02/10/29 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会(平成14年10月29日開催分)議事録           薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年10月29日(水) 14:00〜   航空会館701〜703会議室 2.出席委員(8名)五十音順   赤堀 文昭、 井上  達、◎井村 伸正、 金原  勲、  ○櫻井 治彦、 出川 雅邦、 百   弘、 吉岡 敏治   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   香川  順、 鈴木 和夫、 松本 和子、 森田 昌敏 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、    松田  勉(化学物質安全対策室長) 、   中崎 宏司、 安田 尚之、 角井 一郎  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○化学物質安全対策室長  それでは定刻になりましたので、平成14年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部 会を開催いたします。私は化学物質安全対策室長の松田でございます。よろしくお願い 申し上げます。それでは開催に先立ちまして、鶴田大臣官房審議官よりごあいさつ申し 上げます。 ○審議官  皆様方、本日はお忙しい中御参集いただきましてありがとうございます。  化学物質をめぐる最近の動きとしては、本年8〜9月にかけて南アフリカのヨハネス ブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」におきまして、2020年を 目標に、科学的根拠に基づくリスク評価・管理手順を用いて、化学物質による人の健康 への評価、環境への悪影響を評価して最小限にしていこうという目標が採択されたわけ でございます。  厚生労働省におきましても、従来よりこういった国内外の動向を踏まえて、保健衛生 上の観点から、化学物質の適正な管理を鋭意進めてきましたが、毒物劇物についても事 故等の未然防止や事故時の適切な対応に資するため、いろいろな対策を進めてきたとこ ろでございます。  本日の議題には、グローバルな化学物質安全管理を進めるための方策として、国際的 な基準と整合化させる目的がございまして、こうした施策の実施によって、我が国のみ ならず国際的な動きの中で、毒物劇物の管理を進めていくことが可能であり、より効率 的な施策を講じていけるのではないかと考えております。  先生方の忌憚のない御意見、御議論をお願いいたしまして、あいさつに代えさせてい ただきたいと思います。私はちょっと今日は国会等がございますのでこれで失礼させて いただきますが、ひとつよろしくお願いいたします。                ── 審議官退席 ── ○化学物質安全対策室長  それでは井村部会長、本日の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○井村部会長  それでは審議に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。議事 に入る前に、事務局から本日の出席状況や資料の説明などの御報告をお願いいたしま す。 ○事務局  本日の委員の先生方の出席状況でございますが、本部会の委員総数12名中現在7名と いう過半数の御出席をいただいていることから、本部会が成立していることを御報告い たします。  次に本日の会議ですけれども、公開することにより委員の自由な発言が制限され、公 正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれ、又は個人の秘密、企業の知的財産等が 開示され、特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれがあると認められないこ とから、開催は公開としており、配付資料につきましても公開とさせていただいており ます。  続きまして、配付資料の御確認をさせていただきたいと思います。お手元の資料です が、先に配付資料一覧をお送りしておりますけれども、議事次第、委員名簿、本日の座 席表、それから本日御審議いただく議題に関する資料が、右肩に資料1〜4まで振って ございます。資料1につきましては2枚で、「3-(6-クロロピリジン-3-イルメチル) -1,3-チアゾリジン-2-イリデンシアナミドについて、3%以下を含有する製剤の毒 物及び劇物取締法に基づく劇物からの除外について」でございます。資料2につきまし ても2枚で、「一水素二弗化アンモニウムについて、4%以下を含有する製剤の毒物及 び劇物取締法に基づく劇物からの除外について」でございます。資料3は「毒物又は劇 物の運搬容器の基準の一部見直しに関する検討」でございますが、その後に枝番が付い たものが資料3-1〜3-5までありまして、計7枚でございます。最後に資料4ですが、こ れにも枝番が付いたものが資料4-1〜4-3まで計5枚ございまして、「毒物劇物の判定基 準変更について」でございます。最後に参考資料として、現行の「毒物劇物の判定基準 」として2枚、それから薬事・食品衛生審議会の組織図1枚を配付させていただいてお ります。それからA3版の大きな紙の表でございますが、「弗化水素の運搬容器の基準 に関する毒劇法令とIMDG Codeの比較」を本日配付させていただいております。以上で ございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。何か資料が足りない先生はいらっしゃいますか。よろしゅ うございますでしょうか。それでは議題に移らせていただきます。最初の議題1の説明 を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  議題1、お手元の資料1でございます。簡単に御説明させていただきます。3-(6- クロロピリジン-3-イルメチル)-1,3-チアゾリジン-2-イリデンシアナミド及びこれ を含有する製剤(別名チアクロプリド)についてでございます。本物質は、1.5%以下を 含有する製剤を除き現に劇物に指定されておりますが、今般林業用として3.0%以下を 含有する製剤について、毒性データが提出されたものでございます。  国内では農業用途として水稲、園芸、畑作物の殺虫剤として、あるいは林業用途とし て樹木用殺虫剤として使用されております。外国ではイギリス、オーストラリア、韓国 等約30か国において既に農薬として登録されており、アメリカ、EU諸国においても現 在申請中ということでございます。国内では30%顆粒水和剤(劇物)、1.5%粒剤(普通物 )、1%粒剤(普通物)、それから林業用途として40%フロアブル(懸濁)剤(劇物)が存在 いたします。  今回の審議対象としましては、3%のフロアブル(懸濁)剤でございます。これは林業 用途、特に松食い虫を媒介するマツノマダラカミキリを防除するためのものです。主な 使用者は海岸の松林の防風林を所有している自治体ですけれども、自治体等からの要望 で、劇物に該当しない製剤の開発が望まれ、研究の結果林業用で3%製剤の開発が実現 したところでございます。現在、その3%製剤を農林水産省に農薬登録申請中で、今回 この3%製剤の毒物又は劇物の該当性に関して判断していただくものでございます。  構造式ですが、資料1の初めにあるとおりでございます。別名としては「チアクロプ リド」と言われております。これはISO(国際標準機構)登録名でございます。前回指 定の平成12年4月28日の時点ではISOに登録申請中でしたが、現在は登録が完了して いるということでございます。  物性につきましては2ページでございますが、3%製剤の吸入毒性試験についてです けれども、原体のLC50値が毒物劇物の判定基準と比べると弱いことから、試験の実施 を省略しております。以上でございます。  先に行われた毒物劇物調査会におきましては、本剤3%を含有する製剤は劇物の判定 基準に比べ10倍以上の安全域を有することから、劇物から除外することが適当であると の御意見を頂いたところでございます。なお、今回指定の解除に当たりましては、現在 別名がISOに登録済みであることから、括弧書きで別名を追記するとの御意見を併せ ていただいたところでございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○井村部会長  御説明ありがとうございました。これに関しまして櫻井先生の方から、調査会の方で 何か付け加えていただくことはございますか。 ○櫻井部会長代理  通常のステップで検討いたしましたが、特段問題となるようなことはございませんで した。急性経皮毒性が2,000以上ということで、要するに数字として機械的に10倍の安 全を取れてはいないわけです。しかし、2,000というのは最大の投与量であろうという ことで、問題ないというふうに…。 ○井村部会長  いかがでございましょうか。御意見、御質問がございましたらどうぞ。調査会での議 論の中身についてでもよろしいかと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅ うございますか。それでは調査会の御意見のように、議題1に記載されているチアクロ プリドの製剤は劇物から除外することと決めさせていただきますが、よろしゅうござい ますでしょうか。それではそのように決定させていただきます。ありがとうございまし た。  それでは引き続きまして、事務局の方から議題2の御説明をお願いできますでしょう か。 ○事務局  資料2の一水素二弗化アンモニウムについてでございます。一水素二弗化アンモニウ ム及びこれを含有する製剤は現在劇物に指定されておりますが、パーセントによる除外 規定はありません。今般4%以下を含有する製剤について、毒性データが提出されたも のであります。現在、ガラスを腐食させて絵を描くというガラスエッチング用などとし て、20〜30%の製剤が劇物として市販されているようでございます。今般、安全性が高 く劇物に該当しない製品を開発したため、劇物からの除外を受けるべく毒性データが提 出されたという経緯がございます。  物性につきましては資料2の2ページでございます。原体は既に劇物として指定され ている物質でございますので、御説明は省略させていただきます。  毒性については同じページでございます。原体の物性、毒性データはMSDSからの 抜粋でございます。なお、4%製剤の急性吸入試験のLC50が6.45mg/L(4h)(ミスト) ですが、この数値といたしましては本試験における発生可能な最大濃度の実測値でござ います。御説明としては以上でございます。  先に行われた毒物劇物調査会におきましては、本剤4%を含有する製剤は劇物の判定 基準に比べ10倍以上の安全域を持つので、劇物から除外することが適当であるとの御意 見を頂いたところでございます。御審議よろしくお願いいたします。 ○井村部会長  ありがとうございました。それでは度々恐れ入りますけれども、櫻井先生、今の件に つきまして…。 ○櫻井部会長代理  今の御説明のとおりです。ちょっとコメントがあった急性吸入毒性が6.45を超えてい るというのは、10倍の安全率だと10になります。そこまでは至っていませんが、発生可 能な最大濃度の実測値になると。総合的には10倍を超えた安全率を持っていると判断し て、今の結論になった次第でございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。御意見あるいは御質問がござ いましたらどうぞ。よろしゅうございますでしょうか。それでは調査会での結論のよう に、この一水素二弗化アンモニウムについて4%以下を含有する製剤は、劇物から除外 することが適当であろうという結論でございますが、よろしいでしょうか。それではそ のように決めさせていただきます。ありがとうございました。  とんとんと進んでおりますが、それでは事務局から次の議題について御説明をお願い します。 ○事務局  資料3でございますが、まず背景の御説明から入りたいと思います。次のページの資 料3-1を御覧いただきますと、毒物及び劇物取締法第十六条が右上に出てきますけれど も、「保健衛生上の危害を防止するため必要があるときは、政令で、毒物又は劇物の運 搬、貯蔵その他の取扱いについて、技術上の基準を定めることができる」と規定されて おります。これを受けて、左横に「毒物及び劇物取締法施行令」の第四十条の二がござ いますが、そこの中で「四アルキル鉛を含有する製剤」、「無機シアン化合物たる毒物 」、それから「弗化水素又はこれを含有する製剤」を運搬する場合の容器の基準につい て定めています。その基準の中で三段になっている一番上の2項ですが、「無機シアン 化合物たる毒物(液体状のものに限る。)」、それから真ん中の段と下の段で傍線が入っ ているところ、「弗化水素又はこれを含有する製剤」の3項と4項の違いは、括弧書き にあるパーセント、濃度の違いでございます。これを容器に収納して運搬する場合、傍 線で示している箇所ですが、「容器の内容積は、一万リツトル以下であること」、そし て「内容積が二千リツトル以上の容器にあつては、その内部に防波板が設けられている こと」とされております。  資料3に戻っていただきまして、「1 背景」の(3)でございます。OTOにおいて 日本国内でも、国際基準に合致するタンクコンテナによる弗化水素の運搬が可能となる よう提案されているところでございます。タンクコンテナにつきましては、タンクロー リーと比べれば余りなじみがないかもしれませんけれども、外観は資料3の真ん中辺に ある右側の写真がそうですが、タンク自体も頑丈なものでその周りに枠が設けてありま す。船に積み込むときなど、積み重ねて使用することが前提となっているので、それに も耐え得るように設計されております。左側はそれを牽引式のトレーラーで運搬してい る様子の写真でございます。  また、国際海上危険物輸送規定という国際基準においては、3枚目の資料3-2に指摘 を受けている内容積の上限の問題、それから防波板の問題を比較した表を取り出して添 付してございます。国際的には容量の上限は特になく、防波板につきましても「積載量 80%以上又は20%以下の場合は不要」とされております。日本の毒物及び劇物取締法で は、すべて一律に「2,000リットル以上必要」となっているわけですけれども、その辺 が国際基準と少し違うところでございます。  国際基準につきましては次のページの資料3-3でございますが、概略を御説明した資 料を添付いたしました。大もとは危険物輸送に関する国連勧告がありまして、国連の機 関である国際海事機関、IMOと言っておりますが、これを取り入れて作成したものが 「IMDG Code」と言われる国際海上危険物輸送規定でございます。これが世界的に浸透 して、国際的な基準として事実上優位性を持っているものでございます。  この国際海上危険物輸送規定(IMDG Code)が実際にどのようなタンクの基準を設けて いるかについて、概略を示させていただいたものが資料3-5でございます。先ほどの資 料3-1にある縦書きの毒物劇物関係法令と比べても日本の基準を上回っており、安全性 の担保の観点からも、国際基準を受け入れても問題ないのではないかと考えたところで ございます。さきの取扱基準調査会におきましても、資料3の下に記載させていただい たとおり、「国際海事機関(IMO)が採択した国際海上危険物輸送規定(IMDG Code)に 適合するタンクコンテナを日本国内でも受け入れることが必要」との判断を頂いたとこ ろでございます。「なお、容器の基準に関する改正については、個別に関連する規定を 見直すより、国際海事機関が採択した国際海上危険物輸送規定に適合するタンクコンテ ナは、例外規定を設ける等包括的に認める方法が望ましい」という御意見を併せていた だいたところでございます。以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○井村部会長  ありがとうございました。それでは今話に出てまいりました、これを取り扱われた取 扱基準調査会…。どうぞ。 ○事務局  もう一つ補足させていただきます。本日お手元にA3の紙をお配りさせていただいて いると思います。資料3-5で説明があったとおり、「国際海上危険物輸送規定(IMDG Code)について」ということで、IMDG Codeにおけるタンクの基準をそれぞれ記載させて いただきましたが、今現在の毒物及び劇物取締法施行令と合わせたときに、何がどの程 度担保されてどういう形で比較できるかを準備させていただいたものが、その横長の表 でございます。  こちらは「弗化水素の運搬容器の基準に関する毒劇法令とIMDG Codeの比較」でござ います。この中を見ていただくと分かるとおり、「毒物及び劇物取締法施行令(内容積 1,000L以上の容器に収納して運搬する場合)」の左側に書いている「弗化水素又はこれ を含有する製剤(弗化水素70%以上を含有するものに限る)」のところが、「国際規則 (IMDG Code)」の左側の方に大体相当するものでございます。IMDG Codeと言われている のは、先ほどの資料3-5に記載させていただいたとおり、「設計基準、設計承認(型式承 認)」、「耐衝撃」、「中間検査」等、いろいろとしなければいけないことが記載され ております。  その中で、今現在の毒物及び劇物取締法施行令とIMDG Codeで指摘している内容をそ れぞれ比較させていただきますと、IMDG Codeの方が毒物及び劇物取締法施行令で要求 される事項よりも厳しい形になっている状態でございます。数値だけで見ると唯一ちょ っと違うのが「水圧試験」でございまして、例えば毒物及び劇物取締法施行令でいきま すと、「弗化水素又はこれを含有する製剤(弗化水素70%以上を含有するものに限る)」 という場合は、水圧試験は「490kpa以上(約4.9bar)」、IMDG Codeでは記載は「4bar 以上」となっているところでございます。しかし、事実上こちらの方はその下に書いて いるとおり、「設計圧力の1.5倍以上」の試験をするべきとなっていることと、それか ら上の方に記載させていただいている「設計基準、設計承認(型式承認)」のところの、 そもそもタンクと言われているものが「実験的に可能な応力解析に基づき設計しなけれ ばならない」ということと、「最大許容使用圧力の1.5倍に相当する水圧試験圧力に耐 えるように設計及び製造しなければならない」ということがありまして、きつい基準と いうところで書かせていただいているわけでございます。ということで、弗化水素の運 搬容器につきましては、今現在の毒物及び劇物取締法施行令で言っているものよりも、 国際基準の方が厳しい要求事項となっていると考えております。  また、今回毒物及び劇物取締法施行令上で、弗化水素又はこれを含有する製剤以外 に、無機シアン化合物たる毒物についても改正することになっております。そちらの方 につきましても、このIMDG Codeと毒物及び劇物取締法施行令を比較いたしますと、 IMDG Codeで要求している事項の方がすべてにわたってきつい状態になっております。 そういう観点からも、今回毒物及び劇物取締法施行令の中身の改正にあっては、この国 際規則をそのまま取り入れても可能ではないのかと考えている次第でございます。 ○井村部会長  ありがとうございました。詳細な御説明がありまして、容器に関してはIMDG Codeの 方がずっと厳しい基準であるということでございました。それらをお考えの上で審議を していただきたいのですけれども、その前に先ほどちょっと言いかけたのですが、これ を審議された取扱基準調査会での様子等につきまして、金原先生の方からもし何かあり ましたらよろしくお願いします。 ○金原委員  取扱基準調査会を一回開きまして、この問題の意見交換といいますか、審議をさせて いただきました。ただいまの事務局からの御説明とかなり重なるかと思いますが、御説 明にあったように国際基準の方がずっとよく整備されていて、よりシビアな規制をして いるということで、国内法の方がむしろいろいろ抜けているところがあるものですか ら、これは厳しさからいうと、国際規則を満足していればほぼ大丈夫であろうという判 断はつくかと思います。一方で、この問題の発端が国際整合性ということで、今国際的 な流通の主役になりつつあると伺っているこのタンクコンテナという流通形式が、国際 海上輸送等についても主流になってきている現状もありまして、非関税障壁になるかも しれませんが、これを認めないと流通に非常に障害が生ずることも考えられます。一応 国際的にも安全に規制されていますので、御提案にございますように、認めるのならば 包括的に認めるということが妥当ではないかとの御意見が多かったと思います。個々の 規定をそれぞれ見直していくと大変なことにもなりますし、むしろ国際基準の方が2年 ごとに見直されており、国内基準の方はそれほどのピッチでは見直されていないという こともあります。ですので、国際基準をそのまま受け入れて、それに適合していればそ の容器は認めるということで、防波板の問題、それから容積の上限の問題もそのまま国 際基準どおり包括的にと言いますか、例外規定という言い方もございますが、それをそ のまま認めてしまうやり方がよろしいのではないかという意見が主流だったと思いま す。以上です。 ○井村部会長  ありがとうございました。それでは事務局と金原先生の御説明等に対しまして、何か 御意見、御質問はございますか。どうぞ、百先生。 ○百委員  まず言葉といいますか、ちょっとその辺を質問したいのです。まず、防波板とはどこ に付けるのか分からなかったものですから、どういうものなのかということです。それ からもう一つは国際規則の中のパーセントが、「積載量80%以上又は20%以下の場合は 不要」と書いています。普通、20%以下は不要というのは分かるような気がしますが、 80%以上も不要だというのはどういう意味なのか、ちょっと御説明をお願いしたいので す。 ○井村部会長  私は想像するだけで大体了解したのですけれども、金原先生あるいは事務局の方から 御説明いただけますか。80%以上入っているともういっぱいなので、コンテナの中身は 余り揺れないということだと思うのです。 ○事務局  その辺のところの御説明をしないといけませんでしたけれども、防波板というのは、 液体の動揺が走行性能に影響を与えますので、今の毒物及び劇物取締法ではそういうも のを防止するために、2,000リットルごとにタンクの中を完全に仕切るのではなくて部 分的に仕切って、液体の動揺を抑えようというものでございます。この「国際規制(IMDG Code)」のところにありますけれども、その中で20%以下の場合は不要というのは、要 するにタンクの中に少ししか入っていない状態では、液体が少々揺れたとしても走行性 にそれほど影響を与えないということで要らないと。それから80%以上の場合も要らな いというのも、ほぼ満タンに近い状態で入れた場合はあと残りの空間は少ないわけです ので、液体の動揺の影響はそれほどないだろうということです。20〜80%の間、いわゆ る中途半端に積んだ状態では液体の動揺が大きいので、そういう場合はやはり国際基準 でも防波板は必要というルールでございます。実際の話をお伺いしたところ、国際輸送 に関してはそのような20%以下しか積まずに持ってくるとか、20〜80%の半分程度の量 しか積まずに持ってくるというよりは、同じコストがかかるならば満タンで持ってくる ことが多いわけで、実際はほぼ80%以上は満タン詰めで動かすという観点から、実質上 国際輸送コンテナには防波板がほとんどないと。完全にないわけではなくてあるものも ありますけれども、ほとんどないという状況だと伺っております。               ── 井上委員着席 ── ○百委員  ありがとうございました。もう一つよろしいですか。 ○井村部会長  どうぞ。 ○百委員  今回の改正はこの表の網かけの部分だけを改正するのか、それとも全部という意味な のでしょうか。包括して全部ということですね。このように特別に網かけにしたのは、 何か異なっているからという意味でしょうか。 ○化学物質安全対策室長  網かけにしたのは、ここがIMDG Codeと日本の今やっているコンテナとの具体的な差 として一番大きいところで、なかなか日本に持ってこれなくなっています。あと細かい ところは、先ほどこの表で見ていただいたとおり若干凸凹がありますが、トータルで見 るとやはりIMDG Codeの方が基準としては非常に詳しくなっています。先ほど言ったと おり、無機シアンのところも例えば防護枠のところなど幾つか若干凸凹はあるのです が、トータルでいうとやはりこちらの方が厳しいのではないかということです。一応今 のところ事務局の方で考えておりますのは、従来の基準は従来の基準でそれに基づいた 形で国内的に使われている可能性もありますので、それはその基準としておいて、それ の例外規定のような形で、このIMDG Codeに合致するものについては基本的にオーケー という形に…。ですから従来の基準をいじるというよりも、プラスアルファとしてこの 基準に合うものについてもオーケーにできないかなと思ったところです。 ○百委員  分かりました。ありがとうございました。 ○井村部会長  よろしゅうございますか。ほかにどうぞ。 ○櫻井部会長代理  今の御説明は1万リットル以下という基準を取るわけですね。今までのも生かしてお いて、それから具体的にはもし1万リットルを超えている場合には、このIMDG Codeに 合致していることを求めるわけですか。 ○化学物質安全対策室長  例えば1万リットル以下でも、こういうところに具体的には合わなくて、ただIMDG Codeから見ればきちんと合っているというものであればよろしいかと思いますけれど も、先生がおっしゃるとおり、多分1万リットル以上のものは基本的にはIMDG Codeに 合えばいいという形になると思います。 ○櫻井部会長代理  それ以外は今までどおりというお考えなわけですか。 ○化学物質安全対策室長  今までどおりということです。 ○井村部会長  今のところは割に大事なところかと思うのですけれども、1万リットルというのが問 題になるのではなくて、1万リットル以下うんぬんという国内の施行令そのものはこの まま残すということですね。しかし、IMDG Codeによってオーケーになっているものに ついては、それが1万リットルであろうとなかろうとオーケーにしてしまおうというの が御提案の趣旨ということらしいのですけれども…。 ○櫻井部会長代理  それは分かります。それから運搬については、毒物及び劇物取締法で随分いろいろ基 準を決めてきていると思うのですけれども、容器の基準は四アルキル鉛と無機シアンと 弗化水素しかないわけですか。これは今までちょっと認識していなかった…。 ○化学物質安全対策室長  政令に基づくものはこの三つだけです。ただ、局長通知でもっとほかにいろいろなも のの基準が決められています。 ○井村部会長  どうぞ。 ○赤堀委員  そうしますとこのIMDG Codeを採用すれば、国内ではダブルスタンダードができると いうことですか。櫻井先生はそれを避けるために、1万リットル以下は国内法、それを 超すものについてはIMDG Codeに合致するかどうか、これによって合致していればいい ことにしようという形で質問があったわけですね。それでダブルスタンダード可という 答えだったものですから、私はその辺を少し明確にしておいていただきたいと思いま す。 ○化学物質安全対策室長  趣旨はダブルスタンダードといいますか、従来の基準は従来の基準で生かしておい て、それに合わなくてもIMDG Codeに合えば…。ただ具体的には多分IMDG Codeの方が 相当厳しいと思いますけれども、基本的な考え方としては従来の基準は従来の基準で残 しておいて、あとはIMDG Codeに合うものはそれはそれで別途オーケーと考えておりま す。 ○赤堀委員  私はこういった基準や法律のことがよく分からないのですけれども、そういうどちら でもいいという基準はありなのですか。 ○井村部会長  どちらでもいいと言うとその言葉が変に聞こえるのですけれども、施行令以外でもこ のIMDG Codeに合致しているものに関しては、それに付け加えて認めようというのが提 案の趣旨だと思います。ですから、確かにその部分についてはダブルスタンダードにな ると。ダブルスタンダードといっても、そちらはIMDG Codeに合致しているものという ことだと思います。 ○化学物質安全対策室長  基準が二つといいますか…。 ○赤堀委員  例えば国内にない基準のために国際基準を受け入れようと。ですから、国内法でコン トロールできないところについてはIMDG Codeを採用しようということであれば、それ はよく分かるのです。ただ、どちらでもいいというお答えだったので…。 ○井村部会長  結果的にはどちらでもいいということになるかもしれません。 ○化学物質安全対策室長  こういう考え方はたしか消防法の中でも、やはり基準の設定の仕方が従来の基準プラ スそれの例外として、IMDG Codeに合致すればいいという形でできている前例もありま す。こちらは国内基準、こちらは海外基準という意味でしているわけではありませんけ れども、基準二つが並列のような形で運用している例があるので、要はそこを参考にし てやれないかというのがこちらの考え方でございます。 ○櫻井部会長代理  考え方は了解しておりまして結構だと思うのですが、両方を比べるとやはりIMDG Codeの方がはるかに合理的でしっかりしていますよね。1万リットル以下というところ だけは小分けにすることと、それから構造上の問題でやや安全側になっているけれど も、それはそれほど重要ではないという判断が成り立つのだろうと思います。ですから IMDG Codeの方がいいだろうということで、本当はほかのものもどちらかといえば総合 的にそちらへ移すべきではないかと思うのですけれども、今回は限定的ですよね。 ○化学物質安全対策室長  通知の方もまた少し検討させていただこうかと思います。 ○櫻井部会長代理  日本だけ国際的に安全性の面で遅れているという形になっては、ちょっとどうかとい う気がいたします。 ○井村部会長  おっしゃるとおりだと思います。ですから合理的な方に、そしてより安全な方にとい う意味で、今これを包括的に認めておこうかというのが恐らく提案の趣旨だと思いま す。 ○金原委員  私の理解している範囲なのですけれども、これはもともとの発端は国際海上輸送のタ ンクコンテナが日本に持ち込めないと、それは大変不合理であるということから来てい ると思います。IMDG Codeというのは国際物流といいますか、国際流通に使われるタン クコンテナに関する基準ですので、それに合致したものが日本国内に持ち込めないとい うのは非常に不合理であると、それは何とか認めたいというのがぎりぎりミニマムなリ クワイアメントだと思います。例外規定というのはあくまでもその限りという考え方で よろしいのではないかと思うのですが、これは法体系を全部変えるとなると、今御指摘 のように日本国内の方がはるかに不備があり、空欄があったりして規定がないというこ とですので、これは全部作らなければいけなくなるわけですが、これを完備するという のはまた別の作業になりますね。他の法規との関係もありますでしょうから…。 ○化学物質安全対策室長  そうですね、そこをまた消防などいろいろなところで検討もされているようですの で、その辺も踏まえて本当に包括的に直さなければならないときは、そこはまた考えさ せていただきたいと思います。最初の御説明のときにも、今先生からもありましたけれ ども、今一番の問題は港まではIMDG Codeのコンテナに入ってきて、普通であればそれ をそのままトラックの荷台に載せればいいものを、日本の場合タンクローリーか何かに わざわざ入れ替えなければならないという状況があります。そういうことをできるだけ 解消したいというのが、OTOに要望があった趣旨でございます。 ○井村部会長  そういう事情は非常によく分かります。いかがでございましょう、ほかに何か御意 見、御質問はございますか。それでは今のディスカッションを伺っておりまして、いか がでございましょうか。一応いわゆる国際海事機関(IMO)が採択している国際海上危 険物輸送規定(IMDG Code)に適合するタンクコンテナを、日本国内においても受け入れ ることがよろしいであろうと、ここで決めさせていただいてよろしゅうございますでし ょうか。この容器の基準改正などを個別にやるというよりは、今さんざんお話がござい ましたように、このIMDG Codeに適合するタンクコンテナは包括的に認めてしまおうと いうのがこの趣旨だと理解しておいて、それも付けて提出されるということですから、 よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。  それでは、「3.その他」の議題1に移らせていただきます。事務局の方から御説明 いただければと思います。 ○事務局  それでは本日のその他といたしまして、「毒物劇物に関する判定基準について(OE CD試験法ガイドラインの変更に関する対応)」ということについて、御説明させてい ただきます。お手元の資料4を見ていただきたいと思います。まず、「1.国際的動向」 について御説明させていただきます。従来急性毒性を求めるために実施されていたのは 単回投与に関する毒性試験法で、試験の結果LD50値、半数致死量を求めるものでござ います。これはOECDにおいては、試験法のガイドライン401に該当するものです。 LD50値は従来より動物個体による差、統計的手法に基づくばらつき等から、その数値 が意味するところ等について議論があったところでございます。またそれとは違うとこ ろで、実は欧米各国における動物愛護に関する政治的な動きもありまして、そもそも動 物の致死を指標とする毒性試験について、従来から批判の矛先が向けられていたところ でございます。  こうした動きを基にいたしまして経済協力開発機構(OECD)におきましては、急性 毒性に関してTG401の代替となる試験法の開発を検討してきたところでございます。 その結果、その代替として3種の試験法、TG420、423、425が開発され、それぞれの 試験下のバリデーションがなされてきました。それぞれの試験法の特色は、LD50値そ のものをピンポイントで求めるものではございませんで、LD50値が含まれる範囲を求 める試験となっております。そのLD50値が含まれる範囲というのは、それぞれ3種の 代替試験におきましては0〜5、5〜50、50〜300、300〜2,000(それぞれmg/kg)の間 に含まれている範囲に、LD50値が含まれるかどうかということを求めるものとなって おります。  OECDにおきましては動物愛護に関する動きから、こうした代替試験法への移行を 促すべく、LD50値を求めるTG401を廃止いたしまして、ある特定の時期以降に行わ れたTG401のデータを行政側で受け入れないとする検討が進められてきておりました。 その結果、昨年12月17日のOECDの理事会決定におきまして、TG401を廃止するこ とが合意されるとともに、1年間の期間をおいて平成14年12月18日以降に、TG401に 基づいて開始される単回の急性毒性試験データは、行政的な目的としては受け入れない とする決定が出されたところでございます。それが(1)で御説明している内容でござい ます。  また、先ほど御説明した代替試験法における範囲でございますが、5、50、300、 2,000というカットオフにつきましては、現在各国において受入れを図っていくべきと されている、地球規模で整合された分類及び表示システム(GHS)における急性毒性試 験のカットオフと共通しております。このGHSは貿易の促進、国際的な化学物質の安 全確保の観点から、化学物質の特性に応じたハザードの観点から分類を行うとともに、 それに応じた表示を各国共通のものとするべく、2008年度の実施を目指して現在進めら れているものでございます。  このGHSの中の一つに急性毒性がございまして、今日お配りしている資料4の二枚 目にある資料4-1に、カテゴリー1〜5まで記載させていただいている分類となってお ります。このような状況の中で我が国といたしましては、OECDにおける理事会決定 を受け入れることが国際的な整合性を図る上で必要不可欠であること、そしてGHSに おける急性毒性の分類を受け入れていくとの観点から、TG401の代替試験法である3 種の試験法TG420、423、425を受け入れていくとともに、平成14年12月18日以降に実 施されたTG401のデータの受入れをしないことが、適切な対応と理解しているところ でございます。  TG401の代替試験の受入れに基づき、TG401代替試験法の結果がLD50値が含まれ る幅でしか表現できないことに伴いまして、従来LD50値により判断していた毒物と劇 物の判定の境を、これまでの毒物劇物に関する社会的認識保持の観点から、30mg/kg(経 口)から50mg/kg(経口)へ、そして100mg/kg(経皮)から200mg/kg(経皮)へ変更したいと 考えております。それと同時に、急性毒性が強いために劇物に判定されたものの製剤を 除外する場合として例示されていたものを、3,000mg/kg(経口)から2,000mg/kg(経口) とすることにいたしまして、「2,000mg/kgの投与量において使用した動物すべてに何の 変化も観察されないこと。」としたいと考えております。  この受入れの時期及び予定につきましては、本部会での御了解の後適当な時期に、従 来は急性毒性試験であれば何でも良かった試験法のうちから、OECDのTG401の実 施を廃止するとともに、これに準拠する試験データの受入れの停止時期を公にする通知 を発出したいと考えております。  毒物劇物調査会の御審議におきましては、この世界的な動きに合わせるために、TG 401の廃止とともにその代替試験法を受け入れて、本毒物劇物の判断基準を変更してい くこととして御了解が得られたところでございます。さらに、毒物劇物の境の数値を変 更することにより、今後新しく基準を変えることによって、従来の基準では劇物であっ たものが毒物とされるものにつきましては、その扱いを毒物劇物調査会と相談すること として御意見を頂いているところでございます。以上、御審議のほどよろしくお願いい たします。 ○井村部会長  ありがとうございました。それではやはりこれにつきましても、櫻井先生の方から調 査会での議論の様子をお願いします。 ○櫻井部会長代理  御説明のとおりです。ただ1か所修正の言葉なのですけれども、「動物すべてに何の 変化も観察されないこと」というところを、「動物すべてに投与物質による毒性徴候が 観察されないこと」としてはどうかという意見だったのです。 ○事務局  そうでございました。すみません、修正を忘れておりました。 ○櫻井部会長代理  その点だけです。それからこのように変更することは、国際的な整合性やデータが出 てくるものはそういうデータしか出てこないので今後は当然であると。従来は劇物であ ったものが今後は毒物になるとしたら、30と50の間は、過去の判定の結果をどうするか ということについていろいろ意見が出ました。それはまだ、これからもう少し相談して いくそうです。ただ、ここでも御意見が頂ければそれも参考に…、結局はまたここで決 めていただくことになると思います。 ○井村部会長  詳しい御検討はまた調査会の方にお願いするとして、もし30と50の間のものがあると したらどのように取り扱うかということで、何か御意見がございましたらどうぞ。櫻井 先生がそれを参考になさって調査会に臨まれるということです。いかがでございましょ うか。 ○櫻井部会長代理  ちょっと追加してよろしいですか。今実質的には毒物と劇物で取締り上の差はないと いうこと、それから長年そういう分類で経過してきて特段の問題が生じていないという ことで、当分そのままでもいいだろうという考え方もあります。そうはいいましても、 この時点で再度30と50の間のものについてもう少し調べてみて、従来どおりの取扱いで いいだろうという判断になるかどうか。つまりいったん検討しないで、そのまま従来ど おりというのはどうかという意見もありました。  そのときは私は特段意見を言わなかったのですけれども、毒物劇物への分類というの はそういう規制上の取扱いだけでなくて、やはりハザードの分類という意味がありま す。今後このように整合性のある判定が行われるようになりますと、それぞれの物質が あの国では50未満、こちらでは50以上と同じ取扱いというおかしなことが、だんだん出 てきてしまうおそれがあるという気がしておりますので、余り大きな影響がなければ、 むしろ変えてしまった方がいいのではないかというのが個人的な意見です。 ○井村部会長  いかがでございましょうか。どうぞ、百委員。 ○百委員  一応農薬についての実態を申し上げれば、毒物と劇物では都道府県の指導、国も含め てだと思うのですけれども、大変差が大きいのです。それで、できるだけ毒物は締め出 そうという現場があります。したがって、できるだけ普通物、やむを得なければ劇物と いうことで、今毒物は農薬の登録上だんだんなくなってきているのです。県の方もでき るだけそういうものを使わないということで、もし30と50の間のものがあるとすれば、 私はすぐ浮かばないのですけれども、やはりその辺は会社によって大きな問題になるの かなと思います。 ○櫻井部会長代理  なるほど、そういうものが幾つかあるとしたら、個別に十分検討することになるのか なという気がします。 ○井村部会長  そうですね。ほかにいかがでございましょうか。その点について以外に大分数字など が出てまいりましたけれども、何か御質問があれば事務局の方にどうぞ。よろしゅうご ざいますか。 ○赤堀委員  数字以外のことでもよろしいですか。 ○井村部会長  もちろんです。 ○赤堀委員  事務局の方から補足説明していただきたいところが一つあります。資料4-2の二枚目 になりますけれども、(4)で特定毒物について触れられておりますが、こういった毒物 劇物の基準が変わっていくことによって特定毒物についてはどうなるのか、ちょっと補 足説明していただけると有り難いのですが。 ○事務局  今現在特定毒物につきましては、毒物及び劇物取締法の中で強い毒性を有するものと して定義されているところでございますが、今回毒性劇物の判定基準につきましては、 国際的な試験法を導入することによって、今までの判断で変えなければいけないところ についてのみ変えたいと考えております。資料4-2の一番最後に書いているとおり、試 験法の変更に関係しない部分については今後の検討課題としていく予定でございまし て、特定毒物をどのような考えで取り扱っていくのかということも、その中に入ってい くであろうとは理解しております。 ○井村部会長  どうぞ、赤堀委員。 ○赤堀委員  私は特定毒物についての取扱いは、毒物の基準が変わったとしても変わらないと理解 していたのですけれども、今後の話題の中で検討していきたいということですから、そ れで結構です。ありがとうございました。  ほかのことで一点よろしいでしょうか。調査会でもお願いしていたことなのですが、 資料4-2の「(1)動物における知見」のところで、一番最後から二行目にあるイの「中 毒症状の発現時間」という箇所です。この「症状」というのは動物は徴候です。改正の ときに検討するというお話も伺っておりましたので、もしこの数字を改正するというこ とで御検討いただけるならば、この「中毒症状」は動物側からすると「中毒徴候」とい うことで、適正な使用をしていただけると非常に有り難いと思います。 ○事務局  今の先生の御指摘ですが、「症状」を「徴候」という言葉に直すことにつきまして は、この部会の中で先生方に御了解いただけるのであれば、そちらを直していくことは 事務局としては問題はないと思っております。 ○井村部会長  調査会ではその辺はいかがでしたか。 ○櫻井部会長代理  従来からお願いはしていたのですが、まだ議論はしていませんでした。 ○井村部会長  そうですか。吉岡先生、どうぞ。 ○吉岡委員  医者の勘では、自覚症状と他覚症状を合わせたものを「徴候」と言うのです。「症状 」というのはどちらか一つだけなのです。ですから、動物で使う場合と臨床で使う場合 では少し意味が違うのではないかという気がします。 ○赤堀委員  少し教えていただきたいのですけれども、今先生がおっしゃられたのは私は「症候」 だと思っておりました。「症候」の中には「徴候」と「症状」があると。「症状」は自 覚症状であって、多分患者さんが自覚症状でおなかが痛いというのは「症状」です。動 物では腹痛とか頭痛があるとかは私たちには分かりません。したがいまして、動物は私 たちにsignを出しており、それを観察するのみだと思います。英語で論文を書くときに も「symptom」と「sign」は完全に区別しなければいけないということで、よく獣医学 領域、動物学領域の論文ではこの区別を明確にすることがしばしば注意されます。その 「sign」の訳が「徴候」で適切かどうかはともかくとして、私たちは一般的に「徴候」 という言葉を使っております。人の場合は「症状」と「徴候」があり、私はそれらを合 わせて「症候」と理解しておりましたので、その辺のところをお教えいただけると有り 難いのですが。 ○井村部会長  これは毒性学者が議論するところだと思いますけれども、井上先生は何か御意見はご ざいませんか。 ○井上委員  なるほどと思って伺いました。 ○井村部会長  その辺はどうなのでしょう。 ○吉岡委員  私は「徴候」というのは一番広いという意味で…。ですから、いわゆる動物でサイン だけを出しているのを「徴候」という、むしろ狭い意味にとらえられたわけです。そう いう狭い意味ではないのではないかという気がしたものですから…。 ○井村部会長  これはもし問題にするとすれば、調査会の方で少し議論していただけたらと思うので すけれども、赤堀先生はここはこのままでよろしゅうございますか。 ○赤堀委員  はい。 ○井上委員  研究すれば整理がつくのではないでしょうか。 ○井村部会長  そうですね。ではそういうことにさせていただきますが、ほかにございますか。どう ぞ、百委員。 ○百委員  事務局に確認したいのですが、「(2)受入れ時期・予定」ということで「適当な時期 に」と書いてあります。これは平成14年12月18日前ということで理解してよろしいので しょうか。 ○事務局  (2)に記載している「適当な時期に」というのは平成14年12月18日以前、可能であれ ば11月中にもこの通知は発出させていただこうと考えております。 ○百委員  ありがとうございます。 ○井村部会長  今のお話は資料4の「2.判定基準の変更」の(2)のことですか。 ○事務局  そうでございます。 ○井村部会長  ほかによろしゅうございますか。私は非常に細かいことを伺って申し訳ないのですけ れども、「1.国際的動向」の(1)で二つ目の○のところ、上から三行目に「平成14年 12月18日以降にTG401に基づき開始される毒性試験データは」と書いてあります。そ れから、ちょっと表現の違うところがあって私は気にしているのですけれども、もう一 つ何かそういうのがありましたね。「以降のデータは」という表現があったのでしょう か。12月18日以前に開始されていても、そのデータが出てくるのは18日以降になるとい うことはあり得ますよね。それはどうなのですか。 ○事務局  実は先生が御指摘した試験を始まった日で見るか、終わった日で見るかということに つきましては、OECDの検討においても細かく議論されたところでございます。結論 といたしましては、試験が始まったときが12月18日以前であれば、そちらの方のデータ を合理的に受け入れられるべきであると判断されております。 ○井村部会長  そうですか。それを確認させていただかないと…。先生方、それでよろしゅうござい ますか。分かりました。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでし ょうか。正確に申し上げますと、今までの議論を踏まえてこの件に関しては調査会の御 意見のとおり、OECDの急性毒性試験法であるTG420、423、425を毒劇物を判定す る際の試験法としてここで認めて、従来の試験法であるTG401のデータにつきまして は、その試験が本年12月18日以降に実施されたものについては受入れを停止すると。つ まり、これは「18日以降に開始されたものについては」と直した方が良くないですか。 ○事務局  そうですね。 ○井村部会長  それが気になっていたので…。 ○事務局  了解いたしました。 ○井村部会長  よろしいですか。では、「12月18日以降に開始されたものについては受入れを停止す る」というふうに決めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。それでは、 もしよろしければそのように決定させていただきます。ありがとうございました。  本日はこの四つの議題で終わりですが、先生方から何か御提案、御意見がございまし たらここで伺わせていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。 ○事務局  今この資料4につきましては論点が二つございまして、一つは毒物劇物の試験の受入 れの話と、もう一つはその試験を受け入れることによって判定基準の変更値が少しあり ますので、後者の方についてもよろしくお願いしたいと思っております。 ○井村部会長  私がうっかりしておりました。肝心なのはむしろそちらの方でございまして、今まで LD50値の境目が30mg/kgになっておりましたけれども、これを50mg/kgに変えるという 点につきまして先生方にお諮りをいたしますが、それはそれでよろしゅうございますで しょうか。百先生、どうぞ。 ○百委員  具体的には浮かばないのですけれども、やはり今まで劇物であったものが今度毒物に なるような例があった場合に、その辺は救うということは考えられないのかどうかで す。 ○井村部会長  いかがでございましょう、御意見を伺いますが、櫻井先生は何かその辺につきまして 先ほどもちょっと…。 ○櫻井部会長代理  今後の問題ではなくて…。 ○井村部会長  今後の問題ですよね。 ○百委員  30〜50の間のLD50があって、現在劇物のものが今度の新基準になると毒物になるの ですね。そのときにラベルも替えなければならないし…。 ○櫻井部会長代理  もう既に判定されたものについてどうするかは、まだこれからです。 ○百委員  分かりました。 ○井村部会長  先ほどの先生のお話は、その場合にはもしかするとまた毒物劇物というものの言い方 も考え直す必要が出てくるかもしれないということですね。今後の課題とさせていただ いてよろしゅうございますか。それではいかがでございましょうか。これも調査会の方 ではそのとおりでよろしいということだったと思いますけれども、判定基準を30mg/kg から50mg/kgに変えるということでよろしゅうございますでしょうか。それではこの判 定基準の変更を、事務局案のとおり認めるとさせていただきます。ほかに何か抜けてい ることはありませんか。よろしゅうございますか。そうすると先生方から何か…。 ○井上委員  今のことについて、改めて整理し直さない限りは今決まっているとおりということで すね。そのことだけははっきりしているのでしょうか。 ○井村部会長  そのとおりだと思います。 ○赤堀委員  井上先生の御発言があったのですけれども、調査会ではそれを見直すべきだという意 見も出たということでございます。 ○事務局  今の井上先生、赤堀先生の御意見にちょっと…。調査会と事務局との話でございます が、過去に毒物あるいは劇物と判定されたものについて、今回判定基準を変えることに 基づきまして、従来の基準で劇物であったものの、この新しい基準で毒物とされるもの の取扱いをどうしていくかということは、赤堀先生がおっしゃるとおり、毒物劇物調査 会の中でまた御相談等をしていきたいと考えております。実際にそういう形で、こちら の方で各種の資料を準備させていただいているところでございますので、その際には是 非ともまたよろしくお願いしたいと思っております。 ○井村部会長  それはそれでよろしいかと思いますけれども、それまでは相変わらず今までに決めた 毒物劇物として扱うということでしようがないですね。暫定的な措置などというのもあ り得ないし、検討しなければ決められませんから、ではそういうことで。ほかに御意見 あるいは新しい御提案などはございませんでしょうか。よろしゅうございますか。それ では事務局の方から何か連絡事項がございましたらどうぞ。 ○事務局  本日御審議、御決議いただいた件につきましては、本年12月26日に開催予定の薬事分 科会において御報告させていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局 の方で取りまとめをいたしまして先生に御確認をいただき、公開の手続を進めさせてい ただきたいと思います。また、本日の審議や結果に基づきまして、毒物及び劇物取締法 施行令及び施行規則等の法令改正等、必要な措置を講じてまいりたいと思います。  次回の部会の日程ですが、今のところは未定でございます。また改めて日程調整をさ せていただきますので、その際はよろしくお願いいたします。 ○井村部会長  ありがとうございました。先生方、今のはそれでよろしゅうございますか。例えば一 番最後の議題などを薬事分科会に報告するときに、今まで毒物劇物と分類させていただ いていたものは、これから先もう一回再評価をするということは言った方がいいのでし ょうか。それとも何も言わないで、そのままこちらが勝手にやるのでしょうか。 ○事務局  本日の最後の議題にあった毒物劇物の判定基準の変更ですが、こちらはこの部会の中 の内規となっておりますので、変更があったという事実は御報告させていただく予定で すけれども、今は中身の詳細について御報告する予定はございません。あくまでも薬事 分科会の中では、今回の審議事項である議題1、2、3についての結果を御報告させて いただこうと思っております。 ○井村部会長  先生方、それでよろしいでしょうか。ではそのようにさせていただきます。よろしく お願いいたします。今日の議題はこれで完全に終わりになりますけれども、本日は定足 数ぎりぎりというところで非常に際どい部会でございましたが、先生方、御協力どうも ありがとうございました。                                      (了) 連絡先:医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室 室長補佐 江原(内線2910)