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資料1

看護技術教育の現状(委員からの意見の概要)

看護学生の臨地実習において最終学年までに経験させてもよい技術項目を示したものであり、看護行為の実施によって予測される患者の身体侵襲の程度を目安として水準の分類を行った。
技術の実施にあたっては患者の権利の保障と安全性の確保を最優先に考えて臨ませることとし、事前に患者・家族の同意を得て行わせること。
学生による技術の実施にあたっては、事前に実践可能なレベルにまで技術を修得させてから臨ませること。
患者の状態や学生の学習状況によっては、学生に実施させようとする技術が必ずしも予め定めた水準では適当でない場合がある。そのような場合の水準の適用については、以下の内容を考慮して教員や看護師の判断のもとに行うこと。
(1) 学生が実施しても看護師等の実施に比較して患者へ大きな身体侵襲を来すものでないこと
(2) 学生の技術の修得状況や根拠となる知識の程度
(3) 学生と患者・家族との人間関係

看護学生に許容される技術の範囲であって到達レベルを規定するものではないが、水準1の技術については基礎教育の中で行うことが望ましいのではないか。


看護技術の水準(案)

水準1. 教員や看護師の助言・指導により学生が単独で実施できるもの
 実施しようとする技術が特定の患者の状態に適していると認められたものであれば、患者・家族の承諾を得て学生が主体となり単独で実施できるもの。

水準2. 教員や看護師の指導・監視のもとで実施できるもの
 患者・家族の承諾を得て教員や看護師の指導・監視のもとで学生が実施できるもの。

水準3. 原則として看護師や医師の実施を見学するもの。
 原則として学生による実施は行わせないものとする。ただし、看護師や教員又は医師の指導監視のもとで患者の身体に直接触れない範囲で介助を行うことは差し支えない。


臨地実習において看護学生に許容される基本的な看護技術(案)

水準
項目
教員や看護師の助言・指導により学生が単独で実施できるもの
教員や看護師の指導・監視のもとで学生が実施できるもの
学生は原則として看護師・医師の実施を見学する
環境調整技術 療養生活環境調整(温・湿度、換気、採光、臭気、騒音、病室整備)、ベッドメーキング、リネン交換    
食事援助技術 食事介助、栄養状態・体液・電解質バランスの査定、
食生活支援
経管栄養法(流動食の注入) 経管栄養法(経鼻胃チユーブの挿入)  
排泄援助技術 自然排尿・排便援助、便器・尿器の使い方、オムツ交換、失禁ケア、排尿困難時の援助
膀胱内留置カテーテル法(管理)
浣腸、導尿、摘便、
ストーマ造設者のケア、
膀胱内留置カテーテル法(カテーテル挿入)
 
活動・休息
援助技術
体位変換、移送(車いす)、廃用性症候群予防、体位変換、入眠・睡眠の援助、安静 歩行・移動の介助・移送(ストレッチャー)、関節可動域訓練  
清潔・衣生活
援助技術
入浴介助、部分浴・陰部ケア、清拭、洗髪、口腔ケア、整容
寝衣交換など衣生活援助(臥床患者)
沐浴

寝衣交換など衣生活援助(輸液ライン等が入っている患者)
 
呼吸・循環を
整える技術
酸素吸入療法、酸素ボンベの操作、気道内加湿法、体温調整、吸引(口腔、鼻腔) 吸引(気管内)、体位ドレナージ、
低圧胸腔内持続吸引中の患者のケア
人工呼吸器装着中の患者のケア
人工呼吸器の操作
低圧胸腔内持続吸引器の操作
創傷管理技術 褥創の予防ケア 包帯法、創傷処置、  
与薬の技術 経口・経皮・外用薬の与薬方法 直腸内与薬方法、点滴静脈内注射・中心静脈栄養の管理
皮内・皮下・筋肉内・静脈内注射の方法
輸液ポンプの操作
輸血の管理
救命救急処置
技術
意識レベル把握   救急法、気道確保(気管挿管の介助)、
人工呼吸、閉鎖式心マッサージ、除細動、止血
症状・生体機能管理技術 バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸、血圧)の観察、身体計測、症状・病態の観察、検体の採取と扱い方(採尿、尿検査)、検査時の援助(心電図モニター、パルスオキシメータの使用、スパイロメータの使用) 検体の採取と扱い方(採血、血糖測定)
検査時の援助(胃カメラ、気管支鏡、腰椎穿刺、12誘導心電図など)
 
感染予防の技術 スタンダードプリコーション
医療廃棄物管理
無菌操作  
安全管理の技術 療養生活の安全確保、転倒・転落・外傷予防、医療事故予防、リスクマネジメント    
安楽確保の技術 体位保持、罨法等身体安楽促進ケア、リラクセーション、指圧、マッサージ    

「看護学教育の在り方に関する検討会報告(平成14年3月26日)」に一部項目を追加した。


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