02/10/24 第2回医療安全対策検討会議ヒヤリ・ハット事例検討作業部会議事録            第2回ヒヤリ・ハット事例検討作業部会                     日時 平成14年10月24日(木)                        10:30〜                     場所 厚生労働省共用第7会議室 ○作業部会長(橋本)  定刻になりましたので、ただいまから第2回の「ヒヤリ・ハット事例検討作業部会」 を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また雨の中、ご出席い ただきましてまことにありがとうございます。本日は17人の出席だそうでございます。 それでは作業部会を開催したいと思います。  なお、日本製薬団体連合会安全性委員会の委員長の変更に伴い、宮城島委員に代わ り、吉澤潤治氏が今回より委員として参画することになりました。吉澤委員、どうぞよ ろしくお願いいたします。それから、事務局のほうも人事異動に伴い構成に変更がある ということですので、ご紹介いただきたいと思います。 ○医療安全推進室長  この8月に厚生労働省において人事異動がありまして、事務局の一部に変更がござい ました。変更になったメンバーのみご紹介いたします。新しく医政局総務課長になりま した榮畑課長です。 ○榮畑総務課長  医政局総務課長の榮畑でございます。よろしくお願いいたします。 ○医療安全推進室長  なお、遅れておりますが、医薬安全局安全対策課安全使用推進室長が池田に変更して おりますので、ご紹介いたします。よろしくお願いいたします。 ○作業部会長  それでは本日の議事に入りたいと思います。机上に配布されている議事次第をご覧く ださい。本日の議事は3つございます。1番目は、医療安全対策ネットワーク整備事業 の第4回ということで、第4回の集計結果をご報告いただくということです。  第2番目の議事が、この事業のこれまでの、全事例の集計結果ということは、前回の 部会でお話がありました。そのようなことを踏まえて、これまで集まったものについ て、全事例を集計したものをご報告いただくということです。  3番目が、前回から引き続きということになると思いますが、今後の運営に関する検 討課題について、いくつか事務局から案が出て、それを検討いただくということになり ます。それぞれについて順番に説明と議論を進めていきたいと思います。  その前に、資料がたくさんありますので、この確認を事務局からお願いします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をご覧いただけますでしょ うか。資料は、大きく資料1から資料3までと参考資料になっております。まず資料1 −1として、「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例・収集等事業 第4回集計結果の概要について)がございます。  次に資料1−2として、「第4回全般コード化情報の分析について」。次に資料1− 3として、「第4回重要事例情報の分析について」。資料1−4として、「第4回医薬 品・医療用具・諸物品等情報の分析について」がございます。  次に資料2−1として、「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例 ・収集等事業)全事例集計結果の概要について」がございます。  資料2−2として、「全般コード化情報全事例の分析について」。資料2−3とし て、「重要事例情報全事例の分析について」。資料2−4として、医薬品・医療用具・ 諸物品等情報全事例の分析について」がございます。  次に資料3−1として、「医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例 ・収集等事業)の今後の運営に関する検討課題について」。資料3−2として、「医療 安全対策ネットワーク整備事業・収集体制の変更に対する委員意見と変更方針(案)」。 資料3−3として、「医療安全対策ネットワーク整備事業・記述情報収集フォーマット (案)」がございます。最後に参考資料です。  それと別綴じになっていますが、原田委員からの提出資料がございます。 ○作業部会長  それでは第1番目の議事である、「ネットワーク整備事業の第4回の集計結果」をご 報告いただきます。前回同様、全般コード化情報の分析、重要事例情報の分析、医薬品 ・医療用具等情報の分析ということで、3つに分かれておりますが、それぞれ武藤委 員、増子委員、事務局でお願いいたします。それぞれについて伺ってから、その上で質 疑応答をするということで、よろしくお願いいたします。  それではまず武藤委員から、「第4回集計結果の全体概要」と「全般コード化情報」 の分析の説明をよろしくお願いいたします。 ○武藤委員  それではこちらからご説明します。資料1−1をご覧ください。4回目になりまし て、調査期間は平成14年5月28日から8月27日までです。この期間中の参加施設が265 施設、報告施設が88施設です。4番目の情報別の報告数で見ますと、我々は3つの情報 を集めていまして、1つが全般コード化情報、それから重要事例、それから医薬品等の 情報です。全般コード化情報については、この第4回の報告では9,580例が集まってお ります。そのほか重要事例については1,076例。医薬品等については246例が集まってお ります。  ではこのうちの「全般コード化情報」(資料1−2)についてご説明します。報告で すと、9,500件くらいですが、これを単純集計と相互のクロス集計で分析しました。  まず7頁のグラフにあります単純集計の結果でみると、インシデント報告の『発生時 間帯』は、上段のグラフにあるように、10時から11時にピークがあって、6時から19時 までの間に非常に集中していることがわかります。平日、特に日勤帯に集まっていると いうことでしょうか。  その下のグラフを見ていただくと、『発生場所』では、ご覧のとおりピークは病室で す。2番目がナースステーション。それから、「その他」とかもありますが、実はよく 見ていただくと、ICU、CCU、NICU、つまり集中治療室、NICUは乳児の集 中治療室ですが、いずれにしても集中治療室に集まっていることがわかります。後ほ ど、全体の分析の中でも、こういう傾向が見えますので、またご説明します。  8頁で、『患者の性別』に関しては若干男性が多いようでした。次の、『患者の年齢 』に関しては、これも二峰性のピークです。0歳から10歳までが1つのピークで、それ から高齢者のピークは、50歳台から80歳台の所にピークがあるということで、こういう 二峰性のピークを示しています。  9頁は、『患者の心身状態』ですが、いちばん多いのは、「障害なし」という所に ピークがあり、2番目として、「床上安静」にありました。  『発見者』は、報告者当人が発見したというのがいちばん多いですが、2番目は同種 の職場の人が発見している。次は他職種の人に発見されているという傾向です。  10頁は、『当事者の職種』、これは圧倒的に看護師がいちばん多いです。次に医師、 薬剤師と続いています。  10頁の下段のほうの『当事者の職種経験年数』ですが、0年、1年、2年というとこ ろで、3年未満だけで見ると40%くらいでしょうか、若い人たちが多いということで す。  11頁は、『当事者の部署配属年数』です。部署配属年数というのは、例えば看護婦さ んの場合、職場を変わったりなどしますので、その部署に配置してからの経験年数、そ ういう意味です。これも見ていただくとわかりますが、0年、1年、2年、3年と、こ の全体で60%です。配属年数が経てば経つほど減衰しているといった傾向です。  その下は『発生場面』です。これは、「処方・与薬」が段突ピークです。2番目が 「ドレーン・チューブ」、3番目が「療養上の世話」となっていますが、これは転倒・ 転落ということでしょうか。これを集計しても、この順位は変わっていません。3大発 生場面といいますか、「処方・与薬」「ドレーン・チューブ」「転倒・転落」というこ とです。  次の12頁、『発生の要因』ですが、これは確認ミス、観察、心理的条件、あるいはそ の勤務状況というのが挙がってきております。  『影響度』というところを見ていただくと、実はこのインシデントの定義、集計の定 義は、1つは実際に事前回避といいますか、行為を行わない前に気がついてやめたとい う例と、それから実際に行為を行ったけれども、患者さんへの有害事象が発生していな いという、その両方を集めています。  そうしますと、いちばんのピークは、間違って実施されたけれども、患者さんに影響 はなかった。これが全体の4分の3を占めています。  ただ、事前回避事例でも、事前回避はしたけれども、もし実際に行為が行われている とすると、非常に影響が大きいものが118例。それから中等度の影響を及ぼすと考えら れるものが425例あるということです。  次がクロス分析ですが、3頁に戻っていただいて、2の『インシデントの発生場面と 発生内容』のクロス集計です。”処方・与薬”に関しては、”注射・内服”とともに、 「無投薬」「投与量間違い」が多かったです。  注射では、「投与速度間違い」、内服では「与薬時間、日付間違い」です。  ”医療機器の使用”では、やはり人工呼吸器及び輸液ポンプに関する事例が多くて、 人工呼吸器では、やはり「組立て」とか「点検管理」のエラー、輸液ポンプでは「設定 忘れ」「不適切使用」が多かったです。  ドレーン・チューブに関しては、約半数が自己抜去です。中心静脈ライン、末梢静脈 ラインでは、接続の外れも多かったです。  ”検査”としては、発生場面としては、採血時のエラーが約3分の1を占めていまし た。「検体採取時のエラー」「患者の取り違え」も多かったです。レントゲンの撮影 で、一般撮影、ポータブル撮影での患者の取り違えも多かったです。  ”療養上の世話”では、転倒・転落が多かったのですが、移動中、排泄介助時の転倒 が多かったです。  4頁で、『その他のクロス集計』では、”当事者の職種と発見者”でクロスしたら、 簡単にいうと、医師・薬剤師が当事者である場合は、当事者本人からよりも、同種職種 や他職種による発見が多いということです。他人に指摘されてわかるということでしょ うか。  看護師の場合には、当事者の発見が多かったです。  それから”当事者の職種と発生場面”のクロスでは、やはり医師・看護師とも、処方 ・与薬に関する事例が多かったのですが、次には、医師に関しては、オーダー指示出 し、検査、それから看護師に関してはドレーン・チューブが多かったです。  それから、”当事者職種と発生要因”では、各職種とも確認不足による事例が多かっ たです。  ”発生場面と発生要因”では、やはりこれも確認ですが、ドレーン・チューブやその 他転倒・転落では、間接の問題を提起するものが多かったです。  ”発生場面と影響度”に関しては、先ほどちょっと申し上げましたが、輸血、療養上 の世話、転倒・転落、医療機器の使用で、もし間違いを起こした場合には、中等度以上 の影響があったと考える事例が多かったです。  考察を簡単にまとめましたが、単純な集計の結果では、クロス集計とともに、前回、 3回目までの報告とほぼ同様な分布を示しておりました。  そして、「ヒヤリ・ハットの事例」の合計件数に関して、間違って実施された割合 も、およそ6割程度と、これも大きく変化はしていませんでした。  ただ、今回も経験の浅い従事者が多くて、当事者の属性に合わせた人員配置や院内教 育の充実が必要だと考えられます。  要因を確認不足としている事例が、やはり相変わらず3割ほどあります。これはシス テム的な要因を分析するまで分析が深まっていないのではないかということが考えられ ます。第4回の集計結果については以上です。 ○増子委員  重要事例情報についての第4回の分析について報告いたします。いま武藤委員から報 告がありました、重要事例に関しては、全般コード化事例報告の中から、抽出された事 例のみ選択しておりますので、背景的なことが十分結び付いた報告はできませんので、 それは今後の課題だと思います。  施設に関しては、先に報告がされたとおりです。今回重要事例に関しては、総収集事 例件数は1,077で、有効件数は951件でした。これは、非常に多くなっておりまして、第 1回目の10倍に当たっております。  この細かな951例に関しては、お手持ちの資料の後ろのほう、60頁以降に、全事例を 載せてありますのでご覧いただきたいと思います。  分析の概要は、全3回と同様ですが、収集された「ヒヤリ・ハット」の中で、公表す ることが重要であるというふうに考えられるものについて、私ども分析班が、専門家と して書き方についてのコメントとか、あるいは改善策に関するコメントをまとめて記述 しています。  事例の選択については、全般コード化事例の中で抽出されたものを集めておりますの で、比較的要因とか改善策がよく書かれているものとか、あるいは発生頻度は少ないの ですが、致命的な事故につながる事例とか、一般的に、他施設と情報を共有しておくほ うがよいと思われるものに関して、選択しております。なお、個人が特定し得るような 事例は除いております。  あとは、ものに関するものですが、私ども医療従事者が、ものを扱うときに、ヒュー マンエラーを防止するという観点から、ものに関する事例も集めて分析しております。  事例のタイトルとかキーワードに関しては、2頁、3頁に分類のキーワードが載って おりますので、ご参照ください。  4頁に入って、分析結果及び考察ですが、収集された事例情報の概要については、非 常に報告事例が多くなったということと、報告数が比較的多かった事例としては、手技 ・処置区分の上から見ますと、”点滴・注射”、あるいは”チューブカテーテル”、 ”内服・外用”、”転倒・転落”で約6割を占めております。  「ヒヤリ・ハット」の発生要因に関しては、個人要因を指摘する事例が多く、それか ら、事故防止マニュアルの整備が進んで、マニュアルの遵守徹底というようなことを改 善策に挙げる事例が多いわけですが、事故防止マニュアルなどが非常に整備が進んでい るというふうに思われる一方で、状況によっては運用が徹底されていないことを示す結 果と考えております。  マニュアルに関しては、改善策としてマニュアルを改正する、という報告が多く、遵 守するのか改正なのか、あるいは見直し自体が必要なのかといった視点で考えていく必 要があると思います。  事例に関しては、与薬に関する事例では、薬の種類、量や患者さんの間違い、あるい は、これは前回もずっとあるわけですが、三方活栓や輸液ポンプなど、”モノ”に関連 する報告が目立ってきております。また、患者さんの自己管理の下で、服用を忘れると いうふうなことも、増加傾向にあります。 口頭指示とか伝票の未確認によって発生す る事例が多く報告されていて、記憶に頼らない手順や、組織体制の検討が引き続き重要 です。  薬剤の未投薬や誤投薬に関する要因として、医療従事者間のコミュニケーションエラ ーという、伝達上のミスが多いことが考えられます。看護師の与薬の業務の代行や、中 止薬の未回収などもあり、システィマティックな改善策が示されていないということに 関しては非常に残念で、今後組織的な改善策を検討する必要があると考えます。  チューブ・カテーテル類、転倒・転落に関しては、チューブ・カテーテル類は自己抜 去、あるいは転倒・転落に関しては患者本人の自発的行動によるものが多いというよう なことから、専門家のコメントがなかなか難しく、苦慮している状態です。  コミュニケーションエラーに関しては、口頭指示とか伝達の仕方、それから受手の解 釈等に問題があるということで、これは指示出し・指示受け双方の問題で、指示系統を 明確にするなどの、指示のあり方なども踏まえた改善策を検討する必要があると思いま す。  その他の事例報告では、新人看護師とか、ローテーション間もない研修医によるも の、知識・技術両面で未熟と思われる事例が増えつつあります。こういう人たちに関し て、知識、技術面からの評価や教育体系を検討する必要があると考えます。  それから、今後増えつつあるものですが、パソコンへの入力自体が間違っているとい うようなこともあるのですが、入力されたものを過信してしまう傾向があって、パソコ ンを使用した情報管理法とか、あるいは入力内容のチェック機能、間違ったときに警告 を発するシステムなどが導入される必要があろうかと思います。  検査前投薬の未実施や検体の紛失、食止め未実施とか、指示の見落としによる検査の 未実施など検査に関する諸々の不徹底というようなことがあって、検査の未実施という ことがあります。いたずらに入院期間を長引かせるようなことにつながりますので、マ ニュアルを整備し、実施時のチェックを確実にしていくことが必要と思います。  それから、全般的に外国の方、要するに英語圏ではない外国人の増加がありますの で、その点に関するコミュニケーションエラーについて、医療安全対策の新たな局面を 迎えているという実感をもっています。  それから、特定領域でテーマを集めて報告していきたいと考えており、今後の課題だ と思います。  全体的なまとめとしては、有効な改善策や書き方が非常に良くなってきている事例が 増えてきています。そのほか、医療従事者全体で「ヒヤリ・ハット」を防止するという 姿勢を持ち、主体者である患者に十分な説明を行って、ともに事故防止に取り組む姿勢 は、より安全で安心な医療機関づくりに資するものであるということを考えると、この 分野の分析が非常に意義があるものであると感じております。  今後の課題としては、情報の不足、記述の不足や、背景要因の分析が不十分というこ ともありますので、フォーマットを検討して、そういうものが書いてもらえるような形 にしていく必要があると痛感しております。  組織的な背景の要因ではなくて、確認の徹底という個人要因に帰するような表現がか なりありますが、それに関して、組織的な背景要因の分析ということもフォーマットに 関連していくかと思います。  前3回に比べると、非常に報告事例もよくなり、9頁以降をご覧いただくと専門家か らの記入方法や、改善策に関するコメントも、非常に丁寧になってきております。  58頁をご覧いただくと、書き方に関して、5W1Hで大変よく書かれている報告書で すという専門家のコメントも書けるようになっており、大変嬉しいことだと感じており ます。 ○作業部会長  なかなか面白い話があって、後で議論したいと思います。それでは最後に事務局か ら、「医薬品・医療用具等情報の分析」ということでお願いします。 ○事務局  それでは「医薬品・医療用具・諸物品等情報」について第4回の集計を、事務局より ご報告させていただきます。資料1−4をご覧ください。1−4に5枚ほど概要の表を 提出させていただいております。6頁以降、参考1として、医薬品関連の実際の収集さ れた事例、参考2として、医療用具の事例が31頁より、資料3として、諸物品の情報を 40頁以降に提出させていただいております。  まず資料1−4の1頁目のA−1の表ですが、今回はヒヤリ・ハット事例のうち、医 薬品・医療用具・諸物品等情報、総事例数246です。うち1例については、重複した事 例報告と考えられたために、分析対象から削除させていただいておりますので、その下 の分析対象事例数は245というふうになっております。  分析対象事例数245のうち、医薬品関連情報が187、医療用具関連が49、諸物品等情報 が9件という状況になっております。  右側に前回の収集件数を記載してありますが、全体的に若干増加の傾向を示しており ます。  続いてA−2、下の表ですが、医療機関側から報告された医薬品関連情報の要因別の 集計表です。これは、「複数の規格が存在した」というものが最も多く、全187件のう ちの21.4%を占めております。  それに続いて、「薬剤名が似ていた」及び「配置が悪かった」が、それぞれ19.8%及 び6.4%で続いております。  今回「複数の規格が存在した」「配置が悪かった」というものが増加の傾向を示して おりますが、この「複数の規格が存在した」というものの中には、例えば錠剤でいう と、10ミリ錠と20ミリ錠を取り違えた、注射では200ccと500ccのボトルを取り違えた、 あるいは抗生剤の1gと2gを取り間違えたという事例が報告されております。  また「配置が悪かった」という要因では、薬剤の納めてる位置が近くて、医薬品の薬 効の似たものを取り違えたという問題などが挙がってきております。  続いて2頁目、A−3の表です。「医療用具関連情報の概要」についてまとめさせて いただいております。医療用具関連情報の要因としては、前回と同様、管理が不十分だ ったというものが最も多くて、全49件のうち16.3%を占めております。ただ、前回18.8 %に比べると、若干減少傾向にあると考えております。  この「管理が不十分だった」という要因の事例の中には、使用前の医療用具の点検、 チェック等で防止できるもの等も報告されております。  続いてA−4の「諸物品等関連情報」ですが、要因別でいうと、「配置が悪かった」 というものが最も多く、全9件のうち44.4%、続いて「管理が不十分だった」「扱いに くかった」というものが、それぞれ22.2%で続いております。  諸物品等情報の事例では、ものを置く位置の問題が事例として報告されております。  続いて3頁目、実際に医療機関側から報告された事例について、検討班の委員の先生 方に、要因の再分析をお願いした結果が右側にあります。例えば左側の、「薬剤を入れ る容器が似ていた」、あるいは「薬剤の色や形態が似ていた」というふうな要因として 報告されていた15件のうち、検討班で検討した要因は、右のような数字になっておりま す。  続いて4頁目、検討班によって検討していただいた要因別の事例数は、今回のもの と、前回第3回のものを集計、比較した表です。今回の集計で、”規格違い”、あるい は”数量違い”というものが若干増えている、今回は多かったというふうに出てきてお ります。  5頁目、B−3として、「医療用具関連情報」ということでまとめさせていただきま したが、左側が報告された要因による件数です。右側が、検討班で検討していただいた 要因による事例数です。  これも先ほど申し上げたとおり、「管理が不十分だった」というのがいちばん多く報 告されております。 ○作業部会長  第4回の集計結果ということで、3つお話をいただきました。これまでの説明につい て、ご質問ご意見を伺いたいと思います。 ○中村委員  重要事例情報の分析について、「転倒・転落のトラブル」という記載がありますが、 これらは高齢者とか、転倒とか、副作用を引き起こす薬剤を服用していないかというと ころまで分析したほうがよいのではないかと思います。 ○作業部会長  それは重要事例では事例として挙がってきているんですかね。 ○増子委員  結局いろんな背景要因や何かと全体的に総合的な検討がされていませんので、記述さ れているものからだけですので、今後それは、フォーマットとか、そういったものに よって検討していけると思います。 ○作業部会長  いまの議論は、3番目の議事のところとちょっと関連しますので、技術フォーマッ ト、医療フォーマットをどう変えていくかというところに関連します。 ○石川委員  報告の対象施設が、前回は99で、今回は88と減っていますね。減っているのですが、 逆に報告の重要度が増えているということで、どこに原因があるのかということはわか らないのですが、報告の施設という中で、新規に、いままでは出していなくて、今回出 てきたのはどのくらいあるのかというのは、おわかりになるかということが1つ。  それから事務局のほうで1077と1076という数字が2つ出ているのですが、いちばん最 初の表は76になっていたので、77が正しいのではないかと思います。  それから、先ほどの重要のところの1−3の資料の中で、大変気になったのは、専門 家のコメントの部分をずっと読みましたら、結構、教育に関するコメントが多かったよ うに思うのです。後で多分年間の話をしたときに出てくると思うのですが、どのくらい 教育関連というのがあったのかという、数字はちょっとわからなくて、感覚でしか言え ないのですが、もし数字があると、多分議論の次の発展になるのかなと思ったのです が。 ○事務局  施設に関しては、新規にどれくらいの施設から報告があったというデータについて は、現時点、この場では持ち合わせておりません。調べればわかると思いますが、いま はちょっとご報告できません。 ○増子委員  原則的には、個人の教育とか全体の実践能力を高めていくなどがあります。今回また 臨床工学技士さんなどにも加わっていただきましたので、多方面からいろんな提案など もされて、できるだけシステムで押さえていこうということはあります。しかし、どう もまだ、私どもも成長の途上で、多分そういった方向にいってしまいがちだということ をご示唆いただいたのだと思います。  今後ますますその辺を検討していきたいと思います。 ○作業部会長  そうですね、むしろ成功事例みたいなもので、教育がどうかかわっていて、それでイ ンシデントがどう減っていくかというような事例を集めたほうがいいのかもしれません ね。 ○武藤委員  教育関連で、この資料1−2の「全般コード化情報」を見ていただくと、12頁の「発 生要因」に、相変わらず「確認」が段突にくるのですが、ずっと見ていくと、観察、判 断、知識、技術、報告と、この辺がやはり教育介入によって減ってくるのではないかと いうふうに考えます。 ○作業部会長  それから同じものの10頁を見ていただきたいのですが、当事者の職種・経験年数とい うのは、発表にあったように二層性があるということです。つまり、0年の方が多く て、11年から20年、ベテランの方もそれなりに多く見えるということは、どういう現象 なのかを考えてみると、そこに教育の問題が入ってくると思います。  それから、やはり、教育研修の問題と、標準化の問題というのがあって、おそらくそ れなりに経験があっても、いろんな間違いが起きてしまう状況の中には、その仕事をす る場所での業務の標準化というのがされていない状況があるということが、ここから伺 われるかなとも思われる。そういう議論もコード化の議論の中ではあったと思います。 ○山本委員  医療機器のほうで、管理不十分というのは非常にたくさんあるのですが、私たちが医 療機関にお伺いすると、本来この機械は臨床工学技士さんが使っていただかないと無理 だというものを、看護師さんからたくさん聞いております。  それで、先ほどの1−4の資料の中の、医療用具、5頁、B−3で、医療用具関連情 報の中で、「管理が不十分だった」というのが報告された件数は、精査してみると、更 に増えています。管理が十分だった可動化について医療機関と私たちの医療用具業界と も捉え方が違うのです。  ですから、その「管理不十分」というのは、背景をもっと、実際に本当に管理すべき 人とか部門がやっていなかったということなのか、本当にどうだったのかというような ことがわかるような解析をしていただけると、大変ありがたいのですが。 ○作業部会長  いまおっしゃったことは、おそらくそれは背景要因の後ろというで、例えば、MEさ んの配置の状況がどうであるとかということを含めてですね。 ○山本委員  はい。 ○石川委員  関連ですが、私もそこはちょっと申し上げたかったので。このB−3の資料というの は非常に面白くて、報告する人の考えたことと、精査した形というのは、冷静に見た場 合というので違っていますよね。例えば、欠陥品だと思い込んでいたのが、実際はそう じゃないよと。4件は別な原因であって、あとの詳細部分を読むと、それが見えてくる んですね。  同じように、故障していると思ったけれども、そうじゃなかったんだという、これは やはり管理の問題と関連していたかもしれないということがあります。  それから、いま山本委員がおっしゃったように、管理不十分だと、自分は管理してい たと思い込んでいたのだけれども、それはもっと管理が必要だった。ところが、その管 理の仕方というのが、先ほど私も申し上げたのですが、教育の中に原因の一部があるの かもしれない。それから、施設の中の取り扱う方の資格の問題があるのかもしれない。 そういういくつかのいろいろな要素が入ってしまっているなと思いました。  それで、後ろの細かい表をずっと読ませていただいて、ここから我々業界というか、 企業が何かしなければいけないかなと、そういう目で一生懸命見ていたのですが、ちょ っと情報がまだ足りなくて、自分を悪者にして考えようとするのですが、もうちょっと 情報があると、なるほど、じゃあこうしようかなというアイデアが浮かぶのではないか と思うのです。  また、報告の内容の所にかかわるかもしれませんが、もしできれば、もう少し何か背 景と、その事象というか、何かを書いていただけると、ヒントがたくさん出てくるので はないかと思いました。 ○原田委員  いまの精査の前号の比較の件で、ちょっと質問なのですが、医薬品関連のほうで、報 告された事例にはない部分のカテゴリーとして、「ヒューマンエラー」というのが入っ てきているのですが、これはどういう定義でなされたのか、ちょっとわからなかったの で、ご説明いただけますでしょうか。 ○土屋委員  前回の資料の中で、一応フローチャートに従って、それで実は「ヒューマンエラー」 もそうですが、「勘違い」というのも、もともと「ヒヤリ・ハット事例」で、「ヒュー マンエラー」とか「勘違い」という分類は何ごとだと、こういうお叱りを受けそうなの ですけれども、現実問題として、実はこの棚のものを取るつもりが、上の棚のものを 取ってしまうとか、こういうものがたくさんあるのです。それで、このヒューマンエラ ーと勘違いの所は、それでも一生懸命名前に要因があるのではないか、容器に要因があ るのではないかというふうに、一生懸命元へ戻して分類していっても、やはりモノに原 因があるというよりは、ほかのものだとしか言いようがない、例えば「勘違い」という ところだと思います。  ただ、最初の段階から、もう名前も容器も、要するにそういうモノに起因するもので はないというものは、「ヒューマンエラー」としか言いようがない。  あと、ここで「判定不能」というのがありますが、それは薬の名前が全然書いてない ものですから、医薬品とこられても、ちょっとどうしようもないというようなことで、 もともとこういう項目を設けることについては、我々としてもいろいろあったのです。 ただ、何としてもそうとしか言いようがない部分という間違いが結構あるというのが現 状ということです。 ○原田委員  わかりました。そういうカテゴリーは当然あるだろうと思いますが、ちょっと「ヒュ ーマンエラー」というカテゴリー名が適切かどうか。例えば、「行動上のスリップ」と か、そういう違う名前のほうが、データを見られる方に誤解を与えないと思います。 ○金子委員  医療機器のところでは、おそらく人工呼吸器がいちばん多いのですが、この報告され たものが、私が想像するには、国立療養所の関係も非常にたくさん含まれていると思い ます。  私は筋ジスの研究班の班長をしているものですから、ちょっと実態を言いますと、い ま筋ジス病棟では、大体2,100人入院されていて、そのうちの1,000人が人工呼吸器を 使っています。1,000人人工呼吸器を使っていると、夜間などモニターを使ったりして、 ある点で非常に看護師ができるだけ問題がないようにしているのですが、非常に忙し い、特に夜間は厳しいリスクの職場になっています。  もう一つは、この前、院長協議会でも、いろんな院長から言われたのですが、人工呼 吸器の耐用年数を過ぎた場合は使わないようにということで、この前更新もしたのです が、必ずしも病院の事情からすると、耐用年数の問題、あるいは点検時間が決められて いますが、やはり点検時間を過ぎて、その点検時間ごとに点検されているかというと、 いろんな状況の中で、それもなかなか実際の現場では困難な面もあります。  それから、臨床工学士が配属されている機関というのは非常に少ないわけで、実際は 看護師が点検しているのが現状です。  ですから、やはり人工呼吸器は命に直結する場合が多いわけで、我々としても非常に 気を使ったり、あるいはいろんな研修会、講習会を設けているのですが、現状として は、日本の筋ジスもそうなのですが、最近、神経難病などでも、エーリアスの人工呼吸 器をだいぶ付ける時代になってきています。ですから現場では私たちも、リスキーな環 境は非常に危ないなと思いながら使っているのが現状で、頭を抱えている状況です。 ○山路委員  基本的な話に戻るようで恐縮なのですが、資料1−2の12頁の「発生要因」、4頁の 「クロス集計」の所の、「当事者職種発生要因」というところで見ると、看護師では勤 務状況、薬剤師では心理的条件によるものが多かったということで書かれているのです が、これが、心理的条件とか、勤務状況というのは、具体的に、いわば書く人の恣意的 な判断によって、これがそうだというふうに言われかねないところがあって、それは具 体的にどの程度「ヒヤリ・ハット」に結び付いているのかというところを、むしろ知り たいというか、それを具体的に書いたほうがわかりやすいわけです。  これはなかなか難しいのでしょうけれども、それを具体的に、例えばこの範囲が心理 的条件で、この範囲が勤務条件なんだと説明して、発生要因という形での集計をしてい るのかどうか。その因果関係が、どの程度明らかになるのか、非常にわかりにくい話な のですが。 ○武藤委員  ご指摘のとおり、このインシデント報告の報告基準というか、これはあくまでも報告 者の認知レベルというか、主観的な判断に任されているというところなのです。  ですから、客観的な、実際に物理的な、例えば勤務状況とか、そうしたものとの関連 性を掘り起こすには、1つ1つの個別事例にわたっていかないといけない。  ただ、ここのコード化情報からでは、そこまでは下りていないということです。です から、あくまでも報告者の認識、あるいは主観レベルに依存しているということでその 辺は限界があります。 ○作業部会長  限界があるという答えしかないのですが、ただ、こういう状況のときにこういうふう に書いてくれという丁寧なデータへの落とし方のところをきちっとしておくと、時間が 経つと、少し収斂してくる可能性はありますね。  2番目の議事に入ります。このネットワーク整備事業は、昨年10月に事業が開始され ました。これまで1年間にわたって、ご存じのように、特定機能病院、国立病院、療養 所から、ヒヤリ・ハット事例を収集、分析してきました。検討部会の第1回の議論で は、全体を見通して、1度議論をしたほうがよろしいというご指示がありました。それ で今回、各情報の検討班とも相談して、収集開始からこれまでの収集分析結果の概要を まとめていただいております。 ○武藤委員  資料2−1をご覧ください。報告期間は、実際にこの事業が始まったのが去年10月か らですので、実際の報告例は平成13年8月1日から今年6月30日までの11カ月間を対象 としております。  4番の所を見ていただくと、全般コード化情報に関して2万2,734件。重要事例情報 に関して2,464件、医薬品等に関して768件、もう2万件を突破したということです。  まず、全般コード化情報に関して、資料2−2を見てください。全体を通して176施 設で、先ほど申し上げた2万2,000件が集まっております。  2頁目、4番の分析結果です。ヒヤリ・ハット事例の発生状況、報告件数ですが、 2001年10月の開始以来、報告件数は徐々に増加していて、現在では月3,000件です。  発生要因に関しては、全体としては休日に比較して平日にインシデントの報告例が多 かったです。  発生時間帯に関しては、日勤帯、8時から12時の件数が多くありました。ただちょっ と、パターンが内容によって少し変わっております。そのパターンを図のほうで見てい ただくと、13頁です。発生時間帯の各項目について見てみます。例えば53頁の上のほう でいうと、「処方・与薬」に関しては、6時から20時の間と若干二峰性みたいな形にな ります。  「輸血」に関してはその下の段で、これもやはり日勤帯で二峰性のようなパターンで しょうか。  次の14頁も、上段は「医療機械」ですが、これもやはり二峰性パターンです。少し ピークがズレています。ところが、下のドレーン・チューブになると、こうした発生時 間帯のパターンが見られております。わりとなだらかに、平均して発生しているという ことでしょうか。  次の15頁、「療養上の世話」、これは転倒・転落で、これも日勤帯が多いのですが、 少しパターンが変わっているように思います。また元の2頁に戻っていただきますと、 いくつかこの内容(「療養上の世話」)によって、パターンの違いがあります。これは おそらく、患者さんと医療従事者のインターフェイスの問題で起こるものと、患者さん と環境のインターフェイスで起こるものがある。そうしたパターンによる違いではない かと思います。  ただ、こうしたパターンの違いを認識して、それでリスクのアセスメントを、それぞ れのパターンに応じてとっていく必要性があるのではないかと考えました。  2頁に戻って、「発生場所」に関しては、病室が圧倒的に多いことは変わりません。 ただ、先ほども第4回の報告でもいいましたが、病床数が少ないのに比較して、NIC Uの事例数が多かったです。15頁のNICUの発生場面で見ると、やはり処方・与薬、 ドレーン・チューブ、こうした発生が見られています。  3頁に戻って、当事者の職種に関しては、看護師が大多数を占めています。そこにい くつかの事由が書いてあります。  当事者の勤務年数及び部署配置年数についてみると、当事者の経験年数が、やはり2 年未満が多いです。やはり新人に対する教育介入が必要ではないかということです。  全体を通じてみると、経験年数、配属年数に従って、報告件数が減衰していくという カーブになります。大抵1年目からほかの、例えば「処方・与薬」ですと減衰していく のですが、医療機械に関してはあまり減衰が見られなくて、比較的、2年目の人も、や はりインシデント報告が多い。ですから、やはり医療機械に関しては、標準化とか、何 かそうした教育的な介入が、ベテランの方にも必要ではないかというふうに考えられま した。  患者の年齢については、これも先ほどのパターンと同じですが、8頁を見ていただく と、同じような患者さんの年齢は、10歳未満と50歳から80歳、60歳から70歳台にピーク をもつ、こういう二層性のパターンでした。  発生場面の内容に関しては、また3頁に戻りますが、「処方・与薬」「ドレーン・ チューブ」、「療養上の世話」の順位で、固定した順位でした。「処方や与薬」に関し ては、「無投薬」とか「処方上の誤り」の報告が多かったです。  「医療機器の管理」では、人工呼吸器及び輸液・輸血ポンプに関する事例が多かった です。  ドレーン・チューブでは「自己抜去」。それからNICUについては先ほど言いまし たように、「処方・与薬」「ドレーン・チューブ」でした。  次の発生要因に関しては、同様に「確認」「観察」が多かったですが、勤務状況、業 務量対人員バランスも、今後発生要因として検討する必要があります。  次は4頁になります。これも、医師・看護師とも「確認」「観察」を挙げていること が多かったです。影響度でも、先ほどの4回の報告と同じような要件でした。  考察としてまとめてみると、やはり発生パターンでは、全体として見ると、業務が集 中すると考えられる時間帯に発生している事例が多いですが、内容によっては、変動の 少ない事例、時間パターンによる変動の少ない事例とか、そうしたことがあるというこ とがわかりました。ですから、それぞれのリスクアセスメントを、それぞれの対応で行 うことが必要であるというふうに考えられます。  病室において発生する事例が圧倒的に多いのですが、これは、病室がさまざまな医療 行為の、行為数も多いですが、病室で起こったことが、最終的に病室で発見されるとい うケースが多いことにも起因するのではないでしょうか。  あと、0歳から10歳の患者に対する事例が比較的多く、1,686件です。さらにNIC Uにおいて発生した事例が約2割、319件を示していることがわかりました。やはり小 児であるということでハイリスクであることが、今回のこのデータからもわかります。  それから医療機器に関しては、職種経験を積んでいても、部署配属が短い場合はイン シデントが発生していますが、2年目以降も、やはり継続的な教育が必要であるという ことです。  人工呼吸器に関しては「組立て間違い」「点検管理ミス」が多いことから、やはり臨 床工学技士の積極的な活用が考えられるべきでしょう。  それからドレーン・チューブの使用管理では、「自己抜去」が圧倒的に多かったので すが、患者に重大な結果をもたらす可能性がある。特に気管挿管してある気管チューブ とか、あるいは動脈に挿入してある動脈ライン等については、この事例もかなり報告さ れているものですから、こうしたチューブ、ドレーン類については、仕様適用をもう一 度見直して、適正な管理あるいは適正な仕様を行うことが必要だと考えました。  それから、「投与量間違い」などについては、1回ごとの処方をまとめて処方するユ ニットドースの導入を進めるべきではないでしょうか。「患者取り違いのインシデント 」などが相変わらず報告されております。これも、患者同定についてのシステムの対応 が必要であると考えました。 ○増子委員  重要事例情報収集全事例の分析について報告いたします。資料2−3の4頁から、第 1回の重要事例の分析結果を入れてあります。15頁からは、第2回の重要事例報告の分 析結果を入れてあります。27頁からは、第3回の重要事例報告の分析結果を入れてあり ます。第4回に関しては、先ほどの報告の後ろのほうに入れてありますのでご覧くださ い。  第1回から第4回までの「全体の概要」です。登録施設は変化ないのですけれども、 先ほどご指摘いただきましたように、報告施設数が第2回には非常に多かったのですけ れども、第4回には88施設ということで、どうして減ってしまったのかということが、 私どももまだ分析できておりません。これは、いくつかの国立の施設によって報告され ておりますので、今後一般の病院等に拡大していく必要もあるのではないかと考えてお ります。報告数は、表のとおり非常に多くなっています。  「改善の内容」に関しては有効な事例が増えてきていますので、私どももたくさんの 報告事例の中から拾いやすくなったということが言えます。「手技と処置別」に区分し たのは第2回から分類しています。表には多い順に挙げておりますが、第2回、第3 回、第4回、そしてここで点滴・注射に関すること、チューブ・カテーテル類、内服・ 外用に関すること、転倒・転落。ですから、与薬、チューブ類、転倒・転落が三大事項 となっております。その三大事例に関して6割を占めているという結果が出ています。 そのほか調剤に関する事例や、処方に関する事例がそこに挙がっています。  三大事例に関して手書きの指示の誤読や、伝達不十分、記載の誤りというような医療 従事者の連絡伝達ミスに関する事例が大変増えてきていると感じております。全体のイ ンシデント事例の発生要因に関して思い込みや、忙しかった、確認不足ということが出 されていますが、そういうところでマニュアルの遵守徹底ということが挙げられます が、どんなマニュアルを整備し、それをどういうふうに運用していくのかということが 問題になってくるかと感じております。  「与薬に関する事例」に関しては、自己管理下での服用忘れが依然多く報告されてお ります。それから、口頭指示や伝票の未確認というようなことも間違いの原因について 挙げられておりますので、こういったものに関してはルール化ができるのではないかと 考えております。  薬剤の取り違いや三方活栓の操作、あるいは輸液ポンプ等の操作など、注射・点滴に 関する事例は、医療従事者がモノを取り扱う際のヒューマンエラーということで出てお りますけれども、医療従事者がモノを扱うというようなことから、その仕様や操作性を 検討していく必要があるのではないかと考えております。  それから、「チューブ・カテーテル類、転倒・転落」に関しては自己抜去、あるいは 本人自身が自発的な行動によって起こるということがあります。これらの原因として は、患者の精神的な状態や患者の状態が要因として挙げられております。この3に関し ては、どちらかというと患者自身の状態の問題、与薬に関するものについては、どちら かというと医療を提供する側にいろいろ問題があるというふうに、2と3の違いが見え てきていると思います。ただ、患者の要因に関して3については、例えば夜間の勤務者 が非常に少なくなるという状態を考えると、一体この辺のことをどうしていけばいいの かということが私ども分析班の課題になっています。  4番目の「コミュニケーションに起因するもの」としては、口頭指示による問題、発 信の仕方の問題、受け手の解釈の違いなどによる事例が多く見られています。こういっ たことに関しても、指示系統をきちっとルール化するなど、検討していく必要があるだ ろうと考えています。  「その他の報告事例」としては、第4回のところでも報告いたしましたが、実践能力 が不十分な人たちの事例が挙げられております。新しい動きとして、パソコンへの入力 自体の問題。そういうものに関して、誤ったものを入力した場合にははねられる、とい うようなチェック機能の検討や、確認方法の情報技術的に検討する必要があるのではな いかと考えております。  「未実施」のことに関しては、チーム医療の中でチェック体制をどういうふうにして いくのかということの検討が必要だと思っています。チーム医療の中で、チェック体制 がうまくいって防げたというようなものもありますので、どういうふうにしてそれが有 効に機能したのかというようなことも、十分検討していって参考にできるかと思いま す。  全体的なまとめとしては、再三お話をしていますけれども、三大事例の件、それから 前回以上に提出する側も、報告する側もかなり情報が増えてきておりますし、私どもの コメントに関しても、かなりシステムの変更を視野に入れたものの提供が少しずつ多く できるようになってきているのではないかと思います。  それから、モノとの関係において人側の問題、それからモノ側の問題、人とモノのイ ンターフェースの要因が複雑に絡み合って起きているものに関して、今後モノと合わせ て私どもも検討していく必要性、あるいはその意義を感じております。この予防に関し ては医療者全体で、あるいは組織全体で取り組んでいくことが今後も大切であろうと思 います。以上です。 ○事務局  「医薬品・医療用具・諸物品等情報に関する全事例の分析」についてご報告いたしま す。資料2−4ですが、「医薬品関連情報・医療用具関連情報・諸物品等関連情報」に ついて、第1回から第4回までの収集事例数を表にまとめました。全事例として、「医 薬品関連情報」として602事例、「医療用具」として130事例、「諸物品等情報」として 31例。分析対象となった全事例数として763件の事例が報告されています。  資料2−4の1頁に医薬品と医療用具関連の医療機関側のほうで判断された、各事例 の集計結果を載せてあります。2頁に同様なものの諸物品の関連情報についてまとめて あります。3頁目は、検討班において検討された要因による各要因による件数をまとめ ました。「医薬品」については全事例年間を通して、先ほど言葉のご指摘がありました が「ヒューマンエラー」とされているものがいちばん多く報告されています。その次に 「規格違い」が多く報告されています。医薬品については規格、ミリグラムの複数の医 薬品が存在するわけですが、これらの取り違い等の事例が多く報告されています。  「医療用具」に関しては、第4回の集計と同様に、「管理が不十分」だというものが いちばん多く報告されています。先ほど石川委員から指摘がありましたが、特に医療用 具に関しては、事例の報告の中で詳細な記述がされていないものもありまして、事例そ のものがどんなことが起きているのかということを判断するにも苦労するような事例も 数多く報告されています。また、それらの事例の要因分析、あるいは対策等を考える上 で、より多くの情報が必要になっていると考えております。  「医薬品」については、医薬品情報と報告されている中でも、販売名そのものが全然 記載されていないような事例もありますので、今後、検討班あるいはこの部会で要因分 析あるいは対策等を考える上で、販売名、業者名あるいは事例の詳細な内容、考えられ る要因等より詳細な情報を記載していただくよう、医療関係者にお願いしていくように 努めたいと考えております。以上です。 ○原田委員  私が今回配付させていただきました資料は、極めて実験的なものですので、これが何 かの実例を表しているものではない、ということをまずお含みいただきたいと思いま す。  いままでの結果を見ておりまして全体像をつかむために、コード化情報に関して何が わかったのかがよくわからないのです。こういうふうにデータを集めることによって何 のメリットがあるのか、あるいは現場の方がどう使えるのかというのがわかりにくいと 思いました。実際に何かが見えてくるようにするにはどうしたらいいのか、どういうふ うにコード化情報をまとめていけばいいのだろうか、ということを少し考える機会を与 えていただいて、考える試案をしてみましたというだけですので、最終結論ではないで す。  報告を読んでいて、「ああ、なるほど」とか、「ああ、こんなことがあるのか」とい う意味が伝わってくるのは、インシデントの内容別のものだと思うのです。つまり、全 体として月曜日から金曜日までが多いと言われても、何がそこから言えるのかがわから ないのです。例えば、与薬のときにはどうなのだ、手術室ではどうなのだというよう な、少なくともそのぐらいの分け方はしないと、何が出てくるのかがわからないのでは ないかというのが1点です。  現在までご報告いただいているのは、コード化で集めたものが全部平に並んでいるの ですが、むしろどんなインシデントがあったのかということと、その背景情報との関係 として、分類をしていったほうがいいのではないかと思いました。  500例ほど事例をいただいて、とにかく内容別にしなければわからないのではないか という思いでザクッと書きましたのが本日配付させていただいた資料です。  内容という大カテゴリーと曜日とで掛け合わせてみると、例えば「オーダー指示出 し」というのは水曜・木曜が多い。それに対して2の「診察・手術」というのは火・水 ・木曜日がかなり多くなっている。「処方・与薬」は月曜から土曜まで平に出ている。 「ドレーン・チューブ」も同じくです。先ほど、ドレーン・チューブは時間帯によらな いということでしたが、同じように曜日に関しても平にズラリと出ているように思われ ます。  「検査」は面白いことに月曜日と木・金曜日が多いです。この辺がよくわからないの ですが、500例しかないところでの結果ですから、これがどうだということは言えない かもしれませんが、例えば「オーダー指示出し」で水・木曜日が多いというのは非常に 意外でした。私がこれまで見せていただいた病棟等で、大体3、4日ごとに処方を出さ れる病院が多いようです。月曜日に医師が出して、次は金曜日になったときに、その間 で途中での中止などが出ているのではないかといようなことが、こういうカテゴリーを してみると、ちょっと曜日の偏りが見えてきて、もうちょっと違う見方ができるのでは ないか。  「曜日の種類」に関しては、ほとんどが平日に起きているように見えるのですが、処 方与薬に関しては祝祭日などの休みの日が20%出ています。医療機器がちょっと意外だ ったのですけれども23%出ています。これは、先ほどお話がありました人工呼吸器など ではないかと思います。祝祭日にも出得るヒヤリ・ハットと、平日に実際に何か医療行 為が行われるその現場で起きるもの、というのがだいぶ違うというところが見えるかと 思います。  「時間帯」に関しては、武藤先生から非常に興味深いご報告がありましたので割愛さ せていただきますが、4頁には「実施の有無」と同じく、そのカテゴリーです。「今回 実施してしまったけれども影響は少かった」という200と、「実施しなかったけれども 影響が大きかったかも」という4つの分類になっています。とにかく「実施してしまっ たかどうか」という目で見ると、たまたまこの500例の中では13番の「輸血」は4事例 とも実施してしまった後にわかっています。同じく「給食・栄養関係」も4事例ですか らなんとも言い難いところがありますけれども、実施してしまった後でないと発見でき ていないものと、実施する前に発見できているものを分析しておく手立てがあるのでは ないかと思っています。  これをやっていて気になったのは、このヒヤリ・ハットで出てきているのは、実施し てしまったけれども被害が及ばなかったものです。それが、被害が及んでしまうと事故 になるわけです。その事故のときとのデータとも突き合わせていかないと、本当のとこ ろはわからないかなというところが気になりました。その2種類のデータソースを少し 合わせていく必要が、この影響度に関してはあるかと思っています。  「発見者」についても武藤先生のお話がありましたが、「手術」「治療」「輸血」 「検査」に関しましては、当事者での発見はなかなか難しい。無視というよりも、その 場で一緒に仕事をしている人のほうが見つけやすいのだ、という傾向が見えるかと思い ます。  ヒヤリ・ハット事例というのは先ほど医薬品のところで話がありましたように、どう やったって人間はエラーをします。それを、どうやって発見していくかということにつ いて考える際に、発見のプロセスについても、もう少し情報があると、今後の対策につ いて考える手立てがあるのではないかということを考えました。以上が、その500事例 を私が簡単にやってみての感想です。  提案したいことは、今後まとめていくときに、いま現在のように全部とりあえず平に 並べますというようなものも、統計データとしては必要だと思いますけれども、まずは 大きくカテゴリーを分けるというのが必要なのではないか。現状でコード化のほうでは 「内容」と言っていて、重要事例のほうでは「手技」というふうに分けていて、似てい るようで微妙に違うのです。  実際の場面もそれに関連していて、私にはどれがいちばん良い分け方なのかはよくわ かりませんので、どういうふうに分ければ現場の方にとって、「あっ、これは私に関係 のあるヒヤリ・ハットだ」というふうに判断できるのか、というカテゴリーの仕方をど こかで決めていただいて、それをまず第1に分ける。その事例に関して、曜日とか当事 者は誰というようなことを考えていくということが必要ではないかと思っています。  そうやって出てきたデータをどうやって使うかということです。1つは、ある意味で コンスタントにエラーあるいはヒヤリ・ハットというものは出るものなのだ、という仮 定を置いて、語弊がないようにできるだけ気を使って言いたいのですが、それで平均的 にこのぐらいは出るのだという枠のようなものがまず出ると、それを例えば自分の病院 と比べるとどうなのか、あるいは私自身非常に気になっているのは、情報システムを入 れたら、どこが増えたのかという基準枠みたいなものを出していくのが、この事例を集 めるいちばん重要な役割かと思っています。その基準枠として何が必要か、という視点 でコード化の分析の仕方を考えていくことが必要というのが1点です。  もう1点、それとはちょっと違うのが先回も言ったかもしれませんが、医薬品と医療 機器に関しては、全体として平均でこれぐらい出るよではなくて、全国で集めてみた ら、同じような事例がこれとこれとこれが出ているというようなことが重要なのだか ら、この2つはデータを集めるのはできるだけ同じ形で集めて、違う形で見ていくとい う違うアプローチが必要と思っています。  もう1点は、実際にどうやって対策に結び付けていくかということを考えると、発見 の状況の情報が少ないという点と、もう1つはこれを一体誰が報告しているのか、とい うのがよくわからないのです。要因に関して確認とか、勤務状況とかありましたけれど も、当事者が報告をしているのか、当事者から報告を受けた人が取りまとめて報告をし ているのか、取りまとめる前はどうやって集めているのかということがわからないと、 とりわけこの要因に関してはかなり心して読まなければいけないデータだと思います。 どういうふうに集めるのか、あるいはどういうふうに集めるのが望ましいのかという報 告の集め方みたいなところも含めて、少し全体像を見ていくことが必要と思っていま す。 ○作業部会長  こういうデータの分析をどういうふうに形として表していくかということのとても大 事な問題だろうと思います。いくつか重要なご提言をいただいたと認識しております。 ○佐野委員  いま、原田委員から非常に詳細な意見が出されました。その中の一部では私も同じよ うなことを申し上げたかったのです。資料2−4もそうなのですけれども、第1回、第 2回、第3回、第4回とインシデントの要因についての経過が書かれています。このイ ンシデントの要因そのものは項目を羅列しただけで、ある項目がだんだん多くなった、 少なくなったということ自体の意味はそう大きくはないのではないか。  むしろ、そのインシデントの要因の中に含まれている危険度の重さ、軽さ、それをな んとかして表現しないと、これからのデータとしてはなかなかつかみにくいのではない か。配置が悪かった、管理が悪かったとしても、そこのところの悪かったことが、実際 にもしやってしまったらどの程度の危険があったのか、という背景が見える分析の仕方 がないのか、という思いがいたします。  これは、医薬品だとか医療用具だけではなくて、例えば与薬、チューブ、あるいは転 落・転倒というようなことについても、重みづけという視点が必要なのではないかとい う思いがいたしました。 ○川村委員  多数の事例を集めるというのは、当然自由記載の事例では処理に限界があるわけです ので、コード化情報というのは、数ということで意味があると思います。ただ、数の集 計の仕方にしても、項目の設定にしても、論理性が乏しいように思います。自主報告で すから病院の手術数でも10カ月で3分の2の施設しか参加していないわけです。個々の 施設でも一部の人から出され、こちらに一部を上げてこられた事例ですから、自主報告 のデータを定量的に分析して、それで何か物を言うというのは非常に危険と私はいつも 感じています。  あえてその定量的データを何かに役立てようとすれば、それはどういう領域の誤り が、「どこで」「どういう状況で」「なぜ」と、もし発見されたのならその発見の理由 が分かる形にしてほしいので、しかし、その「なぜ」のところは、抽象的な言葉になっ てしまうとほとんど役に立たなくて、管理の問題とか、あるいは心理的条件とかいろい ろ書かれているその最後の枝のところには、何か小さなコメントなりがないと、この データは労多くして報われないのではないかという感じがいたします。  ただ良いのは、例えば医療機器だけでも700事例ぐらい集まっています。通常は700事 例集めるというのはとても至難の業です。与薬はどんな形で集めても1,000や2,000は簡 単に集まりますので、問題の多くは明確になっています。各施設では全体像が把握でき ないような問題、事例発生数が少ないような医療機器に関しての問題に対しては、報告 者が思考していくときにもう少し役立てるような枝項目、例えばこういう誤りがあった らそれが「どこで」「どのように」ということがわかるような報告形式が必要と思いま す。  例えばチューブ類の管理でいいますと、大体カテゴリーは5つか6つなのです。「は ずれ」「閉塞」「詰まり」「抜去」「切断」「漏れ」辺りです。その5つ6つのエラー がどういう状況で起きて、それはどのように条件であったのかということです。例えば 抜去であったら抑制がされていた人なのか、あるいはその意識障害があった人なのか、 セデーションしている人なのか。改善に結び付けていく一つの思考の流れで、質問を設 定しなければ、後でデータを分析すれば何かわかるのではないかみたいな形では、やは りもう限界ではないかという感じがします。  記述情報に関しても、書かれる方の識見が影響します。簡単に言うと分析能力を持っ ている方が書かれているかどうかで、情報が偏ります。両者に言えることは、重要な情 報がまだまだ足らないということです。背景の要因を気づかせるように、誘導するよう な、設定をしていかないと、これ以上の詳細なデータの収集は難しいのではないかと思 います。 ○武藤委員  川村先生の発言は非常に参考になります。我々も川村先生と同じような考え方で、例 えば資料2−2の18頁とか19頁を見ますと、ご指摘のように医療機器に関してこれだけ のデータが集まったというのは、確かに今回初めてではないかと思うのです。その要因 を医療機器の種別と内容をこのように分析すると、かなり特徴的なパターンが出てきま すので介入優先順位がわかるでしょう。さらに川村先生がおっしゃるように、この次の 背景要因に下りていくことができるのではないかと思います。  19頁は「チューブ・ドレーン」ですけれども、やはりドレーン・チューブの種別とお 話になったような内容もこういうパターンが出てきますので、やはり重点的な介入分野 もここでもって明らかになっているということだと思います。ですから、次の分析と、 それから対応策の検討といった水先案内をしてくれるのがインシデント報告システムの 役割ではないかと思います。 ○石川委員  前回のときに私が発言して、そのときの結果に近いところで原田先生がおまとめくだ さったのだと思うのです。私がいちばん気になっていたのは、4頁の「インシデントの 内容とその有無」というところで、「起てしまった」と「起きる前」とでどのぐらいと いう、その危険度と要因との関係というのをいちばん知りたかったというか、いちばん 大事かと思っていました。  いまおっしゃったように、18頁、19頁にあるように、例えば医療機器の場合でしたら これだけの情報が集まってきて、原因の「何が」というのが、危険度とどれだけ関係が あったのかというところに因果関係が出てくるともう見えてきますので、今度は施策的 にそれをするのか、それともメーカーが何かをしなければいけないのか、教育にするの か、管理をどうするのかという具体的な方法に入っていけるのです。  これで、「止める」「止めない」という話は別にしても、原田先生の分析のような手 法を使って、もうちょっと洗い出しをすると、ものすごく有効なものが出てくると思う ので、原田先生の分析方法は是非どこかで続けていただきたいと思います。 ○作業部会長  分析の中に論理性がもう少しあってもいいのではないか。その論理性の根拠というの は、要するに改善の具体的な項目が出てくるような、そういう観点から見ていったらい いのではないかということです。検討班もそういう視点は十分持って検討はしているの ですが、さらに良い分析をするということだと思います。  もう1つ気になるのは、この事業を1年間やってきて、病院全体として良くなったの かどうかという、その事業に対する評価という視点がここであってもいいかなと思いま す。増子委員から、その重要事例の情報の書き方、つまり個々の病院が報告を上げてい くという、その報告の上げ方が良くなってきた、という紹介がありました。それはとて も評価できることなのかなと思います。そういう意味では、事業の評価ということもこ の検討会ではやっておかなければいけないことだろうと思います。  インシデントレポートは、やっているだけの意味があると思っているほうなのですけ れども、やっていくと、個々の病院で情報を出しているだけではなくて、個々の病院そ れぞれで考えているし、個々の職場の人たちはそれぞれ考えている、ということを我々 は忘れがちなのかなという気がいたします。例えば、先ほどの「未実施」とか「影響 度」というもののパターンがどう変わってきているかということも観測していくことが 大事かと思います。さらに続きますので、いろいろご指導を賜りたいと思います。  次に最後の議事であります「ネットワーク整備事業の今後の運営に関する検討課題」 に移ります。まず資料の説明をお願いいたします。 ○事務局  今後の検討課題については資料3−1、資料3−2、資料3−3にまとめてありま す。資料3−1は、第1回の会議で配付した資料になります。1番にありますように、 本年4月に取りまとめられた「医療安全推進総合対策」の中で、医療安全対策ネットワ ーク整備事業に関しても何点かの指摘を受けました。具体的には、真ん中のところから 書いてあります「今後の検討課題」ということで、大きくは4点の指摘を受けておりま す。  (1)「定点報告体制への移行について」、(2)「事例収集フォーマットの変更に ついて」、(3)「対象医療機関の拡大について」、(4)「その他効率的に情報収集 するための運用について」ということで指摘をされています。前回この資料を基に、こ の作業部会でもご検討いただきました。そのときに委員の先生方からいただきましたご 意見をまとめ、「方針の案」を1枚にまとめました。それが資料3−2になります。そ の「方針の案」を図式化したものが資料3−2の2枚目に付いている図になりますの で、これについてご説明いたします。  前回、この4点についてご検討いただいたのですが、1点目の「全般コード化情報の 定点報告方式への移行」ということでは、大きくは2つのご意見をいただいたと思いま す。1つ目は上段に書いてありますように、定点化は段階的に進めてはどうかというご 意見です。2つ目は、病床規模であるとか、設置主体、情報システムの有無などの情報 も必要ではないか、あるいは現行のデータをさらに分析して、必要なデータがあれば収 集するデータを見直すべきではないか。このように、大きく2つのご意見をいただいた ところです。  方針として現在考えておりますのは、定点の医療機関については、現在参加していた だいている医療機関には引き続き定点としての参加を要請していきたいと考えておりま す。さらに協力医療機関を追加していくという形で、段階的に進めていきたいと考えて おります。  2つ目の「データ」の件に関しては、先ほど原田委員からもご発表いただいたのです が、現在のデータを解析中であります。その結果を踏まえ、必要な項目があればデータ の項目を見直していきたいと考えております。  2点目は「記述情報」になりますが、記述情報の重要事例情報、医薬品・医療用具・ 諸物品情報という2つの記述情報を現在集めているところです。それに対して指摘を受 けている事項としては、「記述フォーマットの統一及び変更」ということがあります。 現在の記述フォーマットに関しては、参考資料の14頁から16頁に付けてあります。現 在、そのように重要事例情報と医薬品・医療用具・諸物品等情報というのを2つに フォーマットを分けて収集しているのですが、前回のご意見としては、統一すべきでは ないかというご意見と、コード化情報のほうとも情報を連動させるのがよいのではない かというご意見をいただきました。  方針の案としては、統一したフォーマットを作成し、さらに追加すべき項目があれば それを追加したいと考えております。このフォーマットの具体的な案というのが資料3 −3になります。  記述情報の2点目で、「対象医療機関の拡大」というのがあります。これについての 前回のご意見としては、幅広く情報を収集すべきではないか。また、関係団体等で実施 しているヒヤリ・ハットなどの収集事業とも連携すべきではないか、というご意見をい ただきました。  方針としては、記述情報については、対象医療機関を拡大していく、という方針で考 えております。また、関係団体との連携ということでは、情報の収集であるとか、ある いは分析した結果の提供方法などについて、関係する団体等とも調整・協力ということ を図っていきたいと考えております。  記述情報の3点目は「テーマを設定しての事例収集」ということで前回ご議論いただ きました。ご意見としては、社会的に問題になっているような事例については、集中的 に収集してはどうかというご意見をいただきました。方針としては、テーマを設定して 優先度の高いと思われるようなものから順次実施していく、ということを検討したいと 考えております。以上です。 ○作業部会長  「定点」ということで、これまで参加していただいている所には、現時点では全定点 化という形になります。さらに、協力医療機関を追加するということで、これは手挙げ 方式になるだろうと思います。この辺はいかがですか。 ○三宅委員  情報収集の新しい案ですが、「全医療機関から提供」ということになっているわけで すけれども、実際医療用具ということを考えると、医療機関だけではないといいましょ うか、介護施設とか診療所などもあるかもしれませんので、ほかの医療関係の施設から の情報もある程度受ける必要があるのではないかということが1点です。  インシデントについては、定量的に集めるということで、本日のお話の中にもある程 度こういうふうな改善をしたらいいのではないかというご提案も書かれているわけです けれども、その中に教育、ヒューマンファクター、心理的な問題とか、はっきり言えば 曖昧な分析では次の改善にはつながっていかないわけです。その中でシステムとしてど ういうふうな点は、どういうふうな解決の方法があるのかということを抜き出してくる ということは大事ではないかと思います。  教育は、どういう点が教育されるべきなのか、そこをきちんと分けていかないと、た だ集めて、新人教育が必要だということを言っても、あまり具体的な解決につながらな いと思います。新しい人が仕事をしても、システムが整備されれば防げる事故はこうい うところであると、そこをきちんと分けていくことが大事ではないかと思います。 ○石川委員  成功事例を集める、ということが大事かな、ということを思いました。 ○原田委員  教育に関連してですけれども、先ほど申し上げましたように、平均的にこういう形で こういうふうに起こるんだということを集めておいて、それを教育の現場に持っていっ て、これだけ起こるのだということを示す、ということがまず大事ではないかと思いま す。  最近、看護事故防止関連のことですと、原発とか航空機事故等の類比の話がよく出て いたのですが、どうも違うなと思っていました。もっと似ているのは交通安全、交通事 故ではないかと思っております。交通事故を減らすための方法として2つあって、安全 教育というのは必要で、雨の日の夕暮れ時は事故が多いのだ、ということを徹底的に言 われていれば、それを気をつけるということを当事者がわかる。何がどう危ないのか、 ということをきちんと周知徹底するという意味での教育がまず必要だろうと思います。  その上で、こういう信号機は危ないとか、こういう車は危ないとか、それとパラレル にということもあると思います。実情をきちんと把握するというのはそれなりの意味が あると思いますけれども、だから気をつけましょうではなくて、なぜそうなるのかとい うことまでも少しずつ踏み込みながらも、教育の現場にそのデータを持っていくという ことは必要ではないかと思うのですがいかがでしょうか。 ○作業部会長  いまの、雨が降って、夕暮れ時には危ないよというのは、かなり客観的で、あまりぶ れのない情報だと思うのです。そういう情報がこの分析の中から、つまり普遍的な情報 が抽出し得るかどうかということにかかわってくると思うのです。その辺はいまのデー タの見え方からいってどうでしょうか。 ○原田委員  全データでやってみないとわからないかもしれませんけれども、先ほどのチューブ・ ドレ−ン系のものがずっと出やすいのだと。その結果としてインシデントとして大きな 問題になりがちなのが休祭日とか深夜です。時間帯の分析を見ますと、深夜の割合が高 かったりしています。そういうことですので、あまり細かくやっていってしまうと、 「それって本当」ということになると思うのですけれども、1万事例集まってきて、適 当な大きさで切っていくと、それなりの安定した事象というのは見えるのではないかと 思っております。それは、ちゃんと分析をしてみないとわかりません。 ○作業部会長  それは、川村委員のデータが出たから相当かなりのことが言われていますよね。随分 勉強していると思います。 ○川村委員  人が安全行動をとろうとするときには、業務に流れのある仕事の場合、業務の流れで 自分が位置付けられたところにどういう誤りがあるのかということを、業務遂行上知っ ておく必要があります。医師の診療の補助行為などは多くはそちらになると思います。  ただ、医療現場にはそういった業務上ではない、例えば転倒・転落など別に業務の流 れとは関係ないものもありますから、一概に同じ形でのフィードバックがよいわけでは ありません。貰った人にとってより有効な情報になって、自分の安全行動により結び付 けられるか形にするためには、かなり勉強しないとそのポイントはわからないのです。  エラーとトラブルの種類によって患者さんの要因が絡む事故と、そうではない事故が あります。医療現場というのは異質の事故が混在していますので、それぞれのカテゴリ ーで、フィードバックされた際に理解しやすいような形に加工していかなければいけな いのではないかと思います。 ○作業部会長  次の話題かなと思っているのですけれども、この事業の中で情報提供する、その情報 の提供の仕方がどんなものであったらいいのか。つまり、どう活用していただけるかと いうのが、かなりこちら側でソフィスティケートして、宣伝して、これで彼らはどうだ ろうという形でやっていくのが本当にいいのか、それも1つだとは思います。  私はもうちょっと違って、もう少し粗々のデータを差し上げて、実は事例情報という のは結構すごいなと思っているのですけれども、それを粗々の形でやっていって、「お 宅の病院ではどう」と言ったときに、それを自分の病院版に考えて、それに対して個々 の現場の人たちが解析をし、改善策を立てられるような材料になるような、そういう与 え方もあるのかなと思っています。そのほうが、よほど現場は力が付くのではないかと いう感じがしています。ですから、重要事例情報をどういう形で提供していったらいい のかというのは次と言ったのはその意味なのです。そういう考え方と両方あると思いま す。 ○金子委員  いま先生が言われましたけれども、これはいかに現場が力を付けるかということだと 思うのです。第4回のデータは質も上がったし、量も増えたというのは、手前味噌でい えば、4月からの専任リスクマネージャーが83カ所に付けられたというのは非常に大き いのではないかと思います。私たちの病院でも、専任が付いたから非常にリスク報告は 増えたし、看護部だけではなくてほかの職場に訪問するものですから、そしてフィード バックとして、例えば薬剤、事務、検査といった所からのヒヤリ・ハットの報告も増え ている。報告制度を逆に言うとその報告する人、ここでいえば専任リスクマネージャー といった人たちの力量にかなりディペンドするところが大きいのではないかと思うので す。 ○作業部会長  いま、事務局から委託されているのは、この変更方針についての案がこれでいいかと いうところに収斂させなければいけませんので、その点のご意見をいただければと思い ます。 ○医療安全推進室長  三宅先生のご質問がありましたので、資料3−2の図でご説明いたします。三宅委員 ご指摘のとおり、確かにヒヤリ・ハット以外の、このルートで上がってくる以外のさま ざまな情報というのはあり得ると思いますので、それにつきましては情報の特性に応じ て当部会、もしくは他の関係する場で検討していただき、「他の情報等」ということで 入れさせていただいております。その情報についても、いまフォーマルな受けるスキー ムというのはございませんが、適宜いただければ、この内容に応じて活用させていただ きたいと思っております。 ○作業部会長  介護施設や福祉施設の協会の雑誌を見ていると、それなりに集め始めているなという 状況は少し見えてきていますので、そういう所とも協力するというスキームもあると思 います。 ○山本委員  下のほうに「優先度の高いものから順次実施する」ということが書かれているのです が、今回の報告をお聞きしても、事故事例が、例えば医療機器ではドレーン・チューブ とか、人工呼吸器が挙げられています。これについては、医薬品・医療用具等対策部会 で、既に対策が実施されている製品群なのです。それが、まだこのようにずっと起こっ てきているというのは何が問題なのか。いままでの対策が悪かったのか、あるいはそれ が徹底していないの、あるいは違う原因が残っているのかというのをどこかで検証する 必要があるのではないかと思うのです。それを、この「ネットワーク整備事業」の中に 入れていただくことはできないのでしょうか。 ○作業部会長  それは、可能です。優先度の高いものの協議をするのだけれども、どういうことが起 こっているか、ということも踏まえて、それからこれまでどういう対策をとってきたか ということがありますので、その中に含まれるから、なぜかという議論はその先に進む 話だろうと思いますが、十分可能性としてはあると思います。 ○武藤委員  定点観測したときに、全部の定点ではなかなか難しいでしょうけれども、かなり精密 な観測、例えばおっしゃったような重点分野に関して、報告基準を決めて、ある期間を 区切って全数調査をする。そうすれば精密観測もできる可能性はあるのでしょうか。 ○作業部会長  そういうスキームは事務局のほうにありますか。調査ではないですけれども、一般調 査と、特定の項目を決めた調査をあるときに併存させるみたいなものはありますか。 ○医療安全推進室長  定点観測網をどういうふうに整備して運用していくのか、その中では重点協力医療機 関みたいなものを設けるとか、そういうことを含めてコード化についてはいまいろいろ なご意見をいただきましたので、検討してまたご助言いただければと思います。 ○武藤委員  定点数は、大体の見込みでどのぐらいの数になるのですか。 ○作業部会長  ここで書いているのは、現在参加している医療機関が、引き続き定点としてお願い し、さらに広げていくということです。全定点化で、その中に重点が入るという含みが あるかなとは思います。ただ前回あったのは、定点という形でいま協力していただいて いる所の中から絞って、何かをお願いするということは、協力していて定点から外れた 所に対する逆のインセンティブを抱えてしまうというのは、全体の動きとしてはよくな いだろうというご配慮だと思います。 ○目黒委員  機械の話で、資料2−2の18頁に出ている人工呼吸器を含めて、私は臨床工学技士の 立場から来ているものですから、すべからく我々に絡む問題なのです。いま全体の話を 聞いて、参考意見なのですけれども、教育をきちんとしなければいけないということが あります。例えば輸液ポンプ、人工呼吸器でも、教育するにはメーカーの方々が来て教 育するのも一つの方法なのですが、それを噛み砕いて、臨床の現場でどのように使った ほうがいいか、という使い方説明をしないと、やはり現場ではわからない部分がありま す。  私は、他の委員会に出席していても、最終的にはマンパワーの話になってしまうので いつも言葉を控えてしまいます。そういう意味で点検管理ミスという部分が多くなって きますと、どうしても臨床工学みたいな、要するに技士の人たちをもっと活用していた だきたい、ということを再三言っています。  呼吸器に関して言えば、入職して1年の看護師が人工呼吸器の前にいて、身動きがと れないぐらい悩んでしまうのではないかと思います。あるいは2年目、3年目の人もそ うですが、わかるようなシステムを作るためには、臨床工学士のマンパワーのことは絶 対に頭の中に入れて欲しい。できれば政策、あるいは国立病院・療養所のスタッフは足 りないわけですから、マンパワーの部分をもし入れないのならば、どのようなカバーを していくのか、あるいはメーカーの側からこういうふうな点検をやってくださいとか、 いろいろな情報が来ますが、現場ができることとできないことはたくさんありますの で、たぶん言われてもできない部分がかなり多いのではないかという印象があります。 そうした提案なり、あるいは報告の中でこういうやっていただきたいという部分がまと まると我々も助かるという感じを受けます。 ○作業部会長  教育の問題は、改めてどこかで仕切り直してやりたいと思います。教育でこういうふ うにやっている事例とか、誰を対象に、何を目的としてという成功事例も少し集めたり するのがいいかなと。そこでマンパワーの問題も考えたりする、ということをしっかり やりたいと思います。  関連の議論もあると思うのですが、資料3−3というのは、記述情報の収集のフォー マットを、こういうふうに変えてよろしいかという提案ですので、まずここをある程度 決着していかないと、次の「収集事業」に反映できないものですから、そこを是非やり たいと思います。 ○石川委員  資料3−3ですが、増子委員のところでおやりになった、重要事例情報を一生懸命読 むのですけれども、そのぐらいの情報というのは、このフォーマットを変えることに よって維持できるとお考えでしょうか。 ○増子委員  まだ即答ができない状態でおります。 ○作業部会長  資料3−3で、これまでのものと変わっている点として、ここが増えたとか、ここが よくわかるようになったというのはどこですか。 ○事務局  このベースとなっておりますのは「重要事例情報と医薬品・医療用具・諸物品等情報 」でありまして、それを統一したという形になっております。重要事例情報の元のフォ ーマットは参考資料の14頁から16頁に付けております。  今回資料3−3としてお示ししたものの中では(7)(8)(9)というところは、 これまでの重要事例情報のフォーマットの部分になります。その前に(1)から(6) という部分が付けてありますが、先ほども少し触れましたが、この記述で取る情報以外 にも、必要な項目は選択制にして項目を集めたほうがいいのではないかということで、 (1)から(6)はその前に付けたという形になっております。  医薬品・医療用具・諸物品に関しては、具体的な販売名であるとか、そういうものが わからないと分析がしにくいということがありますので、それは2頁の下の大きな2番 以降にその具体的なことを書いていただく欄を付けた形になっています。 ○増子委員  従来の7番に関しましても、ここに示しているとおりに書いていただけない、という ことも1つあります。ですから、丁寧に書いていただきたいというものをコメントして いけばいいかなと、私どもはかなり検討してこれを出したつもりでいます。 ○原田委員  重要事例を読んでいて思い出したのですけれども、付加されたコード化情報のところ で、患者の心身状態の項目は入れておいたほうがいいのではないかと思います。特に細 かいところはいいと思うのですけれども、障害はなかったのか、それとも譫妄等があっ たのかということと、恒常的な障害があるのかどうかという3点ぐらいはないと、それ が抜けてしまっていて、あとで分析に困るということがあり得るかなというのが1点で す。それは、基本項目のところに入れていただければいいのではないかと思います。  もう1点は医薬品のほうですが、特に医療器具に関しては、何年度購入というのを入 れていただくのは難しいのでしょうか。それは必要なような気がするのです。 ○土屋委員  今度、医薬品については極端に簡単にしようということにしたのは、一つは物を改善 しようとしたときに、やはり大事な話というのは名称類似、あるいは外観類似というの が非常に大きなファクターです。ところが、残念ながらいままで1年間のデータの中 で、その部分が欠落していることが結構あったということがあります。  したがって、とにもかくにもここの医薬品の部分についていえば、その情報がたくさ んマスとして集まることがいちばん大切だというように考えまして、思いきり簡単だけ れども、これを見れば大体その事情がわかる。特に今回は販売会社名が入りましたの は、外観の類似ということからいいますと、同じ名前で併売されている場合、外観が違 うということがあります。したがって、この販売会社名が入ることにより、それを特定 できるということからいいますと、このファクターを必ず書いていただくようにすれ ば、分析そのものも我々がその物を見ながら過去の経験その他で分析をしていけば、そ れほど違った話にはならないだろう。  基本情報の中で、職種が出ますので、それによって調剤の方法が悪いのか、あるいは 情報の伝達が悪いのかといったこともわかるのですけれども、一応今度は医薬品はすっ きりして、むしろきちんとしたデータをたくさん集める、ということが必要なのではな いかということを思いました。 ○作業部会長  施設特性とかいろいろありましたけれども、それは次の課題かなと思います。資料3 −3については、実際には事業としてこれから使っていくものになりますので、いまい ただいた意見を入れさせていただきながら、私と事務局で調整をしたもので、もちろん 増子先生にもご相談申し上げますけれども、そのようなことでご了承いただけますで しょうか。  まだ議論としては、いくつかデータを見ながら、これからの改善方策等々をいろいろ 考えていく議論もまだまだ必要だと思いますし、先ほど教育の問題が出てきたと思いま すけれども、それもまた次回以降に議論をしっかりしていきたいと思います。本日の審 議はこれまでといたします。 ○医療安全推進室長  次回の日程につきましては、来年2月上旬、これがまた四半期後ですので、委員の皆 様方のご都合を調整させていただきまして決定し、後日ご連絡させていただきます。  検討の内容としては、次回の分析結果のほかに、今後の検討課題について本日の議論 を基に、座長がおっしゃいましたように検討した上で、またお諮りしたいと思います。 なお、案の作成に当たりましては、恐縮ですが何人かの先生方にはいろいろご助言、ご 指導をいただくことになると思いますのでよろしくお願いいたします。 ○作業部会長  それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところをありがとうございまし た。                       (照会先)                       医政局総務課医療安全推進室指導係長                       電話 03-5253-1111(内線2579)