02/11/18 第16回社会保障審議会介護給付費分科会議事録         社会保障審議会 第16回介護給付費分科会議事録         1 日時及び場所   平成14年11月18日(月) 14時から16時半   霞ヶ関東京会館ロイヤルルーム 2 出席委員   西尾、井形、青柳、新井、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、   田中(滋)、田中(雅)、中村、樋口、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員   三宅、高梨の各参考人   澄田、橋本、矢野の各委員は欠席 3 議題   (1)介護報酬について     (介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設 等)   (2)その他 ○ 資料1に沿って、第15回審議会(10月28日)の主な議論の整理について、資料2  の保険財政・経済指標等について、貝谷介護保険課長より説明。資料2の物価の動向  等について、福本企画官より説明。資料2の介護保険3施設の機能分担等について、  石井計画課長より説明。資料3の介護老人福祉施設の報酬単位の見直し案等について  、福本企画官より説明。 (中村委員)  介護保険制度がはじまり2年半、国民に浸透した結果、利用者や国民からは幅広いニ ーズ要請があります。自立支援、在宅復帰、集団的処遇からの脱却、個別ケアを行うべ きというものであり、私たちはこれらニーズに応えるべく、個室・ユニットケアづくり をはじめ、最善の努力を行っております。  しかしながら、私たちの社会福祉法人は官主導でできあがっており、措置時代の歴史 も40年と長く、2年半で脱却できない部分が大変多く、今なお規制の壁厚く、個別ケア への取り組みも遅れました。また、自治体OBの第2の人生の場としての施設長を多く 抱えているのも実態。特養の議論を行う際には、社会福祉法人という供給体の特異的な 体質を是非見ていただきたい。また、私たちも遅ればせながら高品質化、効率化に挑戦 し始めており、そのためにも現行報酬の確保は必要で、ニーズに応える高品質サービス づくりのため、職員配置、専門性の陶冶もはじめていますので是非ご理解願いたい。 (山口委員)  前回までの議論で在宅での方向づけというのが固まりつつあると評価している。  介護保険制度の理念は、やはり高齢者の自立支援というところにあり、そのことは研 究会や、老健審、医福審等々を通して議論してきた。  老健施設の理念、役割、機能を踏まえたキーワードとしては、特に介護予防という発 想ををふまえれば、私は在宅とリハビリテーションだと思う。そういう意味で、事務局 案をそれなりに評価したいと思う。また、通所リハという在宅支援機能に個別リハが加 算される点を評価したい。  我が国では急性期のリハビリを経た後の対応が不十分だったという点は否定できない 。そういう点からゴールドプランの寝たきり老人ゼロ作戦が介護保険では介護予防とい う発想で取り入れられており、その充実強化を図っていく必要がある。  訪問リハは現在、医師の指示により医療機関、訪問看護ステーション等が提供するこ ととなっているが、老健施設退所後の当初の訪問リハの指示は、老健施設の担当の医師 が行うべき。そして2ヶ月目以降はかかりつけ医と連携を取りながら医療機関の主治医 が指示書を出すというのがリーズナブルな体制だと思う。いずれにしろ老健施設がかか りつけ医、その他の主治医との連携を行いながら訪問リハビリを行うことは今後不可欠 。  転換老健については、まず市町村あるいは都道府県の計画の範囲内で転換がなされる べき。そして3年目にチェックを行い、改善が見られない施設については許可を取り消 す措置もケアの質の担保のためにも不可欠。  グループホームも市町村の事業計画の範疇内であるべきであり、さらに介護保険財政 を不必要に圧迫しないように住所地特例などの措置が必要。ケアの質の担保については 夜勤体制の確立、夜間のケアの評価を行うべきと考える。 (木下委員)  介護と医療は、はっきり線を引くことは難しい。両方を同時に行えるのが介護療養型 医療施設。例えば痴呆の場合、痴呆のケアの方法だけでなく、その原因をしっかりと把 握するべき。また、痴呆の診断には医療関係者の関与が必要。  旧部会で3施設の一元化あるいは人員配置基準が特養の基準が共通部分となったがそ の経緯は不明で記録もない。介護療養型医療施設の3:1介護の廃止は有効性があるの か疑問。批判の多かった老人医療から20年にも及ぶ制度の改革や関係者の努力で高齢者 医療ケアが確立してきており、この源となったのが2:1看護・介護であった。これを 廃止することは流れに逆らっている。また、最近の医療の安全、サービスの質の向上は 人員配置によるところが大きいと考えており、坂口厚生労働大臣も衆議院本会議で医療 安全対策の促進に向け、今後医療機関の人員配置の見直しをさらに進めたいと答えてい る。  利用される患者の観点から見て、重介護で医療が必要な方が効率よく医療、介護を受 けれるような人員配置、報酬設定の必要があると考える。 (下村委員)  そろそろまとめの方向を入れた議論が必要であり、会長の方で今後の運営の方向を明 らかにしていただきたい。関連して、報酬を決めていく上での共通のルール、基本的な 考え方を議論していく必要がある。資料には個別項目だけが出てきてそれに従って審議 が行われているのは不満。制度的な問題を含めて議論を行ったが、肝心の所が明確にな ったとは思えない。  自立支援という理念は大変良いが、全員が自立支援ができるとはかぎらないところが 現実には問題。要介護者を抱える家族にとってはたらい回しの方が優先されるべき問題 点。  特養についても待機者が多いのは厚生労働省が終の住処と位置付けているから。療養 型は病院だから退院するというが、入退所の考え方もはっきりしていない。その点が議 論されずに6:1、3:1の人員配置の廃止には反対、というのは理解できない。  痴呆の問題についても患者が現実に直面するのは、痴呆の専門家がいないというとこ ろにある問題点に対する基本的な考え方や解決方法など何か示されても良いのではない か。あるいは問題点の認識を明確にしても良いのではないのか。そういうところがなし に個別項目を議論するのは問題があると思う。  介護保険の借入金や赤字にしてもどう処理されていくのかが分からない。今後保険料 をその分多く取ればよいと考えているのか。あるいは、財政調整はどういうときにどう いう役割を果たしているのか。介護の費用が高いところは保険料を高くすれば良いのか 、そういう点もはっきりさせてほしい。  介護報酬の改定については物価も賃金も下がっているから、体系は別として、一度全 体として下げる必要があるのではないか。実態調査の結果も民間主体で考えるべきだと 思うが、基準をはっきりとさせるべき。  介護保険の給付範囲についても、いつの間にか介護タクシーも議論の中に入ってきた りしており明確にすべきなのではないのか。  グループホームも今回の分科会で出たということは施設の一部分と考えているのか。 体系図でいくと、在宅の体系で在宅とのバランスをとって報酬単価を決めているはず。  今後の保険料に関しては、今後高齢化が進むのだから医療保険のように継続的に上が っていくはず。合理化を進め今回単価を多少引き下げたとしても、サービス量が増えて いく中で全体として上がることは間違いないわけで、何十年も上げ続けるということが 我々にとって可能なのか。厚生労働省は費用を国民全員に割り振っていくらになるとい う考え方しかないように見える。 (中村委員)  所得の高い人にはホテルコストの議論は当然すべき。しかし、ホテルコストの議論は きちんと行われていない。 (高梨参考人)  公務員賃金もマイナスが既に国会で決まっているところであり、物価とか賃金の厳し い状況が反映された改定が行われるべき。また経営の状況も考慮すべき事項。3施設と も大幅な黒字。特養や老健施設に税制上の優遇措置がある等制度的な違いもあることを 考える必要がある。療養型は医療との関係が強く、そうであるならば診療報酬は4月に マイナス2.7%の改定が行われたわけで、当然考慮すべき事項。  単価の改定が行われる中で、保険料の引き上げが生ずれば、日本経済全体への影響や 、可処分所得が減ることになるので、そういうことも考慮しながら単価改定について考 えていかなければならない。 (山本委員)  平成15年度からの保険料がかなり上がる。その理由の一つとして給付費が高いことが あげられる。この際、施設の給付費を下げるべき。実態調査の3施設においても、今の 時代には例がないくらいに利益が高い。半公共的な施設については利益を下げるように するのが当然。保険料は1500円上がるところもある。このことは、特に介護を受けるま でにかなりの年数がある第2号被保険者から異議が出る。  施設に関係するものとして、グループホームについてはすでに参入された方々は、夜 間が問題となることは最初から分かっていたわけで、今更、夜間の報酬をみてほしいと いうのは間違っている。  ユニットケアについても、理論上は分かる。都市では住宅不足など様々な事情を考慮 する必要があるのかもしれないが、田舎では、ホテルコストの高い施設に入りたいとい う人はいないと思う。  療養型病床群は医療であって、介護とは異なるものとこれまで主張している。また、 実際に病院の中にあるわけで医療で面倒を見ればよいのではないか。  一番心配しているのが市町村合併。広域連合内の市町村が単独の市町村と合併する場 合システムの統合が必要であり、その際に多額の費用がかかる。対応策を考えてほしい 。  制度の話になるが、これまでの3年間でうまく機能していないものもある。そのため に保険料が上がっていくということも考えられるわけで、そういう部分は改正していた だきたい。  調整交付金5%を、国の負担25%の外枠とすることは非常に有効。ご検討いただきた い。 (喜多委員)  3施設については下げざるをえない状況にあると考えており、適正なコスト計算をし た後に妥当な報酬を設定すべき。  グループホームについて、従来は夜間の宿直は勤務態勢を前提にするならばやむをえ ない事情と述べてきたが、勤務の実態をよく把握した上で適正な価格を決めていただけ るのであれば固守はしない。  夏頃に保険料が10%程度上がるような計算がされていたが、対応策は考えているのか 。また、介護報酬の議論が集約され、方向づけが行われた後に計算をされているのか。 介護保険財政は国の財政が大前提になるのは理解できるが、国家財政だけでいろいろと 議論されるのではなく、保険者や被保険者のことも考慮していただきたい。  低所得者対策については、該当者のために負担を下げた分の財源を誰が負担するのか を整理しない限り、介護報酬の上げ下げではなく、制度自体を見直さなければならない と主張せざるを得なくなる。 (青柳委員)  総論部分について2点。昨今の経済状況を介護報酬に反映させるべきとの発言がある が、経済状況が非常に良かった時代や、1年間で物価、人件費が7,8%上がった時代 にそういう提案があったか。医療関係者としては、上がるものも上がらないままにきて 、経済状況が悪くなったから下げるという議論を一方的にされても理解に苦しむ。  3施設の平均要介護度が上がってきているが、その原因として実際に入所入院されて いる方々の特性が変わったのか、あるいは年齢とともに介護度が落ちてきているのかと いった分析、解析を行っていただきたい。  各論部分についても2点。通所においても、施設においてもリハビリは期待している 部分。ただ、在宅においては単にリハビリだけでなく、いろいろなサービスが必要。基 本は地域のケアシステムの中での連携であり、その連携の仕組みを十分機能させるよう な制度設計をしていただきたい。  療養病床について、事務局は要介護度によって報酬単価に少し傾斜をつけたらどうか という案があるが、これはこれなりに評価できる。問題なのは経過措置であった6:1 、3:1の廃止であり、これにより給付額が下がると人件費比率で考えると収入面で4 %ぐらい下がるという推計もある。そういった点の解決策を見いだしておくべき。  追加で転換老健については、是非目的に沿った形で整備、運営されるという確証をフ ォローアップの中で十分検討していただきたい。 (山崎委員)  施設の要介護度が上がってきているが、今度重度療養管理等をつけたとしても加配が 打ち切られた施設ケアの質は大丈夫なのか。誰がどのようなケアを行うのかを明確にし ながら、人員配置基準の見直しを検討してほしい。  介護保険のサービス事業所で働く看護職員等は、従来の病院等の現場で働く者に比べ ると大変賃金が安い。また、報酬が下がる場合、雇用に響く。介護保険は雇用創出とい ううたい文句もあったわけで、働く者の水準がきちんと引き上げられるような仕組みが 必要なのでは。  グループホームについては、位置づけ、制度設計、方向性が見えない。また、ADL 水準等が非常に下がっているにも関わらず医療看護の配置がないところは問題。そして 夜勤は、誰がどのように夜間のケアプランを作り、誰が夜勤をするのかが明記されない 中で、加算だけではいかがなものか。グループホームへの訪問看護の導入とともに引き 続き検討事項としていただきたい。  訪問リハのほとんどは従来から訪問看護ステーションのPT、OTが担っており、老 健施設からの訪問リハとどうリンクさせるのか。  15年4月から3施設のケアマネは専任が必置となるが、どのような在宅復帰のケアプ ランを立てていくべきなのかを考えていただきたい。 (堀江委員)  経営実態調査において、3施設で10数%の収益が上がっているということだが、経営 上どういう収益、そのあげ方のレベルが望ましいのかをきちんと整理して方向づけされ るべき。また、要介護度での報酬単価の傾斜を大きくするとのことであるが、同じ要介 護度でも寝たきり、痴呆等その症状は様々でありどう考えているのか。制度を本当に充 実、発展させるためにきちんと整理をされて報酬設定に結びつけるべき。  新型特養については、ホテルコストの徴収が低所得者を排除するような仕組みとなら ないかが心配。分析、検討してお示しいただきたい。  すぐにでも課題整理してほしいのは、介護報酬と入所者の所得や、介護度と経営の収 支との相関関係について。それがあるならば、入所対象者の選別が生まれている可能性 があるわけで、あるのかないのか、あった場合にはどう対応するのかお示しいただきた い。  グループホームの入所者適否の基準については、痴呆性に基づく要介護度5、寝たき りの要介護度5の方々が入所するのが本当に適当なのか示されていない。ただ今回、市 町村の調査への協力の義務づけや、市町村との連携が明確に示されている点については 評価している。 (樋口委員)  まず、サービスを受ける側にいつも立ち返りながら最後にまとめていただきたい。  介護保険施行後3年が経つが、良くならなかったという声がある。こういった方々に は、もっと広い意味でのグループホームが適当だと考える。  また、たらい回しも大きな問題。今回、介護療養型医療施設において重度療養管理を 新たに設けるとあるが、どのような加算で、どのような個人負担を行えばこのようなた らい回しがなくなるのか。たらい回しに対して介護保険はどう応えてくれるのか。  ホテルコストについては、ユニット型であればホテルコストを取るのは当然だが、現 状の相部屋では取るべきではないというのは従来からの意見。財政上の問題として個人 負担が多少増えるのはありえるのだと思う。そして、特養は介護保険によって親を入れ ても良い施設に変わってきたが、中流の方々が私が入っても良い施設にはまだなってい ない。  最後に介護保険を核にしながら、まちづくり全体を組み立て直していくということを 厚生労働省が考えても良いと思う。 (笹森委員)  老健施設が行う訪問リハについては、老健施設そのものの本来の目的が在宅復帰なの であるから、自立支援に向けてのリハビリに力を入れるのは自然なこと。その訪問リハ は利用が少なく周知度が低いこともあり、老健施設からの退所者が、引き続き同じ施設 の方々にお世話になることは非常に好ましい。ただ、老健施設の利用者は必ずしも地元 の人とは限らないのは大きな課題。  グループホームについては、夜勤について以前から希望していたわけだが、誰がケア プランを作り、良いケアプランとはどういうものなのかがきちんと見える形にした上で 、それが評価されるのであれば加算となることは良いことだと思う。  重度療養管理は、審議会資料ではどういうものなのか若干分かりづらいが、はじめの 一歩として是非実現していただきたい。 (京極委員)  調整交付金やホテルコストの話、保険料が1割で良いのかといった話は制度全体の見 直しの議論でやるべき。  福祉サイドの人間としては少し厳しいが、現在の経済情勢で給与も下がっている時に 介護保険だけどんどん報酬単価を値上げするのは現実的ではなく、若干の引き下げは仕 方ない。また、個別にどう下げるかを考えた場合、施設などで収入単価の高いところは ある程度傾斜配分せざるを得ないと思う。ただ、介護保険施行時に、資格者を意識的に 採用しなかった施設もあるため、あまり給料が良くない施設従事者が増えたということ も聞いている。ただし、特養を運営する社会福祉法人は、地域社会への利益の還元は義 務であり、その一環として低所得者の配慮を法人独自でできるわけで、やっていないと ころを下げることは考えても良いのではないか。一律に全ての施設の単価を下げるのは 正しくないのかもしれない。  介護保険の報酬上の構造的矛盾が市町村に大きな負担をかけているのであれば、全体 として見直すことは当然のことであり、その点を考慮して今回の改定を行う必要がある 。その上で2年後の本格的な見直しを行うということが必要。 (田中(滋)委員)  報酬の水準については、物価と賃金が下がっているからある程度考えざるをえないの が世の中の状況。ただし、材料費に影響する物価の部分は一般企業などと全く同じ基準 で考えればよいが、賃金についてはこの業界の賃金水準も絡めて判断する必要がある。  費目別の割り振りについては、学問ではなく政治的判断として、どこかを削り足りな いところに出すという結論はありえる。ただし、実態調査の結果の利益が高かったから との理由で下げるのではなく、利益がどうあるべきか、学問的に公正な報酬率がどうあ るべきか、を検討した上で行うべき。  また利益が高いから下げる理由づけが今回行われれば、以後非効率にして赤字になれ ば報酬が上がるかもしれないというインセンティブを与えかねない。このことは非常に 大切。  要介護度別の費用を見直す事務局案は論点として正しい。 (田中(雅))  物価や賃金が低下傾向にあることや介護事業経営実態調査を踏まえ、利益が出たから 報酬を下げるという考えは措置の考えではないか。一般的に企業は利益が上がればそれ を投資に回し、技術革新を起こすのに、介護市場には技術革新が必要ないということか 。黒字がでても研修や教育などの人材養成やユニットケアの取り組みを進めるなど環境 整備等に投資することが重要。利益をどういうふうに返し、どういうふうに役立てるか という発想が大事ではないか。  介護の労働環境はこれまで厳しいものであり、下げるという考えはさらに厳しさを増 すことになる。サービスの質とセットで考えていただきたい。その際に、介護労働者が 生活として成り立つような状況であるのかどうかということをもう一度見ていただきた い。  ユニットケアについては、一人ひとりの生活を尊重した個別ケアが大事なのであり、 個室化したユニットケアだけが評価されるのは違うのではないか。従来型の施設でのユ ニットケア的な取り組みに対する評価も行ってほしい。利用者にとってプラスとなるケ アを評価すべき。 (見坊委員)  所得段階別保険料が第1、第2段階の高齢者の中には、保険料を上げるどころの話で はなく、現在でも負担できない方々がいる状況。また、現在の経済情勢の中で介護保険 の予算規模が大きくなることはない中で、全体の枠の中での若干の保険料の増額はやむ をえないものと思っている。ただし、その中で調整するという考え方はなくてはならな い。  特養については、利益が余っているかのように報道もされているが、大都市部では経 営が苦しい施設が多い。措置時代の名残ということだけで解決しない問題もある。施設 の立場に立った提案もしていただきたい。  特養の報酬を今回一律に上げることができないのであれば、必要のあるところについ ては地域加算をつけるような方法を考えてほしい。 (新井委員)  在宅重視あるいは自立支援等の立場から、口腔ケア等については是非ご理解いただき たい。  資料については、現在のものからもう一歩踏み込んで、事務局として考える方向性を 示し、委員に意見を聞くような形にしてほしい。  また給付単位が現行適正なものであるのかどうかについて、事務局の方で学者の立場 から分析評価された資料があるのであれば、その資料を紹介していただきたい。 (木村委員)  居宅療養管理指導については、高齢者の多種類の薬の摂取による相互作用、飲み合わ せ・ADLへの影響等の問題に対してきちんとチェックをさせていただきたい。そして 指示を出す医師へのフィードバックを連続的にやっていきたいと考えている。3ページ のような介護保険優先で生じるような運用面の問題をもっとケアマネや利用者の方に周 知していただきたい。  グループホームについてはその整備に際して市町村にも関与させるべき。また、現在 の運営基準上で衛生面的な問題が結構ないがしろにされているということも聞いている 。そのことも踏まえた上で運営基準を見直してほしい。 (西尾分科会長)  今回までで報酬単位の見直しについても、一通り主な論点について御議論いただいた 。  次回は国においても予算編成を控えていることを踏まえ、当分科会として介護報酬見 直しについての考え方をとりまとめていきたい。つきましては、次回審議するためのと りまとめ案について、私と井形会長代理、京極委員、田中滋委員の4人でたたき台を準 備したい。この人選の趣旨は、特定の団体に関わっていない委員の中からということで 、井形委員の場合は医療の御専門、京極委員は福祉の御専門、田中滋委員は経済学の御 専門の方であるので、集まっていただきとりまとめ案を作成させていただきたい。 (下村委員)  本日支払い側で当分科会が始まる前に打ち合わせを行い、会長の好まれる方法でとり まとめをやっていただいて結構だというふうに一応意見が一致している。  ただその際に支払い側の中で出た議論としては、分科会の中で煮詰まっていない議論 があるのではというのが唯一の心配な点であること。今日も賃金、物価くらいは当然下 げるべきとの意見があり、その後に京極委員や田中滋委員からは利益を全部巻き上げる という議論はおかしいと言う指摘があったが、我々の中では誰もそんなことは言ってい ない。また同じ支払い側でも、堀江委員はある程度収支についての基準を考えていくべ きとの発言もしているわけで、その点がここでの議論が十分に行われていない。そうい った点を考え、公平な議論をした上で妥当な結論を出していただきたい。 (中村局長)  大変な様々な御議論をいただき御礼を申し上げたい。  特にたらい回しや、厳しい介護をめぐる現実等を実践的に考えるべきではないかとい う御指摘を多くいただいたので、その辺をしっかり踏まえて、また、どうも議論が煮詰 まっていないと言う御指摘もよく心にとめ、4人の先生方と御相談もさせていただき、 そして、私どもも今まで十分資料提供できなかったようなところもあるならば、そこも さらに一段努力してとりまとめに向けて議論をお願いしたいと思うので、よろしくお願 いいたしたい。 (外口老人保健課長)  次回の第17回目についてでございますが、日程は12月9日月曜日15時から。議題は、 介護報酬見直しについての考え方を予定。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係     TEL 03(5253)1111(内3948 3949)