02/09/10 第8回社会保障審議会年金部会議事録              第8回社会保障審議会年金部会                    議事録                平成14年9月10日 第8回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成14年9月10日(火) 10:00〜12:40 場所  :霞が関ビル 東海大学校友会館「阿蘇の間」 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井手委員、今井委員、大山委員、岡本委員、      翁委員、近藤委員、堀委員、矢野委員、山崎委員、若杉委員 ○ 高橋総務課長  それでは、ただいまより、第8回社会保障審議会年金部会を開催いたします。  私、8月の末の異動で、年金局総務課長に就任いたしました高橋でございます。よろ しくお願いいたします。  8月30日付で厚生労働省及び社会保険庁の異動がございましたので、議事に入ります 前に、新任の幹部のご紹介をさせていただきます。  年金局長の吉武でございます。  大臣官房審議官年金担当の井口でございます。  社会保険庁運営部長の磯部でございます。  社会保険業務センター所長の遠藤でございます。  それから、こちら側になりますが、私の左側が年金課長の木倉でございます。  企業年金国民年金基金課長の矢崎でございます。  資金管理課長の石塚でございます。  運用指導課長の泉でございます。  それでは、吉武年金局長から簡単にご挨拶を申し上げます。 ○ 吉武年金局長  8月30日に年金局長を命ぜられました吉武でございます。従来から、当部会におきま しては、年金担当審議官として参加をさせていただいております。1月から新しい人口 推計の公表を契機といたしまして、非常に活発にご審議をいただいておることにつきま して、改めて御礼を申し上げたいと思います。  委員の方々、ご案内のとおり、16年の年金制度改革に向けて非常に重要な時期でござ いますし、従来の審議会と違いまして、最初から公開でオープンに委員の方同士のご議 論をやっていただくという、宮島部会長あるいは神代部会長代理のお考えもございまし て、審議会として望ましい機能を果たしていただいているのではないかと思っておりま す。  私どもも新しい体制になりましたが、相当の幹部の人事異動ございましたけれども、 年金についての素養が深い新しい幹部でございます。今、着任早々でございますので引 継ぎをやっておりますけれども、遠からぬうちにこれまでの体制と変わらぬ力量を発揮 できることになるのでないかというふうに思います。審議会の事務局といたしましても 最大限努力をいたしたいと思いますし、同時に新しい省庁再編によりまして、厚生労働 大臣が年金制度全般についての企画立案の責務がございますので、その事務局としての 責務も同時に果たしながら、次期改正に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思いま すので、どうぞよろしくご指導、ご鞭撻いただきますようお願い申し上げます。 ○ 高橋総務課長  続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。上の方に積んである順から でございますが、座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。  まず資料1−1、「厚生労働省平成15年度概算要求について」という冊子でございま す。  資料1−2、これは1枚だけでございますが、「関係諸指標等の動向について」、こ れは資料1−1との関連でございます。  それから、厚いもので、資料2−1、「支え手を増やす取組み」。  資料2−2、「支え手を増やす取組み(参考資料)が付いてございます。  資料3、これもちょっと厚いものでございますが、「国民年金の未加入・未納対 策」。 資料4、今井委員からご提出のものでございますが、「自営業者グループの現 状から見えてくること」。  資料5、堀委員ご提出の「支え手を増やす取組みについて」ということでございま す。 それから、このほか、前回7月に配付をいたしました各委員からのご意見と前回 の議事録についても参考資料としてお付けをいたしております。  それから、あわせて、公的年金に関するパンフレット等の広報資料を参考としてお配 りをしております。  委員の出欠状況でございますが、本日は杉山委員、向山委員、山口委員、渡辺委員に つきましては、ご都合によりご欠席のことと伺っております。今、大沢委員が遅れてい らっしゃるようでございますが、出席ということで、ご連絡はいただいています。現在 におきましても、委員の三分の一がご出席でありますので、会議は成立いたしておりま すことをご報告申し上げます。  それでは、今後の進行につきまして、部会長にお願いいたします。 ○ 宮島部会長  お忙しいところありがとうございました。  前回7月から、8月はお休みいたしまして、ひと月半近く間があいたこともございま す。その間、いろいろ年金をめぐる議論の進行もございますし、また、内閣の協議で今 後の段取りにやや変わった点が出てきているのかというふうに思います。今後、特に本 部会がどういう形で審議をしていくかということは、少しスケジュールという点で、あ らかじめ委員の方々にお話しておいた方が、特に今日の審議も含めまして段取りをつけ やすいと思いますので、もちろん細かい点は決まっていないと思いますけれども、おお よそ今後の審議の段取りにつきまして、総務課長から、もし今の段階ではっきりしてい る点があれば、それを少しお話しいただければと思います。 ○ 高橋総務課長  いつもでございますと会のおしまいに今後の段取りということについてお話しをさせ ていただいているかと思いますが、今日は最初の方で今後のお話しをしろということで 今、部会長からお話がございましたが、次回9月26日に予定をいたしておりますけれど も、次回につきましては、今後の給付と負担のあり方と密接に関連いたします年金積立 金のあり方につきまして、追加的な論点としてご審議をお願い申し上げたいと考えてお ります。また、さらに議論の必要な点がもしあれば、その点につきましては、今後議論 の中に出てくれば、逐次部会長、部会長代理とよく相談した上でお諮りをいたしたいと 思います。  これは3月時点の話でございますけれども、当面は総論的な論点についてご審議をい ただいて、秋には一たん整理をして各論に入るということを前局長から申し上げてきた ところでございます。実はこの点、先日、経済財政諮問会議の方から、厚生労働省とし ての案を早期に示し、国民的な議論を進めていくべきであるとの指摘がございまして、 私ども坂口厚生労働大臣からも早い段階で年金制度の改革の方向性と論点を示したい と、この経済財政諮問会議の席で申し上げたところでございます。私どもの大臣、こう いう意向でございますので、当部会でもそれに向けまして、ご議論をさらに深めていた だきたいと考えております。  いずれにしても、3月時点から申し上げてきましたように、秋に向けての総論的な論 点、これが方向性と論点の提示ということになるわけでございますけれども、それに向 けての議論を深めていくことをお願いを申し上げたいと思います。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。今、ちょっとお願いいたしましたのは、従来から秋口に一 たん総論的な論点の整理をということを申し上げておりましたが、そのタイミングを、 具体的にどのタイミングに定めるかということがややこの審議の仕方にかかわりますの で、先ほど事務局と私と少し打ち合わせをいたしましたが、私としては、9月いっぱい で、少なくとも事務局から説明に当たるような論点の提示とこういう資料の説明はでき るだけ終わらせたいと思っております。それで10月に、まだその辺のところは確定はし ておりませんが、委員の間の議論だけを集中的に行う部会を1回あるいは2回行って、 できれば10月中に総論に関するかなり細かい論点を整理するというところまでやってお きたいと考えております。もちろん場合によっては多少スケジュールに変化が起こるか もしれませんが、おおよそそういうスケジュールで考えておきたいと思っております。  今このように考えておりますが、今日は主要な論点は、先ほど資料説明がありました ように、「支え手を増やす」という、特に雇用や社会保険のあり方に一部かかわる重要 なテーマ、もう一つは、特に「国民年金保険料の徴収」という問題でございます。今日 は主にこの議論をいたしまして、これに関する議論だけで、今日の部会はそれでよろし いのではないかと思っております。そして次回は、先ほど総務課長から話がありました ように、年金積立金のあり方、運用ということについての論点の追加的な議論をしてい ただきたい。  その先、お願い申し上げますのは、次の9月の2回目で、論点として提示をして、議 論をすることは一応そこで終わらせたいと思いますので、委員の方々で、さらにこれま で検討してきた論点に加えて、取り上げるべきものがございましたら、できれば今日中 というわけにいきませんが、口頭でも結構でございますので、あるいは若干遅れても構 いませんが、事務局にお伝えいただければと思います。  そういたしますと、今日は支え手の問題と年金保険料徴収の話、次回が積立金の運用 の話ということで、大体これまで続けてきた議論はほぼ終わるのではないかと私は思っ ておりますが、まだいろいろ論点が別途あるかと思いますので、皆さんからそういうご 提示をいただければ、9月の次回にそれを行うということを考えております。  それを受けまして、改めて10月の最初の部会の際に、その後の論点も含めまして、委 員の方々に改めて補充的なペーパーの提出をお願いいたしまして、そして10月の部会で 1回あるいは2回、集中的な議論を行う。その間、私たちの方は、できるだけ皆さんか ら、これまでの提出されたペーパーやご意見も含めまして論点の整理、論点の整理と申 しましても、主に委員の方々でこういう点で意見が食い違っているということについ て、もう少しきちんと整理をした上で、10月に集中的な委員の間の議論を行いたい、こ のように考えております。  大体そのような今後の段取りで時間的なスケジュールとその中で行う審議の内容を考 えておりますが、そういうことで委員の方々、それでよろしゅうございますでしょう か。                (「はい」と声あり) ○ 宮島部会長  それでは、事務局も、今日これを突然お願いしたことですが、委員の方から、これ以 外、新たな論点としてここで議論すべきだという論点が出てくると思いますので、それ に対して次回のときに対応していただきたいと思います。  それでは、本日の議題に入りますが、その前に、先ほど資料の説明がございました が、平成15年度の特に物価スライドの取扱いについて、現在予算編成のプロセスの中で 議論が進んでいるわけであります。この概算要求につきまして、これは今日の審議の対 象ということでは特にございませんが、事務局から報告を求めて、若干のご意見を伺い たいと思います。それでは事務局からご説明を。どうぞ、これから座ったままでお願い いたします。 ○ 木倉年金課長  年金課長でございます。座ったままで失礼いたします。  それでは概算要求における年金の物価スライドについてのご報告を申し上げます。資 料としては資料1−1、この白い冊子のものと資料1−2、一枚紙の「関係諸指標の動 向等について」というのをご覧いただければと思います。  まず白い冊子の方ですが、概算要求の主要事項、これは省全体のものがまとめてあり ますが、この中の20ページをご覧いただきたいと思います。20ページに4として年金の 関係、「長期的に安定した信頼される年金制度の構築」とございます。「○」で、年金 給付費国庫負担金、要求額が5兆5,855 億と書いてあります。その下の括弧に「物価ス ライドの特例措置に係る所要額は、枠外で別途要求」とありますが、これについてのご 説明を申し上げます。  年金の物価スライドにつきましては、ご案内のように法律のそもそもの規定に基づき まして、前年の物価の変動に応じて自動的に額を改定する、いわゆる自動物価スライド 制がとられておるわけですが、そういうことで前年平均の消費者物価指数が下落した場 合には次年度の年金額が当該下落分だけ引き下がることになるという仕組みでございま す。  最近のこの動向を見てみますと、物価は一番上の方でございますが、平成11年▲0.3 %、12年▲0.7 %、13年▲0.7 %ということで連続3年下落をしております。しかしな がら、いずれの年も社会経済情勢等にかんがみまして、物価スライドに関する特例法が 国会で成立をしておりまして、年金額を引き下げずに据え置く措置が実施されてきたと ころでございます。  今年の要求に当たりましては、過去3年の状況と異なっている面といたしまして、賃 金の部分に特に書いてございますように、現役世代の賃金の低下傾向がだんだんと明確 になってきている。去年の後半ぐらいから1%台の低下傾向が見られてきており、保険 料を負担している現役世代との均衡を考慮しますと、15年度において、この年金額を据 え置く特例措置を講じるということは必ずしも適当ではないのではないか、一定程度の 引き下げは必要ではないかというふうに省として判断をしたところでございます。  この場合に、これまでの過去3年分の据え置いた累積、これはその3年を足しますと ▲1.7 %分となりますが、これを含めて、今年の物価下落分、これを一挙に引き下げを 行うことになりますと、資料の一番下の方に書いてございますが、これだけの影響が見 られるのではないか。すなわち一番右の過去3年分プラス、今の見通しは▲0.6 です が、それを足しまして▲2.3 %の引き下げを行うことになりますと、その上の国民年金 のご夫婦二人の満額の場合、13.4万円に対しますと、毎月3,080 円の引き下げの影響に なる。厚生年金の標準的な年金額23.8万円をとってみますと、毎月5,480 円の引き下げ になる。そういうふうな大幅な引き下げになりまして、影響が大き過ぎるのではない か、一定の配慮は必要ではないかと判断をしているところでございます。  このようなことから、15年度要求におきましては、平成14年の物価の下落分、今の見 通しですと▲0.6 %ということに経済見通しはなっておりますが、それを引き下げると いうことの形での要求としたものでございます。  なお、概算要求の枠(シーリング)の基準といたしましては、法律に基づく義務的な 経費分でしかそのシーリング額が設定をされなかったということがございますものです から、シーリングの枠内では法律の本則どおりの過去の累積分+今年の分ということで ▲2.3 %で所要額が計上されて5兆5,855 億ということになっておりますが、過去の3 年の累積分、▲1.7 %分に当たる846 億円、これは年金・諸手当でいうと846 億円でご ざいますけれども、このものは今年一挙に引き下げないということで、その分の所要額 につきましては、このシーリングとは別に、その枠外という形で要求が認められたとこ ろでございます。その枠内、枠外の両者合わせまして、今年の▲0.6 %分の要求という 形になっておるところでございます。  この所要額の取扱いにつきましては、この一枚紙の真ん中の「○」にございますよう に、8月7日の閣議了解におきまして、年金及び諸手当の物価スライドの特例措置(1.7 %相当分)に要する経費の平成15年度における所要額の取扱いについては、物価、賃 金、公務員給与の状況、年金制度の現状及び基本的考え方、社会保障全般における給付 と負担の状況等を総合的に勘案し、予算編成過程で検討するものということで、今後予 算編成の中で検討していくべきものということで示されたということでございます。  以上、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。当部会のミッションは、平成16年度の年金制度改革という ことでございますので、これはもちろん直接な審議の対象というわけではございません けれども、現在進行形で進んでいる重要な年金に関する案件でございますので、ただい まのご報告、厚生労働省の考え方につきまして、何かご意見があれば伺っておきたいと 思います。 ○ 翁委員  前回いろんな方のご意見の中で、例えばスライド制とかそういったものも自動的に財 政を均衡させるようなメカニズムをビルトインしたらどうかというような議論が非常に 多かったですし、また既裁定者のカットということについてどう考えるかという議論が いろいろあったわけでございますけれども、今、現実問題として物価スライドというも のが規定されていても、こういった経済情勢いかんによって、これを3年間は実施して こなかったというような経緯があったわけで、今後このスライド制または自動財政均衡 メカニズムみたいなものを入れていこうという場合に、どの程度の裁量的な要素を残す のかというような点については、この物価スライドというものをどういうふうに特例措 置みたいなものを扱っていくかという、その姿勢とかそういったことと密接にかかわっ ている話だと思いますので、これからの改正の議論に、今までのこういった状況をどう 関連づけて議論していくかというのは非常に重要な点ではないかと思っています。 ○ 宮島部会長  今のご意見のように、私もこの問題というのは、例えばかつて0.1 %をどうするかと いうような議論あったときと今のは少し状況が違ってきていると思っております。確か に今ご指摘ありましたように、ある意味ではこれは一種のスタビライザー的な役割で、 もともとの役割は、どちらかというと物価の上昇を念頭に置いて実質価値をいかに維持 するか、ほとんどそれだけが考えられていた措置であったということもありますけれど も、今、当部会で少し議論が始められているような経済情勢の変動であるとか、そうい うものに応じて制度そのものがある程度弾力的に対応するような仕組みを考えるという ときになりますと、これとは違った問題であるにしても、何らかのこういう経済情勢の 変化でありますとかそれに対応する一種のスタビライザー的な発想は皆さんからある程 度出てきているわけです。もちろん細かい点の設計はまだ全然されてなくて、そういう 点で考えますと、今回の取扱いが前例になるかならないかは別として、例えば何かオー トマチック・スタビラザー的なものを盛り込んでも、結局そのときのそのときの概算要 求でまた議論しなければいけない話かなというようなことを考える方も多分いらっしゃ るだろうと思いますし、私も意見がないわけではないですが、いかがでございますしょ うか、ほかに何かご意見があれば。 ○ 岡本委員  こういう社会保障制度のような国の基本になる制度運営について、私は原則論として は決めたことは決めたとおりしていくことが国民の信頼を得るという意味において私は 正しいあり方ではないか、こんなふうに考えております。ただ、ここ数年というのは、 50年に一遍あるか、100 年に何回あるかというような極めて異常というか、大変な、 言ってみれば、想定もしなかったような状況にたまたまなっているということを考えれ ば、私はここ数年とってきたこの判断は、それなりにきちんと国民のコンセンサスも得 て、それなりにそれが是である、善であるということで決めたということでありますの で、私はそういう意味においては、これまでの取組みについては理解をしたいと、こん なふうに思っておりますが、基本的な考え方はこれからは決めたものをきちんと運用し ていくということを大原則として、それを忠実に守っていくことが国民の信頼を得るこ とにつながるのではないか、こんなふうに理解をしております。 ○ 宮島部会長  ほかにいかがでございましょうか。 ○ 大山委員  物価スライドということですので、閣議でこういう方向で進んでいることについては わかりますけれども、この場でこれを議論するとした場合は賃金の問題をどうするかと いうのが一番大きいと思うんです。給付と負担という問題で必ず「現役」という言葉が 出るということになれば、私の考えとしてはネット・ネットの考え方でありますので、 そういう点からいえば、この物価スライドについての取扱いについて報告がありました けれども、賃金の関係について勘案することになっているのですが、制度のときにどう いうふうにするかということは、今後の制度の中でもっと明確にしていくことではない かと思います。 ○ 宮島部会長  ほかにございますでしょうか。いずれにせよ、これは現在の仕組みの問題であります けれども、特に経済情勢ですとかいろんな情勢変化の中で、制度そのものが、ある程度 弾力的に対応できるようなことは考えられていることであります。今回のことに関して 言えば、現在のフルスライドの仕組みがよかったのかどうかという議論は無論あると思 いますし、また、今、大山委員からありましたけれども、かつて賃金なり物価なり、ど ういう指標で考えるべきかということについても議論があって、現在はこういう制度と してできているということであります。  ただ、いずれにしても、今論点の提起がありましたように、今後新しい年金制度を考 える際に、仮に現行の制度が必ずしもうまく働いていない、どうしてもそのとおりはう まくいかないとなれば、どこに原因があるかということを考えて、そうではない、もう 少し、まさに制度そのものが経済情勢の変化の中で弾力的に対応できるような仕組みを むしろ我々としては考えることが早急に求められるのだろうと私は理解しております。  この議論は、そういうことでよろしゅうございますでしょうか。教訓としては、私は 十分考慮しておきたいと思っております。  それでは、本日の主たる議題でございます「支え手を増やす取組み」と「国民年金の 未加入・未納対策について」という二つの追加議題にこれから入りたいと思います。こ れから通してこれを説明していただきます。  その際、適当なところで5分ほど休憩をとりまして、そして今日の説明及び資料に対 する質疑をまず行い、その後、今日は今井委員と堀委員からこのテーマだけではござい ませんけれども、これに関してペーパーが提出されておりますので、お二人にぺーパー についてご説明いただいて、その後、残りの時間、このテーマで今日は議論をしたいと 考えております。  それでは、まず二つの議題につきまして、事務局から通して説明をしていただきたい と思います。 ○ 木倉年金課長  それでは、資料は3点でございますけれども、まず追加的な論点としての「支え手を 増やす仕組み」、資料2−1でございます。その参考資料といたしまして資料2−2、 分厚いものがございます。その次に「国民年金の未加入・未納対策」、資料3でござい ます。この3点のご説明をいたします。  まず「支え手を増やす取組み」でございます。参考資料を適宜ご参照いただきなが ら、ご説明を申し上げます。なお、表紙に書いてありますように、前回もあったようで ございますが、これらに挙げておりますのは、今後を議論を深めていただく上で必要と 事務局で考えました論点の例でございまして、これ以外にも種々論点あるかと思います が、よろしくお願い申し上げます。  おめくりいただきまして1ページ、「支え手を増やす取組み(論点(例))」として 幾つかの整理をいたしておりますが、これまでもいろいろご議論いただいております が、例えば女性や高齢者など年金制度の「支え手」を増やしていくことの意義について の、これまでも各方面で述べられていることについての認識のまとめをしてみました。  最初の「○」でございますが、今後、急速な少子高齢化の進行が見込まれる中で、我 が国の経済・社会を活力あるものにしていくために、社会の支え手を増やすことは重要 な課題である。そういう中で、雇用の流動化など見られる中で、働く意欲を持つ者が多 様な形で働いて能力を発揮できる社会を構築していくことが必要でありまして、社会保 障制度や雇用を含む社会・経済制度全体を改革していくことが、強く求められておると いうことでございまして、この点のデータは、ご説明申し上げることもないと思います けれども、1−1には、以前、ご説明がありました将来推計人口、新しい推計のものを 付けております。1−2としては労働力人口、労働力率の最近の推移を付けておりま す。  1−3は、労働力人口の見通し、これは古くなりますが、前回の人口推計(平成9年 1月)をベースにして、11年8月閣議決定をされているものでございまして、新しい人 口推計に基づくものは、さらに作業中と伺っていますので、また新しいものが出ました らご報告させていただきたいと思いますけれども、前回のものの中でも、ページが見え づらくて申し訳ありませんが、参考資料6ページにございますように、55歳以上の労働 力人口の大幅な増加を見込む、あるいは女性についてのほとんどの年齢階級での労働力 率の上昇を見込むということを前提に見通しが立てられておるということでございま す。  参考資料の方の1−5、10ページ、就業形態の多様化についてということで、パート 等の雇用の形態の動向というようなものの資料を付けさせていただいております。  これを前提にしてございますが、もとの資料に戻っていただきまして、次の「○」で すが、年金制度におきましても、女性や高齢者等の支え手を増やすことにより、支え手 の方自身の年金保障の充実を図ることも大事でございますが、さらに年金制度において も、将来の少子高齢者社会が進んでいく中での給付と負担のバランスをきちんと図り、 安定的な制度運営を行っていくことが重要になってきているのではないかということを 挙げております。  これにつきましても、参考資料をご覧いただくまでもないですけれども、9ページの 1−4で、主要国における年齢階級別女性の労働力率の動向、特に日本については、平 成2年の動向と平成12年の動向、M字カーブの少し変化のある推移のところが挙げられ ております。  1−6、短時間雇用者数の近年の推移ということでございます。白い棒グラフのもの が短時間雇用者数、男女トータルで、右側の低めの棒グラフが女性の数の推移でござい ます。折れ線グラフで付けられているもの、上が女性の雇用者数中の短時間労働者の パーセンテージ、下の点線が男女合わせた雇用者総数中の短時間雇用者の推移で、その 動向を示したものでございます。  1−7につきましては、これは女性ですが、年齢階級別雇用者比率、これは平成元年 と11年をとっております。この上の二つ、上が平成11年の雇用者の年齢階級別の動向、 その下の2番目の点線が平成元年の雇用者の動向、その下二つ、上から3番目の実線が 平成11年の厚生年金被保険者の割合の動向、一番下の点線が平成元年の厚生年金被保険 者の割合の動向という図を付けさせていただいております。  次の1−8は、男性について同じように雇用者比率の元年、11年の比較、厚生年金の 被保険者の比率の推移を付けさせていただいております。同じように上二つが平成11 年、平成元年の雇用者数の動向、下二つが平成11年と平成元年の厚生年金被保険者の比 率の動向ということでございます。  1−9は、60歳台前半の労働力人口の状況、左の方は、60歳台前半の人口768 万人中 の労働力人口あるいは就業者の数、厚生年金の在老の受給の状況等を内訳で挙げており ます。右の方には違う統計からですが、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の受給権 者数のうちで現在被保険者である方、働いていらっしゃらないか、あるいは在老を受け ながら働いていらっしゃるかということで白抜きと黒抜きとこういう形で分けて表示を しておるデータでございます。  1−10は、これは高齢者の就業の希望ということでございまして、上の方が40代、50 代の方々の何歳ぐらいまで働きたいかという動向、下の60歳以上の方々についての動 向。下の方ですと、65歳以上まで、あるいは年齢にこだらわずに働くのがよいとする方 の割合が多くなってきておるということでございます。  簡単でございますが、データはそんなところでございます。  また戻っていただきまして1ページですが、年金制度の中でのこういう認識の下で、 年金制度については、年金制度が就労抑制的な仕組みになっている部分があるのではな いかというご指摘もございますが、そういう部分については見直しを進め、個人にとっ てなかなか中立的になってない部分があるのではないかということにつきましては、多 様な選択が可能となる制度としていくことが必要ではないかという基本的な考え方を示 しております。  次の「○」ですが、このような支え手を増やしていく取組みに当たっては、他方での 高齢者雇用の推進の施策、短時間労働者の能力の有効発揮のための施策、さらには多様 就労型のワークシェアリングなどの雇用政策面での取組みとの連携を一層図っていくこ とが重要ではないかということを付けております。  これにつきましては、参考資料では1−11、これは先ほどと同じようなことになりま すか、雇用対策基本計画、平成11年8月のものですが、これの中におきます部分を付け ております。特に17ページでは、向こう10年間程度における取組(65歳までの雇用の確 保)をきちんと図っていくことが述べられており、その部分を抜粋して付けさせていた だいております。  1−12でございますが、これは先般(14年6月)に出ました「年齢にかかわりなく働 ける社会に関する有識者会議」の〈中間とりまとめ〉ということでございまして、その 資料を付けております。これにつきましても、まずもって65歳までの安定的な雇用の確 保、さらには、その下の方ですが、その次のステップとしては、今後10年間を年齢にか かわりなく働ける社会の実現に向けた基盤整備の期間ということで、集中的な努力をし ていく必要があるということが述べられておるところでございます。  このような基本的な考え方の整理に立ちまして、もとの資料の2ページでございます が、ここに論点として少し例示をさせていただきましたのは三つの点でございます。  (1)、短時間労働者等に対する厚生年金の適用拡大ということをどう考えていくのか。  (2)、高齢者の就労促進と年金制度の関係。就労抑制的な部分があるのであれば、見直 していくべきではないかということをどう考えていくのか。  (3)、次世代を育成していくことに対します支援、これと年金制度との関係をどのよう に考えていくのか。  おめくりいただきまして3ページ、「2 短時間労働者等に対する厚生年金の適用拡 大」についての論点を少し整理をさせていただいております。申し遅れましたが、この 辺の資料からは、先般もご紹介がありましたが、神代代理に座長を務めていただいてお ります「雇用と年金の研究会」を私ども勉強の場としてやらせていただいておりますけ れども、その中で論点を出させていただいて整理をしたものからのご紹介をさせていた だいているものでございます。  最初、この部会でもご紹介がありました、昨年まとめられた「女性と年金の検討会」 では、多様な形態の就労を通じて年金保障の充実を図ることができるようにするととも に、支え手を増やす観点からも、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大を図る方向 で、いろんな論点を検討すべきであると整理がなされております。厚生年金の適用拡大 は、短時間の方々にとっても、被用者にふさわしい年金保障を行うことを通じまして、 その短時間労働を良好な就業形態とする、あるいは処遇・労働条件の改善を図るという 面での基盤整備に資するのではないかというまとめ方をしておるところでございます。  この点につきましては、各種の提言等で取り上げられているところですが、参考資料 の20ページの2−1として短時間労働者への適用拡大等に関連する主要な政府方針、提 言等ということで種々付けさせていただいております。昨年の政府・与党の社会保障改 革協議会のところから付けて、去年の6月のいわゆる骨太方針の閣議決定、あるいは総 合規制改革会議のまとめ、答申。女性と年金検討会のまとめ、パートタイム労働の2月 の中間まとめ、ワークシェアリングの労使合意の表現、先ほどの年齢にかかわりなく働 ける社会に関する有識者会議の中間まとめ。22ページにございますが、ことしの6月の 骨太方針第二弾と言われるものでも同じことが書いてあります。それから、パートタイ ム労働研究会の7月のとりまとめでも同じような方向性が述べられている。同じく7月 の雇用政策研究会でも同じような方向性が述べられています。ずっと連続的にいろんな 場でこのような問題認識が共通に持たれておるところではないかと考えられます。  そこでもとの資料に戻っていただきまして、「○」の二つ目、厚生年金の適用基準に ついてどう考えていくのかということでございます。まず現行のご説明ですが、十分ご 案内のように、現行では、通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4 分の3以上である就労者につていは、原則「健康保険も厚生年金保険も被保険者として 取り扱うべき」とされておるところございます。  この概念図は参考資料2−2に付けております。24ページでございますけれども、4 分の3という要件で、右側の方に行きますと、厚生年金の2号の被保険者となる。4分 の3に満たないということになりますと、130 万円という被扶養者の認定基準を境目に して、130 万円未満の収入ですと、サラリーマン本人の被扶養者という位置付けで3号 の被保険者という形になる。それを超えると、国民年金の1号被保険者ということでの 形になるという整理でございます。この130 万円の被扶養者、後で出てまいりますけれ ども、ご参考までですが、ご案内のように、61年の国民年金の3号被保険者導入時に、 健保と同等の額で設定がされておるところで、その後見直して今に至っている。もとも とは健康保険の方で、52年頃でございましょうか、所得税の控除の対象配偶者の収入の 限度額と並べての設定がなされ、それが見直しをされてきた経緯があるところでござい ます。  また、戻っていただきまして、行ったり来たりで申し訳ありませんが、もとの資料の 方でございますけれども、諸外国ではどうかといいますと、いろんな資料をこれまでも ご覧いただきましたように、一定以上の所得のある者は強制加入という仕組みでつくっ てありまして、その所得水準は、我が国の今申し上げました被扶養者の認定基準、130 万円よりもかなり低い水準になっているのではないかということが見られます。  2−3、25ページでございますが、これも今までご覧いただいたものを書き直しただ けでございますが、アメリカは雇用形態のいかんを問わず収入があれば適用されるわけ ですが、年額で780 ドル以上の収入、2000年のレートで言いますと8万円台以上の収入 について適用されている。  イギリスは、週の72ポンドで境目になっておるわけですが、72ポンドを年額換算しま すと3,744 ポンドで、円に直すと年収の61万円ぐらいでの適用になっている。  ドイツでは、年収の630 マルクのところで区分がありますが、それを年収換算する と、7,560 マルク、38万円ぐらいではないか。  スウェーデンでは、8,952 クローネ、10万円ぐらいのところでの境目になっておりま す。  というふうなことが見てとれるのではないかという資料を付けさせていただいておる ところでございます。  また、もとに戻っていただきまして、他の制度、雇用保険ですが、雇用保険におきま しては、反復継続して就労し、かつ1週間の所定労働時間が20時間以上である者は、短 時間労働被保険者という形になっております。  なお、年収要件、90万円以上年収要件というのがありましたけれども、これは昨年の 春から多様な就労形態に対応していくということで撤廃をされており、今は労働時間20 時間要件で動いておるということだろうと思っております。  次に女性と年金検討会の中におきましては、これもご案内があったかと思いますが、 具体的な提案の例といたしまして、そこに書いてある二つの適用の基準を設けてはどう かという提案がされました。一つには時間の要件、週の所定労働時間、2分の1という 提案だったと思いますが、今の40時間を当てはめれば20時間以上。または収入要件、2 分の1未満の時間の方であっても、年収が65万円以上の方であれば適用していいのでは ないかというご提案があったように伺っております。  これは2−4、26ページ以降ですが、女性と年金検討会の報告書の抜粋を付けており ますが、その中で、具体的には、これは慶應の樋口先生のご提案ですが、28ページに書 いてございまして、(1)のところで、「以下の2つの基準を設けたらどうかという提 案がなされ、これをたたき台として議論が行われた」。  (1)につきましては、今の4分の3の時間要件を2分の1以上にしたらどうか。  また、(2)で、2分の1未満の方であっても、年間賃金が「65万円以上」ならば厚生年 金に適用するという収入基準を新たに設ける考え方をとったらどうか。  これを図示をされておるのが33ページになります。見づらいページで申し訳ありませ ん。これも報告書に付いておったかと思いますが、左が配偶者の方が被用者年金の被保 険者、サラリーマンである場合ですが、右側が配偶者の方が被用者保険の被保険者でな い場合ということで書いておりますが、上が現在の仕組み、下が見直し案です。左側で 申しますと4分の3要件を2分の1に下げる、あるいは130 万円要件で、2分の1でも 65万円以上であれば適用するということで、網かけの部分がぐっと広がってきて、その かわりに被扶養者としての3号の部分がもっと縮まるという形が見られるわけでござい ます。右側は、同じように網かけの部分が広がってくることにより、1号の方のその部 分がぐっと狭まってくるという形が見られる。こういった見直しを一つ考えて、厚生年 金の適用拡大をしていったらどうかというご提案があったと伺っています。  また戻っていただきまして、3ページの下ですが、女性と年金検討会の中でも今後議 論していく論点は幾つもあると言われておりますが、特にそこでも挙げられております ように、(1)保険料負担の増加の問題。本人にも事業主も新たな負担が生じる場合があ る、それをどう考えるのか。  (2)年金財政への影響、現状では短時間労働者の方は賃金が低い方が多い中で、そうい う方々の被保険者が拡大していく場合に、年金財政の負担と給付にどういう影響が見ら れるのか。  (3)健康保険との並びでの設定がなされておりますが、健康保険との取扱いの均衡をど のように考えていくべきか、様々な論点が指摘されており、この辺の整理が要るのでは ないかということです。  次のページへまいりまして、厚生年金の適用とともに、これは繰り返し同じような論 点になりますが、被扶養者認定基準(130 万未満)の見直しもあわせて考えて、基準の 引き下げを図るべきという点も念のために書き出してあります。  次の「○」ですが、派遣労働者についての整理を書き出しております。派遣労働者の 厚生年金の適用については、仕組み上は社会保険の適用で一般の方々と特別な定めがさ れているわけでなくて、同じ基準で派遣元で適用がされるということです。派遣労働者 の方々が増加をしてきている中で、2−6、2−7、参考資料35ページにその数字の動 向は付けておりますが、今でも、2−7 派遣労働者の厚生年金加入状況ですが、まず は派遣元事業所の調査結果で見てみると、特定派遣の事業所(常用型派遣)の場合、91. 8%という高い加入率、一般派遣の事業所(登録型派遣)は61.2%の適用。  一番下の派遣労働者からの別の調査ですが、これは区別なしに全体で聞いております が、厚生年金は、67.4%の加入状況が見られます。  4ページに戻っていただきまして、しかしながら、雇用契約が断続的になってしまう 登録型の方の場合には、実際の派遣の期間が終わりますと、こういう契約が実際にはな くなってしまうわけですが、この辺のことをどうするかということで、一つ改善が見ら れておりますのは、「・」の最初に書いておりますように、登録型の派遣労働者につい ては、ことしの5月から、健保も厚生年金も派遣を繰り返される間に発生する短期間の 待機の期間、実際の派遣がない期間については、最大1カ月以内であれば、同一の派遣 元事業主のもとで、次の派遣就業が確実に見込まれる。次の就業が決定をしており、1 月内に決まって派遣されることが見込まれますと、健保を抜けて国保になる、厚生年金 を抜けて国年になるとかという手続をとっていただかなくても、被保険者資格を継続さ せていただいて結構であるというを通知を出してその適用を求めておるということでご ざいます。  待機の期間が1月を超えてしまう場合については、健康保険については、健保組合で も、政管でもご本人の選択にはなりますが、任意継続被保険者の仕組みがございます。 原則2年間まではそこに所属ができる。負担が増える形にはなりますが、そういう形も ございます。特にこの5月からは、ここに書いておりませんが、派遣の総合型の健保組 合ができておりまして、全部の派遣事業所が入っているわけではないようですが、派遣 組合の中で、派遣元が異なりましても組合にずっと所属ができる形の改善も見られてお ります。  ただし、最後の括弧に書いていますが、年金については健保と違う仕組みですので、 1月を超えてしまう場合には、厚年適用が切れまして国民年金の適用になります。これ につきましては、この前の雇用と年金の研究会の中では、任意の継続の仕組みが考えら れるのかどうかということもご議論をいただいているところでございます。  以上、短期雇用の方々についての論点の例でございます。  次に5ページ、「高齢者の就労促進と年金制度」ということについて挙げておりま す。高齢者の方々につきましては、年金と就業の関係については概念的に考える上で は、退職すれば年金を支給する、在職中は年金を支給しないということになりますと、 退職をして年金をもらおうかという方に働いてしまうのではないか。在職していまして も年金を全部出すということになると、働きたい方は働かれるでしょうが、引退したい 方は引退する。中立的になるのかなという感じがいたします。  そういう中で、就労を延ばすことになりますと、許されるのであれば、在職していて も年金を満額支給していくことは考えられるかと思いますが、しかし年金制度について は、現役世代の方々に支えられていること、年金財政の健全化の問題もあるということ も考え合わせますとなかなかそうもいかないということで、現行においては、在職中で も年金を支給する仕組みが始まっておりますが、年金と賃金の合わせた額に応じて一定 額を支給停止をする在老の仕組みをとっておるところでございます。  これは3−1、36ページに付けておりますが、ご案内のような仕組みでとらえており まして、これは60歳台前半の在職老齢年金の仕組みの図ですが、このような仕組みでの 調整が行われております。  この仕組みについては、もとの資料ですが、機能しているという考え方からすれば、 賃金が低い方については年金と組み合わせることにより所得が確保される。あるいは労 働能力が落ち、通常勤務が難しくなった方については、この年金との組み合わせにより 手取りを増やすことができる。  それから、雇う側にとっても、在老を考えた賃金水準の設定ということで雇用のコス トが比較的低くなっておるのではないかということが言われておりますが、他方で、こ の在老の仕組みは、年金の受給権を持っている世代の方々が就業することについて抑制 的に働いている面があるのではないか。また、雇う側にとっても、低賃金での就業を促 進してしまっている面があるのではないかということでの、就労の抑制的な面があるの ではないかという指摘もあるところです。  そこでいろいろな考え方があろうと思うのですが、ここに幾つか挙げております。6 ページのまず(1)ですが、在老の仕組みでの調整ではなく年金は全額支給するが、年金 と賃金を一体としてとらえて、全体に課税をしていくことでバランスをとってはどうか というご指摘もあろうかと思うのですが、しかしながら、今の在老は、働き始めますと 2割がカットされ、だんだん増えていくと全額停止まで至るという形で、こういう仕組 みの中で見合うような課税の大幅な仕組みが果たして実際実現できるのかという論点。  (2)ですが、実際に高齢者の65歳までの就労促進ということであれば、支給開始年齢 の引上げスケジュールが確定しておるわけですが、このスケジュールをさらに前倒しし て早めに引上げていき、それとともに60歳台前半の雇用環境整備を図っていったらどう かという考え方もあろうかと思います。今の引上げスケジュールについては参考資料3 −3、39ページ、1 階部分(定額部分)の引上げは既に始まっておりますが、2013年ま でかけて男性の場合に引上げる、女性はその5年遅れというスケジュールで65歳になる ことが決まっております。  それから、3−4、40ページ、2階部分(報酬比例部分)の引上げもその後始まりま して、男性の場合で2025年、女性もその5年遅れでの65歳になる。原則65歳から厚生年 金の支給という形になることは決まっておるわけですが、このスケジュールの前倒しの 実現可能性があるのか。資料には、現在の情勢や高齢者の雇用状況を踏まえると、なか なかこの引上げスケジュールの前倒しは現実的でない面もあるのではないかということ を論点として挙げております。  このように考えますと、次の「○」ですが、一つには、今の在職老齢年金の仕組みの 見直しも考えられるのではないか。これも雇用と年金の研究会でも、一律2割カットを やめるとか、22万円のラインをどうするかといったこと。賃金が増えると年金を一時 カットするというような仕組みをどうするのかといった論点を挙げてご議論いただきま したが、複雑になる一方でなかなか効果の決め手になる面も少ないかというようなご指 摘もいただいて、まだ整理しきれてない面がありますけれども、そういう見直しの議論 もしていかなければいけないのではないかということもございます。  しかしながら一方で、調整を続けている限りは何らかの抑制的な面もあるのではない かということで、一番下でございますが、在老の見直しも必要なものはしていくととも に、新たな仕組みが考えられないかということでして、7ページ、一つの例として、ま だ制度設計も整理ができておるわけではありませんが、研究会でも少しイメージとして お示しをさせていただきましたものは、60歳台前半の方が年金の受給権を持って就労す る場合に、在老の仕組みでの年金をもらいながら働き方を選ぶということとともに、別 途希望される方には年金を、例えば65歳以降に繰下げての受給の道を選ぶことができる ようなことは考えられないかということです。そのイメージ図が8ページに付けてござ いますが、上、二つの絵が今の1階(定額部分)を引き上げている最中の年代の方、下 が2階を引き上げている対象年代の方を例示しておりますが、一番上ですと、まだ1階 引上げ途上の方について、働くと一部支給停止という調整がかかってしまうところを、 支給停止のラインは、フルに働いて、その分について、これがどの程度繰下げを認めれ ば、就労とのバランス、年金財政とのパランスがとれるかという難しい問題あるわけで すが、フルに働いて、そこでもらえる在職中の年金については、例えば65歳以降に有期 か、ずっとかという論点もあろうかと思いますが、繰下げ増額分として残せるような道 を考えるということも一つイメージがあるかどうか。あるいは2階だけの時代になりま しても、下半分のように、同じような議論があるのかどうか。この辺のご議論もいただ ければということでございます。  7ページに戻っていただきまして、もう一つありますのは、年齢の話で、最後の 「○」で、60代後半の高齢者の就労促進も考えていく必要があるのではないかというこ とで、65歳までの引上げのスケジュールがありますが、さらなる、例えばアメリカのよ うに67歳まで引上げという国もありますが、こういう可能性があるのかどうか。これに つきまして、先ほどの60代前半の引上げスケジュールの前倒しの議論と同じですが、今 の雇用状況、経済情勢等を考えると現実的かどうか、なかなか難しいのではないかとい うことを挙げております。  これ以外にもいろいろ60代前半の議論はあろうかと思いますが、一つの論点の例とし て挙げさせていただきました。  次に、最後の点でございますが、9ページからですが、「4 次世代育成支援と年金 制度」ということでございます。少子高齢化の程度も速さも著しく進んでおるわけです が、これにつきましては様々な面で見られておりますように、社会全体、政府挙げての 次世代育成支援に取り組んでいく必要があることが指摘をされておるところでございま す。  そのような中で、次の「○」ですが、この総合的な次世代育成支援対策を講じていこ うという流れの中で、公的年金制度におきましても、その一環として対応をどう考えて いくのかということが課題になると思っておりますけれども、これにつきましては、こ れまでご議論がありましたように、肯定的な立場の見解、否定的な見解両方あろうかと いうことで十分なご議論が必要だろうと思っております。  一つに、肯定的な考え方としてのものを例示をさせていただいておりますが、世代間 扶養の仕組みを基本としておる公的年金制度については、次世代の育成は本質的な課題 ではないかということで、例えば少子高齢化が先行しているような欧州各国におきまし ても、その下に例示をしておりますように、様々な形で次世代を育成する者への配慮措 置が講じられているのではないかということでございます。  詳しくは参考資料の42ページに付けておりますけれども、ドイツは、育児休業期間中 につきまして、この前の改正では10歳までということになっておりますが、これにつき まして、平均賃金ないしは平均賃金の一定の割合で、保険料納付としてみなされる仕組 みがあるというようなこと。イギリスでは加入すべき期間からの控除が認められるよう なこと。あるいはフランスで、加入年数や年金額を子育てをした分について増やしても らえるような仕組みがあるということ。スウェーデンは、所得が減ってしまった場合 に、報酬の面で、年金制度の所得として配慮をするという仕組み。このような例が見ら れるところでございます。いろいろ就労中断の事情がある中で、特に育児に着目しての 配慮措置が見られることについては一つの例があるかと思っております。  そこでもとの資料の10ページですが、これらの諸外国におきましては、肯定的な立場 から見ますと、公的年金制度におきまして、一つ目は、年金で高齢者世代を支えるとい うこととともに、この給付と負担の仕組みを通じて、次に高齢者世代を支えてくれる次 世代のグループを育てている方々も支えるということで、次世代の育児支援を行ってい る仕組みが取り入れられているというふうに見ることもできるのではないか。  このような考え方を敷衍していきますと、単に育児の責任を果たしている方々が大変 な負担であるからということで配慮をするという視点だけではなくて、支え合いの仕組 みの中におきまして、次世代の育成を加入者全体で支援をしていくという考え方をとっ ていくことが考えられるのではないかということ。  この考え方は、同じではないかもしませんが、山崎委員ご指摘のような、社会保険の 仕組みで子育ての費用を賄っていく、所得制限がない形での援助をしていくというふう な形。年金制度の中ではありますけれども、一つの考え方として同じような方向性が見 られるような考え方になるのではないかということ。  最後のところでは、少子高齢化の中で保険料水準が上昇やむを得ない中で、その次世 代を頑張って育成をしておる現役世代の理解を得ていくためには、何らかの負担の還元 ということも考えられるのではないかといったことを挙げております。  他方で、否定的な立場のご意見としての整理ですが、この年金制度は老後の所得保障 であって趣旨が違う、次世代育成については租税でやるべき問題ではないか。  あるいは老後の費用の保障ということについては、何人子どもを育てたかとは無関係 であるので、それで給付が増えるような仕組みは適切ではないのではないか。  子どもの有無で給付や負担に差が出ることはライフサイクルの選択ということについ ては中立的でなくなるのではないか。  年金制度のような所得移転ではなくて、保育サービスのような環境整備の方が実効性 があるのではないか。  そもそも年金財政が厳しい中で、そういう余裕はなかなかないのではないかという点 もよく挙げられているだろうと思います。  その中で、一番下からですが、既に我が国の厚生年金の仕組みの中においては、育児 休業期間、今のところ1年ですが、この中で次世代を育成する者について、本人、事業 主の負担を免除して全体を支え合うという仕組みがとられておりますが、こういうこと にとどまらずに支援を拡大することになりますと、例えば女性と年金検討会でも挙げて おりますが、11ページ、いろんな検討課題が、検討の可能性ということで論議すべき点 は見られるのではないかということで、最初の「・」、現在の育児休業期間中の免除は 厚生年金の被保険者のうちの実際に育児休業をとった方を対象にしておりますが、では 育児休業をとらずに働き続けていらっしゃる方々をどう考えるか。それから、厚生年金 ではないグループ、1号の方々をどう考えるのか。あるいは離職せざるを得なくなった ような方々、3号になってしまったような方々はどう考えるのか、こういったバランス の問題をどう考えていくのか。  次の「・」ですが、育児休業期間中についての賃金の減少、加入期間が短縮したこと について、年金の算定上での報酬面での配慮、加入年数の加算ということの例もあるわ けですが、そういう措置をとるべきかどうか。実際にとるときにどういった内容として 考えていくか。注意しなければいけないこととして、離職促進的に機能しないように工 夫ができるのだろうかというようなこと。  あるいは、その次の「・」でございますが、1号の方々ということになりますと、所 得との関連のない基礎年金の給付、負担という中で考えておりますけれども、そういう ことになりますと、給付面で差をつけるのはなかなか難しいということになりますの で、定額の負担でありますけれども、負担の中で何らかの配慮を行うことができるのか どうか。  最後に、こういった給付と負担の枠の中での考えだけにとどまるのではなくて、例え ばということで、奨学金制度、これは女性と年金検討会の中で付けたものをもう一回付 けておりますが、参考資料の一番最後の48ページですが、これは宮武検討会委員のご指 摘でございましたけれども、「若者皆奨学金制度」ということで、学校への奨学資金を 年金から貸出しをして返済を求めていくということで、この年金にちゃんと保険料を 払っておって、また、奨学金を完済すれば、次の世代の子どもたちも、また親に続いて この奨学金を活用できるような仕組みを考えてはどうかということ。  あるいはその下で、永瀬委員からは、実際の保育サービスを援助していくことも考え られるのではないか。このようなことも挙げられておるところでございます。  以上、長くなりましたが、「支え手を増やす取組み」の論点のご紹介でございます。  もう少しお時間をいただきまして、よろしゅうございますでしょうか。 ○ 宮島部会長  ただ、大変丁寧でよかったのですが、少し長過ぎました。 ○ 木倉年金課長  すいません。もう少し簡潔にやらせていただきます。 ○ 宮島部会長  あと、15分ぐらいでもう一つの方はご説明いただきたい。 ○ 木倉年金課長  わかりました。「国民年金の未加入・未納対策」につきましては、これは参考資料な しでございますので簡潔にやらせていただきます。  これまでも国と地方の地方分権の見直しを行うという中での事務の移行のご報告はさ せていただきましたが、さらに骨太方針の第二弾でも、収納対策に徹底的に取り組むべ きだというご指摘もいただいておりますので、支え手の面にもかかわりますのでもう一 度ご紹介をさせていただくということでございます。  おめくりいただきまして1ページですが、国民年金の今の未加入者・未納者の状況全 体をまとめておりますが、左下にありますように、これは調査時点がいろいろ違うもの を整理しておりますので、なかなかうまく合わない、数字が入ってない部分もあります が、7,000 万人を超える公的年金の加入者の中での1号の被保険者2,000 万人強、2号 被保険者3,700 万人強、3号被保険者が1,100 万人強という中でございますが、一番左 の黒いところですが、この1号に未加入の方々は平成10年の調査では99万人。未納者、 これは2年間1月分も保険料を納付してない方々ですが、これは265 万人(11年調 査)、こういう数字が見られます。これは右の棒グラフにありますように、未加入の方 については加入をきちんと進めるということでだんだんと減ってきておりますが、それ と裏腹に未納者がじわじわと増えてきておる傾向が見られているということでございま す。  次のページに今の状況をもう一つ書いておりますが、未加入者については、20歳に到 達した人に対する年金手帳の送付等による強制適用ということも進めておりますし、サ ラリーマンから変わってくる人につきましては、基礎年金番号を活用したフォローとい うことで適用対策の促進等を進めてきている。その結果として、先ほどのような現象が 見られたと思いますが、これをきちんとやっていくことが今後とも必要だと思っており ます。  未納者につきましては、先ほどのように増えてきている傾向もございますけれども、 これまで適用促進をしてきた方々がなかなか制度に関心の低いような階層の方々であっ たこともあろうかと思いますが、いろいろな調査から見ますと、主な原因としては年金 制度に対するそもそもの理解の差や意識の差にあるのではないか。  これはよく挙げられている数字ですが、次の3ページにありますように、未納者の 方々と実際に納付をいただいている方々との所得の分布はほとんど差がないのではない か。あるいは左下にあるように、生命保険、個人年金への加入条件を見ましても、未納 者の方でも生命保険には半分以上というような加入ですし、平均的な掛金も1号の保険 料を超えるようなものを払っていらっしゃるのではなかろうかということ。  一方で、右の老後の生活設計に対する意識というところで見られるように、未納の 方々は、聞いてみますと、今は特に考えてないよといった将来に対する認識が十分でな い方が見られるのではないか。これ以外にも個人年金に頼る、貯蓄に頼るからいいよ、 配偶者に頼るからいいという例も挙げられておるのですが、公的年金をきちんとご理解 いただいてないのではないかということが見られるところでございます。まずもって、 こういった公的年金にきちんと加入していただくことが一番有利であるし、確実なのだ ということについての正しい理解を求めていかなければいけないと思っております。  そこで4ページでございますが、この正しい理解を得るために、今の状況についての 認識ですが、今の未加入者・未納者の状況は全体の5%、これが大したことではないと いうことではありませんが、全体の5%程度でありまして、直ちにこれで制度を揺るが せるものになっているわけではないのですが、(2)にあるように、未加入であった、未納 であった期間は、その方の国民年金の年金に結び付かないということでありまして、そ の方について見ればただ乗りは生じない仕組みであるということです。  しかしながらということで、(1)で、入らなくてもいいのではないかという意識が進ん でいることにより、全国民が強制的に加入することによって支えられていることの世代 間扶養の仕組みの信頼が損なわれてしまうのではないか。  (2)、実際にも基礎年金の保険料の拠出金を2号の方々からもいただいておるわけです が、この拠出金単価を未加入・未納分について上げてしまっておるということで影響が 実際に生じてしまっておるということです。  (3)で、そういう未加入・未納の方であっても、自分の親御さんは安心して年金を受け ていらっしゃって、仕送りなどもしていないということで、自分は年金もらわないつも りだからいいよと言われましても、その親御さんの扶養を免れていることは、それは全 国民がその方に代わって全体でカバーしておるからであるということでありまして、そ ういう全国民に対しての多大なる迷惑をかけていることの認識が足りない。そういうこ とですので、自分の問題だけで判断すればいいのであって、保険料を納めなくてもよい という考え方は明らかな誤りだということをもう一度きちんとわかっていただくととも に、徹底した収納の対策を講じていくことが必要ではないかと思っております。  5ページ、これまでとってまいりました収納対策ですが、特にこの4月からは、この 前も申しましたように、地方分権を見直す中で、社会保険、国のシステムで収納対策を 一元的に進めていく。もちろん市町村の窓口も受付等については使わせていただいてお るわけですが、収納対策そのものは国で一律に進めていくという中で、収納対策の一律 の強化を図っておるところでございます。  (1)で、年金広報の充実ということで、これも従来から進めてきておるところでご ざいますが、お手元に少しパンフレットを付けさせていただきましたが、例えば4種類 のリーフレット、これは20歳代から40歳代ぐらいまで、世代別の世代の関心に応じて国 民年金の仕組みの理解をよりわかりやすくするようなものを付けて、こういうものをお 配りをしたり、ホームページにも載せてご覧をいただいたりしております。それから 「COMIC公的年金」という漫画を付けさせていただいておりますが、これも以前ご 紹介いたしました公的年金制度に関する考え方(第二版)というのがありましたけれど も、こういったきちんと考え方をわかってもらうために職員等が持って普及啓発に当た る資料をもっとわかりやすくしようということで、漫画版にしてこういうものを活用し ていただいている。こんなことも含めて広報活動の充実を図っています。  (2)で、中、高校生に対し、在学中に一度は年金教育をきちんと受けてもらい、年 金という仕組みを知ってもらおうということで、教員や子どもたちにもちゃんと知って もらうような仕組みをとっており、文部科学省とも連携をとって進めさせていただいて いるところでございます。  (3)で、学生期間中払いにくいということにつきましては、前回の改正で12年4月 からは、学生期間が終わりましてから、さかのぼっての追納ができる特例納付制度をつ くったところですが、こういった仕組みでの未加入・未納期間が生じないための工夫に ついてしっかり周知を図らせていただいているところでございます。  (4)で、実際に納めやすい環境ということで、市町村の指定金融機関だけではなく て、全国の仕組みの中で金融機関で使えるようになった。あるいは口座振替を徹底的に お願いしている。また、集合の場で、市町村の役場、商店会、自治会等の場で年金相談 もやりながらしっかりと納めていただくという納付窓口の拡大を図っております。  (5)それとともに、保険料の納付督励ということ。これまで市町村でも一生懸命 やっていただいた面もありましたけれども、なかなか一律でなくばらばらであった。そ の辺を国になったところで、7ページをごらんいただきたと思うのですが、まずもっ て、催告状、納期限が来ますと、2月毎に年6回きちんと催告状を送り、督促を繰り返 していくことを一つやる。  それから、左から順番に書いておりますが、夜間や休日を中心に電話で納付督励をき ちんと図っていくということでフォローさせていただく。  さらに短期で未納が発生され始めたような方については、委嘱をしている国民年金推 進委員を通じて訪問していただいて、制度の説明をし、未納でなくなるように努力をし ていただく。  それから、一番右ですが、さらに長期に未納になっている、あるいは拒否をされてい る方につきましては、社会保険の職員自らが徹底的にフォローして徴収を段階を追って 強化をしていくというような仕組みで、今全国一律に充実を図ろうとしておるところで ございます。  しかし、これだけにとどまらず、さらにということですが、8ページ、「今後の対応 の方向性」ということでございまして、制度面でのさらなる収納していただきやすい仕 組みと、保険料を収納する具体的な徴収面での対策を合わせて改善していくことによ り、収納を上げていくことが必要ではないかと思っております。  (1)ですが、制度面の対応。これは今の未納・未加入の方々は負担できないことは ないという認識ですが、今後さらに保険料負担が上がっていかざるを得ない中で、急激 に上がっていきますと、保険料をどうしても負担できない方も増加するおそれもあるの ではないか。そういう過度の上昇を抑制する面からも、あるいは定額の保険料ですの で、低所得者の方に対する影響が大きいのではないかということからも、現在検討の課 題になっておる基礎年金の国庫負担の2分の1の引上げの実現を速やかに図ることがま ずもって必要でないかということ。  それから、もう一つは、負担能力、なかなか所得捕捉ができない中ではございます が、実際のフローの負担能力に応じましても、本年より前回の改正で半額免除制度とい うことを入れさせてもらいまして、所得の基準をきちんとつくり、あらゆる期間で全額 免除でなくて半額でも納めてくださいということをお願いしているわけですが、このよ うな免除の仕組みを、少しそのときの所得の状況に応じて払いやすい仕組み、2段階で はなくて多段階にしていくような仕組みも検討していいのではないかということも考え ておるところでございます。これは9ページに少し段階の免除の仕組みを複数段階で やってみたらどうかということも例を挙げております。  もう一つ、8ページ、(2)保険料収納面の対応としては、これは基本的に保険料納 付は国民の義務で、その徴収は法令によって担保されているのだということをきちんと 踏まえましてのより強力な納付指導の実施が必要だと思っております。納付しやすい環 境整備は、先ほども言いましたようないろんな窓口を増やしていくことが必要ですが が、同時に、理解が得られてない方々に対しては、その義務を果たしてないということ で、最終的には強制的な権限でも担保されていることとの観点からより強力に納付指導 を行っていく必要があるのではないかと考えておるところでございます。  最後になりますが、簡単に、10ページから12ページまではよく挙げられます論点で、 年金に入らなくても、最後は国が生活保護で面倒見てもらえるのだからいいのではない かという誤解がありますが、これは違うということをもう一度挙げさせていただいてお ります。左側で、年金と生活保護の役割機能は違うということでございまして、年金は 長期に納付をされていた実績を踏まえて、権利として高齢期に、そのときの収入や資産 の状況は何もかかわりなく一律に権利として支給がされるものですので、自分自身のそ のときでの収入、資産、生活基盤等に加えて基礎年金の額を生活の柱として加えること によって自由な生活設計が可能になっていくということでございますが、生活保護につ きましては、その老後の時点でのご本人あるいは家族等の収入状況、資産の状況すべて を厳格に調査をさせていただきまして、しかも補足性の原理から、必要最低限に限って 支給されるということでございまして、一定額が一律にもらえることを前提にした考え 方は誤っている。きちんとこの辺を認識してもらい、年金のきちんとした納付を求めて いく必要があるのではないかと考えております。  また、次のページには、以前にも示した資料ですが、年金額が低いからといって、直 ちに生活保護になっているのではないかということがありますが、必ずしも今の段階で はそういうふうになっておりませんで、この収入の低い階層、特に女性の方で収入の低 い階層の方々は多く見られますが、内訳を見てみますと、三世代同居の方々、ご夫婦で の生活の方々ということでございまして、年金額が低いことが直ちに生活保護の増加に つながっているということではないという認識をしております。  また、外国でございますが、一定以上の所得の者に対して強制適用の仕組みというこ とを申し上げましたけれども、では年金のない人、年金の低い人に対して年金の方で必 ず最低支えることは当然と見られているかと申しますと、そうではございませんで、そ こは生活保護で別途対応している仕組みの国が多い。スウェーデンはこの前の改正で低 額の方についての保障年金を税で付けておりますけれども、これは生活保護に代わるも のとしてこういう仕組みがございますが、多くの国では生活保護は別途あるのではない かということで、制度の仕組みの違いを認識しております。  長くなりましたが、以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、5分ほど休憩をとります。11時半に再開いたし ます。                   (休憩)                   (再開) ○ 宮島部会長  再開いたします。それでは、今、二つのテーマにつきまして、年金課長から資料の説 明がございました。それでは、初めごく短時間に、やや議論の中というよりも、今の資 料の中で、特に何かご質問ございますでしょうか。 ○ 井手委員  質問といいますか、冒頭、部会長から、9月の次回の積立金の問題で大体総論は整理 するということで、もし総論で取り扱っておくべきテーマであればというお話がありま したので、その関連で少し申し上げたいのは、「支え手を増やす取組み」ということ で、今回3点挙げられておりまして、それが短時間労働者と高齢者と、それから将来の 支え手ということで、いわゆる次世代育成のための取組みということの支え手というこ とだと思うのですが、私は「支え手」という言葉の理解が少し違うのかもしれませんけ れども、この中で3号問題というのが、収入のある短時間労働者としての3号が2号に なるという話で登場したところと、それから、次世代支援の中で、これは女性と年金検 討会の資料がかなり抜粋でございましたけれども、その中の3号問題の解決、6案の6 番目、育児とかそうした期間においてのみ第3号の保障を考慮するというような表現の 第6案のみが係っておりまして、3号問題自体が支え手ということでないことでもない と思うのですが、誰かが支えるという考え方で、女性と年金検討会の中で検討されたと 思いますので、部分的に3号を取り扱って総論で整理をしてしまうと、3号問題は各論 でということで進められているのかもしれませんけれども、非常に考えづらいというよ うな気がいたしまして、総論の中で3号とセットで考慮すべきではないかというふうに 感じた次第です。 ○ 宮島部会長  女性と年金については、年金部会も前の報告書があって、今回の論点の提示でからは 全面的には扱わないで、既に論点が整理されているものというふうに理解しております が、今の井手さんのご意見は、要するに支え手を増やすという観点からの整理の仕方 と、特に女性と年金のあり方がややクロスしたところがちょうどこんな形で出てきてい るということになりますけど、そこだけに限定されているという理解ではちょっと困る ということになりますね。 ○ 井手委員  後で各論に入ったときに、ここで何となく固まってしまうと困らないかなという感じ がしました。 ○ 宮島部会長  これはどうでしょうか。私は恐らくその恐れはないだろうと思っておりますけれど も、議論していく上でちょっと注意しなければいけないかもしれないし、事務局、何か これについてございますか、今後論点を取り上げる上で。 ○ 高橋総務課長  今、部会長のお話のように、3号問題については、女性と年金検討会でかなり論点の 整理がなされております。次回、積立金等の運営のあり方ですけれども、女性と年金検 討会の議論の3号問題全体について整理につきましては、この場で一回ご紹介申し上げ ることにしたいと思います。それでよろしゅうございますか。それで、それについての 議論、その後、総括的な議論の中で行うということだと思います。 ○ 宮島部会長  もちろん、これに限定するということではないというふうに私も理解しております。 ○ 神代部会長代理  3号ではないのですけど、2−2の参考資料の42ページの育児休業等の外国の制度の 紹介がありましたが、私個人は前からフランスのやり方がいいなと思っていたのですけ れども、これをやった場合にどれくらいコストがかかるのか、年金財政の負担など、も ちろんインセンティブをかけるわけですから、三人以上子どもをつくる人がどんどん増 えてくればコストかかるわけですけれども、現状程度でやった場合に、どれくらいの保 険料負担になるのかというようなことが、ほかの国の制度でもあり得るわけですが、私 自身はフランスのやり方がかなりいいなと思っているものですから、そうした資料がも し作成可能ならば、後でつくっていただければと思います。 ○ 宮島部会長  特に外国の場合、幾つか制度があるようですけれども、仕組みとしてはわかるのです が、一体どれだけの財源食っているのかとか、そういう話がわかればという気がいたし ます。 ○ 岡本委員  意見申し上げていいのかどうかわかりませんが、国民年金の未加入・未納の状況のと ころの問題ですが、今、未加入・未納者を減らすべく大変行政の方、関係各位でご努力 いただいていることは私は多としております。大変結構なことだと思っているのです が、加入者全体に占める割合が5%程度とか5%にすぎないと。私は制度が一本ではご ざいませんので、第1号被保険者になるべき者に占める、この16%ということを真剣に 理解すべきだと、こんなふうに思っておりまして、しかも未納者は増えてきているとい うこの現実は、全体の5%という理解でなくして、1号被保険者の中での未納者が増え ていく実態を厳粛に受けとめるべきでなかろうか、こんなふうに思っております。  それともう一つは、大変ご努力いただいておりますが、未納者が増えていく真の理由 がどういうところにあるのだろうかということもよく検討いただいて、効果的な徴収対 策を考えるということも大事ではなかろうか、こんなふうに思っておりますので、私の 意見として申し上げておきます。 ○ 宮島部会長  多少意見にわたる部分であるというふうに思いますけれども、実は私もこれまで申し 上げたことがございまして、分母が何かということは少し明確に議論をしないと、ウイ ンドードレッシングをやるようなことでは困る。だから、こういう分母ではこうだとい うことをはっきり言うことは必要であろうということと、それから、もう一つ、ここに アンケート調査がございまして、特に意識の問題といいますか、そういうことでやられ ておりましたけれども、もう少しその辺の細かい分析があれば。  恐らく岡本委員が言いたかったことは、意識が低いとは言い切れないのではないか と。むしろ意図的に年金制度の将来を読んだような形の忌避ではないか、そういうこと が巷で言われておりますので、そういうようなことについて、もう少し実態といいます か、そういうものを知りたいということではないかと。噂だったらいいけれども、しか し、そうでないとすれば、対応策というのも、また少し考えなければいけないだろうと 思っております。 ○ 神代部会長代理  資料3の11ページに生活保護を受けている人の性別の数字が出ておりますが、これで 見ますと、女性の被保護率は約1.8 %で若干男より高い程度で、そんなに多くない23万 人ぐらいで、特別に男に比べて異常に高いとは見れないのですが、ほかの女性の高齢者 の生活水準と調べた資料を見ますと、日本はアメリカと並んで高齢女性の貧困率、ポバ ティライン以下の人の比率が非常に高い国だというようなことが役所の文書などにも出 ておりますので、ちょっとその辺が不整合な感じがするので、多分遺族年金の受給者の 実態がもう少しわかるといいのではないかと思うんですけれども、私、自分で見ており ませんので、恐縮ですが、遺族年金をどうするかという問題も多分検討課題の中に入っ ているのかと思いますけれども、もし遺族年金受給者の性別の実態みたいなものがわか れば後で教えていただきたいと思います。 ○ 宮島部会長  これはデータの問題でありますが、何か事務局で説明はありますか。今まで我々の中 の議論でも、特に高齢の女性の単身者が最もいろんな意味で恵まれていないというよう な意見が比較的聞かれていたように思うのですが、それが少なくともこの比率で見る限 りは特別高いというような感じがちょっとないところなんですけど、これは次回という ことで、またにしてください。 ○ 高橋総務課長  ご指摘のデータ、私ども詳細把握しておりませんけれども、また、調べまして一回ご 報告したいと思います。 ○ 宮島部会長  ほかにございますでしょうか。私は、資料のことでも、先ほどご説明いただいた中 で、支え手を増やすというところで、支え手を増やすというのは、高齢者であれ女性で あれ雇用の機会を確保するということは全体的に望ましいことでありますけれども、先 ほど問題提起の中で論点がございましたように、支え手が増えると年金財政が全体的に 改善するのだという観測については、必ずしもそうではないというのが実はこの資料の 中に入っておりまして、当面、支え手を増やせば負担者は増えるかもしれないけど、支 え手もいずれは年金受給者になるということを考えると、単に増やせばよくなるという ようなことでは必ずしもない。かなり年金制度の設計上の問題として、それは重要な論 点になるというようなことが、論点としては先ほどの資料の中に含まれております。そ の辺のところは注意してお読みいただければと思います。恐らくどなたかから、そうい う点で具体的なご指摘があると思いますけれども、私はその点については、どちらかと いうと、皆さん方の関心を喚起しておきたいというふうに思っております。  それでは、これから、必ずしも今日のテーマというわけではございませんが、本日、 今井委員と堀委員からメモが出ております。今井委員からは、支え手を増やす仕組みも 一部含まれておりますが、もう少し広い範囲の議論です。堀委員からは、今日の支え手 を増やす取組みというところに関してのペーパーでございますので、これから今井委 員、堀委員にそれぞれ簡潔にご説明いただきまして、それをもとに少し残った時間を議 論していきたいと思っております。それでは今井委員からお願いいたします。 ○ 今井委員  今ほど井手委員からもお話あったように、「支え手」という場合は、私も3号問題が 入ってくるのだと思っていましたので、今、事務局から説明がありましたのでちょっと ほっとしているところなんですが、一番下に「支え手を増やす取組み」ということで、 今、事務局から詳しい説明がありましたので私はあえてここには書いておりませんけれ ども、支え手のところを先に見ていただきたいと思うんですが、今、部会長からも支え 手を増やすと楽になるか、そうでないかというような話がちらっと出ていたんですけ ど、これ以上国民の信頼を失わないためにも、支給開始年齢の引き上げや給付の引き下 げ、あるいは保険料アップなどせず、もっと保険料を払える人を増やすことに目を向け てほしい。具体的には、まだよくわかりませんけれども、主婦、今で言う井手委員の3 号の方なんですが、その保護から一個人としての労働者として働く女性をバックアップ する政策、誰でもが働く意欲を持てる政策を集中していく必要があるのではないかと考 えております。  前後しますけれども、私はサラリーマン家庭に生まれまして、父が2号で母が3号と いうところに生まれ育ったのですけれども、私が年金格差を強く感じたのが、職業とし て農業を選んだときに1号になったということがあって初めて格差というものを知りま した。私は夫を選んだのではなくて農業を選んだというのがすごく自分の意識の中には 強かったんですけれども、仕組みとしては夫の職業によって妻の年金が変わるという、 これに対してちょっと不満がありましたので、年金制度は個人単位の方がいいのではな いかという考えでおります。特に農業に関しては、申告等もそうですが、主従関係、夫 が申告主といいますか、世帯主ということで、妻は助手といいますか、従業員という感 覚で主従関係がすごく強いのですけれども、私自身共同経営者という意識を持っている 者とすると、そういった意味からも、第1号は男女同額の定額負担であるということに は賛成ですし、個人単位であると、こういう方向性の年金に対しては賛成です。  そういうことで、今ほど半額免除ということが今年からスタートしていましたし、事 務局の説明にも、負担能力に応じたきめ細やかな対応ということをこれから考えたいと いうような説明もありましたので、1号としてはこれからいい方向にといいますか、納 付する段階ではやりやすいのではないかという思いでいます。  それから、選ぶ段階としても1号ですと、国民年金基金にも入れるということがあり ますので、所得の多い人に関しても、また選ぶという選択肢が増えることでも意義ある ことだと思います。  無・低所得者の最低保障ということですが、農家の嫁さんというのは本当に子育ても 家事も何でもそうなんですけれども、今で言うとアンペイドワークということで問題に なっていますけれども、今までの人というのは本当にそれが当たり前の仕事だという評 価しかなくて、無償労働でやってきた人がほとんどだと思うんですけれども、今は農水 省でも一生懸命家族経営協定ということを進めていますけれども、これは農業経営にお いて家族の中でのルールということで、従業員、例えば夫が妻にとか長男にということ で月幾らというような報酬とか、そういったことを約束として、家族農業であってもそ ういうやり方をしていくべきだというようなことで、家族経営協定というものを進めて おりますけれども、それはまだまだ普及もなかなか進んでないのが現状です。ですから 無償労働というか、もらっていても低賃金というようなのが現状だと思います。  実際、離婚すれは無年金になる方もありますし、私の身近なところにもそういう方が いらしたので、すごくこれは痛切に感じるのですけれども、あと1号の年金加入という のは、40年間加入して約67,000 円ということです。これも身近ですけれども、老齢基礎 年金の繰上げ請求ということをしている方がいっぱいいらっしゃいます。そうすると60 歳で0.42という率で下がった金額しかもらえないというのがありますけれども、それを 承知で、自分の将来、とても65歳からの支給ということに対しては、健康状態もそうで すし、社会情勢的にも不安ということで60歳からもらっている方が結構いらっしゃいま す。あと、夫を早く亡くした場合でも遺族年金がないということで不安な老後が待って います。これは農業者だけではなくて商工業の方々も同じだと思います。  農村も少子高齢化が進み、長男と長女の結婚という形がありますし、老夫婦二人暮ら しという形もあります。結婚してない男性が結構多いのですけれども、そういう長男と 母親の二人暮らしという形もあります。身近に男性一人、高齢者一人で暮らしていた方 もいらっしゃったのですけれども、そういう方は地域の方がたびたび見に行ったりとい うことでしていたのですけれども、その方はお風呂の中で亡くなっていたというような 現状もありました。そういった農村でもいろんなスタイルが今起きております。  21世紀はまさしく実際も男性も一人で生きられる社会にしていかなければならない。 これは年金だけでなくて、男性も生活面での自立ということを最近強く感じておりま す。  自営業は生涯現役と言われるが、農業に関しては退職金制度はないし、農産物は年1 回の収穫がほとんどなので、天候に左右され安定した所得確保は難しい。今、我が家で は稲刈り真っ最中なんです。今日もやっているかと思うんですけれども、新潟は晴れな んです。夫と長男で今やっていると思うんですけれども、今のところ台風の影響もな く、まあまあの出来かと思うんですけれども、こうなるまでに年一回ですので、乾燥注 意報が出たりということで、晴天続きだと基盤整備されてないところでの農業なもので すから、大事な時期に、例えば稲であれば、稲の花が咲いたときに太陽がないと実らな いというようなことがあったり、本当に最近の天候、異常気象によってすごく不安定な 所得になっております。  そのほかにも農産物の価格の低迷、輸入によるそういったもろもろのことがありまし て、本当に所得の確保は難しくなっています。作物によっては多種の機械を必要とし、 農家の多くは借金をして購入しているというのが現状です。ですから農作物は価格が低 下しているのですけれども、農機具は上がっているというような現状ですので、本当に 厳しい農業をやっております。農地は農産物を生産するものにするのにどうしても必要 であり、次世代へ引き継がれていかねばならない。それが食料自給や自然環境を守る多 面的機能を果たしていることにもつながるが、いくら機械化をしたとはいえ、農作業と いうのは体力的にきついところがありまして、65歳ともなると収入を得るための労働と いう考え方にはちょっと私は疑問を持っていまして、生きがい程度の働きとして考えて いくべきではないかと思っています。  そんなことで、前後しましたが、そんな意見を持っております。以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。今井委員はこの前のときにペーパーが出なかったので、そ れで今日は出していただきました。ですから今日の今井委員のお話は、いずれこれは、 これまでの年金制度の論点で言いますと、被用者と自営業者をどうするか。また、もち ろん年金受給の単位の問題として扱いますので、今井委員の議論を今度は年金制度の中 にどういう形で受けとめるかというのがこれからの課題だというふうに考えておりま す。  今井委員のペーパーについて何かお聞きしたい点ございますでしょうか。  それでは、次、本日の支え手を増やすということで、非常に短時間になっています が、堀委員がわざわざペーパーを出していただきましたので、資料5に基づきましてご 説明いただきたいと思います。 ○ 堀委員  支え手を増やす取組みについては幾つかの論点があるわけですが、私のペーパーでは 二つの論点、在職老齢年金と次世代育成支援に限って述べております。  事務局の資料に論点がかなりたくさん書いてあり、その大部分は納得できるという か、同じ意見です。したがって、資料で触れられてない視点を中心に意見を述べさせて いただきます。  第1の基本的考え方のところでは、当たり前のことを書いてあります。  第2の在職老齢年金についてです。この問題は神代先生の研究会でも検討されている と思うのですが、在職老齢年金は従来から就労阻害効果、賃金阻害効果があると、こう いう主張がなされています。確かにそういう面はあると思うのですが、ただ、別の面が あって必ずしもそうではない、むしろ高齢者の就労を促進している面もあるのではない かという意見を書いております。詳細は後でお読みいただきたいと思います。  在職老齢年金の就業阻害効果をなくすための改革案が、事務局の資料に論点として出 ています。その改革案は、在老をやめて60歳以降は年金を全額支給する、あるいは働い ている限り全額支給しないという案が出されています。特に働いていても全額支給する という案は、現行の在老よりもより大きな問題を生じさせるおそれがあります。相当の 賃金を得ても年金を全額支給するというのは公的な制度としてどうかと思います。  もう一つ、在職老齢年金を65歳以後に繰下げて支給する、そういう案も出ています。 それをどういう形にするかによっても異なると思うのですが、現在の在老に賃金抑制効 果と就労阻害効果があるとするならば、繰り下げても同じような問題が生ずるのではな いかという点を指摘しております。  ということで、在職老齢年金については適切な代替案は私には見つからない。した がって、支給開始年齢が65歳になるまでは現行制度の基本的な枠組みは維持すべきだと いうことを書いてあります。限度額の22万円とか減額率の2分の1とか、そういった点 は改善する余地があるかもわかりませんけれども、基本的な枠組みは維持したらどうか ということです。  レジュメの2ぺージの一番上ですが、支給開始年齢が65歳になった場合には、60歳か ら繰上げ減額年金が支給されますし、66歳以後は繰下げ増額年金が支給されるのです が、支給開始年齢という考え方をやめて、60歳から69歳のいつからでも年金を受けれる と、そういうふうにしたらどうかということです。  二つ目の次世代育成支援の問題なのですが、具体的な案はここでは書いておりませ ん。ただ、基本的な考え方というのか、論点に出てない視点を述べさせていただきまし た。  基本的考え方の最初の「・」ですが、これは国・地方のあらゆる政策を通じて少子化 対策が必要だということをのべています。  年金制度でも、できるものは実施すべきである。  子を産み育てやすい環境の整備が最重要ではないかと思っています。  しばしば高齢者に対する社会保障の給付と子どもに対する社会保障給付を比較して議 論がなされるのですが、「親の扶養」と「子の扶養」に対する社会的なニーズは同じで はないので、必ずしも同じレベルで議論すべきものではないのでないか。社会保障とい うのは、ニーズのある者に対してそのニーズに応じて給付をする、それが基本的な考え 方ですから、ニーズが異なる以上、それに対する社会保障が違ってもいいということで す。  年金制度での対応ということですが、いろいろ意見が出ています。賦課方式の現行制 度の考え方は、「若いときにそのときの高齢世代を扶養したから、老後に扶養を受け る」のであって、「若いときに子を扶養したから、老後に扶養を受ける」、というもの ではないわけです。子の扶養と年金と結び付けるということであるならば、制度を本格 的にそういうものに変える必要がある。すなわち、若いときに高齢世代と子を扶養した から老後に年金を受ける、そういう仕組みに変える必要があるのではないかと思いま す。  出産・育児のために年金制度で不利になっているとすると、それを改善するというの が、年金制度での対応の基本ではないかと私は思います。そういったことを、「問題 は」と書いてあるところで述べております。  年金制度における次世代育成策について案がいろいろ出ているのですが、私にとって は余り説得力のあるような案は見当たらない。「若者皆奨学金制度」には基本的に賛成 です。あるいは児童扶養控除をやめて児童手当を増額する案など―これは年金の問題で はないのですが―賛成できるものはあるのですが、年金制度で、少なくとも私にとって は余り説得力のある施策は見当たらない。今後提案があれば考えていきたいと思いま す。  以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。堀委員のメモは必ずしも今日の支え手全体を扱っているわ けではなく、今ご発言ありましたように、特に在職老齢の点と次世代支援のことを扱っ た点でございますが、今の堀委員のぺーパーにかかわることでも結構ですし、先ほどの 年金課長からの説明でも結構でございますけれども、少し今日この問題について議論を しておきたいと思いますので、何かございましたらご意見をいただけませんでしょう か。 ○ 翁委員  まず高齢者に関しましては、私は重要なのは二つあると思っていまして、一つは選択 の自由ということと、もう一つは、インセンティブ・コンパティブルだということだと 思っています。選択の自由ということに関しましては、堀委員がお書きになっている2 ページ目の(3)65歳に引き上げた後は、60〜69歳のいつからでも年金を受けることが できるような考えに変えていくという考え方が非常にリーズナブルだし、今後高齢者の 意識の多様化が進む中ではこういった考え方は支持できるものではないかと思っていま す。  もう一つのインセンティブ・コンパティビリティーというのは、さっき事務局からご 説明がありました働いたことによって例えば給付の割増しがあるとか、そういう考え方 は就業促進的に働くのではないかと思っています。仮にこれまで議論があったように、 給付を確定するのではなくて、拠出から考えていくというようなやり方にすると、例え ばスウェーデンの例などを見ても二つのやり方があるかなと思っています。一つは結果 的に支給年齢が上がれば平均余命が減ってくる結果、除数が小さくなって年金額は増加 するというような考え方をとるというやり方と、あともう一つは、保険料と年金権を個 人個人にディスクローズしていくというような方向を展望するとすると、保険料を納め ることによって年金権が積み増される、そういうようなやり方もあり得るというように 思っていまして、いずれにせよ、そういうインセンティブをつけるようなことは検討し てもいいのではないかと思っています。  次世代育成ということに関しては、私自身が実感として持っているんですけれども、 政策目的に対して最も適切な政策というか、最も効果的な政策を割り当てるべきだとい うふうに考えていまして、我々の働き方を変えていくことに加えて、保育サービスとい うものを充実させていくというのが少子化対策にとっては非常に重要なのではないかと 思っています。年金制度というのは、あくまで働き方に対して、または子育てというこ とに対してニュートラルであればいいのではないかというような立場をとっておりま す。その意味では、子育てに対してニュートラルであるということは非常に重要ですけ れども、さらにインセンティブを加えるということについては、年金制度ではどのぐら い効果があるのかなというような感じを持っております。  以上、意見を申し上げます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。 ○ 若杉委員  幾つか申し上げたいことがあるのですが、最初は先ほど部会長が言われたことで「支 え手」という言葉ですけれども、年金において支え手だけという人はいないわけで、自 分が出したお金をいろんな形、賦課方式と積立方式とちょっと違いますけれども、結局 は出した人が自分で将来受け取るわけですから、純粋な支え手なんていないわけで、そ ういう意味で言いますと、ここで言う「支え手」というのはどういう意味かというのは 非常に誤解を招きやすいと思うんですね。  資料2−1の1ページを見ますと、最初の「○」では、社会が多様化して働く人もい ろいろ増えているので、そういう人たちをみんな年金の恩恵に浴するようにしようと、 そういうようないいことが書いてあるのですけれども、そういう意味で言いますと、そ こでの支え手というのは加入者というかそういう意味になるわけですね。  でも、その後からは、支え手というのは今の年金財政を何とか苦しいので収入を増や すためのその手段だと。あるいは年金財政を安定化させるための支え手だと、そういう 発想が非常に強いと思うんですが、それは私は間違いだと思うんですね。ですから「支 え手」という言葉はかなり広まっているようですけれども、ぜひこの言葉はやめなけれ ばいけないと。非常に誤解を招くだけで、かえって不安を招くものではないかと思うわ けですね。ですから、その点、まず基本的なこととして考えていただきたいということ です。  それから、もう一つ、今、支え手の中で女性とかパートタイマーの問題、高齢者の問 題が両方があるのですけれども、私、議論をするときに方向としては正しいのですけれ ども、基本的な考え方が違うと思うんですね。二つの高齢者の問題と女性やパートタイ マーの問題は全然違うところから出てきている問題だと思うんです。今の年金制度の基 本的な考え方は30年とか40年前に出てきているわけですが、そのときの社会を反映して できている制度なわけです。その頃は、家庭は男が働き手で主婦は家庭は守っていると いうことで、家族がいて、夫が所得を得てそれで家族を守る。かつ40年ぐらい前です と、まだ今とは就労形態や何か、あるいは仕事が違いますから、むしろ肉体労働や何か が中心であり、また、高度成長時代ですから、みんな一生懸命働かなければいけなかっ た。何とか早く楽になって、老後はのんびりと暮らしたいと、それが40年前のモデル だったと思うんですね。  ところが今のように仕事や何かが全然違ってきて、肉体労働からもっと頭脳労働が出 てきている。あるいはいろんな情報技術の進歩で在宅勤務などもできる。いろいろそう いう変化が出てきているわけです。そうすると何とか仕事を一定の年になったらやめ て、仕事をしないで済ませたいという、そういうモデルというのは違うと思うんです ね。むしろ今は比較的楽になった仕事もいっぱいあるわけでして、みんな仕事をしなが ら社会に貢献して、それでかつ所得を得ていたい。だから年金なんかなくてもいいとい う人もいっぱいいるわけですね。  そういうことで非常に多様化してきているのに、今の年金制度は、40年前の状況を考 えて、みんな老後になったら働きたくない、そういう人ばかりだという、そういう精神 だと思うんですね。ですからその辺を変えないと非常に制度が複雑になるだけだと思う んです。ですから高齢者の問題についてもいろんなケースが書いてありますけれども、 基本的なモデルが変わったのにもかかわらず形だけで、今の制度を前提として対応して いこうとするからこういう複雑なことになってしまうと思うんですね。  そういう意味で言いますと、先ほどの堀委員と翁委員が言われたように、例えば65歳 を過ぎたら、何歳から受け取るかは自由にするとか、あらかじめ申告しておくとか、そ ういうようなことが必要だと思うんですね。  それから、もう一方で、女性とかパートタイマーの問題が、今までは女性がなかなか 働く機会が何十年も前はなかったわけですが、それが社会の環境が整備されたり、ある いは保育所なども増えて働けるようになった。あるいは情報化が進んで家庭でも働ける というようなことで女性の社会進出ということが可能になったし、また障害者の人も肉 体労働だけではないということで働けるようになったわけですね。そういうことで、今 まで年金制度の恩恵に浴さなかった人が、年金制度に浴せるようになったということ で、高齢者の問題と女性とかパートタイマーの問題は全然別のところから出てきている ものだと思いますね。  そういうものを支え手を増やすというような、非常に消極的なというか、保険料を確 保することによって年金財政が安定するのだという、そういうような非常に近視眼的な 発想でとらえるのはおかしいと思うんですね。ですからぜひ40年、50年前の年金制度と 今の年金制度は違うべきものだと、そういうような発想で整理しなければいけないので はないかというふうに考えているわけです。  それから、少子化の問題ですけれども、これは翁委員が言われたことと私全く賛成な のですが、少子化が進んでいる原因の一つは、主婦が子どもを持つと仕事ができないと か、大変だとか、そういうことがあると思います。もう一つは、将来の不安ということ があるわけですね。これは1960年代とか70年代のヨーロッパで起こったことだと思うん ですけれども、将来が不安なので子どもを持たない、そういう面が非常に強いわけでし て、そういうところを断たないといくらやってもだめだと思うんですね。ですから年金 制度でもって少子高齢化を解消するとか、その解消に役立とうというのは、翁委員が言 われたのと同じですけれども、それは間違いであって、やはりニュートラルであると、 せいぜいそこまでが年金の役割ではないかと思うわけです。  ちょっと雑然と述べましたけれども、また後できちんと整理して出したいと思います けれども、問題提起だけさせていただきました。 ○ 矢野委員  支え手の問題でございますけれども、短時間労働者の問題にいたしましても、高齢者 の問題にいたしましてもいろいろな角度での論点が出されておりますが、定性的な議論 だけでなくて定量的な議論が必要だと思います。その中で大事なことの一つは何人かの 方がご指摘されましたけれども、一方で保険料収入が増えるけれども、支出も増えると いう、そういう相関関係の中で、一体年金財政が長期的にどうなっていくのかというこ とについて、これはなかなか難しい問題でありますけれども、できるだけ努力して定量 的な検証をして、そして論議をすることが必要なのではないかと思っております。  例えば短時間労働者の問題にいたしましても、個別には、1号被保険者とのバランス とか、保険料の負担が増える人の理解、税制との関係、就労調整の問題も現実には私は あると思うんです。あるいは医療保険との関係とか、随分いろいろ各論的に議論しなく てはならないことがありますが、部分最適ではなくて、全体最適という観点から収入と 支出の関係、これを定量的にとらえながら論議していくことが必要だと思っています。  それから高齢者の雇用の問題ですが、これは女性の活用と同じでございまして、社会 的にも個人的にも、あるいは雇用する企業の立場からも、これは発展していかなくては いけないと思っています。そういう意味で、働く人がもっと増えていくということの中 で、支え手の関係をどうするかということですが、これまた同じように、財政的にどう なっていくかということを考えていくことが大事ではないかと思っております。 次世代支援の問題ですが、少子化対策がこれからの日本の国にとって最も重要な課題の 一つであることは十分承知しておりまして、どうしたらいいかということは考えていか なくてはいけないのですが、どうやって進めるかということについて、必要な財源は年 金の被保険者ではなくて老若男女を含めた国民全体で支えるべきではないかと私は考え ております。公的年金制度の持続可能性自体に大きな不安、問題がある現状では、その 問題に真っ正面から取組むことが必要ではないかということでございます。育児支援と いう点では、年金制度の枠組みの中での経済的直接的支援というよりも保育サービスの 充実や働くことと育児の両立というような、そういう社会基盤の整備というところに力 を注ぐべきではないかと思います。その点では前回の井手委員の考え方に私は賛成した いと思います。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。近藤委員。 ○ 近藤委員  未加入・未納対策についてですが、日本においては、社会保障番号が無くともカード も作ることが可能ですし、銀行口座も開設できると言うことになっており、社会の仕組 みを変えなければ完全にはなりません。しかし、国民健康保険と国民年金の保険料徴収 事務を一本化することは可能ではないか、同じ省内のことですから早急に検討していた だきたい。  もう一つ、先ほどの堀先生のレポートにもありました奨学金の問題、「皆奨学金」と いうのはあまり賛成ではありませんが積立金の0.5 %位なら、事務費コストのみ加え利 息ゼロでやることを考えて良いと思います。ただこの場合に未加・未納者の子弟は権利 がありませんという条件を国民に幅広く知ってもらうことが必要でしょう。1,200 〜1, 300億円ありますと月に10万円でも何万人もの方々に利用可能と思います。何か新たな仕 組みを作らないと過去において不信感を助長するようなことがいろいろな局面で出され ていましたこの流れを変えるのはたいへん困難であります。これを変えるには社会全体 でもう一度義務であるということを徹底するとともに入っていなければ損だという仕組 みを作る必要を感じております。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。大山委員。 ○ 大山委員  先ほど「支え手」という言葉についてお話がありましたので、この言葉をどういうふ うに使うかということは年金の役割という点からも検討を要することかもしれません が、問題提起として「支え手」ということになっておりますので、当然女性や短時間労 働者、高齢者の問題があるのですが、同時にあわせまして、いわゆる5人未満の個人事 業主、ここがいわゆる厚生年金としては任意になっているというあたりについて、年金 の役割からいった場合に、一定の年齢とともに主たる収入がなくなった場合に、そのと きの生活をどうするかという年金の役割があるわけですから、そういう点では、自営業 者とサラリーマンの共通のものをきちんとつくり上げていくという議論も必要だと思い ますけれども、同じ雇われて働いている者が、企業の保護のあり方の違い、いわゆる法 人か個人かということによって違いがあるということは、「支え手」ということにも関 連しますけれども、年金の役割からいった場合には、今議論になっている支え手の場合 にそこが一つの論点になるのではないかと思いますので、今後の意見交換の中では、事 務局から示された、あくまでもこれは例えということなので、論点の中にその部分も入 れていただきたいと思います。  それから、もう一つの方の問題につきましては、確かに未加入・未納という問題が提 起をされていますが、免除者。免除者についてもう少しいろんなシステムをつくりたい ということの一つの方向性もあるのではないかという問題提起がされていますけれど も、免除者がこれから一体どうなるのかという問題について、今後の見通しも含めて考 えた場合には、確かに現状では、資料的には未加入者・未納者ということであります が、免除者がこれから増えるという問題があれば、当然そこのところについてはもっと 別な考え方も論点として入れて、この未加入・未納対策ということについても検討いた だきたいと思います。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。山崎委員最初に、それから若杉委員。 ○ 山崎委員  意見につきましては、次回できればペーパーを用意させていただきたいと思います。 今日はご説明いただきました資料に関連して、質問というよりも追加の資料をお願いし たいと思います。  1点は、参考資料の14ページに非常に興味深い表が載っております。60歳台前半につ きまして、就業者が392 万、失業者が34万、非雇用の就業者は134 万人となっておりま して、いわゆる被用者が合計しますと258 万人です。そのうち被用者年金が適用されて いない雇用者が99万人でありまして、つまり被用者の中で被用者年金が適用されてない 者が4割近くいるということになります。これは純粋なパートか5人未満の事業所に勤 めている人ということになりますが、常識的に考えて余りにも多いという感じがいたし ます。  これは今後短時間労働者への適用拡大ということが大きな課題になっておりますが、 現状では、本来厚生年金、健康保険も同様ですが、その適用を受けるべき人が、あるい は事業所が相当適用漏れになっているのではないかという問題意識を持っております。 結果的に被用者年金で引き受けるべきところから適用漏れがあって、それが国民年金の 1号の適用対象になっている。つまり職域で適用ができない人を1号として引け受け、 また、かなりの人が未納者になっているということで、これは国民年金の未加入・未納 者対策とも一体の問題だと思っているのです。  そこで、そういう問題意識からしますと、この14ページの表と同じようなものを20歳 から60の年齢層の人についてつくっていただいて、就業人口が幾らで、雇用労働者が幾 らで、そのうち常雇いとその他が幾らで、さらに厚生年金、共済年金の被保険者が幾ら で、あわせて雇用保険の被保険者が幾らというものも出していただきたいと思います。 短時間労働者に対する適用は雇用保険の方が進んでおりますから一つの参考になると思 います。  それともう一つは、現実には雇用保険が適用されていて、健保、厚年が適用外という のもあるのではないかと思います。ただ、雇用保険と健保、厚年の適用事業所、適用対 象というのは労働時間等の要件が違う。雇用保険が事業主は被保険者でないということ もありますが、大ざっぱに厚生年金、健康保険の適用の実態がわかるのではないかと 思っております。ちょっと面倒な作業ですが、できたらお願いしたいという気がしま す。  今個人に着目して整理していただきたいと申し上げたのですが、事業所単位でも同様 なデータがあれば出していただきたいということであります。問題意識といたしまして は、サラリーマンと自営業者の老後保障の必要性は違うのではないかということです が、それに対してそうであれば、被用者は被用者グループできちんと完全に適用すべき だということでございます。  それから、2番目に、国民年金・第1号被保険者の職業構成あれば、推計でも結構で すが、出していただきたいと思います。国民健康保険の被保険者について見ますと世帯 主の職業構成がわかっておりまして、非常に被用者が多い。今や農業・自営業者よりも サラリーマンの方が多く国民健康保険に入っているという状況があります。これはそう いう国保の状況からしますと、健康保険の適用漏れが相当あるということをうかがわせ る数字であります。  3点目ですが、次世代育成支援という観点でございますけれども、ドイツの介護保険 で子どもがいる人といない人で介護保険料が同じになっている。それについて違憲判決 が出たそうでございます。つまり子育てに配慮していないドイツの介護保険料は憲法違 反であるということでございます。詳しくは私知っておりませんが、ドイツというのは いろいろ比較対照されて、日本の特に厚生年金に近い制度をとっているということで参 考にされているのですが、次回紹介していただければと思っております。  以上でございます。 ○ 宮島部会長  幾つか今資料の要求がございましたが、これは2週間ぐらいですが、もちろん来週で きなかったら出ませんということではありませんけれども、できるだけ努力するように お願いします。若杉委員、簡潔に。 ○ 若杉委員  ごく簡潔に。未加入・未納の4ページなんですが、4ページの一番上に3行ほどの文 章がありますけれども、この文章の趣旨は、保険料を納めていない人は多大な迷惑をか けているという、そういう発想なのですが、先ほど近藤委員がちょっとおっしゃってい ましたけれども、私はそうではなくて、ちゃんと入らないと自分が損するのだよと、そ ういう教育が大事だと思うんですね。ですから、ここで未加入者・未納者を増やさない ために教育をやるのだということを言っているわけですが、そのときにこういう消極的 な言い方ではだめなのであって、入らないと自分が損しているのですよと、そういう強 調の仕方で勧誘していくべきだと思うんですね。実際そのために年金制度があるわけで すから、また、そういう魅力のある制度にしなければいけないと思います。  それから、さっきのことでちょっと言い忘れたのですが、同じページの(1)に、国民年 金は20歳以上〜60歳未満ということで書いてありますが、この60歳ということももっと 弾力的にすべきだというのは私の意見ですが、もう一方で、20歳というのも弾力的にす べきで、例えば今のように、20歳になれば学生でも、学費を払っているのに保険料を納 めるというのはおかしいわけでして、仕事を始めから納めるようにすればいいし、逆に 20歳未満であっても仕事をしていれば納めるという、そういうようなもっと弾力的な制 度にすべきではないかと思います。 ○ 宮島部会長  矢野委員、なるべく簡潔にお願いいたします。 ○ 矢野委員  はい。未納者対策なのですが、この資料を見ますと督促をいろいろな形でやって徴収 に結び付けるということが書かれています。これはこれで結構なのですが、国民年金法 を読んでみますと、督促だけではなしに、国税滞納処分の例によって処分をするとか、 あるいは滞納処分が差押さえまで含んだことだと思うのですが、延滞金をとるとかいろ いろな措置があるわけですが、こういう一種のペナルティーがどういうふうに行われて いるのか、これを次回で結構ですからご説明をいただきたいと思います。  教育の点なんですけれども、言って見れば国民皆年金という以上は保険料の支払いは 納税と一緒の、国民としての義務なのだということをもっと強く教育すべきだと思いま すし、先ほど触れたことにも関係しますが、義務を果たさない者に対してはペナル ティーがあるのだということをきちんと教育し、国民に徹底すべきだと思います。自主 的に保険料を納めてもらうということは大事でありますが、一歩進んだ姿をはっきり国 民に示すべきだと私は思います。 ○ 神代部会長代理  先ほど若杉委員から、「支え手を増やす」という考え方についてのコメントがあった のですが、今日の説明資料の中で、次世代育成以外のパート、高齢者、在老に関して は、私が責任を負わされている研究会から出したものが素案になっていますので若干気 になりますので、確かにいろんな問題があることは承知していますが、基本的に支え手 を増やすということで、今日説明された考え方がそんなに間違ってないと私は思って出 したつもりなんです。  ちょっとご批判のご趣旨が、伺った範囲では、私ほとんど理解できないので、恐縮で すが、コメントを文書でいただけるそうですから、今日の資料、研究会の会合もオープ ンでやっていますから、もっと詳しい資料がたくさん出ていますので、それもよくご検 討いただいて、誤解に基づくご発言もあるのではないかという気がしますので、少し慎 重にご検討いただきたいと思います。  それと、40年前の思想に基づいているというようなこととのつながりがどうもよくわ からない。最近10年以上の変化が非常に激しいので、それに対応する措置として案は出 されていると思うのですが、年金制度と雇用制度のずれがあるのかもしれませんが、よ ろしく。 ○ 宮島部会長  今日、今井委員と堀委員のペーパー及び事務局の説明の中でいろいろ議論していただ きまして、かなり基本にかかわる問題もありますが、これはもう少しご意見としてまと めて出していただきたいと私思っております。それと同時に、資料として、徴収制度に ついては、私も聞いていて少し資料不足かなという気がいたしました。どういう実態に なっているかというのはわかりますが、今言ったように、徴収の事務がどういうふうに 行われて、執行や罰則が法律の上でどういうふうになっていて、実際徴収の上でそうい うことをやっているかどうかということも知っておきたいと思います。若干徴収制度に ついては、次回資料を補完していただきたい。  今回たしか雇用保険料と、これは前から課題になっていた徴収の一元化ですか、統合 ですか、その話はもう始まっているはずだと思いますので、それについてもご報告いた だいた方がいいのではないかと思います。  それから、山崎さんから制度の適用範囲のことで幾つか漏れが、うまく解釈できない ような問題が、これは大山委員からも質問がありましたけれども、事業所自体が適用除 外というか任意加入になっている問題であるとか、それも含めて少し実態を把握してい ただきたい。  それから、神代委員から、先ほど質問がありましたように、単身高齢の女性世帯の問 題が少し出てまいっております。ほかにも幾つか資料要求的なものが出てまいりました ので、意見・議論については、改めて議論することにいたしまして、とりあえず資料に ついてはそういう点で補充をお願いしたいと思います。  それから、先ほど申し上げましたように、次回は積立金の運用問題ということで、や や金融的な話を議論していただくことになりますが、それ以外に追加的な論点なり、事 務局に資料の作成なり、求めるようなもので、今その点でご意見ございますでしょう か。  それから、これは、特に新しいこと言っているのではないのですが、今日聞いてい て、特に支え手を増やすとかその論点で少し企業側の考え方、もちろん若干触れてある けれども、事業主が一体どういう考え方を持っているのかが弱いというか余り触れてな いのが一つ。  もう一つ、全体の議論が少しドメスチックかなと。海外との関係、国際化している状 況の中での議論の仕方が少し抜けてないかという気がしているのですが。それは別にそ れだけで単独なテーマになるというわけでは必ずしもありませんけれども、少し全体に かけて事業主側の対応問題と、もう一つ、国際的な枠組みの中でこういう制度を考えた らうまくワークするのかどうかとか、そういう話が少し抜けているかなという気がして います。それは別途、事務局に私からそのことを少し話しをして、場合によっては次回 少し資料を拡充してもらいたいと思っています。  それでは、時間が少し過ぎてしまいまして、本日の会議はこれで閉じさせていただき ますが、最後に事務局から事務連絡的なことがありましたら、お願いいたします。 ○ 高橋総務課長  最初に申し上げましたように、テーマといたしましては、次回は年金積立金のあり方 についてご議論いただきたいと思います。それから、今日多くの資料のお話がございま したので、その点、次回までに間に合うものについては作成をいたして提出をしたいと 思います。もちろん簡単な資料的なものについては事前にもかなりお話もしております ので、次回は簡単な説明にとどまるものは資料提示だけにとどめたいと思います。  それから、本日、年金体系のあり方、給付と負担のあり方についてご議論もいただく 予定にしておりましたが、その辺、時間の関係上できませんでした。次回は、年金積立 金のあり方と、前回の議論の追加ということを中心にしてご議論お願いしたいと思いま す。  次回は9月26日10時からでございます。今日と同様に、この場所、霞が関ビルの東海 大学の校友会館にての開催を予定をいたしております。 ○ 宮島部会長  それでは、長時間どうもありがとうございました。   (照会先)  厚生労働省年金局総務課企画係  (代)03-5253-1111(内線3316)