは江馬委員の方の毒性評価との関係もあるんですが、結局、作業としてはシアン として、塩化シアンの0.05mg/lというのも塩化シアンとして0.05mg/lですので、シアン に換算すると0.01mg/lという数字になります。評価もたしかシアンとして評価されてい る値なので、WHOなどでも合わせた形でやっていますが、勿論分けてそれぞれ評価し てという話はあります。 ○眞柄委員長  江馬委員、WHOはシアンで0.07mg/lですよね。塩化シアンでも同じだから0.07mg/l にしてしまえという話で。日本の今までのしきたりで「検出されないこと」という数字 にこだわると、シアンは0.01mg/lということになってしまう。私の理解では、たしかそ うだったと思います。それは事務局で確認していただけますか。WHOのときに塩化シ アンとサイアネイドと最終的な評価をチェックしておいてくれますか。後から御報告く ださい。 ○事務局  わかりました。 ○眞柄委員長  臭素酸については0.01mg/lということですが、測定法上は0.01mg/lで測れるように なったかと思いますが、処理の方で国包委員、BATはありますか。 ○国包委員  これも眞柄委員長が御存じのように、幾つかpHですとかオゾンの注入率ですとか、 特にオゾン処理の反応の条件をうまくコントロールしてということになると思います。 0.01mg/lというのはそういった意味からしますと、何とかクリアできるレベルかなとい うぐらいだと思います。 ○眞柄委員長  ということですが、伊藤委員。 ○伊藤委員  臭素酸の個別表の中で、最後の4ページ目のところですが、BATの考え方を取り入 れて評価値0.01mg/lとするというところがちょっとわかりにくいのです。確かにWHO のガイドラインでは、毒性評価の結果からは0.002mg/lという値が出されて、それに対 して分析手法と処理技術を考えると、0.01mg/lにするのが現実的であるというふうに示 されています。これに対して、江馬委員の今回の評価では、そのBAT云々という前に 毒性評価のみで0.009mg/l、つまり0.01mg/lというのが出されたということではないの でしょうか。 ○江馬委員  評価値0.009mg/lの基になったデータは1998年の結果で0.009……。 ○岸部水道水質管理官  先生、事務局の方で。これについては、確かに伊藤委員の御指摘もございましたよう に0.009mg/lを丸めたということもありますし、WHOの方ではanalytical achievability とかtreatment achievabilityということで、現在のところだいたい0.01mg/lぐらいま でが限度だということもありまして、BATで考えても、0.01mg/lであろうというふう なことで、評価値として0.01mg/lとしたらどうかなという感じでございます。 ○眞柄委員長  もう一度説明しますと、WHOのガイドラインのときには、リスクでやると伊藤委員 が言われたように0.0025mg/lになるというのがWHOの評価です。それに加えて、EP Aが一昨年にやった動物実験の結果を基にBSDを計算し、その計算結果に基づいて体 重50kgの人が1日2Lで評価値を検討すると0.009mg/lになると。それはWHOのリス ク評価とは別に、新しく江馬委員がやっていただいたときにこの数値になりました。こ の数値は処理のこともさることながら、0.009mg/lを丸めると0.01mg/lになるという WHOとは違う評価結果になったけれども、結果的にはWHOの今出しているガイドラ インの値と同じになったというふうにこの評価値が提案されていると理解していただけ ればと思います。  臭素酸につきましては、既に御検討いただいたひ素と同様に、毒性評価はいろいろな 国々や研究者が現在でも実施していることでありますので、将来的に変わる余地はある かと思いますが、現時点では江馬委員が評価していただいたことと、それから、BAT の限界のようなことを考慮して0.01mg/lというのが事務局の案だとお考えいただければ と思いますが、それでよろしいでしょうか。  ほかにはよろしゅうございますか。それでは、塩化シアンは残しておいてください。 その次に、トリハロメタンのたぐいをお願いします。 ○岸部水道水質管理官  トリハロメタンにつきましては、従来の数値を変えるようなデータというのは得られ ませんでしたので、評価値としては従来どおりということでございます。御承知のよう に、検出状況につきましては、以前のような基準を超えるというような状況はございま せんけれども、やはり原水の有機汚濁の問題がございますので、50%、60%というよう な形で検出をされております。引き続き、この4物質と総トリハロメタンについては基 準として維持をしていくべきであろうということでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  トリハロメタンについて、いかがでしょうか。  実は今朝、WHOの本部から入ってきたメールを御紹介いたしますと、トリハロメタ ンについては一応見直してこんな数字で収まっていますが、クロロフォルムについて は、直ちにRolling Revisionに回すということになっておりますので、一応、基準は 基準として原案どおりでいきたいと思いますが、逐次改正の候補にトリハロメタンは入 るというふうに報告書にはノートとしていくようにしたいと思いますので、よろしくお 願いします。  では、次にハロ酢酸をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  ハロ酢酸でございます。臭素で置換されたものにつきましては毒性情報が得られな かったということで、毒性評価がそれなりに行える3物質について御説明させていただ きます。  クロロ酢酸につきましては、評価値が0.02mg/lということで計算をされます。検出状 況から言いまして、当然10%を超えて検出されますので、新たに基準値にすべきであろ うということでございます。  ジクロロ酢酸につきましては、現在監視項目ということで0.02mg/lという数値があり ます。毒性評価が暫定的ということがありますけれども、検出状況から見ると、これは 午前中に伊藤委員からお話をいただきましたが、例外的に基準にしてもいいのかなと思 います。先ほどの分類基準にする場合は水質管理目標設定項目になる物質でございま す。  トリクロロ酢酸につきましては毒性評価が変わったということで、暫定がとれて評価 値が0.2mg/lになるということでございます。検出状況を比較いたしますと、10%を超え て検出されるということがございまして、基準に設定すべきであろうということでござ います。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ハロ酢酸ですが、いかがでしょうか。 ○伊藤委員  ジクロロ酢酸については、評価値が暫定的であるにもかかわらず基準項目になってい ますけれども、このような扱いをしているのは、この表の中ではこれだけだと思いま す。 ○眞柄委員長  これは恐れ入りますが、明日までにチェックし直していただけますか。つまり、WH Oは以前の評価ではプロビジョナルをベースにして0.05mg/lという数値を出していたと 思いますが、今度の再評価で0.04mg/lとしプロビジョナルを外したのではないかという 記憶があります。そうすると、評価値は体重差を考えると0.03mg/lになって、プロビ ジョナルが外れる可能性があると思うので、明日までに事務局でWHOの資料を見て再 チェックしてください。 ○岸部水道水質管理官  確かにWHOではプロビジョナルがとれて、0.04mg/lとなっております。 ○眞柄委員長  体重差を考慮すると0.04mg/lになって0.03mg/lになったはずなので、ちょっと江馬委 員と御相談していただいて、明日までに結論を出していただけますか。そうすると、 今、伊藤委員がおっしゃった懸念もなくなると思います。ほかはよろしいですか。  それでは、ハロアセトニトリルをお願いします。 ○岸部水道水質管理官  ハロアセトニトリルにつきましては、十分なデータが得られたものが少ないというよ うなことでございます。このうちジクロロアセトニトリルにつきましては、現在監視項 目0.08mg/lで設定されていますけれども、新しいところで0.04mg/lプロビジョナルとい うことで評価をいただきまして、検出状況から見て水質管理目標設定項目かなというこ とでございます。あとは、十分なデータが得られていないので要検討項目というふうに させていただいたらどうかということでございます。 ○眞柄委員長  ジクロロアセトニトリルの0.09mg/lプロビジョナルは前で、今度も0.02mg/lでプロビ ジョナルだったと思いますので、それは「P」を入れておいていただければと思いま す。  ハロアセトニトリルについて、いかがですか。こんなところまで検討しなければなら ないというのは大変な時代になったとは思いますが、しようがないですね。  では、その次にその他をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  その他のところでは5物質、アセトアルデヒドでございます。これは、評価値等を設 定すべき情報がないということで要検討項目でございます。  MXにつきましては、一応評価値は出てまいりますけれども、検査事例が少ないとい うことで要検討項目ということでございます。  クロロピクリンにつきましては、毒性評価するだけの情報がなかったということでご ざいます。  抱水クロラールにつきましては現行監視項目ですけれども、毒性情報がまだ暫定的で あるということから、検出状況から考えて水質管理目標設定項目ということでございま す。  最後のホルムアルデヒドでございますが、現在監視項目0.08mg/lという数字でござい ます。今はプロビジョナルでございますけれども、それをとっていいのではないかとい うことで0.08mg/l。この値を基に検出状況から評価値を出しますと10%を超えているも のがございまして、基準として設定すべきではないかということでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  結果的に言うと、抱水クロラールが水質管理目標設定項目であり、ホルムアルデヒド が基準値となるということですが、これについていかがでしょうか。よろしいですか。  一応、ここまでずっと見ましたが、シアンと塩化シアンはわかりましたか。 ○事務局  基本的には、同じ物質のシアン化合物ということで同じ物質としてWHOの方では毒 性評価しており、子豚への影響から0.07mg/lという値を出しております。 ○眞柄委員長  0.07mg/lというのは「as CN」ですか。 ○岸部水道水質管理官  そうです。 ○眞柄委員長  安藤委員、どうしますか。 ○安藤委員  測定法上から言いますと、古い測定方法はどっちみちシアンは塩化シアンにして測っ ています。新しいイオンクロマトグラフにしますと、それが別々に測れる。つまり塩素 を入れるか入れないかで別々に分かれて測れるという状況になります。値が同じだとど う考えるか、2つそれぞれにあるということは下手すると倍OKということになってし まいすね。片方だけにするとそれぞれがクリアするか、そういう考え方の若干の違いが あるのかなと。 ○眞柄委員長  ヘルスリスクの評価として、しかも、浄水処理を受けている水のヘルスリスクを評価 するときに、片やCNが0.01mg/lで、塩化シアンでも0.01mg/lということになるわけで しょう。それは公平なリスク評価になるだろうか。法律ではシアンは含まないと書いて あった。それは確かにそのとおりだけれども、含まないということの評価が過去と現在 では随分進歩しているわけですね。その進歩をどう見るかということです。法律的には CNは含まないことで0.01mg/lというのは、それでいいわけでしょう。 ○岸部水道水質管理官  それは、含まないというのは要するに絶対ゼロではなくて、技術的に可能な測定にお いて検出されないということですから、そのときの当初の検出限界値0.01mg/lというこ とで設定しています。  それから、毒性評価についてWHOと違うのは、江馬委員の評価でWHOの実験とい うのは不適切だということです。根拠論文が違うので、評価値はWHOとは一緒になら ないということです。 ○眞柄委員長  それが幾つですか。 ○岸部水道水質管理官  塩化シアンとして計算すると0.05mg/lですが、シアンとして計算すると0.01mg/lとい う数値になります。 ○眞柄委員長  そうですか。そうすると、この無機化合物の塩化シアンというのは、CNとしてでは なくClCNとしての値なのですね。 ○岸部水道水質管理官  はい。 ○眞柄委員長  わかりました。  それでは、原案どおりでいいということにいたしましょう。 ○岸部水道水質管理官  原案どおりというのは、シアンとして塩化シアンを含めた形で基準値を設定するとい う理解でよろしいですか。 ○眞柄委員長  いやいや、シアンは0.01mg/lで、塩化シアンは0.05mg/l。0.05というのは塩化シアン として0.05mg/l。 ○岸部水道水質管理官  項目を分けると。 ○眞柄委員長  これは両方分かれているわけですよね。シアンを含めると書いてあるわけですか。 ○岸部水道水質管理官  シアンに含めたらどうかというのが事務局案でございます。 ○眞柄委員長  でも、水道の塩素処理をやったらCNなんてないですよ。もしも間違って後からシア ンが入るということがあったときには、それは両方あるかもしれないけれども。 ○岸部水道水質管理官  たまたま塩素消毒機が故障していたとかですか。 ○眞柄委員長  国包委員、どうしたらいいですか。言いづらいですか。 ○国包委員  そういう意味ではなくて、ちょっと私もこれに関してはどう考えたらいいのか、なか なか整理がつきません。 ○眞柄委員長  クロラミネーションをやったらどうなるのですかね。 ○安藤委員  クロラミンでは塩化シアンはできないと思います。Cがないから。むしろ、アセトニ トリルみたいなものができると、ハロゲン化アセトニトリルが更に壊れて、その片割れ が塩化シアンになる。この可能性は十分あると思います。ですから、一応別々につくっ たって対応はどっちでもできるかなと思います。 ○眞柄委員長  江馬委員にやっていただいたシアンというのはどれですか。ブタのものではないので すね。 ○岸部水道水質管理官  ブタの実験は被験動物が3頭しかいないので不適切ということです。 ○江馬委員  ラットです。 ○眞柄委員長  ラットの実験はシアン化ナトリウムを入れたのですよね。シアンが4.5。それを戻すと これになるということですか。わかりました。では、そうしましょう。できれば、私は 別々にしておいていただきたいです。傍聴の方がたくさんいらっしゃるので非常に言い づらいですが、シアンの水源事故というのは割と多いですよね。0.01mg/lというのでい くと、給水停止を真剣に考えなければならない事例が時としてあるわけです。塩化シア ンと遊離のシアンと別枠でやっていただけると、0.02mg/lまでは大丈夫なわけですよ ね。しかも、シアンも勿論急性毒性物質ですけれども、WHOの見解で言えば0.07mg/l までUFを入れても大丈夫だと言っていることもあって、別枠にしてもらえるならとい う気もしますが、無理と言われればしようがないと思いますけれども。その辺の配慮も あっていいかなと思いますが、わかりました。では、0.01mg/lでいきましょう。  それでは、あと残ったものが検討していただくジクロロ酢酸は明日までということ で、今3時15分ですので、3時30分まで休憩させてください。その後、遠藤委員がい らっしゃいましたので、生物・微生物関係のディスカッションをしたいと思いますの で、お願いします。  では、15分間ぐらい休憩させてください。                   (休憩) ○眞柄委員長  それでは、再開したいと思いますが、先ほど明日までにというお話をしましたが、ジ クロロ酢酸について江馬委員に調べていただきましたので、その結果を御報告いただく 形で結論を出したいと思います。江馬委員、お願いします。 ○江馬委員  ジクロロ酢酸の個別表の270ページですが、水質基準の(1)評価値のところです。第1 パラグラフが新しい方の評価、それから、第2パラグラフが平成10年の評価で、TDI ベースでいくと上のパラグラフが1.43μg/kg/day、下が3.6μg/kg/dayで上の方が高く なりますが、下の方がアロケーションの関係で評価値が低くなるということで、評価値 としては第1パラグラフの新しい評価で0.04mg/lということで、ここの対象項目の方の 値を変えていただきたいと思います。  それから、WHOの方も暫定値ではないそうなので、この「P」を外して0.04mg/lと いうことになります。 ○眞柄委員長  ということだそうですので、プロビジョナルを外してWHOが0.04mg/lというとです ので、体重を考慮すると0.02mg/lでいいんですか。 ○江馬委員  0.04mg/lにします。 ○眞柄委員長  では、0.04mg/lということで。 ○江馬委員  それで、検出状況は0.04mg/lでも十分10%を超えますので基準値と。 ○眞柄委員長  基準値で0.04mg/lですね。ありがとうございました。 ○伊藤委員  すみません、そのように扱うとしますと、ジクロロ酢酸についてずっとディスカッ ションされてきました遺伝子障害性の有無についてですが、遺伝子障害性を認定できる という立場になりましょうか。 ○江馬委員  認定できるというか、遺伝子障害性を否定できないという理解だと思います。 ○伊藤委員  WHOのガイドラインでも、遺伝子障害性については白黒はっきりしないけれども、 マイナス5乗のやり方で計算しているということだと思います。だから、そこは多分白 黒はっきりしないけれども、この評価方法でやろうと。 ○江馬委員  そういうことです。 ○眞柄委員長  よろしゅうございますか。  それから、シアンの扱いについて安藤委員から。 ○安藤委員  先ほど明確なお話をしないまま問題提起だけして申し訳ございません。私はちょっと 今の休み時間に考えていまして、結局シアンというものは汚染物質だと思います。つま り、原水からの問題が非常にクリアな問題で、大昔からそこについて何とかしようとい うお話だったと思います。今、議論している塩化シアンというのはそこではなくて、 入ってきた段階で処理過程で生成するものという考え方に立つべきだろうと思います。 昔は塩化シアンとシアンを分別することはできなかった。だから、シアンとして我々は 何とか平成4年のときもクリアしたという状況でした。そういうことからしますと、基 本的には汚染物として考えるならば、シアンイオンでも構わないですがシアンであっ て、もう一つ、いわゆる副生生物として考えるならば塩化シアンとして項目を立てたっ ていいのではなかろうかという気がいたしておりますので、蒸し返しになりますが、よ ろしく御審議のほどをお願いします。 ○眞柄委員長  ということは、シアンとして0.1mg/l、塩化シアンとして0.1mg/lの両方項目として立 てる。 ○安藤委員  これでは0.05mg/lになっています。 ○眞柄委員長  0.05mg/lですね。それで立てるということですね。よろしいですか。ありがとうござ います。  それでは、遠藤委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。 ○遠藤委員  資料2をご覧いただきたいと思います。微生物に係る基準についてですが、水道水を 介して伝播する主な病原微生物は、糞便による水の汚染が原因していることがほとんど だと考えられます。その意味から、現行では糞便汚染の指標として大腸菌群が水質基準 に指定されております。また、水の清浄度がどの程度かを判断する目的で一般細菌が使 われてきました。今回の基準の見直しに際しまして、これらの指標性について再検討を 行いました。大腸菌群については、糞便由来であることが明らかである大腸菌に変える ことが可能かどうか検討致しました。それから、一般細菌につきましては、これまでの 歴史的経緯を踏まえ指標としての意味付け、及びその妥当性について検討いたしまし た。また、従属栄養細菌に変更することの意義、あるいは従属栄養細菌を追加する必要 があるかという点について検討いたしました。  また、そのほかの問題として、今話題になっておりますクリプトスポリジウム等の塩 素耐性を持つ病原微生物の汚染にどう対応するか、あるいは配管系や受水槽等での微生 物の増殖の問題、レジオネラなどがその代表的なものと思いますが、この様な問題を水 質基準にいかに反映させていくかを問題といたしました。  まず、提案の骨子ですが、一般細菌は現行のままとすること、すなわち1mlの検水か ら形成される聚落数が100以下であることという現行のものをそのまま残すことが妥当 と考えました。それから、「大腸菌群」は「大腸菌」に変更し、新たな基準として「大 腸菌が検出されないこと」を提案するのが妥当であると考えました。  この根拠につきましては、資料2の方に説明してございますので、また御検討いただ きたいと思います。一言触れますと、今の水質基準に基づいて微生物関連の検査は定期 的に年に12回行われております。この年12回の検査をもって、我々が日々飲んでいる水 の安全性が担保されているのかというと、決してそうではありません。この検査は専ら 最終産物の水道水質の品質保証の役を果たしていると考えるべきであります。そういう 意味からすれば、基準項目には非常に高い指標性を持たせる必要があるだろうと判断い たしました。したがって、基準項目としては大腸菌群よりも大腸菌の方が妥当であると の判断に至りました。 一方、一般細菌に関しては、その指標性に関する解釈の歴史を検討しました。別紙1に 解説いたしましたので、詳細は省略させていただきます。一般細菌の測定は19世紀末の Robert Kochの業績に依拠したものと考えられます。すなわち、緩速ろ過により細菌聚 落数(現在の一般細菌)が1ml中に100個未満に制御されている水道水では、コレラと かチフスが発生しなかったということを根拠として、ろ過工程の評価に採用したという ところから始まったとされております。我が国も同様の目的で一般細菌が導入された経 緯だと認識しております。その後、現在まで一貫して一般細菌が使われてきましたが、 この間には指標としての一般細菌の解釈(意味付け)が変わっており、これを受けて検 査方法も変更されております。その詳細につきましては、資料の別紙をご参照いただき たいと思います。  現行の検査方法から致しますと、一般細菌は従属栄養細菌のうちのごく一部の細菌を 検出しているということになろうかと思います。つまり、従属栄養細菌のうち栄養素の 比較的濃いところに生育し、36℃付近で速やかに成育する菌が検出されることになりま す。しかしながら、水道水系にはきわめて多様な細菌類が棲息しており、現行方法では 通常の水温を好むもの、あるいはもっと栄養の低い環境で増殖する菌については検出で きない(しにくい)という欠陥が指摘されます。水の清浄度、すなわち現存量の指標と しては不足が生じていると考えざるを得ないと思います。この点を補うものとして、世 界的にも広く使われるようになってきました従属栄養細菌が注目されます。従属栄養細 菌の検査方法はすでに提案されているところであり、技術面からは採用が可能と考えら れました。しかしながら、我が国では、従属栄養細菌についての調査資料がほとんどご ざいません。基準に採用するにあたっては、根拠、あるいは判断材料としての資料が必 要と考えられますことから、本改訂では従属栄養細菌の導入は不可能と判断いたしまし た。 したがって、現行の一般細菌を水質基準として据え置き、細菌の現存量把握に用いるこ とを提案いたします。ちなみに、従属栄養細菌と一般細菌の間には、それなりの量的相 関が見られております。それから、一般細菌の検査法の利点として、培養温度が36℃付 近と高いことから、培養時間が短くて済むことがあげられます。この点は、水処理工程 における工程管理に使い得るというメリットだと理解致します。ので、当面の間は、一 般細菌をそのまま現在同様使うことがいいのだろうと思います。 一方、今後の課題として従属栄養細菌の有用性について速やかに検討を行い、導入に向 けた資料収集を図るべきではないかと考えます。  繰り返しになりますが、配水系で形成される生物膜あるいはスライムなどをとらえる という意味からいたしますと、つまり水の劣化を把握するという意味では、幅広い細菌 類が検出できる従属栄養細菌の方が優れていると判断されます。したがって、今後の課 題として従属栄養細菌に関して研究調査を進めていただきたいと考えております。資料 の5ページにその旨を指摘させていただきました。  大腸菌につきましては既に申し上げてしまいましたが、当初大腸菌群が導入された時 点においても、実は大腸菌を調べたいという目標があったものと理解しております。と ころが、当時の培養技術では大腸菌そのものを迅速・簡便に検出する方法がなく、大変 複雑であったことから、大腸菌が持っている生化学的性状のうち、5つの特徴を取り上 げ、その5つの特徴を持っている菌群を大腸菌に代えて大腸菌群として扱うこととした と理解しています。便法として大腸菌群が用いられてきたということは事実だろうと思 います。現在では大腸菌の検出技術は確立されております。したがって、大腸菌に代え て糞便汚染の指標として精度の高い大腸菌を水質基準に採用することがよろしかろうと 判断いたしました。  次に、クリプトスポリジウム等の塩素耐性病原微生物に関しましては、病原微生物の 即時監視、いわゆるリアルタイム・モニタリングということが本来的に求められるもの であろうと思います。現実的にはリアルタイム・モニタリングは不可能で、むしろそれ に見合うような処理技術の導入で対応すべきではないかと考えた次第です。また、述べ ますように、その他の技術的な障害もあり、水質基準を設けることは妥当でないものと 判断いたしました。  これまで、クリプトスポリジウム問題については暫定対策委員会が設けられて既に6 年経っておりますが、そこでクリプトスポリジウムに対しては、とるべき必要な浄水措 置等に関して、通知してまいりました。しかしながら、必ずしもその通知が生かされて いないという現状を踏まえれば、本改訂に際して対策を強化・推進していく必要があろ うかと考える次第です。  今後とるべき措置といたしましては、必ずしもクリプトスポリジウムだけに限定する のではなく、新たな病原生物も出てくる可能性がある、あるいはすでに指摘されている ところですので、表現が悪いですが、泥縄式に対応をとることは得策でないと考えられ ます。総合的に対応できるような措置を考えるべきではないかと考えました。  それから、クリプトスポリジウムに関してですが、仮にクリプトスポリジウムの汚染 があったとして、どのような対応を採れば、水の安全性が確保できるかということにつ きまして、検討いたしました。詳しくは資料の6ページから7ページに書いてございま す。仮に10L中に1個程度クリプトスポリジウムがいたとして、これによる感染リスク をWHOの参考許容値(DALYs)という考え方で算定すると、何の処理もせずにそのま ま供給すれば、感染リスクはWHOの基準をはるかに超えてしまうことがわかります。 一方、適切な処理、例えば2log程度の除去高率を保証する措置が採られたとすると、 おおむねWHOの許容値と同程度の水準が得られることになります。  我が国の研究者によるリスクに関する論文で、示差に富んだものがあります。今後と るべき措置に対しての考え方が提示されていると思われます。一般的にクリプトスポリ ジウム等の汚染というものは、年中非常に高い率で水の中に存在するわけではなくて、 間欠的にあるいは一過性にある程度の高い汚染があって、その汚染によって感染リスク が生じるものと考えられます。この点を考慮して年間の感染リスクを考えると、一日当 たりの感染リスクの足し算をしたものが年間の感染リスクに相当するということが結論 付けられるそうです。そういたしますと、どのような因子が年間リスクに影響するかと いいますと、汚染の高い日のことを「特異日」と表現すると、特異日の感染リスクがほ ぼ年間リスクを規定していることが示されています。  また、報告の中ではその特異日を外すような操作をして、安全度が確保される条件を 求めています。例えば、別紙3の後半で説明していますが、例えば、20L中にクリプト スポリジウムが1個以上出た場合には給水しないというルールを設定し、その場合のリ スクがどの程度変化するかシミュレーションしています。シミュレーションの結果から 致しますと、この条件をさらに厳しくして80L中に1個以上クリプトスポリジウムが出 た場合には給水しない条件で米国EPAの10-4の年間リスクに相当する程度の水質が維 持できるという内容でした。ここで申し上げたいことは、その数値が問題ではなく、方 法論が示差に富んでいる点です。すなわち、年間の感染リスクが特異日の感染リスクに よって影響されることから、その特異日の感染リスクを減らすことが課題となります。 特異日を排除する、発生させないこととは、具体的にはろ過施設の整備と浄水工程の管 理強化ということと解釈されます。  すなわち、今後塩素耐性生物に係る措置として、原水がクリプトスポリジウム等に汚 染されているおそれがある場合には、適切なろ過操作を行うべきことという一項を水道 法第22条に付け加える必要があるものと判断いたしました。  付け加えますと、原水のクリプトスポリジウムの汚染状況の把握(予測)が重要とな ります、その汚染に対して装置の規模等々が決まってくるものと考えられ。クリプトス ポリジウム等による汚染のおそれの判断は、今後重要な問題になるものと思います。汚 染のおそれの判断に関しましては、資料8ページに記載してあります。汚染の恐れの判 断等については早急に整理する必要がありますが、現在のクリプトスポリジウム等暫定 対策委員会の指針に反映させていただくことが重要ではないかと、専門的な立場から見 解を出していただく必要があろうと考えております。  暫定対策指針の今後の位置付けを法令の解説として、水道における塩素耐性病原微生 物対策の総合的な対策書として機能させていったらいかがかと考えております。  それから、今後の課題といたしまして、もう一つの問題は異常事態への対応だろうと 思っております。つまり、通常の汚染等に対しては、これまで申し上げましたように、 22条等でのろ過装置の整備あるいは運転管理の強化で対応していけるだろうと思います が、それに加えて異常な事態ということを想定する必要があるものと判断されます。  ここで重要な点は、一旦起きてしまった異常事態に対してどうやって次の処置をとる かということだろうと思います。例えば、汚染源の特定作業は、被害を最小限にとどめ るためにきわめて重要な措置であろうと思います。この様な点につきまして暫定対策指 針において具体的に審議していただき、然るべき策を示していただく必要があろうかと 思います。  また、除去方法の開発・導入ということも重要な課題だと思います。現在、世界的に 注目されております紫外線照射による不活化は、クリプトスポリジウムやジアルジアの シストに対して顕著な効果が示されております。十分な検討をお願いし、導入すべくは 導入していくことが妥当だろうと考えております。  いずれにせよ、今後とも詳細な科学的な検討が継続してなされる必要があろうかと思 います。  あえて申し上げることもありませんが、原虫汚染とか塩素耐性の病原性微生物による 汚染というものは、原水の保全ということが一番重要なポイントでります。水道の方か ら原水の保全対策に対して、声高にものを申していく必要があろうかと思います。  それから、我が国には多数の小規模水道がございます。その小規模水道におきまして は、必ずしもすべてがすべて万事うまく管理が行き届いているというわけではないかも しれません。人的な問題もあろうかと思います。WHOでは、一定規模以下の小さな浄 水場に関しましては、汚染が疑われるのであれば無条件にろ過施設の導入するべきであ るとの提案がなされていると思います。我が国におきましても、この様な制度の導入が 必要ではないかと考えた次第です。  以上、縷縷述べてまいりましたが、水質基準として一般細菌、「大腸菌群」に代えて 「大腸菌」を設ける、それから、クリプトスポリジウム等の塩素耐性の病原体に対して は、塩素消毒に変わる相応の措置をとるということを提案したいと思います。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、まず「大腸菌群数」は「大腸菌」として、基準値としては検出されないこ と。検水量は100ml。それから、一般細菌については、これまでと同様に1mlで聚落数 が100以下というのが基準であるということです。では、これについて御議論をいただ きたいと思います。まず、「大腸菌群数」を「大腸菌」に変えて、その基準値は検出さ れないことということに関して、御質問あるいは御意見をいただきたいと思います。い かがでしょうか。 ○国包委員  私は、結論的にはこういったことでフィージブルであればというふうに申し上げれば いいでしょうか、結構だと思います。前々回の委員会でも、大腸菌群と大腸菌との同じ サンプルについての検出結果がどう違うというような議論もあったと思います。「大腸 菌」になれば当然その対象は絞られるわけですから、結果としての数値はかなり小さく なるだろうと思いますが、こういう試験あるいはこういう項目ということになりますか ら、より明確にターゲットについてスペシフィックに結果が出せるということになりま すので、そういう意味では科学的には妥当と言えると思います。  あとは、万が一検出された場合、現場での測定が問題なく行えるかとか、あるいは結 果の評価をどういうふうに考えるのか、ここはより厳しく見ていく必要があると思いま す。これは私の宿題になるのかもしれませんが、そういったことについて少し考える必 要がありますが、全体として私は特に異存はありません。 ○眞柄委員長  今の国包委員の御意見で、遠藤委員から御紹介をいただかなかったのは、大腸菌の検 査方法は具体的にどうなるか。 ○遠藤委員  それは安藤委員の方とまだ打ち合わせをしたわけではございませんが、特定基質培地 法によって直接大腸菌が測れますので、その導入を考えております。 ○眞柄委員長  この特定基質培地法は既に。 ○安藤委員  平成4年のときに入れておりまして、その後、ここ2年ばかり各社そういう提案がご ざいましたので、それについて評価してきております。4社ぐらいそれでクリアできる という状況になっております。昔の方法と特定酵素基質培地法と新しく提案された方法 については全部2年間ぐらい検討いたしました。その結果、十分それに耐え得るという 状況にはなっております。 ○眞柄委員長  試験法上は問題ないと。  大谷委員、これについてはいかがですか。 ○大谷委員  私も特に問題はないと思います。 ○眞柄委員長  では、「大腸菌群数」については「大腸菌」にして、検査方法については特性酵素基 質培地法で、検水量は100ml当たり検出されないこととするということにしたいと思い ます。  それでは、その次に、一般細菌数については現状と同じでありますが、プロセスで従 属栄養細菌を導入することの是非について、微生物の関連の先生方で御議論をいただき ましたが、これについて遠藤委員から御提案があったことについて、御意見や御質問が あったらお出しください。お願いします。 ○国包委員  私が、また一番にお答えする立場でもないと思いますが、結論から言いますと、一般 細菌については現行どおり当面は残す、恐らく当面はということだろうと思いますけれ ども、当面は残すという御判断というのは、いろいろな面から考えて私は妥当な判断で はないかと思っております。改めて申し上げるまでもなく、一般細菌という指標がかな りあいまいな指標であることは、だれしも認められるところではないかと思いますが、 ただ、現場では相当使い勝手のいい、それこそ指標として活用されてきているし、現在 もそうではないかと思います。一般細菌が幾つかだからといって、その数字に必ずしも そんなに厳密な意味を見出せるわけではないとは思いますが、それなりに活用されてい ることは事実です。  それと、ちょっと一般細菌のこととは別になるかもしれませんが、従属栄養細菌につ いては、先ほど御説明があったとおりですし、これに今すぐ取って代わることかできる というふうには思えませんので、そういう意味では「大腸菌群」が「大腸菌」に変わる ということを前提に考えれば、一般細菌は当面それとパラレルで引き続き活用するとい うことで、私はいいのではないかと思っております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。 ○安藤委員  先ほどの従属栄養細菌のお話ですが、その中で将来は工程管理にすべきだというふう なくだりがあったかと思いますが、工程管理というのはどういうことをイメージなされ ているのでしょうか。と申しますのは、私どもの方もそういう項目を設けるべきだろう なと思います。そうしないと、中小の水道がもたないなということも思っておりますの で、工程管理という基本的な概念というか、そこら辺を教えていただければと思いま す。 ○遠藤委員  直接なお答えになるかどうかわかりませんけれども、従属栄養細菌を採用すべきだと いうのは、配管系、すなわち浄水全体のシステムの中での生物の増減ということが起こ り得るわけで、それをきちんと把握するには一般細菌は向かないだろうと考えられま す。それに比べ、従属栄養細菌は水中に住む細菌類を表現するという意味で有効だろう と考えます。それから、一般社会で受け入れられている水道水というのは、蛇口から出 てくる水だろうと思います。受水槽水道であるとか給水栓水道とか、専門的な分類はあ るのかしれませんが、蛇口をひねった水が水道水であるとするならば、高置水槽等の受 水槽水道の水質基準についても、責任をとっていかなければいけないだろうと考えま す。その際、従属栄養細菌を用いた品質管理の重要性が増してくるのだろうと思ってお ります。  ただ、1つ懸念をしておりますのは、従属栄養細菌は直接的に病原微生物とは関係し ておりませんので、従属栄養細菌の絶対数が問題にならないかもしれないということで す。むしろ数の変動の方が重要な問題だろうと考えております。その延長上で話をいた しますと、水質基準として扱いづらいことに、A地点、B地点と地点が違うと、それぞ れに従属栄養細菌の基礎数というものが違ってくる可能性があることです。基準値とし て全国一律に100だとか1,000という値を設けることが可能であるかが問題です。 ○眞柄委員長  そういう観点から言えば、一般細菌も従属栄養細菌と同じですよね。 ○遠藤委員  基本的には同じです。 ○眞柄委員長  大腸菌に関して言えば、これは腸管系の菌を測るというわけですから糞便汚染の指標 として、つまり糞便汚染の影響を受けたまま給水してはいけないという意味で、ヘルス ・リレイテッドな基準として位置付けることはそのとおりだと思いますが、一般細菌を ヘルス・リレイテッドな細菌の指標として大腸菌と並べて置くということについては、 どうかなという気がします。例えば、一般細菌が1ml中100以下ぐらいになれば、半日 も置いておけばバクテリアが増殖してしまって、水が濁って利便性に問題が生ずるとか 何とかということからすると、ヘルス・リレイテッドよりも水道水の性状に関する項目 の方が落ち着きがいいのではないだろうかと思えるのですが、遠藤委員のお考えは、や はり一般細菌もヘルス・リレイテッドだということでしょうか。 ○遠藤委員  いえ、これは私の書き方が悪かったのでしょうか、私は直接的に一般細菌がヘルス・ リレイテッドな指標になっているという理解ではございません。水の清浄度を表すもの という表現の方が正しいかと思いますが。 ○眞柄委員長  ところで、4条に何か書いてありますね。それをちょっと読んでいただけますか。 ○岸部水道水質管理官  正確に読ませていただきますと、「病原生物に汚染され、または病原生物に汚染され たことを疑わせるような生物もしくは物質を含むものではないこと」ということで、一 般細菌と大腸菌群が昭和32年来入っています。 ○眞柄委員長  昭和四十何年に、汚染されているおそれのところからアンモニアを外したのですよ ね。  さて、平田委員、一般細菌の扱いはいかがですか。 ○平田委員  難しい話です。私も御議論に少し加えさせていただいたのですが、委員長のような御 見解もあろうかと思いますが、むしろ従属栄養細菌に切り替えたのなら、性状に関する 項目としてよいのだろうと思います。遠藤委員のお書きになられた資料2にもあります ように、現状では一般細菌は残さざるを得ないという判断に立つと、あえていじらない 方がいいのかなという気はちょっとしています。 ○遠藤委員  一般細菌の今までの培養法の経緯を見てまいりますと、当初は当然のことながら水の 中の細菌を拾うという努力がされたわけですけれども、あるところから培養が36℃に なったり、高栄養の培地を使い始めたりしたということがあって、糞便性汚染の使用に 使う方向に動いた時期があったと理解いたしました。ところが、1978年だと思います が、その時点で培地を普通寒天から標準寒天培地に変えております。そのときに食塩濃 度を下げて栄養素も少し変えております。いわゆる従属栄養細菌が検出されやすいよう な培地に変えたのですが、培養温度は36℃に据え置いております。この理由については よくわからないのですが、恐らく培養時間を短くするというところに利便性を求めたの ではないかと思います。この点からは、従属栄養細菌をとらえようという方向、すなわ ちむしろ病原微生物というよりも清浄度に視点を置いたものと考えられます。今回も、 レジオネラ等のことを考える上でリグロース問題は是非とも避けてとおれないと考えて おりますので従属栄養細菌を導入したいところです。しかしながら、説明いたしました 理由から、暫定的な対応をとるのがいいのだろうと判断いたしました。 ○安藤委員  1978年のときのごくわずかな記憶としてあるのですが、水道というのは私は当時はよ くわからないで変えたなという記憶があります。別に私が変えたわけではないですが。 そのときに従属栄養細菌という考え方は余りなかったなと。むしろ、とにかくいっぱい 拾いたいなという考え方だったなと思います。たしか食品の方が変わっていて、それで こっちも変えざるを得ないという状況があったのではないかと思います。 ○遠藤委員  かつて、「普通寒天培地」という言葉の定義がばらばらだったようです。水道の「普 通寒天」と食品・細菌学の方で言う「普通寒天」が違うといった具合です。それで「標 準寒天培地」という新しい名前をつけて、培地を特定したという経緯があったと思いま す。 ○平田委員  私もうろ覚えですが、普通寒天培地には培地成分のばらつきに起因する数値の変動が 大きいという欠点があり、標準寒天培地では成分の品質管理がきちんとできていて変動 が比較的少ないという理由もあって変更されたという経緯があったと思います。 ○遠藤委員  もう一つ、大きな点はグルコースが入っていますね。それまで入っていなかったグル コースを入れて、カーボンソースとしてグルコースが使えるようにしたというところが 非常に大きな変更点となっています。  委員長のお考えは、一般細菌はいわゆる4条に引っかかる病原微生物でないからとい うことで、そこに一緒に入れるのがまずいということですか。 ○眞柄委員長  性状に関する項目に入るのではないかと。でも、一般細菌の中にも感染性の細菌がい るから4条に入れてもいいよという話にもなるし、難しいですね。 ○岸部水道水質管理官  従来、糞便性汚染のインデックスとして大腸菌なり大腸菌群があり、その量のイン デックスとして一般細菌があったというふうな説明がずっとされてきまして、その説明 はちょっとおかしいということだと思いますが。 ○眞柄委員長  一般細菌が1ml中100個というのは、要するに、遠藤委員がお話になったように、Koch が緩速ろ過の指標として提案した数値で、感染性のリスクとは全く関係ない100ですよ ね。だから、大腸菌であれば糞便汚染があるかなしか、そのものずばりですから、公衆 衛生の方を考えればリスクはあるというのはそれでいいと思います。100を超えたらど うかという話は、では、99ならいいのかという話にもなるし、そういう意味では、ヘル スリスクとしての指標としての妥当性ということに、今となってみれば、やはりクエス チョンマークがつくということですが、やはり今のままでいいよという御意見が多けれ ば、私はそれも一つのステップとして必要なのではないかと思います。 ○国包委員  私の考えでは、確かに委員長御指摘のように、非常にあいまいな指標だろうと思いま す。これは時代の変遷でだんだんいろいろなことがわかってきてということもあって、 それは致し方のないことだと思います。ただ、第一に、やはり指標としての意義がある かどうか、基準とするに値するかどうか、ここはどういう意味合いでということが必ず ついて回るわけですが、そのことはちょっと置いておいて、大まかに基準項目とするこ とに意義があるかどうかということを考えれば、私はあいまいさは残るけれども、やは り今の時点でもこれからもということになりますけれども、当面はあるのではないかと 思うわけです。  議論の仕方としては、そこのところで仮に合意できれば、今度は基準項目の中でどう いった位置付けにするのかということになってくると思います。ここから先は、余りこ の場できちんと議論がされたことはないのではないかと思いますが、現行の基準ですと 健康に関連する項目と性状項目とありますね。この分類を今後とも基準項目について維 持するのかどうかということがありますね。ある程度明確に分けておいた方が、私は個 人的にはいいのではないかと思いますけれども、その辺の考え方をどうするのかという ことも併せて議論をしていかないと、今のところは余りはまり込んでもちょっと限界が あるのではないかという感じがします。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  そういう意味では、従属栄養細菌については基準にはしないけれども、従属栄養細菌 を基準にするかどうかということについては、優先的に検討する項目として報告書に盛 り込むということについては、委員の先生方そういうことでよろしいでしょうか。 ○安藤委員  よろしいかと思います。私が先ほど工程管理やどういう考え方かと申し上げたのは、 つまり基準項目というか性状項目として非常に位置付けを重くして、私はそっち側に移 してもいいかなという考え方です。そうすることによって、工程管理の意味がもっと重 さを増す。例えば、そこにpHだとか濁度だとか幾つかの項目が挙がります。つまり、そ れは継続性が非常に長いものとして大事にとっておくのだと。これはQA/QCにも関係し てくる問題だし、そういうものというのは、やはりひとくくりとしてもっと明確にやっ たらいいかなという意味で、私は基準項目としては残すべきだと思うし、いわゆる病原 微生物というものからこちらに移してもいいのではないかという考え方ですが。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、次にクリプトスポリジウムを含めて耐塩素性の病原微生物に関しては、基 準としない。水道法の22条及び23条で対応する項目にするというのが、耐塩素性の病原 微生物に対する御提案であろうかと思いますが、遠藤委員そういう理解でよろしいです ね。それに関して、いかがでしょうか。 ○国包委員  これに関してもよく整理されておりますし、私は基本的には基準とはしないというこ とで、その代わりきちんと浄水処理なりで対処するという方針を示すということでよろ しいのではないかと思っております。  ただ、ちょっと気になりますのは、水道法第22条に基づく措置として云々、適切なろ 過操作を行うべきことということまで書いておられますが、ここのところはもう少しい ろいろと議論をしていった方がいいのではないかと思っておりますし、最終的には事務 局の方で水道行政全体の中で判断されるべきものだろうと思っております。  何でそういうことを申し上げるかといいますと、確かにクリプトスポリジウムとか原 虫による汚染というのは重要な課題でもありますし、決して外すことはできないと思っ ていますが、この資料の8ページの下から3分の1辺りのところにもHACCPですとか WHOのWater Safety Planのことなども書いておられますけれども、やはり水道水 の安全確保ということから考えますと、クリプトスポリジウムはその1つではあるけれ ども、それ以外、前から私はよく申し上げていますが、全体的な水質の管理あるいは水 質の監視といったことをきちんと行っていく必要があると思います。それと、委員長も ほかの場でよくお話しされていますが、どういった運転管理をしたのかという記録をき ちんととるとか、そういうことは今何も規制されていないと思います。いわゆる基準項 目の検査結果は当然記録にとらなければいけないとなっていますけれども、そういった 本来水道の施設の運転管理に当たって最低限守らなければいけないこと、やるべきこと といったことについて、断片的にではなくて、もう少しまとめて整理をして規制の中に 盛り込むようにできればいいなと思っています。ここから先は今後のことですけれど も、私もその辺の考えを少し整理し掛かっておりまして、できれば次回にでも少しお時 間をいただいてお話しさせていただければありがたいなと思っております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  平田委員、クリプトスポリジウム、ジアルジアは基準にしないという遠藤委員の御提 案ですが、これについて何か御意見ございますか。 ○平田委員  現状ではやむを得ないといいましょうか、その根拠を求めるのがしんどいなというと ころがあります。 ○眞柄委員長  クリプトスポリジウムやジアルジアの値を基準にする根拠。 ○平田委員  根拠といいましょうか、計測値の根拠ですね。 ○眞柄委員長  測定法上の問題ですね。 ○平田委員  はい。それが私は一番大きいのかなという気がしています。基準値を設けておいて、 生きているか死んでいるかわからない測定方法で対応するというのは、ちょっと基準値 にはなじまないと言わざるを得ないのかなと思います。クリプトスポリジウムなりジア ルジアなりを合わせてインデックスとして評価するというイメージでやれば、やってで きないことはないだろうとは思いますが、その辺りのきちんとした整合性をとれる数値 の根拠が算出できないと私は思っております。いわゆるおそれの判断とでも言いましょ うか、生きているか死んでいるかわからないけれども糞便由来の微生物粒子が存在する ような原水を処理する浄水システムはどうあるべきかという、国包委員のお話にちょっ と近いところもありますが、そういう対策をきちんとしなさいということにはつなげら れる。それを基準にできるかどうかというのは随分迷いまして、現時点では設定できな いのもやむを得ないのかなという気がしています。 ○眞柄委員長  ほかにありますか。 ○平田委員  もう一点だけよろしいですか。ろ過で対応するという話が出ていますが、これは病原 微生物対策検討会の方で検討していただくということになるかもしれませんけれども、 遠藤委員も話しておられましたが、やはり原水の汚染状況をどう把握するかということ が非常に重要なのかなという気がしています。現実的には、原水の分布はまあまあ対数 正規分布型という分布関数が大体適応できるような分布特性を持っていますので、水道 水源にどういう分布で出現するのかをそれぞれの水道が本当は把握しておくべきだと思 います。ろ過といってもいろいろ方法はございますので、それに見合った除去能力のあ るものを導入するという、もう一歩踏み込んだ判断が必要かなと考えています。 ○眞柄委員長  遠藤委員、9ページの上のパラグラフですが「異常事態が発生した場合には、当該事 態への速やかな対応が求められる」。事実、越生では二次感染と思われるような発生の パターンを示したわけですね。「その際、集団感染の汚染源の特定は被害を最小限にと どめるために、事後の措置として採るべき最重要課題の一つである。そのため、各浄水 場においては配水の一部あるいはその沈渣を一定期間保存する制度の導入を検討すべき ものと考える」ということですが、これについて、少し具体的に御説明いただけます か。 ○遠藤委員  これは「沈渣」という言葉が文章表現として正しいかどうかは別といたしまして、食 品の方の発想にありますのは、よく学校給食等でたくさんの食品を一手に扱う場合は、 集団発生が万が一起きた場合に備えて2週間程度食材を冷凍保存しておくという措置が とられております。予期せぬ出来事というのは、必ずしも単なる自然の汚染というもの だけではなくて、人為的な汚染ということも考えていかなければならないような社会情 勢なのかもしれません。そういうことを合わせますと、水というものもある程度の期間 保存しておいて、水道水を原因として起きた事故なのか否かをさかのぼって検査するこ とができるような措置が必要ではないかと考えた次第です。説明になりませんでしょう か。 ○眞柄委員長  いえ、わかりました。ということは、化学物質についても同じようなことが要ります か、安藤委員、いかがですか。 ○安藤委員  実は、同じところを私も蛍光ペンで印をつけておりまして、どうなのかなと。これは 大変な作業になるなと。理想は確かにこれでなければいけないのでしょうけれども、現 実大変だなと。ちょっと答えにならないですけれども。 ○眞柄委員長  それと、もう一方で、今、通水開始のときに水質試験を行わなければならないという ことになっていますね。そのときに、例えばクリプトスポリジウムの感染のおそれが あったとき、通水開始のときの試験というのは基準には入っていないですよね。あるい はクリプトスポリジウムの汚染があった。例えば越生のようなものがあって浄水場を止 めた。通水開始のときに、どういう試験をするのか。今、水質基準の項目にクリプトス ポリジウムは入っていない。でも、現実にクリプトスポリジウムで感染症が出たわけで すから、その際の通水監視のときにこれはどういう扱いになるでしょうか。基準ではな い。 ○遠藤委員  例えば暫定対策指針等でその辺のことを明確に指示したらいかがでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  行政的には、まず、汚染された配水地区を洗管します。そのあとは、ろ過操作なりを して通水するということで、特に検査をするというようなことはないと思いますけれど も。 ○平田委員  暫定対策指針には、40Lを2回やって検出されないこと、そのレベルまで洗浄された 状態になったら開始してよいと。 ○岸部水道水質管理官  それは、洗浄の状態ということですよね。 ○平田委員  通水再開のための条件としてです。 ○岸部水道水質管理官  そうですね。だから、浄水処理したものがということではなくて、通水を再開すると きに水道施設がどのくらい洗浄されたかということではなかったでしたか。ちょっと私 は勘違いしていますか。 ○平田委員  同じことではないかと思って聞いていたのですが。 ○眞柄委員長  だから、それは洗浄して40Lを2回やって検出されなければ洗浄されたから、通水し てもいいということですよね。それは、クリプトスポリジウムの対策指針で一応やって いるわけですね。それは基準ではないですよね。そういう意味で、化学物質の今朝の検 討をずっと全体の流れを見ていくと、例えば、主として問題となる原水で、河川水、湖 沼水、地下水となっているけれども、クリプトスポリジウムのおそれがある原水につい ては、例えばクリプトスポリジウムを目標値にする。そのときに遠藤委員が示して下さ ったように、現行の20Lから検出されないとか。 ○遠藤委員  そうなると、原水からいくと10Lです。 ○眞柄委員長  10Lに検出されないこととするとか、だけれども、基準は給水する方の水だから対応 できないですよね。給水する方の水から言うと、前提として2logのろ過値があったと きに、浄水は何mlから検出されないことになるのですか。 ○遠藤委員  20Lです。 ○眞柄委員長  20Lから検出されないという目標値でいいのですか。 ○平田委員  今の原水10Lに1個で2logということになれば、1tに1個ですよね。 ○眞柄委員長  そうですね。1tに1個か、今の対策指針のように40Lに2回引き続き検出されないこ とという目標値を設定することも考えられる。 ○岸部水道水質管理官  それは、水質基準に関連した管理目標ということでは御容赦いただきたいと思いま す。現在の法律上の取扱いとしては、そもそもそういったものはいかんということを 言っていますから、それで目標値を設定するというのは御容赦いただきたい。実質的に 水道協会等がやるときの目安として使われるなら別ですけれども、先ほどの4分類させ ていただいたような水質基準、水質管理目標設定項目、要検討項目、その他という分類 には行政上乗せられないので、その取扱いは御容赦いただきたいと思います。 ○平田委員  今のお話ですが、要するに「病原微生物によって汚染されるおそれのある生物が検出 されないこと」ですから、今、眞柄委員長がお話しされたように、トン当たり1個と申 し上げましたけれども、それを保証する検出されない検査水量を、例えば40Lで3回検 査したら検出されないということがどういう水質を保証するかという計算はできます。 だから、大腸菌群と同じように100mlで検出されないことという同じ思想の中で、何L 検査したときに検出されないことという設定の仕方は論理的にはあり得るとは思いま す。 ○眞柄委員長  ただし、先ほど平田委員がおっしゃったように、今のクリプトスポリジウムの検査法 が感染性があるなしとか生きているとか死んでいるということを判別する段階にはない から、やはり基準にはできないということになってしまいますね。 ○平田委員  そうです。そこのバランスが非常に難しい。大腸菌の場合は生きていてコロニーをつ くるという増殖の活性を明らかに示してくれますので、そういう意味では生きた状態で というのがわかっているのですが、そこのバランスが非常に難しいという感じがしま す。 ○眞柄委員長  それでは、遠藤委員の感染性微生物部会の御判断としておまとめいただきましたクリ プトスポリジウムに関しては、基準の体系の中に入れるには測定法上の問題やクリプト スポリジウム、ジアルジアをめぐるさまざまな科学的なエビデンスがまだ欠けているの で、現在、厚生労働省が定めている対策指針の流れの中で位置付けをきちんとして、現 在の対策指針で足りない部分は補強していくという案でよろしゅうございますか。でき れば、対策指針ということになっておりますが、クリプトスポリジウムやジアルジアに ついても、勿論、現在でも厚生労働省の方で予算的措置をとられてさまざまな研究を展 開していますが、先ほどの従属栄養細菌と同じように、逐次改定の項目の中に取り上げ るという形で専門委員会の報告を取りまとめるようにしたいと思います。それでよろ しゅうございますか。 ○平田委員  1点だけ、ちょっとさかのぼって申し訳ないですが、5ページにございます「今後の 課題」のところで、もし可能であれば、測定方法を検討するといいましょうか、代替測 定方法を検討するといいましょうか、そういう1項を可能であれば盛り込んでいただけ ればと思います。 ○遠藤委員  従属栄養細菌に関してですか。 ○平田委員  そうです。現行ですと5ないし7日間培養という形になっていますので、これから新 たに導入する方法として考えるときには、ちょっと測定時間が長過ぎるという感じがし ます。 ○眞柄委員長  ATPみたいな方法もあるでしょうし、いろいろ考えられるので、それは考慮の対象 にするということにしていただきたいと思います。  もう一つ、WHOのガイドラインで具体的に数値までは結局最後には出てこなかった のですが、レジオネラについては遠藤委員のこのペーパーでは、問題はあるけれども具 体的にどうこうという御意見が出ているのはどこになるのでしょうか。従属栄養細菌の 枠組みの中でレジオネラも取り組んでほしいという理解でよろしいですか。 ○遠藤委員  はい、そのとおりでございます。 ○眞柄委員長  では、レジオネラについては、そういう理解ということで。 ○遠藤委員  補足させていただいてよろしゅうございますか。従属栄養細菌とレジオネラとの直接 的な量的な相関関係は基本的にないというのが、国際的な理解だろうと理解しておりま す。ただ、御承知のように、レジオネラは原生動物、特にアメーバー等の中に寄生をし て増えるという特性を持っております。そのアメーバー自体は細菌をえさにして増える 生物ですから、従属栄養細菌が増えれば、そこにアメーバーが生息し得る環境ができ、 レジオネラの増殖する場が提供されることになります。ある意味で従属栄養細菌は閾値 的な発想でレジオネラとの関係を見ることができるのではないかと考えております。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  それから、午前中にいわゆる不快生物のことについてどうなっているのかというよう な御意見が出ましたが、もし、遠藤委員のグループで不快生物について検討されていれ ばその結果、あるいはなければ委員の御見解を出していただけますか。 ○遠藤委員  具体的に、いわゆる不快生物とはどのようなものですか。 ○眞柄委員長  ネマトーダとかプロトゾアとかその辺り、あるいは藻類。 ○遠藤委員  生物斑の会議の折にそのような御発言はいただいておりましたが、特に具体的なこと についてディスカッションを深めたということはなかったように記憶しております。そ うはいいましても、重要な問題でありますし、基本的には、浄水処理のところで対応す べき問題だろうと理解をしています。そのほかにも受水槽水道の場合には、このような 問題が当然出てくるものと思われます具体的な対応については即断しかねますが、不快 生物が増殖するような環境になれば、当然のことながら、そこでは従属栄養細菌あるい は一般細菌の量的な変化が考えられるだろうと思いますので、そういうところを指標と して管理をしていったらいかがかと思います。 ○平田委員  その課題については全然考えませんでしたというのが私の正直なところです。別のと ころでネマトーダの件はいろいろ検討したことがありますが、今回の微生物に係る基準 というところでは、一切検討の対象にしていないというのが現実です。 ○岸部水道水質管理官  御参考までに、法律としては微生物に関しては健康影響しか想定はしていないです。 不快生物について現行の水質基準のシステム、法律のシステムでは制度的に取り組むと いうのは不可能ということで、とりあえず今後拡大する機会にという形にはなろうかと 思いますけれども、病原微生物だけがイメージされております。 ○平田委員  しかし、そういう意味では、性状に関する項目のような位置付けであれば可能性はあ ると思います。 ○岸部水道水質管理官  性状のような項目というのは、多分この水道法ができたときの経緯なのでしょうけれ ども、どちらかというと、ケミカル・パラメーターでイメージされています。味がない とかにおいがないとか、どちらかというとケミカル・パラメーターでイメージされて、 当然微生物でも今から考えればされるのでしょうけれども、これができた時点にはそう いうものがイメージされていないので、法律的に入れようとするとなかなか難しいのか なという感じはします。 ○眞柄委員長  ということで、不快生物については、今後の重要な検討課題であるということを委員 会の報告書の中に盛り込むということでよろしいですか。 ○安藤委員  入れていただけるとありがたいです。具体的には、性状項目でもあれば理想でしょ う。異物だって構わないです、何だっていいです。水道事業体の苦情の大きなものとい うのは異物なわけで、それが一般消費者にとっては物すごく大きなファクターになって おります。ですから、そういう項目について何かできないかなというお話ですので、健 康項目とは完全に別問題であろうというふうにお考えいただきたいと思います。 ○遠藤委員  不快というのはどの程度の範囲のものなのか。例えば、珪藻とかそういうものが顕微 鏡をのぞいたら見えてくるというのも、不快生物の中に入るのでしょうか。 ○眞柄委員長  結局、ネマトーダ、ナイス、プロトゾア、アルジェが、例えばミクロキスチスが大量 にリークしたとか、ピコプランクトンが出てきて風呂に入ったらやはりざらざらしてわ かるとか、そういうようなことがしばしばありますよね。だから、そういう意味の不快 生物、要するに、ろ過池を通り抜けて出てくるような生物、しかも生きているものもい れば死んでいるものも勿論いるわけですが、そういう感染性ではない微生物学的な性状 については今後の検討課題とします。要するに、水道水のホールサムにかかわってくる 項目ですので、そういうこともあるだろうと思います。  明日検討する中で、濁度があって蒸発残留物があって、実は夾雑物がないですよね。 同じことですよね。ですから、蛇口からぼこっとした錆こぶが出ることがあったとき に、これは何だと。鉄ではなくて錆こぶですよね。実の分類から言えばこれは夾雑物で すよね。だから、そういうものも特に受水槽水道などを考えれば、そういうことは当 然、今後考慮の対象にしなければならない項目かもしれませんが、今回のところでは対 象にしていなかったので、次回検討する項目になるだろうと思います。 ○伊藤委員  この検討に入っていない部分に関することで、ちょっと確認させていただきたいと思 います。秋以来、微生物に関して出されてきた資料では、細菌類と、それからクリプト スポリジウムを中心とする耐塩素微生物、その主眼はクリプトスポリジウムにあると思 いますが、要するに、細菌類と、主眼としてクリプトスポリジウム、というふうにお見 受けしますけれども、微生物全体の中で考えたときには、それ以外のパーツがあります ね。ひとつにはウイルスがありますし、それから、クリプトスポリジウム以外の原虫、 ジアルジアについては触れられていますが。そういった、ここに挙がってきている微生 物以外のパーツについてはどういうふうに考えておけばいいかということを、もし補足 いただければありがといと思います。 ○眞柄委員長  ウイルスについては、恐らく報告書の中では次の課題として書き込まなくてはならな いと思いますが、現時点で遠藤委員のウイルスに対する考えなり見解をお話ししていた だければありがたいと思います。 ○遠藤委員  ウイルスに関しましては、少なからず問題であるとの認識はもっております。難しい 点は、例えば水道を検査材料とした場合に、培養や検出ができるウイルスが非常に少な い。ウイルス学そのものが発達していきませんと、我々としてはなかなか扱いづらい面 があるということも現実だと思います。ただ、それを全く野放しにしておくというわけ にはいかないと思います。  細菌に比べウイルスの方が塩素耐性であるとのデータも示されているようですが、必 ずしも正確ではなかったりして、具体的に塩素耐性がどの程度のものなのかということ も併せて検討しなければいけない課題になっていると思っております。  それから、原生動物に関しましては簡単に触れております。例えば、サイクロスポラ も載せてありますが、まだ日本では問題となっていません。その他の原生動物として、 局地的に見れば赤痢アメーバー、それから、比較的温度の高いところでしたらネグレリ アという病原性を持った自由生活性アメーバーが存在しないとも限らない訳です。総じ ていえば、基本的にクリプトスポリジウム対策をとっておけば、浄水から出てくる水に 関しては、問題がなかろうと理解しております。 ○国包委員  すみません、今日のこの機会を外すとこの先で余り議論ができないかと思いまして、 ちょっと元へ戻って恐縮ですが、クリプトスポリジウムに関してのことです。遠藤委員 の今日のお話とかこの書き物では、恐らく今朝いろいろ総論で御議論があったと思いま すが、基準項目と水質管理目標設定項目、要検討項目、この辺の分類というのを念頭に 置かれて、この書き物をつくられたのではないのではないかと私は判断しています。先 ほどの管理官のお話ですと、私の誤解かもしれませんが、今の時点ではクリプトスポリ ジウムに関しては基準項目でないだけではなくて、水質管理目標設定項目にも当たらな い、要検討項目にも当たらない、あるいはそういうふうにできないというお話だったの ではないかと思いますが、そこのところを私はよく理解できませんでした。非常に素朴 に考えますと、基準項目は無理にしても、これだけ大事なものですから、この水質基準 の体系の全体の中で、やはりそれ相応の位置付をしておくべきではないかというのが、 むしろ普通に考えられるところですが、ちょっとその辺が、この委員会の外の方々には 何でこうなったのというのがわかりにくくなるのではないかと思ったのです。私も、こ の辺の項目群の整理の仕方についてよく理解していないものですから、あえて。 ○眞柄委員長  項目群の整理について、管理官からもう一度確認の意味で説明をいただけますか。 ○岸部水道水質管理官  項目群につきましては、化学物質に関する分類基準ということで水質基準と水質管理 目標設定項目、要検討項目、その他の4分類を設定しました。微生物は別途検討という ことでございまして、微生物までこの分類で入れようということではありません。水質 基準というのは当然、法律に基づく水質基準でございます。  それから、その他というものは、水道水質管理上当面は注意を払わなくてもよい、言 わば安全宣言物質。  要検討項目というのは、判断するデータが十分ないからペンディングにしておいて、 今後、逐次改訂のときに情報が集まっていれば、いずれかの分類をする物質ということ でございます。  水質管理目標設定項目と申しますのは、水質基準にするほどではないけれども、各水 道事業体で注意をしてもらうために注意喚起をするような項目群というようなことでご ざいます。これは総論を御議論いただいたときにそういった御説明をさせていただいた のですが、そういうふうな整理ということでございます。ですから、基本的には水質管 理目標設定項目につきましては、リストアップされているだけということでございま す。そうはいっても、午前中の議論でもございましたけれども、当然個別には物質の軽 重がありますから、その中で私どもから各水道事業体に検査したらどうですかというふ うに御指導申し上げるものもあるでしょうし、リストとして載っているだけのものもあ るでしょう。それは具体的な項目の検討で物質ごとにアドバイスいただければいいので はないかということでございます。  微生物については、こういった分類ベースに乗らないということで、別途、遠藤委員 の方にこういったペーパーで準備していただいたということでございます。 ○国包委員  そうしますとどうでしょうか、次回以降に議論する機会があればいいんですが、クリ プトスポリジウムに関しては基準にはしないということで、ほぼ今日合意がされたと思 いますけれども、基準以外の新たな何とか項目というグループをつくって、その中に入 れ込むという可能性もあるのでしょうか。あるいはそれはもうあり得ないので、暫定対 策指針とあと一部……。 ○岸部水道水質管理官  というか、クリプトスポリジウムについては、眞柄委員長におまとめいただいたよう に、これは水質基準アプローチではなくて、水道法で言えば22条のアプローチで対策を とりましょうという分類でございます。ですから、当然法律による規制対象の微生物に なりますので、それを目標に分類するというような議論をすることは考えておりませ ん。とはいっても、クリプトスポリジウム対策としては、ただ単に22条の措置をとれば いいということではないので、全体的なアプローチが必要だということで、現在クリプ トスポリジウムの検討会というものを私ども持っていますので、そちらで例えば汚染の おそれはどういうふうに考えるかというようなことは議論していただこうというのが、 このペーパーのまとめかなと思っております。ですから、この専門委員会の結論として は、クリプトスポリジウムについては22条の措置をとるというようなことで、本日の結 論かなと考えておりますけれども。私の誤解がなければそういうふうなことだと思いま す。 ○眞柄委員長  遠藤委員がおっしゃったのは、従来の22条の定性的な措置というのは、塩素消毒する ということだけですよね。だから、それに加えて、例えばクリプトスポリジウムのおそ れがあるときには、ろ過設備をつけなさいというようなことが付加されるというふうに してほしいというのが遠藤委員の趣旨ですよね。 ○国包委員  そこのところはいいです。もうちょっと具体的に言いますと、先ほど来議論がありま した10Lに1個、20Lに1個、0個ですか、そういった数字の取扱いが、言わば基準と ある意味で同じようなレベルの対応になると思いますが、そこのところについては改め て。 ○眞柄委員長  現時点ではできない。測定法上の問題があるということでしょう。 ○国包委員  そこのところができないのか、どういう判断なのか正確にしておいた方がいいだろう と思いました。 ○眞柄委員長  だから、それは専門委員会の報告で、リスクで計算していけば10Lに1個とか20Lに 1個という数値になるけれども、測定法上の問題でそれを基準値化することは困難で す。あくまで10Lに1個というのは、ある試験方法に基づいたときの判断の目安の数値 であって、規制的な数値としては使えるレベルにはないということを報告書にきちんと 書いていただくということと理解をしたのですが、それでは御不満ですか。やはり数値 を書いて欲しいですか。 ○国包委員  水質基準とか水質管理目標設定項目とか要検討項目とかいろいろありますね。微生物 は微生物で今のお話ですと、要は微生物に関しては基準しか設けないというふうな感じ に私には受け取れたのですが、クリプトスポリジウムに関してほかのところでまた20L に1個ですとか、0個といったことが書いてある。22条はちょっとおきまして。基準的 なものとしては暫定対策指針の数字だと思うのですけれども、ですから、あちこちにい ろいろなことが書いてあるというのは、ちょっとわかりにくいなと思いますので、もう 少し全体として整理ができれば、扱いとしてはスマートになるなと思います。 ○眞柄委員長  そういう意味で言えば、委員長とは離れて個人の見解から言えば、暫定対策指針はも うやめてもらいたいと思います。22条でこんなふうにきちんと書いたとすれば、それに 対してどう扱うかというものができるのであって、今は根拠がなかったから暫定対策指 針でなければいけなかったのですが、22条でクリプトスポリジウムのおそれがあるとき には、ろ過の設備をつけなさいと今度書かれれば、それを受けて「暫定」がとれて「対 策指針」になるわけですよね。そのときに検査法の問題とかいろいろな限界とかを記述 して、それは目安であるというふうに、しかるべくきちんとされるべきものだと理解し ているし、国包委員のおっしゃるのもそういうことではないかと。そうでしょう。 ○国包委員  やはり基準とかわかりやすい体系にしておくべきだと思います。あっちにこれが書い てあり、こっちにこれが書いてあり、それぞれの軽重といいますか、どういうふうに考 えていったらいいのかというのがよくわからなくなってしまう、そこのところは私も非 常に気掛かりです。もう少し取り込めれば、数字の妥当性という問題は勿論ありますけ れども、微生物に関してもこういった考え方を何がしか取り入れることができればいい なというふうに思っています。 ○眞柄委員長  わかります。そのとおりだと思います。  それでは、時間も大分過ぎましたので、今日の専門委員会はこれで終了したいと思い ます。明日は午前中を予定しておりまして、農薬と現在の水質基準の体系で言えば性状 に関係する項目の御議論をいただいて、その後、今後の審議の流れとその流れに関係す る法律改正にかかわることについて、御議論と御検討をいただくということにしたいと 思います。  朝早くから5時過ぎまで、委員の方々には御苦労様でした。また、傍聴された皆さん 方も、朝から夜遅くまで御苦労様でした。また、明日もこんな調子でやりますので、御 関心がある方は是非、引き続き御参加くださるようお願いしまして、これで終わりたい と思います。  どうも御苦労様でした。                 ( 2月4日 ) ○眞柄委員長  それでは、昨日に続いて、あと残っている性状に関係するものと農薬について御検討 をいただきたいと思います。  事務局の方から、昨日審議したものの中で、シアンと塩化シアンについて不明確なと ころがあるというお話をいただきましたので、事務局の方からシアンと塩化シアンの扱 いについて御意見をいただきたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  昨日、シアンイオンと塩化シアンということで独立に基準を設定するというお話をい ただきましたが、塩化シアンにいたしましても、作用機序としては塩素が脱離してシア ンが作用するというようなことでございまして、独立に基準を設定いたしますと、それ ぞれの物質が共存した場合には量が倍になってしまいます。そうなると、TDIを超え る可能性があるのではないかということで、やはり従来どおり、塩化シアンについては 作用機序から考えてシアンに含めて基準を設定するべきではないかということを、昨日 整理していまして気づきましたので、その辺のところについて先生方の御意見をお伺い したいと思います。 ○眞柄委員長  安藤委員、それについていかがですか。 ○安藤委員  基本的な考え方は、私は昨日と同じですが、毒性評価の基本的なものは同じようなと ころから出てきているということだろうと思います。シアンが0.01mg/lでしたか、塩化 シアンが0.05mg/lはちょっとまずい。むしろ塩化シアンをシアンとして0.01mg/lとすれ ば問題ないかなということが1つ。  ただ、今度はシアンと塩化シアンが両方共存するということがあり得るかというお話 です。これについては、私はあり得ないだろうという考え方を持っておりますが、最終 的に本当にそうかということは、ちょっと確認させていただきたいということがござい ます。  そういうことからすると、本来は汚染物質としてのシアンと、それから、処理によっ てできる副生成物としての塩化シアンというのは、本来は分けてやっておかないと後で 困るだろうなという考え方がございます。ですから、基本的にはCNとして0.01mg/lとい う考え方で両方の値を出しておいて、それはつまり、昨日と同じような議論の範疇で置 いておいて、最終的に両方があり得るかどうかということを確認させていただきたい。 そうすることによって、全部シアンでやっていくべきか、あるいは分けることが可能か ということを確認させていただきたいということでございます。 ○眞柄委員長  そういうことですが、水道は塩素処理をしていますので、原水にシアンがあったとき には必然的にクロロシアンになってしまうというのが基本的な考え方だと思います。た だ、塩素消毒をしていない自家用の井戸水のようなことを考えると、シアンとして存在 することもあるということで、シアンと塩化シアンとそれぞれ項目として立てた方がい いというふうに私は思います。昨日議論したように、検査方法をイオンクロマトグラフ ということにすれば、両方きちんと測れるということもありますので、基本的には昨日 の結論のとおりにしたいと思いますが、念のために安藤委員にシアンと塩化シアンが共 存することがあり得るかどうかということを御検討いただいて、次回のときに最終的な 結論を出すということにしたいと思いますので、そういう方向で進めるということの委 員の御了解をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、早速ですが、性状に関する項目について、引き続き事務局の方から御説明 をください。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  資料3−5の最後のページでございます。性状に関する項目で、まず、無機物質でご ざいます。  まず、亜鉛につきましては、味覚あるいは着色の観点から従来1mg/lという値が設定 されております。今回は、従来の知見に加えて新たな知見がなかったので、評価値につ いては変更せず、また10%を超えて検出もされておるというようなことで、基準として 維持すべきであろうということでございます。  それから、アルミニウムにつきましては着色の観点から、現在は快適水質項目として 0.2mg/lが設定されております。一方、WHOにおきましては性状項目として0.1mg/lか ら0.2mg/lが示されており、適切な処理を行えば0.1mg/lは達成できるとされています。 ということで、0.1mg/lで評価したらどうかということでございます。当然、評価値に 比較いたしまして10%を超えて検出されておりますので、基準値としてはいかがかとい うことでございます。  それから、塩素につきましては、水道法の別のところで給水栓における残留塩素濃度 が0.1mg/l以上という規定がございます。しかし、余り多過ぎると塩素臭ということで 味覚上問題になるということでございます。現在の快適水質項目におきましては、1mg /l程度というようなところであったと思います。これにつきましても、その程度は検 出されるわけですけれども、やはり消毒の重要性というようなことから、塩素について は水質管理目標設定項目にしておくのがよろしいのではないかということでございま す。  塩素イオンにつきましては従来どおりでございまして、新たな知見というのはないと いうことで、200mg/lを評価値にして検討いたしまして、基準を維持するということで ございます。  硬度につきましては、基準値としては300mg/lという数値が従来ございます。これに つきましても、新たな知見がないということで、基準としては300mg/lとして維持した い。ただ、快適水質項目10mg/lから100mg/lの間というのが設定されております。これ については、直ちにここまでの達成は難しかろうということで、おいしい水という観点 から水質管理目標設定項目としたらどうかということでございます。  以上、5項目でございます。 ○眞柄委員長  それでは、今のことに関して、御質問や御意見がありましたらお出しください。 ○国包委員  アルミニウムに関してなんですが、1つは、数字が0.2mg/lから0.1mg/lということで すが、それはともかくとしても、これまでは基準項目ではなかったですよね。確かにア ルミニウムの着色による障害というのはないわけではないと思っておりますが、少なく とも今までは基準項目とはしてこなかったのを基準項目に新たにするということに関し て、やはりそれなりのきちんとした説明が必要だろうと思うわけです。なおかつ、数字 も0.2mg/lではなくて0.1mg/lということですので、もう少し詳しくその辺の考えを事務 局の方から御説明いただけないでしょうか。あるいは、ほかのどなたからでもかまいま せん。 ○岸部水道水質管理官  ほかの先生方からアドバイスをいただければと思います。 ○眞柄委員長  アルミニウムの検出実態はどういうことになっていますか。 ○岸部水道水質管理官  アルミニウムについては、最高で0.6mg/lぐらいまでは検出されています。0.1mg/l までというのが大部分でございますけれども、0.2mg/l、0.3mg/l、0.4mg/lといった数 値が出てございます。 ○国包委員  アルミニウムに関しては、健康影響の可能性のことがいろいろ話題になったりしてお りますけれども、私の知る限りでは、今すぐに健康影響の観点から取り上げてという必 要性は必ずしもないだろうと思っております。あくまでも性状項目としての見方で評価 をしてということになると思います。そこのところに関しては、特に大きな議論にはな らないと思います。  性状項目の1つとして取り上げた場合に、ほかとの横並びで考えますと、例えば、亜 鉛ですとか鉄といったものも基準項目としてこれまで上がってきているわけですし、そ れから、現在の案でもそういったものの取扱いは変わらないということですが、そう いったものと横並びで考えますと、見方によっては、今までアルミニウムが横並びで基 準項目として入っていなかったのが、むしろ不自然であったのかなという感じもしない わけではありません。ただ、それにしては今まで基準項目でなかったわけですから、改 めて今の時点で基準項目として取り上げなければいけないという理由がどの辺にあるの かというのが、ちょっと私は十分に理解できません。  それと、達成できるかどうかあるいは検出状況がどうかというようなことから見ます と、確かに今、御紹介がありましたように、現実の測定値というのは浄水についても 0.1mg/lが基準値ということになりますと、外れるケースが非常に多い。高い数字です と、基準値の5倍を超えるものもあるということになります。片一方、技術的な達成の 可能性ということで言いますと、浄水のアルミニウムのかなりの部分は、急速ろ過で注 入している凝集剤に起因するものだと思いますので、凝集剤の注入管理を適正にすれ ば、0.1mg/lはまず一般には何とか達成できるレベルだろうと思います。そういったこ とから言いますと、今までそういった面に対する配慮が現場で十分でなかったから、ひ いては基準値ではなかったので、少し現場の対応も十分ではなかったというようなこと があって、現状の検出状況があるのかもしれないという感じはしております。ですか ら、基準値とすることに関して私自身そんなに大きな異議があるわけではありません が、やはり何らかの今の時点で基準値にしたいと、その辺の説得力のある説明が欲しい なと思います。 ○眞柄委員長  これについていかがですか。今の検出状況を見ますと、塩素消毒のみの地下水につい ては、地下水の中に含まれているごく微量の土砂に起因するアルミニウムを測定してい ると、これはそういうふうに考えられますね。それから、表流水やダム、湖沼水はアル ミニウムを使って浄水処理をしているので、それについては凝集剤由来のアルミニウム だろうということになるわけで、こちら側の表を見ると「主として問題となる原水」の ところに地下水が入っていますが、地下水もアルミニウムを使っているところもあった りなかったりするということで、すべての水道に対象となる基準とするのはちょっと問 題があるだろうというのは、まず1つ考えられることだと思います。  それから、問題は0.2mg/lから0.1mg/lになるということに関して言えば、WHOのガ イドラインは0.2mg/lになっていますが、0.1mg/lは適正な浄水処理を行えば達成できる というふうに書いてはある。その理由は、利水障害だということになっているわけで、 0.1mg/lでも0.2mg/lでも白濁することは当然ありますが、0.1mg/lにしなければならな い根拠というのは、国包委員ははっきりしないということなのか、それとも基準とする ということが問題なのか、どちらの方が強く意見をお持ちになっておられますか。 ○国包委員  両方、明確な根拠付けなり理由付けがあれば納得できますけれども、それぞれやはり 区別して議論する必要があると思います。やはり大事なのは基準にするかしないかとい うことだと思います。 ○眞柄委員長  では、これについて大谷委員から御意見があればお出しください。 ○大谷委員  基準にするかどうかというのは、この基準の決め方のルールで言えば、仮に0.2mg/l としても10%を超えてしまうので基準ということになるので、今までの流れからいえば 基準化するのは致し方ないのかなというふうに思います。ただ、0.2mg/lを0.1mg/lにす るというのは少し厳しすぎるような気もします。 ○眞柄委員長  伊藤委員、御意見はどうですか。 ○伊藤委員  従来の水質基準項目の考え方が変わっているという点ですよね。それに加えて、基準 項目に挙がったものの中から各事業体が必要なものを選定して、自分のところで必要な 表をつくるという考え方になっていると思いますので、実際に、その考え方が、どの程 度強く実施されるのかというところともかかわっている問題だと思います。 ○眞柄委員長  昨日からずっといろいろ審議をしていただいて、各項目について基準にするか水質管 理目標設定項目にするか、あるいは要検討項目にするか、あるいはその他にするかとい うことを決めてきましたけれども、総論の段階で議論をした基準というものについて、 すべての水道事業体に課す基準と、それから、水道事業体の判断で省略できる基準の項 目の2通りあって、昨日からずっと議論してきている項目群の中で基準としたものにつ いて、その整理はまだしていないですよね。ですから、今基準となっても事業体の判断 で省略できる項目かどうかということは、次回にでもきちんと再整理をして、そのこと について御議論をいただかなければならないというふうに考えてはいます。  そういう意味であっても、国包委員は基準とするよりも、例えば0.1mg/lでも水質管 理目標設定項目でいいと、あるいは0.2mg/lだったら基準でもいいということでもない のですか。どっちの立場ですか。 ○国包委員  ですから、これまで申し上げていますように、ほかの性状項目と横並びに考えれば、 むしろ今まで基準項目になっていなかったのがおかしいというべきなのかなというぐら いに考えております。 ○眞柄委員長  それで、0.1mg/lにしても検出頻度が0.1mg/lを超えていることがある、そういうもの は、この評価値の10%を超えるものについては基準値にしようという総論での合意が あって、その合意に基づいていくと基準になってしまいます。 ○国包委員  そこのところは大谷委員からも御指摘がありましたが、私は昨日の午前中おりません でしたので、ちゃんと理解をしていないままお話をしてしまうかもしれませんが、この 資料3−4にあります分類基準、つまり評価値の何%という見方で分類してあるもので すが、これは性状項目、つまり健康影響云々ということで基準を決めたりする項目では なくて、それ以外の項目についても当てはまる考え方でしょうか。 ○岸部水道水質管理官  これは健康項目の基準ではなくて、すべての化学物質についての基準分類でございま す。 ○国包委員  ということですと、例えばアルミニウムの場合評価値というのは。 ○岸部水道水質管理官  ここでは0.1mg/lというような評価値になります。 ○古米委員  それは資料3−2の化学物質に係る評価値の算出方法では、性状にかかわる項目で障 害を生ずる濃度レベルを基に評価を行い、評価値を設定したということですね。それが 0.1mg/lであると判断して、0.2mg/lではなかった。 ○岸部水道水質管理官  一応、WHOで0.1mg/lから0.2mg/lということであるので。 ○眞柄委員長  WHOのガイドラインでは0.1mg/lから0.2mg/lと書いてあると。それで低い方を取っ ていると。 ○国包委員  ということは、0.1mg/lに関しては今の通則の化学物質についての評価値だというこ とになるわけですね。わかりました。 ○眞柄委員長  この辺はWHOも言っているように、健康に関連する項目とかあるいは感染性微生物 に関するガイドラインというのは、まさに公衆衛生の保護ですよね。性状に関する項目 というのは、健康というよりも利水障害ということで、公衆衛生の保護という観点とは 違うとしているわけですね。あるいはアメリカのEPAでも健康影響に関する物質群、 勿論、生物・微生物もそうですが、ずっとこのルールに従ってやってきているし、健康 に関する項目については遵守義務を水道事業体に課しています。性状に関するものは第 2分類に入っていて、こういう数値を達成することが望ましい目標であるということ で、言わば遵守義務は課していない。それが、国際的に見れば常識というか一般的です よね。だから、日本の場合には水質基準が一本で、健康に関するものもいわゆる性状と いうか利水障害に関するものも両方同じ枠の中にあって遵守義務を課しているというと ころが、ある意味では水質基準の体系そのものが違うということです。しかし、今の基 準の体系の枠組みでいけば、こういうふうにせざるを得ないという問題点をはらんでい るので、やむを得ないと言えばやむを得ないし、今回の水質基準の改正では間に合わな いかもしれないけれども、次のときには、その辺の法律を書き換えてもらうぐらいのこ とをしないと、ある意味では混乱が起きてしまいますよね。  ですから、あえて基準にしなくて水質管理目標設定項目でもいいという気もしますよ ね。ほかの項目についても、著しく利水障害を来たすようなもの、例えば、硬度のよう なものは、要するに硬度が300度というのはめったにないですが、300度を超えるような 水というのはまさに利水障害ですよね。石けんの使用量も多くなるわ、それこそスチー ムアイロンも穴がふさいでしまうわ、家庭用のボイラーはスケーリングがついてしまう わで、硬度みたいなものは明らかに水道を使う上で利水障害が生ずるものですし、塩素 イオンでも味になっていますが、これだって腐食性に関係してきて、家庭用のボイラー や何かの腐食の原因になるというようなものと比べると、着色だとか濁りだとかその辺 のところはちょっと性質が違うので、基準にそのまま持ち込むのもどうなのかなという ことも考慮しなければならないと思いますが、古米委員、アルミニウムについてはいか がですか。 ○古米委員  遅れてきて説明を十分聞いていないままですけれども、もともと今考えている資料3 −4の水質基準への分類基準があって、評価値をまず決めて、その10分の1というのが 非常に重要な数値として扱われていますね。ただし、これは、いわゆる健康項目に対す る切り口で10分の1を意識している傾向が強く出ていて、性状に対して必ずしも評価値 の10分の1というのが意味を持っているかというのは、今の議論を聞きながらちょっと 微妙かなと思っております。そうすると、非常に影響の大きいものとそうではない性状 項目、利水障害というレベルと健康影響というレベルを同じような分類基準で考えた試 案がちょっと微妙かなというのを今感じました。かといって、それはもともと項目ごと にどうするかを決めることができると決めていますので、その段階で決めることが重要 だろうと。そういう意味では、性状項目と今までの化学物質項目について考え方を工夫 すべきだろうというのが、今思っている点です。 ○眞柄委員長  それでは、とりあえず遊離炭酸まで説明していただけますか。 ○岸部水道水質管理官  鉄からナトリウムまでは、分類基準としても従前どおり基準として維持すべきもので あろうということです。  それから、マンガンのうち基準値につきましては従来どおりということで、最低限基 準として守っていただいた上で、快適水質項目として現在0.01mg/lという数値がござい ますので、更によりよい水質を目指していただくという意味で0.01mg/lを水質管理目標 設定項目としたらどうかということでございます。  遊離炭酸につきましては、現在、快適水質項目ということで規定されておりますの で、そのまま水質管理目標設定項目にしたらどうかということでございます。 ○眞柄委員長  無機物質全体を通して、先ほどのアルミニウムも含めて御意見をどうぞお出しくださ い。  西村委員、いかがですか。 ○西村委員  この部分は利水障害に関することが多いと思うので、勿論重要なものは基準項目とし てもいいとは思いますけれども、水質管理目標設定項目にしてもいいものはあるのかと いう気はします。その点で着色などは水質管理目標設定項目でもいいのかなという気は いたします。 ○眞柄委員長  話を蒸し返すようで申し訳ないんですが、水質管理目標設定項目というのは、昨日か ら何回も確認をしているんですが、水道課として水質管理目標設定項目ということにし ても、水道事業体に対する指導あるいは水道事業体に対して項目群や水質管理目標設定 項目であっても重みが違うというようなことを明らかにしたいというお考えであったと 思うんですが、そういう意味では水質管理目標設定項目にしても、例えば基準に非常に 近い管理目標であったり、いわゆる目標になるよというものと両方あると考えていいん ですか。 ○岸部水道水質管理官  物質あるいは項目の性質によって極めて基準に近い性格を持つものと、どちらかとい うと指標に近いものとあろうと思います。そういった指標に近いようなものについて は、まだ整理されておりませんけれども、特段それをやれという指示というのは余り考 えておりません。基準に近いものについては、基準ではないですけれども、なるべく検 査した方がいいですよという指導は差し上げるのかなと思っております。 ○眞柄委員長  そうすると、アルミニウムは基準に近い方の水質管理目標設定項目というふうに考え ればいいわけですか。 ○岸部水道水質管理官  そうですね。 ○眞柄委員長  もし、水質管理目標設定項目にしたときに。 ○国包委員  私は今、委員長からお話があった水質管理目標設定項目の全体像をどういうふうに事 務局あるいは皆さん方がお考えなのかというのがよくわからないものですから。つま り、そういったカテゴリーを1つつくっておきながら、その中にはこういったものもあ るよ、こういったものもあるよ、基準に非常に近いものからそうではないものまで、そ このところがやはり、あくまでも基準ではないわけですから通知でということになると 思いますが、当初の趣旨から言いますと、基準に近いものはこの際基準にしてしまおう ということだったと思いますので、できるだけ明確に区分けができればいいなと思いま す。 ○岸部水道水質管理官  それに対して御説明を申し上げますと、今、国包委員のお話になったとおりで、どう してもやれというふうに指示するものは基準に組み込む。逆に言えば、水質管理目標設 定項目については指導させていただくにしても、通知ですから当然それが守られなくて も特段ペナルティというのはないという理解で、どうしても水道事業体にやって検査し てもらいたい、達成してもらいたいものについては基準にしたい。それが昨日も課長の 方から御説明申し上げましたけれども、法律でやるものは法律で明示して、それ以外の ものについては候補リストか何かわかりませんけれども、そういったリストとして、私 どもが注意をするレベルが基準よりもワンランク落ちるものだということです。ですか ら、現段階の知見からいって、各水道事業体で達成してほしいあるいは水質検査してほ しいというものについては水質基準にしたいと、行政としてはそういう考え方を持って います。 ○国包委員  先ほどの委員長の御質問のことですけれども、そういったことで整理をした場合に、 やはり水質管理目標設定項目の中には健康影響を配慮して目標値を設定するものと、そ れから、必ずしもそうではないものと大きくは2つに分かれるだろうと思います。仮に そういう分け方をした場合に、アルミニウムというのはやはり後者の方になると思いま す。あくまでも健康影響を考えて目標を設定するということでは決してありません。  私は余計なことを申し上げているのかもしれませんので、余りこればかりに時間を 取ってもあれですので、また全体を通して議論をさせていただく機会があればいいなと 思います。恐らく性状に関連する項目をこの基準の中でどう扱うかということにも大い に関係すると思いますし、基準の遵守義務の在り方みたいなこととも大いに関係すると 思いますので、例えば、アルミニウムを仮に基準項目として入れる場合に、これは必ず どこでもやらなければいけないというふうにするのか、あるいは各水道事業体が自主的 に選択してやる、やらないを決めていい項目というふうにするのか、そういった問題も 残されていますよね。ですから、今、最終的な結論というのは出しにくい部分もあると 思います。 ○眞柄委員長  それでは、現段階では事務局の案のとおりにしたいと思います。次回のときに、基準 という一応のグループがありますが、そのグループの中でいわゆる省略できる項目ある いはすべての水道が基準としなければならない項目の整理をするということで、アルミ ニウムについては現段階では基準とするという結論にしたいと思います。  その次の有機物質をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  陰イオン界面活性剤ですけれども、これは前回以降新たな知見がなかったということ で、前回の基準値を基に評価して基準値として維持するということでございます。  ジェオスミンにつきましては臭気の観点から、現在、快適水質項目で設定されていま す0.00001mg/lを評価値として算定しました。ただ、あとの2−メチルイボルネオール と一緒なんですが、スポット的に出てくるものなので年間を通じての検出実態としては 10%の問題はありますが、これを原因にする異臭味被害というのは現に生じているとい うようなことから、2−メチルイソボルネオールと併せて基準にしたらどうかというこ とでございます。検出実態につきましても、評価値を超える数値もぽつぽつとは検出さ れております。  それから、1,1,1−トリクロロエタンでございますが、現在臭気の観点から0.3mg/l という基準値になっております。知見的に新たなものはないので0.3mg/lを評価値とす ると10%を超えることはまれであるということで、基準から水質管理目標設定項目に移 行させたらどうかということでございます。  非イオン界面活性剤でございますけれども、これは今まで基準がありませんでした が、最近、眞柄委員長と安藤委員の論文の中で、発泡性に関する評価値として0.02mg/l という数値が出ております。これに比較いたしまして10%で見ますと、これを超える例 があるということで、陰イオン界面活性剤と同じように基準にしたらどうかということ でございます。  フェノール類につきましては従来どおりということで、基準として維持したらどうか ということでございます。  それから、2−メチルイソボルネオールにつきましては、先ほど御説明いたしました ジェオスミンと同じように、現在の快適水質項目から基準項目にしたらどうかというこ とでございます。  最後の有機物質につきましては、現在過マンガン酸カリウム消費量で表示されていま すけれども、それをTOCにしたらどうかというようなことを安藤委員に御検討いただ いております。ただ、今回は資料が間に合わなかったということで、今回はペンディン グとして、次回以降、御議論いただく予定でございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、この有機物質群について御質問や御意見があればお出しください。次回に は、TOCと過マンガン酸カリウムの資料は出てくると。 ○安藤委員  ここでは幾つかございます。その前の議論もそうですけれども、性状に関する項目の 基本的なスタンスをどうするかというのは非常に大きなお話にはなりますが、まず、過 マンガン酸カリウム消費量のお話でございます。現在の段階の概略を申し上げますと、 過マンガン酸カリウム消費量とTOCの関係が、本来は相関関係が1になることがベス トだということになります。あるいは「Y=何とかX」となるのが一番理想だというこ とになります。しかし、TOCにつきましては何十年来、環境水でいろいろな検討をし ている段階で、「Y=何とかX」にはならないということがわかってきております。つ まり、いわゆる過マンガン酸カリウム消費量だとかあるいはCODというものは、有機 物を酸化するという条件になりますが、過マンガン酸カリウム消費量の酸化力というも のとあるいは非酸化物質という関係になりまして、分解されにくいものと分解されやす いものがどうしても出てくることになります。そういうことからいたしますと、どう見 ても「Y=何とかX」とはなり得ないだろうなということは思っております。というこ とは、もう少し申し上げますと、水中の有機物を過マンガン酸カリウム消費量で求める というのは、基本的には正確な値は示していないと、これは事実として言っていいだろ うと。そうなりますとTOCに変えるべきだということでございます。  現在、最終的に基準になりますので、値はどこにすべきかということの最終的な値を 設定するためのいろいろなデータを集めているというところでございます。ということ から、ちょっとお時間をいただきたいというところです。  そのほかに2つございます。つまり定義にかかわる問題でございます。まず、陰イオ ン界面活性剤については、この基本的な測定法の原則といたしまして、ベンゼンだとか そのほかの有害性化学物質を使うというところはなるべく避けていこうという考え方で ございました。つまり、陰イオン界面活性剤はクロロホルムというものを使っておりま すので、水道としてはクロロホルムはなるべく使いたくないという状況が生まれます。 これについても測定方法の可能性というものを現在最終的に調べておりますので、それ によって多少変わるかなという気がいたします。それで無理ならば、やはり従来どおり の方法にならざるを得ないということになります。と申しますのは、陰イオン界面活性 剤はクロロホルムはなるべく使わないという方法になりますと、例えば、液体クロマト グラフで分離するということになりますと、定義が若干変わることがあり得るというこ とがございます。  それから、もう一つよろしいでしょうか。フェノールにつきましても、クロロホルム で抽出して比色するということ、つまりトータルとして測るということでございます。 陰イオン界面活性剤と同じような考え方でありました。これについてもクロロホルムと いう溶剤を使いますので、できる限り避けたいという考え方を持っております。これに ついても現在、最終的な分析法の確認作業をしておりますので、場合によるとクロロホ ルムを使わなければここのピークを測る、それを足すという考え方に変更するかもしれ ない。つまり定義が多少変わる可能性があるということでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  非イオン界面活性剤も同じですよね。 ○安藤委員  はい。非イオン界面活性剤もそうですが、現在のところは比色でいこうかなとは思っ ています。非イオン海面活性剤を全部入れますと測定法が相当多くなってしまう。1つ の測定方法で測り切れないかなという面が出でまいります。 ○眞柄委員長  そういう条件付きということですが、ほかによろしいですか。 ○国包委員  1つよろしいですか。ジェオスミンと2MIBについてなんですが、これらも基準値と いうことに今なっておりますね。少なくとも今までは具体的な数字を挙げての基準とい うことではなかったわけですし、ただ、片一方では、臭気に関しては「異常でないこと 」といったことが基準として決められておりました。ジェオスミンと2MIBについて、 改めてこういった具体的な数字で基準とすることの趣旨ですが、健康項目ではないです ので、やはり水道水が有すべき性状ということでの数字でとらえる必要があると思いま すけれども、現実には、こういったカビ臭を中心に水道水の異臭味障害というのは、よ く統計数字でもありますように年間何百万人という被害人口が出ている。個別に見まし ても、今ここに挙げられているようなそれぞれ10ng/lだと思いますけれども、こういう レベルを超えるケースというのは結構ありますね。そうしますと、そういった場合の具 体的な数字を挙げての基準というのが、果たしてどういう意味を持つのかなということ がかなり疑問に思われます。健康項目であれば、これは絶対に超えてはいけないという ことで非常にわかりやすいわけですが、性状項目であって、それもほかの性状項目、先 ほど来挙がっておりました、例えば、塩素イオンですとか鉄、アルミといったものとは またちょっと事情が違って、水源の状況、条件によっては、これを超えてかなり高い濃 度になることもあるわけです。そうしますと、基準項目とはいいながら、事実上は単な る目安の値にしかすぎないのかなという感じに見えます。そういった意味で、この辺の ものはやはり基準項目とはしない方が現実にも即しているし、納得もいくのではないか と思います。  ただ、処理によって除去するということとの兼ね合いもありますので、勿論そういっ た場合はきちんと処理をして、いずれにしてもこのレベルは達成しろということになる と思います。処理によって必ずクリアできれば、それはそれでいいという見方もありま す。ただ、その場合にも、こういったものをどこの水道でもきちんと測定しなければい けないというのが出てまいります。選択項目になるのかもしれませんが、それにしても 必ず測定をしながら活性炭の注入を判断するということにもなりますし、ちょっとこれ は厄介な面があるなと思います。 ○岸部水道水質管理官  ジェオスミンと2MIBにつきましては、分類基準から見ましても基準項目に該当しま すし、当然、基準項目は性状項目でも守っていただくということでございます。現にこ ういった物質に原因する異臭味被害が出ておって、快適水質項目ということで通知レベ ルで示したのでは、こういったものはなかなか改善されないという状況でございますの で、基準を示して守っていただきたいということでございます。原水の欄に湖沼水と河 川水とありますけれども、イメージしているのは停滞水を原水とする場合にはしっかり 水処理をしていただいて、こういったものが基準レベル以下になるように処理していた だこうという趣旨で、基準にしたらどうかということでございます。 ○国包委員  そのこと自体は私は決して反対しないですし、よろしいのではないかと思います。た だ、基準を決めるとなれば、それに合わせてそれなりのフォローもきちんともやる必要 がありますし、もう一つそれと合わせて、各現場でこういったものを測定する義務を課 すことになりますから、そこのところについても、きちんと担保をとっておく必要があ るだろうなと思います。 ○眞柄委員長  伊藤委員、いかがですか。 ○伊藤委員  資料3−4の裏側にございます「3.説明」の文章の中で、総論での考え方を引用し ながら、「・・・生活上の支障を生ずるおそれのあるものについても、すべて水質基準 項目として設定する」という記述がなされていますね。国包委員は、まず、この総論の 考え方に少しまだ異議がおありということだろうと思います。私も個人的には100%賛 成しているわけでもありません。しかしながら、以前この委員会で、課長からも御説明 がございましたように、なんらかの根拠に基づいた行政なり事業を行っていかなければ ならない、という流れの中にあっては、多分この総論の考え方をくつがえすのは難しい のかなというふうに思います。であるとすれば、健康の項目についても、生活上の支障 を生ずるおそれのある項目についても、これは水質基準項目の中に入ってくることにな ります。  とはいっても、実際には、その扱いはやはり同等ではないですよね。事業体が受ける 強さとして、健康に関する項目も、性状に関する項目も必ず守らないといけない、と同 等の強さにとらえてしまうと、これは大変なことになりまして、国包先生がおっしゃる ような問題がいろいろ生じて来ます。したがって、同じ水質基準項目という分類であっ ても、健康関連項目と性状に関する項目については、取扱いの方法が少し変わっても現 場としては仕方がないのではないか。そういう取扱い方の強弱を許すような、何らかの 指針を示してやる必要が同時にあるのだろうと感じます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  今、伊藤委員からお話がありましたように、総論で議論した方法に基づいていくと、 やはりジェオスミンや2−メチルイソボルネオールにしても、非イオン界面活性剤にし ても、フェノールにしても同じことでありますので、基準という枠組みの中に入れると いうことにしたいと思います。  問題は、水質検査計画なり水質検査の結果の評価をどうするかということにもかか わってきますので、先ほどのアルミも含めて、次回のときにそれらの事柄について区分 なり考え方を御議論いただきたいと思いますので、その方向があるという上で基準とい うことにいたしたいと思います。  その次のその他について。 ○大谷委員  ちょっとわからないので教えていただきたいのですけれども、非イオン界面活性剤に ついてです。研究等で行った検出状況が出ていますが、検査法の検出限界が20μg/lと いうことです。5の「検出状況」の一番上の表に4μg/lという数値が出ていますが、こ れは検査法が違うということなのですか。それともうひとつは、基準項目とする場合の 検出状況がよくわからないのですが。 ○眞柄委員長  最初のあれは検査方法の違い、それから、検出率が浄水で最大濃度というのが0.02mg /lあるということで、10%を超える値が、つまり今の20μの最大濃度のデータがある し、平均濃度で122か所の浄水のうち5%あって、その最大値が0.02mg/lで平均濃度は 0.01mg/lであったということですが。 ○大谷委員  平均濃度というのは、その下の括弧のところに「検出下限が0.02mg/l、検出下限以下 のものを0.01mg/lとして計算」と書いてありますが、平均値の計算において検出下限以 下のものをこのように取り扱ったということですか。 ○事務局  これはそのまま書いたので、すみません元の限定のデータがないとわからないです。 この場で確認できないですが、いずれにしろ元の資料のまま書いてございます。確かに 意味が少し明確でないところがございますので、それは調べておきます。 ○眞柄委員長  では、これは根拠について確認していただけますか。基準でなくても目標でいいのか もしれないですね。 ○古米委員  ちょっと確認ですけれども、非イオン界面活性剤の評価値が0.02mg/lということは、 こちらの表が間違っているのですか。 ○眞柄委員長  発泡限界が0.02mg/lですよね。 ○古米委員  すみません、事前に送られた方を見ておりました。 ○眞柄委員長  今のデータで0.02mg/lを超えるものもあるから基準にしようということですよね。 ○岸部水道水質管理官  評価値を超えるものがあると。 ○眞柄委員長  あるいは評価値と同等のものがある、だから基準にしようと。ただ、検出頻度は低 い。5%ですね。 ○岸部水道水質管理官  そうですね、浄水では5%です。 ○眞柄委員長  だから、低いから基準でなくて水質管理目標設定項目ということにしてもいいという こともあり得る。 ○大谷委員  どういう数値の扱い方かよくわからないのですが、検出下限が0.02mg/lということは 0.020mg/l以上0.024mg/l以下ということですよね、多分。 ○岸部水道水質管理官  いずれにしても、その10%は超えるということです。ただ、このときの研究ですと検 出限界がこういうことになっていますので、試験法としては、その1桁下を測れるよう な測定法でないといけないですが、それは大丈夫ですか。 ○安藤委員  それは比色でやっている限り無理です。ですから、そこの値イコールそのまま定量下 限になってしまうということです。眞柄委員長がさっきおっしゃった高速液クロマスと いうものを導入すれば可能だということになりますが、そこまで踏み込むかというお話 があります。そうすると、比色になると0.02mg/lが定量下限ということになってしまう と。つまり、10分の1を原則とするけれども、原則から外れるものになってしまいます よという、今までも幾つかありましたが、わざわざ申し上げておりませんが、そういう 最たるものになってしまうということにはなります。 ○眞柄委員長  そういうことですよね。 ○安藤委員  そういうことから、この379ページの数字も若干不明確なところがないことはないと いうのは、そういうところからも出てくる。 ○国包委員  私は余り詳しくないので申し訳ないのですが、評価値が0.02mg/lという数字が、私は これまでいろいろなことから考えてきたというか、おぼろげながら思い描いていた数字 よりはかなり小さいので意外に思っているんです。少しデータとかいろいろ見直してい ただいた方がいいのではないかと思うんですが。 ○眞柄委員長  安藤委員から説明していただいたように、要するに、発泡試験としてロスマイルス法 でやると、非イオン界面活性剤はいろいろありますけれども、0.02mg/lで発泡性が認め られる限界だということには間違いありません。では、実際に水道水のことを考えたと きに、上の陰イオン界面活性剤も発泡の原因になるし、非イオン界面活性剤も発泡の原 因になるし、実際の水には両方入っています。いわゆる界面活性剤と称される、実際に 我々が家庭で使っている界面活性剤は両方が混合して使われているという問題と、今ま で陰イオン界面活性剤についても、発泡性が低い界面活性剤が市場に出回っているけれ ども、従来の試験方法でいけば今のものでも0.2mg/lぐらいでやはり発泡する。それか ら、非イオン界面活性剤も比色法で測れる濃度の限界である0.02mg/lで、いろいろ混 ざっているものも発泡するということで、評価値が0.2mg/lなり0.02mg/lになっている ということです。だから、そのこと自体は、ある意味では化学的な事実ではあります。 しかし、実際の水道水の中には、陰イオン界面活性剤あるいは非イオン界面活性剤以外 さまざまな物質が含まれているので、その段階で0.02mg/lで本当に泡が出るかどうかと いうことになると、必ずしもそうでないこともあり得るし、もっと低い濃度で泡が立つ こともあるし、発泡の理由としては、例えばプランクトンが生産する有機物も発泡の原 因になるし、いろいろなものがさまざまあります。ただし、界面活性剤ということに着 目すれば、陰イオンと非イオンでこれぐらいの泡が立つ、カチオンは余り使われていな いし、濃度についてはもう少し高いところにあるのではないかという結論だと思います けれども。 ○国包委員  陰イオンの界面活性剤と比べると、非イオンの方は10倍ぐらいの濃度でいくと発泡性 があるというふうに考えてよろしいわけですね。 ○安藤委員  付け加えますと、今、眞柄委員長がおっしゃったことと同じことですが、陰イオン界 面活性剤は構造からすると種類はある程度限定されます。発泡性は0.2mg/lということ で今まで決まっています。非イオン界面活性剤と申しますと陰イオン界面活性剤とは 違って、科学的な構造からやたらいっぱい種類がある。実はこれよりもっと下でも発泡 する可能性もあります。そういうことから考えて、あるいは市場の流通の量だとかいろ いろ考えると、ある種の大体集約される種類の非イオン界面活性剤についていろいろ検 討すると、0.02mg/lが発泡性が認められる値だということになります。いろいろな発泡 性というのは、これに条件が加わると幾らでも発泡するわけです。ですから、いろいろ な市場の状況からすると、この辺の設定が限界だと思います。それから、測定法から考 えても、これよりも下というのはなかなか難しいです。なるべくトータルをつかまえよ うとする方法としては、こういう方法の限界として大体一致したというところです。 ○眞柄委員長  よろしいですか。 ○宇都宮委員  発泡は今、安藤委員が言われたように、界面活性剤と一口に言ってもいろいろな種類 があるので、発泡する濃度を決めるのはなかなか難しいと思いますが、資料の発泡限界 濃度の整合性について質問があります。367ページの陰イオン界面活性剤の方に利水障 害とありますが、「合成洗剤の試験方法であるロスマイルス法による陰イオン界面活性 剤の発泡性試験の結果、0.05mg/lから0.2mg/lでわずかな泡立ちが確認されたが、定量 は不可能であり0.2から15mg/lが発泡限界濃度であった」となっています。これは、定 量との関連で実際にはもっと低い値、要するに380ページに書いてある「陰イオン界面 活性剤の発泡試験の結果」というのがここに書いてあるのと同じだとすると、0.1mg/l ではなくて0.2mg/lだと思いますが、定量が不可能という結果で0.2mg/lから15mg/lとい うことになったのでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  これは単純な誤記です。 ○大谷委員  そうしますと、380ページの方を0.2mg/lから15mg/lにするんですか。どこをどう直す のかよくわからないのです。 ○岸部水道水質管理官  ここは転記ミスをしていますので、確認の上修正させていただきます。 ○眞柄委員長  だから、非イオンは0.02mg/lから0.05mg/lで発泡限界で、陰イオンの方が。 ○宇都宮委員  これは同じ発泡ですよね。発泡性で言っていますので。 ○眞柄委員長  陰イオンで0.05mg/lから0.2mg/lですよね。ちょっと急いで確認してください。  では、その次のその他について。 ○岸部水道水質管理官  この部分については、従来からのものに新たな知見はございません。味につきまして は「異常でないこと」という基準、これは数値化しにくいのですが、このところは10% というのは外れますけれども、そのまま「異常でない」という基準を維持したらどうか ということでございます。  色度につきましても、5度ということで従来決まっております。当然5度を超えるよ うな値の水も出ているようでございますので、基準を維持したいということでございま す。  あとの臭気につきましては、基準と臭気強度として目標値があるというようなことで ございますので、「異常でない」という臭気の基準から臭気強度に変えろというのはな かなか難しい。それから、特に、臭気強度についてはいかがなものかという御意見もお 聞きしましたので、臭気の「異常でない」ということを現在の基準を維持して、臭気強 度で3TONで表したものについては水質管理目標設定項目にしたらどうかということで ございます。  蒸発残留物、濁度につきましては、従来からの基準とおいしい水という観点から快適 水質項目がございますので、現行の基準はそのまま維持し、快適水質項目については水 質管理目標設定項目としたらいかがかということでございます。  それから、pHも同じようなことでございます。  それから、腐食性のランゲリア指数については、範囲ということでどうしたものか ちょっと事務局でも取扱いを迷ったのですが、とりあえず水質管理目標設定項目という ことで先生方のアドバイスがいただければと思っているところでございます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  では、これらの項目群について、国包委員、いかがですか。 ○国包委員  臭気について全体としてどう考えればいいのかなというのが気にはなっていますが、 私も今すぐにこれ以上いい案というのは思い浮かびません。  ちょっと別のことですが、やはり水質管理目標設定項目というのは、改めてこういう ふうな数字でということで全体をまとめて議論をする必要が恐らくあると思います。つ まり、基準項目として基準値を設定しておいて、なおかつ同じものについて、今度は 違った数字で水質管理目標設定項目を設定するというのが幾つかありますよね。基準プ ラス目標というのはそういう趣旨だろうと思いますけれども、そういったものと、それ から、基準には挙がっていなくて健康影響の観点から一応の目標値を提示するというも のもあるでしょうし、つまり、ここの基準プラス目標と書いてあるのは、現状の快適水 質項目と基本的には同じ考え方での目標値設定ということですよね。やはり水質管理目 標設定項目というものの中には、少なくとも2つか3つかいろいろなカテゴリーのもの がありそうだということで、やはりこれはできるだけうまく整理をしたいなと思ってお ります。 ○眞柄委員長  整理をしたいのはわかりますけれども、今、水質管理目標設定項目と書いてあるもの を基準にしたらどういう問題が生ずるのか。例えば、pHは7.5が5.8から8.6だって関係 ないと思うけれども、どうしたらいいですかね。例えば、臭気度3というのを基準にし て、どういう問題が生ずるのかなという。 ○岸部水道水質管理官  臭気強度につきましては、安藤委員がいろいろ官能試験とかやっておられて、なかな か数値的に難しいのかなというようなお話があったものですから。 ○安藤委員  実際の臭気強度というのは、確かに人によって違います。これは相当違うだろうなと いうことは事実だろうと。ただ、私はちょっと考え方が変わってございまして、それは どういうことかといいますと、ずっと今日は朝から性状に関する項目の議論をしていま すが、特に最後の問題というのは、小規模水道では何で流すかどうかというのを考える のかというと、実は非常に人間の五感に頼ることが大きい。あとは、昨日から議論して きたものは1年に1回だか月に1回だとかそういうことはやっているけれども、実際に 何をやっているかというと、今議論しているところが非常に大きいわけですね。そうい たしますと、ここの問題というのは健康影響からすると非常にウエートは低いですが、 水道事業体にとっては非常に大きな問題だろうと。そういうことからしますと、ここは やはり基準云々についてそのウエートを置いていただきたいということが1つ。  それから、もう一つは、先ほど人によって違うということを申し上げましたが、これ は確かです。ですが、連続的な動き、水質が変わったか異常になったかというのは、科 学的ではないですが、それぞれの人がわかります。そういう点では、非常に大事な項目 だろうなと私は思っております。  そういうことからすると、特に規模が小さい水道事業体の水質を把握するものとして は非常に大事な項目だということからすると、こういうものをなるべく基準にしておい た方がいいのではなかろうかという感じがいたしております。 ○眞柄委員長  ということは、臭気強度を水質管理目標設定項目でなくて基準にしてもいいではない かと。 ○安藤委員  やってもいいのではないかと。ただ、そこの根拠を問われるとちょっと苦しいところ はありますが。 ○眞柄委員長  要するに、活性炭か、具体的な商品名を挙げてはいけないかもしれないですけれど も、エビアンを準備しておいて水道水を3倍に希釈して、異常な臭気を感じなければ臭 気度3以下ですよね。非常に簡単な試験方法ですよね。浄水場なり水道の人が臭気度3 だと言っても、今度は消費者の方がもっと強い人が来て、私にしてみればこれは臭気度 6ではないかと言われても、それはしようがない。 ○安藤委員  つまり、ある人が毎日その水を含んでみて、においがあるかどうかということをやっ ています。そこで異常を感じるかどうかということが大事です。そういうことだと思い ます。ですから、ある人は非常に低い濃度でTONの3にいかないよということでやっ ていて、あるとき変わったら、それは異常だろうというふうに思うし、非常に感度が悪 い鼻を持っている人が常に感じていて、そこから異常として認めるかどうか、これだっ ていいのだろうなと、このTONというのはそういう考え方かと思います。異常を確認 するという意味では非常に大事な項目だと思います。 ○大谷委員  異常を確認するという意味では、TONではなくて臭気でできると思います。臭気はその まま嗅ぐわけですから、希釈してTON3で感知するということは生だったら当然感知して います。浄水場では臭気は加温して、定期的に何時間おきに1回という頻度で嗅いでい ます。できた水が異常かどうかは、臭気で確認できると思います。 ○眞柄委員長  そうすると、むしろ臭気強度というのは意味がないから、この際削除した方がいいと いうことですか。 ○大谷委員  はい。 ○安藤委員  数値として今まで表せなかったものを表そうということで、これが出てきたわけで す。 ○大谷委員  なにかの臭気事故や苦情があった時に臭気度を出しますけれど、それは事故の原因の 大きさを見るとか、活性炭を入れる場合の目安にするためです。そういう意味では、臭 気度というのは検査法としては、上水試験法などに残しておいた方がいいとは思います が、水道水の品質の保証という面より、工程管理の目安としての要素が強いと思いま す。 ○国包委員  今の御議論は非常に興味深くお聞きしていたのですけれども、今我々がここで特に議 論しようとしていますのは、この臭気の問題に限らずですが、要は製品としての水道水 の水質検査のことですよね。臭気ということになりますと、毎日異常がないかといった チェックも当然しなければいけないし、大事なことになりますよね。ただ、そういう意 味での臭気の異常ありなしの判定というのは、いわゆる水道水の品質検査ということよ りも、むしろ日常的な浄水施設の工程管理といった中で非常に大事になってくることだ と思います。ですから、そこのところをちょっと分けて考えた方がいいのではないかと 思います。 ○眞柄委員長  ということは。 ○国包委員  例えば、日常的な臭気の異常あるなしのチェックといったことを基準の中で全部義務 付けるということは、少し限界があるのではないかという感じがします。 ○眞柄委員長  だから、臭気強度はもう水質管理目標設定項目も含めて削除した方がいいのではない かと。 ○国包委員  品質検査としては、先ほどもちょっとお話が出ていましたが、1つの考えとしては TONで幾つと言った方が、むしろなじむのかなと思います。 ○眞柄委員長  「異常でない」というのをやめて。 ○国包委員  「異常でない」というのも捨てがたいですが。 ○眞柄委員長  法律では「異常でない」と書いてあるのですよね。 ○谷津水道課長  今、性状項目が問題になっているわけですが、総論的に言って、需要家の実感水質と いうことを考えれば、この部分というのは非常に重要なわけでして、これが安全性とい うよりは言葉で言うと信頼性にかかわるような項目群なわけですね。望ましいレベルと まあまあ受け入れられるレベルとかレベル感覚がありますよね。そういう意味で、多分 望ましいレベルというのは今までの快適水質項目レベルが望ましくて、水質基準レベル で今御議論いただいているのは受け入れられるレベルというイメージで御議論を伺って いたわけですが、そういう中で、基準化と国包委員がおっしゃるような運転管理という ことを考えると、やはり基準にできるものは個別に目標を設定してしっかり管理しよう という考え方もあろうかと思います。だけれども、全体的にみて異常でないというの も、それはそれでいろいろな要素がにおいについてはあり得るわけですから、特に、に おいの要素の中で個別にある程度コントロールできるものは基準化もありうると思いま すが、臭いについては、いろいろな要素があるものですから、全体的な評価が1つある というのも整理かなという気もしますが。 ○眞柄委員長  古米委員、今の谷津課長の御発言も踏まえていかがですか。 ○古米委員  臭気強度TONということですか。 ○眞柄委員長  それとか、全体的に見て。 ○古米委員  全体的というのは臭気に関してですか。 ○眞柄委員長  臭気でもいいです。 ○古米委員  実際上、現場で異常でないという判断がなされて、それでうまく機能しているのであ れば、それは基準として継続すべきだろうということが1つ。  もう一つは、TONのような基準値があることによって更に現場で水質管理がやりや すい、それを目標設定としてやりやすい可能性もあること。例えば、さっき言われたよ うに3倍希釈して判断するという方が現場でやりやすく、結果としておいしくていい水 を供給することができればよいのでは。私は現場を十分にはわかりませんが、そこら辺 の現場状況に応じて組み合わせた方がいいのか、余計なものはなくした方がいいのかを 判断することが重要かなと思います。  臭気に関しては、今言った臭気というものと臭気強度というものと、更に臭気として 非常に問題になっているジェオスミンだとか2MIBだとかあるいはフェノールという物 質が個別にありますよね。そういう物質ごとに一方で整理しながら、それ以外のものも 含めてオーバーオールの臭気みたいなものを評価することも捨てがたいかなという気は しますので、TON自体はあっても私はいいのかなと。しかし、それは基準値として設 定するのではないのではというのが私の感じです。 ○眞柄委員長  それでは、原案のとおりでよろしいですか。  では、一応原案のとおりということにいたしたいと思いますが、非イオンはわかりま したか。 ○事務局  陰イオン及び非イオンの発泡限界でございますが、陰イオンについては0.2mg/lから 1mg/l以上、非イオンにつきましては0.02から0.1mg/lということでございまして、 非イオンの部分の記載を訂正していただければと思います。ただ、陰イオンにつきまし ては、0.2mg/l以下でも多少発泡が見られ、0.05mg/lから0.2mg/lでもわずかな泡立ち が確認されるということがあるようでございます。その辺は、眞柄委員長ですとか安藤 委員からフォローしていただけると助かります。 ○眞柄委員長  陰イオンの方は0.2mg/lが発泡限界だと。それから、非イオンは0.02mg/lが発泡限界 であるということは間違いないと。 ○事務局  はい。 ○眞柄委員長  では、それに合わせて基準の項目にしたいと思います。  いろいろと昨日から化学物質、性状項目について御議論をいただきまして、それぞれ に位置付けを確定されたと思います。次回には、基準の項目群について総論で議論した ように、すべての水道事業体が基準としなければならない項目群と、原水や浄水施設等 のことを考慮して水道事業体が省略できる項目に分ける作業をさせていただくことにし たいと思いますので、よろしくお願いします。 ○岸部水道水質管理官  今の行政的な取扱いのところで補足をさせていただきますと、基準というのはすべて の水道事業体に適用させると、ただし、水質検査について省略できるという理解でよろ しいですか。 ○眞柄委員長  そうですね。  それでは、農薬について議論をしたいと思いますが、資料3−4、昨日議論していた だいたことですが、留意事項の(3)で、農薬についてはその使用形態の特殊性から個別 の農薬ごとに見た場合には、要するにずっと議論をしてきた水質基準や水質管理目標設 定項目に分類されることはまれだと思います。その社会的関心の高さを考慮し、次のと おり取り扱うこととして、つまり水質基準なりに該当する、つまり評価値の10分の1を 超えているものあるいは超える可能性があるものついては水質基準なり水質管理目標設 定項目にするということです。しかし、それ以外の農薬が水道水の中から多数検出され ているということから、下記の式で与えられる検出指標値が0.5を超えないこととする 総農薬方式により、水質管理目標設定項目に位置付けます。その農薬というのは、検出 状況、使用量などを勘案し、浄水で検出される可能性の高い農薬を「xx」種程度選定 することとするというのが昨日の原則でありました。今日は、西村委員から検出状況、 使用量などを勘案し、浄水で検出される可能性の高い農薬、言わばプライオリティリス トあるいはこの検出指標値を算出する対象となる農薬について、御説明をいただきたい と思います。  では、西村委員お願いします。 ○宇都宮委員  すみません、その前に原則のところで質問があります。EUで採用されている総農薬 方式の0.5という指標値の根拠や、これがどういうことを意味するのか、その辺の説明 をもう少し詳しくお願いできればと思います。 ○岸部水道水質管理官  総農薬方式は、毒性的あるいは健康影響の観点から設定された方式ではございませ ん。総トリハロメタンという項目が基準項目にございますけれども、これは基準値を超 えると健康影響あるということではなくて、消毒副生成物をなるべく発生しないような 浄水方法をしましょうことで、その管理目標として総トリハロメタン0.1mg/lという目 標が設定されているものでございます。農薬の総農薬方式というのも同様の考え方でご ざいまして、健康影響というよりも、測定してこういった値を超えるような場合には、 例えば、活性炭処理を追加するといった形で浄水操作を管理しましょうというような数 値でございます。  それから、0.5という数値につきましては、眞柄委員長からアドバイスいただきたい のですが、1つはEUが0.5を使っているというようなことで、例えば、0.5ということ で数値を出させていただきました。これに加えて何かアドバイスがあれば、眞柄委員長 あるいは西村委員からいただけるとありがたいと思います。 ○西村委員  昨日お話をいたしましたけれども、農薬の検出値を評価値で割った値を合算した数値 が総農薬方式の水質管理目標値という考え方で、0.5の数値を出しております。例えば、 分析機関の定量下限値の問題もあって、検出される値が評価値、それは資料の表にお示 ししてございますが、その値の1/10より低い値を検出できない場合は測定値なり各分析 機関の定量下限値を、また、その設定値未満の値を検出した場合については「ゼロ」と いう数字を当てはめると考えたときに、例えば、ある農薬群で同じような毒性を示す、 今、水質管理のところというお話がありましたけれども、農薬が幾つか複合した場合で も、その影響を及ぼす農薬が安全と見越した値の1を超えないというところで、0.5を 超えない値であれば、それを指標として水質管理すれば問題はないだろうというところ で、0.5という値を設定してはどうだろうかということで提案させていただきました。 ○宇都宮委員  先ほどの岸部管理官の御説明だと、毒性という評価とは関係ないということで、聞い ていてなるほど、そういう考え方なのかと思いましたが、今の西村委員の御発言だと、 やはり安全性ということも考慮してというお話になってきますよね。 ○西村委員  0.5という数字に対しては、1つの水質管理目標設定項目として0.5という数値もあり ますし、例えば、毒性のことを勘案しても0.5という数値を指標として行ってもいいの ではないだろうかということでの数字です。 ○宇都宮委員  毒性となると、皆様御存じのように、A、B、Cという幾つかの化合物が重なった場 合、相乗・相加あるいは反対の拮抗などいろいろありますので、果たして0.5というこ とで説明が可能かなと思います。むしろ、なるべく使用量を抑えるあるいは浄水処理上 の目標値ということであれば納得できると思って聞いていたのですけれども。 ○西村委員  事務局の方からフォローしていただければ。 ○岸部水道水質管理官  私の説明は、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。 ○宇都宮委員  例えば総農薬方式の0.5という指標値を採用するとして、0.5という数字の説明を求め られた場合にきちんと納得して、説明できないと困ると思って今お聞きしたのです。 ○眞柄委員長  では、その議論をする前に、西村委員から「xx」種という検討対象農薬がどんなも のが対象となって浮かび上がってくるかということの御説明をいただいて、その後御議 論させてください。 ○西村委員  まず、検討する対象農薬の選定に当たっては、資料3−6を見ていただきたいと思い ますけれども、次のような考え方で選定をいたしました。  国内で使用実績のある農薬等のうち、以下の要件を満たすものを検討対象項目の候補 といたしました。ここで「国内で使用実績のある農薬等」というのは、裏の注1にあり ますけれども、農薬取締法における登録農薬を基本として、最近の失効農薬であっても 土壌吸着性等の観点から検出のおそれのあるものや、農薬以外で衛生害虫駆除等に使用 されるものを含めました。  その項目の中で、国内推定出荷量をADIで除した数値。これを指標といたしまし て、除草剤、殺虫剤、殺菌剤別のリストを作成いたしまして、それぞれ上位30位までに 入る農薬を取り上げました。  それから、国内推定出荷量が上位30位までに入る農薬。  更に、その他、過去の経緯等から注意すべき農薬等、この部分は後ろの注2にござい ますけれども「その他、過去の経緯等から注意すべき農薬等」としては、今回は以下の 農薬を対象といたしました。それは、水道水質基準項目、監視項目、環境省も含めたゴ ルフ場農薬項目及び農薬取締法に基づく水質汚濁性農薬に係る登録保留基準が設定され ているなどの国内で水質基準が設定されている農薬。それから、過去の研究・調査で検 出されているもの。新規登録農薬で今後使用実績が多くなると想定されるもの。このほ か米国のEPA、EU、WHO、WHOにおいては飲料水水質ガイドラインの第2版の ほかに、今現在策定されている第3版案というのを考慮いたしまして、諸外国で健康影 響の観点から基準値などが設定されているもの。これらをまず母集団として取り上げま した。  次の作業といたしまして、(1)の候補を測定方法の観点及び検出状況の観点から以下 の3群に分類いたしました。まず、最初の第1候補群というのは、現在測定方法があ り、かつ、国内推定出荷量が50t以上あることから、水道原水で検出されるおそれがあ るもの。ただし、50t未満の農薬であっても、現在水道原水で検出されていれば第1候 補群に含めました。  それから、第2群といたしまして、現在のところ水道水に適した測定法がないが国内 推定出荷量が50t以上あることから、測定すれば検出されるおそれがあるものというこ とで構成しました。  第3群は、国内推定出荷量が50t未満であって、測定しても検出されるおそれが非常 に少ないものを第3群といたしました。  そこで、検討対象農薬といたしましては、上記のうちの第1群を検討していただこう と考えております。ただし、第2群につきましては、水道に適した測定方法が今現在あ りませんので、早急に確立し、確立した時点で検討対象農薬とすることにいたしまし た。 現在ここに書いてございませんけれども、第1群なり候補で対象農薬となった有機リン 系の農薬につきましては、オキソン体を自動的に加えることと考えております。  以上、リストで検討していただきますけれども、今後、定期的に検討対象農薬の選定 リストを更新することを実施したいと考えております。次回以降の選定におきまして は、今回の第1候補群及び第2候補群の農薬を対象として選定を行います。それから、 その時点で調査・研究が行われた農薬についても対象といたしましょうと。それから、 その時点でまた新規登録農薬、それ以降に登録された農薬で今後使用実績が多くなると 想定されるもの。このようなものを含めて、定期的に検討対象農薬の選定リストを更新 していくということを考えて、以上のような形で検討対象農薬を選定いたしました。  そのリストが資料3−7にございますけれども、そこに一覧表として挙げました。  この表を簡単に御説明いたしますと、左のカラムに1番から番号がついております が、これは作業上で特に意味はなく番号をつけております。トータル101の農薬を第1 候補群として選定いたしました。  次に、農薬名、それから、用途、殺菌剤、除草剤等の区分をいたしました。 「現行区分」のところで「基準」と書いてありますのは基準項目に現在なっているもの です。それから、監視項目、ゴルフ場農薬というような区分で見ています。何も書いて いないところは、今ご説明をした対象農薬の選定の考え方によって、現行区分では区分 されていない農薬を表しております。  それから、測定方法のところですが、ここは単位が抜けておりますが、単位は表示の 問題からμg/lの数値で表してございます。測定方法につきましては、GC/MS、HPLC、 それから、カラムの10のところにはLC/MSでの測定を区分しておりまして、それぞれに 定量下限値を示しております。ただ、LC/MSに関しましては現在作業を進めて、この数 値で固定されるということではなくて、検討中のところもあるということで、変わりう る数値とお含み置きいただきたいと思います。それぞれのところで表した数値は、クロ スチェックをして、ここまでの定量下限は十分得られるという数値と御理解いただきた いと思います。  それから、数値が書いていないところは、測定法はありますけれども、現在進行中で すが、それぞれのバリデーションがまだきちんと行われていず、現時点で定量下限を示 すことができなかったものと御理解いただきたいと思います。  その横に、今回使いましたADIの値、mg/kg/dayの数値を表しております。  そこから先ほどの総論のところでもありましたが、体重50kgの人が2L飲むとして、 ADIから評価値または設定値を算出したものが一番右のカラムにございます。  それから、ADIのところで「risk」と書いてあるのは、資料3−2に準じてリスク 評価を行ったところでの評価値を出しております。  それから、最後の留意事項のところにありますけれども、クロルニトロフェン、CN Pにつきましては、平成6年3月に残留農薬安全性評価委員会によって評価が行われた 結果、胆のうがんの疫学調査結果を考慮してADIを設定しないということになってお りますけれども、それまでのADIは0.00204mg/kg/dayという数値をがADIとし用い ております。  資料3−8が、先ほどお話をいたしました今後の検討対象農薬のリストです。これも 同じように、左の番号については整理上つけたものです。農薬名、用途名、それから、 推定の出荷量を表示しております。  それから、平成13年度の検出実態、平成14年度の検出実態は、厚生労働科学研究の研 究レベルで実態を調べていただいた結果に基づいておりますけれども、原水の値です。  それから、同じように、ADIと設定値を明記しております。  ADIが記入されていないところは、主にWHO等で検討されている対象農薬で、ま だADIの設定が出ていないということから、空欄になっています。  以上、リストを作成いたしました。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。ということは、資料3−4の裏のページの検出状況、使用 量などを勘案し、浄水で検出される可能性の高い農薬「xx」というのは、この101と いうふうに理解をすればいいということですか。 ○西村委員  はい、そうです。資料3−7の101の農薬ということです。 ○眞柄委員長  ということですが、宇都宮委員いかがですか。 ○宇都宮委員  現状で、この101の農薬の中で浄水または原水も含めて検出されたものというのは、 ほとんどないですよね。 ○西村委員  設定値がここにお示ししてありますけれども、その10%を超えたものは測定方法をバ リデーションしていませんが、浄水で超えていることはありません。今調べた調査の結 果では、原水、浄水を含めて設定値の10分の1を超えることは、原水の数件を除いてご ざいません。 ○岸部水道水質管理官  具体的には、こちらの個別表を見ていただくといいと思います。 ○宇都宮委員  そうですね。監視項目ではイソプロベンホスが10%を超えて1検体出ているだけです ね。 ○西村委員  資料15ですね。平成13年度で1件ございます。 ○宇都宮委員  10%を超えているものは、それだけですよね。 ○西村委員  その他、トリクロピルとダイアジノンが僅かに超えた事例があります。 ○宇都宮委員  これだけたくさんの種類の農薬が使われているので、先ほどの考え方が出てきたとい うのはわかりますが、0.5という指標値が妥当かどうかはまだ疑問が残りますね。 ○西村委員  今お示ししました資料3−7のリストから、これを全部測るということではなくて、 そこからある農薬の数を地域性とか使用量、それぞれの地域によって選別をしていただ いて測っていただくということを今、考えていますけれども、その辺御意見を伺えれば と思います。 ○眞柄委員長  宇都宮委員の今の御意見について、安藤委員にちょっと答えてもらいましょうか。 ○宇都宮委員  先にもう一ついいですか。1番からゴルフ場農薬の46番ぐらいまでは、いろいろなと ころで実際に測っていると思います。その結果というのも10分の1を超えているデータ というのはほとんどないというふうに認識していますが、10分の1以下では多少出てい るのもあると思いますが、その辺をどのように評価し実際に反映するのでしょうか。た だ、方法論としてあるのかどうかというのが、いま一つわかりません。 ○西村委員  測定方法ですか。 ○宇都宮委員  そうではなくて評価法と、評価の結果をどう反映させるかということです。 ○岸部水道水質管理官  その辺のところは、先ほど申し上げました数値の問題で0.5とか1という数値が出て きますが、それについては別として、これは、あくまでも浄水場の運転管理の指標とし てこういった方式を考えたということでございます。これによって例えば0.5を超えた ら直ちに健康影響があるとかないということではなくて、一応これを目安にして、これ を超えたら、例えば浄水場で活性炭処理しましょう、というような運転管理の指標とし て使っていただくいうことでございます。  ただ、0.5というのはEUで使われているというようなことがあるので、0.5というの を事務方としては提案してみたということで、評価値で割るということから1という数 値も出てくるかもしれません。ただ、どれがいいかは御議論いただければと思いますけ れども、これによって健康影響を評価しようという指標ではございません。 ○西村委員  それは先ほど私も誤解を招くような発言をしたかもしれませんが、岸部管理官の御説 明で。 ○安藤委員  ちょっと補足させていただきます。宇都宮委員の御疑念ももっともなお話だと思いま す。とはいいながら、農薬というのはいわゆる一般消費者、国民からすると非常にわか りやすいものです。ですから、それについてどうするかというのは非常に大きな関心事 だと思います。とはいいながら、水道水中ではどれだけ確認されているか、検出されて いるかということを考えますと、実は確かに農薬はいっぱい使われているのでしょうけ れども、検出事例というのは非常に少ない、これも事実だということです。では、そう いうことからすると、今までの水道水の基準を考える観点からすると、全部これはリ ジェクトされてしまう項目になってしまいますね。それでいいのかというお話がどうし ても出てきます。ゴルフ場農薬という概念をつくったときもそうだったと思いますが、 野放しでなければそれでいいのかという問題がどうしても出てくるわけで、社会的な要 請に対するある程度のプロテクトというのを考えておくべきだろうということになるの だろうということでございます。  とはいいながら、では、何でもいいから測ればいいではないかということになります と、これも当然限界があるということになる。数が多い、全部測れば安全だということ が言えるかというと、それは測ったって全然出てこないというのが現実です。そういた しますと、何らかの1つの考え方、安全性とは別な担保の仕方というのを考えるべきだ ろうという観点から、EUを中心として1つの考え方が出てきたということだろうと思 います。  確かに、0.5云々は御議論のあるところかもしれませんが、1つの評価指標としてあ る程度カバーしてそれを評価するという考え方で、こういう1つの考え方を出してきた というところでございます。  もう一つは、例えば、こういう考え方もある。これは議論するとちょっとこんがらが るからやめておきますが、例えば、有機リン系なら有機リン系だけで1つ評価しようで はないかとか、あるいはカーバメイト系で評価しようという考え方もあるだろうと。し かし、これは現在の段階では測定方法が完璧に確立していないので、そういう評価指標 はとれないということになる。そうすると、やはり今日御提案いただいた考え方でいく のが妥当ではなかろうか。個々の物質にとついてそれぞれ決めていくということは、 ちょっとしんどいだろうという観点でございます。 ○眞柄委員長  ほかにございますか。 ○国包委員  よろしいでしょうか。幾つか疑問点とか確認したいことがあるのですが、西村委員か ら個別の農薬の検出状況等についてはお話がありましたので、私の聞き間違いでなけれ ば個別の農薬について基準とするということは、現状ですとまずないと理解してよろし いですね。  それから、0.5という数字に関連してのことですけれども、資料3−4ですと、つま りこういう検出指標値に関しては、水質管理目標設定項目に位置付けるというふうに はっきり書いてありますが、今の安藤委員のお話ですと、一般の利用者の側から言えば そういったことではなくて、むしろ農薬に関しては、全部ひっくるめてであれば、なお さらのこと基準としてもらった方が非常に信頼もできる、安心感も得られるということ になるだろうと思います。0.5の妥当性とかいろいろ議論はあると思いますが、たしか EUもそういう扱いでしたよね。基準ではなかったと私は思いますが、その辺のことに 関してはいかがでしょうか。 ○眞柄委員長  EUは、検出される農薬の合計値を0.5μg/lにするというのが指令のディレクティブ です。今ここで考えているのは、EUの考え方は個々の農薬についてADIのことにつ いては一切考慮していない。今ここで出されている検出指標値というのは、検出値を 「農薬@」の評価値というもので割っていますので、要するに、検出された農薬のリス クを言わば無次元化して、それを全部足したら1になれば、要するにリスクが1を超え ることになるというような考え方で、EUよりは多少は科学的なリスク評価の考え方を 導入しているということであります。  結局、安藤委員からもお話がありましたが、現状の基準なり監視項目なりゴルフ場農 薬でこの評価値で定量法を決めて測定をする、つまり10%を定量限界とすると、これま での農薬の検査結果はほとんどNDになってしまって、先ほどの化学物質の水質基準の 分類でいくと全部落っこちてしまう。でも、実際には検出状況から言うと、この101種 類の農薬を今、西村委員に示していただいた定量限界、例えば0.01μg/lというので測 ると、かなりの数が検出される。しかるがゆえに、評価値はそれぞれそうであっても、 農薬類が水道水の中にどれくらい入っていて、それがトータルでリスクとしてこれぐら いになっているという意味の数値を検出指標値として位置付けようというのが基本的な 考え方です。宇都宮委員が言われるように、ADI以下の化学物質を相加性があるかと いうと、基本的には相加性はないというのは江馬委員もおっしゃるし、宇都宮委員が言 われるとおりだと思います。  ただ、農薬に関して言うと、この101種類の中でエンドポイントが同じであると思わ れる農薬類がたくさんある。例えば、有機リン系で言うとコリンエストラーゼ活性に影 響を及ぼす。しかし、残念ながら農薬に関して我々が得られる情報は、エンドポイント が何であるかという情報はわからないですよね。でありますので、そういう意味では、 毒性学的に言えば乱暴なことをやっているというふうに言われるかもしれないけれど も、例えば、有機リン系が百何種類の中でかなりある。あるいはカーバメイト系で同じ ようなエンドポイントを持っていそうなものがかなりあるだろうということも考慮し て、こういう検出指標値のようなものを今回新たに設定して、水道水の農薬についてリ スクを管理する指標にしてはどうだろうかというのが、この考え方だというふうに私は 理解をしています。  厚生科学研究費で研究してきたこれまでの結果を言いますと、この検出指標値が20% を超えていることは地域的にはしばしばある。30%ぐらいになっているところもありま す。50%を超えるところはまだなかったというふうに理解をしています。でも、20や30 %になっていることはこれまでありました。そして、水道事業体によってはこの検出指 標値をベースにして、10%のところがありますが、多くは20%だと思いますが、20%の 値を超えないように、例えば、代かきから水田で除草剤を使って水源に流入するような ときには、粉末活性炭を入れることによって農薬の管理をやってきているところが多い という経緯もあるので、そういう努力をしておられるところを更に増やして、農薬に対 するリスクを水道側でできるだけ下げるようにするためにも、こういう考え方を導入し たらどうかというのが厚生労働省のお考えですし、私もこれは一つの新しい水質管理の やり方ではないだろうかと考えております。  それでも、まだおかしいよとおっしゃるのだったら、それはまた考え直さなければい けないですけれども。 ○宇都宮委員  考え方はよくわかりました。今、眞柄委員長のいろいろなところで測定して、20から 30%を超えるところはあるけれども、現状では50%を超えるところはなかったと。その ときの「i」の数というのは、地域性もあるでしょうけれども、「i」の数によって数 値がかなり変わってくる。その辺をどう考えているのか併せてお聞きしたいところで す。 ○西村委員  その前に1つだけ。先ほど眞柄委員長がおっしゃった、この数値が20%、30%という のは、測定値を設定値で割った数値をそのまま使って合算した場合です。ですから、 おっしゃるように数が多ければ、測定値そのままデータを使えば、当然ある程度は増え てきて、20%、30%の値まで達するということです。ですから、設定値以下のものをゼ ロとして計算すれば、それなりにまた数値は変わってくるということはあると思いま す。 ○宇都宮委員  計算の仕方ですね。 ○眞柄委員長  このリストから外れているものも含めて、これは一斉分析を前提にしていますので 100項目ぐらいは測られている実績はあります。やるときには、西村委員に御準備して いただいた0.01の定量限界以下のものは、この計算ではゼロにするのがやはり妥当だろ うとは思いますけれども。 ○西村委員  それでよろしいかと思います。 ○眞柄委員長  普通のダイオキシンや何かの定量限界は、定量限界の3分の1にするということはや りますけれども、それをたくさんやれば自動的に増えてしまうので、定量限界以下はゼ ロだと。定量限界以上のものについて、こういう考え方を導入するというのが妥当では ないだろうかと考えます。 ○国包委員  基本的な考え方は私も大いに結構だと思いますが、先ほどちょっと申し上げた、無条 件に水質管理目標設定項目とすることに関しては、若干疑問を感じます。つまり、総農 薬方式で検出指標値というのを割り出して、この検出指標値をもって水質管理目標設定 項目の1つにするということですよね。このことに関してはいかがでしょうか。場合に よっては基準という考え方も大いにあるのではないかと思います。評価値云々というほ かとの横並びの考え方は、農薬はまた別だとする必要はありますけれども。 ○眞柄委員長  国包委員は、水質管理目標設定項目というよりは検出指標値0.5というのを基準とし た方がいいのではないかと。ただし、測定の項目は、農薬の使用実態は地域性が非常に ありますので、その地域によって、この101項目の中から測定される項目は当然のこと ながら差異はあると。北海道で使う農薬と沖縄県で使う農薬と当然種類が違いますの で、そういう意味では、測定対象の項目は違うけれども、検出指標値としては基準にし て0.5という方がいいのではないかという国包委員の御意見ですが、これについて古米 委員、いかがですか。 ○古米委員  私も、農薬に関して、水質管理目標設定項目というよりは基準値の形で明示されるこ との方が水道水質基準としてはいいかなと。ただし、こういった検出指標値という新し い概念で数値を出すこと自体が、ここでも議論があるレベルなので、そういった数値を 基準値に決めたのかということを問われたときに、ここが腹をくくれれば、私は基準値 でもいいかなという気持ちはあります。だから、気持ちとしては基準値の方がいいと思 うけれども、その数値自体が微妙だなと。 ○眞柄委員長  遠藤委員に伺うと、これは要するに、一般細菌数みたいなものでよすね。 ○遠藤委員  私もそう思っていました。これは一般細菌と同じ概念だと思って、さっきからうか がっておりました。ただ、0.5という値がいいかどうかということについては、私は根 拠がないですが、まさに発想としては一般細菌の発想ですね。地域差があって、検出し ている一般細菌の内容が違う、つまり個々の農薬は違うが、総量として考えましょうと いう発想は興味あります。この発想を基準値に導入してもいいのではないかと。逆に言 うと、一般細菌を基準値とすることがよいのか、水質管理目標設定項目の方になってし まうのかなと考えておりました。 ○伊藤委員  私も、基準項目から個別の農薬がなくなるということであれば、その基準項目の中に 総農薬方式という形ででも残っているというのが妥当だろうと思います。  その次に、この0.5の話ですけれども、私は昨日までの理解では、農薬は(資料 3ー4,2.(3)の)(1)と(2)の二本立てになっているということだと。現在ですと、 監視項目も含めて全部で19種類ありますが、もうちょっと増えるかと思っていました が、それと似た数の個別の物質が、この(1)に該当するものとしてリストアップされて くるのかなと思っていました。そのような状況下であれば、この(2)に対して与える指 標値としては、1.0では甘過ぎることになりますよね。(1)に該当する農薬が相当数ある という条件下では、配分として、(2)については0.5でもいいのかなと勝手に理解してお りました。  これに対して、(1)に該当するものがないという状態で、(2)を0.5にするということ は、それは、水質管理上の目標レベルを与えるということになりますよね。しかし、そ れは、各水道事業体にお任せすればよいものではないでしょうか。例えば、トリハロメ タン等、ハロ酢酸でもそうですけれども、基準値・指針値がありますが、それに対して 水道事業体では、その70%値とか60%値を、独自に運転管理上の目標値に設定して、そ れを超えそうになったら粉炭を入れるということをよくやられますよね。それと同じよ うに、ここの数字というのは、各水道事業体がお決めになるべき数字ではないかと。し たがって、安全評価上の観点から言えば、やはりこれは1.0で、それに対して0.7にする のか0.5にするのか、あるいはさっきご紹介されたように0.1にするのかというのは、各 水道事業体がお決めになる数字ではないかという気がします。 ○眞柄委員長  伊藤委員の案は、0.5よりも1.0の方が科学的な根拠がそれなりにはっきりするだろう と。 ○伊藤委員  はい。1.0にして基準項目にすると。 ○眞柄委員長  江馬委員、こういう考え方はどうですか。とんでもないことを考えたということにな るかもしれないけれども。 ○江馬委員  現実的な面から言えば、個々の農薬のADIを出して測定してというのは非常に困難 と思って、毒性学的に言えば同じメカニズムを合わせて幾らであると、それが影響が出 るかどうかという判断だと思うんです。現実的に考えると、こういうふうな方法しかな いのかなという気はします。 ○国包委員  基準とすることに関しての意見は、さっき申し上げたとおりですが、それはかなりえ いやという判断からですので、現実に基準とするとなると、当然測定なり遵守の義務も 発生しますよね。あとは測定がそんなに無理なく行えるかどうか、これは小規模の水道 も含めてですけれども、これは検査の頻度をどう設定するかといったこともかかわって きます。  あと、選択の可能性みたいなものですね。つまり、ある水道においては、この農薬は 実際に流域で使われていないから測りませんとか、あるいはこれは必ず測らなければい けないというふうにするといった、関連のことを一通りきちんと整理した上で、最終的 には基準なら基準という判断をすべきだと思います。その辺は、少し含みを持たせた方 がいいのではないかという気がします。 ○岸部水道水質管理官  先生方は基準というような御意見があるようですが、行政の立場から言わせていただ きますと、なかなか法制上は基準は難しいだろうなと考えます。というのは、先ほども お話ししましたように、総農薬方式だと影響量との関係が明確でない。個別のものにつ いてはこういう影響があって、NOAELからこういった評価をしてここまでという数値で 評価値が決まってくるわけですけれども、例えば0.5とか1という基準がございますが、 では、それを超えたら影響があるとかないという議論ができれば別ですが、そのところ の連関がない限り法制上基準で縛るというのは難しい。ただ、先ほど眞柄委員長からお 話がありましたけれども、そもそも水道法4条の問題なのかもしれませんが、現在の水 質基準の4条が想定するようなものではないだろうと考えます。  それから、先ほどの一般細菌も似ているということですが、一般細菌は病原性微生物 が存在するおそれのある、それを疑わせるような物質とか生物が含まれないということ で、従来一般細菌というのは、量としてこれ以上いると病原微生物がいる可能性が高い からということで量の指標ですね。個別の病原微生物を全部入れようとするのは現実的 ではないから、そのインデックスとして一般細菌を使っていたものであって、では、農 薬として比率で足し算したときにこれだけあるから、では、農薬による健康影響が危惧 されるというのが相当の蓋然性を持って言えるかというと、なかなか言えないというふ うに考えます。ただ、そうはいっても、先ほどの運転管理としては1つのインデックス として使えるのではないかということで、水質管理目標設定項目として示させていただ いて、それを基に運転管理をしていただくのが適切なのかなと思います。 ○眞柄委員長  平田委員、いかがですか。 ○平田委員  ちょっと余り得意なところではないのですが。 ○眞柄委員長  要するに、水道水のリスク管理の在り方で農薬についてこういう考え方はどうかとい うことで結構です。 ○平田委員  資料3−4の2の(3)で、(1)に該当するものがあるのなら0.5、ないのなら1.0とす るのが妥当かなと思います。相乗効果、相加効果についてはこの分野ではどのように考 えておけばよいのでしょうか。相加効果すらないと考えてよいのでしょうか。 ○江馬委員  それは、やってみないとわからないです。 ○平田委員  相乗効果があるかもしれないということも言えるのでしょうか。 ○江馬委員  さっき言いましたように、同じメカニズムの問題であれば相加効果はあるかもしれな いです。だけれども、違うものがどうかと言われると、それはわからないです。例え ば、発がん物質の低濃度のものを組み合わせていくと、想定される効果が出ないのです よ。むしろ減弱するという結果もありますけれども、農薬で個々にどうかというと、そ れはわからないです。 ○眞柄委員長  農薬について、幾つかの農薬をADI以下で動物実験をして相加効果がないという報 告はあります。ただ、同じメカニズムのものをどこまで足したら同じ影響が出てくるか ということについては、多分そうだろうけれどもわからないというかデータがない。そ れから、ADIの数値自体が化学物質と同じようなやり方で言えば、不確実係数が少な くとも100掛かっています。ですから、それはやってみなければわからない。でも、例 えば有機リン系のものを評価しようと思ったら、やはり有機リン系農薬類としてADI なり評価値をつくるべきだろうと。しかし、ADIの数値はわかっているけれども、農 薬に関して言えば、医薬品と同じと言っていいのかもしれませんが、安全性評価の内容 については公開をされていない。ADIだけが公開されていて、安全評価の部分が公開 されていないという今の制度から言えば、水道の側でどうしようかと。先ほどからお話 のあったように、(1)がなくなってしまう。だけれども、水道水の中に農薬が入ってい ることは日本の農業形態から考えれば間違いない事実。では、国民が水道水を利用する ときに、農薬に関してどういうふうに規制なり管理が行われているかというような疑問 にこたえるためには、何か指標が要るだろうというと、こういうものが最大かなと。 ○平田委員  いわゆる相乗的な作用はまずないと考えられ、相加効果も全項目で相加ということは あり得ず、あったとしても特定のグループだけであるということであれば、私の感じと しては、人の健康に影響を及ぼすおそれのある農薬は一応これですべて拾われていると いう判断に立って、1.0としてよいと思います。また、項目の位置付けは、とりあえず 水質管理目標設定項目でよいと思います。 ○谷津水道課長  これは、水質検査計画とも非常に密接に関連してくるのだろうと思いますが、需要者 の目から見てうちの水道は農薬上は安全なんだというと、どういう農薬を測って、その 個別のデータがどうだったのか。それと、全体としてのここで言う指標値でどうだった のかと。多分その2つのデータが公開するという意味で要求されるのではないでしょう か。検出されたものについては、指標値で全体として抑えているとなったときに、個別 の農薬のここで言う評価値が水質管理計画なり評価の仕組みの中でどういう位置付けに なるのかなと思います。 ○眞柄委員長  西村委員から「対象農薬選定の考え方について」というペーパーが出されております が、現時点ではこのリストが、例えば、農薬の名前と農薬の式で言う「農薬i」の評価 値というものが出された。その中から、先ほど国包委員が言われましたが、流域の防除 歴を基に、流域で例えば来年の農薬年度で使われる農薬の種類に関する情報を入手し て、その入手した情報を基に、それぞれの流域でこの農薬のうちどれが使われているか というのを調べて、その年の農薬の検査計画を立てて、測定をして、勿論この評価値を 超えているか超えていないかというのもチェックし、なおかつ、この式で指標値を見て これぐらいであったというのを公表するし、もし、ある水道事業体で管理の基準として 20%を設定しているとすれば、20%を超えたらその水道は粉末活性炭なり何なりをとい う対策をとっているということを公表するという形になるようにしていただければ、水 道利用者としては安心できるということだと思いますが。 ○谷津水道課長  農薬についての評価値リストというのが当然できますね。指標を計算するために。そ れが個別の農薬についても水道としてちゃんと頭に置いてチェックしていますよという ときの目安にはなりますね。だから、そういうような形で、そういうものと指標値で セットで運用するというようなことになるのではないかと思っていますが。 ○眞柄委員長  そういうことでいくとして、やはり1.0ですかね。 ○西村委員  そうですね。御議論を見ると。 ○眞柄委員長  1.0のようですので1.0として、このペーパーで言うと101種類の農薬全体が管理目標 設定項目に収まると同時に、検出指標値も水質管理目標設定項目になると。例えば、ト リハロがここに挙がっている、それの合計量はというような感じで、これもそういう形 で入れると。ただし、どの農薬を測定するか、まさに水質検査計画のところで地域の状 況に合わせて対応するということだと思います。  そのときに、厚生労働省というか水道課にお願いしたいのは、国包委員も言われたよ うに、1つの事業体でこれを測るのは非常にコストも掛かるし大変なことだと思います ので、流域単位で使われる農薬というのは、要するに上流から下流まで大体同じ農薬を 使うわけですから、流域単位で情報を水道事業体ごとに交換をして、できるだけむだと は言わないけれども、負担を軽減するような措置を事業体にとるように指導をしていた だきたい。そうでないと、これをやっても実効性が非常に低くなってしまうので、流域 単位で情報を交換するように是非、担当課長会議なり何なりで御指導していただけれ ば、小さな事業体もその情報を基に対応できますので、そういう工夫をしていただけれ ばと思います。という前提でよろしいですか。では、1.0。  それから、念のためですが、この項目リスト群は農薬の使用状況が変わる可能性が非 常に高いので、随時見直す作業も並行的に行うということで、この原案どおりでいくと いうことにしたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。  それでは、ちょっと時間が超過してしまいしたが、昨日から化学物質、性状項目、微 生物、農薬について一通り御検討をしていただきました。ありがとうございました。先 ほど来申し上げていますが、次回には事務局の方で、次回の検討のテーマは水質基準の 在り方ということで、水質検査に掛かるQA/QCと水質検査のサンプリングと評価、水質 検査計画のまとめを次回は2月17日に行うことにしておりました。評価や検査計画は、 先ほどずっと議論して決めてきた基準なり水質管理目標設定項目の言わば重み付けの分 類を求められることになると思いますので、事務局の方で昨日・今日議論した項目をあ る意味では重み付けをするような形で整理していただいて、昨日・今日の議論を再確認 をした上で、水質基準の在り方のQA/QC、それから、サンプリングと評価、水質検査計 画について御議論をいただくということにしたいと思います。次回は、皆さん方のメモ を持ってきていただくことにして、事務局が整理されたものをチェックします。その上 で、各論のQA/QC等について審議をしたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  2日間長い間大変御苦労様でございました。最後に、事務局でそれ以外の事柄につい てお願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  事務局から1点御報告と1点御相談をさせていただきたいと思います。  御報告の分は参考資料2でございますけれども、前々からお話申し上げておりますと おり、公益法人改革の関係で法改正をということで、厚生労働省関係は6本の法律があ りますが、そのうち水道法も一部改正をということで、いわゆる20条機関と34条機関、 これは現在、厚生労働大臣の指定制度になっておりますけれども、これを登録制度で実 施するというための法改正を予定しておりまして、今次の通常国会に提案する予定に なっております。  それから、2点目の御相談でございますが、今後のスケジュールのことでございま す。次回は、水質基準のあり方の各論、次々回に34条機関と報告案の検討、そして来月 末に水質管理専門委員会報告案を取りまとめていただいて、パブリック・コメント手続 というようなことでお話しさせていただいておりましたが、先回の水道部会に本専門委 員会の審議状況について御報告申し上げた際に、報告案のパブリック・コメントをする 前に一度部会に報告すべきではないかというような御指摘を受けました。確かに御指摘 のとおりだということで、水質管理専門委員会の報告案をパブリック・コメント手続に 付す前に部会に報告させていただきたいということでございます。この時期、ちょうど 年度変わりということもございまして人事異動等もございますので、もし、先生方の御 了承をいただければ、3月26日で取りまとめるということになっていましたが、可能で あれば3月3日で取りまとめていただいて、その後、部会を開催させていただいて、そ の上で3月にパブリック・コメント手続をさせていただきたい。大変厳しいところです が、3月3日には34条機関の検討と併せて私どもでドラフトを準備したいと思います が、パブリック・コメント手続に付す専門委員会報告案というのをお取りまとめいただ けないかというご相談でございます。その場合には、3月3日の後はパブリック・コメ ント手続が終わった4月下旬ということになると思いますけれども、そういった形でお 願いをしたいということでございます。  以上、御報告と御相談のお願いでございます。 ○眞柄委員長  ということだそうですので、予定は一応こういうふうに入っておりましたが、専門委 員会報告案を3月3日に取りまとめたいということだそうですので、委員の方々の御協 力をいただきたいと思います。  むしろ、事務局の方に、2月17日が終わって3月3日まで2週間ぐらいしかないので すが、できるだけ早目に報告案のドラフトを委員の方に送っていただいて、3日の委員 会の進行を促進するように御配慮をお願いしたいと思います。とにかく随分いろいろな ことを議論してきたので、かなりのボリュームになると思いますので、大変でしょうが 是非そういうふうに御努力していただいて、我々も御協力いたしますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、今日はどうもありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)