03/01/24 薬事・食品衛生審議会 平成15年1月24日(金)血液事業部会議事録           薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年1月24日(金) 13:00〜   経済産業省別館944会議室 2.出席委員(19名)五十音順   池田 康夫、 大平 勝美、 岡田 義昭、 小畑 純子、   川西  徹、 倉田  毅、 清水  勝、 白幡  聡、   菅谷  忍、 高橋 孝喜、 田中  滋、 花井 十伍、   幕内 雅敏、○水柿 道直、◎溝口 秀昭、 三星  勲、   森 眞由美、 吉倉  廣、 吉澤 浩司   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   中村 雅美、 平澤 博之、 比留間 潔、 宮崎 久義  他参考人1名 3.行政機関出席者   小島 比登志(医薬局長)、 鶴田 康則(大臣官房審議官) 、   定塚 由美子(医薬情報室長)、 安倍 道治(審査管理課長)、   北条 泰輔(医療機器審査管理官)、 橋爪  章(血液対策課長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長  まだお見えになっていない先生もおられますが、定刻となりましたので、ただいまか ら平成14年度第2回血液事業部会を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととな っておりますので、よろしくお願い申し上げます。本日は委員23名中15名の御出席をい ただき定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第九条により本部会が成立し たことを御報告申し上げます。  また、本年1月23日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会において委員の改 選が行われましたので、併せて御報告いたします。血液事業部会の部会長は、引き続き 東京女子医科大学医学部長の溝口秀昭委員にお願いすることとなりましたので、よろし くお願いいたします。  次に委員の異動について御説明いたします。血液事業部会におきましては、3名の委 員が改選されました。小室勝利委員に替わり、岡田義昭委員が着任されました。柴田洋 一委員に替わり、橋孝喜委員が着任されました。早川堯夫委員に替わり、川西徹委員 が着任されました。眞崎理香委員は御都合により委員を辞職されました。  また今回の改選に伴い、本部会に属する調査会につきましても委員の異動がございま した。安全技術調査会におきましては、小室委員に替わり杉浦委員が着任されました。 適正使用調査会におきましては、柴田委員と横山委員が委員を辞職されました。以上で ございます。この後の進行につきましては、溝口部会長によろしくお願い申し上げま す。 ○溝口部会長  ただいま御紹介にあずかりました、東京女子医科大学の溝口でございます。また部会 長ということでございましたので、大変大事な、またいろいろな問題が山積している部 会ですが、皆様方の御協力をよろしくお願いしたいと思います。  それでは、まず部会長代理の選出をいたしたいと思います。薬事・食品衛生審議会令 第七条第5項によりまして、部会長があらかじめ指名する者とありますので、昨年に引 き続きまして東北薬科大学臨床薬剤学教授の水柿道直委員にお願いしたいと思います が、いかがでございましょうか。どうもありがとうございました。それでは水柿先生、 こちらの部会長代理の席へお願いいたします。           ── 水柿委員、部会長代理席へ移動 ── ○溝口部会長  それでは議事に入らせていただきます。本日の議題は三つございますが、それに先立 ちまして議題2については、本年1月10日に行われた生物由来製品臨時部会におきまし て御議論いただきました。その関係で同部会の早川堯夫部会長をお呼びしておりますの で、御了解願いたいと思います。早川先生、よろしくお願いいたします。  それでは議題1の「基本方針について」、これが三つの議題のうち一番大きな議題で ございまして、これに2時間のうちのかなりの時間が使われると考えております。前回 の部会の基本方針、たたき台につきまして、委員の皆様や一般の方々、いわゆるパブリ ックコメントを頂きまして、それに基づいて修正した「安全な血液製剤の安定供給の確 保等に関する法律第9条に基づく基本方針(案)」をお手元にお配りしてあると思います が、これについて本日皆様方の御意見を頂きまして、この部会としての意見をまとめて いきたいと思います。それでは事務局の方から御説明願いたいと思います。 ○事務局  事務局でございます。それでは基本方針について御説明いたします。お手元の資料で ございますが、資料A〜Cの三つが基本方針に関する資料でございます。基本方針につ きましては、前回11月5日の第1回の部会においてたたき台をお示ししたところであり ますけれども、部会の側において様々な御議論を頂きまして、その後も委員の先生方か ら御意見をちょうだいいたしました。これを踏まえまして、昨年の末に委員の方に修正 案を再度郵送いたしております。これと並行いたしまして、広く基本方針についての御 意見を伺うということで、厚生労働省のホームページにおきまして意見募集を行いまし た。委員の先生方、そして意見募集の結果などを踏まえまして、再度基本方針(案)とし て修正したものが、お手元の資料A「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律 第9条に基づく基本方針(案)」でございます。  資料Bは先ほど御説明したとおり、広く意見募集を行った結果を取りまとめたもので ございます。資料Bの1ページの「1.経緯」というところにございますように、年末 年始を挟んで約3週間意見募集を行いました。その結果、個人としては6名の方、団体 としては3団体、合計9件の御意見が寄せられました。それぞれの方々に非常に細部に わたる御意見を御提出いただいたということで、御意見の総数にいたしますと119件に なっております。数が非常に多いということですべては御紹介できませんが、この資料 Bでは基本方針の節ごとにその意見を割り振って概要を整理いたしました。ここですべ て御説明することはできないのですが、後ほど基本方針(案)を御説明する際に併せて幾 つかの御意見を御紹介したいと思っています。  資料Cは、委員の先生方から頂いた御意見をまとめたものでございます。大平委員、 花井委員、小室前委員、橋委員、三星委員から御意見をちょうだいしております。こ の御意見もすべては御紹介できませんので、基本方針を御説明する中で御紹介していき たいと思っております。  それでは、基本方針(案)につきまして御説明したいと思います。資料Aを御覧くださ い。まず一番最初に、全体の構成について御説明いたします。目次ですけれども、前回 の部会の場におきまして、血液製剤という考え方が節によって範囲が異なっていたり違 うものを含んでいたりということで、非常に分かりにくいという御指摘を頂きました。 これを踏まえまして、法律において「用法、効能及び効果について血液製剤と代替性が ある医薬品」と定義されている医薬品を、この基本方針では「血液製剤代替医薬品」と いう用語に置き換えて整理しております。この血液製剤代替医薬品につきましては、基 本方針においては血液製剤と分けて別立ての整理をしております。具体的には目次の2 ページになるのですけれども、第8節の「(1)血液製剤代替医薬品に関する事項」でま とめて記述しております。第1節〜第8節の構成は基本的には前回と変わっていません で、血液法において基本方針で定めるべき事項として号立てされているものの順番に沿 って節を組んでおります。  基本方針全体の考え方なのですが、正にこの名前のとおり、基本的な方向性について 記述するというものでございますので、詳細な個々の具体的事項については記述しない という形で整理しております。この基本方針を受けまして、更に献血推進計画や需給計 画などを作成していくことになるわけですが、これらにおきまして個々具体的な詳細を 記述するという形で整理したいと考えております。  それでは基本方針の全体につきまして、御意見や修正点などを御説明しながら読み上 げる形で進めていきたいと思います。資料をおめくりいただきまして、1ページになっ ております。まず、基本方針(案)の前文でございます。ここにつきましては、国内献血 による国内自給の達成という血液法の基本的な趣旨が十分に反映されていない、盛り込 まれていないのではないかという御意見を頂きまして、それを踏まえて前文を若干書き 直しております。では、まず前文を読み上げます。   前文   ・ 我が国の血液事業は、昭和39年の閣議決定を契機として、関係者による多大の    努力が積み重ねられてきた結果、輸血用血液製剤については昭和49年以降、国内    自給が達成されている。しかしながら、血漿分画製剤の一部については、相当量    を輸入に依存している状況にある。このような現状を踏まえ、血液製剤(安全な    血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和31年法律第160号。以下「法」と    いう。)第2条に定める血液製剤。以下同じ。)の安定的な供給が確保され、か    つ、国内自給が推進されるよう一層の取組を進めることが必要である。   ・ 我が国は、過去において、血液凝固因子製剤によるHIV感染問題という、深    甚な苦難を経験しており、これを教訓として、今後、重大な健康被害が生じない    よう、血液製剤の安全性を向上するための施策を進めることが必要である。   ・ 本方針は、これらの経緯等を踏まえ、法の基本理念である血液製剤の安全性の    向上、献血によって得られた血液による国内自給の確保、血液製剤の安定供給、    適正使用の推進及び公正かつ透明な血液事業の実施体制の確保を図るため、法第    9条に基づき策定する基本的な方針であり、今後の血液事業の方向性を示すもの    である。本方針、本方針に則して定められる献血推進計画及び需給計画、都道府    県が定める都道府県献血推進計画及び採血事業者が定める献血受入計画が一体と    なって、今後の血液事業が進められることが必要である。   ・ 本方針は、血液事業を取り巻く状況の変化等に的確に対応するため、少なくと    も5年ごとに再検討を行い、必要があると認めるときは、これを変更するものと    する。  以上が前文でございます。  続きまして第1節でございます。ここは基本方針の全体の概要や全体に係る事項につ いて記述する箇所でございます。先ほど御説明した整理を踏まえまして、血液製剤代替 医薬品の取扱いにつきましては3ページですけれども、第1節の「(2)血液製剤代替医 薬品の取扱い」という形で盛り込んでございます。第1節を読み上げます。   第1節 血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保に関する基本的な方向   (1)基本的な考え方   ・ 血液製剤は、人体から採取された血液を原料とする有限で貴重なものであるこ    とについて、まず十分認識することが必要である。   ・ 国、都道府県及び市町村(以下「地方公共団体」という。)、製造業者、輸入販    売業者及び販売業者(以下「製造業者等」という。)、採血事業者、医療関係者な    ど血液事業にかかわる者は、法に基づき課せられた責務を確実に果たすととも    に、以下の四つの基本理念の実現に向け、各般の取組を進めることが必要であ    る。   (1)安全性の向上   ・ 血液製剤は医療に多くの成果をもたらしてきており、また、科学技術の進歩に    より、病原体の発見、その検査法や不活化技術の開発・導入等を通じ、血液製剤    を介した感染症の伝播の危険性は著しく低減してきている。しかし、人の血液を    原料として製造されていることから、感染の危険性等を完全には否定できない可    能性を有すること、製造過程における病原体の不活化処理等には限界がある場合    があることなどの特徴を有する。     このため、常に最新の科学的知見に基づき、血液の採取から製造、供給、使用    に至るまで、一貫した遡及調査体制を構築する等、安全性の確保及び向上に向け    た不断の努力が必要である。   ・ これまで、血液製剤については、薬事法(昭和35年法律第145号)において、そ    の安全性の確保を図ってきたところであるが、我が国は、過去において、血液凝    固因子製剤によるHIV感染問題という、深甚な苦難を経験しており、より一層    の安全確保対策の充実が求められている。     国は、平成14年7月に公布された改正薬事法(以下「改正薬事法」という。)の    施行等を通じ、安全性情報の収集・評価等の安全対策が迅速かつ的確に行われ、    常にその実効性が検証されるような体制を構築することとする。   (2)国内自給原則、安定供給の確保   ・ 法第3条第2項において血液製剤の国内自給が定義されているとおり、倫理    性、国際的公平性等の観点に立脚し、国内で使用される血液製剤は、原則として    国内で行われる献血により得られた血液を原料として製造され、海外の血液に依    存しなくても済む体制を構築するべきである。このため、中期的な需給見通しに    基づき、医療需要にこたえられる血液製剤の供給を献血により確保する必要があ    る。   ・ 人の血液に由来する有限で貴重な血液製剤は、医療需要に対し過不足が生じる    ことのないよう、安定的に供給する体制を整備する必要がある。   ・ 特に、血漿分画製剤は、製造に比較的長期間を要すること等を踏まえ、需給計    画を毎年度作成し、安定的な供給を確保するものとする。   (3)適正使用の推進   ・ 医療関係者は、血液製剤が人の血液に由来する有限で貴重なものであること、    原料に由来する感染の危険性等について、特段の注意を払う必要があることを改    めて認識し、真に必要な場合に限って血液製剤を使用するなど、適正な使用を一    層推進する必要がある。これは、国内自給を推進していくためにも重要である。   ・ このため、国は、血液製剤の使用実態を正確に把握し、それぞれの患者に応じ    て適切に血液製剤が使われるよう、血液製剤の適正使用等に関する指針の普及を    図るものとする。また、医療機関における適正使用について評価を行うなど、更    に適正使用を促進するための方策を講ずる必要がある。   (4)公正かつ透明な実施体制の確保   ・ 国、地方公共団体、採血事業者、製造業者等、医療関係者など血液事業にかか    わる者は、献血者の善意にこたえ、国民の理解と協力を得ることができるよう、    血液事業に係る施策の策定及び実施に当たり、血液製剤の安全性や供給状況等に    つき、十分な情報を公開する必要がある。これは、献血を推進していくためにも    重要である。   ・ 国は、血液事業に係る施策の策定及び実施に当たり、公正かつ透明な審議を確    保するものとする。   (2)血液製剤代替医薬品の取扱い   ・ 用法、効能及び効果について血液製剤と代替性がある医薬品(以下「血液製剤    代替医薬品」という。)についても、その安全性の確保及び向上が必要である。   ・ 血液製剤代替医薬品は、安定供給を確保するため、計画的に製造及び供給が行    われる必要がある。   ・ また、これらの医薬品についても、それぞれの患者に応じ適切に、また適正に    使用されることが求められる。   (3)国民の理解と参加   ・ 国民一人一人が、必要なときに献血に由来する血液製剤を用いた医療によって    生命と健康が守られるということを理解し、積極的に献血を行うことなどを通    じ、国民が今後の血液事業の健全な展開に参加することが期待される。   ・ このため、血液事業にかかわる者は、国民に対し、血液事業や血液製剤を用い    た医療に関する情報の積極的な公表に努めることが必要である。  以上が第1節でございます。  第2節は、血液製剤につきまして中期的な需給の見通しを述べている部分です。まず この部分は、本計画は基本的には今後5年間について定めるということですので、平成 20年までの5年間の状況について記述しております。輸血用血液製剤、原料血漿、そし て血漿分画製剤に分けておりますけれども、血漿分画製剤の部分は免疫グロブリン製 剤、アルブミン製剤、そして血液凝固因子製剤について記述しています。これら以外の 血漿分画製剤についても記述すべきではないかという御意見もございましたが、先ほど 御説明したとおり、基本方針の性格上血漿分画製剤のうち主たるものという観点から、 この三つの製剤について基本方針にて記述するというふうに整理しております。  また、ここで国内自給という観点を盛り込むべきではないかという御指摘も受けてお りますけれども、国内自給につきましては次の第3節で記述することとして、第2節で は需給の現状と見通しを述べるというふうに整理しております。また、第2節におきま して幾つかの数字を掲げておりますけれども、これは平成13年度のものでございまし て、告示されるまでの間に平成14年度のものが固まりましたら、差し替えていきたいと 考えております。それでは第2節を読み上げます。   第2節 血液製剤についての中期的な需給の見通し   ・ 本節においては、血液製剤及び血液製剤代替医薬品の需給動向を勘案しつつ、    それらの中期的な需給の見通しとして、平成20年度までの今後5年間の状況につ    いて考察する。   (1)輸血用血液製剤の需給の現状及び今後の見通し   ・ 輸血用血液製剤は、昭和49年以降、すべて国内献血で賄われており、今後とも    この状況が確保される見通しである。   (2)原料血漿の需給の現状及び今後の見通し   ・ 原料血漿の供給については、平成13年度の原料血漿確保目標量101万リットル    に対し104万リットルが確保されたところである。平成14年度の原料血漿確保目    標量108万リットルも達成される見込みである。(たところである。)   ・ 原料血漿については、これまで需要に見合う供給が行われてきているが、過去    の供給状況等を勘案すると、平成20年度において117万リットル程度が供給可能    と予測される。   (3)血漿分画製剤の需給の現状及び今後の見通し   (1)免疫グロブリン製剤及びアルブミン製剤   ・ 血漿分画製剤のうち、免疫グロブリン製剤及びアルブミン製剤の使用量は、製    造に要する原料血漿量に換算して、それぞれ平成13年度において99万リットル及    び189万リットルであり、うち国内献血に由来するものの使用量は、それぞれ80    万リットル及び64万リットルである。   ・ これらの製剤の今後の需要予測は、過去の使用状況等を勘案すると、製造に要    する原料血漿量に換算して、それぞれ平成20年度において109万リットル〜115万    リットル及び163万リットル〜170万リットル程度である。   ・ なお、国内の製造業者は、原料血漿に換算して年間120万リットル以上の血漿    分画製剤の製造能力を有している。   ・ 原料血漿の供給量及び血漿分画製剤の製造能力等を勘案すると、今後は、遺伝    子組換え製剤の開発も重要な課題である。   (2)血液凝固因子製剤   ・ 血液凝固第VIII因子製剤(血液を主たる原料とする製剤)及び血液凝固第IX因子    製剤(複合体を除く。)は、すべて国内献血で賄われている。   ・ これらの製剤については、今後ともこの状況が確保される見通しである。   ・ なお、血液凝固第VIII因子製剤については、血液を主たる原料とする製剤に加    えて、遺伝子組換え製剤も供給されており、遺伝子組換え製剤は、輸入により供    給されている状況にある。  以上が第2節でございます。  第3節の国内自給につきましては、様々な御意見を頂いております。すべての血漿分 画製剤、遺伝子組換え製剤を含めて国内自給を達成することを記述すべきだという御意 見、また国、患者団体、医療関係者、献血団体、日本赤十字社、民間メーカーなど、血 液事業に関係した方々による国内自給推進委員会のようなものを設置すべきだという御 意見、さらには国内血液製剤と輸入血液製剤のバランスを保つことこそが、安定供給及 び安全性の向上という観点から必要であるという御意見まで、様々な御意見を頂いてい るところでございます。  血液法における国内自給という考え方は、国会における修正におきまして血液法の基 本理念として盛り込まれたところでございます。第3節におきましては、その国内自給 の基本的な考え方を述べております。また御指摘のとおり、血液事業に携わる方々の御 意見を踏まえるということは重要な観点で、これにつきましても(4)のところ、6ペー ジの上から二つ目の「・」にその御趣旨を反映しております。また、献血に由来する血 液製剤が国民に還元されるような具体的方策を記述すべきではないかという御意見も頂 いておりまして、それにつきましてはこの第3節の「(3)献血量の確保について」、 「(4)血液製剤の国内供給について」、そして「(5)血液製剤の適正使用について」と いうところで、その基本的な考え方を記述してございます。  第3節につきましても幾つか数字を入れておりますが、これも平成13年現在のもので ございますので、平成14年の数字が出ましたら置き直していきたいと思っております。 それでは第3節を読み上げます。   第3節 血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項   (1)血液製剤の国内自給の確保・達成について   ・ 血液製剤のうち、輸血用血液製剤については、昭和49年以降、国内自給を達成    している。また、血漿分画製剤のうち血液凝固第VIII因子製剤(血液を主たる原    料とする製剤)及び血液凝固第IX因子製剤(複合体を除く。)は、平成13年現在、    国内自給を達成している(遺伝子組換えによる製剤を含めた血液凝固第VIII因子    製剤の自給率は52.2%。複合体を含めた血液凝固第IX因子製剤の自給率は83.8    %。)。   ・ しかし、免疫グロブリン製剤及びアルブミン製剤の自給率は、それぞれ同年に    おいて80.6%及び33.8%である。   ・ これらについても、平成20年を目途に、国内自給の達成を目指すものとする。   (2)国内自給を確保・達成するための基本的な考え方   ・ 血液事業にかかわる者は、血液製剤の国内自給を確保・達成するため、国内の    需要を満たすために必要な献血量を確保し、併せて、確保された原料血漿がすべ    て有効に利用され、血液製剤として国内に供給されるよう体制を整備するととも    に、血液製剤の適正使用を推進することが必要である。   (3)献血量の確保について   ・ 国、地方公共団体及び採血事業者は、第2節に示した血液製剤の中期的な需給    の見通しを踏まえ、第4節に示すとおり、計画的な献血の推進に努め、血液製剤    の国内自給を確保・達成するための献血量を確保することが必要である。   (4)血液製剤の国内供給について   ・ 国、採血事業者及び製造業者は、第5節に示すとおり、国内の献血に由来する    原料血漿がすべて有効に利用され、血液製剤として国内に供給されるよう、血液    製剤の国内自給に向けた製造及び供給のための体制を整備する必要がある。   ・ このため、採血事業者及び製造業者は、採血から製造及び供給に至るすべての    段階において、事業の最大限の効率化、合理化を図ることにより、献血によって    得られた血液を有効に利用し、治療上の必要に応じて過不足なく供給することが    必要である。   ・ また、国は、国内自給を推進するに当たって、採血事業者、製造業者等、患者    (又は家族)、医療関係者、献血者等、血液事業にかかわる者の意見を十分踏まえ    るとともに、遺伝子組換えアルブミン製剤の開発状況並びに国内の献血に由来す    る血液製剤及び輸入される血液製剤等、供給をめぐる動向も十分に考慮するもの    とする。   (5)血液製剤の適正使用について   ・ 免疫グロブリン製剤の使用量は増加傾向にあり、今後、適正使用の推進が求め    られる。アルブミン製剤の使用量は、適正使用の推進の結果として、減少傾向に    あり、引き続きこの動向が維持される必要がある。   ・ 医療機関においては、第7節に示すとおり、血液製剤の適正使用に努めること    が必要である。また、国は、血液製剤の適正使用等に関する指針を医療機関に示    してきたところであるが、血液製剤の使用状況について定期的に評価を行うな    ど、適正使用の推進のためのより効果的な方法を検討するものとする。  以上が第3節でございます。  続きまして、第4節は献血に関する節でございます。一般からの意見募集におきまし て節ごとに見た場合に、献血に関しては28件と一番多くの御意見をちょうだいしてござ います。献血につきましては、委員の方からも多くの御意見が寄せられております。法 律上、今後この基本方針を受けて献血推進計画を策定するとなっておりますので、具体 的な献血につきましては献血推進計画に規定することを考えております。学校での献血 についての教育や献血のための休暇などについて御意見が寄せられておりまして、これ らにつきましては7ページになりますけれども、第4節の「(2)献血の推進に関する具 体的な方策」の中に、御趣旨を踏まえて盛り込んでございます。第4節を読み上げま す。   第4節 献血の推進に関する事項   (1)献血の推進に関する基本的な考え方   ・ 国、地方公共団体、採血事業者、献血推進協議会、民間の献血推進組織等は、    厚生労働大臣が定める献血推進計画に基づき、協力して、相互扶助及び博愛の精    神に基づく献血の必要性についての国民の理解を求め、献血推進運動を展開する    必要がある。   ・ 今後の人口動態を考慮すると、献血可能人口が減少すると推定されていること    から、献血者を増やすため、特に若年層に対する普及・啓発を一層推進する必要    がある。   ・ 400mL献血及び成分献血は、献血量を確保しやすくなるとともに、感染症等の    リスクを低減させるなどの利点があるため、今後も、一層の普及が必要である。   (2)献血の推進に関する具体的な方策   ・ 国は、献血推進計画を策定し、献血推進のための基本的な施策を実施するもの    とする。具体的には、国民の献血への理解を求める普及啓発を行うものとし、ま    た、都道府県による献血の推進、採血事業者による献血者の受入れ及び献血者の    保護に対する協力等を行うものとする。   ・ 都道府県は、血液製剤の需要と供給の現状を把握した上、必要な血液量を推定    し、都道府県を越えた広域的な人口移動も加味しつつ、効果的な都道府県献血推    進計画を策定し、それに基づき献血を推進することが必要である。具体的には、    献血に関する住民の理解を深めること、広報や献血組織の育成等により献血を推    進すること、採血事業者の献血受入計画の実施が確保できるよう措置を講ずるこ    とが重要である。   ・ 市町村は、国及び都道府県とともに献血を推進し、また採血事業者が行う献血    の受入れが推進されるよう措置を講ずることが必要である。具体的には、献血に    関する住民の理解を深めること、都道府県や採血事業者と協議した上で、献血会    場を確保することが重要である。   ・ 採血事業者は、国及び地方公共団体の行う献血推進の取組に積極的に協力する    ことが重要である。また、採血事業者は、献血受入計画を作成し、献血受入体制    を着実に整備し、献血者の受入れに関する目標を達成するための措置を講じるこ    とが必要である。例えば、採血時の安全性の確保、事故への対応、献血者の個人    情報の保護等献血者が安心して献血できる環境の整備、採血に際しての血液検査    による健康管理サービスの充実及び献血者登録制度による献血者との連携の確保    を図ることが重要である。また、稀少血液の確保に引き続き取り組むことが求め    られる。   ・ 官公庁及び企業等は、ボランティア活動である献血に対し積極的に協力を呼び    かけるとともに、献血のための休暇取得を容易にする等、進んで献血しやすい環    境作りへの取組を行うことが望ましい。   ・ 国、地方公共団体は、採血事業者と連携し、出張採血や献血車両の駐車の場所    の確保などを図るため、関係者に対し、積極的に協力を呼び掛けることが求めら    れる。また、国及び地方公共団体は、学校においても、献血への理解を図ること    に留意することが重要である。   ・ 医療機関においては、患者(又は家族)に対して十分な説明を行い、その理解と    協力を得ることを前提とした上で、献血を推進する観点から、国内の献血に由来    する血液製剤を適正に使用することが望ましい。   (3)献血推進施策の進捗状況等に関する確認・評価   ・ 国及び地方公共団体は、献血推進施策の進捗状況について確認及び評価を行う    とともに、採血事業者による献血の受入れの実績についての情報を収集する体制    を構築し、必要に応じ、献血推進施策の見直しを行うことが必要である。   (4)災害時における献血の確保等   ・ 国及び地方公共団体は、災害時における献血が確保されるよう必要な措置を講    ずるものとする。   ・ 採血事業者は、災害時における献血受入体制を構築し、各採血所間における需    給調整が迅速にできるよう備えることにより、災害時における献血量の確保に協    力する必要がある。  以上が第4節でございます。  続きまして第5節ですが、ここは血液製剤の製造及び供給についてで、主として需給 計画について記述している部分でございます。ここにつきましては、製造業者は6か月 の在庫を確保して安定供給すべきであるということや、災害に備えるために在庫を持つ ことは合理的ではないなど、在庫について様々な御意見が出されました。需給計画は予 測しない大災害や戦争などを想定したものではなくて、あくまでも平時における需要と 供給に関する計画でありますが、安定供給のために適正な在庫の量という観点は必要で あり、それがどの程度なのかという具体的な水準につきましては、今後本部会に設置さ れる需給調査会で十分御議論いただく必要があると考えております。基本方針では9ペ ージの(4)で、在庫量につきましての基本的な考え方を述べております。それでは第5 節を読み上げます。   第5節 血液製剤の製造及び供給に関する事項   (1)血液製剤の製造及び供給に関する基本的な考え方   ・ 血液製剤の供給に当たっては、緊急時の輸入や国内で製造が困難な血液製剤の    輸入等やむを得ない場合を除き、原則として海外の血液に依存しなくても済むよ    う国内自給を推進するものとする。   ・ 国内の献血によって得られた血液が有効に利用され、血液製剤として安定的に    供給される必要がある。   ・ このため、保健衛生上の観点から、厚生労働大臣が需給動向を適時適切に把握    する必要のある血漿分画製剤については、第2節に示した中期的な需給の見通し    及び法第25条に基づき、需給計画を策定するものとする。また、輸血用血液製剤    の安定供給は、献血推進計画等により推進することとする。   ・ 需給計画を策定する際には、当該血漿分画製剤の需給動向のみならず、その製    造に使用する原料血漿の量、当該製剤に代替する医薬品や治療法の存在等を考慮    し、薬事・食品衛生審議会(以下「審議会」という。)における公正かつ透明な審    議を踏まえることとする。   (2)血液製剤の製造及び供給に関する具体的な方策   ・ 製造業者等は、需給計画に沿って、計画的に血漿分画製剤の製造及び供給に取    り組む必要があるとともに、その製造実績等を厚生労働大臣に報告することが必    要である。厚生労働大臣は、当該報告を受け、需給計画を尊重して適正に製造及    び供給が行われるよう、必要に応じ、勧告等の措置を採るものとする。   ・ 製造業者及び販売業者は、国内の献血に由来する血液製剤の供給の確保に努め    ることが重要である。   ・ 国は、より安全性及び有効性に優れた血液製剤の開発が推進されるよう、研究    開発の支援を行う必要がある。   (3)原料血漿の配分   ・ 国は、製造業者の製造能力及び製造効率を勘案し、血漿分画製剤の適正・効率    的な生産が確保されるよう、審議会における公正かつ透明な審議を踏まえ、需給    計画に採血事業者から製造業者への血漿配分量を規定するものとする。   ・ 国は、採血事業者による献血受入れにかかる費用、原料血漿の製造にかかる費    用、国際取引価格等を総合的に勘案し、審議会における公正かつ透明な審議を踏    まえ、需給計画に採血事業者が原料血漿を製造業者に配分する際の標準的な価格    を規定するものとする。   ・ 採血事業者及び製造業者は、需給計画を尊重して原料血漿を配分することが必    要であり、厚生労働大臣は、計画が尊重されているかを把握するため、原料血漿    の配分結果の報告を求めるものとする。   (4)血液製剤の確保   ・ 国は、災害等により、血液製剤の供給に支障を来すことがないよう、製造業者    及び輸入販売業者による安定供給に必要な量の備蓄の状況等に関し、適宜、確認    を行うなど、その安定供給を確保することとする。   ・ また、輸血用血液製剤については、その需要及び供給が季節的に変動すること    等も踏まえ、安定的な供給を確保する必要がある。  以上が第5節でございます。  第6節は、血液製剤の安全性に関する部分でございます。昨年の7月に改正された薬 事法におきまして、生物由来製品や特定生物由来製品といった、感染リスク等に応じた 安全対策を講ずるということでございましたので、この安全対策に関する記述、規制は 当然血液製剤にも適用されることになります。ですので、まずは薬事法の観点からの安 全対策について記述しまして、さらには血液製剤特有の視点も加えるという構成にして おります。安全対策につきまして、血液製剤代替医薬品も血液製剤と同等に扱うべきだ という御意見がございました。先ほど御説明したとおり、血液製剤代替医薬品につきま しては第8節でまとめて記述することとしていますので、第6節については血液製剤の 安全対策という記述になっております。それでは第6節を読み上げます。   第6節 血液製剤の安全性の向上に関する事項   (1)安全性の向上のための取組   ・ 改正薬事法に基づき、生物由来製品について、その感染の危険性等を踏まえ、    原材料の採取及び製造から市販後に至る各段階において、一般の医薬品等におけ    る各種基準に加え、以下に掲げる基準等が定められた。これにより、血液製剤の    一層の安全確保を図ることとする。    (1) 保健衛生上の観点から定める品質等基準において、原材料採取の方法等に      つき、付加的な基準を設けること。    (2) 製造段階においては、構造設備、製造管理及び品質管理の方法について、      その特性に応じた付加的な基準を設けること。    (3) 直接の容器又は直接の被包において、感染の危険性等を有することから適      正に使用すべき医薬品であることを明らかにするため、安全性の確保に関し      必要な付加的な表示を行うこと。    (4) 病原体の混入が判明した場合に、遡及調査を速やかに講ずることを可能と      するため、必要な事項について記録を作成し、保存すること。   ・ 製造業者等は、改正薬事法第68条の8に定める感染症定期報告制度により、原    材料の感染症に係る情報収集、分析及び評価を行い、その結果を厚生労働大臣に    報告することが必要である。また、製造業者は、特定生物由来製品について、遡    及調査のために必要な量を適切に保存することが必要である。   ・ 医療関係者は、特定生物由来製品を使用する際には、原材料に由来する感染の    危険性等について、特段の注意を払う必要があることを十分認識する必要があ    る。また、改正薬事法第68条の7に基づき、その有効性及び安全性その他当該製    品の適正な使用のために必要な事項について、患者(又は家族)に対し、適切かつ    十分な説明を行い、その理解と同意を得るよう努めるものとする。    さらに、医療関係者は、同法第68条の9第3項及び第4項に基づき、特定生物由    来製品を使用した患者の氏名、住所その他必要な事項について記録を作成し、保    存することが必要である。   ・ 都道府県、保健所を設置する市(特別区を含む。)(以下「都道府県等」という。    )は、必要に応じ、医療関係者が安全対策を適切に実施するよう、指導に努める    ことが重要である。   ・ 採血事業者は、血液製剤を介した感染症の伝播の危険  性をできるだけ排除    するために、献血時における問診の充実を図ることが必要である。また、国、地    方公共団体及び採血事業者は、あらかじめ献血者に対し、検査を目的とした献血    を行わないよう周知徹底する必要がある。   (2)迅速かつ適切に安全対策を実施するための体制整備   ・ 国、採血事業者、製造業者等及び医療関係者は、血液製剤に係る安全性に関す    る情報を把握し、その情報を評価し、安全対策の実施を迅速かつ適切に行う体制    を整えることが必要である。   ・ 感染症等、血液製剤の安全性に関する情報については、審議会において、専門    家、患者等と遅滞なく情報を共有するとともに、国民に対し適時適切かつ迅速に    情報を提供するものとする。   ・ また、製造業者等及び医療機関における記録の保存については、遡及調査を速    やかに実施できるような措置を講ずる必要がある。   (3)血液製剤の使用により感染症の発生等が判明した場合の対応   ・ 国は、血液製剤の使用により、感染症等の保健衛生上の危害が発生し、又は拡    大するおそれがあることを知ったときは、必要に応じ、迅速に、遡及調査を実施    し、他の患者等への健康被害が拡大しないよう、製品の回収・出荷停止等の措置    を講ずることとする。また、患者(又はその家族)や医療機関等を始めとして、国    民へ各種の手法により遅滞なく情報提供を行うとともに、原因の究明、改善措置    の指示等を行うものとする。   (4)安全性の向上のための技術の開発促進、情報収集、早期導入   ・ 製造業者等は、病原体の不活化・除去技術の向上、より高感度かつ高精度の検    査方法の開発等を通じ、より安全性の高い血液製剤の開発等に努めることが必要    である。   ・ また、国は、血液製剤の安全性の向上に係る技術に関する情報を収集し、技術    開発を支援し、採血事業者及び製造業者等がそれらの技術を早期導入するように    指導するものとする。   (5)自己血輸血、院内血輸血の取扱い   ・ 輸血による感染症等の危険は完全には回避できないことから、自己血輸血は推    奨される手法である。   ・ 自己血輸血を除き、院内血輸血は、安全性の問題、患者や家族にかかる負担の    問題があることから、原則として行うべきではない。しかしながら、院内血輸血    を行わざるを得ない場合も想定されるため、国は院内血輸血の実態を踏まえ、必    要な措置を採るものとする。  以上が第6節でございます。  続きまして第7節は、血液製剤の適正使用に関する節でございます。ここは適正使用 の推進、その評価という視点、さらにはそのための院内体制の整備という視点から整理 しております。院内体制につきましては、輸血部門及び輸血療法委員会の設置により輸 血業務を一括管理する、さらには医療従事者などに対する教育の観点から、輸血部に専 任の医師や技師を配置すべきという御意見を頂いております。輸血に係る管理体制につ いては平成11年に通知を出しておりまして、それを踏まえて12ページの一番上ですけれ ども、この第7節の「(2)院内体制の整備」というところに記述を盛り込んでございま す。第7節を読み上げます。   第7節 血液製剤の適正な使用に関する事項   (1)血液製剤の適正使用の推進   ・ 国は、血液製剤の適正使用等に関する指針を医療機関に示してきたところであ    るが、血液製剤の安全かつ適切な使用状況について定期的に評価を行うなど、適    正使用の推進のためのより効果的な方法を検討するものとする。   ・ 医療機関は、血液製剤の適正使用に努めることが重要であり、この趣旨を徹底    するため、国及び都道府県等は、医療関係者に対し、様々な機会を通じて働きか    けていくことが必要である。   (2)院内体制の整備   ・ 血液製剤を用いた医療を提供する医療機関においては、それが適正になされる    よう、院内の血液製剤を適正に管理し、使用するための管理体制を整備すること    が重要である。このため、国及び都道府県等は、そのような医療機関に対し、様    々な機会を通じて院内における輸血療法委員会、輸血部門の設置を働きかけるも    のとする。   (3)患者等に対する説明   ・ 医療関係者は、それぞれの患者に応じて適切な使用に努めることが重要であ    り、患者(又は家族)に対し、適切かつ十分な説明を行い、その理解と同意を得る    よう努めるものとする。  以上が第7節でございます。  最後に第8節、その他献血及び血液製剤に関する重要事項というところでございま す。先ほど御説明したとおり、第8節は「(1)血液製剤代替医薬品に関する事項」、そ れから「(2)血液製剤の表示」、「(3)研究開発等における血液製剤の使用に関する基 準作り」という、第1節〜第7節に盛り込めなかったものでかつ重要なものという三つ の観点から、第8節を整理しております。  血液製剤代替医薬品につきましては12ページの(1)でございますが、四つの点から整 理しております。まずは需給計画の対象とするということ、それから適切かつ適正に使 用する、さらには研究開発を推進する、そして御意見を多く頂いたのが二つ目の「・」 の安全対策という、この四つについて整理しております。(1)の二つ目の「・」を若干 御説明しますと、薬事法の特定生物由来製品と生物由来製品の区分に基づきまして、血 液製剤代替医薬品についても必要な規制を適用するという構成にしております。具体的 には、血液製剤代替医薬品のうち特定生物由来製品につきましては、血液製剤、特定生 物由来製品としての安全対策を講ずること、そして血液製剤代替医薬品のうち生物由来 製品につきましては、薬事法における生物由来製品としての安全対策を講ずるというこ とが、原則的な整理でございます。  この特定生物由来製品と生物由来製品の指定につきましては、議題2でまた御説明す る部分ではあります。ただし、生物由来製品臨時部会での純粋な科学的議論を踏まえま して、血液製剤代替医薬品と血液製剤とが医療現場で同じように代替して使われてお り、特定生物由来製品と生物由来製品というふうに分けて規制をかけるのではかえって 医療現場で混乱が生じるということから、血液製剤代替医薬品のうち生物由来製品につ いても、必要に応じて特定生物由来製品と同じ取扱いをするという整理をしておりま す。  これが(1)の二つ目の「・」のところでございますけれども、その真ん中ぐらいにあ る「なお」以下で、原則の取扱いとは別に、血液製剤代替医薬品のうち特定生物由来製 品ではないものにも、必要に応じてそれに準じた規制が求められるということを盛り込 んでおります。ここの「なお」以下ですけれども、「血液製剤代替医薬品のうち、生物 由来製品についても、第6節に示した患者(又は家族)への説明及び同意並びに記録の保 存等、必要に応じ、特定生物由来製品と同様に行う」という整理を考えております。た だし、血液製剤代替医薬品というのは非常にあいまいな概念であることから、血液製剤 代替医薬品で生物由来製品に該当するものはこの医薬品であって、その医薬品について は特定生物由来製品のこの規定を適用するかどうかを個別に判断して、通知でお示しし ていくという形でここは整理しております。  ちょっと説明が長くなりましたが、第8節を読み上げます。   第8節 その他献血及び血液製剤に関する重要事項   (1)血液製剤代替医薬品に関する事項   ・ 遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤を始めとする血液製剤代替医薬品は、血    液製剤の需給動向に重要な影響を与えるため、第5節に示したとおり、その計画    的な製造及び供給が行われる必要がある。   ・ また、血液製剤代替医薬品の安全対策については、第6節に示した改正薬事法    に基づく規制を適用することとする。すなわち、血液製剤代替医薬品のうち特定    生物由来製品については、血液製剤と同様に、その安全性の確保及び向上を図る    必要がある。なお、血液製剤代替医薬品のうち、生物由来製品についても、第6    節に示した患者(又は家族)への説明及び同意並びに記録の保存等、必要に応じ、    特定生物由来製品と同様に行うことが求められる。   ・ 血液製剤代替医薬品は、第7節に示したとおり、それぞれの患者に応じて適切    に、また適正に使用することが求められる。   ・ いわゆる人工血液等、新たに開発される血液製剤代替医薬品については、血液    製剤との比較において優れた安全性及び有効性を有するものの製品化が促進され    るよう、研究開発を推進する必要がある。   (2)血液製剤の表示   ・ 血液製剤については、特定生物由来製品に係る表示に加え、患者(又は家族)の    選択の機会を確保するため、製造業者等は、直接の容器又は直接の被包に、採血    国及び献血又は非献血の区別を表示することが必要である。   ・ また、血液製剤代替医薬品のうち、特定生物由来製品についても、採血国及び    献血又は非献血の区別を表示することが必要である。   (3)研究開発等における血液製剤の使用に関する基準作り   ・ 国民の善意の献血によって得られる血液を主たる原料とする血液製剤は有限で    貴重なものであり、その使用に当たっては、倫理的な観点からの慎重な配慮が必    要である。血液製剤の適用外使用により、本来の効能・効果を目的として供給さ    れる血液製剤が不足したり、医療に支障を生じることがあってはならない。   ・ しかしながら、研究開発等に当たり、人の血液を使用せざるを得ない場合もあ    るため、本来の効能・効果を目的とした血液製剤の供給に支障を生じないよう、    国は、研究開発等における血液製剤の使用に関する基準作りを行い、これを様々    な機会を通じて医療関係者に徹底させるものとする。   ・ 基準作りに当たっては、血液事業にかかわる者の意見を踏まえ、公正かつ透明    な審議を確保するものとする。  以上でございます。        ── 説明途中、清水委員、田中委員、花井委員着席 ── ○溝口部会長  どうもありがとうございました。お聞きしていまして、前回のたたき台に比べて委員 の先生方あるいはパブリックコメントをかなり大幅に取り入れて修正されているように 感じました。ただ、パブリックコメントなどで大幅に意見が違う、全く反対の意見も載 っていまして、そういう場合はたたき台のままになっているような印象を持っていま す。ここで委員の先生方の御意見を伺いたいのですが、又は御質問でも結構です。どう ぞ、大平委員。 ○大平委員  総論的なところで最初にお話しさせていただきたいと思います。昨年7月に血液法が 定まった中で、この先5年の基本計画と基本方針を今後策定していくことになるのだろ うと思います。しかし、まずは法の精神や理念がゆがんではならないというところを、 ひとつ踏まえていただきたいと思います。この法律案については、薬害エイズの教訓を 踏まえて国会での審議を経て、そして衆参全会一致で採択された意味深い法律であった ということを、是非もう一度改めて知っておいていただきたいと思います。  要点は、献血血液で安全な血液製剤の国内自給を達成するということが、一つの大き な課題でありました。それからまた血液製剤の代替製剤についても、安全性や安定供給 について同様の取扱いをしているということ、それからラベル表示や遡及調査、内外格 差のない安全基準の確立の管理、インフォームド・コンセント、医療者の責務など、新 しい観点からこの血液法の中には取り入れられていると思います。そういった問題で、 患者に安心して医療を提供できる、不慮の事故についても迅速な原因究明と改善、救済 につながる規制を課しているのが特徴だと考えています。  この監視及び血液政策に対して、患者が直接関与していくものでもありますし、また 国会審議で参議院の修正には附則や附帯決議がありました。本当に附帯決議の中がいか されているかどうかは、後で議論があるというところがありますけれども、衆議院の委 員会決議なども経て、血液法と改正薬事法で保障されていることを大臣が約束して成立 したという経緯があります。この国の最高機関が定めた法の基本精神、理念をゆがめた 審議がなされることは断じて許されないことだろうと考えます。まして、国の機関で公 に尽くすべき方々がたくさん参加されております。この基本精神を遵守して、その達成 に尽くすべきであると考えております。  言葉は悪いのですけれども、長い期間たなざらしにされてきたこの問題について、国 の毅然とした規制があってしかるべきで、これまでのダッチロールしてきた血液政策に おいて早く筋の通った法律を施行し、有効な手段を展開して目的を達成していっていた だきたいと考えています。事務局の方々もいろいろな意見を反映していただいていると 思いますけれども、言葉は悪いですが、逃げ道ばかりを探るのではなくきちんとした基 本方針を定めて、是非これから先5年のきちんとした国の血液政策を守っていけるよう な方針を作っていただきたいと考えています。その中でエンドユーザーの患者の立場か ら言いますと、血液とその代替する医薬品の安全性の確保やその向上、安定供給なども すぐ提供するように、是非心して精力を尽くしていただきたいと考えております。ちょ っと総論的なコメントなのですけれども、是非そういった観点で一番最初の法の精神を きちんと守って、この基本方針を作っていただきたいと考えております。よろしくお願 いいたします。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。今おっしゃったことは総論的なコメントで、後でど こがそういう総論に合わないかをそれぞれ御指摘いただきたいのですが。血液製剤の安 全と国内自給、代替との関係などについて、私は委員の方々の御意見が大幅に入ってい るように感じたので、またその後で御意見を伺いたいと思います。では清水先生、どう ぞ。 ○清水委員  今大平委員の言われたことは全くそのとおりだと思いますので、是非そういう努力を していただきたいです。総括的に見て、今まで議論されてきたことが大分取り入れられ て、私は比較的よくできているというふうに評価できるのではないかと思っております が、二、三、ちょっと御指摘して、できれば修正してもらいたいと思っております。  使用指針のことについては随分触れていて、確かにそれで結構なのですが、もう一つ は1999年に実施指針というものが使用指針と同時に厚生省から出されております。こち らの方は若い人は知らないかもしれませんが、昔あった「輸血に関し医師又は歯科医師 の準拠すべき基準」の代替として作られた、衛生局長通達という形になったものがござ いまして、そちらの方が特に院内における輸血体制の在り方についてはきちんとした内 容を踏まえております。具体的には6ページの上の方、第3節の「(5)血液製剤の適正 使用について」の下から4行目、「適正使用等に関する指針」のところに、「実施指針 」という言葉も入れていただきたいというのが一点。  それから同様に11ページの下の方、第7節の(1)にも「適正使用等」と書いてありま すが、「等」ではちょっと分かりにくいので、ここにもはっきりと「実施指針等」とい う形を入れていただくということ。もう一点、これはちょっと(1)とダブるかもしれま せんが、次のページにも「管理体制」と明確に打ち出されておりますので、「実施指針 に基づくなど」という形を入れる方がより具体的になるのではないかと思いますので、 是非それを入れていただけるように御検討いただきたい。  それからもう一つ、11ページに「(5)自己血輸血、院内血輸血の取扱い」という文言 がございます。これは昔から、院内採血に従来のあつせん業取締法を当てはめるのかど うなのかという議論が随分ありまして、幸いといいますか、具体的にその法律が適用さ れた事例はございません。しかし、厚生労働省が出している省令としても採血基準があ るわけでございますので、院内採血が必ずしもその基準どおりにできるとは限らないと いう事態は、当然予測しておかなければなりませんが、そうかといって無制限に歯止め なく院内採血をやっていいということにもならないであろうと。したがいまして言葉と しては、例えば「原則として」とか「可及的」など、要するに準拠し得る場合には採血 基準に準ずるものとすると。世間一般には日赤の採血基準ということが言われています が、あれは厚生労働省が定めた基準に基づいて、日赤が若干プラスアルファ等をして採 血基準を設けているわけで、厚生労働省が採血基準に対しては全面的な責任を負ってい るという現実がございます。したがいましてその採血基準に準ずると、あるいは原則と してとか、そういう逃げ道が若干あるように、しかし大幅にある程度の拘束力があるよ うな形での表現が望ましいと、あるいはそうすべきではないかと思います。  それから最後に、これは我々輸血学会の立場から非常に問題にしているところでござ いますけれども、12ページの「(2)院内体制の整備」の上から4行目、「輸血療法委員 会、輸血部門」とありますが、国立大学では輸血部がなくなってしまうのです。ですか ら、これについては局長等に輸血学会の方からお話が行っていることと思いますけれど も、必ずしも「輸血」という名前である必要性はないかと思うのですが、実態的に輸血 を統括する部門は絶対に必須のものだと思っておりますから、厚生労働省としては文部 科学省とやはりその辺を明確に位置付けられるような対応をしていただきたいという点 です。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。最後の件は、前回の第1回のときに柴田前東大教授 から強く発言があって、それから橋委員からもコメントが来て、それをこういう格好 で取り入れたと。また、もっと強くしろということであれば事務局におっしゃってくだ さい。 ○清水委員  それからもう一つ、8ページの「(4)災害時における献血の確保等」のところです。 これが、例えばニューヨークの9月11日の事件や阪神大震災のときなどに献血者がワー ッと集まって、特にニューヨークの場合には献血者が集まり過ぎてしまって検査キット が不足したという事態があり、しかもかなりの献血血液が破棄されたという実態がござ います。したがいまして、確かに緊急時に対応できるような献血受入れ体制を検討して 持っていることは大事ですけれども、献血志向性を更に維持しながら、必要性があった 場合に延期してもらうという配慮も場合によっては非常に大事な問題だろうと思ってい るわけです。したがいまして、逆にそういう事態もあるのだということ、献血者が来過 ぎてしまっても困るという問題もあります。要するにこれは有効期限の問題とのかかわ り合いということになりますので、ちょっと難しいかもしれませんけれども、その辺も 若干配慮した表現を御検討いただければと思います。以上でございます。 ○溝口部会長  小幡委員、何かお時間の都合があるというので、先に御発言を希望されておられます が、どうぞ。 ○小幡委員  まず法律的な観点、外在的なところから申し上げたいのです。新血液法と改正薬事法 の条文を今事務方に頼んだのですが、ちょっとまだ来ていないようで、技術的なことも ございますので、それは後で事務局の方で御説明いただいてもよろしいと思います。こ の第9条に基づく基本方針の中に様々なものがございまして、例えば行政指導でやって いくのか、あるいは改正薬事法に基づく権限であるのかということを、意識して使った 方がよろしいのではないかと思います。  例えば8ページの一番最後に「需給計画を尊重して適正に製造及び供給が行われるよ う、必要に応じ、勧告等の措置」とございますけれども、これはどういう形でなされる のか、行政指導という形になるのか。それから9ページのところに「標準的な価格を規 定」などとあります。法律に基づく基本方針でございますけれども、この辺もこの後ど のようにしていくのかということをお考えいただいた方がよろしいかと思います。それ から、10ページの遡及調査の記録の作成保存は恐らく法律に基づくものだと思いますけ れども、そのページの最後のところで「記録の保存については、遡及調査を速やかに実 施できるような措置を講ずる」と、これは大変大事なことだと思いますけれども、どの ような形の措置にするのかということでございます。それから、11ページの(3)の一番 最後にある「原因の究明、改善措置の指示」は何に基づく指示なのか。今お答えいただ かなくてよろしいのですけれども、多少そういうことを意識した形で、法律に基づく権 限の行使であるのか、あるいはそうではない形になるのかということについて、クリア に認識しておいた方がよろしいのではないかと思います。  それからもう一点、これはこれから議論になるところなのだろうと思いますけれど も、12ページの第8節の(1)でございます。要するに生物由来製品か特定生物由来製品 になるかというカテゴリーは、恐らくこれから御説明があるのだと思いますけれども、 大変大事なことだろうと思います。さらに先ほど御説明がありましたように、そこで血 液製剤代替医薬品の辺りの概念が大変難しいと。正にそういうことだろうと思うのです が、「なお、血液製剤代替医薬品のうち、生物由来製品についても、第6節に示した患 者(又は家族)への説明及び同意並びに記録の保存等、必要に応じ、特定生物由来製品と 同様に行うことが求められる」という書き方でございますけれども、やはり多少予測可 能性がない…。これは業者にとっても予測可能性はないし、それから患者の立場からも 非常にある意味では裁量性の大きい書き方になっております。必要に応じ求められると いうことでございますが、今の段階ではなかなかこれ以上の書き方がないということか もしれませんけれども、もう少しクリアな形に文章化できないかと考えております。こ れですと恐らく両方の立場から大変安定性がない形に…、個別に通知するというお話も ございましたけれども、それはどういう判断基準でやっていくのかということについ て、もう少しクリアにしていく必要があるのではないかと思います。 ○溝口部会長  行政指導、通知なども含めて、この辺をどういう形でやるかということについて、事 務局は何かありますか。 ○血液対策課長  この基本指針はまず施行のときに告示という形で出されるのですが、それを受けて関 連通知がそれぞれ何本も出るわけです。需給計画などの明確に定められているものは法 に基づいておりますし、そうでないものも当然この基本指針に盛り込まれて、告示に書 いてあるものを通知という形で行政指導を行うなど、様々な関連通知がたくさん出ます ので、その辺の性格付けは通知ごとに判断をすることになるかと思います。 ○小幡委員  ですから、基本方針の段階でいろいろなものが入っているということになりますね。 ○血液対策課長  基本方針でこれこれについて定めるべしという項目が1〜8まであるわけですけれど も、項目によっては法に基づく根拠が明確なものもあればそうでないものもあります。 そういうものを全部含めて基本方針を作ることになっていますので、混在しているとい うことが運命付けられている基本方針になっております。 ○溝口部会長  先ほどの生物由来製品のうち特定生物由来製品として扱うかどうかというところは、 先生はいらっしゃらなくなるかもしれませんが、議題2でよろしゅうございますか。 ○小幡委員  それから第一点のところなのですが、もちろん混在していると思うのですけれども、 当然その次は基本方針を受けて、正におっしゃいましたように告示にして通知でやって いくなどの作業がございますよね。そうすると当然意識としてはおありになると思うの で、その辺は言葉遣いも含めて少し意識した書きぶりの方がよろしいかということで す。 ○血液対策課長  実は言葉遣いの問題があるのですが、私どものルールといたしまして告示で出す以上 は、今日ここで基本方針がまとまった後に法令審査を通じるわけで、その段階で「てに をは」や表現の整合性などの微修正はチェックがなされるものでございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。ほかには何かございますか。清水委員の言った「実 施指針」という言葉を入れろという御指摘は事務局いかがですか。 ○血液対策課長  今の実施指針のその辺の表現ぶりについては、御意見を踏まえて考えさせていただき ます。 ○溝口部会長  分かりました。ほかにどなたか御意見はありますか。橋委員、どうぞ。 ○橋委員  清水先生がおっしゃったことと重なる部分があるのですが、前文あるいは第1節の書 きぶりを見ていますと、血液の安全性確保や安定供給と適正輸血との関係が余り明確で はない気がするのです。例えば、「HIV感染問題という、深甚な苦難を経験してお り、これを教訓として」ということなのですが、現実には安全な血液はあったけれど も、それが十分ではなかったと、使い方が一方で多過ぎたために確保されなかったとい う部分があるわけです。つまり安全性を確保するためには、適正輸血を相当推進しなく てはうまくないのだということが非常にはっきりしておりますから、その関係をもう少 し明確になるように書くべきではないかと。例えば第1節の「(2)国内自給原則、安定 供給の確保」の2行目に、「倫理性、国際的公平性等の観点に立脚し」と書いてありま すけれども、それ以上にと言うと語弊があるかもしれませんが、「血液の安全性確保に も大きな関係があることから」とか、適正輸血が非常に重要であることを是非盛り込ん でいただきたいということが一つでございます。  それからこの文言を拝見していますと、国がかなり積極的に関与するということが盛 り込まれているのですけれども、医療機関にどういうことをやらせるかというのが余り 明確になっていない感じがいたします。例えば第1節の3ページの上から5行目です が、「国は、血液製剤の使用実態を正確に把握し、それぞれの患者に応じて適切に血液 製剤が使われるよう」うんぬんとなっていますけれども、ダイレクトに国が各医療機関 の使用実態を正確に把握するということよりも、まず各医療機関が血液製剤の使用実態 をそれぞれ正確に把握して問題を整理することが基本だろうと思うのです。それを国が 吸い上げて、どこに問題があってどのように変えていかなければいけないかということ を進めていくべきではないかと思うのです。  そういう観点から意見書で出していることですけれども、先ほど清水先生もおっしゃ いましたが、第7節の実際に今まで指針やガイドラインがずっと出されてきて、なぜ適 正輸血が進まなかったかというところに迫るためには、それぞれの主治医の輸血の適応 決定に関してある程度の制約を課す以外にないわけです。医療機関の中でそれを進めて いく必要があると思うのです。そういう意味で、先ほど清水先生が言われたような血液 製剤の使用指針のほかに「輸血療法の実施に関する指針」という文言を入れるととも に、輸血部門と輸血療法委員会のほかに輸血責任医師の存在を是非入れていただきた い。  それから私が申し上げているのは、実際に実務として輸血が行われる際に、医療機関 の中で中心的にそれについて関心を持つ部門が必要ですし、それについて働き掛ける核 が必要であるということです。そういう核が基になって、学生や医療従事者に対して教 育及び研修を積極的に実施して、適正輸血が進むように努力するのだというふうに持っ ていかないとうまくないと思うのです。  もう一つ、ちょっと冒頭に申し上げたような血液の安全性確保や安定供給と適正輸血 が平面的に並べられている感じがするのです。かなり有機的な問題ですし、一方で製造 者に対しては計画を求めて、またその達成度合いをチェックするという格好になってい るわけですけれども、これを実効あるものとするためには、私は何といっても適正輸血 をどれだけ推進できるかということだと思うのです。当時の厚生省がガイドラインを出 して、清水先生のような知恵袋があってずっと20年近く推し進めてきたことがうまくい かなかったのは、この法律のようなバックボーンがなかったからだと思うのです。せっ かくこのバックボーンができたので、それを基に各医療機関にしっかりした案を求めて それにふさわしい体制を作らせると。その結果をまた国がチェックするということを、 一番の根幹にしていただきたいと思います。 ○溝口部会長  この基本方針を見まして、私もまず「国が」という言葉が非常に多く出てきているの を印象深く感じたのですが、それはこの前の血液事業部会での議論において、やはり国 のいろいろな責務ということが強く言われまして、それが反映したのではないかと私は 個人的に思っています。教育の問題ももちろんそうです。安全性の向上と安定供給はも ちろんリンクしたものでありまして、安定供給の中に需給見通しとか代替医薬品や献血 推進や適正使用が全部入ってきていると考えます。私はそれらがきちんと書かれている ように思っているのですが、いかがでしょうか。 ○橋委員  結局適正使用をしないと安定自給もおぼつかないという…。 ○溝口部会長  適正使用は安定供給の条件ですので…。 ○橋委員  ものすごく大きな条件だと思います。 ○溝口部会長  ほかにどなたかありますか。三星委員、どうぞ。 ○三星委員  9ページの「(3)原料血漿の配分」の問題でございます。これは御存じのとおり毎日 新聞問題が起きまして、我々献血の奉仕団体が現在も大変困っていることでございま す。現在としては三者合意といいますか、国と日赤と製薬会社で御相談の上にいろいろ と決めているようでございますが、これによりますと審議会におけることになるという ことで、何か一歩後退であるような感じがいたします。この問題はいつでも献血で会議 をすると何だかんだと尾を引きますので、はっきりと原料血漿の配分が厚生労働大臣の 指示に基づき行われるということを的確に書いていただきたいと思っていますが、いか がでございましょうか。  それからもう一つ、4〜5ページにわたるところでございます。国内自給の考え方 で、血液凝固第VIII因子製剤のところは「すべて国内献血で賄われている」と書いてご ざいますけれども、これはなっておりませんので、御訂正なりをしていただきたいと思 います。 ○溝口部会長  事務局からどうぞ。 ○血液対策課長  今二点の御質問がございました。まず、原料血漿の配分は明確に国が定める需給計画 で、ここにも「製造業者への血漿配分量を規定する」と書き込んでおりますし、法に基 づく需給計画を国が自ら行うということになっていますので、私どもは従来よりもかな り強い国の関与の姿勢を表現してございます。それから先ほどの血液凝固第VIII因子製 剤ですけれども、遺伝子組換え製品を除けば国内自給が達成されてございます。 ○溝口部会長  三星委員、今おっしゃった9ページのところの最初に「国は」と書いてありまして、 これは大臣であるのと同じではないかと思いますが。 ○三星委員  前回の毎日新聞のときはお役所自身も逃げられて、実際問題はっきりとしていただけ なかったので、現在までもそのあれが残っております。ですから今回ははっきりとして いただきたいと思います。やはりこれから献血者も減るだろうという情勢の下でござい ますので、我々も頑張っていかなければいけないわけでございます。安心して奉仕団体 が御協力できるような体制をとっていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○溝口部会長  ほかにどなたか御意見、御質問はありますか。森委員。 ○森委員  11ページですが、せっかく適正使用を定めているのですけれども、保険の基準と適正 使用の基準が合っていないところがあるのです。適正使用の方が範囲が狭くて保険の方 が範囲が広いという部分があるので、適正使用で決めたものは同じ厚生労働省の他の部 門に即反映できる形にしていただきたいと思います。  それからもう一つ、私たちが頂く資料ではどれだけ採血されたかが見えている、それ からどれだけ使用されたかが見えているのですが、採血した部分のどれだけが使用され たか、要するに100%有効に使用されているのかどうかというところが見えないのです けれども、その辺はきちんと使用されているのでしょうか。無駄になっていないのかと いうことをお伺いしておきたいのが二点目です。  それから三点目は12ページの「(2)院内体制の整備」のところなのですが、適正使 用、それからその管理ということはあるのですが、副作用調査も最終使用のところがあ る程度責任を負うべきではないかと思いますけれども、その辺を入れることはできない でしょうか。以上です。 ○溝口部会長  事務局いかがですか。 ○血液対策課長  今三点御質問がありました。まず保険当局との連携ですけれども、保険の審査の考え 方というのは保険財源との関係で示されているのですが、基本的な観点は医師が目の前 の患者に対して必要な治療を行ったことに対する保険の査定だと思います。例えば医薬 品の添付文書にしてもこのガイドラインについてもあくまで適正使用の指針でございま して、目の前の患者に応じていかなる使い方をしているかということは医師の裁量にあ る程度幅があるところですので、保険のサイドはそれが適正に行われているかどうかを 精査しているものと考えております。適正使用というのはガイドラインをぎちぎちに守 ることが問題ではなくて、ガイドラインがあって、それに照らして日常的に適正使用の 状況をチェックしているのか、チェックする体制にあるのか、その辺が大事なポイント であるかと思いますので、そういう観点で今後の適正使用の行政は進めていきたく思っ ております。ですから、ガイドラインという使い方を示しておりますけれども、それが この使い方どおりになっている、いないという物差しをそのまま当てるかどうかはその 部局の考え方の問題であるかと思いますので、私ども事務当局といたしましては、両方 統一すべしということに対しては、それぞれの物差しの当て方でやるべきであるという 考え方を持っております。  次に無駄になっているかいないかというところですけれども、医療現場での需要に対 して供給が多くなり過ぎましたら、当然のことながら無駄になってまいります。また、 そういう側面も今までの血液行政の中ではあったかと思いますけれども、今回基本方針 の中で盛り込んでいますが、その辺の流通の状況については今後この審議会等の場にお きまして、情報に関して透明性を確保しながらやっていく予定でございます。  それから副作用に関しましては、薬事法体系の中で副作用の報告体制がきちんと実施 されることになりましたので、それは薬事法体系の中で担保されるものでありますし、 ここにも該当箇所ではそれなりの表現はさせていただいているつもりでございます。               ── 小幡委員退席 ── ○溝口部会長  保険の審査では現場でそこまでやっているかどうか、いわゆる適正基準に従っている かどうかというのはなかなか立ち入り難いですね。やはりその役目は先ほどの輸血部で あるとか輸血療法委員会というものを設置してもらって、院内での指導が一番大事では ないかと。正にそれは清水先生、橋先生のおっしゃっていることだと思います。  それから最後の医療従事者の責務というのはかなりはっきりうたわれておりますの で、やはりその中にいろいろ副作用その他の情報を提供すると出ていますし、10ぺージ にも特定生物由来製品を使用する場合の医療従事者、関係者の厳しい責務が書いてあり ますので、私はそれで十分果たされるのではないかと考えています。幕内委員、どう ぞ。 ○幕内委員  この案でございますと、原料血漿及び血漿分画製剤の確保という意味では非常によく 配慮されて、よくできていると評価されるものだと思います。しかし、4ぺージの第2 節の「(1)輸血用血液製剤の需給の現状及び今後の見通し」で、「輸血用血液製剤は、 昭和49年以降、すべて国内献血で賄われており、今後ともこの状態が確保される見通し である」というのは、現場の感覚とは極めてかけ離れております。それはどういう点か と申しますと、採った血液はすぐ分離してしまって、今私たちは全血が欲しいときに全 く手に入らないのです。恐らく全血の需要の8割以上はMAPプラスFFPで行われて います。この実態に合っていないですね。厚生労働省の方は、全血が必要なときにどの 程度MAPプラスFFPで輸血が行われているかという現状を押さえておられるのでし ょうか。例えば、日赤の血液をたくさん使ってしまって申し訳ないのですけれども、私 たちがやる肝臓の移植や肝硬変の患者さんの治療、肝切除ということになりますと、非 常にたくさん全血が必要なのですが、ほとんど手に入らないですね。全血が手に入るこ とは極めてまれでございます。その辺の実態の認識が必要です。ですから(2)、(3)は 何万Lという形で非常に正確に記載されているにもかかわらず、全血の確保に関しては 全く行われていない。MAPプラスFFPでは感染性が倍になるわけですから、是非と も改善していただきたい。要するに血液分画製剤が必要な方の意見が非常に強く現れて いて、もう一方で一般の患者さんの権利の保護が片手落ちになっているというのが現状 なのですね。それではやはり困るわけです。  それからもう一つの問題は医療費です。現場では一体幾ら値段が違うのかということ をお答え願いたいと思います。例えば400ccの全血を使うのと、それをMAPとFFP で輸血するのとでは幾ら違うのか。大変なことが実際は起こっているわけです。この制 度は医療費を倍加することに力を貸しています。そうあってはならないはずですね。や はり全血、特に新鮮血については医薬品として承認されていないので、この血液製剤の 案には含まれないという話もあるわけです。新鮮血が実際に必要なことは臨床上経験す るところで、現実に新鮮血を確保しようとすると院内採血でやらざるを得ないというこ とになっておりまして、80年代の院内採血を何とか少なくしようという、20年前に逆行 するような形になってしまうわけです。それでは非常に困るので、(2)、(3)と同じよ うな形で(1)に全血の確保量を細かく記載して、厚生労働省が把握すべきは全国で全血 輸血が必要な患者さんにMAPプラスFFPでどのくらい行われているのか、そしてそ のために医療費がどのくらい無駄遣いになっているのか。日赤の悪口は言いたくないで すけれども、要するに同じ原材料で日赤へどの程度余計にお金が入っているのかという 実態も把握していただきたいと思っています。 ○溝口部会長  血液の使用に関しては、前にこの血液事業部会で議論したときに、輸血学会の提案を 基礎にして適正使用の基準を決めたのですね。主なお仕事は清水先生が基の案を作成さ れたのだと思うのですが、そのときに適正基準は多くの場合いわゆるEBMに基づいて 作られているのですけれども、肝移植のときの全血輸血の有用性に関する議論がちょっ となかったような気がするのです。 ○幕内委員  例えば肝硬変や広範囲肝切除といったことに関するエビデンスはほとんどないと思い ます。そういうペーパーは出ていないですよね。 ○溝口部会長  移植で全血がいいという有用性に関するエビデンスがあるのですか。 ○幕内委員  全血どころではなくて、血液製剤を浴びるように使っているわけです。例えば血小板 などは一晩で200単位とか、大量に使う場合もあります。術後は腹水及び胸水が1日10L とかいうときに、私たちは保険でほとんど全部削られてしまうわけですよね。これは悲 惨な状態です。移植をやるなと言うのかと感じてしまうぐらいの現状でございます。こ の点は非常にアンバランスな状態になっているので、是非適正な方策をお願いしたい し、やはり臨床側では個々の患者さんが大事ですから、十把一からげに網を掛けるので はなくて、まれな症例も含めて細かい基準の作り方をお願いしたいと思います。 ○溝口部会長  池田先生、何かございますか。 ○池田委員  今幕内先生がおっしゃったように、医療の形態がやはり刻々と変わってきている、そ れから対象患者も、あるいは治療法も変わってきているという状況で適正使用を推進す るというのはなかなか難しい問題があると思うのです。私はこれを見て、幕内先生がお っしゃっているのも非常に大事な点だとは思うのですけれども、この基本方針全体はや はり国が血液事業を担っていく、一つの責任を持っているということに対してよく書か れていると思うのです。もう一つは今の幕内先生の例を見ても分かるように、「国が」 と書いてあるのですけれども、やはり医療機関がそれぞれ果たすべき責務をもう少しき ちんと書いてもいいのではないかと。例えば使用実態は毎年きちんと正確に報告ができ るようにしておけば、幕内先生の病院であるように、こういう医療をやっているところ はこういうふうになるのだということが実態としてすぐに上がってくると思うのです。 ですから国の責務、そして医療従事者のなすべきことも書いてあるのですけれども、医 療機関として果たすべき責務を、例えば使用実態は把握せざるを得ないし、やはりすべ きだと思うのです。それから先ほど院内体制の整備ということで、適正使用というのは 今までいろいろな方が努力してきたけれども、なかなか実効が上がらないと。それは院 内体制の整備ということではなくて、医療機関の責務と並びに院内体制の整備という格 好で、例えばここで使用指針、実施指針をどのように遵守するか、あるいはそれらを守 るためにどういう体制をとらなければいけないか、または副作用の報告はどのようにし ていかなければいけないかということを書いた方が、非常に分かりやすいのではないか と思いました。今幕内先生の御意見を聞いて、なおさらその感を強くしたのですが。 ○溝口部会長  よろしゅうございますか、事務局。それはよろしくお願いしたいと思います。 ○幕内委員  要するに(1)のところにきちんと具体的に全血、新鮮血、その他の目標的な数値を示 してほしいのです。そうしませんと、日赤の方は採る端からどんどん分離してしまうと いうのが実態で、全血が手に入らないのです。それではやはり困るので、その辺の到達 目標をきちんと示してほしいと思います。 ○溝口部会長  その辺は清水先生が先ほどから手を挙げていらっしゃいますが、いかがですか。 ○清水委員  まず森先生の言われた保険医療とのかかわり合いについて、今日は局長もおいでにな るのでちょっと理解しておいていただきたいのですが、同じ厚生労働省の中で適正使用 を推進することと保険医療による査定という問題は、やはりかなりぶつかるのですね。 と申しますのは、例えば新鮮凍結血漿を使用する場合の使用指針は、凝固系の検査をや った上で使用するということを一応原則として貫いているわけです。そうすると、検査 を月に何回もやると検査の査定が起こると。しかし、新鮮凍結血漿よりもむしろ検査の 方が本当は安いのですね。ですから、検査をやらないで凍結血漿を使った方がトータル としての医療費は高くつくと。それにもかかわらず、頻回に検査をやると削られるとい う現実が一つあるわけです。したがいまして、血液対策課長は非常に苦しい答弁をされ たように私は理解したのですけれども、やはり一つの局の中での対応の違いが、結果と しては現場の適正使用の推進を阻害しているような部分があると。これはやはり是正し ていただきたい。使用指針には少し遠慮がちに、一応保険審査のガイドラインとして使 うことを意図してはいないけれども、これに基づいて適正な輸血が行われることを期待 するものであるというような表現が入っているわけです。その辺のところを非常に微妙 な表現としたといういきさつがございますから、結果としてどちらが安上がりになるの かという観点からも是非御検討いただきたいと思うわけです。  それから森先生の言われた第二点の、採血量と使用量との差というのは一体どうなっ ているのかと。アメリカのあるコミュニティー、ブラッドセンターを訪ねたときに、採 血量はこれだけ、供給量はこれだけ、そして製造工程で破損された本数はこれだけ、未 使用分はこれだけということがきちんと一覧表として出ていて、帳じりがぴたっと合う ような形の表現になっているのです。これは大分前のことになりますが、愛の献血が燃 やされているという衝撃的なタイトルでテレビに出たことがあるのですけれども、都の 献血推進協議会でマスコミの方がおられて、一体日赤のデータのどこを見たら血液が余 っているのかが分からないと言うのです。私どもの立場で見ると大体こういうことであ ろうかと思うのですが、もちろん分からない部分もあります。したがって、そのような 使われなかった部分もきちんと記載をするということが、やはり理解を深めるための一 つの方針になるのではないかと思っております。  第三点については、薬事法の問題だということでよろしいと思います。  それから幕内先生の全血うんぬんにつきましては、話すと1時間以上掛かりますの で、場合によっては個別に日赤等とお話をしていただいて、血液事業の在り方、それか ら実際の有効性の問題等について議論をしていただいた上で、また議論された方がよろ しいのではないかなと思うのです。現状について一言だけ申し上げますと、今の血液事 業では高単位製剤が使用できるようになってまいりました。ですから200ccの全血を使 った時代に比べますと、我々は「抱き合わせ輸血」と言っておりますけれども、抱き合 わせ輸血はたとえNAT検査が導入される以前であったとしても、高単位製剤の組合せ によって安全性が数段高くなっているという現実もあるということだけ、ちょっと申し 添えておきたいと思っております。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。ちょっと幕内先生、時間が余りなくなってきており ます。大体御意見は本当は前もって頂いていると思うのですが。どうぞ。 ○幕内委員  私は書いて出してありますけれども、要するに例えば400mL由来の新鮮血あるいは全 血を使うと1万800円〜1万900円、それをMAPプラスFFPで置き換えたときはその 倍の値段がかかるわけです。全血とMAPとFFPは、400cc由来だとすると値段は全 部同じなのです。その実態をよくわきまえてほしいと思います。この辺は全血について も、もうきちんと確保されて大丈夫だ、万歳、万歳と言っているのだけれども、これは 優先的に原料血漿の確保をしているために全血の確保がおろそかになっているわけで す。その辺について是非ともお考え願いたいと。これは全体の医療費の倍加にも非常に 貢献しているわけですね。ですから、ここの(1)で全血についてもきちんと確保するの だと、その目標値はどのくらいの量なのかということをはっきりと示してほしいと思い ます。 ○血液対策課長  検討させていただきますが、基本的には需給のミスマッチが起きないようにするとい うことが大事であろうと思いますし、これは告示事項でございますので、そのような需 要に応じた供給という精神を盛り込む形で修正を検討したく思っております。 ○溝口部会長  時間が余りなくなりましたが、花井委員、できるだけ簡潔によろしくお願いいたしま す。 ○花井委員  私はもう意見を紙で大量に出しておりますので、今までの議論を踏まえたところで一 点だけ。私たちは適正使用ということをついぎちぎちとした使用抑制であると解しがち ですけれども、患者の立場から言えば基本は患者が安心して良質な医療を受けられる医 療環境に血液製剤が使われるということを前提に、適正使用が推進されることを期待す るものであります。  それから医療機関の適正使用に関する責務の部分で、先ほどから文部科学省との連携 が言われておりますけれども、これは11ぺージの第7節の(1)にある適正使用のところ に、例えば主語として医療教育等においてもうんぬん、文部科学省と連携し等の文言を 明確に入れることによって…。先ほど同じ省内でも保険局との連携の困難さが指摘され ているところでありますので、ましてや他省庁となるとなかなか困難なことは承知でご ざいますけれども、これは基本方針ですので、やはり明確に文部科学省との連携を明文 化することが可能でしたら、是非お願いしたいと考えます。ほかのいわゆる安全性に関 すること等につきましては、また生物由来、特定生物由来のところで論点になると思い ますので、ここでは是非これだけ盛り込んでいただきたいということです。 ○溝口部会長  確かに御意見を読ませていただいて、卒前教育のところが抜けているという感じがし ましたが、その辺も是非考慮していただきたいと思います。 ○花井委員  これは政策医療や感染症対策の分野でも盛り込まれている場合もありますし、それか らこういう場に文部科学省の担当者の方に参考人というか、オブザーバーとして来てい ただいてディスカッションするということもとても有効だと思います。具体的なパイプ を作って話し合うことで非常に前進するということを、私も経験上いろいろな場面で見 ておりますので、やはり文部科学省との連携を明文化しておくことは有効ではないかと 思います。それに伴う事務手続の困難さも承知の上で言っておりますけれども、それは 是非御努力をお願いしたいということです。 ○溝口部会長  事務局、よろしくお願いします。最後に吉澤委員。 ○吉澤委員  国内自給についてですが、1ぺージに血液製剤の「国内自給が推進されるよう」とな っているのですけれども、この文章はされていない現状にあるということを意味するわ けですか。最初に自給をというふうにうたっていて、12ぺージの「(2)血液製剤の表示 」のところには「採血国及び献血又は非献血の区別を表示する」とあります。自給に関 しては輸血用の血液製剤を言っているのは分かるのですが、分画製剤の原料血漿に関し ても自給ということを目指しているのでしょうね。 ○溝口部会長  そのとおりだと思いますけれども、事務局の方いかがですか。 ○吉澤委員  そうしますとこの12ぺージの記述はどうして必要になるのですか。これは最終的に製 品として入ってくるものについての表示のことなのでしょうか。 ○血液対策課長  国内自給を目指しておりますが、まだ達成されていませんので、当然採血国が日本で ないことはあり得るということです。 ○吉澤委員  国内で供給される原料血漿の安全性と外国から入ってくる原料血漿の安全性との基準 についてはどこにも書かれておりませんが、本来から言えばその安全性に関しては国内 由来の原料も外国から入ってくる原料も同等であるべきだと思うのですけれども、それ に関しては何か記載は必要ないのでしょうか。 ○血液対策課長  記載と申しますとこれは規制の方で、生物学的製剤基準で安全性を担保するという法 的枠組みで行っているところでございます。 ○溝口部会長  ということです。あと二つ議題が残っていて、早川先生に大分長くお待ちいただいて おりますので、一応前もって頂いておいた御意見、また現在の御意見につきましては、 事務局にその中身をできるだけ取り入れて修正していただくようにします。それから先 ほど小幡委員の質問に対して課長が答えましたが、法令的な観点から審査をする必要が ありますので、その修正につきましても一応私、部会長にお任せいただければと思いま すけれども、よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。  早川先生、大変遅くなって申し訳ございませんが、二つ目の議題で生物由来製品臨時 部会の審議結果について御報告いただけると。 ○早川参考委員  早川でございます。それでは生物由来製品臨時部会での件について御報告申し上げま す。この部会では、改正薬事法の生物由来製品の施行に関する技術的な事項である生物 由来製品の指定、それから生物由来製品の記録の保管、生物由来原料の取扱いに関する 生物由来原料基準、さらに表示と、この四項目について10月から審議を行いました。1 月10日の審議におきまして、これらに対する臨時部会としての成案を見ましたので、こ れをお示ししている次第でございます。  その中での議論といたしましては、薬事法規制のよりどころとなる科学的な立脚点か らの議論を中心におきまして、さらにはその科学的評価に関する国際的な整合性を踏ま えて議論を行ってきたということでございます。内容についての経過は、昨年12月18日 の臨時部会の審議の後に資料を暫定的に公表いたしまして、事務局を通じて血液事業部 会の委員の方々にも御意見を承ったというところでございます。本日は血液事業部会に おいて改めてその部会での審議内容を御紹介して、部会からの御意見があればお伺いし たいと考えている次第でございます。内容につきましては、事務局の方から御紹介いた だけるかと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  生物由来製品臨時部会の事務局でございます審査管理課の方から、部会の審議経過及 び結果につきまして御紹介させていただきたいと思います。お手元の資料Dというワン セットが、平成15年1月10日の生物由来製品臨時部会の資料でございます。今部会長か ら御紹介があったように論点としては四つございまして、一番最初の資料1のグループ が生物由来製品の指定に関して、資料2が生物由来製品の記録の保存に関して、資料3 のグループが生物由来原料基準に関して、資料4が表示に関してということでありま す。先ほど来論点となっていた生物由来製品、特定生物由来製品に関する部分につきま しては、2枚おめくりいただいた資料1-1のところでございますけれども、こちらに沿 って簡単に御説明申し上げたいと思っております。  この指定についてですけれども、御案内のとおり改正薬事法におきましては、生物由 来製品及び特定生物由来製品という二つの定義が第2条第6項にございます。まず、 「(2)『生物由来製品』とは、人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原材料 として製造される医薬品・医療機器等のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとし て、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう」と。こ の「保健衛生上の特別の注意」という部分は、国会でも御審議がありましたように、感 染症を主とするリスクという観点で評価をしているものでございます。(1)の「『特定 生物由来製品』とは」というところで、この「生物由来製品のうち、市販後において当 該製品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが必 要なものであって」という部分が上乗せになってございます。いわゆる感染症の発生リ スクの蓋然性が高い、又はその危害発生や拡大を防止するための措置を特段講じていく 必要があるということでの薬事法上の定義がなされているものでございます。  この1ぺージの2以降、実際にこの指定の分類をどのように行っているかという考え 方を示させていただいております。まず、「特定生物由来製品については、製品におけ る感染症の発生リスクが理論的にも、かつ、経験的にもより高いものであり」と書いて ありますけれども、その特徴として(1)、(2)と二つございます。(1)としましては、人 ・動物から得られた原料を使用するものであって、ある種の処理というものに限界があ ると。また(2)としては、不特定多数の方から原料を集めて持ってくるものであるとい う特徴が書かれております。  引き続きまして、2ぺージの特定ではない方の生物由来製品でございますけれども、 一応この製品における感染症の発生リスクはあるわけでございます。ここに書いてある 三つの類型がございまして、一つは微生物、細菌、ウイルス等を原料としていると。 (2)としては人又は動物の管理された細胞株又は個体という部分で、いわゆる動物細胞 等を用いて遺伝子組換えをして製造されるようなものと書かれております。(3)は健康 な動物から得られた原料という部分で、動物から抽出されたような成分、これは「ヘパ リン等の動物抽出成分」と書いてございますけれども、そういったものが生物由来製品 に該当するという形での類型をとってございます。  お時間もございませんので、特にこの部会に関係する論点の部分だけ御紹介させてい ただきます。このような考え方に基づいて指定させていただいていますが、3ぺージで ございますけれども、特定生物由来製品、生物由来製品の境界となる部分についても当 然審議を行ってきております。例えば人血液成分を製造工程中で使用する、具体的には アルブミンとかそういったものを遺伝子組換え製剤等の安定剤や、遺伝子組換え製剤を 製造する際の細胞の培地等に使用する場合においては、その量的又は使用期間等のリス クを評価いたしまして、血液製剤と同等のリスクがあるものについては原則的には特定 生物由来製品と、それ以外のものは生物由来製品に指定をするといった考え方で切り分 けを行ってきたという議論でございます。  結果的にアウトプットとしてどういうものが指定をされているかということが、次の 資料1-2-1という部分でございます。これは全体で6ぺージの資料でございますが、要 点をかいつまんで御説明申し上げますと、先ほどの考えにもお示しさせていただいてい るように、特定生物由来製品につきましてほとんどは血液製剤が指定されております。 またその血液製剤との関係で申し上げると、2ぺージのところにオクトコグアルファ、 ルリオクトコグアルファというものが書いてありますけれども、遺伝子組換えの第VIII 因子製剤、現在3製剤ございますが、これらにつきましても特定生物由来製品という形 で指定されております。こちらは具体的には血液製剤ではございませんけれども、実際 に使っているアルブミン等のリスクも全体的に踏まえた上で、こちらの方に指定されて いるということでございます。  その他、2以降が生物由来製品という形で指定をされておりまして、多くはワクチン や一般の遺伝子組換え製剤等が指定されておりますけれども、当部会との関係で申し上 げますと、遺伝子組換えの第VII因子製剤はこちらの生物由来製品に指定されている案 をお示しさせていただいている次第でございます。先ほど具体的に生物由来製品につい て、血液製剤と代替するものについての蓋然性が分かりにくいというお話がございまし たけれども、現在市場にあるもの、現在承認されて販売されているものという範囲にお いてであれば、遺伝子組換え第VIII因子製剤及び遺伝子組換え第VII因子製剤というこ とかと思います。それはこちらの指定成分一覧の方にもございますけれども、第VIII因 子につきましては特定生物由来製品、第VII因子につきましては生物由来製品というこ とで、この成分一覧で明確にさせていただいております。なお、当然これからいろいろ な製品が開発されてまいりますが、そういったものがこの区分、特定生物由来製品、生 物由来製品の指定に当たるかどうかにつきましては、実際に承認をする際に個別に判断 をしていくと。また、その個別に判断されたものはこういうリストの中に追加させてい ただいて、厚生労働大臣の告示という形で公表していくということを考えてございま す。  以上が指定の関係でございますけれども、次に記録の保存という二つ目の論点につき ましては、改正薬事法第68条の9に基づきまして厚生労働省令、施行規則という形で出 されたものであります。この資料Dのセットの中では大分後ろの方になってまいります けれども、資料2というところでございます。生物由来製品につきましては関係者が適 切に記録を保存するということでございまして、基本はその承認取得者において製品の 受渡し先、譲受人の住所、氏名等を定めると。また、その販売業者・賃貸業者において は、販売等の記録を承認取得者に提供すると。また、特定生物由来製品におきまして は、医師その他医療関係者によって実際に使用された患者さんの氏名、住所等の記録を 保存していただくということが、法的にも定められております。  そういった中で、生物由来製品臨時部会での科学的な御審議におきまして、こういっ た記録を指定の区分に基づいて具体的にどういう期間保管いただくかということでござ います。それを結論的に言いますと、1ぺージめくっていただきまして、表1にお示し したような形での審議結果を現在頂いております。基本的に血液製剤等の人血液を使用 するものにつきましては、万が一将来的なvCJD等のリスクがあった場合等も想定い たしまして、可能な限り長い期間として製造業者等に対し30年の記録の保管を課してい るものです。ちなみに欧州における規制も昨年12月に定められまして、30年間のトレー サビリティーの記録を保管いただくというルールが出来上がってきております。その 他、この特定生物由来製品、血液製剤のところでございますけれども、安全対策上早期 の感染症の発見を促すのに十分な期間ということで、ここでも医療機関に対しては20年 間の記録の保管をお願いするという形でございます。また、生物由来製品におきまして も、人血液成分を含むものは製造業者等に30年の記録の保存をお願いしているというこ とが、記録の保存の考え方でございます。  引き続きまして、資料Dのつづりの中で資料2の次の資料3-1ですけれども、これは 三つ目の論点、生物由来原料基準ということでございます。この生物由来原料基準と は、生物由来の原材料を使用する医薬品等におきまして、あらゆる原材料の適格性の基 準を定めるものでございます。対象としましては、輸血用血液製剤の採血時の検査等に 関する基準や、同様に血漿分画製剤の採血時の検査等に関する基準、またその他のヒト 由来原料に関する適格性の基準や、動物由来の原材料に関する適格性の基準がこの中に 含まれております。これも薬事法第42条の規定に基づきまして、ある種強制的な規格と いうことで適用されるものでございます。血液製剤の関連ということでございますと、 これまで生物学的製剤基準の中の血液製剤総則で取り扱ってきたものにつきまして、本 基準の中で輸血用血液製剤総則と血漿分画製剤総則に分けて取り込むような形にさせて いただいております。今回基準を輸血用と血漿分画に分けたという部分につきまして は、採血処理の条件の違い等からも分けた方が使いやすかろうといった点もございまし て、そのような形にさせていただいております。  それから、今までの生物学的製剤基準とこの原料基準における血液製剤の取扱いの大 きな違いを何点か御紹介申し上げます。まず採血時の検査という部分におきまして、今 までの基準の中ではHCV抗体検査等、検査法の名前を書いていたものですけれども、 今回からは欧米等の基準との整合性も踏まえて、HCVならHCVといった検査項目名 に変更させていただいております。それから輸血用血液製剤と血漿分画製剤の基準を分 けた中で輸血用血液製剤との違いですが、血漿分画製剤においては梅毒トレポネーマや HTLVの検査項目を除いた形での基準になっております。これも生物由来製品臨時部 会の御議論の中で、分画から不活化工程とこれまでの経験を評価し、こういった検査項 目をこの基準に盛り込む科学的な必要性が薄いということで、そのような内容とさせて いただいております。大きな点は大体そういう部分でございまして、この資料3のグル ープにつきましては、これに対する御意見等も資料として付けさせていただいておりま す。  それから一番最後の資料4、生物由来製品に係る表示という部分でございまして、基 本的に生物由来製品、特定生物由来製品につきましては、直接の容器・包装の上に「特 生物」や「生物」といった表示を行っていただくというルールが定められております。 特に特定生物由来製品の中で血液成分を使っているものについては、先ほども御指摘い ただきましたように、採血国、献血、非献血の区別を表示させていただくという形にな っております。献血、非献血の区別につきましては、国際赤十字・赤新月社連盟の総会 決議に基づいて定義をさせていただくという趣旨でございます。なお、添付文書等にお きましても、生物由来製品に使用される原材料を全成分表示していただくと同時に、特 定生物由来製品につきましては、実際に添付文書の冒頭部分に製品のリスクに関する説 明を加える等の特段の注意を、この考え方の中で示させていただいてございます。  少々長くなりましたが、生物由来製品臨時部会での審議経過概略は以上でございま す。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。早川先生、何か御追加はありますか。 ○早川参考委員  先ほど基本方針の第8節のところで「血液製剤代替医薬品に関する事項」が出てまい りましたけれども、代替の中で特定にするものと生物由来にするものと分かれておりま すが、私どもの部会の中では科学的な面と国際的な面をベースにそのような分け方をし たということでございます。ただし、実際の臨床の現場で、あるいはいろいろな社会的 状況を考えて、血液製剤代替医薬品に関して患者さんに対する説明や同意、記録の保存 がバラバラではどうなのかという別の観点での御議論もございました。それは一応継続 した審議にはなってございますけれども、私どもの部会でも持ち帰って、この第8節に 書かれてあるような考え方で対処していくのが一つのアイデアかなと思っております。 ○溝口部会長  今先生もおっしゃったように血液製剤代替医薬品が一番の関心事なわけですけれど も、いわゆる生物由来製品でも疾病によって一生涯使用する製剤とか、同一成分かつ同 効の他の製剤が特定生物由来製品である場合には、製品の管理等の観点から適正使用を 促すと。このどちらかの条件があれば、特定生物由来製品ということになるわけでござ いますか。ほとんどの代替のものは、特定生物由来製品になるという判断ですか。 ○早川参考委員  そうですね。簡単に申しますと、例えば遺伝子組換え、つまり細胞から第VIII因子を 造りましたといった場合に、これは細胞由来ですから、科学的に見ても国際的に見ても 安全性から考えて特定にするのはなかなか難しいということです。その中で例えば添加 物で血清アルブミンを使っていますとか、当然長期に使うわけですが、そういう場合に はそちらの側で特定ということになっているわけですね。例えばそういうものを全く使 いませんと、あるいは酵母からアルブミンを造りましたといった場合に、ウイルス安全 性があるのかうんぬんという話が出てまいります。そこら辺はちょっと科学的な観点、 あるいは国際的にそれを特定としたときに問題もございますので、そういう話はそうい う話として整理してということです。 ○溝口部会長  分かりました。生物由来製品としておいて、その辺で特定生物由来製品の扱いにする ということですね。そういうことでよろしゅうございますか、大平委員。 ○大平委員  今日突然ですけれども、要求という形で第VIII因子製剤について意見書を出せていた だいたわけです。私たちとしては血液製剤代替医薬品の問題としての特定生物由来製 品、生物由来製品について着目しておりまして、それについてやはり取扱いの問題、そ れからまた患者が同じような現場で同じような使い方をするというところもあります。 それから記録の保管ですとか、自分たちが製剤の記録をきちんと書いていく、それから 医療機関もそれをきちんと書いていく、またそれを説明する場合にその辺の混乱があっ てはならないということもありますし、また、何か問題があったときに速やかに遡及が できるような体制がきちんととられていなくてはいけないということです。そういった 側面から血液製剤代替医薬品については、特定生物由来製品としてきちんとそういう取 扱いをしていただきたいということで、この意見を出しております。 ○溝口部会長  分かりました。その方向でよろしいですか。 ○血液対策課長  事務局とも随分議論をさせていただきまして、基本的な趣旨はよく理解した上で案文 を作ったつもりでございます。ただ、特定生物由来製品というのは一つのリスク評価に 基づいて分類されたものでございまして、それに対して薬事法という法体系の枠組みと 血液法の法体系に基づく基本方針、この二つの関係なのですけれども、これは相互補完 的な関係で運用しなければいけないと思っております。それは相互補完的でダブルスタ ンダードであってはならないと。ダブルスタンダードという点は排除したと思っており ますので、相互補完の実を取るということで、ケース・バイ・ケースで判断をするとい うやり方が望ましいのではないかと思います。というのは、たまたま現在ある血液代替 医薬品で検討に値するものは一つだけでございまして、それに関してはこうすると。た だ次に出てくるものが、リスク評価を行うと更にリスクが低いかもしれない、高いかも しれない、それから臨床現場での使われ方もまた違うかもしれないと。ですから、やは り一つ一つの出てくる医薬品ごとに必要に応じという文言を加えさせていただいたのは そこでございますが、一つ一つについて判断をしていこうと。幸いにして、新しい承認 医薬品はそれほど次から次へとめじろ押しに来るものでもありませんので、法改正の原 則からこの部会を通じて公開の場で、一つ一つについて判断をして一つの扱い方を決め ていこうという形で、ダブルスタンダードではなく補完的な形でやっていこうというこ とが事務局の考え方でございます。  今日配られた要求は、特定生物由来製品の保管とインフォームド・コンセントの部分 だけをつまみ食いにするのではなくて、特定生物由来製品と全く同じ扱いをという御趣 旨もあるかと思います。これもこれから出てくる代替医薬品によって、特定生物由来製 品の規制のうちこの部分が必要だと、この部分までは必要ないだろうという考え方の余 地は与えるべきではないかと。ですから、これはまたケース・バイ・ケースであるかと 思いますので、今日の文案の中では代表的な考え方とするインフォームド・コンセント の部分や記録の保存というものを一つの例示として挙げ、そこに「等」と入れさせてい ただきました。その「等」の解釈ですべてを含む場合もありますし、部分的に採用する 場合もあると。ただ、それは必要に応じ議論を通じて扱いを決めていくと。そしてその 扱いは、私どもの通知で示させていただくという考え方で臨もうと思っておりますの で、御理解いただければ幸いでございます。 ○溝口部会長  その議論はこの血液事業部会でということですね。それでよろしいですか。 ○大平委員  私はまだ納得はしていないわけですけれども、ほかの委員の方たちの御意見もあろう かと思いますが、やはり現在の段階ではできるだけ同等の取扱いということで、是非お 願いしたいと思っております。 ○花井委員  課長さんの説明は非常に漠然としているのですが、私の心配はそれほど多岐に及んで いなくて、現場において具体的な例で言いますと、例えば第VIII因子製剤の血漿由来製 剤と、それから一つは培地にヒト由来のものを使わずに最終製品についてもヒト由来の ものを使わない製剤が、同等のものとして使われるという状況はすぐ目の前に来ている わけですね。この場合具体的にお医者さんに説明と同意を求めて、患者が十分納得した 上で使うということはこの基本方針の中に求められているので、そこについてはいいの です。しかし、それを担保していくための環境、具体的に言えば能書の記載の仕方の中 で、今回の生物由来製品臨時部会での資料を見てみますと、例えばインフォームド・コ ンセントを促す記載を特生物については行うように書かれているのですが、生物につい ては書かれていないと。これは白幡委員のような、特に専門的にそういうことをよく分 かっているお医者さんのいる医療機関については、さほど心配はしていません。いわゆ る遺伝子組換え製剤の特性と血液由来の特性を十分理解した上で、こういうものとこう いうものがありますよということを説明して使われると思うのです。ただ心配している のはそうでもない医療機関において、病院等の記録の在り方とか、それから現場のお医 者さんがこれはどういうものかと考えたときに、血漿由来を手に取ったときにはこうい うリスクがある製剤なのだなと思い、いわゆる血漿由来でないものに関しては何もなけ れば単純に安全なのだという理解をして、患者に説明してしまう心配があるわけです。  ヒト由来の感染リスクについて着目して、特生物と生物を指定したサイエンスの議論 というのは妥当で異論を挟む気は全くないのですが、リスクはほかにもあるわけです。 特生物と生物に関してはそのリスクに着目していろいろなことが決まっているわけです から、お医者さんにはもっと多面的にいろいろなことを説明して患者に納得してもらう という現場での必要性からすると、よく分かっている専門医に関しては心配ないのです が、医療機関で比較的幅広く使われますので、やはり能書の記載やラベルの記載、それ から病院での扱い、つまり施設がどれだけの扱いを要請されているかということが実は 非常に重要になってくると。ここについてきちんと対応できるようなことを、今回の基 本指針に基づく…、これは通知なのでしょうか。薬事法に基づく通知に関して言えばこ こに提出されている資料のような扱いをするとしても、基本方針に基づく通知に関して はその辺のことを十分配慮した通知という形で医療機関、若しくは医療機関が記録を保 存し何らかの、例えば新しい生物由来製品に対する救済システムにアクセスするための 記録の保管ということが今回言われているわけです。そういったものとの整合性を、血 液の基本方針の方から出る通知の中で細やかに担保していくという趣旨であったら、そ れはそれで一つ理解できるのですが、今後出てくるものについて適宜対応しますよとい うことだと、出てくるたびにまた私どもが目をつり上げてごちゃごちゃ言わなければい けないのかと思うとちょっと大変なのです。やはり血液に準じた代替医薬品について は、基本的にはこういう考え方で行きますよということをここで確認していただかない と、特生物、生物の関係についてリスクに着目して、一つ一つの医薬品ごとにやってい くのだということは、それはそれでいいのですけれども、やはり医療現場において患者 の視点に立ったものとして、ここでは基本的な姿勢を打ち出していただきたいと思うわ けです。               ── 倉田委員退室 ── ○血液対策課長  もう御趣旨はよく分かっております。具体的にも第VII因子製剤の扱いということが 出てきますので、それについての通知を出すという展開になってまいります。そこで今 日の要求にあったようなことをもっと具体的に議論をして、一つの結論を出して通知を 出すという作業になるかと思いますし、またその通知が一つの前例となりまして、今後 次の製剤、次の製剤と出てきたときに、前例に照らしてまた次の考え方を出すという手 順になるかと思います。あくまで第VII因子製剤以外の次にどういうものが出てくるか 全く分からない状態で、今の段階で方針を固定することに対しては、事務局としては慎 重に臨みたいと思います。               ── 倉田委員入室 ── ○溝口部会長  一応アルブミンの入っているのは全部特定生物由来製品にする。入っていないノボセ ブンだけがどうするかという議論になってくる。そういうことで、かなり一歩進んでい るように私は感じますけれども。 ○花井委員  それから先ほどちょっと法律的観点から指摘があったところなのですが、私などはず ぶの素人なのですけれども、また法律的には専門でない先生も何人かおられると思いま す。法と省令ぐらいのことは何となく理解できるのですが、その後に告示があって各法 に基づく通達通知があります。先ほど整合性という問題がちょっと議論にあったと思う のですけれども、例えば方針の中では血液製剤代替医薬品のうち特生物についてはとい う表現があり、それからいわゆる薬事法に基づく通知の中の表現では特定生物由来製品 のうちヒト由来、人血を用いるものだという表現があるわけです。これは確かに相互補 完的という…、概念的には今私は集合の図を書いていろいろ考えていたのですけれど も、これは基本的なことで委員が勉強しなければいけないかもしれませんが、意外に行 政マンはとても自明で分かっていることでも、私どもにはちょっと理解しにくい部分も ありますので、そういうことを一目見て分かるような資料が何かあれば、次回にでも補 完的に出していただけたらと思います。お願いいたします。 ○溝口部会長  そういうことでよろしくお願いいたします。大分遅くなりましたけれども、一応以上 でこの問題を終わらせていただきまして、いろいろ今までおっしゃった御意見は必ず基 本方針に取り込んでいきたいと考えます。  最後に血液凝固第VIII因子製剤の供給状況について、事務局から御説明をお願いしま す。 ○事務局  それではお手元の資料Eを御覧いただきたいと思います。血液凝固第VIII因子製剤の 供給につきましては、平成13年3月にバイエル薬品のコージネイトの出荷が止まってし まうという問題が起こって以降、その緊急事態にどう対処していくかということについ て、従来からこの血液事業部会の中で御審議いただいて、関係者の協力を仰いできたと いう経緯がございます。前回の部会でございますけれども、昨年の2月1日にこの問題 について御審議いただきました。その会議での結果について、御参考までに一番最後の 5ぺージを御覧いただきたいと思いますけれども、会議後に公表した内容でございま す。その2月1日の会議の結論といたしましては、まず一点目としては、バイエル薬品 がその当時はまだコージネイトが輸入されるかどうか分からない状況であったというこ と。それから仮に入ってきたとしても、その販売方法によってはかえって安定供給に支 障を来す場合もあり得るということで、部会の方でおおむね前月出荷量の6か月分を常 に在庫として確保しながら供給することと。そしてバイエル薬品が安定的に輸入される のかどうかということを、平成14年の1年間きちんと見ていきましょうという御結論を 頂きました。それに基づいて、この1年間どうなってきたかというところを今回御紹介 していきたいと思っております。  1ぺージにお戻りいただきたいと思います。まず「1 現状」でございますけれども、 現在主要な4社におきましては、平成13年7月以降在庫量として3か月以上の在庫を持 ちながら、昨年末の時点では約4.6か月分の在庫を抱えるような状態になっております。 詳細につきましては3ぺージの表を御覧いただきたいと思います。3ぺージの表は平成 13年1月からの需給状況を示したものでありまして、一番下のところですけれども、今 御説明したように、平成14年12月の在庫量4.6か月まで来ているという状況でございま す。1ぺージにお戻りいただいて二つ目でございますけれども、現在の在庫量は輸入停 止の問題が生じる前の平均的な在庫量約3か月分を十分確保している状態にまで回復し ております。それから最も懸案事項であった平成14年のバイエル薬品の状況ですけれど も、まず一点、平成14年のコージネイトFSの輸入量が約6,000万単位という実績がご ざいました。それから部会の指示事項であった前月出荷量の6か月分を、指示どおり確 保しながら供給してきたという実績がございます。それから米国のバイエル本社の方の 生産量が増加していると。このことについては4ぺージを御覧いただきたいと思います けれども、昨年末にバイエル薬品が私どもに現状を報告しているものでございます。ち ょうど真ん中ぐらいの段落の下から3行目にもございますように、平成15年の「第2四 半期までに、供給量が最高の年であった2000年の平均四半期出荷量以上の出荷を目指し ています」ということで、そのころには出荷量もこの問題が起こる前の水準に戻るであ ろうという予測を立てているのが現状であります。こういう現状を踏まえて、バイエル 薬品は今後も継続的に供給できると見込んでいるということであります。  「2 今後の需給動向」でございます。平成15年の需給動向については、これまで過 去5年間の平均需要増加率を計算すると3.2%ということでございますので、これに基 づいて平成15年の需要量を計算すると約2億4,300万単位と。一方供給量について現時 点で各社の製造及び輸入予定量を把握したところ、次のぺージをおめくりいただきまし て、4社合計いたしますと約2億8,250万単位、バイエル薬品は約7,500万単位という結 果になっております。したがいまして、平成15年度の需給の動向でございますけれど も、予測としては需要量を上回る供給が見込まれているというのが現在の状況でござい ます。  以上を踏まえまして事務局案でございますけれども、緊急対応すべき事態はやっと解 消されてきたということではないかと考えておりますので、これまで日本赤十字社や化 学及血清療法研究所、バクスターへずっとお願いしてきた最大生産、増量等の解除、並 びにバイエル薬品に課してきた前月出荷量の6か月分を在庫として確保しながら供給す るという指導の解除が妥当ではないかと。しかしながら、安定供給の確保への協力につ いては引き続き依頼をしていくということでございます。それから二つ目でございます けれども、日赤において貯留保管期間を暫定的に4か月以上ということでお願いした経 緯がありますが、これを解除するということ。それから、すべて解除はいたしますけれ ども、各社の製造・輸入量、供給量、在庫量については、引き続き厚生労働省において 毎月モニターをしていきまして、必要に応じて適切な対応を採るという案でいかがかと いうことを考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします       ── 説明途中、早川参考委員、吉澤委員、吉倉委員退席 ── ○溝口部会長  どうもありがとうございました。緊急事態を回避したということで、今までお願いし ていた緊急体制を解除するという事務局からの御提案ですけれども、いかがでございま しょうか。よろしゅうございますでしょうか。菅谷先生、どうぞ。 ○菅谷委員  取りあえず今の提案については了承せざるを得ないだろうと思いますけれども、基本 的な対応の仕方について申し上げておきたい。特に外国の製品について、メーカーの言 うことを安易に信用して結論を出すというのは極めて遺憾なことであって、更に危険な 状況を来すという結果につながりやすい。これは何も血液に関する製剤ばかりではなく て、一般の医薬品の中でも外国の医薬品については常に安定供給がなっていない。そう いう状況を踏まえると、メーカーの言うことをそのまま信用して大丈夫だという物の言 い方は間違っているわけで、こういうものに特に安易に頼らなくても済むような別のシ ステムを今後きちんと考えるべきだと。対応策を早急に検討していかないと同じ轍を繰 り返すということになりかねませんので、今後きちんとした対応をお願いしておきたい と思います。以上です。 ○溝口部会長  事務局、何か…。 ○血液対策課長  肝に銘じて対応していきたいと思います。 ○溝口部会長  花井委員、どうぞ。 ○花井委員  緊急体制を解除ということなのですけれども、バイエル1社だけについて継続して在 庫量6か月分の確保をこの状況でこれ以上やると、懲罰的なことになってしまうのかも しれないので難しいのだろうとは思います。しかし、適正な在庫量というのはどの程度 のものなのかと。安定的に供給を確保するためにどのくらいの在庫量が必要なのかとい うことは、実は今回の議論の中心的なところにあるわけです。今回6か月分の在庫を解 除することに絶対に反対というわけではございませんけれども、これは何のことはな い、いわゆる天気予報みたいに海外の製品についてはこちらには全く打つ手がなくて、 売れないとなったら減る、たくさん造ったから買ってくださいというとどんどん増える ということにこちらは右往左往して、献血者の皆さんにお願いしたりしているという状 況はこれでは何ら変わっていないわけです。したがいまして、これは国際的にいろいろ なものとの兼ね合いがあると思いますが、カナダなどはCBSの契約の関係で独自に処 理しているようです。やはり我が国においても安定供給を確保するという意味では、単 に天気を見るように海外の製品が増えればだぶつく、減れば困るという状況でないよう な環境作りのためにこの辺は今後きちんと議論していって、その適正な在庫の確保をど こまで求めるのかということについても、やはり今後の課題として認識していただきた いと思います。 ○溝口部会長  そのとおりだと思います。どうぞ。 ○血液対策課長  適正な在庫の在り方、適正な在庫量については、この基本方針がほぼ固まった後にな るべく早くこの部会の下に需給調査会を立ち上げたく思っております。その需給調査会 の最初の重要な議題になるかと思いますので、その場で理論的にまたいろいろなことを 勉強して詰めていきたく思っております。よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長  どうもありがとうございます。石油と同じでかなり大事な問題だと思いますので、よ ろしくお願いしたいと思います。今後とも血液製剤の供給量は注意深く監視していただ きたいと思います。最後に今後の予定につきまして、事務局から御説明願いたいと思い ます。 ○事務局  資料Fでございます。血液法の施行を7月と考えておりまして、それまでの今後の予 定でございますが、本日基本方針についておおむね御了解いただいたところでございま すので、今後この基本方針を基に献血推進計画と需給計画を策定することになります。 この二つの計画につきましては、今後並行して進めていきたいと思っております。今課 長から説明がありましたとおり、需給計画につきましては部会の下に調査会を置いて検 討を開始したいと思っております。3月中旬に第3回血液事業部会を予定したいと思っ ておりますが、そこでは献血推進計画につきまして御審議いただきたいと思います。そ の後年度が替わりまして、施行までの間に2回ほど血液事業部会を開催できればと思っ ております。そこでは調査会の検討結果を受けまして需給計画について御議論いただく ということと、法律におきまして採血事業者としての日本赤十字社による献血受入計画 を厚生労働大臣が認可するとなっておりますが、その認可の際には審議会の御意見を伺 うことになっておりますので、献血受入計画についても御議論いただきたいと思ってお ります。また、前回の部会で部会長から御説明がありましたとおり、血液法施行後この 部会の中に運営委員会を設けることになっておりますので、それにつきましても御議論 をお願いしたいと思っております。それからこの部会の下にある安全技術調査会、適正 使用調査会につきましても、施行前の間適宜開催していきたいと思っておりますので、 御審議のほどよろしくお願いしたいと思います。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。次回は3月中旬ということでございますが、これか ら先生方の御都合を…。もう決まっていますか。何日ですか。 ○血液対策課長  3月19日の午後3時からになっております。 ○溝口部会長  失礼しました。3月19日の15時から2時間です。よろしくお願いいたします。本日は 大分議論が白熱して会議が長くなってしまって申し訳ございませんでした。次回はこう いうことのないように司会をしたいと思います。本日はどうもありがとうございまし た。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 中山(内線2905)