02/10/25 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会  日時 平成14年10月25日(金) 10:00〜12:00  場所 東条インペリアルパレス6階九重の間  出席者 寺田分科会長、小川委員、黒川委員、児玉委員、小林委員、      高仲委員、田中委員、村上委員、山崎委員、吉倉委員、      和田委員      食品保健部長、企画課長、基準課長、監視安全課長、      企画官、食品国際企画調整官、新開発食品保健対策室長、      検疫所業務管理室長  1.開会  2.食品保健部長あいさつ  3.議事     (1)中国産冷凍ほうれんそう問題への対応について(報告)     (2)その他  4.閉会 ○事務局  それでは、定刻を過ぎてございますけれども、ただいまから薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会を開催させていただきます。  本日は、お忙しいところを御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。  本日は、井上委員、小沢委員、垣添委員、熊谷委員、品川委員、清水委員、首藤委員 、羽生田委員、柳川委員から欠席の御連絡をちょうだいしてございます。それから、児 玉委員におかれましては、少々遅れられるという御連絡をいただいております。  分科会委員総数20名のうち11名の御出席で、過半数に達してございますので、本日の 分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、開催に当たりまして、食品保健部長からごあいさつを申し上げます。 ○尾嵜食品保健部長  おはようございます。食品保健部長の尾嵜でございます。 お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、分科会の方に 御報告を申し上げる案件が3点ございまして、こういった時期にお集まりをいただきま した。本当にありがとうございます。  1点目は、これまでも分科会には御報告をその折にさせていただいておりますが、前 回の通常国会で、食品衛生法の一部改正案というものが議員立法で会期末ぎりぎりに成 立いたしまして、9月7日から施行になっているという内容がございます。輸入食品を 含めました食品につきまして、違反の件数がある程度見られる、あるいは健康に対する 影響のおそれがあるとか、そういったいろいろな条件を勘案した上で、この審議会の方 にお諮りをした上で、輸入なりあるいは販売流通等を禁止する措置が取れるというふう な内容の改正が行われたわけでございます。そういった事柄につきまして、その契機と なりました中国の冷凍ほうれんそうの関係について、中国側と7月末の法案が成立する 前から協議をいたしておりました。そういった内容について、御報告をさせていただき たいというふうに考えております。  今日、御報告する内容につきましては、基本的には厚生労働省の考え方でございまし て、中国側から提案がございました、後ほど御説明申し上げます内容について現在、確 認を取っていまして、それを確認した段階で、向こう側の考え方について受け入れると いうふうな基本的な考え方を持っているという内容について、御説明申し上げたいとい うふうに思っております。  併せまして、これと平行しまして同様の事例がイランのピスタチオナッツ、これはア フラトキシンの問題でございますが、そういったケース、それから、タイからの野菜に つきまして同様の違反件数が見られるようなものがございます。そういったものについ ても、並行的に現在、両国と協議をいたしておりますが、その状況についても御説明さ せていただきたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、御承知のとおり我が国の食料はカロリーベースで6割が輸 入食品であるというようなことで、年々食品の輸入量につきましては、件数並びに重量 で見ましても増加してきているという状況でございます。輸入食品対策というものが、 これからも非常に重要な問題であるというふうに認識しておりますが、今日御説明した 上で、またいろいろ御意見をいただければというふうに考えているところでございます 。  2点目が、これもこの夏に死亡者の報告も含めてたくさんのいわゆるダイエット食品 と申しますか、そういった健康被害についての報告がたくさんございました。そういう 報告を踏まえて、厚生労働省としての対応につきまして既に公表し、対策を取っている わけでございますが、これまでの御報告に付け加えまして、今日、前回の分科会以降の 対策の中身につきまして、具体的に厚生労働省の内部での対応あるいは自治体での対応 につきまして、要領として通知を出しましたので、その内容についても簡単に御報告さ せていただきたいというふうに思っております。  若干、私の方から状況を申し上げますと、夏にかなりの数がございまして、そのうち に死亡者、これと関連した死亡というふうに考えられるようなケースについても御報告 がございましたが、その後、対策なりを実施いたしまして、報告件数はこの夏を過ぎま して非常に減ってまいりました。直近でも2週間ほど前でございましょうか、1件重篤 な肝障害が関係しているのではないかというふうな報告がされましたお茶がございまし たが、その製品名については1件の報告でございましたが、私どもの内部的な基準と申 しますか、判断のスタンダードにしている考え方から、医師の方がこれとの関係が深い というふうに疑われるケースだという御報告がございましたので、公表させていただい たという件がございます。そういった内容について、御説明させていただきたいと思っ ております。  それと、3点目が、来年度の予算なり組織・定員の要求を既にいたしております。そ れにつきまして今日、御説明をさせていただきたいというふうに考えております。組織 の関係につきましては、特に、これも分科会の方には御説明を既にさせていただいてお りますが、春の関係閣僚会議で、来年度の方針といたしまして食品安全委員会という新 たな組織、リスク評価を行う組織をつくるという方向が既に決定されております。同時 に、この委員会をつくる際に併せて、食品の安全に関します基本法というものも制定す るということで、現在、内閣官房の準備室ができておりまして、厚生労働省からも職員 が出向いたしておりますが、その準備室の方で、この組織なり法案の検討をしておると ころでございます。既に組織の要求なり予算要求が出されておりますので、そういう点 につきましても、若干御参考に資料としておつけいたしております。  そういった新しい組織ができるということが、私どもの厚生労働省のリスク評価の部 分を原則そちらに持っていくと、リスク評価はこの新しい組織で行うという整理になっ ております。そういった関係もございますが、昨今いろいろな食品の事案がたくさん出 ておりますが、そういった対応も含めて厚生労働省としての組織を充実させるというこ とで、既に組織要求をさせていただいております。その考え方について、御説明をさせ ていただきたいというふうに思っております。  併せまして、先ほど申し上げました予算要求についても、平成15年度予算についてか なりの増額の要求をいたしておるという状況でございますが、そういった内容について も御説明させていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。  それと、最後に、前回の分科会以降、8月30日に厚生労働省で大きな人事異動がござ いました。それと、その後に、若干部に関係します小幅な異動もございまして、先生方 にお世話になっておりました人間も代わった部分がございます。簡単に、ごあいさつの 最後に御紹介をさせていただきたいと思います。  従来、企画官で企画課におりました中垣あるいは古市という者が、8月30日付で異動 いたしまして、企画官に小出が参りました。  それと、同日付で、新開発食品の保健対策室長が尾形に交代をいたしました。  また、同日付で、基準課長が石井から中垣に交代をいたしております。  それと、9月30日付で監視安全課長の高谷が退職をいたしまして、その後任に10月1 日付で南が参っております。  よろしくどうぞお願い申し上げます。  以上でございます。 ○事務局  それでは、以後の進行につきまして、寺田分科会長にお願いしたいと存じます。よろ しくお願いいたします。 ○寺田分科会長  それでは、分科会の議事を進めますが、その前に、配付資料の確認をお願いいたしま す。 ○事務局  それでは、委員の皆様方のお手元に配らせていただいてございます資料の確認をさせ ていただきます。  資料としては4つございまして、あとは参考資料が6部ございます。  資料1は、中国産冷凍ほうれんそう問題について。  資料2は、中国以外の国との協議の状況について。  資料3は、いわゆるダイエット用健康食品による健康被害防止のための当面の対策に ついて。  資料4が、厚生労働省の組織・予算要求についてでございます。  参考資料につきましては、1つ目が、中国産冷凍ほうれんそうの現地における管理状 況について。  参考資料1−2が、食品衛生法の一部を改正する法律について。  参考資料1−3が、それに伴います省令改正。  参考資料1−4が、施行規則の一部の改正をするため省令でございます。  参考資料1−5が、特定食品等の販売、輸入禁止処分の取扱い指針でございます。  参考資料1−6が、法律改正の施行についてということでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○寺田分科会長  お手元にございますね。  それでは、議事を進めますが、本日の議題は、中国産冷凍ほうれんそう問題について 、それから、あと、その他の報告事項といたしましては、先ほど部長の方からお話があ りましたように、いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止のための当面の 対策と厚生労働省食品保健部の組織・予算要求についての2件について報告することに なっております。  それでは、まず、第1に、中国産冷凍ほうれんそう問題の対応につきまして、事務局 から御報告をお願いいたします。 ○南監視安全課長  それでは、資料1で、中国産冷凍ほうれんそうの問題について、資料2で、中国以外 の国との協議の状況について、通しで御説明させていただきます。  まず、資料1をごらんいただきますでしょうか。中国産冷凍ほうれんそうの問題につ いて、まず経緯から御説明いたします。  3月16日で、民間団体が中国産の冷凍ほうれんそうを検査いたしまして、規格基準を 超えるクロルピリホスを検出したとの報道がございました。これがこの問題の発端にな ったものでございまして、この報道を受けまして3月20日に、厚生労働省としましては 検疫所においてモニタリング検査を開始したわけでございます。このモニタリング検査 は、検疫所が自らサンプリングして検査するものでございまして、当時は全輸入届につ きまして10%の割合でこの検査を開始しております。  その後、検疫所におきます検査あるいは国内、都道府県におきます検査で、違反が発 見されたものでございまして、それを受けまして、漸次検査を強化してございます。  4月21日に、このモニタリング検査を100%に変えて検査をしました。また4月26日 に、検体数を2倍に強化してございます。その後、6月に入りまして4倍、8倍、現在 は16倍といったところまで強化をしております。  この検体数でございますが、1検体と申しますのは、1つのコンテナから約8カート ンを開きまして検体を集めますので、現在はその8カートン掛ける16という形で、まん べんなく試料を採取して16検体にして検査を行っているということでございます。  また、5月14日では、すべての輸入届書について、輸入者に関して輸入時の検査を義 務付けたわけでございます。自らの費用で検査を義務付けたということでございます。 と同時に、中国政府に対しまして原因究明の調査を要請いたしました。この要請につき ましては、21日にも再び要請してございます。  6月1日でございますが、法違反に係る輸入者名の公表を開始してございます。これ は、ほうれんそうも含めて、すべての輸入食品について違反が発見された場合に、輸入 者を公表するということになったわけでございます。  更に、6月4日でございますが、中国政府に対しまして、日本側から対策が不十分な ほうれんそうを我が国に輸出しないよう要請をしております。  更に、6月9日から14日において、担当官を中国へ派遣しまして、現地の調査を行っ ております。  このような中、7月に入りまして9日、自由民主党より厚生労働大臣あてに「中国産 ほうれんそう問題への対応に係る要請」が提出されまして、これを受けまして、厚生労 働省としましては、輸入者に対する輸入自粛の要請等を行いまして。一層の強化を図っ たわけでございます。  7月19日に、先ほど部長から説明がありましたように、衆議院の厚生労働委員会にお いて、特定の国または地域の食品についての輸入禁止制度を盛り込んだ食品衛生法の一 部改正の法案が提案されまして、7月31日付で可決・成立をいたしました。また、この 法律につきましては、8月7日に公布されて、9月7日に施行されております。  次のページをお願いします。中国との協議の経緯についてでございますが、7月22日 に第1回局長級会議を持ちまして、中国との協議を開始いたしました。その後、2回に わたって課長級の協議をいたしました。また、現地の加工工場、検査施設の実態調査も 行っております。このような協議の内容、または、その実態調査を踏まえまして、9月 13日に、日本の食品保健部長より中国側あてに現状の中国の対策内容では不十分である 、更なる改善が見られない場合、輸入禁止措置発動の方向で検討を進めざるを得ないと いうことを書簡で通告をいたしました。  これに対しまして、9月27日、中国側は食品安全局長より中国側の取った新たな対策 についての提案がございました。これを受けまして、10月8日及び9日において、第2 回の局長級協議が行われたわけでございます。この協議におきまして、中国側が新たに 提案した対策の内容を聴取し、意見交換を行ったということでございます。  以上が、中国産冷凍ほうれんそう問題についてのこれまでの経緯でございます。  参考に載せているものにつきましては、後ほど触れることといたしまして、次の3ペ ージを見ていただけますでしょうか。中国側の残留農薬対策の内容でございますが、こ の内容につきましては、最初にお断りさせていただきますが、現在、文章のやりとりを 通じて確認中でございます。向こうの対策は大きく2つに分かれておりまして、1つ は、今後、収穫される冷凍ほうそんそうについての対策。もう一つは、既に収穫されて 加工されて在庫になっている冷凍ほうれんそうでございます。これは、日本側から輸入 の自粛を申し入れたということもありまして、在庫があるそうでございます。  まず、今後、収穫される冷凍ほうれんそうの対策でございますが、この○を見ていた だきますと、日本向けほうれんそうについてクロルピリホスの使用を禁止する。実際、 本年6月から禁止しているとのことでございます。  それから、生産企業に対して、残留農薬検査室の設置、加工前検査の奨励等の農薬管 理の強化を指導する。これも6月から行っているとのことでした。  それから、中国政府としまして、輸出入野菜検験検疫管理弁法というものを制定した とのことでございました。内容は、地方検験局に登録された生産企業及び圃場で生産さ れたもののみが輸出可能となる。それから、企業及び圃場に農薬使用の管理等を行う植 物保護員を設置する。それから、圃場では作物の種類、農薬の使用方法を限定する。基 準違反の圃場については、登録を保留し、または取り消すといった旨の法律を制定した と、これは8月12日に施行したということでございました。  こういった条件のものについて、上に戻りますが、中国側としましては、検験局が残 留農薬の検査を行いまして合格したものに限り、中国政府の発行する標識、この標識の 内容についてはまだ固まっておりません。標識を貼付して輸出を認めるということを言 っております。  ちなみに、中国側におけるほうれんそうの栽培状況についてでございますが、参考資 料1−1の4を見ていただきます。これは、ほうれんそう一般の生産状況と日本、その 他の国への輸出状況です。これは、私どもの方が中国に行って調査した内容、または、 向こうから聞き取ったものでございまして、内容については今、双方で確認中でござい ます。  生産量、栽培面積等でございまして、2001年の中国でのほうれんそうは約1,400万ト ンでございました。日本向けの主要産地は山東省で、山東省が冷凍ほうれんそうの約9 割を生産しているということでございました。  栽培時期としましては、越冬ほうれんそう、春ほうれんそう、秋ほうれんそうという ことでございまして、秋ほうれんそうが、もう収穫の時期に入っているということでご ざいます。  ちみなに、日本のほうれんそう収穫量は、農林水産省の資料によりますと約32万トン ほどだと聞いております。  また、資料1の3ページに戻りますが、在庫の冷凍ほうれんそうについての対策でご ざいます。○でございますが、生産企業にクロルピリホス不使用を確認させる。  不使用の確認がなされたものについて、中国の当局が輸出時に厳格な検査を実施しま して、合格したもののみ中国政府の発行する、先ほど御説明しました標識を貼付して輸 出を認めるという対策の内容でございます。  3につきましては、違反時の対応ということで、これは中国側の考え方と申しますか 、日本側への要請でございまして、違反が発見された場合については、当該生産企業の 輸出を停止して、中国政府による罰則を課す、また、原因究明も求める。したがって、 すべての中国産冷凍ほうれんそうの輸入禁止を行うべきではないということを言ってお ります。  次のページをお願いいたします。中国側の新たな対策についての厚生労働省としての 考え方でございますが、中国側提案について、その内容を再度書面にて確認をしており ますが、基本的に受け入れるということでございます。  また、違反発見時、これは、こういうスキームが動き出しましても日本側での検査は 続くわけでございまして、こういった検査において違反が発見された場合は、直ちに当 該企業の産品について輸入禁止をするとともに、中国政府との協議を開始するというこ とでございました。なお、協議に際しましては、改正食品衛生法の輸入禁止措置の発動 の要否も含めて対応していく、これが日本側の考え方でございました。この確認のため の文章内容について、両国間で確認作業中でございます。  5ページは、中国産冷凍ほうれんそうの違反状況でございます。3月20日から10月18 日までに検査件数が659件で、違反件数が47件、違反率が7.1%ということで高い違反率 が出ております。  また、国内流通品、それから、都道府県及び輸入者による検査での違反の件数の分布 でございますが、3月19日以前に輸入した分について24件、3月20日以降4月21日、こ れはモニタリング検査100%になるまでの間の分で5件、それから、100%になった後に ついて5件出ております。  クロルピリホス検出濃度の分布でございますが、輸入時の検査におきまして0.02から 0.1ppmが79件。ちみなに、クロルピリホスに対するほうれんそうの基準は0.01ppmでご ざいます。0.1から1.0ppm未満が15件ということになっております。国内検査におきま しては、0.02から0.1ppmで27件。0.1から1.0ppmで6件、1.0ppm以上が2件出ていると いうところでございます。  次のページをお願いします。中国産冷凍下ゆでほうれんそうの届出状況について、折 れ線グラフで示してございますが、7月の第4週以降、輸入が非常に少なくなっており ます。  また、2ページに戻っていただけますでしょうか。こういった残留農薬対策というこ とで、現在、中国側と協議をしているわけでございますが、この対策以外の農薬問題に ついての中国側の主張をここに載せております。  まず、中国側は、改正された食品衛生法は、実施前に加盟国のコメントを求め、施行 までに最低6か月以上の猶予期間を設けるべきとするWTO/SPS協定に反するのではない かということを言っております。我が方としましては、WTO/SPS協定上、例外として認 められる緊急事態に該当するなど、手続、内容面ともに問題はない。  更に、中国側としましては、日本のほうれんそうに対するクロルピリホスの残留基準 は非科学的かつ不合理であり、基準の見直しを行うべきということを言っておりますが 、当方としましては、当該基準は国際的な手法に従い、科学的に設定しているとともに 、設定当時の国際的な手続も行っており、何ら問題はない。また、基準値の見直しは、 基準違反についての対策とは別の議論であるということで押し返しております。  以上が、中国産冷凍ほうれんそうの問題についての経緯等でございます。  資料2、中国以外の国との協議の状況について御説明いたします。  1つは、タイ産オオバコエンドロ等についてでございます。オオバコエンドロにつき ましては、殺虫剤でありますパラチオンメチルについての命令検査を実施しております が、残留基準違反が繰り返し見られるということでございまして、その下の方に表で届 出件数、違反率等を示しております。違反率を見ますと、平成11年から2.9%、10.7% 、4.7%、7.0%ということで、高くなったり低くなったりしておりますが、依然として 残留基準違反が見られるということでございます。  そのほか、タイ産野菜につきましては、18品目が命令検査となっておりまして、問題 が起きております。  このような状況を踏まえまして8月以降、タイ側と農産品の農薬管理体制に関する協 議を行いまして、10月17日にタイ側から提案されましたパイロット計画、これは農薬管 理が可能な農場のみを登録しまして、その登録工場で生産された野菜を集荷場まで厳し く流通管理をするという計画でございまして、こういった計画により生産された農産品 のみを日本向けに輸出するよう要請してございます。今後、現地調査等を行いまして、 また、その結果を踏まえてタイ側と協議を進めていく予定としております。  次に、イラン産ピスタチオナッツでございますが、イラン産ピスタチオナッツにつき ましても、従来からアフラトキシンの違反が高頻度で見られております。下の表をごら んいただきたいと思うんですが、平成10年より違反率が30.9%、16.7%、16.5%、19.5 %。平成14年は10月18日までの統計でございますが、違反率ががくんと落ちて6.7%と なっております。なお違反事例があるということでございまして、こういった状況があ りますので、8月以降もイラン側に対しまして、ピスタチオの管理状況についての資料 を出すように要請をしております。また、9月27日から29日におきまして、担当官をイ ランへ派遣しまして現地調査も行っております。  今後は、こういった現地調査の結果を整理しまして、EU向けの輸出品と同様の管理 ・検査を行ったものを日本向けにも輸出するよう要請をするようにしております。また 、これまでの現地調査を踏まえて、イラン側と更に協議を進める予定でございます。  以上、中国産冷凍ほうれんそう等の問題についての御説明を終わらせていただきます 。参考資料といたしまして、先ほど御説明いたしましたようなものを添付してございま すが、時間の関係上、これらについての説明は割愛させていただきたいと思います。ど うもありがとうございました。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明に関しまして、何か御質問、御意見ございますでしょうか。 ○山崎委員  資料1の5ページの一番下の3の表なんですが、輸入時検査と国内検査の数値の差の 意味といいますか、理由といいますか、例えば1ppm以上のものが輸入時検査では0な んですが、国内検査では2件出ているわけですね。これはどういうようなことを意味す るのでしょうか、ちょっと御説明いただければと思いますが。 ○尾嵜食品保健部長  特段の意味はございません。結果的にこういう結果が出たと。 ○山崎委員  そうすると、輸入時検査でゼロであっても、国内には2件検出されるというようなも のが存在するということですね。 ○尾嵜食品保健部長  そうです。御承知のとおり、輸入時に検査をする形が今強化しておりますけれども、 検体の数を先ほど御説明の中で申し上げました。ただ、残留農薬というのは全箱やって おりませんし、あるいは全作物をやっているわけではございませんで、サンプリングで 当然やっているわけでございます。そうしますと、そこで出てくる数字以外の汚染とい うものもあり得るわけでございます。それが、実際に国内に出回っている際に、都道府 県なりあるいは民間の検査機関なりが検査をした結果として、こういう数字が出てきた ということでございますので、特別に輸入時の検査と国内の数字がこういうふうになっ ているのは、たまたまこういう結果であったということをお示ししているだけでござい ます。 ○黒川委員  2ページの「中国側の主張について」の(2)ですが、向こうでは日本のやり方が非科 学的かつ不合理であると書いてあるんですけれども、もう少し詳しく論点というか指摘 の内容をお知らせ願えますか。 ○尾嵜食品保健部長  私は直接局長級の協議をやりまして、彼らの主張がこうでございます、具体的に申し 上げますと、国際的な基準というのを彼らが見ておりまして、例えば、EUを例に彼ら は議論を私どもにしておりました。それが、EUの方の基準というのが、ほうれんそう については0.05という数字でございました。彼らはそれをもって国際基準というのは0. 05だと、日本の0.01というのは厳しい、国際基準と異なる、それはおかしいのではない かという議論でございました。私どもの考え方の説明は、この参考のところに書いてご ざいますが、もう少し具体的に申し上げますと、この0.01というのは何も日本だけでは ございません。アメリカも同様の数字、オーストラリアもそうでございますし、あるい は近隣の韓国もほうれんそうについては0.01という数字をクロルピリホスについては基 準値として採用しております。そういうことで、EUの数字は0.05であるのは確かであ るけれども、ほかの国がそういうふうな数字ですべてやっているわけではないと、それ ぞれの国内での検討の結果としてこういう基準を定めておると。御承知のとおり、ほう れんそうについてはCODEXの方では残留基準値はございません、クロルピリホスについ ては。クロルピリホスについて、ほかの野菜についてCODEXとして決めている数字はご ざいますが、このほうれんそうについては決められておりませんで、結果的にはADI 、1日摂取許容量をベースにいたしまして、その国々で基本的な国際基準が定められて おりますものついてはそれを用いると。それ以外のものについては、残りのADIトー タルとしてどういう割り振りをするかということで決められておるという考え方も説明 して、彼らと議論しているんですが、彼らはEUの0.05というものの比較で議論をして おるということで、それはおかしいのではないかというのが私どもの考え方でございま して、説明はしておりますが、そこは水掛け論ということで、これまで来ておるという ことでございます。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。 ○小林委員  1ページの「法改正前の対策強化」の3月16日のところですが、民間団体と書いてあ りますが、実は私の感じたことで言いますと、日本の食品行政というのは、民間団体が いろいろ検査をしてくださって言ってくださるということが、一つの国の食品安全を守 るために非常に有効であるというふうに私は考えて今までいたんですね。そういう意味 でいきますと、この「民間団体」とか書いてあって名前が出てないというのは、厚生労 働省としては評価していないということなのか、または、民間団体の方が名前を出さな いでくれとおっしゃったのか、そこは食品行政を進める上の考え方として私は非常に大 事だと思うので、それについて御意見があればと思って、直せるものなら直してあげた 方がいいのではないかというのが1点。  もう一つは、資料2のイランの話なんですが「経緯及び今後の対応」の○の2つ目で 、EU向け輸出品と同様の管理・検査を行ったものを日本向けに輸出するように要請と いうことは、今までしていないということですか。それならば、なぜ日本はされていな かったのか、参考のためにこれらを教えていただきたい、再確認を含めてもう一遍お答 えをいただきたいと思います。 ○尾嵜食品保健部長  1点目の御質問は、特に何の他意もございませんで、特定の検査機関でございますの で、そこの名前を出すこと自体は別に私ども避けているわけではございませんので、今 後はそうしたいと思います。  それと、1点目のところで説明のときに申し上げておりませんでしたので、私の方か ら追加でお話を申し上げておきますと、いろいろ御議論がある部分がございまして、3 月16日に民間団体がここに書いていますように、規格基準を超える検査結果が出たとい うことでございますが、それ以前はどうなっていたかといいますと、この冷凍ほうれん そうというのは、いわゆる加工食品という範疇に含んでおります。そういう意味で、生 鮮のほうれんそうではございませんで、基準値というのは基本的には生鮮のほうれんそ うということで決められておるのでございますが、そういうことで、この3月20日から モニタリング検査を行ったというのは、下ゆでをした程度の加工食品である冷凍ほうれ んそうについての検査を開始したと。それ以前は、加工食品につきましては基準値がな いということでやっておりませんでしたが、下ゆでレベルの加工程度であれば、生鮮の 基準を適用するという考え方で私どもこの時点から開始をしたと。ちょっとここのとこ ろは御説明に入っておりませんでしたので、私の方から追加的にお話をさせていただき ます。  加工食品についての検査というのは、これは専門家の先生方がいらっしゃいますが、 加工の程度が進みますと、どういう基準を適用するのかというのは非常に難しい議論が ございますが、基本的には生鮮の原料となる生鮮の食品、原料がもともとの基準をクリ アしているということが大前提で考えられているというのがございますけれども、実態 上そういう加工食品の検査というのはどうするかというのは、依然としてなかなか悩ま しい問題としてあるというのは事実でございます。  それをおきまして、2件目の御質問でございますが、イランの関係でこれまでもこの 表にございますように違反がずっと出ておりまして、検査命令をずっと掛けております 。その中で、イラン側と過去にも大使館を通じ改善をしてほしいと、こういうことがな いようにということはやっておりましたが、具体的に向こうの現地に行ったことがござ いませんでした。今回こういう法律が成立いたしまして、そういった対象として考えら れる1つで協議を開始したわけでございます。そういうことで、今回ここに書いてござ いますように、現地に出向いて、これはちょっと抜けておりますが、担当官だけではご ざいませんで、専門家も同行していただきました。それで、向こうの体制を確認して、 また、いろいろ御説明を受けたと。その中で、EUに対します対応というのが向こうの 方からお話がございましたので、そういう意味では若干聞いておりましたのは、今回の 現地調査でそういった内容について確認したということがございましたから、そういう 意味では、私どものそれまでの向こうに対する対応というのが、若干手ぬるかったとこ ろがあるのではないかというところは反省すべきではないかと思っております。  いずれにしても、今回調査いたしまして、EU向けについてはやはりEUでも過去に 問題になって、それに対応するために管理について、かなり向こうに輸出するものにつ いては厳格にやるということがはっきりいたしましたので、我が国に輸出するものにつ いても、同様の管理体制のものに限るということで対応してほしいということを今回き ちんと申し入れるということで書いてあるわけでございます。経緯はそういうところで ございます。 ○寺田分科会長  よろしゅうございましょうか。ほかに。 ○高仲委員  今の御質問に関連してですが、アフラトキシンの問題ですね。これは、今回はこうい う形でイランとは協議されておられると思うんですが、それ以外の国からもこのナッツ 類というのは輸入されていると思いますし、その中にアフラトキシンは基準としてたし か入ってはいけなかったのではないかと思いますが、そういうものはきちんとコントロ ールされているのでございましょうか。と申しますのは、このアフラトキシン類の中の 1つには、かつては非常に強い発がん性のあるものという形で指摘されたものもありま すし、ある方の表現だと、史上最強の発がん物質だと言われるようなことがあったよう に思いますが、そういう点で、今我々が口にしているナッツ類の中に、現在アフラトキ シンというのはフリーであるかどうか、その辺について情報をお持ちでしたらお教えい ただきたいんですが。 ○尾嵜食品保健部長  私の今理解する範囲で申し上げまして、もし、あれでしたら担当の方から追加してい ただきますが、今の御質問の最初の部分で、それがイランのナッツ以外にアフラトキシ ンが検出されることはないかといいますとございます。ただし、イランのケースほど高 率に出ているケースではございません。これまでに検査として検出しているケースはご ざいます。それが1点でございます。  国内に回っているものについてどうかという御質問については、なかなか正確なお答 えがしにくいわけでございますが、基本的には、アフラトキシンが検出される複数検出 違反があった場合には命令検査を掛けておりますので、命令検査を掛けた場合には、全 届出に対して検査をしていただくというような状況になっておりますので、そこのとこ ろで基本的には止まっておるというふうには考えておりますが、今、先生がおっしゃっ たように全くフリーかどうかというところについては、私どもも確認がどの程度できる かというのは難しいところがあるのではないかと思っておりますが、ある程度は水際の ところでストップをしておるというふうには思っております。  それと、先生御存じのとおり、アフラトキシンについては私が理解しておりますのは 、日本の気候の中では余り出てこないと。大体が、イランについても現地で検査をして 厳格にやって運んでいる。運んでいる最中に、こういうカビが発生するような状況にな った場合に起こり得るというふうなことを聞いておりますので、そういう意味で、国内 で流通しているという段階の前に違反でなければ、流通している間に出るということは 多分ないのだろうと、もともと輸入時についていなければ大丈夫ではないかというふう に思っておりますが、きちんとお答えできているかどうかというところがございますけ れども。 ○和田委員  2点伺います。1点は、3ページにあります今後収穫される冷凍ほうれんそうについ て、政府の発行する標識が添付されるということですが、この添付されたものというの は相当大きな箱なりロットなりに添付されてくると思うんですけれども、それが中国産 の冷凍ほうれんそうの我が国での量は先ほど伺いましたが、どういう形で外食で使われ るとか、あるいは消費者の手元に小さいパックになって購入する場合とかいろいろなケ ースがあると思うんですけれども、この標識というのがどこの段階までわかる形で情報 が届くかということが1点。  それから、在庫の冷凍ほうれんそうという、これは中国での在庫ということだと思う んですが、営業用の冷凍倉庫ですと相当の期間保存されると思うんですけれども、こう いう対応が取られます前に入っていた冷凍ほうれんそうがまだあるというようなことは あるのかないのか、その2点を伺いたいと思います。 ○尾嵜食品保健部長  1点目は、向こうと協議をしておりまして、向こうが標識を貼りますのは、さっきち ょっと言葉が出てまいりましたが、普通1件の届出に例えば1,000箱とかそういうふう な形でまいるわけでございます。そのときに、彼らの方は箱ごとに、例えば1,000箱あ れば1,000箱すべての箱ごとにこの標識を貼って封印をするということでございまして 、基本的には輸入時まではそういう形で来ると。ですから、箱が今度国内で流通した場 合に、どこまでそれがあるかというのは、それぞれのケースによって異なってくるので はないかというふうに思います。  そういうことで、もう一点の標識の中身については、具体的に向こうからまだ来てお りませんけれども、どういう中身を標識の中に書き込むかということは、向こうが提示 してくれと言っておりますので、それを協議して決めようということにしております。  2点目の在庫でありますが、中国側の方にあります在庫については、今、中国政府が それぞれ調査をしております。どこにどれくらい残っているのか。そのときに、このク ロルピリホスを使ったか使っていないかというのを確認するという作業を、今月いっぱ い掛かると言っておりましたが、現在やっておるという状況でございます。  一方、国内の方につきましても、私ども保健所を通じまして、これまでに入ったもの についての在庫がどうなっているかと今、調べているところでございます。 ○寺田分科会長  ほかにございませんか。  それでは、引き続きまして、いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止の ための当面の対策ということで、事務局よりお願いいたします。 ○尾形新開発食品保健対策室長  お手元の資料3に従いまして、御説明申し上げたいと思っております。  御承知のとおり、本問題は7月に大きな問題ということで事件が発生いたしましてか ら、ずっとこの間対応をしてきているところでございますけれども、改めて簡単にこの 事案の特徴を申し上げますと、要するに、従来の食品衛生監視行政あるいは薬事監視行 政の類型的処理になじまない事案であったということであろうかと思っております。つ まり、健康食品というのを特に中国製のダイエット用健康食品について見ますと、医薬 品的成分が多くのものについて含まれておりながら食品として売られているということ に特徴があるわけでございまして、いわゆる第一線の薬監、食監それぞれ今まで一般的 に処理していた事案とは異なる類型であったということであったわけでございます。問 題が非常に大きく取り扱われ、7月段階で公表措置あるいは輸入監視体制の強化あるい は未承認医薬品としての取り締まり強化といったようなことを中心にやってまいったわ けでございますけれども、その後いろいろな処方面からの御議論の中で、やはり類型的 でないという部分についていろいろ御指摘がございまして、我々も反省として今後は薬 事・食品それぞれが一体となってこの問題に取り組むべきであるという一体的処理の問 題、それから、迅速に対応すべきであるという危機管理の問題、未然防止という観点の 必要性、それから、消費者行政等あるいは医療機関等との連携の問題、こういった点が 反省点として出てきてまいりまして8月末に、これは、この分科会の場においてその8 月末に第2段として取らせていただいた対策について御報告申し上げたところでござい ますが、以上のような観点から、第2弾の対策を打ったということでございます。その 第2段の対策の中で、特に薬事と食品衛生の一元的な処理体制については、きちんとし たマニュアルを将来的につくるべきであるというお約束をいたしました。今回のマニュ アルは、まさにそのお約束を一月半遅れで果たしたという形になっているところでござ います。  枕が長くなりましたけれども、そういう経緯の下にこのマニュアルができているとい うことでございまして、国と自治体が双方共通の認識として今後はこれを1つの類型と して、きちんとした対応を行っていくという趣旨でございます。  併せて、暫定的に8月28日段階で発出しておりました当面の対策という通知は、この マニュアルをもって廃止させていただいたと。その内容は、このマニュアルの中に全部 盛り込ませていただいているということでございます。言い換えますと、8月28日段階 で出していた当面の一体的処理に向けての対策については、より整理体系化した形とし て、このマニュアルに化けたということでございます。  内容について、簡単に御説明させていただきたいと思います。  1枚目をめくっていただきまして、まず、目的でございますが、これは今申し上げた とおりでございます。  基本的な心得。被害発生の未然防止、被害発生時の拡大防止、食品部局と医薬品部局 の密接な連携による迅速な対応。1枚めくっていただきまして、過去の対応の検証によ る継続的な対応の改善、これは先ほど申しました反省点ということが、ここに精神訓示 的に書かれているということでございます。  本来このマニュアルは、基本的には危機管理のマニュアルということでつくらせてい ただいているものでございますが、とにかく類型的でなかったということもございます ので、まず平常時の対応についてそれぞれ心構えをつくっておこうというのが、第3の 「平常時の対応」でございます。都道府県と自治体における対応と本省における対応と いうのが後ほどありますが、それぞれ分けて御説明いたしますと、まず、都道府県。情 報収集でこういうことに留意してほしいということが書いてございます。日ごろから注 意を払えと、一口に言えばそういうことでございます。  関係機関との連携。特に医療機関といったところが常に端緒となることが多うござい ますので、そういうところと連携して緊密にやってほしい、医療機関に協力していただ きやすいような体制を保健所においても取るようにということでございます。  消費者行政との連携。こちらにもいろいろな情報が寄せられてきているところでござ いますので、常時情報交換をするといったことがありまして、更に、日ごろから住民に 情報提供してほしい。併せて、普及啓発、苦情相談体制ということをきちんと整備して ほしいということでございます。  (4)「無承認無許可医薬品の監視指導」、これはやや役人的なものでございますが、 要は、純粋薬事行政の世界に薬事の監視指導マニュアルがございます。無承認無許可医 薬品ということになりますと、つまり問題のダイエット食品がこの類型に属するという ことがはっきりしました場合は、このマニュアルに従って監視指導を行ってほしいとい うことが書いてあるわけでございます。  次のページをめくっていただきまして、4ページは本省における対応でございます。 情報を自治体の方から集めてまいる、あるいは自分自身が国民生活センター等から把握 するといったものを整理体系化して評価するということでございます。  それをデータベース等を構築したりすることによって情報提供していくということ。 それから、健康教育という形でも国民に周知を図っていくということが書いてございま す。これが基本的な日ごろの対応ということで、こういうことをしておくことが危機管 理にもつながっていくという発想でございます。  次が、4ページの一番下でございますが、まさに健康被害発生時、危機管理の対応と いうことで、こちらも都道府県等と本省との対応に分けてございます。まず、都道府県 でございますが、端緒として相談の受付というものがございます。きめ細かく患者さん に対応してほしいということで、医師の診断を受けるように促したりといったことも書 いてございます。  それから、問題が把握できた後は、聞き取りや成分分析ということで、原因をまず把 握しようということでございます。ここも細かくいろいろ書いてございますけれども、 要は、現場の職員がこれに従ってやれば漏れなく対応できるようにということで、事細 かに書かせていただいているところでございますので、内容の説明は省かせていただき ます。これが、(1)(2)と来て(3)までずっと細かく書かれているところでございます。  成分分析を行った結果、医薬品成分といったものが出てくれば医薬品でございますの で薬事の方に、それが出てこなければ食品として食品保健部の方にということで本省に 報告してくださいというのが、6ページの中ほど(3)以降に書かれているところでござ います。  ただし、こういった分析、聞き取り調査にはそれなりの時間が掛かります。時間が掛 かるということは、危機管理の対応としてやや迅速さに欠けるという部分がございます ので、一番下から4行目辺りのただし書きがございますが、重篤な被害が発生している 場合など緊急を要する場合は、こういった調査が完了しない段階でも報告してほしいと いうことが明記されております。ここまで明記しているというのも、事細かに今後はこ ういうことでやってほしいということを胸に刻んでいただきたいという趣旨でございま すが、先ほど部長からも説明がありましたように、早速10月4日にこのマニュアルのた だし書きのこの部分に従って、高知県の重篤な肝機能障害の事案が報告がございまして 、夜の8時ぐらいに御報告いただいたんですけれども、11時には記者発表するというよ うなことがございました。そういうような形で迅速対応させていただこうという意味が 、ここに込められているわけでございます。  脱線いたしましたけれども、また元に戻りまして、7ページの方に移ります。これも (2)の部分、食中毒として処理した場合の例がありますが、これも役人的部分でござい まして、食中毒事案というような従来の類型になじむような事案である場合は、食中毒 要領に従ってやってほしいということでございます。  それから、(4)被害拡大防止のための対応ということでございまして、これも1つの 大きな柱でございます。成分分析、本省への報告と並んでの柱として拡大防止というこ とで、自治体のレベルでも製品名の公表、流通防止のための措置、次のページにまいり まして、そういったことを自主的に判断して積極的にやってほしいということでござい ます。  更に、もう一つの柱は「健康被害者に対する支援」ということで、(5)の(1)が健康相 談の実施、(2)が医療機関への受診勧奨ということでございます。  更に、(6)としまして悪質な事案については、刑事告発も辞さず積極的に対応するこ とというようなことが指示されてございます。  以上、大体自治体における対応の目安でございまして、それを受けて8ページの一番 下の方でございますが、本省ではどうするか。まず、集まってきた情報を収集・評価す るわけでございますが、その受けた情報を基にどういう対策を講じるかというところが (2)、(3)、真ん中より下辺りに書いてございます。まず、いろいろな部局にまたがる話 でございますので、実は薬事の方あるいは他局も含めまして、関係課長等の連絡会議と いうものを設置しております。そこにかけて迅速に対策を立案調整するということが(2 )、(3)に書いてございます。  そして、(4)にまいりまして10ページにございますけれども、まず、こういう危険が あるということをいろいろなところに情報提供して、消費者の安全に資するようにとい うことでございます。まずは自治体、医療機関等、それから、国民。それぞれこういう ところに情報提供して、きめ細かく対応していくということが書いてございます。  以上、長くなりましたけれども、御説明に代えさせていただきます。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。  本件につきまして、何か質問あるいはコメントはございますでしょうか。 ○和田委員  ここに記載されておりますことで重ねてお願いというか、確認の発言をさせていただ きたいんですけれども、やはり住民への情報提供が私どもにとりましては一番お願いし ておきたいことで、わかりやすい形で広く消費者の方へ伝わるような形で是非情報提供 をしていただきたいと。それにつきまして、因果関係が完全に解明されていなくともと いう文章がありまして、ここのところも安全ということ、未然の防止ということ、それ 以上広がらないということを考えて、是非対応していただきたいということをお願いし ておきたいと思います。 ○村上委員  中国の健康食品の場合は、インターネットなどを通じて買ったケースが多いようでご ざいますけれども、そういう購買ルートに対する網の掛け方、対策はいかがでしょうか 。厚生労働省の管轄ではないのでしょうか、どうでしょうか。 ○尾形新開発食品保健対策室長  その件に関しましても、実は本対策を講じてまいる過程で御指摘がございまして、特 に個人輸入でダイエット食品を買う事例というのが多うございましたので、我々の方と いたしましても個人輸入代行業、これは個人輸入ということでございますと業としてや るわけでございませんので、医薬品として承認を得る必要がないということでございま すが、それが実は脱法的になっている事例があったということで、まず脱法的な部分を 取り締まるということを薬事の方が中心となって体制を強化いたしました。  それから、インターネットでいろいろ買えるということにつきましても、インターネ ットの監視ということで、これも薬事の方が中心になって対応を強化していると。 ちょっと雑駁ではありますけれども、そういうようなことをこれまでやらせていただい ているところでございます。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。  こういうものは、国際的な機関とか何かでの情報収集とか情報提供とか、中国とか東 南アジアの国々とかではあるのでしょうけれども、そういうものは国際的な機構として あるわけですか。 ○尾形新開発食品保健対策室長  まだ国際的なところまではいっていないと思いますけれども、少なくとも中国政府と はこの件に関しまして情報提供を行いまして、強く自主的な監視の措置を取るようにお 願いし、中国政府の方でも正式な題名は忘れましたけれども、何とか規範というのを出 して、悪質なところは営業停止を掛けるとか、そういうような措置を取っているという ふうに聞いているところでございます。その他、諸外国におけるいろいろな実例も、 我々は室レベルではございますが、アメリカにおける事例等々なるべく収集するように は心掛けているところでございます。 ○寺田分科会長  ほかにございますでしょうか。 ○山崎委員  冒頭にも御説明がありましたけれども、これから恐らく頻発してくるのは、類型的な 処理になじまないという事例というものが、保健機能を持った食品というのがどんどん 出てくる。食品の形態を持ちながら医薬品が入ってくるというような事例が増えてくる と思うんです。したがいまして、このマニュアルは非常によくできているんですけれど も、例えば、5ページの「聞き取りや成分分析等の調査」というところで、食品担当部 門と医薬品担当部門が同等の情報を共有していくということが非常に重要になると思う んですが、処理に当たっては情報を所持しているというだけではなくて、処理に関する 指揮系統と言うとちょっと大げさ過ぎるかもしれないんですが、そういうようなところ の具体的な処理の仕方がスムーズに進むかどうかというのが、こういう事件が発生した ときの自治体のレベルでの取扱いで、これも言葉が見つからないですが、初動的な行為 といいますか、そこに非常に大きく影響してくると思うんです。例えば、非常に時間を 食うのは成分分析の技術的な問題で、例えば、保健所レベルで分析が不可能な場合には 、更に分析高度の技術を持った検査機関でやるというようなところで、だれが判断して それを次のレベルでの実行に移すかというようなところに具体的な問題点があると思う んです。それが、非常によくできているんですけれども、ややあいまいなところがある かなというような感想をちょっと持ったものですから、述べさせていただきました。 ○尾形新開発食品保健対策室長  大変貴重な御指摘だと思います。我々、入念に反省も踏まえてつくったつもりではあ りますけれども、必ずしも意を尽くし切れていない部分もあろうかと思います。ただ、 今後、食品衛生あるいは薬事それぞれの監視員がございますが、監視員に対しての研修 を、健康食品というテーマでやることにさせていただこうと思っておりまして、そうい った研修の中を通じて、今言ったような点に漏れがないように、きちんと指示、訓示し ていこうかというふうに思っているところでございます。お答えになっているかどうか わかりませんけれども、そういうことで対応させていただければと思います。 ○寺田分科会長  よろしいですか。  ここと直接関係ない、ガイドラインみたいなことではないんですけれども、以前3月 ごろにのインドかどこかでのやせ薬はどうなりましたか。結構、精子がなくなるという 話で、動物実験で非常に高濃度ですから人間にはないと思うんですけれども、その後の フォローはどうなっていますか。 ○尾形新開発食品保健対策室長  3月に御報告したのはガルシニアという物質、食品、これもダイエット食品の1つら しいんですけれども、そのお話だったと思います。この件につきましては、3月にこの 分科会で御報告させていただいたのは、国立医薬品食品衛生研究所の方での中間報告を 受けての取りまとめ内容であったかと思います。その後引き続き、また検討を進めると いうことだったんですが、簡単に言えば、中間報告の内容はガルシニアをラットで実験 したところ、精巣に影響が出たと。ただし、それは大過剰に摂取したような場合に、そ ういった精巣への被害ということとの因果関係が生じたということで、一体どのくらい であれば無毒であるのか、一体どのくらいの量であれば毒性が認められるのかといった ようなことはなかなかはっきりしなかった。それから、ガルシニアを構成している成分 として、ヒドロキシクエン酸というものがあるわけですけれども、果たしてそれが本当 に原因物質であるのかどうか、それも必ずしもはっきりしなかったということでござい まして、引き続き国立医薬品食品衛生研究所の方でその辺を今、今年度掛けて検討中で ございます。  ただ、中間報告段階であれ一定の危険性みたいな懸念がはっきりしたわけでございま すので、まず、当該報告をさせていただいたこの分科会は公開だったものですから、こ こでこういうことが話題になったということがまず報道され、その後、インターネット の本省のホームページの方にも、ガルシニアについてこういう危険が認められるという 趣旨のことを掲載させていただいて、国民の方々に情報提供させていただいているとい うことでございます。 ○寺田分科会長  あれは、たしかあの時言ったと思うんですけれども、ラットの精巣が実験的には見や すいですが、卵巣の方はどうかと。要するに、若い女性が摂取するので、そういうとこ ろも確かめてくださいとお願いしておきましたけれども、それもフォローをお願いいた します。  それでは、ほかにございませんでしょうか。ほかにないようなので、厚生労働省食品 保健部の食品関係組織、予算要求及び食品安全委員会の組織、予算要求について、事務 局より説明をお願いいたします。 ○小出企画官  それでは、平成15年度の組織、予算関係につきまして、資料4に基づきまして御説明 させていただきます。  資料4でまとめて厚生労働省の関係と食品安全委員会の関係をつけてございますので 、まず食品安全委員会の関係、9ページをお開きいただけますでしょうか。御承知のよ うに、今年の4月に出ましたBSEの調査検討委員会の提言を受けまして、政府全体と してここに書いてあります閣僚会議を開催して、6月11日に政府としての食品保健安全 対策の方針が出ております。その取りまとめにおきましては、3点ほどここに書いてあ りますように、リスク評価を行うための食品安全委員会を新たに内閣府に設置するとい うこと。それから、2つ目としまして、緊急時の危機管理の仕組みを整備する。3点目 としまして、消費者の保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための食品安全 基本法といったものを制定するということが方針として決まりまして、これに基づきま して、内閣官房に食品安全委員会の設立等準備室というものができまして、ここと私ど も厚生労働省、それから、農林水産省と相談しながら、今作業を進めております。  こちらの食品安全委員会の方には、1「経緯」の下の方に書いてありますけれども、 国務大臣が置かれておりまして、この資料自身が8月の時点でしたので村井国務大臣で したけれども、さきの内閣改造で現在、谷垣国務大臣ということで、大臣の下で検討作 業が行われております。  2にありますように、食品安全委員会の業務の概要でございますけれども、基本的に リスク評価を実施する機関で、リスク管理の方は厚生労働省、農林水産省、こういう大 きくリスク評価とリスク管理を分けておるということが言われているわけですけれども 、この食品安全委員会におきましては、リスク評価を行うということ。それから、リス ク管理機関に対して勧告を行う、あるいはリスク管理機関の状況についてモニタリング を実施する、これが(1)に書いてございますが、中核的な業務でございます。  それから、2つ目としましては、基本方針、3つの中にもありますような危機管理対 応、これも内閣全体としての旗振りをするということになります。ただし、若干付言し ますと、例えば大規模な食中毒が起こった場合、ここはまずは、現場それぞれの自治体 などの保健所を中心としました従来の体制。これは厚生労働省の体制下でリスク管理と いうことで行われますけれども、ここがかなり大規模なものになりますと関係省庁、例 えば、旧自治省だとかあるいは学校関係だとか、政府全体の取り組みが必要になってき ますので、こういった場合に内閣府の方で全体の進行管理、旗振りをするという整理に なります。  それから、食品安全委員会の業務の3点目でございますが、内外の食品安全に関する 情報の一元収集・整理、それから、安全に関する幅広いリスクコミュニケーションを実 施するといったようなことが主要業務になっております。  ここに申し上げました前提で、こういった仕事をするための体制案というものが次に 書いてあります。10ページでございますけれども、食品安全委員会の構成ということで ございます。勿論この中身は、食品安全基本法でこの設置が決まりますので、現在こう いう方向で進んでいるということでございます。  大きく食品安全委員会自身が3つのパーツから構成されています。中心となるのは1 にありますように、食品安全委員会の委員ということで7名ほどの委員で構成されるこ と。それぞれここに書いてあります毒性学等の専門家、以下に書いておりますような専 門家。この中には、いわゆるサイエンスの関係方面の専門家の方もいらっしゃれば、あ るいは食品の生産・流通システムの関係、あるいは消費者意識、消費行動等の専門家、 情報交流の専門家といったような観点も含めました7名の委員で、総合的にリスク評価 の部分を中心に扱っていただくということになります。  ただ、いかんせん食品の幅広い分野を7名の委員ですべて一からやるというのは不可 能でございますので、2にありますような専門調査会といったサブグループを置くとい うことでございます。  ここは、それぞれの分野ごとに延べ200名程度、当然分野ごとに重なりもあって、お 一人の方が幾つかにまたがる場合もありますので、延べと書いてありますけれども200 名程度。ここの下に書いてありますような企画、リスクコミュニケーション、危機管理 といった総務的な部分と、あと実際の評価の中身、化学物質の関係、生物系の関係、新 食品等の関係といったような専門家のチーム。更に、このグループの中の具体的な、例 えば、化学物質の中であれば6分野、「等」も入っていますけれども、こういったこと ごとに専門調査会ということを設置していく方向になるだろうというふうに聞いており ます。  こういった委員、それから、専門調査会の活動を事務的にサポートするための事務局 の構成ということが3に書いてございます。この事務局自体も、いわゆる常勤の形、そ れぞれの現在の各省庁の職員に当たるような事務局員の部分と、それから、技術参与と いうことで、言わば非常勤の形だけれども、技術的な面からサポートする事務スタッフ という2つの構成にしようという考え方になっております。  常勤の事務局員の部分につきましては、国のシステムの中で組織要求という段階でご ざいますけれども、事務局員55名ということで、事務局には事務局長、次長、それから 、下に書いてあります4課長、総務関係、それから、リスク評価、勧告・モニタリング 、危機管理、情報収集という4課と、リスクコミュニケーションを担当するリスクコミ ュニケーション担当官、ここも課長級だという位置付けですけれども、こういった幹部 クラス、プラスそれを支えるスタッフということで、55名ほどの体制で考えられており ます。  関連事項としまして、次の11ページ目に、食品安全委員会に必要な予算の主要項目と いうことでございます。これも現在、この後、厚生労働省関係の予算も御説明させてい ただきますけれども、何分まだ現在予算折衝中でございまして、8月末での要求段階で ございます。概算要求額としては約20億円ということで、これは政府としても全く新し い組織、新しい予算を起こすということでございますけれども、これで20億円。  中身としましては、委員会の運営の部分と、委員会を支える活動の部分。やはり2が 主体でございますが、1で委員会を開催していく関係の経費などと、2にあります委員 会を支える活動ということで個別の情報の収集・整理の予算、リスク評価の関係の予算 、それから、リスクコミュニケーションの実施のための予算、危機管理対応の予算とい うことで予算要求をして、現在、内閣府の方で財務省と予算折衝をしているといった状 況でございます。  続きまして、1ページ目に戻っていただきまして、厚生労働省関係のこれも組織と予 算とお話しさせていただきます。  厚生労働省の組織につきましても、ここの柱立てに書いていますように、非常に大き な問題が生じてきておりますので、厚生労働省としましても重大な事件、事故等の発生 の対応やあるいは輸入食品対策、更に、食品安全委員会の設置を初めとした新しい食の 安全対策、リスクコミュニケーションの体制といったことを含めまして、そういった体 制整備を図っていくということが眼目でございます。  組織再編の概要でございますけれども、ちょっと見づらいんですが1枚めくっていた だいた裏に図の形で書いてございますので、こちらと対照させながらお話しさせていた だきます。  大きく4点ほど項目がございまして、1つは、「医薬局」を「医薬食品局」というこ とで名称を改めるということでございます。これも、現在も2ページ目の左にあります ように、食品保健部は医薬局の中にありますので、当然、医薬局として食品保健対策も やっているわけですが、従来やはりともすると食品保健部から上の部分と食品保健部と 、どうしても縦割りのきらいが否めなかったということがございます。こういった食の 問題がこれだけ続いています。今後も続いていきますので、やはり医薬食品局としまし て、局を挙げて食品問題に対応するという体制を取っていこうということが柱の1つ目 でございます。  それから、2つ目が食品保健部自体の改革でございますけれども、現在「食品保健部 」という名称になってございますのを「食品安全部」というふうに仮称ですが改めまし て、食の安全ということをより強調した体制。これは名称でが、更に具体的には「企画 課」を「企画情報課」という形にいたしまして、実際、食品安全委員会との調整だとか 、消費者等とのリスクコミュニケーションといったようなことを明確に任務として位置 付けようというふうに考えております。これが2つ目でございます。  それから、3つ目は2ページ目の要求、右側の方の上から2つ目に「大臣官房参事官 (医薬食品・国際担当)」と書いてございますけれども、参事官といいますと、大体課 長クラスの役職でございますが、大臣官房の参事官を設けまして、いろいろ医薬食品あ るいはこの両者にまたがる先ほどの健康食品の問題など、いろいろな問題が絶えず発生 しております。そういったような問題に対しまして、迅速的確に陣頭指揮が取れるよう な体制、こういったポストを設けようということが3点目でございます。  それから、4点目でございますけれども、これは更に現在、今まで言われているよう な課題に対応するため、1室2官、これは課長の下の室長、企画官クラスですけれども 、3つほどの組織。そして、食薬の健康影響対策ということで、先ほどの医薬品課と健 康食品課に非常にまたがっているような問題に対応するようなことを中心とした食薬健 康影響対策官。  あるいは、リスクコミュニケーション、これは企画情報課全体として対応していきま すけれども、リスクコミュニケーションを中心に業務をするという食品リスク情報官と いうこと。  それから、3点目は、輸入食品の安全対策室ということで、最初に申し上げましたよ うないろいろな中国、イラン、タイと続いてきております輸入食品対策を担当する室を 設けようといったような内容になってございます。  続きまして、食品関係予算の概算要求の概要、3ページ目でございます。厚生労働省 としまして、非常に間口の大きい役職ですので、厚生労働省全体として10点ほど柱が立 っておりまして、少子化対策、医療対策、年金対策、労働対策と柱が立っておりますけ れども、その大きな柱として食品関係対策ということも言われておりまして、10本の柱 の中で2つ目に出てくるというようなことで、省の重点施策となっております。  3ページ目のところに総括表が出てございます。いろいろ数字があって見づらいんで すが、数字がそれぞれ二段書きになっている上の方が食品関係全体の予算です。下のか ぎがついていないものは食品保健部としての予算ですけれども、本質問題としては食品 保健関係ということで、例えば、他の局に積んである研究費の関係だとか、食品をめぐ る研究費だとか、あるいはBSEの検査関係といったものは食品保健部外に積んでござ いますので、トータルとしてはこの上のかぎがついている数字が大事かと思います。  平成14年度ですと、140億円の予算が220億円ということで、およそ5割増しという大 幅な要求になってございます。  ただ1点留意しおかなければいけないのが、今年は予算編成の方針がかなり大きく変 わりまして、従来はある程度前年を標準としまして、一定の上積みあるいは一定の削減 ということで、シーリングを決めてするということだったんですけれども、今年は要求 は前年比20%増まで認めると。ただし、年末の仕上がりでは全体として2%減にすると いうことです。ですから、予算の硬直化がいろいろ言われておりますので、それぞれ各 省庁あるいは省庁の中で各部局が2割増しで要求してもらっていいけれども、それは厳 しく査定して、今年の重点事項を決めておくというような観点でございますので、これ は政府全体としてですけれども、要求部分については言わばインフレぎみになっており ます。ですから、2割増しで最後仕上がりは2%減というかなり厳しい枠がございます 。  ですので、この5割増がこのまま認められるというのは難しいわけでございますが、 一方で、最初に申し上げましたように、省としても食品保健関係予算は重点になってお りますので、我々としても鋭意努力していまして、現在折衝中ですが、一定の御理解は いただきながら、ただ、やはり全体のパイも限られていますので、このとおりにはいか ないといった状況でございます。  以上、前置きですが、4ページ以下に個別具体的な数字が出ております。トータルの 額としましては、ここに書いてありますように140億円から220億円ということでござい ますけれども、全体が4つほどの項目に分かれております。1つ目が、この資料の濃い 字で書いてあるところですが、食品衛生法の抜本改正当による基準や体制の整備という ことでございます。細かくいろいろ書いてありますけれども、ポイントを申し上げます と、(1)にありますような農薬の残留基準の整備ということで、前置きでも言いました ように、要求段階ではございますが、前年度の2億円から9億円強ということで大幅な 要求増をしております。  それから、(2)にあります添加物の関係、ここも前年度2億円の予算を16億7,000万円 ということで大幅な予算要求をしております。  次の5ページ目でございますけれども、加えまして、大規模な食中毒対策あるいは HACCPの承認施設の監視強化。それから、食品表示制度の普及啓発、相談体制の強化と いったようなことを、まず1つの大きな柱の基準、体制の整備ということの中で盛り込 んでございます。  それから、2つ目に、輸入食品等の安全対策でございます。これもるる申し上げるま でもなく、輸入食品対策は非常に重要になってきておりますので、実際にその対策とし て(1)にありますように、問題が生じたような輸出国の状況を調査する、あるいは検査す るための経費として従来の500万円から1,700万円強に増額するという予算。  それから、次の6ページ目に行きますけれども、モニタリング検査のこれもモニタリ ングの検査計画を5万1,000件から7万3,000件弱まで増やすと、検査を強化するような 経費。  それから、監視システムも従来から導入しております電子的な監視システムを更に強 化していくような経費。  それから、BSE対策ということで、全頭検査を引き続き実施していくための経費等 々。  それから、規格基準等の一層の整備促進ということを2つ目の柱として立ててござい ます。  3つ目が、食品の安全性に関する情報提供ということで、これも私どもとしましても リスクコミュニケーションを充実させていくことが必要だということ、あるいは健康食 品の情報収集・提供体制、先ほど御説明いたしましたけれども、そういったようなこと ということで、リスクコミュニケーションの実施のためのシンポジウムや懇談会の開催 経費あるいは健康食品の情報収集・提供体制の整備、監視体制の強化というための予算 をここに書いてございますように、要求してございます。  最後の柱ですけれども、食品の安全性確保に関する研究の充実ということでございま して、ここもBSE関係あるいは遺伝子組換え関係あるいは特定保健用食品の関係とい ったようなもの。あるいは残留農薬添加物、これらいずれも研究に基づくサイエンスの ベースで施策を進めていかなければいけませんので、このための予算。これも、繰り返 しになりますが、要求段階ではございますけれども、前年度の11億円を45億円、あるい は国立の試験研究関係の予算も大幅増ということで予算要求しております。  以上、駆け足になりましたけれども、御説明を終わらせていただきます。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。  どなたか質問あるいはコメントがございましたら。 ○小林委員  ちょっと言いにくい話なんですが、食品行政関係を強化しようというのは大変ありが たいんですが、人材養成のことが出てこないので一瞬寂しく思いますので、何とぞ今後 まだ終わったわけではないので、御検討方よろしくお願いしたいと思います。 ○小川委員  今のことに関連するんですが、激しい社会の複雑化、国際交流の多様化などによって 、食品の安全問題が非常に複雑になってきている中で、いろいろな職種の技術者を含め 食品分野の増員が必要だと思うんですけれども、先程新しくできる分野についての定員 の問題がありましたが、また、厚生労働省全体としての予算は大分増えるということで すが、人的な手当はどうなっているんでしょうか。新しい部分ができることによって厚 生労働省の食品関係の職員数は減ってしまうのか、それとも増やすのか、この辺りが非 常に大事な考え方だと思うんですが。 ○小出企画官  全体像でございますと、食品安全委員会、結論から言いますとこれは厚生労働省とし ても増やします。その上で、食品安全委員会も定員を増やすということでございます。  もう少し具体的に言いますと、食品安全委員会設置も現在55名の体制ですが、これも 閣僚会議で行政の肥大化防止の観点から、農水省、厚労省それぞれからスクラップして 人を出せという整理になってございますので、我々も一定限度、厚生労働省全体として の中から人を出さないといけないということになっております。ただ、それによって食 品保健部を減らすことはとてもできませんので、私どもとしては官房と調整しながら、 それは食品保健部とは別枠で対応してもらうように、そういった折衝をしております。  食品保健部全体としましては、現在、本省で65名ぐらい、それから、検疫所が270〜 280名と研究所ということがございますけれども、このそれぞれについて増員というこ とで、省全体としても食品関係で45名ほど、これは現在、厚生労働省全体で増要求とし ては100名増ぐらいの要求ですけれども、その半分近くを食品保健関係で増やしてほし いということになっております。これも要求と査定は当然違いますが、我々としてはこ の枠内で努力をして、食品安全委員会を増やしながら、一方で食品保健関係も大充実さ せていこうというふうな方向で今進めております。 ○小川委員  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○村上委員  今のお話は、厚生労働省を中心にしたお話として伺いましたけれども、食品の安全行 政というのは、やはり省庁を超えた部分も重要かと思います。各国の食品の安全行政の 仕組みなどを私もいろいろ見たり、それから、現地に行ったりしておりますが、省を超 えての一本化というのは難しく、苦労話を随分聞かされて帰ってまいります。ここでは 農水省との接点みたいなもののお話が余り出てきませんが、食品安全部というようなも のが厚生労働省にもあり、農水にもありという形にでき上がるほか、それらを緊密につ なぐルートというものが、設けられるかどうか。内閣府のレベルで安全に関して非常に 迅速な判断が下せるような権限も持った機関ができるのかどうか。消費者から見れば省 を超えての国の一本化された食品安全行政と見える形のものができるかどうか、その辺 が1つ。  あと、1つは小さい質問です。この安全委員会、幾つかの委員会、専門部会、事務局 などのスケジュールです。いつごろどういうふうに決まって、どう発表されて、いつ立 ち上がるのか、その2点をお伺いします。 ○和田委員  関連のあることですから、よろしいでしょうか。これからできます安全委員会の例え ば事務局員あるいは専門調査委員も含まれるかもしれませんけれども、その方たちが最 初は、当然、厚生労働省からあるいは農水省からという形になるのかもしれませんが、 ある程度の交流はあるにしても、出向された方が非常に短い年月で、例えば、厚生労働 省に戻るとか交代が非常に頻繁にあるのか、あるいは食品安全委員会での仕事というの が相当継続するのかという、その辺を含めて伺いたいと思います。 ○尾嵜食品保健部長  村上委員からの御質問につきましては、安全委員会とリスク管理機関になります厚生 労働省あるいは農水の安全委員会との関係、あるいは農水と厚生労働省の関係について の御質問だと思いますけれども、1つは、先ほど申し上げましたが、リスク評価という 内容については、すべて一元的に安全委員会がやるという考え方の整理になっておりま すので、従来、厚生労働省がやっておりましたリスク評価部分は、すべて安全委員会の 方に基本的にはまいりますので、そこの部分は一本化されると申しましょうか、一元化 されるというのがございます。  それと、管理の分野としての両省、農水あるいは厚生労働という立場は従来どおりで ございますけれども、ただ、これはヨーロッパの例も参考にして、安全委員会が立ち上 がっていく際には、そういったリスク管理機関との関係を具体的に連携のやり方等につ いて文章化すると言いましょうか、きちんと整理をしたものをつくるという考え方が基 本的にはもともとございます。まだ先の話でございますけれども、そういったもので、 1つは、安全委員会とリスク管理機関との関係について、役割分担については動かし得 るわけですけれども、連携等について整理されると。  リスク管理機関の厚生労働省と農水省の関係については、そういった形で整理をされ るかどうかというのはまだはっきりしておりませんが、いずれにしても、これまでもい ろいろな食品の問題については両省連携を取っておりますし、昨年以来、連携の取り方 というのはかなり濃密になっておるというふうに私どは考えておるのでありますけれど も、そこのところは引き続き管理機関としての連携というのは当然取っていくことにな りましょうし、今まで両省で連絡のために課長クラスの会議とかあるいは局長クラスの 会議というものがございますけれども、そういったものは引き続きやっていくことにな るだろうと思っております。  2点目のスケジュールの関係は、和田委員の方からのお話とも関係いたしますことで 申し上げますと、そういったスケジュールについてはまだ全く決まっておりません。年 末までに、まず全体の枠組み、55人で要求しておる内容、そういったものについての整 理といいますか、政府としての最終的な姿が12月の予算の編成時に組織としてどういう 形になるかという整理がまずされるということになろうと思っています。ですから、こ れがいつ動き出すのかというのも、その時点で4月からという形になるのか、あるいは 4月からが無理であれば7月なのかどうかというスタート時点も、その時点で明確にさ れるというふうなところでございます。  更に、個別にどういう人が委員になるとか、そういうことになりますと、更にその後 ということになりますので、今スケジュールがどうかというのは準備する方でも特段示 しておりませんし、基本的には12月の全体の枠組みが済んだ後、具体的な検討に入って いくのだろうというふうに思っております。  それと、人事の関係で短期間かどうかという和田委員のお話についても、今の時点で 私どもの方からはどうなるかは何とも申せません。安全委員会として初めて来年度動く わけでございますから、そういった中で、人事についてあるいは専門的な人間の配置を どう考えていくかというのは、準備の段階で整理をされていくのだろうと思いますけれ ども、私どもが今の段階で従来どおり2年ですとか、あるいはもっと長くなるのかもし れませんとか、そういうことは一切わからないというのが現実でございます。 ○寺田分科会長  よろしいですか。これは、新しい組織ができて一本化するというのはいいんですが、 どうもよくわからないのは、リスク評価と管理が本当に区別ができるのか、あるいは評 価のときに評価する情報はどこからどういうふうに上がってくるのかというのがよくわ かいません。これから準備室でいろいろとやられるので、そこのところは考えられるで しょうけれども、わかるようになったら教えてください。ちょっとわかりにくいところ があります。  それから、もう一つ、厚生労働省の方で組織替えというところで、名前が「安全」に なりましたね。図がありましたけれども、2ページですか。要するに「食品保健部」が 「食品安全部」になった。安全ということを強調するのは大変結構だと思うんです。し かし、これから例えば、食品で機能食品だとか生活習慣病に対して薬との間がものすご くあいまいなところがありますけれども、そういうものがこれから10年先の間には必ず 出てくると思うんですね。それは厚生労働省の範疇から外れてしまうような感じがする ので、まだ仮称と書いてあるから、例えば「保健安全部」とかそういうふうな形の方が いいのではないかと考えます。それから、栄養の問題とか、そういう問題は全部ここか ら省いてしまうのかと危惧します。食品に関して厚生労働省は安全というところのみや って、では、栄養の問題だとか機能性食品だとかそういう積極的な面の方は厚生労働省 から外してしまうのなという感じをちょっと持ちましたものですから、いかがなもので しょうか。 ○尾嵜食品保健部長  名前の問題は、一応、要求する際には中でも大分議論をした上で、今後を考えた場合 に安全部というふうな形で打ち出す必要があるのではないかということでございますの で、とりあえずは最終的にどういう名前になるかというのは、これからの中でまた決め ていくことになろうかと思っております。  それと、所掌については、基本的には従来と変わらないわけでございますので、機能 性食品の関係については、この部が所管するということに変わりはございません。ただ 、生活習慣病の関係の栄養という観点から申し上げますと、中心は健康局の生活習慣病 対策室というのがございますので、そちらが疾病と栄養摂取の関係について、食事との 関係とかそういったところは中心にやられることになろうかと思っておりますが、今お 話のございました機能性食品の関係については、私どもの方でこれも健康増進法の中に 、従来の栄養改善法の中からずっと私どもが所管している部分がございますので、そこ は基本的には従来の枠と変わらない、その部分が落ちるということはないというふうに 御理解いただければと思っております。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。 ○田中委員  この食品の安全の問題につきまして、村上委員から一元化という話が出ておったわけ ですけれども、根本的には、いわゆるリスクアナリシスという概念の下にやられるべき ものではないかと思っております。また、そうだと思いますし、それがリスクのアセス メント、これは狭い意味での評価と考えていいのではないかと思っていますが、アセス メントがあり、そして、食品の安全に関する問題点がどういうものか、あるいは因果関 係はどうかというアセスメントの問題があると思います。そのことを受けて、主として 端的に言いますと、対策ということでリスクマネージメント、ここでは「管理」という 言葉が使われておりますが、リスクマネージメントがあって、今度はその下にリスクコ ミュニケーションということで、これは生産者あるいは販売者、そして、消費者、更に 学識経験者の間で情報を公開し、うまく食の安全の目的を達成していこうと、大きく3 つに分けるとするならば、すべてが一元化されますと、評価した者と管理する者とがあ る意味ではなれ合い的な面が出てくるかもしれませんね。ですから、やはりアセスメン トとマネージメント、コミュニケーションというのはそれぞれ分担をしつつ、そして、 食品安全委員会でその間の調整をしていくということでいいのではないかなと。すべて を一元化していったときには弊害もあり得るんだということを、私はちょっと付け加え させていただきたいと思います。 ○和田委員  もう一点いいですか。具体的には、食品安全委員会の組織、それからそれがどう動き 出すかということの先の問題だと思いますけれども、それを受けて、この審議会そのも のの組織、それから、メンバーなども相当大きく変わっていくのではないかと思います が、その点をちょっと伺いたいんですが。 ○尾嵜食品保健部長  私どもが所掌するといいますか、安全委員会ができた際に、リスク管理の部分を担当 するということになると思いますが、その際に審議会で申し上げますと、基本的には、 これまで調査会という部会の下にそれぞれ御専門の先生方だけで構成して、いわゆるリ スク評価にかかわる部分を御検討いただいていたものがございます。ですから、そうい った部分については、この審議会の中から外れることになるだろうとは思っております が、ほかの部分については、どちらかといいますと管理の部分を大きい部分として部会 なり分科会の方で御議論いただいている部分がたくさんあるわけでございます。例えば 、具体的な基準というのはイコール管理の部分でございますから、あるいは対策であり ますとか、そういった部分は従来どおり私どもの分科会の方で、部会も併せて担当して いただくということになろうと思っておりますので、分科会自体の姿がそう大きく変わ るあるいは委員の構成が大きく変わらなければいけないということには、基本的にはな らないのではないかというふうに思っておりますが、そこのところは安全委員会の全体 の構成といったものも参考にしながら、中で整理はしていきたいと思っておりますが、 基本的な私の理解はそういう理解をしております。 ○寺田分科会長  ほかにございますか。  それでは、この件につきましてはこれで終わりにして、ほかに事務局から何かござい ますか。 ○事務局  事務局から1点御報告を申し上げます。今月末でございますけれども、10月31日に毒 性部会を開催させていただきたいと考えてございます。その中では、加工食品中のアク リルアミドについて御報告を申し上げたいということで考えてございます。  以上でございます。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。  いろいろな組織の問題、安全の方向へ国として非常に力を入れてくださるのは大変あ りがたいことですが、ただ、先ほど人材のことを言われましたけれども、FDAは8,500 人ぐらいいて、軍隊としてアメリカの市場を守っているというのに比べますと、まだま だ大変だと思いますが、是非、軍隊的な感覚を持って国民の安全を守るというのと同時 に、私が今さっき言いました、これは座長としてではなくてプライベートな意見ですけ れども、守りが一番ではありますが、何か積極的な面もないと守りだけであってはとい うような感じもちょっと持っております。  勝手なことを言いましたが、御多忙中のところを集まっていただきまして、本当にあ りがとうございました。これで終わります。 照会先 医薬局食品保健部企画課     03−5253−1111(2452)