02/10/11 薬事・食品衛生審議会生物由来製品臨時部会 平成14年10月11日議事録 薬事・食品衛生審議会 生物由来製品臨時部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年10月11日(金) 10:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(8名)五十音順   池 田 康 夫、 甲 斐 知恵子、 小 室 勝 利、 清 水 慶 彦、   菅 谷   忍、 土 屋 利 江、 長谷川 紘 司、◎早 川 堯 夫、   藤 上 雅 子、 山 口 照 英 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順  ○倉 田   毅、 三 瀬 勝 利 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 安 倍 道 治(審査管理課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)、   姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画調整部長)、   平 山 佳 伸(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査センター審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻となりましたので、これから生物由来製品臨時部会を開 催させていただきます。本日は委員の先生方におかれましては、大変御多忙中朝早くか らお集まりいただきまして誠にありがとうございます。  それでは今回は第一回目の開催でございますので、最初に事務局の方から委員と事務 サイドの御紹介をさせていただきます。恐縮でございますが、あいうえお順に御紹介を させていただきます。池田委員。甲斐委員。倉田委員は御欠席でございます。小室委員。 清水委員。菅谷委員。土屋委員。長谷川委員。早川委員。藤上委員。山口委員。委員は 以上でございます。  それから事務方でございますけれども、鶴田審議官でございます。審査センター長の 豊島でございます。姫野企画調整部長でございます。平山審査第一部長でございます。 辻村審査第三部長でございます。以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは最初に、医薬担当審議官の鶴田よりごあいさつを申し上げます。 ○審議官 本日は各委員の先生方、御多忙中お集まりいただきましてどうもありがとう ございます。薬事法改正は三本の柱の一つとして、生物由来製品の新たなカテゴリーの 創設と、製造から使用までの一貫した安全対策を的確に確立するということでありまし て、改正法自身は7月31日に公布されたわけでございます。当部会はその施行に当たり まして、施行準備のために平成14年度末までの期限で臨時に開催をお願いしたものでご ざいます。御存じのように生物由来製品は血液製剤、ワクチン等の従来の生物製剤のみ ならず、生物由来原料を使用した遺伝子組換え製剤、動物の成分を抽出して製造された ものなど、いろいろな発展を遂げてきております。また、近年には再生医療の分野にも 細胞組織を利用した医薬品、医療機器の開発が積極的に進められている状況にあるわけ でございます。  これまでも薬事行政におきまして、これらの製品の安全性、取り分け感染症の発生、 拡大の防止に対して最善を尽くしてきたわけでございます。新しい生物由来の制度は、 単に規制を厳しくするという側面だけではなく、国民に対してこれらのバイオ・ゲノム の世紀に対応した新しい生物由来の技術に対する信頼を取り戻し、そしてまた透明なル ール化を示すということで、適正な方向での研究開発が行われることを期待するもので ございます。この制度を平成15年に施行するに当たりまして、実際的な個別の制度の整 備を行っていくわけですが、この分野に対するいろいろな国民の期待にこたえられるよ う行政を実施してまいりたいと思っている次第でございます。  生物由来製品の今後の規制は製造業者、流通業者、そして医療関係者のそれぞれがそ の責任を果たしていくことで初めて実現できるものと考えておりまして、生物由来製品 としての指定、基準の作成、また安全対策上からの遡及調査の記録の保管の問題など、 お集まりの先生方の専門的な知識、経験に基づきまして、新しい制度の枠組み作りに全 力で取り組ませていただきたいと思います。現在の薬事行政の重要懸案事項である生物 由来製品の新しい規制の枠組み作りを行うに当たりまして、この制度をより実りのある ものにしていきたいということで、皆様方の御支援、御鞭撻をお願い申し上げたいと思 います。  また、現在同時に開催されている会議に是非とも出席しなければならないことになっ ておりまして、ちょっとこの辺りで私の方は失礼させていただきますが、ひとつよろし くお願いいたします。 ○審査管理課長 それでは審議官は所用がございますので、退席させていただきます。 ── 審議官退席 ── ○審査管理課長 続きまして、当部会の部会長の選出を行わせていただきたいと思いま す。薬事・食品衛生審議会令により、委員の互選とされているところでございます。当 部会の委員で薬事・食品衛生審議会の正委員は池田委員のみでございますので、池田委 員に部会長をお願いしたいと思います。なお、池田委員に事前にお話をさせていただき ましたところ、当部会の審議事項を踏まえて、議事の進行は早川委員が適当ではないか との御意見を頂いておりますので、議事の進行は早川委員にお願いできればと存じてお りますけれども、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。それでは以後の議 事進行は早川委員にお願いいたします。早川委員、こちらの座長の席に御移動をお願い いたします。 ── 早川委員、座長席へ移動 ── ○早川座長 早川でございます。部会長の御指名によりまして、なかなか異例だと思い ますし僭越でございますが、座長の任が務まればと思っております。御協力のほど、ど うぞよろしくお願い申し上げます。  それでは議事次第に従って審議を進めてまいりたいと思いますけれども、座長代理を 決める手はずでございます。本日御欠席になっておりますが、私が都合のつかないとき には国立感染症研究所副所長の倉田先生にお願いするということでよろしゅうございま すでしょうか。それではどうぞよろしくお願いいたします。御異議がないということで ございますので、倉田先生には事務局の方からその旨お願いしていただければと思いま す。  それではまず議題1、「改正薬事法について」ということで、事務局の方から経緯を 含めて改正についての御説明をお願いいたします。 ○事務局 事務局でございます。まず初めに本日の配付資料の御確認をさせていただき ながら、議題1の改正薬事法について御説明を申し上げたいと思います。本日机上に配 付させていただいております資料は、一番最初に議事次第、そして当部会の委員名簿で ございます。それから事前に先生方にもお送りさせていただいておりますが、資料1の 「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について」というこ とで、薬事法改正関係の資料でございます。その次に縦書きの二段表になっているもの が、改正薬事法の生物由来製品に関する条文の部分をまとめた資料でございます。資料 1-2が「生物由来製品臨時部会の設置について(案)」、それから資料2-1、2-2と続いて まいります。何か資料で足りないもの等がございましたら、事務局の方に申し付けてい ただければと思っております。  それでは本日の議題1でございますけれども、ただいま座長から御紹介がありました ように、まず改正薬事法の生物由来製品に関する改正について、御説明を申し上げたい と思います。冒頭に審議官からも御紹介がありましたように、薬事法改正につきまして は本年の7月31日に法律第96号として公布されてございます。この薬事法改正は大き く三点のポイントがございまして、お手元の資料で申し上げますと、資料1の4ページ から御覧いただければと思います。この中で「II 見直しに向けての視点」という部分で、 三点のポイントを書かせていただいております。「医療機器に係る安全対策の抜本的な 見直し」、「『バイオ・ゲノムの世紀』に対応した安全確保対策の充実」、「市販後安 全対策の充実と、承認・許可制度の見直し」という点がございます。本日のこの生物由 来製品臨時部会に関連して先生方に御審議いただく事項とは、二番目の「『バイオ・ゲ ノムの世紀』に対応した安全確保対策の充実」という点でございます。  この改正薬事法は7月31日に公布されましたけれども、施行の時期が決まっておりま して、一点目の医療機器に関する部分と三点目の市販後安全対策の充実と承認・許可の 部分については平成17年度、公布の日から3年以内というところでございます。二番目 の生物由来製品の安全確保という部分につきましては、ほかよりも施行の時期が早く平 成15年度、公布の日より1年以内ということでございます。これから内容を御紹介申し 上げますが、生物由来の部分の施行がそういう形でほかよりも早く平成15年度というこ とで、その施行の準備に当たってこの臨時部会を開催させていただくという次第でござ います。  5ページの二番目に書いてある「『バイオ・ゲノムの世紀』に対応した安全確保対策 の充実」という部分ですけれども、生物由来製品に関して様々なレンジのものがござい ますが、高い有効性が期待される一方で、その特性として生物由来の原料を使っている ということをもって、感染等のリスクが完全に否定できない可能性があります。今回の 法改正におきましては、そういった共通の特性を持っている生物由来製品というものを 法的に明確に位置付けて安全対策を講じるというのが、一つのポイントでございます。 その中でこの生物由来という特性に応じて、製造から使用の段階に至るまで一貫した安 全管理、品質管理という体制を、法的にも整備して導入していきまして、それらの製品 の安全性を国民に対してもより確かなもの、そしてまた安全な製品を提供できる体制と いう仕組みを作ることが、この法律の生物由来製品部分での一つの目的となっておりま す。  引き続きまして12ページでございますけれども、生物由来製品の実際の規制概要とい う部分について、簡単に御紹介申し上げたいと思います。まず「(1)生物由来製品の定 義」と書かれております。今回の改正薬事法の第2条第5項と第6項に、「生物由来製 品」と「特定生物由来製品」の二つの定義が書かれております。これらは感染症のリス ク等に対応して、安全対策を講じる上での法的な定義ということで、リスクの程度に応 じて二つの類型に分類した形で評価させていただいております。  一つは「生物由来製品」というものでございまして、「人その他の生物(植物を除く。) に由来するものを原材料として製造される医薬品・医療機器等のうち、保健衛生上特別 の注意を要するもの」という定義でございます。もう一つのリスクが高いグループに属 するものの定義は、「生物由来製品のうち、市販後において当該製品による保健衛生上 の危害の発生又は拡大を防止をするための措置を講ずることが必要なもの」ということ で、リスクに応じて必要な措置を上乗せ的に行っていく必要があるものでございます。 生物由来製品という観点では、例えば遺伝子組換え製剤やワクチン等といったもの、特 定生物由来製品においては、人血液製剤や人の細胞組織等を使った細胞組織医薬品・医 療機器といったものをそれぞれ想定して、この制度自体の定義を書かせていただいてお ります。  しかしながら、こういった製品の分類につきましては、科学的にこういった感染症の リスク等を御評価いただきまして、新しい改正法の上でも、薬事・食品衛生審議会の意 見を聴いて厚生労働大臣が個別に製品を指定するということが規定されております。こ の定義に従って、今後適切な品目を実際に個別に指定させていただくという作業を行っ ていく必要があるわけでございます。  定義は大体そういうことでございますが、この生物由来製品の規制の全体像という部 分につきまして、アウトラインの方から御説明させていただきます。資料の43ページで ございますが、「生物由来製品の特性に応じた安全対策の充実」という形でポンチ絵を 示させていただいております。「生物由来製品とは」という定義は今申し上げた点でご ざいますが、こういう生物由来ものの主な特徴として、ここに三つ書かせていただいて おります。「1.未知の感染性因子を含有している可能性が否定できない場合がある」、 「2.不特定多数の人や動物から採取されている場合、感染因子混入のリスクが高い」、 「3.感染因子の不活化処理等に限界がある場合がある」と。こういう特性を踏まえて、 生物由来製品の規制の全体像としては製造開始の段階、製造中から市販後に至るまで、 一般の医薬品の品質管理の部分、またその市販後安全対策の部分に上乗せをした二階建 て部分を作ることによって、生物由来製品の特性に応じて医薬品や医療機器というカテ ゴリーにかかわらず、共通の特性の上での上乗せ的な規制を行うということが、まず今 回の法律の理念でございます。  一番目としては「製造開始」という部分でございます。通常の一般の医薬品でも、G MP等の規制によって原料の選択や安全性の確保という部分はやっておりますけれど も、特に生物由来につきましては、人が原材料であればドナーの方の選択基準や、動物 から来ているものであれば原料基準など、原材料の安全性確保のための基準を設けてい くことが一つございます。  それから「製造中」におきましては、やはり一般の医薬品に比べて製造工程中での汚 染や、そういったものを扱う施設において汚染防止等の特別な設備が必要なものについ ては、当然そのような設備を作っていただくと。また将来的に何か感染症等が発生した 場合の対応というところも含めて、原材料等の製造記録を適切に保管していただくとい う点が、上乗せ的に考えていく必要のあるポイントとしております。  最後の「市販段階」の部分でございますが、製品を市場に出した後実際に何か問題が 起こった場合に、できるだけ被害を最小限にすると、拡大を防止するという観点から、 ここでは三つのポイントを書かせていただいております。一つは「適切な表示・情報提 供、適正使用」というところで、当然リスクとベネフィットに基づきまして、適正に使 用していただくような情報を提供していくというポイント。二点目としては「ドナー、 使用者の追跡」ということで、何か市販後に感染症等の発生があった場合に、できるだ け速やかに安全対策の措置を講じていく、実際にドナーや使用者に対するトレーサビリ ティー、遡及というものを可能にしていくような体制が必要でございまして、そういっ た意味での感染拡大防止の措置というものが必要であると。三点目には「感染症定期報 告」と書かれてございますけれども、できるだけ幅広い、いわゆる医薬品・医療機器の 製造企業においても、自社の取り扱う製品の原料に関する感染症の論文や情報を前広に 集めていただきます。そしてそれをきちんと集めているというところで、私ども厚生労 働省にも定期的に御報告いただくシステムを作ることによって、市販後の段階において も何かあったときのセーフガードをできるだけ作っていくというのが、この二階建ての 図の趣旨でございます。  次の44ページに表がございまして、実際にこの特定生物由来製品、生物由来製品とは どういう形で振り分けるイメージになっていて、また特定に該当するものと特定でない ものにおいて、それぞれどういった規制の差があるかというものを図示させていただい ております。特定生物由来製品と生物由来製品の定義は、先ほど申し上げたものをここ に書かせていただいておりますが、大体事務局の方で想定しているものは、特定生物由 来製品であれば「人血液製剤」を代表としたものと、生物由来製品であればここに書か せていただいているような「遺伝子組換え製品」を始めとした生物由来原材料を使った 製品群ということでございます。  まず、入り口の「原料段階」の基準という部分におきましては、当然一般の原料基準 がありますけれども、特定生物由来製品においては特に個体ごとにドナースクリーニン グと言いますか、実際に検査を行っていく必要があるものもあるわけで、ここに「個体 毎必要」と書かせていただいております。また「製造段階」という部分において、記録 の保管や製造品質管理という部分では、特定、非特定にかかわらず一律に記録の保管等 をお願いしていくということで、上から下まで全部○が付いています。「市販後段階」 という部分におきましては、特に今回の改正法では各関係者に実際にお願いするべき義 務や努力義務というものを規定させていただいておりますけれども、この部分について は特定と特定でないものとの間に少し差が出てきています。  まず、一点目の「表示や添付文書記載義務の上乗せ」でございます。実際に指定され たものは、御使用いただく方にも、またその流通段階においてもそれは指定されたもの と認識していただく必要がありますので、これは特定生物由来製品、生物由来製品にか かわらず、例えば「生物」や「特生物」といった形でラベル等に表示をしていただくと いう部分がございます。特に特定生物由来製品においては、実際のリスク・ベネフィッ トに関して添付文書等により詳細に注意を喚起する記載等をしていただく部分がござい まして、そこで特定生物由来製品については○が付いていて、それ以外は△という書き ぶりの違いになっております。  それから二点目に、「医師の説明等」でございます。特定生物由来製品におきまして は、実際の使用段階の際にインフォームド・コンセントという部分で、医師等の医療関 係者から患者等に対して、その製品のリスク・ベネフィットについて御説明いただくと いうことが、努力規定として法律上も規定されております。  それから三点目に、「遡及調査に必要な事項の記録、保存」でございます。現行の血 液製剤においては、10年間の使用記録の保管を行政指導という形で医療機関の方にお願 いしているところですけれども、特定生物由来製品においては、そういう遡及調査に必 要な記録の保存を医療関係者の方にもお願いするという規定が、市販後段階の方に入っ てございます。  最後のところ、四点目に「感染症定期報告」でございます。これについては特定生物 由来製品、生物由来製品にかかわらず各メーカーとも一律に、実際に使用している原材 料に関するいろいろな感染症事例の報告等を集めて定期的に報告を頂くという形です。 これは特に未知の感染症等が新たに出てきた場合の対応として、未知のものは特定、そ の他特定ではないもの、どちらに来るか分からないということで、そこは一律に未知の 感染症対策ということでの定期報告を法律上も規定してございます。  次に45ページの図でございますけれども、実際の記録の保管や情報提供という部分に ついて、この法律上どのように規定されているかということを、製造業者、「元売業者」 と書いていますけれども、それと「医療機関、薬局」と「患者」と「厚生労働大臣」の 関係で書かせていただいております。まず製造業者におきましては、「納入先」と書い てございますけれども、実際に生物由来製品を販売している医療機関や薬局といったも のと、それから製品の記録、例えばロット番号といったものを一定期間保管をいたしま す。そして何かあったときでも、その製造業者の方から実際にどこにどういった製品が 出ているかということをきちんと追跡できるようなシステムを、製造業者の役割として 記録の保管義務を法律上も規定している形になっております。  それから一番下の「医療機関、薬局」の部分ですが、今申し上げましたように特定生 物由来製品に関しては、その使用対象者、使用製品の記録を医療機関の中で保管してい ただきます。またそのリスク、便益に関する使用対象者への説明をお願いするという形 で、記録の保管と説明が位置付けられています。また、もし感染症等が発生した場合に おいては、医療機関からもそういった副作用、感染症等の厚生労働省への報告をお願い すると同時に、製造業者と連携を取って、製造業者の方でも原因究明を行うということ で、矢印で「元売業者」と「医療機関、薬局」が結ばれております。  薬事法改正の生物由来製品に関する部分についての規制概要というのは、大体そうい うところでございます。まず製品の指定、それから製造段階においては原材料の基準や 記録の保管、使用段階においては表示の問題と実際に市販後段階でも製造業者、医療機 関等で記録の保存を行っていただくといったところが、今回の法律改正の中で、生物由 来製品又は特定生物由来製品として指定されるものについて規定されました。これによ りまして、生物由来製品の感染症に対するセーフガードを提供して、安心してこういっ た製品をお使いいただけるような制度として、平成15年度以降運用していこうというも のでございますので、そういう点を踏まえて今後の御審議の方を是非よろしくお願いし たいと思います。以上でございます。 ○早川座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明に御質問等はございま すでしょうか。かなり広範な御説明であったかと思いますので…。  例えば44ページで、先ほどおっしゃったようにまず製品の分類と言いますか、特定生 物由来製品とそれ以外ということ、それから「原料段階」、「製造段階」での基準をど う決めていくか、それから表示、保管ということがあるわけですけれども、ここで○、 △、空欄がございます。この空欄の部分というのは上乗せしないということなのでしょ うか。空欄は何もしないのか、空欄なりに多少対策をするのか。例えば「原料段階」で 「個体毎必要」と「飼育管理」、あるいは「ヒト生体由来成分抽出物(尿)」では「個体 毎又は原料ウイルス検査」と、少し具体的な書きぶりもあるし空欄のところもあるので すが、この辺はこれからの議論なのかもしれないですけれども、薬事法的にはどういう 解釈ですか。 ○事務局 この○と△の解釈ですけれども、下の方に凡例が書いてありまして、「一般 の医薬品・医療機器の要件に上乗せ規制するもの」というところでございますが、あら かじめ特に上乗せをしなければならないと大体分かりそうな部分につきまして、○、△ で書かせていただいております。例えば単純な動物由来の抽出成分等であれば、恐らく 個体ごとの原料選択は要らないにせよ、一般的な管理の中で何らかの必要な基準を定め るなどということは、ここに何も書いていなくても十分に対応していく必要があるもの ではないかと、事務局の方では考えております。 ○早川座長 ということは、個々に適正な上乗せが必要か必要でないか、こういう基準 が必要か必要でないか、これからある程度議論していくという理解でよろしゅうござい ますか。分かりました。ほかにどなたか、全般的にと言いますか、個々のことでも結構 でございます。 ○長谷川委員 今の御説明に対する質問なのか、あるいは私が少し先走ってお聞きする のかもしれませんけれども、56ページに表がございます。これを拝見しますと、いわゆ る今回の対応でカバーしている部分、あるいはカバーしていない部分がはっきりするか と思うのですけれども、このカバーしていない部分、恐らく非該当だろうと思うのです が、過去の事例あるいは実態上から、3'や6の部分で問題が起きている事例が考えられ るのではないかという気がしますが、この部分にあえて手を付けない…。もちろん医師 の研究上の裁量というのは非常に大事ですので、この部分については慎重に取り計らわ なくてはいけないと思うのですけれども、規制ということではなくて何らかのモニター のようなシステムが考えられないのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。 ○早川座長 いかがでしょうか。 ○事務局 ただいま御質問いただいた56ページのところでございますが、実はこの表は 生物由来製品の議論と直接関係するところではなくて、現在の治験や臨床研究に関する 制度上の枠組みを御説明させていただいている表でございます。恐らく私どもが今お伺 いした点では、例えば個人輸入や実際に医師が研究上の裁量でお使いいただいている部 分において、当然個人輸入であれば日本で承認されているものではないので、そういう ところから入ってきたものの中で、何か品質安全性上の問題を起こすケースが多いので はないかという御懸念だと受け取りましたが、それでよろしゅうございますでしょうか。 ○長谷川委員 血液製剤、生物由来物質も含めて。 ○事務局 これはあくまで薬事法をどのような形でどういうところにかけていくかとい うことで、かなり行政的な判断として対象を考えていくところでございます。この生物 由来製品に関する基準作りや指定におきましては、まずできるだけ科学的なところで何 が必要かという点について御議論いただいて、その物の特性に合わせて、それが輸入か 国内製造かにかかわらず、その共通の特性に基づいて御議論いただければと思います。 また、そういう規制の枠組みなり科学的な考え方が出来上がった上で、こういう薬事法 の該当、非該当という部分で必要なものがある場合については、私どもの方でも行政施 策上の措置を考えさせていただきたいと思っておりますので、そういうところで御理解 いただければと思います。 ○早川座長 よろしゅうございますでしょうか。つまりここではこれから生物由来製品 について科学的な観点から議論するということで、薬事法上の規制対象としては現在非 該当と。ただ、「外部から既承認の医薬品、医療機器の提供を受けて実施する臨床研究」、 あるいは「個人輸入品を用いて実施する臨床研究」、例えばここに該当するものがこれ からの議論の中で、相当リスクが高い生物由来製品に似たようなものといいますか、そ れに相当するかもしれないものが仮に想定される場合は、ここでも多少言及していくと いうことでしょうか。 ○事務局 それはある意味では、やはりこの場では想定されるいろいろな生物由来製品 を考えて、現在日本の市場にあるもの又将来的に日本の市場に入ってくるものも当然あ りまして、それは現在日本にないものでも、例えばアメリカで培養皮膚のようなものが 製品化されている状況がございます。そういう部分がある程度想定できるのであれば、 それは科学的な議論として想定していただいた上で、全体の規制の枠組みを作っていく ような御指導を頂ければと思っております。  実際に現在薬事法の対象になっていない部分において、やはり何か対応が必要という 点があるのであれば、私どもの方も行政指導や関係者とのいろいろな調整等を含めて対 応していきたいと考えますので、想定されるものの中で科学的な議論をお願いできれば と思っております。 ○早川座長 一応法律的には薬事法上の承認申請の意志のあり、なしで、ここはある程 度分けているところではあるけれども、そうであっても相当問題になりそうな場合には 考えてみると理解してよろしいのですか。 ○審査管理課長 法律的な枠組みで整理させていただいた表ですので、今長谷川委員の 方から御指摘があったように、当面の薬事法という枠の中でルールとしてお願いをする という範囲に入らない部分で、確かに今言った生物由来に固有の共通な問題点がござい ます。それが今事務局の方から御説明させていただいたとおり、一方でプロフェッショ ナルフリーダムの観点もありますので、そのバランスが非常に難しいということでござ います。ただ科学的な議論の結果、ある程度そういった医療機関ないしは医師の裁量で 使われるものであっても、生物学的特性の本質的な問題としてきちんと管理した方がい いということであれば、この枠組みとは別の形で行政的な指導なりお願いをするという ことは結論として出せると思いますので、その辺も視野に入れた御検討をお願いしたい と考えております。 ○早川座長 長谷川先生、よろしゅうございますでしょうか。 ○長谷川委員 はい。 ○早川座長 ほかに御意見、御質問、コメントはございますでしょうか。それではもし 現時点で特にございませんようでしたら、続きまして議題2の「今後の予定」について の審議に移りたいと思います。この部会での審議事項、今後のスケジュールに関して、 事務局から現時点での案の御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○事務局 では事務局からこの議題2に関して、資料2-1に沿って御説明を申し上げた いと思います。ただいま資料1に基づいて改正薬事法についてかなり広範な御説明をさ せていただきましたが、私たち事務局の方として、今後当部会において御審議をしてい ただく論点と考えている部分が四点ございますので、御説明申し上げたいと思います。  まず一点目は、個別の品目に関する生物由来製品、特定生物由来製品の指定に関する もの。二点目は早川座長からも御指摘がございましたように、生物から採取される原材 料に関して必要な基準を定めるという点。それから三点目は、生物由来製品に係る製造 上の記録や、実際に使用される際の記録の保管に関して、その保存期間の設定に関する 考え方の整理という点。この三つが、審議事項としてあるのではないかと考えておりま す。  また関連事項といたしましては、生物由来製品に関する表示の問題、実際に流通上ど ういった形で表示されるかや、添付文書上の記載に関する部分などについても、御紹介 させていただければと考えております。最後に施行期日ということで、先ほど公布日以 降1年以内と申し上げましたけれども、実際の施行期日についても「(2)その他」のと ころで御紹介させていただければと思います。  大体この四点の事項がございますけれども、今後の時間的なスケジュール等を考えて いきまして、どのような進め方になるかというところです。(1)、(2)、(3)の点につ きましてはかなり生物学的、科学的な議論を踏まえて、実際に生物由来製品の指定に関 しても対象となるものは約1,000品目程度ございますので、かなり細かい膨大な作業に なってくるかと思います。そういう技術的な整理、調査をやっていただく上で、本日資 料2-2を付けさせていただいておりますけれども、本臨時部会の下に作業小委員会のよ うなものを設置して、そこでの調査、整理に基づいて当臨時部会で御審議いただいては どうかと、まず事務局として御提案を申し上げたいと思います。この委員のリストにつ きましてはまだ現時点での案で、必ずしも全委員の御承諾を得ているものではございま せんので、そういうものとして御理解いただければと思います。  実際のスケジュール的なところでございますが、1枚めくっていただきまして2ペー ジでございますけれども、本日10月11日に「部会レベル」ということで生物由来製品 臨時部会を開催させていただいております。この後、今私どもの申し上げた小委員会を 設置するという点を御了解いただけるのであれば、生物由来製品作業小委員会を設置い たしまして、具体的な個別指定の関係、記録の関係、原料基準を御審議いただいて、11 月下旬ぐらいにまたこちらの部会に審議経過等をお戻しいただくという点がございま す。  また、今回の生物由来製品の規制全体との関連で、先ほど資料1の頭にも血液事業法 関係の記述があったように、血液法の方でも安全対策という部分は薬事法とリンクして いるという状況もございます。特に血液製剤に関する部分等の議論につきましては、指 定や基準の作成という部分を含めて血液事業部会の方にも御報告、御説明し、また血液 事業部会からのフィードバックを頂いて、こちらでの審議を継続させていただくような 段取りが適当なのではないかと考えております。ですので、一応このスケジュールでは 血液事業部会と当部会とのリンクという意味で、血液事業部会のスケジュール案につい ても併せて記載させていただいております。  実際に平成14年度の早い時期に施行ということでございますので、パブリックコメン ト等の手続を考えれば、できれば年内に全体の指定、基準等の案を作成し、年明けぐら いにパブリックコメントと。3月に最終的な指定・基準の案を作りまして、薬事分科会 の方に上程させていただいて答申まで行かれればというのが、現時点でのスケジュール 案としての考えでございます。  次に3ページ以降からは別添ということで、先ほど雑駁に制度改正の概要について御 説明申し上げましたけれども、事務局の方でそれぞれ個別の四つの論点につきまして整 理をさせていただいたものが、ここからの資料でございます。まず別添1の「生物由来 製品・特定生物由来製品の指定」というところでございます。この生物由来製品、特定 生物由来製品の定義は四角枠で書いてございます。先ほど御説明したとおりでございま すが、まず指定の考え方として理論的な感染リスク等を考えて、個別の品目ごとにこの 指定で振り分けをしていくということがございます。それから生物由来原料の中でも、 化学合成品とほとんど同じように扱われているようなものや、食品等とも比較して保健 衛生上のリスクという点から特段対応する必要がないものにつきましては、当然この指 定からは除外していくわけですので、こういう指定の除外についても検討していく必要 がございます。  1枚めくっていただいて4ページに、「生物由来製品のリスク評価の考え方について (事務局案)」を付けさせていただいております。こういった点をまた作業委員会の方で も御議論いただきたいと私どもは考えておりますけれども、基本的に指定する場合のリ スクは、最終製品に残存する感染症等のリスクという部分でございます。もともとの原 材料等のリスクから、実際にウイルスの不活化やドナースクリーニング検査などのリス クの低減措置を行って、また更にその投与経路から見て侵襲性が高い投与経路なのかそ うでないのかと。またその使用期間等から見て、例えば一生涯使用されるものなのか、 そうでなくて短期的に使用されるものなのかと。また、実際に使用される量などの点を 勘案していきまして、全体のもともとある原料からリスクをどれだけ引いていけるかと。  その残った部分としてある最終的なリスクに注目していきまして、5に書いてござい ますように「(1) 理論的なリスクが比較的高いもの(血液製剤を基準)は、特定生物由来 製品」、「(2) 理論的なリスクが比較的低いもの(化学合成品、食品並)は、指定せず」、 「(3) (1)、(2)以外は、生物由来製品」と、恐らくそういう考え方で議論をしていた だければと考えております。ただ、これはあくまで事務局としての考え方でございます ので、こういった考え方の妥当性も含めて、今後当部会、小委員会等で御議論をお願い できればと思っております。  また3ページに戻りまして、そういう指定をする際に国会審議等でのいろいろな論点 がございます。それがここに書かせていただいている事項で、「血液製剤と代替性のあ る遺伝子組換え製剤の指定上の取扱い」という点でございます。人血液成分等が製造工 程中で使用されているような医薬品、アルブミンなどですけれども、そういった血液製 剤と同等のリスクが予想されるものについては、特定生物由来製品として指定するとい う大臣答弁がございました。また国会の附帯決議においても、血液製剤と代替性のある 遺伝子組換え製剤、例えば組換え第VIII因子などについて、そのリスク評価を行った上で、 必要に応じて特定生物由来製品として指定するといった内容がございます。特に特定生 物由来製品の該当性という部分におきましては、そういった人血液成分や遺伝子組換え 第VIII因子といった問題についての整理も、一方で必要になってくるだろうというところ がございます。  それから先ほどの上の考え方の中で、「化学合成品又は食品と同等程度のリスク」と 申し上げた部分で、現実的な問題ということで一番下に書かせていただいているわけで すが、指定を除外する品目のクライテリアも当然必要でございます。例えば一般に医薬 品のカプセル等に使われているようなゼラチンなどまで、本当にすべて指定する必要が あるのかと。ゼラチンなどを指定してしまうと、ほとんどすべての医療用医薬品は生物 由来製品になってしまうところもございます。それから動物由来、生物由来と言います けれども、実際に人獣共通感染症という観点から見て除外できる動物種等があるかどう かと。例えば「魚類由来の成分」と例示で書いておりますけれども、そういう点につき ましてもこれから御議論いただければという点がございます。これが別添1でございま す。  次に5ページですけれども、別添2の「生物由来原料基準の作成について」というこ とでございます。法的には改正薬事法第42条第1項と第68条の5で、生物由来製品に 対しては感染リスク等の低減のために必要な付加的な基準を定めるというところがござ います。原料に対する基準を定めるということでございます。この中で論点となる部分 は、最初に座長からも御指摘がございましたけれども、一体どういう原材料の範囲に対 してこういう基準をかけていくのかと。ここでは「血液、原料血漿、ヒト動物細胞・組 織・体液、尿、動物の臓器の抽出物…」と書かせていただいておりますけれども、そう いう対象の範囲の設定が恐らく今後の議論でお願いする点かと思います。それから有効 成分だけでなくて、実際にその製剤に添加されるような成分でも動物、人由来のものが ございますので、こういうものに対する考え方の整理も必要になってくるかと思います。  また、「基準を設定するべき事項」といたしまして、事務局の案では大きく二つある だろうということで、まず原料選択基準、人の血液であればドナースクリーニング等の 検査でございます。それから実際に製造工程中における、こういう生物由来製品原料を 使った場合の処理基準の取扱いも必要になってくるだろうということです。  それから最後の○でございますけれども、これは国会の審議でも多少取り上げられま したが、血液製剤に関する採血時の検査というところです。日本国内と外国での採血の プラクティスにおける検査項目の違いといった問題に対しても、一定の考え方を示して いく必要があるだろうと。特にこの辺は、血液事業部会との関連でも御議論が必要なと ころかと思います。  引き続きまして7ページの別添3ですけれども、「生物由来製品に係る製造記録、使 用記録の保存期間の設定」でございます。御案内のとおり、改正薬事法第68条の9(要 旨)にございますけれども、「関係者が必要な事項の記録・保存等をしなければならない」 と。万が一の感染症発生の場合に対応してということでございますけれども、まず承認 取得者についても、製造記録と同時に製品の受渡し先、医療機器の記録等を保管してい く必要があると。それから販売業者、賃貸業者、いわゆる卸売販売業などの方々も、そ ういった販売先等の記録についての情報を承認取得者、製造企業に提供すると、また医 療機関においても特定生物由来製品に関しては、使用対象者の記録等の保管をお願いす るということでございます。  基本的な考え方としては、まず製品との関連が否定できないような感染症が何か発生 した場合に、遅滞なく安全対策に結び付けるためにどれだけの期間が必要かという観点 があるかと思います。当然想定できるような感染症と未知の感染症を考えながら、そう いう安全対策上の保存期間の設定が一つ議論としてお願いする点かと思います。  二つ目といたしましては、これも国会の決議事項にあるものでございますけれども、 今後生物由来製品の規制を作った上で、生物由来製品に関して万が一感染症の被害が発 生した場合の救済制度を創設するということが、一つの課題になっております。現在も 医薬品の副作用に関しては、そういった意味での救済制度がございますけれども、医薬 品・医療機器等に関しての感染症に対する保障という部分での救済制度を作っていくと。 そういう中で、実際に因果関係の特定等も踏まえた上での記録の保管にも、御留意いた だく必要性が出てくるのではないかというところでございます。  そういう方向性での論点で申し上げますと、またこれも国会の関連事項でございます けれども、「生物由来製品、特定生物由来製品の製造記録(新法第14条第6項/法第13 条の2)、使用記録(法第68の9第8項)は、諸外国の例を参考とし、十分な期間設定す る(参議院附帯決議)」という形での決議がなされております。御案内のとおり、現実に は血液製剤に関しては有効期間プラス10年という形の行政指導で、医療機関にお願いを させていただいております。ただ、この保管期間に関しては保管対象者、製品の特性に 応じて適切な保存期間を設定すると。また、諸外国の記録保管の事例とその考え方をよ く調査して、それを踏まえていった上で対応していく必要があるかと思います。  1枚おめくりいただきまして、8ページに「諸外国の製造記録等の保管期間の例」を 書かせていただいております。これは血液製剤等ということでの事例でございますが、 米国では分画製剤の記録の保管期間が10年、硬膜のようなプリオン病が想定されるもの については16年を行政指導としてお願いしていると。またドイツにおいては、こういっ た血液製剤の遡及調査に関する保存期間として、一応15年という設定をしていると。フ ランスについては、その理由はなかなかよく分からないのですけれども、血液製剤に関 して40年の記録の保存を規定してございます。こういう事例の実際の理由や考え方も見 つつ、我が国において実施可能で効率的かつ効果的な期間の設定を検討していく必要が あるだろうというところでございます。  最後に9ページの別添4、論点の四番目ですけれども、「生物由来製品に係る表示事 項(添付文書を含む。)」ということでございます。直接のラベルや容器包装という部分 に、生物由来製品又は特定生物由来製品という旨の表示をしていただく必要がありまし て、そういった部分でのラベル表示をこれからまたデザインしていくということがござ います。それから添付文書等に、生物由来製品に関する何らかの特性に応じた注意を喚 起する必要な事項があれば、また検討していくことになるかと思います。  特に論点として一番下に書いてある、血液製剤については一般の生物由来製品に上乗 せをして、採血国、献血、非献血の別を直接の表示に記載するというところも、実は参 議院での附帯決議が付けられている事項でございます。こういった表示をどのような形 で実施していくかという点についても、血液事業部会との関連でも御議論が必要になっ てくる点かと思います。また、冒頭の制度的なところで御説明申し上げたように、「特 定生物由来製品は、感染症のリスクは完全には否定できないこと、リスク・ベネフィッ トを考慮して適正に使用する」等という部分につきまして、少し添付文書上の記載も整 備する必要がございます。こういった表示、添付文書に関する論点につきましても当部 会で御紹介させていただいて、また先生方の御意見等を施策に反映させていきたいと考 えております。事務局からの御説明は以上でございます。 ○早川座長 ありがとうございました。ただいま生物由来製品の指定、原料基準の作成、 製造記録・使用記録の保存期間の設定、製品にかかわる表示事項ということで、これか ら四つの論点があるだろうと。それからなかなかタイトなのですが、3月までのスケジ ュール、血液事業部会とのリンクの問題、作業を円滑に進めるための小委員会の設置と いうことで御説明いただいたわけですが、御質問あるいは御意見、コメント等がござい ましたらお願いいたします。池田先生、どうぞ。 ○池田部会長 ちょっと伺いたいのですけれども、生物由来製品にかかわる問題につい ては、血液事業部会と非常にクロースに議論していかなければいけないというのは当然 だと思うのですけれども、もう一つ、臓器移植の中で臍帯血が非常にあいまいな形にな っているのです。臓器移植対策室で扱っていて、結局我々から見ると臍帯血は血液事業 に非常に近い位置付けにしなければいけない、そして感染症も含めて全部チェックをし ていかなければいけない、血液製剤とほぼ近いような扱いをしないといけないのではな いかと思っているのですけれども、それを臓器移植対策室の方で製品として扱っていな いわけです。ですからそこのところがどうなるのか、少しあいまいになっているのでは ないかと思うのです。恐らくこれは細胞治療の領域と非常にクロースにリンクしてくる し、それはそれで今部会を立ち上げて議論しているところだと思うのですけれども、そ の辺はどうなのでしょうか。 ○早川座長 いかがでしょうか。 ○事務局 現在の薬事法上の整理では、臍帯血移植や臍帯血バンクなどは移植医療の一 環という形で整理されておりまして、現在のところいわゆる薬事法の承認許可を得る対 象にはなってございません。ただ先生が御指摘のように、原材料のオリジンや使い方と いった点を考えていくと、生物由来製品の規制や考え方に非常に近い部分がございます。 現在厚生労働省内においても臓器移植対策室と私どもは連携をとって作業を進めていま して、向こうの臓器の部会においてもこちらの方の制度については御紹介させていただ いております。そういった意味で、臓器の部会の方で今そういう安全対策に関する議論 がこちらの議論も参考に進められているという状況は、私どもも把握しております。 ○池田部会長 よく分かったのですけれども、いわゆる臓器移植での腎臓や肝臓などと は明らかに違いますよね。あれは細胞移植であって、これは血液製剤なわけです。それ を無理やり臓器移植の方へ持っていってしまったので、また非常に混乱しています。患 者さんの側から見ると、非常に分かりにくくなっていると思うのです。ですから、私の 個人的な考えでは、それはやはりここで、あるいは血液事業の方で本来議論すべき問題 ではないかと思うのです。 ○早川座長 その点はいかがですか。 ○事務局 御指摘いただいたように、実際にかなり近いという性質もございますし、そ ういった運営形態や事業形態等も見ていきながら、薬事法としても対策をとる必要があ るときには、適切に対応させていただきたいと考えております。 ○早川座長 少なくともベースは似た話といいますか、非常に関連の深いことだと思い ます。ですので、ここでもそれは対象として議論をして、一体どういう扱いをするかと いうのは、例えば関連する担当部署や部会の方に役割としてはゆだねるのかもしれない けれども、こちらで議論した結果を何らかの形でうまくリンケージしながら、反映させ ていくというスタンスかなと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。 ○池田部会長 私は実は臍帯血の方の委員会にも少し顔を出しているのですけれども、 やはりここのように生物由来製品を非常に注意深く持っていこうという視点と多少ずれ て、非常に違和感を覚えているものですから、やはりあれは非常に重要な位置付けにし ないといけないのではないかと思って、質問させていただいたのです。 ○早川座長 システム的にということやいろいろな事情で、向こうでやっている議論を ここですべて取り上げてしまうわけにはいかないだろうと思うのです。しかしこちらの 意見といいますか、こういう議論があるということをいろいろ申し上げていくのは可能 なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 極めて大事な点だと思いますので、ここで御議論いただいた内容につ いては臓器移植の問題としてではあっても、そちらの事業の中で安全性確保ができるよ うに、臓器対策の担当部署にきちんと御連絡をすると。また血液事業の方でも関連する のでそちらにも申入れをして、同質の安全確保を現場においてとっていただくようにし たいと思いますので、御指摘の点を踏まえて対応したいと思います。ありがとうござい ました。 ○早川座長 よろしくお願いいたします。ほかにございますか。 ○小室委員 資料2-1の「(2)生物由来原料基準の作成」という項目ですが、例えばI CHの先生がやられている委員会や薬局方の関係でもその他の様々なものが作られてい ると思うのですが、それらとの関係を御説明いただけますでしょうか。 ○早川座長 事務局の方でお願いします。 ○事務局 基準作成におけるいろいろな基準との関連でございますけれども、ここで対 象としている第42条基準を考えていくと、現在生物由来製品に関係するだろうと思われ る基準は、いわゆる生物学的製剤基準と細胞組織医薬品医療機器基準という二つのもの が、法的な基準としてはございます。御案内のとおり生物学的製剤基準は、血液製剤に 関する原料血漿の基準や採血基準を含めた、いわゆる原料に関する基準とワクチンに関 する基準、それから個別の品目ごとの各条という形の形態になっておりまして、いわゆ る総則的な部分と製剤的な部分があります。主にここで取り扱う基準は、生物学的製剤 基準の中に入っている総則的な基準のようなものをイメージしていただければと思いま す。  それから当然そういう現在法的な基準があるものだけでなくて、例えば動物由来の原 材料を使ったものであれば、行政指導としても健康な動物を使用するという、非常に当 たり前のことから始まりまして、例えば高度な動物細胞を遺伝子組換えで使用するとか、 そこからいろいろな蛋白を産生するような形で培養して使うといった場合には、現在御 指摘のようなICHのウイルスの確認に関するガイドラインなどで運用しているところ もございます。今回一つの母屋の中にこういったものが包括的に入ってくるので、そう いう既存の行政指導でやっている範囲の中でも必要なものがあれば、基準という形で包 括的に取り入れて総則的な基準を作っていかれればというのが、事務局の現時点での案 でございます。 ○早川座長 小室先生、よろしゅうございますでしょうか。ほかにございますか。どう ぞ、甲斐委員。 ○甲斐委員 先ほどの池田先生のお話の関連で確認なのですけれども、移植に関するも のはここでは含まないということですか。例えば硬膜や皮膚は、製品として市販されて いても含まないということですね。 ○事務局 そこの問題でございますけれども、本当に移植医療という形で純粋なもの、 例えば臓器移植などはいわゆる製品化のプロセスを通っているものではありませんし、 それは本当に移植業として整理できると思うのです。しかし、例えば今甲斐先生に御指 摘いただいた培養皮膚のようなものを実際に企業が入って生産して、不特定多数の方に 販売されるなどという行為につきましては、その製品自体は薬事法の対象の製品と考え られますので、当然そういうものはこちらで御議論いただく必要があると思います。  それから実際に不特定多数に販売するだけでなくても、最近ある形態としては、例え ば企業が実際に細胞を培養する施設のようなものを作り、患者さんから取り出した細胞 組織等を培養して、軟骨などはいい例かと思いますけれども、それをまた患者さんの方 にお返しいただくと。そういう業を反復継続的に行うものにつきましては、やはり薬事 法の業態として整理させていただいておりますので、そういうものもここでの議論の対 象には入ってくるかと思います。 ○早川座長 よろしいですか。例えば臍帯血そのものという話と、それをちょっと加工 したりあるいはメーカーが絡んで供給していくというケースでは、そこでまた一つの切 り分けがあるということですね。後段の方は当然ここで議論の対象になると思います。 先生方、ほかにございますか。 ○池田部会長 それは企業がその業をなして、例えばものを加工する、取って医療機関 に戻すと。その企業は赤十字も含むのですか。 ○事務局 仮にそういう業態として、例えば日本赤十字が細胞培養事業を行うという場 合には、同じように薬事法の業態としての適用を受ける形になるかと思います。 ○池田部会長 それは何か加工しなければいけない…、例えば取ってそれを保存してお くということは含むのですか。あるいは、分離をしてその中だけを戻すという格好にな るとどう…。例えばリンパ球の輸注のようなものをやっているところがありますよね。 大学病院でもやっていますし、赤十字に委託して、そしてそれを戻すということもある のですけれども、その辺も含むのでしょうか。 ○事務局 個別の事例における薬事法での該当性については、また個別に判断させてい ただくことになります。あくまで一般論という形でお答えするのであれば、やはり医療 機関の外にものを出して業としてやっている方に委託をし、何か薬事法に該当するよう なことを行うのであれば、薬事法での業態として許可なり承認が必要になってくるとい うのが原則的な考え方でございます。 ○早川座長 ほかにございますか。菅谷先生、どうぞ。 ○菅谷委員 記録の保存についてですが、医療機関も保存対象になってくるのだろうと 思いますけれども、この諸外国の例では医療機関について何も書いていないので、どの 程度の規制があるのか、それも一遍調べておいてください。 ○早川座長 お願いします。 ○事務局 承知いたしました。 ○早川座長 ほかにございますでしょうか。それでは更に追加のコメント、あるいは御 意見がございませんようでしたら、先ほどちょっと御説明がありましたけれども、今後 提案にあるようなスケジュールの中でいろいろな論点を詰めていくということです。小 委員会で審議し、それをこの部会に上程して、そこで御指摘いただいた点をまた小委員 会にフィードバックして御議論いただくというスケジュール、検討になるかと思います けれども、先生方はそういう段取りでよろしゅうございますでしょうか。では、取りあ えず次は小委員会の方で御検討いただくということにしたいと思います。この部会のこ とでございますけれども、次回の開催予定について事務局の方から御説明いただけます でしょうか。 ○事務局 次回の開催予定でございますけれども、今座長の方から御紹介があったよう に、小委員会の方でいろいろな課題について整理をして、その検討結果をこちらの臨時 部会に御報告できるタイミングでの開催とさせていただきますので、11月の下旬ぐらい になるかと思います。また事務局の方で日程調整をさせていただきますので、どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○早川座長 どうもありがとうございます。ということで、次回につきましては追って 日程調整をするということですが、先生方から全般的に追加の御意見あるいは御質問、 コメント等がございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。どうぞ。 ○審査管理課長 今後の細部にわたっての御議論は、今座長の方から御紹介があったよ うに小委員会で御議論いただくところですけれども、配付させていただいた先ほどの資 料2-2の小委員会のメンバーについてでございます。親部会の方から早川座長、倉田部 会長代理、山口委員、小室委員、甲斐委員と、それ以外に当部会の委員ではない先生方 の御協力も得てということで、事務局としては当面考えられるメンバーとして、このよ うな案を作成させていただいたところでございます。ただ、もしよろしければ座長とも 更に御相談をして、又は先生方から適当な者で御協力いただける先生の御推薦がありま したら、この場でも後日でも結構でございますので、そういう先生にも御協力いただい た上で、最終的に小委員会のメンバーを固めさせていただければということです。今日 は取りあえずの事務局の案という形で、このような委員に御協力いただきたいという御 紹介をさせていただくまでにとどめたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○早川座長 ということですので、更にこういう方がよろしいのではないかという御推 挙がもしありましたらば、この場でお申し出いただきたいと思いますし、また後ほどで も…、これはいつぐらいまでという期限がございますか。小委員会の日程等もあります から、1週間か10日程度の中で先生方からお知恵を拝借できればと理解してよろしゅう ございますか。ということですので、もしこの会の後で御意見、御推挙いただける方が ございましたらば、また事務局の方にお知らせいただければと思います。よろしくお願 いいたします。  それではこれで本日の議題としてはよろしゅうございますか。本日は大変お忙しい中 先生方にお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。また、次回もどう ぞよろしくお願いいたします。 (了) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743) - 23 -