審議会議事録  厚生労働省ホームページ
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第3回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会
化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会、
第10回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会及び
第3回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会合同会合
議事録

1. 日時 平成14年12月5日(木)14:00〜17:00
2. 場所 厚生労働省専用18−20会議室
3. 出席者(敬称略)

厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委会委員
安藤 正典   井上 達
江馬 眞 沖 幸子
小倉 正敏 小野 宏
首藤 紘一 (委員長) 西原 力
吉岡 義正 渡部 烈

産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会委員
池田 正之 (小委員長) 浅野 直人
伊東 信行 岩永 伸市
大島 康行 岡 敏弘
加藤 順子 河内 哲
北野 大 木下 陽三
小島 高志 篠原 徹
白井 智之 寺尾 允男
西原 力 兵頭美代子
前川 美之 宮本 純之

中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会委員
鈴木 継美(委員長)浅野 直人
藤井 絢子 池田 正之
北野 大中杉 修身
満岡 三佶若林 明子
井上 達岩熊 敏夫
小江 紘司須藤 隆一
中下 裕子村岡 浩爾
吉岡 義正鷲谷いづみ
(五十音順)

事務局
厚生労働省
鶴田大臣官房審議官松田化学物質安全対策室長

経済産業省
及川化学物質管理課長野中化学物質安全室長

環境省
南川環境保健部長石野企画課長
早水化学物質審査室長

4. 議題
(1) 環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について(前回の議論の整理)
(2)リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について
(3)中間とりまとめについて
(4)その他
5.議事
【及川課長】
 経済産業省化学物質管理課長の及川でございます。前回、出張で11月7日欠席させていただきまして、大変失礼いたしました。本日、どうぞよろしくお願いいたします。
 定刻でございますので、本日の合同審議を開始させていただければと存じます。
 第3回厚生科学審議会化学物質制度改正検討部会化学物質審査規制制度の見直しに関する専門委員会、第10回産業構造審議会化学・バイオ部会化学物質管理企画小委員会及び第3回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査規制制度小委員会の合同会合を開催いたしたいと存じます。
 本日は、いずれの委員会も、現在、御出席の御予定でおくれていらっしゃる委員の方いらっしゃいますけれども、御出席の御予定の委員の方も含めましてそれぞれの委員会、定足数を満たしておりますので、それぞれ成立いたしております。
 それでは、まず、お手元にお配りいたしました資料について確認をさせていただきたいと存じます。
 各委員に事前にお送りしております資料から若干の字句の修正がございますので、御承知おきいただければと存じます。まず、本日お配りしております資料といたしましては、最初に議事次第、次に委員名簿、その後で、資料1といたしまして前回11月7日の合同審議会議事録、資料2といたしまして「環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について」、これは前回の御審議の結果を整理させていただいたものでございます。資料3といたしまして「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について」、これは10月30日の産業構造審議会企画小委員会での御審議を踏まえまして整理させていただいた資料でございます。それから資料3には、別紙ということで1〜4の4枚、フローチャート等補足的な説明資料を追加させていただいております。次に資料4、「リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について」、これも補足説明資料でございます。資料5、これは中間とりまとめのイメージと申しますか項目立ての一案でございます。それと資料6、これは5人の委員の方からペーパーで御意見をいただいておりますものを、委員の方のお名前の五十音順に御紹介させていただいておるものでございます。それと、厚生科学審議会の委員の皆様には、10月28日の専門委員会の議事録をあわせて配布させていただいております。もし資料に不備な点がございましたらば、事務局までおっしゃっていただければと思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、本日も、前回に引き続きまして3つの関係審議会の合同会合ということでございます。前回同様に、座長は3つの委員会の委員長による共同座長ということでお願いしたいと存じます。本日の議事進行役につきましては、産業構造審議会の池田委員長にお願いしたいと思います。
 それでは、池田委員長どうぞよろしくお願いいたします。

【池田委員長】
 御紹介にあずかりました池田でございます。順繰りにということで、今回は私が議事進行役を務めさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日、お手元にございますように3つの議題がございまして、3に至るまで全項目についてお目通しをいただきたいと考えておりますので、何とぞ御協力のほどよろしくお願い申し上げます。にもかかわらずというべきか、しかしながらというべきか、前回同様17時、あるいは5分か10分オーバーランするかもしれませんが、その範囲で本日の審議を終わりたいと思いますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。
 進行につきましては、御発言の折に、これは前回も同様でございますが、お手元にございます名札を立てていただきますと、発言の御希望ありというふうに了解させていただきますので、そのようにお願いいたします。大体名札を立てていただいた順番にお回ししたいと思いますが、全部うまく見渡せないことがあるかもしれませんので、ひょっとして前後することがあるかもしれません。どうぞその節はあらかじめお許しおきいただきます。
 まず、前回の議事録(案)を資料1としてお配りしてございます。事前に既に送付されておりますけれども、御意見がございましたら、明日、デッドラインが非常に短いですが、明日までにお知らせいただきまして、必要な修正をした上で公開にしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 審議に入ります。


(議題1)環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について

【池田委員長】
 最初に議題1、環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制について、これは前回の議論の整理でございます。これについて審議をしたいと存じます。
 前回の審議結果を踏まえて事務局が資料を作成しておりますので、まず、事務局から資料2について説明をいただきます。お願いします。

【早水室長】
 環境省の化学物質審査室長の早水でございます。座ったままで恐縮ですが、私の方から資料2を説明させていただきます。
 資料2でございますが、前回、資料5といたしましてお配りしたものに対しまして、前回の審議会におきましていろいろ御意見ございましたので、それを踏まえて修正したものを見え消し版でお送りしておりますが、今日お配りしておりますのは、それを溶け込ませたものでございます。見え消し版でお送りしたものを機械的に溶け込ませたものだけでございます。それ以降の修正は、特に御意見がございませんでしたので、しておりません。そういうものでございますが、改めて説明をさせていただきます。修正した部分だけということで御容赦いただきたいと存じます。
 まず、1ページでございますが、基本認識というところで、冒頭3行目「一方」以降、いろいろと生態系の評価についても難しい部分があるということについての指摘がある部分について、削除してはどうかという御意見もございましたが、そこにつきましては、削除というよりは少し言葉を足した方がいいのではないかということで、上から5行目の最後の「手法が確立していない」の後に、「していない中で、現状では、個別の試験生物への有害性の評価を活用して生態系への影響の可能性を可能な限り考慮しようとされているところである。」という形で文章をつけ加えさせていただいております。
 1ページの修正部分は以上でございますが、以下、1ページの一番最後に○がありますけれども、○の部分につきまして、前回の資料ではすべて疑問形でお示ししておりましたが、おおむね内容につきまして御了解をいただけたと理解いたしまして、例えば2ページの一番上ですけれども、「必要ではないか」というところについて「必要である」というような形で、以下そういう形で○の部分は修正をしております。
 それから2ページですが、2ページの下の方は、特に今申し上げた以外の修正はございません。
 3ページの方に行きまして、上から2行目ですけれども、試験評価法の設定の仕方の考え方でございますが、実施可能性・容易性や国際整合性の観点に留意して設定する、としておりました。この点について、「留意して」というのは、配慮するのかしないのかよくわからないという御指摘がございましたので、「国際整合性を踏まえて設定すべき」というふうに修正をしております。
 それから評価の方法につきまして、3種類の急性毒性試験の結果を用いることが適当という文がございましたが、これに対しまして、いろいろ柔軟に将来の見直しが必要ではないかという御指摘がございましたので、「なお、評価に用いる試験の項目や対象生物種に関しては、今後の科学的知見の充実や国際的な動向を十分踏まえて、将来において、必要に応じその内容について見直すことを可能とするような柔軟な仕組みとすることが適当である。」という一文を加えさせていただいております。
 それから2)の内容につきまして、全体としては御了解いただけたと思いますが、生活環境の保全あるいは生活環境に係る動植物への影響という文章が前に出ておりまして、生態系を視野に入れているという部分が少し欠けているのではないかという御指摘がございましたので、適正管理を促す措置の部分につきましては、3ページの下から3行目を「しかしながら、生態系への影響の可能性を考慮すれば、環境放出を抑制することが望ましい」としております。また、次のページ、4ページの(2)定量的な管理のための直接規制の部分でございますが、これは生活環境の範囲内の生物を守るということでありましたけれども、一番最後に、真ん中の「○」のちょっと上ですが、「なお、こうした措置は、生態系への影響の可能性を視野に入れた対策の推進にも資するものと考えられる。」という一文を入れまして、生態系への影響というのも視野に入れた対策であるということを明記をしております。
 以下、2.の残りの部分については修正ございませんで、6ページの方、関連事項の方で御指摘が幾つかありましたので、それを加えております。まず、2)の調査研究の推進のところで幾つか加えております。1つは、○の3行目の「分子生物学的手法を用いて毒性機序の解明を目指す毒性ゲノム科学に係る調査研究等を推進していく」というのを例示として入れております。
 それから、「実環境における化学物質と生物の生息又は生育状況との因果関係の把握」という部分に詳しく説明をということで、「化学物質のモニタリングや生物学的なモニタリング等に総合的に取り組むことにより」ということで、この趣旨を明確化しております。
 また、内分泌かく乱化学物質の問題について御指摘がございましたので、1つ○をつくりまして、「なお、内分泌かく乱作用が疑われる化学物質については、国際的な動向も踏まえながら、引き続き作用機序の解明、試験法の開発、有害性やリスクの評価など科学的知見の集積等に努めていく必要がある。」という一文を加えております。
 それから6ページの3)でございますが、前回ここでいろいろ御指摘がございました良分解性物質への対応につきましては、いろいろ御議論もございましたので、ここで一度整理をした方がいいのではないかと事務局の方で判断いたしまして、3)ということで新たに1項目をつくっております。
 最初のパラは、現行の化審法では、難分解性の化学物質を対象に審査・判定をしたり製造・輸入に関する規制をしているということについての説明をしております。それを踏まえて第2のパラで、「良分解性の化学物質の中にも、生態毒性を有するものがあり、生産量や使用形態、環境への放出状況等によっては環境中に継続的に存在し、環境中の生物への何らかの影響を及ぼす可能性があると考えられる。」ということで、御指摘がありますけれども、このため、こういった化学物質についても未然防止に取り組むことが必要ということですけれども、「良分解性の化学物質は、本質的に環境中で分解・消失しやすいものであるため、その環境汚染を防止するための取組は、難分解性物質とは異なる」という考え方を示しまして、7ページに行きますけれども、最後のパラで、また、分解性の如何を問わず、環境汚染の防止のためには、自主的取り組みや法的規制による排出抑制対策が講じられているということについての説明を加えております。
 これらのことを踏まえ、また前回の御議論を踏まえましてまとめております。2つまとめがありまして、1つは、「こうしたことを踏まえると、良分解性の物質については、必要に応じ、リスク評価を行っていくとともに、PRTR制度の対象とする等の自主的な管理の改善措置、他法律や条例に基づく排出規制等の排出段階での措置により対処することを基本とすることが適当である。」というふうにまとめさせていただいております。これは、入り口段階ではなくて排出段階の方で対応すればいいのではないかという考え方を示しております。
 また、「なお」ということで、有害性のデータの取得につきましては、高生産量の物質を中心に、国際的にも協調して今官民が共同で取り組んでおるということでございますので、これを一層推進するという考え方を示しております。
 最後のページのフローは、特に修正をしておりません。
 以上、前回の御議論を踏まえまして修正した部分について御説明をさせていただきました。以上でございます。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 前回の議論の内容がほぼ盛り込めているのではないかと存じますが、ただいまの説明の中で御不明な点あるいは御質問などございましたら、どうぞ名札をお立ていただきましてお聞きください。
 小倉委員、どうぞお話しください。

【小倉委員】
 申しわけございません、実は追加のお願いでございますけれども、実は前回の議論で、事務局からいわゆる構造活性相関、QSARにつきましてアメリカでの利用等の御紹介もあったんですが、いわゆるこの審議会といいますか委員会での議論はございませんでした。ただQSARという観点からは、私ども日化協でいろいろ作業もいたしましたけれども、例えば生物についての評価という意味では、評価とQSARの結果が合っているというふうなレポートもございますし、最近、OECDのジョイントミーティングといいますか合同会議がございました。その場でも、いわゆるQSARを今後どういうふうに使っていくかというところがかなり国際的にも議論が出ております。そういう観点から、ぜひこのQSARも今後の検討課題の一つとして検討していくということを、どこかにもし入れていただければ非常にありがたいなというふうに思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 いかがでございましょう。QSARを文章の中に入れたいという御提案でございます。格別御異論がなければ、実際の文案は事務局にお任せいただきまして、多分3.の(2)のあたりでしょうかね、6ページの「調査研究の推進」のあたりが適当な場所かと。あるいはもっといい場所があるかもしれません。しかるべき場所を事務局で見つけていただいて、QSARを取り込むということについてのセンテンスを入れていただくと。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 ほかにも何かございますでしょうか。
 どうぞ。

【宮本委員】
 3ページの上から5〜6行目のところですが、○がありまして、「具体的な評価の方法としては」というのがございますね。2行目に、「生産者、一次消費者、二次消費者等の生態学的な機能で区別して、それぞれに対応する生物種をモデルとして用いる」と。これは全体的な考え方としては非常に結構なんですが、その次ですが、「試験実施が容易な藻類、ミジンコ類、魚類の急性毒性試験」というのが出てきております。これは前にもちょっと申し上げたと思っておりますが、これは大前提として水系というのがあるわけですね。ところが、化合物によっては、水系にとりあえず第一次的にはほとんど入っていかないものもあると思われます。現にそういうものはあるわけですね。ですから、私はこのデータをとるということについてはいいんですが、試験実施が容易なこれこれをやるというのは、言い方としては変だなという気がちょっとします。
 それで、先に申し上げたことにちょっと戻りますけれども、そういうわけですから、やっぱり化合物の挙動等を十分に勘案した上で適切な試験系というものを取り上げていく必要が特に将来的にはあるのではないかと思うんです。ですから、もしそういうことで申し上げるならば、この太字のところの下から3行目のところ、なお、評価に用いる試験の項目や対象生物種に関しては、化学物質の環境挙動等を考慮して、今後の科学的知見の充実や国際的な動向を十分踏まえて幅を広げる、そのかわり、要らないものはとりあえずやらない、そういう含みを持たせたことにしておいていただく方が適切なのではないかと、そういうふうに思います。
 あとは細かいことですが、6ページです。6ページの真ん中に「このため」という○がついているところがありますね。Toxicogenomics云々、これは結構だと思いますが、ここの項目は何を書いているかといいますと、大前提は、「生態系や環境中の様々な生物の生息又は生育への化学物質の影響に関し、調査研究が進展するよう」にというのが前提にあるわけですね。もしそうだといたしますと、この文章のこの段落、一番最後ですが、「化学物質と生物の生息又は生育状況との因果関係の把握にも」、この「も」は不必要ではないかと思います。ですから、「も」は消していただく方がいいのではないか、こういうふうに思いますのでよろしくお願いいたします。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 よろしゅうございますか、事務局の方も御了解ください。
 どうぞ、中杉委員。

【中杉委員】
 中下委員のペーパーの御指摘にもあることと関連するんですけれども、4ページの一番上の部分でございます。「生態毒性に関する情報を提供するための措置を導入する。」というふうにありますけれども、ここで議論になっているのは生態毒性物質が中心になっているわけですけれども、具体的に言うと、健康に対して健康影響、健康リスクが懸念される物質についても同様なことが必要ではないだろうかということがありますので、例えばこの最後のところに、文章としてはちょっと難しいですけれども、「なお」という話になるんでしょうか、そういうものを入れる方がよろしいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【池田委員長】
 済みません、ちょっと要点をうまく把握できなかったかもしれません。具体的にはどういう内容、文章をお考えですか。

【中杉委員】
 もう少し具体的に言うと、例えば例で言った方がわかりやすいと思うんですが、中下委員のペーパーで出されている御指摘のことと絡むと申し上げましたけれども、資料6の8ページ目の5の2が多分それに相当するんじゃないかというふうに思いますけれども、指定化学物質についてMSDSを交付する、これは一つの考え方、方法論だと思いますけれども、具体的にそんなことが必要なんじゃないだろうかと。生態毒性の物質だけについてそういう情報を提供するということでいいのかどうかということで、健康リスクについても同じようなことが言えるのではないかという提案でございます。

【浅野委員】
 今御指摘の点は、この文脈の中に何も無理に入れなきゃいけないということでもないような気がするんです。ここでは生物への影響に着目した化学物質の審査・規制ということを整理しているわけですから、それは最終的に全部の仕上げをする段階でしかるべき場所を選んで入れればいいので、ここに修文を加えるのは不適当だと思います。

【中杉委員】
 わかりました。そうしていただければ結構です。

【池田委員長】
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 ほかに、何かございますか。

【鷲谷委員】
 本来でしたら前回に申し上げなければいけなかったことかもしれませんけれども、ちょっと皆様が生態系ということに対して持っているイメージなどを十分私としても把握していなかったので今回になってしまったんですけれども、冒頭のところで、生態系への評価は手法がはっきりしていないとか、可能な限り考慮するというような表現になっているんですが、生態系への影響というのは、実はいろいろ性質の違う影響というのがあって多岐にわたると思うんですけれども、それをある程度明示するなりして、その中で、ここで提案されているような手法で評価できるものはどこまでで、それでまだ残ってしまうのはどういうものかというようなことが意識されていった方がいいかなと思うんです。
 どういうことを言っているかと申し上げますと、ここで意識されているのは生態系から種の一部の個体だとか毒の作用で存続性が失われる影響だけを想定して議論が進んでいるように思うんですけれども、人為の生態系への影響で特に生態系が大きく変わってしまって元に戻りにくくなるというのは、本来はそれほど多くない要素を増やしてしまうことの影響というのは少なくないのではないかと思うんですね。そうすると、あらゆる生き物に毒がないということでしたらそれは確かに影響がないんですけれども、毒がそれほど強くなくても、ある特定の生物はそれで生き残れる、だけれどもほかの生物は抑制されるということがありますと、淘汰とか自然選択という言葉になりますが、特に世代時間の短い微生物の場合ですと、今そういうことがいろんな場面で起こり始めていると思うんですけれども、あるものが生態系の中ですごく優先してしまって、淡水生態系が今異常になっていることをイメージしていただくとぴんとくるかと思うんですが、今までの生態系が不安定になってしまうということもあるように思うんです。
 ですから、今回は考えていくということで、それは失われるというところを見ていくということなんですけれども、生態系への化学物質の影響ということにはそういうこともあることを意識して、難分解性で蓄積性があるものというのは、毒が弱くても、もしかしたら生態系という視点からはかなり大きな影響になるかもしれないということは意識しておいた方がいいように思います。もし今回難しかったらいいかもしれないんですけど、最初の基本認識のところに、生態系の影響としてはこんなタイプのものが考えられるけれども、ここで手法として確立しているのは、取り入れられるのはこの点なので、それについてとりあえず考慮するというような、生態系への影響の中では、ごく一部しか恐らくこのやり方では把握できないと思うんですね。やっぱり蓄積性があったり難分解性のものというのは、私たちが余り意識できないような影響をもたらす可能性があるというのをいつも心にとめておくということが重要じゃないかと思います。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 取り上げようとしている手法の限界については前回も随分議論がございました。資料2の第1のパラグラフはそのことの意識の反映でございます。具体的な修文は、場合によっては少し時間を取ることになってしまって作業しにくいかもしれませんけれども、そういう議論があったこと、その意識の反映としてここに書かれているというのを御了解いただければと思います。ありがとうございます。
 ほかに。

【早水室長】
 今御指摘は多分2つあったと思いますが、生態系への影響がいろいろあるということでありますけれども、確かに富栄養化のように、ある藻類が異常増殖するというのも生態系への影響の一つでありましょうし、あるものが減ればあるものは増えるということもあるということでありますが、化学物質の場合は今までのところ毒の作用ですね、減る、死ぬとか動かなくなる、あるいは繁殖しなくなるとか、そういったものの作用を見るというのが主な手法になっているということで、そういった意味での生態系への影響の評価がある程度限界があるのではないかということではないかと思います。
 そういった意味で、もし言葉が必要でしたら、このペーパーは今日が最後ではございませんで、次回、中間とりまとめ案というのを出しますので、そのときに何か書けそうであれば書かせていただきたいと思います。
 第2点の、難分解・高蓄積性のものですね、それについて何らかの対応が要るんじゃないかということにつきましては、この後、資料3の方で考え方を用意しておりますので、そちらの方であわせて御議論いただければと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 ほかにもございますか。
 先を急ぐようで恐縮でございますが、2、3を主なテーマに取り上げたいと思いますので、資料2に関しての議論はここまでで打ち切らせていただきます。


(議題2)リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について

【池田委員長】
 それでは、議題2に進ませていただきます。リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等についてに移りたいと存じます。
 事務局から議論のたたき台を用意しておりますので、まずは事務局の方から御説明をお願いいたします。

【及川課長】
 御用意申し上げました資料は、メーンの資料は3番の資料でございます。確認でございますが、別紙1〜4もあわせて資料3の一環としてこれから御説明申し上げたいと思います。また、資料4はさらに補足資料ということで御用意させていただいておりますとともに、資料3の関係で5人の委員の方からペーパーでいただきました御意見を、資料6ということで配布させていただいております。
 それでは、資料3の説明に入らせていただきます。まず資料3、1ページでは、主に化学物質審査規制法の制定から現在までの施行状況を概括させていただいております。まず、化学物質審査規制法は昭和48年(1973)に、当時PCB問題を契機といたしまして、PCBと同様に難分解、高蓄積性、長期毒性といったような性質を有する化学物質を審査して、こういったようなものがございましたらば必要な製造、輸入あるいは使用に関する規制措置を行う法律として制定されました。さらに、こうした法律が昭和61年(1986)には、蓄積性はそれほど高くないんだけれども難分解性であって長期毒性を持つトリクロロエチレンのような化学物質による環境汚染を防止するという観点から法律の改正がなされまして、現在の第二種特定化学物質あるいはその前の段階の指定化学物質といったような概念が導入されたところでございます。
 こうした制度のもとで、昨今、年間300程度の新規化学物質が届出られております。昭和62年(87年)からの法改正以降の運用の中では、約2割ほどが指定化学物質に指定され、約8割ほどが化審法の規制の対象にはならない化学物質として判定されております。加えまして既存化学物質につきましては、化審法制定以降、国を中心とする安全性点検が進められてきております。
 このように我が国におきましては、化学物質の審査・規制が化審法に基づいて行われておりました一方、我が国に続きまして国際的にも、特に欧米におきまして類似の法制度の整備が進められたところでございます。なお、2ページでございますけれども、欧米におきましては化学物質の性質のみならず、3行目でございますが、暴露の可能性といったような点も考慮に入れた審査・規制制度が行われてきているところでございます。
 こうした各国での取り組みとともに、OECDでございますとかあるいは国連におきましては、2ページ目の真ん中あたりに(1)から(3)で書いております点でございますけれども、国際的な近年の共通的な考え方といたしまして、(1)人と環境の保護を法制度の目的とする、(2)透明性のある科学的根拠に基づくリスク評価あるいはリスクの管理、この場合のリスクと申しますのは、有害性ととともに暴露も考慮してリスクを評価して管理をするということでございますが、こういう手法を用いる。(3)といたしまして、そうした際には予防的取り組み方法に留意する。こういったような点が国際的に共通認識として一般的になってきております。
 我が国の化学物質管理政策に関しましては、本年1月のOECDによる環境保全成果レビュー、簡単に申しますと我が国の環境政策のレビューがなされまして、その中で、生態系保全を含むように規制の範囲を拡大するということと、これと並びまして、化学物質の管理の効果や効率性をさらに向上させるということの必要性も指摘されたところでございます。
 また、既存化学物質につきましては、先ほど申し上げましたように、国を中心に化審法の有害性項目にかかわる安全性点検や個別の化学物質の有害性評価が行われてきておりまして、個々の事業者や事業者団体においても、自主的な取り組みとして有害性情報の収集あるいは試験の実施等の安全性確認が行われているところでございます。さらにOECDでは、国際的な分業体制のもとで生産量の多い化学物質の評価を進めていくことになっておりまして、我が国政府、産業界もこれに協調的に取り組んでいるところでございます。
 こうしたことから、2ページの○のところが論点でございますけれども、我が国の審査・規制制度については、国際的な動向も踏まえながら、これまでの化審法における新規化学物質の審査、国による既存化学物質の安全性点検、化学産業界等における有害性評価の実施を通じて得られた科学的知見等に基づき、我が国の化学物質の審査・規制制度を見直し、有害性とともに暴露もあわせて考慮したリスク評価・管理の観点から、さらに効果的かつ効率的な制度とすべきではないか。その際、化学産業界等における自主的な取り組みの状況も踏まえまして、そうした成果を最大限に活用するという枠組みも整備すべきではないか、こうした論点を提示させていただいております。
 さらに具体的には、3ページ以降になりますが、幾つか今後の対応の方向性がございます。まず第1に、既存化学物質の中で難分解性であり、なおかつ蓄積性が高いことが判明した化学物質に関する対応でございます。これにつきましては、資料3の別紙1のフローチャートもあわせてごらんいただければと存じます。
 これまでの取り組みといたしましては、既存化学物質については国が点検を進めまして、これまで難分解性・高蓄積性を有する場合には、長期毒性に関する調査を実施し、現実に長期毒性もあるという13の物質が第一種特定化学物質に指定されております。また、難分解性と蓄積性が高いことまでが判明いたしました化学物質につきましては、これまでのところでは、管理に関する具体的な法律の規定はないんですが、国としては以下の対応を行っております。
 まず、難分解・高蓄積性の化学物質の名称ですとかそういった点検結果を公表しております。また、毒性までわかっていないにしても、そうした難分解・高蓄積性の化学物質による環境汚染や人の健康への被害が生ずることのないように、政府といたしましては製造・輸入に関する実態調査等を通じまして、製造・輸入の実績があることを把握した事業者に対して、必要に応じて開放系の用途における使用の自粛などの行政指導を行っております。また、製造・使用の実態を踏まえまして、優先度が高いと考えられるものから長期毒性の評価のための調査を実施してきております。
 しかしながら、3ページの下の方の(1)、(2)、(3)でございますけれども、(1)長期毒性のあるなしを判断するまでに数年を要する状況にあること、また、(2)実態調査だけでは製造・輸入の関係事業者を漏れなく捕捉できない可能性があること、(3)難分解・高蓄積性を有することまでが判明した化学物質について、必要に応じまして事業者に対する行政指導を行っておりますものの、行政指導そのものが法的拘束力がないといったような幾つかの事情から、難分解・高蓄積性の化学物質が長期毒性を有するものであった場合には、調査を開始してから具体的な措置を講ずるまでの間に環境汚染が進行し、人の健康への被害が生ずるおそれがあるのではないかという問題がございます。
 論点でございますが、3ページから4ページでございますけれども、上記を踏まえますと、難分解・高蓄積性を有することが明らかになった既存化学物質について、その製造・使用実態等から判断して必要な場合には、長期毒性の有無が明らかになるまでの間、法令に基づく一定の管理のもとに置く必要があるのではないか。例えば現在の指定化学物質と同様に、製造・輸入者に対して製造・輸入実績の数量あるいは用途の届出を義務づける、その取り扱いに関して指導・助言を行うといったようなことが考えられるのではないか。
 4ページの○のところでございますけれども、2つ目の論点としては、こうした暴露を減らすような管理をやろうと思っても、なかなか暴露の可能性を低くすることができないと思われる場合には、現在の指定化学物質に関する有害性調査の指示といった制度と同様に、事後的な追加試験等の実施を製造・輸入事業者に求めるとの考え方に基づきまして、難分解・高蓄積性の既存化学物質の製造・輸入事業者に対して長期毒性に関する調査を指示し、その結果、長期毒性があるということが判明した場合には、速やかに第一種特定化学物質に指定して、必要な規制をすべきではないか。
 なお、こうした論点とともに、難分解・高蓄積性までが明らかになった段階で、製造・使用等の実態を把握するために化審法に基づく管理の対象とすることについては、以下黒ポツで書いてございます2つの考え方があることに留意しつつ、管理対象とする既存化学物質の要件を定めることが必要ではないかと思われます。
 具体的には、長期毒性の疑いに関する知見もない段階で管理の対象にするということは、過剰規制ではないのか。しかし一方で、管理内容がまずは製造・使用実態の把握を行うということであれば、過剰規制とまでは言えないのではないか。むしろ法令に基づいて把握される実態等を踏まえまして、国が予備的な毒性評価を行い、その結果に基づきまして、リスクが懸念されるものについては追加的な規制措置を講ずる、そうしたような一連の仕組みを整備することが妥当なのではないか。こうしたような考え方を踏まえまして、具体的にどのような制度設計をしていくべきかということでございます。
 なお、人の健康にかかわる長期毒性に関する判断を行うための手法といたしましては、現行の毒性試験法のほかに、最近の科学技術の進展を踏まえまして新たな試験方法もあることから、そうしたものにも留意しながら対応していくことが適当ではないかということでございます。
 なお、人の健康の観点からのこうした新たな取り組みの方向につきましては、環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制に関する検討結果とあわせまして、枠組みとして位置づけていく必要があると考えております。
 別紙1の流れを簡単に御説明申し上げたいと思いますが、資料3の別紙1でございます。今本文の方で申し上げました仕組みをフローチャートの形でお示ししております。まず、既存化学物質については、分解性の点検から始めまして、結果的に難分解性・蓄積性が高いということがわかったものにつきましては、最初の箱の中で管理の対象として物質名を公表し、製造・輸入実績及び用途の実績の届出をいただくことにしてはどうかと考えております。その結果、物質名や製造・輸入数量を公表するということも考慮されるのではないかということでございます。
 そこで、製造・輸入実態あるいは開放系用途での使用量があるということが確認されますと、次の段階といたしましては、国による予備的な毒性評価に移るということになります。この場合に、横に「事業者からの有害性情報の報告」とございますのは、後で御説明申し上げますけれども、資料3の中で、化審法の審査にかかわるような試験データが入手された場合には、その報告を事業者からしてもらうといった制度をつくってはどうかということを提案してございますので、そうした制度ができた場合には、国による予備的な毒性評価の時点で事業者からデータが提出されることもあり得るという仕組みになろうかと思います。
 いずれにいたしましても、そうした予備的な毒性評価によりまして懸念が低いということになりますと、この段階で管理を続ける。したがいまして、それ以上の有害性の評価というのはすぐに行うわけではないんですけれども、一方で製造・輸入数量なり用途の実績の届出というのは継続していく状態で管理を続けるというふうに考えております。
 しかし一方で、国による予備的な毒性評価等によりまして懸念が高いということになった場合には、さらにその下の方の段階に進むということで、環境放出量を抑制するための取り組みを進めるために国が指導・助言するなど、リスク削減措置を進めていくという段階に入っていくわけでございます。
 さらに、そうしたリスク削減措置が進んだ場合には、そうした措置の効果を踏まえまして、その段階でリスクが十分低く抑えられているという状況になった場合には、引き続きその状態で管理を継続していくということを考えております。
 一方、リスク削減措置の効果を考えましてもなお引き続きリスクの懸念が高いということである場合には、製造・輸入事業者に対して有害性の調査を指示するという段階に進んでいくわけでございます。この段階では、下の方の右側になりますけれども、必要な場合には製造・輸入ですとか使用について制限勧告をするといったようなことも含めて管理体制を強化していく。最終的には、有害性調査の結果を踏まえまして、毒性が明らかになり、必要なものは第一種特定化学物質に指定して厳しい規制のもとに置く、こういったスキームを想定してはどうかということでございます。
 次に、本文に戻りまして4ページの下の方でございますが、2.暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直しについてでございます。これは別紙の2及び別紙3をあわせてごらんいただければと思います。現在の化審法に基づきます制度は、事前審査の段階においては化学物質の有害性、分解性、蓄積性、長期毒性の確認に重点を置いております。その結果、暴露の可能性を考慮した対応という点では、試験研究のための化学物質でございますとか試薬あるいは医薬品中間体あるいは製造・輸入総量が年間1トン以下の少量新規化学物質に関するもの、こうしたものだけが暴露の可能性も考慮した制度のもとに置かれている状況にございます。
 5ページでございますが、一方、欧米の審査制度におきましては、化学物質のリスクの評価を中心に審査しておりますので、暴露可能性がないあるいは低いものについては事前審査の対象から除外したり、提出すべき試験データ等の範囲を暴露の可能性に応じて設定するなど、そうした方法によりまして段階的な審査を実施しております。また、国内のほかの法令におきましても、その法令の目的等に応じまして暴露可能性を考慮した対応をとっている場合がございます。
 以上の制度につきまして、暴露可能性が低いために環境汚染を通じて人の健康の被害を生ずるおそれの少ない化学物質であるにもかかわらず、その試験の実施を伴う事前審査の対象とすることについては、欧米における制度の内容との比較等を通じまして、リスクを評価・管理するといったような観点から、合理性に欠ける厳しい規制を課しているという指摘がございます。
 一方、暴露可能性が低いことを事前・事後において担保する枠組みですとか、新たに試験を実施することは求めないにしても、既知見等に基づいて化学物質の有害性を確認する枠組みがないと適正に管理できないのではないかという指摘もございます。
 こうした議論を踏まえまして、○のところでございますけれども、暴露可能性が低いなど一定の条件を満たす新規化学物質について、事前の確認ですとか事後の監視によりまして管理がきちんと確実に行われるということを前提条件といたしまして、一般的な届出の対象から除外したり審査を段階的に行うといったような柔軟な仕組みを可能とすべきではないかということでございます。
 具体的には、(1)、6ページの(2)と2つございまして、1つは、中間物あるいは閉鎖系といったような暴露の可能性が非常に低い用途で使用される化学物質、あるいは輸出専用品の取り扱いということでございます。全体的には、先ほど申し上げましたように、環境汚染や人の健康あるいは環境生物への影響が生じないようにという意味できちんと管理するという、そういう点では同じでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、管理の方法として、新規化学物質に対する暴露可能性がない、または極めて低くなるような管理が行われることが確実な場合には、新規化学物質の有害性について現行の審査制度をそのまま適用するということだけではなくて、暴露の管理を適切に行うことによって、その化学物質により人の健康に対するリスクを問題のないレベルに抑えることができるのではないか。具体的には、以下のように適切な事前の確認と事後の監視といったようなこともきちんと行うということを前提条件として、事前審査の対象外とできるようにすべきではないかということでございます。
 まず、中間物につきましては、当然ながら事前の確認、事後の監視によりまして全量が中間物として取引されて使用されるということが担保される場合には、事前審査制度の対象外とできるようにすべきではないか。
 また、閉鎖系等暴露可能性が極めて低い用途で使用される化学物質、これは工場の中のある場所で使用されるんですけれども、そこから環境に出ることがない、また、廃棄物になった場合には焼却されるなど環境に出ない形できちんと処分されるといったような状況にある化学物質が考えられますので、そうしたものにつきましては、事前に状況をよく確認いたしまして、個別に事前審査制度の対象外とできるようにするといった考え方でございます。
 ちなみに、そうしたように環境に出ていかないということがきちんと確認できるものについてということでございますので、例えばの話、何らかの機械に充填されて、機械そのものがあちこちに販売される結果、結局、中に入っている化学物質はどこに行ったかよくわからなくなるような状況は、これの対象としては考えておりません。
 また、3つ目といたしましては、6ページでございますが、輸出専用品ということで我が国においては化審法で、輸出先の国におきましても化審法と似たような法律がございます場合には、日本で届出審査をし、輸出した先の国でも届出審査をするという2回届出審査をするということは、する必要がないのではないかということで、我が国の化審法のような法律制度がきちんと制定され、きちんと運用されている国に対しては、輸出専用品に関する我が国化審法の届出制度の対象外とできるようにすべきではないかということでございます。
 (2)といたしましては、製造・輸入数量の少ない化学物質でございますけれども、我が国におきましては、従来、暴露ですとかリスクを考慮する仕組みと申しますのは少量新規化学物質の確認制度等に限られておりますので、現在、国内の製造・輸入総量が年間1トンを超える新規化学物質につきましては、原則的に事前審査の対象としてきております。
 一方、EU等の外国では、製造・輸入数量等に応じて届出者に対して試験データ等の提出を求めていることも踏まえまして、リスクの評価・管理の観点から、製造・輸入総量が一定数量以下の低生産量化学物質について段階的な審査を可能とするなど、より合理的な制度設計を行うべきではないかということでございます。
 具体的には、過去の環境モニタリングにおきまして環境から検出されたことがある化学物質については、製造・輸入数量が年間何十トンといったような数量よりも多いものが環境中から検出されているという実態も踏まえまして、これは資料4の方で御紹介いたしておりますけれども、本文6ページの「以下のような制度とすべきではないか。」ということでございます。
 まず、国は、製造・輸入総量が年間1トンから10トン程度までの、そういった見込みにある新規化学物質について、まずは届出者に対し分解性・蓄積性に関する試験データの提出は求め、分解性・蓄積性の審査は行うということをいたします。次の段階といたしまして、その結果、難分解性ではあるんだけれども蓄積性が高くないということがわかった化学物質について、したがいまして、ここまではわかった時点で第一種特定化学物質には該当しないということがはっきりするわけですけれども、そういったような新規化学物質につきまして、かつ既知見等に基づいて人の健康を損なうおそれがないということを確認した新規化学物質については、事前の確認と事後の監視が確実に行われることを前提条件といたしまして、製造・輸入総量が年間10トン以下である間はスクリーニング毒性試験データの提出を求めず、製造・輸入を認めるということができるような制度にしてはどうかということでございます。
 今申し上げました制度に関しましては、(1)、(2)両方でございますけれども、別紙2のフローチャートの方で全体的な流れを整理させていただいております。別紙2のフローチャートの中では、(1)の中間物等につきましては、グレーの色がついておる右側の上の方でございますけれども、新規化学物質の中で中間物等につきましては、これまでの医薬品中間体と同様に、中間物全般及び輸出専用品及び閉鎖系等の用途の化学物質につきまして、人の健康や環境生物に与える暴露が非常に小さいあるいはないといったようなことを確認した場合に、その確認をもちまして製造・輸入を認めてはどうかということでございますが、事前に確認されましたとおりに本当にきちんと暴露がない状況が維持されているかどうかということにつきまして、事後の監視、必要に応じまして現地での確認でございますとか報告の聴取といったようなことも含めまして、事後的にもきちんと国が監視するといったようなセーフティーネット措置も含めまして、新たな制度として考えてはどうかということでございます。
 また、(2)で御説明申し上げました製造・輸入数量の見込み数量が10トン足らずのものにつきましては、まず左側の方の製造・輸入の届出から流れが始まるわけでございますけれども、左側の方の製造・輸入の届出をしていただきまして、分解性の審査をし、難分解性である場合には、次は蓄積性の審査をいたしまして、低蓄積性であることが判明した場合であって、なおかつ見込みとして年間の製造・輸入数量が10トン以下であって、だんだん右側の下の方におりてまいりますけれども、なおかつ人の健康でございますとか環境生物に与える影響から見て、問題がありそうだというものについては不確認にいたしますけれども、既知見等からそういった問題がなさそうだということであれば、専門家による確認を経まして、年間10トン以下の範囲で製造・輸入を認めてはどうかということでございます。これについても、事後的に決められた数量以下での少量の生産あるいは輸入が現に行われたという事実関係を確認するということも含めまして、こういう制度を考えてはどうかということでございます。
 また一方で、予定されております製造・輸入数量が10トンを超えるといったようなことでございますとか、あるいは当然ながらこうした新しい化学物質については、実際にユーザーがお買いになってお使いになるということでございますので、ユーザーと相談の結果、必要な試験をやってしまって審査が全部終わってから現実に使った方がいいという判断をされるメーカーさん、輸入者さんあるいはユーザーがいらっしゃる場合には、真ん中の流れで、分解・蓄積に続いてすぐに毒性試験を行うといったような流れもあるわけですけれども、このところでは、リスクの管理をきちんとしていくという観点から、低蓄積性までが判明した新規化学物質につきまして、いずれかのルートによりましてきちんと管理していく、そういったリスク管理をきちんと行うという前提のもとに、対応の選択肢を新しく一つ用意するということで考えております。
 引き続いて本文の方に戻りまして、7ページの3.でございます。3.は、事業者が入手した有害性情報の取り扱いに関する対応でございます。
 現在、アメリカあるいは欧州におきましては、新規化学物質の届出者、既存化学物質の製造・輸入事業者が審査にかかわるタイミング以外にも有害性に関する新たな科学的知見を得た場合には、行政庁への報告を義務づける制度がございます。一方、我が国化審法においては、新規化学物質の届出時に届出者が分解性、蓄積性、毒性に関するデータを提出できるとしているだけでございまして、我が国の場合に、事業者が仮にそのほかの有害性情報を取得したといたしましても、例えば輸出相手国において新規化学物質の事前審査に対応する際に有害性情報を入手するようなことがあったにしても、現状では、化審法の審査に直接かかわるタイミングといったようなことでなければ、国への報告はなされることになっておりません。
 したがいまして、国といたしましては、そういった事業者が取得した有害性情報が公開されれば知るところとなるんですけれども、そうした事業者の情報が公開されない場合には、国としてはそうした情報を新規化学物質の判定の見直しですとか既存化学物質の点検等に活用することができません。
 したがいまして、論点といたしましては、化学物質審査規制法の審査項目にかかわる一連の有害性を示す情報を製造・輸入事業者が入手した場合には、国への報告を義務づける制度を創設すべきではないか。また、事業者が有害性を否定する情報、以前例えば一度審査をしているんだけれども、その結果をもっと安全サイドに見直す根拠になるような情報を入手した場合についても、義務づけではないんですけれども、事業者から国への報告を可能とする仕組みを整備すべきではないか。さらに、国は事業者から有害性に関する情報の報告を受けた場合には、その内容に応じて適切な対応をすべきではないかといったようなことでございます。
 なお、8ページでございますが、こうした情報の提供にかかわる留意点といたしまして、2つ黒ポツがございますが、一定の有害性を示す情報について報告を義務づける以上は、そうした義務づけの対象になる情報であるのかどうかがわかりやすく判断できるように判断基準を明確化すべきではないか。
 また、報告された情報の公表の取り扱いにつきましては、新規化学物質の審査に当たって提出された情報の取り扱いとあわせまして、国の情報公開制度における企業秘密の取り扱いとの整合性にも留意しながら、情報の取り扱い、公開のあり方を検討していくべきではないか。また、国が行った評価の内容については公表していくことも重要であろうということが指摘されております。
 4点目でございますが、10月30日の産構審化学物質管理企画小委員会では、既存化学物質に対する取り組みに関しまして何人かの委員の方々から御意見いただいておりますので、こういう形でまとめさせていただいております。既存化学物質の評価については、国においては化審法の有害性項目にかかわる安全性点検を始めといたしまして、従来から有害性あるいはリスクの評価に関する施策を実施してきております。また、事業者におきましては、国際的な協力のもとで高生産量化学物質に関する有害性情報等を把握する取り組み、こうした取り組みのほか、個別の事業者や団体を通じた有害性情報の収集、毒性試験等の安全性確認の自主的な取り組みを進めているところでございます。
 しかし、対象とすべき既存化学物質の数は非常に多いということから、欧米を含め各国においても、これまで取り組みが進められてきている中で評価がなされた化学物質の数というのは、それほど多くはございません。こうした状況を踏まえまして、OECDにおいても国際的な協調のもとで、評価の優先順位が高いと考えられる生産量の多い化学物質に関する有害性評価の取り組み、ハイプロダクションボリュームの既存化学物質の点検プログラムが進められてきているところでございます。近年では、事業者の自主的取り組みと国が連携・協力する形で加速化が図られております。
 こうした状況のもとで、いろいろな既存化学物質がある中でそうしたもののリスクの管理を考えますと、これまでの国による既存化学物質の安全性点検や事業者による高生産量の既存化学物質に関する国際的な協力の中での取り組みなどを踏まえまして、生産量の多いものから優先的に、既存化学物質の有害性評価を国と事業者の協力によりまして一層推進していくべきではないかということでございます。
 最後に、資料3の別紙4をちょっとごらんいただければと思います。
 先ほど資料2の方では、生態毒性の関係の考え方の整理を御審議いただいておりますけれども、この別紙4の中では、大変大枠ではございますけれども、従来の化審法の仕組みの中に、生態毒性を審査して、結果に応じて規制していくという仕組みを入れた場合どこに入るかということと、難分解性であり高蓄積性であるという既存化学物質について、先ほど申し上げましたような取り扱いを入れるとした場合にどこに入ってくるかということを整理させていただいております。
 なお、人の健康影響なり生物の影響の方では、新規化学物質につきましては、難分解であって高蓄積性であるところまでが判明いたしました新規化学物質につきましては、既存化学物質とは違いましてまだ世の中にないものでございますので、これにつきましては、次の段階は人の健康影響の評価あるいは生活環境にかかわる高次捕食動物への長期毒性の評価にすぐ行くと、途中はないということになります。
 したがいまして、資料2の生態影響の方のスキームに少し話を戻して補足的に御説明いたしますと、先ほど委員の方から御指摘としていただきました、難分解であり、なおかつ高蓄積性の化学物質につきましては、特に新規の場合が明確でございますけれども、難分解・高蓄積性がわかりました次の段階といたしましては、この表の中では下の方の「長期毒性」と書いてあるところの評価に直ちに参ります。一つの観点は、従来の人健康への長期毒性を有する物質であるかどうかということをチェックいたしまして、ここで長期毒性があるということになりますと、従来の意味の第一種特定化学物質ということになりますし、長期毒性がないということになりますと、いわゆる最終的に白判定物質ということになります。
 また、さらに環境生物への影響ということで申しますと、難分解・高蓄積性の化学物質については、高次捕食動物に対する長期毒性があるということになりますと、環境生物への影響の観点から、現在の第一種特定化学物質相当の規制措置のもとに置く必要がある。具体的には、開放系用途での使用が禁止されるといったような厳しい規制措置のもとに置かれることになります。ただ、もし高次捕食動物に対して長期毒性がないということが判明した場合には、これは直ちに白ということでは必ずしもなくて、長期捕食動物以外の生活環境にかかわる動植物に対しても長期毒性があるのかないのかを引き続きチェックをいたしまして、そこで高次捕食動物以外の生活環境にかかわる動植物に長期毒性があるということになりますと、二特相当の規制措置のもとに置かれる。つまり、環境中での濃度が一定限度を超えないように、製造・輸入数量を必要であれば削減命令を出すなどして環境中濃度を下げるというような規制措置のもとに置かれることになります。この点が人の健康にかかわる評価・規制とともに、環境生物への影響を考慮した評価・規制を行う場合の大筋の仕組みになろうかと思います。
 資料4に関しましては、以上申し上げました論点との関係でいろいろな参考資料を用意させていただいておりますが、特に10月30日の産構審企画小委員会の御議論を踏まえまして、4ー4の暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直しについての中でも、37ページ以降、(7)、(8)、(9)に該当するあたりの資料を追加させていただいております。また、既存化学物質についてのいろいろな御意見がございましたことを踏まえまして、4ー6といたしまして、既存化学物質の取り組み関係の政府、事業者あるいは欧米、OECDでの取り組み状況について御紹介させていただいております。
 また、資料6の方では、5人の委員の方から、以上申し上げました資料3の内容に関する御意見をいただいております。特に本日は、神山委員、中西委員、林委員の3委員の皆さんにおかれましては御欠席でございますので、こうした形でいただいた御意見を踏まえまして引き続き御審議をお願いしたいと存じます。
 以上でございます。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 特に資料3をよくごらんいただきまして、そのうちで太字で何々ではないかという形で書かれている部分、これが論点でございますので、ここを中心に議論を進めさせていただきたいと存じます。
 まず、意見誘導をするわけではないけれどもとこの前もおっしゃいました、欠席された委員の方々の資料からの御意見あるいは本日御出席ではありますけれどもペーパーの形で意見をちょうだいしました計5人の方の御意見がございます。これからの議論にどうぞ御参照くださいますようにお願い申し上げます。
 それから、ペーパーをお出しになっていて、かつ本日御出席になっています委員の方々は、特に今の時点でペーパーの御紹介をお願いするのは時間の関係で割愛させていただきますけれども、以降の議論で当該項目になりました場合に、どうぞ必要に応じて御指摘をくださいますように、あるいは御意見の開示をしてくださいますようにお願い申し上げます。
 まず最初に、資料3の最初の作業としまして、1の基本認識の部分につきまして、何か御意見がございましたら承らせていただきたいと存じます。
 いかがでございましょうか。かなり長い、2ページちょっとにわたる文章でございますが、論点としては2ページの最後の4行、それから3ページの最初の4行の部分でございます。
 吉岡委員、どうぞ。

【吉岡委員】
 3ページの一番上の4行の点でございます。質問が2つございます。
 1つは、「暴露もあわせて考慮したリスク評価・管理の観点から更に」というふうに続いておりますけれども、文章上から参りますと、これは「リスク評価・管理を導入し」というような形で、そして、「さらに効果的に」というような形になるのではないかなと思います。
 2番目の点は、最後に書かれております「その成果を最大限に活用する枠組」というのは、具体的にはどういうものを指すのかということをもう少し御説明いただきたいというふうに思います。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございます。
 事務局から何かお返事ございますか。

【野中室長】
 まず、リスク評価・管理の観点からというところは、現在の化学物質審査規制法におきましても、指定化学物質から第二種特定化学物質にする場合においては、リスク評価というもの、リスク管理というのも入れておりますし、第一種特定化学物質の管理も一応リスク管理ということは入れております。
 したがいまして、今全くリスク評価、リスク管理を入れてないということではございませんので、さらに効果的・効率的な制度にすべきということを記載している次第でございます。
 それから、自主的な取り組みの状況を具体的にということは、むしろこの1.2.3.の中で、個別の話の中で御議論、また資料としても、例えば既存点検の推進等でも御紹介しておりますので、もし具体的にということであれば、その中できちんと議論をさせていただければと思っております。

【池田委員長】
 ありがとうございます。
 前後することになりますが、今資料3をごらんいただいております。今日の議論は、資料3、資料3の別紙、資料4は補足説明の資料でございますが、最終的に資料5をごらんいただくことになると思います。これらの議論を踏まえて、次回19日の日にドラフトをつくっていただきます。それをパブリックコメントの対象にするという仕掛けでございますので、今日は、成案を得るというよりもむしろいろんな角度からの御意見を多く承るという形で議論を進めさせていただきたいと思います。御了承くださいませ。
 どうぞ。

【中下委員】
 リスクに対応した管理を入れることが効率性あるいは効果を高めるというふうなお話がございましたけれども、やはりリスク削減のためには、片一方で情報がきちっと公開をされて、そして消費者がそういうリスクコミュニケーションを通じて、一人一人が主体的にリスク削減策がとれると、こういう状況があることが、より効果的であり、より効率的な制度に欠かせないことではないかというふうに思います。
 そうしますと、ここの基本認識のところの中にその言及がないということが一つ、少し私にとっては不満でありまして、特にOECDの今回の勧告の中にも、今のところは確かにあるんですが、勧告の中の、この資料の16ページでいきますと、5つ目のポチで、「住民が利用しやすい化学物質に関するデータベース(例えば、毒性、リスク評価、ライフサイクルのあらゆる段階における排出等)を引き続き整備するとともに、有害化学物質に関するリスクコミュニケーションを強化する」と書いてございますし、その前の現状の問題点の指摘のところでも、「化学物質の生産及び消費に係るデータは、健康リスクの評価に体系的には活用されておらず、また、より良いリスクコミュニケーションのための公表もなされていない」、こういうふうな御指摘もございまして、ここの部分の情報公開もかなり遅れている部分だと思うので、この部分についての前向きの御姿勢もここにやっぱり入れていただく必要があるのじゃないかというふうに思っております。

【及川課長】
 御案内のとおり、これまでも例えば指定化学物質の製造・輸入実績の公表などをやっておりますし、先ほど御説明させていただいた中では、今後の新しい考え方といたしましては、難分解・高蓄積性の既存化学物質についての製造・輸入実績の公表といったようなことも含めて、実態に関する情報公開のあり方でございますとか、あるいは既存化学物質についての国の点検結果については、これまでも情報公開しておりますけれども、第三者から自由にアクセスできるように使いやすいデータベースに今取り組みを進めております。ただ新規の場合には、情報の取り扱いにつきまして情報公開法の考え方を踏まえながら、企業秘密のようなことがある場合の注意も含めて、どういったような取り扱いにしていくかを検討する必要があると思います。そういった全体を具体的に今後検討していきながら、できるだけ情報の開示と活用が促されるように取り組んでまいりたいと思いますし、少しまたそのあたり、とりまとめに適切に反映できるかどうかもあわせて検討させていただければと思います。

【池田委員長】
 どうぞ。

【渡部委員】
 今の問題はもっと後で御質問しようと思っていたんですが、この話が出ましたので関連質問としてさせていただきたいと思うんですけれども、ハイプロダクションボリューム・ケミカルズ、HPVに関係することなんですが、現状で我が国の場合、どういう化学物質がどれだけ製造されているのか、そして国内で使われているのかという実態把握というのは、きちんとできているんでしょうか。あるいは今度の法改正を経て、もしそれが不備であれは、法改正によってそれがきっちりできるようになるという見通しがあるのでしょうか。そして、お答えをちょうだいしたら、すぐもう一つ、その次のそれに関係する質問が控えているということをあらかじめ了解しておいてください。特に池田先生にお願いします。

【野中室長】
 個別の化学物質の実態をどう把握しているかということにつきましては、ページとしては資料4の22ページにありますように、一応承認統計という形での実態調査ということを実施しております。必ずしも100%の回収率ではないという意味での網羅性等には問題がまだないわけじゃないですけれども、この辺は改善をしつつできる限りの実態を押さえようとしております。
 一方で、指定化学物質等何らかの管理が必要になった化学物質につきましては、これは法律で実績を届出る等になっておりますので、こういった化学物質につきましては確実に押さえるという仕組みになっております。

【及川課長】
 それと加えまして今回の制度見直しで追加される点と申しますのは、さっき申し上げました難分解性で高蓄積性であることが判明した既存化学物質についても、これは先ほどの統計調査で今までは調べておるんですけれども、回収率が大体6〜7割ぐらいなものですから、難分解・高蓄積性の既存化学物質については、原則的に漏れがございませんように、改めて法律で実績の届出を義務づけることによって漏れなくカバーするということが今回の制度の見直しのポイントでございます。

【渡部委員】
 わかりました。
 次の問題というのは、前回も発言させていただいたんですけれども、新しく改正される法律の施行に当たっては、ごく最近動き始めたPRTR法とのギャップをできるだけなくするようにというふうに前回私指摘して、議事録にもそのように掲載されております。そのことに特に御留意いただきたいと思います。
 といいますのは、私も毒性学をやってまいりましたけれども、これまで多くの毒性学者から、我が国においてはリスクマネジメントというのが極めてできにくいと、あるいはほとんど不可能だというふうに言われているんですよ。それは、例えば新規化学物質あるいは既存の化学物質について、現在我が国でどれだけの数量が環境中に放出されているのかということの実態がわからない。そうすると、リスクアセスメントができない。だからリスクマネジメントができないというのが我が国の現状だというふうに認識しておりますが、これが改まっていくようになってもらいたいと思います。
 例えば企業秘密であるとかなんとかといって、新規化学物質について指定化学物質や第一種特定化学物質であれば官報に載るわけですけれども、そうでないものの場合は、品目もわからない生産量もわからないと。それは企業の秘密だというふうに官の側が企業の立場をおもんばかってやっておいでになるようだったら、やはりリスクマネジメントはできないというふうに思うんですよ。今度新たに環境の生物に対する毒性あるいは影響というのが入りましたでしょう。既存の化学物質でも、それが果たして我が国で今まで環境の生物に対してどんな影響を与えるのかというのは、とにかく調べられたためしがないわけですね。ですから、余計に今私が申し上げたことが必要だというふうに思っております。

【野中室長】
 御指摘の点十分踏まえますが、今のPRTRとのギャップという点につきましては、PRTR対象物質で難分解のものは、人の健康に対して有害性があるものにつきましては化審法の指定化学物質に指定する、現実に指定しておりまして、そういう中でリンクを図っていますし、環境生物の問題につきましても、今回また法改正等行った後には、十分リンクがとれるようになると思っております。
 さらに、こういった化学物質、特に国内で製造・輸入実績のある化学物質のデータにつきましては、別途データベース化ということを今進めておりまして、こういった中で、公開できる情報はできるだけ公開するという基盤整備は並行してやっていきたいと思っております。

【渡部委員】
 ありがとうございました。大いに期待いたしております。
 もう一つ、うんと後の方で、今の問題よりかはるかに重要な問題を質問することを用意しておりますので、1回質問した者は質問ができないというふうなことにしないでください。1点だけ。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 ただ、できるだけ多くの先生方から御意見を頂戴したい思いもございますので。  どうぞ、伊東先生。

【伊東委員】
 4ページの真ん中のあたりに、「人の健康に係る長期毒性に関する判断を行うための手法としては、現行の毒性試験法の他に、最近の科学技術の進展を踏まえた新たな試験法もあることに留意する必要がある」というのがあるんですね。これは前にも我々の委員会のときに申しましたけれども、ICHで2年間の発がん実験。我々の毒性として一番気になるのは、発がん性があるかどうかということなんですね。ですけど発がん性の検査は、この次の資料の23ページにもありますけれども、非常に長い期間と莫大な費用がかかるわけですね。それに対してICHは、既に我が国で行われておるトランスジェニックマウスの方法であるとか、中期発がん試験法であるとかということがいいということを推薦しているんですね。この方法をぜひこちらでやると、日本でもやるということを提案していただきたいんですね。
 現にその方法は我が国でもたくさん行われておりますし、外国でもたくさんもう既に行われているんですね。そして、長期と短期のデータが一致するというデータも出ておるわけです。ですから、ぜひこれをこの中で使っていただいて、一刻も早くたくさんのデータを、つまり発がん性に関するデータを公開してほしい。日本はフリーライダーだと言われておりますけれども、そういうデータをたくさん出していくことによって、フリーライダーだと欧米から言われるような筋合いはないと、新しくデータがあるんだということを出していってほしいというふうに思うんですね。
 この方法というのは、そんなに何億も、2億もかかるわけでもありませんし、もっと短い期間でデータが出るわけですから、ぜひそういうふうな内容を踏まえて積極的にこれを用いていくと。何と言いましても、20年、30年前の発がん実験の方法をそのままここにお書きになって、それで2億近い金がかかる、そんなものをやっておれば、恐らく22世紀になっても環境中の発がん物質の判定はできないだろうというふうに思いますので、御配慮ください。

【池田委員長】
 ありがとうございます。
 ほかにもIIの1の部分、難分解・高蓄積性の部分で承るべき御意見ございますでしょうか。
 どうぞ。

【中下委員】
 申しわけありません。元に戻ってしまいますが、先ほどの御回答の中で、統計法に基づく承認統計でやっておられるということですが、これは公開されておるんでしょうか。それから、今回、有害性情報の届出を義務づけるということですが、義務づけられた情報、届出された情報は公開される御予定でいらっしゃいますでしょうか。セーフティーネットとか。

【野中室長】
 まず、これは統計法の情報ですから、企業秘密にかかわるような形では公表できません。したがって、集計結果等は公表できるんですけれども、個別のデータの公表はできません。
 したがって、少し幅を持った出し方とか、そういったことはできないかというようなことは考えて、先ほど言いましたデータベースの中にうまく織り込めないかということで検討していますが、統計法上これは必ず秘密を守るという縛りが逆にあって、簡単に公開できるという形にはなっておりません。出し方は、今後またさらに工夫しようと思っています。
 それから有害性の情報につきましては、これもまた後から議論になると思いますけれども、情報公開法の精神というのを勘案しながら、企業の財産権、企業秘密と、一方で環境や人の健康への配慮をし、そういった場合はデータを出していかなければいけないという、この2つのバランスをとりながら、公開できるもの、公表できるものはできるだけ公表していくという姿勢で臨もうかと思っております。

【中下委員】
 指定物質に生産量とか輸入量の届出がありますよね、そういうものは公表されておるんですか。

【野中室長】
 指定物質につきましては、100トン以上のものにつきましては製造・輸入量を含めた総量を公表しております。

【中下委員】
 個別物質ごとになっているわけですね。

【野中室長】
 個別物質ごとに出しております。

【池田委員長】
 若林先生、どうぞ。

【若林委員】
 あえて、ちょっと問題提起みたいな形で言わせていただきたいと思うんです。難分解性・高蓄積性と申しても、多分程度があるとは思うんですよ、要するに中程度か高程度かというのは。それはともかくとしまして、非常に分解性が悪く、それから蓄積性が高いという物質に関しましては、先ほど生態影響の点からも非常に問題だよ、というような御指摘がございましたけど、この場合、特に人に対する影響みたいな観点から、例えば内分泌かく乱作用みたいなものは、従来考えられてなかったような問題が出てくるということを考慮しますと、かなりそれだけで問題があると。そこにありましたね、過剰規制になるかもしれないけどというようなことなんですけど、それだけでもう製造禁止にしてもいいのかなという、クエスチョンマークですけど。あるいは開放系での使用禁止というようなことも、やっぱり一度検討していただきたいなという気はいたします。

【池田委員長】
 何かお答えがありますか。

【及川課長】
 いわゆる内分泌かく乱作用といったような非常に新しい観点につきましては、御案内のとおり、前回もたしか御議論があったと思うんですが、現在、試験方法、評価方法について国際的な確立を目指した取り組みを進めておりますので、そうした取り組みの進展を踏まえて、今後の課題として考えてまいりたいというふうに思っております。
 後段の難分解・高蓄積性の物質につきましては、先ほどの御説明の中で、一言で申しますと、必要に応じてハザードの評価を進めるということと、暴露を管理していくということを同時並行的にできるようなやり方できちんと管理していくという方向を御説明申し上げましたけれども、そういった中で暴露が問題のないようにしていくということの選択肢の中では、開放系の用途における使用を事実上やめてしまうという取り組みも含めて、検討の余地はあると思っております。

【池田委員長】
 よろしゅうございましょうか。先を急ぐようで恐縮でございますが、本日はこれの最後まで読み上げたいというのが目的でございますので、また後で、時間が幸いありましたら元に戻ることも考えながら先に進ませていただきたいと思います。
 4ページの下から5行目、2.で暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直しについて、この部分で御意見がございましたらどうぞ。
 どうぞ。

【渡部委員】
 先ほどもっと重要な問題があるというふうに申し上げたことの一つでございます。ここで、とにかく暴露評価ということをやるのだということ、これ自体は非常に良いことだと思います。それに応じて数量的な規制というのが変わるようになっておりますね。少量新規化合物、つまり第一種特定化学物質にひょっとしてなるのかもしれないというふうな毒性の強い、あるいは長期毒性の可能性のあるものでも、1トン未満であればすなわちフリーパスということで今までやってまいりましたね、それを今回の法改正では10トンに上げるんですか。それは私の誤解でしょうか。

【及川課長】
 これはもう一度資料3の別紙の2を再度御確認いただければと思います。従来の少量新規化学物質につきましては、確かに年間の全国での製造・輸入総量が1トン以下のものであるということが一つの条件でございますけれども、それだけではなくて、具体的には関係の審議会の御専門の先生方に御確認いただいておりますけれども、確かにまだ試験を実施していない段階なんですけれども、例えば化学構造式から見て既に特定化学物質であることがわかっているような化学物質に非常によく似ているんじゃないかとか、場合によっては、部分構造から見て、こういう部分構造を持っている化学物質というのはえてして毒性が発現することがしばしばあるといったような知見がある場合には、これは確認すべきではないだろうという判断があり得ると思います。したがいまして、従来の少量新規化学物質につきましては、数量とともに、その時点でわかっております知見から見て問題があるかないかということの御判断をいただいた上で、問題があるものは確認しないというやり方をしてきております。
 それと同様に、審査が途中まで進んで、難分解性であり低蓄積性であることがわかった化学物質のその後の扱いの一つの選択肢といたしましては、見込まれます製造・輸入数量が1トンということで必ずしもなくても、10トン程度ぐらいまでの間に関しては、直ちに次の段階の試験の実施を求めるということで必ずしもなくても、その時点で得られている分子構造等の知見から見まして、例えば特定化学物質によく似ているとか、あるいは部分構造から見て特段注意した方がいいといったようなことがある場合には、やっぱり確認しないという手順をとろうと思っておりまして、一方でそういった懸念がないものについては、10トン足らずという段階においては、すぐその次の段階の試験に行くということではなくて、少ない数量のもので管理するということでよろしいのではないかということでございます。

【野中室長】
 高蓄積性のものは、このフローから見てわかりますように、1トンの裾切りを維持するという点は何ら変わるところはございません。

【渡部委員】
 過去の例から見て、高蓄積性あるいは毒性が強いだろうというふうなものはオミットというか抑えることができるわけだからということですね。すぐに10トンにまでいかないようにして、ということですか。それは私の理解不足ですか。

【及川課長】
 従来の少量新規化学物質に関しましては、先ほど申し上げましたように、分子構造等の知見から見て、環境汚染ですとか健康影響があるのではないかという疑いが持たれるものについては不確認という考え方をとっております。ただ、そのときに、従来の特定化学物質と余り似てないんだけれども、例えば蓄積性が高いとか毒性が強いといったようなものが絶対ないとは言えないわけでございまして、そういう新しいタイプの例えば蓄積性が高いとか毒性が強いというものが出てきたとすると、ひょっとするとチェックし切れない場合もあるのではないか。ただ、そうではあっても、1トンというところで抑えておけば、仮に蓄積性が高くて毒性があるというものがあったとしても、実際に問題になるような影響は出ないのではないかという理解のもとにこうした管理をしてきているんですが、さて新しい考え方といたしましては、分解性・蓄積性の試験までが終わって、蓄積性が高いものではないというところまではわかったものについては、分子構造等の観点で除外されるべきもの以外のものについては、直ちに毒性試験といったようなことではなくて、その蓄積性が低いところまでがわかったところで、10トン程度を目安にしばらく管理できるのではないかということでございます。ただ、その場合においては、やはり確認ということでできるだけ除外すべきものは除外するということなんですけれども、一方では、数量がその程度までのところで抑えるということと、両方合わせて管理していけるのではないかということでございます。

【渡部委員】
 大丈夫ですかね、大変私はその点について危惧いたしております。実は私は、現在の厚労省の化学物質調査会の専門委員を約20年余りやっております。その経験を通して、製造量10トン以下の化学物質の中には、どうしてこの化学構造でこんな強い毒性があらわれるんだろうというのをしばしば体験しておりますよ。本当に製造数量をもし10トンというふうに上げたとしたら、それ以下は化学構造で推定できる毒性だとか何だとかということでふるいにかけていったとしても、かなり多くの指定化学物質相当の化学物質が、結果的にはフリーパスになってしまうということを危惧しているのです。
 資料4を拝見しますと、欧米の事情が述べられている部分がありますね。資料4のページ数として10ページに当たりましょうか、これはEUの場合ですね。その前の9ページに当たりますね。ちょうど中ほどなんですけれども、小さい文字で書かれている※1ですが、米国では、「1995年に年間数量1tから10tに変更された。」というふうな記述がありますね。年間数量1トンというのは、現行の我が国の少量新規化学物質の取り扱いと、つまり毒性試験免除というのと全く同じです。それを米国が1995年に変えて、そして変えてもいいんだというふうな根拠として、後ほどのページにございますが、資料4の34ページですね、一番最後の行から3行目4ですけれども、「過去の審査におけるリスクの評価の実績から、1t以下と1〜10tの場合を比較して健康や環境へのリスクに有意な差が見られた物は極めて少なかったこと」というのが、1トンから10トンへの数量的なシフトの根拠の一つになっておりますね。米国はどういう事実に基づいて差が少なかったと言っているのかわからないんですが、一体我が国において従来の1トンというのを法改正によって10トンに変えるという根拠というのは何なんでしょうか、米国と同じですか。

【及川課長】
 米国と同じではございません。これにつきましては、具体的に資料4の36〜41ページあたりが、我が国における考え方なり評価を整理させていただいたものでございます。まず、36ページでは、現在の少量新規化学物質の制度の概要を紹介させていただいております。これは先ほど申し上げましたように、1トン以下で人の健康を損なうおそれがないことを確認して1トン以下で認めている、こういうことでございます。ちなみに、これを例えば第一種特定化学物質の中でも1日許容摂取量が低いディルドリンのようなものが、ディルドリンですから水の環境ということになろうかと思いますが、水質の方にどんと流れ出るといったようなことで、どういうような環境中濃度なりリスクになるかということを試算してみたものが37〜39ページでございます。
 ここでは東京湾と瀬戸内海につきまして、ディルドリンが大体東京湾周辺の人口ですとか瀬戸内海周辺の人口に比例して、1トンのうちから東京湾、瀬戸内海に流れ込んでいくという状況を想定して、そうしたところから東京湾ですとか瀬戸内海の中の魚の中の濃度がどのくらいになりそうかを想定しまして、さらにその魚を平均的な数量よりも多目に食べて、果たして1日許容摂取量との関係でどのぐらいの関係になるのかということを、ちょっとラフではございますけれども試算いたしております。
 その結果、東京湾の方では年間で見ますと毎年280キログラムぐらいのディルドリン、瀬戸内海につきましては毎年150キログラムぐらいのディルドリンが、毎日というのもなにですが、継続的に東京湾なり瀬戸内海に流れ込んでいって、ただ東京湾、瀬戸内海からは外海にも拡散しますので、ある状態で底質も含めて平行状態になったときに、水の中のディルドリンの濃度がどのぐらいになるかという計算をまずやっております。その上で水の中の濃度を、底質との平衡も考慮して水中濃度を出しまして、それを魚体中の濃度に換算いたしまして、さらに日本人が魚を食べる量の中でも多い人から5人目ぐらいの95%ぐらい、多量に魚の肉を食べる人というのは、大体平均値97グラムに対して、1日268グラムぐらいの魚を食べることになるんですが、このぐらいの量の魚を食べた結果、体内にディルドリンがどのぐらい入るかと計算したんですけれども、これで計算しますと、39ページにかけて整理してございますけれども、魚を経由した摂取量というのが、東京湾の方ではADIに対して42%程度、瀬戸内海では4%程度ということで、ラフな試算ではございますけれども、一応開放系に出て水質汚染を通じて食用の魚に蓄積性の高いものがたまった場合に、大体1トンが、どこかに一気に排出されるということではないと思いますので、東京湾なり瀬戸内海あたりで出た場合の程度というのは、大体1トンぐらいで管理しておれば、ADIとの関係では問題になるようなところまでいかずに済むのではないかと。
 これに対しまして蓄積性が高くない物質に関しましては、要は人にとって問題になりますのは魚の中の濃度が問題になるということだと思うんですけれども、これについては36ページをごらんいただければと思うんですが、ちょっと例示的ではございますが、大体第一種特定化学物質のようなものというのは蓄積性が1万倍ぐらいございまして、一方で、例えば蓄積性が100倍ぐらいと低いものがあったといたしますと、一番問題になりますのは魚の中でどのぐらい濃度になるかというところだと思うんですが、そこが同じように、このテーブルの中の一番下でございますけれども、単位は別といたしまして、両方仮に1万ぐらい入っているといたしますと、環境中の濃度というのは蓄積性の高いものに比べますと、蓄積性の低いもの、ある程度の環境濃度になっても、魚にそれほどたまりませんので、結局人が受ける影響というのは、環境中の濃度が多少高くても、第一種特定化学物質のように蓄積性の高いものとは異なり深刻な影響が起こらないのではないかということでございまして、そういった蓄積性の違いを考慮すれば、蓄積性が高くないことまでがわかった化学物質については、従来の1トンということでなくて、10トン程度の数量で管理をすることにしても実際に問題が起こらないのではないかという見方をしておるということでございまして、実はこの点について私どもは、環境モニタリングの結果も踏まえましてできるだけの確認を行いまして、41ページの方で、これは環境省の方とも相談いたしまして、環境モニタリングの結果、環境中から検出されました工業的に製造・輸入されている化学物質につきまして、環境モニタリングよりも1〜2年ぐらい前の時点でどの程度製造・輸入されていたかということをできるだけフォローアップ調査を行いまして、このような整理をさせていただいた結果でございます。
 これを見ていただきますと、環境モニタリングの結果、環境中から検出されているものというのは、何十トンかの製造・輸入量があるものということに結果的になっておりまして、当然ながらグラフの方で見ていただきますと、製造・輸入数量が10トン足らずという程度のものでは、結果的に検出されておりません。こうしたモニタリングの結果なり、それとあわせて製造・輸入数量を考慮した結果から見ましても、10トン程度の製造・輸入数量のものについては、環境分析を行った場合に、検出される程の環境残留状況にならないのではないかとということもあわせて考えまして、新しい制度の中での数量の目安を10トンということで整理させていただいたような次第でございます。

【渡部委員】
 わかりました。要するにアメリカに追従したのではないと言いたいわけですね。

【及川課長】
 単純にそういうことではございません。

【渡部委員】
 大丈夫ですかね、アメリカという広大な国土に比べると、非常に狭隘な日本ですよ。人口密度も極めて高い。魚体中の化学物質の濃度が問題であって、人口密度なんて余り関係ないんだというふうにおっしゃるのはどうでしょうかね、10トンにレベルアップして大丈夫ですかね。EUは、現行法ではかなりきめが細かいですよね。本当に今の私が疑問に思っているようなところもきっちりやっておりますし、もっと少ない数量でも結構なテストを課しておりますから。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 では、井上先生どうぞ。

【井上委員】
 渡部先生が納得されましたので、ちょっと発言の意義は減少したんですけれども、一応対渡部先生に対する意見も含めて確認しておきたいと思います。
 私どもの化学物質の安全に関する審議会では、渡部先生には長年御協力いただいてまいって、私もいろいろお教えいただいているわけでございますが、これは渡部先生が持論としておられる、これまでの審議対象にしてきた物質1トン以上というものを10トンに引き上げようというものではないという点を御確認いただきたいと思うんです。いろいろ環境面からの問題があるかどうか私存じませんけれども、生体影響の部分についてはこれでよろしかろうというふうに考えた次第です。
 ただし、渡部先生が御指摘になりましたように、構造活性相関の問題については問題があると思っております。これは2面ありまして、構造活性相関が非常に精度が上がってきているという一面が一方であると同時に、先ほども冒頭で御発言がありましたけれども、私はあえて付議をいたしませんでしたが、OECDでもそういう側面を取り上げて、これを大いに運用していくということを取り上げている反面、専らプライオリタイゼーションの方に使っていく、これでもって排除などに利用しない、これでもって安全宣言をしないということが大前提になっておりますので、それは事務局は御承知だろうと思いますけれども、その点を確認したいと思います。よろしくお願いします。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 では、安藤委員。

【安藤委員】
 今の2.の暴露可能性を考慮した事前審査制度の見直しのところでございます。ここでは1トン以下ということで議論がなされるということでございますが、それについてリスクの評価・管理をするんだということを強調なさっている。それは結構なお話ですが、そこである程度関係ないものは除いちゃおう、こういう考え方だと思うんですね。それはどういうことかというと、いわゆる中間物、閉鎖系等の暴露の可能性が極めて低いもの、これについてはそこから除くんだと、こういう考え方でよろしいわけですね。
 そういたしますと、そこで問題なのが幾つかあるだろうというふうに思います。例えばこの化審法ができた最初のもとは、まさにPCBなわけですね。PCBというものの使い方というのは、どちらかと言うと閉鎖系で使っていたはずだと。もちろんいろいろなところに、環境に出ていったということもございますが、閉鎖系で使っていたということがある。あるいは幾つかのトランスに使われていた、これも閉鎖系で使っていたということ。御説明の中では、製品の販売、そういうものは除外だよと、こういうふうにおっしゃっていた。だけれどもトランスを見ても、現在やっと処理を云々するという状況になってきたとは申しましても、環境にばらまかれたのは事実なわけですね。そういうことからしますと、閉鎖系等について1トン未満についてはいいんだと、とりあえずはいいんだという考え方というのは非常に問題じゃないか。
 ですから、時間がありませんので具体的に3つ質問させていただきます。1つは、管理というふうに書いてあるけれども、その管理の具体性は何か。それから、閉鎖系という定義はどうするのか。もう一つ、適切な事前あるいは事後の監視を行いますと申しておりますけれども、ここで言う、そういう事前・事後の監視というのはどういうことなのか。つまり企業が申告した、それをうのみにして、はいオーケーですよと、こういうふうになるのか。あるいは使用目的が変わった場合どうするのか、そういうものは全然わからないではないかと、そんな気がいたします。そこいらをもう少し明確にしないと、これを簡単に、リスクの評価・管理をしますよというだけではちょっと甘いのではないか、そんな気がいたします。

【野中室長】
 特に閉鎖系ということでございますけれども、基本的には最後のつまり使われ方、それから廃棄の状況まで含めて確認をして、環境に放出されることが極めて低いということまできちんと確認をしようと思っております。
 したがいまして、例えばトランス等で不特定多数に出す場合には、個々の管理の把握はできませんから、これは確認ができないということで考えております。むしろ特定のプラントの中で本当に閉鎖系に使われて、それで処理もちゃんと焼却処理をするというようなことまで確認する、きちんとそういった工程も含めてユーザーからの確認というのもとる。この確認をやろうと思っていまして、今の医薬品中間体でもユーザーとの確認をとっていますが、同様にきっちりと確認ができたものにしようと思っております。それから閉鎖系というのは、基本的には通常の閉鎖系と思われているものではなくて、環境への放出が最後の段階まで行っても極めて低いことが確認できるもの、そういったことをもって閉鎖系ということで考えようと思っております。
 それから事前・事後の確認ですけれども、そういったことを書類等々できちんと出してもらって確認をするとともに、当然事後の報告聴取のほか、現場へ入るというようなこともーー法的にどう位置づけるかというのは若干議論ありますけど、実質的にはそういったことまでやって確認を続けていくつもりです。当然工程の変更とかそういった話があれば、必ず出していただくと。そういう厳しい、環境にとにかく出ないことを確認するというのが大前提の閉鎖系ということでございます。

【池田委員長】
 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】
 今のようなお答えで、そういうお答えになるんだろうと思うんですけど、ほかの中間体、中間物も暴露可能性といったときに、今のところ暴露性可能性とこの辺で言っているのは、環境の排出可能性が中心ですよね。先ほど安藤先生が言われたように、蓄積性のものについてはまた別の考え方が必要であるというようなことがありますので、多分確認をしていただくという話が先ほどの及川課長、野中室長の御説明の中で多分入っているんだろうと思いますけれども、生産量が非常に多くなるとか、完全中間物といっても100%分解するわけじゃなくて、例えばポリマーの中のモノマーが残存するとかそういう話がありますので、そこら辺のところは十分確認をしていただくということが前提であるということだけ申し上げておきたいと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 中下委員どうぞ。

【中下委員】
 ちょっと今のところと関連しますから御意見申し上げたいと思うんですが、事前の確認及び事後の監視というのが重要だということは、これはどなたも御異論がないと思うんです。私どもは消費者あるいは国民の立場として、昨今の官庁のデータ不正の見逃しとかその他さまざまな不祥事を見るにつけ、残念ながら、別にここにおいでの皆さん方がそんなことをされるとはとても思いませんが、やはり人のミスやそういったものは避けがたい。そうすると、やはりチェックシステムというのがその確認を有効ならしめるとても重要なものだと思いますので、そうすると第三者機関を、特に我々のような市民代表を入れていただいて、これは透明性が高まりますし、信頼性も高まる、効率は高まるんですよ。ということなので、そういう第三者機関をつくっていただくと。ただ単に皆さん方の審査の担当の方々が書類で確認される、あるいは現場へ行って確認されるのもいいんですけど、それだけではなく、そういうことをぜひお願いしたい。
 それと同時に、報告、確認をされたことはきちっと文書に残していただく、これは当たり前のことだと思うんですが、それについてちゃんと公表していただく。透明性を高めるということと、こういった第三者機関によるチェックシステムを設ける、これが大変重要なことではないかというふうに思います。
 もう一つ、ある意味で費用の使い方等含めて、こういう合理的な考え方をしていくということについても、私は別に反対するわけじゃないんです。それはなぜかと言うと、今の既存化学物質についてほとんどなされていない状況で新規だけに物すごいお金をかけるという、こういうことについてはちょっと私もバランスを失しているんじゃないかなというふうに思うところがあるんですね。ですから、そこで節約された費用について、やはり優先的に既存の方の点検、こういうところに向けていただくということはきちっと書いていただいて、そういう方向性を示していただきたいなというふうに思います。
 一つ質問なんですが、もし後で例えば有害性のおそれが出てきた、これは後のセーフティーネットのところで出てきますけれども、そういうことがわかったといった場合には、どういう取り扱いになるんでしょうか。一応免れたやつ、今回一たん確認されたと、その後で有害性情報が出てきた、こういった場合はどうなんですか。

【野中室長】
 もちろん、例えば1トンから10トンの間で判定保留になっているようなものについて新たな知見、情報等が入りましたら、それを踏まえて不確認というルートがあるわけですから、そういうことで審査を求めることは十分あり得ますし、そのときそのときの最大限の既知見を使って、本来なら10トン以下なら大丈夫なんですけれども、これはまずいんじゃないかという知見があれば、当然通常の試験、審査もできるルートはつくろうと思っております。
 あと、公表の件ですけれども、第三者機関という形がとれるかどうかというのは、特にこれは個別企業の話になりますので、かなり法的な検討とか、どういう形がいいかは検討事項だと思いますけれども、できるだけその状況については、当然審議会で議論したり、公表していろんな御意見をいただいたりというのは基本的にはやっていこうと思っています。

【池田委員長】
 西原先生、どうぞ。

【西原委員】
 今のと多少というか大分関係してくるんですが、まず一つ確認ですけれども、1〜10トンの間の物質というのは、私、この前言いましたが、灰色物質ということで理解していいんですね。あるいは仮免許物質ということでいいんですね。

【野中室長】
 判定保留ということです。

【西原委員】
 そうですね。その物質の名前とかその届出、何トンつくるか、それは公表されるんですか。あるいはその会社名も含めて。

【野中室長】
 それについてはむしろ公表という形ではなくて、今まで基本的に指定化学物質と白物質を公表していますが、これは公表するとだれでもつくれるようにという意味での公表をしておりますが、これは単なる判定保留の状況でございますので、むしろだれでもつくれるというような状況は好ましくないと思っておりますので、これについては物質名の公表等々はしません。
 したがいまして、届出者以外は新規と一緒で、事前審査を受けずに製造・輸入することはできません。届出者は政府の監視のもとで判定保留の状況を踏まえた製造・輸入を行ってもらう、こういう形を考えております。

【西原委員】
 私、個人的には会社名も、その会社がオーケーと言えば公表すべきだと思います。今インターネットでデータベースをつくるんだったら、この情報についてはあなたは公表しますか、非公開にしますかという質問を一つつくればいいだけなんですよ。そこをチェックして会社名が出れば、その会社が、中西先生のコメントの中にありますが、会社の責任というのが、自己責任が非常に大きいんですよね。そういう意味で、その会社が責任を持つという宣言をしたと。これは会社の責任をプロモートする一つの非常にいい宣伝の方法じゃないかということも含めて、私は公表すべきだと思っております。それは新規の10トン以下、以上も。
 それで、お金に多少余裕ができるはずですよね、会社は。としたら、既存で10トンあるいは100トン以上つくっている物質に関しては、企業責任でそのデータを集めるということを明記してほしい。それは何トンにするかは別にしてね。というのは、例えば100トン以上つくっている物質の会社がわかりますよね、既存で。そうすると、その会社の責任でもってそのデータを集めてくださいという。
 もう一つ、公表ということで非常に問題になってくるので、前もちょっと言ったんですが、難分解で高蓄積性であると、長期毒性がなしと判断された物質って簡単に言われますけれども、長期慢性毒性なしと判定できますか、毒性の専門家の先生に聞きたいんですけれども。私はできないと思うんです。ということは、それも仮免ですよ。だから、無罪放免の白はあり得ないと僕自身は思っています、難分解・高蓄積性の物質に関しては。というのは、それこそ先ほどから出てますように、新たな内分泌かく乱とかそういう毒性も出てくる可能性があるわけですよね。それも含めてすべて慢性毒性ないという評価は、私はできません。そういう意味で、すべて灰色物質あるいは指定物質にしておいてほしいというのが私の意見です。

【野中室長】
 簡単にお答えしますと、1トンから10トンの公表の件ですけれども、恐らく公表しますかと聞いたから、いや公表しないでくれと言われる可能性は極めて高いので、制度的に公表するかしないかを確認して、それで公表するしないを決めるというようなことを法制度で書くことというのはむしろ適当ではないんじゃないかと考えています。むしろそういう自主的な公表を推進するという意味であれば、自主的取り組みの中で民間の企業の方がやられるというものをいかに推進していくか。ユーザーとの関係では、いずれにしても何らかの公表ということをすることもあり得るわけですから、そういう自主的な取り組みの推進ということでいきたいと思っています。それから若干4.の既存点検に絡んできますけれども、高生産量になった場合には、今はもう日米欧の取り組みの中で有害性のデータ収集をしていこうという共同プログラムも動いております。これを化審法で決めると、化審法に対する有害性項目だけということになってしまうわけですけれども、もっと広い範囲での有害性項目について、高生産量について点検をしていこうという動きがございますし、その中に、新規の化学物質で量が増えたものもこの対象に含まれております。
 したがいまして、こういう高生産量での既存化学物質の有害性評価というようなことを推進することによって、むしろより多くの情報が集められるのではないかと思っております。
 それから難分解性・高蓄積性の件ですけど、長期毒性が白という判定が出ないときはボックスから出ませんので、そういうスキームでございます。

【西原委員】
 もう一つ、済みません。高生産量のHPVというのは1,000トンですよね、年間。

【野中室長】
 現在のOECDで優先的にやろうとしているのは年間1,000トンでございますが、これはあくまで当面の計画だと思っております。プライオリティーの問題だと思っていますので、その次にどういう展開をするのかというのはいろんな展開があると思っております。

【西原委員】
 私は、日本独自で化審法の毒性データでもいいですから、100トン以上のやつを優先的にプライオリティーリストをつくってやれば、既存の点検促進という意味になるし、そのやった会社の企業責任が明確になるという意味で私はそういうふうに言ったわけでございます。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 だんだん時間に追われてきますので、討論はできるだけ圧縮してお願いいたします。
 まず小島委員、それから小倉委員、そしてこちらに参ります。少しお待ちください。

【小島委員】
 それでは、今の暴露可能性のところなんですけれども、やはり先ほどほかの委員からも出ましたけれども、チェックのシステムとか、それをやはり具体的に明文化してつくっておかないと、ここでチェックでこうしますとかこうしたいとか幾ら言っても、最終的にじゃどういう手続でやるんですか、どういうモニタリングの仕方をするんですかとか、そういうことをきちんと決めた上で、確実にできるようなシステムにしていただきたいというのが一つと、もう一つ、環境への放出がないように適切な処理と言われているんですけれども、そういう処理が果たしてできるのか。例えばPCBなんか、処理するのに非常に困難を極めてますよね。個別の物質はそれぞれいろいろあるんですけれども、本当にそれを適切に処理する方法があるのか。しかも、ここでは化審法じゃなくて、廃掃法とかそっちの別の法体系の領域になりますよね。そういうところまで今回のこれできちんと面倒見ていただけるのか。きちんと面倒見るべきだと思うんですね。そういうことが本当に書いてあって、適切な処理の確保が必要であるというようなことを言ってますけれども、どこまで国として全体的にやるのか、その辺をはっきりさせていただいて、処理の方法についても十分明らかにしていただきたいと思います。御要望2つです。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 では、小倉委員どうぞ。

【小倉委員】
 いろいろな御議論が出ておりますけれども、一つは中間体でございます。産業界は、現在も中間体を扱っておりまして、同一事業所内では、例えば中間体といいますと、まずリアクターといいますか反応機の中で残っていて、そのまま変わってしまうものと、一たん取り出しまして閉鎖系のタンクに入れるもの、それから例えば閉鎖系のパイプを使ってローリーに移してほかの場所へ運ぶと、そういう格好が通常とられております。
 したがいまして、いわゆる環境への暴露といいますか漏出というのは、本当にきっちり抑えられるというふうに理解しております。かつ、労働者保護の観点から、もちろんこれは労安法で各工程のステップにおきまして、いわゆるチェックは必ずかかるわけですね。今回の中間体の御提案されている中では、異なった事業者間で移動する中間体も含まれるというふうに理解しておりますが、そのときには、いわゆるこの中間体にございますような、先方で、こういうプロセスでやるよとか、こういう処理をするんだよとか、あるいは廃棄も含めてこういうふうにしましょうというところまで含めてお届けして許可をいただかないと、多分許していただけないようなスキームじゃないかなと。
 したがいまして、非常にきついコントロールのもとで行われる過程であろうというふうに考えております。そういう意味では、もちろん国の監査等を私どもでも受け入れることも十分考えられますし、そういうところは、こういうふうにやっているんですよということも見ていただくような形でもって対応し得るというふうに考えております。
 それから、先ほどHPVの量の話が出ておりましたけれども、私もHPVをこの4年間ほど担当しておりまして、いろいろございますけれども、一応定義としましては、日本は年産1,000トン/国でございます。欧州は1事業者当たり1,000トン。アメリカは100万ポンド/国、ですから450キロぐらいですかね。こういうふうに各国によっていろいろ定義が違いますけれども、現在OECDベースでは、各国の定義でそのままでやっていこうよと。ちなみにちょっとここで申し上げますと、OECD全体では5,200物質が現在HPV。日本ではたしか622と記憶しています。ICCA、民間で国際コンソーシアムを組みましてやろうとしておりますのが、2004年までに1,000物質を何とかしたいなと。現在、OECDベースでたしか285物質。この資料の中にもデータございましたけれども、その中で、産業界でやっておりますので92物質まで一応評価が、レポートを含めまして進んできております。日本の企業も19物質終了し、更に一生懸命努力していただいているところです。今後も何とかこれをもう少し伸ばしていきたいというふうな努力をしておる最中でございます。ちょっと御参考までに。

【池田委員長】
 ありがとうございます。
 どうぞ、岩熊委員。

【岩熊委員】
 単純に確認だけなんですけれども、資料3の別紙2のところで、一番右の新たな事前確認制度というのがございまして、中間物輸出専用品、それから閉鎖系。この両端の2つについて、中間物と閉鎖系については御説明いただいたんですが、これは本文の方の資料3の6ページの輸出専用品のところにございますけれども、輸出専用品の場合には、輸出相手国において新規化学物質の審査制度が整備されている場合だけ対象外とできると、そうでない場合は対象外にしないという解釈でよろしいんですね。

【野中室長】
 そういう対応です。

【岩熊委員】
 わかりました、ありがとうございます。

【池田委員長】
 どうぞ、井上委員。

【井上委員】
 先ほどの西原先生の御討議の中にあったホールドに入った物質の長期毒性についてどういうふうに考えるのかということについてですけれども、これは後の4.も拝見すると、そこに関係するわけですけど、先生のおっしゃるとおり、短期試験から長期毒性を推定することは全くできません。ですから、そういう意味で、新しいスキームではないと思いますけれども、これまでそれほど行われてこなかった比較的長期の予測、長期毒性を予測する試験が必要だと、そういう認識で私もおります。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 若林委員どうぞ。

【若林委員】
 今回の改定で生態影響が入るということで、企業の負担が増えると。そのときに、10トンで一つ切るというところについては、私はいたし方ないだろうというふうに思っております。それで、低蓄積性のものに関して、食物連鎖上10トンぐらいですと人に影響が出るように蓄積しないというところについては、そうであればそれで仕方ないだろうというふうに思いますけど、生態影響で見ますと、やはり量が増えれば影響が出てくるということで、10トンでいいのかなというふうにちょっと懸念します。1トンと10トンの間に関して、例えばin vitroのいい試験があるのか、まだ生態影響の方は余りないんですけど、私の感じでは、QSARを併用しながらin vivoの1種類の試験をするとか、何らかのチェックを入れることを検討いただきたいなというふうに思っています。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 吉岡先生、どうぞ。

【吉岡委員】
 2点です。
 1つは、6ページの一番頭のところの閉鎖系の議論ですけれども、一つ不思議に思いますのは、閉鎖系で使用されるという化学物質と暴露可能性が極めて低い用途で使用されるというふうに、後半の部分は環境に出るものを含んでいるように見えますが、前半の閉鎖系はいわゆる工場内のパイプライン内だけであるというような感じを持ちます。それで、後段の廃棄される場合にはというのが必要になってくるのかと思います。そうしますと、いわゆる化学物質のライフサイクルにおいて環境に対して暴露する可能性が極めて低いものというような形で一括してはいかがかというふうに思います。
 2点目は、現在、既存化学物質と新規化学物質に分かれておりますけれども、既存化学物質のうちでもう現在は使っていない、つくってないものがあるのかとも思います。そうしたものは、もう外しまして新規の方に回してしまった方がよいのではないか、実質上の確保がされるのじゃないかなというような気がするんですが、いかがなものでしょうか。

【野中室長】
 まず、その他の暴露可能性が極めて低いというものについては、頭の整理としては、例えばフォトレジストのように工程中で化学反応を起こして全く別のものになってしまう、もしくは、反応しなかったものは確実に処理される場合とか、閉鎖系や中間体と同様に考えていいケースというのはいろんなことが考え得るかなと。そういった場合には、低暴露ということで同等の措置を考えようということでつけ加えたもので、決してその他は開放系で環境に出るとか、そういうことで考えたものではございません。同等のものをということをバスケットクローズで書いたものでございます。
 それから、既存のものについて使われてないものを新規扱いにしたらということでございますけど、先ほど申し上げましたように、既存化学物質が本当に製造・輸入されてないのか、使われてないのかという確認は、これは強制的に徹底的に調べるというような強制法規で行えば、もしかしたらわかるかもしれないんですけど、事実上その確認が不可能だという状況において既存化学物質を新規にするというのは、法制的には非常に難しいと思っています。逆に既存化学物質の実態はできるだけ調べた上で、製造・輸入があるものについてできるだけいろんな点検をよりプライオリティーをつけて進めていくという方が、重要ではないかなと思っております。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ、須藤委員。

【須藤委員】
 先ほどの1トンの部分でございまして、説明を東京湾と瀬戸内海でいただいたんですが、これは当然そこの水の滞留日数によって違うので、多分完全混合で、あるボリューム、湾のボリュームはわかるわけですが、入ってくる水の平均的な滞留時間で、あくまでも平均的にやって、値として考察をされていると理解をするんですが、それで東京湾で0.42とは、ADIの42%ということですね。例えば内湾だけで見たら、もしかしたらもうちょっと高くなるんじゃないかなという感じもするんですね。42%というのを、ここで非常に問題ないADIに対する数値というふうに評価して本当にいいのかなという気がいたしましたと、こういう意味です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 加藤委員と江馬委員とどちらがお先だったか確認できないんですが、加藤先生からどうぞ。

【加藤委員】
 1トン、10トンの議論のところなんですけれども、人健康という方についてはどうやって計算したというような、今も滞留時間その他の問題で、本当にこれが妥当かという御意見がございましたけれども、一応計算していらっしゃるんですけれども、水生生物についてはその計算がなくて、若林委員がおっしゃったように、環境生物の場合と人との場合とで同じように考えていいのかなというのをちょっと私も疑問に思いましたので、その計算をやっぱり出していただけた方がいいかなと思います。
 やっぱり1トン、10トンのところのリスクに基づいてというところは、私は基本的には賛成なんですけれども、そのときに確認という手続が出てくる。結局このシステムの信頼性というのは、この確認という手続のところがどれだけ信頼度高くやられるかということにかかると思うんですね。このシステムが信頼されるためには、そこがかなめになるかなと思いますので、先ほど中下委員がおっしゃったように、やっぱりそこのところの透明性ですとか公開ですとか、そこが十分な説明がなされて理解できるようなシステムということに留意をしていただきたいなと思います。
 もう一点、先ほど西原先生が難分解・蓄積性のお話をされたんですけれども、ちょっと元へ戻ってしまうんですけど、資料3の別紙1のところなんですが、「管理の対象として特定」というところで、分解性が低くて蓄積性が高いというものについて、ずっと管理がされるようになっていますけれども、一番最後に来て「第一種特定化学物質には指定せず」になった途端に点線がなくなっているんですよね、一番上の管理のところに戻る点線が。これは本当にないことを意図されているのか、それとも落ちているのかどうか。つまり、その白告示になったら、全く量的管理がなくなってしまうのかどうか。
 もう一つは、「物質名公表」って一番上の四角のところなんですけれども、用途の届出を受けて公表するのは「物質名、数量の公表」とありますけれども、ここはやはり開放系用途であるか閉鎖系用途であるかということまでも公表していただいた方が、それが暴露の可能性が低いのでいいですよとなった場合に、一般の人にも理解されやすいと。数量が多いのに下へ行かないのはなぜだろうというふうに疑問を持たれないためにも、そこのところの公表は大事じゃないかなと思います。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。

【野中室長】
 最後の方からご説明しますが、まず、公表については用途の届出ということを逆に求めてますので、その関係で企業秘密にはある程度配慮するにしても、何らかの公表というのは考えてみたいと思っております。
 それから、「第一種特定化学物質には指定せず」という一番下の線ですけど、これはあくまで長期毒性がないと確実に確認された場合の話であります。したがって、確認されない場合は当然下には行かないわけですので、あくまで長期毒性が確認できるどうか、科学的にどうかというようなことでの専門家の方の御知見によると思いますが、あくまで長期毒性がだれが見てもないということになった場合に下に行くというだけでございますので、それ以外はちゃんと管理をされることになります。
 それから、環境生物と先ほどのモデルの関係ですけれども、先ほどのモデルの中で実は魚体中の濃度を強調したんですけれども、その前提として、水中濃度というのが一応計算はされます。この水中濃度、極めて低い濃度になっているということで、このモデル上もそういう数字が出ております。高蓄積性ということを勘案しない場合の環境生物への影響というのは、まさに環境濃度がどうなるのかということでございますし、指定から二特ということもまさに環境濃度がどうなるかということでございまして、それにつきましては、先ほど御紹介いたしました例えばモニタリングの結果等々から見ても、およそ環境から検出されないような状況でございますので、そういった意味では人・健康のみならず環境生物への影響ということも、環境濃度ということを勘案して、例えば10トンぐらいまでであれば問題ではないかなというふうに判断しているところでございます。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 江馬先生、どうぞ。

【江馬委員】
 先ほどから話が出ております低生産量化学物質の10トンということなんですが、例えば生産量5トンでも環境中への影響とか生態影響が強ければ、それ以上の化学物質に相当することもあり得ますので、何らかのチェック機構が要るんではないかというふうには思うんですが。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【小江委員】
 産業界にかかわる人間としてこのコメントをさせていただきたいと思います。1トン、10トンという形で段階的な審査が盛り込まれたということに対しては、評価をいたしたいと思っております。私どもは、これを単なる費用の削減ということではなくて費用対効果ということで考えておりまして、事業環境が不透明な段階での多額の経費ということが、今の新規化学物質に行くことを妨げている一因ではないかというふうに思っておりまして、このハードルを越えさせる意味でも、これは有効ではないかというふうに思っています。
 したがって、ここにあります事業環境が透明でさらにボリュームの確認もできるということであれば、直ちにすべての項目をチェックするという形で、でき得る限り私どもといたしましても人及び環境の安全に関して努力をしてまいりたいと思っております。

【池田委員長】
 ありがとうございました。

【浅野委員】
 私は、このたたき台の考え方に基本的に賛成なんですが、特にリスクという観点からの今までの制度の余りにも白か黒かという硬直的なやり方に対して、もっと弾力性を与えるということは非常にいいと思います。先ほど安藤委員がおっしゃったんですが、しかしながらやっぱり一番多くの国民の不安の種になるのは、事前の確認とか事後の監視という、管理が確実に行われることと書いてあることが単なる言葉に終わらないという点だろうと思うんです。それで、化審法という法律はもともとほかの法律と違って、化学物質を総体としてとらえて、それを市場に出していいかどうかを決める法律なんですね。その後どう使われるかということは基本的には考えないで、どう使われようと大丈夫なものは出してよろしいという構造になっている。
 一方、農薬みたいに農薬としてしか使いませんという形で出てくるものは、農薬以外のものには使えないわけですから、その枠でコントロールすればいいわけです。そういう制約がありますから、従来から化審法の中には用途の制限をするという発想はなかったわけです。今回のこの1トン、10トンの話については、私なりの理解は、さっき西原委員がおっしゃったように、灰色なんですよねとおっしゃったのはまさにそのとおりで、通常だったら事前届出をして、データを出して、審査を受けて、判定を受けて、白判定を受けたら、もう大手を振って何に使っていいものだし、それから一種と言われたらだめになってしまうし、指定物質と言われたらずっと監視つきで使うということになるわけです。
 今までは1トン以上だったらつくりたい人は全部試験をやらなきゃいけないというのを、ある種のものについては10トンを超えたところからきっちりデータを出すことを要求する。それまではこの程度のデータでもまあまあいけるものはいいということにしようというんですが、それは無罪放免にしたというのでは全くないわけで、要するに事前届出をして最終の判定を受けるまでの行政手続の例外を認めて、10トンになるまでは手続を保留していいということを言ってるだけなんです。だから、その間は手続を保留する、それでつまり確認ということになるわけですが、確認というのは許可じゃないわけですけれども、こういう条件を満たしてるどうかを見て、確認できれば、一応行為は許しますということになるわけです。
 そうすると、確認にさまざまな附帯条件をつけることも可能なわけですから、その中には用途に関する制限をかけるというようなことも、それはあり得るだろう。ずっと行って、最後に白になったらそれは外れるわけだし、黒になったら黒なりのやり方があるだろう、こういうことです。だから、それでいいんだろうと思います。ただし、もう一つの方についての問題は、閉鎖系で使用されるといった制限をつけたときの実効性の担保が難しいことだと思うんですね。中間体についても本当は問題があるかもしれないけど、既にもう現行法でやってきてるわけですから、それを言い始めたら、今まで認めているものをもう一回元に戻さなきゃいけなくなっちゃうという面がある。
 輸出物に関しては、これは完全に輸出入管理の方でコントロールできてますから、少なくともそこでチェックができるし、逆輸入のケースは、輸入の段階でもう一回化審法の入り口に戻りですから、話はそれでいいわけです。一番問題なのは、閉鎖系その他暴露可能性が低い用途で使用されているというところが、従来なかった用途規制的な要素を入れなきゃいけないということになりますから、これを法律条文の中にどう書くか、あるいは政省令レベルで書くかということは難しい問題だと思います。この辺はよく国民的合意というんでしょうか、特に事業者側、製造元としてそれを販売される事業者の方がよく了解をされて、そこについてはしかるべきかなり厳しい規制がかかってもやむを得ないということを了解していただかなければ、この話は信頼が得られないと思います。しかし、反面その点の了解がつけば、それをしっかり説明することによって国民の御理解をいただくこともできるのではないかと思います。今までの議論の中で、西原委員が灰色とおっしゃったことの意味を制度的に言うと今私が申し上げようなことになるということを申し上げました。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 河内委員、どうぞ。

【河内委員】
 先ほどから中間物、密閉系の話から1トン、10トンの話という話がありましたけど、これはやはり新しい枠組みというかリスクを入れた考え方で今回つくり上げていこうということですから、そういう観点からきちっと見ていく必要があろうかなということで、例えば1トン、10トンという場合、企業としては、先ほど灰色ということを言われましたけど、あの灰色のところに入ってたらどういう売り方をしてもいいというようなことは決してないと思うんですね。ああいう新規のものは、わからない部分があるだけにその段階というのはかなり限定した、用途がかなり明確なものにしようとするわけですね。用途的にそれじゃどういう使われ方をして、その使われた先が川へどんどん流れていくような、そのような用途にはとても売れませんなという、そこの歯どめは自然と、わからない段階だからこそきちっと企業は、そういうリスク管理を本来自衛上はするはずなんですね。灰色でこういうことをルール上認められているからということで、逆にもっと厳しい自己管理が必要だと、我々自身はそういう理解をしています。その辺をよく理解していただきたいなというふうに思いますけれども。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 兵頭委員、非常におくれました、どうぞ。

【兵頭委員】
 私の一般的な消費者の感覚からお話しさせていただきますと、今までの先生方のお話伺っておりましても、システムに対する確認あるいは事前の確認及び事後の監視、こういうものの確認することに対して不信感というのがどなたにもあるんだなと、これは大変大きなことで、国民と言ってしまったらあれなんですが、私どもからすると、この部分が先ほど中下さんもおっしゃったように、第三者的なところで国民に説明したときに納得できるようなチェック、そういうような機構をきちっと体制としてつくっていかないと、いろいろ議論しても、最終的にはそこの部分でなかなか私どもが理解できないようになるのではないか。
 早い時点でお話がありましたように企業秘密ということなんですが、企業秘密は、どんなことでどんなようなチェックをしてそれが企業秘密と言われるのか、そういう部分も大変に灰色的な部分なので、やはりそういうところを十分に説得できるような部分にするのには、やはり行政、企業だけの問題でなくて、第三者的な透明性のあるものが判断をするような機構というものが必要ではないかなというふうに、お話を伺ってて思いました。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 北野先生は今まで全くお話しになっていませんので、北野先生をラストにしてこのセッション終わりたいと思います。どうぞ。

【北野委員】
 1点は確認なんですが、ここで総量という言葉を使っておりますね、数量じゃなくて。これは複数の企業の届出があった場合は当然トータルという、そういうことですね。
 それから、今確認が随分議論になっていますが、私自身、将来こういう法律ができたときに確認する立場かどうかわかりませんけど、それはわからないんですが、やっぱりかなり難しいと思います。これは既知見に基づく毒性云々とあるんですが、ここで結局、不確認ということから試験を要求できるというルートもございますね。ですから、私はそこのところを大いに活用して、従来の我々の知見で不十分であれば、遠慮なく試験をお願いするという、その辺は確認する先生方のスタンスにかかわりますけど、やっぱりそこはきちんとやっていきたいと思うし、西原先生おっしゃっているように、まさに執行猶予というか、言葉は悪いですけど、そういうような物質という理解はやっぱり私どもしていきたいなと思っております。

【池田委員長】
 先ほど篠原委員は、北野委員の前に挙げていられたそうです。どうも御無礼いたしました。

【篠原委員】
 1トン、10トンの御議論を聞いておりまして、若干混乱があるような気もするんですけれども、私の理解が間違っていたらちょっと御指摘をいただきたいと思うんですけれども、現在の1トンという制度と今回10トンに拡大しようとする制度は延長線上にあるものではないというふうに私は理解しております。なぜ延長線上でないかというと、まず10トンの今回の制度では、難分解性と蓄積性の試験が義務づけられております。1トンの制度では義務づけられてない。まず、そこに延長線上でないというシステム的なハードルがあります。かつ、この10トン以内で、確認で生産・輸入が認められるのは、高濃縮性でない、逆に言えば低蓄積性であるという、3項目のうちの1つについて免許をもらったわけですよね。あとの最終毒性についてまだ免許はもらってないと。
 したがって、時速10キロで走ることについて許しましょう、100キロで走っちゃいけませんよと。かつ、助手席に監視がつきながら、監視をしながら時速10キロなら走ってもよろしいという仮免許を出すということで、私は、まず延長線上でないということはちょっと混乱があるような気がするので、そういう理解を私はしましたけれども、これで間違いありますか。

【及川課長】
 おっしゃるとおりでございます。そのような理解というふうに私どもも考えております。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 最初に御案内しましたように、本日のテーマというか課題は、整合を得るというよりもむしろ全章にわたって御意見をちょうだいするという部分にございますので、先を急ぐようで恐縮でございますが、あと持ち時間が18分でございますので、3.に移らせていただきます。
 事業者が入手した有害情報の取り扱いに関する対応というセクションです。7ページの上3分の1以降になります。次の8ページの上3分の1か4分の1にわたりますが、この部分で御意見がございましたら、どうぞ承らせていただきます。
 どうぞ、宮本先生。

【宮本委員】
 ちょっと確認というか御質問も含めてですが、ここに○がありまして、「化学物質審査規制法の審査項目に係る一定の有害性を示す情報」、こういう言葉がありますね。これは今すぐというのはなかなか難しいので、今後少し詰めていただく必要があるのではないかと思います。と申しますのは、この間も申し上げましたしここにも書いてありますけれども、有害だよという情報のほかにも、有害ではありませんよという情報もやっぱり出してもらう。その前提には、有害性とは何なのかという一つの基準ですね、それをはっきりさせておいていただくということが、今後混乱をできるだけミニマイズするということについて大切ではないかと思うんです。
 ちょっと戻りますけれども、有害性というとイコール毒性と、こういうふうに読む場合が多いわけですね。だから、ここで言っているところの有害性を示す情報というのは、毒性に関する情報なのかということになりますと、必ずしもそれだけではないだろうという気がするわけです。例えばある化合物にある毒性があるということがわかっていたとしまして、実際のエクスポージャーを測ってみたら意外と高かったなというような場合もあれば、ああ思ってたより低かったわという場合もあるわけですね。だから、結局こういうデータを出すというのは、埋もれている、もしくは社会的に十分調べていないリスクアセスメントあるいはリスクマネジメントに関係したデータをできるだけ満遍なく集めていこうということについての、皆さん一緒にやりましょうということの規定ではないかと思いますので、そういうことであれば、有害性って何なのかということも、もう少し範囲を広げていただくと同時に、やはり基準をはっきり明示していただくということが大切ではないかと思います。先ほど来ちょっと出ておりましたけれども。
 なお、毒性が全く白だと、有害性が白だという化合物は基本的にないというのが一般的な認識ですし、先ほど来お話が出てます、今回だけじゃないですけど、これは非常にうまく言ってるわけですね。例えば良分解性とか、難分解性だとか、高蓄積性とかですね。これは蓄積をする度合いが高いということだし、良分解性というのは非常によく分解する。逆に言いますと難分解性というのは、分解はしないというわけではないけど分解しにくんだよということですから、それぞれの段階で判断基準もしくはクライテリアというのはあるわけですね。だから、哺乳動物、人間に対する毒性もそういう意味では、やはりこういうふうなクライテリアで物を考えましょうということにしていきませんと、有害性なし、毒性なしということになると、これはちょっと論理的に矛盾ではないかと。お集まりの先生方皆おわかりかと思いますが、念のためそれも申し添えたいと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【前川委員】
 余り時間がございませんから簡単に申し上げますけれども、基本的にはこういった有害性情報を事業者側が提供することにつきましては、基本的には賛成でございます。既存物質の有害性のデータを一つ一つ全部とっていくというのは大変なことでございますし、なるべく時間の短縮という意味でも、ぜひこういった事業者あるいは輸入業者が届け出るというのは、既存物質も含めたトータルのアンノウンのところを早く明らかにしていくという意味で非常に重要であろうと思っています。ただし、先ほど宮本先生もおっしゃていましたけれども、やはり運用基準を明白にしていただきたいというのが一つと、それから、提供した情報に基づく再審査というか、見直す仕組みを作っていただきたいと思います。どんどん黒となる情報が入ってきて、白が黒になっていく、あるいは灰色が黒になっていくというのが当然出てくると思いますが、逆に黒とされていたのがその後の科学技術の進歩によって、場合によっては白になる場合もあるのではないでしょうか。ですから、両方のケースも含めてどうやって審査をするのか、その審査のメカニズムなり、やり方なり、この辺はきちんと定めていただきたいと思います。
 それから、先ほど来の議論のなかで企業秘密の話が出たと思いますが、時代とともに企業秘密は随分変わってきています。今日、これだけ情報公開の時代ですから、10年前と相当違っていると思います。これからもまた変わっていくと思います。しかし、最小限必要な企業秘密というのはございますから、そういったところが一体何なのか。これは物によってかなり違ってくると思いますし、場合によっても違ってまいりますから、よく議論をした上で、何をもって最小限の企業秘密にするのか。この辺はこれから議論を詰めていく必要があろうかと思っています。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 寺尾先生、どうぞ。

【寺尾委員】
 時間がございませんので簡単に申しますけれども、国への報告義務ということが書いてありますけど、この集め方なんですけど、これはたまたま入ってきたから報告する義務があるのか、あるいは積極的に集めて、何か情報が入ってきたらあれなのかという、事業者がどういう態度でもって情報を集めるべきかという、そこら辺のところはどういうふうに考えているんですか。

【野中室長】
 一応制度的には、積極的に集めなさいとは書かない、要するに知り得たデータを報告しなさいという制度になると思います。当然そういう制度を前提にして自主的に集めていただくようなことは、我々としても推奨しようと思っていますが、法制度としては、集めるということはここには書けないと思っています。

【寺尾委員】
 そうすると、情報を得たときには国に報告しないといけないわけだけれども、全然無関心でいても特に非難される話ではないと。

【野中室長】
 制度的にはそうですね。

【池田委員長】
 白井先生、どうぞ。

【白井委員】
 今の話と関連するんですけれども、詳しく知りませんが、医薬品の副作用のときは、あれは積極的に集めているというふうに僕は理解できるんですけれども、この場合、多分これは既存の化学物質にかかわるような毒性のデータがどんどん出てくると思いますけど、事業者は積極的に入手するような、そういう方向性の文案にしないと、入手した場合は出すことが義務付けされ、入手しなかったら免除されるということでは、少し片手落ちではないのかなというふうに思います。
 ただし、先ほども話がありましたように、有害性のデータというのは玉石混淆でございまして、私も含めて研究者というのはポジティブのデータを、1のポジティブを2とか4とか誇大的に発表したがるというか、そういう性格があります。不十分な実験の手法とかデザインのもとで出てきたデータでも発表するということになりますと、やはりその信憑性とか確かさというのを十分に審議するようなシステムをつくっていかないと、悪いという言葉だけがひとり歩きするようなことにもなりかねないので、報告を受けた国側としてはそれなりの評価システムを構築されて、このデータは信憑性があるとか、あるいは再現性を見るための研究もしなきゃいけないとかいったようなシステムをおつくりになることが大事ではないかなと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。

【浅野委員】
 積極的に集めようということを法律に書くのはなかなか難しいですね。それは、どういう人がどういう立場の場合にというような限定をせざる得ないことになってしまいます。責務として情報を集めるように努力をせよということは問題なく書けますけれども、罰則までつけて出さない人を処罰しようということを意図するとすれば、ことは面倒なことになります。具体的には一番ありそうなのは、同じ製品を海外で許可を取ろうと思って、そこでノーと言われても、それを黙ってて日本政府には報告しないとかいうような事態を防ぎたいということが、もともとこの議論をしたときの問題意識だったんです。だから、それ以上に積極的に情報を集めなさいと言われると、それは責務としては言える、企業の倫理としては言えるということであって、この報告書と実際の法制度の中での表現とでは若干のずれが出るだろうとは思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【渡部委員】
 手短にいきます。まさに今論議されている国への報告の義務づけですけれども、これは本当に的確に、積極的にやっていただきたい。あるいは場合によっては、それを怠った場合に、後から申し上げますけれども、何らかのペナルティーがかけられるような仕組みにして、強制力を持たせてもらいたいというふうに思うぐらいです。というのは、この会のほぼ冒頭近くに伊東先生が、発がん性こそ化学物質の毒性のなかで非常に重要なんだというふうに申されましたけれども、そういう発がん性を持った物質というのは、例えば28日間の反復毒性試験をやっても、何ら毒性が出ない場合があるんですよ。NOELも非常に高いとかですね。ところが、ずっと長期にわたって反復投与して始めて発がん性が明らかになります。そして、今自分が商っているものが、実は後になって、どこか世界の片隅で、これは発がん性があると学術論文に報告が出たときに、業者にとって都合が悪いから、その報告あるいは論文を知らなかったことにしようという形で取り扱われたらかなわないんですよ。通常の物質と同じように、あるいは白物質と同じように大手を振ってその化学物質に歩かれ続けたら。実は知ってるのは、そのことに敏感だった業者だけだったというふうな、そういうことは今までも世界じゅうでいくつもありますからね。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 持ち時間があと7分でございますので、ここらあたりで4.に移りたいと思います。既存化学物質に係る取り組みの部分で御意見をちょうだいしたいと思います。
 どうぞ。

【木下委員】
 この一番下の結論で書いてある、国と事業者が協力して一層推進すべきではないかと、これは賛成でございます。大いにやりたいと思うんですが、ここで一つ国の方にお願いしたいなというのは、化審法の管理のもとでいろいろやるということになりますと、企業というのはそれなりに慎重に取り扱いをしなきゃいかぬということで、国の予備的調査というのが非常に重要になって、それで、早くやってもらわないと、いつまでも抱えて、ひょっとすると長期毒性があるんじゃないかと思いながらやるというのは非常にあるわけですから、ぜひ国の予備的調査を早くやる。もう一つは、事業者と国の分担、これをきちっと決めた上でやるということをぜひお願いしたいなと。

【池田委員長】
 どうぞ、北野先生。

【北野委員】
 言わずもがなですけど、既存化学物質の方が新規よりはるかに量的に多いわけですから、やはり既存について積極的に事業者が努力をしてほしいと私は思っているわけです。常に出てくる議論として、昭和48年の国会の附帯決議というのがございますが、あれから約30年たっているわけですね。30年も錦の御旗を振ってるというのは、ちょっと私としては理解しづらいところがあって。ただ、今までの経緯もあるので、ここにありますように、国と事業者がとにかく一体となって積極的に既存に力を入れていただくと。決してバーターではないんですが、多少新規で楽になったところがあるとの感じもしますので、ぜひその辺は業界挙げてやっていただきたいなということが私の希望です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 満岡委員どうぞ。

【満岡委員】
 既存化学物質に関しましては、数が多いので早くクリアにしていきたいと基本的には思っています。したがいまして、今回、国の施策と事業者、私は事業者の方ですが、協力し合ってこれをスピーディーに推進していくということは非常に重要だと思います。そういう観点で、今回ここに書かれております取り組みの方法に関しましては、基本的に賛成であります。
 しかしながら取り進めにあたっては、国際協調というもとで行われていますし、日本国内でも国と産業界の分担の問題もありますし、そういう中で作業の重複防止であるとか、あるいは重点化を図るとか、あるいはコストの分散を図るとか、そういったようなことを今後詰めさせていただきながら、時間が非常にかかる、数が多いというところが悩みの種でございますけれども、こういったことをベースに積極的にさせていただきたいと考えております。
 そういう中でお願いですが、これまでは3つの省がそれぞれの目的のもとに安全性、有害性の問題を評価していると思うのですが、例えば物質名称だとか管理番号だとか、総合管理という観点でのシステムを基盤として整備をしていただくということが必要なのではなかろうかと。要するに効率化のために統一されたデータベース化を図るということが必要なのではなかろうかと思います。
 それと、小委員会でもいろいろ議論が出ておりましたけれども、やはり取り進めるには人材の育成だとか、あるいは試験研究機関の充実だとか、そういうこともベースとしてありますので、こうした強化も今回の法制化とあわせて何か考えていくようなことも必要なのではなかろうかと思います。そんな意見を申し上げまして、基本的にはこの案で私は賛成でございます。 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 吉岡委員、そして西原委員、中下委員に参ります、どうぞ。

【吉岡委員】
 国と事業者の協力によって一層推進するというのは、いかにも聞こえがよろしいですが、私自身といたしましては、もっと事業者の責任、すなわち汚染者負担の原則でありますとか受益者負担の原則、あるいは事業界が申しておりますところのレスポンシブル・ケアの自覚というものも考え合わせますと、もっと事業者が前面に立ってよかろうというように思われます。
 プラン等につきまして、当然のことながら国と事業者は一緒になって考えて進めていくことが必要ではありますけれども、実施主体という点で考えますと、必ずしも国にとらわれる必要はないというふうに考えます。そういう意味から、表現的に少し事業者の負担ということをお願いしたいと思っております。
 以上です。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【西原委員】
 基本的には同じなんですけれども、先ほどから10トン、1トンの話のときに、既存物質は100トン超えたら事業者でやれというふうなことをちょっと言ったんですけど、そういうことも含めて、特に健康影響、生態影響について進めてもらいたい。というのは、NEDOの関係プログラムで既存点検促進プロジェクトというのがありまして、分解性・蓄積性に関しては、日本のデータというのが世界的に一番多いです、公表されたのが。既存物質で600何物質というのがありまして、現在もう1,000物質ぐらいあります。それはすべてインターネットで公開されています。海外のそういう研究者も、そのデータを使ってQSARをつくり上げています。我々の既存点検促進プロジェクトでQSARをできるだけつくりたいということでやっていますが、そういうときに一番問題になるのは、もし企業がやってもらった、あるいはやっているならば、非常にたくさんのデータ、分解性・蓄積性に関してもデータを公表してほしいと。そうすれば、QSARは非常にうまく、精度が高くなります。最初小倉委員が言いましたけれども、QSARの研究というのも非常に大切だということをつけ加えたいと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 どうぞ。

【中下委員】
 基本的には吉岡先生あるいは西原先生と同じですが、ヨハネスブルクサミットで、2020年までにリスクを最小化した生産・消費というようなことの目標が一応掲げられましたですよね。それを考えると、先ほど伊東先生がおっしゃったように、22世紀までなんてとても待てない。ですから、2020年ということを目標にして、全体の計画を立てるということが重要だと思うんですよ。優先順位、みんな決めていってね。そして2020年を境に、これから先は基本的には事業者の責任、全部。という、使いたい方はちゃんと毒性データを全部そろえて、そうしないと使えないというぐらい、ちょっと腹を決めてかからないと。何か協力します、推進します、これ総論賛成、各論みんなね。何だか進まない、22世紀までと。私は子どもいますけど、やっぱりこれは待てないですよ。一日も早くやる。2020年が一つの目標だということで、皆さん産業界も挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っているので、強くこれをお願いいたします。
 もう一つは質問なんですが、先ほどのセーフティーネットのところ、罰則かからないんですか、届出に対して。浅野先生はかかるようなことおっしゃったんだけど。届出、セーフティーネット情報の有害性情報。

【野中室長】
 法制度でどうするかということですが、報告の義務づけまでは考えますけど、例えば先ほど御紹介あった医薬品の副作用の報告についても罰則はかかっていません。したがって、法律的に議論するときには、やっぱりそういう他の法律でどうしているのかというようなことも見なきゃいけないので、必ずしも法律としてできるとは言いづらいなと思っています。そして、義務づけは義務づけにしようと思っていますし、その周辺でできる限りのことは、できるだけ情報を集めたいということで進めたいと思っています。ただ、法律としては法制面的にどこまで可能かは詰めさせていただきたいと思っています。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 後ろの方は若干ギャロッピングでいきましたが、幸い資料3は一応1ページから最後の8ページまでごらんいただいたものといたします。


(議題3)中間とりまとめについて

【池田委員長】
 それでは、資料5をごらんいただきます。
 議題としては2になりますが、中間とりまとめのイメージについて事務局から御説明いただきます。

【及川課長】
 12月19日の時点で御用意させていただくことを考えております中間とりまとめにつきましては、基本的にここに書いてございますように、1.検討の背景。2.環境中の生物への影響に着目した化学物質の審査・規制、これは本日の資料2とこれまでの審議の結果に基づきまして、さらに整理させていただくべき部分だと思っております。3項目めは、リスクに応じた化学物質の審査・規制制度の見直し等について、この部分につきましては、本日の資料3と審議の結果を踏まえまして、さらに整理させていただいたものを記載しようと思っております。
 そのほか、全体の整理の結果、必要と思われますものが出てくる場合には、それも4.その他関連事項として含めまして、19日以前の段階で、その後パブリックコメントの募集に付するべき案をできるだけ早目に委員の方々にお送りいたしまして、その内容につきまして、次回12月19日に御審議をいただければと思っております。

【池田委員長】
 大体予定としてはいつごろになりますか。

【及川課長】
 これは再来週早々ぐらいまでには極力、19日が再来週の木曜日だったと思いますので、来週中には委員の皆さんに発送させていただくことを努力目標として準備を進めさせていただこうと思います。

【池田委員長】
 ありがとうございました。


(議題4)その他

 ほかに、事務局からその他という項目で何か御紹介くださることがあるでしょうか。

【及川課長】
 先ほどの話とちょっとダブりますが、12月19日木曜日に関しましては、午後2時から4時の予定で、今回と同様に3つの審議会関係委員会の合同会合を予定しております。次回19日に中間とりまとめ案をおまとめいただいた場合には、その後、直ちにそれをパブリックコメントの募集手続に付すことを考えております。また、パブリックコメント募集後の会合につきましては、皆様の御予定を確認させていただいた結果、1月30日、木曜日でございますけれども、午前中にパブリックコメント募集終了後の合同審議会を開催させていただく予定となっておりますので、正確な時間と場所につきましては追って御連絡させていただきます。1月30日の合同審議もあわせてよろしくお願いしたいと存じます。

【池田委員長】
 ありがとうございました。
 おかげさまで6分ほどオーバーではございますけれども、四捨五入で5時ということでお許しいただきたいと思います。本日は、長時間御議論いただきまして、大変ありがとうございました。

 − 閉会 −

(照会先)
 厚生労働省医薬局審査管理課化学物質安全対策室
 担当:近藤
 TEL :03-5253-1111(2910)

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