02/12/20 第2回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録                   第2回                               厚生科学審議会生活環境水道部会                               議事録                                 厚生労働省健康局水道課                        第2回厚生科学審議会生活環境水道部会議事次第         日時 平成14年12月20日(金) 10:00〜12:07 場所 経済産業省別館第944会議室 出席委員(敬称略) 相澤好治、赤川正和、安藤正典、池田耕一、遠藤誠作、大井田隆、坂上恭助、 佐々木弘、佐野真理子、澤節子、田中恒子、原隆之、眞柄泰基、松井三郎、 矢口雅彦 1.開会 2.議事 (1) 水質管理専門委員会の審議状況について (2) その他 3.閉会 ○谷津水道課長  定刻になりましたので、ただいまから生活環境水道部会を開催いたしたいと思います 。  委員の皆様には、年末の御多忙の折、本日の部会に御参集いただきまして、大変あり がとうございます。  まず、委員の出席状況でございますけれども、ただいま14名の委員の先生方が御出席 ですので、厚生科学審議会の規定によりまして、本日の会議は定足数に達して成立して おるということを、御報告申し上げます。  次に、今回、委員の異動がございましたので、御報告をさせていただきます。川北前 委員の後任で、日本水道協会の赤川委員が就任されましたので、御紹介いたします。 ○赤川委員  赤川でございます。よろしくお願いいたします。 ○谷津水道課長  続きまして、第1回の部会が開催されました以降、厚生労働省におきまして異動がご ざいまして、下田健康局長の後任といたしまして高原健康局長が就任をいたしました。 議事に先立ちまして、高原局長よりごあいさつを申し上げます。 ○高原健康局長 健康局長の高原でございます。  第2回厚生科学審議会生活環境水道部会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申し 上げます。  まず、委員の皆様方におかれましては、年末のお忙しい時期にもかかわらず御出席い ただきまして、厚く御礼申し上げます。また、日ごろから健康局所管の行政、特に、生 活衛生並びに水道行政につきましては、日ごろより格段の御支援、御協力を賜っており ます。厚く御礼を申し上げます。  さて、本年8月に開催されました第1回生活環境水道部会で、水質基準の見直し等に ついて本部会での御審議をお願いしてから、早いもので5か月が過ぎようとしておりま す。この間、本部会の下に設置されました水質管理専門委員会では、眞柄委員長を中心 に、月1回のペースで会議を開催し、水質基準の見直し等を巡る種々の課題につきまし て、鋭意審議を進めていただいております。本日は、これまでの水質管理専門委員会に おきます審議の状況を御報告いただく予定でございます。委員の皆様方におかれまして は報告をお聞きの上、御質問、御意見、更には今後の検討に当たりましての御示唆など 、忌憚のない御意見をいただくようお願いいたします。  厚生労働省といたしましても、今後、本部会の御答申をいただいた上で、なるべく早 い時期に水質基準の充実など、安全でおいしい水道水の供給ができるように、必要な施 策を講じてまいりたいと考えております。  本日は、今日お昼過ぎに明年予算の内示ということでございまして、また、明日復活 、24日には閣議決定というふうなスケジュールになっておりまして、水道関係につきま しても、現状につきまして若干の御報告が課長の方からできるかと思っております。引 き続き、御協力をお願いいたしまして、あいさつに代えさせていただきたいと思います 。よろしくお願いいたします。 ○谷津水道課長  局長、どうもありがとうございました。  申し訳ございませんが、高原局長におかれましては、これから所用のため退席をさせ ていただくということで御了承いただければと思います。                (高原健康局長退室)               ○谷津水道課長  それでは、議事に入ります前に、事務局より配付資料の確認をさせていただきたいと 思います。 ○事務局  それでは、事務局より配付資料の確認をさせていただきます。  まず、1枚目が議事次第でございます。  1枚おめくりいただきまして、資料1「厚生科学審議会生活環境水道部会委員名簿」 でございます。  続いて、資料2「第1回厚生科学審議会生活環境水道部会議事録」でございます。  資料3「水質管理専門委員会の進捗状況について」でございます。  続いて参考資料でございますが、参考資料1「独立行政法人水資源機構法の概要」。  参考資料2「平成15年度水道関係予算概算要求について」。  参考資料3「水道施設の技術的基準を定める省令の改正について」。  参考資料4「給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の改正について」。  参考資料5「平成14年度の水道事業者等の立入検査について」。  最後に、参考資料6「第3回世界水フォーラム及び閣僚級国際会議について」。  資料は以上でございます。 ○谷津水道課長  足りないものがございましたら、事務局にお申し付けいただければと思います。よろ しいようでしたら、以降の議事進行は眞柄部会長にお願いいたします。よろしくお願い いたします。 ○眞柄部会長  おはようございます。年末の大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありが とうございました。  私は、昨日の夜に札幌から来ましたが、今年は最初のうちは雪が少ないなと思ってお りましたが、先週ぐらいから大変な雪で、昼間も真冬になっておりまして、テレビでは 水道管の凍結防止のキャンペーンが時々出ておるというような状況でございますが、東 京は寒いとは言いながら、私にとってはまだまだ暖かいという状況でございますが、い ずれにしましても、先ほど高原局長からお話がありましたように、水質基準の改正に向 けての検討を進めておりますし、WHOの方でもガイドラインの原案がほぼまとまりま して、昨日、一昨日辺りからWHOのホームページで原案がWebに載るようになりま した。そういう意味では、今後、具体的な項目について水質基準そのものの検討を進め ていかなければなりませんが、それの中間的なところで、部会の先生方から御意見や御 示唆をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に入らせていただきます。  7月24日付で、厚生科学審議会長に対して水道法に基づく水質基準の見直しについて 諮問がございまして、この部会の第1回の会合を8月1日に開催させていただきました 。第1回の会合では、部会の下に水質管理専門委員会を設置して検討を進めるというこ と、それから、専門委員会の報告を基に審議をいただき答申をまとめるということをお 決めいただきました。水質管理専門委員会では、私が委員長を務めさせていただいて、 設置以来5回検討会を開いてまいりました。その結果、水質基準の見直しについての基 本的な考え方と今後の検討方法につきまして、ある程度姿が見えるようになりましたの で、今日その内容を先生方に御報告をして、御審議いただきたいと思います。  後ほど事務局から資料に基づきまして御説明があるかと思いますが、現在、専門委員 会で議論してまいりましたところは、従来の水道の水質基準の体系からかなり変化があ るものでございます。また、その変化の基礎的な考え方を一つ申しますと、できるだけ 地域の水道事業体の特性に応じて、水質基準を活用あるいは運用する方向にしたいとい うことがございます。  しかるがゆえに、水道事業体の自己責任がかなり問われるようになるということと、 その裏には、水道行政を預かっている国及び地方自治体の役割がより明確になるという 方向で検討をしてまいりました。具体的な項目の考え方につきましても、少しずつは詰 み込んでおりますが、具体的な数値等あるいは具体的な検査の方法などについては、次 回以降に御審議をいただきたいと思いますが、今日は基本的な方針について御報告申し 上げますので、先生方の御意見をいただき、これ以降の具体的な作業の方向を確認した いというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から進捗状況について御報告をください。お願いいたします。 ○岸部水道水質管理官  それでは、事務局より資料3に基づきまして、これまでの水質管理専門委員会の審議 の進捗状況について御報告申し上げます。  1ページの1「審議経過」の(1)「審議の進め方」ですが、検討課題が種々ございます ので、第1回の専門委員会におきまして、まず、主要課題を5課題ほど抽出し、主要検 討課題ごとに委員の中から主査の委員を御指名いただきました。その上で主査の先生方 に、事務局と協力して委員会の検討資料の作成あるいは報告原案の作成というものをお 願いしてございます。専門委員会では、そういった主査の先生方に準備いただいたもの を基に審議を進め、報告をまとめるといった方針を第1回の専門委員会において御決定 をいただきました。この方針に基づきまして、現在まで審議が進められております。  次ページの委員会の開催状況でございますけれども、先ほど局長から御報告申し上げ ましたが、これまで5回開催しております。第1回目は、第1回本部会の後、8月1日 に開催をいたしまして、先ほど申し上げました審議の進め方等について御議論をいただ いたところでございます。  第2回は、これまで現行の水質基準がどうなっているかということを事務局より御報 告申し上げ、現在の考え方についてレビューをいただいたところでございます。  第3回、10月7日におきまして、まず、水質基準の在り方について総論の御議論をい ただきました。  更に、第4回、11月8日におきまして、水質基準の在り方の各論といたしまして、微 生物に関する基準、化学物質に関する基準、それから、水質検査方法について御議論を いただいたところでございます。  第5回目は今月9日でございますけれども、水質基準の在り方の各論2といたしまし て、水質検査に関する品質保証、QA/QCと呼んだりもいたしますけれども、これについ て御議論をいただきました。その上で、水質検査のための試料採集、サンプリングと呼 んでおりますが、サンプリングとその結果の評価方法について御議論いただきました。 更に、水質検査計画についても御議論をいただいたところでございます。  3ページに、今、申し上げましたところを文章でまとめてございますので、後ほど御 参照いただければと思っております。  3「審議内容の概要」といたしまして、これまで5回専門委員会で御審議いただいた 内容を要約すると、こういうことではないかということで取りまとめたものでございま す。  (1)「水質基準のあり方・性格」ということで、基本的に水質基準というのはどういう ふうなもので、どういうふうな形で設定すべきかというのをまとめてございます。ここ にございますように、(1)として水道水質基準というのは、法律に書いてございますよう に、水道により供給される水。基本的には給水栓、蛇口から出る水について適用される ということで、原水について適用されるものではないということでございます。  (2)は、人の健康に対する悪影響を生じさせないという観点から設定をされるというこ とでございます。  (3)は、異常な臭味、洗濯物の着色など生活利用上の支障を来たさないという観点から も設定をされるべきものであるというようなことから、今、申し上げましたように、人 の健康の確保、生活利用上の要請の両面から基準の設定について検討を行うということ でございます。  (2)は「地域性・効率性を踏まえた水質基準の柔軟な運用」ということでございます。 冒頭の2行に書いてございますけれども、水道により供給される水の質というものは、 地域ですとか水道の原水の種類あるいは質、浄水方法などによって大きく変動をするも のでございます。例えば、地域による差異の例といたしましては、北海道の一部水源に おきまして、自然起因のヒ素による汚染の問題、あるいは沖縄の一部水源におけるこれ も自然起因ですけれども、アンチモンの問題、こういったものが全国的な問題ではない けれども、地域的に見れば安全な飲料水の確保の観点からは看過し得ない問題というの があるということでございます。  それから、農薬については、基本的に水源部で使用されている農薬が問題になるとい うことでございます。農薬につきましては、地域、そこに発生する病害虫によって非常 に異なりますので、地域によって問題となる農薬というのは異なってくるということで ございます。  それから、原水の種類による差異といたしまして、例えばトリクロロエチレンのよう な揮発性有機化学物質あるいは硝酸性窒素といったものについては、多くの場合、地下 水を水源とする場合に問題が生じている。表流水では大きな問題は生じていないという 点がございます。  それから、ジオスミンなどの悪臭物質につきましては、ダムとか湖沼水といった水が 停滞するところを水源とする場合には問題になりますけれども、例えば、地下水を水源 とする場合には、こういったものが問題になるということはほとんどございません。  それから、浄水方法によっても差異が出てまいります。臭素酸というものが今は注目 を浴びていますけれども、臭素酸が比較的高い濃度で検出されるというのは、多くの場 合オゾン活性炭処理という浄水操作を行う水道に限られるということでございます。  水に不溶な化学物質、例えばダイオキシン類といったものにつきましては、基本的に 水の中では粒子状物質に吸着されて存在しているというようなことでございますので、 適切にろ過操作が行われる浄水場においては、基本的に問題は生じないだろうというよ うなことでございます。  そのような地域性あるいは原水の種類・質、浄水方法などによる変動といったものに 対応するために、現行のシステムにおきましては、水質基準は水質検査とセットですべ ての水道に一律に適用するということでございますので、行政指導といたしまして、例 えば、快適水質項目あるいは監視項目というような補完的な項目を設定し、こういった 変動要素に対応してきたということでございます。  こういった現行システムにつきましては、多くの関係者の理解を得て、水質管理上一 定の機能を果たしてきたというようなことでございますけれども、監視項目などについ ては、通知に基づく行政指導、強制力がないということでややもすると地域的な問題を 見落としがちであること。一方、水質基準項目については全国一律適用という考え方か ら、ほとんど問題がない地域にある、または、浄水方法を採用している水道事業体にお いても毎月検査が義務付けられるといった不都合が生じている。そういったことから、 この水質管理専門委員会としては、水質基準の見直しに当たり、新たなシステムを採用 したらどうかということでございます。  (1)といたしまして、全国に見れば検出率の低い物質あるいは項目であっても、地域、 原水の種類、または浄水方法によって、人の健康の保護または生活上の必要を生ずるお それのあるものについては、すべて法律の第4条の水質基準項目として設定する。一方 で、すべての水道事業者に水質検査を義務付ける項目は基本的なものに限り、その他の 項目については、各水道事業体の状況に応じて省略することができることとするという ことでございます。  ただ、水道事業者が適切に水質検査項目を選択できるように、検査の省略の可否に関 する指針は明示すべきであろうということでございます。  それから、各水道事業体が検査項目の選択を適正に行うとともに、透明性を確保する ために、それぞれの事業者ごとに水質検査計画というものを策定いたしまして、その中 に、なぜその検査項目を選んだかというようなものを明示させて、これを公表させるよ うなシステムとすべきであるというようなことでございます。  今回の審議の中で、水質基準には該当しないというようなものであっても、例えば、 一般環境中で検出されているような物質、使用量が多くて今後検出される可能性がある 、あるいは水質管理上留意すべき物質については、関連情報と併せて公表し、ここは仮 称でございますけれども、水質目標設定物質リストというようなものを公表して、関係 者の注意を喚起すべきであるというようなところでございます。この辺りは、先ほど眞 柄委員長の方から御紹介のあった新しいシステムというようなところでございます。  それから、更に、こういった水質基準項目につきましては、リアルタイム・モニタリ ングが可能というものは限られております。そのため、水質管理で万全を期するために は、地域性や原水の質、浄水方法などに応じて、その基準不適合の可能性を事前に把握 し、その上で、それに対応した管理を行っていく必要があるということでございます。 こういった考え方は、食品衛生分野におけるHACCPあるいはWHOが今検討しております Water Safety Planといった考え方にも具現化されておりまして、我が国の水道水質管 理におきましても、こういった考え方を取り入れていくことが必要であろうということ でございます。  それから、(3)「逐次改正方式」でございます。現在、水質基準の見直しを審議いただ いておりますけれども、前回改正が平成4年ということで10年経っているということで ございます。しかしながら、当然こういった基準につきましては、最新の科学的知見に 従って常に見直しが行われるべきである。WHOではこのことをRolling Revisionとい うふうに言っているようでございます。私どものシステムにおきましても、これは当然 、概念上はそういった考え方で進めているんですが、もう少しそれを実行あらしめるた めに対策を取ることが必要であろうということでございます。  それから、こういった逐次改正の実効性を高めるとともに水質管理の一層の充実を図 るために、水道事業者に対して水質検査を義務付けているわけですけれども、国あるい は地方公共団体において、水道水質管理行政を担当している部局による水質監視も重要 であろうということでございます。  6ページに進みまして、(4)「水質基準設定に当たっての考え方」ということでござい ます。(1)で微生物に係る基準ということでございます。これはまだ問題提起というとこ ろで結論には至っていませんけれども、専門委員会でこういった問題提起がなされたと いうことで3点ほど御報告申し上げます。  1点目といたしまして、現行の微生物に係る水質基準といたしましては、大腸菌群数 、一般細菌というものが項目を設定されております。それぞれ大腸菌群数におきまして は、糞便性の汚染の指標、それから、一般細菌については現存量の指標ということで基 準設定されているわけですけれども、この大腸菌群数については、直接的に糞便由来で ある大腸菌を水質基準とすることの是非について検討すると。それから、一般細菌につ いて指標として適切なのかどうかという妥当性の検討と、従属栄養細菌の追加あるいは 転換の可能性について検討するということでございます。  2点目といたしまして、クリプトスポリジウムなど塩素耐性を持つ病原微生物への対 応ということでございます。現在クリプトスポリジウムにつきましては、暫定対策指針 ということで私ども行政指導させていただいているわけですけれども、それを一歩進め て水道法の枠組みの中で規制をしたらどうかと。その是非について御審議いただくとい うことでございます。  3点目といたしまして、配管系における微生物の増殖対策でございます。浄水場など の配管の中での微生物の再増殖の問題について検討したらどうかということでございま す。  (2)といたしまして「化学物質に係る基準」ということで順次書いてございます。ア「 毒性評価」については、既に評価の情報がございますので、情報に基づいてTDIを設 定して、それに基づいて基準設定を行うということでございます。ただ、内分泌かく乱 化学物質につきましては、哺乳類、特に人への低用量域での健康影響について現在のと ころ評価が確定していないということがございます。そういったことから、現時点にお いては内分泌かく乱作用に着目した基準の設定というのは見送るのが妥当であるが、た だ、将来の見直しの準備の意味を込めて、水道水中の存在状況等につき監視を行ってい くことが必要であるということでございます。  イ「暴露分析」でございます。水道水がどの程度暴露されるかということでございま す。詳細なデータがある場合はそれを使いますけれども、ない場合には、飲料水からの 摂取量をTDIの10%と設定する。更に、日本人の体重50kg、1日の水の飲用量2Lで 基準設定をしていくということでございます。  ウとして「処理技術、検査技術の考慮」ということでございます。今、御説明申し上 げましたような形で評価値というものが出てまいりますけれども、現在の技術をもって しては、そこのレベルまで処理できないあるいは検出できないというような事態に対し てどうするかということでございます。  こういった場合はそういった毒性影響からの基準化ということではなくて、例えば、 検査方法の定量下限を基準値とするとか、あるいはBATという言葉がございますけれ ども、現在利用可能な最善の技術の考え方を取り入れて、消毒操作をおろそかにしない 範囲で、既存の処理技術で得られる最小の値を基準値するといったことについても考慮 すべきであろうということでございます。  エ「基準の設定」につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、新たなシス テムに転換すべきということを提言したということでございます。そのために基準設定 、どういったものを基準にし、どういったものを基準にしないかということの判断基準 というものを検討する必要がありますけれども、具体的な個別の項目、物質に当たった 上で検討するのが適切であろうということになっております。  ただ、農薬については、使用形態あるいは水質検査における検出状況というのが他の 汚染物質、項目と比べて大きく異なります。そういった意味で、その特性を十分考慮し た上で基準設定について考える必要があるということでございます。  それから、次の8ページの(3)「性状に係る基準」でございます。これは従来の考え方 に基づいて基準設定をしようということでございます。  (5)「水質検査」の(1)「水質検査方法」でございますけれども、検査方法によっては 、同じ試料を検査しても結果が異なることがあるというようなことでございますので、 基準値の設定に当たっては、いわゆる公定法とセットで定めることが必要であるという ことでございます。  それから、検査方法の選定に当たっては、1)、2)、3)のように確実に測定できるとい うようなことは当然でございますけれども、今回新たな視点といたしまして、ベンゼン などの有害物質を極力使用しない、クリーンアナリシスというふうに言われているそう ですけれども、そういった方法を選択しようというようなことで検討を進めていただい ております。  検査技術の技術革新に的確に対応できるように、公定法と同等以上のものについては 、これを公定検査法と認められるような柔軟なシステムの工夫が必要だという御提言を いただいております。  (2)といたしまして「水質検査の品質保証(QA/QC)」でございます。水質検査におけ る品質保証の重要性については、論を待たないということでございます。特に、水道法 改正における管理委託制度の導入、あるいは現在進んでおります20条機関の登録制度化 といったことから、民間事業者による水質検査への参入というのが大幅に増加すること が見込まれますので、ますますQA/QCの重要性が高まってくるということでございます 。  既に、食品衛生の分野ではGLP制度が導入されております。環境測定の分野につい てもISO17025というものが制定されて、GLP制度が導入されております。  水道水質検査は、私どもが実施しております20条機関を対象にした精度管理調査の結 果というものを見れば、やはりGLP制度の導入が不可欠であろうということでござい ます。  このような状況を踏まえれば、20条機関に対して何らかのGLP制度を適用させるこ とが適当であると。更に、水道事業者あるいは地方公共団体の水質検査施設についても 、これに準じた対応が求められるだろうということでございます。  (3)といたしまして「水質検査のためのサンプリング/評価基準」ということでござい ます。先ほど御説明申し上げましたとおり、水質基準というのは水道により供給される 水が満たすべき水質上の要件でございます。したがって、すべての水について満たされ る必要がございます。そうはいっても、すべての給水栓で水質検査を行うというのは実 際上不可能ですので、合理的な範囲で地点を限定し、検査を行うことになります。こう いった上記の条件を判断するためのサンプリングあるいはその結果の評価はどうあるべ きかというようなことを検討する必要があるということでございます。  具体的にはアとございますように、どのような地点で採水すべきか。例えば、配水池 、浄水場の出口のところあるいは途中の配水管あるいは蛇口。それから、どの程度の地 点数が必要か。例えば、給水人口10万人当たり給水栓幾つぐらいといったものを検討す る必要がございます。  それから、どの程度の頻度で採水するのか。例えば、月1回なのか、年4回なのか、 年1回でいいのかというようなこと。  それから、その結果をどういうふうに評価するかというようなことを検討いただくと いうことでございます。  (4)「水質検査計画」でございます。水質検査というのは、水質基準の適合状況を把握 するために不可欠で、水質管理の中核を成すものでございます。一方で、水道事業者に 対して大きな負担を強いているものでございます。このため、水質基準の適合状況を確 実に把握できるというのが前提ですけれども、その上で、効率的・合理的な在り方が求 められております。この点については、既にこの前身でございます生活環境審議会にお きまして、水質検査計画の制度化について検討が行われた経緯がございます。この専門 委員会におきましても、そういった報告を現在の状況を踏まえて見直した上で、制度化 することが適当であろうということでございます。  (6)といたしまして「簡易専用水道における水質管理」でございます。これにつきまし ては、管理の不徹底から水質面で問題が生ずることがあるということで、その管理の充 実を図ることが重要でございます。このため、先年の水道法改正におきまして、水道局 側から積極的な関与を求めるということで管理の徹底が図れるようにしたところでござ います。  一方、規制改革の流れの中で、この簡易専用水道の管理について、いわゆる34条機関 と呼んでおりますけれども、厚生労働大臣が指定する機関による検査についても、登録 制度により実施することというふうにされてございます。このため、私どもといたしま して、今そのための法律改正等の準備をしているところでございますが、本専門委員会 でも、こういった管理の在り方あるいは34条機関における登録基準、登録検査の在り方 について検討するということでございます。  それから、3番目といたしまして「今後の審議スケジュール」ということで専門委員 会の方にお願いしておりまして、来年の5月を目途に専門委員会報告を取りまとめてい ただきたいということでお願いしております。当面、来年1月下旬から2月初旬にかけ まして、水質基準及び水質検査法の各論3としまして、個別物質ごとに基準設定の是非 あるいは基準を設定する場合の数値はどうするかというのを御議論いただく予定でござ います。  それから、2月には水質基準の在り方の各論4といたしまして、QA/QC、サンプリン グ・評価、水質検査計画。  更に3月には、34条機関の在り方を御議論いただきまして、本年3月末には水質管理 専門委員会報告案を取りまとめいただきたいというふうに考えております。  その上で、この報告案につきまして4月ぐらいにはパブリック・コメント手続、これ はおおむね一月を要すと思いますが、この手続を済ませた上で、5月中旬、水質管理委 員会報告として取りまとめ、本部会に御報告するというようなことで審議を進めていた だいているところでございます。  以上でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  今の資料3の後ろの方に添付資料がございますが、これは専門委員会で議論するため に準備されたペーパーでございます。後ほど各委員から御質問があったときに該当する ところがございましたら、事務局から説明をさせていただこうというふうに考えており ます。  それでは、今、事務局から説明をいただきました水質管理専門委員会の進捗状況につ きまして、委員の先生方の御意見や御質問あるいは今後の検討方向について御意見がご ざいましたら、お出しいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○池田委員  よろしいでしょうか。1つは、7ページの「基準の設定」のところで御質問したいん ですけれども、ここは水から摂取するいろいろな化学物質等の摂取量で評価するという ことになっているんですが、人の生活を考えますと、水以外にも食品とか空気からも同 じような化学物質を摂取することがあるわけですが、その辺についてはどのようにお考 えになっているのかということ、まず、それをお伺いしたいと思います。 ○眞柄部会長  では、それについて事務局から御説明ください。 ○岸部水道水質管理官  御指摘のとおり、人間が化学物質を摂取するルートというのはいろいろあるかと思い ます。当然、食品もありますし、空気もありますし、水もありますけれども、そういっ たアロケーションと言うのでしょうか、比率が明らかな根拠データがある場合には、そ の比率に従って水道の寄与割合を示していこうということでございます。しかし、寄与 割合のデータというのはなかなか少のうございますので、そういった場合には、従来の 考え方、WHOの考え方も同様ですが、水の飲用水量を2L、TDIの10分の1を飲料 水から摂取するという考え方で基準設定をしてきております。今回もこの考え方を踏襲 しようということでございます。 ○池田委員  それは、水2Lから出るのは、全体のある化学物質の10分の1だというふうに考えて いくわけですか。 ○岸部水道水質管理官  そういうふうな形で今まで基準を設定しておりますので、それを踏襲しようというこ とでございます。 ○眞柄部会長  よろしゅうございますか。  では、ほかに。 ○遠藤委員  9ページの上の方にGLPの話が出てきますが、この基準制度が導入された場合に、 現実問題として水道の世界だとどういう形になるんでしょうか。 ○眞柄部会長  それでは、事務局からお答えいただくか、あるいは安藤先生からお答えいただくか、 どちらでもいいですが、安藤先生に主査をしていただいているので安藤先生からお答え いただければと思います。 ○安藤委員  水道事業体で具体的にどういうふうになるかについては、今まさに検討している最中 でございます。と申しますのは、水道を検査するのは、1つは水道事業体が自ら検査す る場合と、もう一つは、いわゆる20条機関にお金を払って検査する場合と、大体この 2つに大きく分けられます。お金を払って検査するというのは、当然お金に見合った精 度を求めるというのが基本だろうと思います。他方、水道事業体の場合は自前でやるわ けですから、とはいいながら、20条機関はデータの制度が保障されていて、水道事業 体のデータが保障されないというのは問題でございます。したがって、基本的にはどち らに対しても、データとして同等の品質を求めていくべきだろうとは思っております。  ただし、水道事業体は、水質検査のほかにも、安全な水を供給するためのいろいろな 仕事をしておりますので、品質のみが余り強調され水道本来の仕事がおろそかになって しまっては困る、QA/QCだけが先行して水質検査のみ委託だよという話では困る、とい うふうに思っております。つまり、本当の意味の水質管理をどう担保できるかが大切と 考えております。そこで、今、いろいろな関係の方々を対象にヒアリングいたしまして 、どういう体制がいいのかということを考えているところでございます。非常に漠然と したお話になりますが。 ○松井委員  関連して。その場合、勿論、今、御検討中だと思うんですが、指定検査機関自身の能 力をチェックするということが、一方で必要になってきますね。それはどういう体制で チェックするのかということとも関係しますね。それはいかがでしょうか。 ○眞柄部会長  非常に難しい問題かと思いますが、先ほど事務局から御紹介がありましたように、20 条の機関も規制緩和の流れで登録制度になります。登録制度になるということは、法律 で登録の要件は当然書きますけれども、それを満たしているものに対しては登録を受け 付ける。ただ、その後、どういうニーズに合った仕事をしているかということに関して は、監察する制度は勿論あります。そういう問題と、もう一つは、ISOなりJISの 制度が、我が国を含めて工業先進国の中では定着化してきておりますので、水道の水質 検査に掛かる品質については、ISOの認証を取っているというのが実施質的には登録 検査機関の最低限要求されることであると。ISOのルールでいきますと、その機関に 対しては、定期的に業務を適切に行っているかどうかというのをISOのルールの従っ て審査をするということになっておりますので、業務の品質保証に対しての継続性が担 保できるということで、専門委員会の中では水道分野の水質検査に関して、ISOの900 0に準ずる制度を導入しなければならないだろうというふうに考えております。問題は、 そういう水道水質に関する審査を行う機関がないというところなんです。それは、遠藤 委員もおっしゃられたことだと思いますが、それを国がやるということはできなくなり ましたので、いわゆる第三者認証機関あるいは第三者審査機関が、我が国の中で生まれ ることを期待するというのが我々の立場であります。 ○松井委員  結局、その担保がないと、これは動かないんですね。 ○眞柄部会長  ISO17025が具体的な名前で例示されておりますが、ISO17025は、例えばダイオキシン の検査について品質がどうかという形で個別項目ごとの審査の立場ですが、水道の水質 検査は、できるだけ一斉分析法で、1つの分析法で幾つかの項目を同時に測定すること によって、コストと精度を満たすような努力をずっとこれまでやってまいりましたので 、もし、17025に類するようなものを導入するとすれば、例えば、GC/MSを使った農薬の 一斉分析法とかあるいはICP−MSを使った重金属類の検査というようなことを考えつつ今 議論をしておりまして、余り厳しいと言ったらあれですが、検査機関にしてもあるいは 将来的には水道事業体の水質検査部門も同じようにならざるを得ませんので、合理的に きちんと行えるような制度の在り方は専門委員会で議論しようと。それを受けてどのよ うにされるかは、まさに関係者の努力に期待せざるを得ないだろうというのが、今の議 論の過程です。 ○佐野委員  そうなりますと、海外からの事業者も勿論参入できるという形になりますか。 ○岸部水道水質管理官  まだその辺のところは、法令上どういう形になるのか具体的に議論したことはないん ですが、多分、将来的には登録基準に合致さえすれば拒む理由はなくなってくるのかも しれません。ただ、その辺のところは私どもとしてもはっきりした見通しを持っている ということではございません。 ○眞柄部会長  ただ、一般的に言えば、我が国の中に検査施設があるというのは法律で書けるだろう と思います。例えば、東京都で採水したものを香港まで持っていって、香港で測るとい うことになりますと、その試験所が適正に検査をしているかということに関して毎年立 入りの審査をやりますので、逆に言えば、登録をされる方が財政的に成立しないビジネ スになりますので、結果的には国内にあるものということにはなるだろうと思います。 ○矢口委員  今の話はよくわかりましたが、関連しまして。冒頭HACCPの問題が出てまいりましたが 、ここへ落とし込めば、ISOないしはJISがあればそれで十分ということであればH ACCPは必要ないと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。 ○岸部水道水質管理官  これは、水質管理に関してHACCPの考え方を取り入れようということで、HACCPそのも のを取り入れようということでありません。水質管理も含めた形で原水の質に応じた形 でどういう対応が必要かというのを事前に検討・分析した上で、各水道事業ごとにこう いった管理をするというのを検討していただくということで、HACCPを導入するというこ とではなくて、HACCPといった考え方を導入した水質管理を進めていこうということでご ざいます。 ○眞柄部会長  ほかにございますか。 ○松井委員  農薬について、ちょっとお聞きしたいんですけれども。今回のこの原案にあるように 、農薬というのは季節性が非常に高いという問題と、それから、水道水源の上流側の農 業形態と密接に関係するというわけで、そうしますと、水道管理者が自分の置かれてい る状況をまず一番よくわかっておられますね。それに対応してこういう対応をするんで すけれども、私は、この考え方をもう少し広げていただきたいと思っているのは、化学 物質についてはPRTRという考え方が動き始めて、それ自身がやはり水道原水に対してプ ロテクションが効いているわけです。それは排出者自身が自ら規制をするということで すね。ですから、農薬についても農業者自身が自らの排出を規制するというのか、自制 するというのか、それを取ってもらわないと、農業者の言わば経済活動のツケを水道側 がしり拭いするような格好ですから、これはおかしいんですよ。そういう意味で、農業 者自身が自分が使っている農薬は何かということがわかるような体制に持っていかない と、この問題は永久にくるくる回っているんですよ。現実に農業従事者の方に聞きます と、自分が使っている農薬については商品名しかわからなくて、その中に入っている化 学物質については全然理解していないんです。こういう無責任な状況を続けておいて、 水道の分野だけで農薬についてこれだけのことをやるというのは絶対におかしいですよ 。経済的に言っても全くおかしいです。ですから、ここのところは、もう一歩踏み込ん で対応が取れないか。これは結局、都道府県レベルで解決すべきものだと思うんです。 特に、水道事業者に対して農業担当の農水省ともっと密接に連絡を取れば解決すること ができると思うんです。そうしますと負担が減るわけです。これは、もうちょっと水道 サイドから踏み込んで発言すべきものだと思います。 ○岸部水道水質管理官  今のお話を受けて専門委員会でどういった審議の進め方をするかというのは、眞柄委 員長の御判断によるところですが、1点行政の方から御説明申し上げますと、こういっ た形で農薬について私どもが水道として関心を持っているということで何らかの形で意 思表明することが、今、先生御指摘になったようなメッセージになっていると思います 。私どもが水質基準を設定した農薬がございますし、監視項目も設定した農薬、設定し た瞬間にほとんど検出されなくなります。それがある意味で、こういったことで対応を 取るということがメッセージ性になるのではないでしょうか。私どもとしては、そうい ったことを行政態度としては申し上げることができるのかなというふうに思いますけれ ども。 ○松井委員  現実には、それは働いていないですね。滋賀県の全体の農薬の使用量を見ますと、正 直言いましてほとんど横ばいですよ。 ○岸部水道水質管理官  申し上げますのは、水道の原水なり浄水としては、設定した瞬間にほとんど検出され なくなります。 ○松井委員  ですから、その農薬を使わなくなって別の農薬に変わるわけですよね。それでイタチ ごっこをやっているわけですよ。全体として有機農業に動こうという話を進めているわ けですから、日本の農業自身が、このまま行きますと壊滅状態にあるわけです。そうい う大きな枠組みの中でこの問題も考えていかないと。だから、もう一歩踏み込んで農薬 の問題については発言すべき、これは我々の飲み水の健康の問題ですから、もうちょっ と私は重要な位置付けをしていただきたい。特に、これは都道府県レベルでもって調整 で解決すると。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。専門委員会で、また農薬については検討することにしてお ります。我が国で登録されている農薬のうち、水道原水からこれまで検出されてきた農 薬類についてはリストをつくって、そのリストの中から検出頻度が高いものについては 、基準なり何なりの項目に移行しようというふうに、これは基準をつくるという意味の テクニカルな問題ですが、今、松井先生がおっしゃったように、制度的な問題が非常に 大きいということで、専門委員会の議論のテーマとしては、水道事業者に流域で使用さ れている農薬についての情報をできるだけ早く流れてくるような仕組みを国として考え てもらいたいというようなことは、報告の中で取り上げたいというふうに思っておりま す。特に問題は、現在は昨年度使われた農薬の情報が入ってきて、今年農薬を測ろうと したときに、今年はどういう薬を使っているかというところが、同じ農薬を使っていれ ばいいんですが、除草剤ならまだいいですが、虫や何かですと、すぐ耐性を持ってしま って、ほかの農薬に変わってしまうと。次の年に測ったら、去年はなかったので今年測 っていないという実にむだなことがあります。おおよそ各農薬年度に使う農薬類という のは想定されておりますので、そういう情報が水道部局にできるだけ早く流れてきて、 水道で検査をするときにむだがないような仕組みというのを是非。 ○松井委員  先生、そこまでの考えならば、化学業界はレスポンシブル・ケアという覚悟で自分た ちがつくる化学物質の有害性に対して、それを減らそうという努力を自らやっているわ けです。それは私は非常に結構なことで認めます。そうしますと、レスポンシブル・ケ アをやっている化学業界ならば、その年その年につくる農薬の量はわかっているんです よ。ただし、地域によってどれを使うかというのは、当然1年ずつ変えていますからわ かりませんが、毎年つくる量はわかっていて大体供給する量はわかっているわけですね 。供給するのも主として農協を通じて行っているわけです。そうしますと、予測できる わけですよ。今年はこれだけのものをつくってこれだけ使いましょうと、その予測量は 国全体として理解しておく、情報を取っておくということで、その情報を全国の水道機 関に流して、今年はこういう量になっていますよということがわかれば、分析する対応 の方もちょっとは情報があるわけです。やみくもに分析するのではなくて。そういうシ ステムに日本全体を変えないと、言ってみれば水道は偽善者ですよ。 ○眞柄部会長  偽善者というのはあれですけれども、有益な御意見をありがとうございました。専門 委員会で積極的に検討させていただきます。  ほかにございましょうか。 ○大井田委員  国と地方の責任の在り方ということで、意見を言うつもりはありませんが、8月1日 に佐野委員がおっしゃっていたことを私も賛成するんですが、何でもかんでも規制緩和 でいいのかと。さっきの農薬と同じで、1年前までの流行語は「規制緩和」、今は「安 全保障」です。農薬も測ることはいいのではないかと思います。水道事業体に負担が掛 かるというのは、事業体が小さ過ぎるから悪いのであって、農薬を規制緩和することは ないのではないかと思います。 ○松井委員  私は、これは規制緩和だと思っていないです。状況に対して機能的に対応する……。 ○大井田委員  ヒ素を混入するような犯罪が起こるかもしれないと言いたかったんです。だから、農 薬も一律にやるべきではないのかなと、世の中何が起こるかわからない。テロが起こる かもしれない、こういうことも考えた方がいいのではないかと言いたかったんです。 ○眞柄部会長  大井田先生のおっしゃったことと関連して、危機管理対策に係る考え方をどう議論し たらいいか、事務局の方からお考えでもあれば出していただけますか。 ○谷津水道課長  非常にテロ対策の重要性が高まっているということは御案内のとおりでございまして 、水道の基本的な考え方につきましては、それぞれの水道事業者で、できることをきっ ちりやっていただこうと。何ができるかというと、例えば、原水の水質監視を今かなり の水道事業体でバイオアッセイというやり方で、原水の水質監視なりあるいはろ過後の 水の水質監視は生物を指標にしてチェックするというようなやり方がされております。 あるいは、フェンスとか警備をきっちりやるというようなことにつきまして、昨年の一 連の動きの中で、厚生労働省全体として都道府県に対してテロ対策の注意喚起をし、そ の中で水道についても所用の取り組みをまとめているところです。また、今年も入念的 に、それぞれの事業体に監視体制の強化などをお願いしているところであります。 ○眞柄部会長  危機管理については、今、大井田さんがおっしゃられたことですが、先ほど矢口さん からも御指摘がありました、いわゆる水質試験、水質検査の枠組みとは別に、HACCPの考 え方を導入して、水道全体のいわゆる工程管理のプロセスの中で危機管理を考えていた だき、最終的には報告書の中で書けるかあるいは基準値に反映させるかは専門委員会で 検討しなければいけないと思っております。農薬に関して言えば、流域である量が使わ れていて、流出量を例えば10%とすると、大体何ppmぐらいになると予想できます。その 期間は粉末活性炭を入れるという形で、HACCP的なアプローチを水道の中に入れていくと いうようなことを農薬については考えようという意味で、まだ議論が煮詰まっていませ んが、そんなことも専門委員会の中では検討していこうという考えはあります。  現実、大井田先生言われるように、登録されている農薬が500もありますので、ですか ら、500はとても無理なんですよ。ということで、そういう意味ではHACCPのアプローチ を何とか、要するに工程管理の中でどうカバーするかということを考えていきたいとい うことです。  ほかにございましょうか。4ページのところですが「地域性・効率性を踏まえた水質 基準の柔軟な運用」というのが、従来の仕組みとは少し変わっておりますので、これに ついて委員の先生方から御意見をいただければありがたいんですが。 ○遠藤委員  15ページに、この関係の柔軟な運用の具体的な例として「地域による差異」の(2)「農 薬については、基本的に水源部で使用されている農薬に注意すればよい」、これはこの とおりだと思うんですけれども、現実に今の水道事業体の8割は中小規模ですね。それ らは大半が委託でやっている。水質検査を自前でやっている大規模事業体では法定項目 以外の項目についても試しにやったりしてある程度までは把握していると思いますが、 法定要件しかやっていない中小事業体は、こういうものの対応はできないと思うんです 。基本的に、このような事業体では、使っている農薬を事業体自ら調べようと考えても 、水質等の専門職員がいないし、人員配置や費用の問題もあって多分、全体を把握する のは非常に難しい。それがなければ、この項目を省略することは逆にできない、せっか く制度を改善しても実行できないということになるわけですね。この辺は、具体的には どういう方法で対応される考え方なんでしょうか。例えば、流域で同じ水源になってい る川を事業体が共同で定期的に採水してチェックするような体制でもつくらない限りは 難しい。しかし、事業体にとっては場合によっては検査項目が省略されることによる負 担軽減の部分も出てきますので、ありがたい面もあります。したがって、どのようにし て対処するかというのは大事な点です。 ○眞柄部会長  安藤先生、それについていかがですか。 ○安藤委員  農薬の問題というのは、今、御議論いただいた部分が確かに大きな問題の一つかなと いうふうに思っています。理想は、先ほど松井先生がおっしゃったようなPRTR的なお話 でいけばいいのでしょうが、今の体制ではそうはなっていない。例えば、PRTRだったら 報告義務は1tから生じますが、そうすると、農家で使用する農薬は、とてもそこに入 ってこないということになる。そこでどうしようかというのを大きな問題として議論し ている最中でございます。農薬を全部基準にしてしまうというのも1つの考え方として はありますが、現実的ではありません。そうすると、特に水道の場合、水系から入って くる農薬にどういうものがあり、それを、どこまで絞り込んで検査するかという作業が 1つあるのかなというふうに思っております。  モニタリングについては、理想的には、先ほどのテロ対策まで含めれば常時監視とい うのが理想ですが、それは小さな水道事業体はできない。そうすると、やはり同じ水系 で大きな水道事業者がモニタリングするということが必要だろうと思います。今どうい うシステムでモニタリングすればいいかというのを試案中というところでございまして 、それを今は明確にお示しできませんが、いずれにしても、そういう幾つかの問題があ るということは認識しておりますので、そこをもう少し踏み込みたいとは考えておりま す。ですから、今考えておりますのは、農薬の項目をどこまでに広げるか、そのあたり を探っているという状況でございます。 ○松井委員  それに関連して。遠藤委員の御指摘は非常に重要な点だと思うんですけれども、私が 理解しているのは、例えば、大阪市さんが淀川の一番下流でやっておられるのは、毎月 1回きちんとやっておられますが、毎月1回ということでいきますと、農薬を最も使っ ているときは1発しかないわけですね。翌月になったら、問題とする農薬は全然使って いないわけです。現実はそうなんですよ。ですから、現実のやり方でいくと、全然機動 性に欠けていると。ですから、そういう問題を改善するためには、サンプリングの回数 とかいつやるかとか、これは今回のをうまく使って、現実に合わせる覚悟でやるとでき るだろうと。  一方、問題は、下流の方に行けば行くほど、すべての化学物質が入ってくるわけです 。それに対して遠藤委員の御指摘のように、上流の方に行くほど限定されたものが使わ れている可能性があって、なおかつ上流ほど事業体は弱小であると。それこそ一月1回 なんて全然やっていなくて、極端な場合は半年に1回なんですね。現実は全く対応でき ていないんですよ。ですから、そういう現実の弱い部分をどうやって改善するかという 、これが今回の答申から始まると思うんです。 ○安藤委員  今松井委員のおっしゃった点は全くそのとおりでございまして、そのためにサンプリ ングと検査、それもすべて今までと同じようなやり方というのはうまくないだろうと。 例えば、農薬だったら冬やってもしようがないということになりますので、集中的にや るべき季節、そういうものを分けてやるべきだろうという考え方も今は出てきておりま す。そういう考え方をやはり進めていかなければ、何の役にも立たないであろうとは思 っております。 ○眞柄部会長  澤委員、何か御意見がございましたら。 ○澤委員  余り専門的なことはわからないんですけれども、直接的な問題ではないんですが、健 康危機管理というのが、今、保健所で大きな問題になっておりまして、その辺のところ がかつてサリンの事件のときに、葛飾区はかなり大変な思いをしたというようなことも ございまして、どういうふうにこの中で生きてくるのかなというのが、一番私どもとし ては関心があります。  あと、5ページに「逐次改正方式」というのがありますけれども、新たなる健康問題 というのが最近次々と出てまいりますので、そういうときに素早く対応するために、こ の方式を取って会議体ができるということでよろしいのでしょうか。 ○眞柄部会長  はい。そういうつもりで考えております。  では、田中委員、いかがでしょうか。 ○田中委員  今の水質検査の問題については、ほとんどわからないんですが、ただ、日本の水需要 というのがこのままでいけるのかなということに一番関心があって、中水利用がなぜ進 まないのかということが、水に関しては一番の関心なんです。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  原委員、何かございましょうか。 ○原委員  私は初めてこの席に出させていただきました。いまだ勉強不足でございますので、次 回以降に質問させていただければと思います。 ○眞柄部会長  よろしくお願いいたします。  坂上委員、今度は34条の関係の見直しが入るんですが、ビル管法と実質的には同じで すが、今の34条機関で行われていることとビル管法とは若干作業の内容が違うのでしょ うが、そこら辺について何か御意見があれば出していただけますか。 ○坂上委員  今の報告では特にございませんけれども、常設の専門家会議という設置をもくろまれ ているようですが、これは大変重要なキーになろうかと思うんです。これをどう位置付 けて、どこで設置してどう運用して、その中でターゲットである水質基準だけではなく て、今議論がいろいろございましたような地域性とかサンプリング等も含めて、この会 議で年に1回とかではなくて、いつも目を見張っている、あるいは場合によっては提言 もしていくという機関として位置付けられれば、大変アベイラブルではないかと思いま す。これは大分煮詰まっているんですか。 ○眞柄部会長  後ほど御説明があるかもしれませんが、来年度からできるかどうかわからないですが 、ここで答申をいただいて、水道法の水質基準の枠組みが変わるということが明らかに なった段階で、多分お国の方ではそれに必要な予算的措置をお考えになられるというこ とだと思います。  赤川委員、何かございますか。 ○赤川委員  先ほど出ておりました危機管理の問題ですが、私は東京都でやっているときから思っ ていたのですが、日本の水道界は非常に人の良心に頼ってきたというのが現実にあった わけですね。よく笑い話に出るぐらいなんですが、日本の水道界の人がロシアか何かの 浄水場を見学に行って写真を撮ろうとしたら、銃を突きつけられたというぐらい厳しさ が違うというのがあったんです。ところが、例のサリン事件以来、例えば、あのときは 東京都の場合でも24時間体制で浄水場を見回ったりしたんです。最近、例えば一例です けれども、浄水場の原水、ろ過池のふたが開いたままなんですよね。そういうものも仮 に誰が入ってくるかわからない。ところが、一方では、地元の議員だとか含めて開放し ろという意見があるわけです。そういう住民との接点があるんですけれども、東京都の ような大きな浄水場でも、今年からふたがけをして、少なくとも水道水をしっかり守ろ うと考えております。それは相当のお金が掛かるんですが、せっかくするんだから、そ こに太陽光発電でもして、少しでも省エネにしようとかいろいろ検討しております。全 体として、やはり水道界においても、危機管理体制をどうするかというのが徐々に進み つつあります。確かに、今までは日本というのは浄水場の見学会とか子どもが大勢来た りするんですね。それを急に排除するわけにはいかないんですけれども、それはそれと して残しながら危機管理というか、きれいな飲める水をどう守るかというのが進みつつ あります。  それから、もう一つは、先ほどから出ておりますように、大きいところというのは下 流の方ですけれども、そういうところというのは大体大都市が多いんですが、そういう ところは確かに水質の職員もたくさんおりまして、それこそ検査を毎日やっております し、きちんとやりますが、確かに中小のところというのは人員の確保自身が難しいとい う点がございます。水道協会としては、特に中小の人たちの意見を今いろいろ会議を開 きながら頻繁に聞いております。日本水道協会への問い合わせというのも、やはり中小 が一番多いんです。その辺の、特に今回の水道法改正に伴う第三者委託の問題で一番そ れが出ておりますので、厚生労働省といろいろ一緒になって第三者委託の問題、この前 暫定案を出しましたけれども、特に中小の水質管理の問題をどう受け止めていくかとい うのが、我々にとっても大きな課題でありますので、できる限り皆さんのお知恵を拝借 しながら、我々としても御指導できる点はやっていきたいと考えております。 ○眞柄部会長  相澤委員、何かございますか。 ○相澤委員  私は余り詳しくないのであれなんですが、ビルなどで貯水槽がありますね。あそこか ら出た給水、その水質の基準と水道事業者から供給される水の水質基準というのは、や はり同じようにやるべきなのかということをちょっと疑問に思いました。 ○眞柄部会長  それは、事務局からお答えいただけますか。 ○岸部水道水質管理官  簡易専用水道は大体ビルの受水槽のイメージなんですけれども、今の法律上の仕組み としては、簡易専用水道に該当する場合、水道局は受水槽に入る水について水質基準に 適合するように責任を持つということになります。あと、受水槽の管理については、設 置者がしかるべく清掃するとかあるいは定期的に検査を受けるとか、そのような措置を 講ずるということになっております。一応そういう形のシステムになっております。 ○相澤委員  水質基準としては同じですか。 ○岸部水道水質管理官  水質基準としては、一応、水道局から出る水ですから、受水槽に入る前のところで水 質基準は適用されることになろうと思います。当然、そのまま受水槽が完全にきれいに 措置されている場合には、そこからの水というのは水道局から来たとおりの適切な水が 蛇口から出るというような想定です。  ただ、問題は、そういった受水槽の管理がしっかりしていないと、そこで藻類が繁殖 したり当然いろいろ問題を生じるということなります。 ○矢口委員  今ここで議論されているのはほとんどが原水の問題で、今、御質問の末端での水質検 査、管理をどうするんだという問題が他方でございます。ビル管法では、常に水道法何 条によりという字句なんですよ。ですから、この水道法の関係でもう少しその辺を明解 に議論しなければ、ビル管法はビル管法でございます。その原点は、やはり水道法です ので、原水も重要ですけれども、やはり末端での水の水質管理をいかに図るべきである かというところを議論する必要があると思います。 ○眞柄部会長  ありがとうございます。  では、佐々木委員どうぞ。 ○佐々木委員  ありがとうございます。皆さん専門家ということですが、私は全く水質の問題につい ては専門家ではありません。経営学をやっております。そういうことをやっているとい うことを知りながら、ここのメンバーに入れていただいたということは、恐らくちょっ と立場が変わったというか、皆さんとは違った立場からものを言えということではない かと思うんです。前回、私はちょっと所用がありまして出られませんで、今日初めて参 りました。資料3から幾つか申し上げたいことがあります。全く今までの議論と違うこ とかもわかりません。  まず感じるのは、全体として要するに今の規制緩和とか自由化という1つの大きな流 れがある。その流れの中で、一方では、料金規制とかあるいは参入規制とか、いわゆる 経済的規制と言われるものについては、規制緩和なり自由化というものが1つの大きな グローバルな流れとしてある。しかし、他方において安全とか安心、いわゆる社会的規 制についてはその反対で、どちらかというとより厳しくいこうというのが1つの流れだ ろうと思います。それが、この資料3の中に両方表れているというふうに私は理解しま す。  どういうことかというと、一方、水質の基準なりあるいは検査というようなものを見 直すと言っていますが、流れとしてはやはり水質の基準はいろいろ理由があって厳しく なってきていると思うんです。それについては、この資料3に書かれていることが主な ことであろうと思いますが、そのことに関連して私が思うのは、全国に特に中小の水道 事業を営んでいるものがあって、こういうような非常に厳しい水質基準がつくられて検 査しなければいけない、そういう体制を言われたときに、やはり財政的に非常に困難だ ということがあると思うんです。これは、いろいろ料金問題等々で目の当たりにしてい るんですが、そのときに、先ほど国の役割とか地方自治体の役割というのがありました けれども、いろいろ指針をつくったり監視をしたりというのも勿論そうなんですが、や はり財政の問題、これはそういういろいろな理由によって、ある意味では水道事業者あ るいは直接の水道のベネフィットを受けている住民とかそういうものに直接の原因では ないようないろいろな要因が絡んで、水質基準がより厳しくなるということがあると思 うんです。そうすると、やはりお金の問題はどうなんだろうかという、つまり国あるい は地方自治体が、水道事業者に対して何らかのお金の支援というようなことが裏にあっ てもいいのではないかとちょっと思うんです。これを全部今までの独立採算という地方 公営企業法の枠の中でやるのかどうかということが1つ。  もう一つは、それだけ負担が増えるのであれば、その負担をいかに減らすかという問 題があると思います。そのときに、水質基準が厳しくなってくることによって生ずる費 用の増加分は、どういう要因で起こるのかというと、これは分析してみないとわからな いと思いますが、恐らくイニシャルコストというか、公的部分というか、それの方が大 きいのではないか。つまり、ルーチンな運営にかかわるコスト増よりも、イニシャルコ ストの方が大きいのではないかと思います。もし、そうだとすると、ここでいろいろ地 域差によって水質検査を省略したり、あるいは頻度をどうのこうのと書いていますが、 もし、固定費部分のイニシャルコストの増分がより大きいとすると、そういうことをや っても余りきかないのではないかと。いわゆる費用増を減らすということには寄与しな いのではないかというふうに思うんです。むしろそれよりも、委託化とかあるいは共同 で検査をするとか、そういうシステムを政策的に誘導するような知恵あるいは工夫とい うようなものが必要になるのではないかということが、水質基準の見直しに伴う費用増 、それに対してどう対応すべきかという問題について思いました。  それから、松井さんがおっしゃった農薬の問題は、私もほとんど同感です。しかし、 その問題は、ここでは解決できないのではないかと思うんです。どうしてかと言うと、 冒頭で、この問題は要するに給水栓から出てくる水ということですから、そこのところ の水質だと言っているわけですね。しかし、本当はもっとさかのぼっていって原水ある いは工程管理全体でもいいですけれども、そこの水質がどうあるべきかということをや はり探っていかなければいけないので、そうすると、農薬の使用とか本当はその辺から 規制を厳しくしないと、末端のところでいろいろ考えても余り効果は期待できない。あ るいはコストがより増えるよというのも問題になるかと思いますが、しかし、その問題 を水質管理専門委員会の中でお願いするのは気の毒だというふうに思います。むしろ、 残された宿題みたいなところで、もっと広い省庁間の話し合いということが必要だとい うような、残された課題というか宿題というか、そういうような問題としてとらえるべ きものかなと思います。  それから、もう一つは、これこそ規制緩和にかかわるものですが、指定制度から登録 へとありますよね。そこのところでわからないのは、全体の国の動きが規制緩和、だか ら、指定制度から登録制へ動くように書かれているんですが、それによってどういうメ リットが起こるのかということを、もうちょっとこの中で明示的に書いた方がいいので はないかと思うんです。つまり、ここの書き方が、全体の流れがそうだから、こっちも やるんだよというようなニュアンスに取れるんですけれども、そうではなくて、指定制 度から登録制へ変わることによって、水質検査にかかわるコストがどうなるかとか、あ るいはスピードがどうなるかとかいろいろメリットがあると思うんですが、そういうよ うなことを書いていくという書き方をなさった方がいいかなというふうに思いました。  それから、最後に、10ページから11ページところ「今後の審議スケジュール」という のがあるんですが、これは今日以降の流れだと思うんですけれども、ちょっと気になっ たのは、第9回に水質管理専門委員会の報告案という取りまとめがあって、11ページの 表を見てみると直ちにパブリック・コメントに掛けるような書き方をしておるわけです が、9回とパブリック・コメントの手続との間に、この水道部会というか親部会はない んですか。ないのはちょっとおかしいのではないかというふうに思うんですけれども。  以上です。 ○眞柄部会長  いろいろと有益な御意見をありがとうございました。  最後の部会をどのタイミングで開くかということについて、事務局から回答をお願い します。一応、専門委員会の報告がまとまって、パブリック・コメントを出す。パブリ ック・コメントが戻ってきて専門委員会報告がまとまる。今のスケジュールだと、この 後に部会を開いて専門委員会報告を議論していただいて、一般的に言うと、その結果を もう一回パブリック・コメントを出して、またということにもなりかねないのでという 御趣旨だと思いますが。 ○岸部水道水質管理官  わかりました。その意味では、部会が必要だと今御指摘をいただきましたが、これは 本部会でお決めいただいて必要だと言っていただければ、事務的な準備をさせていただ きたいと思います。 ○眞柄部会長  私も部会委員の御賛同が得られれば、専門委員会報告がまとまってパブリック・コメ ントを出す前に、部会でもう一度練っていただきまして、といいますのは、今日の段階 でもお気づきになったと思いますが、従来の水質基準の枠組みとかなり違ってまいりま すので、専門委員会報告の案がまとまった段階で部会を開催させていただきまして、部 会の委員から御意見をいただいて、それを再度取りまとめた形の案をつくってパブリッ ク・コメントに出すというようなことを考えさせていただきたいと思いますので、水道 課の方ともう少し相談させていただきたいと思います。  それ以外に、何かございますか。 ○松井委員  水質検査の技術革新の問題をここで触れられていましたね。これは非常に重要で、こ のことはコスト整備の問題にも勿論なるし、それから、問題となっている農薬の全部の 項目はできないけれども、どうやってそれに対して機動的にやるかということと密接に 関係すると思うんです。ここで、非常に悩ましいのは、いわゆる公定検査法を義務付け ますと、検査手順が全部決まって固定されてしまいます。ところが、現実には分析技術 がどんどん進歩しています。そういうところから、ちょっと御提案があるんですけれど も、農薬について公定法で測らなければならないというのが現実にあるし、それを増や す覚悟になるだろうと。だけれども、同時に、例えば先ほどありました外注、検査機関 に任せますと、検査機関が優秀な機関を持っておりますと当然一斉に測れて、かなりの 部分がカバーできますね。それは、いわゆる基準ではないけれども、こういう農薬が使 われていますよという程度の情報を常に開示するというやり方ならば、先ほどおっしゃ ったように、上流側の農薬を使っている農業者の人に喚起するという意味で、私はそう いう働きができると思うんですよ。  一方で、この技術革新という問題は物すごく大事でありまして、島津製作所のノーベ ル賞を受賞された田中さんではないですけれども、日本の分析会社をもっと後押ししな いと常に負けているんですよ。なぜかというと、結局こういう機関を使わないから公定 法で決めてしまって、古いクラシックな方法しかだめだと。新しい技術が出てもそれを 適用しないわけですね。それで負けてしまっているんですよ。環境とか水の問題は物す ごく大事ですから、当然、日本の技術をどんどん後押しするという意味も含めて、まさ にここに書いてあるように、弾力的な技術革新を取りながらやっていくということを考 えていかなければいけないと思うんです。 ○安藤委員  全くそのとおりですし、反論する何ものもないんですが、現在の水質検査というのは 確かに部長通知という形、これは、なぜそういうふうになったかといいますと、小回り がきく体制にしたいということでそうなっているわけですね。つまり、技術革新に伴っ てすぐ試験法を変えたいということでなってきたということなんだと思います。これか ら省令法という形で1つの固まりができてしまうということになると思いますから、当 然我々はそれで新しい技術というものを今回盛り込もうということでやっているわけで すが、それだけではやはり不足するだろうと。どんどん進歩するということから、そう ではないものをどうやって担保しようか、そのシステムをつくらないとまずいなという ことで、ここに2〜3行書かせていただいたということでございます。全くおっしゃる とおりかと思います。 ○原委員  さっき私は次回以降と申し上げたんですが、佐々木委員の方からパブリック・コメン トの前にこの部会を開けという話がありましたが、まさにその点に関してなんですが、 私どもも水循環の中の一端を担っているわけでございますので、部会をやる前にできる だけ早目にこういう資料をお渡しいただいて、事前に勉強させていただくということが どうしても必要になるだろうと思います。是非よろしくお願いいたします。  それから、もう一つ、佐々木委員のおっしゃった点で、水道栓の切り口でしか見てい ないのはおかしいではないかという話で、資料の中に世界水フォーラムの話も入ってお りましたが、原水を採る位置の問題、よく金町浄水場の問題が出ますが、そういう水資 源全体の中で、水道の栓の出口のところで切り取って物事を見ていく、その観点から、 原水を採るあるいは全地球的な水循環の中でどういうことをやっていくのかということ も、考えていかなければならない部分だろうと思うんです。東京で言えば、東半分と西 半分でコーヒーの味が違うという話がありまして、我々の業界でもそういう関心がある わけなんです。後で御説明があるのかなと思って言わなかったんですが、世界水フォー ラムについて、プライシングの話が随分OECDなどでは話題になっているようなんですが 、その辺も含めて世界水フォーラムで、水道という観点から見てどういう議論がなされ ているのか、これからどういう議論を仕掛けていくおつもりなのかという点について、 御紹介をいただければと思います。 ○眞柄部会長  では、水フォーラムのことについては、後ほど事務局から御報告いただくことにした いと思います。 ○佐野委員  すみません、よろしいですか。規制緩和が進む中で、今回登録制になりますと事業者 同士が競争することになりますね。うまく競争が働けばいいんですけれども、果たして そうなるかどうかというのはきちんと監視する必要があるし、何か起きた場合に、その 人たちをどうするのか、登録を抹消するのか、そこまできちんとやっていただきたい。  それから、HACCPはいいことですけれども、雪印乳業はHACCPをやっていたのにあれだ けの事件を起こしました。ですから、登録するだけではなくてやはり中身をきちんと見 ていかないと、幾らシステムばかりつくっても何もならないというところを一つ検討し ていただきたいと思います。 ○眞柄部会長  ありがとうございます。  それでは、先ほど原委員がおっしゃられた原水の関係については、とりあえずは今日 の議題であります水質管理専門委員会のこととは関係はしておりますけれども、主たる ものではございませんので、水道部会はある意味では継続性がある部会でございますの で、水道全体の在り方を議論する際に、そういうことも今度は議論の対象にするという ことにさせていただきたいと思います。  今日、御議論いただきました水質管理専門委員会の進捗状況について、現在専門委員 会で検討しております内容について御報告をさせていただきました。いろいろと有益な 御意見をいただきまして、ありがとうございます。基本的に要するに、水質基準の在り 方を従来の一律的なものから地域や水道事業体の特性に応じて柔軟に運用するというこ とについては、御理解をいただけたと存じます。  それから、基準の設定のことにつきましては、基本的には暴露の割合がわからないも のについては、10%とすることでいいだろうと。しかし、基準を設定する際に、例えば 農薬のように流域で使用されている化学物質、そして、それが水道原水に入り、処理の 過程をすり抜けて浄水に入るようなものについては、どのような基準と監視の体制を整 えるべきかということについては、もう少し検討するようにという御意見をいただいた というふうに考えております。  それから、34条の登録機関あるいは水質試験の20条の指定検査機関が登録制度に変わ ることに伴って、どういう事象が発生する可能性があるか。そして、その登録された機 関の行っていることをどうチェックしていくかということについても議論をするべきで あるという御意見をいただいたと存じます。  専門委員会の委員長の立場として、これまでの議論の過程では、ISOやGLPのル ールを参考にして、水道事業体が行っている水質管理あるいは検査機関の検査の業務の 一つ一つについてドキュメント化をして、そして、ユーザーから公開を求められたとき に公開できるような制度を確立したいというふうに考えて作業をしてまいりました。今 日もそういう点について、もう少し明確にするようにという御指摘をいただきましたの で、専門委員会の報告書には、要するに、アカウンタビリティをどう確保するかという ことについて報告書の案の中に盛り込むよう努力をしたいと考えておりますので、御理 解いただきたいと思います。 ○岸部水道水質管理官  1点だけ補足させていただきます。先ほどの登録制度の関係でございますけれども、 佐々木先生から御指摘のありました登録制度への移行が前提のような書きぶりでござい ますけれども、これは御説明が遅くなりましたが、昨年度末、今年3月の閣議決定の中 で、政府でこれこれの項目については登録制度に移行すると。その上で、法改正をした 上で移行するということが前提にあったものでございますので、そういった形になった ろうかと思います。  それから、あとその改正につきましては、次期通常国会での登録制度への改正という ことが予定されております。  それから、佐野委員からお話がありましたとおり、登録基準の明確化、それから、そ の登録の取消し基準、あとは登録後の報告調査、立入検査というのがシステム的に仕組 まれることになろうかというふうに思っております。  以上、御説明でございます。 ○眞柄部会長  それでは、その他で、参考資料が幾つか御準備をされております。先ほど原委員から は、水フォーラムの関係のことについて御質問もございましたので、それも含めて参考 資料等について事務局から御説明ください。お願いします。 ○谷津水道課長  それでは、私の方からかいつまんで御説明を申し上げます。  まず、参考資料1でございますが、これまで水資源開発公団と呼ばれておりました特殊 法人がございますけれども、大都市圏の水道水源として所要の事業をやっておる機関で ありますが、それが特殊法人の整理合理化という中で、独立行政法人化するという動き がございまして、先ごろ独立行政法人水資源機構法が成立いたしまして、来年10月以降 、独法化が実現されるということになりました。  ポイントでございますが、1ページの四「業務の範囲」の(1)をごらんいただきますと 「水資源の開発又は利用のための施設の新築(水の供給量を増大させないものに限る。 )」ということで、新規の水源開発は、この独法の下で行わないということが法律的に 明定されております。  次に、参考資料2でございますが、平成15年度の水道関係予算の御報告でございます 。これは、あと30分後ぐらいに内示がされるということでございますので、予算要求は 過去の話になりつつあるわけですが、1番目の「概算要求の内容」というところをごら んいただきますと、まず「水道施設の整備」ということで、水道施設整備費が公共事業 の予算の範疇で実施をされております。区分のところに水道施設整備費、簡易水道、上 水道とございまして、平成14年度が1,550億円余り。これに対して要求額として1,800億 円余り。対前年度伸び率で116.4%という予算を財務省に対して要求いたしております。  2番目で「水道水源水質対策の推進」ということでありますが、大きく水道関係の予 算は公共事業費と非公共事業費に分かれておりまして、2番目はいわゆる行政経費のよ うなものでございます。1番目が、未規制物質等基準化の検討ということでございます 。この審議会の御答申を踏まえて、Rolling Revisionということで、機動的にこれから 水質管理を進めていくと。その基礎になる予算であります。  水道水源の水質保全対策につきましても、所要の予算化をしてございます。  5番目でございますが、厚生科学研究費補助金をちょうだいいたしまして、先ほど御 指摘のございました健全な水循環という観点での研究を進めるということにしてござい ます。  1枚開けていただきまして、厚生労働省分の予算ということになりますが、冒頭、簡 易水道の整備近代化ということで、まだ未普及地域が残っておりますし、施設の老朽化 も進んでいるということで所要の予算。  2つ目の四角で「安全で安心できる生活を支える水道の整備」ということで、高度浄 水処理施設の整備推進に取り組んでいるというわけであります。  3ページの一番上の(2)をごらんいただきますと、先ほど水質管理のための水質検査の 初期投資はどういう形でやっていくのかということでありますが、この公共事業費の補 助制度の中で、複数の事業体が共同で水質検査を行うというための施設整備という点に つきましては、所要の予算措置をしておるところであります。  それと地震・渇水対策ということが柱になっております。  以上が予算でありまして、次に参考資料3であります。来年4月から鉛について水質基 準が施行されるということになっております。これに伴いまして参考資料3は、水道施 設の技術的基準ということで、鉛に関する所要の基準を定めて省令を整備したというこ とであります。  2「改正の概要」のところをごらんいただきますと、薬品等に含まれるケースも想定 されるわけでございまして、薬品等によって付加される物質のケース、それと、水道用 資機材から溶出するという場合の基準というものを定めたわけであります。  次に、参考資料4でございますが、給水装置の構造及び材質の基準というものも省令 で定めておりまして、これも末端の給水装置で鉛を含むようなケースも実際にございま すので、そういったものに対応するための基準を設定したというわけであります。  ちょっと足早で恐縮でございますが、参考資料5をごらんいただきますと、平成14年 度の水道事業者等の立入検査の結果であります。規制緩和の中であるいは地方分権の中 で、水道の認可権限あるいは機関委任事務の廃止というものがございまして、厚生労働 大臣が直接認可を行うという事業体が全国で約500弱ございますが、その事業体につきま しては、厚生労働省が直接立入検査をするというような仕組みになってございます。  2のところでありますが、年間の計画という中で、おおむね5年間ですべて立入検査 を一巡させようという前提で進めております。  5番目に対象事業者数の表が出てまいりますが、平成14年11月の時点で対象事業者470 ございます。今年度は104事業者について立入りを実施したというわけであります。  結果の概要が2ページ目に表になって出てまいりますが、立入りをいたしました104の 事業体のうち47の事業体につきましては、文書でもって改善の指導を行っております。 指導の内容につきましては、認可手続あるいは布設工事の監督、水道技術管理者の業務 について、あるいは水質検査について、健康診断、衛生上の措置、その他というかなり の率で指導を要しておるというのが実態であります。  これにつきましては、改善の措置の報告を求めて実際に措置が講じられておるという ことであります。  最後のポイントでありますが、先ほど御指摘いただきました第3回世界水フォーラム について御説明を申し上げます。参考資料6の1のところでございますが、この水フォ ーラムというのは世界水会議の提唱によりまして3年に1度ということで、来年3月、 京都を中心に滋賀県から大阪に至る琵琶湖・淀川流域で開催されるということになって おります。  2行目の後半から『一般市民、NGO、学識経験者、企業、行政担当者などが集まっ て議論を行う「フォーラム」』とありますが、これは非常にさまざまな利害関係者が集 まった議論の場というものでございまして、もう一つが、関係国政府の閣僚等が討議を する閣僚級の国際会議、これが2つ目でございまして、これは政府間の会合でございま すので、私ども参画しながら今準備を進めております。  3番目が展示会・イベント、水のえんという3つの大きなイベントの固まりがござい ます。  1枚開けていただきまして、「21世紀は水の世紀」などという言葉がよく言われてお りますけれども、国際的な水関係の動きを振り返ってみますと、1977年アルゼンチンの マルデラプラタ国連水会議を皮切りに、1992年のダブリンなどが開かれて、今年ヨハネ スブルクで国連のサミットが開かれたというのは御案内のとおりであります。1992年以 降1997年の第1回、2000年の第2回という形でフォーラムが開催されておりまして、そ ういう流れで第3回。したがって、全体の流れを振り返ってみますと、今回のフォーラ ムの1つのテーマは、ヨハネスブルクサミットをどういう形でフォローアップして、こ れを具体的な行動に移すかということでございます。  4ページ目に全体のスケジュールが示されてございます。水については、テーマのと ころをごらんいただきますと、16日、17日、京都というところで、上から2つ目に水供 給、衛生、水質汚染という枠がございます。ここが主要な討議の場ということでござい まして、水道関係でも水道技術研究センターあるいは保健医療科学院が主催する会議が 予定されております。  それと、水と自然などがございますし、21日のところをごらんいただきますと、水施 設への資金調達で、先ほど御議論がございましたプライシングなどの議論もされる予定 になってございます。プライシングにつきましては、基本的にはフルコスト・プライシ ングという議論が国際的にやられているんですが、そうなった場合に、補助制度という のをどういうふうに位置付けるかという辺りがポイントになってまいります。  閣僚会議は下の方から2番目の枠ですが、22日、23日の土日に京都で開催されるとい うことになっております。  5ページをごらんいただきますと関係省庁の名簿ということで、実は非常に幅が広い ということで、9省庁体制で今取り組んでおります。  6ページでございますが、先ほどのそれぞれの利害関係者が集まったフォーラムでご ざいますけれども、橋本元総理を会長にそれぞれの代表者にお集まりいただきましたよ うな実行委員会が結成されておりまして、これも今週にも実行委員会が開かれたという ことで、活発に今、準備が進められているということであります。  以上でございます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。  一連の資料の説明をいただきましたが、どれについてでも結構でございます。御質問 や御要望がございましたら、どうぞお出しください。 ○大井田委員  8月1日前後のマスコミ報道で、この部会が結論を出す前に決まったような報道が幾 つか見受けられたんですけれども、それは事務局に言ってもしようがないことなんです が、よく読むと何となくごまかしているというか、あたかも規制緩和が全部決まってい てこうなりますという感じが見受けられたんですけれども、これはちょっと感想だけ。 答えを求めるわけではないです。結論が出るには順序があるような気がするんだけれど もと思いました。 ○谷津水道課長  一言だけ言いますと、政策決定プロセスの透明化とか公開という議論がございますの で、この審議会も公開の中で開かせていただいておりますので、いろいろな受け取り方 が出てくるというのはある程度避けられないということもあろうかと思いますが、そこ は私どもも注意できる範囲でやらせていただきます。 ○眞柄部会長  ほかにございますか。 ○佐野委員  この水道事業者の立入検査というのは、104事業者のうち文書指導47事業というのはす ごい率だと思うんですけれども、これは通常こうなんですか。これで規制緩和して大丈 夫なんですかというのが疑問になってきたんですが。 ○谷津水道課長  これは基本的に規制緩和とは直接はリンクしていなくて、むしろ国が直接立ち入って すべてをチェックするという仕組みは今現にあるわけで、これを緩和しようとしている わけではございませんので。 ○佐野委員  私が言っている意味は、実際今でさえこれなのに登録制になったらもっと入り口の幅 が広くなりますよね。事業者の数も多くなるし、競争ができる。そういうことをやって こんなに率が悪いのに大丈夫なんですか。 ○谷津水道課長  これは、いわゆる水道局を立入りしておりまして、先ほどの登録という議論は水質検 査機関の議論ですので、ちょっと相手が違っておりますので、そこだけ御確認をいただ きたいと思います。 ○佐野委員  でも、水道事業というのは、この程度というのは申し訳ないですけれども、毎年こう いう感じなんですか。指導なさっている率というのは。 ○谷津水道課長  こういう形でやり始めたのは最近のことでございますので、私どももこの結果につき ましては、それなりに注意を今後要するのではないかというふうに考えておりまして、 結果も含めて厚生労働省の水道課のWebサイトにこういうデータを公表しまして、全 国の事業体なりあるいはこれは1万1,000ある水道事業体のうちの四百幾つかということ でございますので、大部分の水道事業体の立入検査なり管理の状態というのは、地方分 権の結果、都道府県に委ねられていると。したがって、都道府県の水道担当部局の注意 も併せて喚起をさせていただきながら、今後、管理レベルの向上に取り組んでいきたい というふうに考えております。 ○眞柄部会長  ほかにございますか。 ○大井田委員  柔軟な運用というのは非常にいいことだと思うんですけれども、過ぎてはよくないの ではないかということだけ一言。 ○眞柄部会長  いろいろありがとうございました。  委員長ですけれども、一言口を挟ませていただきます。今の立入検査についても、そ れから、今、大井田さんが言われた柔軟な運用についても、言うなれば民間の企業がお やりになっていらっしゃるように、株主総会で株主に行っている事業を正しく説明でき るような資料の準備が、これまでされてこなかったということだと思います。柔軟な運 用ということは、いかなる理由によって柔軟な運用を行えるようにしたかというドキュ メント、エビデンスがないとできないというのが、先ほど担当からお話があったと思い ますが、まさにこれまでは、例えば水質検査の機関で、指定検査機関ですから、指定さ れたらもう終わりなんですね。あとは何をやってもという感じだったわけです。ところ が、登録制度になったり、あるいはISOになったりすると、毎年1回必ず第三者のチ ェックが入る。それで、きちんとやっているということが見えるようになる。私は、そ れが大事だと思っていまして、だから、柔軟な運用というのは、もういいよというわけ ではなくて。 ○大井田委員  言葉は悪かったですけれども、根拠に基づいた運用と。 ○眞柄部会長  だから、そういう意味で、参考資料5のところで事業者の立入検査をして、こんな結 果だったということではありますが、こんなことを言うのはあれですが言いましょう。 要するに、時代遅れだと。 ○遠藤委員  今の関係で、事業体の立場からも若干説明しておいた方がいいと思いますが、全体470 のうちで水質問題が一割の47もあったというふうにはとらえないでいただきたいという ことです。現場サイドから申しあげますと、原水がいいところは多分それほど心配する ことはないだろうということで、安易に流れるケースがあるし立入検査の指摘は事業運 営全体に及んでいます。原水が悪い、例えば下流にあたる都市部で、こんなことをやっ ていたら住民の要請に対応できません。今の住民は飲んだときの味がおかしいとか、に おいがするというとすぐに苦情の電話をよこしますし、新聞等のニュースにもとりあげ られます。立入検査の指摘が、全て水質に問題があるというような誤解をされないよう にお願いします。 ○眞柄部会長  だから、いいというわけではないんだから。 ○遠藤委員  それはそうですけれども、一般的な傾向ですね。 ○眞柄部会長  だから、こういうところが逆に言えば省略してもいいとか、そういうことがこれまで の制度では許されていなかったから、今度はそれを、大井田先生が言われた柔軟な対応 ができるようにと。 ○松井委員  すみません、前のとき発言するべきだったんですけれども、今日、委員の方でお医者 さんがおられますから是非ともお聞きしたいんですが、心配しますのは、微生物の基準 の中で抗生物質耐性菌の問題が全然出てこないんですね。この点はどうなるのかと。お 医者さんの方が逆に抗生物質を使い過ぎて問題を起こしているとか、あるいはそれこそ 畜産関係でかなりの抗生物質を日本では使っていますね。ところが、ヨーロッパでは畜 産関係の抗生物質はやめ始めました。そういう意味で、農業関係の方でまさにレスポン シブル・ケアをやっているわけです。この点は、今回は全然文章では出てこないので、 恐らく作業部会で議論されてきていると思いますので、発言だけさせていただきます。 ○眞柄部会長  ありがとうございました。お話はよくわかっておりますので。しかし、抗生物質の話 はあるかもしれませんが、お医者さんは再研修をやっているんですよ。でも、水道事業 の技術管理者は再研修が公式にはないですからね。だから、例えば、技術士も最近は研 修の履歴を出さないといけないでしょう。だから、そういう意味では、これからこうい う水道の分野でも、やはり技術者の再研修だとか技術管理者の再研修だとか、あるいは ISOで事業がきちんと行われているかどうかというのは第三者が入って助言をすると か、そういうのがやはり必要なんですよ。 ○松井委員  ちょっといい機会だったので、質問させていただきました。 ○眞柄部会長  でも、抗生物質耐性菌だけれども、それが塩素で耐性があるとは限らないですよね。 だから、むしろ水道にとって問題なのは、塩素に耐性があるクリプトだとか、幸いにし て症例が1年に1例あるかないかのアメーバの問題だとか、そういうことの方がむしろ 問題で、でも、安心して飲んでもらえる水道水を皆さん方でどうしたらいいか、また、 次回も御審議いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、今日はどうもありがとうございました。                                     −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)