02/10/11 第10回社会保障審議会年金部会議事録              第10回社会保障審議会年金部会                    議事録                平成14年10月11日 第10回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成14年10月11日(木) 10:00〜12:30 場所  :霞が関ビル 東海大学校友会館「阿蘇の間」 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、翁委員、小島委員、近藤委員、      杉山委員、堀委員、矢野委員、山口委員、山崎委員、若杉委員 ○ 高橋総務課長  定刻になりましたので、ただいまより、第10回社会保障審議会年金部会を開会いたし ます。  議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか、次のとおりでございます。  資料1−1、これまでに「各委員より提出のあった資料」。  資料1−2、これは本日付の紙になっておりますけれども、つい先日、矢野委員から ご提出のあった追加資料でございます。  資料2−1、「年金制度改正に係るこれまでの意見の整理(案)」ということでござ います。これはこれまでにご議論いただいております検討項目、それについての論点、 これに従って各委員のご意見を私どもなりの見方で整理をさせていただいております。  資料2−2が、「年金制度改正に係るこれまでの意見の整理(論点の構成) (案)」、これは2枚紙でございますが、これは資料2−1の検討項目と論点、この部 分だけを全部抜粋いたしまして、一覧で見やすくしている補助的な資料でございます。  参考資料1として、第8回年金部会の議事録。  委員より要望がございましたので、日本経済団体連合会から発表されました「公的年 金制度改革に関する基本的考え方」、これを参考資料2としてお手元にお配りをいたし ております。  委員の出欠の状況でございますが、本日は、今井委員、大澤委員、大山委員、岡本委 員、渡辺委員につきましては、ご都合によりご欠席ということでございます。  ご出席いただきました委員の皆様方の三分の一を超えておりますので、会議は成立い たしておりますことをご報告いたします。  それでは、以降の進行につきましては、部会長よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  本日もご多忙のところをお集まりいただきましてありがとうございます。  今、資料の説明もございましたし、また、前回ご説明申し上げましたように、10月の 2回を使いまして、これまでそれぞれ委員の方々からいただきましたご意見をとりまと めて論点整理(案)として、いずれ公表するための総論的な部分でございますけれども 、この2回を使って一応一段落をつけたいというように考えております。  後ほど、資料2−1と2−2を用いながら、順次その論点の部分について、再度皆様 方のご意見を伺っていきたいと思いますが、本日の議事進行の仕方として、次のように 考えておりますので、ご了解いただきたいと思います。  本日は、できれば、まず全体をざっと一通り見ておきたいと思います。つまり論点整 理のたたき台として、こういう整理の仕方でよろしいのかどうかということについて、 全体をとにかく一回通しで見ておきたいと思っております。大きな項目ごとに総務課長 から簡単なポイントについて説明がございます。その後、各委員の方々にそこを見てい ただいて、こういう論点の整理の仕方でよろしいのかどうかということを少しチェック していただきます。その際、本日の会議で追加すべき点があれば、あるいはご自分の発 言であるけれども、趣旨が必ずしもそのとおりでないと思われるような方は修正のご意 見をいただきたいというように考えております。  なお、資料2−1でございますけれども、ここにはそれぞれご意見と同時にお名前が ついてございます。いずれこれは論点整理案として公表する際にはお名前を取るつもり でございますけれども、論点整理の事前の作業としては、まだお名前が入っておりま す。ご存じのとおり、議事録も公開されておりますので、お名前を入れようと入れまい と余り大した違いは、昔の審議会と違ってなくなってきておりますけれども、論点整理 を出すときにはもう少しまとめて整理したものをお名前を入れずに出すつもりでおりま す。今日の段階では、まだかなり細かくそういう点で論点として提示されておりますの で、先ほど申し上げましたように、項目ごとに、総務課長の方から若干の説明の後、各 委員の方々に論点整理の仕方を見ていただき、そして修正なり、つけ加える点があれば ご意見をいただきたいというように考えております。  なお、前回の部会以降、提出されましたご意見につきましては、もちろん資料の中に 意見そのものが入っておりますけれども、この論点整理の案というところには、既にこ こに織り込まれておりますので、そのつもりでお読みいただければというように考えて おります。  なお、本日は全体をとにかく一回サーベイいたしますので、実は今日タイムキーパー をお願いしてございまして、12時20分ぐらいまでに一通り終えるように、申し訳ござい ませんが、私の方である程度時間が来ましたら次に進ませていただきます。そして今日 不十分な点は、次回、改めて今日訂正した部分の論点整理案に基づきまして、さらにご 議論していただくというような予定でおりますので、よろしくご了解いただきたいと思 います。  それでは、まず論点整理案の資料につきまして、事務局の方から順次ご説明を簡単に いただきたいと思います。 ○ 高橋総務課長  それでは、資料2−1 に沿って、「年金制度改正に係るこれまでの意見の整理(案) 」ということで資料を提出しておりますけれども、検討項目、論点、これに沿って、そ れぞれの各意見については触れませんけれども、議論の整理というものを少し申し上げ たいと思います。  検討項目、大きい番号で一つ一つということでよろしゅございますね、部会長。 ○ 宮島部会長  はい。 ○ 高橋総務課長  それでは、まず最初に、「年金制度改革の基本的な視点」、検討項目1でございます が、これにつきましては、論点は単純でございますけれども、年金制度改革、これは次 期ということでございますが、「年金制度改革の基本的な視点をどう考えるか」、この 点につきまして、私どもなりに整理をさせていただきましたが、ここは意見が相対立す ると、そういうところではございません。幾つかの視点の提示があったということでご ざいまして、提示された視点に沿って整理をさせていただいたということでございます 。  委員意見のところで、ゴジックで字体を変えているところが、大括りでこんな趣旨か なというところで私どもまとめさせていただいたものでございますけれども、まず一つ が、現役世代の年金に対する不信感を払拭する改革を目指すべきとする意見。  第2点目は、給付水準と現役世代の保険料負担をバランスのとれたものにすべきとす る意見。  少子化、高齢化の進行に対し、柔軟に対応でき、かつ安定した制度とするべきとする 意見。  次のページ、四つ目の視点としては、将来の年金を実感できる分かりやすい制度とす るべき。あるいは、さらに視点として、就労形態、ライフスタイルの変化に対応できる ものである制度とするべき、こういうような基本的な視点のご提案があったというふう に私どもとしては理解しております。以上です。 ○ 宮島部会長  以上、5点、大きく中を整理いたしまして、それぞれの委員の方から提起されました 考え方、ご意見をその中でまとめたものでございます。若干の重複がございますけれど も、いかがでございましょうか。こういうような基本的な視点ということで5点を整理 させていただきました。  先ほど申しましたように、論点整理としてきちんと示す際にはもう少し中を整理いた しまして、オープンにするということも考えておりますが、とりあえずご自分の発言の ところで、こういうことでよろしいのかどうか、少し舌足らずだとか、何か意見はあり ますでしょうか。若杉委員。 ○ 若杉委員  このまとめをさっと見ましたけれども、ここで一番最初に「年金とは何か」、そうい う整理がないと思うんですね。今とこれからの状況を見て、年金というものをどういう ふうに考えるかということが大事だと思うんです。そして年金の中でも、俗に年金の三 本柱と言われるように、公的年金、企業年金、個人年金があるわけですが、それぞれ誰 かが拠出をして、そして誰かが給付を受けるわけですけれども、公的年金であれば、自 分のためでもあるし、相互扶助という面もあるわけです。あるいは企業年金であれば、 企業が人事政策上というか、そういう面からやるわけです。個人年金は自分のためにや るということで、それぞれベネフィットを受ける人は最終的には個人ですけれども、お 金を出す人たちはまた違う動機で出すわけですね。ですから、そういうようなことも考 えて「年金とは何か」と。そういうことをまずきちんとすべきではないかと思います。  それから、ここでも似たようなことを私申し上げましたけれども、今ですと60とか65 になったら、年金はもらうものだと、そういう考え方ですけれども、そうじゃなくて、 例えば、元気なうちはもらうものではないと考えるのか、年を取ればもらうのが当たり 前だと考えるのか、もらいたい人だけがもらうと考えるのか、随分年金の制度は違うと 思うんですね。ですから、そもそも日本でこれから長期を考えながら年金制度を新しい ものにしていこうということですけれども、年金の定義をきちんとすることが必要だと 思うんですが、ここでは、それがなくて、かなり詳細な議論にすぐ入ってしまっている と、そういうふうに思うんですね。そのことがいろんな議論を、視点が広くなりすぎて まとめるのが大変じゃないかと、余計なことですけれども、そういうことを感じます。 ○ 宮島部会長  多少幾つかに分かれていて、後の方で、公的年金と私的年金の関係などが触れてある のですが、まず「年金制度とは何か」、まさに基本的な考え方です。我々も老齢年金は 自動的にある年齢が来たときにというのを考えておりますけれども、具体的には繰上げ 、繰下げ年齢の話が出てきておりますけれども、今のような趣旨をどういった形で盛り 込むのがいいのか。 ○ 若杉委員  「年金とは何か」ということをきちんと書く必要があるのではないかと思うんですね 。その中で、三つの年金がそれぞれどういう役割を持って補完し合っているか。そうい うことをきちんと最初に書いて、その後で、それを確保するためにどういう制度にして いくか、そういう構成の方が望ましいのではないかという意見です。 ○ 宮島部会長  いかがでございましょうか。年金制度を定義するのはなかなか難しいのかもしれませ んけど、ご趣旨は今ありましたように、年金制度はどういうものか、その中にいろんな 年金が相互に役割分担をしていますが、そのうち、どの部分をどういうふうに検討して いくか、少しターゲットをはっきりさせるということでもあると思うのですね。  今のご意見は、やや前提としての意見、「年金制度改革の基本的な視点」の前に来る 前提としての年金制度の考え方ということになると思います。そうしますと、これはど のような形になりますか、若杉委員、すいませんが、事務局と相談して、その部分を盛 り込むとして、どういう表現にしたらよろしいのか、ちょっと考えていただけませんで しょうか。それで次回、それを入れた上で、もう一度落ち着き具合いですとか、中身に ついてご議論いただくことにしたいと思いますので、一応どういう内容で書き込むのか 、何か考え方ありますか。 ○ 高橋総務課長  この意見自体は、この審議会として、何か中間的な意見とりまとめで、審議会の意見 を出しますとか、そういうものではございません。単に今までの意見を整理したという ものですから、書いていないということは議論はしていないということですから、そこ を議論しなければいけないわけであります。今、その前にここに書く、書かないは別に して、「年金とは何か」、あるいは年金といってもいろいろございますから、公的年金 、企業年金、純粋な個人レベルの年金、そういうものについて、これは役割分担はどう いうふうになるのかというお話だと思いますけれども、議論があったか、なかったかと いう点になりますと、これは7番目、20ページの下の方でございますが、「公的年金と 私的年金の役割分担」というところで、お話は大体この辺に出ているのかなと。一応検 討項目に挙げております。それから、議論は、実際ここでございましたので、その整理 は後ろの方になっておりますけれども、書いてます。あと場所は、後ろがいいのか、前 がいいのかという議論はありますが、そこはモノの考え方だと思いますけれども。 ○ 宮島部会長  しかし、こういう形で議論として提起されているわけですから、どこに置くか、ある いはどういう表現になるかは別として、年金制度が基本的にどういうものなのかとか、 どういうタイプが基本的にあるかというようなことについて、これは意見の整理でござ いますから、ご意見をいただいた分については書き込むのだろうと思います。 ○ 神代部会長代理  大変ごもっともなご意見だと思うんですけれども、公的年金と私的年金だけじゃなく て、そういう議論をしだすと老後所得の保障全体の問題に関わるので、非常に大事な問 題だと思いますが、全国消費実態調査も新しいのが出ていますし、そういうものをご覧 になった上で、委員自身がどういうふうにお考えになるかということを、むしろ追加的 な意見としてまとめて出していただいた方が私はよろしいのではないかと思います。一 人一人議論しろと言われればいくらでもできますけれども、全体の意見をまとめていく 上では、若杉委員のご意見という格好で、ここに、もし、そういうことを入れるとした ら、どういう表現になさるのかを追加的にお出しいただいた方がいいのではないでしょ うか。 ○ 宮島部会長  私の申し上げたことはそういうことでございまして、ただ、今この場で文言を考えて いるのはちょっと時間がございませんので、若杉委員から、その趣旨を簡潔にまとめら れたものをお出しいただいて、それを次回には入れて、それで議論をさせていただくと いうことにしたいと思います。 ○ 若杉委員  わかりました。 ○ 宮島部会長  それでは、この五つにつきましては、先ほど総務課長からご議論ありましたように、 極めて総論的な部分でございまして、理念的な部分といいましょうか、そこについては 、特にその中で相対立するようなご意見はなかったような記憶はしておりますが。ただ 、これは16年度に向けて具体的な各論に入っていきましたときに、これらの目的、五つ が全部それこそうまくバランスがとれるのかどうか、整合的なのかどうかというのは、 そのとき恐らく問われてくるものだろうというようには考えております。  第1項目は、一応そういうことで、若杉委員の追加意見を出していただいて、それを 次回、まとめのように収録いたしまして、そこで議論をしていただくということでよろ しゅうございますでしょうか。  それでは、次の第2項目に進みます。 ○ 高橋総務課長  2ページの下の方からです。検討項目2でございますが「公的年金制度の基本的な考 え方・体系」。2番は全体がちょっと長うございますが、ざっとご説明申し上げます。  (1)で「制度の財政方針等」ですが、まず論点として「実質的に価値のある年金額を 終身にわたって確実に保障するという公的年金の役割に照らし、その財政方式をどのよ うに考えるか」。財政方式をどのように考えるのか、最後そういうことになっています けれども、この点につきましては、基本的に賦課方式とすべきとする意見があります。  次のページにまいりますが、「両制度を」と書いてございますけれども、これは賦課 方式と積立方式の併用ということだろうと思いますけれども、両制度を併用し、積立部 分を明らかにした財政運営が必要とする意見が出ております。全体をながめてみますと 、積立方式の方にむしろシフトするべきというご意見は出ていないのではないかと理解 をしています。基本的には賦課方式であると。ただ、そのやり方の中で、そのままか、 あるいは積立部分を明らかにした財政運営とするか、そういう意見が出ているというこ とだろうと思います。  次に3ページの「○」でございますが、「基礎年金について、社会保険方式を維持す るべきではないか。税方式化についてはどう考えるか」ということでございます。ここ は単純でございまして、社会保険方式を維持すべきとする意見と、基礎年金は税方式に よるべきとする意見、こういうものが出ております。これは長うございますので、なぜ かという部分だけ申し上げますと、社会保険方式を維持すべきとする意見というところ では、社会保険方式については、自助の要素が内在している。これは言葉の若干の人に よる使い方の違いかもしれませんが、自助の要素が内在する、あるいは共助を基本に置 いている。  税方式化は、何もしなくても一定年齢に達すれば年金が支給されるという点では違和 感がある。あるいは社会保険方式の方が給付と負担の関係が明確であるというお話がご ざいますが、負担増については国民の合意が得られやすいのではないか。  それから、基礎年金は税方式にするべきというご意見の方は、概ねざっと拝見します と、その理由としては、所得捕捉の問題が解決されていない現状では財源面で完全な1 階と2階部分の峻別が必要だ。その場合に、生活の基本的な部分を保障するということ で間接税。あるいは理念の問題であろうということだと思いますが、全住民を差別なく 対象とする普遍主義に基づく基礎年金制度の確立ということだから税だ。基礎年金の税 方式への転換は、男女ともに一生を通じて多様な働き方をするようになった時代に適し た抜本的な改革の一つではないか。  理由としては、こんなところが挙げられています。  次に論点でございますが、4ページのちょっと下の方ですが、では、現行の延長とい うことになりますが、「賦課方式と社会保険方式を基本とする財政運営の中で、年金積 立金の役割についてどう考えるか」。これにつきましては、高齢化が進んだ段階におけ る負担の軽減などの役割があるとする意見、積立方式としての性格付けが必要とする意 見、こういったものが出ております。  では、積立金をずっと今持っているわけでございますが、5ページ、仮に今後の財政 運営の中で、「年金積立金の取り崩しについてどう考えるか」ということについては、 「取り崩すべきでない」あるいは「取り崩すべきである」というご意見が出ています。 「取り崩すべきでない」という方は、将来世代の負担との関係で、将来世代に対する責 任を果たすべきであろう。「取り崩すべき」というのは取り崩していいのではないかと いうことだろうと思いますけれども、取り崩しによって、保険料の引上げを抑えること はできるのではないかというお話が出ています。  それから、「公的年金の一部に積立要素を入れることについてどう考えるか」という ことですか、賦課方式を基本としつつ一部に積立要素を入れるべきとする意見が出てお ります。こちらの方は、積立要素を入れるべきだという、その積立要素の具体的内容に ついては、大体出ている意見は、確定拠出年金のようなものというイメージでおっしゃ っているのかなと見ております。  「報酬比例の積立型移行・民営化」、これについては反対であるというご意見が出て おります。これはイギリスの公的な報酬比例部分からのコントラクト・アウトした個人 年金の昔の例をお引きになっているご意見だと思いますけれども、そういったいろんな 外国の例もあるので、難しいのではないかというご意見が出ております。  それから、制度の体系論に関して5ページの下の方、論点として、「サラリーマング ループと自営業者グループの間で異なる取扱いとなっていることについてどう考えるか 」、もう一つの点は、「自営業者グループについて所得比例方式を目指す場合に必要と なる所得把握についてどう考えるか」ということでございます。この自営業者、サラリ ーマングループの別立ての考え方につきまして、両者は今後とも区分するべきとする意 見。あるいは、これは今すぐということではないのだと思いますけれども、区分しない 方向を目指すべきだとする意見が出ております。  ただ、区分しない方向を目指すべきであるとする意見について、ご意見を述べられて いる何人かの方は、ただ自営業者グループの所得把握が現状ではなかなか難しいと。区 分しない方向を目指すとしても、所得把握の問題点がクリアーできないとなかなか難し いのかなというようなご意見が出ております。正確な所得把握が前提となるということ だろうと思います。  次に、「年金給付の構造」、現在は1階が定額の基礎年金、2階は報酬比例の厚生年 金ということになっておりますけれども、この給付の構造についてどういうふうに考え るかという点につきまして、現行の2階建て方式を維持すべきであるというご意見。そ れから、2階建て維持なんですけれども、維持論の前提として、さらにということでご ざいますが、7ページの上、厚生年金の現在の保険料において基礎年金に対する部分と 報酬比例部分、その費用負担を完全に分離するべきではないかというご意見が出ており ます。  それから、給付の構造につきまして、1階、2階の構造ではなくて、所得比例構造に 一本化していってはどうかというご意見も出ております。その場合に、論点として、「 所得のない、あるいは低い者に対する年金による保障について、どう考えるか」という ことにつきましては、意見の方の7ページの上ですが、そういった今の1階、2階建て の構造から所得比例構造に変える場合には、低所得者に対する税財源による補足的な給 付が必要であろうといようなご意見が出ております。その場合、生活保護との関係をま た考えないといけないというようなご意見が出ております。  それから、検討項目の方ですが、この制度の体系なり財政方式といった基本論点の3 番目として、「制度の理解を高める仕組み」をどうやっていくか。  論点として、「現役世代、特に若い人の年金制度に対する理解を深めるため、将来の 自らの年金給付を実感できる仕組みや運営としてどのようなものが適切か」ということ でございますが、これについては、わかりやすいものにしていくべきだという方向につ いて異論は出てはいないと見受けられます。  まず、個人に対して加入記録や将来の年金についての情報を通知するべきだ。あるい は、そういった他の情報提供だけではなくて、制度論に踏み込んで、ポイント制の導入 を検討するべきだと。  さらに、現行の給付設計の体系をさらに直すということになりますけれども、スウェ ーデンのような概念上の拠出建てを考えていってはどうかというようなご意見も出てお ります。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。この部分はかなり長い、もちろん重要な部分でもございま して、基本的な考え方、体系、財政方式、制度の体系、制度の理解度、最後の点につい ては余りご異論も特に多くなかったようではございますが、いかがでございましょうか 。概括的な部分がたくさんございますけれども、少なくとも論点の整理の仕方として、 まず制度の財政方式のところはいかがでございましょうか。 ○ 矢野委員  4ページの真ん中あたりに、基礎年金は税方式にすべきという見出しのもとに、国庫 負担を2分の1に引上げて、そして間接税方式に移行していくということを書いてある わけですが、どういう段取りでやっていこうと考えているかについて、この段階ではま だ具体的な案になってなかったのですけれども、今日、資料1−2として意見書を提出 させていただきましたが、その2ページから3ページにかけまして書いておりますので 、次回の論点整理の中に取り入れていただきたいと思っております。  主張の中身は、2ページの下の方に書いてありますとおり、消費を賦課対象とする間 接税方式で運営すると、基礎年金はそうあるべきだと書いた上で、3ページの上の方に 、基礎年金給付費に対する国庫負担を、現行の1/3 から1/2 へ確実に引上げることとし 、その財源として消費税を活用すべきである、とりあえずそこから入っていってやった らいいだろうというのが私の考え方でございますので、これを織り込んでいただきたい と思います。  この4ページに書かれた論点は、13ページにも似たような表現で繰り返されておりま すので、それは今日の意見書でより具体化をしているというふうにおとりいただきたい と思います。ありがとうございました。 ○ 宮島部会長  矢野委員、今の点は、4ページのところに書き込むというお話なのか、それとも13ペ ージ、あるいは14ページにあるからそのままでいいのでしょうか ○ 矢野委員  両方に書いていただいた方がいいかもしれないですね。 ○ 宮島部会長  そうですか、わかりました。 ○ 矢野委員  お願いいたします。 ○ 宮島部会長  確かに、論点整理のところで、財源とか財政方式のところ、体系論のところで、幾つ か議論の重複がございまして、それをどこかに1カ所だけにして書いていくと誤解を招 くおそれもあるということで、同じような趣旨のことが少しあちらこちらにも入ってお りますので、今のご意見はわかりました。  ほかに論点整理につきまして、ご意見、どうぞ、堀委員。 ○ 堀委員  ここでは賦課方式と積立方式、社会保険方式と税方式(私の言う社会扶助方式)が財 政方式としてまとめられています。私は従来からも言っているのですが、社会保険方式 か社会扶助方式かというのは、保障システムの問題で、必ずしも財源の問題とパラレル ではない。現に社会保険に税が入っているわけですから、財政というか、財源だけの問 題ではない。財政方式として括るのがいいのかどうか。税方式と社会保険方式と対比を していますが、どうもごっちゃになるのではないかという危惧をいたします。皆さんが こういう整理でよければそれでもいいですが、考え方としては違うのではないか。 ○ 宮島部会長  社会保険方式といっても、賦課方式、積立方式、さらにその中の財政方式の違いがあ る。それから、社会保険というものとして税方式という、これは年金制度そのものの違 いというふうに言ってもいいかもしれませんね。その辺のところを少し整理した方がこ こはよろしいということでしょうか。今のような形に沿って。 ○ 堀委員  はい。 ○ 宮島部会長  私もこれを読んでいて、まだ、この段階は、理念的な議論でございますので、社会保 険方式の定義をちゃんとしたらどうなるかとか、なかなかそうなりますと簡単ではない 面も無論ありますけれども、今のお話、社会保険の中での、大きく言えば賦課方式と積 立方式、世代間扶養と積立方式型のものがあり、そして今度は、世代間扶養型を基本的 にとりながら、その中に税負担が入るというようなタイプの形も、一応社会保険方式と いう形で呼んでいる。それと対照概念にあるのは全額税方式というような考え方。その 中間に、そこに至るプロセスについてのご御意見は、今、矢野委員からご説明があった ようなものもあるということで、少し整理をし直していただきたいと思います。 ○ 高橋総務課長  はい。 ○ 宮島部会長  ほかにいかがでございましょうか。どうぞ、山崎委員。 ○ 山崎委員  意見がないようですから、質問させていただきたいのですが、7ページに載っており ますが、今日配布された追加意見書にも同じものが載っておりますが、厚生年金の保険 料における1階と2階部分を完全分離すべきという矢野委員の意見なんですが、もう少 し具体的に言っていただいた方がわかりやすいと思います。例えば、1階と2階を完全 に分離して、厚生年金の体系も、定額負担と定額給付+報酬比例負担と報酬比例給付と いう格好にして、1階部分を基本的に自営業者グループと制度上も同じにするという意 味なのかどうか、一つの考え方としてあると思いますが。 ○ 矢野委員  大きく二つ、このように主張しました根拠がございます。一つは、いずれ1階部分に ついては税方式にして、2階部分については保険料でいくと。その後、もちろん修正を いろいろと考えていかなくてはならんとは思いますが、そういうことによって、制度的 にも二つに分離することが必要であるということがあります。  もう一つ、仮に現行制度がしばらく続いたといたしても、例えば被用者保険の方でい って、17.35 %という標準報酬月額での保険料がありますが、そのうち何%が基礎年金 で使われて、何%が報酬比例に使われているかということは実ははっきりしてないんで すね。いろいろな資料をいただいた結果、拠出金にどれだけ出しているかということか ら類推して、大体今4.9 %というような数字をご報告いただいていると思うんですけれ ども、何年かの間にじりじり増えていって、1号保険の空洞化ということと相まって拠 出金の比率が増えていっているという実態もあるわけです。  ですから、制度としての信頼感を高めるためにも、保険料がどのように分配されてい るのか。そしてそのルールは何であるのか、これをはっきりして、ルール化し、同時に それを情報公開という形で公にする。それが大事なのではないか、これが二つ目の理由 でございます。 ○ 宮島部会長  少し先をにらんだ話という点もございますね。 ○ 矢野委員  そうですね。現状でもそう分けて把握することは必要だし、将来を考えれば、なおさ ら必要だと、こういうことでございます。 ○ 山崎委員  そうすると、私が理解していたものとは違って、今の厚生年金一本の保険料の内訳を 透明にしてほしいと、こういうことでしょうか。 ○ 矢野委員  まず第一義的にはそこから始まると思います。 ○ 堀委員  同じ7ページの若杉委員の提案で、所得のない、あるいは低い者に対する年金による 保障のところですが、生活保護世帯に拠出を行わせるとあります。そうすると、生活保 護世帯には満額の基礎年金が出ると思うのですが、生活保護世帯に至らない低所得世帯 についてはどうするのでしょうか。今までどおり全額免除にすると年金額が3分の1に なります。その3分の1を3分の3にするのでしょうか。そうするとした場合、免除者 の所得の把握が正確にできることが前提となります。生活保護世帯の年金を3分の3に する場合には、その辺がちょっと気になるのですが、どういうお考えでしょうか。 ○ 若杉委員  この辺は概念的なことを考えていて余りそういう制度的なことは考えていなかったの ですけれども、ですから最初に申し上げた年金の概念ということと関係があるわけです けれども、働いている間の現役の世代の間の生活保障というか生活保護と老後の年金に よる所得の確保というのは、それをきちんと分けてやるのかどうか、それともそれを一 緒にやってしまうのかというのは制度の上で随分違うと思うんですね。そういうことを きちんと分けて考えるというのも一つではないかということで、こういうことを書きま したので、特に今のような、先生がおっしゃったようなことについては考えていません でした。 ○ 神代部会長代理  矢野委員にちょっとお伺いしたいのですが、先ほどのご説明で、第2点目で、基礎年 金部分に相当する保険料率が何%かわからないということで、一応4.9 %というような 推定の数字をおっしゃいましたが、これは厚生年金と共済年金の拠出部分だけを取り上 げてみた場合の話ですか、それとも国民年金の加入者が払っている保険料も全部ならし てやっているんですか。そこがちょっとよくわからない。 ○ 矢野委員  これは厚生労働省の方からいただいた資料で申し上げているわけなんですが、私が理 解しているところでは、標準報酬総額と基礎年金拠出金を比較して、そして、その基礎 年金拠出金に相当する保険料率というものを計算した場合に、1995年度では3.85%であ りましたと。それがだんだん増えて、2000年度には4.9 %になったと。だから月額ベー スの保険料である17.35% から4.9% を引いた分は2階部分になるのかなという推定を しているわけです。断定的にそうだということにはならないと私は思うんですけれども 、一応推定値としてはそうなっていると考えています。推定値では不十分ではないかと いうことです。  もちろんそのためには、基礎年金は何のために存在するのか、報酬比例部分は何のた めに存在するのかという意義を決めていけば、より一層分離というのは必要になってく るということになると思っております。むしろ、その辺は厚生労働省の方からご説明い ただいた方がいいと思います。 ○ 吉武年金局長  私どもの方から、次回、資料を出します。余りこの点ばかりご説明しても時間がかか りますので、今お話しのあった点についての資料は、次回、事務局からお出しします。 ○ 宮島部会長  今の整理のところで、何度も議論に出てきますが、ヨーロッパやアメリカなどは全国 民皆年金制度ではないんですね、必ずしも。一定の所得以上の人ということですけれど も。ここはサラリーマングループをどうするかという話などをとり上げていますが、税 方式の議論の中では普遍性というのは非常に強調されていますけれども、いわゆる皆年 金制度というか、それを維持するかしないかというような話は論点整理の中には入りま せんか。それは場合によっては入れた方がいいのではないか。  もちろん、私は個人的な意見として言うというわけではないけれども。 ○ 小島委員  私も公的年金の皆保険制度を維持するという立場ですので、そこは論点として入れて おくと。これは公的年金の役割という、初め若杉先生がおっしゃったとおり、入った方 がいいのかと思いますけれども、今の制度で皆年金が実質的に維持されていくかは、そ こは議論があるところです。そこは論点整理入れるべきではないかと思っています。 ○ 宮島部会長  議論の後の方にいろんな波及が大きいと思うので、明示的に少し入れてもらうように します。 ○ 若杉委員  今のそういう皆年金かどうかも含めて、私は年金というものをきちんと定義すべきだ ということで最初申し上げました。 ○ 宮島部会長  わかりました。ほかに論点整理のところでございますでしょうか。それでは、戻るこ とも考えまして、今度は、「3.給付と負担」というところに移りたいと思います。 ○ 高橋総務課長  8ページの検討項目3番「給付と負担」、これは全部で検討項目は4点ほどございま すが、まず(1)の給付の「給付水準」でございます。ここの論点、「高齢者世帯の生計 費を賄うという観点、現役世代の生計費との比較等から見て、年金の給付水準をどうと らえるのか」。これにつきましては、大きくは二つに分かれるだろうとみられます。  一つは、一定の水準の確保が必要。これは老後生活の基本部分を保障する水準の確保 が必要とのご意見でございます。  あとは、現行の給付を引き下げるべきとする意見、これは現行の厚生年金の給付水準 はやや過大ではないかというようなご意見が幾つか出ております。  それから、給付水準そのものではないんですけれども、物価スライドに関しまして、 物価下落の際も、物価スライドを実施すべきであるとのご意見が出ております。今のは 9ページでございます。  第2番目、「保険料負担のあり方」でございますが、まず、論点として「将来の保険 料水準を過度に上昇させないためには、現在凍結されている保険料(率)の引上げを再 開すべきではないか」、これは当面の話でございますけれども、保険料凍結の解除が必 要とする意見ということでございます。逆に言いますと、保険料水準について凍結を続 けるというご意見は出ていないようでございます。  それから、目を将来に転じまして、これは論点でございますが、「前回改正での最終 保険料(率)の設定(国庫負担2分の1(19.8%))も踏まえ、将来の最終保険料(率 )及び到達時期についてどう考えるか」ということでございますけれども、この最終保 険料の点につきましては、最終保険料の引上げについては慎重な意見。  そうではなくて、前回改正の水準を下回る水準ということがはっきり出ているご意見 として、年収の20%を大幅に下回る水準で長期間保険料を固定すべき。  それから、これは水準そのものではございませんが、提示のやり方の問題として、最 終保険料は、年収の20%と明示することは必要だとするご意見が出ております。  あとは、引上げのやり方の問題でございますが、「厚生年金に係る保険料の5年ごと の引上げについて、どう考えるか」という点でございます。現行の5年ごとに一回とい うことではなく、小刻みに保険料を引き上げるような方法をとるべき、あるいはそうい うことを考えていいのではないかというようなご意見が出ております。  それから、検討項目の中の小項目第3点目でございますが、「想定を超えた社会経済 の変動に対する対応」ということでございます。これは財政再計算では、一定の人口構 造の変動なり、経済見通し、経済的な数字を見込んで財政計算をやっているわけでござ いますが、その見通しの想定を超えた変動にどう対応するのか。そのやり方についての 議論でございますけれども、論点としては、まず「人口構造や経済情勢の変化等の外生 的な社会経済情勢が想定を超えて変動するときに、その都度給付内容や(その都度とい うこと、つまり財政再計算ごとということになりますけれども)将来の保険料負担を見 直していくことには限界があるのではないか」。今までのそういった制度改正をやって いくやり方、そういったものについて限界があるのではないか。  こういう論点につきまして、給付の抑制と負担の増加の繰り返しが制度に対する信頼 を損なっているとする意見が二つほど出ています。  それから、「将来にわたって最終保険料の上限を固定し、その後人口構造や経済情勢 の変化等の外生的な社会経済情勢が想定を超えて変動するときは、給付水準を自動的に 調整する手法についてどう考えるか。また、その方法についてどう考えるか」という点 でございますけれども、ご意見としては、保険料を固定して給付水準を自動的に調整す る仕組みを検討するべきというご意見が、次のページまでわたっておりますが、かなり 出ております。  それから、少子化の取組や経済発展、これはほぼ似たようなお話ではないかと思いま すが、少子化への取組や経済発展に向けた努力によって給付や負担が変動する仕組みが 必要とする意見が出ております。  そういった自動調整のやり方につきまして、特に留意するべき点ということになるか と思いますが、負担を固定した場合の給付の自動調整については、下がりすぎないよう 一定の限度を設けるべきだとする意見が出ております。調整の対象となる世代に関して のご意見だと思いますが、11ページの下でございますけれども、労働力率、出生率の変 動による給付の調整を受ける世代、どういう世代が調整の対象となるか、それをよく考 えるべきだというようなご意見が出ております。  それから、自動調整という方法をとらずにというふうに思われますが、12ページにな りますけれども、現役世代の可処分所得に応じた給付とすることで、これは手取り所得 に対して年金も手取りベースで、その代替率を維持するべきだということでございます が、そういったことで調整は可能だというご意見が出ております。  それから、検討項目の小項目4点目でございますが、「現在受給している年金の扱い 」について、論点は、「将来世代に対して保険料負担の引上げや給付水準の適正化を求 める場合、現在の年金受給者に対しても、給付水準の適正化を求めることについてどう 考えるか。また、その場合の方法についてどう考えるか。」ということでございますけ れども、既裁定年金についても適正化を検討すべきとするご意見。仮にそういう既裁定 年金について適正化をするという意味であれば、賃金スライドを、これは上がるも下が るもということだと思いますけれども、前回は既裁定年金は物価スライドのみで改定に なるという制度改正をやっておりますが、従前に戻して、賃金スライドは復活するべき だとのご意見が出ております。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ここはかなり幅の広い、給付水準、負担の水準、それから 変動に対する調整の話ということで大きな括りでございますけれども、まず給付水準、 いかがでございましょうか。それでは、給付水準、9ページの保険料負担のあり方、こ の辺のところで、例えば、意見として十分反映されてない、追加すべき、あるいは修正 すべきというお申し出があれば。堀委員、どうぞ。 ○ 堀委員  どの項目に入るかよくわかりませんが、一つの切り口として、確定拠出にするかどう かということがあったと思うのです。確定拠出というのは納めた保険料に一定の運用収 入をつける仕組みですが、それはあちこちにあるような感じもないわけではないのです が、項目としてはどこに入るのでしょうか。  それともう一つ、給付水準のところの質問です。9ページの一番上の若杉委員の意見 で、代替率30%というのは現在の代替率の60%を30%にするということですか。 ○ 若杉委員  それについて意見があるんですけれども、よろしいですか。 ○ 宮島部会長  どうぞ。 ○ 若杉委員  いつも申し上げていることですけど、年金というのは、何かというと、現在の考え方 は、大体20歳ぐらいから65歳まで働いて、簡単に45年としますと、あとの20年は働かな いでいこうと。ですから現役の45年間の働きでもって、残りの20年間を働かずに、遊ん でというと言葉が悪いのですが、遊んでいこうということですね。ですから45年分の所 得で、あとの20年間を生きるわけですから、結局45年間の所得のうちの大体3分の1は とっておかないといけない、現役と同じような生活するとしたら、3分の1はとってお かなければいけないわけですね。ですから、現役と同じに老後も同じように暮らそうと すれば、現役のときの所得の3分の1、だから、45年分のうちの3分の1ですから、お おむね20年分、それをとっておいて使おうというわけです。したがって、年金のために かかるコストは約3割と考えていいと思います。  それに対して、今、保険料は公的年金だけで17.5%。それで、これから20%とかそう いうことになっていくわけですが、ということは、年金のために3割貯蓄するのですが 、30%分のうちの20%に当たる部分は、つまり3分の2の部分は公的年金でやろうとい うわけですね。  私は、これからの個人がもっと自主独立でなければいけない時代には、公的年金で3 分の2をやるのは多すぎるというふうに考えるわけです。もっとその割合を変えて、個 人年金、企業年金のウエイトを増やすべきだと。そういう趣旨で、ここでは代替率30% というのは、おおよその、かなり激しく減らさなければいけないという意味で言ってい るんですけれども、公的年金、個人年金、企業年金の割合をもう一度見直すべきじゃな いかということでこういうことを言っております。 ○ 宮島部会長  その前の部分はどうしましょうか。給付の構造、これは堀委員が必要があれば追加的 な意見を出していただきたいと思います。確定給付型のものと確定拠出型のものをどう 整理するのかという点は、多少あちこちに入るかもしれませんが、重複してもいいと思 いますので、どこかお考えいただいて、堀委員としてのお考えを入れていただいたらい い。私は意見を言う立場にはございませんので。 ○ 堀委員  確定拠出年金について、スウェーデン方式で言うと、16%のみなし利回りで行う部分 は、現在は日本に導入不可能だと思います。2.5 %の部分については、公的年金の守備 範囲から出して、私的年金として導入する、そういうやり方で給付水準を下げるのはあ り得るのかなと思います。確定拠出年金については、まとめて項目を立てた方がわかり やすいのかなという感じはします。 ○ 宮島部会長  給付の体系あたりのところで、入れておいた方がいいかもしれませんね。 ○ 堀委員  そうですね。 ○ 宮島部会長  負担と両方加わりますから、2カ所に入っても構わないと思いますが。 ○ 神代部会長代理  堀委員と若杉委員のご意見というかご質問というのは、両方クロスしているところが 多分出てくるのではないかと思うんですが、これは近藤委員がおっしゃった方がいいの ではないかと思いますけれども、近藤委員のコメントの横に、ILOの102号条約との 関連、新しい条約の方がいいのかなという気はしますけど、日本が国際労働条約に縛ら れるのかどうか問題がありますけれども、一応102 号条約でいっても40%という縛りが ありますね。新しい方は何号でしたか、45%かなんかだと思いますが、若杉委員の意見 は、非常にストレートに言うと、条約との抵触をどうするのかという疑問がすぐ出てし まうんですよね。だけど、スウェーデンの2%の拠出建てにする方などは、スウェーデ ンはILO条約との関係をどういうふうにクリアーしているかよく知らないけれども、 そこの扱いによっては変わってきますよね。スウェーデンの16%部分だけで考えるのか 、全体含めた18.5%で考えるのか、そこもちょっとよくわからないんですが、これは少 し検討課題にした方がいいかなと。 ○ 堀委員  ILO条約についてちょっと補足します。これは事務局の方がよく知っていると思う のですが、102 号条約の代替率40%というのは、30年加入です。日本のモデル年金の代 替率は40年加入です。そういう違いがありますし、それから日本の代替率は妻の分も年 金額に入れた代替率ですから、単身は違ってきます。ILO条約の代替率というのは、 若いときの賃金に対する老後の30年加入の年金ですから、日本のモデル年金について妻 の年金分を入れないと47〜48%ぐらいになるのでしょうか。妻の分を入れているから60 %になっているので、計算によっては低いことになります。 ○ 若杉委員  いつも申し上げていますけれども、年金のあり方というのは、経済の状態によって違 うわけでして、まだ資本主義として貧しくて、過酷な労働や何かを強いられているとこ ろと、もっといわゆる先進国ということで、労働条件が違うところでは年金のあり方も 違うと思うんです。そういう意味で言いますと、ILOが一律にこういうことを強いて くるというのは、私は正直言って問題があると思います。ですから、そういうところで は、もっと国によって、こういうものは弾力的にすべきだという主張を本当はすべきだ ろうと思うんです。  でも、加盟しているわけですから、こういうものをいかにクリアーしながらやってい くのか、こいうことは工夫しないといけないと思うんですか、長期的にはというか、な るべく早い時期に、国によって違うのだということをきちんと説明すべきではないかと 私は思っております。 ○ 堀委員  また、補足になりますが、ILO条約で社会保障の最低基準を決めた理由についてで す。社会保障負担が低い国は商品の国際競争力が強くなりますので、そのような不公平 をきたさないようにするのがその趣旨だと聞いています。 ○ 宮島部会長  今の議論は、一応議論としてよろしゅうございますでしょうか。もう少し具体的な論 点としては、今後、代替率の話などは、恐らく水準の問題として議論することにはなる と思いますので、論点整理としてはこういう形で残しておきたいと思います。  それから、堀委員の給付水準の話は、給付水準のところで、先ほどのご趣旨ですと、 そこに入れ込んでもらった方がよろしいような気がいたしますので、それを追加意見と して入れていただきたいと思います。 ○ 翁委員  私もここで入れた方がいいと思うんですけれども、多分国民の求めている給付水準か ら考えると、保険料を一定限度に決める場合、そこの調整として確定拠出みたいなもの を導入して考えていったらどうかという見方、考え方もできると思うので、堀先生もそ ういうお考えもお持ちであれば、私もそういう論点から検討すべきだと思います。 ○ 堀委員  社会経済の変動のところとも関係がありますね。 ○ 翁委員  そうですね。 ○ 宮島部会長  10ページのところで、翁委員の意見は、そのものという形ではありませんけれども、 少し入っている。 ○ 翁委員  想定というよりは、多分保険料を法定するということに伴う給付水準との関係を国民 がどう考えていくかということで、確定拠出の導入というか、今もありますが、そうい った制度をどういうふうに組み直していくかということがあり得るかなと思いますけど 。 ○ 宮島部会長  一つのテーマとしてだけでないかもしれないけど、堀委員はどちらかというと給付水 準の話で少し議論されている。翁委員はどちらかというと、将来変動の中でのスタビラ イザー的な発想で議論されていますので、それはそこにそれぞれ入れていただくという ことにしたいと思いますが、たしか、これは意見書の方にもそういう文言では載ってい たような記憶がしております。その辺のところ、追加的なご意見として、ここに書き込 むべき文案としていただければ一番ありがたいと思います。どうぞ、近藤委員。 ○ 近藤委員  12ページの受給している年金の適正化の問題なんですけど、これは年金受給者の平均 余命が延びた分を自動的に減額するという、そういう考え方をぜひ取り入れたらどうか なと思っています。というのは、そのときの65歳なら65歳で期待される年金額と、さら に平均余命が延びればその分延びるわけですから、総額としては同じなので、憲法29 条の辺のところはクリアーできるかなという気がします。以上です。 ○ 宮島部会長  これは、この既裁定年金の部分にそういう形で入れるということですね。スウェーデ ンの議論のとき、年金現価を平均余命で割るという話がありましたけど、そうではなく て、ここのところでそれを入れるということですね。 ○ 近藤委員  はい。 ○ 宮島部会長  場合によりましては、そこに書き込むべき文章も見ていただくことになると思います ので、よろしくお願いいたします。ほかに、山崎委員。 ○ 山崎委員  保険料の凍結は早急に解除すべきだと申し上げたんですが、実はたしか前回の改正の ときの合意事項では、国庫負担割合を引き上げる際に保険料の凍結を解除し、さらに保 険料を下げるということになっていたと思いますが、もしそうであれば、私自身は国庫 負担の割合を引き上げる際に、保険料の凍結を解除しても、なお保険料水準は下げない で、むしろ積立に回すべきだと考えております。ですから、政府として、あるいは政治 的に約束したことかもわかりませんが、むしろ見直しを求めたいと思います。 ○ 宮島部会長  そうしますと、山崎委員の9ページでは、早急に解除すべきというだけが意見として 入っておりますが。 ○ 山崎委員  つまり引き上げるべきだということになります。 ○ 宮島部会長  ここを少し膨らませるということでよろしいでしょうか。 ○ 山崎委員  そうですね。 ○ 宮島部会長  今のご意見は、これは事務局的にはどういう受けとめ方になるのですか。そのときの 約束なり何なり、どの程度しばられるものですか。 ○ 吉武年金局長  前回改正のときには、保険料の国庫負担2分の1場合と3分の1の場合という図を示 しまして、2分の1の場合に一たん下げるという形になっているのですが、それは必ず しも詰め切れた話ではないわけです。端的に申し上げれば、保険料を下げるという最大 の理由は国民負担で、2分の1の国庫負担のところが、国民負担で相当な負担になると いう前提が多分あるのだろうと。ですから税の財源としても相当国民負担増になる。そ ういう手法をとるとすれば、保険料については一たん下げるということだと思いますが 、この問題については、安定した財源を確保するというのが基本になっておりますけれ ども、それではどういう税財源を確保していくということはまだ結論が出ておりません ので、そこは必ずしも前回の財政再計算で出した数値に、平成16年の時点でのことが、 すべてそれに拘束されるということは多分ないだろうと思います。それはむしろ16年度 時点でのトータルとしての税財源、それを最終的に税の負担の姿がどう帰着していくか ということと併せてもともとは検討すべき事項であろうと私どもは考えております。 ○ 宮島部会長  一応見直しを求めるという意見があるということは、それはそれでよろしいわけです ね。 ○ 吉武年金局長  はい。 ○ 宮島部会長  ほかにはいかがでしょうか。私、一つ、委員の方のご意見を伺いたいのですけど、特 に想定を超える社会経済の変動に対する対応という項目が、今回かなり重要な項目とし て、ほとんどの方々がそれについてご意見を述べられています。概ねその方向でという ことになりますと、従来の5年ごとにやっていた財政再計算というのは、もともとそう いう変動を5年ごとに見直し、そこを修正していくというところに目的があるわけであ りまして、確かに今やるごとに、負担を上げ、給付を下げるという話になっているから 評判が悪いのだろうと思いますけれども、逆に言うと、こういう想定を超える経済社会 変動が生じたときに、自動的にある程度調整していく仕組みを入れてくるとなると、財 政再計算の役割というのは一体どういうふうになるのか。必要なくなるとお考えになっ ているのか、それとも微調整はしなければいけないから、それはやるべきだとお考えな のか。財政再計算との関係が私にははっきりしない点が少しあるのですが、どうぞ、山 崎委員。 ○ 山崎委員  スウェーデンタイプの自動調整装置を入れたとしても、財政再計算は私は必要だと思 います。つまり、自動調整の趣旨に沿ってきちんと運営されているかどうかという検証 は少なくとも必要だと思います。 ○ 宮島部会長  モニタリングの役割ですか。 ○ 山崎委員  ええ。恐らく法律上も財政再計算を少なくとも5年ごとに義務づけているわけですが 、財政再計算をやることと法律改正をやることは必ずしも連動しないというふうに、私 は今の制度でも理解しております。ですから数理の面でのきちんと少なくとも5年に一 度検証する義務はあると思うんですが、制度全体の見直しをする義務があるかどうかは 別だというふうに思っております。 ○ 吉武年金局長  財政再計算の規定は厚生年金保険法なり国民年金法に入っておりまして、一番最初の 財政再計算の必須的な事項が、今、山崎委員がおっしゃったとおり、財政見通し、給付 と負担のバランスについて、経済状況も変わりますし、いろんな諸要素が変わりますの で、それで定期的に検証することです。これまでは実は見た結果、それまで想定したも のと違いますので、制度改革をあわせて行うというふうになっているわけですけれども 、仮にそこで見た結果、従来ベースの財政再計算で想定した状態、あるいは将来の財政 状態と変わらなければ、実は法律改正に必ずしもいく必要はないということなんです。  ただ、それとは全然別に、社会経済の変動なり変化がありましたときに、年金として どう考えていくかということは多分財政再計算とは別に常に考えなければならない。こ れは医療保険制度もそうでございますし、いろんな福祉サービスもそうですけれども、 常に社会経済の変化を、国の制度としてどう考えていくかというのは一番基本的なとこ ろでありますが、今のところ、どちらかといいますと、財政再計算の際にそういうこと も含めて検討させていただくという形で来ていますので、そういう意味で、財政状況を ウォッチングしていただくということと、それが、制度改革なり法律改正に結びつくか どうかというのは論理的に必ずつながるという話ではないというのは現状でもそうでご ざいます。 ○ 高橋総務課長  先ほど堀委員の方から、みなし確定拠出タイプのような話の整理をどうするかという お話があったんですけれども、今、ずっとやっていました給付水準、保険料負担のとこ ろの、特に給付水準をどう考えるかという部分、これは8ページのところに幾つかご意 見が出ているわけですが、堀委員がご指摘になった話は、実は、先ほどやりました5ペ ージに論点として「公的年金の一部に積立要素を入れることについてどう考えるか」を 上げています。ここについて、一部に積立要素を入れるべきというご意見は、私は、先 ほどここは積立要素を入れるべきだというのは、確定拠出のようなものがいいのではな いかというご意見が多いというふうに申し上げましたけれども、あえて事務局から論点 を提示させていただけば、賦課方式を基本とし、ここに積立要素を入れるべきだという ご意見について、もう少し議論を進めるべき要素があるのは、賦課方式の水準を下げて 、その部分を確定拠出年金にするという幾つかのご意見が出ていますが、それは公的な 制度なのか、強制なのか、任意なのかで、下げた部分に代わる給付の意味合いは全然違 います。  仮に積立部分を入れたとしても、それは強制であるならば、一応国民全員に対して保 障は行くのだと、あるいは純粋に今の確定拠出タイプに変えれば国の保障がなくなりま すので、リスクは個人負担へ行ってしまいます。それはスウェーデンの制度ですけれど も、そこは任意加入だとしますと、これはドイツのような例がありますが、そこは国と しては関係なくなりますので、実際には公的年金を下げただけの話になっているわけで す。そこはもう少しそれぞれのご提案についてご議論いただきたいということでありま す。  それから、もう一つは、確定拠出を入れるとしても、これは言葉の使い方はいろいろ あるかと思いますけれども、いわゆる理念的な確定拠出年金は個人がリスクを負うもの ですから、仮に強制的な確定拠出年金を入れたとしても、リスクは個人が負担している 以上、国は一切給付の保障をしませんので、実際には給付は幾らになるのかわかりませ んということを言っているわけです。  それに対しまして、スウェーデンのみなし確定拠出は実際には確定給付ですから、運 用利回り一定の、あの給付算定方式によって計算されたものは、額そのものは国家が保 証していますので、そういう意味では通常の私的年金みたいな確定拠出とは全然違うと いうことです。それを前提にして、ここに出てくるご意見と給付水準の在り方について は密接に関連するということですけれども、議論をやっていく上でかなり違いが出てき ますので、そこはもう少しご議論が要るのかなというふうに考えています。 ○ 宮島部会長  いずれ、少し具体的な話としてはそのあたりにいくと思いますけれども、今の話は、 要するに公的年金制度の中の積立金的な要素、みなしである場合にも実際あると思いま すが、そういうのを織り込むという話と、今の401kのような、まさにああいう形で 、公的年金制度とは関連はあるけれども、私的年金として外に出すというようないろん なタイプのやり方もある。いわゆる公的年金の給付水準というのは、自動的に、これは 中の調整というよりも、制度そのものの仕組みで変わってしまうというようなケースが 出てくるわけで、その辺のところは、論点としてはもっと詰めておかないと、今のまま ではいけないということですか、総務課長がおっしゃったのは。 ○ 高橋総務課長  今すぐやる必要はないと思っています。 ○ 宮島部会長  今の点は、堀委員、翁委員、あるいはほかの方も含めて、少し確定拠出の話を、この 中でもう少し敷衍していただいた方がいいのかもしれないということですので、よろし ゅうございますでしょうか。ほかにはいかがでございましょうか。  それでは、ここで一旦、5分ほど休憩をとりまして、その後、論点の4から始めたい と思います。それでは、25分に再開いたします。                   (休憩)                   (再開) ○ 宮島部会長  それでは議事を再開したいと思いますので、ご着席願いします。  論点整理案の12ページ、4をこれから取り扱いますので、それでは、総務課長から説 明をお願いいたします。 ○ 高橋総務課長  それでは、検討項目4番目の「国庫負担の引上げと安定的な財源の確保」、ここは小 さい項目が2点ほどございます。  まず「国庫負担水準の引上げ」ということで、論点は「社会保険方式における国庫負 担の意義をどう考えるか」という点でございますが、これにつきましては、低所得者も 含めて社会保険方式により保障を及ぼすためとするご意見が幾つか出ています。  それから13ページでございますが、これは現行の給付の構造を変えるということが前 提になるわけですが、年金の給付の構造を所得比例構造としたときに、低所得者に対し ては、補足的な給付を国庫負担で考えるべきだとのご意見が出ております。  それから、論点の二つ目は、「基礎年金の国庫負担の水準についてどう考えるか」と いうことでございますけれども、2分の1への引上げは必要とする意見、それに、国庫 負担の引上げについては、低所得者や過去期間分の債務の償却に着目してもいいのでは ないかということで、単純に引上げだけではなくて、幾つかのいろんなファクターを少 し考慮しての引上げも考えられるのではないかというご意見が出ております。  14ページにまいりますが、「基礎年金国庫負担割合の引上げのための安定した財源を どのように確保するべきか」。  これにつきまして、基本的には消費税や年金税制の見直し、これは具体的には所得税 の公的年金等控除のことかと思われますが、年金税制見直しで財源を賄うことととする 意見。  それから、間接税につきまして、年金税制の方は所得税の話で直接税であるわけです けれども、間接税を所得控除の財源とするべきではないというご意見が出ております。  検討項目の第2番目、「年金収入に対する課税」ということにつきまして論点は、「 年金受給者に対しては、公的年金等控除により、現役世代と比較して優遇措置が税制上 講じられているが、世代間・世代内の公平を確保する観点からの見直しをどう考えるか 」ということで、公的年金等控除を縮小するべきとする意見、これはかなり多うござい ました。  それから、公的年金等控除見直しの際には、生活実態等への配慮が必要ではないかと いうご意見もかなり出ております。  15ページの方にまいりますが、年金課税については、見直しを行う場合には、老齢年 金にとどまらず、現在非課税になっております遺族年金、障害年金の非課税措置も見直 しが必要ではないかというご意見も出ております。  次の論点でございますが、「年金収入に対する課税を強化した場合の増収分の取扱い をどう考えるか」、これにつきましては、基礎年金の国庫負担水準の引上げに充てるべ きではないか、子育て支援に充ててはどうか、こういったご意見が出ております。  出ているご意見は、課税を強化した場合の増収分につきまして、国庫負担の引上げと リンクをさせるべきではないかというご意見が割と出ているということでございます。 以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、この項目について、特に国庫負担は少し理念的 な議論から16年度改正に向けての具体的なテーマに移っているものでございますが、い かがでございましょうか。この論点の整理の仕方及び中に記載されております意見をご らんになっていただいて、何かご意見がありますか。翁委員、どうぞ。 ○ 翁委員  基礎年金の国庫負担の2分の1の引上げの問題というのは、恐らく4の最初のところ であった、国庫負担をどういうふうに年金制度に位置づけていくかという問題と非常に 密接に関係している話だと思います。2分の1への引上げというのは、財源が税なら保 険料と同じ国民負担であり、それを消費税でするか、そうでないものにするかによって 、どこに帰着していくかということも変わりうる。国庫負担について、本来、低所得者 に対してスウェーデンのような最低保障みたいな形がいいという理想論が出ている一方 で、現実問題として2分の1に引上げようとすると、もし、それが消費税ということに なれば、これは低所得者に直接打撃がいく問題です。そういう意味では、いわばその問 題は本当はリンクしている問題なんじゃないかというように思います。  ですから、どういう意見を書くべきなのかというのは、また、別の問題として、国庫 負担の在り方ということと2分の1の引上げとか、帰着の問題というのは、すべてみん なリンクした問題であるという感じを持っています。 ○ 宮島部会長  これは書き込んでいただくかどうか別として、今ご意見がありましたように、国庫負 担を投入するのが、低所得者を含めた社会保険の政策コストだという考え方と、もう一 つは、保険料の上昇を抑えるという二つのことが書かれていて、そうすると、今お話の ように、どういう税財源を使うと整合的なのかという議論は当然あり得ると思うんです ね。 今のご意見は、つまり国庫負担を投入することの理由づけと、それにふさわしい 税財源の選択というような形で、翁委員に見ていただきますが、その中身は相当な議論 が必要なところでございますので、各論のところで議論していただきたいと思います。 事実上、そこに触れているところも何点かその中にはありますけれども。 ○ 小島委員  基礎年金の国庫負担の2分の1への引上げ及び税方式への転換については、これまで 3名(大山、山口、向山委員)の意見書で出していますが、財源について直接触れてい なかったのでお話ししてます。私どもが考えているのは、2分の1までは一般財源で充 てるべきだということです。  それと、これまでの大山、山口、向山、三委員の意見書では、公的年金控除の在り方 について、若干触れています。それは在職老齢年金の廃止との関係で触れており、向山 委員も意見を出しています。年金課税については見直しをして、その税収を年金財政に 投入すべきだと考えていますので、その点を論点整理の意見として入れていただければ と思います。 ○ 宮島部会長  一般財源と税財源というのは多少言葉として区別されますか。あるいは税財源といっ ても、それも一般財源になるか、目的財源なのかという、その辺、一般財源という言葉 を使うとなると少し考えなければいけないところが出てきますが。 ○ 小島委員  そうですね。 ○ 宮島部会長  その点は、我々が勝手につくるわけにはいかないので、小島委員からそういう形で文 言の修正なり何なりをちょっと入れていただければというふうに思いますが。若杉委員 、どうぞ。 ○ 若杉委員  16ページに私の発言が出ているのですけれども、年金保障の対象を拡大する観点から 評価する意見ということですが、年金制度における対象を拡大すべきだということです が、今のような制度では、そういう点に限界があるのではないかというのが私の問題提 起でして、ですからもっと抜本的な新しい制度をつくるべきではないか、そういうこと を議論すべきじゃないかいうことで、その後で、意見を来週出すときに、そういうこと も含めて出したいと思います。 ○ 宮島部会長  次の5のところですので、そこでもう一回、お願いします。 ○ 若杉委員  もういいです、それでいいですから。 ○ 宮島部会長  今回の議論の中で、幾つかのテーマで言えば、既裁定年金の話とか年金課税の話は余 り中で意見がはっきり分かれるというようなことは実はなかった。やや、予想外という とおかしいですが、時代状況がそうさせたものだと私は理解しておりますけれども、し かし、この辺のところは、一連の議論の中では、従来の考え方とかなり大きく違うこと を論点の整理の中に盛り込むということでもありますので、今、小島委員からそれにつ いて若干ご意見がございましたが、ほかにありますか。  過去期間分の債務償却も考えるということが、山崎委員のご意見でございまして、そ うしますと、相当規模が大きくなりそうな気がしているんですが、そこのところで少し ございますか。考え方ということであればいいと思いますが。 ○ 山崎委員  これは考え方でございます。その場合に、たしかそのときに申し上げたかと思うんで すが、私、国庫負担で過去債務の償却の財源を重点的に考えるという場合に、税を使う ということになりますと、2階の債務ではなくて1階の債務の償却だろうと思います。 国民年金の過去期間分の債務、将来期間分の債務がどうなっているかということなんで すが、翁委員から、たしか質問がありまして、私の概算では、過去期間分の債務は200 兆円ぐらいでしょうと申し上げました。数理課長も、はっきりした数字はないけれども 、そんなことでしょうとお話になったのですが、一応この際、次回で結構ですから、も し試算したものがあれば、お出しいただきたい。ついでに、共済年金についても同様の ものをお出しいただければというふうに思います。 ○ 坂本数理課長  検討させていただきます。 ○ 宮島部会長  堀さんが、今、数理部会の方の部会長ですが、何かご感想があれば。 ○ 堀委員  前にも山崎委員の提案に対してちょっと疑問を呈したのですが、積立方式なら過去債 務というのはあり得るのですが、賦課方式ではそういう考えはないのではないでしょう か。例えば償却したとすると、基礎年金についてその分については積み立てるというこ とになるのでしょうか。過去債務というのは、あくまでも積立方式の考え方で、過去分 についても積立金は持ちましょうという考えだと思うのですね。  賦課方式の年金の費用は、その年度の保険料ですべて賄いましょうということで、積 立金はないのが前提です。 ○ 山崎委員  そういうご議論はあろうかと思うんですが、現実に数理リポートの中で、厚生年金に ついて、仮に積立方式のような考え方をとった場合に、債務がどうなっているかという のをお出しになっているわけですから、国年、共済についてもお出しいただいていいの ではないかと思います。非常に膨大なお金になりますが、私自身は超長期で償却してい くことになるのだろうというふうに思います。 ○ 坂本数理課長  今、先生は数理リポートにおいて積立方式をとったならばどうなるという記述がある とおっしゃいましたけれども、数理リポートで述べておりますのは、給付原価を分解す るとどうなるか、そういう見方でございます。それを積立方式と見るかどうかというの は別の要素になってくるかと思います。 ○ 宮島部会長  必要があれば、概略のものでいいですから、一度出していただければと思いますけれ ども、できる範囲で結構ですから。 ○ 坂本数理課長  はい。 ○ 宮島部会長  ほかにいかがでございましょうか。 ○ 神代部会長代理  山崎委員の13ページのご意見の意味なんですけれども、ちょっとよくわからないんで すが、多分過去期間分の債務というと、330 兆ぐらいでしたか、あの中には1階部分は 入っているのか、入ってないのか。 ○ 坂本数理課長  330 兆の中は、1階部分のは含まれておりません、2階だけでございます。 ○ 神代部会長代理  そうですか。そうすると、山崎先生のは、1階部分についてだけおっしゃっているわ けですね。 ○ 山崎委員  はい。 ○ 神代部会長代理  わかりました。 ○ 堀委員  15ページの遺族年金、障害年金の非課税の提案は、ちょっと唐突のような感じがしま す。これは前にも説明したのですが、補足しますと、例えば障害者でいうと、障害者に 給与所得があれば課税されるが、障害年金であれば非課税になります。これはおかしい ので、同等にすべきです。給与所得者である障害者も年金受給者である障害者も、障害 者控除で同じにすべきであるというのが提案の趣旨です。遺族年金についても同じです ね。  もう一点、先ほど小島委員が基礎年金の国庫負担率の引上げを一般財源でと提案しま したが、これについて若干コメントします。一般財源というとすべて税財源になるかの ように思われますが、実はそうではないのです。現在、80兆円の歳出に対して50兆円の 税収しかなくて、30兆円を借金で賄っています。現在基礎年金に対する3分の1の国庫 負担も税で賄っていることになっていますが、実際は赤字国債によってかなりの部分が 賄われているのです。そうすると、国庫負担率を2分の1に引き上げる財源として一般 財源をあてにすると、赤字国債分が増えることになります。基礎年金の国庫負担率の引 上げは増税によって賄うべきで、そういう意味でその財源は消費税を充てるべきだと言 っているのです。 ○ 宮島部会長  ほかにいかがでしょうか。もちろん次回もう一度議論いたしますので、よろしければ 、次の5に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、5の方をお願いします。 ○ 高橋総務課長  検討項目5の「支え手を増やす方策」でございます。ここはかなりボリュームがござ います。まず中の項目は3点ほどに分かれております。まず、15、16ページにまたがっ ておりますが、この支え手を増やす方策の「取組の意義」ということでございます。こ この論点は、「就労形態を含めた個人のライフスタイルの多様化に対応して年金保障の 充実を図るとともに、少子高齢社会においても給付と負担のバランスを図り安定的な制 度運営を行っていくことが重要ではないか」ということでございます。  これにつきまして、安定的な制度運営を行う観点から支え手を増やす取組を評価する 、年金保障の対象を拡大する観点からそういった取組を評価できるとするといったご意 見が出ております。  それから、関連してでございますが、外国人労働についての検討が必要とするご意見 も出ております。  16ページの下の方でございますが、第2点目で、取組の具体論の話になってまいりま すが、「短時間労働者等に対する厚生年金の適用」に関しまして、論点は、「短時間労 働者に対する厚生年金の適用拡大を図るべきではないか。その場合、保険料負担の増加 、年金財政への影響、健康保険との取扱いの均衡等について、どのように考えるか」、 「派遣労働者に対する厚生年金の運用拡大について、どう考えるか」ということでござ います。  まず、短時間労働者に対する厚生年金の適用を進めるべきであるというご意見がかな り出ております。17ページにまいりますが、短時間労働者に対する適用拡大を議論する に当たっては、そういった定性的な議論ではなくて、まず定量的な議論が必要だという ご意見が出ております。  それから、短時間労働者に対する適用の拡大につきまして、個人事業所の労働者保護 という観点から拡大をするべきというご意見が出ております。  それから、具体策3番目、「高齢者の就労促進」というところでございますが、論点 として、「現在の在職老齢年金の仕組みについて、高齢者雇用との関わりをどう評価す るか」ということにつきまして、ここは現在の在職老齢年金制度が一定の就労促進効果 を有しているのではないかというご意見が出ております。  論点の二つ目で、「高齢者の本格的な就労を促進していくため、就労に対して年金制 度の影響が及ばないような(これは影響がニュートラルだということでありますが)新 たな仕組みを検討することについてどう考えるか」ということでございますが、これに つきましては、在職老齢年金制度以外の方策についてのご意見、ほかの制度でも考えら れるということでございます。これは幾つか提案が出ております。  それから4番目で、「次世代育成支援」でございますが、論点三つございます。まず 一つは、「少子高齢化が将来の我が国の社会経済に大きな影響を及ぼすことが予想され る中で、公的年金制度においても次世代育成支援に向けた対応をとることをどう考える か」ということで、具体的な論点として、その次に「育児期間中の者に対する保険料の 免除等の配慮措置を拡大することについてどう考えるか」、それから、「公的年金の積 立金を財源とした新たな教育資金の貸付制度の創設や年金制度における保育費用の助成 等、育児や子育てを支援する措置を講じることについてどう考えるか」ということでご ざいますけれども、議論としては、次世代育成支援を年金制度でやっていくということ を肯定する意見、これは一般論として。それから、具体的なこういった育児支援なり奨 学金についても賛成の意見が出ています。  それから、育児期間中の者への配慮措置について、これは反対しないけれども、ただ 、効果は疑問だというご意見が出ております。  次世代育成支援全体について、年金制度でどうするかという基本論につきまして、18 ページ下でございますが、少子化対策は必要だけれども、これは年金制度の外でやるべ きだというご意見が三つほど出ております。  それから、ちょっと別の観点でございますが、育児支援の枠組みについては、これは 社会保険システムを活用した育児支援の新たな枠組みを検討するべきではないかという ご意見も出ております。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。5の「支え手を増やす方策」について、先ほど若杉委員か ら一部ご意見が出ておりまして、それから別途、言葉遣いの問題もどうかという意見も ございました。ただ、中身について、そのものの扱うテーマについては、若杉委員も特 にご異論はないようでございまして、言葉遣いは当面何とか定着していることでありま すから、中身の方できちんとするということで、これを使わせていただきたいと思って おります。  この中身がかなりまた幅の広い問題がございます。取組の意義、特に短時間労働者に 対する厚生年金の適用問題も、これはかなり大きなテーマでございまして、従来はむし ろ高齢者の就労促進のことは議論されておりましたが、短時間労働者への厚生年金適用 の話と、特に次世代育成支援、これは少子化対策との絡みで議論されてきたものであり まして、やや、これは新しい議論ということで整理してございますが、これにつきまし ても、いかがでございましょうか。論点の整理の仕方を含めて何かご意見ございますで しょうか。 ○ 神代部会長代理  基本的な部分じゃないのかもしれないですが、16ページの(1)の最後のところに、矢 野委員のご意見があって、外国人労働者の問題が取り上げられているのですが、矢野委 員のご趣旨とはちょっと違うのかもしれないんですけれども、現在既にたしか不法就労 は別としても50万人ぐらいいるでしょう、外国人労働者が。年金通算協定のない国から 来ている合法的な専門職等の就労外国人が相当いますよね。日系人だけで23万人ぐらい たしかいたと思いますが、数十万人既に通算協定のない国から来ている外国人がいるん ですが、その人たちに対する年金の適用状況がどうなっているのかというデータを余り 見たことがないんですよね。支え手の一部になっているのかもしれないんですけれども 、現に。  日系人に関しては、本来は厚生年金に入るべき雇用労働者として働いている人の相当 部分が、例えば派遣やなんかの業者のところで働かされていて、国民年金に入っている 人がかなりいるんじゃないか、また、両方入ってないというのも結構いるのではないか という認識を私は持っているんですが、その辺はもしわかったら、今日でなくてもいい ですけど、データとしては捕捉しておいた方がよいのではないかと思うんですけど、ど うでしょうか。 ○ 宮島部会長  次回、それをできるだけ用意をしていただきたいと思いますが、どの程度把握できる のかどうか。もともとそういうデータがきちんとあるのかどうかわかりませんが。 ○ 木倉年金課長  どこまでわかるか、ちょっと調べてみます。 ○ 宮島部会長  ほかの論点はいかがでございましょうか。これも各論に入ってまいりますと、また、 ご意見もいろいろ出てくるとは思いますが、とりあえず論点の整理の仕方としては、こ ういう仕方にいたしますが、また、次回、何かご意見があればいただくということにい たします。  それでは、次が19ページ、「女性と年金」に関する部分でございますが、これについ て、お願いします。 ○ 高橋総務課長  19ページ、論点6番目の「女性と年金」でございます。ここは細目2つに分かれてお りますが、まず、「女性のライフスタイルの変化と給付設計の在り方」、これにつきま して論点は、「女性のライフスタイルが多様化する中、年金制度の給付設計についてど う考えるか」。  これにつきましては、ご意見としては、制度の給付設計の単位・モデルを見直すべき 。これは、現行制度のモデルは、世帯単位を念頭に置いてつくられているわけでござい ますが、そのモデルなり給付設計の在り方を少し見直すべきだというご意見が出ており ます。  では、「給付設計を個人単位とした場合に、女性の年金保障をどうとらえるか」とい うことにつきまして、ここは実態論ということでございますが、人によっては年金保障 が十分ではないケースが出てくるのではないかというようなご意見が出ております。  それから、「第3号被保険者制度」につきましては、「女性の就労の進展等、経済社 会情勢の多様な変化の中で、現在の第3号被保険者に係る給付や負担の在り方をどう考 えるか」という点でございますが、まず第3号被保険者制度などが男女の経済力の平等 化を阻害しているというご意見。  この第3号被保険者の中で、育児・介護期間中の者以外の被扶養者、は定額負担をす るべきではないか。  それから、どういう制度がいいかどうかという話とは別の議論でございますが、第3 号被保険者の負担能力につきまして、これは負担能力があるのではないかというご意見 。  先ほどご議論いただきました短時間労働者に対する厚生年金適用の拡大、こういうこ とをやっていけば、第3号被保険者のニーズが減っていく可能性は高うございますから 、その中で第3号被保険者制度の見直しが必要ではないかというご意見。  個人単位化を評価する意見と書いてございますが、これは現行の給付設計の中でとい う前提でございますけれども、夫婦の所得分割による方式によって個人単位化がやれる のではないか。そういうやり方が合理的ではないか。  給付面での調整でやれるのではないかというご意見。これは現在、第3号被保険者は 負担をしていないわけですけれども、給付の面で調整するということが考えられるので はないかというご意見でございます。  それから、第3号被保険者制度については、これは意義があるのではないかというこ とでのご意見かと思われますが、負担能力に欠ける者への配慮が必要とする意見という ことで出ております。  ただ、あと、追加的な論点を右側の備考欄に書いてございますが、若干少しずつご意 見にも出ておりますけれども、まず、現行の制度そのものについて、第2号被保険者の 負担能力に応じて求めていく方法についてどういうふうに考えているのかという意見。  仮に受益に着目した保険料負担を求める場合に、これは前回、女性と年金の検討会で 6案ほどの案を提示しておりますけれども、妻自身に保険料負担を求める考え方と、夫 を通じて保険料負担を求める考え方があるが、どちらが適当か。  それから、育児・介護期間中はちょっと別ではないかというような話が意見の中で幾 つか出ておりますけれども、そういった点についてどう考えるかという点が追加的な論 点としてあるのではないか。追記をさせていただいております。以上でございます。 ○ 宮島部会長  どうもありがとうございました。ここはやや異例でございまして、女性と年金の報告 書でかなり包括的な議論もされておりましたので、必ずしもここで提起されたご意見で はなくても、論点は、網羅したらよいだろうということで、私たちの方で追加的に少し 入れていただいております。  それでは、ここのところは、先ほどの短時間労働者に対する厚生年金適用問題と一部 重複している部分でございまして、両者にわたっても結構でございますので、また、何 かご意見の追加なり、修正意見、あるいは意見そのものに対するご意見、何かございま すでしょうか。 ○ 井手委員  今、お話ありましたように、短時間労働者への厚生年金の適用拡大も、女性という立 場から見れば当然この中に入ってくるという意味では、「女性と年金」というタイトル をつけた中で見ると、そこが抜けているようにも見えてしまうところがあろうかと思い ます。ここの部分は第3号被保険者制度に関して、前回配られた資料に関しての、各委 員のコメントをここにまとめた形に恐らくなっているのだろうと思うんですけれども、 「支え手を増やす」というところも関連してきますし、「次世代支援」というところと も関係してきますし、そもそもライフスタイル云々のところは最初の考え方のところに も関連してくると思いますので、主語を「女性」としたということで、どうしても、こ こに入れるとおさまりが難しいのかなという気がいたしますけれども、そういう意味で も、「女性と年金」というタイトルでここの6番を位置づけようとすれば、これを考え るに当たっての基本的な考え方というようなところで、ほかの項目とのつながりをちょ っとコメントしていただくと非常に頭の整理がしやすいかなという気がいたします。各 部分に関連しているところを決して忘れないように押さえるという意味で、そういう表 現を入れていただければありがたいと思います。 ○ 宮島部会長  わかりました。実はその問題は、もちろん「女性と年金」のこの項で、ほかのところ も微妙に重なり合うところがございまして、項目で切ってしまうとどうしてもやや無理 が出るところもありますので、場合によっては再掲という形で論点を入れ込んで、今の ようなことがないように少し注意したいと思います。そうすると全体が長くなって、ま た繰り返しですかという話が一方で出かねないので、この辺のところは、最後の整理の ところでは、少し皆さんのご意見を聞いて工夫いたしますが、今のところ、たたき台の ところでは少し重複も含めて誤解のないようにしておきたいと思います。  ほかにいかがでございましょうか。矢野委員に私がお聞きするのは大変申し訳ないで すが、今日参考で日本経団連の「公的年金制度改革に関する基本的な考え方」と委員の 意見が配布されましたが、その中で、短時間労働者への問題と女性の問題について、積 極的なご意見といいますか、余り見られなかったような気がするのです。確かにご指摘 のように、こういう問題は、少し定量的なもの含めてということがございますが、何か 多少追加的に、矢野委員として、今の点で何か発言していただくことはございますでし ょうか。これは論点整理なものですから、全く意見がないというようにとられてしまう 可能性がちょっとありますので。 ○ 矢野委員  定量的にモノを考えていく必要があるということと、今日の参考資料の中にも書いて おきましたけれども、抜本的な改革の方向をまず決めるということが先ではないかと。 つまり基礎年金とその上の部分の役割、財政・財源の問題、そういう基本の問題をきち んと方向づけして、そして次に提起されている問題については定量的に議論していくと いうことだと思います。  この問題は、単に年金の「支え手」という角度からだけではなくて、日本の国の労働 力というものをどう考えるかということになってくるわけでございまして、そういう意 味では、一部にも触れましたが、女性とか高齢者あるいは外国人の問題とか、そういっ たものと皆絡まってくるテーマだと考えております。ですから今そういう意味ではいろ いろ考えているところでございまして、時期が来たら、またもう一遍整理したものをお 出しできればと考えております。 ○ 宮島部会長  わかりました。どうも失礼いたしました。一応これは論点の整理ですので、包括的に ちゃんと論点が整理されているかどうかというところになりますと、なるべく次回ぐら いまでに、一応項目だけでも頭を出しておいていただければと思います。あと、それを また各論で詰めていくことは可能でありますけれども、とりあえず10月で一応総括的な 論点整理案を公表したときに抜けてしまっていると、私が勝手につけ加えるわけにもい かないものですから、委員のご意見として、できれば項目として、世の中でいろいろ議 論はされており、注目されているのに、部会では意見がありませんでしたということが ないようにはしていただきたいというのが私のお願いではあります。失礼いたしました 。  それでは、ほかにございますでしょうか。 ○ 山崎委員  年金を使った奨学金制度の創設につきましては、私、基本的に賛成なんですが、ただ 、問題は、利息をどうするかというのが大きな論点になると思います。きちんとした利 息を取って返済していただくのであれば、一つの運用の方向だと思います。恐らく元本 割れはない、むしろ安定運用の一つの方法かと思いますので、一応論点として挙げるべ きじゃないかというふうに思います。 ○ 宮島部会長  私も個人的にはその辺をはっきりしてほしいということは少しありますので、論点と して加えていただくということでよろしいかと思います。  それでは、あと、残りの時間、20分程度ございますが、一緒にしてしまうのはやや乱 暴でございますが、7番の公的年金、私的年金、8番の国民年金保険料の徴収の話と9 番の他の社会保障制度の関係、この3点、一括して少し議論していただきますので、よ ろしくお願いします。 ○ 高橋総務課長  それでは、20ページの下からでございますが、まず検討項目の7番目、「公的年金と 私的年金の役割分担」。論点は、「私的年金は、公的年金を補完して、多様化したニー ズに対応する役割を果たしており、それぞれの役割を踏まえ、公的年金を土台として、 両者を組み合わせて老後の収入を確保するという位置付けについてどう考えるか」とい うことでございます。  これにつきましては、公的年金の役割を再考するべきだというご意見。  それから、これに当然関連するわけでございますが、21ページにまいりますけれども 、私的年金の基盤整備が重要とするご意見が出ております。もう一方で、公的年金の役 割の再考には慎重な意見が出ております。  それから、この役割を明示することは必要ではないかというご意見も出ております。  検討項目の8番目、「国民年金保険料の徴収」の問題でございます。「国民年金保険 料について、どのように収納対策の強化に努めていくか」という論点でございますが、 これにつきましては、まず国民年金に対する不信感を払拭することは必要だということ でございます。そういうことをやって、収納対策強化をやっていくべきだというご意見 でございます。  それから、大きな2番目といたしまして、保険料納付は国民の義務であるという立場 から収納対策を強化するべきとのご意見が出ております。  検討項目9番目、「年金改革と他の社会保障制度改革」との関連でございますが、「 他の社会保障制度などとの関係で、年金の給付と負担の水準をどうとらえるべきか」と 。この点につきましては、給付と負担の水準は総合的に考えるべきとのご意見。ばらば らで考えていいとおっしゃる方はいなかったということでございます。  それから、国民負担率、全体としての国民負担率の上昇を抑制するべきであるとのご 意見が出ております。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  一緒にやったものですから少し無理がありますが、いかがでございましょうか。7の ところにつきましては、先ほど若杉委員から、最初少し質問がありまして、これは考え させてもらいますが、本当に総論的な部分が何か必要なのかどうか。例えば老後なり、 退職後の所得保障、生活保障の在り方のようなものをやって、例えば就業ですとか、公 的な施策、もちろん資産の蓄積ですとか、幾つかそういう中で、この年金部会が扱うの はどの分だというようなことを言っておくということです。この部分は7番でもいいか と思うんですが、少し全体の構成の中ではちょっと考え直した方がいいかもしれないと 思っています。 ○ 神代部会長代理  国民年金の保険料の未納の問題ですけれども、最初に読んだとき気がつかなかったの ですが、時効で徴収不能になっている保険料というのはどのぐらいあるんですか。どこ かで見たような気がするんですけれども。それと、過去に2年の時効を常習的に繰り返 している人が相当いるんだろうと思うんですが、そういう人の数というのはわかるんで すか。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  先般、新聞等でその話が出ていると思いますが、基本的に2年間で納付義務が消滅す るということになっていまして、一応不納欠損ということで把握しているわけですけれ ども、平成12年度で7,565 億ということで、先般出ていたように思います。  年々、被保険者数が増加している、あるいは未納が増加しているということで、ここ のところ毎年増加をしているという傾向にございます。 ○ 神代部会長代理  今の数字は単年度でそれだけですか。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  ええ、単年度で不納欠損をした額ということになります。 ○ 神代部会長代理  人数の方はわかるんですか。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  前にお示ししました国民年金の実態調査のいわゆる265 万人の未納者というところの 取扱ということでの考え方です。265 万人というのが未納者数として出ております。 ○ 神代部会長代理  たしかご説明の中で、強制徴収やってもまた払わないという人が、いわゆる確信的な 未納者がいるというふうに聞いているんですが、そういう常習的に何度も何度も、2年 以上払わないという人とそうでない人と、ちょっとそこの区別が私よくわからないんで すが、265 万人というのは、ある時点で、2年以上払わなかった人のトータルでしょう 。その中には、たまたま2年だけ払わなかった人もいるし、それをずっと繰り返してき た人もいるわけでしょう。 ○ 渡邉社会保険庁年金保険課長  滞納処分の場合、何回も繰り返さなければいけないという話というのは、いわゆる滞 納処分をするときに債権額を確定させて、それを差押えをするということでございます ので、最大2年間分の金額、これを差押えをするということになるので、年金権に結び つくまでの期間について、それが一たん差押えをした場合に自主納付に結びつけられれ ば、基本的には年金権に結びつくわけですけれども、それを25年という、今の期間につ いて毎回2年間ずつを差押えをしていかなければいけないという問題がありますという ことが一つでございます。  それから、今の未納者の数というのは、実態調査でしか基本的には判明ができてない ものですから、265 万人の未納者がいて、平成12年度の不納欠損額が7,565 億というこ とでの整理をさせていただいているということでございます。 ○ 矢野委員  今の神代先生のお話にも関連するのですが、国民年金保険料の時効が2年ということ なんですけれども、税金並みにするということはどうなのか、論点の一つとして取り上 げたらどうかと思います。たしか税金の場合は5年ということがありますので、これは 全く論議されてないことなんですが、論点の一つとして提案したいと思います。 ○ 吉武年金局長  もともと印紙方式というのをとっておりましたので、国の一般の債権の管理と少し違 った形をとっております。したがいまして、時効というよりも、むしろ納入の期限が2 年で終わるというのが現状でございます。これに対して、例えば厚生年金保険とか健康 保険で申しますと、基本的には納入告知をしまして、そして払わない場合には強制徴収 の段階に入っていくという形になります。  税ですと、時効の中断をいたしますと、実際に取れるかどうかは別なんですけれども 、国の債権でありますから、通常は5年も10年もきちんとやるという体系になっており ます。そこが今の国民年金の保険料の徴収体系は違いますので、そこをどう考えるかと いうのは、おっしゃるとおり、重要な検討点であると思います。  ただ、割と少ない体制でやっておりますので、しかも個人個人を対象に行いますので 、厚生年金とか健康保険のように事業主のご協力を得てやっているものと相当性格が違 いますので、同じような被用者保険なり被用者年金の体系のような非常に効率的な徴収 の中における強制徴収ということと同じようなことが期待できるかといいますと、それ は非常に難しい問題がある。仕組みとしては非常に違っていますので、そこをどう考え るかという、確かに基本的なこういうようなことはあるだろうと思っております。 ○ 翁委員  一度、部会で、意見を表明した点に関連するんですが、20ページの下の公的年金の役 割は再考すべきとする意見のところに関係する議論ですが、年金資金の持つマクロ的な リスク・シェアリング機能の話で、株式の運用との関係でちょっとお話ししたいのです 。超長期の年金資金の持つ、そういったリスク・シェアリング機能を活かしながら、ま た一方で、公的年金が株式運用を積極的に行ったときに伴って生じ得る弊害を発生しな いという観点からも、この公的年金の位置づけというか、資本市場の育成という観点か らも、この確定拠出型年金とか私的年金というのを考えてみてはどうかという論点が一 つです。  それから、あと、山崎先生がさっきおっしゃった点で、奨学金の件なんですけれども 、私自身はできるだけ年金の財源は制度本来の趣旨にかなうような目的で使うべきだと いう視点に立っているのですが、仮に例えば利息を取るというようなことになってきま すと、利息を取って、いわば貸し付けというような形になってきますと、官民の活動分 担の観点から、そういったことを公的部門がやるということについてどう考えるのかと いう論点が入ってくると思いますし、今、特殊法人等の整理合理化ということをやって おりますので、そういった流れの中で、そういった業務を始めるかどうか、官民の活動 分担というのをどう考えるかという論点があると思います。 ○ 宮島部会長  今のご意見の趣旨は、前半のところは、特に資金運用に関するリスクの話ですね。そ の中での公的年金の役割をどう考えるかという一つの問題と、もう一つの問題は、無利 子だったら財政上の部分が問題になり、有利子になると民業圧迫だと、こういう話がど こかから出てくるというご指摘ですね。その辺のところ、今日全体申し上げますが、こ れはなるべく皆様方から出されたペーパーと、議事録の方からも拾っていただくように ということはお願いしてありましたが、必ずしも完全に網羅的に拾えなかった面もござ いまして、特にこの議論の場で発言されたことは100 %盛り込まれないケースもござい ますので、今日少し補充をしていただきましたので、それぞれ追加をして書き込みたい と思っております。  ただ、一つお願いがございまして、事務局の方で、今日もちろん議事録としてとって いただき、メモをしていただきますが、こういう簡潔な文章で入れ込むことになります と、今日ご発言になった方々に、直接事務局の方から、書き込むべき意見として、一応 文案をいただきたいというお願いがありますので、よろしくお願い申し上げます。  それから、時間がほぼ参りましたので、今日の審議の中身そのものは一たん閉じさせ ていただきますけれども、今日いただきましたご意見の中で、全体の構成に関して若干 考えたいという2点ございまして、一つは、検討項目の前に多少まくらのようなものを 入れておいた方がいいのかということでございます。  もう一つは、途中で確定拠出、確定給付というようなことに対して幾つか議論が出て いました。先ほど局長とも相談したんですが、それは別途論点を重複しても構わないの で独立させて、少しいろんな意見をそこに取り入れたらどうかというようなことを考え ております。  それと、今日は委員の方々に、ご協力いただきましてほぼ時間どおり論点を見てまい りましたけれども、もちろん先生方、お一人お一人考え方にいろんな違いがございます 。論点そのものの中で大きな対立点のないものもございますし、また、もともと非常に 基本的な考え方に違いがあるものもございますが、16年度に向けての、今後かなり現実 的なスタンスの中で議論していくということを考えますと、意外と論点として収拾がつ かないような対立点は余りないんじゃないかと、そういう感想は少し持ってはおります 。  しかし今日ずっと伺っておりまして、この年金部会の役割は、必ずしも意見を一本化 するということが任務ではございません。きちんと年金に関する議論をしておき、その 中で共通の意見があれば、それはそれで明示し、意見が分かれていれば分かれているこ とを率直にお伝えをするというのが役割でございますので、こういう論点の整理をする ことを通じて、相互の意見の理解と同時に、逆に違いを浮き上がらせようという目的も ございます。  次回は、今日いただきました追加意見なり、修正意見なりをまとめまして、もう一度 意見の整理案を書き直しまして、それをお示しいたしたいと思います。  特に今日、今井委員、大澤委員、大山委員、岡本委員、渡辺委員、五名ご欠席でござ いましたので、次回、もう一度全体の整理案について、今日ご欠席の方々のご意見も十 分くみ取ると同時に、今日、若干その中で議論がございました点につきまして、改めて もう一度ご議論をいただいて、意見整理案としてはきちんと整理をしておく、そういう 手続に入りたいと思います。  それでは、最後に事務局の方から、ご連絡ございますでしょうか。 ○ 高橋総務課長  次回につきましては、10月29日(火曜日)10時から、本日と同様、この霞が関ビルの 東海大学校友会館にて開催を予定しております。  今、部会長からもお話がございましたように、今日に引き続きまして、論点全体を通 じた総括的なディスカッションをする予定でございます。それから、今日、何点かお求 めの資料がございましたので、これは次回までにできる限り用意を整えたいと思います 。 ○ 宮島部会長  それではどうもありがとうございました。これで散会いたします。 厚生労働省年金局総務課企画係 (代)03-5253-1111(内線3316)