03/01/29 最終回保健医療技術情報普及支援検討会議事録            最終回保健医療技術情報普及支援検討会 ○日時 平成15年1月29日(水)10:00〜10:40 ○場所 経済産業省別館8階 846会議室 ○議事 1)診療ガイドラインのデータベース化について     2)厚生労働省のガイドライン作成支援の現状について 【武末補佐】  ただいまから第8回保健医療技術情報普及支援検討会を開催させていただきます。  最初に、本検討会は公開形式で進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。特 に異論がございませんので、公開の形で進めさせていただきます。  なお、報道陣の取材、写真撮影がございますので、しばらく御了承ください。  それでは、最初に関医療技術情報推進室長よりご挨拶をさせていただきます。 【関室長】  医療技術情報推進室長の関でございます。本日はご多忙の中お集まりいただき、あり がとうございます。会議の冒頭に当たりまして、簡単にごあいさつ申し上げたいと存じ ます。  以前のこの保健医療技術情報普及支援検討会におきまして、EBMの考え方に基づい た医学情報のデータベースの構築、あるいはそれを基にした医療情報提供を行う主体と してどこがよろしいかという議論をしまして、公正中立な立場にある公益法人というこ とで財団法人日本医療機能評価機構がふさわしいだろうということを、かなり前のこと になりますけれども、この委員会でご議論いただきました。  それを受け、医療機能評価機構の側でも、機構のそもそもの目的が医療施設の機能を 中立的な立場で評価するということと合わせまして、その改善を支援するという財団で ございますので、まさに診療をサポートする情報提供事業ということに取り組んでいく こともふさわしいのではないかということで、医療機能評価機構の側でも調査研究的な 取り組みの一環といたしまして、このEBMの考え方に基づく情報事業の準備を進めて こられたわけでございます。  そうした蓄積を踏まえまして、厚生労働省といたしましてもこれまで厚生労働科学研 究費を活用して診療ガイドラインをつくってこられた多くの研究班の方々などが、機構 がこれから準備をしていこうという作業に協力いただけるよう、依頼するといったこと をしてきたところでございます。  本日は、そうした協議や調整がある程度のところまで進んできたということで、その 状況を御報告することと合わせまして、今後におきましてはこの件につきましての実質 的な検討や準備の場が医療機能評価機構の方に移ってまいるという状況かと認識してお り、そうした状況を踏まえての、本日のこの検討会の開催ということでございます。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。 【武末補佐】  本日の委員ですが、櫻井委員、福井委員、矢崎委員が本日は欠席との御連絡をいただ いております。  それでは、高久座長に以降の進行の方をどうぞよろしくお願いいたします。 【高久座長】  今日が恐らく最後になると思いますが、本日はお忙しい中お集まりいただきましてあ りがとうございました。  事務局から、まず資料の確認をよろしくお願いします。 【武末補佐】  本日の資料はまず表紙、「第8回保健医療技術情報普及支援検討会議事次第」という 紙がございます。  1枚めくっていただきまして、委員名簿がございます。  また更に1枚めくっていただきますと、右肩に資料1と書いてございます「各診療ガ イドライン研究班との討議において提起された主な論点」という紙が2枚ございます。  次に、右肩に資料2と書いてございます「厚生労働省のガイドライン作成支援の現 状」という紙が1枚でございます。  最後になりますが、右肩に資料3と書いてございます「EBM普及推進公開討論会  根拠に基づく医療のあるべき姿」の御案内の紙が1枚ございます。  資料の方は以上となっております。 【高久座長】  お手元に資料があると思いますが、それでは事務局の方から今までの検討会の経緯に ついて説明していただけますか。 【武末補佐】  実は、検討会は第8回となってございます。6回、7回の検討会は平成14年度から財 団法人日本医療機能評価機構においてEBM医療情報サービス事業の準備作業を行うこ ととなったことを踏まえた事務的な打合せなどで、作業状況などの報告が主なものでし たので、非公開形式で行ってまいりました。そういう経緯でございます。 【高久座長】  今、御案内のとおり6回目、7回目は医療機能評価機構からの御報告で、今日は第8 回目ということです。早速、本日の議題に入らせていただきます。  議題の1が「診療ガイドラインのデータベース化について」、議題の2が「厚生労働 省のガイドライン作成支援の現状について」ということですが、この2つについて事務 局の方から説明をお願いします。 【武末補佐】  では、右肩の資料の1に基づきまして「診療ガイドラインのデータベース化について 」ということを御説明させていただきます。  この資料は各診療ガイドライン研究班との討議において提起された論点及び一部過去 のこの検討会で提起された論点をまとめたものでございます。  まず「診療ガイドラインについて」でございますが、診療ガイドラインと専門家のエ ビデンス集とでは目的と意義が異なるのではないかとか、作成過程の透明性と説明責任 が必要であるというような指摘がございました。  「診療ガイドラインの電子化・データベース化について」は、特に紙媒体ではできな い医療情報提供の手法を活用することが必要であるとか、ガイドラインの基となった参 考文献のデータベース化も必要。  また、データベース化の際の問題点としまして、電子化でガイドラインの内容が変わ らないように留意してほしいというようなお話がございました。  「診療ガイドライン等の著作権について」は、資料3に記載されているようなことが 特に論点として挙げられております。  次のページにまいりまして、日本医療機能評価機構のEBM推進事業についてでござ いますが、対象は国民・臨床医・専門医のいずれなのかというようなこと。また、最新 の科学的知見、文献を選定してデータベースに加えていくような事業も行うのかという ようなことがございます。  更に「診療ガイドラインの選択や評価について」でございますが、データベース化す る際、診療ガイドラインはどのようにして決めるのか、診療ガイドラインの作成手法に ついてどのような決まりに基づいて行うのかというような御質問がございました。  更に最後になりますが、「診療ガイドラインの改訂について」は今後各学会が診療ガ イドラインの改訂を行った際、その成果物を日本医療機能評価機構のデータベースに取 り入れる場合の調整や手続をどのようにしていくのか。こういった御定義、御提案がご ざいました。診療ガイドラインのデータベース化については以上でございます。  引き続き、厚生労働省によるガイドライン作成支援の現状の方もまとめて説明させて いただきます。1枚めくっていただきまして、右肩に資料2と書いてございます「厚生 労働省のガイドライン作成支援の現状」という紙がございますが、そこに今、厚生労働 科学研究費で作成支援している診療ガイドラインの疾患一覧表と主任研究者を一覧にし てございます。今のところ、15年度までに完成予定の合計20疾患がございます。これに 対して、今後の方針といたしましてその新たなガイドラインの作成だけでなく、完成し たガイドラインに対する評価など、既存のガイドラインの充実に取り組むことが必要で ないかという問題意識も持っております。  ご参考までに、下の方にこの20疾患で受診される患者さんのどのくらいをカバーして いるかを平成11年度の患者調査を基に調べてみましたところ、粗々の数字ではございま すけれども、外来の26.5%、入院の31.6%の患者さんをカバーしているというような現 状でございます。事務局からの説明は、以上でございます。 【高久座長】  どうもありがとうございました。議題の1、資料の1、いずれもいろいろな問題点も 含んでいると思いますが、これについて委員の皆様方から御質問あるいは御意見をお伺 いしたいと思います。  なお、日本医療機能評価機構の取り組みにつきましては、この後、議題の3として山 口委員から御説明いただきますが、必要に応じて機構の役割などについても資料1で問 題のある点については山口委員の方から御説明いただきたいと思います。  山口先生、データベースの事業の主な対象というとやはり国民と臨床医と専門医の3 つに分けるわけですね。 【山口委員】  その3者を別々にということで考えております。 【高久座長】  今できているのは主に専門医ですか。臨床医と両方ですね。 【山口委員】  一般臨床家と専門と、一部国民ということでございます。 【高久座長】  ガイドラインによって少し違うと思います。それから、当然ガイドラインのリファイ ンメントといいますか、もう少し統一化して形を整えるかということも、評価機構で やっていただけるわけですね。 【山口委員】  はい、そうです。 【高久座長】  他にどなたかございますか。  もう一つ、データベース化する診療ガイドラインをどのようにして決めるのかという ことについて、何か御意見ありますか。今は20の疾患が決まっているわけですね。  開原先生、このガイドラインができて実際に使われるようになると、いろいろな学会 が必要に応じて自分でもつくるようになるでしょうね。 【開原委員】  私は、国がお金を出さないとガイドラインをつくらないというのはよくないと思いま す。それから、国のお金を出したものだけが特別なステータスを持ったガイドラインで あるというふうに考えられるのもよくないと思います。やはりガイドラインというのは 学会が自主的につくるのが本来の姿であって、この補助金、また研究費というのはそれ をスタートさせるきっかけとなったということです。ですから、あとは自主的につくら れていくべきではないかと思います。そういう意味では、学会がおつくりになった以上 はむしろ評価機構はある意味ではそれを評価して載せるか載せないかを決めるというこ とが良いのではないかと思っております。 【高久座長】  そうですね。学会によっては専門医のためだけのものをつくる場合もありますし、あ るいは一般臨床医、国民のためのガイドラインをつくる。これは学会の方針によるので しょうね。しかし、リコメンドはできると思います。評価機構の方からでも。そのガイ ドラインを評価機構のデータベースに載せるか載せないかは機構の方で決めるというこ とになりますね。 【開原委員】  それから、この20以外にも実は学会で既に自主的におつくりになったガイドラインが あるわけですね。  今の目で見るとトレンディなガイドラインかどうかは別として、例えば私の知ってい るものでは骨粗鬆症のガイドラインとか、喘息も国の補助金を受ける前に既におつくり になったものがあったし、胃がんなどもあるわけです。そういうものもデータベースに は含めて、参照することもエンカレッジしていく方が良いのではないかという気がいた します。 【高久座長】  そうですね。循環器でも急性心筋梗塞ができていますけれども、実際には心不全など は循環器の分野としてはかなり重要なんじゃないですかね。それで、学会でつくってそ れを機構が採用した場合の著作権の問題というのは、どうなるのでしょうか。 【開原委員】  やはり著作権はあくまでも学会にあって、機構はそれをいわば仲介をしたり、それか ら評価をするということは当然あって良いと思うのですが、機構自体が自分で変更する ということはないと思います。 【高久座長】  ただ、最新の科学的知見の文献を選定してデータベースに加えていくということは機 構が行うのでしょう。その事は機構が採用した診療ガイドラインに関しても同じです ね。それで、そのデータは学会から要望があれば提供することになりますね。学会も自 分たちが改訂するときには機構のデータベースが必要になるでしょう。  他に何かございますか。 【開原委員】  今のようなことからすると、結局、ガイドライン作成のためのガイドラインというの がやはり必要だと思います。 ですから、ガイドライン作成のためのガイドラインというのを今、緊急につくる必要が あって、それができると多分この辺の問題が全部非常にはっきりしてくるのではないか と思うので、それは機構の方でお作りになるのが私は良いのではないかという気がして います。 【高久座長】  そうですね。既に初期のころにできたガイドラインはかなり統一したフォーマットで したが、後の方になって研究班の形でつくったガイドラインは、体裁がばらばらという か、ガイドラインらしくないガイドラインもあるということですので、最初のころの高 血圧、あるいは糖尿病もそうですが、そういうものを例にしてガイドラインをつくるた めのガイドラインを機構の方で作っていただいて各学会に呼び掛けなければならないで すね。作られるときにはこういうフォーマットで作って欲しいということで。現在、日 本医学会に入っている学会は百近くありますが、その中で基礎医学の学会もありますか ら、臨床系の主な学会を含めればということですね。  他に何かございますか。 【関室長】  事務局から補足でございますが、ただ今の、ガイドラインを作るためのガイドライン ということについて、厚生労働科学研究費でガイドラインを作成したときには、その研 究班として作っていただくときには、この委員会の委員でもあります福井次矢先生たち に作っていただいた一つの手引きがございまして、それを参考にして作っていただいて きたという蓄積があります。  研究班の形でガイドラインを作成していただいた方々においては、そういうものを踏 まえて作っていただいていますが、そのようなことを始めて1年以上時間が経ってござ いますので、こうした経験の蓄積のようなことも踏まえて、フィードバックをいただい たりしながら、機構の場で、皆さんが意見を出し合いながらそういうルールも作って いったら良いのではないかと思っております。 【高久座長】  福井先生の作られたオリジナルがあるから、機構の方でそれに手を加えればいいわけ ですね。 【関室長】  それを発展させていくような形でできればと思っております。 【高久座長】  そうですね。だけど、早急につくる必要がありますね。よろしくお願いします。  他に何かございますか。 【葛西委員】  一般臨床医が、今度、ガイドラインを使うという観点から言いますと、今がその過渡 期であるという認識での意見なのですが、まずはデータベースの内容はたくさんあった 方が良いと思います。機構のEBM推進事業のデータベースにアクセスしても、そこに はかなり評価を経て出てきたガイドラインが数個しか載っていないということになる と、余りよろしくない。日常診療の現場からのいろいろな問題に毎日遭遇している一般 臨床医が使うという観点からは、いろいろな問題についてのガイドラインが載っている 方が良いと思います。  ですけれども、今お話のようにガイドラインも質がまちまちである。ですから、機構 の方にお願いしたいのは、我々がそれにアクセスしたときに、そのガイドラインは例え ば、どこの学会で作られていて、何年までに発表された研究のエビデンスを参考にして 作られているとかということが明記されていることです。当然学会で作った良いガイド ラインでも年とともに古くなりますので、いつまでのデータとかエビデンスを使ってい るのかということが出ていることが必要です。あるいは、このエビデンスはそれほどE BMに基づいていないとか、あるいはこれはこのレベルであるとか、我々がアクセスす るときにそれを見るときの参考になるインデックスがあれば良いのではないかと思いま す。  そして、一方では過渡期ですから一般臨床医がガイドラインを使った診療ができるよ うになる教育をしていく必要があると思っており、これもやはり国でやらなければなら ない規模の事業であると思います。それで、私たちのところで試しに英国の家庭医学会 の手法に基づいたオーディットというやり方ですけれども、あるガイドラインを自分た ちでつくってみました。これはいろいろな既存のガイドラインを参考にしましたけれど も、そして自分たちの診療がどのようになっているのかというのを評価したのです。こ の時の経験から言いましても、やはり一つのガイドラインではとても足りないのです。 いろいろなガイドラインを見て使いたいですし、データベースもそれに対応して大きな ものがあったらいいなというのが、一般臨床医としての意見でございます。 【高久座長】  もちろん機構から出されるガイドライン以外にいろいろなガイドラインを使う人がい るでしょうね。外国のも含めて。それは各臨床医のキャパシティによるものでしょう が。 【開原委員】  今のことに関係して、これはEBMという概念から少し逸脱するかもしれませんが、 葛西先生が言われた過渡期という意味では、過去にこういうEBMという話ではなくて 作られたガイドラインがあります。例えば難病の診断のためのガイドラインとか、それ から川崎病の診断のガイドラインとか、あれはそれなりに臨床医にとってはありがた かったと思うのですが。  ですから、私はやはり本当の実用性ということから考えれば、そういう過去につくら れても現実に使われてきた、主として診断のガイドラインですけれども、そういうもの も集めて機構の方で提供されるのもいいのではないかなという感じがします。ただし、 これはいわゆるEBMという考え方が出てくる前のものですということはきちんと断っ た上でですね。 【高久座長】  その基になるエビデンスのデータもないわけですね。 【開原委員】  EBMとは言わないけれども、しかし、それなりに皆さんはいろいろな文献を調べて そういう診断のガイドラインを作られたと思います。 【山口委員】  今の議論ですけれども、我々は、日本医学会に所属している約100の学会にアンケー ト調査を実施いたしまして、既に開原先生がおっしゃったように研究費に基づかなくて 完成しているガイドラインは80位あるようです。もしかしたらもっとあるのかもしれま せんが、その辺は現在、情報を集めているところなのですが、是非、データベースへ乗 せるガイドラインの範囲に含めたいというふうに考えております。 【高久座長】  他によろしいでしょうか。  それでは、次に議題の3の「日本医療機能評価機構における取り組みについて」、山 口先生の方からよろしくお願いします。 【山口委員】  これまでのご説明の繰り返しになる点も幾つかございますが、改めて今日までの事業 の進捗状況を御報告したいと思います。  1つは、今回のEBM医療情報サービス事業に対する要望とか御意見とかというふう なものを、広くEBMの専門の先生あるいはこれから使っていただく先生方から御意見 を聞くということで、EBM研究フォーラムというものを昨年の10月に実施いたしまし た。  それからホームページを開設しまして、その中でも自由に御意見をいただけるような インターネット上の仕組みを設けております。まだ残念ながら御意見はいただいており ませんが、そういう仕組みもございます。  それから、具体的に一般の国民の方、患者さん、それから一般の臨床の先生、それか ら専門家という3つの対象の利用者を想定しておりますが、まず第1番目に一般臨床家 を対象にしまして臨床の先生方が今回の事業に対してどういうご要望、あるいはニーズ をお持ちかというふうな調査をいたしました。現在、集計中でありまして、近日中に最 終集計を出す予定で集計をしていますが、データを簡単に見ましたところ、やはり自分 の診療で具体的な患者さんを診療する際に有用な情報を提供してほしいという御意見が かなり多かったです。 【高久座長】  それはどのような先生を対象にされているのですか。開業医の先生ですか、それとも 研修医のような先生ですか。両方でしょうか。 【山口委員】  日本医師会のA会員ですから、開業の先生と、それから日本医療機能評価機構の認定 病院の勤務をしていらっしゃる先生と両方をやって、大体勤務医の先生と開業医の先生 と余り変わらないということもわかりました。そういうふうな結果に基づいて、システ ムの開発を今、進めているところであります。  それから、データにつきましては先ほど事務局の方からの資料1での御報告もありま したが、診療ガイドラインを作成した研究班の先生方の御意見もいただきましたし、幾 つかの研究班については、我々のこれからの準備作業に具体的に協力をしていただきた いという依頼も行っております。  それから、診療ガイドラインは葛西先生から5つくらいで寂しくては困るというふう な御意見もいただきましたが、診療ガイドラインとそのベースになっている医学文献と 平行して、ほかにどんな医学情報を提供したら良いかということにつきましては、NP Oの医学中央雑誌刊行会、財団法人の国際医学情報センター等の非営利団体法人の御意 見を今、集中して聞きつつあるところであります。  そういった全体のグランドデザインも、現在、改めて検討しておりまして、その辺を システム開発に反映させて、今年度中を目途に全体の提供をする形態のたたき台をつく りまして、また更に臨床の先生方にその辺を具体的に見ていただいて、あるいは研究班 の先生方にも見ていただいて、その御意見を更に反映させるような形で、平成15年度の 前半にはそういう開発あるいはデータの収集を完了して、なるべく早く「テープカット 」に持っていきたいというふうに考えております。  前回の御報告で、年間20疾患くらいというふうにお話をして、それはちょっと無謀で はないかという御意見もいただきましたので、その辺はちょっとトーンダウンしまし て、少し厳選した疾患でまずは作業を進めていきたいというふうに現在考えておりま す。以上です。 【高久座長】  そうですね。新しく作るのも大事ですが、今までのフォーマットを統一するとか、既 にできたものについての評価とか、そういう事をやっていただければそれほど大きな負 担にならないと思うのですが。  今の山口委員からのお話にどなたか御質問あるいは御意見がおありでしょうか。  先生は評価機構の理事をなさっていますが、非常勤ですね。大変ですね。このことに 専念する方は事務の人でいらっしゃるのですか。 【山口委員】  現在そういう方を探しておりますが、ほぼ常勤で来てくださる研究員の方が今、固ま りつつありまして、期待しているところでございます。 【高久座長】  それでなければ大変ですね。本当に御苦労様です。  よろしいでしょうか、何か機構についてございますか。 【野添委員】  データベースについてですけれども、基になった文献、著作権の問題もあると思うん ですけれども、実際の原論文を利用者が見られるというような仕組みというのを考えて いただけるとありがたいですね。 【山口委員】  可能な範囲で原論文が見られるように考えております。先生がおっしゃるように著作 権の問題がありますので、そういう承諾が成立したような部分につきましては一部でも 原文までたどりつけるように、現在、考えております。 【野添委員】  ネットワーク上で見られると大変良ろしいかと思います。 【高久座長】  学会雑誌でも著作権の問題がありますね。学会雑誌は学会員にしか配っていない。学 会員はある意味で強制的に買わされているわけですね。しかし、ほかの人が見ても学会 が損をするわけでも何でもないですね。だから、学会員以外の人が機構のデータベース で学会雑誌を見ても、学会自体には何の損害もなくて、むしろ宣伝になるわけですね。 だから、学会雑誌に関しては私は良いのではないかと思います。商業雑誌はちょっと微 妙ですね。 【葛西委員】  医学中央雑誌とかメドラインなどに載っているような情報は、リンクするのに全然著 作権は関係ないのですか。 【山口委員】  それも、医学中央雑誌が作った情報はやはりそれなりの形を作らないといけないと思 います。インターネット上でパブメドとリンクを張るのはそんなに難しくないですね。 【葛西委員】  そういうリンクをまず張っていただいて、ガイドラインに使われた文献にクリックす るとそこにいけるとか、更に進んで機構の方で構造化されたアブストラクトを作って見 るとか、もう少し詳しくガイドラインが何に基づいているのかわかるというふうなサー ビスが付いていると更にいいですね。 【山口委員】  アブストラクトフォームは、研究班の方でお作りになったものもあるかと思いますの で、その辺が掲載可能かどうかということも検討していきたいと考えております。 【高久座長】  よろしいでしょうか。ほかにどなたかございますか。  機構がそういうことをやっていくお金は厚生労働省から補助金として出るわけです ね。毎年お金がかかりますからね。 【関室長】  当面は厚生労働省の研究推進事業費ということで賄っていくということなんですが、 将来的にはやはり研究費に依存しない形での運営ということを考えていかなければいけ ないと思っております。 【高久座長】  それをフルに利用するようになったら、サービスによって利用代金を取らざるを得な いでしょうね。わかりました。  それでは、資料3の「EBM普及推進公開討論会」についてお願いします。 【武末補佐】  この場をお借りしまして御案内させていただきます。来る2月14日、厚生労働省主催 で「根拠に基づく医療のあるべき姿−EBMの理解と活用を進めるために−」という公 開討論会を開催させていただきます。場所は新橋のヤクルトホールで、定員が400名と いうことでかなりの方が入れる場所を用意しております。  シンポジストは学会の方、臨床家の方、そして一般の方に加えまして、特にガイドラ インと法律というのは少し御関心が高いところですので、法律家の方も交えて討論を 行っていただく予定でございます。最後には、できましたらフロアの方のご意見を討議 に反映させるということにも少し時間を取りたいと思いますので、是非とも御参加のほ どをよろしくお願いするとともに、この公開討論会のことをできましたら周知していた だければ幸いに思います。事務局からは以上でございます。 【高久座長】  これはもちろんフリーなのですね。 【武末補佐】  参加費は無料でございます。 【高久座長】  少し宣伝しないと、400人でウィークデーですから、私も時間があれば顔を出します が、お時間のある方は少しでも顔を出していただければと思います。 【武末補佐】  是非ともどうかよろしくお願いいたします。 【高久座長】  本日は最後の保健医療情報普及支援検討会になりましたが、平成13年度からこのEB Mについての検討を行ってきまして、その過程の中で日本医療機能評価機構がこの事業 を担っていくということが、先ほど関室長からお話がありましたように決まりまして、 そこでいろいろと準備をお願いしているところです。  考えてみますと、この検討会でどういう疾患を対象にしてガイドラインをつくるのか とか、あるいはどこに頼むのかとか色々御議論いただき、20の疾患と日本医療機能評 価機構にお願いをするということが決定したということです。今後は、日本医療機能評 価機構の方でガイドラインのデータベース化について、更に、一般の方、臨床医、専門 家が使いやすいガイドラインの普及に努めていただくことになりますので、この検討会 の当初の目的はほぼ達成されたと考えます。  13年度、14年度の2年間にわたって、委員の皆様方には御熱心に御討議いただき、ま た、非常に積極的な御意見をいただきどうもありがとうございました。これで最後とさ せていただきます。 【関室長】  どうもありがとうございました。 照会先  厚生労働省医政局研究開発振興課   医療技術情報推進室   (担当)武末、嶺   (代表)03-5253-1111  内線 2589,2588