02/12/09 薬事・食品衛生審議会平成14年12月9日(月)日本薬局方部会議事録           薬事・食品衛生審議会 日本薬局方部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年12月9日(月) 14:00〜   厚生労働省専用第13会議室 2.出席委員(11名)五十音順  ◎内山  充、 楠  文代、 倉田  毅、 合田 幸広、  ○武田  寧、 富田 基郎、 早川 堯夫、 政岡 俊夫、   松木 則夫、 水柿 道直、 吉田 仁夫   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   乾  賢一、 菅家 甫子、 長谷川 鉱司、前田 昌子 3.行政機関出席者   安倍 道治(審査管理課長)、豊島  聰(審査センター長)、   金子 和代、 千葉 信夫、 中島 宣雅  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長  定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会日本薬局方部会を開催さ せていただきます。委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中、また足下の悪い 中御出席いただきまして誠にありがとうございます。  第十五改正日本薬局方に関しましては、昨年11月に本部会の御審議を経て、薬事・食 品衛生審議会から御答申いただいた日本薬局方作成基本方針におきまして、その方向性 及び今後検討すべき課題をお示しいただいております。これを踏まえて、本部会の下に 置かれている総合委員会等で基本方針に沿った作成を進めるとともに、検討課題につき まして活発な議論が現在までになされてきております。本日はこのような総合委員会に おいて議論した結果を踏まえ、答申で示された検討課題の対応方針等を取りまとめて、 今後の日本薬局方の在り方について、御審議いただく予定としております。よろしくお 願いいたします。  なお、本日は15名の委員のうち11名の御出席をいただいております。乾委員、菅家委 員、長谷川委員、前田委員からは、事前に御欠席との御連絡を頂いているところでござ います。それから御承知のとおり、本会議は公開で開催いたします。それでは内山部会 長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○内山部会長  部会長の内山でございます。では、これから日本薬局方部会を始めさせていただきま す。ただいま課長からお話がありましたように、お手元の資料1の一枚目を開けていた だきますと、12月3日付けで厚生労働大臣から日本薬局方の改正についての諮問書が出 ておりまして、今日はこれに基づいて皆様方に御意見を頂きたいと思っております。そ れでは最初に事務局から配付資料の確認をお願いします。 ○事務局  それでは事務局より配付資料の確認をさせていただきます。まず当日配付資料といた しまして、一枚紙で議事次第、座席表、委員名簿でございます。それから資料1といた しまして、先日お送りさせていただいた「今後の日本薬局方の在り方について(案)」 を、パブリックコメント等を踏まえて一部変更したものを御用意させていただいており ます。それから資料2、「今後の日本薬局方の在り方について(案) 説明資料(新旧対照 表)」ということでございます。それから資料3、「『今後の日本薬局方の在り方につ いて(案)』に関する意見と対応(案)について」でございます。最後に参考1ということ で「日本薬局方作成基本方針」、これは先ほどお話の中に出てきました平成13年11月に 先生方にまとめていただいた答申でございます。以上でございます。 ○内山部会長  それでは審議事項に入ります。本日の審議事項は一つだけでありますから、この「今 後の日本薬局方の在り方について(案)」につきまして、まず事務局から説明をお願いい たします。 ○事務局  それでは、本日配付させていただいた資料1〜3及び参考資料を用いまして御説明さ せていただきます。先ほどのお話にありましたとおり、平成13年11月、この部会の御審 議を踏まえまして薬事・食品衛生審議会から、参考1にある「日本薬局方作成基本方針 」を御答申いただきました。この答申の中には今後の方向性と共に、今後の検討課題に つきましても御指摘いただいております。本日はその検討課題を中心にいたしまして、 今後の日本薬局方の在り方について御審議いただくものでございます。  資料2の方に「説明資料」とありますが、一枚めくっていただきまして1ページに 「『今後の日本薬局方の在り方について(案)』説明用資料」ということで、「指摘課題 」、「現行制度」、「第15改正以後」という形で分けさせていただいております。「指 摘課題」につきましては、平成13年11月にまとめていただいた先生方の御指摘を踏まえ て、どのようにやっていくのかということで指摘事項を書き出しております。一番最初 に「1.役割(位置付け)」、それから「2.収載品目の選定基準」、「3.収載時期」、 「4.既承認医薬品の見直し」、「5.構成」、「6.他の規格書との関係」、「7.通 則、総則」、「8.一般試験法の構成」、「9.各条規格の作成方法」、それから「10. 参考情報」と、非常に幅広い部分について御指摘いただいております。本日はこの資料 1〜2を中心に御説明をさせていただいて、最後に11月に関係業界を含めた関係者に御 意見を伺わせていただいたパブリックコメントへの対応について、御説明させていただ きたいと思っております。  それでは資料2の要約、資料1に全文がございますので、両者を対比させながら御説 明させていただきたいと思います。まず資料1でございますが、諮問書をめくっていた だいてページ数が書いてあるところ、1ページのところから御覧ください。まず、 「1.日本薬局方の役割」でございます。薬事法に基づきまして、現行制度では医薬品 の品質確保が日本薬局方の役割になっております。第十五改正以降、今後につきまして はこの品質確保に加え有用性を考慮、それから品質分野の国際調和を進めていくべきと いう内容になっております。  簡単に中身の方も読ませていただきます。「日本薬局方については、薬事法第41条及 び第56条において、医薬品の性状及び品質の適正を図るために作成されること、日本薬 局方に収められている医薬品であって、その性状又は品質が日本薬局方で定める基準に 適合しないものについては、販売、製造等を禁止する旨などが規定されている」。ま た、様々な分野でこの日本薬局方が品質確保のために使われているということが書いて ございます。3段落目といたしまして、「このような日本薬局方の法的位置付け及び活 用の状況から、現時点における日本薬局方の役割は、日本で流通する医薬品の品質を確 保することということができよう。日本薬局方の今後の役割については、医薬品の品質 分野の国際調和が積極的に進められている状況を踏まえ、さらに通則、製剤総則、一般 試験法及び医薬品各条の充実を図り、当該分野における国際調和の核としての役割を果 たすべきである。また、今後は医薬品の品質のみに着目するのではなく、2.に示すよ うに有効性・安全性の観点から優れた医薬品の収載を進め、保健医療上重要な医薬品を 収載した日本薬局方を整備していくべきである。この結果、日本薬局方の新たな役割と して、保健医療上重要な医薬品を規定するものとの位置付けを確立すべきである」とい う形になっております。  次が収載品目の選定基準でございます。「2.保健医療上重要な医薬品の全面的収載 による充実化」というところを御覧ください。「日本薬局方が1.に記載した役割を果 たすためには、日本薬局方への保健医療上重要な医薬品の全面的な収載が重要な課題で ある。ここで言う保健医療上重要な医薬品とは、有効性・安全性に優れているものであ り、医療現場において不可欠なものと言い換えることができる。具体的には、優先審査 がなされた画期的な新薬、諸外国で既に広く利用されている必須医薬品などがその代表 的なものと考えられる。また、再評価により有効性、安全性及び品質が確認された医薬 品についても収載されるべき保健医療上重要な医薬品の候補としてみなされるであろう 」としております。少し飛びますけれども、その上で日本薬局方収載規則というものを 具体的に収載すべきであるという形になっております。  まず、これから新規に承認されるものということで、「(1)新医薬品(今後、新有効 成分含有医薬品、新医療用配合剤及び新剤型医薬品として承認される医薬品)に係る収 載規則」でございます。資料2の方に対比表がございますが、今まで原則として再審査 期間の製品については収載しないという形になっておりました。そういう意味では、こ この部分が新しいところになります。「新医薬品は、一般に一定の医療上の役割を有す ることを前提に承認されている。したがって、優先審査対象品目や既に国際的に流通し ている医薬品を中心に原則として日本薬局方に収載するべきである。しかしながら、収 載時には流通実績が少ない場合、有効性・安全性・品質に大きな問題があると考えられ る場合、その他保健医療上重要な医薬品とみなすことができない場合等については、日 本薬局方への収載は慎重に検討すべきである。収載時期は、収載規則を勘案し、承認後 一定の期間を経たときとし、例えば、市販直後調査終了後の適切な時期とする。また、 米国薬局方が市販後2〜4年程度を目途に収載を進めていることも勘案すべきである。 収載の効率化を図るためには、承認申請時にその日本薬局方原案の提出を求め、承認審 査の一環として内容の確認を行うことも検討すべきである」という形になっておりま す。  それから次に、「(2)既承認医薬品に係る収載規則」でございます。既承認の医薬品 につきましては、原則として私ども内規の方で今まで再審査期間終了後5社以上で販売 しているものという形での運用を進めてまいりました。ここでございますけれども、 「既承認医薬品については、原則として、優先審査がなされた画期的な新薬など医療上 必要性が高いと考えられる医薬品から、以下の点を考慮しつつ、順次、収載すべきであ る。諸外国でも広く利用されている医薬品については、一般に日本における医療上の必 要性も高いものと考えられる。したがって、既承認医薬品のうち米国薬局方(USP)や 欧州薬局方(EP)に収載されている品目については、優先的に収載すべきである。再評 価により有効性、安全性及び品質が確認された医薬品であり、汎用性があると認められ た医薬品についても収載を進めるべきである。また、日本薬局方外医薬品規格(以下、 『局外規』という。)等の他の規格書に収載されている品目については、既に公的な検 討会等において品質規格の設定がなされているものであることなどから、積極的に収載 すべきである。なお、既承認医薬品で局外規等の他の規格書に収載されていない医薬品 については、医療現場における繁用度、医療上の重要性を確認の上、収載を行うことと する」ということです。  次に「(3)既収載医薬品の収載見直し」についてです。「日本薬局方に収載されてい る医薬品の見直しは、適宜行うことが望ましいが、収載品目数が多いことから、優先順 位を決めて定期的に見直しを行うべきである」と。また、削除の方もしっかりやってい くべきであるという内容になっております。  次に「3.日本薬局方の構成」でございます。今まで薬事法におきましては、第一部、 第二部という形で薬事法の第41条にその構成に係る規定を定めておりました。具体的に は、「第一部は、主として、繁用される原薬たる医薬品及び基礎的製剤を、第二部は、 主として、混合製剤及びその原薬たる医薬品を収めること」とされておりました。薬局 方はもう既に115年以上の非常に長い歴史がありまして、これは歴史的に「旧薬局方」 及び「旧国民医薬品集」の系譜を反映するものということで、そういった分類になって いたわけございます。しかし、最近の医薬品の進展、科学技術の進展に伴いまして、バ イオ医薬品を始めとする多様な医薬品が開発されているという状況から、収載品目の性 質に着目して弾力的に日本薬局方の構成の変更を行う必要性が指摘されてきているとこ ろでございます。  4ページでございます。このような状況を踏まえまして、平成14年の薬事法改正で は、こういった法律に基づく第一部、第二部の規定が削除されております。ここに新し い規定といたしまして、作成方針の中で明確にするということで、「第十五改正日本薬 局方の構成については、現在の医薬品開発の状況にかんがみ、また日本薬局方利用者の 利便性向上に資する観点から、化学薬品等、生物薬品及び生薬に三分類し、各部におけ る医薬品各条の収載順序は、原則、五十音順とすべきである」という形になっておりま す。  それから次に、先ほど局外規というものが出てきましたが、「4.医薬品に係る他の 基準書・規格書との関係」でございます。薬事法の規定に基づき、医薬品の規格を定め るものといたしましては、薬事法第41条に基づく日本薬局方のほか、薬事法第42条に基 づく生物学的製剤基準といったものがございます。そのほか、通知により医薬品の規格 を定めるものとして、日本薬局方外医薬品規格、それから日本薬局方外生薬規格、医薬 品添加物規格などがございます。これらの規格書あるいは基準書については、その整合 性の観点からかねてより議論がなされているところでございます。薬事法の第42条につ きましては、法律上その条文の中で定義がございます。他方、日本薬局方外医薬品規格 (局外規)等の通知に基づく各種規格につきましては、その位置付けは必ずしも明らかで ないこと、その収載品目が日本薬局方収載品目とその性格に大きな相違がないことなど が指摘されております。今後、日本薬局方への保健医療上重要な医薬品の収載が進めば その必要性が低くなることも踏まえ、原則として廃止の方向で検討を行うこととし、存 続させる場合にはその位置付けを明確にすべきという形になっております。  続きまして、「5.通則の策定方針」及び「6.製剤総則の策定方針」、「7.一般試 験法の策定方針」でございます。今まで通則、総則、一般試験法といったものは局方の 中で当たり前に使われておりましたが、明確な定義がございませんでした。前回の御指 摘を踏まえて、ここに定義等を書かせていただいております。「通則は、局方全般にか かわる共通のルールを定めたものである。通則の構成については、品質規格に共通する ものを適切な順に記載し、次いで各条項目に係る内容のものについては、各条の項目順 に記載すべきである。なお、通則の改正については、すべての医薬品に共通するあるべ き姿を念頭に置き、表現方法等全般に及ぼす影響に考慮し検討を行うべきである」とい うことでございます。  それから「6.製剤総則の策定方針」でございます。「製剤総則は、製剤に関する共 通のルール及び各種剤型ごとの定義、製法、保存方法等を規定しており、新規開発医薬 品を含め、医薬品の剤型の基本を成すものである。製剤総則は、製剤通則と製剤各条か ら構成される。製剤通則は、製剤に関する全般的な内容を規定する。製剤各条は、五十 音順で配列し、剤型の定義、製法、剤型に対して要求される試験法、保存方法等を規定 する。なお、製剤総則の改正については、新技術や医療需要に対応できるように又薬事 行政上、他の規制に対する影響も考慮して検討を行うべきである」という形になってお ります。  それから「7.一般試験法の策定方針」でございます。「一般試験法は、医薬品各条 に共通する試験法、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれに関連する事項を規定す る。一般試験法の構成は、原則として、各試験法をカテゴリーに分類し、固定番号を付 して番号順に配列すべきである」ということでございます。現行は固定番号という形で はありませんで、一回一回の改正ごとに番号が入れ替わるという問題点がございまし た。今後につきましては、改正ごとに番号が替わって医療現場等あるいは製薬企業等に 混乱を来さないような形で、固定番号を付そうということでございます。  それから「8.医薬品各条規格の策定方針」でございます。「現在、日本薬局方に収 載されている多くの医薬品は、収載後、承認不要医薬品として指定されることを前提と して規格が整備されてきた。このため、原則として、収載医薬品の多くには、承認に必 要なすべての規格が規定されてきた。しかしながら、種々の医薬品の開発が進み、医薬 品の製法技術も多様化していることなどから、細部にわたる医薬品の品質規格を設定す ることが困難な場合も生じてきている」ということでございます。次の6ページに移ら せていただきますが、こういった状況を踏まえまして、「今後の医薬品各条規格の策定 においては、日本薬局方の目的に照らし、科学水準の向上に伴い、定期的な見直しを行 うこととし、承認に必要なすべての規格を設定する従来の各条規格の策定方法に加え、 各条規格の設定をより柔軟に考え必要に応じて品質確保の目的を達成することのできる 策定方法を採用できることとすべきである。具体的には、上述の『工程由来不純物』に 対する純度試験の試験方法及び規格値の例などでは、日本薬局方通則30による『別に規 定する』を適用し、薬事法に基づく承認等の際に規定すべきである」という形になって おります。  それから次に「9.参考情報の有効利用」でございます。参考情報は薬局方の告示対 象の外側で、通知で定められているものでございます。今までの位置付けは単に必要な 参考事項、参考となる試験法を載せるという内容になっておりまして、より具体的にど ういう使い方があるのかということを、ここで御検討いただきたいと考えてございま す。「参考情報については、医薬局長通知により日本薬局方の附録として位置付けられ ているものである。日本薬局方と一体として運用することにより日本薬局方の質的向上 や利用者の利便性の向上に資することができる」と。具体的な有効利用の方法として は、(1)〜(4)が考えられるということでございます。(1)としまして、通則等重要な 部分の解説あるいは補足を行うと。その結果、より理解できるものにするということで ございます。(2)としまして、バイオ医薬品等の新しい技術を応用して開発された医薬 品の品質評価に必要な新試験法などにつきまして、収載するということになっておりま す。  それから「10.その他」ですが、3点ほどございます。まず、「(1)国際調和の推進 」ということで、7ページでございます。国際調和の推進ということで薬局方の調和会 議(PDG)と、それからアジア地域を中心に最近開始されました生薬調和フォーラムの 二つについて、積極的に支援していくという内容になっております。それから、「(2) 日本薬局方の普及」につきましては、少なくともインターネットを活用して早くホーム ページを作るべきだという内容になっております。それから、「(3)日本薬局方標準品 の設定」ということでございます。こちらについても、今後更に検討していくべきだと いう内容になっております。  なお、大変恐縮でございますが、資料2に一部間違いがありましたので修正させてい ただければと思います。1ページの3の(1)、一番右側の「第15改正以後」というとこ ろでございます。こちらの2段落目に、「承認申請時に企業原案を提出し、承認申請時 に併せて審査をすることも検討」と書いてございますが、一番最後の部分につきまして は「承認審査の一環として内容を確認することも検討」という形でございます。本文自 身はそのような形に変わってございます。それから2ページの「5.構成」の「第一部 」、「第二部」、「第三部」というところ、この日本薬局方部会の前に私ども日本薬局 方調査会の総合委員会にかけて審議をしておりましたが、「第一部」、「第二部」、 「第三部」という言い方は、今までのものとの区別が少し分かりづらいのではないか と。「第一部」、「第二部」、「第三部」という言い方をしないようにと言われており ます。ですから、この言い方は便宜的に用いているということを御了承いただければと 思います。  それでは資料3の御説明をさせていただきたいと思います。こちらは今回御検討いた だくに当たりまして、事前に一般からの御意見を頂いたもの、それから私どもの方でそ の御意見に対する対応として考えたものでございます。1ページを開いていただきたい のですが、1の収載時期にかかわる問題として、その例示として「市販直後調査終了後 」という記述がございました。この記述については少し早過ぎるのではないかと、例示 として余り良くないのではないかということでございました。したがいまして、本文中 では「適切な時期とする」の後ろに、「また、米国薬局方が市販後2〜4年程度を目途 に収載を進めていることも勘案すべきである」という文を入れて修正させていただいて おります。  それから2でございますが、これから局外規を廃止の方向でという内容になっている が、より具体的にどうしていくのかということを書いた方がいいのではないかとの御意 見です。こちらにつきましては、そこの項目ではなくて2の(2)に、局外規収載品目に ついては、医療上必要性のあるものについて日本薬局方に順次収載をしていくという記 載がございますので、特段修正をしておりません。  それから3につきまして、本日のものではもう既に削除しておりますが、各条の作り 方で生物学的製剤のみが例示として挙げられていました。生物学的製剤のみという認識 を与えるので、その部分につきまして例示部分を削除して一般的記載のみとしておりま す。  それから2ページでございます。改正薬事法との関連が明らかでないということで、 具体例として一点お示しいただいております。具体例につきましては、法律上は薬局方 とは異なった内容のもの、すなわち薬事法第14条に基づく基準との関係ということで、 今回の日本薬局方の在り方のところでは、検討しないという位置付けで対応させていた だきたいと考えてございます。  それから5につきましては一部修正をして、本文に盛り込ませていただいておりま す。「承認申請時の日局原案の提出、審査はやめてもらいたい」ということでございま す。といいますのは、日局を審査することによって承認が遅れるからという理由でござ いました。したがいまして、「承認審査の一環として内容の確認を行うことも検討すべ きである」という文章で対応させていただこうと考えております。長くなりましたが、 以上でございます。御審議をお願いいたします。 ○内山部会長  ありがとうございました。お聞きのとおりで、これが第十五改正日本薬局方の作成に 当たりましての日局の在り方ということになります。御覧いただきましたように、これ までの薬局方の姿とはかなり変わってきているところがございます。御覧いただいてお 分かりと思いますが、今説明があったそれぞれの点につきまして何か御質問なり御意見 がございましたら、どうぞお願いいたします。文言で直した方がいいと思われるところ がありましたら御指摘ください。これは直してから次の段階に進みたいと思います。 ○松木委員  松木ですけれども、2ページの「日本薬局方収載規則」の(1)です。「原則として日 本薬局方に収載するべきである。しかしながら」のところで、「有効性・安全性・品質 に大きな問題があると考えられる場合」の「・」の解釈の問題なのですけれども、これ は「又は」ということなのか、「かつ」ということなのかによってニュアンスがちょっ と違ってきてしまうと思うのです。例えば非常に有効で非常に安全だけれども、品質の 保持にはちょっと問題があるというものは、逆に積極的に収載すべきだと思いますの で、この「・」の意味はいかがなものなのでしょうか。 ○事務局  これは「又は」という意味で書かせていただいています。 ○内山部会長  ですから「・」でない方がいいですね。「・」というのは全部共通で議論するときに 使うやり方だから、読点の方がいいかもしれませんね。あるいは「有効性、安全性又は 」とそこに入れておけばよろしいですか、松木先生。御理解いただけますか。 ○松木委員  そうしますと、有効で安全でも品質に大きな問題があると載せない方向で行くという ことでしょうか。 ○内山部会長  ただいまの松木先生のお話は、品質にばらつきがあったら積極的に局方に載せて、一 定の品質を保った方がいいのではないかということでしょうけれども、この場合の品質 というのは品質に再現性がないというような意味です。したがって、それほど有効性、 安全性に影響するほどのばらつきがあったら、当然医薬品にはなりませんので、そうい う傾向がある医薬品の場合には、品質の安定性あるいは再現性が保たれないという意味 で、局方には不向きと判断していたようです。 ○松木委員  分かりました。 ○内山部会長  それでは、ここは「有効性、安全性又は」にしていただきましょう。ほかに解釈の確 認が要るところがありましたら、どうぞ御遠慮なく。 ○吉田委員  3ページの中段の「(3)既収載医薬品の収載見直し」ですが、できたらもう少し具体 的にこの内容について説明していただけますか。 ○事務局  先生方に申し上げるまでもございませんが、現在の日本薬局方は1,300品目以上ござ います。やはり日本薬局方の場合、法律の中で少なくとも10年ごとに全面的な見直しを 行うという形になっていますので、見直しをしっかりやっていく必要があるだろうと認 識しております。一方で、その1,300という多い品目について一度に見直しをするのは なかなか難しいので、当面は優先順位を決めて定期的に見直しを行っていく形をとるべ きであるということでございます。また、削除の部分につきましては、特に安全性の問 題などが生じて回収など既に市場に出回ることが許されないようなものにつきまして は、緊急的に削除等の対応をとるということを考えております。 ○吉田委員  例えばこれである時期に削除されると、その時期からこれは収載されないことになり ますね。歴史的に抹殺されるということですか。 ○事務局  万一、一度回収等がされて、再度また医薬品としての有効性などが認められて市場に 出た場合は、前の方に記載がある収載規則に従いまして、新しく修正されるということ かと思います。 ○吉田委員  分かりました。 ○内山部会長  収載見直しといいますのは、収載するという方と削除するという方と両方ここでは入 っておりますから、医薬品としての承認に連動しているとお考えいただいても結構だと 思います。よろしいですか。  私の方から二、三、確認事項のようなことで申し上げます。ただいま御質問いただい た点も、確かに文言上はちょっと解釈の説明が必要だったかもしれませんが、5ページ に「7.一般試験法の策定方針」があります。これを御覧いただきますと、構成をカテ ゴリーに分類して番号を付けるというのは当然のことなのですが、上の2行、「医薬品 各条に共通する試験法、医薬品の品質評価に有用な試験法及びこれに関連する事項」と いうのが一般試験法の採用の条件になっております。これは前からそういう方針でやっ ていたつもりではおりますが、医薬品各条に採用されていない試験法でも、医薬品の品 質評価に有用なものは一般試験法に収載するという意味でございますので、御承知おき をいただきたいと思います。それが一つです。  それから先ほどパブリックコメントの説明をしてもらいましたが、資料3の2ページ に「4.改正薬事法との関連が明らかではない」と。それはいろいろなところだと思い ますが、「具体例の一つとして、原薬等登録原簿と現在承認不要品目として指定されて いる局方収載原薬との関係が」と書いてありますけれども、その辺に関しましては資料 1の5ページ、「8.医薬品各条規格の策定方針」を御覧いただきたいと思います。こ れまでは「承認不要医薬品として指定されることを前提として」、「収載医薬品の多く には、承認に必要なすべての規格が規定されてきた」と最初の3行に書いて、その次に 「しかしながら」、今後は製造方法が違うと不純物も違うことがあるからというくだり がございます。ここは先ほど事務局からは飛ばして説明してもらったのですが、結局こ れがその次の6ページにつながって、「承認に必要なすべての規格を設定する従来の各 条規格の策定方法に加え、各条規格の設定をより柔軟に」とは、必要に応じてほかの品 質規格を加えることができるような、いわゆるコアを形成する部分だけの収載もあり得 るという意味でございます。結局これが局方収載のコア部分とマスターファイル収載の ノウハウの部分との関係を表しておりますので、先ほどのパブリックコメントに対する 答えが5ページの下から6ページの上にかけて書いてあると御理解いただきます。  それからちょっと読んでいる間に気が付きましたが、字を直してもらいたいところが ございまして、先ほど直しました4ページの上から6行目になります。ここに一部、二 部、三部というものを廃止して「三分類し」、その次に「各部における」と書いてあり ますが、これはせっかく廃止した「部」となっていますので、「各分類における」にし てください。ほかにお気付きの点がありましたらどうぞ。 ○合田委員  これは基本方針を受けて作っているのですね。 ○内山部会長  そういうことです。 ○合田委員  「日本薬局方作成基本方針」の最初の「1.役割と性格」で、第2パラグラフの最後 のところに「公共の規格書としての性格を有するとともに、国民に医薬品の品質に関す る情報を公開し、説明責任を果たす役割を持つ」という言葉があります。この部分が、 「今後の日本薬局方の在り方について(案)」の「1.日本薬局方の役割」の中のどの部 分で実際に盛り込まれているのかを教えていただきたいのです。 ○内山部会長  事務局、いいですか。 ○事務局  今回の基本方針を受けたまとめの中では、この基本方針で検討すべき事項について特 に重点的に行いました。そういう意味で、ここの「公開」という部分の具体的な内容に つきましては、私どもの記載の中身では一番最後の「10.その他」で、「(2)日本薬局 方の普及」というところがございます。日本薬局方の普及について、「早急にその具体 的な方法を検討すべきである」ということで、もう一つはインターネット等の活用で早 期に公開を行うべきであるという形でございます。申し訳ございません、具体的な方法 についてはもう少し検討する必要があるという認識でございます。 ○内山部会長  品質に関する情報公開ということですから、本文でなくてもいいかもしれませんね。 ほかにございましたらどうぞ。 ○武田部会長代理  普及にもかかわるところですが、「10.その他」の「(2)日本薬局方の普及」の前に 「(1)国際調和の推進」という項目がありまして、この中に「積極的な対応を図ってい くべきである」と盛り込まれているかと思いますけれども、英文版の刊行につきまし て、やはり在り方として記載されてはいかがかということでございます。英文版につき ましては前回にも話題になったところですので、「国際調和の核としての役割」を担う ものであるということが「1.日本薬局方の役割」のところにありますけれども、やは り英文版が発行されないとそのような役割も果たしにくいかなと思われますので、御検 討いただければと思います。 ○内山部会長  今日は報告事項になっていますけれども、この前吉田委員からも御質問がありました から、もし御賛同いただければやはり英文版を入れた方がいいですね。英文版のことは やはり皆さんが気にしていらっしゃるし、英文版の早期刊行あるいは早期出版を含めて というような言葉をどこに入れるかですが、一番最後の「(1)国際調和の推進」のとこ ろに入れるか、あるいは一番上のところしかないですね。そこは役割だからちょっと難 しい。そうすると、「(1)国際調和の推進」のところでいいですか。 ○事務局  あとは7ページの「(2)日本薬局方の普及」というところ…。 ○内山部会長  (1)か(2)ですね。「日本薬局方の普及については、日本薬局方作成基本方針を踏ま え」、「英文版の作成をも含んで」、「早急にその具体的な方法を」…。「英文版の早 期刊行」と、「早期」という言葉を入れた方がいいですね。 ○武田部会長代理  ちなみに申し上げますと、第十四改正日本薬局方作成基本方針の中に、「日本薬局方 の国際化の観点から、英文版の早期発行は必須の要件であり、同時発行を目標にできる 限り早期に英文版を発行できるよう事務局は努めること」ということが、十四局の基本 方針にございます。 ○内山部会長  これは前回の部会でも申し上げましたけれども、十三局が非常にうまくいったものだ から、十四局でも同じようにやろうと書いたのです。これは後ほど報告がありますが、 前回吉田委員の御質問にお答えしたように全く別の理由で遅れているということですか ら、文章はよろしいですね。ただこれは在り方ですから、ここに「事務局が努めること 」と書くわけにはいきません。今のはどの部分に書いてあったのですか。 ○武田部会長代理  十四局のときは「その他」でした。 ○内山部会長  「その他」の1番だったのですね。では今回も…、「(1)国際調和の推進」がいい か、「(2)日本薬局方の普及」がいいか、両方に関係があるわけだけれども、どちらが いいでしょうか。 ○審議官  普及ではないでしょうか。 ○内山部会長  そうですね、国際的な普及、国内的な普及、両方とも普及だから(2)の方でしょう か。それでは国際的な普及という意味で、「日本薬局方の普及については」のところに 入れてください。文章はお任せします。これは事務局に文章を作ってもらって、恐れ入 りますが、最終的に部会長が判断をして決めさせていただきます。趣旨としては、「英 文版の早期発行を」という言葉を入れてもらいましょう。そのほかにどうぞ。 ○水柿委員  英文版と日本語版のときに、五十音順の英語というのはどのようになるのですか。 ○内山部会長  今までは英文版は当然ABC順です。ですから、日本語版と英語版の並びは全く違っ ていたのです。これからも恐らく違うことになると思います。 ○水柿委員  違うもので行くわけですね。 ○内山部会長  これまでずっとそうなっておりますし、五十音順に英語を書くとそれこそ何が何だか 分からなくなりますので、英文版はABC順です。ただ一つ申し上げておきたかったの は、十四局までは英文版の方が通則が一つ少なかったのです。前に申し上げましたでし ょうか。なぜかと言いますと、要するに通則というのは、これは第十四改正日本薬局方 と称するなどと名前が書いてあるのです。ところが、二番目にこれの英文名は 「Japanese Pharmacopoeia Fourteenth Edition」だと書いてあるのです。それを英文 版では除いてしまっているのです。ですから、十四局までは通則が全部一つずつ繰り上 がっているのです。でもそれはちょっとおかしいから、十五局からは英文版の名前はこ うであるというものも当然入れてもらって、通則は日本語版も英文版も番号をそろえる ようにしてもらうことになっております。それから今度一般試験法は番号になりますか ら、それは変わりません。しかし、製剤総則や各条はあいうえお順ですから順番が変わ ります。  ほかにいかがでしょうか。言葉もよろしいでしょうか。間違っていなければそれでよ ろしいかと思います。御意見がなければ、先ほどの英文版早期発行ということを加えて いただきまして、事務局に修正をしてもらいます。それから武田委員の御了解を得た上 で、私の責任で取りまとめて最終案にさせていただきます。よろしいでしょうか。それ ではこれで内容を御了解いただいたことといたします。これは今月末に行われる次回の 薬事分科会に、報告事項として取り扱われるということでございます。ありがとうござ いました。  それでは次に報告事項に移ります。事務局から説明をどうぞお願いいたします。 ○事務局  二点、報告事項の御説明をさせていただきます。一点目は「第十四改正日本薬局方第 一追補からの削除について(訂正)」でございます。申し訳ございませんが、資料は特段 御用意させていただいておりません。前回、イクタモールにつきまして使用実態がない ということで削除の手続を取らせていただきましたが、再度確認をしたところ、現在ま だ市販をされております。大変恐縮でございますが、削除の方を取りやめさせていただ きたいと考えております。申し訳ございません。  それからもう一点、「英語版第十四改正日本薬局方について」ということでございま す。前回と今回の御議論の中で、国際化を目指すのであればできるだけ早く作るべきで はないかという御指摘を頂きました。本日こちらの方に日本薬局方の英語版を御用意さ せていただきました。大変荷物になりますので、各先生方にはこちらの方から別途郵送 させていただきます。よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○内山部会長  前回の吉田委員の御質問の答えになっていますか。よろしいですか。次からはこの 「在り方」にもそう書かれてしまいますから、何とかして作業と別の理由で遅れないよ うにしていただきたいと、それをお願いいたします。  それからただいまの第一追補からの削除の撤回ですが、この次に出てくる第一追補に はもう載ってくるということですか。 ○事務局  引き続き収載されているということでございます。 ○内山部会長  前回お話がありましたけれども、第一追補の予定が何か分かったらちょっとお話しく ださい。 ○事務局  今後の予定でございますが、前回御説明いたしましたように、12月末に予定どおり第 十四改正日本薬局方第一追補の告示をさせていただきます。そして、翌年1月1日から 施行させていただく予定としております。また、内山部会長からお話がありましたとお り、今回御審議いただいたものにつきまして、今月末の薬食審の方に御報告させていた だいて、その後今回の答申を踏まえた対応について通知等で関係者に周知徹底する予定 にしております。以上でございます。 ○内山部会長  それから前回も御質問がありましたが、その第一追補が12月末に出ますけれども、こ れの英文版は比較的早く出るのですか。予定がありましたら…。 ○事務局  今年いっぱいに内容的なものを固めまして、来年度早い時期に適切な処理をして出さ せていただくというふうに考えております。 ○内山部会長  4月以降になるけれども、なるべく早い時期に出るということですね。ほかに何か御 質問はありますでしょうか。事務局、何か追加はありますか。 ○事務局  特にございません。 ○内山部会長  それでは本日の審議事項を終了したことになります。では本日の部会を終了させてい ただきます。ありがとうございました。                                     ( 了 )      連絡先:医薬食品局審査管理課 課長補佐 上野(内線2738)