(1) |
WHO飲料水水質ガイドライン、IPCS環境保健クライテリア等の国際的な評価や検討時点において入手可能な文献情報等により、人の暴露データや動物を用いた各種毒性試験(短期毒性試験、長期毒性試験、生殖・発生毒性試験、変異原性試験、発がん性試験等)等の毒性情報を収集・整理し、毒性の評価を行った。なお、評価に当たっては、暴露源(暴露経路)を考慮した。
(閾値があると考えられる化学物質) |
(2) |
毒性に関する閾値(それ以下の暴露量では当該化学物質による悪影響が発現しないと考えられる値)があると考えられる化学物質については、当該物質の毒性に関する各種の知見から動物又は人に対して影響を起こさない最大の量(最大無毒性量、NOAEL)を求め、これを不確実係数で除することにより、耐容1日摂取量(TDI)を求めた。ただし、NOAELが求められない場合には、これに代えて最小毒性量(LOAEL)を用いることとした。
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(3) |
不確実係数については、種内差及び種間差に対して100を用いることとし、
(1) |
短期の毒性試験を用いてNOAELを求めた場合、 |
(2) |
NOAELによらず最小毒性量(LOAEL)を用いた場合、 |
(3) |
NOAELの根拠となった毒性が重篤な場合、 |
(4) |
毒性試験の質が不十分な場合 |
などの場合には、それぞれ最大10の不確実係数を追加することとした。また、非遺伝子障害性の発がん性の場合、発がん性を考慮し、不確実係数10を追加することを基本とした。
(閾値がないと考えられる化学物質) |
(4) |
遺伝子障害性物質による発がん性を有する等毒性に関する閾値がないと考えられる化学物質については、当該物質の摂取による生涯を通じたリスク増分が10-5となるリスクレベルをもって上記のTDIに相当する値(ここでは仮に「VSD」という。)を求めた。また、外挿法としては、線形多段外挿法を基本として用いた。
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(5) |
なお、閾値の有無の検討に当たっては、国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価を基本とし、米国環境保護庁(USEPA)等その他の発がん性評価の結果も参考とした。
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(6) |
また、内分泌かく乱化学物質については、哺乳類、特に人への低用量域での健康影響に関しては現在のところ評価は確定しておらず、今後の研究に待たなければならない。従って、現時点においては、この観点からの評価は見送ることとした。 |
色、濁り、においなど生活利用上障害の生ずるおそれのある項目については、水道水の性状として基本的に必要とされる項目を選定し、障害を生ずる濃度レベルを元に評価を行い、評価値を設定した。