03/01/20 新たな看護のあり方に関する検討会(第9回)議事録          第9回新たな看護のあり方に関する検討会議事録         日時     平成15年1月20日(月)        16:00〜18:00 場所     経済産業省別館第1014会議室 出席メンバー 井部俊子、上野桂子、内布敦子、川越厚、川村佐和子、國井治子、        西澤寛俊、平林勝政、藤上雅子、宮武 剛、柳田喜美子        (五十音順、敬称略) ○田村看護課長  定刻になりましたので、「第9回新たな看護のあり方に関する検討会」を開催いたし ます。それでは座長、よろしくお願いいたします。 ○川村座長  議事に入ります。まず事務局から、資料の確認をお願いしたいと思います。 ○勝又補佐  まず座席表、議事次第、メンバー表。資料1が「日本のモルヒネ消費量の推移」、資 料2が「新たな看護のあり方に関する検討会」における論点と主な意見の整理メモ(案 )でございます。 ○川村座長  初めに事務局から、第4回の検討会でお配りした資料について訂正があるということ ですので、よろしくお願いいたします。 ○土生企画官  資料1、「日本のモルヒネ消費量の推移」についてご説明いたします。これは第4回 に、資料1の9頁として提出した資料です。2001年のモルヒネ換算量について計算間違 いがありましたので、お詫びして訂正させていただく次第でございます。  真ん中の「塩酸モルヒネおよび硫酸モルヒネ消費量(モルヒネ換算)の推移」をご覧 ください。2001年のところが赤字になっていますが、この換算について計算ミスがあり ました。正しくは赤字で書いてありますように、それぞれ313,529キログラムというこ とであります。上の枠囲みの中、6.1倍というところも赤になっています。従前の資料 では1989年の4.6倍となっていましたが、正しく計算した結果、6.1倍ということであり ます。併せていちばん下のグラフ、2001年のところも、正しい数字に置き換えるとこの ようになるということであります。  第4回の検討会の説明の際には、最近、消費量の伸びがだいぶ止まってきているとい う説明もあったようです。まだ1年程度ですので、今後どうかということはありますが、 また少し伸びている傾向にあると言えるのではないかということです。資料の間違いが あり、大変申し訳ありませんでした。訂正させていただきます。 ○川村座長  ただ今の件はよろしいですね。 本日は私と事務局で相談し、これまでの検討会における論点と主な意見を整理したメモ を作成し、提出しています。これをもとに、各論点について議論を深めていきたいと思 います。一応、委員の皆様方には事前にお送りしていますので、ひととおり目を通して いただいているかとは思いますが、大きな項目ごとに内容を確認しながら議論していき たいと思っています。  まず、検討課題1「新たな看護のあり方、医師等との連携のあり方について」の論点 1から論点3について、これまでの主な意見を事務局から読み上げていただけるでしょ うか。お願いいたします。 ○土生企画官  読み上げる前に、少し資料の趣旨をご説明いたします。ただいま座長からもご紹介が ありましたが、座長ともご相談させていただき、これまでの検討会における論点と主な 意見を整理したものであります。なお、中間まとめで既に結論をいただいた静脈注射に ついては、この資料からは除外しております。  それから、「主な意見」の中で「○○している」とちょっと断定的に書いてあるもの と、「○○ではないか」と少し投げかけ調な表現としている点にお気づきになったかと 思います。一応、中間まとめに盛り込まれた事項、あるいは議論の中であまり異論がな かったようなものは断定調としています。ただ、これも一応の整理ということでありま す。全体について、まだまだこれからご意見を頂戴したいという趣旨ですので、文末は あまり気にしていただく必要はないかなというものです。  ただいま座長からご指示のあった、検討課題1の論点1、2、3まで読み上げさせて いただきます。               (検討課題1読み上げ) ○川村座長  ありがとうございました。検討課題1の論点1、1頁から2頁にかけてですけれども、 ここについてまずご意見をいただきたいと思います。いままでの意見についてのご発言 でも、また新たなご意見の追加でも結構ですが、いかがでしょうか。 ○柳田委員  いままで、この「新たな看護のあり方に関する検討会」において、諸々のご意見を拝 聴してきて、第4の医療提供施設と言われるいわゆる訪問看護ステーションを拠点とし た在宅医療が加わってきたわけで、既に約11年たっているのに、これについてなかなか、 曖昧な部分があったということでした。  その中で、いろいろ、細かいことを聞くにつれ、これは「新たな医師のあり方に関す る検討会」ではないか。在宅医療に医師が積極的に取り組むべきだ、ということを改め て感じた次第です。  整理メモの1頁の3つめの○「平成13年度厚生労働科学研究「諸外国における看護師 の新たな業務と役割」によれば…」というところですが、確かに看護技術は発達して、 期待される役割も拡大しつつあることはよく存じています。ただ、結局アメリカやイギ リスなど、先進諸国における例を主に持ってきてあるわけで、ほかにもいろいろ参考に なる国々があるだろうと思います。少なくとも、日本の医療の供給体制というものがそ の医療供給体制に合った裁量の範囲や役割業務を構築していくべきではないか。この点 を加えていただきたいと思います。  それから2頁、「病院内における看護の実状を見ると、法的に医師の指示を必要とし ない『療養上の世話』を含めて…」という部分があります。少し理解し難いのですが、 「療養上の世話」というのは何かということになるわけです。例えば入浴を始めてよろ しい、あるいは清拭してもいいのではないかというのは、その患者の状態を見て判断し、 医師が指示を出すわけです。このようにクリアカットに分けて、これは指示は必要ない、 これは指示しなくてはいけないというように決められるものかどうか、少し疑問に思い ます。しっかり分けられるべきものではないのではないかと思います。  その次に、「訪問看護指示書に基づいて行われる…」とあるわけですが、株式会社等 が参入した訪問看護ステーションというものができると、主治医との連携がなかなかう まくいかないだろう。かかりつけ医との連携などをしっかり考えないといけないだろう と思います。  3頁、「包括的指示」というのは解せません。この当たり私はあまりウエイトは置い ておりません。 一番下、「看護師等が患者の状態を観察し、医薬品等による症状緩和が適当と判断した 場合においては、医師により処方された医薬品等の使用方法の範囲内において、患者の 症状に応じて看護師等が医薬品等をどのように使用するかは、看護師等が判断できる… 」とあります。これは少し本末転倒というか、やはりその都度報告して、これは医師の 指示があるべきだろう。医師と看護師の連携をきちんとしなければならないということ です。少なくとも、ここはしっかりと医師が裁量権を持って行うべきだろうと思います。  それから5頁、3番目の○「特定の領域についての認定看護師や専門的な技能をもっ ている…」について、資質の向上をしていくということは非常にいいことだと思います。 ただ、これはそれぞれ一つの団体の行っていることですから、これがほかに発展してい くということにはまだ問題があるのではないかと考えます。以上です。 ○川村座長  いまのご意見について、ほかに何かご意見はあるでしょうか。 ○井部委員  柳田委員の最後の指摘が聞き取れませんでした。5頁の最後の点をどのようにおっし ゃったか、もう一度お願いします。 ○柳田委員  現時点では、裁量権を拡大していくことまでには、まだ至っておりません。例えば、 非常に専門的な機能を持った専門看護師制度を目指して、看護師の資質が向上するとい うことは非常にありがたいことであるし、立派なことであると思います。ただ、まだ、 これは一団体内のことですから、これが裁量権を拡大するということには今は議論には ならないのではないかと思います。 ○國井委員  今日はここにいろいろな意見が羅列されてあるわけですが、これらのことについて議 論をして、ある程度ここの検討会の考え方をまとめていくという作業をするわけですね。 ○川村座長  はい。 ○國井委員  わかりました。柳田先生のお考えを伺って、考えていらっしゃることはよくわかりま した。この検討会が最初に検討を開始したとき、これだけ看護婦教育の現状、社会的ニ ーズが変わってきたときに、医師がリーダーシップを取ることはもちろんだけれども、 もう少し効率的な医療、しかも質の良い医療を提供するために、看護師の能力をもう少 し活用してもいいのではないかというところで始まったと理解しています。ですから、 柳田先生がおっしゃっていることは本当に大前提ですが、その中でいま看護師が現実に 持っている能力、本会(看護協会)が行っている専門看護師制度もそうですが、そのよ うな人たちをもっと活かすことはできないかという視点で議論してきたと、私は理解し ていることをまず最初に申し上げたいと思います。  これは意見なのですが、論点1のところ、基礎教育において看護師の専門機能、療養 上の世話に関する判断、それに対する対策などという教育がきちんと行き届いていると いうところで、下から2つ目、「生活の質を…」というところと一番下の段落、「看護 診断として教育されていること…」という表現があります。プレゼンテーションがあっ たときに、看護診断が必ずしもすべての教育機関で教育されているわけでもないという 現状もあるので、これをまとめて「基礎教育」でその辺をきちんと、看護師の独自の機 能の判断や教育が行われているということ、いまパッと文章を言えませんが、そのよう な表現にまとめたらいいのではないかと思います。 ○柳田委員  いま國井委員がおっしゃったように、医療の質の向上等に伴って、また時代の趨勢に 伴って、看護師の能力が活かされていくことは大変素晴らしいと思います。それはもち ろんです。 ○川村座長  いまの國井委員のご発言は文言の修正提案ということですが、大丈夫ですか。よろし いですか。 ○田村看護課長  いまここに提示させていただいたものは、過去の意見をそれぞれ、大きな点をまとめ たものです。まだ、報告書案として出す段階ではありませんので、このような意見も追 加したほうがいい、あるいはこういう意図で自分は発言をしたのだけれども、必ずしも そのように伝わっていないということも含めて、そのようなご意見をいただければよろ しいのではないかと思います。 ○川村座長  「療養上の世話」の部分はいかがですか。 ○内布委員  いまのところ、専門看護師の部分なのですが、どのような名前か知らないのですが、 緩和ケアの検討をされているところで、もう既にお答えが出ています。特定の講習会、 セミナー等を受けた看護師を含めた緩和ケアチームを作って、その人たちがいることに よって診療報酬を認めていくということは、14年度の6月ぐらいから診療報酬制度の中 で認められています。専門看護師や認定看護師はその範疇に入っていて、既に認められ て動いている段階だと思います。そうすると、いまさらという感じもします。この文言 が不適切だということは、いまのこの時代にあっては当たらないのではないかと私は思 いますので、そのように議論したのではないかと思います。  カリキュラムのところの指摘がありました。論点1の下から2つ目の○、これは文章 上の問題なのですが、「カリキュラム」という言葉の前に「看護基礎教育における」と 入れていただいたほうがよろしいかと思います。  それから、確かに教育の現場では徹底しているということは申し上げました。そのと おりなのですが、「教育の現場では重点的に教育が行われている」という言い方のほう がいいのかなと思いました。これは文言上の問題です。  次に、國井委員から指摘があった「看護診断」という言葉ですが、看護診断というの は1つの看護過程の上でのツールなのです。このツールを使うか使わないかということ は学校による選択が行われていて、看護診断に異論を唱える学者たちもたくさんいるわ けです。そういうことを鑑みると、この文章は少しわかりづらいので作ってみました。 「療養上の世話については、看護が専門的に判断できるものとして教育がされているに もかかわらず、現場では必ずしも看護師の判断で行える体制になっていないのではない か」というように変えていただいたほうがいいと思いました。  「療養上の世話」に関しては、実は私たちが思い込みで「指示が必要」と思っていた ことがこの検討会の議論を通して判明しましたので、これは元に戻るというか、正当に 法律を解釈すれば、療養上の世話については看護が独自に判断できるというように議論 がされたものだと考えます。  それから、文章中の「自立」が「律」となっています。オートノミーの意味でお使い というか、議論上もオートノミーで議論していたと思っていたので、「律」を使ってい ただいたほうがよろしいかと思いました。 ○川村座長  論点1だけではなくて、柳田先生からも広範にいろいろご意見をいただきましたので、 議論が広がっていますが、かまいませんので、どうぞお願いいたします。 ○國井委員  いまの「療養上の世話」で、柳田先生は「療養上の世話にも医師の指示が要るのでは ないか」というようなお話でした。この会の検討では、療養上の世話には法的に、医師 の指示が要るという規定はないという確認がされたと思いますので、その点は合意いた だければと思います。  もう1つ、2頁のいちばん上の段落、「看護師等が責任を免れるために行っている面 もあるのではないか」とありますが、確かにそのような発言がありました。ただ、実際 診療報酬など、いろいろなシステムの中に食事箋を医師が書いていないという指摘があ ったりなど、これに関する周知がきちんとされておらず、診療上ではなく、療養上の世 話にも医師の指示が必要と誤解している現場などがあるのも事実です。その辺、もう一 回改めて法解釈を徹底することが必要なのではないかと思うので、その表現が入ったら いいかなと思います。 ○平林委員  いま、療養上の世話についての法解釈が問題となっています。少なくとも私の考えに よれば、療養上の世話に医師の指示が全く要らない、必ず要るなどという議論は、極め て不毛な議論だろうと思っています。  療養上の世話については先ほど柳田委員がおっしゃられたように、基本的にどのよう な世話、清拭をするとか洗髪をするということについて、いちいち医師の指示を必要と するかというと、これは要らないだろうと思います。療養上の世話は、看護本来の業務 であるから、看護師が自らの責任と判断でその業務を行うということが基本にあると思 います。その限りにおいては医師の指示は要らないと思います。  ただ、療養上の世話を行っていくプロセスの中で、これは、たしか前にどこかの回で 申し上げたと思うのですが、医師の判断が必要になることは十分あるだろうと思います。 そのことについて、看護師が自分の判断だけではなく、医師の判断を求めなくてはなら ないというように判断すれば、そのときはやはり医師の指示が必要になってくるだろう と思います。だから、一概に療養上の世話については全く医師の指示が要らなくて、全 部できるというのも誤解だろうと思いますし、必ず医師の指示に基づかなければ療養上 の世話ができないというのも誤解だろうと思います。 その辺、医師の指示の機能とい うものが、療養上の世話を行っていくプロセスの中でいろいろ、ダイナミックに変わっ てくるという言い方はあまりよくないのですが、指示の意味合いが微妙に変わってくる と思います。その辺をきちんと区別して議論しないと、前から申し上げているのですが、 療養上の世話について医師の指示が必要かどうかについての議論を大層混乱させること になるだろうと思っています。個人的な見解ですが、一言申し上げておきたいと思いま す。 ○内布委員  そのことについて、論点2にコミュニケーションの問題がたくさん出てきています。 4頁の上から2つ目の○「医学的な判断と分け難い」というところはいま平林委員がご 指摘なさった部分だと思います。この前後で多少、いまの内容を反映するような文言を 入れていただければよろしいかと思います。例えば、「医師の意見を求めるべき状況を 判断できる看護師等の能力が必要である」という文言をこの前後に入れていただくこと でもいいかと思います。論点2に関してはほとんどがその問題を列挙してありますので、 これを読みますとその部分はかなり、平林委員がおっしゃったような内容で書かれてい るのではないかと思います。 ○川村座長  平林委員のご発言としては、論点2の関係としてはどのようなお考えなのでしょうか。 ○平林委員  細かく準備してきていません。4頁のところですか。 ○川村座長  かなり細かく状況が書いてありますね。 ○平林委員  「「療養上の世話」という用語が…」というところは、たしか私が申し上げたところ だろうと思います。その問題と2番目の問題は、少し性格が違うだろうと思います。2 番目の問題についてはいま内布委員がおっしゃられたような形で、療養上の世話行為を 行っていくプロセスでの看護師の判断の重要性を少し強調し、その仕分けをきちんとで きるような看護師がそのような能力を涵養することは重要なことだろうと思います。確 かに、「療養上の世話」と「診療の補助」というように、法律の枠組みの中ではくっき りと分けてありますが、実際の看護活動を行っていくプロセスの中では「療養上の世話 」なのか、「診療の補助」なのかわからないという場面は多々あるだろうと思います。 その間を行ったり来たりしながら、看護として何をなすべきかということが今後考えて いかなければならない問題だろう。前回申し上げたことはそのようなことだろうと思い ます。 ○川村座長  ここの整理はまたあとで、十分皆さんのご意見を伺った上で整理をしていただければ よろしいかと思います。ほかにはいかがでしょうか。 ○井部委員  のちほど整理していただければよろしいかと思うのですが、第7回のときに「生活の 援助と医師の指示」ということで試案を提出いたしました。あのあといくつか、指摘が ありました。今回、もし時間が許すようでしたら、保助看法第37条の解釈をきちんとし ておいたほうがいいと思います。改めてこれを読むと、結局指示がなければできないの は診療機械を使うことと医薬品を授与すること、医薬品について指示をすること、これ は指示がないとできないということでした。もう1つ問題なのは、「衛生上危害を生ず る恐れのある行為」は指示が必要だとあります。この「衛生上危害を生ずる恐れのある 行為」というのは非常に曖昧で、ここのところを包括してしまうと、食事箋もそうだし、 お風呂に入るか入らないかということも、ひょっとしたら衛生上危害の生ずる恐れがあ ると解釈する人と、それは療養上の世話として、看護の独自の機能だというように解釈 する人が出てくる。國井委員のように療養上の世話はもう看護独自だから私たちができ るとスパッと言える人ともいますが、私は多少逡巡してしまいます。  例えば、糖尿病で何カロリーの食事をするかということを決めてもいいと私は思うの ですが、医師によっては勝手にカロリーを決められて、「衛生上危害を生ずる恐れのあ る行為」だというように判断されると、そこは初めから議論をし直さなければなりませ ん。確かに療養上の世話と言っても、すっきりとは分けられないというのが実感として 思っています。  いま、特別治療食を指示するときには、医師の食事箋が必ず必要だと保険診療上も決 められています。そういうことを現実的に考えると、第37条の解釈をはっきりしておい たほうが動きやすいと、第7回の資料を作って思いました。 ○平林委員  少なくとも私の解釈しているところだと、第37条というのは大原則は保健師、助産師、 看護師、准看護師は医行為を行ってはならないということです。井部委員がおっしゃら れた「その他、医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害の生ずるおそれの ある行為」というのは一般的に、いわゆる医行為であるというように解釈されているわ けです。したがって、その前の「診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について 指示をする」というのは医行為の1つの例示である。そのような事柄に例示される、一 般的に言うと「医師または歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのあ る行為」、すなわち「医行為」をしてはならないと医師法第17条に規定されています。  ただし、その例外として「主治の医師、または歯科医師の指示があった場合を除くほ か」という、この文章はおかしいと思うのですが、それはともかく主治の医師まはた歯 科医師の指示があった場合は、例外的に指示内容の医行為を行ってもよろしい。これが 本文の原則と例外なのです。 本文の原則と例外に対して、さらに但し書きでもう1つ 例外が付いています。「臨時応急の手当をする場合」と「助産師がへその緒を切る等の 行為」、これも例示で、「その他助産師の業務に当然付随する行為」については、たと えそれが医行為であっても、医師の指示なくしても例外的に行うことができるというよ うに、3層の構造になっているというように解釈するのが適当ではないかと思っていま す。  したがって、「医師または歯科医師が行うのでなければ、衛生上危害を生ずるおそれ のある行為」というのはいわゆる「医行為」であり、医師法の第17条で言うところの「 医師でなければ医業をしてはならない」という点も医行為を業として行うことというよ うに解釈されています。それが具体的に、少しくだいて言い表すと、保助看法第37条の この部分に当たるという解釈が一般的に行われているわけです。 ○井部委員  確認ですけれども、「衛生上危害を生ずる恐れのある行為」というのは医行為のこと を指しているわけですか。 ○平林委員  はい、そうです。 ○土生企画官  平林先生、どうもありがとうございました。一般的な解釈ということでご説明いただ きました。行政としてもそのような解釈を取っています。いまおっしゃったように、少 なくとも抽象概念としては整理をしているということだと思います。  ただ、それが周知されているかどうかということは、また別の論点があろうかと思い ます。また、個々の行為を見たときに区分が必ずしも明確でないということは、抽象概 念の整理とはまた別の問題としてあると思います。一応、事務局としてはそういう整理 をしています。 ○井部委員  第37条にこだわるのですが、私は法律上の役割・責任の範囲、それからコミュニケー ションを良くしよう・連携を良くしようというところは切り分けて議論しておいたほう がはっきりするのではないかと思いました。 ○川村座長  ほかにご意見はいかがでしょうか。 ○國井委員  いまのお話とは違うのですが、3頁「包括的指示」に関する問題が下から4段目から 反対意見のような形で並んでいます。先ほども言いましたが、4段目「「包括的指示」 やプロトコールよりも、医師がもう少し積極的に参加し、必要な指示をきちんと行うと ともに…」という意見があります。それは当然だけれども、やはり看護師等の力を活用 するために、看護師が患者のために動きやすいことが大事かと思います。この辺は是非、 そういった方向でまとめられたらと思います。 ○川村座長  ということは、冒頭の「包括的指示やプロトコール」を否定していると読み取れると いうことですか。 ○國井委員  そういうことを活用して、柔軟に動けるような体制が大事なのではないかと思います。 医師とのコミュニケーションももちろんそうですが、一種の了解を得てやっていく構 造は変わらないけれども、いま医師だけで完結できない状況にあるわけですから、もう 少し看護師の機能を強調できるような表現にしてほしいと思います。 ○川村座長  いまのご意見は伝わったでしょうか。間違っていたらご指摘いただきたいのですが、 包括的指示やプロトコールも大切にするのだけれども、それ以上に医師がもう少し積極 的に参加する。医師が積極的に参加するという部分と、包括的指示やプロトコールによ って更に看護の機能を活用するということは並列だとというご趣旨だったと思いますが、 いかがでしょうか。 ○土生企画官  その部分、書きぶりが稚拙であればまたご指摘いただければと思います。包括的指示 ということについては、先ほども柳田先生からご異論が出ているということがあります。 そのことが1つあろうかと思います。  プロトコールについてどうかというのはまた別かなと、いまお話を伺いながら考えて いました。そういう意味では医師が積極的に参加することと、看護師が動きやすく患者 のためにやっていくこととは別段対立することではありません。その意味では、いくつ かの要素を1つに書いてしまったことが議論を混乱させたのかなと反省する次第です。 ○川村座長  どなたかのご発言を縮めるとこのようになったのだと思います。 ○土生企画官  できるだけわかりやすく、文章も変えた作業をしたつもりでしたが不十分だったと思 います。 ○上野委員  ここでの発言内容をまとめていただいたということなのですが、報告書になるときに はこのまままとめられると、結構否定的な要素にも感じ取れますので、できればプロト コールのことに関しては、5頁2つ目の○のところに「看護プロトコールの開発および 普及」が入っています。特に在宅の訪問看護ステーション等においては、プロトコール をどう発展・普及させながら、医師と連携をとりつつ、在宅療養者を安心して見ていく ことが重要であるという点をきちんと述べていただきたいと思います。 ○川村座長  次のステップに入るときにはどうぞ、そのことをお汲み取りください。 ○平林委員  まとめるときに1つ検討しておかなければならないというか、留意しておかなければ ならないことは医療機関、病院等における看護のあり方の問題と在宅医療、訪問看護に おける看護のあり方の問題と、少なくとも最初は問題を分けて議論していかないといけ ないのではないか。場面に応じて問題状況は違っているだろうと思います。そこを一応 分けて議論をした上で、しかしながら問題を抽象的、一般的に解決しようと思うと、医 療機関であろうと在宅訪問看護であろうと、両方に事柄が広がってくる。静脈注射がい ちばんいい例だと思います。そういう側面があると思いますので、一方で場面を分けな がら、しかし看護全体に影響する問題なのだ、ということを少し頭の中で整理しながら 議論をまとめていかないと、どうも議論があちこちに行ってしまうような気がしていま す。まとめの中でも、あるときは病院の中での医療機関における看護を念頭に置き、あ るときは在宅医療、訪問看護を念頭に置きという議論をしているように思えます。その 辺をどう整理し、最後に問題の結論に導いていくかということは1つ考えていいのでは ないかと思います。「言うは易く、行うは難し」で申し訳ないのですが、そのように考 えました。 ○川村座長  難しいですね。 ○平林委員  言うのは簡単なのです、「やれ」と言われればやりますけれども。いまの話はオフレ コです。 ○川村座長  それでは、そこもご配慮いただきながら進めていきましょう。 ○柳田委員  個々の医療機関と看護師の関係、訪問看護ステーション・在宅医療と看護師の関係と いうのはやはり個々にあるべきであって、表面に全体として、普遍的に、このように文 章化しなければいけないものではないような気がします。それは個々に連携して、何か プロトコールを作るのだったら作ればいいわけです。日本全体として、こうやってプロ トコールを作りなさいというものではないのではないかと思います。 ○國井委員  いまのご意見ですけれども、2頁のところにそのような表現があります。下から2段 目、「医師等の指示の仕方、看護師等との連携のあり方は、…」です。個別の医師と看 護師との関係というのは、すなわちその人のいろいろな能力・資格・経験ということに よって、指示のあり方や連携のあり方は違うだろうというのは私もそのとおりだと思い ます。そのことをきちんと、まとめに表現していただけたらと思います。 ○宮武委員  全体にかかわることなので遠慮したのですが、どうも患者、家族が医療や看護にどう かかわっていくのかという視点が抜けているのではないかという気がします。患者につ いて、当然判断力のない場合は家族になることもあるかもしれません。そういう方たち がとりわけ、いま平林委員がおっしゃったように在宅の医療や訪問看護の内容について、 患者、家族とサービス提供側とがやはり1つの約束を取り交わしていく時代が来ている のだと思います。 上野委員が第3回目に、「訪問看護ステーションの中でも管理協定、 あるいは中心静脈栄養等について、医師と協定を結んでいる」とおっしゃっていました。 本来、それは患者、家族にも説明はしているのだけれども、先行きは口頭ではなく、や はり文書化していくことが大事だとおっしゃっていて、私も同感に思いました。そのよ うな形で全体的に、柳田委員がおっしゃるように、全国的に全部同じものはできないけ れども、プロトコールのプロトタイプのようなものは必要なわけです。その中で、いま 個別に出ている医療機関と患者との間で、一種の契約を結んでいくことが時代の要請で はないかという気がします。  静脈注射がまさにそうでしたが、法律ですべてを決めるわけにはいかないわけで、ど うしても解釈の部分が出てくるのでしょう。一定の決められたルールの中で、どのよう な医行為や看護行為をやるのかを相手にきちんと伝えて、理解してもらって、納得して 提供していくという関係が築けるのだろうと思います。  それはまさに疼痛緩和の場合についても同じだと思います。医師の指示に基づいて、 その中で看護師が一定の判断をして投薬をしていく。明らかに医師の指示の範囲の中で やるわけですから、柳田委員がおっしゃるように医師の権限を奪うような本末転倒を考 えているわけではなくて、むしろ医師の指示の中で看護師が動いている、動きやすいよ うにすることが本来のあり方ではないかと思います。 ○川村座長  ありがとうございました、そのようなトーンが最終的なまとめにあればと思います。 ○内布委員  いまの宮武委員のご意見、本当にそうだと思います。私たちは医師と看護師の関係、 コミュニケーションなどを盛んに言っていましたが、実は患者がいらっしゃるわけです。 患者との三者の間で共有していったり、了解していったりというプロセスを踏むにはプ ロトコールが絶対大切になってくる。書いたものを見せていくことが必要になってくる わけです。スタンダードが必要になってくるので、そのためにもこれは必要ではないか と思います。これまでの検討会では患者の視点や患者の意見、了解を得ていくような看 護の新たなあり方については、あまり深まった議論はしていないように思いますが、是 非報告書の段階までにはそれを入れていただいたほうがいいのではないかと思いました。 ○川村座長  全体にかかるご意見をありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。 ○藤上委員  2頁の(論点2)の1つ目の○「医師と看護師等がそれぞれの専門性を十分に発揮し …」となっています。ただ、看護ということは、医師とのかかわりの中だけで成り立つ ものではないのではないかと思います。「医師等、他の医療職種との連携の中で、それ ぞれが専門性を発揮し…」ということが必要なのではないかと思います。 ○川村座長  そうすると、この「医師等」をどういう読み方をするかになるかと思います。 ○土生企画官  「等」でするのか、あるいはもっと明確に「他の医療職種」ということで、報告書を まとめる際には十分そうすべきではないかと思っています。 ○井部委員  2頁の「連携」ですが、いま何人かの方がおっしゃったように医療関係者の中の連携 のみならず、患者及び家族、あるいは患者をサポートする体制との連携が非常に重要で あると思います。今回、天皇陛下が手術され、皇后様と紀宮様が何泊か部屋で一緒に過 ごされました。あれは典型として良かったなと思っています。いま、看護職はどちらか というと、家人を泊めることに関しては罪悪感を持っています。「家族付添許可申請書 」のようなものを出さないと泊めてはいけないということがあって、私はいつも判を押 すたびに愚かなことをしていると思いつつ、保険診療のために判を押しています。その ような、「家族付添許可申請書」というものを出している実態があります。患者や家族 が「夜もそばにいたい。」と希望しても書類をだし「許可」を申請しなければなりませ ん。今回、患者のケアを家族と役割分担をしながら、1つのまとまりを持ったケアを提 供していくという点からすると、家族とかあるいは患者自身のセルフケア能力というの は非常に重要であり、医療者にはできない部分があるというスタンスを、是非、入れて いただければと思います。 ○平林委員  すべてが井部委員のように考えていただくのであれば、全くそのとおりだと思います が、ただ、看護がやるべきケアを家族に任せてしまって、本来、看護がやるべきことを やっていなかったということも、また一方の現実としてあったのだろうと思いますので、 そのことだけ一言申し上げておきたいと思います。 ○井部委員  それは新たな看護の方向性だと私は思います。内布委員がいつも言っているように、 学生はきちんと学んでいると。そういうところからすると、これからの新しい看護職は そうした判断がちゃんとできて、家族がやらなければならない領域というのがあって、 私たちができない部分が必ずあるわけですから、そこをどうやって一緒にチームを組ん でやっていくかということの判断ができる、新しい看護職に出てきていただきたいと思 います。 ○川村座長  ありがとうございました。今日の定められた時間の約半分を検討課題の1のほうに費 やしてきましたが、次の検討課題の2に移りたいと思います。よろしいですか。 ○平林委員  1つだけ、1頁のところで前から気になっていたのですが、2つ目の○のところで、 「看護教育の高度化等により…」とあり、そして看護の教育は充実しているということ を、この検討会でもしばしば聞かされたわけです。ただ、現場の看護師たちの話を聞い たり、あるいは現実に私の経験からすると、看護の実践能力というのでしょうか、ある いは医行為を行うについての実践的な能力についての教育が、果たして現在の看護教育 の中で十分にできているのだろうかという疑問を、持たざるを得ないような状況に何回 か当たっています。その辺の問題について、是非、看護の先生方にもう少しお考えいた だければと思います。今後、具体的に医行為でプロトコールにしろ包括的な指示にしろ、 看護師が責任を持って行っていかなければならない状況があり、典型的には静脈注射の 問題ひとつ取ってもそうだと思いますが、そこら辺に1つ問題があるということは、忘 れてはならないのではないかと思い、あえて申し上げさせていただきました。 ○井部委員  その問題は非常に大きい問題です。一般的に看護教育は充実して質が高まったと言っ ていますが、その人たちは数年後に力を発揮できる人たちであり、すぐに役に立つとい うことではない。こういうふうに言うと教育の人は嫌がると思いますけども、臨床の現 場では、ほとんどが手取り足取り指導しなければならないことが負担だというのですが、 私は教育や看護職の能力の問題ではなくて、これは体制の問題だと思います。そこのと ころを、ここではどのくらい突っ込めるのか。看護提供体制の問題点というのが見え隠 れしています。  それと、5頁にある卒後の教育研修ということについても、専門性を高めていくこと だけではなくて、そうした現場に合った技術トレーニングを、どうやって卒後に取り入 れていくかということは非常に重要な課題だと思います。 ○平林委員  ついでに申し上げさせていただくと、いま、井部委員が言われたことを、どうやって 制度化していくかということが重要だと思います。それは個々の病院で、個々の先生方 の努力でというよりも、もう少し看護教育なり看護師の養成プロセス全体をきちんと整 備して、例えば一定の研修期間を設けてというような制度を、今後、どうやって作って いくのかが、問題の根本的な解決に向かっての1つのあり方だろうと思っています。 ○川村座長  4頁のいちばん下の意見が、いま、平林委員が言われたことを意図して述べていたよ うに記憶しています。制度化ということまで、ここでは触れていませんけれども。 ○國井委員  ただ、確かにここでは議論されなかったのですが、いまのご指摘のそういう実践能力 を現場でトレーニングしなければ、患者の人権意識などで、学校教育で行うことはなか なか難しい現状というのが、明らかになっている。それをどうしていくか、制度化とい うこともすごく重要な課題だと思いますし、今後、それらの検討も必要だということは 大いにあると思います。 ○内布委員  現在、看護課のほうで、「看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会」 が進められていて、そちらでお答えがそのうち出るのではないかと思います。 ○柳田委員  この卒後の教育研修というのは、どの分野でも必要です。特にいまの現場では、例え ば他の職場もそうですが、非常に優秀な看護師であっても女性ですから妊娠、出産とか で、しばらくブランクの期間がありますと、次にお勤めになるときは、現場でとてもつ いていけないということがあります。ですから介護施設かどこかに回していただけない だろうか、という答えが多いわけです。ですから、この卒後研修というのは大事です。 看護大学出身者を中心に看護基礎技術に関する検討会というのも行われていますが、非 常に卒後教育というのは大事になってくるのではないかと思います。 ○川越委員  現場から遊離しないということは、すごく大事だと思います。学ぶ側だけでなく、教 える側も現場から離れないという姿勢を、この看護教育の中に持っていただきたいと思 います。新たな看護教育の中で、是非、お願いしたいと思います。 ○井部委員  いまの川越委員の意見に触発されて発言いたします。ですけど、教育の人と臨床の人 たちとの交流を制度化するみたいな、何かそのようなことをしないと、どちらも忙しい ので、教育の先生たちも忙しくてなかなか臨床に来れない。臨床の人たちも教育の現場 に行って、学生たちといろいろなことをやるというのが後回しになってしまうので、そ うしたことがスムーズにできるような仕組みがあると、いま、どういう知識や技術が最 もアップデイトなものなのかを、教員も検証することができると思います。私たちも、 学生はどういうことに価値を置いてやっているのかを、もう少し分かり合えると思いま すので、そこは新たな視点として盛り込むことができるといいと思います。 ○内布委員  それについて公大協(公立大学協議会)のほうで、看護教員の臨床研修制度に関して の検討が、もう始まっていますので、たぶん、そちらからも何か出るのではないかと思 います。 ○川村座長  詳細は各所での検討によるとしても、基本的な線を何かの形で盛り込むということは、 皆様のご要望ですね。 ○平林委員  もう1つ、川越先生と井部先生の意見に賛成なのですが、さらに加えて、これは訪問 看護が1つのテーマになっていると思いますが、病院の看護と訪問看護とのエクスセン トプログラムというのも、私は是非必要だと思います。病診連携は言われますが、看看 連携というのはあまり言われないのです。病院の看護師と訪問看護師の連携も、実は十 分取れてない現実があるやに聞いていますので、是非、それもお願いしたいと思います。 ○川村座長  たくさんご意見をいただきました。次に移らせていただきます。検討課題の2です。 読み上げをお願いします。 ○土生企画官  検討課題2の論点1について読み上げます。検討課題2、6頁です。             (検討課題2、論点1読み上げ) ○川村座長  ありがとうございました。ここの点については、いかがでしょうか。ここのがんの疼 痛管理の問題のところについて、いかがですか。 ○藤上委員  1つは言葉の問題ですが、随所に「調剤薬局」という言葉が出てきます。これは正式 なものではありませんので、「調剤」という言葉を取って「薬局」としていただきたい と思います。薬局は調剤だけをやっているわけではないものですから。  もう1つは、末期がん患者の適切な疼痛緩和ケアの推進ですので、当然、麻薬が中心 になってくると思います。ということは、先ほども申し上げましたが医師と看護師等と の連携だけではなくて、例えば論点1のところの4つ目の最後から2行目、「望ましい 医師と看護師等の連携のあり方…」と書いてありますけど、これは是非、「医師、薬剤 師、看護師等」というような形で明確にしていただけたらと思います。  7頁の一番最後の○のところに、「シリンジポンプ式のもの…」ということがありま す。確かにシリンジポンプ式のもので、つい最近までは、これに設定できるものが5cc、 10ccのものしかなかったのですが、100ccあるいは270ccぐらいまで設定できるものがで きていることと、バルーン式のと同じように患者の安全管理ができるようなものが出て きています。ですから、この普及を図ることは賛成なのですが、ただ、100cc、270ccは 点滴バッグを考えていただくと分かると思いますが、ああいうものを電動式のポンプに 設定するという形になっています。  1つだけ問題があるのは、バルーン式のものは風船の形になっていて、風船がしぼむ 力を利用してやっていますから、中身を取り出すには風船を破らなくては取り出せない のです。このバッグ式のものは悪意を持ってするならば注射器で吸い出すことができる のです。1cc、40ミリの高容量のものを100cc、200ccという形で、もし充填するとすれ ば、そういうことも考えられますので、そこのところだけどういうふうにするかを、お 考えいただければなと思います。 ○川村座長  これは、ここで議論するというよりは、検討していただけますか。 ○土生企画官  担当部局と、よく相談をして対応したいと思います。 ○藤上委員  麻薬管理課の方たちのお考えは、どうなのかということを確認しておきたかったので す。 ○土生企画官  今日は難しいと思います。先生のご意見をお伝えしまして、確認をしてお伝えさせて いただきます。 ○國井委員  在宅のがん末期患者のケア提供というところでは、チーム医療が大前提だというのは、 この検討会でもお話があったと思うので、是非、そのことを盛り込むことが必要だと思 います。7頁のところに、麻薬管理は非常に慎重な検討が必要だということがあったの ですが、実態としては麻薬を扱っている薬局が全国的に少ないという議論もあったと思 います。だから是非、その検討は急ぐべきというか、患者に適正な疼痛管理のサービス 提供をするための麻薬管理体制は、是非、検討が必要ということを盛り込んでほしいと 思います。 ○藤上委員  いま、薬局で麻薬管理をしている所が少ないというお話がありましたが、これは、あ くまでも処方箋で麻薬が出たときに薬剤師は拒否をすることはありません。麻薬管理者 届けというものはすぐに出せるものですから、医薬分業が進む中で院外処方箋が増えて きて、麻薬が処方箋で出てくるようになれば、それに対応を必ずしていくと思います。 ○國井委員  その辺を書き込まないと、意外と現場は誤解しているかもしれないですね。 ○上野委員  調剤薬局でなければ、普通のディスカウントのいろんな薬局がありますよね。それも すべて、ここで言う処方箋を扱う薬局が麻薬を扱うわけですね。そこは何と表現するの ですか。 ○藤上委員  薬局で結構です。だからOTCというか、一般用薬品しか扱ってない薬局もあります けれども、処方箋による薬剤を扱っている薬局も薬局なのです。調剤薬局というふうに なってしまうと、調剤だけをしている、処方箋による薬剤を扱っている薬局というふう に限定されてしまいます。調剤薬局という言葉はもともとないのです。 ○川村座長  それでは、よろしいですね。文言整理というか。 ○上野委員  何か普通のすごく大きいスーパーのような薬局を思い浮かべて、24時間もやってくれ るのかなと思ったのです。 ○藤上委員  スーパーの中にある薬局が、処方箋によって薬を出すということを行っていれば、そ れはそこでもいいし、保険薬剤師がいる薬局という形にもなると思います。 ○川村座長  では、もう少し上手に表現できるように書いていただきたいと思います。 ○田村看護課長  いまは結局、麻薬管理者として登録をしている薬局、薬剤師が非常に少ない地域があ るというデータもありましたね。 ○藤上委員  そうですね。麻薬管理者届けを薬局が出しますね。それで全く麻薬の取扱いがないと、 行政のほうから返還しなさいということを言われることがかつてあったそうです。そう いう指導が最近はないという話を聞いていますが、まだまだそういう所があって、薬局 の薬剤師のほうが、本当に麻薬の処方箋が来るかどうかという確認ができてないところ で、麻薬管理者の届けを出すということが、ためらわれているという形です。 ○田村看護課長  そういう面もあるわけですか。 ○國井委員  でも、その届けをしていなくても、処方箋を持って行けば拒否はできないということ ですよね。 ○藤上委員  すぐ対応すると思います。 ○川越委員  薬局が、よく対応してくださっているというのは非常にありがたいことなのですが、 7頁の3つ目の○のいちばん下のほうで、24時間対応をやるべきだということ。私たち は、かなり一生懸命やっている薬局とやっているのですが、麻薬の出し入れというのは 届出をしている人が鍵を持っていますので、現実にそんな簡単なことではないのです。 ですから、この間、藤上委員が、例えば、廃棄のとき薬局が24時間でも対応しろという ことを言われましたが、現実に、もしそれを約束したら、大変なことになるのではない かと、心配したのです。 ○藤上委員  大変なことになるということではなくて、やらなければいけないことだと私は思うの です。また麻薬管理者として届けた者が鍵を持っていて、それで出し入れを必ずしなけ ればならないという形ではないと思うのです。例えば医療機関の中で麻薬管理者は1人 です。でも薬剤師の資格によって薬を出して、調剤するということは行っているわけな のです。ただ、麻薬管理者が出し入れをきちんと管理して、不正に使われていないかを 管理するというのが管理者だと思います。だから薬局で麻薬管理者として届けているの は、たぶんその薬局の開設者だと思いますので、そういったことはあまりないのではな いかと私は思っています。 ○川越委員  現実は、かなり難しいと思いますので、もっと現実を踏まえた上でやっていただかな いと絵に描いた餅になる可能性があります。こういうことはいいのかなと、私は前から 疑問に思っていたのですが、検討いただければと思います。 ○藤上委員  ただ、調剤をするということは可能だと思います。 ○川村座長  いまのところは、どういう解釈になるのかを確認していただいた上で、うまく書いて いただければありがたいと思います。 ○藤上委員  先ほど申し上げたように医療機関の中で麻薬管理者は1人ですから、その人だけが出 し入れをするということでは、私は業務が滞ってしまうのではないかと思いましたけど、 西澤先生が、それは駄目だとおっしゃっている。 ○西澤委員  だめだということではなく、麻薬管理者以外でもということになりますと、極端なこ とを言えば薬剤師以外でもと解釈されませんか。 ○藤上委員  いいえ、それはないです。 ○西澤委員  ですから、先生がおっしゃるのは薬剤師が1人しかいない場合を言っているのだと思 います。 ○藤上委員  それは先生のおっしゃるとおりだと思いますけども、薬局で薬を取り扱うのは、麻薬 に限らず薬剤師しかできないはずですから、そう思いますけど。 ○川越委員  現実には非常に難しいと私は思います。実態をもう少し言っていただかないと、理想 のところばかり言って実際がというところを考えていただきたい。 ○藤上委員  理想とかいうことではなくて、麻薬の取扱いに関しては理想も実際もないと思います。 規制どおりやらなければいけないことですので、もし24時間対応するということであれ ば、別に起きてなくてはいけないわけではないですね。それが必要なときに扱えばいい ことですので、それは医師のでも同じだと思います。 ○川越委員  現実を言いますと、院外処方で24時間対応というのは麻薬に関しては不可能です。ち ょっと議論と離れてしまうかもしれませんが、例えば夜中の12時に麻薬がほしくなると いったとき、モルヒネを増量したいときに、やってくれといっても、どこへ行ったらい いいか正直わからないので、24時間対応というのはそんな簡単なことではないと思いま す。そのことを私は心配しているのです。 ○藤上委員  24時間対応ということは先日も申し上げたように、今年の4月から基準調剤という調 剤報酬を算定する場合には、24時間対応しなければいけないことになっているのです。 いない場合にはどうするかということで、対応を明確にしておかなければいけないこと になっていますので、難しいのではないか、大変ではないかということの議論ではない と私は思います。 ○川村座長  いまのことは薬局のあり方というところで、7頁の上から3つ目の○の・の3つ目の ところの、「調剤」を取って、薬局はこれこれのことを徹底すべきということで書き込 まれていますので、この点については確認をしていただいて下さい。  もし、このように修正をしたほうがいいということであれば、またそれをお出し下さ い。いまの実情と、そのあり方とのギャップについては、よく了解されたと思います。 先を急がせていただきますが、論点の2で8頁のところに入ります。 ○土生企画官  論点2について読み上げます。論点2は、いずれも在宅医療を推進するための関連諸 制度の見直しについて、どのように考えるかということです。 (論点2読み上げ) ○川村座長  ありがとうございました。20分ほどの時間になっていますが、また活発なご意見を、 どうぞ。 ○内布委員  確認ですが、「死亡診断書(死体検案書)」になっていて、24時間を過ぎていれば「 死体検案書」のほうに○をするけれども、警察への報告義務は異状死でなければ、しな くてもよいという解釈ですか。 ○土生企画官  9頁の○の3つ目ですが、受診後24時間を超えていても改めて死後診察を行い、生前 に診療していた傷病が死因と判定できれば、「死亡診断書」ということです。 ○内布委員  「死体検案書」でなくて「死亡診断書」ですか。 ○土生企画官  生前に診療していた傷病が死因と判定できれば、「死亡診断書」ということです。 ○内布委員  超えていてもということですね。 ○土生企画官  はい。 ○柳田委員  8頁のいちばん下の「現行の医師法の下で、看護師が死亡確認することができること を法的に…」とありますが、これは医師がすべきであると解釈しています。  9頁の最後ですが、医療機器・衛生材料の供給ですが、これは結局、訪問看護師と主 治医との連携といいますか、主治医にフィードバックしたりといった連携もあまりよく ない。現場から主治医に意見を具申してくるということは、あまりないようです。やは りこれは連携の問題であって、しっかりその先生と連携して衛生材料を提供してもらう ということは、必要なことだろうと思います。  一番最後の「診療報酬上の在宅の注射の取扱い」ですが、私はこれは中医協の問題で あって、ここでは議論は避けたいと思います。いずれ中医協で出てくる問題であるかな と思います。 ○田村看護課長  そのことも含めて見直すべきであるという言い方にして、最後、表現をまとめたいと 思います。 ○國井委員  いまの衛生材料のことですが、現行の法律の中では看護師が処方したりできないわけ です。この検討会が、現行法の下でということで検討してきたので難しいと思いますが、 患者のケアに必要な衛生材料だとか薬剤に関する理解も、確かに医師とのコミュニケー ションが足りないと言われれば、それまでですけれども、なかなかうまく取れない現状 があるのも事実なのです。ですから将来的に、こういうケアに必要なこととか、褥瘡な ども適切な判断ができるナースもいるわけですから、そういったところでの薬剤の処方 に関する権限とか、そういうことも将来、検討していってほしいなというのはあるので す。 ○柳田委員  どうしても不都合があれば、緊急の場合もありましょうし、それこそ将来的に何らか のより良い方法を検討していくのは必要だろうと思います。まずやってみて、それから 対応していただければと思います。 ○上野委員  病院なんかの場合は比較的出していただけるのですが、開業の先生の場合は、前にも お話したようにロットで購入しなくてはいけないとか、不良在庫を抱えなくてはいけな いという問題もありますので、逆に先生が患者に買わせるか、どっちかなのです。訪問 看護ステーションが仕入れた物を、もちろんステーションが利益をもらうわけではない ので、そのままのお金でご本人に使っていただくというようなことです。基本的には医 師が出すことというのは分かっているわけで、医師に出していただきたいのです。その ほうが利用者にとっては保険材料費でできますので、お金も負担が少なくて済みますか ら非常にいいことなのですが、なかなかそこが難しいというのが現状なのです。訪問看 護ステーションとしては、できるだけ緊急に対応できることはしていきたいと思います し、緊急対応できる分だけでもステーションで扱えればいいといとは思いますが、いま の制度のなかでは扱えないことになっていますので、医師から、何らかの形でもらわな ければいけないという不合理な点が実際はあります。 ○西澤委員  いまの件ですが、これは診療報酬上の指導管理料に含まれており、医師が必要なもの を出さないときには、不正請求とも言えるのです。ですから、それはきちっと言えば対 応を必ずすると思います。しなければ問題なわけです。それを徹底すべきだと思います。 いろいろ聞きましたが、私の知っている範囲内では医療機関、診療所でも対応している。  それと在庫を抱えるということですが、そういうことはなくて、問屋がきちんと対応 してくれるみたいです。例えばカテーテル1本でも現在は対応しているし、全く問題な いと聞きましたので、それは、そちらの整理のほうで十分ではないかと思っています。 ただ、在宅医療がどんどん増えて、そのあり方が変わり、例えば訪問看護に行ったとき にある程度の材料を持って、その訪問看護料の中で何かの材料を評価するというような 診療報酬体系ができたときには、また話が別だなと思っています。 ○上野委員  そういうふうなシステムになれば、それは流通的に非常にいいのかなと思います。 ○藤上委員  衛生材料に関しては処方箋で出すということが、いまは認められていないはずなので す。指導管理料の中にそれも全部含まれているという形になっていますので、だから薬 局で出すとするならば、それは患者が自費で購入しているという形になってしまいます。 ○上野委員  先ほど柳田先生が、8頁のいちばん下は、それは駄目ではないかとおっしゃっていま したが、その8頁のもう1つ上の在宅療養中の死亡確認のことです。医師が事前に診察 をしていて、なおかつ医師が夜中に来れない状況というのも実際問題としてあることな のです。ですから、医師が来るのは当然だということはよくわかるのですが、来れない 状況のときに24時間以内に医師が診察していて、死の3徴候を確認して、もちろん死亡 診断書は看護師は書きませんが、死後の処置ができるというところまではやらせるよう な、ここのところは周知していただければいいかなと思います。 ○川村座長  柳田先生が言われたのは、いちばん下の○について断言されたので、その上について のご意見ではありません。 ○平林委員  いまのところですが、周知すべきではないかというふうに言われてしまいますと、下 から2つ目の○は認めるということが前提になって、それを周知しろということになろ うかと思います。前回か前々回だったか忘れましたが、私はここは本来、医師がやるべ きことであるということを、まず前提として、まず第1段階としては、それを徹底して 議論すべきだろうと思います。  そして、どうしても医師ができない、あるいは医師の現実の在宅医療等の状況を見て、 医師がそんなに対応できないということが証明されれば、それを前提として今度はきち んと法制度を変えて、いちばん下にありますように、制度的にきちんと死亡確認ができ るということを法的にした上で、きちんと筋を通して、この問題はやるべきではないか と私個人は考えています。大体、在宅医療、訪問看護に関しては、私は基本的にアクセ ルを踏むのですが、この点についてはかなりブレーキを踏みたいなというふうに思って います。したがって周知すべきではないかと、こういう問題を最終的な報告書の中で書 くとするならば、「周知すべきではないか」ではなくて、「できる旨をさらに検討すべ きではないか」ぐらいにしていただければ、ありがたいなというのが私の考えです。結 論として、最終的にそうなることまで否定しているつもりはないです。そのことは前に も申し上げたように、そのことまでを否定するつもりはないのですが、ただ、いま、一 挙にそこまで緩和することは、少し筋が違うのではないかと思っているのです。 ○内布委員  平林委員のご意見を伺いたいのですが、それは技術的、能力的な問題で、「できる、 できない」というところに憂慮されているのか。それとも悪意の有り無しが介在するか どうかということで憂慮されているのか、どちらですか。 ○平林委員  制度の問題としてです。要するに死亡診断書を書く前提として、死亡確認をするとい うことまで、やはり医師がきちんとすべきだろうと思います。それが本来、医師の責任 だろうと考えますので、その死亡診断をするという、あるいは死の宣告をするというこ とについては、医師がきちんと責任を持ってやるべきであるという法制度になっている だろうと私は考えます。したがって、その点から言っても事柄は慎重にやるべきだと思 います。  2つ目に実際上の問題として、技術的な問題も含めて看護師が死の確認をするという だけのトレーニングを受けているか。あるいは、それだけの責任を現行法上持てるかと いうと、それもちょっと難しいだろうと思います。したがって、両方の意味において、 きちんとまず筋を通した上で、それがどうしても駄目だということが、エビデンスをも って証明されたときに、きちんと筋を通して看護師ができるということを正面からやる べきだというのが、私の基本的な考えです。 ○内布委員  ということは、例えば夜中の2時に、いま、まさに亡くなりそうだという連絡を看護 師が受けて、行ってもほとんど役に立たないわけなので、行く必要がないということに なる。 ○平林委員  そんなことはないですよ。それは看護師が行かなくてもいいということはないと思い ますし。 ○内布委員  行っても何もできません。 ○平林委員  行って、そのとき、きちんと医師を呼んで来る。 ○内布委員  医師を呼ぶことは患者や家族にもできます。 ○平林委員  そのときには医師を家族が呼べば、医師が死亡の判断をして死亡診断書を書けば、す ぐ死後の処置ができるわけですから。そういう状態はいまでもできるはずです。それは 医師がやらないだけですから。 ○内布委員  でも看護師が行く意味は、もし死亡の確認をしてその後のケアができないのであれば、 意味がないのではないかと思います。 ○平林委員  そんなことはない。 ○内布委員  では、行って何をやるか教えてもらいたいのですけど。 ○平林委員  だから医師を呼んで来るということを、きちんとやることです。 ○内布委員  それに関しては患者や家族もできます。 ○平林委員  それを、だからこの間の議論のときに柳田委員は、徹底するというふうにおっしゃら れたのだから、まずそれを少し状況を見て、エビデンスを集めるべきです。 ○内布委員  では医師を呼ぶ以外に、何ができるか教えてください。 ○平林委員  それだけです。あとは家族のケアもあるでしょう。それは患者だけでなくて、看護は 家族のケアもしなければいけないわけですから、それは十分看護師でも行う内容として ある。死後の処置をするだけが看護師の役割では私はないと思います。 ○内布委員  それはそうだと思います。確かに家族のケアがあると思いますけれども、行って患者 の体には一切触れられないわけですよね。点滴も止めることができないということです よね。 ○平林委員  厳密に言えば。 ○内布委員  ですよね。家族と一緒にそこにいるということが看護職がすることだということです ね。 ○平林委員  そうですね。それで医師を呼ぶことを少なくとも、非常にリジッドに私はいま言って います。あえてリジッドに言っていますが、私はそれがまず原則だと思います。 ○川越委員  いま、平林先生のおっしゃっていたことは私もわからないことはないのですが、ただ、 現場のことをよく考えてみると、私は便宜的なことを考えると、この間、平林先生から お叱りを受けたのですが、現実に、例えば夜中の2時に患者が亡くなったと。医師会の 医師は2時に電話があったら、すぐ行くと言っていると。医師会のほうからは、医師は みんなそういうふうにしていますとおっしゃってくださった。だけど現実には夜中の2 時に起きて行く先生は、そうはいないかなという感じがあります。看護師がまず駆けつ けるわけですけれども、医師はなかなか来てくれなかった。場合によっては朝の7時あ るいは9時ぐらいに来るということは現実にあるわけです。その間、さっきの話ではな いですが点滴にも触れない。何もできないということで、じっと見ているというのは看 護師として非常に辛いのではないか。どう見たって亡くなっている。普通だったら死後 のケアに入りたいと思っても、それもできない。そうしてじっと待っていなければいけ ない。そういうことが起こり得るということです。これは死というものが、それほど人 間の一生にとって厳粛なものであり、法的なものも含めて考えれば、それは当然ではな いかということがあるわけです。しかし、現実には、明らかに亡くなっている方のケア もできないという看護師のジレンマも、どうしても出てくるわけです。ですから、医師 が行かなくても看護師がやってもいいのだということを声高に言うのは、ちょっと問題 かなと思いますけれども、あえてここを厳密にやり過ぎて、とにかく医師が行くまで家 族も看護師も一切手は触れられないという形を取るというのは、私としては新たな看護 でなくて、逆戻りしてしまうような感じがするわけです。ですから、そこのところを法 的にもっとしっかりしておけということであれば、そうしていただきたいし、あるいは 現行の裁量権のなかに、看護師が死後のケアに移っていいということを認めていただく のであれば、それは私は、あまり突かないほうがいいのではないかという気がしてもい るわけです。 ○宮武委員  川越先生のおっしゃるとおりで、何カ所かの訪問看護ステーションで訪問看護師の方 たちが異口同音におっしゃることは、いま、川越先生が言われたように、何もできない まま、ただ医師を待たなければいけない。要するに家族に対して全くケアができない。 現実にはそこで看取っているのですが、建前上できないことの辛さと、逆に医師が来た 場合、地域医療の経験がない人とか若い医師は、慌てて救急車を呼んで病院に運んで行 く。要するに、せっかく本人や家族も、主治医や訪問看護側も納得づくで家で看取ろう と思っていたのが、最後で覆されることです。それも異口同音におっしゃる。そういう 視点から、この問題を見てほしいと思います。 ○平林委員  私も、いま川越委員と宮武委員が言われたこと、あるいは前から上野委員が言われて いることを全く知らないわけではないし、そのとおりだろうと思っています。だけど、 にもかかわらず看護師が行けて、なぜ医師が行けないのかという疑問を、私は答えを見 つけられないのです。看護師が行けるのだったら医師も当然行くべきだし、在宅医療を 引き受けた以上は、医師はそれだけの責任を負っているはずで、その責任を果たしてい ないのに、医師が責任を果たしてない分を看護師が、では引き受けますというのは、少 し順序が逆だろうと思います。まず医師がきちんと責任を果たすべきで、それがどうし ても何らかの理由でできなくて、この点については看護師に委ねるということの了解が 取れた後に、では一歩前に進みましょうというふうに議論を進めるべきです。そこを柳 田委員は、やるとおっしゃっているわけですから、それを半年でも何でも見て事態が改 善できないのであれば、現実問題として、いちばん重要なのは患者であり、患者の家族 をどうケアするかが問題なわけですから、そこのところを一歩考えてやるべきではない かということを申し上げているのです。結論は実は同じなのです。ただ、そこにいくプ ロセスで、やはり踏むべきプロセスがあって、在宅医療を引き受ける医師の責任という ものは、私はとても重いと思いますので、その責任を医師が果たしていないとするなら ば、そのことをまず問うべきだろうと思います。いま我々が議論しているのは、その後 の問題だろうと思うものですから、ちょっと逆らった発言をして恐縮ですが、そういう ふうに思っています。 ○川村座長  この後半のところは、平林先生のご意見では切ってしまうということになるのでしょ うか。 ○平林委員  後半というのは、どの後半でしょうか。 ○川村座長  8頁の下から2つ目の○です。先ほどの薬剤師のお話にしても非常に似たような論理 構造があると思うのですが、まず主治医が駆けつけるべきということ。先ほどの文言の 形ですと、これを徹底すべきとか、さらに「やむを得ない場合」というのが次にありま すが、この「やむを得ない場合」というのが不要だということなのでしょうか。それと も、こういうことは現実にはあるのではないかというお考えなのでしょうか。 ○平林委員  そもそもやむを得ずというのが、どういう事態かということで、やむを得ず主治医が 現場に駆けつけることができないということが、そもそも許されるのか。例えば前々回 だったかに川越委員が、ご自分がいらっしゃらないときは、どなたかの医師にそのこと を頼んでいくと言われたことがあったと思います。それで私は十分だと思います。そう いうふうに、もしご自分ができないときは、どなたか関係の医師に行ってくれというこ とを依頼しておけば、この問題は解決できるわけで、そこまでの責任をすべての医師が きちんと果たしてくれなければ、在宅医療というものは、それを引き受けた医師として 責任を果たしているとは言えないのではないかと思うわけです。したがって、繰り返し になりますが、そういうことをやって何カ月か何年かわかりませんが、ともかくやって みて事態が解決できないというのであれば、そのエビデンスに基づいて、現場は困って いるのだから何とかしなくてはいけない。それをきちんと制度的に筋を通して、看護師 ができるような方向で解決をしていくというのが、私は必要なステップではないかと思 います。 ○川村座長  法律という側面からのステップを、しっかりお話いただいたということで、どういう ふうにこの文言を修正するかは、もう少し法律の話も、うまく盛り込んだ形のものにし ていただくとことで、よろしいですか。それとも、これで主治医が駆けつけるべきだけ で、それを徹底すべきで切りますか。 ○平林委員  それは、もったいないと思います。それは議論の中身を残したほうがいいと思います。 ○川村座長  そうしていただいたほうが、皆さんのご意見が反映されると思いますので、皆さんの ご意見も反映した形で、ここをうまく書いていただければと思います。 ○上野委員  そのことによって現実的な利用者とか家族の方が、辛い思いをしないようにするとい うことを、私は前提にしてほしいというふうに思います。ですから、柳田先生が医師会 を通じてというのは、それは本当に期待をするところで、私たちとしては好き好んでと いうか、これをしたいわけではなくて、利用者、家族の方が本当に最後が家でよかった ねというところを、認めてあげたいというところがありますので、是非、お願いしたい というふうに思います。 ○柳田委員  よくわかります。いま平林委員も言われたように、本当に、まず最初に医師が倫理的 使命感を持ってやるべき問題であると思います。それから、それこそステップを踏んで やるべきことではないかと思います。 ○川越委員  理想の医師がいて、理想の在宅ということであればいいです。しかし、私が耳にする 話は、やはり夜中に行くのが大変だから、救急車を呼んですぐに病院へ行きなさいとか いう話です。医師会のほうでも、亡くなりそうだから救急車を呼ぶとか、そういうこと がないように、やっていただきたいなということを1つ思います。  もう1つ、これは法律の文言にはならないのかもしれませんが、私たちは病院での死 の看取りと違いまして、家族での死の看取りということをすごく大事にしているのです。 これはカルチャーの議論になるかもしれませんが、要するに死というのは医師がいない と、すべて完結しないという面が、どうしても病院の場合はあるわけです。これは在宅 でも基本的には同じなわけですが、死亡する瞬間に医師がいなければいけない、死亡直 後に医師がいなければいけないという考え方は、あまり私自身は取ってない。つまり家 族での別れというものを大事にするということ。どうしたって、私たちが行って死亡診 断するまで看護師も触れない。家族も点滴がまだ落ちているのを止めてはいけないとか なると、これは在宅の場合にものすごく不自然な感じがしています。  これを、どういう具合に持っていっていただいたらいいか難しいのですが、法的な面 だけでなく、そういう死の社会的、文化的な面ということも考慮した、そういうものを 考えていただきたい。あまり法的に堅い、リジッドなものにするということに対して、 私は基本的に反対ということです。エビデンスは私は十分に出ていると思っています。 ○川村座長  点滴とか何か医療的な処置をしていることに関しての対応というのもありますが、私 の経験では嘔吐をしたり排泄物があったり、そういうことに関しても全く清潔にして差 し上げられなくて、家中にその臭いがこもっていくとか、そういうことは非常にご家族 も悲しい思いをされますし、ご本人もそれは本意ではなかったのではないかなと思うよ うなこともあると思います。そういったことが在宅は、また病院の中とも違うかもしれ ませんので、その辺を少し上手に、患者の視点に立ってという大臣のご意見を踏まえた 形で、ここの文言をうまく考えていただければと思います。それについては平林先生、 具体的なものを見ながらご意見を頂戴して、プロセスを共有していただきたいと思いま す。 ○平林委員  いま、先生方が言われたことを基本的に了解した上で、あえて申し上げていますので、 その点だけ誤解のないようにしていただきたい。 ○川村座長  本日は長時間、ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局看護課 課長補佐 勝又(内線2599) 保健師係長 習田(内線2595) ダイヤルイン 03-3591-2206