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参考資料4


給水装置の鉛に係る構造材質基準の省令改正


1.改正の背景

   鉛の水道水質基準については、現行基準値である0.05mg/lを定めた平成4年の基準改正時に、概ね10年後に0.01mg/l以下とすべきとされたところであり、本年3月27日に公布された水質基準を定める省令の一部を改正する省令により、鉛の基準値は0.01mg/l以下と改正され、平成15年4月1日から施行されることとなった。
 この改正を受けて、水道法施行令第5条第2項の規定に基づき定められている給水装置に係る鉛の浸出性能基準についても、本省令により所要の改正を行うものである。


2.改正の概要

   給水装置の浸出性能等の構造・材質の基準については、給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省令第14号)に定められている。
 この省令に定められている浸出性能基準のうち、鉛に関する基準を以下のとおり改正するものである。

  
  現行基準 新基準
水栓その他給水装置の末端に設置されている給水用具 0.005mg/l以下
※0.047mg/l以下
0.001mg/l以下
※0.007mg/l以下
給水装置の末端以外に設置されている給水用具、又は給水管 0.05mg/l以下 0.01mg/l以下

主要部品の材料として銅合金を使用している水栓その他給水装置の末端に設置されている給水用具の浸出液に係る判定基準

3.基準値の考え方

   末端給水用具については、給水装置からの有害物質の浸出は極力少なくするべきこと、水道の原水、浄水処理用薬剤、水道施設及び給水装置の材料等の他の浸出原からの寄与が大きな割合を占める可能性があることから、アメリカNSF規格の考え方に準拠し、十分な安全性を考慮して、滞留状態での補正値が水道水質基準値の10%を超えないこととし、基準値を定めている。
 また、銅合金を主要部品の材料として使用している末端給水用具については、鉛、銅及び亜鉛に係る補正値が水道水質基準値の10%を超えるおそれがある。しかしながら、銅合金は、これまで給水装置材料として広く一般的に使用されてきていること及び加工性等の面から現状において代替材料がないことから、特例として、一般的な水道水中の濃度に給水用具からの浸出を加えても水道水質基準値を超えないと考えられる値を基準値とした。
 一方、給水管及び末端給水用具以外の給水用具に長時間滞留した水は、水洗トイレや風呂において水が使用されるとすべて流出するため、滞留水が実際に飲用される確率は末端給水用具に比して極めて低いことから、滞留状態での補正値が水道水質基準値を超えないこととし、基準値を定めている。
 なお、今回の改正における基準値の考え方は、従来のものと変更はない。

※補正値: 給水装置の構造及び材質の基準に係る試験(平成9年厚生省告示第111号)第2の4に定める補正値


4.省令の施行日

   水質基準に関する省令の一部を改正する省令の施行日に合わせ、平成15年4月1日としている。


5.経過措置の考え方

   改正省令の附則では、「この省令の施行の際現に設置され、若しくは設置の工事が行われている給水装置又は現に建築の工事が行われている建築物に設置されるもの(以下「既存給水装置」という。)」について、「その大規模の改造の工事まで」は改正後の規定の適用を猶予する経過措置を置いている。
 これは、給水装置が建築物に付属して設けられるものであるという特徴から、その建築物の工事が始まった時点で既に付随する給水装置についても発注が行われている場合があるという実情を考慮したものであるが、既存給水装置に該当するか否かは当該給水装置に係る工事又は当該建築物に係る建築工事が実際に着工されているか否かのみにより判断されるものであって、当該工事に係る工事申込書、建築確認書及びこれらに類する一切の書類の提出の有無により判断されるものではない。
 また、既存給水装置に係る大規模の改造に際しては、当該改造部分以外を含め全体をすべて新基準対応のものに交換する必要がある。
 さらに、既存給水装置に係る軽微な改造であっても、当該改造により新規に設置される給水装置については、すべて新基準値を満たす必要がある。
 なお、厚生労働省としては、既存給水装置に関してもできるだけ速やかに新基準に適合した製品への転換を進めるべきであるという見解を持っているので、念のため申し添える。


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