02/12/13 第12回社会保障審議会年金部会議事録              第12回社会保障審議会年金部会                    議事録                平成14年12月13日 第12回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成14年12月13日(金) 13:30〜15:35 場所  :日本都市センター会館五階「オリオン」 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大山委員、翁委員、      小島委員、近藤委員、杉山委員、堀委員、山口委員、山崎委員、若杉委員、      渡辺委員 ○ 高橋総務課長  ただいまより、第12回社会保障審議会年金部会を開会いたします。  まだ、杉山委員はお見えになっておりませんが、追ってお見えになるかと存じます。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか、次のとおりでございます。  資料1、年金制度改正に係るこれまでの意見の整理。これは前回、前々回の議論を踏 まえた資料でございますが、委員の皆様のご意見の整理につきましては、当部会で前 回、前々回で議論していただいておりますけれども、前回のご指摘を踏まえた修正を加 えまして、最終的にお手元の資料のとおり、まとめてございます。  資料2−1、年金改革の骨格に関する方向性と論点について、これは1枚紙の横長の 大きい紙でございます。  資料2−2、横長のもので、年金改革の骨格に関する方向性と論点(要約)というも のでございます。  資料2−3、年金改革の骨格に関する方向性と論点。これが本文でございますが、そ の前のものは、要約とさらにポイントを書いたものでございます。  このほか、参考資料として、第10回及び第11回年金部会の議事録をお配りしておりま す。  さらに本日ご欠席の大澤委員、岡本委員及び矢野委員よりご意見をいただいておりま すので、委員の皆様に追加で配布をいたしております。後ほどご紹介申し上げたいと思 います。  委員の出欠の状況でございますが、ただいま申し上げましたとおり、本日は大澤委 員、岡本委員、矢野委員がご都合によりご欠席とのことでございます。ご出席いただい ております委員の皆様方は定員の三分の一を超えておりますので、会議は成立いたして おります。  それでは、以降の進行につきましては、部会長にお願い申し上げます。 ○ 宮島部会長  本年もはや師走でございまして、委員の皆さん走り回っておられることと思います。 大変お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。  改めて申し上げる必要もないと思いますけれども、次期年金制度改正に向けまして、 皆様方からいただきました論点の整理を踏まえながら、厚生労働省が議論のたたき台と して作成、既に今月5日にも公表されております「年金改革の骨格に関する方向性と論 点」につきまして、本日はそれを議題といたしまして意見交換を行いたいと考えており ます。本日はそういうことで、この「年金改革の骨格に関係する方向性と論点」につい て事務局からまずご説明いただきます。少し丁寧にということで、お願いしております ので小1時間かかるのではないかと考えております。もし早めに終わりましたら若干休 憩をとりますが、今日は2時間の会議でございますので、場合によっては休憩はとらず そのまま時間までその説明をめぐって議論をしていただくことになると思います。  それでは、事務局の年金課長からご説明いただくということでございますので、よろ しくお願いいたします。 ○ 木倉年金課長  それでは、資料の説明をさせていただきます。座ったままで失礼いたします。  資料は3点でございまして、資料2−1、2−2、2−3でございますけれども、本 体はこの冊子になっております資料2−3でございます。後ほどこの資料を少しお時間 いただきまして丁寧に見ていただきたいと思っております。その前に、この1枚紙でご ざいますけれども、広げていただきますと、A3の大きい紙でございますが、これが方 向性と論点に盛り込んでおります事項につきまして簡単に掲げております。どういうも のを入れているかだけもう一度ご覧いただきたいと思うのですが、左の上の方に、次の 16年の改革に向けての基本的視点を挙げております。  それから、前回改正以降の課題であります国庫負担問題等の特に取り組むべき課題を 挙げております。  それから左下の方でございますが、骨格に関する基本的なものとして体系論を挙げて おります。現行の制度体系の考え方、及びそれに対する各方面での議論についての論点 を挙げさせていただいております。  それから、右の方でございますけれども、これは給付と負担のバランスのとり方とい うことでございまして、これまでのようなやり方と新しいご提案のようなやり方につい て整理をさせていただいております。本文では、特にこの部分についていろいろ前提を 置いた試算を掲げさせていただいています。  それから、右の中ほどの方で、現在受給していらっしゃる方々の年金の取扱いについ てどう考えるか。  (4)で、給付と負担の関係を分かりやすい制度にしていくためにどういうことを考 えていくのか。  (5)といたしまして、少子化、女性の社会進出、就業形態の変化に対する対応とし てどういうことを考えていくか。  骨格に関する事項ということで、主にこのようなものを掲げさせていただいていると いうことでございます。  エッセンスは要約の方に掲げておりますが、少しお時間を今日いただいておりますの で、本文の方に沿いましてご説明をさせていただければと思っております。 ○ 宮島部会長  その前に、年金課長、この横長のもので、色分けがしてありますが、それの趣旨につ いてお願いします。 ○ 木倉年金課長  横長の、特に右側の方の色分けの部分でございますけれども、給付と負担のバランス のとり方ということで、青と青を対応させておりまして、これまでの方式、5年ごとの 財政再計算の際に給付も保険料もその都度見直していくやり方が青で、特にI−1の方 についてはいくつかの試算を載せさせていただいております。  それから、オレンジの方は新しい方式になっているところです。  そういう対応で掲げさせていただいておりまして、中身はまた本文の方でご説明いた します。 ○ 宮島部会長  わかりました。 ○ 木倉年金課長  冊子でございますけれども、これは前半が本文編でございます。中ほど以降は本文に も載せているものも含めまして多様な試算を挙げております。また、試算の考え方、そ もそも試算をどういうふうにやっているのかという考え方をつけておりまして、最後の 部分には比較対照していただきます場合の基準となるケースをいくつか挙げているので すが、その基準のケースにつきましての、厚生年金、国民年金の将来財政見通しを掲げ ている、このような構成にさせていただいております。  それでは、前半の方をおめくりいただきまして、最初の部分でございますが、1ペー ジといたしまして、今回の骨格に関する方向性と論点は、次の財政再計算の16年の年金 改革に向けまして、あと1年あるわけではございますが、これまでご議論いただいてお ります各方面の議論を参考に厚生労働省におきまして、骨格に関して今後ご議論いただ く際のたたき台としてまとめさせていただいたものでございます。論点ごとに必要な部 分には選択肢という形で示しながら、試算も示すべきところは示しながら、今後の議論 の参考としてお使いいただきたいということでつくらせていただきました。  お開きいただきまして、4ページ、5ページから始まっております。4ページあたり には、今の年金制度に対します状況の説明をさせていただいておりますが、特に5ペー ジの方の下から、今回の改革の基本的視点を挙げさせていただいております。(1)、 (2)、(3)、(4)と(5)と5点挙げております。  まず、最初の(1)、若い世代を中心とした現役世代の年金制度に対する不安感、不信 感を解消していくことが必要ではないか。  (2)といたしまして、少子化の進行等の社会経済情勢の変動に対し、柔軟に対応で き、かつ恒久的に安定した制度としていくということが必要ではないかという点。  (3)として、現役世代の保険料負担が過大にならないよう配慮することに重点を置き つつ、給付水準と現役世代の保険料負担をバランスのとれたものとしていくことが必要 ではないかという点。  (4)、現役世代が将来の自らの給付を実感できる分かりやすい制度としていくことが 必要ではないかという点。  (5)、少子化、女性の社会進出、就業形態の多様化等の社会経済の変化に的確に対応 できるものとすることという点。  基本的にこれまでご議論いただいた点ですが、こういう点を定性的な改革の視点とし て挙げさせていただいています。  その上で、特に前回からの課題であります点、2点を具体的に挙げさせていただいて おります。まず基礎年金国庫負担の1/2への引上げの必要性と、保険料引上げは今現 在凍結されていますが、その凍結の解除でございます。これは前回の改正法の中におき ましても、附則の方で、安定した財源を確保して、基礎年金国庫負担1/2への引上げ を図るという規定を置いていただいておるわけでございますけれども、これにつきまし ても、今回の改正の中で、具体的なものとして改正を行っていくことが不可欠なことで あると挙げさせていただています。前後しますが、それとともに、保険料水準、前回改 正の際に、社会経済状況にかんがみまして、凍結ということで、当分の間、17.35% な り、13,300 円という規定のままでございますが、これを計画的に引き上げていくこと のご理解が必要ではないかという点を挙げさせていただいております。  その上でございますが、少しお進みいただきまして、8ページから、年金制度の体系 について論点を紹介をさせていただいております。  まず現行体系の紹介をさせていただいております。我が国の現在の体系は、まず国民 年金が自営業者のほか、無職者も含めて、サラリーマンの加入する厚生年金に入らない 方々すべてを対象として、それで国民皆年金体制をとっているということでございま す。この考え方は基本的に今後とも堅持することが必要であるということでございま す。  それから、次の「○」でございますけれども、一人一人が保険料を納めて自助努力を 果たしながら支えていく社会保険方式をとっているということで、これが自律と自助の 精神に立脚した方式ということではないだろうかということを挙げさせております。  その次は、自営業の方々とサラリーマンの方々との違いの点でございますが、就業や 稼得の態様の違いがある、高齢期の所得保障の必要性に違いがあるということから、1 階に共通の基礎年金を設けつつも2階の所得比例はサラリーマングループで組み立てて いるという仕組みになっています。  次に各方面でご指摘のある考え方を整理をさせていただいておりますが、まず基礎年 金を税方式とする考え方についてでございますけれども、現在の拠出制の仕組みに対し まして、基礎年金についてはすべての高齢者に普遍的に基礎的なものを賄うということ で、税財源で無拠出の給付が行われる税方式にしていってはどうかという考え方があり ます。この点について、未加入・未納問題等々を解決できる利点があるということでは ございますが、一方で、論議をしなければいけない点があります。まず現役時代の就労 などと関わりなく一定額の年金が保障される仕組みになりますと、このような仕組みが 自律自助の精神に立脚した我が国の経済社会全体の在り方との整合性がとれるかどうか という問題。あるいは巨額の税財源の確保が必要でございますけれども、給付と負担が 連動してない仕組みの下で、その税の引上げについて合意が得られるかどうかという問 題。あるいは所得制限、今のいろいろなそういう税を用います制度には所得制限が必ず ついておりますが、年金にもその所得制限が不可避になって、結果として資産要件等が 厳しく加味された「第2の生活保護」になってしまい、現役世代の生活水準を大きく低 下させないという年金の趣旨に合致しなくなるのではないだろうかという点も挙げさせ ていただいています。  それから、これまで95%の方々は保険料負担をしていただいているわけでございます が、この保険料をきちんと払った方々に対しましての公平性ということを考えますと、 これまでの納付実績をどのように評価し、どのような給付の形をとっていくのか、そう いう経過的な問題もあるのではないかということも挙げさせていただいております。こ のような点について、十分総合的な議論を行っていく必要があるということでございま す。  次でございますが、公的年金としましては定額年金のみにし、その上乗せ部分につき ましては、企業年金や確定拠出等の私的年金で対応していってはどうかといった考え方 があることをご紹介させていただいております。  この点につきましては、現役世代の所得に関係のない定額の保障のみということに なった場合に、今の老後の生活水準を大きく低下させないための年金という趣旨から見 まして、特にサラリーマン層について、十分な所得保障機能を果たせなくなるのではな いかという問題があるのではないか。その辺の議論が必要ということを挙げさせていた だいております。  次に、一本の社会保険方式、スウェーデンのような所得比例の一本の形にして、それ と補足的な給付を組み合わせてはどうかという考え方についてご紹介させていただいて おります。背景といたしましては、就業形態の多様化等でサラリーマンと自営業者等を 明確に区分できなくなっているのではないか、そういう中で一本の制度体系を考えては どうかということでございますが、サラリーマン、自営業者等のグループを区別せずに 一つの体系にし、税財源を用いずに純粋な所得比例の形、次のページに白い三角の部分 でございますが、こういう形にした上で、無所得・低所得の方々に無拠出制の補足給付 を行うということが考えられると。スウェーデンは99年改正でこのようなことを行って きているということでございます。  この考え方につきましては、次の「○」でございますけれども、就業の実態、あるい は自営業、サラリーマンの稼得の態様の違い、高齢期になってからの所得保障の必要性 の違い等の問題。それから、まずもって所得把握がきちんとできて、本当に所得比例の 形での負担能力に応じた給付ができるのかどうかという公平性の問題があるのではない かということで、現時点におきましては、直ちに我が国においてこの一本の体系に移行 していくことには困難があるのではないかということを挙げさせていただいておりま す。  また、定額の基礎年金に所得比例年金をつけるという今の形と異なって、一律の所得 比例年金のみでは所得再分配効果が全くなくなってしまう。この辺のところをどう考え るのか。あるいは税財源で行っている補足給付の部分ですが、無拠出制の補足給付を導 入する場合に、その支給要件、給付水準の考え方等についてどう考えていくのか。生活 保護との関係が出てまいりますが、それをどのように考えていくのかということがある ということでございまして、このような点につきまして、引き続き十分な議論をしてい く必要があるのではないかということを挙げさせていただいております。  右の11ページでございますが、このような議論の中で、あと1年に迫っております今 回の改正につきまして、基本的考え方としましては、社会保険方式に基づく現行の体系 を基本としながら、改革を次のように考えて行うべきではないだろうかということを挙 げさせていただいています。  改革に当たりましては、まずもって課題になっております国庫負担を1/2に引き上 げていく。それとともに保険料をきちんとお納めいただくということで、納付しやすい 環境、徹底した収納対策を図りながら、制度安を定化させていくことが必要ではない か。  それから、所得把握がなかなかしっかりとできないという問題から、国民年金部分に ついて定額保険料、定額給付となっておりますが、これからさらに保険料水準の引き上 げがある中では、負担の限界、抵抗感の高まりということに対応して、今得られており ます税情報等の前提の下においても多段階免除の導入等の検討が必要ではないかという ことを挙げております。  そういうようなことで、一番下の方でございますが、次期制度改革に向けましては、 今の制度体系の下であっても、安定した制度とする措置を講じながら、さらにきちんと 所得把握をできることが前提ではありますが、それを前提とした所得比例構造に基づく 一本の社会保険方式、そういうふうな制度の導入等を含めて、今後さらに議論を進めて いくことが必要ではないかということを挙げさせていただいています。  以上が体系論の部分でございます。  次のページ、12ページには、現在の賦課方式の原則、あるいは積立金を保有して将来 は運用収入でピーク時の保険料収入を抑制していく考え方、あるいは給付建ての賦課方 式を基本としている考え方等について述べさせていただいております。  次に13ページからでございますが、ここからは給付と負担のバランスのものにつきま して考え方を整理させていただいております。  まず現在の年金の水準につきまして、13ページに付けておりますように、現役世代の 方々の平均、ボーナス込みで手取り月40万1,000 円程度に対しまして、今のモデル年金 の水準は23.8万円という約60%(59%)に設定されています。これが平均的な60歳(妻 )、65歳以上(夫)のような夫婦世帯の支出の平均的な消費の水準、それを概ねカバー をしている。この年金の水準をどう考えるのかということを挙げております。  なお、14ページには、ご指摘がありましたように、そういうモデルだけで見るのでは なくて、特に単身女性の方々の年金給付の水準については、賃金の低さ、厚生年金の期 間の短さを反映しての低い方がいらっしゃることを十分留意する必要があるということ を挙げさせていただいております。  その次に、14ページから15ページにかけましては、現役世代の生計費とのバランスか ら年金をどう見ていくのかということを挙げさせていただいております。これもかつて ご覧いただいた資料ですが、15ページ上の方の棒グラフでございますが、一番上が妻60 歳、夫65歳以上の夫婦の方でありまして、その次が50代、その次が40代、その次が30代 ということでございます。左の方から税、社会保険料、次が家のローン、その次が教育 費、一番右の大きいオレンジの部分がそれ以外の消費支出ということでございまして、 括弧内は1人当たりに換算をしているものでございます。これを見ていただきますと、 一番上の高齢者夫婦世帯の消費水準、一番右の(17万円)というものは、30代、40代の 方よりも上回っている水準にあるけれども、平均値でございますが、これをどう考える のかということを挙げさせていただいております。  このような状況も踏まえながら、年金水準についてご議論をいただきたいというここ とでございます。  次に15ページの負担の水準でございます。現在の保険料負担の水準ということについ て過去からの経緯、段階保険料方式をとってきた経緯を少し紹介をさせていただいてお ります。  次のページにございますように、現実の給付に要します、その当時その当時の給付の 費用の動向も踏まえながら、平準保険料の線に対しまして、少し低めな保険料で階段を ずっと刻ませていただいて、最終的に均衡する、平準化できる水準まで上げていくとい う計画を前提に保険料を設定させていただいているということでございます。  そういう中で、16ページでございますけれども、現在の保険料凍結の解除の必要性を もう一度ご理解いただきたいということで挙げております。前回の12年の改正では、こ の段階保険料の途上でございましたけれども、当時の経済状況に配慮してその引き上げ が凍結をされたということでございます。その結果として法律上は厚生年金は現在月収 ベースで17.35 %、総報酬になりましてから13.58 %ということでそのままで規定がさ れており、国民年金も13,300 円、そのままで規定がされているという状態が続いてお ります。今後この段階保険料の下で少子・高齢化が急速に進行していく。ここに合わせ て将来の保険料負担を過度に上昇させないためには、きちんと計画的に引き上げていく 必要があるわけでございますけれども、3番目の「○」でございますが、仮にこの凍結 解除を行わずに現在の保険料水準をずっと固定をしてしまう。もう引き上げないという 前提で今の新人口対応推計で考えてみますと、給付水準を3割程度抑制してしまわなけ ればいけないというような状態になる。これは国庫負担1/2であっても、3 割程度直 ちに抑制をすることが必要になってくる。もしも国庫負担が万一1/3のままにとどま っていれば、4割程度直ちに給付を抑えなければ、制度が維持できないという状況にあ るというようなことであります。  したがいまして、保険料の引上げ計画をこれ以上遅らせることなく、次の改正のとき にはきちんと計画的に上げていくことをご理解いただきまして、凍結の解除をしていた だきたい。このご理解をお願いしたいという部分でございます。  次に17ページの方でございますが、これは基礎年金国庫負担の1/2への引上げの必 要性についてご説明させていただいております。  我が国の制度は、保険料を主要な財源としつつも、国の制度の運営に対する責任、制 度の安定性の確保、給付水準の改善、あるいは現役の方々の保険料負担への補助等の観 点から、現在基礎年金の1/3の国庫負担を行っておりますけれども、これにつきまし て、前回改正の附則で、16年の改正までの間に安定した財源を確保し、国庫負担割合の 1/2への引上げを図るものとすると明確に規定をされているわけでございまして、次 の改革の大きな課題であるわけでございます。この制度を将来にわたり安定したものに していくためには、現役世代の方々の安心感、信頼感を得ていく必要がある。あるいは これからも先ほど見ていただきましたように、段階的に引き上げるための保険料負担を 無理のないものにしていくことが必要であるということでございます。  1/2に引き上げていきますことは、これから見ていただきます給付水準をどこまで 調整しなければいけないか、あるいは保険料水準をどこまで上げていかなければいけな いか、いずれにしてもその調整なり水準のある程度の抑制を可能とする。その効果は厚 生年金はもちろん大きいものがありますが、国民年金の最終的な保険料水準の抑制にも 非常に大きな効果があるということでございまして、保険料水準を過度なものにしてい かないことを明確に示すことができるということです。  また、個人の単位で見た場合にも、期待される将来の給付に対します保険料納付の関 係、割合が大きく改善されまして、着実に保険料納付することで自分の給付が増えてい くのだということをきちんとわかっていただくことのできるものになるのではないかと いうことを挙げさせていただいております。こういうことで、特に若い世代中心に年金 制度に対する安心を持っていただく、信頼していただくということに大きく寄与するも のではないかということを述べさせていただいております。  それで今回ぜひ国庫負担1/2をお願いしたい。これは不可欠であるということのご 説明を、試算の中でも見ていただくことにしております。  一方で、この引上げのためには2004年、次の改正時点で今考えてみますと、今の割合 との差で2.7 兆円という財源が必要になってくる。2025年時点を見ますと3.8 兆円、現 在の価格でございますが、大きな財源が必要になってくるということでございまして、 この財源の確保のための方策を一体として検討していくことはもちろん必要であるとい うことを述べさせていただいております。  次、18ページ以降でございますが、最終保険料の水準について述べさせていただいて おります。厚生年金についてでございますが、前回の年金制度改正で厚生年金について 最終的な平準化した場合の保険料率を年収ベースで20%、労使半々の20%程度というこ とを前提として改正を行ったということでございます。正確には国民負担を1/2にし た場合で19.8%ということでございますけれども、こういう改正を行ったということで ございます。  既に高齢化が相当進んでおります西欧諸国でも、前回もご議論いただきましたが、20 %程度に負担の限界を設定しながら制度を安定化させる努力をしておるということでご ざいます。  それから、この保険料水準を考える際の視点といたしましては、この年金の最終保険 料の限界ということだけではなくて、税の問題、医療、介護等の社会保障の負担を合わ せた全体的な負担という観点を考えていくことが必要だということでございまして、そ ういう面からは、ご議論としては、今後医療、介護等の負担が上昇していく中では、前 回の前提であった20%をさらに下回る水準、例えば試算では18%というのを挙げさせて いただいていますが、そういうような下回る水準でとどめる必要があるのではないかと いうご指摘もある。これは試算で見ていただきますが、その分、給付水準が低くなって しまう。それをどう見るのかということをご議論いただきたいということでございま す。  新人口推計対応試算はこの春に出させていただいたものでございまして、また比較し て見ていただきますが、国庫負担1/2の場合であっても、新人口の中位推計で厚生年 金は22.4%、国民年金は21,600 円というような水準まで上がってしまう。1/3です と非常に高く上がって24.8%、29,600 円というようなことで上がってしまう。1/3 だったら不可欠でありますし、1/2の場合でも、これを何とか抑制していく必要があ るのではないかということを挙げさせていただいております。  19ページでございますが、これは保険料の段階的な引上げの計画は、先ほど見ていた だきましたが、今の考え方は2020年代、2025年以降は平準化する。我が国の高齢化が相 当高い水準で高原状態に達する2020年代以降は平準化をしていくことを前提に計画を立 ててきておりますが、これに対しまして、後の世代の負担をなるべく低く抑えていくと いう観点からは、この到達時期をもっと前倒しをして、少し早めに引上げをしていくこ とが考えられるのではないかというご指摘もあるわけでございます。その場合には早く 引き上げることによりまして最終的な保険料の水準を低く抑えることも可能である。  しかし他方で、様々な経済状況にかんがみて、少しゆっくりと引き上げていくべきで はないかというご指摘もあるかと思いますが、この場合には最終的な保険料を少し高く 引き上げるところまでいかなければ安定しないということを申し上げております。これ は試算の中で具体的に挙げさせていただいているところでございます。  それから、引上げ方につきましても、現在厚生年金はこれまで原則は5年ごと、改正 時期ごとに大きく引上げをさせていただくということでございましたけれども、これを 国民年金のように、毎年小刻みに均等に引き上げていくことの方が1回ごとの引上げ幅 を圧縮して受け入れやすいということもあるのではないかということで、この小刻みの 方を比較対照の基準に挙げながら見ていただくというやり方をとっております。  次に具体的に20ページ以降は、それではどういう考え方があり得て、どんな仮定で計 算したらどういうことになるのかということを見ていただいておりますけれども、20ペ ージの方でございますが、5年ごとに財政再計算することに給付と負担両面を見直して いくこれまでの方式をまず挙げさせていただいております。しかし、この方式につきま しては、急激に少子・高齢化が進んでいく中で毎回大きな見直しが行われるということ で保険料の水準、給付の水準も不透明ではないか、これが不安につながっているのでは ないかという批判もあるわけでございます。  この方式をとっておりますドイツでは、20%を超えていますけれども、これにつきま しても、保険料水準の引上げが困難で、専ら給付の方の見直しがされていることも見ら れるということでございます。  一方で、ご提案のあります新しい方式ということでございますが、最終的な保険料水 準をここまでと固定をして考えていってはどうかということでございます。そういう固 定された保険料の下で人口や経済の見通しが変動する場合に給付水準が自動的に調整さ れるという仕組みについてどう考えていくのかということでございます。  我が国の場合、先ほど見ていただきましたように段階保険料の途上ということであり まして、直ちに引上げを止めれば大きく給付抑制をしなければいけないということでご ざいますので、最終的な保険料をまだ上げていく必要はあるわけでございますけれど も、その最終的な保険料水準、将来の水準をきちんと示して、そこで止めるということ を法定化し、その範囲内で給付が自動的に調整される仕組みを考えていくことになるの ではないだろうかということを挙げております。  その上で、給付の面でございますが、次の「○」で、少子化あるいは経済の状況に大 きく変化が生じたときに、制度自体をその都度見直すということでなくて、自動的に社 会経済情勢の変動に応じて給付が調整されるという仕組みを考えていくことはできない だろうか。こうした考え方は社会経済情勢に柔軟に対応していくこととともに、少子化 への取組が功を奏した、あるいは経済の発展ということの努力が功を奏したというよう な、社会経済全体の努力ということを将来の給付に自動的に反映させるという意味を持 てるのではないだろうかということでございます。  なお、保険料固定方式を見ていただきますと、給付の方だけは調整されていくという ことですと、一方でどこまでを老後生活の支えとしてふさわしい価値のあるものとして 見るのかということがございますので、その給付水準の調整には一定の限界を設けて考 えることも必要ではないかということを挙げさせていただいています。  次の見出しでございますけれども、その保険料固定方式の下におきます調整の方式と して、年金のスライド率、新規裁定のときの賃金再評価、それから既裁定になってから の物価スライドの率について、それを調整するということが適切ではないかというよう なことを挙げさせていただいております。  調整の方法といたしまして、保険料を固定して直ちに給付設計そのものを変えてしま う、乗率を変えることで給付設計そのものを変えてしまうこともあり得ると思います が、そうしますと給付水準が急激に調整されてしまうおそれがある。それよりもむしろ 現役世代の保険料の負担能力の変化に合わせて、それとバランスのとれた給付水準とい うことで考えていく。それが急激な影響を国民生活に及ぼさない、時間をかけて緩やか に調整されていくことを考えれば、スライド率に調整をさせていただくということを軸 にして考えることが適切ではないかということを挙げております。  そのやり方としまして、一番下でございますが、現在の方式は、新規に年金を裁定し ますときには、厚生年金の場合ですが、過去の記録に残っております賃金につきまし て、その当時から新規裁定時までの1人当たりの平均的な賃金の何十年前からの伸びを 掛けまして賃金を再評価し、その平均値に基づいて年金額を計算している。国民年金に つきましても、国民生活の動向を踏まえて政策改定し、大体同程度に引き上げてきてい るということでございます。裁定された後の年金の動きの方は、既裁定の年金でござい ますが、前回の改正で物価の変動で見ていくということで改定をさせていただいている ところでございます。  これにつきまして、次の22ページでございますけれども、世代間扶養で賦課方式で現 役世代に保険料負担をお願いをして給付を行っていると、そういう現在の社会保険方式 の下では、結局現役世代が生み出しております所得、賃金、そういうものの一部を保険 料負担でお願いをして給付を行っている、これがほとんどを占めているわけでございま す。保険料を固定して給付水準を調整することになりますと、そのときの考え方とし て、年金制度を支えていただいている力である社会全体の所得や賃金の変動に応じて給 付が調整されていくといった考え方が考えられるのではないかということを挙げており ます。  具体的にはいろんな指標のとり方があると思います。GDPのとり方、国民所得のと り方、賃金の全体をとるようなとり方、あるいはマクロの労働力人口や被保険者数をと るという考え方があると思いますが、いずれにしましてもマクロの経済の動き、経済の 力というものの変動を反映させて年金を考えていくことが考えられるのではないかとい うことでございます。  そうしますと、次の「○」で、先ほども言いましたように、仮に次世代の育成支援に より少子化傾向に改善が見られるということになりますと、その指標の変化を通じて年 金のスライド率もより改善をされる方向に動いて、年金給付にもそれが反映されること もあり得るのではないか。悪い方の反映だけではないということも挙げさせていただい ております。  次の「○」でございますけれども、こういう社会全体の指標をとる場合におきまして も、考え方として2通りのものがあるのではないだろうか。  まず(1)でございますけれども、そのときそのときの実績に準拠をしてスライドをさ せていただくようなやり方。今で申しますと、少子化で労働力人口が減り始めている時 期に入っております。被保険者数を見ますと既に減っておるわけでございますけれど も、その減少が全体の経済の成長あるいは被保険者全体の賃金の総額に現実に反映し始 めましたときに、それに応じて自動的に調整がされていく。足元の実績に応じた形で給 付が調整されていくという形があり得るのではないか。  もう一つは、将来の見通しが立つということでございますと、将来の見通し、減少の 見通しを見込んで全体を平均し、将来に向けて平均的な数字で調整を行っていくことも あり得るのではないかということでございます。試算では両方見ていただいております が、比較検討していただきます場合の基準は(1)の実績の方式にしています。  具体的に23ページ以降で試算を見ていただいておりますけれども、大きくは方法I、 方法II、すなわち方法Iは、給付と負担の両方を5年ごとに見直す。方式IIは最終的な 保険料水準を法定化をし、固定をしておいた上で給付の方をなだらかに調整する方式と いうことでございます。  その前に、試算の全体、細かくなりますが、23ページに挙げておりますように、一応 比べてみていただきます基準ケースの場合の試算の前提は、経済前提はまず前回の再計 算のときよりもやや悪い前提を置かせていただいております。前回は名目賃金上昇率 2.5、物価上昇率1.5 、名目利回り4ということでやらせていただいたと思いますけれ ども、それに対しまして、ここでは比較基準を見ました場合には2.0 、1.0 、3.25とい うような前提でやらせていただいております。  さらにそれよりももう一段悪くなった場合というケースをCと称していますが、その ようなものも見ていただいているということでございます。  人口でございますが、これにつきましては、中位推計を基準とし、高位推計、あるい は低位推計も比較して見ていただいております。  国庫負担につきましては、1/2を示しながら、1/3にとどめてしまった場合に は、こういうような状態で、ぜひ1/2をお願いしたいということで比較して見ていた だいております。  それから保険料の引上げの計画でございますが、これにつきましては、25ページにご ざいますように、前回の再計算の際に、仮に1/2に国庫負担を引き上げる場合には、 厚生年金の保険料の引上げ方、5年度に一度の最初の引上げ方をその分だけ小さくでき るのではないか。あるいは国民年金の段階保険料については、国民負担が1/2になる 時は、その分だけ3,000 円程度低くできるのではないかというようなご指摘がありまし て、そのような姿もお示ししてきたところでございますが、ここで比較対照する上で は、一たん抑えたり下げるのでなくて、そのときから均等に引き上げていく。特に厚生 年金は小刻みに、前回の5年に一度の幅を1/5に切った形で小刻みに引き上げていく 形で比較対照の基準とさせていただいております。  23ページのところにありますように、厚生年金の場合に毎年上げていきますと、月収 ベースですと、今の平均的な方々で月650 円程度の引上げという前提、国民年金は前回 と同じく600 円程度の引上げという前提でやらせていただいております。  それから保険料を固定しますケースでは、後で見ていただきますように、2022年以降 20%、前の引上げ計画をやってみますと、2022年以降20%ちょうどになりますので、そ れで固定した場合どうなるかということで見ていただいているということでございま す。  その前提の下で、24ページでございますが、これは給付水準を維持していくケース、 方法I−1ということでございまして、これは現役の平均賃金の59%という水準を変え ないという前提で試算をしてみますと、そこにございますように、厚生年金の保険料は 基準ケースの場合で23.1%まで引き上げざるを得ない。国民年金の最終保険料の方は 20,500 円まで引き上げざるを得ないと試算されますが、このような負担水準の上昇を どのように考えていくかということでご覧いただいております。  それから、26ページでございますけれども、仮に1/3のままに国庫負担をとどめ置 いて、1/2に引き上げないということになりますと、その下、赤い線でございますけ れども、基準ケースに比べまして非常に大きく保険料水準が上がってしまう。厚生年金 の場合26.2%にまで上がってしまう。国民年金の場合で29,300 円、3万近くまで上が ってしまうということでございまして、このような大きい引上げになってしまうことを どのように考えるか。やはり国庫負担1/2はぜひともお願いしていかなければいけな いのではないかと考えている次第でございます。  次に28ページでございますが、これは給付と負担両方を見直していくという方式、こ れまで主にとられてきた方式でございますけれども、これにつきましては、支給開始年 齢、乗率、水準というものを総合的に見直すということでございますが、この考え方に ついては安定感を欠くのではないかということでご指摘があるわけでございまして、前 提を置きようがないものですから、考え方だけの提示にとどめさせていただいていると いうことでございます。  次に29ページからが保険料を固定した場合という方法IIについて示させていただいて おります。先ほど申しました保険料を固定した場合の給付の考え方において自動的に調 整を行っていく場合の指標のとり方でございますが、これについてはいろんな指標があ り得ようと思います。今後ご議論いただきたいと思っておりますけれども、今1人当た りの賃金で伸ばしてきて、新規裁定をするということにしておりますが、それに代わる ものとしては、(1)、(2)に示しましたように、全体の労働力人口、被保険者数、GD P、国民所得、被用者年金の報酬総額等考えられるのではないかということでございま す。  その場合であっても、社会経済が好転すれば、結果的に水準もよくなるということも もう一度確認させていただいているところであります。  下の方でございますが、そういうふうなマクロの数字を使って、マクロ経済スライド をとりあえず使用させていただいていますけれども、そういうことを適用するとして、 どのような期間までやっていくのか。これは2025年以降、厚生年金の保険料を20%で固 定したという前提での収入の範囲内で財政が安定する計算が成り立つまでの間、これ を、給付水準を調整する調整期間ということで表示をさせていただいていますが、この 間、スライドの率をこれまでの率よりも少し小さめにさせていただく、そういうことで 試算をさせていただいております。  スライド率を少しずつ小さくさせていただくことによって、給付全体の伸び方を抑え られる。ある程度の期間を過ぎ、一定のところまで来ますと、その20%の保険料収入の 下でバランスをするというときが来ますので、その時点でその調整期間は終了し、その 後はもともとのルールでございます1人当たりの賃金に合わせての上昇、あるいは既裁 定の方も調整するとすれば、物価の上昇そのもので改定をさせていただいてもバランス をしていくというような考え方で試算をさせていただいております。  それが具体的に30ページ以降に載せさせていただいておりますけれども、ここではま ず実績準拠法を基準に見ていただいていますということを示させていただいておりま す。先ほど申しましたように、足元で具体的なマクロの経済全体の動きの実績を見なが らやってみてはどうかという考え方でやらせていただいております。そういうふうに申 しましても、将来の実績が今すぐあるわけではございませんので、ここでは被用者の総 賃金、具体的には厚生年金等の被保険者の数とその報酬の将来見通しそのものの掛け算 を総賃金として、手取りベースでの伸びが一応今の将来見通しでありますので、その毎 年毎年の変化を実績値として使わせていただきながら変動させてみた形で試算をしてい ます。  なお、基礎年金につきましてですけれども、この1階部分につきましては、まだ前提 の置きようがございません。まだ十分ご議論いただいていませんので、これにつきまし ては、一応この試算上は、1階、2階同じペースで水準調整されることを前提にさせて いただいています。  それから、その次のところに名目年金額下限型というのを書いております。新規裁定 の場合の年金改定率を、1人当たり賃金上昇率にかえて、総賃金の伸び率にするという ことですと、1人当たり賃金上昇率は先ほど見ていただきましたように、伸びていくと いう前提を置いておりますが、被保険者数が次第に小さくなっている時代でございます ので、1人当たり賃金×被保険者数という掛け算をした結果は少し小さくなるわけでご ざいます。その率と1人当たり賃金の上昇率との差、あるいは既裁定者につきましても ここでは物価から同じ率だけを引いた形でスライドをさせていただくという計算をして おりますが、これがもしも将来、1人当たり賃金の伸び、あるいは物価の伸びより大き く、前年の年金よりも下がってしまうという計算になる年があるとすれば、それはここ では下げない。名目年金は維持する、年金改定率をゼロにするということを前提に試算 をさせていただいているということでございます。  なお、後の試算の中では、既裁定の方について、物価から同じ率を引いた形で調整を するのか、それとも既裁定の方は物価だけは維持をしていくということもあるのかとい うことで、両方の試算をさせていただいていますが、比較対照にしております基準ケー スでは、新規裁定の方も既裁定の方も同じように調整を行っていくことを前提にさせて いただいております。  その上で31ページでございますが、今後の一人当たり賃金の伸びと総賃金の伸びの差 の見通しでございますが、平均をとって見てみますと、右上にありますように、前半 2025年ぐらいまでは、高位、中位、低位の推計で、人口、働き手の数にはまだ大きな差 は出てきません。いずれも同程度のなだらかな低下です。今の少子化傾向の影響が出て きますのは、20年、30年に、今生まれた方々が現役になったときでございまして、2026 年以降を平均とってみますと、大きく差がついてくるという状況がございます。そのよ うな状況の下で調整をしたもので見ていただいているということでございます。  保険料の固定は、31ページにありますように、厚生年金を毎年毎年前回の計画の 1/5ずつ上げていく、小刻みの階段の下で、2022年以降ちょうど20%になりますが、 ここで固定をしているということでございます。1階、2階は同じ前提の下で給付を調 整しておりますが、国民年金の方はその前提の下ですと、2020年度以降18,100 円でと まっております。現在価値ででございますが、そういう前提で見ていただいているとい うことでございます。  次のページから、具体的にその姿でございますけれども、32ページの方は人口中位推 計の下でどのようになるかということでございますけれども、2025年までは、見ていた だきますように、被保険者数が急激に落ちるものではございませんので、なだらかな調 整が続くということで、25年たちましても今の所得代替率59%が56%ぐらいまでの低下 でとどまっております。  しかし、その後、大きく人口が変わってまいりますので、中位推計の場合でもだんだ ん大きく差がついてまいります。調整が必要な2032年まで総賃金の率でやらせていただ きますと、代替率は52%のところまでいく。ここで財政上はバランスをいたしますの で、この調整は終了いたしまして、その後は1人当たりの賃金の伸びで裁定ができま す。そうすると52%はその後は維持されていくということでございまして、このような 形で推移をしていくであろうと見ております。  なお、このときに国民年金の保険料は18,100 円ということでとどまっているという ことでございます。  右のページの方は、国庫負担を引き上げなかった場合、1/3のままですと、より長 い期間、調整期間をとらせていただかなければいけないということで、赤い方の線でご ざいますけれども、2043年まで調整を続けなければバランスをしないということで、最 終的な所得代替率は45%まで低下をしてしまう。やはり大きな低下でございまして、 59%に比べますと1/4もダウンをしている数字でございますので、ぜひとも国庫負担 は1/2でお願いしていかなければいけない、それが不可欠ではないかと思っているわ けでございます。  また、上にありますように、国民年金の保険料もその場合には、現在価格で見まして も5,000 円アップの23,100 円という、大きな上昇になってしまうということでござい ます。  次に35ページ以降には違う方式も少し紹介をさせていただきます。細かく申し上げま せんが、「将来見通し平均化法」ということで、先ほどありましたように、将来のマク ロの経済の動き、これを平均値でやっていったらどうか。これは2050年までの労働力人 口の変化について、先ほどは前半が0.3 ぐらいで、後半が少し大きくなりますというこ とを申し上げましたが、全部を平均的にとりますと、中位推計で−0.65程度で、最初か ら少し大きめにずっと同じ率で調整を続けていくというような考え方でございます。  そうしますと下の方に書いてありますように、将来見通しを反映するということで、 早めに給付水準の調整が始まる。足元から給付水準が大きく調整をされるということで ございまして、調整の期間は短くて済む。あるいは調整を終了したときの所得代替率の 水準は、今見ていただきましたように高くなるわけでございますけれども、しかしなが ら、最初から大きく切り込んでいることをどう考えるのか。  それから、一番下にありますように、5年ごとの財政再計算期において、この将来見 通しそのものの数字を見直していかなければいけない。実績準拠と違いまして5年ごと には将来見通しが変わっていれば、それに合わせて将来見通しのやり直しを行い、調整 率を修正していく必要が出てくるのではないかということを挙げさせていただいており ます。  それから、36ページ、基準ケースでは、スライド調整をした場合でも前年よりも年金 を下げないという名目年金下限型で見ていただいておりますが、これに対して既裁定の 方について、特に物価分は調整をしない方がいいのではないかというご議論もあろうか と思いまして、物価を下限とするという形の試算は後ろの方に付けさせていただいてお ります。  なお、その場合には、物価下限型としますと、その調整が既裁定者に全く及ばないと いうことになりますので、新規裁定のときの水準がしわよせを受けて低くなってしまう ということになりまして、最終的な所得水準がさらに低下してしまうのではないかとい うことを見ていただいているということでございます。  なお、次の37ページ以降には、人口や経済の前提が違った場合ということで、給付水 準維持ケース、あるいは保険料固定ケースについてそれぞれ見ていただいています。  38ページ、給付水準維持ケースでございますが、赤い方が人口低位の場合、青い方が 人口高位の場合でございます。  40ページの方は、同じく給付水準を維持する方ですが、赤い方がより悪い経済前提を 置いた場合、右のページでケースCに書いてございますように、基準としましたものよ りも、さらにもう一段階経済の前提を悪く見たケースでございます。ケースAは、比較 対照しているものより少しいい、前回の再計算ベースでの数字でございます。  42ページ、43ページでございますが、これは同じく給付の水準を維持するという前提 でございますけれども、より早めに保険料の引上げを行っていった場合、より早い時期 に、より低い保険料でとどめられるということでございます。  赤い方のケースは、もしも引上げをゆっくり、遅めにしてしまった場合にはより高い ところまで達してしまいますということでございます。階段を2割程度、早めたり、遅 めたりして見ていただいているわけでございます。  それから、44ページ以降は、今度は保険料を固定をした場合ということでございまし て、保険料固定、2020年以降20%という前提を全部置きながら見ていただいております けれども、まず人口が高位、低位ということでございます。そうしますと、下のグラフ を見ていただきますように、2025年あたりまで、前半の時期におきましては人口は大き くはまだ変わりませんので、実績準拠方式の場合に調整いたしましても、所得代替率は 56%なり、57%といった大体同じようなところにとどまっている。しかし、その後、さ らに大きく人口が変わってまいりますので、その実績に応じて調整していきますと、高 位の場合には2020年に調整が終わっておりまして、ずっと57%という比較的高い水準で ずっと給付が続けられますけれども、低位になりますと、2040年まで調整を続けて45% 程度まで落ちてしまうというような状況が見られる。前半の時期に少子化対策の効果を 上げるような対策を総合的に打って、このようにならないような形での社会経済の在り 方を目指していくことも必要なのではないかと思われるわけでございます。  それから、45ページでございますけれども、こちらの方は経済前提をより悪い場合の ケースC、あるいはよりよい場合のケースAに置いた場合でございまして、ケースAで あれば緑色の線の方でより早めに調整が終わって、54%程度を維持していけるというこ とでございます。  赤い方、ケースCのより悪い経済前提を考えますと、2048年まで調整をし、45%程度 まで落ちてしまう。経済の方をよくするように努力をした上で、このようにならないよ うな努力が必要なのではないかということも併せて見ていただいているわけでございま す。  次に46ページでございますが、これは最終保険料率をより低いところにとどめるべき ではないかというご指摘に対するものでございまして、仮にここでは1割程度前でとめ ている。18%の階段のところで、もうそれ以上上げないということを前提でやってみて おります。これでやりますと、これは国庫負担を1/2に上げておりますが、その前提 ですと、赤い線のように、2043年まで調整を続けて、そのときの所得代替率は45%程度 になるのではないか。  あるいは国民年金の最終保険料ですが、これは国庫負担を1/2に上げた前提の下 で、基礎年金の水準が低くなっております関係上、1,700 円低下して16,400 円にとど まるということでございます。  次の47ページの方は、給付水準維持のときと同じように、最終保険料を20%にとどめ る場合であっても、早めに引き上げて20%にとどめる、あるいは遅めに引き上げて20% までいくところでとどめる。やはり2割階段を前に大きめに上げていく場合と、2割階 段を遅めに上げていく場合とで試算をしておりますけれども、ここにありますように、 やや早めに引き上げればより高い水準で維持できますが、遅めにするとより低い水準ま でいってしまうだろうということを見ていただいております。  そこまでが主な試算の内容でございます。細かくその他の前提を置きましたものは後 半部分に掲げさせていただいております。  48ページでございますけれども、こちらの方は、現在受給している年金についてどう 考えていくのか。現在の年金の受給者につきまして、上の方にありますように、これは 老後生活の支えとして、基本的には現役世代の手取り所得の一定割合のものを維持して いくべきではないかという考え方があるということでございます。これについては、例 えばネット・ネット、手取りと手取りで比較した水準を維持していく賃金スライドを 行っていくべきではないかという考えがあります。  他方で、これまでご議論ありましたように、次の改正で、将来世代に対しまして、あ る程度さらなる負担の引上げとか給付水準の調整をお願いする場合には、バランスの観 点から、現在の年金受給者につきましても、一定の調整をお願いしていくことが必要で はないかという考え方もあるということを挙げさせていただいております。  その場合に考えられる具体的な方法として、一つは、今ご覧いただきました緩やかに 調整をしていくということでスライドの調整の仕方があるのではないか。その場合でも 名目年金に下限をつけ、前の年よりも下がらない形で調整を行っていくということもあ るのではないか。あるいは既裁定の方も同程度に調整を行っていくという考え方もある のではないか。そのようなことで基準ケースで見ていただいたということでございま す。  それから、もう一つ、水準の調整の手段として年金課税の見直しの問題があるという ことでございます。これは世代間の公平あるいは高齢世代内でも、所得の高い方、低い 方の公平の問題ということで、公的年金課税、公的年金等控除を見直していくべきでは ないか。これは既に閣議決定等で見直しの検討を進めるということになっているわけで す。今年の具体的な検討には至っておりませんが、今後の検討課題として既に挙げられ ているものでございます。これは一番下にありますように、給付水準の調整を行うこと と同じような効果がございますので、総合的なものとして考えていく必要があるのでは ないかということでございます。  また、右のページの方で、見直した場合に得られる財源というものは、この世代間扶 養の仕組みの下では、年金制度の方に還元をしていただくことが適切ではないかという ことを挙げさせていただいています。  いずれにしても、こういう負担と給付の水準の考え方につきましては、しっかりご議 論いただいて、適切な結論を得ていきたいということでございます。  それから、3階の企業年金あるいは確定拠出年金等につきましては、公的年金を補完 して多様化した老後生活のニーズに応えていくということの役割がございますので、さ らにその拡充、育成を考えていくべきではないか。税制等の優遇策も拡充していくべき ではないかということで、今回の改正では、こちらの方の検討も同時に行っていく必要 があるのではないかということを述べさせていただいております。  次に、給付と負担の関係が分かりやすい制度ということで、50ページ以降でございま すけれども、将来の年金給付が、現在の年金の設計、給付の算定式の下では非常にわか りにくくなっているのではないかということで、そのわかりやすい仕組み、若い頃から 年金の給付がわかりやすい仕組みを考えていくべきではないかということを挙げさせて いただいております。  まず、今既に取り組んでおりますものとして、年金の個人情報を早めに提供していく ということで、例えば今58歳以上でお知らせをしております年金の見込み額の試算と いったことにつきましては、計画的に50歳以上の方々に対応できるように実施を進めて いるところでございます。あるいは被保険者の記録ないしは年金見込額の通知というよ うなことも拡充をしていく方向で準備をしておるところでございます。  それから、インターネット等を通じた、個別の情報の提供ということも、本人の確認 手段をしっかりと講じた上でやっていくということで順次実施をしていく予定にしてい るということでございます。  このような50代の方々、年金の受給が間近に迫った方々とともに、若い世代の方にも わかっていただけるよう、ポイント制のご紹介をさせていただいています。これまでも ご紹介してきたことでございますけれども、ドイツでとられているような方式を前提に 見ております。今の方式で、年金支給開始時に計算をするときになって、昔の標準報酬 を再評価をしてみないと平均値がわからない。自分ではなかなかそれがどのぐらいにな るかわからないということに応えまして、その拠出をされました毎年毎年全体の平均の 賃金に対して、その方が拠出したものは平均値であったか、平均値よりも高かったの か、低かったのかということを1.0 を標準にとって、1.1 とか0.9 とかという形でお知 らせをしておく。きちんと記録に残す形にしておく。それが40年きちんと、平均値で例 えば40ポイント、途中の段階でも、30年拠出したところで30ポイントということで平均 値になっているかどうかとか、少し低いかが自分でわかるようにしておきまして、それ にそのときの1年当たりの単価を掛ければ大体の年金の目安、これが40年であれば、こ のぐらいになるという目安が立てられる。平均的な老齢年金との比較もできる。このよ うなわかりやすい仕組みについて考えていくことができるのではないか。それをご本人 にお知らせしていくということが考えられるのではないかということで、52ページにあ りますように、自ら拠出されています実績を自分で確認をできる、徐々に年金権が増え ていっていることが実感できる、また具体的に自分の年金額がどのぐらいになるかとい うことがわかり、老後の生活がしやすいのではないかというようなことを挙げさせてい ただいています。  これを若い頃から、20代、30代ぐらいからお知らせすることによって、年金に加入し ていらっしゃる実感、あるいは将来の自分の年金というものが実感していただける仕組 みということで、よりご理解いただきやすくなるのではないかということで挙げさせて いただいています。  53ページは、拠出建て方式についての議論を少し紹介をさせていただいています。こ れは毎年拠出されました保険料を、スウェーデンの場合では、1人当たりの現役世代の 名目賃金上昇率を運用利回りとみなしまして、保険料が運用されたという形に擬制をし て、それを計算上残していく。それをトータルいたしまして、年金の原資を計算をし、 65歳時の除数で割るというようなことでやっております。これは確かに総額が運用され て戻ってくる形であるため拠出実績が確認されやすい、わかりやすくなっている、納得 しやすくなっているということはあろうかと思いますけれども、一方で、我が国の場合 には、段階保険料の途上であるということでありまして、まだ少子・高齢化が進む中で さらに引き上げていく必要がある。そうしますと、今、拠出されているもの前提で考え るとですが、そのままですと、保険料の額が世代ごとで変わってしまうということで、 世代間で給付水準に格差が出てしまうのではなかろうか。  それから、完全に概念上拠出建てということにしますと、所得再分配ということも弱 まってしまうのではなかろうかということで、もう少し検討が必要なのではなかろう か。将来、最終的な保険料水準が平準化できた段階ということを前提にしながら議論を 続けさせていただく必要があるのではないかということを挙げさせていただいておりま す。  次に54ページ以降でございますが、これが少子化、女性の社会進出、就業形態の変化 ということに対応した部分でございます。  まず次世代育成支援策について挙げさせていただいております。年金制度につきまし ても、次世代育成支援について考えていく必要があるのではないか。真ん中辺の○でご ざいますけれども、将来の高齢者世代を支える現役世代となる次の世代を育成していく ことは本質的に非常に重要な問題であるという考え方を前提にするかどうか。あるい は、今、単に育児をしていらっしゃる方に対する配慮というだけではなくて、年金制度 加入者全体で次世代育成ということを支援をしていく、あるいは子育てについて、年金 制度を中立な仕組みとするということを考えていくべきではないか。次世代を育てなが ら保険料も負担をしていただいていることについてのご理解を得るためにも、次世代育 成支援ということで年金制度の方からも何らかの負担の還元ということを行うべきでは ないかという積極的な考え方もある。  他方では、しかしながら老後の所得保障とは趣旨が異なるので、行うとしても保育 サービスの充実等、子育て関係の整備で考えていくべきではないかという考え方もある ということでございます。積極的に次世代支援を年金制度で取り組むべきという考え方 に立つと、右のページにありますように、これまでも紹介させていただきましたが、育 児期間に対する配慮をより拡充していくべきではないか、今の厚生年金の育児休業期間 中だけの配慮にとどまらずに、1号の方々あるいは育児を理由に離職せざるを得なかっ た3号の方々をどう考えていくのかということも挙げさせていただいています。  それから、年金額算定のもとになります賃金、標準報酬の方で何らかの配慮を加えて いくのか、それとも加入期間の方で配慮を加えていくのかという議論も行っていただき たいということを挙げておるというようなことでございます。  それから、もう一つの考え方として、年金資金を活用した次世代育成を考えていって はどうかということでございます。具体的なご指摘としてあるのは、教育費の負担は非 常に大きな次世代育成の課題になっておりますので、その辺のところに対しましては、 年金制度の方からも、奨学金の面で貢献ができないものかということを挙げさせていた だいている。この辺につきまして、今後ともご議論をいただきたいというようなことで ございます。  それから、次世代の問題とともに、現在におきましても、短時間労働の方々あるいは 高齢者の中で、制度を支えていただけるような方々を増やしていく取組を進めていくべ きではないか。働き方の多様化が進んでいる中でそういう支え手を増やすような議論も 必要ではないかということを挙げさせていただいております。  これにつきましては、具体的には56ページ以降でございますけれども、短時間労働者 につきましても厚生年金を適用していく方向で検討していくべきではないかということ を挙げさせていただいています。ただ、そのときに、これまでもご指摘ありましたよう に、年金の場合、給付も伴ってくるわけでございますが、新たな保険料負担が生じるこ とについてご理解を得ていかなければいけない。あるいは当面短時間労働者の方々で賃 金の低い方々が多いわけでございますが、そういう方々に入っていただいて負担をお願 いする。また、給付の設計をしていくことにつきまして、年金財政上どのような影響を 与えるか、具体的な給付設計をしながら検討しなければいけないということ。それか ら、同じような仕組みで適用しております医療保険におきます取扱いも同時に議論をし ていく必要があるであろうということでございます。  それから、57ページの方で、高齢者の方々に対する就労の支援ということで、特に65 歳への段階的支給開始年齢の引上げは決定をいただいたわけでございますが、これを具 体的に推進していく面からも60歳代前半の年金の在り方、就労の在り方等についてもご 議論をさせていただきたいということを挙げております。  次に57ページ、(4−3)の方でございますが、女性と年金の問題についても挙げさ せていただいております。これまで女性と年金検討会でご指摘をいただいてきたわけで ございますが、その中でも、特にこの場でもご議論いただいた3号の問題を中心に少し 考え方を整理をさせていただいて、ご議論の材料として出させていただいています。こ の辺についてご議論いただいて、ぜひ適切な結論を見出されたものについては、次の改 革で取り組んでいきたいということでございます。  3号につきまして整理した六つのパターンについて挙げさせていただいた上で、次に 少し具体的にその考え方の切り口を整理をしてみるとこういう考え方があり得るのでは ないだろうかということで、この6パターン以外のものも含めて出させていただいてお ります。 59ページの方からでございますけれども、まず方法Iということで、賃金分割を行うと いうことが税制の問題、労働法制の問題がまだまだ進んでない中で、年金だけで考えた らどういうことになるだろうかということでございます。それとともに、賃金そのもの を分けてしまうということになりますと、事業主負担ということがなかなか難しくなっ てくるということで、年金の給付の算定上分けていくという考え方をとれないかという ようなことで挙げております。夫婦の間での年金権の分割、年金の記録の分割というよ うなことで、それが給付に結びついていく形がとれないかということでございまして、 具体的には61ページ以降に少し前提を置いた試算を付けさせていただいています。  60ページの方でございまして、別な考え方として、やはり何らかの負担を求めていく べきではないかという場合にどう考えるのかということでございます。基礎年金という 受益がある以上、それに伴う負担を具体的に求めてみてはどうかということでございま すが、一つには、○の2番目、3番目にありますように、基礎年金の受益に応じた負担 を求めるということでございますと、3号の方はもちろんでございますけれども、その 他の2号の方全体も共通の考え方にならざるを得ないのではないかということで少し整 理をしてみております。  国民年金と全く同額の定額の負担を求めていく場合、応能負担でやっております被用 者保険の世界で同額の負担を一般的にしていくということについてどう考えるのか。定 額保険料にならざるを得ない国民年金の考え方のいろんな問題点がこちらにも出てくる のではないかということも挙げております。そういう中で少し修正を考えるとすれば、 被用者グループの中で、応能負担でやっている部分を少し小さくする。応益で定額の部 分を少し入れさせていただく、こういう組み合わせはないのだろうかということで、62 ページ以降のところでは、例えば13,300 円全部でなくて6,550 円、半分程度を定額で ご負担を共通にいただきながら、その他の部分を応能負担という仕組みの下でやってみ たらどうかという試算を付けさせていだたいいているところでございます。  もう一つ、60ページに挙げておりますのは、被用者全体でという考え方ではなくて、 3号被保険者を抱えていらっしゃる2号の方々の間で、応能負担の世界で行ってみたら どうかという考え方もあるのではないかということで、そのグループを分けて保険料を 計算してみた。それも66ページの方に挙げさせていただいているところでございます。  それから、60ページの三つ目の考え方としては、負担の方を求めていくことによる対 極としまして、給付の方で調整する考え方はないのかということを挙げさせていただい ております。これは例えばイギリスやアメリカの方で、世帯の考え方かもしれません が、妻の分については、夫と同額ではなくて、少し5割とか6割とか低い額で給付がな されているということもあるということで、保険料負担を求めないのであれば、給付の 方に差をつける考え方はないのかということです。例えば国庫負担部分だけ、1/2な ら1/2だけといった給付で考えていく。その他について必要があれば、ご自身の負担 での追納ということもあり得るのではないか。あるいは(2)の方では、国庫負担+応能 負担でカバーする部分というのは3/4程度にして、3/4分を給付するというふう に、現在の満額給付とは違う考え方がとれないのか、このような考え方も見ていただい ております。それに対する試算も後ろの66、67ページの方にございます。  それから、61ページの方でございますけれども、四つ目の考え方として、現実に 1,000万を超える3号の方々が現実に存在しているということを考える場合に、現在の 必要な部分での3号制度は維持するのだけれども、他方で前提としての短時間労働者に 対する厚生年金の適用の問題、あるいは被扶養配偶者の認定ラインの問題、1/2要件 とか130万要件を見直しをして狭くしていくことによって、3号の問題の部分を現実的 に解消する考え方はないのかということでございます。  その場合にありましても、ご議論がありましたように、片働き世帯の方が相対的に高 賃金の場合が見られるということで、3号を抱えていらっしゃる場合の標準報酬の上限 を引き上げて追加負担を求めていく、それは給付には反映しないという考え方の組み合 わせもあり得るのではないかということで、負担のならし方があるのではないかという ことを挙げさせていただいております。  なお、3号制度を育児期間あるいは介護期間という期間、やむを得ない期間に限ると いう考え方は当然あるわけでございまして、こういう問題は次世代育成の問題とともに 考えさせていただきたいということでございます。具体的な試算は割り切った前提を置 いたものでございますが、その後に付けさせていただいております。  最後の部分、69ページでございます。こちらの方は、いずれにいたしましても、国民 年金制度をきちんと安定化させなければいけないということでございまして、特に未納 の問題にきちんと対応していくということでございます。これにつきましては、今、具 体的に拠出金の問題ということでご指摘をいただいているわけでございまして、その拠 出金負担の問題点についてのご指摘に応えるためにも、国民年金を支えている方々一人 一人の理解を深めて、未加入・未納問題を解消していく努力を続けなければいけない。 徹底した保険料収納対策をやらなければいけないということを挙げさせていただいてお ります。  (6)は一元化の問題でございます。一元化につきましては、既に昨年(13年3月) の閣議決定に基づきまして、21世紀の初頭に被用者年金全体の統一的な枠組みの形成を 図っていく、それに向けての努力をしていくということで、それぞれの制度、国家公務 員共済、地方公務員共済も財政単位の一元化に向けた方向の下に、今保険料の統一的な 算定の準備を進めております。私学共済の方も被用者年金全体の中の位置づけの問題、 あるいは保険料の引上げを早めていくというような努力を、今、検討を進めていただい ているということでございまして、このような検討をさらに進めていかなければいけな いということを挙げております。  最後のページでございますけれども、総合的な社会保障の負担の問題ということでご ざいます。年金の問題だけを考えていくのではなくて、医療の問題、介護の問題等々、 社会保障全体の問題、さらには税との兼ね合いの問題という全体を考えていかなければ いけないということでございまして、この点につきましては、また社会保障審議会の場 でもご議論をいただくところでございます。  今後の議論ということでございますが、ここに示しました骨格的なものを含めて、そ の他の技術的なもの、専門的なものも含めまして、今後、資金運用分科会においても検 討いただき、この年金部会の議論等を踏まえまして、全体的な議論を進めて、16年改正 へ向けての全体的な結論を得ていきたいということを述べさせていただいております。  試算の方はご紹介をさせていただきませんが、ざっとどういうものが載せてあるかと いうことで、最初の赤いページ以降の目次の次でございますが、2ページにわたりまし て、試算一覧という表を付けさせていただいております。試算一覧の前半のページの方 が給付水準を固定した場合の試算でございまして、それで人口が変わった場合や経済が 変わった場合等々のパターンを付けさせていただいております。  それから、次のページの方は、保険料を固定した場合でございまして、こちらはパタ ーンが増えておりますのは、年金の下限、前年より下げないという名目年金下限型で試 算をするのか、それとも物価上昇分は調整しない、物価を維持するということでやるの かということ、それから実績に準拠したやり方でやるのか、将来の見通しを全部平均し てしまってやるのかということの違いということで少しパターンを増やして、前提を置 いて見ていただいていると、このような形でございます。  長くなりましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。  今、一括して、やや時間をかけて説明いただきました理由は二つございます。一つ は、区切って説明して質疑をいたしますと、最後まで説明が終わらなくなってしまうお それがあったものですから、とにかく今日は一回全体を通してお聞きいただいたという ことが一つ。もう一つは、一応今回で我々がやってきました論点整理、それから厚生労 働省による論点整理は一段落となり、今後の審議は各論的議論になりますが、総論なき 各論というのはあり得ないわけで、今後もこの総論的な論点整理については議論をまだ 続けていただく機会があるということ。今日はそういうことを踏まえて、まず全体を通 してご説明いただくというやり方をいたしました。  それで、これから残された時間、今日のご説明をめぐって少しご議論いただきたいと 思います。時間の制約がございますので、先ほど申しましたように、まだ次回以降もそ の機会があるということで、今日でなければということでない場合には、申し訳ありま せんが、また次回へということでお考えいただきたいと思います。  ただ、本日、ご欠席の委員で、既に方向性の論点整理につきまして、メモとして出さ れた方がいらっしゃいますので、これを総務課長の方からご紹介いただきたいと思いま す。 ○ 高橋総務課長  先ほど配布資料につきましてご説明いたしましたが、番号を振っておりませんけれど も、大澤委員、岡本委員、矢野委員から意見のご提出がございます。大澤委員の方から は、第3号被保険者制度について、今回示されたいずれの見直しを行っても、世帯類型 による所得代替率の格差が残ること、雇用就業の多様化、流動化に対応できないことな どから、スウェーデン方式が相対的に望ましいのではないかというご意見をいただいて おります。  それから、岡本委員からは、保険料固定方式について、公的年金制度を中長期的に持 続可能なものとするために、時宜を得た現実的な対応として評価しますという全体的な 評価をいただいた上で、長期間かけることなく給付水準を見直すこと、ルールどおりの 物価スライドを行うべきこと、社会保障全体の負担を考えると、20%の最終保険料率は 高過ぎること、それから、基礎年金の国庫負担の1/2の引上げを着実に実行するこ と、などのご意見をいただいております。  それから、矢野委員からは、まず基礎年金の在り方についてでございますけれども、 次期改正において消費税を活用して国庫負担割合の引上げを確実に行い、その後に消費 を賦課対象とする間接税方式とするべきである。それから保険料水準につきましては、 最終保険料率を20%よりも大幅に低い水準に抑制すべきである。第3点目、給付水準に つきましては、長期間かけることなく次期改正において、相当程度の引下げを実施して いく必要があると考えるということでございます。  以上のご意見をいただいております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、残り30分か40分ぐらいの間でございますが、こ のたたき台につきまして、これから自由にご議論、ご意見をいただきたいと思っており ます。時間がまいりましたら、私の方でその段階で打ち切らせていただきますが、それ はお許しいただきたいと思います。それではどうぞご発言をいただきたい。 ○ 大山委員  今回の方向性と論点というのは、年金財政のみの非常に狭い枠内での方向性が示され ているというふうに思っております。そういう枠内での議論をしてほしいということ で、これからの議論が進められていくかどうかということについて懸念を持っていま す。やはり信頼される年金制度を確立するという視点を貫いていくことが必要だと思い ますが、その点では、この間、特に公助という観点から、基礎年金につきまして全額税 方式についてぜひ検討していただきたいということで意見を申し上げてきましたけれど も、その部分について、今後の議論の中で、それは棚上げということになるのかどうか ということについてお聞きしたいと思います。  特に前回の年金部会で、これは厚生年金関係だけでありますが、厚生年金の支出合計 のうち基礎年金に関連する拠出金についてどのくらい見込んでいますかということでお 尋ねしたところ、2000年度は28.1兆円のうち9.5 兆円、それから、2025年度は71.2兆円 のうち26.1兆円見込んでいるというふうに言われました。もちろん今回の試算とは別の 資料でありますが、そういう点では基礎年金を全額税方式にした場合についての試算を ぜひ示していただきたいと思います。  今回出されている案では、給付水準維持方式と保険料固定方式が示されております が、とりわけ保険料固定方式の改革案に対してどういうふうに考えていったらいいかと いう問題につながっていくというふうに私は思っておりますので、ぜひ基礎年金を全額 税方式にした場合、どうなるかという試算を出していただきたいと思います。  給付水準維持方式につきましては、これは給付水準を維持すれば、一番基本的な試算 によれば、とりあえず最終保険料が23.1%となるということであります。これは従来か ら言われていた最終保険料率から比べても、これは全然望ましい水準とは言えないとい うふうに考えれば、ここの最終保険料率について、確かに試算はされておりますが、今 申し上げました基礎年金の扱い、あるいは後半部分に書いてありますけれども、短時間 労働者などの厚生年金の加入拡大など様々な方法によって、最終保険料率の23.1%とい うものは、本当にこの水準になるのかどうか。さらに引き下げることができないのかど うかということについての議論も必要だろうと思いますし、そういう点について試算を 出していただきたい。  給付水準維持方式についてよりも、どちらかというと保険料固定方式の改革案が強調 されていますけれども、これによりましても、この資料によると、いわゆる保険料率に ついては、厚生年金の場合になりますけれども、2022年度までずっと引き上げられる し、最終的には給付は下がりますよということです。現行水準の給付と比べてそういう ものが示されているわけでありまして、これは逆に若い人の受け取り方は、今回示され た案だけがアピールされていくということになれば、自分たちはどんどん保険料が上 がっていく、最終的には給付水準は下がるのだというメッセージしか伝えてないと思う んです。  そういう点でいきますと、こういう保険料固定方式の考え方が打ち出されております が、そういうレベルのメッセージでは、最初の出発点として本当に国民全体のあるいは 社会全体の合意を得る議論のたたき台になるのかどうか。そういう点を考えますと、こ の保険料固定方式につきましても、給付水準については、示されているものによれば 52%に下がっていきますということなのですが、様々な手だてによってこの給付水準を 引き上げることができるというようなメッセージが一緒についてこなければ、これから 具体化をしていくに当たって議論に耐えられないのではないかと考えておりますので、 意見を申し上げます。 ○ 宮島部会長  今の大山委員はご意見に当たる部分と今後の取扱いに関する部分がございました。今 の点で、何点か厚生労働省側からお答えいただく点があると思いますが。 ○ 高橋総務課長  最初の方の部分の今後の議事の進め方にわたる部分、試算の提示というお話がござい ました。最初の方で、先ほどの本文、資料2−3で申し上げますと、体系論、税方式体 系について、8ページから11ページまでにわたって議論しております。その議論で、私 ども厚生労働省として方向性と論点を出すに当たってこういう考え方で行っているとい うことを示しています。年金部会としての議事の進め方というのは、これに必ずしも拘 束されるわけではないと思っておりますが、ただ、議論の進め方として、その前提の部 分、100 %税方式の議論が進まなければそのような議論はないというようなことではな くて、今お話のあったような中での税方式の場合の試算、これについては検討させてい ただきますけれども、当面どうするかという話も併せて議論をしていかないといけな い。そこが終わらないとすべて議論が止まってしまうということは難しいのではないか と思います。  それから、資料1の意見の整理の方でございますけれども、3ページあたりから、体 系論の議論が出てくるわけでございますが、今すぐ直ちに、つまり次の改正で直ちに税 方式に行くべきという強いご意見ではないというふうに、実は私ども受けとめておりま して、長期的な方向として税方式の体系への移行というものを念頭に置くご意見と理解 しております。  経済界の場合、今日、岡本委員、矢野委員から出ている意見も同じですが、3ページ の下から3行目あたりでございますが、次期改正で消費税を活用して国庫負担を1/2 に引き上げ、その後、税方式と。あるいは大山、山口、小島、お三方の委員の方から は、すぐというお話ではございませんで、次は1/2というふうにはっきり出ておりま せんが、当面1/2という線につきましては、まだ大きい違いはないのではないかと考 えておりましす。次の改正におきましてはそういう線をまず軸にして、もちろんその先 として、では、税方式化はどうなんだということについては、今お話があったような試 算の検討をさせていただきたいと思います。 ○ 木倉年金課長  若い世代に対するメッセージの伝え方ということでございますけれども、確かに客観 的な出し方だけでございますけれども、これをまた議論の材料としていただきます場合 にも、先ほどのように少子化対策といいますか、社会全体を変える努力をした場合に は、給付の調整の仕方がより小さくて済む、あるいは改善をする、上の方に移行できる のだということで、努力を反映させることもできるやり方ではなかろうかということも 含めて、ご説明はさせていただき、議論もさせていただきたいと思っています。 ○ 宮島部会長  とりあえず、それでよろしゅうございましょうか。 ○ 大山委員  簡単につけ加えますと、具体的にはそういう試算もしていただけるということですか ら、結局基礎年金部分について全額税方式を入れるといった場合も、当然別の財源を考 えなくてはいけないわけですから、当然税負担と社会保険料の負担、この状況をどうい うふうに見るかという問題もありますし、税金の方で何もしないで、自然に基礎年金の 部分について国庫負担が出るというわけではありません。単に保険料が上がっていく、 給付が下がっていくということではなくて、そういう税金の問題が出てくるわけですか ら、一定の見通しが持てるような、ある意味ではみんなが納得できるような材料を全部 用意をして提供していくべきではないかということで、私もこれからその辺の材料や考 え方について意見を述べていきたいと思います。 ○ 宮島部会長  今の大山委員のご意見は、来年の秋ぐらいにかなり具体的な案をまとめるためにも、 それはかなり実際の制度設計に効いてくるという観点での、今のご質問でございましょ うか。例えば少子化対策の効果でありますとか、そういうことについてかなりきちんと その段階までに踏み込んだ考え方をしておく必要性ということでもございますでしょう か。 ○ 大山委員  そういう材料をすべて吟味して意見交換をしておかなければ、現在、今出されている 二つの方式、どちらかというと、保険料を固定する方が強く先ほどから訴えられていま すので、その場合の取扱いの問題も含めて検討するに当たっては、その辺の基礎年金の 問題や実際の少子化対策の問題や短時間労働者の厚生年金への加入の問題、いわゆる雇 われている労働者すべてが厚生年金に加入をするというような問題などについてどうす るのかということの一定の方向性が出されない限り、具体的な二つの方式のいずれを選 択をしろといった場合にも、それはそのままいくわけではないと思います。当然22年な り、あるいは32年という調整期間についても様々な問題が出てくると思うのです。その 場合には、基礎年金について全額税方式でやった場合に一体どうなるのかというような 材料を持たずして、その辺の問題について我々は判断をすることはできないと思うので す。そういう点では、そういう資料はぜひ揃えていただきたい。 ○ 吉武年金局長  この本編の中でも書いているのですが、私どもとしては、近い将来、むしろ社会保険 が基本だろうというふうに考えているのです。これまでの各界のご議論がありますの で、基礎年金全額税方式というのは、その典型的なご議論としてご紹介申し上げている わけですけれども、例えば計算とおっしゃっても、一つは、ここに書いているのですけ れども、95%の方は、実は基礎年金の保険料を納付されているわけです。あるときか ら、突然税というふうにやりましたときに、私どもがなかなか試算で非常に難しいと 思っていますのは、95%の納付実績をどう考えるかということが、今まで実は税方式に ついては余り議論がされてないのです。5%の未納の方に対して給付できるというとこ ろはあるのですけれども、納付実績をどう考えるかというふうに考えますと、例えばあ る年、3年後なら3年後すべて基礎年金を税方式にいたしますと、この95%の保険料の 納付の実績をどう考えるかということは実は経過的な大問題でございまして、そこはむ しろご議論なり、ご意見なりいただかないと、私どもとしては何とも試算のしようがな いというのが率直なところです。  要するに経過的な過渡期の問題が議論がされていませんで、年金の場合には医療保険 と違いまして、あるとき、突然すべてということはなかなか難しい。そのときに納付実 績がある方の納付実績を考えないということになるのかどうか。検討してみますが、な かなかここで試算で示しているようなものと同じような形の試算というのは結構難しい のではないかと思っております。これは一応検討してみますけれども。 ○ 小島委員  今の件ですけれども、局長がおっしゃられた税方式にした場合の納付実績者と保険料 を払ってない人をどう考えるか、それを年金給付としてどう計算するかということで す。それは基礎年金が導入された60年改正のときにも、やはり国民年金の加入可能年数 ということで、具体的にはそこは整理したはずです。そういう考え方をとることが全く できないという話にはならない。それと税方式にした場合に、満額の年金をどういう形 で担保するかということにも関わる。そこは居住年数何年という形で満額の年金にする というような考え方があります。税方式の場合でも一定の要件・条件を前提にした上で 試算を行おうと思えば、全くできないという話ではないと思います。できないというな ら、私がいくつか前提をつくりますので、それで試算していただければというふうに 思っています。 ○ 吉武年金局長  私が申し上げていることはそういうことでして、むしろ基礎年金税方式というご主張 される方から、そういう基本的なフレームについてはお出しをしていただかないと、私 どもとしてはなかなか計算がしがたい。そのフレームに沿って、もちろん私どもの方に 数理の専門家がおりますので、それでいわばお手伝いする形でということだったら可能 だろうと思います。 ○ 渡辺委員  このたたき台について、私は概ね評価しておりますが、ちょっと注文を二、三つけた いのです。まず一つは、マクロ経済スライドの考え方というのは、私一人かもしれませ んが、いまだによくわからない。つまり具体的にもっとわかりやすく書いていただきた いというのが一つです。例えば、これまでの過去の賃金再評価にかえて、いわゆる総賃 金に変えるという考えとしてはわかるのですが、例えば今度総報酬になりますね。だか ら、過去の平均標準報酬月額というものはなくなるわけですけれども、例えば総報酬に ついて、これまでの過去の賃金の再評価というのは、昭和32年以降ずっと行っているわ けですね。それでおのおの数字を全部あげて、それにかわって具体的にどういうやり方 をするのだというような具体例を書いてもらわないと非常にわかりにくいと思うんです ね。一方で、ポイント制のこともおっしゃっているわけで、ポイント制も私はやりたい と思うのですけれども、これを導入した場合には当然単価にポイントがかかってくるの かなという気がします。ところが資料の説明ですと、51ページ、この単価については賃 金等によって変えるという表現になっているんですね。それは結局はここもマクロ経 済、物価スライドということになるのかなと思いますが、そこもよくわからない。です から、具体的にポイント制を導入した場合には、単価についてはこういうことをやるの だと、これが従来の過去の賃金の再評価、つまり新規裁定の場合の改定率と違うんだと いうことをもっとわかりやすい表現でやってくれないと、少なくとも私はいまだにすん なりと入ってこないですね。それをぜひお願いします。  もう一点は、企業年金に関しまして、49ページに少し言及があるのですが、我々が十 分議論しなかった点もありますが、いかにもこれは短過ぎるといいましょうか、現実に 総合基金中心として厚生年金基金については、今年4月の厚生労働省の改革というのが あったけれども、いまだに非常に苦しんでいることのが現状で、それからいわゆる キャッシュバランス性の導入ということも行ったけれども、まだまだ出口が見えない。 そうするとこれは当然年金部会の一つのテーマだと思いますので、我々も議論しなけれ ばいけないのだけれども、何らかの、もう少し解決策の方向性ぐらいを示さないと、い かにもこれでは企業年金は議論してないということになる。確かに我々のせいもあるの だけれども、余りにも手抜きだという印象を免れないという気がします。  最後にもう一点だけ、先ほど自動調整で人口及び経済変動による両方の試算がありま したが、できるならば、この2つを合わせたものというのはできないのだろうかという 気がします。例えば人口高位推計でいって、経済はAでいくケース。甘い見通しかもし れないけれども、例えばそんな推計といったものも、せっかくここまでやったならば、 併せて出していただければよりわかりやすくなるのではないかという気がします。 ○ 翁委員  今の渡辺委員のご発言に関連して、私は最も厳しい見通しも出していただきたいとい うふうに思っております。いろんな前提を見てみますと、例えば2007年までに名目賃金 0.5、物価0.0 というような見通しで、その後は、またさらに名目賃金が2.0 、物価1.0 という形になっていくというような姿で計算されていますけれども、今のデフレの状況 というのはかなり構造的な部分もあって、国内生産がアジア工業国に代替されていった りとか、人口の伸び率が鈍化して国内消費の縮小トレンドが進むとか、そういった中期 的にも需給ギャップが残るような状況だと思います。足元でも物価はマイナスなのです から、その足元の動向を見ても、また、構造的な要因を見てもデフレはかなり長期化す るのではないかという見方もできると思います。その意味では、2007年までも、また 2008年以降も、もっと厳しい見方で私は試算をした方がいいのではないかと思います。  それから人口推計にしましても、今は高位、中位、低位で行っていますけれども、こ れがさらに下ぶれるという可能性すらやはりあるわけでございます。それから保険料の 引上げに関しましても、ずっとデフレが続いていきますと、この引き上げというのがな かなかできなくなる、そういった状況すら見込めるということだと思いますので、今回 お示しいただいた前提というのは、私はかなり明るい見通しなのではないかという見方 をしております。仮に年金保険料の固定制度、私はこういったやり方を検討するのは評 価しているのですけれども、これを導入すると、さっき大山委員がおっしゃったよう に、現役世代の負担は引き上げられて、給付水準はさらに下がっていくわけですが、そ の前提が外れれば、さらにさらに一段と厳しい給付になっていくということだと思いま す。これは若い世代への年金制度への信頼を損なう可能性もあると思いますので、私は ぜひ厳しい試算値というのを公表して、その上で既裁定者の給付水準が本当にこのまま でいいのかとか、そういったことについても議論をできるような素材を提供していただ けたらというように思います。  あともう一つは、いずれにしても若い世代の年金給付額の大幅カットというのは、こ の試算で避けられないということが見えているわけですから、その意味でも、例えば確 定拠出型年金の拡充など将来世代に対するいろいろな提案といったものを同時に示して いかないと、なかなか若い世代の不安というのは払拭できないのではないかというよう な感じを持っています。 ○ 神代部会長代理  大山委員と小島委員のご意見について、使用者側からも基礎年金については、ある意 味で同じような意見が出ているので、私の方はむしろちょっとお願いをしたいと思うの ですが、この報告書の8ページ、9ページあたりには、年金局の方がこのたたき台をつ くるに当たり、基礎年金を税方式とする考え方をとらない理由は一応書いてあると思う のです。  また、この部会でも春以来ずっと議論している中で、このほかの問題も話題になって いると思うんですね。私はここに書いてないことで一番大きいのは、基礎年金を例えば 目的消費税でやるにした場合の政治的なリスクをどう考えるかということを抜きにして この議論はあり得ないと思っているのですが、このように、税方式というご意見に対し て既に反論が出ているんです。それに対する納得のいく反論をむしろお示しいただかな いと、私は全体の議論は非常に進みにくいと思うんです。要するに議論のすれ違いでか み合わないのではないかと思うんですね。ぜひ、そこのところを本格的にとり上げると いうおつもりなら、先ほど局長が指摘された点も大事ですけれども、政治リスクのこと も含めて、どういうふうにそこをお考えなのかということをむしろお示しいただけると ありがたいと思うんですね。  それから、若い世代の問題なんですけれども、確かに若い世代に負担をお願いしなけ ればいけない状況で、我々年金をもらっている者としては非常に肩身が狭いのですけれ ども、今度出たたたき台の一番大きなメッセージの一つは、給付水準が下がる下がると 言われていますが、そこの辺の表現はもっと慎重にやっていただかないと困る。つまり 所得代替率で見た給付水準は確かに下がらざるを得ない。それ以外に世代間の公平を図 る手段がないからそうしているわけですね。だけれども、名目の年金額そのものが下が るわけではなくて、0.5 とか1とかという非常にわずかな成長でも持続すれば、将来世 代の年金も下がるわけではないんですよと。それが甘い見通しだというふうにおっしゃ る点は、私も全然問題がないとは思えませんけれども、給付水準が下がる下がるという 表現ばかりされるのは、私は世論をミスリードするので、ぜひ、それは何で見た水準を おっしゃっているのかをはっきりさせていただいた方がよろしいのではないかなと思い ます。 ○ 堀委員  新しいスライド方式は手取り賃金総額の伸びで再評価するということなんですが、手 取り賃金総額ですから、少子化の影響によって労働力人口が減れば総賃金の伸びによっ て反映されるということはわかるのですが、この方式で言うと、寿命の延びは反映され ないということになるわけですね。もちろん人口推計で中位推計の中に寿命の延びがあ りますから、当然それは反映されていくということになるのですが、さらに中位推計よ りも寿命が延びると、私はそう延びないと思っているのですが、もし伸びるとするとそ れは20%でおさまらないということになるのでしょうか。高位推計とか低位推計には寿 命の延びもカウントされていると思うんですが、今の考え方で言うと、中位推計の寿命 の延びよりもさらに延びた場合には20%でおさまらない、そういうことでよろしいの か。おさまらなかったから、どのくらいになるかというような推計をしているのでしょ うか。その点をお願いします。 ○ 坂本数理課長  寿命の延びをどのようにとらえていくかということにつきましては、それを別途取り 出して調整していくというご議論もあるところでございますので、それはまだまだこれ からご議論いただくところだと思いますが、ここでの試算での単純な考え方を申し上げ ますと、寿命が延びたということは、それだけ給付の総額が増えるということになるわ けでございます。したがいまして、調整すべき給付額が多くなるということで、調整す る期間を延ばしまして、さらに給付を調整し、最終的な所得代替率はもう少し落ちる と、そのような結果にこの試算ではなろうかと思います。  ただ、そこは最初に申し上げましたように、寿命の延びを今後どういうふうにとらえ ていくか、別の検討テーマはあろうかと思います。 ○ 小島委員  今の堀委員の関連で、今回のマクロ経済スライドという考え方ですけれども、これが 今回のポイントではないかと思っているのです。現行5年ごとの財政再計算にこのマク ロ経済スライドを取り入れれば結果的に最終保険料率が20%に落ちつくというふうに理 解すればいいのではないかと思っています。これはスウェーデンの自動調整システムを 参考にしながらということなんですが、たしかこの報告の53ページ、スウェーデンの概 念上の拠出建て方式と今回の違いについて触れています。そこがまさに自動調整スライ ドをどう考えるかということです。スウェーデンの場合は、堀先生がおっしゃったよう に、毎年の平均余命の延びで年金額を調整し、さらに第二段の調整として人口変動、経 済変動が起こった場合には次の財政均衡システムを発動するというように、二段構えの 調整システムになっている。今回の示されたたたき台の中では、とりあえず人口変動を 加味して、一人当たりの賃金上昇率から0.3 %水準を落とすということで調整する。  そこの違いは、ここの53ページには、日本の場合は段階保険料でこれから引き上げて いく、最終保険料に到達してないからということで説明をしているのですが、それだけ なんですか。最終保険料に向けて段階的に引き上げているから、このスウェーデンが考 えているようなことはとらなかったということですか。 ○ 吉武年金局長  去年、スウェーデンのションベリーさんという当時の社会保障担当大臣が見えて言っ ていたのですが、受給総額を、そのコーホートが65歳に達したときの平均余命で割って しまうという仕組みですね。ですから余命が延びれば年額が減るという非常にドライな 仕組みなんですけれども、これは日本人だとなかなか受け入れ難いのではないかという 質問しましたら、彼の返事は、雇用が伸びるからいいのだということです。つまり元気 になって、65で考えた平均余命が、例えば2年延びたときに、それは67まで働けば減ら ないということです。  スウェーデンですと、例えば女性の雇用も非常に日本と違いますし、高齢者雇用も多 分相当違っている状態があって、日本は端的に申しますと、2025年にかけて65歳支給に 向けて、これから高齢者雇用と年金の接続をどう円滑にやっていくかという社会的に非 常に重要な時期ですから、そういう意味で高齢者雇用の歴史的な発展の中の時期が大分 違うのではないかということがあります。スウェーデン方式というのは、将来は可能性 があると思いますけれども、むしろ65の雇用に達してない日本で、結局、65の支給開始 を66、67にするという発想と非常に同質の問題でありますから、なかなかそこまで今検 討できる状況には日本はないのではないか。 ○ 宮島部会長  スウェーデンには長寿のリスクがないというのですか。 ○ 吉武年金局長  それは選択の問題でもあるのですが、寿命が延びて健康であれば、働く期間が増える という非常にハッピーな状態であれば、受給年額は変わらないのではないかというのが ションベリーさんの基本的なお答えです。 ○ 高橋総務課長  先ほど渡辺委員から出たご質問で、お答えできないままになっていましたが、最初の マクロ経済スライドのやり方でございますけれども、これはこの試算の中での話という ことでございますので、実際に制度を組むときどうするか、少しまた別の問題になりま すが、試算では、一応17年度からやってみるという前提になっています。これはあくま で前提です。ですから、例えば平成20年度に新しく年金受給者になられた方というの は、17、18、19年度の総報酬のデータがありますけれども、それを20年度の賃金水準に 直します。そのときに各年の手取り賃金の上昇率を使うわけですけど、その各年の上昇 率から各年の労働人口減少率を引きます。では、16年度以前の話はどうなっているか。 これは何も今の制度と変わりません。ですから17年度以降の期間が長い方ほど影響が出 てくると、そういう試算になっているということでございます。  企業年金につきましては、これまでは全体に公的年金の議論でございますので、もち ろん今後の議論だという整理にしております。 ○ 宮島部会長  いずれにしても、もう少しわかりやすい説明をお願いする必要があります。どなた か、もう一人。 ○ 井手委員  年金改革の基本的視点の第5番目のところなんですけれども、「少子化、女性の社会 進出、就業形態の多様化等の社会経済の変化に的確に対応できるものとすること」とい うことで挙げられております。言葉だけ読みますとすっと入ってしまって、もっともな ことというふうな印象を持っておりましたのですが、この内容自体は54ページからとい うことになろうかと思いますけれども、ここに書いてあるこの5番目の基本的視点とい うのは、既に起きていること、現在さらに進行している状態に対して対応できるような 年金制度にしましょうということをおっしゃっていると思うのですが、少子化に対応で きる制度をつくるというのは2番のところでおっしゃっていると思いますので、むしろ ここでは年金制度の中で少子化を何とか防いでいこうということを多分書いておられる ような気がしますので、この視点の書き方と内容が少し違うような印象を持ちました。  また、女性の社会進出ということで、関連で3号被保険者制度が出ているわけですけ れども、働く女性が多くなってきたことから、3号いわゆる専業主婦に対する不公平感 とか、そうしたものを踏まえ、応益に着目して制度を変えていこうという点では、女性 の社会進出という点に合っていると思うのですけれども、逆に少子化のことが強調され る余り、女性と年金検討会では第VI案が、こちらの案では姿を消して、むしろ育児期間 に対する配慮措置の拡充ということで、育児休業期間中に対する配慮措置を例えば3号 とか1号の方にも対象とするかどうかということになっています。私、読み方について 確認をさせていただきたいのですが、3号を残したまま、さらに手厚く次世代育成支援 についてやっていこうというふうに読み取れるわけですが、ですから以前のVI案、VI案 というのは、育児、介護等の期間については3号制度を残すというような意味合いだっ たと思うのですが、それと重なり合うというよりは、さらにむしろ次世代育成に手厚い というような意味合いで書かれているのではないかと思います。  そうしますと、どちらかというと、社会進出ということを、年金制度全体で言えば、 支え手が増えるということで歓迎すべきことというふうに評価するべきだろうと思うわ けですが、ここでは少子化を何とか防ぎたいという気持ちが強い余り、むしろ安心して お休みくださいというふうにもちょっと読めるというような感じがいたしました。何と なくこの問題では、短時間労働者に対して適用するというところで支え手が増えればい いなというぐらいが実効的に目指しているような内容なのかなというふうにもとれてし まいまして、少子化、女性の社会進出、就業形態の多様化と並列的に並んでいるのです けれども、実はこの視点というのが一体どういう視点なのか、何を望んでいるのかとい うのがちょっとわかりづらいような気がいたしましたので、少しコメントいただければ と思います。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○ 木倉年金課長  確かにご指摘のように、少子化問題全体に対する対応としては、給付と負担のバラン スのとり方のところにも考え方として敷衍をさせて述べさせていただいておるわけでご ざいますけれども、この最後の部分の次世代育成、3号問題、これは次世代育成のとこ ろにつきましても、少子化に対応して年金制度を維持していく上では次世代の育成とい うことを本質的な問題としてとらえるならば、こういうことをもっと拡充していくべき 議論があるのではなかろうかということで、また提案をさせていただいています。です から少子化を次世代育成だけに反映させた提案の仕方というつもりはなかったのですけ れども、ご議論はいただいていきたいと思います。  それから、育児期間に限るべきかどうかということにつきましては、消したというつ もりはございませんで、61ページの方にも育児期間に関する取扱いをどう考えるのか。 この3号期間のとらえ方として、育児とか介護の期間につきまして、これを応能負担で カバーし合っていくべきかどうかということにつきましては、もちろんご議論いただき たいということで挙げておりますが、これはどうしても先ほどの次世代育成の在り方 で、どういうふうに次世代を育てていらっしゃる方を支援するかということと関連して くるので、この関連も含めながら検討をしていただきたいという意味で、併せて検討す ると書きましたけれども、次世代育成だけを前提にした検討という意味で書いたつもり ではなくて、3号制度の本質として、こういう期間に限るという考え方があるのかどう かも当然ご議論をいただきたいというふうに思っています。 ○ 宮島部会長  これは、これまで論点整理を行っているときに、項目を分けるとお互いに関連すると ころが分割されてしまうというような問題がありました。ひとまとめの方が議論しやす いという面と、書き分けておかないと議論の焦点が曖昧になるという面がありました が、ここは全体としては、相互関連があるということで恐らく一本になったと思いま す。ただ、少子化、女性の社会進出、就労形態の関係、これは、おっしゃるとおり、必 ずしもイコールで結ぶという視点ではございませんので、その点は少し我々も注意する ようにいたします。論点自身をこれから直すということはありませんが、少しその辺の 受けとめ方なり、議論の仕方について、確かに注意しなければいけないだろうと思って おります。  先ほど申しましたように、今日は一通り全体について説明いただき、今日とりあえず 何人かの委員の方々からこれに対するご意見、ご批判も含めていただきました。また、 少し宿題などもございました。来年1月以降でございますが、一応今回で一段落とな り、これからまさに16年度の改正に向けた各論審議というステージに入っていくわけで ございます。先ほど申しましたように、各論というものを総論と切り離して議論すると いうことはできませんから、必要に応じて総論の議論もいたしますし、もし必要であれ ば、次回初めにも総論に関する部分を議論することもしたいと思いますので、今日の議 事はこういう形でお許しいただきたいというように思っております。 それでは、今後 のスケジュールとか議論の進め方につきまして、これは局長の方から、よろしく説明を お願いいたします。 ○ 吉武年金局長  今、部会長からお話ございましたように、この総論的な議論についても、多分次回ま た年明けてからご意見いただくということになると思いますが、ただ、各論の問題もご ざいますので、これも併せてご議論していただく必要があるだろうと思っています。大 まかなスケジュールを申し上げますと、私どもとしては来年の秋、できるだけ早い段階 で、今後の年金部会のご議論、あるいはこれは多分いろいろ各方面で議論が行われると いうふうに思いますが、既にこの骨子については国会の政党についても一応説明いたし ておりますので、そちらでもご議論が始まっていくだろうと思っておりますが、そうい うことを踏まえまして、来年の秋の早い段階には、厚生労働省として改革案の骨子をお 示しをしなければならないだろうと思っています。  そういうことを考えますと、非常に先生方、お忙しいところ恐縮でございますが、年 明けからまた部会を再開していただきまして、できましたら夏ぐらいまでかけまして十 分ご議論をお願い申し上げたいというふうに思っております。  それから、この部会のご議論と並行しまして、例えば、私どもの坂口厚生労働大臣と いうことになると思いますが、閣僚がタウンミーティングという形で、いろんなところ へ出かけまして、生の声をお聞きするということも考えております。それから年金の改 革についてのシンポジウムのようなことも考えておりまして、できるだけ幅広く国民的 な議論がされることを期待いたしております。その際には委員の皆様のどなたかお願い をして、そこにご参加をいただくというようなことになってくるのではないかと思いま す。  私どもの方では、有識者に対するアンケートなどについてもこれからやっていきたい と思っています。そういうアンケート結果などにつきましても、また部会にご報告をし ながら、ご議論を進めていただきたいと思っています。特に今年7月以降、9月、10 月、相当お忙しいところ月2回というようなペースでご議論いただいて大変ご協力いた だいたわけですが、また年明けのスケジュールにつきましては、私どもの方で少し大ま かなスケジュール、あるいは項目といいますか、そういうことについて、年末から年明 けに整理しまして、また部会長、部会長代理とよくご相談しまして、できましたら次の 部会のときに大体の項目と論点についてご相談申し上げたいと思っています。よろしく お願いいたします。 ○ 宮島部会長  総務課長、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。 ○ 高橋総務課長  はい。 ○ 宮島部会長  それでは、時間が少し超過しましたけれども、今日はこれで終わりにさせていただき ます。また、次回以降、来年でございますが、よろしくお願い申し上げます。   厚生労働省年金局総務課企画係  (代)03-5253-1111(内線3316)