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精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療
のあり方についての報告書
平成12年12月
厚生科学審議会先端医療技術評価部会
生殖補助医療技術に関する専門委員会
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精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療 のあり方についての報告書(目次) |
I はじめに
II 意見集約に当たっての基本的考え方
III 本論
IV 終わりに
○ 別添「多胎・減数手術について」
精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書
平成12年12月28日
厚生科学審議会先端医療技術評価部会
生殖補助医療技術に関する専門委員会
I はじめに
1 本専門委員会による検討を必要とした背景
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昭和58年の我が国における最初の体外受精による出生児の報告、平成4年の我が国における最初の顕微授精による出生児の報告をはじめとした近年における生殖補助医療の進歩に伴い、不妊症(生殖年齢の男女が挙児を希望しているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態であって、医学的措置を必要とする場合をいう。以下同じ。)のために子を持つことができない人々が子を持てる可能性が拡がってきており、生殖補助医療は着実に普及してきている。
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○ |
平成11年2月に、厚生科学研究費補助金厚生科学特別研究「生殖補助医療技術に対する医師及び国民の意識に関する研究班」(主任研究者:矢内原巧昭和大学教授、分担研究者:山縣然太朗山梨医科大学助教授)が実施した「生殖補助医療技術についての意識調査」の結果を用いた推計によれば、現在284,800人(排卵誘発剤の使用:165,500人、人工授精:35,500人、体外受精:17,700人、顕微授精:14,500人、その他:51,600人)が何らかの不妊治療を受けているものと推測されている。
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また、日本産科婦人科学会では、昭和61年3月より、IVF・ET(体外受精・胚移植)、GIFT(配偶子卵管内移植)、ZIFT(接合子卵管内移植)等の臨床実施について登録報告制を設け、報告内容の集計・分析を行い、その結果を公表しているところであるが、平成11年度の報告によれば、平成10年中のそれらを用いた治療による出生児数は11,119人に達し、平成元年以降これまでに総数で47,591人の児が誕生したとされている。
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○ |
このように、我が国において、生殖補助医療が着実に普及してきている一方、近年、生殖補助医療をめぐり、以下のような状況が生じてきている。
これまで、我が国においては、生殖補助医療について法律による規制等はなされておらず、日本産科婦人科学会を中心とした医師の自主規制の下で、人工授精や夫婦の精子・卵子を用いた体外受精等が限定的に行われてきたが、平成10年6月に日本産科婦人科学会所属の医師が同学会の会告に反して精子・卵子の提供による体外受精を行ったことを明らかした事例に見られるように、専門家の自主規制として機能してきた日本産科婦人科学会の会告に違反する者が出てきた。
平成10年12月に、大阪地裁において、夫の同意を得ずに実施されたAIDにより出生した子について、夫の嫡出否認を認める判決が出されるなど、精子の提供等による生殖補助医療により生まれた子の福祉をめぐる問題が顕在化してきた。
精子の売買や代理懐胎の斡旋など商業主義的行為が見られるようになってきた。
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○ |
このように、我が国の生殖補助医療をめぐる現状は、生殖補助医療の急速な技術進歩がなされ、それが社会に着実に普及してきている一方、それを適正に実施するために必要な有効な規制等の制度の整備が十分とは言えない状況にあるため、生殖補助医療をめぐり発生する様々な問題に対して適切な対応ができていない状況にあるものと言える。
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○ |
このため、各々の生殖補助医療の是非やその規制のあり方、生殖補助医療により生まれてきた子の法的地位の安定のための法整備のあり方、生殖補助医療に関する管理運営機関の整備のあり方等の生殖補助医療を適正に実施するために必要な規制等の制度の整備が急務になっているものと言え、それについての社会的な合意の形成が必要となってきた。
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○ |
この際、生殖補助医療のあり方については、医療の問題のみならず、倫理面、法制面での問題も多く含んでいることから、この問題の検討に当たっては、医学、倫理学、法律学等の幅広い分野の専門家等の関係者の意見を聞くことが求められる。 |
2 本専門委員会における検討の経緯について
○ |
こうした背景を踏まえ、平成10年10月21日に、厚生科学審議会先端医療技術評価部会の下に、医学、看護学、生命倫理学、法学の専門家からなる「生殖補助医療技術に関する専門委員会」(以下「本専門委員会」という。)が設置され、この問題を幅広く専門的立場から集中的に検討することとされた。
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○ |
また、この問題は国民生活にも大きな影響を与えるものであり、広く国民一般の意見を聞くことも求められるものであることから、本専門員会においては、宗教関係者、患者、法律関係者、医療関係者等の有識者から5回にわたるヒアリングを行い、また、一般国民等を対象として平成11年2月〜3月に行われた「生殖医療技術についての意識調査」の結果も踏まえ、この問題に関する慎重な検討を行った。
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○ |
さらに、生殖補助医療をめぐる諸外国の状況を把握するために、平成11年3月には、イギリス、ドイツ等ヨーロッパにおける生殖補助医療に係る有識者からの事情聴取、平成12年9月には、イギリスにおいて生殖補助医療に係る認可、情報管理等を管轄するHFEAの責任者との意見交換を行った。
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○ |
なお、生殖補助医療には、夫婦の精子・卵子・胚のみを用いるものと提供された精子・卵子・胚を用いるものが存在し、また、人工授精、体外受精、胚の移植、代理懐胎等様々な方法が存在しているところであるが、本専門委員会では、その中でも特に、その実施に当たって、夫婦以外の第三者の精子・卵子・胚を用いることとなることや夫婦の妻以外の第三者が子を出産することとなることから、親子関係の確定や商業主義等の観点から問題が生じやすく、それらを適正に実施するために必要な規制等の制度の整備等を行うことが特に必要と考えられるAID、精子提供による体外受精、卵子提供による体外受精、提供胚の移植、代理懐胎(代理母、借り腹)といった精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方について検討を行った。
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○ |
本専門委員会においては、「多胎・減数手術」についての議論も含め、これまで2年2か月にわたり、計29回にも及ぶ慎重な検討を行ってきた。特に平成12年6月からは、石井美智子委員、加藤尚武委員、丸山英二委員、矢内原巧委員、吉村泰典委員の5委員からなるワーキンググループにおける計4回にわたる検討を経て作成された「第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方に関するたたき台」をもとに検討を行い、平成12年10月からは、その検討内容を踏まえて、事務局において作成した本専門委員会としての報告書の試案をもとに慎重な検討を行ってきた。
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○ |
こうした長期にわたる慎重な検討の結果、今般、本専門委員会としての精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての見解をとりまとめたので、この問題に先行して本専門委員会において検討を行った別添「多胎・減数について」と併せて、本専門委員会としての見解を以下のとおり報告する。 |
II 意見集約に当たっての基本的考え方
精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない人に子を持つ可能性を提供するものであるが、そのあり方に関する意見集約に当たっては種々の価値観の間での調整が必要となる。どのように調整していくかについては個々の検討課題に則して検討せざるを得ないが、以下のものについては、本専門委員会の基本的考え方として合意された。
○ 生まれてくる子の福祉を優先する。
○ 人を専ら生殖の手段として扱ってはならない。
○ 安全性に十分配慮する。
○ 優生思想を排除する。
○ 商業主義を排除する。
○ 人間の尊厳を守る。
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III 本論
1 精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について
本専門委員会では、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持つ可能性を提供し、子を持ちたいという希望に応える精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の役割を認識しつつ、その利用が社会通念や生命倫理の観点から許容範囲を超えることなく、適正な範囲で行われることの重要性に鑑み、本専門委員会において合意されている6つの基本的考え方にそって、精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療の是非等について慎重な検討を行い、その結果、以下のような結論に達した。
(1)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける条件について
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精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けることができる人は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない法律上の夫婦に限る。
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○ |
加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない。
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○ |
自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受 けることはできない。 |
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○ |
生命倫理の観点から、人為的に生命を新たに誕生させる技術である生殖補助医療の利用は不必要に拡大されるべきではなく、生殖補助医療を用いなくても妊娠・出産ができるような場合における生殖補助医療の便宜的な利用は認められるべきではない。
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○ |
こうした観点から、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けることができる人を、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない人に限ることとしたものである。
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○ |
精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける場合には、第三者が対価の供与を受けることなくリスクを負って提供した精子・卵子・胚を利用することになるため、その利用条件は厳格なものとされるべきである。
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○ |
また、法律上の夫婦以外の独身者や事実婚のカップルの場合には、生まれてくる子の親の一方が最初から存在しない、生まれてくる子の法的な地位が不安定であるなど生まれてくる子の福祉の観点から問題が生じやすいことから、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けることができる人を、法律上の夫婦に限ることとしたものである。
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○ |
さらに、加齢により妊娠できない夫婦については、その妊娠できない理由が不妊症によるものでないばかりでなく、高齢出産に伴う危険性や子どもの養育の問題などが生じることが考えられるため、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の対象とはしないこととしたものである。
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○ |
なお、第三者がリスクを負って対価の供与を受け取ることなく提供した精子・卵子・胚の利用条件は厳格なものとされるべきであり、また、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでなく、精子・卵子の提供はそれによらなければ子を持つことができない場合のみに行われるべきであることから、自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできないこととしたものである。 |
(2)各生殖補助医療の是非について
○ |
本専門委員会において検討の対象とした精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により生まれた子については、借り腹の場合を除き、当該生殖補助医療を受ける夫婦の両方又はいずれか一方の遺伝的要素が受け継がれないことから、現在においても、親子の遺伝的な繋がりを重視する血縁主義的な考え方が根強く存在している我が国においては、当該生殖補助医療の是非をめぐり、生殖補助医療を用いてそうした子をもうけることがまず問題とされるところである。
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○ |
しかしながら、この点に関しては、我が国の民法においても、嫡出推定制度や認知制度にみられるように必ずしも血縁主義が貫徹されているわけではなく、また、実親子関係とは別に養親子関係も認められている。
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○ |
また、我が国において、AIDは昭和24年のそれによる最初の出生児の誕生以来、既に50年以上の実績を有し、これまでに1万人以上のAIDによる出生児が誕生していると言われているが、AIDによる出生児が父親の遺伝的要素を受け継いでいないことによる大きな問題の発生はこれまで報告されていない。
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○ |
さらに、自らの遺伝的要素を受け継がない精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により妻が出生した子については、夫が嫡出否認の訴えを提起する可能性があるなど、法的地位が不安定であるとの指摘がなされているところであるが、IIIの2の(2)の(1)の「親子関係の確定」のところで述べるように、当該生殖補助医療により生まれた子に係る親子関係の確定に関する規定を法的に整備することにより、この問題も解決できるものと言える。
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○ |
これらのことから、親子の遺伝的な繋がりを重視する血縁主義的な考え方は、絶対的な価値観として人々を拘束するものではなく、それを重視するか否かは専ら個人の判断に委ねられているものと考えられ、また、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により生まれてくる子が父母の両方又はいずれか一方の遺伝的要素を受け継がないということのみをもって、当該生殖補助医療が子の福祉に反するものとは言えないものと考える。
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○ |
こうしたことから、本専門委員会においては、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により生まれてくる子が父母の両方又はいずれか一方の遺伝的要素を受け継がないことを、個々具体的に各々の夫婦が各生殖補助医療を受けるか否かを決定する際の判断基準とすることはともかく、各々の生殖補助医療そのものの妥当性の判断基準とするのは適当ではないと考えた。
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○ |
こうした考え方に基づき、本専門委員会においては、本専門委員会において合意されている6つの基本的考え方と照らして特段問題がないものと判断される精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療については、IIIの2の「規制方法及び条件整備について」で述べる必要な制度の整備がなされることを前提として、IIIの1の(1)の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受ける条件について」及びIIIの1の(3)の「精子・卵子・胚を提供する条件等について」で述べる条件に適合する範囲内で容認することとした。
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○ |
これにより、人を専ら生殖の手段として扱い、また、第三者に多大なリスクを負わせ、さらには、生まれてくる子の福祉の観点からも望ましいものとは言えない代理懐胎については禁止し、その他の精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療については、以下のような条件の下でこれを容認するべきとの結論に達した。 |
(1) AID(提供精子による人工授精)
○ |
精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができる。 |
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○ |
AIDについては、6つの基本的考え方に照らして特段問題があるものとは言えないことから、本専門委員会としては、これを容認することとしたものである。
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○ |
なお、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでないことから、AIDを受けることができる人を「精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみ」に限定することとしたものである。
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○ |
また、AIDの実施に当たっては、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。 |
(2) 提供精子による体外受精
○ |
女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができる。 |
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○ |
提供精子による体外受精においては、これを受ける夫婦の妻が体外受精に用いる卵子の採取のために排卵誘発剤の投与、経腟採卵法等の方法による採卵針を用いた卵子の採取等を行う必要があり、排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを負うこととなるが、この際、リスクを負うのは提供精子による体外受精を希望する当事者に限られ、そのリスクの程度もそれを医学的観点から禁止するほど許容度を超えたものとは言えない。
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○ |
このように、提供精子による体外受精についても安全性など6つの基本的考え方に照らして特段問題があるものとは言えないことから、本専門委員会としては、これを容認するすることとしたものである。
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○ |
なお、女性に体外受精を受ける医学上の理由がなければ、体内で受精を行うため、より安全な技法であるAIDによることが適当であり、また、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでないことから、提供精子による体外受精を受けることができる人を「女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」に限定することとしたものである。
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○ |
また、提供精子による体外受精の実施に当たっても、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。 |
(3) 提供卵子による体外受精
○ |
卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができる。
┌ | | └ |
※ |
他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担して受け、当該卵子を用いて提供卵子による体外受精を受けることも認める。 |
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┐ | | ┘ |
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○ |
提供卵子による体外受精は、提供卵子の採取のために、卵子を提供する人に対して排卵誘発剤の投与、経腟採卵法等の方法による採卵針を用いた卵子の採取等を行う必要があり、提供卵子による体外受精を希望する当事者以外の第三者である卵子を提供する人に対して排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを必然的に負わせるものである。
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○ |
このため、提供卵子による体外受精は、身体的リスクを負う人が当事者に限られる提供精子による体外受精とは、提供者に与えるリスクという観点から本質的に異なるものである。
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○ |
「安全性に十分配慮する」という基本的考え方に照らせば、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を行うに当たっては、当該生殖補助医療を行うために精子・卵子・胚の提供等を行う人にいたずらに身体的リスクを負わせてはならない。
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○ |
この原則と卵子を提供する人が負うリスクとの関係については、本専門委員会においても多くの議論がなされたところであるが、本専門委員会としては、第三者が不妊症により子を持つことができない夫婦のためにボランティアとして卵子の提供を行う場合のように、卵子の提供の対価の供与を受けることなく行われるなど、他の基本的考え方に抵触しない範囲内で、卵子を提供する人自身が卵子の提供によるリスクを正しく認識し、それを許容して行う場合についてまで卵子の提供を一律に禁止するのは適当ではないとの結論に達した。
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○ |
この点に関しては、IIIの1の(3)の(2)の「精子・卵子・胚の提供に対する対価」のところで述べるように、卵子の提供の対価の供与を受けることを禁止することとしており、提供卵子による体外受精についても他の基本的考え方に照らして特段問題があるものとは言えないことから、本専門委員会としては、これを容認することとしたものである。
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○ |
なお、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでないことから、提供卵子による体外受精を受けることができる人を「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」に限定することとしたものある。 |
┌ | | | | └ |
※ |
なお、他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担して受け、当該卵子を用いて提供卵子による体外受精を受けることについても、他の方法による卵子の提供に際して当該卵子を提供する人にかかる医療費等の経費を当該卵子の提供を受ける人が負担することと本質的に相違はないものと考えられることから、これを容認することとする。 |
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┐ | | | | ┘ |
(4) 提供胚の移植
○ |
胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された余剰胚の移植を受けることができる。
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○ |
ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された余剰胚の移植を受けることができる。
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○ |
また、胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦は、余剰胚の提供を受けることが困難な場合には、精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植を受けることができる。 |
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○ |
余剰胚の提供を受けることができる場合には、卵子を提供する人に身体的リスクを負わせて採取された提供卵子を用いて得られた新たな胚の移植は認められるべきではないことから、余剰胚の提供を受けることができる場合には、移植できる胚を余剰胚(他の夫婦が自己の胚移植のために得た胚であって、当該夫婦が使用しないことを決定したもの)に限定することとしたものであり、提供される胚を余剰胚に限定した場合、安全性など6つの基本的考え方に照らして特段問題があるものとは言えないことから、本専門委員会としては、余剰胚の移植について容認することとしたものである。
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○ |
なお、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでないことから、余剰胚の移植を受けることができる人を原則として「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」に限定することとしたものである。
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○ |
ただし、IIIの1の(3)の(2)の「精子・卵子・胚の提供に対する対価」で述べたように、卵子の提供の対価の供与を受けることを禁止するという厳しい条件下でのみ、提供者が身体的リスクを負うこととなる卵子の提供を認めることとすることから、凍結卵子による体外受精が技術的に確立しておらず、余剰卵の提供が見込まれない現状においては、提供卵子の確保が実質的に困難となる事態が十分考えられるところである。
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○ |
また、卵子の提供は、卵子を提供する人に新たな身体的リスクを負わせるのに対し、余剰胚の移植は、余剰胚を提供する人に新たな身体的リスクを負わせるものではない。
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○ |
こうしたことから、卵子の提供を受けることが困難な場合に限り、例外として「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」についても、余剰胚の移植を受けることができることとしたものである。
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○ |
一方、生殖補助医療を受けた夫婦が自己の余剰胚を他の夫婦に提供し、その余剰胚を用いた生殖補助医療により他の夫婦に子が生まれた場合には、その余剰胚を提供した夫婦両方の遺伝的要素を受け継いだ子が他の夫婦の子として生まれてくることとなるが、このことへの抵抗感から、余剰胚の提供が十分に行われないことも考えられる。
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○ |
こうしたことから、余剰胚の提供を受けることが困難な場合に限り、例外として「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」について、精子・卵子両方の提供を受けて得られた胚の移植を受けることができることとしたものである。 |
(5) 代理懐胎(代理母・借り腹)
○ |
代理懐胎には、妻が卵巣と子宮を摘出した等により、妻の卵子が使用できず、かつ妻が妊娠できない場合に、夫の精子を妻以外の第三者の子宮に医学的な方法で注入して妻の代わりに妊娠・出産してもらう代理母(サロゲートマザー)と、夫婦の精子と卵子は使用できるが、子宮摘出等により妻が妊娠できない場合に、夫の精子と妻の卵子を体外受精して得た胚を妻以外の第三者の子宮に入れて、妻の代わりに妊娠・出産してもらう借り腹(ホストマザー)の2種類が存在する。
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○ |
両者の共通点は、子を欲する夫婦の妻以外の第三者に妊娠・出産を代わって行わせることにあるが、これは、第三者の人体そのものを妊娠・出産のための道具として利用するものであり、「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない」という本専門委員会の基本的考え方に真っ向から反するものである。
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○ |
また、生命の危険さえも及ぼす可能性がある妊娠・出産による多大なリスクを、妊娠・出産を代理する第三者に、子が胎内に存在する約10か月もの間、24時間受容させ続ける代理懐胎は、「安全性に十分配慮する」という本専門委員会の基本的考え方に照らしても到底容認できるものではない。
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○ |
さらに、代理懐胎を行う人は、精子・卵子・胚を提供する人とは異なり、自己の胎内において約10か月もの間、子を育むこととなることから、その子との間で、通常の母親が持つのと同様の母性を育むことが十分考えられるところであり、そうした場合には現に一部の州で代理懐胎を認めているアメリカにおいてそうした実例が見られるように、代理懐胎を依頼した夫婦と代理懐胎を行った人との間で生まれた子を巡る深刻な争いが起こることが想定され、「生まれてくる子の福祉を優先する」という本専門委員会の基本的考え方に照らしても望ましいものとは言えない。
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○ |
このように、代理懐胎は、人を専ら生殖の手段として扱い、また、第三者に多大なリスクを負わせるものであり、さらには、生まれてくる子の福祉の観点からも望ましいものとは言えないものであることから、本専門委員会においては、これを禁止するべきとの結論に達したものである。 |
(3)精子・卵子・胚を提供する条件等について
(1) 精子・卵子・胚を提供する条件
○ |
精子を提供できる人は、満55歳未満の成人とする。
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○ |
卵子を提供できる人は、既に子のいる成人に限り、満35歳未満とする。ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供する人は既に子がいることを要さない。
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○ |
同一の人からの卵子の提供は3回までとする。 |
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○ |
加齢と精子の異常の発生率との関係については必ずしも明確にはなっていないが、加齢と精子の異常の発生率との関係を示す研究もある。このため、精子を提供する人に一定の年齢要件を課すことが必要であるが、この際、いたずらに厳しい年齢要件を課すこととすれば精子を提供する人の減少を不必要に招きかねず、また、その年齢以上の人の精子には問題があるものとの誤解を一般に招くおそれもある。こうした点を勘案して、本専門委員会においては、イギリスにおいても精子を提供する人の年齢要件として採用されており、また、生殖活動を行う一般的な年齢を考慮しても妥当なものと考えられる満55歳未満を精子を提供する人の年齢要件としたものである。
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○ |
卵子を提供できる人については、提供卵子の採取に伴う排卵誘発剤の投与による副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷等により卵子を提供する人自身が不妊症となるおそれがないとは言えないため、原則として既に子のいる人に限ることとしたものである。
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○ |
ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供する人が当該卵子の提供により上記のような身体的リスクを新たに負うものではないことから、卵子を提供する人は既に子がいることを要さないこととしたものである。
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○ |
また、卵子を提供する人が満35歳以上の場合には、卵子の異常等の理由から、妊娠率が低下し、流産率が増えることが予想されること等から、卵子を提供する人の年齢要件を満35歳未満としたものである。
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○ |
さらに、卵子を提供する人が負う上記のような身体的リスクに鑑み、同一の人からの卵子の提供は3回までとしたものである。 |
(2) 精子・卵子・胚の提供に対する対価
○ |
精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領することを禁止する。ただし、実費相当分については、この限りでない。 |
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○ |
精子・卵子・胚の提供をめぐる商業主義の惹起を防止するため、精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を当該精子・卵子・胚を提供する人に供与すること及び当該精子・卵子・胚を提供する人が受領することを禁止することとしたものである。
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○ |
ただし、精子・卵子・胚を提供する人が精子・卵子・胚の提供のために交通費、通信費等を要する場合もあることから、こうした精子・卵子・胚の提供に際して必要な実費相当分については精子・卵子・胚を提供する人に支弁し、精子・卵子・胚を提供する人が受領しても差し支えないこととしたものである。
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○ |
なお、他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を受けて提供卵子による体外受精を行う場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して、当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担することは、他の方法による卵子の提供に際して当該卵子を提供する人にかかる医療費等の経費を当該卵子の提供を受ける人が負担することと本質的に相違はないものと考えられる。 |
(3) 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持
○ |
精子・卵子・胚を提供する人の匿名性を保持しない場合には、その人のプライバシーを守ることができなくなる場合が発生する。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が当該精子・卵子・胚を提供した人を知った場合、その子や当該精子・卵子・胚を提供した人の家族関係等に悪影響を与える等の弊害が予想されるところであり、「生まれてくる子の福祉を優先する」という本専門委員会の基本的考え方に照らしても望ましいものとは言えない。
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○ |
さらに、精子・卵子・胚の提供における匿名性を保持しない場合には、精子・卵子・胚の提供を受ける側が精子・卵子・胚を提供する人の選別を行う余地を与える可能性がある。
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○ |
また、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性を保持しないこととした場合に発生し得るこうした弊害はひいては精子・卵子・胚の提供の減少を招きかねないものであり、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施を実質的に困難にしかねないものである。
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○ |
こうしたことから、本専門委員会としては、こうした弊害の発生を防止し、また、精子・卵子・胚の提供の減少を未然に防ぐことにより、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実現可能性を実質的に担保するため、精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とすることとしたものである。 |
(4) 兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供
○ |
精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとする。
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○ |
兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。 |
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○ |
精子・卵子・胚の提供の対価を受け取ることを禁止することから、提供者がリスクを負うこととなる卵子の提供をはじめとして、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない事態が起こることも想定されるところである。
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○ |
また、我が国においては、血の繋がりを重視する考え方が根強く存在していることから、精子・卵子・胚を提供する人と提供を受ける人の双方が、兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施を希望することも考えられるところである。
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○ |
しかしながら、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとすれば、必然的に精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が担保されなくなり、また、遺伝上の親である精子・卵子・胚を提供した人が、その提供を受けた人や当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子にとって身近な存在となることから、精子・卵子・胚を提供した人が兄弟姉妹等でない場合以上に人間関係が複雑になりやすく子の福祉の観点から適当ではない事態が数多く発生することが考えられる。
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○ |
また、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることは、兄弟姉妹等に対する心理的な圧力となり、兄弟姉妹等が精子・卵子・胚の提供を強要されるような弊害の発生も想定される。
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○ |
一方、上記のような兄弟姉妹等が精子・卵子・胚を提供した場合の弊害の発生の可能性を理由として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を、精子・卵子・胚を提供する人及びその提供を受ける人に対して、そうした弊害についての十分な説明・カウンセリングが行われ、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその提供を受ける人がそうした弊害について正しく認識し、それを許容して行う場合についてまで一律に禁止するのは適当でないと考えられる。
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○ |
本専門委員会としては、これらを総合的に勘案した結果、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供は認めるべきではないとの強い意見も存在したものの、兄弟姉妹等以外に精子・卵子・胚を提供する人がおらず、精子・卵子・胚の提供を受ける人が精子・卵子・胚を提供する人の選別を行うものとは解されない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人やその提供を受ける人に対して、上述の精子・卵子・胚を兄弟姉妹等に提供した場合の弊害の発生の可能性についての十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるとの結論に達したものである。
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○ |
なお、上記の要件に該当するか否かの判断は、上記により兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設の判断に委ねられることとなるが、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供はあくまでも特例として上記の要件を満たした場合にのみ認められるものであり、当該生殖補助医療を行う医療施設が恣意的な判断により当該特例を濫用することは厳しく制限されなければならない。
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○ |
こうしたことから、上記の生殖補助医療を行う医療施設が恣意的な判断により当該特例を濫用することを防止するため、上記による特例として兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設に、その実施内容、実施理由等を後述の公的管理運営機関に申請させることとし、当該公的管理運営機関において当該生殖補助医療の実施が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を行うこととしたものである。
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○ |
なお、上記の要件に照らして問題がないと認められる場合に、具体的にどの範囲の人まで精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例を認めるかについては、本専門委員会の委員の間で、兄弟姉妹に限定すべきとの意見から、血の繋がりがある近親者については認めるべきとの意見、近親者が認められるのであれば親友等の近親者以外の対価を受け取ることなく精子・卵子・胚を提供する人も認められるべきとする意見まで多様な意見が存在し、この点に関して長時間に及ぶ議論がなされた。
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○ |
その結果、本専門委員会としては、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供に際しては、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例の対象者の範囲を特に限定せず、公的管理運営機関が前述の厳格な要件に則しているか否かについての事前審査を行い、その適否を個々の事案ごとに決定することとしたものである。 |
(5) 書面による同意
(ア) |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意 |
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療の実施の度ごとに、当該生殖補助医療の実施について、夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない。当該同意は当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができる。
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○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営機関に提出しなければならない。 |
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○ |
IIIの1の(3)の(6)の(ア)の「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施」のところで述べるように、生殖補助医療は、その実施により人為的に新たな生命が誕生するものであり、また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、当該生殖補助医療を受ける夫婦の妻に排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを与えるものである。
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○ |
また、IIIの2の(1)の(1)の「親子関係の確定」のところで述べるように、「妻が夫の同意を得て、提供された精子・胚による生殖補助医療により妊娠・出産した子は、その夫の子とする」旨の内容を法律に明記することから、当該生殖補助医療の実施についての夫婦の同意は、当該生殖補助医療により生まれた子の法的地位の安定ひいては当該生殖医療により生まれた子の福祉のために極めて重要なものであると言える。
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○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、当該生殖補助医療を受ける夫婦双方の明確な同意に基づいて行われるべきであり、また、同意の表示の方式は、明確かつ保存可能な方式であることが必要である。
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○ |
このため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療の実施の度ごとに、当該生殖補助医療の実施についての夫婦それぞれの書面による同意を得なければならないこととしたものである。
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○ |
なお、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人のうち、妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書が的確に保存されていなければ、それにより生まれた子の法的地位の安定に支障をきたすおそれがあることから、当該同意書の確実な保存のために、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、当該同意書を後述する公的管理運営機関に提出しなければならないこととしたものである。 |
(イ) |
精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意 |
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設」という。)は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の当該精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用について、書面による同意を得なければならない。当該同意は当該精子・卵子・胚が当該生殖補助医療に使用される前であれば撤回することができる。 |
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○ |
IIIの1の(3)の(6)の(イ)の「精子・卵子・胚を提供する人に対する十分な説明の実施」のところで述べるように、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のための精子・卵子・胚の提供は、当該精子・卵子・胚を提供する人に、身体的リスクを負わせたり、予期せぬ影響を与える可能性があるものである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人は、自己の個人情報を一定の範囲で開示しなければならなくなるため、当該開示の結果として予期せぬ影響を受ける可能性がある。
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○ |
さらに、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として兄弟姉妹等が精子・卵子・胚を提供する場合には、人間関係が複雑になりやすく、また、兄弟姉妹等に対する心理的な圧力がかかる場合も想定されるところである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に起こり得るこうした影響は、当該精子・卵子・胚を提供した人のみならず、その配偶者にも及ぶものである。
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○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のための精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の明確な同意に基づいて行われるべきであり、また、同意の表示の方式は、明確かつ保存可能な方式である必要がある。
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○ |
このため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設」という。)は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の当該精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用について書面による同意を得なければならないこととしたものである。
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○ |
なお、上記により書面による同意を得る際には、排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮の損傷など卵子を提供する人が卵子の提供により受ける可能性がある不利益について誰がどのように責任を負うかを予め定めておくことも必要である。 |
(6) 十分な説明の実施
(ア) |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施 |
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行わなければならない。 |
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○ |
生殖補助医療は、他の一般的な医療とは異なり、その実施の結果として、人為的に新たな生命が誕生するものであることから、その実施が生殖補助医療を受ける夫婦に与える影響のみならず、その結果として生まれてくる子の福祉やその子が生まれてくることによる家族関係への影響等の様々な問題を考慮の上実施される必要がある。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、当該生殖補助医療により生まれてくる子が、当該生殖補助医療を受ける夫婦の両方又はいずれか一方の遺伝的要素を受け継がないこととなることから、当該生殖補助医療により生まれた子の法的地位や出自を知る権利の問題等その他の生殖補助医療においては通常問題とならないような問題点を有するものである。
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○ |
さらに、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、当該生殖補助医療を受ける夫婦の妻や当該生殖補助医療のために卵子を提供する人が排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用や採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを負うという問題点も有している。
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○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることを希望する夫婦は、当該生殖補助医療に関わる上記のような問題点を十分に理解し、それを十分に考慮した上で、当該生殖補助医療を受けることを決定すべきであると言える。
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○ |
そのためには、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることを希望する夫婦が当該生殖補助医療を受けることを決定する前に、当該生殖補助医療に関する十分な説明を受けることが必要であることから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行わなければならないこととしたものである。
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○ |
なお、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設が当該生殖補助医療を受けることを希望する夫婦に説明すべき具体的な事項としては、当該生殖補助医療に係るリスクの可能性、当該生殖補助医療の成功の可能性、当該生殖補助医療に要する費用、当該生殖補助医療により生まれてくる子の血液型などを当該生殖補助医療を受ける夫婦に合わせることができない場合もあること、当該生殖補助医療により生まれてくる子の法的地位、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人の匿名性、当該生殖補助医療により生まれた子は、公的管理運営機関への申請により、自己が当該生殖補助医療により生まれたことを知ることができることを含めた当該生殖補助医療により生まれてくる子の出自を知る権利などが考えられるところである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、夫婦が受けることを希望している生殖補助医療以外に、当該夫婦の状態に照らして、当該夫婦が受けることが可能な治療方法がある場合には、その治療方法について説明する必要がある。 |
(イ) |
精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明の実施 |
○ |
精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供に同意する前に、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対し、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行わなければならない。 |
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○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人は、卵子を提供する人が排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを受けることとなり、また、精子を提供する人が当該精子の提供に当たって実施される精液の検査によって自身のHIV等の感染症への罹患や無精子症が判明する可能性があることなど、当該精子・卵子・胚の提供に伴い、身体的リスクや予期せぬ影響を受ける可能性がある。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人は、当該生殖補助医療により生まれた子に自己の個人情報を一定の範囲内で開示することとなるため、IIIの2の(2)の(2)の「出自を知る権利」のところで述べるとおり、当該開示の結果として予期せぬ影響を受ける可能性もある。
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○ |
さらに、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として兄弟姉妹等が精子・卵子・胚を提供する場合には、IIIの1の(3)の(4)の「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」のところで述べたように、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等でない場合以上に人間関係が複雑になりやすく、また、兄弟姉妹等に対する心理的な圧力がかかる場合も想定されるところである。
|
○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に起こり得るこうした影響は、当該精子・卵子・胚を提供した人のみならず、その配偶者にも及ぶものである。
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○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該精子・卵子・胚の提供に関わる上記のような問題点を十分に理解し、それを十分に考慮した上で、当該精子・卵子・胚の提供を決定すべきであると言える。
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○ |
そのためには、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供を決定する前に、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を受けることが必要であることから、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供に同意する前に、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対し、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行わなければならないこととしたものである。
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○ |
なお、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設が、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に説明すべき具体的な事項としては、当該精子・卵子・胚の提供に伴う身体的リスクや予期せぬ影響の可能性、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれてくる子の法的地位、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人の匿名性、当該生殖補助医療により生まれた子は、公的管理運営機関への申請により、自己が当該生殖補助医療により生まれたことを知ることができること、当該生殖補助医療により生まれてくる子への自己の個人情報の開示及び当該開示の結果として受ける可能性がある予期せぬ影響などが考えられるところである。
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○ |
また、精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として兄弟姉妹等が精子・卵子・胚を提供する場合には、兄弟姉妹等が精子・卵子・胚を提供することによる弊害の発生の可能性についても十分な説明がなされるべきである。 |
(7) カウンセリングの機会の保障
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。 |
|
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることを希望する夫婦や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を希望する人及びその配偶者が当該生殖補助医療を受けることや精子・卵子・胚を提供することについて相談し、それぞれの状況に応じたより的確な判断を行うことができるようにするためには、当該生殖補助医療を行う医療施設や精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設が当該生殖補助医療や当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行うとともに、当該生殖補助医療に関する専門知識を持った人によるカウンセリングを受ける機会が与えられる必要がある。
|
○ |
また、上記によるカウンセリングは、当該カウンセリングを受ける人に対して中立的な立場から専門的なアドバイス等を行うものであることが必要であることから、上記によるカウンセリングを行う人は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設や精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の当該生殖補助医療に関する専門知識を持つことを専門団体の認定制度等により証明された人であることが望ましい。
|
○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならないこととしたものである。
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○ |
なお、現行においては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する専門知識を持ったカウンセラーに係る一般的な認定制度等は存在せず、各々の医療機関において、そうしたカウンセリングが行われている場合であっても、その医療機関の医師、看護婦等がカウンセリングに当たっているのが現状である。
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○ |
このため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する専門知識を有することを客観的に証明するための制度として、専門団体等による当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ専門カウンセラーの認定制度等が創設され、そうした専門カウンセラーの育成が推進されることが望まれるところであるが、そうした認定制度等が創設され、その認定を受けることができる人が育成されるまでには、一定程度の期間を要することが想定される。
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○ |
こうしたことから、専門団体等による専門カウンセラーの認定が行われる前においては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、できうる限り当該生殖補助医療を行う医療施設や当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられるべきであると考える。 |
(8) 精子・卵子・胚を提供する人の個人情報の保護
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人は、当該精子・卵子・胚の提供により、正当な理由なく、IIIの1の(3)の(9)の「精子・卵子・胚を提供する人の個人情報の提出・保存」に基づき、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設に提出する個人情報以外の自己の個人情報の提出を求められない。
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○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に関する当該生殖補助医療に関して提出された個人情報を保有する医療施設又は公的管理運営機関は、当該保有する個人情報を適正に管理しなければならない。 |
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○ |
IIIの1の(3)の(2)の「精子・卵子・胚の提供に対する対価」のところで述べたとおり、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のための精子・卵子・胚の提供は、第三者が対価を受け取ることなくリスクを負って行われるものであることから、当該精子・卵子・胚の提供によって当該精子・卵子・胚を提供する人が不利益を被ることがないよう、当該精子・卵子・胚を提供する人のプライバシーの保護が的確になされる必要がある。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人のプライバシーが守られなければ、当該生殖補助医療のための精子・卵子・胚の提供の減少を招き、当該生殖補助医療の実施を実質的に困難にするおそれがあることからも、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人のプライバシーの保護は重要である。
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○ |
このため、本人の同意がある場合など正当な理由がある場合を除き、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人は、当該精子・卵子・胚の提供により、IIIの1の(3)の(9)の「精子・卵子・胚を提供した人の個人情報の提出・保存」に基づき、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設に提出することとなる個人情報以外の自己の個人情報の提出を求められないこととしたものである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人のプライバシーの保護が的確になされるためには、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設や公的管理運営機関など当該精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を保有する者が、当該保有する個人情報の漏洩を防止するなど当該保有する個人情報を適正に管理する必要がある。
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○ |
このため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に関する当該生殖補助医療に関して提出された個人情報を保有する医療施設又は公的管理運営機関は、当該保有する個人情報を適正に管理しなければならないこととしたものである。 |
(9) 精子・卵子・胚を提供する人の個人情報の提出・保存
○ |
精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人に関する個人情報のうち、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に必要なもの及び当該精子・卵子・胚を提供する人が当該生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認するものの提出を受けて、当該精子・卵子・胚の提供を受けなければならない。
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○ |
精子・卵子・胚の提供を受けた医療施設は、上記により提出された個人情報を、当該精子・卵子・胚の廃棄若しくは移管、当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことの確認又は下記により公的管理運営機関への個人情報の提出を行うまでの間保存しなければならない。当該精子・卵子・胚を移管する場合には、その移管先の医療施設に対して、上記により提出された個人情報を併せて移管しなければならない。
精子・卵子・胚の提供を受けた医療施設から、当該精子・卵子・胚の移管を受けた医療施設も同様とする。
|
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、当該生殖補助医療を行った医療施設は、上記により保存している個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人が当該生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認したものを公的管理運営機関に提出しなければならない。
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○ |
公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために必要な一定の期間保存しなければならない。 |
|
○ |
IIIの2の(2)の(2)の「出自を知る権利」のところで述べるように、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、自らが遺伝的要素を受け継いでいる当該生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を一定の範囲内で知ることができる。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に当たっては、当該生殖補助医療により生まれてくる子とその親となる人との間の血液型を合わせる必要性などから、当該精子・卵子・胚を提供した人に関する一定の個人情報が必要となる場合がある。
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○ |
こうしたことに対応するため、精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人に関する個人情報のうち、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に必要なもの及び当該精子・卵子・胚を提供する人が当該生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認するものの提出を受けて、当該精子・卵子・胚の提供を受けなければならないこととしたものである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により保存されている個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人が当該生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認したものが的確に保存されていなければ、その子の要請に応じて、当該精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を開示することができなくなるおそれがあることから、当該個人情報の確実な保存のために、当該生殖補助医療を行った医療施設は、後述する公的管理運営機関に当該個人情報を提出しなければならないこととしたものである。
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○ |
なお、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて、その子に係る当該生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を確実に開示できるようにするためには、その子に係る当該精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報をその子が死亡するまで保存しておくことが必要であるが、当該生殖補助医療により生まれた子すべての死亡時期を確認することは実務上困難なものと考えられる。
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○ |
このため、上記により公的管理運営機関に提出された個人情報の保存期間は、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の死亡が確認されるまでとはせずに、当該生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて、その子に係る当該生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を開示するために必要な一定の期間としたものである。
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○ |
なお、この提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて、その子に係る当該生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を開示するために必要な一定の期間の具体的な期間については、我が国の男女の平均寿命を勘案してその子が生まれたときから80年とし、その子が生まれたときから80年を超えない一定の期間内に、その子からその子に係る当該生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報の保存期間の延長の申請があったときには、当該個人情報の保存期間を延長することができることとすることなどが考えられる。 |
(10) 同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数の制限
○ |
同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該同一の人から提供された精子・卵子・胚を提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用してはならない。
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○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、上記の同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数の制限のために必要な当該生殖補助医療の実施の内容に関する情報を公的管理運営機関に提出しなければならない。 |
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○ |
IIIの2の(2)の(2)の「出自を知る権利」のところでも述べるとおり、近親婚の発生を防止するため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、その子が結婚することを希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求めることができることとするが、同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の数が増えれば、近親のカップルが発生する可能性が高くなり、確認の結果、近親婚となることが初めて判明するような事態が増加するものと考えられる。
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○ |
こうした事態を防止するためには、同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれる子の数をできうる限り少数に制限することが必要であるが、こうした制限は反面、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用できる精子・卵子・胚を減少させるものであることから、同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれる子の数を過度に制限するがないよう留意しなければならない。
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○ |
このため、近親のカップルが発生する可能性のできうる限りの減少と提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に利用可能な精子・卵子・胚の確保の観点との均衡を図るため、本専門委員会としては、イギリスの例も参考とし、同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該同一の人から提供された精子・卵子・胚を提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用してはならないこととしたものである。
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○ |
また、精子・卵子・胚を提供する人が2つ以上の医療施設に精子・卵子・胚を提供したり、提供された精子・卵子・胚が2つ以上の医療施設において使用される可能性があることなどから、上記のように同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数を制限するためには、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用された精子・卵子・胚を提供した人の氏名や当該生殖補助医療の実施の結果など当該生殖補助医療の実施の内容に関する情報を一元的に管理する必要がある。
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○ |
このため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、上記の同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数の制限のために必要な当該生殖補助医療の実施の内容に関する情報を公的管理運営機関に提出しなければならないこととしたものである。 |
(11) 子宮に移植する胚の数の制限
○ |
体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとする。 |
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○ |
別添「多胎・減数手術について」で述べているように、多胎妊娠が母体に与える危険性などを考慮して、体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとしたものである。 |
2 規制方法及び条件整備について
(1)規制方法
○ |
以下のものについては、罰則を伴う法律によって規制する。 |
- 営利目的での精子・卵子・胚の授受・授受の斡旋
- 代理懐胎のための施術・施術の斡旋
- 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩すること
○ |
IIIの1の「精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について」において述べた結論については、上記のものを除き、罰則を伴う法律によって規制せず、法律に基づく指針等規制の実効性を担保できる他の態様によって規制する。 |
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○ |
本報告書に記載された本専門委員会の結論の実効性を担保するための規制の態様については、専門家の自主的な指針による規制、法律に基づく指針による規制、罰則を伴う法律による規制等様々な態様が考えられるところであるが、「生命、自由及び幸福の追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」(憲法第13条)こととされており、国民に対して法律に基づく規制をすることは慎重な検討を必要とするものであり、その中でも特に、身体の自由の制限又は財産権の侵害を内容とする最も重い規制の態様である罰則を伴う法律によって規制することは、特に慎重とならなければならない。
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○ |
こうした規制のあり方に関する基本的な考え方は、本専門委員会において検討の対象とした精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に関する規制についても当てはまるものと言え、当該生殖補助医療に関する規制の態様については、国民の幸福追求権と公共の福祉の観点との均衡を勘案し、それが過度なものとならないよう留意する必要がある。
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○ |
また、生殖補助医療は、先端医療技術であり、現在においても急速な技術進歩が継続している分野であることから、本専門委員会における結論のうち、急速な技術進歩に法律の規定を合わせていくことが困難と考えられる範囲のものについては、法律による規制になじむものとは言えず、規制を現実に柔軟に対応させるため、規制の実効性を担保できる他の態様の規制が検討されるべきである。
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○ |
しかしながらその一方、本報告書の冒頭で述べたように、現行の専門家の自主的な指針による規制だけでは、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の適正な実施の担保は限界に達してきているところであり、実効性のある当該生殖補助医療に関する規制の整備が急務となってきているところである。
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○ |
本専門委員会としては、これらの観点を総合的に勘案して、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に関する規制の態様は、規制が過度なものとならないよう、また、規制が現実に柔軟に対応できるよう、規制の実効性が担保できる範囲内の必要最低限のものとすることが適当であるとの結論に達した。
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○ |
最も重い規制の態様である罰則を伴う法律によって規制する範囲については他の法律における罰則との均衡をも鑑み、立法過程において更なる慎重な検討が行われることが必要と考えるが、こうした観点から、本専門委員会としては、以下の理由により以下のものについては、罰則を伴う法律によって規制することが適当であるとの結論に達した。 |
営利目的での精子・卵子・胚の授受・授受の斡旋及び代理懐胎のための施術の斡旋は、「商業主義を排除する」及び「優生思想を排除する」という本専門委員会の基本的考え方に著しく反し、なおかつ、医師以外の人々によっても行われる可能性が高いことから、実効性を担保するために罰則が必要であること
代理懐胎のための施術は、「生まれてくる子の福祉を優先する」、「人を専ら生殖の手段として扱ってはならない」及び「安全性に十分配慮する」という本専門委員会の基本的考え方に著しく反すること
生殖補助医療は特に人のプライバシーを重視しなければならないという観点から、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩することは、「生まれてくる子の福祉を優先する」という本専門委員会の基本的考え方に反し、また、医師以外の者も罰する必要があること
○ |
また、本専門委員会としては、上記により罰則を伴う法律によって規制するものを除き、IIIの1の「精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について」において述べた結論については、国民の幸福追求権と公共の福祉の観点を勘案し、また、規制の実効性を担保しつつ、規制の現実に対する柔軟性を確保する観点から、罰則を伴う法律によって規制することは適当ではなく、法律に基づく指針等規制の実効性を担保できる他の態様によって規制することが適当であるとの結論に達した。 |
(2)条件整備
(1) 親子関係の確定
提供された卵子・胚による生殖補助医療により子を妊娠・出産した人を、その子の母とする。
妻が夫の同意を得て、提供された精子・胚による生殖補助医療により妊娠・出産した子は、その夫の子とする。
妻が提供された精子・胚による生殖補助医療により妊娠・出産した場合には、その夫の同意は推定される。
精子・卵子・胚を提供した人は、当該精子・卵子・胚の提供の事実をもって、当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の父母とはされない。
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○ |
我が国においては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の親子関係の確定に関して、以下のような問題がある。
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○ |
民法第772条第1項は、「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と規定しており、同法第774条、第775条及び第777条は、夫は子が嫡出であることの否認を訴えによってのみ行うことができ、当該否認の訴えは子の出生を知った時から1年以内に提起できる旨を規定している。
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○ |
これらの規定により、妻が提供された精子・胚による生殖補助医療により妊娠・出産したその夫の遺伝的要素を受け継いでいない子であっても、その夫がその子の出生を知った時から1年を経過すれば、妻がその子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上離婚をして夫婦の実態が失われていたことが明らかであるなどの特段の事情がある場合を除き、その夫は嫡出否認の訴えを提起することはできなくなり、その子とその夫との父子関係は法的に確定する。
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○ |
しかしながら、妻が提供された精子・胚による生殖補助医療により妊娠・出産した子については、その子がその夫の遺伝的要素を受け継いでいないため、その子の出生を知った時から1年以内に、その夫がその子の嫡出否認の訴えを提起することも考えられるところであるが、この場合には、たとえ妻が当該生殖補助医療により子を妊娠・出産することの同意をその夫から得ていたとしても、その夫が民法第776条による嫡出性の承認をしていない限り、その子の嫡出性が否認され、その子はその夫とは法律上の親子関係を有しないこととされる可能性がある。
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○ |
また、母についても、非嫡出子の母子関係について「原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する」とする昭和37年4月27日の最高裁判決が存在しているが、この判決も子がその子を妊娠・出産した人の遺伝的要素を受け継いでいない場合について判示したものではなく、また、我が国においては、提供された卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子とその子を妊娠・出産した人との法的関係の確定に関する明示の規定は存在しないことから、現行においては、提供された卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子のように、その子を妊娠・出産した人の遺伝的要素を受け継いでいない子についても、その子を妊娠・出産した人が当然にその子の母とされるとは限らない。
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○ |
さらに、民法第779条は「嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる」と規定していることから、この規定に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人が、当該生殖補助医療により生まれた子に嫡出推定が及んでいない場合には、自らの遺伝的要素を受け継いでいる当該生殖補助医療により生まれた子を認知することも考えられるところであるが、我が国においては、精子・卵子・胚を提供した人と当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子との法的関係に関する明示の規定は存在していないことから、こうした場合に精子・卵子・胚を提供した人の認知が認められる可能性がある。
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○ |
以上のように、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の親子関係の確定に関する法律の規定が十分に整備されていない現状においては、両者の同意の下で提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた夫婦であっても当該生殖補助医療により生まれた子の父母とされるとは限らず、逆に当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人がその意思に関わらず、当該生殖補助医療により生まれた子の父母とされることもあり得る。
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○ |
こうした現状においては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の法的地位は不安定なものと言わざるを得ず、そうした問題を解決することなく、当該生殖補助医療の利用の幅だけを拡げていくことは、子の福祉の観点から大きな問題がある。
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○ |
こうしたことから、前述したとおり、本専門委員会としては、現在、日本産科婦人科学会の会告で認められていない提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精、提供胚の移植についても容認すべきとの結論に達したところであるが、その中でも述べているとおり、それらを容認するに当たっての前提条件として、生まれてくる子の福祉を確保するために、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれてくる子の親子関係の確定に関する法律の規定の整備が必要不可欠であると考えた。
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○ |
この際、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦の希望に応えて行われるものであり、通常、当該生殖補助医療により生まれた子の親となる意思を持っているのは、当該生殖補助医療を受けた夫婦であり、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人はその子の親となる意思を持っていないことから、当該生殖補助医療により生まれた子が当該精子・卵子・胚を提供した人の遺伝的要素を受け継いでいるとの理由だけで、当該精子・卵子・胚を提供した人を当該生殖補助医療により生まれた子の父母とすることは、子の福祉の観点からも、当該精子・卵子・胚を提供した人の意思の尊重の観点からも適当とは言えない。
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○ |
また、提供された卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の妻は、当該生殖補助医療により生まれた子との間に遺伝的な繋がりこそ有するものではないが、その子を約10か月もの間自己の胎内において育てることにより、その子に対する母性を育み、その子に対する愛情を芽生えさせるものと考えられるところであるが、こうした妊娠による母性の確立の過程は、子の福祉の観点から極めて重要なものと考えられる。
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○ |
こうした観点を踏まえ、本専門委員会としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により子を妊娠・出産した人をその子の母とし、妻が当該生殖補助医療により子を妊娠・出産することに同意したその夫をその子の父とし、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人は当該提供の事実をもって当該生殖補助医療により生まれた子の父母とはされない旨を法律に明記すべきとの結論に達したものである。
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○ |
なお、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療については、妻が夫の書面による同意を得て行うこととするところであるが、定められた手続によらずに行われた場合についても、子の福祉の観点から、当該生殖補助医療により生まれた子の法的地位をできうる限り安定的なものとすることが必要である。
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○ |
こうしたことから、妻が提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により子を妊娠・出産した場合には、その夫の同意は推定されることとしたものである。 |
(2) 出自を知る権利
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができる。
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○ |
当該精子・卵子・胚を提供した人は、当該個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できる。
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○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求めることができる。 |
|
○ |
自己が提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子であるかについての確認を行い、当該生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を知ることは、アイデンティティの確立などのために重要なものと考えられることから、そうした希望にできうる限り応えていくことが必要である。
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○ |
しかしながら、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを望まないものについても知ることができることとすれば、当該精子・卵子・胚を提供した人のプライバシーを守ることができなくなる。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を、当該精子・卵子・胚を提供した人を具体的に特定できる範囲まで知ることを認めることとすれば、IIIの1の(3)の(3)の「精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持」のところで述べたように、その子や当該精子・卵子・胚を提供した人の家族関係等に悪影響を与える等の弊害の発生が予想されるところである。
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○ |
さらに、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子とその子に係る精子・卵子・胚を提供した人の双方が同意している範囲内で、当該精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報が開示される場合であっても、当該開示によりその子と当該精子・卵子・胚を提供した人が受ける影響を事前に予測することは困難であり、開示した後ではいかようにも取り返しがつかない事態を招くおそれがあることにも留意する必要がある。
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○ |
特に、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を、当該精子・卵子・胚を提供した人を具体的に特定できる範囲まで知ることを認めることとすれば、その子と当該精子・卵子・胚を提供した人が面会する等により顕名の関係を作ることが可能となるが、顕名の関係を作った後に、その子や当該精子・卵子・胚を提供した人がそれ以上相手方との関係を持つことを拒んだとしても、その子と当該精子・卵子・胚を提供した人との間に顕名の関係ができてしまっている以上、事実上それを拒むことは不可能となり、その子や当該精子・卵子・胚を提供した人の生活に多大な悪影響を及ぼす事態も想定されるところである。
|
○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を広範な範囲で知ることを認めた場合に起こり得るこうした弊害はひいては精子・卵子・胚の提供の減少を招きかねないものであり、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施を実質的に困難にしかねないものである。
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○ |
これらの観点を総合的に勘案して、本専門委員会としては、成人に達した人は、自己が提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子であるかについての確認を求めることができることとし、また、当該生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができることとしたものである。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人が、当該精子・卵子・胚の提供後に当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認した自己の個人情報の範囲の変更を求めることも考えられることから、当該個人情報が開示される前であれば当該精子・卵子・胚を提供した人は開示することを承認する個人情報の範囲を変更できることとしたものである。
|
○ |
さらに、自己が提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子であるかについての確認を行い、当該生殖補助医療により生まれた子が、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報を知ることができる年齢については、自己が当該生殖補助医療により生まれてきたこと又は当該個人情報を知ることによる影響を十分に判断できる年齢であることが必要であることから、成人後としたものであるが、近親婚の発生を防止するため、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求める場合については、成人後であることを要しないこととしたものである。
|
○ |
なお、上述したように、精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報の開示により、当該提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子と当該精子・卵子・胚を提供した人が受ける影響を事前に予測することは困難であり、開示した後ではいかようにも取り返しがつかない事態を招くおそれがあることから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人が自己の個人情報を開示することを承認する範囲を決定し、又は当該生殖補助医療により生まれた子がその子に係る精子・卵子・胚を提供した人の個人情報を知ることを希望する範囲を決定するに際しては、当該個人情報を開示すること又は知ることに伴い、それぞれに及ぶことが予想される影響についての十分な説明・カウンセリングが行われることが必要である。 |
(3) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関わる体制の整備
○ |
各生殖補助医療の利用に関して、倫理的・法律的・技術的側面から検討を行い、必要な提言を行う公的審議機関を設ける。
|
○ |
提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関する管理運営を行う公的管理運営機関を設ける。 |
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○ |
生殖補助医療のあり方の検討に当たっては、医療の観点のみならず、倫理面、法制面からの検討が必要となることが多いことから、それらの分野の専門家を参集し、提供された精子・卵子・胚による各生殖補助医療の実施に関する指針、当該生殖補助医療を行う医療施設の指定の基準の策定、新たな生殖補助医療技術が開発された際のその利用の是非等の生殖補助医療の利用に関して、倫理的・法律的・技術的側面から検討を行い、必要な提言を行う公的審議機関を設けることとしたものである。
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○ |
また、本報告書の結論に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適正な実施を確保していくためには、当該生殖補助医療を行う医療施設から提出された当該生殖補助医療を受けた夫婦の同意書や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報の保存、当該生殖補助医療を行うすべての医療施設からの当該生殖補助医療に関する医療実績等の報告の徴収や徴収した報告の確認、当該報告に基づく統計の作成等の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施に関する管理運営の業務を行う機関が必要となることから、そうした業務を行う公的管理運営機関を設けることとしたものである。 |
(4) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設の指定
○ |
公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。 |
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○ |
生殖補助医療は、生殖補助医療を受ける夫婦の妻や生殖補助医療のために卵子を提供する人に排卵誘発剤の投与による卵巣過剰刺激症候群等の副作用、採卵の際の卵巣、子宮等の損傷の危険性等の身体的リスクを与えるものであり、また、生殖補助医療の実施に際しては、生殖補助医療を受ける夫婦や生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人に適切なカウンセリングを受ける機会を与える必要があること等から、生殖補助医療を行う医療施設は、生殖補助医療を的確に行うために必要な一定水準以上の人材、施設・設備を有している医療施設であることが必要である。
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○ |
また、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療は、「生まれてくる子の福祉を優先する」など本専門委員会において合意された6つの基本的考え方に照らして問題のない範囲内で行われるべきであること、子を欲しながら不妊症のために子を持つことができない夫婦に子を持てるようにする範囲で行われるべきであり、その便宜的な利用は認められるべきでないことから、本専門委員会としては、IIIの1の「精子・卵子・胚の提供等による各生殖補助医療について」で述べたとおり、当該生殖補助医療を受ける人や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人などに関する厳しい条件を課した上で、AID、提供精子による体外受精、提供卵子による体外受精、提供胚の移植を認めることとしたところである。
|
○ |
その際、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける人又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人が具体的にそうした条件に合致する人であるかの判断は、基本的には個々の当該生殖補助医療を行う医療施設がすることとなることから、当該生殖補助医療を行う医療施設は、そうした判断を適正かつ的確に行うことができる医療施設であることが必要である。
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○ |
こうしたことから、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適正な実施を担保するため、公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、当該生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできないこととしたものである。
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○ |
なお、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の適正な実施を担保するために、当該生殖補助医療を行う医療施設の指定に当たっては、実地調査を含めた厳正な審査を行うことが必要であり、また、指定後においても、定期的にその実施状況について監督を行うことが必要である。 |
IV 終わりに
○ |
以上、29回にもわたる慎重な検討を経て、取りまとめられた本専門委員会としての「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方について」の検討結果を報告したところであるが、本報告書の冒頭でも述べたとおり、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関する有効な規制等の制度の整備が急務となっている現状に鑑み、本専門委員会としては、今後の立法過程等における具体的な制度の整備に係る検討結果も踏まえ、本報告書における結論を実施するために必要な制度の整備が遅くとも3年以内に行われることを求めるものである。従って、本報告書中のIIIの1の「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療について」において容認することとされた各生殖補助医療については、AID以外は、上述した本報告書における結論を実施するために必要な制度の整備がなされるまで実施されるべきでない。
|
○ |
また、本専門委員会においては、親子関係の確定や商業主義等の観点から、その実施に当たって特に問題が生じやすい精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療について検討を行い、その検討結果を取りまとめたところであるが、本報告書における結論の中には、生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施やカウンセリングを受ける機会の保障のように、生殖補助医療一般に関しても適用できるものが存在することから、他の形態の生殖補助医療についても、その適用が可能な範囲内で本報告書における結論にそった適切な対応がなされることが望まれる。
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○ |
さらに、本報告書においては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦や当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者への専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会の保障を提言したところであるが、そのために必要な専門団体等による認定制度等の創設や当該生殖補助医療に関する専門知識を持ったカウンセラーの養成ができるだけ早期に実現されることを希望する。
|
○ |
なお、本報告書においては、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方の基本的な枠組みについて、本専門委員会としての検討結果を示したところであるが、その細部については、本専門委員会において検討しきれない部分も存在したことから、こうした点についても、別途更なる詳細な検討が行われることを希望する。
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○ |
また、本専門委員会としては、生殖補助医療をめぐる様々な状況を総合的に勘案し、現時点における結論として、一定の条件のもとに、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を一定の範囲で容認することとしたものであるが、本報告書における結論を実施するために必要な制度が整備され、本専門委員会において容認するとの結論に達した提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施が開始されてから一定期間経過後に、その実施状況やその時点における国民世論等を勘案しつつ、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方について必要な見直しが行われるべきと考える。
|
○ |
特に、本専門委員会において、各委員の間に様々な意見が存在し、多くの議論がなされた「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」及び提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の「出自を知る権利」については、上記の見直しに際して、再度、そのあり方について検討を行い、必要な見直しが行われることを希望する。
|
○ |
さらに、生殖補助医療の実施の過程で生成された胚の実験利用については、本専門委員会の検討の対象とはしなかったところであるが、生殖補助医療の過程で得られた胚の適正な利用、生殖補助医療に関する研究の適正な実施等の観点から、そうした問題についても検討がなされることが必要であると考えられることから、この問題についても、他の検討機関において別途検討がなされることが望まれる。 |
(別添)
多胎・減数手術について
1 生殖補助医療による多胎について
○ |
生殖補助医療技術による多胎は、排卵誘発法(排卵誘発剤の使用)を原因とするものと、体外受精を原因とするものがある。排卵誘発法による多胎は、排卵障害による不妊症の治療として、卵胞の成熟・排卵を促すホルモン(ゴナドトロビン等)を投与することにより、多数の卵胞が同時に成熟・排卵し、複数組の精子と卵子が受精することによって生じる。一方、体外受精による多胎は、妊娠率を高めることを目的として、複数個の受精卵を子宮に移植することにより、それらが複数個着床することによって生じる。
|
○ |
平成8年度厚生省心身障害研究「不妊治療のあり方に関する研究」(矢内原巧)によると、三胎については、体外受精を原因とするものが46.7%、排卵誘発法を原因とするものが43.2%、自然が8.5%、四胎については、体外受精を原因とするものが52.9%、排卵誘発法を原因とするものが41.2%、自然が3.9%、五胎については、体外受精を原因とするものが33.3%、排卵誘発法を原因とするものが66.7%、自然が0%となっている。
|
○ |
多胎妊娠は近年、増加傾向にあり、平成8年度厚生省心身障害研究「多胎妊娠の疫学」(今泉洋子)によると、平成7年の多胎児の出産率を昭和43年と比較すると、双子は1.3倍、三つ子は4.7倍、四つ子は26.3倍と上昇している。これは、生殖補助医療技術の普及によることが大きいと思われる。 |
2 多胎妊娠の危険性
○ |
多胎妊娠については、平成7年の日本産科婦人科学会周産期委員会報告によれば、胎児数が増加するにしたがって、出生体重が減少しており、双胎は2,153±703g、三胎は1,673±485g、四胎は1,203±359g、五胎は993±249g(平均±標準偏差)となっている。一方、流産率は胎児数が増加するにしたがって上昇し、双胎は1.7%、三胎は2.4%、四胎は15.0%、五胎は15.0%となっており、四胎以上が特に高くなっている。
|
○ |
22週以降の周産期死亡率(対出産1,000)は、胎児数が増加するにしたがって上昇し、双胎は75.0、三胎は75.3、四胎は102.9、五胎は125.0となっている。後遺症害については、出生1年以上経過したものをみると、双子は4.7%、三つ子は3.6%、四つ子は10.2%、五つ子は30.8%となっており、特に四つ子以上が大きくなっている。後遺障害の内訳としては、脳性麻痺、精神発育障害、未熟児網膜症が多くなっている。
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○ |
また、母体の合併症のり患率については、胎児数が増加するにしたがって上昇し、双胎は78.1%、三胎は84.1%、四胎は95.0%、5胎は100.0%となっている。
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○ |
このように四胎以上の多胎妊娠については、母の合併症が増加し、児の予後が不良であるといえる。 |
3 減数手術
○ |
減数手術は、多胎による妊娠・出産のリスクを回避するためや多胎児を育てることに対する負担の回避等を目的としてはじめられたものであって、多胎妊娠に際して、一部の胎児を子宮内において死滅させる手術のことである。一般的には、胎児の心臓に塩化カリウムを注入することなどによって行われる。
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○ |
減数手術の実施状況については、前出の「不妊治療のあり方に関する研究」の調査によれば、アンケート調査結果を得た195施設中、減数手術は87例行われている。実施施設数は15施設となっており、その多くは診療所である。
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○ |
減数手術は、母体内において胎児を死滅させる手術であるが、母体保護法の人工妊娠中絶の定義規定は、「人工妊娠中絶手術とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう」と定めていることから、母体保護法の定める術式に合致しない手術であるとの指摘がされている。
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○ |
減数される胎児の選び方について、障害の有無や男女により選別する例が諸外国でみられたことから倫理的な面での議論がなされるようになっている。 |
4 多胎・減数手術に対するこれまでの対応
○ |
多胎・減数手術に対するこれまでの関係学会等の対応については、日本母性保護産婦人科医会は、平成5年、減数手術については、優生保護法(現母体保護法)上の人工妊娠中絶手術に該当せず、堕胎罪の適用を受ける可能性があるとの見解を公表している。
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○ |
日本産科婦人科学会は、平成8年2月に「多胎妊娠」に関する見解を公表し、生殖補助医療技術による多胎妊娠については、その防止を図ることでこの問題を根元から解決することを志向すべきとし、体外受精・胚移植においては移植胚数を原則として3個以内とし、また、排卵誘発に際してはゴナドトロピン製剤の周期あたりの使用量を可能な限り減量することを求めている。 |
5 生殖補助医療技術による多胎減数手術に関する基本的考え方
○ |
胎児は人ではないが人の萌芽であり、その生命は尊重されなければならないことは言うまでもない。刑法の堕胎罪、母体保護法も胎児の生命の保護をその保護法益の一つとしている。
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○ |
生殖補助医療技術による多胎はある程度、防止することが可能である。体外受精による多胎は、通常、子宮に移植する受精卵の数以上にはならず、3個以上の胚移植については、移植する受精卵の数を増やしても妊娠率はそれほど上がらないことが分かっている。また、受精卵2個の移植でも相当の妊娠率が得られるという指摘もある。
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○ |
排卵誘発法による多胎についても、ゴナドトロピン製剤の使用法や周期あたりの使用量を可能な限り減量するなどの単一排卵率が高い排卵誘発法が開発されている。
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○ |
こうしたことを踏まえると、生殖補助医療技術による多胎妊娠への対応は、多胎妊娠の防止により行われるべきであって、こうした防止の努力なくして多胎になった場合に減数手術により胎児の数を調整することは、胎児の生命の軽視といえ、認められるべきではない。
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○ |
しかしながら、以下に述べるような多胎防止の措置を十分講じたとしても、現在の技術では、多胎を完全に防止することはできない。4胎以上の多胎妊娠は母の合併症が増加し、児の予後が不良であることを踏まえると、減数手術が許容される場合があると考えられる。 |
6 対応の方向性
(1)体外受精において対応すべきこと
○ |
体外受精による多胎妊娠は、子宮に移植する受精卵の数を調整することにより、確実に調整することができる。前で述べたとおり、(1)四胎以上の多胎妊娠は母の合併症が増加し、児の予後が極めて不良であること、(2)3個以上の受精卵の移植による妊娠率はそれほど移植数により変わらないこと、(3)移植胚数は2個でも相当の妊娠率が得られることを踏まえると、体外受精の際、子宮に移植する受精卵の数は、原則として、2個、受精卵や子宮の状況によっては3個以内に制限することが適当である。
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○ |
体外受精を行うに際しては、受精卵を複数個移植することによる多胎妊娠の危険について、患者に十分に説明するとともに、十分な情報提供と相談を行い、患者の許容し得る胎児数について把握する必要がある。その結果、患者が双子の出産を許容せず、あくまで単体出産を望む場合には、移植する受精卵の数を1個とする、一方、三胎出産する確実な意志があって医学的にも三胎出産に耐え得ると考えられる場合には、移植する受精卵の数を3個とするといった調整をリプロダクティブヘルス/ライツの観点を踏まえ、行う必要がある。 |
(2)排卵誘発法において対応すべきこと
○ |
排卵誘発法については、多胎妊娠の危険があるばかりではなく、卵巣過剰刺激症候群を引き起こす可能性もあり、十分な技術を持った医師が慎重に実施する必要がある。
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○ |
排卵誘発法を行うに際しては、排卵誘発法による多胎妊娠の危険について、患者に十分に説明するとともに、十分な情報提供と相談を行い、患者が多胎妊娠を許容しない場合には、リプロダクティブヘルス/ライツの観点も踏まえ、それを使用すべきではない。
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○ |
排卵誘発法については、いまだ完全な多胎防止策が確立されていないことから、この分野の研究を行政、関係学会等が積極的に推進する必要がある。また、単一排卵誘発法の普及を図る必要がある。 |
(3)減数手術について
○ |
減数手術については、母体保護法の人工妊娠中絶の定義規定に該当する術式ではないとの指摘があるが、減数手術は確かに母体内において胎児を死滅させるものであり、分娩と同時に母体外に排出されるといっても、それは人工的に排出されるとはいえず、また、優生保護法制定時に減数手術のような手術が想定されていないことを考えると、その指摘は適当であると考える。
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○ |
減数手術については、前述したとおり、原則としては、行われるべきではないため、母体保護法の改正により、人工妊娠中絶の規定を改める必要はないのではないか。なお、規定の解釈や見直しを含めて検討すべきとの意見もある。
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○ |
しかしながら、多胎妊娠の予防措置を講じたのにも関わらず、やむを得ず多胎(四胎以上、やむを得ない場合にあっては三胎以上)となった場合には、母子の生命健康の保護の観点から、実施されるものについては、認められ得るものと考える。
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○ |
減数手術の適応と内容については母子の生命保護の観点から個別に慎重に判断すべきものと考える。
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○ |
遺伝子診断や性別診断等によって減数児の選別を行ってはならない。
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○ |
減数手術についても、塩化カリウムの投与を誤って母体に行う可能性があるなど危険を伴うものであることから、十分な技術を持った医師により行われる必要がある。
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○ |
また、減数手術については、全部の胎児が失われる可能性があるなどの説明を十分行い、同意を得る必要がある。 |
7 行政、関係学会が行うべきこと
○ |
以上述べたように、生殖補助医療技術による多胎妊娠の防止対策が、適切に実施され、減数手術の実施条件が厳格に守られるためには、行政又は学会において、これをルール化することが必要である。
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○ |
行政又は関係学会が、このような実施体制が整備されている医療施設を認定し、登録させ、これらの実施を登録医療施設に制限し、多胎の原因及び減数手術の理由について報告させるなど、これらのルールが適切に守られる体制を構築する必要がある。 |
厚生科学審議会先端医療技術評価部会
生殖補助医療技術に関する専門委員会委員名簿
(敬称略、五十音順) |
氏名 |
所属 |
石井 美智子 |
東京都立大学法学部教授 |
石井 トク |
岩手県立大学看護学部教授 |
加藤 尚武 |
京都大学文学部教授 |
高橋 克幸 |
国立仙台病院名誉院長 |
辰巳 賢一 |
梅ヶ丘産婦人科副院長 |
田中 温 |
セントマザー産婦人科医院院長 |
※中谷 瑾子 |
慶應義塾大学名誉教授 |
丸山 英二 |
神戸大学法学部教授 |
矢内原 巧 |
昭和大学名誉教授 |
吉村 泰典 |
慶應義塾大学医学部教授 |
|
※は委員長 |
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