薬事・食品衛生審議会 医療用具安全対策部会 議事録


1.日時及び場所
 平成15年2月13日(木) 13:30〜
 法曹会館 高砂の間

2.出席委員(17名)五十音順
  小野 哲章、   笠貫  宏、   倉田   毅、 小柳   仁、
  佐伯 晴子、 ◎桜井 靖久、   佐藤 道夫、 澤    充、
  勝呂   徹、   土屋 利江、   土屋 文人、 長尾   拓、
  中村 達夫、   星   北斗、   松谷 雅生、 目黒   勉、
  山口 照英  
  (注) ◎部会長  ○部会長代理
  欠席委員(5名)五十音順
  天笠 光雄、   井部 俊子、   甲斐 知恵子、 酒井 順哉、
○外 須美夫  

3.行政機関出席者
 鶴田 康則(大臣官房審議官)、 黒川 達夫(安全対策課長)、
 池田 年仁(安全対策企画官) 、 日下田 俊彦、 関野 秀人  他

4.備考
 本部会は、公開で開催された。



○事務局
 安全対策課の関野と申します。本日はありがとうございます。定刻よりまだ若干早めでございますが、御出席予定の先生方すべてお集まりでございますので、これより部会の方を始めさせていただければと思っております。本日の部会は、平成14年度で申し上げますと第2回の医療用具安全対策部会となりますが、先般薬事・食品衛生審議会の総会で委員の改選が行われておりまして、本日新たに御参画いただいた先生方もおりますので、そういう意味では第1回ということにもなろうかと思います。本日の会議は、一応予定されております先生方17名に御出席いただいておりますので、定員22名のうち過半数以上の先生方にお集まりいただいております。したがいまして、本日の部会は定足数に達しております。また、御覧のとおり本日の会議は公開で行っておりますが、カメラ撮り等をなされる場合には一応議事に入る前までとさせていただいておりますので、その旨御承知おき願いたいと思います。まず始めに本部会の開催に当たりまして、鶴田大臣官房審議官よりあいさつを申し上げます。

○審議官
 ただいま御紹介させていただきました、医薬担当審議官の鶴田でございます。今日は薬事・食品衛生審議会医療用具安全対策部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げたいと思います。委員の皆様方には、日ごろより医薬品等の安全対策につきまして御指導、御鞭撻いただいておりますことにつきまして、この場をおかりして厚く御礼申し上げたいと思います。また併せて、このたび本部会の委員を引き受けていただきまして、本当にありがとうございます。医薬行政の基本といたしましては、有効で安全な医薬品、医療機器を安定的に供給していくといったことを通じまして、国民の医療行政の向上に寄与していくわけでございます。特に市販後の安全対策の取り組みにつきましては、副作用や不具合の発現状況を漏れなく把握して、そういった情報を基に迅速かつ的確な対策を講じていくということが求められているわけでございます。
 本日は経腸栄養輸液ポンプ、静脈留置フィルターなどの添付文書の改訂指示事項とか、平成14年度に医薬品・医療機器等安全性情報を発出した二つの事項について報告するとともに、昨年8月から検討してきておりますポリ塩化ビニール製医療用具から溶出するDEHPについても、こちらの方から御説明をさせていただきます。また、昨年7月に国会で可決成立いたしました改正薬事法の中で、1年以内に施行されるものがございます。当部会に関係の深い事項についても、本日改めて御説明申し上げたいと思います。委員の皆様方には、それぞれの専門分野における最新の科学的知見、それから豊かな御経験といったことを基に厳正な御議論をお願いしているわけですが、引き続き医薬行政の推進のために格別の御指導、御協力を賜りますようお願いいたしまして、私のあいさつとさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

○事務局
 続きまして、若干事務局の方から御報告をさせていただきたいと思います。既に先生方も御承知のとおり、本日の部会は先般開かれました薬事・食品衛生審議会の委員の改選ということを受けて、その後に開かれる最初の部会になります。そして、その開かれました1月23日に、薬事・食品衛生審議会総会と薬事分科会が開催されまして、各部会に所属する委員の指名及び各部会長の選出が行われております。その中で当部会の部会長といたしましては桜井委員が選出されておりますので、その旨御報告させていただきたいと思います。それでは以後の議事の進行の方を桜井部会長の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○桜井部会長
 それではふつつかでございますが、司会の役をさせていただきます。本日の部会は事実上第1回目でございますので、委員の方の御紹介を事務局の方からお願いします。

○事務局
 それでは委員の先生方の御紹介をさせていただきたいと思います。お手元に医療用具安全対策部会の名簿をお配りしているかと思います。2ページにわたるものでございますが、それを基にして順番に御紹介させていただきたいと思います。中には本日御欠席の先生もございますが、一通り御紹介させていただきたいと思います。
 まず東京医科歯科大学大学院の天笠先生でございますが、本日御欠席でございます。続きまして、聖路加国際病院看護部長の井部先生でございますが、本日御欠席でございます。続きまして、神奈川県立衛生短期大学教授の小野先生でございます。東京大学医科学研究所実験動物研究施設教授の甲斐先生でございますが、本日御欠席でございます。東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所の笠貫先生でございます。国立感染症研究所副所長の倉田先生でございます。聖路加国際病院ハートセンター長の小柳先生でございます。東京SP研究会代表の佐伯先生でございます。名城大学大学院都市情報学研究科の酒井先生でございますが、本日御欠席でございます。東京女子医科大学ME連携ラボ顧問の桜井先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所療品部の佐藤先生でございます。日本大学医学部教授の澤先生でございます。東邦大学医学部整形外科教授の勝呂先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所療品部長の土屋利江先生でございます。東京医科歯科大学歯学部附属病院薬剤部長の土屋文人先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所長の長尾先生でございます。京都大学再生医科学研究所助教授の中村先生でございます。北里大学医学部教授の外先生でございますが、本日御欠席でございます。社団法人日本医師会常任理事の星先生でございます。埼玉医科大学脳神経外科学教授の松谷先生でございます。国立国際医療センター手術部主任臨床工学技師の目黒先生でございます。国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部長の山口先生でございます。委員の御紹介は以上でございます。

○桜井部会長
 ありがとうございました。それでは資料の確認をお願いします。

○事務局
 続きまして、事務局より配付資料の確認をさせていただきたいと思います。今説明に用いました名簿のほか、本日お配りしております資料のうち「薬事分科会規程」というものがあるかと思います。これは一応本部会の関連のところにアンダーラインを引いてございますので、後ほど御参考に見ていただければと思います。そのほか議事次第一枚紙に始まりまして、配付資料一覧、あと本日の座席表もお配りしているかと思いますが、その配付資料一覧を横に置いていただきまして、これを基にして本日配付しました資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず資料1でございますが、「添付文書の改訂措置等について」で一枚紙のものでございます。それから資料2といたしまして、「医薬品・医療用具等安全性情報関連資料」というものがあるかと思いますが、全体で14ページの資料でございます。続きまして、改正薬事法関連資料ということで資料3を用意しておりますが、枝番が付いておりまして1〜9までございます。まず資料3-1でございますが、「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について」という2枚のペーパーでございます。それから資料3-2といたしまして、「薬事制度の見直しについて」ということで、左側を2か所とじてある資料でございます。それから資料3-3ということで横長の表でございますが、「薬事制度の見直しについて 参考資料」というものでございます。それから資料3-4といたしまして、「生物由来製品臨時部会(平成15年1月10日)資料」でございます。続きまして資料3-5でございますが、これが更に二つの資料に分かれてございます。資料3-5-1でございますが、「生物由来製品の添付文書記載要領(医薬品)」というものでございます。医療用具に関しては6ページ以降に付いてございますが、説明のときにまた申し上げたいと思います。それから資料3-5-2といたしまして、少し小さな字でございますが、「特定生物由来製品添付文書記載見本(医薬品)」というものがございます。これも医療用具に関しましては5ページ目以降に示してございますので、後ほど御説明申し上げたいと思います。それから資料3-6といたしまして、「患者への特定生物由来製品に係る情報の提供について」という資料でございます。資料3-7といたしまして、「感染症定期報告制度について」という資料でございます。資料3-8でございますが、「医薬品・医療用具等安全性情報報告制度について」という資料でございます。それから資料3-9でございますが、「副作用・不具合等報告の薬事・食品衛生審議会への報告について」という資料でございます。本日配付させていただきました資料は以上でございます。何か過不足等ございましたら、申し出ていただければと思います。以上でございます。

○桜井部会長
 ありがとうございました。資料についてはよろしゅうございますか。この審議会の規定では、部会長が部会長代理の方を指名させていただくということだそうでございます。これまでの経緯とか御専門などを考えまして、実は今日御欠席なのですけれども、私としては北里大学の外須美夫先生にお願いをしたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。ありがとうございました。
 本日の議題は、お手元の資料にございますように大きく五つございます。議題2までは済みまして、議題3の安全対策についてということで、「(1)不具合等報告に基づく添付文書の改訂等」について御説明をお願いいたします。

○事務局
 それでは「資料1」という一枚紙がございますが、これに基づいて御説明させていただきます。「添付文書の改訂措置等について」ということですが、このリストは不具合報告があったもののうち、他社の類似の製品についても添付文書の改訂が必要と判断されたものに関して通知を発出したものでございます。平成14年6月〜12月に発出したものをこのリストに掲げております。
 では簡単に御説明していきます。まず1の「経腸栄養用輸液ポンプの自主点検について」でございますが、これは濃厚な流動食がチューブ内に詰まったという事例でございます。通常経腸栄養用輸液ポンプが閉塞した場合には、アラームが鳴るという機能が付いているものが多いのですが、この機種にはその機能が付いていなかったということもあり、アラームのない機種については使用中に定期的な詰まりがないか確認する必要があるということで、添付文書に追記するよう指示いたしております。
 続きまして2ですが、「静脈留置フィルターの添付文書に関する自主点検について」でございます。本事例につきましては、大腿静脈より下大静脈に留置して長時間使用するものでございますが、留置の際、下大静脈に対して斜めになった状態で留置手技が行われ、開放されるべき先端部が血管分岐部にはまり込んでしまいまして、開放不全となったものでございます。当該製品の添付文書には、この留置の際に開放不全を生じる可能性がある使用条件の発生の防止措置について十分には明示されていないということでございましたので、それについて使用上の注意に記載するよう指示をいたしました。
 続きまして、3の「脳脊髄液短絡術用圧可変式シャントに関する自主点検について」でございます。これは頭皮下に埋め込み脳脊髄液を腹腔にバイパスする目的で長期間使用されるもので、バルブ圧を変更することで脳脊髄液の流速が変更可能なものでございます。脳脊髄液中に浮遊する遊離組織片がバルブ部分に付着するということがありまして、この圧の変更不能が生じたものでございます。こういった点につきましては、重要な事項ですので、そういった可能性があると警告欄に記載するという指示をいたしております。
 続きまして、4の「超音波白内障手術装置に関する自主点検について」でございます。これは角膜内皮の保護を目的として前眼房に注入された粘弾性物質が、超音波チップ側面の灌流液出口を閉塞した結果、灌流液による超音波チップの冷却が不十分となり、超音波チップに接する角膜に熱傷を生じたというものでございます。このような状況を防止する措置につきまして、添付文書に記載するよう指示をいたしております。 
 続きまして、5の「輸液用器具(加圧バッグ)による空気塞栓症に係る自主点検について」でございますが、輸液バッグを空気圧により加圧して動脈内に輸液を送液する医療用具でございます。輸液バッグに空気が残っている状態、すなわち空気を除かずに使用されたことによって空気塞栓を起こしたものでございます。これにつきましても、添付文書に使用時には輸液バッグの空気抜きを行うと記載するよう指示いたしております。
 続きまして、6の「ポリ塩化ビニル製の医療用具から溶出する可塑剤(DEHP)について」です。可塑剤であるDEHPについては、精巣毒性を有することがげっ歯類の試験により確認されております。これにつきましては、前回の部会で御審議いただいた内容にかかわるものでございますが、添付文書に「形状・構造等」という項がありますが、ここにポリ塩化ビニル製の医療用具である旨、及び使用している可塑剤名を記載するということを指示したものでございます。
 続きまして、7の「吸引用滅菌済みチューブ及びカテーテルに係る自主点検について」でございます。吸引用滅菌済チューブ及びカテーテルは、患者用呼吸回路を外すことなくサクションが行えるチューブでございますが、サクション中に人工呼吸器のトランスデューサーが当該医療用具において陰圧に耐えられずに壊れるという不具合が報告されております。これに基づきまして、適正な圧力でサクションを行う旨添付文書に記載するよう指示をいたしております。
 続きまして、8の「血液バッグ等に関する自主点検について」でございます。これはポリオレフィン製の血液バッグを用いて骨髄液からの血球除去作業中に、骨髄液中に含まれる油脂成分によってこのバッグの主成分であるポリオレフィン樹脂の物理的強度が低下し破損したという不具合でございます。このように、骨髄液などに含まれる油脂成分によって破損を起こす可能性について確認いたしまして、その可能性があるというバッグにつきましては、その旨添付文書の「禁忌・禁止」の項に記載するということを指示いたしております。
 続きまして、9の「電気式処置用吸引器に係る自主点検について」でございます。胸腔等の排膿を行う際に、排液チューブに接続して膿液等を吸収する医療機器でございます。排液をためるバッグがございまして、通常このバッグが満杯になる前に交換されるものですが、この場合は満杯になっても交換されなかったということで、排液が更にオーバーフローリザーバーというところにたまってしまったというものでございます。 このオーバーフローリザーバーは本体の一部で使用の都度交換されるというものではありませんので、このようにオーバーフローリザーバーに排液がたまった場合につきましては、その都度洗浄や消毒の措置が必要となってきますので、この点について添付文書にそのような記載をするという指示をいたしております。
 続きまして、10の「三方活栓等に関する自主点検等について」でございます。全身麻酔剤のディプリバンという医薬品がございますが、持続注入中に三方活栓にひび割れが生じ液漏れを起こしたという事例でございます。ポリカーボネート製の三方活栓と脂肪乳製剤が接触することにより、腐食による破損が生じたというものでございます。添付文書にこの旨記載するよう指示いたしております。
 11の「生命維持を目的とする医療用具の自主点検について」でございます。入浴準備中に人工呼吸器に液体がかかりまして、基盤に液体が付着したことによると思われる絶縁不良を起こして作動を停止したという事例でございます。使用者に対して液体がかからないよう注意喚起をするということで、添付文書にその旨記載すること、また、構造上の改善を検討するよう指示をいたしました。同様の不具合の発生により患者が重篤な状態に陥る可能性は、人工呼吸器のみならず生命維持を目的とする医療用具に共通の問題でございますため、生命維持を目的とする医療用具の関係者に対し、同様の事例が発生することのないよう自主点検を行うことを必要に応じ添付文書を改訂するよう指示をいたしました。
 12の「気管内チューブ用スタイレットの使用時の点検等について」でございます。この気管内チューブ用スタイレットというものは、気管内挿管の際にカテーテルの挿入をガイドさせるためのしんちゅう製の棒状の器具でございますが、使用中に先端が折れまして、患者の食道から消化管内に折損部が落下してしまったという不具合でございます。反復して使用する場合には、使用時の点検等の注意事項を追記するよう指示いたしました。
 13の「植え込み型医薬品注入器とその他の滅菌済み留置チューブ及びカテーテルの組合せに係る自主点検について」でございます。植え込み型医薬品注入器と滅菌済み留置チューブ及びカテーテルを接続し、体内に埋め込み薬液を注入開始したところ、接続部位から薬液が漏出したというものでございます。この注入器及びカテーテルの組み合わせによって、同様の不具合事例が生じるおそれがありますため、組合せ時の安全性について当該製品を製造、輸入販売している企業に対して自主点検を行うと。また、関連業者及び関連団体につきましては、自主点検を行うとともに必要に応じ医療機関への情報提供、添付文書の改訂を行うよう指示をいたしました。資料1の御説明は以上でございます。

○桜井部会長
 ありがとうございました。何か御質問、御意見ございますか。

○星委員
 聞かせてほしいというか教えてほしいのですが、メーカーが自主的に報告するもの、これは法律で定められているところですが、医療機関あるいは医師、薬剤師等が報告するもの、そしてその中で確かに危なそうだというものを評価して、同様のことが起こり得るものについてメーカー、あるいはメーカーを指導監督する都道府県知事に通知して注意を促すと。また同時に、販売元には医療機関に教えてあげなさいということを言う仕組みだと理解しておりますが、後で出てきますもののうち安全性情報に出てくるものと、そうではなくてここにだけ出てくるもの、あるいは報告はあったけれども対応しなかったもの、たくさんあると思うのですが、そういうものはどのくらいあるのか。そして、だれがどうやってその報告を評価して、通知の改訂あるいは添付文書を改訂させるべきだという指導をされるのか、その辺りの仕組みは現実でどういうふうに動いているか教えてもらいたいと思います。

○事務局
 まず不具合報告されましたら、その業者に対して指導すると。改善措置を指導するということで十分と考えられるものはそれ止まりなのですが、このように今回通知を出したという御説明をいたしましたものは、報告された不具合が同じ機種のほかのメーカーのものでも起こり得るというものについては、ほかの業者さんにも指示が必要なので通知を発出して同じように指示をするということでやっております。医薬品・医療用具等安全性情報の方なのですが、こちらは広く医療機関、業者にとどまらず…。

○星委員
 御説明ありがとうございます。私が聞きたいのは、制度は分かっていますが、その重要度合いが違うのですよね。あるいは対応する方法が違うのですよね。対応する方法が違うのは、どなたがどういうふうにしてお決めになられているかを聞いているのです。

○安全対策課長
 お答え申し上げます。日々医療用具の製造業者等及び不具合報告がなされます中で、その内容の軽重、それから医療用具の安全性の確保は、一義的には医療用具製造業者、輸入販売業者が負うところでございまして、不具合症例に対して採るとした措置の内容、妥当性、そういったものを判断して担当窓口、順に課長補佐あるいは課長という具合に事例の軽重に応じて遅れなく処置の相談がまいります。
 一方で必要な措置がどんどん進むわけでございますが、その対策の必要なものについては、ここに御紹介しましたような通知で知らせるほか、さらにそのものが使用の実態などから見てまだ医療用具の第一線の皆様方に十分周知されていない、あるいは初めてに近いようなことについては、特に医薬品・医療用具等安全性情報などに紹介いたしまして、使用者の注意を喚起しているところでございます。
 ちなみに医療用具に関する不具合情報は、最近ですと年間6,000件以上来ております。それから安全性情報は年10回、月に1回足りないくらいの頻度で出しているところでありまして、通知については評価が済み次第タイムリーに世の中に通知していくということで進めております。

○星委員
 なぜそのようなことをお伺いしたかといいますと、実は医療機関からの報告が少ないのだと、あるいは医師、薬剤師等からの直接の報告が少ない、多くはメーカーを通じてからの報告であると。この場合に一つの問題は、メーカーが本当に自分たちの不具合に起因するかどうかということで、調査をしたりする期間のタイムラグが発生するのではないかということと、メーカーがつぶれてしまっているような製品が実はあるのですね。それから実際に流通しているもの、ジャクソンリースなども正にそういう背景があるかと思うのですが、私はやはりそういうときの直接現場からの声というのは非常に大切なインプットだと思います。ただ、直接のインプットがなかなか出てこない一つの理由は、情報のやり取りがうまくいっていない、つまり現場とこれらのいろいろな通知の改正その他というものがつながっていない。したがって、自分たちの不具合報告がどういうふうに活用されているのか目に見えてこないからなかなか報告が得られない。理由はそれだけではないのだと思うのですが、現場にいる側からするとそういう問題を感じずにはいられません。つまり今の法制度の問題ではなくて、多分運用の面だと思うのですが、正に我々の現場からの声が早く医薬局に届くようにすると。そして、その仕組みが我々の安全性情報としてフィードバックされるということを、もう少し体験といいますか、実感できるような運営をしてほしい。
 それをするには、課長、補佐と上がっているところで単なる決裁ですが…、6,000件のものを専門の方が定期的に評価すると、あるいは逐次的に評価しているという姿は、少なくとも今の話を聞く限り思い浮かんできませんので、そういう内部の評価の体制を含めて、こういう情報を出しましたと、私たちはこんなに一生懸命やっていますというのは当たり前の話でありまして、どういうふうにしていくのかという方向性をもしお考えでしたら教えていただきたい。

○安全対策課長
 ただいま私から申し上げました説明の中で、一つ一つの案件でメーカーの対応で済むべきものについてはどんどんやっていただくということで進めていると。それから医療機関からももちろん頂いているところでございますが、これは星委員から御指摘ございましたとおり、現在メーカーからの報告に比べると大変少ない状況がございます。これは医薬品の副作用報告、大体年間2万8,000ありまして、そのうちの4,000強が医療機関、残りは製造業者なのですが、同様の傾向でございます。例えばポスターの配付などいろいろ普及啓発に努めているところでございますが、これについては是非強化して先生方の御指摘も頂きながら、より医療機関の第一線の御意見が集まるように努力していきたいと思います。さらに具体的には、今日星委員からお話がありましたような、例えばどういうシステムで行っていくかなどについて、図なども含めて改めてこの部会に御報告をし、この点について強化したらよろしいのではないかということがあればやっていきたいと思っております。
 それから昨年法律を可決していただきました、新独立行政法人医薬品医療機器総合機構でございますが、これは16年4月に発足が予定されているところでございます。ここができました暁には、更に情報の収集、伝達あるいはITを活用した、どなたでも情報が欲しいときには見られるという運用も考えておりますので、これについてもまた御紹介させていただきたいと思います。
 最後に対応の検討なのですけれども、これは私どもだけでやっているという印象を与えてしまったとすれば言葉足らずでありまして、適宜第一線の御専門の方、これは薬事・食品衛生審議会の委員の先生方を中心に御意見を頂いた上で、内容の適否や重要性についてのアドバイスを頂きながら対応していくということでございます。長くなって申し訳ありません。

○星委員
 これ以上議論する気はありませんけれども、この間ある新聞にジャクソンリースの話を厚生労働省が隠匿していたという…、あれは報道の誤りかなと思う部分もありましたが、ああいうふうに言われてしまう一番の背景は、やはり現場と今おっしゃったような仕組みとの間の解離だと思います。例えばこの添付文書の宛先は都道府県知事になっていますが、この都道府県知事に出た通知がすべての医療機関に行っているかというと甚だ疑問ですし、私たちが日々こういうものを定期的に目にするということは少なくともない。私の病院だけかもしれませんが、少なくともそれは我々の手元に非常に頻繁に流通するものではないことだけは事実なのです。ですから、情報は提供しましたよ、取りに来るのはあなた方の責任ですというのでは余りに無責任ではないかと。ですから、何も嫌がる人に何かを突っ込むようなことはしなくていいのかもしれませんが、少なくともそういう注意喚起あるいは情報の通知が本当に現場に届いているかどうか、そして活用されているのかどうか、もっと言えば先ほど言ったようにこの制度自体が現場に理解されているのかどうかといったことも是非考えていただかないと、新しい機構ができた、人も増えた、金も増えたからうまくいくということでは少なくともないということを認識してお仕事していただきたいと思います。以上です。

○桜井部会長
 ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。ほかにこの件に関して何か御意見ございますか。現場と行政といいますか、そことの風通しの良さが非常に必要であると。それからまた適切な情報の提供、PRが必要であるという御指摘で、これは大変重要なことだと思うのですが、一方であれなのはやはり医療機関側に医療用具についての担当者というものが明確に規定されていないのも一つ問題ではないかと。一体看護婦さんなのか医者なのか、あるいは薬剤師なのか臨床工学技師なのか、やはりその辺も一つ実態としての問題はあるのではないかという気がします。
 もう一つは、先ほど安全対策課長から適宜意見を専門家に求めるというお話があったのですが、これはこれで大変結構だと思うのですけれども、これまでのやり方ですと多分ある特定の先生がいらっしゃってこの方の御意見を聴こうという形でのやり取りは十分なさっているのだろうと思うのです。それはそれで結構だと思うのですが、もう一つのやり方として世の中に学会が非常に数多くありまして、それぞれ専門家の集団が学会を形成しているということでございますので、何か学会の方にそういう機能を設けて、ある程度公正なというとちょっと語弊があるかもしれませんが、意見が上がってくるような形での仕組みをお作りいただくのも一つ大事かなと。もちろん専門の先生の御意見は公正な立場でなされるのは当然だと思うのですが、ある程度いろいろな御意見がありますから、やはりそういう学会のようなものが受皿になるようなことも学会側としてもまた考えなければいけないことでしょう。それからこれは私の意見ですが、行政としてもそういうことを学会に求めていくというのも一つの方向かなというふうに、そういうふうに思います。ほかに何か御意見ございますか。どうぞ。

○佐伯委員
 本日初めて伺いましてこんなことを、本当に何も分からない素人なのでちょっと御了承いただきたいと思うのですが、この安全性情報を平成13年6月から基本的に月刊化したということで、それまでは2か月に一度だったのが月刊になったと、今はそれが一番早い情報なのでしょうか。

○安全対策課長
 私どものメディアといたしましては、このほかにファックス同報システムを使いまして、全国の6万の医療機関に情報伝達するシステムを持っております。それから緊急安全情報といい、これは直ちに医療の第一線にお伝えしなければいけない安全性情報について、お使いになっている医療従事者の手元に黄色の紙で赤枠を付けて、例えばイレッサといったものが対象になっておりますが、随時これも発行しております。今年度は既に5回発出されております。
 それから定期的な刊行物といたしましては、一月に1回の安全性情報がございまして、それで症例と具体的な使用上の注意の変更点といったものを並べているわけでございます。これらはインターネットで医薬品機構が運用しております、医薬品情報提供システムというところに掲載をお願いして御覧いただけるほか、部分的でございますが、厚生労働省のホームページでも見られるようになっております。こういったことで広報に努めております。
 最後になりますが、このような通知のかなりの部分については、関連する日本医師会、薬剤師会等の学術団体等にもお願いをして会員の周知もお願いしているところであります。

○佐伯委員
 お聞きしたのは、通達はした、そして現場が知らないで使っていて実際に患者さんにいろいろな被害が起こったときにその責任をどこに問えばいいのかということを、私がもし患者の立場であったらどうなるのかというのが気になりました。

○事務局
 事務局より若干付け加えさせていただきますが、迅速性という観点では先ほど課長の方が御説明しましたとおり、最も急ぐ場合はファックスで全医療機関に情報をお流ししているという形を採らせていただいています。多くの医療用具の場合、医療関係者を通じて患者さんに適用されるケースが多うございますので、まずは真っ先に医療関係者に対する情報提供を行い、その使用に当たって患者さんにいろいろな不具合等、あるいは健康被害等が生じないような形での対応ということでこれまで考えてきました。それとともに、実際に患者さんあるいは国民に向けた情報というものも非常に大事と考えております。そういう場合ですと、緊急安全性情報を発出する等の場合におきましては、マスコミに対する会見なども併せて行うことにより、より多くの方々に対してそういった安全性情報をお伝えできるような仕組みを考えております。この辺りは、最近ですとITを使ったような情報提供の方法も平成11年以降始めておりますので、そこら辺もより充実を図ることによって瞬時にできるだけ多くの方が情報を知るような仕組みにしていきたいと考えております。

○星委員
 もうしないと言いましたが、もう一回だけ言います。桜井部会長が言われたことが私はすごく大切だと思うのです。部会長が言われたように、受け手として薬の場合にはどのような病院でも薬剤師がいて、少なくともその手の窓口にはなっていると。 しかし、ほかのものに関して言うと、必ずしも病院側の体制が十分でない、これも素直に認めなければいけないことだと思うのです。先ほどの議論で言えば、それは病院の責任ではないかと言われればそうなのかもしれませんが、現状がどうであるかということを知らずにとにかくファックスを送り付けただけで問題が解決するものではないし、そのときの相互理解によってこの制度が本当にうまく動く可能性があるのだとすれば、やはりそれは動かすべきだろうと。そのときに足りない視点は、やはり現場でどんなことが活用でき得るのか、あるいはどんなふうに伝えればうまくいくのか、窓口を決めるとすればどういうふうな体制を作ってもらうのがいいのかという議論をきちんとすべきだろうと。これはある意味で病院の責任だろうし、医師の責任だろうと思いますので、それを放棄したり行政の責任にしたりするつもりは全くございませんが、その辺りの話合いをきちんとしてもいいのではないかという提案ですので、そのように理解してほしいと思います。

○小柳委員
 部会長が言われました学会の対応ですが、人工臓器学会は既にそれを意識して準備をしておりまして、学会の委員には任期がありますが、任期を越えた専門性と継続性を両方兼ね備えたようなシャドーキャビネットのようなものを作り始めております。本当言いますと、紙の時代ではないと思いますので、リアルタイムのメディカルデバイシスアラートを発すべき場所だと以前から私は思っているのですが、それに近いことを人工臓器学会はやり始めておりまして、相談相手としては十分成熟しつつあるのではないかと思いますので、部会長が言われた活用の仕方はあるかと思っております。
 それから今将来の展望で桜井先生がおっしゃいました、私は本当は病院に病院長がいてその隣に工学部長がいればいいと思うのですが、そういう病院が理想でありまして、もし議論が何年か後に成熟したときにそういう職種が生まれると本当に成熟するのだろうと思っております。いずれにしましても、学会はそういうことに十分危機意識を持っておりますので、御利用いただく時期ではないかと感じております。以上です。

○桜井部会長
 ありがとうございました。笠貫先生、どうぞ。

○笠貫委員
 今小柳委員がおっしゃいましたように、私ども日本ペーシング・電気生理学会は、この安全性の問題、社会性の問題については、非常に前向きに取り組んでおりすので、是非そういった意味の活用の仕方を考えていただけたら有り難いと思います。
 もう一つ、内科の立場としましては、医薬品についてのMRというものが非常に進歩して、また重要な役割を果たしていると思うのですが、医療用具に関してのいわゆるMRに当たる位置付け、これからの活用の仕方は非常に重要な役割を果たしてくるのではないだろうかと。そういう意味で、発信をする厚生労働省、それから受け手の病院サイドあるいは患者サイドというものの間の情報の収集と伝達という意味では、医療機器のMRということをお考えいただけたら有り難いと思います。

○澤委員
 部会長がおっしゃられた学会の件でございますが、私どもは日本眼科学会でありまして、その下にもまた日本眼内レンズ屈折手術学会というものがございます。その中で国立医薬品食品衛生研究所からの御支援をいただいて、眼内レンズインプラントデータシステム委員会というものを設けておりまして、インプラントの眼内レンズをずっとチェックするようにしているのです。そういうような組織が動いているところは、正に部会長がおっしゃられたことに対応できる状況で、眼内レンズの不具合のデータを毎年追っているということ、膨大な量だと思いますが、そういうことをサポートしながら情報を集めるということがこれからの一つのモデルプランかなと思ってちょっと紹介させていただきました。

○桜井部会長
 ほかはよろしゅうございますか。土屋先生、どうぞ。

○土屋(利)委員
 今先生から少し御紹介いただいたのですが、我々も厚生労働省からインプラントデータベースのお金を頂いております。そこで眼科の先生、それから整形外科の先生、血管のステントの先生、心臓弁、いわゆるリスクの高いこれから重要なものの不具合については、学会を代表されて出てこられた先生方からいろいろなデータの蓄積と不具合情報について教えていただきます。そこで重要なものについてはまとめた報告と即必要なことについては、安全対策課の方に意見を述べるようにしております。規模はこれからもっと大きくしたいとは思っております。よろしくお願いいたします。

○桜井部会長
 どうもありがとうございました。星先生の御発言をきっかけにして、いろいろ建設的な御意見が出たので、厚生労働省としても少しお考えいただいていい方向に進めていただければと思います。 
 それでは次は3の(2)の安全性情報について御説明をお願いします。

○事務局
 それでは安全性情報につきまして御説明いたします。資料2になります。一枚めくっていただきますと、「医薬品・医療用具等安全性情報No.182」というものがあります。更に2枚めくっていただきますと、3ページに「ポリ塩化ビニル製医療用具の使用について」というものがございます。これは前回の会議で御審議いただいたものであります。前回の会議で御審議いただいたものに基づいて作りましたものが9ページ、10ページのものでございます。この安全性情報につきましては、前に戻りまして申し訳ありませんが、6ページになります。6ページの「(4)推奨事項」、ここから前回の部会で御議論していただいたものを反映させております。簡単に御説明させていただきました。
 続きまして11ページをお開き願います。安全性情報のNo.185になりますが、これが表紙になります。更に2枚めくっていただき13ページになりますが、「IH式電気炊飯器等による植込み型心臓ペースメーカ、植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置(ペースメーカ等)への影響について」ということですが、これはIH炊飯器によりペースメーカがリセットしたという事例が1例発生したものでございます。盗難防止装置では、既にペースメーカがリセットするという事例が報告されております。また、金属探知器や携帯電話等によってもペースメーカ等が影響を受けるという可能性が示唆されておりますが、今回はIH式電気炊飯器という、ごく身近に存在する家電製品によるものであるということから、医療関係者及びペースメーカ等の使用患者に対して広く注意喚起を促すということを行ったものです。以上でございます。

○桜井部会長
 ありがとうございました。最新号の安全性情報についての御報告ということで、塩ビの問題は古い時代からある問題ですし、またペースメーカの問題もたびたび扱っておりますが、何か御意見、御質問ございますか。よろしいでしょうか。
 この次は議題4の「改正薬事法について」ですが、事務局から説明をお願いします。

○事務局
 それでは資料3の関連を用いまして、御説明申し上げたいと思います。資料が9種類ございますので、ポイントだけ簡潔に申し上げたいと思います。
 まずは資料3-1を御覧いただきたいと思います。このペーパーは改正薬事法の関連の経過を御紹介したものでございまして、お示しのとおり7月末の段階で国会を通過してございます。そしてその国会の中で、1ページの下半分の「I 薬事法関係」というところを御覧いただきたいと思います。そのうちの2のところにございますとおり、「施行期日前倒し」といいまして、当初法案を提出した段階では3年以内の施行ということで我々考えておりましたが、部分的なものに関して1年以内の施行という形で国会で修正がなされてございます。したがいまして、本日この部会におきましては、取りあえず1年以内に施行される関連の事項を御紹介させていただきまして、我々が運用していく中で安全対策上の御助言等をいろいろ頂ければと思っております。
 資料3-2に移らせていただきますが、こちらは我々が当初法案を提出いたしました際、この法案に書かれている内容を少しテキストとしてまとめたものでございますので、後ほどまた改めて御覧いただければと思います。このうち本日御紹介するものに関しましては、別途資料を用意してございますので、そちらを中心に御説明したいと思います。 同じく資料3-3に関しましては、先ほどの3-2とセットで我々が作りました参考資料で、それぞれ制度改正の内容について絵のような形にしてお示ししたものでございます。適宜質問等ございましたら、これを使い御理解いただければと考えておりますので、まず冒頭の説明は省略させていただきたいと思います。
 続きまして資料3-4に移らせていただきます。先ほど法律の中で1年以内の施行と申しましたが、このうちの一つがいわゆる生物由来製品というものの取扱いでございます。この生物由来製品というものですが、一口に申しまして医薬品あるいは医療用具、医療機器といったものの中には、人あるいは動物の臓器、人で言えば血液等を原材料にした製品も一部含まれてございます。そういったものを一くくりにいたしまして、医薬品・医療用具にかかわらず生物由来製品という一つのカテゴリーを新たに設けまして、これに関していろいろな特性に応じた対策を考えていこうというものでございます。
 資料3-4に関しましては、そういった生物由来製品に関して特別な部会を一つ薬食審の中に設けまして、これまで議論を重ねてきたわけでございます。お手元には15年1月10日の資料を御用意させていただいております。本日改めて御説明することは省かせていただきますが、本部会と関係のある事項として若干御紹介させていただきます。14ページの下の方に「添付文書の記載事項」というものがございまして、いわゆる生物由来製品に関して法律に基づいて添付文書に記載すべき事項を今回制度として導入しようというものでございます。具体的には15、16ページに書かれてございます。ただ、これについてはもう少しイメージを見ていただいた方がよろしいかと思いますので、次の資料3-5を基にその辺りの内容を御紹介させていただきたいと思います。
 資料3-5-1と資料3-5-2という2種類の資料がございますが、両方を横に並べていただいて説明させていただきます。まず資料3-5-1に関しましてはその内容を文章で示したものでございまして、資料3-5-2の方はこれを図式にしたものでございます。医療用具に関しましては、資料3-5-1は6ページになります。そして資料3-5-2に関しましては、5、6ページが医療用具に関係する部分でございます。
 まず資料3-5-1の6ページを御覧いただきたいのですが、特定生物由来製品という生物由来製品の中でも特別なカテゴリーを一つ設けております。これがいわゆる医療用具の場合は例が少のうございますが、医薬品の場合では血液製剤といったものがこのカテゴリーに入ってございます。医療用具に関しましても、一部材料系のものの中で血液、ヘパリン等を用いて材料にコーティングすることによって生体との適合性を増すといった製品があるかと思いますが、そういったものが恐らく特定生物由来製品というカテゴリーに入ってくると考えております。そういったものに関しまして、この資料にお示ししたような添付文書の記載を求めるというものでございます。まず6ページに「販売名の前に『特定生物由来製品』と記載する」とございます。申し訳ございませんが、資料3-5-2をまた御覧いただければと思います。販売名が○で少し大きめに書かれてございますが、その左側に「特定生物由来製品」という記載をさせていただいております。販売名の左又は左上に規制区分として「特定生物由来製品」と書くといった、実際この辺りにこの記載が書かれるというイメージでございます。また、遺伝子組換え体の場合ですと、販売名の下に括弧書きで遺伝子組換え材料を使用している旨を記載するという取扱いを考えております。
 また資料3-5-1の方にお戻りいただきます。6ページの2にございますように、感染症の伝播の危険性あるいはリスクに関する事項も添付文書の中にしっかり書くという方向で考えております。その具体的な内容といいますのは、8ページに「別添1」というものがございますが、これがいわゆる一つの記載のモデルでございます。ちょっと御紹介させていただきますと、人血液等を含有している関係で、血液を採取する際には問診等により検査を実施する、あるいは製造工程において不活化処理等を行うことにより、安全対策は講じているわけです。しかしそうは言いながらも、生体由来の原材料を使っている関係で感染症の伝播の危険性、あるいはリスクを完全に排除することができないという中で、そういう医療材料に関しては治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめることといった記載を添付文書の中に書くという取扱いを考えております。これを絵でお示しいたしますと、先ほど御説明した資料3-5-2の販売名の直後に大きな枠取りをしております。○がたくさん並んでいる部分があるかと思いますが、この部分に今申し上げたような記載をしていただくということで考えております。一番目立つ位置にこういった記載を書くべきという方法で制度の方が進んでまいりました。
 続きまして、資料3-5-2の中で御説明いたしますが、5ページの左半分の中段に「形状・構造等」というところがございます。この中で実際に材料、あるいは医療機器に使われている構成材料の部分に関する情報を書いていただくということで、動物種あるいは使用部位というものを記載するという取扱いでございます。また、目を下に移していただきまして、左側の一番下でございますが、「2.重要な基本的注意」ということで「患者への説明」という欄がございます。こちらに関しましては、やはり生物由来製品に関する特徴といたしまして、先ほど申し上げたような感染症のおそれ、リスクに関する記載をここに書きまして、そういった内容を患者へ説明していただくことをこの部分で求めるということでございます。それから次に5ページの右半分に移らせていただきますが、中段に「記録の保存」という欄がございまして、生物由来製品に関してはいろいろな記録を保存していただくということになっておりまして、販売名とか製造番号あるいは使用日を記録として残していただくことになります。その期限として、取りあえず20年という形で記録を保存する旨をこの部分に書かせていただくという取扱いでございます。これが生物由来製品関係の医療用具に関する添付文書の記載の状況でございます。
 続きまして資料3-6に移らせていただきます。こちらの方は、今既に添付文書のところで申し上げましたとおり、患者への説明、情報提供といったことを一つ別に資料を作らせていただいたものでございます。最初に条文が書いてございますが、「第68条の7」というところで医療関係者は患者に対して適切な説明を行って、その理解を得るよう努めなければならないとして条文ができておりまして、1ページの2に書いてあるような情報を説明していただくということを考えてございます。2ページには情報提供する際の具体例ということで、どういう内容のことを御説明いただくか、一つ例示として御参考までに書かせていただいているという状況でございます。
 それから資料3-7に移らせていただきます。「感染症定期報告制度について」というものでございまして、まず条文の下に1として趣旨を書いてございます。最初の○あるいは二つ目の○に書いてございますとおり、生物由来製品というものは未知の感染因子を含有している可能性が否定できない状況だと。そういった中で、感染症のリスクは通常のいわゆる合成したものとは違うということで、潜在的に感染症が進行するおそれがあって、一定期間経過後に顕在化するようなおそれもあると。そういう中で今回どういうことを考えるかといいますと、具体的には2ページを御覧いただきたいと思いますが、2ページの冒頭に「(注)」というものがございます。今回、新たに設ける感染症定期報告制度というものは、「(注)」の(2)がそれに該当いたします。その時点、その時点で感染被害が発生するか否かというのはなかなか不明であると。そう言いながらも、いろいろな原材料に関する最新の知見や情報、あるいは論文というものを定期的に集めることにより、常にそのリスクを評価していくべきだろうと。それに基づいて必要な対策も併せて講じる必要があるということで、定期的に最新の情報というものを企業に対して幅広く集めて、我々がそれも評価していろいろな形で最善の安全対策を講じていこうと考えて行う制度でございます。なお、何か感染被害が発生したような場合ですと、この「(注)」の(1)に書いてございますとおり、既に現行薬事法でも設けられている制度でございますが、感染被害が発生した場合ですと一例ごとに我々の方に報告がございまして、それによる対策をこれまでも採ってきてございます。したがいまして、何か起こったときにはこういった一例ごとの中で対応していくことになりますが、一方で発生するか否かが不明な段階についても、今後改正薬事法の中で必要な措置を講じていこうということでございます。その具体的な手続きを文章でも書いてございますが、絵の方が分かりやすいと思いますので、6ページを御覧いただきたいと思います。
 6ページに横長の絵を用意しておりまして、前回の感染症定期報告を受け付けた後の流れを示してございます。まず左上が製造業者でございまして、そちらから厚生労働省に対して報告書が提出されます。それに関しましては、我々安全対策課の方で取り扱うわけでございますが、一部血液由来の製品がございまして、そういったものの関係では血液対策課も若干関係しますので、両課でそれぞれ連絡調整を行って考えていくことでございます。そして、本部会も含めた薬事・食品衛生審議会の方でございますが、安全対策課の方から定期的に企業の方から上がってくる報告をこちらの部会の方に資料として配付いたしまして、専門的な見地からの御議論を頂ければと考えております。個々の品目に関しましては、現状6か月に一度の報告を求めてございますが、それぞれの品目により五月雨式に6か月という期間がまいります。我々の方には、1年間通じて随時感染症定期報告というものが上がってまいりますので、それを遅滞なく御議論いただいて、一定の評価をするためにはおおむね3か月に1回程度審議会を開催する必要があるのではないかということで現状考えてございます。この辺りは先生方の御都合もございますので、報告が上がってきたものについてなるべく早め、早めに部会の方を開催できるような形で今後考えていきたいと思っております。以上が感染症定期報告の関係でございます。
 続きまして資料3-8にまいります。こちらの方は生物由来製品とは少し違うテーマでございまして、冒頭資料1の関係でもお話がありました医薬品、医療用具の副作用あるいは不具合といった情報の取扱い、報告制度の関係でございます。現状、企業報告というものは薬事法第77条の4の2に明記されてございますが、今度の改正薬事法におきましては、この枠の中に書いてございますとおり第2項として新たに書き起こされた部分でございまして、医療関係者からの報告も薬事法の中に明文化されたということでございます。現状、安全対策課長通知で協力をお願いしているところでございますが、今般薬事法の中にその条文が明文化されたことに伴い若干変更点がございますので、そこの点を御紹介させていただきます。1ページの2でございますが、医療機器に関しては(2)がそれに該当します。「当該製品の返却の有無」というものが、従来我々が協力ベースでお願いしている現状では記載の欄がございませんでしたが、実際に医療用具が使った後でも形として残るということがございますので、実際に不具合が起こった情報と共にその製品が依然として医療機関に残っているのか、あるいは企業等に対して返却されたのかも併せて情報として頂ければと考えております。
 それから(3)でございますが、実際頂いております不具合情報に関しましては、我々がいろいろ安全対策を検討していく中でより詳細な情報が必要になってくる場合もございますので、当然製品を供給する企業としても考えるべき問題という観点で、企業に対する情報提供をすることも必要に応じてあり得るということ。それと当該情報に関しましては、我々の方で入手いたしますと情報公開法の適用を受ける形にもなりますので、国民に対しても広く情報が開示されてくるといった背景もございまして、実際報告者や個人のプライバシーに関する部分を除いて公開するような仕組みを考えてございます。それに関しまして、具体的に先生方にお配りする様式を4ページにお示ししておりますが、医療機器安全性情報報告書のフォーマットのイメージでございます。今申し上げた点に関しましては、欄外冒頭に○が二つございますが、その二つ目の○のところに公開のことについてあらかじめお断りをさせていただいて、こういったことを先生方にあらかじめ御承知いただいた上で報告を頂くという方向で現在考えているところでございます。
 それから返却の有無に関しては5ページになりますが、一番下の欄にチェックをしていただく形で、返却したあるいは返却していない、情報提供をしたあるいはしていないといった形で印を付けていただくということを考えております。以上が報告制度に関してでございます。
 最後に資料3-9に基づきまして、今御説明した我々の方に報告があった不具合情報の取扱いを少し御紹介させていただきます。改正薬事法に第77条の4の4という条文が新たに設けられまして、実際我々が報告を受けた不具合情報に関しまして、すべてを審議会の方に報告するという仕組みが設けられてございます。したがいまして、先ほど年間約6,000件という形で御紹介申し上げましたが、そのサマリーという形になろうかと思いますけれども、全体像というものを一通りこの審議会の方でも見ていただくという仕組みに今後なっていくということでございます。この辺りの具体的な運用に関しましては、また改めて考えていきたいと思っておりますが、2ページに実際どういう形で審議会の方に報告するかということで、具体的な報告の項目、内容というもののドラフト、案をお示ししております。ここに書かれたような情報を先生方に御紹介することにより、様々な専門的な御意見を頂ければと考えております。ちょっと長くなりましたが、改正薬事法の関係の資料は以上でございます。

○桜井部会長
 ありがとうございました。内容が非常に多岐にわたっておりますので、なかなか理解が難しいですが、何か御意見、御質問ございますか。どうぞ。

○星委員
 一つお伺いしたいのですが、今の3-9に書いてある部分と3-8との関係がよく分からないのです。報告をしたことについては、公開することがあるとして出所やプライバシーは公開しないと書いてあって、3ー9の2ページには審議会には報告元や患者の性別、年齢を出すと書いてあります。この審議会は公開で行われるわけですが、そうするとこれは自動的に公開されるのではないですか。それはどういうふうに整理して考えればよいでしょうか。

○事務局
 資料3-9の方では、今最後に御紹介した2ページの(1)〜(7)のところで、審議会の方に対して説明する項目ということで掲げさせていただいておりますが、この辺りは資料3-8との関係でいえばあくまで当然整合はとれなければいけない部分であります。資料3-8の取扱いが決まる段階、あるいは報告すべき内容についてあらかじめこういう範囲で報告する、審議会に対しては示すべきだということで整理がされてくる中で整合をとっていきたいと思います。仮に両者が食い違って、どうしても審議会の中では報告元等が必要であるという話になった場合には、その議題を議論する部分に関してその会議全体ということではなくて、部分的な非公開という扱いも場合によってはあろうかと思いますが、今後の検討課題だと思います。

○星委員
 それともう一つ、情報公開法に基づく情報公開の対象というのは、役所がしたいとかしたくないということとは無縁でありますね。別のところが出せとか出す、出さないのが妥当だと認めるのですが、その辺りはどういうふうに整理をされているのですか。

○事務局
 情報公開法に対する対応に関しましては、行政機関が保有する文書であれば原則すべてのものが公開の対象になります。ただ、個人情報等あるいは企業秘密、知的財産に絡むような情報は不開示にしてもよいという条文がございます。そういった中で、我々の意思にかかわらず、求めがあれば公開していくというスタンスでございます。 その一方で、「公開」という言葉と別な言い方をさせていただければ、公表という形で我々が能動的にいろいろ注意喚起を図る観点で対外的にお示しするようなケースも多々ございます。先ほどの安全性情報のようなものも一つだと思いますが、そういう流れの中で我々が頂いた副作用、あるいは不具合の情報というものも審議会の方で御議論いただくということで、一つ安全対策のレベルアップを図るとともに、そういった情報はあくまでも報告された内容として世の中に対してお示しすることも必要ではないかという中で、こういった審議会への報告、あるいはその後の公表ということも考えてございます。この辺りは、実際参議院の審議の中でも御議論いただいたところでありまして、国会の場で修正が入ってこういう取扱いになっている状況でございます。

○星委員
 最後のところ、国会での修正はどちらの方向の修正ですか。

○事務局
 資料3-9にお示ししたような制度を新たに国会の場で御議論いただいて、そういう取扱いになったということでございます。その経緯を御説明する際には資料3-1を御覧いただきたいのですが、「国会修正の概要(参議院)」という項が1ページにございます。この中のIでございますけれども、「薬事・食品衛生審議会の機能強化」ということで副作用を代表例としていますが、医療機器の場合であれば当然不具合という形になりまして、不具合報告等の状況の報告というものが修正の一つとして参議院でかかっているという状況でございます。

○桜井部会長
 ほかに何かございますか。

○土屋(文)委員
 二点ございまして、一つはこの添付文書の表記方法でございますが、20年間記録を保存しなさいということが確かに添付文書上に記載されるのが分かったのでありますが、正直申しまして添付文書というのはなかなか見ているようで見ていないようなところがございます。特にこの20年間というのは、カルテの保存期間よりもずっと長いわけでございますので、そういうところはもっと目立つような表記方法をされたら…。要するに気を付けなければいけない点というのは、やはり医薬品の添付文書は重要なことを1ページ目に持ってくるという話ですが、逆に言うと1ページ目に集められてしまうと2ページ目以降は見ないという傾向がかえって出てきたりとか、現実問題としてなかなか難しいものがございます。ただ、この記録の保存については、私は何でも赤枠にするのがいいとは思いませんが、やはり多少目立つような表記方法、字体を変えるといった注意喚起をしていくことが必要なのかということがございます。それから一方で、先ほどからありましたように、医薬品も医療用具も医療機関からの報告が少ないということについて言えば、今回このような医療機関からの報告をある程度一定で出すわけですが、そういうことは添付文書上に何か注意として記載されるのでしょうか。それとも全くそういうことはされずに、政府だからということでほかのものでやるのかと。
 実は医薬品ですと、PTP包装を誤飲させないように指導することすら添付文書に記載されていたりするので、それに比べるとこういう報告をきちんと上げましょうということは、我々が学生に教えたりするときにもきちんと整理としてあるのだということを添付文書を見ながら教育していくことも可能ではないか、そういうことはないのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。

○事務局
 今御指摘いただいた点に関しまして、不具合の報告というものは基本的に医療関係者の方々から我々の方に頂くものということが、今回法律上明文化されてございます。その関連で申し上げますと、添付文書というものの位置付けといたしましては、企業の方が作成するものであって、企業から医療関係者に対する情報提供をする内容が一応一通り書かれてあるという位置付けでございます。ですから、むしろそういった添付文書の中には、企業サイドから見れば何か不具合が起こった場合には我々の方に速やかに教えてくれということがまた書かれていてもいいのではないかと考えます。なぜかと申し上げれば、もう既に現行の薬事法の中で第77条の4というものがありまして、その中で企業の方は医療関係者からの情報収集を徹底的にやるということが書かれております。また、医療関係者の方は企業が収集活動に関して協力するということが書かれておりますので、そういった観点から考えますと、我々の方に直接頂くよりはむしろ企業、あるいは医療機関の関係の内容というものがなじむのかもしれません。この辺りは今後ちょっと考えさせていただきたいと思います。
 一方、我々に対する報告というものもPRしていかなければならないというのは御指摘のとおりでございまして、これは従来どおりのポスターにとどまらず、今回改正薬事法の中で15年度中の施行という内容に関しましては、医療関係者に対する内容を全体で分かりやすくPRできるような仕組みというものも施行よりも前の段階で考えているところでございますので、またこの辺りは改めてアナウンスできるのではないかと思っております。

○佐伯委員
 資料3-6についてちょっとお伺いします。この2枚目の最後の2行なのですが、「伝達することに係るリスク/ベネフィットを考慮し、医師・薬剤師等の裁量の下で、適切な手段(主に書面)で伝達するものとする」と書かれてあるのです。だれにとってのリスク・ベネフィットであるのかということと、こういうリスキーなものを使うよということは、やはり本当にインフォームド・コンセントとして患者さんにはこういう説明をしてやりますよという同意書も、文書で得なければならないのではないかという気はするのです。一般の治験などのところでそのくらいのものであっても、かなりしっかりした手順を踏んでいるにもかかわらず、これだけ何かいろいろリスクがある可能性が否定できないというものについて、伝達という一方的な言い方でいいのだろうかといろいろ疑問がわいてきまして、ここの2行の意味を私に分かるように御説明いただけますでしょうか。

○事務局
 この資料の表現ぶりがちょっと不適切な形なので誤解を与えたのかもしれませんが、基本的には伝達するといいましても医師、あるいは薬剤師といった医療関係者の方から見れば説明ということになりますし、それを聴く患者のサイドから見ればそれに対して十分理解をするということも併せて必要なので、別な資料の箇所で御説明したとおりでございます。ですから、一方的な伝達ということにとどまっているというものではございません。

○佐伯委員
 「裁量の下で」というのはどういう意味なのでしょうか。

○事務局
 裁量がどこに係るかということでありますが、手段に関して必ずしも文書でなければならないわけではないという中で、方法に関してはいろいろなやり方が先生方のサイド、あるいは患者さんの中で行われるであろうという意味合いでございます。

○佐伯委員
 その文書でないというケースが、つまり口で何か説明されたと、患者さんの方としてはよく分かっていないということでよろしいのでしょうか。これはかなり難しい問題で、20年間保存しておかねばならないようなものであるならば、むしろ患者さんもそのものの記録も共有しておくべきではないかという気がするのですけれども。

○安全対策課長
 患者の皆様への情報提供ということでございますが、基本的にはこれから患者さんになされる医療行為あるいは薬物療法、用具の使用などについてその目的や効果、リスクなどを分かりやすく医療従事者から御説明いただくと。いったん患者さんの中で理解をして、私はこの治療法を受けて病気と闘いますということでそのプロセスが進んでいく、そのための方法として様々なものが考えられる、特に特定生物由来製品についてはかくかくしかじかということでの骨格だと思います。この表現ぶりについては、今担当から申し上げましたとおり、もう少し分かりやすくする必要性があると思います。例えば「主に書面」と書いてある部分がありますが、これは個別の患者さんA、あるいは患者さんBに説明するに当たって、その方々の特性とかそれから病気の背景などをいろいろ考えた上で、そんなことはないと思いますが、例えば仮に書面だけ渡して用足りるということでないように、要するに実といいますか、いったん患者さんのお考えで消化をして合意というか、納得して医療に参加していただくという表現としてのこういった書きぶりになっているものと御理解いただければと思います。

○桜井部会長
 佐伯先生としては、どういう表現になれば適切だと思われますか。

○佐伯委員
 もちろん医学がこれだけ長寿社会を作ってくださったことに非常に感謝申し上げているのですが、その中でもやはりいろいろ分かってきて、こういう危ないものもあるということを踏まえた上で自分で選択していくことになっていくと思うのですが、それでは自分がその時点で何を選択したかというのはやはり患者さんも持っていた方がいいだろうと思うのです。分かった上で納得して承諾するということだと思いますので、それが書面で残っていて、かつ自分が分からないところは説明してもらって理解できるという二段構えが補償されているべきではないかと思います。

○安全対策課長
 また、佐伯先生の御意見とちょっと関係いたしまして、幾つかの関連するインフォームド・コンセントとの位置付けを申し上げますと、例えば臨床試験段階、医療用具にしても医薬品にしても、承認前に必ず臨床試験が行われるわけでございますが、この場合は対象となるものがどういう働きをするかよく分からないという部分もありまして、安全性がいわば未確認の状況であるといった部分についてはきちんと国際的にもGCPの文書で御同意を頂くと。もちろん、きちんとした説明も必要なわけでございますが、併わせてということになります。
 一方、この特定生物由来製品というものは承認後のものでございまして、厳しい審査に基づいて安全性、有効性についても確認は行われているわけで、念のためにこういったプロセスを採ってというところがございます。したがいまして、多少そういった面で性格あるいは深さが若干異なる部分があるということも併せて御説明申し上げたいと思います。

○星委員
 そういうことなのでしょうが、私がもう一つ聞きたいのは、20年というのはどこからどうやって出てきたお話なのかというのをまず短い答えでお願いしたいのですが。

○事務局
 実際、この記録の保存に関しましては、先ほどもちょっと触れましたが、生物由来製品臨時部会の方で議論されてきた内容でございまして、現在考え得る過去のいろいろな事例、HIVあるいはクロイツフェルト・ヤコブといった中で潜在的な部分ということで、どのくらい後になってから出てくるかといったことを含めて勘案した中で設定されたと聞いてございます。

○星委員
 これは法律には書いていないのですよね。それはいいのですけれども、20年間記録をすることには私も異存はございませんが、先ほど土屋委員が御発言されたように、ただ現実にカルテの保存期間というのは医療法の中で5年と決まっています。そして20年、30年とっておくべきではないかというお話もございますが、そういう指摘も受けるのかもしれませんけれども、今法律で決まっているのは5年間です。それを超えて20年間保存させるということですから、それなりの考え方をきちんと明示する必要があるし、なるべく医療機関あるいは現場が混乱しないような方策を採ってもらわないとうまくいかないだろうなと。大きな病院で長いこととっておけるところは別ですが、現実に第四ルートを調べたときには廃院して分からない、あるいは5年間ですから出てこないという答えがあったわけで、その反省を踏まえてこの制度をつくったのだとすれば、草の根分けても最後の一人までということが可能かどうかは別として、少なくとも今考え得る対応策を採る。そして、その理解が現場から得られる制度、あるいはその支援策を採るべきだろうと思いますので、添付文書に「20年」と書いたらそれっきりですと、あとは書いてあったのだと、とっていないのは医療機関のせいだと言われても、こちらとすればそんなことは知らないと。医療法には「5年」と書いてあるし、どこにも「20年」と書いていない、それほど添付文書など見ているかなという話にならないように、是非ともその支援策を採っていただきたい。
 例えばですが、この記録をカルテに貼り付けてしまえばそのカルテを20年とっておかなければいけないですね。そうすると、どれに貼ってあるか分からなければ20年すべて とらなければいけないですね。多分土屋委員もお感じだろうと思いますが、現実的に言えば複写式にして1枚のカルテに貼ります。何なら1枚患者さんにお渡ししてもよろしいのでしょうが、あと1枚はその台帳を作ります。そして、その医療機関が例えばやめるとき、地区の医師会の会館にお預けするというところまでお考えいただいて、そして添付文書というよりは製品にそれが添付されるような、これは法律で書くような仕事ではないと思いますが、そういう理解とすればそういうことをして初めて現場からは協力なり現実に保存ということが行われる。つまり医療機関がさぼって保存しないのだということを私は申し上げて、それをだれかのせいにするつもりはありませんが、20年間記録を保存するというのは大変なことですし、途中でつぶれてしまう病院も…。今やいろいろあってどんどんつぶれている時代ですが、そういう時代であっても記録が保管される必要があるのだというお考えで20年とここで言うのであれば、そういう方策も是非とも一緒に考えてもらわないと。添付文書に「20年」と書いてあるから20年保存するということだけでは現場の理解は得られないし、結果とすれば患者さんあるいは医療機関、地域全体にとってもマイナスになるだろうと私は思います。

○事務局
 生物由来臨時部会の事務局でございます。ただいま星委員に御指摘いただいた点の、20年の記録の保存でございますが、まず現状から申しますと、血液製剤等については現在医療機関で10年間記録を保管していただくというガイドラインを作っておりまして、お願いをしているところでございます。これにつきましては、もともとカルテの保存期間5年という部分との解離がございまして、特別に血液製剤管理簿というものを各病院の方で御用意いただきまして、そこにシール等でその記録等を貼り付けて個別に管理していただいて、保管をしているというやり方を採っております。その20年というところでございますが、生物由来臨時部会の方でも医療関係者の方から非常に御指摘があった部分でございまして、今後医療機関においても実際廃業される方もいらっしゃいますし、そこの長期的な保管の確保というものをどのようにするかという御指摘がございました。
 事務局の方から御提案申し上げた話といたしましては、現在も医療法に基づく行政指導で医療機関が廃業する等の場合に、いわゆる自治体がカルテ等を引き取るという形の指導をしている状況がございます。これに合わせまして、こういった管理簿についても保健所や公共団体等に効果的に引き取っていただくような形の仕組みを併せて設けていこうということで、現在行政側の方でも検討しているところでございますので、そういった意味でできるだけ医療関係者の御懸念におこたえできるようにできればと考えております。以上です。

○桜井部会長
 どうぞ。

○澤委員
 保存期間の問題ですけれども、例えば私の知っている限りでは臓器のあつせんの記録は5年ということになっております。ですから、やはり長いのがいいとは私は思わないのですね。医療機関に対しては非常に負担になるわけでして、病歴の保存というのをある程度基準に考えていただかないと、それだけが別に保存というのは負担が大きくなります。例えば今は治験を行った病歴の保存は永久保存ということを大学ではしておりますが、それだけ抜き出して保存をしなければいけないというのは大変負担な問題でありますので、ただ長ければいいというのはちょっと無理が出てくるのではないかと思います。
 それから先ほど佐伯委員が御質問された説明の内容について、もっときちんと決めるべきではないかというお話について、一部は私にも理解できる部分があるのですが、臨床現場では説明内容のいろいろな面で説明義務違反という形でもし何かありますと医療事故の場合に関係してくると思います。すべてをきちんと決められてしまいますと、逆に医療機関としては困ることが出てくるのです。ある程度その趣旨というか、どういうふうにしなさいというくらいに決めておいていただく方が有り難いと医療機関側としては思うわけであります。何々を説明しなければいけない、何々をしなければいけないと…、ちょっと脱線してすみませんが、例えば私は角膜移植をした本人には余りシビアなことを手術の当日にはしません。場合によっては、最近の例では76歳の方でしたから心停止もあり得るという話を家族には分けてします。これはやはり個々の医療機関、また正に医師の裁量ではないかと思います。何でもかんでも国が説明の内容はこうですと、書式まで決められてしまうと余りにもやりにくいということがあると一言申し上げておきます。

○佐伯委員
 私はあくまでも患者の立場でありますので、今日申し上げておきたいのは、だれの安全を確保してくださるのかということなのですね。医療機関それぞれ努力していいお仕事をしていただくのはいいのですが、国民、患者さん一人一人の安全を確保していただくためにこのようないろいろな取組が行われているのだと思いますので、例えば保存が煩雑であるとか、規定されるとなかなかその場で応じにくいという…。御事情はあるかもしれませんが、患者さんが例えば小児のときにこういう治療を受けて実際に成人したときに子供を産む、そのくらいの年齢に達したときに自分が小さいころに受けた治療で何か生物由来のものがあったと。それがそのまま残っていて、また次の世代に伝わっていくかもしれない、いろいろな問題が出てくると思いますので、やはり今分からないものがあっての思いであると思いますので、やはり患者さんの方でも保存しておきたいと思いますし、是非将来の日本の人たちがどのような生活をするかという視点で考えていただきたいと感じました。

○桜井部会長
 どうぞ。

○小柳委員
 今情報管理の技術論で何年かというお話が進んでいると思うのですが、もう一つ生物材料の耐久性は血液製剤などはともかくとして、インプラントもありますので土屋先生のお話も是非聞いてみたいのですが、生物材料の耐久性という点から20年という数字が出てきたのか、そうであれば20年以上もっているインプラントもあるということは事実であります。それから今有名無実になっておりますトラッキングシステムも、人工弁や人工血管は110年か120年ですよね。とにかくほとんど人類として生きられない限界までフォローする、記録は残すということに一応なっているのです。ですから、生物材料が20年でよくて人工材料はという話でもないかなと思いますので、素朴な疑問ですが、お答えしていただければ大変勉強になります。

○山口委員
 先ほど事務局の方に説明していただいたのですが、生物由来製品部会で審議に参加しております立場からちょっと今のことについて発言します。この20年というのは、いわゆる感染症の中で投与されてから一番出現してくるであろうという年数を考えて設定されたものでありまして、この場合にメインのことは感染症リスクという観点でのみ審議しまして、それ以外の不具合という点についてはまた別の項目で考慮すると。これは感染症にのみ特化して審議を行ったという経緯がございます。したがいまして、その20年という点についても感染症の発症リスクという観点から20年と設定したというところがございます。これは事務局の方から説明していただいたのですが、海外の症例報告、要するに保存の期間というものも感染症の発症から見て同等のような、長いものあるいは短いものもございますが、EUあるいは米国などでは大体それくらいの保存期間が設定されていることも考慮に入れて審議したという経緯がございます。

○倉田委員
 今山口委員がおっしゃったように、感染症の問題からこの「生物由来製品」という言葉に関する議論がされてきたわけで、17年前にある特定の集団に使ったものがその後感染症の問題が起きたということがあります。それから現在まだ分からない、特にBSEの問題から来るものですが、これは非常に時間が掛かるわけですが、そういうことでこの20年というのが今言われたように、EUは今30年にしようとしていますし、50年と言っていた国もありますが、そこも譲って30年くらいにしてきた国もありますし、10年という国もあります。そういう流れの中で来て具体的な問題が起こったところから20年が一番近いといいますか、そういうことだと思います。それからこれはBSEの問題から来ますと、あれば数年したら必ず見つかるという時代が技術的な話で来るかもしれません。そうすると、この問題は5年になるかもしれないし、そういう意味で見えないところがたくさんあるということですね。
 そういうことで、検出技術と実際の牛の中での感染の問題と、それが人にどのような格好で入ってきてどのような格好で発症していくかというのが全く見えない、そういうところだと思います。ですから、こういう点は気を付けておこうと。まして、人のものを知らずに集めてクロイツフェルト・ヤコブ病の、健康な人から集めたわけですが、実際にはそこから事が起こったということがあって、その中に潜在患者がいたということですね。そういう材料が紛れ込んでいたということで、それが入っていたものが例えば100人中99人は健全な人であっても、残り1名の中に潜在的な人がいたらみんな健康に見えていてもそういう問題が発生するということですね。そこから来ている時間的なものであって、小柳先生がおっしゃられた、確かに100年とか50年という話の不具合を生ずる、その製品の人工的な質の問題とは全く違うということです。

○桜井部会長
 いかがでしょうか。                  

○小柳委員
 建前論を言うつもりもないのですが、体の中に入っているものは入っている限り現役の人工材料ないし人工臓器でありまして、その間はやはり医学的にも倫理的も責任があるというのはごく当たり前の素朴な議論だと思うのです。そこを多少はしょって、こういう格好にするのかどうかを是非お伺いしたいということであります。今大変大事な議論をしてきていると思っておりまして、感染症のお話はよく分かりました。そのときは多少視点がディベートしておられたのかなと思うのですが、生体材料、生物材料、それからインプラントも含めて患者さんにとっての不利益は耐久性のことも当然ありますので、それをお考えでなかったのかなという感じはします。

○山口委員
 ちょっと違う話ではあったのですが、副作用の点についてもやはり「リスク」という表現の中に含めるべきではないかという最初の方の議論がございました。ただ、副作用といったものについてはまた別途議論する場がございまして、そこでやはり きちんと議論すべきだと。この場合には、要するにリスクの中の感染症のみに特化して議論をしてほしいという要請がございまして、その感染症についてのみの議論をその場ではしたと。ただ、今おっしゃられたように、不具合といった面については必要ないのではなくて、それは別のところで議論しようという分け方の問題でございまして、その点についてはやはりこの部会なりそういうところで議論していくべき問題であろうと私は思います。

○小柳委員
 もし議論がまだとても成熟しないということでありますと、このような大事な問題について何か方向性をはっきり出すというのは非常に難しいので、そういうときのうまいやり方は、この分野の極めてオーソライズされた会から、この分野については非常に不確かではあるが方向性は決めたということで、倫理宣言のようなものを作られた方がいいかも分かりません。将来担保するためにそういうやり方はあるかと思います。

○安全対策課長
 小柳先生から御提示いただいた110年という話に象徴されるような、耐久性というか設計を含めた部分のお話だと思いますが、今直接110年といったものが、例えば承認のための物差しであるのか、それともいろいろなところで来たものなのかと。手元に持ち合わせておりませんので、問題を一度整理してまた改めてこの場でディスカッションいただく、御議論いただくということでお願いできればと思うのですが、いかがでしょうか。今回の生物由来製品についての趣旨は、今日申し上げたとおりです。

○星委員
 何年がいいのかというと、では全部とっておけという話に必ずなるのです。一生とっておけと、だれがとっておくのかと、だれが倉庫代払ってくれるのかという話になるわけですが、ある意味診療記録が5年というのは短いのではないかという議論がもちろんあります。そして、先ほど裁量の話がありましたが、病院が自分たちにとって必要で、かつ患者さんたちにとって必要だと思う記録は、5年たったからといって捨てましょうと捨てているものでもありません。したがいまして、これは今出された不確かな中だけでも、20年というのは法律に書かれている数字ではないまでも一つのメルクマールになると。そうすると、20年の間に次の議論が起こるかもしれない、そうすれば今の製品が20年後まで少なくともあるわけですから、20年以内にさあどうするのだと、5年で良かったという話もあるかもしれないし、やはりこれは一生とっておけという話になるのかもしれません。そこは今から何だか分からないけれどもすべて永年保存だということを議論するべきではないのではないかと私は思います。
 もう一点ですが、報告義務の話がありまして、医療機関からの報告義務もありますと書かれました。前の薬事法ではそれは努力規定であり、法律の中には書き込まれずに通知の中に入っていたと記憶しておりますが、今回正式に条文の中に書かれました。これは「努めなければならない」と書いてありますので努めるわけですが、今までですとメーカーに言ったからいいのだという発想がありました。つまりメーカーを通じてこの報告が行くのだから、何も直接私が報告する必要はないのだと。ただ、メーカーがだれだか分からない、あるいはメーカーがどうも信用できないというときに直接送るということはあったのかもしれません。ここで言うところの「報告」は、メーカーにも集めろと言っているからメーカーは一生懸命集めましょうと。そして、メーカーには報告しますね。同じものを厚生労働省にも報告しなければならないということを規定したものなのか、あるいはそうではないのか、そこはどういう理解をすればいいのでしょうか。複写にして2枚メーカーや厚生労働省に送れという話なのでしょうか。

○事務局
 お時間が迫っておりますので手短に回答いたしますが、先ほどの様式の中にもお示ししたとおり、我々の方に直接頂くことに関して、併せて企業の方に提供した場合はその旨チェックするような欄も設けておりますので、必ずどちらかでなければいけないというものではございません。正に条文に書いてございますとおり、必要な場合には厚生労働大臣の方に直接報告してくださいということですので、その辺りの御判断は先生方にお任せいただくことになると思います。

○桜井部会長
 よろしゅうございますか。どうぞ。

○土屋(利)委員
 医療用具のことについてですが、医療用具というのはリスクの高いものから低いものまでありまして、埋植物というのはリスクに基づいたクラス分類は3〜4です。先生方も御存じのように、中でも非常に命にかかわるものはリスクがクラス4という分類に区分されます。クラス4の中にはトラッキングシステムというものを導入し、使用後の追跡調査をするシステムが導入されております。ですから、先ほど生物学的な感染に関するリスクと、医療用具のリスクを考慮して導入されたトラッキングシステムなど、二種の追跡あるいは管理の方法というものが組み立てられているのが今のシステムだと考えています。

○桜井部会長
 ほかはよろしいでしょうか。資料の保存などにしても、結局医療費、コストの問題が絡まってくるので、私はよく安全のときに申し上げるのですが、安全はただではないのだと、金が掛かるのだと。そういうコンセンサスが国民全体に得られないと、安くて安全にしろといっても無理な話でないものねだりになってしまうので、やはり安全はコストが掛かるのだということは致し方ないことなのです。その上で努力をするということだろうと思います。
 今日はもう時間が過ぎましたのであれですが、私としてはこの医療法の改正の中で一つはこの添付文書というものが承認のときの一環として承認されるものやら何やら、要するに物は物で承認、添付文書はまた別だというのか、あるいは添付文書絡みで承認が認められるか認められないという意味なのか、その辺を実は伺いたかったのです。やはり添付文書というのは、情報の提供ということで重要な問題だと思いますので、物が非常に優れていても添付文書が非常に不適切ならばやはり認められないという方が、私の個人的見解では正しいのではないかと思うのです。
 それからもう一つは、実は資料3-2の中で医療機関が行う臨床研究にかかわるということ、いわゆる医師主導型の治験と申されておりますが、これは非常に重要な問題だと私は思います。今までは企業が責任を負って治験をしていたのが、今度は医師主導でもできると20ページの「VII その他」に「1 医療機関が行う臨床研究に係る薬事法上の適用関係の明確化」という項目があるのですが、実はこれは医者にとっても恐らく企業にとっても割合大事な問題だろうと思うのです。時間が大分過ぎて皆さんに御迷惑だと思うのでこういう議論はあれなのですが、添付文書の問題はどうなのでしょうか。もし簡単にお答えできれば、できなければまた…。

○事務局
 審査管理課でございます。医薬品も医療用具もでございますが、承認審査をする際に情報というのが大変重要な役割を果たしてございまして、言ってみれば物の有効性、安全性という性質だけではなくて、それが医療においてどういう形で注意をして使用されるべきかを、やはりそういった環境を見ながら承認審査というものはされてくると。その一つの表れが添付文書ということでございまして、添付文書の中に書かれる注意情報といったものをセットにしながら当然承認審査されていきます。また、その承認審査の段階でも、実際これとはまた別に医薬品の承認に関する薬事・食品衛生審議会の部会がございますが、その中ではそういった添付文書の内容についても併せて御審議いただいた上で承認させていただいているというものでございます。ただ、もちろん市販後にいろいろな不具合や副作用といったものが起きたり、そういった情報提供の内容は逐次更新されていくべきものであるという種類のものでございますので、そこを御理解いただければと思っております。

○桜井部会長
 治験の問題は今は無理ですね。そのほか全般を通して何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。

○倉田委員
 条文は条文で非常に良い文章を書かれていると思うのですが、その下の趣旨や情報提供のところに日本語の非常に悪い点が出てくる、主語がないので分かりにくい、先ほど佐伯先生が言われたのは正にそれだと思うのです。医師あるいは医療関係者はこうすべきであると、それから患者はこういうことに関してきちんと医療関係者に正すべきだとか、業者はこうしろという…、主語を一番先に書かれると多分非常に理解しやすい。私も慣れてきてすいすい読めますが、これは最初非常に困りました。日本語の文章は大体日本語になっていませんで、主語がないですから、主語と述語をきちんと置いていただけると一般の人は非常に分かりやすい。条文以外のところは是非そういう説明を付けていただけるといいですね。

○桜井部会長
 では国語の勉強をもう一回なさっていただくと。ほかはよろしゅうございますか。不手際で時間が大分過ぎまして、申し訳ありません。どうもありがとうございました。

( 了 )

連絡先:医薬食品局 安全対策課 医療機器情報専門官 佐々木(内線2751)

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