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確定拠出年金
連絡会議
第4回
平成15年1月17日
  資料 6−1


確定拠出年金実態アンケート調査結果の概要

(社)生活福祉研究機構

1. 確定拠出年金実態アンケートの企業調査と個人調査の結果をまとめているが、未集計部分もあり、若干数値変更の可能性がある。

2. 企業調査は、あくまでもアンケート回答企業(サンプル)のみの平均値であり、確定拠出年金を導入している全企業の平均像を、的確に反映していないこともありえる。

3. 企業調査、個人調査ともに設問内容が広範囲に及んでおり、集計の詳細については最終報告書に譲る。

<企業調査>
 回答企業の特性
 企業調査の回答企業は67社、回収率は47%である。業種別には、サービス業25%、卸売・小売業22%、金融・保険業13%、製造業12%、建設業6%、不動産業3%、運輸・通信業2%である。

I.確定拠出年金の導入理由等について

  1) 確定拠出年金の導入理由を複数回答で選択する設問では、「従業員が自らライフ・プランを考える契機」(52%)「企業会計改革に合わせた退職給付債務の解消」(37%)「福利厚生の充実・見直し」(37%)「従業員の老後生活保障の多様化」(36%)「給与、報酬体系の再構築」(33%)「企業の財務体質の改善」(27%)等の理由が上位を占めている。(I−1)

  2) 運用関連運営管理機関の業態は、「確定拠出年金専門会社」(54%)「銀行」(16%)「生命保険会社」(15%)となっており、その選任理由としては、コンサルティング能力や投資教育サポート業務の充実が最重視されている。記録関連運営管理機関の選任理由は、口座管理システムの信頼性や運用商品などの情報提供サービスの充実が挙げられている。資産管理機関の業態は、93%が信託会社となっており、その選任については、業務遂行能力の他に、廉価な手数料が重視されている。(I−2,3,4,5,6)

II.確定拠出年金以外の退職給付について

  1) 調査時点で確定拠出年金以外の退職給付がある割合は70%であり、その内訳は、厚生年金基金が34%、適格退職年金が23%、退職一時金が60%となっている。(II―1)

  2) 確定拠出年金の導入時点で、他の退職給付から資産移換した割合は40%であり、その内訳は、厚生年金基金が7%、適格退職年金が63%、退職一時金が44%となっている。また、原資の割合(金額ベース)でみれば、厚生年金基金からは3%、適格退職年金からは37%、退職一時金からは30%であり、新規原資の割合も31%にのぼる。(II―2,3)

  3) 確定拠出年金の導入にはいくつかのパターンが想定されるが、「既存制度の過去分をすべて廃止して一本に全面移行」した割合と「全く新規に導入」した割合が37%で一番多く、「既存制度の過去分を一部減額して導入」した割合が18%でこれに続く。(II―4)

III.加入、掛金、給付の状況等について

  1) 掛金額の算定方法では、定額方式が30%、定率方式が52%で、ポイント制は13%である。(III―3)

  2) 規約に定める掛金額の上限金額は、18,000円と36,000円の所に山がある。全加入者の掛金月額の平均値は、12,031円である。(III−4,5)

  3) 給付の形態については、年金と一時金の選択制がほとんどである。給付の種類については、老齢給付、障害給付の両者について、終身年金の割合は16%と低い。有期年金だけのところが半数以上を占める。(III―7,8)

IV.運営管理機関について

  1) 運用関連運営管理機関による商品情報の提供手段は多様であり、「ウエッブ・サイト」(97%)「コールセンター」(96%)「資料の配布」(81%)そして「ビデオ、DVDの配布」(22%)となっている。(IV―1)

  2) 記録関連業務に関する通知回数は平均で、年間2.6回となっている。(IV―2)

V.投資教育について

  1) 確定拠出年金導入前の投資教育では、自社と運営管理機関が実施する割合が拮抗している。新入社員や導入後の継続的な投資教育では、その割合は、各々、73%と28%、57%と37%となっている。(V―1)

  2) 導入前および新入社員の投資教育手段は、「説明会の開催」と「資料の配布」が主であるが、継続的な投資教育では、「説明会の開催」の割合は低下し、「ウエッブ・サイト」および「資料の配布」が中心になっている。(V―2)

  3) 投資教育効果の把握状況については、「把握している」割合が24%、「今後把握する予定である」割合が27%となっている一方、「把握する予定はない」割合も40%に達する。(V―4)

VI.手数料について

  1) 運用関連業務に掛かる初期費用の1人当たり金額は、平均値で1,857円、その維持管理費用の月額は188円である。同様にして、記録関連業務に掛かる費用は、各々1,813円と293円であり、資産管理業務に掛かる費用は、各々2,701円と108円である。
 なお、記録関連業務や資産管理業務の費用負担者については、不明とする回答も多いが、すべての業務について事業主のみを費用負担者とする割合が高い。(VI―1)

  2) 投資教育に要する費用について、導入時点の1人当たり費用は平均値で1,795円であり、継続教育に要する1人当たり費用は平均値で104円(月額)である。(VI―2)

VII.運用商品について

  1) 企業が加入者に提供している運用商品数は、平均で13.3であり、その内の元本確保型商品数は平均で2.9である。(VII―1)

  2) 平均的な運用商品選択数については、年齢毎の特徴的傾向はみられない。資産残高割合については、「預貯金」「株式投資信託」が全年齢で概ね3割台、「公社債投資信託」が1割5分程度であるが、40歳代の「株式投資信託」の割合は4割を超えている。(VII―3)

<個人調査>
 回答加入者の特性
 個人調査の回答者は601人、回収率は38%で、平均年齢は37.8歳である。職業は、会社員89%、自営業8%となっている。

I.加入状況について

  1) 加入形態では、企業型の加入者数は504人で、その内69%は勤務先で一律適用を受けている。個人型の加入者数は95人で、その内63%は国民年金第1号被保険者であり、また34%が国民年金基金に加入している。(I―1)

  2) 企業型の希望加入者と個人型加入者による加入理由では、「公的年金だけでは老後生活が不安だから」(39%)「自助努力により老後生活に備えたいから」(37%)「税金などを考慮して老後資産形成に有利だから」(33%)「自ら資産運用する良い機会だから」(31%)などの選択肢が上位を占めている。(I―2)

II.投資教育について

  1) 加入者はいくつかの手段により、「制度内容」「加入手続き」「資産運用方法」そして「運用商品」に関する情報をえている。その理解度を4段階評価で質問したところ、「制度内容」「加入手続き」については、「十分理解できた」「理解できた」を合計した割合が7割近くであるのに対して、「資産運用方法」「運用商品」についてその割合は5割をやや超える程度であり、「あまり理解できなかった」「全く理解できなかった」割合が4割前後である。(II―3)

  2) 実施方法別でみた加入者側の評価は、「説明会の開催」「資料の配布」で高いのに反して、「ウエッブ・サイト」「ビデオ・DVD」ではかなり低くなっている。(II―4)

  3) 一般的な投資教育に加えて、具体的な投資アドバイスを受けたいと考えている加入者は68%にのぼり、アドバイスを受けたい機関として、「第三者的な投資専門機関」を挙げた加入者が69%と最も多い。(II―5)

III.運営管理機関について

  1) コールセンターやウエッブ・サイトなどの利用状況については、「利用した経験がある」割合が、コールセンターでは11%、ウエッブ・サイトでは42%である。その利用頻度については、「頻繁に利用する」割合が、コールセンターでは2%、ウエッブ・サイトでは4%にすぎず、「2・3ヶ月に一度」「ほとんど利用しない」割合が、コールセンターでは77%、ウエッブ・サイトでは60%に達している。(III―1,2)

  2) 利用目的については、コールセンターは「制度説明」「加入手続き」「運用商品」など多岐にわたるが、ウエッブ・サイトはかなり高い比率が「運用商品」に集中している。コールセンターの対応やウエッブ・サイトの使いやすさは、「良い」「普通」が8割を超えている。(III―3,4)

  3) 記録管理会社からの通知書に対する理解度は、「あまり理解できなかった」「全く理解できなかった」割合が4割程度であるが、その内何らかの事後的対応をした加入者は1割程度である。(III―7,8)

IV.資産運用状況について

  1) 企業型と個人型を含んだ、掛金の平均月額は16,083円であり、運用商品数は平均で3.3で、その内元本確保型商品は平均で1.0である。(IV―1)

  2) 運用商品類型毎の資産残高割合は、株式投資信託の割合が45%、預貯金が31%と、この両者に集中している。(IV―2)

  3) これまでの運用商品の変更やその理由についても質問しているが、78%の加入者が変更しておらず、その平均回数は0.3回となっている。(IV―6)


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