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資料1

「インターネット等による医療情報に関する検討会」報告書(案)


はじめに

 「インターネット等による医療情報に関する検討会」は、インターネットの急速な普及などによって、情報の伝達手段が高度化・多様化し、インターネットによって情報を発信する医療機関や第三者機関等が増えてきている現状を踏まえて、患者・国民に対して医療機関等に関する情報を提供する方策について幅広く検討するため、平成14年6月19日に厚生労働省医政局長から学識経験者等の参集を求められて開催されたものである。
 この検討会においては、インターネットによる医療情報の提供の在り方やその信頼性を確保する方策などについて、委員からの意見発表のほか、関係者からの意見聴取を実施しながら議論を重ね、このたび、この検討会における意見を集約して報告書を取りまとめ、公表することとした。
 この報告書は、インターネットによる医療情報の提供の重要性を指摘し、公的機関と民間団体の役割分担や公的機関が医療情報を提供する場合の方策、インターネットによる医療情報の信頼性を確保するための方策等について基本的な方向性を示したものである。
 今後、行政においては、この報告書で提言された施策を着実に実施するするとともに、医療関係者等においては、この報告書で提言された方向に沿って具体的に医療情報の提供を図っていくことをお願いしたい。また、国民各位におかれては、この報告書の趣旨を十分に御理解いただき、医療機関相互の競争が促進されることによって、医療の質の向上と効率化を図るため、より良い医療機関の選択が実現できるよう御支援と御協力をお願いしたい。


第1章 医療情報の提供の現状と重要性について


1 医療情報の現状等について

(1)インターネットの普及状況
 我が国のインターネット利用者数は、ここ数年で急速に増加を続けている。平成13年末における我が国のインターネット利用者数は5,593万人(対前年比18.8%増)と推計されており、1年間で885万人の増加を示している。平成17年には、インターネット利用者数は8,720万人に達するものと見込まれている。また、インターネットの世帯普及率については、平成12年末の34.0%から平成13年末には60.5%と全世帯の6割を超え、世帯でのインターネット利用が急速に進んでいることが分かる。インターネット事業所普及率についても68.0%と対前年比で20%以上も増加し、企業普及率は97.6%となっており、既にほとんどの企業で利用されていると言える。このように、我が国において、インターネットの普及は着実に進んでいる。
 また、個人のインターネット利用の状況を端末別にみると、パソコンによるインターネット利用者数は4,890万人であり、携帯電話・PHS、携帯情報端末からのインターネット利用者数は2,504万人となっている。パソコンからのインターネット利用者の利用場所についてみると、「自宅・その他」の利用者が最も多く3,681万人、職場からの利用者が2,716万人、学校からの利用者が1,130万人となっている。
 特に、インターネットを利用できる端末のうち、携帯電話によるインターネット接続サービス(以下「携帯インターネット」という。)の利用が急激に増加しており、平成11年2月に開始された携帯インターネットの加入数は、わずか3年余りの間に5,000万加入を突破し、平成14年3月末現在で5,193万加入に達している。携帯電話の加入者に占める携帯インターネット加入数の割合は、平成14年3月末現在で75.1%に達している。

(2)医療情報の意義
 患者・国民は、例えば、駅の看板や電話帳などにおいて、医療機関が掲載する診療科目、受診日・診療時間などの情報を目にすることができる。これらの情報は、不特定多数の者を対象とし、患者誘引の目的をもって行われるものであり、広告として位置付けられているため患者の保護の観点から医療法の規制を受けている。こうした広告規制については、これまで逐次緩和されてきており、平成14年4月には更に大幅に緩和された。例えば、専門医の認定、手術件数、セカンドオピニオンの実施、財団法人日本医療機能評価機構の個別評価結果、医療機関のホームページアドレスなどが広告できる事項として追加された。
 また、医療情報については、こうした医療法上の広告だけでなく、医療機関がその業務内容をまとめて定期的に公表する年報や来院患者用のパンフレットなど専ら医療機関の概要について客観的に情報提供を行うものもあり、これらは広報として位置付けられている。

(注)「医療情報」の範囲については様々な議論があるが、この報告書における「医療情報」には、患者の診療に関する情報、医学等の学術情報などは含まれないものとして取り扱っている。

(3)患者・国民が医療機関を選択する際の情報源
 患者・国民は、あらかじめ何らかの情報を得て、それを参考として医療機関を選択している。厚生労働省が平成11年10月に全国の一般病院を利用した患者を対象として行った「受療行動調査」(平成11年)によると、患者が病院を選ぶに当たって「参考にしたものがある」と回答した者は、外来では31.4%、入院では27.8%となっている。「参考にした情報がある」と回答した者について、その情報を見ると、「家族・友人・知人から聞いた」が最も多く、外来では74.0%、入院では69.5%となっている。
 また、平成14年2月に健康保険組合「保険者機能を推進する会」が健康保険組合の被保険者を対象として行ったアンケート調査によると、「医療機関を選ぶ際に知りたい情報をどこから入手しますか」という質問に対する回答(複数回答)で最も多かったのは「友人・知人」(70.9%)であった。次いで、「家族」(37.0%)、「かかりつけ医」(32.1%)の順に多いが、「医療機関(HP)など」という回答も24.3%となっており、インターネットを通じて医療情報を入手する割合も多くなっている。
 このように、患者・国民が医療機関を選択する際の情報源については、インターネットも有力な情報源になってきている。

 インターネットによる医療情報の重要性
 国民の医療に対する意識の変化などを踏まえて、患者・国民に対する幅広い情報の提供を推進し、患者・国民の選択を尊重した医療の提供を通じて、医療機関相互の競争が促進されることによって、我が国の医療の質の向上と効率化を図ることが重要な課題となっている。厚生労働省が平成14年8月29日に公表した「医療提供体制の改革の基本的方向」(中間まとめ)においても、「患者の視点を尊重した医療の提供を推進するため、国民が容易に医療に関する情報にアクセスでき、医療機関、治療方法等を自ら選択できる環境整備を進める」こととされている。これからの医療を展望したとき、患者の視点を尊重した医療の提供を推進することが最も重要な課題の一つであり、そのためには、患者・国民に対する医療情報の提供を積極的に推進し、患者・国民が自ら医療機関を選択することができるような環境を整備することが不可欠である。
 患者・国民に対して医療情報を提供する場合、パンフレットを配布したり、ホームページを開設したりするなど様々な手段が挙げられる。これらの手段の中で、インターネットは、患者・国民にとっては、必要とする情報を端末からプロバイダーに接続することによって早く、確実に入手したり、インターネット上の検索エンジンを活用することによって容易に入手したりすることができるといった利点がある。また、医療機関等の情報提供者にとっては、ホームページを開設することによって、他の手段と比べて簡易に多様な情報を患者・国民に提供することができるといった利点がある。このようなインターネットの機能に注目すると、患者・国民が医療情報を入手して医療機関等を自ら選択することができる環境を整備していくためには、インターネットを活用した医療情報の提供を推進することが重要である。
 ただ、インターネットにはこのような光の部分だけでなく、影の部分があることにも留意する必要がある。すなわち、インターネットは、使い方によっては、例えば、情報の提供者を秘匿したまま情報を発信することができたり、提供者側が一方的に偏った情報を発信することができたりするなどの面もある。このため、インターネットによって提供される情報の信頼性を確保していくための方策が必要であり、実際、インターネットの活用が進んでいる業種においては、こうした情報の内容の信頼性を確保するための様々な取組が行われている。


第2章 インターネットによる医療情報の提供の推進について


1 インターネットによる医療情報の提供

(1)公的機関による情報提供
 近年、国や都道府県等では、各機関がホームページを開設して国民一般に行政運営や各機関の活動に関する情報を提供するとともに、行政サービスの一環として、各機関が国民に役立つ情報を収集してホームページ上に掲載している。医療情報についても、社会福祉・医療事業団や都道府県等がインターネットを活用して積極的に提供している。
 社会福祉・医療事業団は、平成2年6月から都道府県に設置されていた高齢者総合相談センターにオンラインによる情報提供するサービスを開始し、その後、情報提供サービスの整備を進め、「福祉保健医療情報ネットワークシステム(Welfare AND Medical service NETwork system)」(以下「WAMNET」という。)を構築した。WAMNETには、現在のところ、全国の病院及び診療所の名称、電話番号、診療科目などの基本的な情報が掲載されている。
 また、都道府県のホームページ上には、都道府県内の医療機関や休日・夜間に診療を行う医療機関など地域医療に関する情報が掲載されている。例えば、静岡県では、ホームページ上で、(1)患者・住民が医療機関を選択するための情報、(2)IT等を活用して診療に関する情報、(3)HIV等の感染症に関する情報など患者・住民が安心する情報を提供している。医療機関に関する情報については、静岡県では、医療計画作成指針に基づいて医療機能調査を実施し、それによってデータをまとめてホームページ上に公表している。さらに、東京都では、平成15年4月から「医療機関情報システム」を開始する予定である。これは、都内の医療機関に関する情報を集積して東京都のホームページに掲載するインターネット・データシステムであり、(1)医療機関案内によって医療機関の選択を支援する「都民向け情報」、(2)専門的な医療機能情報の提供によって医療機能連携を促進する「医療機関向け情報」に大別しているのが特色である。「都民向け情報」については、パソコンや携帯電話によって医療機関の案内や検索、音声自動応答装置による医療機関案内を行うこととしている。また、このシステムは、インターネット画面で各医療機関のホームページとリンクさせ、これによって、利用者は、東京都が提供する情報と個々の医療機関が提供する情報を合わせて参照することができるようになる。

(2)医療機関、民間団体等による情報提供
 公的機関のほかに、インターネットの普及に伴って、個別の医療機関や医師会がホームページを開設して医療情報を提供したり、医療機関以外の民間団体が医療情報を提供したりするなど、患者・国民が端末から医療機関等のホームページにアクセスして医療情報を得ることが容易になっている。例えば、病院がホームページ上で病院の概要、診療科目、担当医師の紹介などの情報を提供したり、医師会が地域の医療機関マップなどの情報を提供している。また、これらのホームページの中には、携帯電話からアクセスすることができるものも現れている。
 また、個別の医療機関や医師会だけでなく、医療機関以外の団体も自ら調査を行ったり、患者からの情報等に基づく結果等を公表したりするなど、それぞれの創意工夫によって患者・国民に多様な医療情報を提供している。例えば、インターネットを通じて医療、福祉、介護に関する各種情報を提供したり、利用者からの苦情相談を実施したりしている特定非営利法人(以下「NPO」という。)等もある。
 このほか、医療に関する情報については、雑誌、書籍のほかマスコミを通じて患者・国民に提供されており、それぞれの提供主体が自ら調査等を行ったり、既存の情報等を利用して特色のある情報を提供している。こうした医療情報を含めると、民間団体等は多様な医療情報を多様な方法で患者・国民に提供している。

 基本的な考え方
 インターネットによって患者・国民に提供される医療情報については、公的機関、個別の医療機関や医師会、NPO等の民間団体など様々な主体によってそれぞれの特色を生かして様々な情報が積極的に提供されていくことが、患者・国民による医療機関の選択に資するものと考えられる。
 この場合、公的機関は国民・住民の信頼の上に成り立つ機関であり、その性格上、各種の医療情報の中でも客観性があり、検証可能な情報を提供することがふさわしいと考えられる。
 一方、民間団体については、公的機関との役割分担の下に、それぞれの特色を生かしながら患者・国民にとって有用性の高い情報を提供していくことが重要である。

 患者・国民に提供される医療情報については、その客観性・検証可能性に着眼すると、
(1) 既に客観性が十分であり、検証することが容易であるもの
例:住所、診療科目、診療機能、治療実績、患者に対するサービスの提供の状況 等
(2) 評価基準・評価方法を明確化すること等によって客観性が十分に高められているもの
例:日本医療機能評価機構による病院機能評価 等
(3) 客観性を高めるために、今後、評価基準・評価方法等を確立していく必要があるもの
例:死亡率等の結果(いわゆるアウトカム)に関する情報など客観的に比較することが可能なデータを提供するための環境(例えば、ICDコードの普及や重症度補正等のデータ処理技術の開発など)を整備することが必要なもの
に分類することができる。
 このような分類に立てば、(1)と(2)の情報は客観性があり、検証することが可能な情報であることから、公的機関は(1)と(2)の情報を中心としてインターネットによる医療情報の提供を広く進めていくべきであると考えられる。
 これを言い換えると、(1)と(2)の情報は客観性があり、検証することが可能な事項であり、医療法において医療機関が広告することができる事項として位置付けられているところである。したがって、公的機関は、医療法の広告可能な事項を中心としてインターネットによって広く情報提供を進めていくことが望まれると言えよう。
 また、(3)の情報については、その客観性が十分に保たれていなかったり、検証するための基準や方法等が確立されていなかったりすることから、公的機関が提供するのはふさわしくないと考えられる。例えば、死亡率については、平成14年3月28日に社会保障審議会医療部会が厚生労働大臣に提出した「医療提供体制に関する意見」において、現状では重症患者の受入拒否や危険度の高い手術を避けるなど医療の提供に悪影響を及ぼす可能性が強いと指摘されているように、患者の重症度等について客観的に比較するための環境を整備することが重要である。患者・国民が求める医療情報をきめ細かに提供していくためには、今後、このような種類の医療情報の信頼性を確保することが課題となる。

 さらに、公的機関における役割分担については、これまでの実績を考慮すると、全国的には、社会福祉・医療事業団が医療機関の広告可能な事項に関する情報を提供することができるよう、現在提供しているWAMNETを更に充実していくことが適切であると考えられる。
 また、個々の患者にとっては、全国的な医療機関の情報とともに、自分が実際に検査・治療を受ける可能性の高い身近な医療機関について、より詳細な情報を必要としている。そのためには、例えば、医療機関に関する情報を地域別や専門別にきめ細かく提供する方策についても講じる必要がある。
 このため、地方公共団体は、地域の実情に応じた医療情報を国の関係機関よりきめ細かに提供していくことが適当である。地域の実情に応じた医療情報を提供するためには、各都道府県は、医療計画作成指針に基づく医療機能調査を積極的に実施し、必要に応じて、その結果を医療計画に記載するなどして、各医療機関の医療機能に関する情報など患者・住民が地域の医療機関を選択する際に役立つ情報をきめ細かく提供していくことが重要である。
 さらに、社会福祉・医療事業団や都道府県などの公的機関は、インターネットを通じて医療情報を提供していることについて積極的に広報することによって、国民がそれらを十分に活用することができるよう、WAMNETや都道府県等のホームページの利用の促進を図るべきである。
 なお、インターネットによる医療情報の提供を推進することは重要であるが、必要な情報をインターネットで得ることができない人々に配慮することも必要である。このため、医療情報については、広報誌などの紙媒体によって提供できるような仕組みを作っていくことも必要であり、また、患者・国民のニーズに対応する観点からは、来訪や電話による相談に対する対応を充足させることも重要である。


第3章 インターネットによる医療情報の信頼性の確保について


 医療機関のホームページ等の信頼性の確保の必要性
 現在、医療機関がホームページ上で提供している情報については、患者が当該医療機関について知ることを欲して当該ホームページにアクセスして取得するものであることから、医療法上の広告には当たらないと考えられており、その内容に対する規制はまったく行われていない。患者・国民に対する医療情報の提供を一層推進していく必要がある現状を踏まえると、当面は、医療法による規制の対象とするのでは適当ではない。したがって、インターネットによって患者・国民に提供される情報の内容については、基本的には、医療法によって規制するのではなく、提供者の自主的な判断にゆだねることとするのが適当であると考える。
 ただ、医療に関する情報は患者・国民の生命と身体にかかわるものであることから、その信頼性を確保することは不可欠であり、今後、インターネットを通じた医療情報の提供が一層進展することが想定されるため、何らかの信頼性を確保するための方策を講じておくことが必要である。また、客観性・検証可能性によって分類された(1)から(3)までの情報(7頁参照)のうち、(3)の情報については、評価基準・評価方法等が確立されていないことから、医療機関がインターネットを通じて医療情報を提供する場合はやはり(1)と(2)の情報の範囲内にとどめるのが妥当であるという考え方もあるが、実態にかんがみるとむしろ信頼性を確保するための方策を講じることが重要である。

 基本的な方向
 インターネットによる医療情報の信頼性を確保するための方策を検討するに当たって、医療以外の分野における信頼性を確保するための取組状況が参考となるが、医療以外の幾つかの分野においては、インターネットを通じて提供される情報等の信頼性を確保するため、関係団体や第三者機関による自主的な取組が行われている。
 例えば、関係団体による自主的な取組の例として、旅行業における取組が挙げられる。旅行業においては、平成14年2月に社団法人日本旅行業協会が「インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン」を定めたり、旅行業者等が開設するホームページの内容が旅行業法を遵守していること等を承認して「e−TRT(electronic-Travel Buisiness Trust)マーク」を交付したりしている。このほか、弁護士の業務の広告(ホームページ上に掲載される情報を含む。)については、平成12年3月に日本弁護士連合会会則等の改正によって原則として自由化されたが、誤認・誤導のおそれがある等の広告、勝訴率等の表示は禁止されており、違反広告に対して、弁護士会が違反行為の中止及び排除の命令等を行うこととしている。
 また、第三者機関による自主的な取組の例としては、不適切な広告に対する一般消費者からの苦情や問い合わせを受け付けて処理したり、必要に応じて苦情の審査を行ったりする社団法人日本広告審査機構(JARO)の取組が挙げられる。日本広告審査機構は、昭和49年に広告代理店、媒体社、一般企業等の総意に基づいて設立された広告・表示に関する民間の第三者機関である。なお、平成13年度に日本広告審査機構が受け付けた相談件数は、6,029件であり、そのうち、苦情件数は562件、問い合わせ件数は5,467件となっている。このうち、インターネットによる広告の苦情件数は、41件(7.3%)、問い合わせ件数は197件(3.6%)、計238件(3.9%)となっており、全体に占める割合は大きくないが、最近、苦情・問い合わせ件数は増加傾向にある。
 また、医療分野においても、医療情報を掲載するホームページの質の向上と信頼性を確保するため、ガイドラインを作成したり、医療情報に関するサイトの認証を行ったりしている団体の例もある。
 インターネットによって提供される医療情報の信頼性を確保するに当たっては、インターネットによる医療情報の位置付けと現状、医療情報を提供していく必要性等を踏まえつつ、医療以外の分野における信頼性を確保するための取組状況等を参考にして、民間団体等による自主的な取組を中心に考えていくことが適切である。

 信頼性を確保するための方策
 インターネットによって患者・国民に提供される医療情報の信頼性を確保するための民間団体等による自主的な取組の具体的な方法については、関係団体又は第三者機関によって、
(1) コンテンツ等において配慮すべきポイントやホームページの運用基準等を示したガイドラインの作成
(2) 医療情報の内容がガイドライン等を遵守していることを認証する仕組み
(3) 医療情報に関する患者や医療機関からの問い合わせに対する回答、患者からの苦情の審査
などが考えられる。
 このように、医療情報の信頼性を確保するためには、幾つかの方策が考えられるが、どのような方策が最も適切であるか、また、その方策を実際にどのように進めていくか等については、今後、インターネットによる医療情報の提供の進展等を踏まえて、更に検討していく必要がある。
 この具体的方策の検討に当たっては、
(1) この検討会が示した基本的な方向性に沿って、具体的方策の検討自体も民間団体等の自主性にゆだねるのが適当か。また、国において関係者の参画の下に具体的方策の検討の場を設けることが適当か。
(2) 民間団体等による自主的な取組として、例えば、医師会や病院団体等の既存団体によるガイドラインの作成等の取組、NPO等による自主的な取組、信頼性を確保するための第三者機関の設置などが考えられるが、今後、どのような取組を進めていくのが妥当か、
(3) 民間団体等による自主的な取組に対して国や地方公共団体等の公的機関はどのようにかかわるべきか、民間団体等に属さない者(いわゆる「アウトサイダー」)に対して自主的な取組の効果が及ばないという問題にどのように対応するのか、
といった点を中心に、行政と関係者の間で合意形成がなされ、できる限り速やかに具体的な取組が実現されることが必要である。
 また、これとともに医療情報の信頼性を確保する方策として、患者・国民が公的機関による客観的で検証可能な情報と個別の医療機関やNPO等の民間団体による特色ある情報提供を双方見比べることが有効である。このため、例えば、WAMNETにおいて医療情報を提供する際には、個別の医療機関等が提供する情報とリンクさせることも、今後検討するのに値するものと考えられる。ただし、仮に、そのようなリンクを設けたとしても、WAMNETにリンクされていること自体が、個別の医療機関等のコンテンツの信頼性を担保するものではないことに留意する必要がある。
 さらに、患者・国民は「かかりつけ医」から医療情報を得ることが多いという調査結果もあり、患者・国民にとって身近な存在である「かかりつけ医」の役割が大きいことは当然である。患者・国民は「かかりつけ医」を通じて医療情報を得ると同時に、インターネットを通じて得た医療情報について「かかりつけ医」に相談することによって、その情報の信頼性を判断することも、医療情報の信頼性を確保するための有効な方策であると考えられる。


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