03/01/15 第16回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録    第16回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 1 日時 平成15年1月15日(水)10:00〜11:20 2 場所 経済産業省別館1020号会議室 3 出席者 [委員]  奥平委員、勝委員、齋藤委員、桜井委員、佐藤委員、            田勢委員、辻村委員、都村委員、中山委員            野澤委員、長谷川委員、堀越委員、山路委員       [事務局] 奥田勤労者生活部長、蒲原勤労者生活課長 4 議題   1 特定業種退職金共済制度の財政状況の今後の見通し等について   2 その他    (1)特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告への回答等について    (2)業務上の余裕金に関する基本方針 5 議事内容 ○齋藤部会長  ただいまから、「第16回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 」を始めます。  まだ勝先生がお見えになっていませんが、今日は、笹川委員の後任として就任されま した小山委員と吉川委員がご欠席というご通知を受けております。  今日の議題は、「特定業種退職金共済制度の財政状況の今後の見通し等について」、 「その他」です。順次やっていきたいと思いますが、最初に、議題の第1の「財政状況 の今後の見通し等について」から始めます。事務局から資料のご説明をお願いいたしま す。 ○蒲原勤労者生活課長  おはようございます。勤労者生活課長の蒲原です。今年また、これからいろいろご審 議いただくことになりますが、よろしくお願いいたします。  お手元に資料1と資料2がありますが、この2つについて、私の方からまずご説明い たします。  本日は、特定業種の退職金共済制度における財政状況が現行のままで推移した時にど うなるかをご説明いたします。資料1は、これまでお出ししている資料とダブるところ があるのですが、いまの加入・脱退の状況及び資産運用の状況で、審議の参考にという ことで、こちらを簡単にご説明いたします。  1頁が、「建設業退職金共済制度の加入脱退状況」で、左の欄、平成9年度〜13年度 があって、そのあと、平成14年11月末という数字がありますが、ここの数字が、いわゆ る直近の数字で、以下、最近の月ごとの数字を整理しています。これを見てもらいます と分かりますとおり、建退共の加入状況で、右の欄の「被共済者」が約220万人から230 万人で、若干、期末在籍者数が増加している傾向にあるという状況です。  2頁も同じような資料の作りですが、清酒製造業です。この数字も平成9年度以降、 若干減少気味で、平成14年11月末では被共済者加入の期末の在籍が約3万4,000人にな っています。  3頁は、林退共の加入状況です。平成9年度以降の数字をいちばん右の欄でご覧にな りますと、若干減少傾向で、約5万人弱の方が期末で在籍されている状況です。  4頁からが、すでにお出ししている資料の再確認ですが、3つの特定業種退職金共済 事業における資産運用状況で、この4頁の資料が建退共の資料で、いちばん右の欄の平 成13年度事業年度の数字ですが、いちばん下に書いていますが、1兆円弱の資産をもっ ているという状況です。5頁は、清酒製造業の資産運用状況で、これもすでにお出しし ている資料で、平成13年度のところ、いちばん右の欄に書いてある状況です。6頁は、 林業の状況です。平成13年度において、約160億円程度の資産をもっているという状況 です。  以上の資料はこれまでの資料の確認ですが、本日の主たる議題の「今後の財政状況」 は資料2です。  1頁で、「将来推計」の前提についてご説明いたします。この財政の将来推計の試算 については、昨年、一般の中退についてご審議いただいた時に、いわば3つの経済シナ リオを作って、それに基づいて試算しています。今回も基本的には、それに則っていま す。ケース1が平成14年度に名目成長率がプラスに転じる、ケース2が平成14年 度、15年度が名目成長率がマイナスで、平成16年度からプラスに転じる、ケース3 は平成17年度まで名目成長率がマイナス、平成18年度からプラスという3つのケー スを想定して、それぞれ試算を行っています。以下、それぞれ各業種について3つの試 算をご説明したいと思います。  2頁は、まず建退共のケース1、いちばん経済見通しが良い場合ですが、この上の欄 の「平成13年度(実績)」をご覧いただきたいと思います。この数字は前回すでにご 説明した資料と一緒ですが、それぞれ左の欄にあります「収益」部分と「費用」部分が あって、その下に少し大きな欄で「当期利益金」がありますが、ここが、言ってみれ ば、年度におけるフローにおけるプラス・マイナスです。これを見ますと、約9億円の 赤字が出ているのが、平成13年度のフローの状況です。一方で、いちばん下の欄を見 ると、「累積剰余金」があります。これは、言ってみれば、これまでたまっているもの ですが、ここが300億円になっていて、直近の状況は、建退共フローで若干のマイナ スです。しかし、一方で300億円の累積剰余金がある、ということが言えるかと思い ます。  そこで、これが今後どうなるかということですが、当期利益金の欄を横に見てもらい たいのですが、現在、建退共においては、予定運用利回りが4.5%で、毎年毎年の、 いわばフローベースのプラマイが、これから△がずっと続いていくことになっていま す。平成14年度、15年度、16年度、さらに下の欄に移って平成17年度、18年 度、19年度ということです。  その結果、今度は「累積剰余金」の欄を、平成13年度以降、横に追っていきます と、当然のことながら、毎年のフローが赤ですので、累積剰余金の額はだんだん減って いきます。その結果、ずっと平成14年度、15年度、16年度、17年度を追ってい きますと、平成18年度には累積剰余金がマイナスになるという状況になっています。 平成19年度はそのマイナスが膨らんでいくという状況が見られます。これがケース1 の場合です。  3頁は、3つの経済シナリオの中の真ん中の場合で、建退共はどうなるかという資料 です。同じように、平成13年度の実績の欄は全く同じ数字が入っています。先ほどと 同じような見方で、当期利益金のところを平成14年度以降ずっと追ってもらいます と、これも同じようにマイナスになっているわけです。もちろん、このマイナスの額 は、先ほどのケース1に比べますと、より大きな額になっているという状況です。  それを受けて、いちばん下の欄の累積剰余金のところを同じく右のほうに平成14年 度以降追ってもらいますと、現在ある300億円の累積剰余金の減り方が、当然のこと ながら、より急激になっています。その結果、平成18年度の累積剰余から△になって います。たまたまケース1の場合と年度的には同じですが、額を比べると分かります が、ケース1の時の平成14年度の累積剰余の赤に比べれば、より大きな額になってい るという状況になっています。これが経済シナリオの真ん中の場合です。  4頁も、同じく「当期利益金」の欄をずっと横に見てもらいますと、マイナスが続い て、しかも、このマイナスはケース1、ケース2よりもより大きなマイナスになってい ます。その結果、「累積剰余」の欄ですが、300億円ありましたものが、ケース1、ケ ース2に比べると、より急激に減っていきます。その結果、平成17年度、この段階か ら累積剰余がなくなって、累積欠損の状態が発生して、平成18年度、19年度でその 欠損が拡大していくという状況になってきます。  以上が、建設業の退職金共済における3つのパターンにおける資産の状況で、現行 ベースを維持した場合にどうなるかというものです。  5頁は、清酒製造業です。平成13年度実績の欄を見ていただきますと、当期利益金 は、大体プラマイ0で、一方で累積剰余金が3億5,000万円程度発生しています。 この「当期利益金」の欄ですが、同じように平成14年度、15年度、16年度と横に 見てもらいますと、それぞれプラス・マイナスほぼ横ばいの状況です。それを受けて、 累積剰余の額も、気持減りますが、ほぼ横ばいで、こちらのほうはかなり財政の健全度 が保たれたまま推移しているのが見えると思います。これはケース1の場合です。  6頁で、経済シナリオの真ん中の場合を見てもらいますと、基本的な構造は同じで す。当期利益金のところに若干マイナスが出てきておりますが、ほぼプラマイ0で推移 して、累積剰余金も少し減ってはいきますが、平成19年度で、やはりある程度の額を もっている状況になっています。  7頁は、清酒製造業のケース3、経済状況がいちばん悲観的なケースです。これも当 期利益金自体ずっと横に見ていきますと、若干のマイナスが出てきていますが、累積剰 余のほうの推移は少し減りながらも、平成19年度それなりの額をもっているという状 況で、清酒製造業については、財政的にかなり安定した推移が見えると言えるのではな いかと思っています。以上が清酒です。  8頁以下3枚は、林業の退職金共済事業です。これも同じく平成13年度の実績を見 てください。ここは当期利益金の欄は、フローでマイナスになって、一方で累積剰余が 約23億円の欠損の状況になっています。フローと累積の両方がマイナスです。当期利 益金の欄を横にいきますと、ここのマイナスも、それぞれどんどん膨らんでいく状況に なって、それに伴って、累積剰余もどんどん膨らんでいくということで、平成19年度 は29億円程度の累積欠損という数字が出ています。これはケース1で、経済シナリオ がいちばん良い場合です。  9頁は、2番目の経済シナリオの場合です。これを見ますと、「当期利益金」の欄の マイナスが、先ほどのケース1よりもより大きくなって、その結果として、累積剰余が ますます膨らんでいく状況になっています。ちなみに、これを見ますと、累積欠損が、 平成19年度約30億円という状況になっています。  10頁は、経済シナリオがいちばん悪い場合です。当然のことですが、ケース1、 ケース2に比べますと、当期利益金がより大きな赤字になって、それに伴って累積欠損 も大きく膨らんで、平成19年度では約31億円になるという状況です。  以上、3つの共済事業について、それぞれ3つのシナリオ別に、現行の予定運用利回 りを維持した場合の推計をお示ししました。全体をまとめますと、建退共については単 年度、現在マイナスで、一方で累積剰余があるのですが、単年度のマイナスが続いてい くので、累積剰余がどんどん減って、この5年間の推計期間の後半には累積の欠損が生 じるという状況です。一方で、清酒製造業の退職金は、常に累積剰余をもっている状態 で、財政的にはかなり安定した推移が見られます。一方、3番目の林業は、現在でも単 年度がマイナス、しかも累積で欠損があるという状況ですが、この累積欠損がますます 拡大していくという状況です。そういった意味では、建設業と林業については、財政的 にかなり厳しい状況が、この推計からは窺えます。  本日は、こうした状況を踏まえて、これから各共済事業について、どのような方向で 扱っていくのが適当かといったあたりを、この場でご議論いただければと思っていま す。以上、簡単ですが、最初の説明を終わらせていただきます。 ○齋藤部会長  いまご説明があった状況について、何かご質問なりご意見なりがありましたら、どう ぞ。 ○佐藤委員  今日は現状の報告で、建退共の問題がいちばん大きな問題だと思います。制度の安定 的、持続的な発展と言いますか、存続と言いますか、そういうことについては必要なこ とだと十分考えております。前回の審議会で、今回の最終的に目指すところが、運用利 回り、予定運用利回りをどうするかになるのだろうと思われますが、ひとつ、建設業退 職金共済のもつ意味について発言させてもらいます。  ご承知のとおり、建設業はいま非常に不況で、建設投資が最高時は84兆円にもいっ たが、現在では57兆円ですか、32%も落ち込んでいます。就業者数も、増減してお りますが、600数十万人で、全就業者の1割を占めるという非常に大きな産業です。 その中で、この建退共は、日々雇用あるいは短期雇用、下請けの事業所の労働者といっ た方たちが多数被共済者になっているという状況があると思います。  国土交通省では、建設業のセイフティーネット構築事業を、8億円ぐらいの予算で平 成14年度にやっておられますが、私の知る限りにおいては、あまり実効的なものに なっていないのではないかと思っています。  そこで、建退共の問題について、4.5%が非常に厳しいことはよく分かるわけです が、このことについて論議するには、より慎重にやっていただきたいという状況を申し 上げます。  たまたま、職業安定局で、平成13年4月に雇用改善計画を5カ年計画で出されまし たね。そこで、こういう記述があるので、短いですから、ちょっと読ませていただきま す。  「従来より我が国建設業においては、受注生産、個別生産、屋外生産、移動生産、総 合生産といった建設生産の特性と、重層的下請構造及び中小零細企業の割合の高さとい う特徴を背景として、不明確な雇用関係、臨時日雇労働者への依存、労働災害の多発、 労働条件・労働福祉の立ち遅れ、適切な職業能力開発の機会の不足等の問題が存在して おり、これらの問題への適切な対応については、今後も万全を期していく必要がある」 ということを言っているわけです。  建設業に対する認識は、皆さん一定にお持ちだと思いますが、いま東京などで一人前 の職人で1万5,000円出るかどうかなのです。「日当」という言葉で表わされま す。それには社会保険料も何も加味されていない。よく仕事が出来る人で、仕事のある 人で、月20日から21日ぐらいです。すると月収で言うと30万円です。平均年齢、 もう50歳に近い40歳代後半です。  そういう状況を考えると、いまの産業全体が雇用に厳しさがあるわけですが、建設業 は最も厳しい状況に置かれています。中小零細業者も非常に厳しい状況に置かれていま す。今日は協会の桜井さんもお越しですが、中堅ゼネコン、大手ゼネコンも厳しいと言 えば厳しいのです。  そういう中で、私は、建設業退職金共済がもっている意味は非常に大きいと思いま す。いまの平均受給で言うと、10年でおよそ100万円程度と聞いておりますが、セ イフティーネット、あるいは他の産業に転出していくにしても、それがいまの限度かな あという気がするわけです。  そういうことを考えますと、産業全体の問題を含めて、建設産業全体の問題を含め て、今回の議論は慎重にやっていただきたい、ということを要望しておきます。 ○桜井委員  佐藤委員が言われるのはよく分かるのですが、単年度の欠損金がずっと続いているわ けです。この4.5%の運用利回りは、他のいろいろな制度から見ても、非常に高い利 回りになります。現実的に単年度で欠損金が出ています。これが、景気の動向で動くの ならいいのですが、継続的に欠損金が出てきています。それをどうやって運営している かと言いますと、剰余金と言うのですか、資産を取り崩している現実があります。剰余 金がまだ少し残っているから、このままいこうではないかという話は、結果的に受給者 に影響を及ぼすことになると思います。  したがって、私どもは、4.5%で維持したいのですが、現実的に収支バランスがき ちっととれるような共済事業にしていきたいという考え方で、今回の見直しをお願いし たいと思います。 ○勝委員  私は、各委員のご要望はもっともだと思いますし、いま非常に厳しい状況にあるとい うことで、いまセイフティーネットを拡充することは必要だと思いますが、ただ、2つ の理由から、やはり、いま委員がおっしゃられたように、財政状況については見直して いかなければいけないだろうと思っております。一つは、建設業自体、やはり恒常的に 労働人口の中に占める建設業の人口が下落する傾向にあります。つまり、建設業が、日 本経済において、いま不良債権の問題が非常に騒がれていますが、すごくこの人口の問 題が絡んでいるわけです。将来的に見ますと、やはり今後この制度の加入者が減ってい くことが考えられるわけです。これは、やはり財政を圧迫する要因であることは一つあ ると思います。  もう一つは、利回りの件ですが、ここで3つの推計がありますが、デフレは当面続く と見たほうが妥当だろうと思います。つまり、名目成長率は、すぐにはプラスにならな いという状況で、やはり2、3年は名目成長率がマイナスになるという悲観的なケース を想定するべきだろうと思います。そうしますと、累積剰余金は、確かに建退共の場合 は潤沢であるわけですが、前に、中退共の財政の面でも話し合われたように、やはり、 ある程度のファンドは維持するべきだということも指摘されています。つまり、いま累 積剰余金がプラスだからといって、4.5%という利回りは、中退共に比べてもかなり 高い水準であるわけで、中退共の財政状況が急激に悪化したのは、やはり早めに手を打 たなかったことが一つの要因で、制度の安定と言いますか、制度が不健全にならないた めにも、特に恒常的にその加入者が減少すると思われる建退共と林業については、早め に予定利回りは考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。 ○山路委員  他の方が言われたことと直接は関係ないのですが、確かにこの財政状況、剰余金とか 運用利率を見ると、我々がこれまで議論してきた一般中退に比べると、建退共も清酒も 比較的いいように思います。これは一言で言うと、どういうことなのでしょうか。やは り、拠出するのは、比較的年齢構成が若い人たちが多くて、リタイアして、お金を受け 取る人が少いということになるのでしょうが、この理由を教えていただきたいのが一点 です。  いま、佐藤委員が言われたセイフティーネット論は、まさにそのとおりだと思います が、ただ、運用利率が4.5%で、中退と比べるとバランスの問題が一つあると思いま すが、やはりセイフティーネットを考える場合は、基本的には、これまで議論されてき たように、年金の問題を考えてもそうですが、いかに持続可能な制度にしていくのかが 最大のセイフティーネットだろうと思います。  差し当たって、短期的にはやはり利率を下げると言いますか、当事者にとっては、な かなかしんどい話ですが、後世の世代とのバランスを考えると、やはり持続可能な制度 にしていくことを第一の視点にするべきではないかを、一つ指摘しておきます。以上で す。 ○蒲原勤労者生活課長  建退と清退ですが、かなり早い時期にできてきているのです。早い時期、つまり、か なり昔は利回りもよく回っているので、その時期に、一方で給付よりもよく回っている 部分があって、そういうものが、ある時期非常に累積してたまっているものがあって、 いまのところまで、その影響で財政状況をよくしているところが非常に大きいと思いま す。  あと、建退については、悪くなっている状況はありますが、一方で、加入促進のいろ いろな経過などもあって、たまたま、いまのところは加入状況もちょっと増えていま す。このあたりも影響しているのではないかということです。以上です。 ○野澤委員  いま山路委員から出ました前段との関係ですが、ここで経済成長率は1、2、3の ケースを見ていますけれど、いわゆる加入・脱退で見れば、平成14年以降、平成19 年に向かって、それぞれ今どれぐらいの数字を想定されているのかわかれば教えてくだ さい。 ○蒲原勤労者生活課長  今回の推計で、ある程度前提を置いて計算しています。基本的には加入・脱退につい ては、過去の伸びを使っているという状況です。例えば建設業であれば、過去3年間の 平均伸率を使って計算をしていますし、清酒製造業も基本的には過去の平均伸率を使っ てやっているということです。一方、林業だけは少し過去のトレンドもあるのですが、 一方で最近は地球環境の問題の関係などもありまして、かなりCO2の削減の関係で森 林について、いろいろな事業を重点的に行おうという動きもありますので、その辺りも 加味して、将来推計を行っているという状況です。 ○齋藤部会長  平成13年度の実績というのは、決算ベースですか。 ○蒲原勤労者生活課長  そうです、決算ベースです。 ○齋藤部会長  平成14年度見通しはいつ現在のものなのですか。 ○蒲原勤労者生活課長  平成14年度以降は、今回の推計のベースのものです。 ○齋藤部会長  平成14年度はもうすぐ終わりになるけれど、実績と見通しの乖離というのはどうな のですか。運用利回りなどの見通しはあまり差が出てきそうもないのですか。 ○外山勤労者生活課長補佐  平成14年度につきましては、まだ推計した時点が年度途中だったこともありまし て、推計値は平成13年度までの実績を加味した形で、平成14年度以降の数値を作っ ています。 ○齋藤部会長  では平成14年度の実績はまだ加味されていないわけですね。 ○外山勤労者生活課長補佐  はい、そうです。 ○齋藤部会長  もう一つ、運用については、「今後の金利水準を以下のとおり仮定した」と書いてあ るのですが、これは皆それぞれで運用利回りが違うのはどういうわけですか。 ○蒲原勤労者生活課長  それはまさにケース1、ケース2、ケース3で、先ほどの名目成長率が、それぞれ回 復の度合いが違う形になっていますので、過去のいろいろな関係なども踏まえて一般中 退の将来の金利シナリオを作るときに、過去のものも踏まえながらそれぞれの名目成長 率の伸びに応じて、金利を設定したという状況です。 ○齋藤部会長  いえ、例えば建設業のケース1の金銭信託は、平成14年度は0%で、清酒の平成 14年度金銭信託は1.2%と、重要なところで国債は同じなのだけれど、金銭信託が それぞれ少しづつ違うのは、実績値が物を言っているのですか。 ○外山勤労者生活課長補佐  金銭信託につきましては、各事業において退職金給付と、入ってくる運用収入を比べ ますと、かなり清酒製造業などは出ていくほうが大きいということで、金銭信託の一部 の収益を出しているということです。ただし、建設業については、掛金収入やインハウ スの運用収入でまかなうことができますので、含み損をまず解消して、金銭信託から収 益を出していくという形にしておりますので、事業により金銭信託の収益部分が、 ちょっと違ってきてしまっているという状況にあります。 ○佐藤委員  みなさんの発言もよくわかるのですが、中退金と建設業退職金、あるいは林業もそう ですが、主に建設業が大きいので言わせていただきますが、中退金の場合は、その事業 主あるいは労働者間で話し合えば、一定の掛金額を引き上げることが可能なのです。と ころが、建設業は1日1枚300円の証紙と固定しているわけです。上限を引き上げる という決定がこの審議会で行われていますが、建退共の掛金を上げようという提案はど こからも出てこないわけです。  そういうことでいうと、中退金の運用の問題と、建設業の労働者の置かれている位置 から考える300円という問題とは少し角度を変えて考えないと、単純に赤字だからと いう論で押していくのはちょっと納得できないのです。それと中退金の場合は、ある意 味では自社退職金があって、中退金を乗せるという可能性がありますけれど、建設業は 原則的に日々雇用です。期間雇用であって現場を転々とする度に証紙を貼ってもらうと いう、原始的なやり方をやっているわけです。そういう状況を考えて、運用利回りはこ うだというのはそのとおりなのですが、そこは大きな開きがあると思うので、より慎重 な議論をお願いしたいのです。もうおわかりのことだと思いますが、強調しておきたい と思います。 ○勝委員  いまの佐藤委員のご意見はまさにもっともだと思うのですが、ただその議論は利回り の議論とは別に考える必要があるのではないかということです。例えば、掛金日額につ いても、またこれから話し合わなくてはならない。例えば証紙を貼っていないというよ うな事例も見受けられるというようなことも報告されていますので、そういうことから 考えると、まさにセイフティーネットというか、社会保障を厚くするという意味から言 えば、その部分の改善を強くやっていくというのは、別途やっていく必要があるのだろ うと思います。それと制度の健全性ということは、分けて考える必要があるのではない か、まさに佐藤委員のおっしゃっていることは正しいと思うわけですが、そこの部分で の議論は分ける必要があるのかと思います。 ○齋藤部会長  今日1回でどうこうというわけでもないだろうと思いますし、これから少しいろいろ の試算その他をやっていただきたいと思いますし、それから佐藤委員が言われたよう に、いろいろ考慮しなければいけない事情というのも他にもあるだろうと思いますの で、その辺も含めて次回以降、もう少し議論を深めていくことにしたいと思うのです。 ○田勢委員  他の制度の運用利回りの例、例えば私はいろいろな審議会の委員をやっているのです が、昨日は中小企業の小規模企業共済、これは昨日の審議会で1%というところまで落 としたのです。それに比べると、非常にハッピーな数字を見せていただいて、すばらし いなと思っていたぐらいなのです。  他の制度ではどのくらいなのかという比較表、運用利回りというのは相場感というの が絶対世の中であるわけで、先ほどご指摘がありましたが、下にある該当の財政融資資 金、政府保証債、国債、金銭信託のそれぞれの金利水準、これが全部ばらばらだという のは非常に奇異な感じがしたのです。原則としてここから大体、世の中はどういう利回 りかということが出てくるので、比較表を出していただけると非常に理解がしやすいの です。  佐藤委員がおっしゃった、建設関係の労働者は特別だという議論は、当然みんなよく 理解をしております。利回りのところは、特別論というのはちょっと通用しないもので すから、差別、比較をしてみれば大体の相場感が出ているのではないかと思います。 ○長谷川委員  今回の議論も前回に引き続き、どのように着陸しようとしているのかという事務局の 方向性は、前回の中退金と同じ手法を取っているので、私は非常によくわかるのです。 審議員のみなさんの言っていることも前回と大体同じ方向なのです。  問題は前回の一般中退金のときに、建設特定業種がどうなのかという議論があったと きの議論は別途だったわけです。一般中退の見直しの際に、特定業種の見直しについて は、そういう議論はなかったのです。こういう経済情勢でこういう形で出てきたのだろ うと思うのですが、これからの手法でいくと、おそらく、いろいろな持っている機関が 持っている利回りがどうなのかという一覧表が出てきて、シミュレーション1、シミュ レーション2、シミュレーション3が出てきてやっぱりこうですね、というところに落 ち着くのだと思うのですが、十分に注意してほしいのは、佐藤委員が言ったように建設 労働者の置かれている状況や、建設労働者に対してどうセイフティーネットを張るのか ということが一緒に議論されないと、ほぼ大体見える話なわけで、そこのところは必ず きちんとセット論で議論していただきたいと思います。 ○齋藤部会長  いまのご議論を踏まえまして、資料を別途にまた作っていただいて、次回以降、議論 を深めていきたいと思います。  そのこととも関係してくると思うのですが、議題2「特殊法人行政評価・監視結果に 基づく勧告への回答等」についての資料説明をしてください。 ○河野勤労者生活課長補佐  資料3を用いまして、「特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告への回答 」「その他」についてご説明申し上げます。  先ほど勝委員からご発言がありましたが、この建退共制度というものは期間雇用者が 対象ですので、働いて賃金が支払われる都度に、その日数分の証紙を手帳に貼るという 掛金の納付方式を現行採っているところです。以前、平成9年、平成10年辺りに証紙 がきちんと貼られていないという問題を指摘されたことがありまして、平成11年に当 時の建設省、労働省、勤労者退職金共済機構で改善方策というものを取りまとめたとこ ろでした。  その実施状況については、後ほど資料を用いましてご説明申し上げたいと思います が、この建退共制度の問題に関しまして、総務省から行政監察による勧告が行われまし て、これにつきましては、昨年の2月にこの部会にも勧告の内容をご説明申し上げたと ころですが、本日は昨年の11月に、この勧告に対する回答を厚生労働省として総務省 に提出しましたので、それについてご報告申し上げます。  まず、勧告について簡単にご説明します。資料3頁、「指摘事項」は主に3点ありま す。第1は「就労日数に応じた掛金の納付の確保」について。第2が「長期未更新者に 対する退職金の確実な支給」について。第3が「共済証紙による掛金納付方式の見直し 」についてでした。第1と第2が厚生労働省から勤労者退職金共済機構に対して、適当 な措置を講ずるように、指導をするようにという指摘です。  簡単に中身をご説明します。1点目、就労日数に応じた掛金の納付の確保についてで すが、まず1つ目、共済契約者に対して、被共済者の共済手帳への証紙の貼付を励行す る等といったようなことを行うようにという指摘がありました。2つ目、手帳への証紙 の確実な貼付を確保するための共済契約者に対する点検・措置について、証紙の購入高 で限定することなく行うようにという指摘がありました。  第2点目は、長期未更新者に対する退職金の確実な支給という点です。建退共の加入 者は期間雇用者ですので、工事現場を変わる度に、それぞれの事業主から手帳を重複し て交付をされるという場合が実際にあります。複数の手帳を所有してしまうケースがあ るということで、これを防ぐために、1つ目は、名寄せによる被共済者の重複加入の確 認等といったようなことが可能になるシステムの充実を図るように、という指摘を受け ています。2つ目は、一定期間未更新、手帳の更新がない状態にある受給資格を有する 被共済者の実態について、把握・分析の一層の充実に努めて、退職金の給付が受けられ るように、共済契約者を通じて受給資格を有する被共済者に適時、適切に働きかけを 行っていくように、という指摘を受けています。  最後の納付方式の見直しについての指摘ですが、これは働いた分の証紙を手帳に貼る という現行の方式を、経済的かつ合理的なものとする観点から見直して、就労実績に見 合った掛金の確実な納付が確保されるものにするように、検討を進める必要があるので はないかという指摘を受けました。  これらについて昨年11月に厚生労働省として回答を行ったわけです。次の頁以降に 本文として回答を付けさせていただいていますが、長くなりますので、1頁目に戻りま して、これで説明させていただきます。  まず第1の指摘である「就労日数に応じた掛金の納付の確保」に関して、機構建退共 本部と業務委託を行っている各都道府県の業界団体との間で、オンライン化を図るとい うことに着手していくことにしています。このオンライン化により直近の共済契約者の 情報を機構の建退共本部、また委託先でも把握できるシステムを作るということで、証 紙購入の乏しい共済契約者に対する指導を撤底していくこととしております。このシス テムは、いま検討を行っているところでして、平成16年度稼動予定です。  また、共済証紙の購入額が少額である事業主に対する点検・調査ですが、現行、年間 の証紙購入高2万円未満の事業主に対して行っているところでしたが、この要件を撤廃 して、手帳の申込み、または手帳の更新がない全ての事業主を調査対象とすることとし ています。これについても現在システムを検討中でして、平成15年度実施予定です。  第2の指摘、「退職金の支給の充実」ですが、これについては、手帳の未更新調査に ついて、これまで未更新が5年以上の被共済者を対象にしていましたが、今年度より、 これを3年以上の被共済者へと拡大しています。  最後は「納付方法の見直し」です。これについては、現在、事前に証紙を購入するの ではなく、就労実績を報告していただき、それに基づいて口座から引き落とすという納 付方式について確実に就労実績に見合った納付が確保されるか、運営コストはどれくら いかといったような観点から問題点等について、勤労者退職金共済機構で実験等を行 い、検証を行っているところですが、現行方式のメリット・デメリットあるいはその新 たな納付方法の経済性・合理性を考慮しながら、中長期的な課題として取り組んでいき たいと考えています。以上が勧告に関する回答の説明です。  最後に2.のところですが、先ほど少し触れました平成11年に策定をしました改善 方策について、その実施状況をご報告申し上げたいと思います。10の項目があります が、それぞれの詳細については、8頁以降に別紙3として付けてありますが、2頁の図 を使って実施状況をご説明申し上げます。  この図の右にある問題となっている証紙購入の乏しい共済契約者、あるいは手帳更新 のない被共済者、就労実績に見合った証紙の貼付がなされていない、という問題をどう 解決するかということで、平成11年に取りまとめた方策ですが、大きく分けて2つあ ります。  1つは勤労者退職金共済機構、あるいは業務委託先から共済契約者に働きかけるとい うものです。2つ目は建退共制度については公共工事の関係で、発注事業者にご協力を いただいているところですので、そこで策を講じていただいているというものです。  1点目は中ほどに、「業務委託先」及び「勤労者退職金共済機構」から「元請事業 主」のほうに矢印が出ているところに5点ほどポツで出しているものがありますけれ ど、ここにあるような方策を講じたところです。  1点目が「証紙購入の目安の提示」というものです。証紙購入については総工事費に 対する購入の目安というものを従前より示していたところですが、それを実際に則した ものに改定をしました。併せてあくまで目安であり、それぞれの現場において購入の必 要枚数がわかれば、それに従って購入していただくことが、当然に適当であるというこ とも併せて周知しています。2点目が「共済手帳の交付の励行」ということです。3点 目が「受払簿の様式の策定」ということで、証紙の受払いをそれぞれの事業主で記録を していただくというための様式を策定しています。4点目、「建退共加入シールの掲示 の普及促進」ということで、事業主が建退共制度に加入しているかどうか、労働者自身 がわからないといったようなことも多々あるようですので、現場に労働保険の加入の掲 示等と併わせて、建退共加入のシールの掲示も図っていただくといったようなことを推 進しているところです。 また、「事務処理手引きの配布」ということで、お手元に赤い表紙の冊子をお配りして いますが、これを読めば建退共の事務をどのようにやっていけばいいかわかるようなも のを作っていまして、それを加入者のみなさんにお配りしています。下請事業者から元 請事業者に事務受託を推進するということも併せて行ってきています。  2点目の発注者にご協力をいただいている関係ですが、まず現行、公共工事に参加す る企業の方々の企業力を評価するといったような制度として、経営事項審査制度という のがあるのですが、この制度において、建退共制度の加入というのが加点評価をされて います。経営事項審査用のために加入履行証明書というものが必要になるため、それを 各都道府県にある業務委託先において発行していますが、その際に先ほど様式を作った というように申し上げました証紙の受払簿等を添付していただくようにしていまして、 現在、100パーセント実施をしているというものです。また、その発注事業者におい ては、その発注に際して建退共の掛金の収納書といったものを提出していただくような 取組みを行っていただいているところです。  以上、簡単ではありましたが、このような形で改善方策を実施しているところで、今 後とも確実にこの方策を実施していきたいと思っています。説明は以上です。 ○佐藤委員  改善方策が作られるときに、私もそれなりの立場で参加をさせていただき、作られた のは厚生労働省と国土交通省と、いまの勤労者退職金機構の三者で行われたわけで、そ の実施状況を報告されているのは非常に結構なことだと思います。  この中で、いま経営事項審査のことをおっしゃったと思うのですが、少なくとも国の 直轄工事や自治体の大きな工事をやる業者の、建退共の加点になっている状況をこの審 議会に出せるかどうかということです。本来、経営審査事項というのは、公表されるこ とになっていまして、偉そうなつもりはありませんが、私はたまたま中央建設業審議会 委員というのを任命されていまして、そういう問題を非常に議論しているわけですが、 この問題と併せてそういうものが出せるかどうか、1つ聞きたいということです。  それから、地方自治体の役割というのは非常に大きいと思うのですが、この絵の中に は地方自治体の役割はあまり書かれていないのです。最近北海道の函館市などは、業者 に対して非常に厳しいというか、適正な指導を行って提出文書も非常に厳しいものに なっています。より厳格に施行していこうという姿勢が見られますので、特徴的な自治 体の例を、できれば次回ぐらいに出していただけないかというお願いです。  もう一つ、労働者本人が、事業所が建退共に入っているかどうか、共済契約を結んで いるかどうかということを承知するために、それぞれの支部に出向いて見ることができ ると、閲覧した件数が少なく出ていますが、私は前の任期というかこういう部会になる 前のときに少し聞いたことがあるのですが、働いている労働者の代理人が、その事業所 に関して閲覧することができるかどうか。これについては委任状があればできるとい う、いまは次官になられた偉い方の発言があったと思いますので、もしよかったら議事 録を調べておいてほしいと思うのですが、そういうことについてどうかということで す。  それから改善方策の中には、抜け落ちているのか、あまり問題がなかったのかもしれ ませんが、労働者が建退共の問題について不満を持っていたりする場合、あるいは尋ね 事がある場合は、管轄の労働基準監督署に相談することができるという条項がありま す。そのことについては何も報告がされていないように思います。そのものが問題にな らないほど相談がなかったのかどうかということをお伺いしたいと、以上をお願いしま す。 ○蒲原勤労者生活課長  ちょっと細かなところまでご説明できるかどうかわからないのですが、1点目の経営 審査の加点の状況については、これは重要なところで、国土交通省によく聞いてみなけ ればなりませんので、きちんと相談をした上でどこまで出せるかということをやってみ たいと思っています。  2点目の地方の役割ですが、基本的には発注事業者というところが国の場合もあれ ば、県の場合もあれば市町村の場合もあるので、2頁の図の「発注事業者」のところ に、地方の役割というのが1つ入ってくるということになっています。先ほどちょっと 話が出ていた掛金収納書については、すべての発注者であるすべての都道府県は、みん なこれを取るようにしているということです。市町村はまだまだ全部までいっていない のですけれど、そこは努力したいと思います。  もう一つ、いまおっしゃったいくつかの所では、いくつかの市町村ではより掛金収納 書だけではなく、もう少し本当にきちんとやられているかどうかまで発注者が確認して いる事例があるということは私どもも承知していますので、そこのところは整理をした うえで次回に資料として出したいと思っております。本人閲覧の関係の代理人の話と監 督署への話については、佐藤委員が現場のことに詳しいということでいろいろご存知だ と思いますけれど、我々ももう少し資料を整理してご説明したいと思います。 ○佐藤委員  改善方策にそのように記載されていることは間違いないですね。 ○河野勤労者生活課長補佐  相談機能の強化を図るという中の1つの方策として、監督署あるいは県の労政事務所 で建退共に関する相談を受けた場合には、建退共の支部をご紹介するように全国会議で 依頼をしているという、当時の、平成11年ですが、そういうことがありましたが、そ れぞれの現場でどれぐらいの相談件数があるかというのはまだ把握していない状況で す。 ○齋藤部会長  はい、ほかに何かありますか。 ○田勢委員  お詳しい方と、私どものような全くの素人がいるのですが、素人のほうからいくとだ いぶいろいろな問題があるということを総務省からも言われているのですが、定量的な 数字というのはないですか。例えば証紙を購入していないという事例がどれぐらいある のかとか、共済手帳の交付であるとか、どうもその辺がわからないと、あまりお日様の 下にさらし出したくないというお考えもあるのかもしれませんけれども、少しその辺を 出さないと改善のステップも進んでいかないのではないかと思います。もし厚生労働省 が気合いを入れて改善を図るおつもりがあるのだと思いますが、あるのであれば定量的 にこうだから来年度はこうなるというターゲットを定めてやっていくというのが最近の 行政手法としては当り前のことだと思いますがいかがですか。厳しい意見かもしれませ んが。 ○蒲原勤労者生活課長  この改善方策については、こういう事とこういう事をやれということを書いて、そこ をどういうふうにやったか、何回やったとか、いつ指示したとかというところは先ほど の資料にあるとおりです。ところが実はそれを受けて現場がどうなっているかというと ころが正確な数字はないということです。ただ、そこが現状を把握するということにつ いての必要性は我々も認識していますので、今回いろいろな整理をする中で把握の必要 性ということにも認識が高まってきているので、どんな形があるのか。今回いろいろな 法律改正もあって、実は最後に申し上げようと思ったのですけれども、独立行政法人化 になるということもありますので、そうした制度変更を踏まえて一体どんな形で現状を 把握するかということを機構とも相談をしようという状況になっております。 ○長谷川委員  建退共各支部における相談機能の強化を図るということで、東京、大阪に相談コーナ ーを設置して、更に本部相談員の増強を図るということですが、東京と大阪に、どうい う相談が寄せられていて、どのように解決したのかという一覧表を作っていただければ と思うのです。まず相談件数がどれぐらいあったかということと、相談内容でどういう のがあったのか、そういうのを作ってください。これからセイフティーネットをちゃん とやるということだから、どういうところにちゃんと改善するかというのは私たちもよ くわからないので。  それともう一つですが、10頁の項目8のところで「証紙以外の方式の導入について の場を設ける」となっているのですが、もしこの検討状況などについてわかれば、次回 にでも教えていただきたいのです。 ○蒲原勤労者生活課長  わかりました。実はいくつかの地域を選んで、そこで働く方々がカードのようなもの を持って、どのぐらい働くかということを登録して、それをいろいろなルートを通じて 建退共の本部に情報を流すという形で、全国で予定も含めて20カ所ぐらいだと思います けれども、動いている所と動いていない所があります。少しその辺のものを資料として 出したいと思っております。 ○齋藤部会長  ほかに何かありますか。それでは、いまご注文があったことを踏まえて次回資料を用 意していただきたいと思います。最後に「余裕金の運用に関する基本方針」について機 構からご説明をお願いします。 ○茂木理事  総務担当理事の茂木でございます。私から勤労者退職金共済機構の業務上の余裕金の 運用に関する基本方針についてご説明申し上げます。この基本方針は昨年11月1日に 施行された中退法の一部改正により、新たに策定が義務づけられたものでして、その淵 源を辿りますと、一昨年12月19日に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画に行 き着くわけでございます。すなわちこの計画の中で当機構の事業について講ずべき運用 面の措置として、明確な運用目標の設定、適切な事業評価、運用管理、チェック体制の 充実強化を実施することが指摘され、これを受けて先の中退法の一部改正において資産 運用に係る基本方針を策定することが規定されたところです。  このため、当機構では早くから資産運用の基本方針の内部的な検討に着手するととも に、その際に資産運用の目標とするべき基本ポートフォリオを策定することが極めて重 要だと考え、法改正時の国会の附帯決議の趣旨も踏まえ、基本ポートフォリオの策定に 当たりましては外部の専門家にお諮りしながら作業を進め、併せて資産運用の基本方針 の内容についてもご助言をいただいたうえで区分経理の原則のもとに、昨年11月1日 中退共、建退共、清退共、林退共の4事業本部ごとにそれぞれ策定したものです。なお 基本ポートフォリオは勤労者退職金共済機構の財務及び会計に関する省令においても、 「業務上の余裕金の運用に係る資産の構成に関する事項」という表現で、資産運用の基 本方針に盛り込むべき事項とされておりまして、基本方針と一体をなしておりますの で、一括してご説明申し上げます。  資産運用の基本方針は4事業本部いずれもが「基本的考え方」「自家運用」「委託運 用」「運用管理体制」「基本方針の変更」の5部構成でして、運用という事柄の性質 上、共通部分が多い内容となっていますが、その概要をとりまとめてみるとお手元にあ る資料4のとおりとなっています。  まず1頁の「基本的考え方」としては、運用の基本原則として中退法をはじめとする 関係法令を遵守し、安全かつ効率を基本に運用を行うこととし、運用の目的としては、 退職金共済制度が長期的に収支均衡するよう設計されていることを念頭に置きまして、 制度を安定的に運営していくうえで必要とされる収益を長期的に確保することを目指し ております。  次に「運用の目標」ですが、累積欠損金が生じて厳しい財務状況にある中退共及び林 退共については、累積欠損金の解消を図る趣旨から中期的に制度の健全性の向上に必要 な収益を確保することとし、建退共及び清退共については中期的にも欠損金の発生を来 たさないように制度的な安定を維持し得る収益を確保することとしております。  次に「資産構成」については最適な資産配分である基本ポートフォリオを策定し、毎 年度検証を行いつつ、前提条件に大きな変化のない限り、目標とすべき政策的資産構成 割合としてこれを維持するよう努めることとしております。運用対象とする資産を国内 債券、国内株式、外国債券、外国株式の概ね4つの資産クラスに分類し、過去のデータ や将来の経済予測値をベースにして期待収益率、いわゆるリターン、標準偏差、いわゆ るリスク、すなわちリターンを中心とした左右のバラつき度等を推計して、いくつか選 定した候補の中から将来の退職金支払や掛金収入等を考慮した運用シミュレーションを 行い、単年度損益の状況等も見ながら最適な資産配分となる基本ポートフォリオを4事 業本部ごとに最終的に選択をいたしております。  これらを比較対象すると1頁に掲げたとおりでして、平成12年度に一度基本ポート フォリオを策定している中退共を例に取ると、ご案内のとおり予定運用利回りが3%か ら1%に引き下げられたことを踏まえ、平成12年度のものよりもリターン、リスクを 低いものとし、その際リターン、リスクを大幅に引き下げますと含み損が発生すること から、その移行コストを小さくすることなどを考慮してリターン、リスクを若干低く設 定した基本ポートフォリオが採用されておりまして、その結果、リスク性資産と言われ る国内株式、外国債券、外国株式の割合はこれまでの20.0%から17.0%に改め られております。ちなみに今回初めて基本ポートフォリオが策定された建退共、清退 共、林退共のリスク性資産はそれぞれ12.5%、8.1%、4.4%となっておりま す。  次の2頁になりますが、資産運用はキャッシュフローの確保、収益の向上等の観点か ら自家運用と委託運用の適切な分担の下に行うこととし、運用に関する情報は運用方針 やその結果も含め適時公開することといたしております。自家運用、いわゆるインハウ スについては委託手数料が不要であることなどから資産運用の効率化に資するものであ り、基本的投資スタンスとしては運用コストやメンテナンスコストの抑制と、インカム ゲインの確保を目的として、償還期日まで持ち切る、いわゆるバイ・アンド・ホールド の原則、更には国債等を除いてリスク管理の観点から債権の同一発行体への投資額を債 券保有総額の10%以下とすることや、信用のある格付機関によりA格以上の格付けを 得ている債券とすることなどの制限を設けています。なお、運用対象は有価証券その他 中退法に列挙されておりますが、このうち不動産については当機構が所在する退職金機 構ビルだけでございます。  次に「委託運用」については信託によるもの、生命保険資産によるもの、有価証券信 託というものがありますが、基本方針で記載されている事項は概ね共通していますの で、信託を中心に説明をいたします。まず受託機関の選定については、当該機関の運用 管理体制、運用方針、運用スタイル等の選定基準に基づき評価したうえで行うことと し、運用委託後の受託機関の評価については定量評価と定性評価、すなわちファンドご との時間加重収益率を複合市場平均収益率、いわゆる複合ベンチマークと比較しファン ドごとに評価する定量評価と併せまして、いま述べました受託機関の選定基準と実際の 投資行動との整合性等も加味した定性評価により総合的な評価を行い、その結果によっ ては資産配分シェアの変更や委託契約の解除等を行うこととしております。なお、シェ ア変更はこのほか市場価格の大幅な変動により資産の構成が基本ポートフォリオから著 しく乖離した場合等にも政策的に行うことといたしております。  そのほか受託機関の責務としては法令はもちろんのこと、基本方針と併せて受託機関 に提示されます運用ガイドラインを遵守すること、受託者責任として善管注意義務が課 されること、少なくとも四半期ごとの報告書の提出と合わせて運用状況に関する当機構 とのミーティングを実施するなどが義務付けられております。また、資産運用上の遵守 事項として、受託機関が他の資産と合同ではなく、当機構の資産を単独で運用するいわ ゆる単独運用の原則、運用ガイドラインで指定された資産区分に従って余裕資金は最少 限とする、いわゆるインベストメントの原則等の遵守、更には受託機関に必要に応じた 株主議決権の行使とその報告を求めることといたしております。  次の3頁ですが、生命保険資産による運用については利回りが保証されております。 新企業年金保険、いわゆる一般勘定によるものと、更に中退共では利回りの保証がなく 金銭信託に類する新団体生存保険、いわゆる特別勘定とがありますが、生命保険会社の 選定、評価、その他についてはこれまで委託運用の受託機関で述べてきた考え方をほぼ 踏襲いたしております。有価証券信託による委託運用についても同様でございます。  次に、資産運用の管理体制としては5頁に図示したとおりでして、日常的な運用につ いては基本方針や年度ないしは、四半期の運用結果に基づき4事業本部ごとの担当のセ クションで行っておりますが、委員会方式では3種類ありまして、1つが当機構内部の 役職員で構成する資産運用委員会、2つ目が主として基本ポートフォリオの作成等につ いてご助言いただく外部の専門家からなる中退共のALM研究会、特退共すなわち建退 共、清退共、林退共にありましては資産運用検討委員会、3つ目が資産運用評価委員会 でして、これらの委員会の下に適切な資産管理を行うことといたしております。特に3 つ目の資産運用評価委員会については特殊法人等整理合理化計画や、労働政策審議会の 建議による指摘も踏まえ、外部の専門家で構成する委員会として当機構内に新たに設置 することとしたものでございまして、今月末に第1回目の会合を予定しております。  最後に資産運用の基本方針の変更についてですが、その前提条件に大きな変化があっ た場合には中退共においてはALM研究会、特退共においては資産運用検討委員会にお いて専門家のご助言を十分にいただいたうえで、最終的には理事会で決議し変更するこ とといたしております。以上が当機構の資産運用の基本方針について概略ご説明申し上 げました。運用をめぐる環境が厳しさを増している中で、当機構における資産運用の重 要性が一層高まっているというふうに認識いたしております。今後とも難しい対応を迫 られることになりましょうが、この度策定いたしました基本方針に基づき、安全かつ効 率的な資産運用に努めていきたいと申し添えて、私の説明を終わらせていただきます。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。いまのご説明について何かご質問ありますか。 ○山路委員  専門家というのはどういうメンバーなのですか。専門家と言ってもいろいろいますか らね。 ○茂木理事  いろいろ投資関係の専門的な方々です。 ○山路委員  ただ、投資関係と言うと、利害関係者もいるのではないですか。 ○茂木理事  直接的な関係者ではなく、研究所とかそういう類の方々にお願いすることになりま す。 ○山路委員  差し支えなければそのメンバーの中身を出していただけませんか。どういうメンバー でできているかというメンバー表ぐらいは出してもいいのではないですか。 ○齋藤部会長  ほかに何かありますか。堀越さんどうぞ。 ○堀越委員  極めて単純な質問なのですが、1頁に建退共の期待収益率2.13という数字がある わけですが、これとその4.5ですね、この間はどういうふうに読むのですかね。 ○茂木理事  ですから現在の運用環境からいくと2.13の辺りが、いまのところの最適な基本 ポートフォリオだということです。 ○堀越委員  わかりました。 ○佐藤委員  前回の審議の中でも金銭信託が含み損になっているということが明らかになったわけ ですね。このままいくと先ほどの予測の中の建退共のケース3の4.5、これは経済状 況がいちばん悪いことを反映した場合だと、16年まで何の見返りもないということが 予測されているわけですが、現在の含み損というのは大体言われたのだと思いますけ ど、おっしゃっていただているのと、金銭信託をかなり重視されているというのが、そ ういう感じからいってよくわからないのですが、そこを説明いただきたいです。 ○蒲原勤労者生活課長  含み損ですね、たしか前回でも説明したと思いますが、13年度末の段階で、金銭信 託部分で約500億の含み損が生じているという状況です。ちょっと具体的な数字はあ りませんが、13年度末の段階で500億という状況です。 ○佐藤委員  だから、その含み損がそんなにあることを承知の上で、金銭信託の割合を高めていく ような書き方になっているようにも思うのですが、そこはどうなのでしょうか。 ○茂木理事  これまでは相当割合、金銭信託部分もありましたけれども、今回の基本ポートフォリ オについてはその辺のところを、先ほどご説明申し上げたように下げる、つまりリスク 性資産を下げると、ただそれを一挙にやるとまた含み損の実現ということになりますの で、その辺の兼ね合いを見ながら今回の基本ポートフォリオの選定をしたということで す。 ○蒲原勤労者生活課長  もう1つ補足しますと、一般中退は3%から1%となって、実は一般中退のリスク性 資産の割合というのは本当に下がってきています。特定業種のほうは今回一応ポート フォリオを作っておりますけれども、特定業種についてまさに運用利回りをどうしよう かということの議論が始まっている段階でして、基本ポートフォリオを作る段階でも、 ある意味では今後、運用利回りの見直しがされればもう1回きちんと見直すということ を前提ということで作成をしています。 ○齋藤部会長  ほかに何かありませんか。それでは今日はこれぐらいにしておいて、次回引き続いて 議論をしていきたいと思います。いろいろご注文のついた資料等を調整していただい て、建退と林業の予定運用利回りの問題について推計の資料等も出していただいて、議 論を深めていきたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  今後の予定について私のほうからご説明します。その前に先ほど触れましたけれど も、前回のこの委員会の場で独立行政法人化に向けての法案の準備をしているとご説明 いたしました。その後、昨年の臨時国会に、実は政府全体で約50弱の法案がまとめて 出されまして、その中の1つにこの中退法の一部改正も入っておりました。その中でい まの機構を独立行政法人化にするという内容を盛り込んだ法案として出させていただき まして、昨年の臨時国会の中でこれが通りました。今後は今年の10月に向けていろい ろな準備を進めていくということでやっておりますのでご報告しておきます。  併せて今後の日程ですが、次回は2月5日、時間は同じく10時から、場所はまだ未 定ですが予定をしたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。 以上です。 ○齋藤部会長  今日の議事録の署名委員は野澤委員と田勢委員にお願いをしたいと思います。それで は今日はご苦労様でした。また次回よろしくお願いします。 6 配布資料  (1) 特定業種退職金共済制度の加入・脱退状況等  (2) 特定業種退職金共済制度の収支状況と将来推計  (3) 特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告への回答等について  (4) 業務上の余裕金の運用に関する基本方針              照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課                   担当:河野・簑原                    03(5253)1111(内線5376)