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年金資金運用基金 平成14年度第1四半期運用状況


1.資産全体の運用状況

 ○ 平成14年4月〜6月までの運用環境は、米国経済の先行き不透明感や国際情勢の緊迫化等から厳しい状況となり、外国株式市場は大きく下落した。また、国内経済の景気回復期待から、いったん上昇した国内株式市場も、外国株式市場下落の影響を受け、6月には下落に転じた。

 ○ このため、第1四半期の修正総合収益率(期間率、市場運用分)は、−3.03%となった。

(参考)総合収益額
 上に述べた市場の状況から、第1四半期の総合収益額(市場運用分)は、−8,343億円となった。

 (注)修正総合収益率=(総合収益額)÷(運用元本平均残高額+前期末評価損益・未収収益)
修正運用元本平均残高:275,771億円       

 年金資金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要であるが、情報公開を徹底する観点から、四半期毎に運用状況の公表を行っている。


2.各資産の運用状況

 
(1)資産構成状況(H14.6月末現在)
(単位:億円、%)
  時価総額
構成比
国内債券 151,342
54.48%
国内株式 67,333
24.24%
外国債券 16,341
5.88%
外国株式 37,594
13.53%
短期資産 5,184
1.87%
合計 277,794
100.00%
 
財投債(簿価) 136,094
(時価総額 137,095)
    
(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(H14.4〜6月)
(期間率)
  時間加重収益率 ベンチマーク収益率 超過収益率
国内債券 1.04% 1.08% -0.04%
国内株式 -3.11% -3.31% 0.20%
外国債券 0.98% 0.98% 0.00%
外国株式 -18.95% -19.01% 0.06%
短期資産 0.01% 0.02% -0.01%
 
〈ベンチマーク収益率(市場平均収益率)との対比〉
各資産ともほぼベンチマーク並みの収益率となった。
 
 
注1) 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。
注2) 財投債(簿価)は償却原価法による簿価に未収収益を加えたもの。



(参考資料1)
ベンチマーク収益率(累積)の推移
ベンチマーク収益率(累積)の推移


【各市場の動き(4月〜6月)】
国内債券: 景気回復観測と企業業績回復期待から堅調に推移するが、6月に入り米国株の大幅下落、円高の影響を受け急落。景気回復観測と企業業績回復期待から堅調に推移するが、6月に入り米国株の大幅下落、円高の影響を受け急落。
国内株式: 景気回復観測と企業業績回復期待から堅調に推移するが、6月に入り米国株の大幅下落、円高の影響を受け急落。
外国債券: 米国経済の先行き不透明感、国際情勢の緊迫化、米国株の大幅下落から「質への逃避」の買いが強まり堅調な展開。
外国株式: 米国経済の先行き不透明感、企業業績の下方修正、国際情勢の緊迫化に加え、相次ぐ米企業の不正会計疑惑から大幅な下落。
  
○ベンチマーク騰落率
  平成14年4月〜6月 平成14年4月〜8月
国内債券
(NOMURA-BPI総合)
1.08% 2.04%
国内株式
(TOPIX)
−3.31% −11.15%
外国債券(円ベース)
(SSB-WGBI)
0.98% 2.92%
外国株式(円ベース)
(MSCI-KOKUSAI)
−19.01% −26.50%
  
○運用環境
  平成14年3月末 平成14年6月末 平成14年8月末
国内債券(新発10年国債利回り) 1.390% 1.310% 1.175%
国内株式 (日経225) 11,024.94円 10,621.84円 9,619.30円
       (TOPIX) 1,060.19ポイント 1,024.89ポイント 941.64ポイント
米国株式 (NY ダウ) 10,403.94ドル 9,243.26ドル 8,663.50ドル
       (MSCI-KOKUSAI) 1,150.899ポイント 932.098ポイント 848.436ポイント
為替    (円/ドル) 132.535円 119.860円 118.565円



(参考資料2)

平成14年度(第1四半期まで)における他の年金資金運用状況について


1.厚生年金基金・税制適格年金の運用成績

○ 第1四半期の通期の推定値は、▲4.4%

 (運用収益の低迷の原因)

2.生保第一特約運用成績

○ 総合口の運用成績は、第1四半期の通期の推定値は▲4.02%


3.信託銀行合同運用成績

○ 各資産の運用状況


《データ出所》 年金情報(2002.8.5,8.19)
  厚生年金基金・税制適格年金は格付投資情報センター(R&I)推定[年金情報2002.7.15]
(約160の厚生年金基金・税制適格年金が運用委託している信託銀行・生命保険・投資顧問など約2000ファンドを対象に運用評価サービスを実施、直近の時価総額は約14兆円)



(参考資料3)

資金運用に関する専門用語の解説

修正総合収益率
   運用成果を測定する尺度の1つ。
 従来の簿価ベースでの運用元本に時価の概念を導入した収益率で、総合収益率よりさらに時価ベースにした収益率。算出が比較的容易なことから、運用の効率性を表す時価ベースの資産価値の変化を把握する指標として広く普及している。
   (計算式)
修正総合収益率 {売買損益 + 利息・配当金収入 + 未収収益増減(当期末未収収益−前期末未収収益)
+ 評価損益増減(当期末評価損益 − 前期末評価損益)} / (運用元本平均残高+前期末未収収益+前期末評価損益)
時間加重収益率
   時間加重収益率は、時価に基づく運用収益から運用機関が自ら決めることができない運用元本の流出入の影響を排除した収益率であり、その運用実績とベンチマーク収益率(市場平均収益率)との比較により、運用能力を評価することが可能。基金では、時間加重収益率の市場平均対比での超過収益率を測定し、運用行動の自己評価と、運用受託機関の定量評価に使用。

ベンチマーク
   運用成果を評価する際に、相対比較の対象となる基準指標。運用収益率の絶対値の高低による評価は、投資環境の違いを反映せず、運用期間が異なる場合に横並びの比較が不可能である。しかし、投資環境を反映する基準指標(TOPIX等)があれば、基準指標に対してどの程度上回る収益率を達成できたか(超過収益率)を算出することにより、運用期間の異なるものの横並び比較が可能。
 * NOMURA−BPI総合
   NOMURA−BPI総合(ボンド・パフォーマンス・インデックス)
 野村総合究所が作成・発表している国内債券市場のベンチマーク。国内債券のベンチマークとしては代表的なものであり、基金もベンチマークとして採用。

 * TOPIX(配当込み)
   東証一部上場全銘柄の株価を株式数で加重平均して算出したもの。国内株式市場の代表的なベンチマークであり、基金もベンチマークとして採用。

 * SSB−WGBI(除く日本)
   ソロモン・スミス・バーニー世界国債インデックス(除く日本、円貨換算、ヘッジなし)
 ソロモン・スミス・バーニー社が作成・発表している世界国債のベンチマーク。時価総額につき一定基準を満たす国の国債について、投資収益率を指数化したもの。国際債券投資の代表的なベンチマークのひとつ。基金も外国債券のベンチマークとして採用。

 * MSCI−KOKUSAI(配当込み)
   モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)・KOKUSAI(円貨換算、配当込み、GROSS)  モルガン・スタンレ−・キャピタル・インターナショナル社が作成・発表している日本を除く先進国で構成された世界株指数。対象国の包括性、切り口の多様性等の点で国際株式投資のベンチマークとしては代表的な存在。基金も外国株式のベンチマークとして採用。

ベンチマーク収益率
   各市場(国内債券、国内株式、外国株式等の市場)における平均的な収益率をいい、市場を代表する指数(東証株価指数など)の騰落率により算出可能。いわゆる市場平均収益率。

償却原価法
   債権あるいは債券を、債権金額あるいは債券金額よりも低い金額又は高い金額で取得した場合、差額が発生するが、これらの差額を弁済期又は償還期までに毎期、一定の方法で貸借対照表額に加減する方法


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