02/08/30 平成14年8月30日議事録           薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年8月30日(金) 10:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(14名)五十音順   大野 泰雄、 風祭  元、  金井  淳、◎河村 信夫、   小嶋 茂雄、 首藤 紘一、  菅谷  忍、 谷川原 祐介、  ○長尾  拓、 長谷川 鉱司、 早川  浩、 藤上 雅子、   村勢 敏郎、 柳川  尭   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順   堺  秀人、 南部 鶴彦、  矢崎 義雄 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、黒川 達夫(安全対策課長)、   豊島  聰(審査センター長)、姫野 孝雄(企画調整部長)、   平山 佳伸(審査第一部長)、 森  和彦(審査第二部長)、   山田 雅信、 長谷部 和久  他 4.備考   本部会は、非公開で開催された。 ○事務局  定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただき ます。本日はお暑い中、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございま す。当部会の委員数17名のうち現在13名の御出席をいただいておりますので、定足数に 達しておりますことを御報告させていただきます。それでは河村先生、議事進行をよろ しくお願いいたします。 ○河村部会長  お暑うございますので、上着を取ることを奨励いたします。お役所の方もどうぞお気 楽になさってください。では本日の審議に入る前に、事務局の方から資料の確認と資料 作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局  それでは御報告させていただきます。まず資料の確認をさせていただきます。資料1 〜7までがあらかじめお送りした資料でございます。席上配付資料といたしまして、本 日の議事次第、座席表、今回の委員名簿、それから資料8といたしまして「医薬品第一 部会審議品目の薬事分科会における取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要否について(案) 」、資料9といたしまして専門委員の名簿をお配りしております。ございますでしょう か。 ○河村部会長  よろしゅうございますか。 ○事務局  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の 確認でございますが、本日の議題2について□□先生と□□先生が関与されておりま す。以上です。 ○河村部会長  □□先生と□□先生は御欠席ですので、このまま審議に入らせていただきます。議題 1のカルブロック錠、アゼルニジピンという高血圧症に対するお薬ですが、事務局の方 から御説明をお願いいたします。 ○事務局  資料1のカルブロック、カルブロック錠8mg及び16mg、一般名アゼルニジピンについ て、審査センターより御説明いたします。  本薬は三共株式会社で開発されたジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬であり、平成 9年7月に申請されましたが、審査の過程で申請用法・用量における安全性及び有効性 の検討が不十分ではないかとの指摘がなされたことを踏まえて、アムロジピンを対照薬 とした24時間の降圧効果を検討する臨床試験が追加実施され、昨年9月に提出されまし た。なお、本薬の開発は国内のみで実施されております。  本薬の審査に関しましては、専門委員として資料9にありますように、岩崎学委員、 江馬眞委員、櫻井恒太郎委員、島田和幸委員、福島昭治委員、中澤憲一委員、安原眞人 委員、以上7名を指名しました。  次に審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。  規格、安定性、毒性、薬理及びADMEについては、審査の過程において申請者から 適切な対応がなされたことから、特に問題はないと考えております。  臨床試験に関しては、申請用法・用量の妥当性が問題となりましたが、結果として第 III相比較試験において本薬の申請用量8〜16mgと対照薬ニトレンジピンの承認用量5 〜10mgとの非劣性が検証されていること、追加実施された臨床試験において、本薬16mg とアムロジピン5mgは同程度の降圧効果持続性が認められたこと、安全性に関しては類 薬と比べて特に問題となる副作用が認められていないことから、本薬の申請用法・用量 に特段の問題はないと判断いたしました。  以上のような検討を行った結果、審査センターは本薬を承認して差し支えないと判断 し、本医薬品第一部会において審議されることが適当と判断いたしました。本薬は新有 効成分含有医薬品で、再審査期間は6年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該 当せず、分科会へは報告が適当と判断しています。御審議よろしくお願いいたします。 ○河村部会長  今のような高血圧のお薬でございますが、御審議お願いいたします。御発言ございま すか。どうぞ。 ○谷川原委員  薬物相互作用に関して気になるのですけれども、薬物の相互作用をよく引き起こす有 名なCYP3A4で代謝されるということでありますが、相互作用に対する検討が不十分だと 思うのです。例えば「資料概要」の305ページに薬物相互作用に関する検討がなされて いますが、その上の方は本薬の他の薬剤の代謝に対する影響をin vitroの系で見ている のですけれども、もう一つ重要なのは他の薬剤が本薬の代謝に対する影響というところ も見なければいけないのです。私の見るところ、それはグレープフルーツジュースしか していないような気がいたしまして、グレープフルーツジュースの経過もかなりドラス ティックでして、317ページにありますけれども、グレープフルーツジュースで血中濃 度が3倍に上がるというのはものすごい影響で、これほど影響を受けるものというのは そうそうないのです。としますと、例えばほかのエリスロマイシンやイトリゾール、H IVの治療薬などと併用するとかなり影響を受けることが予想されるのですが、その辺 りは全く検討していないような気がするのですけれども、いかがでしょうか。               ── 風祭委員着席 ── ○事務局  谷川原先生のおっしゃるとおりでして、本剤はグレープフルーツジュース以外に、他 剤が本剤の代謝に与える影響の相互作用の試験というのは実施されておりません。 ○谷川原委員  そうしますと、やはり安全性という面から非常に心配です。既に海外で使われている 薬剤であるのならば、それなりに市販後のいろいろな安全性報告や相互作用の報告が上 がってくるのですけれども、日本だけで初めて使われる薬剤で、相互作用に関してこれ だけ検討不十分であるということは、そういう安全性面で心配なのですけれども、大丈 夫なのでしょうか。 ○事務局  こちらの方は何分申請も古いですし、またこちらの検討を行うに当たり他のカルシウ ム拮抗薬の試験を参照したと思うのですが、カルシウム拮抗薬自体が1996年から全く承 認されていないということがあります。要するに比較的古い試験のデータパッケージを 参考にしてかなり昔に行われたということで、現在から見ますと特に相互作用に関して データパッケージ的にかなり不足している部分は否めないかと思います。その部分があ りますので、審査センターとしましては、CYP3A4で代謝される薬剤にあるような相互作 用の情報というのが本薬でのデータはないので、添付文書の方には現段階で他剤に合わ せられる限り合わせて注意喚起を行うという形が、今のところできる限界かと思いま す。 ○谷川原委員  恐らくそういう形で添付文書は書かれたと思うのですが、例えばグレープフルーツジ ュースの影響にしても、同じジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬にしても、影響の 程度というのは薬物によって全然違うのです。それを見たところ、この薬剤はかなり影 響を受けやすいタイプの薬剤であるというのがグレープフルーツジュースから類推され るのですが、そういう場合に注意という程度でいいのか、もしかしたらあの中には併用 禁忌にしなければいけないくらい非常に影響のあるものがあるかもしれないという疑問 はなかなか消えないわけです。すべてを網羅するというのは難しいのですが、やはりキ ーとなる薬剤との相互作用は何らかの格好で見ておかれた方がよろしいのではないかと 思うのですが。 ○事務局  谷川原先生のおっしゃるとおりで、申請者はまた市販後の臨床試験も幾つか計画して いるようですので、相互作用に関しましてデータが集められるような市販後臨床試験も 含めた市販後使用成績調査を実施するように指導していきたいと思います。 ○河村部会長  先生からそういう御意見が出たということで、市販後の前にでも割合と早くできるよ うなことのように思いますから…。 ○谷川原委員  少なくとも例えばin vitroの系でやれることならすぐできると思います。使用成績調 査というよりはもっと早い段階で、例えば販売直後、それこそ半年以内に相互作用の事 故でも起こると非常に問題ですから、やはりここは市販直後のもっと早いフェーズで相 互作用を見た方がよろしいのではないかと思います。 ○河村部会長  やるならその方がよろしいですね。そういう御意見があるということを会社の方にお 伝えいただくか…。どうぞ。 ○事務局  今の谷川原先生の御指摘は大変重要な点だと思いますので、承認条件としてこの相互 作用の検討について付けるということを考えたいと思いますが、いかがでございますで しょうか。 ○河村部会長  それなら安心ですかね。どうぞ、菅谷先生。 ○菅谷委員  今の点は大変重要な問題ですので、このまま承認することは私は無理ではないかと思 います。やはりきちんとしたデータを出して、その上で承認しても別に遅くないわけで すから…。 ○河村部会長  遅れていますからね。 ○菅谷委員  ですから、安易な対応は私は駄目だと思います。 ○河村部会長  ではどういたしましょうか。その点についてもう一回データを出していただいて、そ れでもう一回ここで検討させていただくというのが本筋でしょうが、その点については 専門協議での専門家の御意見はどうだったのですか。 ○事務局  本剤に関しましては、ほかの用法・用量の妥当性という部分がかなり専門協議におけ る議論の中心になったという点もありまして、相互作用に関しては特に大きな問題には これまではなってきてはいませんでした。要するに承認の可否にかかわる部分に関して は、用法・用量の妥当性というところがどうしても中心になっておりましたので、それ 以外の点については承認の可否にかかわる問題点としてはこれまで挙げられてきており ませんでした。 ○河村部会長  どうぞ。 ○長尾部会長代理 カルシウム拮抗薬は今市販にたくさん出ています。これのCYP3A4の 抑制作用はその中でどの辺の位置付けか、分かっていたら教えていただきたい。それが 今までのより強いのであれば先ほどのはどうかなと…。しかし、ランク的にはそれほど 高いところでないということであれば、また扱いが変わるかもしれません。基礎データ でよいのですが…。 ○事務局  まず類薬の体内動態に及ぼす影響を見たデータについては、グレープフルーツジュー スの影響で見たデータを、今までにフェロジピンやニソルジピンに関してセンターで資 料を見ているのですが、その二つに関しては本薬の方が受ける影響が大きいということ になっています。申し訳ないのですが、それ以外のデータについては今先生の方に整理 して御説明できるほどのものは持ち合わせておりません。 ○河村部会長  これはどうでしょうか。当局の方から一応承認条件としてそういう検討をさせてもら うというお話が出ましたが、承認条件とするのか、それともそれを付け加えてもらって もう一回ここで御審議いただくのか。本当はもう一回ここで御審議いただく方がいいよ うな気もいたします。特に心配だという御意見が出ておりますので、一応本日はそうい う御意見が出たということで、取り下げろということではなくて保留ということにでき ますか。 ○事務局  部会での御結論がもう一度データをそろえて審議ということであれば、そのようにさ せていただきたいと思います。 ○河村部会長  先生方、それでよろしゅうございますか。それでもう一度審議して、ここもおかしい ではないかということがまた出てくるとかわいそうですので、ほかの御意見がございま したら…。 ○谷川原委員  ではいいですか。これに関連して添付文書の書きぶりですが、私の立場から見て相互 作用が一番大きいと思ったのですけれども、添付文書の3ページに肝機能障害のときの 薬物動態が図入りで載っていまして、この図を見る限り影響がないというふうに書かれ ているのです。しかし、実は「審査報告書」のニュアンスは全く違っていまして、「審 査報告書」では本試験からは肝機能障害時における影響は評価できないというふうな審 査センターの御判断なのです。そういう評価できないという御判断なのに、この「添付 文書(案)」は影響がないというのが図まで入れて書かれているというのは、ちょっとア クセントの付け方が違うのではないかなと思うのです。むしろここで注意喚起するなら ば、先ほど概要にありましたグレープフルーツジュースで血中濃度が3倍以上に上がっ ているあの図を出していただいた方が、やはり臨床に対する注意喚起にはなるのではな いかと思います。 ○河村部会長  肝機能についてはどうですか。お返事することはございますか。 ○事務局  まず肝機能のデータの添付文書の記載ですが、審査センターの方としても明らかにこ の記載はミスというか、もしこの段階で市販されるのでしたら、こちらは外国人のデー タですし、このような記載ぶりをするのは不適切かと思いますので、そちらは改めさせ ます。  また、先生からのグレープフルーツジュースのデータの方が有益ではないかという御 意見ですが、確かにそのとおりだと思いますので、グレープフルーツジュースのデータ に関しましてはあれだけ影響を受ける薬剤というのはありませんので、今後はそのデー タが現場に伝わるような形にしたいと思います。 ○谷川原委員  やはり同じジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬でも、これほど影響を受けるもの はほかにないのです。今までかなり大きいと言われたフェロジピンやニトレンジピンよ りもこれの方が更に影響が大きいですから、例えばニフェジピンなどというのはそれほ ど大きな影響を受けるものではありませんので、それに比べてこの薬剤が非常に影響を 受けやすいのであるならば、その情報提供は必要であるということが一点。  二点目は、試験をやっていないのですが、グレープフルーツジュースではなくて薬剤 との相互作用というのもきっと大きいのではないかという考えが今ありまして、一応質 問させていただきました。 ○河村部会長  私もこれを見ていて、添付文書にはグレープフルーツジュースで服用しないことと書 いてありますが、それだけでいいのかどうか。何時間以内にグレープフルーツジュース を飲まないこととか、一生飲まないこととか、そういう具体的なことの方がいいような 気がしますので、その点もお願いいたします。どうぞ。 ○村勢委員  ラットを使った毒性実験で少々気になるところがありますので、質問させていただき たいと思います。6ページですが、ラット12か月間投与試験で起こった毒性として「副 腎球状帯細胞の肥大について」ということなのですけれども、「資料概要」の148ペー ジを見ますと、軽度な肥大というのが19例中14例に認められるということで、そういう 意味でこれは決して無視できるものではないのではないかと思います。「同様の所見は 類薬においても報告されており」という記載の方法は私にはちょっとなじまないのです が、ほかの薬でも同じようなことが認められているのだからいいのではないかと。ほか の薬でやはりこの辺の副腎に対する作用を検討したようなデータがあるかどうかという ことも一つ問題だと思います。  それからこれは形態的な変化が認められたということなのですが、それでは副腎の機 能的なコルチコステロイドの分泌とかそういうものに対してどうなのか。形態学的に異 常が出てくるのはファンクションとしてもいろいろとかなり進んだ時期でしょうから、 形態学的に異常が認められないもう少し少量の時期に、そういう副腎機能に対する影響 がなかったかどうかということもやはり検討しておかなければいけないのではないかと 思います。その辺が少し気になったのですけれども、審査センターとのやり取りでこれ は一発回答で了承したというような表現がなされております。コルチコステロイドを測 るということは動物実験でも割合と簡単にできることですし、臨床実験でもアドリーナ ルの形態や機能でもある程度評価できるのではないかと思うのですが、その辺の安全性 といいますか、毒性に関してはどのようにお考えなのでしょうか。 ○事務局  まず頂いた御質問に関してですが、こちらは形態的な異常以外を見た、例えば実際の ホルモン分泌ですとか、その辺までを見た試験データというのはまずございません。こ の「審査センターが回答を了承した。」と至るまでの経緯なのですが、ジヒドロピリジ ン系のほかのカルシウム拮抗薬でも同程度の形態異常が認められていたということで、 審査センター及び毒性担当の専門委員にも御意見を伺いまして、この程度でしたら類薬 と比べて特に問題になるわけではないということで、この回答を了承したとしました。 ○河村部会長  私の記憶では、たしかほかの薬ではノンファンクショナルなハイパートロフィだとい うデータは出ていたような気がしますが、ちょっと確実でございません。どうぞ、先 生。 ○村勢委員  ファンクションなどを別に見たのは、動物実験でも臨床試験でもなかったのでしょう か。割合と簡単にできると思うのですが。 ○事務局  提出された資料の範囲ではやっておりません。 ○河村部会長  これもそういう御意見が出たということをお伝え願えますか。これはお金は掛かるけ れども、時間的には割と簡単にできる…。 ○村勢委員  お金はどういうふうにどこに掛かるのか、動物の飼育代が一番高いのかなと思うので すけれども、コルチコステロイドを測ればいいわけですからそれほど…、保険点数でも 非常に安いのでできるはずだと思うのです。ただ、例えばほかの歯肉過形成とかその辺 はバイタルには大したことないとは思いますけれども、アドリーナルのファンクション というのはバイタルに非常に大切なことですので、そういう意味で余りおろそかにとい うか、見過ごしてはいけないことなのではないかと思って御質問しました。 ○河村部会長  これは類薬でもあるということでございますので、条件として付けてはほかのものと 比べてちょっとかわいそうだから、とにかくこういうことをやってくれないかという御 意見が強く出たということでお伝え願えますか。 ○村勢委員  ただし、先生がおっしゃいましたように類薬の一番最後は4、5年くらい前ですか。 ○河村部会長  そうですね。 ○村勢委員  ですので、それで流してしまったらずっとこのままになってしまうということがあろ うかと思います。ほかのものがこのぐらいでこれと同じだから通してしまえ、気になら ないというような思考というか論理というのは、果たしていいのかどうかという気もい たします。それでよければ私は異存はございません。 ○河村部会長  それでは余り良くはないだろうと思いますので、どこかできちんとやってもらいたい と思います。そういうことでお伝えください。 ○事務局  それでは事務局の方からこの点についても申請者に伝えまして、いろいろ考察、回答 を求めたいと思います。必要に応じて実験をやるようにということも併せて伝えたいと 思います。 ○河村部会長  よろしくお願いいたします。ほかにはございますか。どうぞ。 ○大野委員  この系統の薬で頻度は高くないのですが、ニフェジピンとか光感作性が出ると。「添 付文書(案)」を見ると0.1%以下ということですが、光毒性が出てくる場合には結構重 篤な場合が多く、ループスになったりする可能性もあるのです。この薬で見てみると、 紫外吸収がUVAの領域で結構あるのですね。今までのリクワイアメントでは光毒性を 要求しているのは、皮膚適用医薬品でUV吸収があるものという形なのですが、キノロ ン系の抗生物質などでも経口投与で光毒性が結構出て問題になっています。こういうも のでも、同じ系統の同じような構造を持っているものでそういう光感作性のようなもの が報告されているのだったら、この物質についてもそういう可能性を検討した方がいい のではないかと思うのです。今までの光毒性試験だとin vivo試験やヒト試験でやるの ですが、そうすると感度が非常に悪いのです。ヒトでも1%以下とか、かなりポジティ ブで有名なものでも1%以下のポジティブレートなので、やってもなかなかできないの です。最近OECDなどでin vitroの試験法が開発されていまして、バリデーションも かなり進んで、光毒性だけではなくて光感作性の物質も引っ掛かるという報告も出てい ますし、かなり安い費用でできますので、こういう可能性があるものに関しては要求し てはいかがかなと思っているのですが。 ○河村部会長  in vivoでの動物実験はある程度公知といいますか、スタンダードなテスト方法にな ってきていますか。かつてはニューキノロンでもめちゃくちゃにやっていましたよね。 ○大野委員  臨床の先生に伺うと、信頼性が余り高くないというふうにおっしゃっているのです。 ヒト試験でそういう1%以下の頻度のものでも非常に重大な問題になってくるものは結 構あると。実際にやっても検出できない、10例ぐらいでやって検出できない例が多いと 思うのです。そういうものはvitroで方法がありますので、それで類薬と比較してどの 程度のものかという情報を得ておくと、その後の添付文書の書き方とかそういうところ にかなり反映できるのではないかと思うのです。 ○河村部会長  そういう御意見も出ましたが、何か資料はありますか。 ○事務局  光毒性に関しましては、提出された資料の中では全くデータがございませんので、本 日頂きました御意見を申請者の方に伝えまして検討を求めたいと思います。 ○河村部会長  そうしてください。ほかに何かございましたら、どうぞお願いいたします。どうぞ、 菅谷委員。 ○菅谷委員  ちょっと用語の問題…、言葉の問題で気になるのですが、「グレープフルーツジュー ス」とありますが、これはジュースでないと駄目なのですか。患者さんにお酒を飲むな と言うと、飲んでいません、ビールは飲んでいますと言いますから、これはジュースは 飲んでいませんと言うに決まっています。しかし、グレープフルーツそのものは食べて いる可能性はあります。 ○河村部会長  これは両方書きましょう。会社に検討させるまでもないのではないかと思います。 ○谷川原委員  一般的に知られていることは、果肉の方は影響はないのです。グレープフルーツジュ ースの方が問題で、ジュースをつくるときに中の薄い皮も一緒につぶしてジュースをつ くるのですが、皮の中に含まれている植物性のフラボノイドが果肉には含まれておりま せんので果肉は影響がなくて、ジュースの方を飲むとこれだけ相互作用があるというの が今までの考えでございます。 ○河村部会長  そうですか。それではやはり「グレープフルーツジュース」の方が正しいのですね。 ○谷川原委員  そうです。我々が服薬指導をする場合も、フルーツは食べていいのですかと患者さん はお聞きになりますけれども、その際は果物そのものは大丈夫ですとお答えいたしま す。 ○河村部会長  勉強させていただきました。そういうものですか。それでは安心いたしました。ジュ ースにするといけないのですね。ほかに御意見ございますか。では一応これは会社側と そういうことで、もう一度ここで検討させていただくという扱いにしてよろしゅうござ いますか。  それでは議題2のテルミサルタン、これも降圧薬だそうでございます。御説明お願い いたします。 ○事務局  資料2のテルミサルタン、ミカルディスカプセル20mg及び40mg、一般名テルミサルタ ンについて、審査センターより御説明申し上げます。本薬はドイツの現ベーリンガーイ ンゲルハイムファルマ社で開発されたアンジオテンシンII受容体拮抗薬であり、1998年 に米国及び欧州で承認されたのを始めとして、現在では60か国以上で承認されておりま す。本邦では日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社により臨床試験が実施され、申 請されました。  本薬の審査に関しましては、専門委員として資料9にありますように、岩崎学委員、 江馬眞委員、櫻井恒太郎委員、谷本剛委員、永井良三委員、林眞委員、福島昭治委員、 堀正二委員、宮崎瑞夫委員、安原眞人委員の10名を指名しました。  次に審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。  規格、安定性、毒性及び薬理については、審査の過程において申請者から適切な対応 がなされたことから、現在では特に問題はないと考えております。  薬物動態及び臨床試験成績に関して、有効性については第III相比較試験において申 請用量範囲20〜80mgと対照薬マレイン酸エナラプリル5〜20mgとの非劣性が検証され、 本薬の申請用量範囲における降圧効果は認められると判断いたしました。  安全性については、類薬と比べ特段問題となる有害事象は認められなかったものの、 本薬の薬物動態は個人間差が大きく、また申請用量の高用量域では非線形性が示唆され ていることから、投与量の増加に伴い血中濃度の大幅な上昇が見られる場合があり、臨 床使用において特に安全性に関する問題が生じる可能性があるのではないかと考えられ ました。この点に関して、個々の臨床試験症例における有害事象の評価に加え、国内外 で実施された臨床試験での血漿中薬物濃度データと血圧、あるいは主な有害事象との解 析が実施された結果、本薬の血中濃度の変動は有効性及び安全性に大きな影響を及ぼさ ないと考えられること、また本薬は1日20mgから投与を開始し漸次増量するとされてお り、個々の患者の安全性及び有効性を見ながら投与量の設定が可能であると考えられる ことから、臨床使用における大きな問題とはならないと判断いたしました。  以上のような審査の結果、審査センターは本薬を承認して差し支えないと判断し、本 医薬品第一部会において審議されることが適当と判断いたしました。本薬は新有効成分 含有医薬品で、再審査期間は6年、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当せず、 分科会へは報告が適当と判断しています。御審議よろしくお願いいたします。 ○河村部会長  ありがとうございました。これは系統が違うので、グレープフルーツジュースが関係 のない降圧剤のようでございます。御意見ございましたら、お願いいたします。どう ぞ、首藤先生。 ○首藤委員  中身ではないのですが、これは販売名が「テルミサルタン」、「ミカルディスカプセ ル」で一般名が「テルミサルタン」というのですが、こういうのはいいのですか。 ○河村部会長  命名のことですか。 ○首藤委員  一般名をそのまま販売名に使っているわけです。 ○事務局  医薬品の製造承認、輸入承認には原体と製剤がございまして、製造用の原体について は一般的名称をそのまま販売名とすることは一般に行われております。 ○河村部会長  何か名前を審議するところもありましたか。 ○事務局  一般的名称といいますのは成分の名前として一般的に通用する名称をということで、 当審議会の中に医薬品名称調査会というのがございまして、そちらで審議をさせており ます。 ○河村部会長  一応それでOKということになればOKかと思います。私がこれで心配したのは、外 国のデータで喉頭浮腫というのがありますが、喉頭浮腫というのはかなり重篤な疾患で はないかと思いますので、添付文書の方に血管浮腫の辺りにでも入れてもらった方がい いのではないかとちょっと思いました。ではないかという意見が出たということをお伝 えいただけますか。 ○事務局  こちらは類薬の方も同じように血管浮腫で喉頭浮腫まで含まれる書きぶりになってお りますので、そちらの方も併せまして最終的にどのような書きぶりにするかということ は検討させていただきます。また、申請者の方にはこちらの血管浮腫に関連した、特に 喉頭浮腫などの有害事象があるので、特に市販後などに十分気を付けて調査を行うよう にということは伝えたいと思います。 ○河村部会長  この内容を読みますと、喉頭浮腫といってもカラオケのやり過ぎのようなものではな くて、本当に息が苦しくなっているようなものですから、ちょっとそこのところを心配 いたしました。ほかに御意見ございますか。よろしかったらこれは承認を可として薬事 分科会に報告という扱いになりますが、こちらの方はそういう扱いにさせていただきま す。ありがとうございました。  議題3、エイゾプト1%点眼液という眼のお薬だそうです。御説明お願いいたしま す。 ○事務局  それでは資料3、エイゾプト1%点眼液について御説明させていただきます。本剤の 有効成分ブリンゾラミドは、米国アルコン社で開発されました炭酸脱水酵素活性阻害作 用を有する緑内障治療薬で、本剤は既に米国、英国等67か国で承認されております。類 薬としては塩酸ドルゾラミドのほか、作用機序は異なりますがマレイン酸チモロール、 ラタノプロストなどが既に承認されております。  それでは審査内容について簡単に御説明させていただきます。本品目の専門協議にお きましては資料9に示しますように、谷本剛委員、奈良間功委員、林眞委員、安田峯生 委員、小池勝夫委員、林正弘委員、澤充委員、小口芳久委員、久保田伸枝委員、竹内正 弘委員の10名の専門委員を指名いたしました。  規格でございますが、審査の途中で限度値、純度試験方法の変更を求めておりまし て、記載の不備等がございましたが、最終的には適切に設定されたと判断しておりま す。本剤の有効期間は2年と設定されております。  毒性については、ラットで見られました腎毒性等について確認をしており、機序等に ついては今後も検討するよう求めておりますが、現時点で毒性学的に問題となるもので はないと判断しております。  本剤の薬理作用ですが、炭酸脱水酵素活性阻害作用が確認されており、特にCA-II への選択性が示されております。また高眼圧症モデル等での眼圧下降作用といったもの も確認されております。  ADMEにつきましては、本剤の臨床投与経路である点眼投与のほか経口投与につい ても検討されておりまして、換算した赤血球中未変化体濃度では日本人と外国人で大き な差はないと考えられました。  臨床試験結果ですが、本申請はブリッジングコンセプトに基づいて実施されておりま して、本剤の緑内障患者における用量反応性が国内外で検討されております。眼圧下降 作用はいずれも1%でプラトーに達しておりまして、国内外で差がないことが確認され ております。また、海外ではプラセボに対する本剤の優越性、ドルゾラミドに対する非 劣性、チモロール投与患者に対する上乗せ効果等がそれぞれ検証されております。  審査センターでは、本剤の有効性については示されているものの、眼圧下降効果がチ モロールよりも劣るということ、これまでの緑内障治療薬の位置付けも考慮いたしまし て、本剤は他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合に使用することが妥当 と判断しております。用法・用量につきましては、1日2回の投与で有効性は示されて いるものの、効果不十分の場合には1日3回投与することで更に効果は期待でき、安全 性上特に問題はないと考えまして、1日3回投与についても可能とすることが適切であ ると判断いたしました。安全性については特に問題はないと考えておりますが、長期投 与時の安全性等については市販後に調査をするよう指示しております。  以上の審査を踏まえまして、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部 会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は新有効成分含有医薬品で製 剤は毒薬、劇薬のいずれにも該当せず、再審査期間は6年、薬事分科会には報告を予定 しております。よろしくお願いいたします。 ○河村部会長  どうもありがとうございました。御質問、御意見ございますか。特に金井先生、何か 御発言ございましたらどうぞ。 ○金井委員  このエイゾプトの併用試験と比較試験ですが、これはチモロールしかやっておりませ ん。現在日本ではチモロールよりむしろプロスタグランジン製剤の方が多く使われてい るのではないかと思います。それとの比較がこのデータには全然ありませんでした。そ れから一つ気になったのは、開けてみると分かるのですが、懸濁液は眼科の点眼液とし て一番良くないタイプだと思います。というのは、水性がほとんどですから、この点眼 をしますと大抵の患者さんは霧視を訴えると思います。また、ドライアイのときに果た してこういう点眼がどうかというデータがちょっとなかったと思います。それから「添 付文書(案)」の「使用上の注意」を見ますと角膜の内皮障害のことが書いてあるのです が、現実にこの内皮障害があるかどうかというのは、一般の眼科の先生や開業医の先生 方が使います普通のスリットランプだけでは確認できません。いわゆるスペキュラマイ クロスコープという特殊な器械でやらない限り、内皮細胞の数ははっきり分かりませ ん。そうしますと、これを使うときには内皮の細胞がどの程度以下だったら使えないの か、以上だったら使えるのかという判断の基準がこれには全然書いてありませんし、そ ういう器械を使わなければいけないということが一つ問題になるわけです。そういう面 で前のドルゾラミドと同じようにセカンドチョイスとするのでしたら構わないと思うの ですが、ファーストチョイスとしてはちょっと問題がある、医療費の面からいっても問 題があると思います。以上です。 ○河村部会長  その点については何か御意見は出ましたか。特に専門協議のときなどに…。 ○事務局  専門協議ではプロスタグランジンとの併用についての御議論は特にございませんでし たが、先生のおっしゃるとおりラタノプロストがもうかなりよく使われているというこ とで、そういったことを今後検討することは重要かと思います。  懸濁液とドライアイとの問題についても、海外の状況を見ますと特に大きな問題とは なっていないというだけで、それが日本の市場においてどの程度になるかというのは市 販後調査の中で十分検討してもらう必要があると思います。  それから角膜障害については、この薬はCA-IIのインヒビターということでござい ますので、角膜内皮細胞のCA-IIを阻害するといったことが機序的には起こり得ると いうことでございます。しかし、実際の18か月までの長期投与試験では内皮細胞機能の 障害を示唆する成績は得られておりませんので、現時点でこの薬を使用したらすぐに角 膜障害が起こるということは特にないだろうと考えておりますけれども、もともと角膜 障害を持っている患者さんには注意が必要だということで、「重要な基本的注意」の方 にその旨を記載しているということでございます。 ○金井委員  ただ、内皮障害があるかどうかというのを判断するのに、スペキュラマイクロスコー プを使わないとできないわけで、そこに一つ問題があるのではないかと思います。それ からやはりこういう緑内障の薬というのは長期で1週間でやめるというわけではありま せんから、そこの点が問題だと思います。 ○河村部会長  角膜障害の有無の判定をきちんとやってからでないと投与してはいけない薬のはずだ から、そこのところをどうするつもりかということですね。 ○事務局  その辺は当然市販後の長期使用調査という特別調査などをやることにしておりますの で、例えばその中で重点調査項目として角膜障害との関連性などを調べさせるようにし たいと思います。 ○河村部会長  それでよろしゅうございますか。ちょっと心配が…。金井先生に教えていただきたい のですが、このごろ緑内障というのは余りオペはしないのですか。 ○金井委員  ほとんどの場合、まず点眼薬でコントロールします。やはりコントロールができなか った場合にいわゆる併用ですか、作用機序の違う点眼薬を…。今現在はほとんどPG製 剤、あるいはβブロッカーがファーストチョイスになっています。そういうものを重ね ながら…、今はメインが大体3種類なのですが、3種類の点眼をやってどうしてもコン トロールができないようなときに手術するという格好です。 ○河村部会長  相当長期にこの点眼薬を使う…。2年しか毒性がやってありませんけれども、10年ぐ らいは使う可能性があるわけですね。 ○金井委員  十分にあります。 ○河村部会長  そうすると、市販後調査で一応その点もお含みおきいただかないと…、眼に入れたも のはどうせ飲んでしまうのですよね。 ○金井委員  ダイアモックスのようなものですと、やはり長期というと腎障害、腎結石などがあり ますので、余り長い間は使いません。 ○河村部会長  そういうことでよろしくお願いしたいと思います。ほかの御意見はございますか。ど うぞ、お願いいたします。 ○柳川委員  実薬の第III相の臨床試験なのですが、これは海外で行われた臨床試験で、資料は449 ページですけれども、実薬対照としてチモロールとドルゾラミドの2剤が使われていま して、その「目標症例数」の設定のところを見ますと二重基準で設定されておりまし て、ドルゾラミドが110例に対してチモロールは55例であると。そこは一体どうなって いるのかということをまず質問させていただきたいのですが。どうもそこで読み取れる のは、この薬はチモロールには到底勝てないと最初からもう旗を上げていまして、だか らそういう場合は早くやめた方がいいという感じで試験が行われていると思うのです。  第二の質問としては、そういう薬剤があるにもかかわらず本剤を出す理由は一体何だ ろうか教えていただきたいということ。  それから第三の質問として、これは先ほど金井先生もちょっとおっしゃいましたが、 日本では別の薬が主に使われているという状況で、海外で行われた対照薬に対して実薬 の比較対照試験をやった結果を、日本にブリッジングスタディーとして持ち込むときに どういうふうに考えればいいのか。海外で使われている実薬と日本で使われている薬剤 との間にギャップがある場合には、どう考えればいいのですかと。その三つの質問をさ せていただきたいと思います。 ○事務局  それではまず一点目の症例数設定の考え方でございますが、先生のおっしゃるように チモロールは非常に強力な眼圧下降作用があることは分かっておりまして、このブリン ゾラミドの試験を計画するときには、チモロールには勝てないだろうという知見は既に 十分に得られていたと考えます。したがって、症例設定をするときには類薬の同じ炭酸 脱水酵素活性阻害薬のドルゾラミドとの同等性、非劣性を検証するための症例設定を行 ったということでございます。もともとチモロールとの比較は参考までと、チモロール に対してこの薬はどの程度の位置付けになるかということで行った試験でございます。  二点目の眼圧下降作用の点でチモロールに劣る薬は必要かという話でございますが、 これは金井先生からも先ほどお話があったかと思いますけれども、一つは喘息因子を持 ったような患者さん、チモロールなどを使えない患者さんの場合にはほかの機序のお薬 を探すことになりますので、緑内障の中では例えばプロスタグランジン製剤であると か、こういったCAI(Carbonic Anhydrase Inhibitor)が使われることになろうかと思 います。また、プロスタグランジンの場合には眼局所の副作用であるとか、多毛といっ たような特に女性の場合は問題となるような副作用が認められておりますので、そうい った患者の場合には好まれて使用される場合が多いということでございます。いずれに しましても、センターとしてもこの薬はチモロールに劣るということで、効能・効果を セカンドチョイスに改めさせているという経緯が審査の過程でございます。  それから三点目のこの薬は外挿できるのかという話でございますが、ブリッジングの コンセプトを計画するときに、海外と日本の臨床診断基準というのをかなり詳細に検討 しておりまして、この薬は基本的に眼圧下降作用という非常に客観的なものをプライマ リーエンドポイントにしておりますので、そこで何かバイアスが起こる可能性はないと 考えております。日本と外国人の患者さんを比べた場合に、若干日本人の方が眼圧が相 対的に低いということもございまして、今は21mmHgを超えるような患者さんが緑内障と されておりますが、日本ではそれを下回っているけれども通常よりは高いという患者さ んもいることは確かでございます。しかしながら、そういった正常眼圧緑内障の患者さ んにつきましても、緑内障の延長線上にあって高眼圧緑内障と同等の判断をしていいの ではないかということ。それから海外と同じように選択基準を21mmHgで切った場合、同 じ患者集団でやったときには、同等の眼圧下降効果が得られているというサブ解析を行 わせて確認しておりますので、その辺も十分ブリッジングはできるのではないかと考え たということでございます。 ○河村部会長  添付文書でもチモロールにはもうお手上げだと、それが使えない場合、セカンドチョ イスということのようですね。先生、第三の点についても今の御説明でよろしゅうござ いますか。 ○柳川委員  はい。 ○河村部会長  青い眼でも黒い眼でも変わりがないようでございます。どうぞ。 ○谷川原委員  三番目についてもう少し教えてください。今柳川先生がお話しされたことは、評価法 が医学的というか科学的にきちんとしているという御説明だったのですが、恐らくもう 一つの視点はその位置付けだと思うのです。日本と海外で汎用されている薬剤が違うと か、そういう医療環境の違いの中で仮に日本にない薬剤を対照薬にした場合、たとえそ の評価法が科学的であっても、それを日本の承認時の資料の位置付けとしてどうとらえ るかということもちょっとあると思うのですが、その視点ではいかがでしょうか。 ○事務局  緑内障の治療薬としては、先ほどお話に出ましたプロスタグランジン系のものは海外 でも日本でも使われております。ただ、開発が比較的新しいということとか、作用機序 的に本剤と違うということから、対照薬としては選択されなかったのだろうと思いま す。一般的に日本で承認されていないような薬剤を海外で対照薬として選んだような場 合、個別の事情がいろいろありますのでごく一般的に申しますと、その日本にない薬剤 の位置付けというのが他の試験とか他の薬剤との比較において明らかにできるというこ とであれば、受入れは可能かと思います。ただ、一般的にどのような場合でも受入れ可 能とか、あるいはどの場合でも駄目ということは申し上げることができませんので、そ れはまたケース・バイ・ケースになろうかと思います。今申し上げたようなケースでは 受け入れられる可能性がございます。 ○審査第二部長  補足をさせていただきたいのですが、柳川先生の御指摘で外国での比較臨床試験で対 照薬が二つあったというお話がございましたけれども、そのうちのチモロールにつきま しては、我が国においてもつい最近まで一番使われていた緑内障の治療薬です。最近で は急速にプロスタグランジン製剤が進出してまいりまして、ごく最近ですとほぼ半々ぐ らいという使われ方で、その残りにこの炭酸脱水酵素阻害薬系のものがセカンドチョイ スということで出てきているという現況にあります。そうした状況は医療現場における 使用薬剤の種類という意味ではアメリカの状況とかなりよく似てきておりまして、そう したことも勘案して海外のこの成績を見ますと、ズバリの比較対照ではないのですが、 レファレンスという意味でチモロール投与群が入っている臨床試験成績であると見てと れます。そういう意味で、この成績は割と評価しやすかったということでございます。 肝心なのは海外臨床試験で示されたチモロールとの関係をきちんと換算して国内へ持ち 込めるかというところで、今ブリッジングのデータパッケージの部分を御覧いただいた わけですが、眼圧下降という比較的ハードなパラメータできちんと橋が架かったという ことです。どちらかというと、絵に描いたようにきれいな用量反応カーブのフィッティ ングが得られたということで、評価できるという判断に至ったということでございま す。ですから、一応外的要因としての医療環境の面からの話も考慮しても、そう大きな 誤算にはならないだろうと考えたわけです。ただ、セカンドチョイスでなければならな いということに関しては、その点を厳格に効能・効果に反映させることを申請者に了解 させたというところが審査のポイントでございます。 ○河村部会長  よろしゅうございますか。御発言ございますか。よろしければこれも薬事分科会の方 へ報告という扱いにさせていただきます。ありがとうございました。  議題4のペンタサ注腸1gについて、御説明よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは引き続きまして、議題4、資料4の医薬品ペンタサ注腸1gの輸入承認の可 否等について、審査センターより御説明申し上げます。  本剤の有効成分メサラジンは、潰瘍性大腸炎における標準的な治療薬の一つとして位 置付けられており、我が国では平成8年に経口剤であるペンタサ錠250が承認されてお ります。ただし、本有効成分は腸管内の炎症部位での直接的な局所作用により治療効果 を発揮することから、大腸遠位部の炎症に対しては経口剤では効果が不十分な場合が多 く、欧米においては注腸剤も市販され汎用されております。一方、我が国の医療施設に おいても市販されているペンタサ錠をすりつぶし、水や緩衝液に懸濁した注腸液を投与 するなどの院内調剤が行われてきております。このような実態に対し、平成12年10月に 日本消化器病学会から、メサラジン注腸用製剤の潰瘍性大腸炎に対する早期承認を求め る要望書が厚生労働省に提出されました。本申請品目は、デンマークのフェリング社に より開発されたメサラジン注腸製剤であり、ペンタサ錠250の製造承認を有する日清キ ョーリン製薬株式会社より、適応外使用に係わる医療用医薬品の取扱いに関する通知に 基づき、医学薬学上公知であるものとして、新たに臨床試験を実施することなく輸入承 認申請されたものでございます。  本剤の専門協議では本日の配付資料9の4枚目に示しますように、梅田典嗣委員、鹿 庭なほ子委員、佐藤信紘委員、正田良介委員、米谷芳枝委員、山手丈至委員を専門委員 として指名いたしました。  審査センターにおける審査の結果、メサラジン注腸製剤は国際的な教科書等の成書に 標準的な潰瘍性大腸炎治療薬として記載されていること。米国消化器科学会作成の潰瘍 性大腸炎の治療及び緩解維持に対するガイドラインにおいて、軽症から中等度の潰瘍性 大腸炎で遠位に炎症部位を有する症例に対する治療薬として推奨されていること。本申 請製剤は大規模比較臨床試験を始めとする多数の試験成績が国際的な学術雑誌で報告さ れ、有効性・安全性に関する科学的検討結果は国際的な評価を受けていること。また、 本剤は1986年以降多くの国において承認・市販されており、長い使用実績があること。 さらに国内においても既に海外の論文を参考に院内調剤された製剤が使用され、その実 績が論文等により示されていること。以上のことから、提出された資料より本剤の有効 性及び安全性について医学薬学上の公知とすることは妥当と判断いたしました。  以上のとおり審査センターでの審査の結果、本剤の重症を除く潰瘍性大腸炎に対する 有用性は認められ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議することが 妥当と判断いたしました。なお、本剤は新投与経路医薬品に該当することから、再審査 期間6年、製剤は毒薬、劇薬いずれにも該当しないと判断しており、薬事分科会では報 告を予定しております。御審議どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○河村部会長  ありがとうございました。御覧のように「1g」というけれども100ccに溶かしてあ ると、また既に売られている薬であって、剤型、投与法などを変えたものであるという ことでございますが、御審議お願いいたします。御発言ございますか。何かございまし たら、どうぞ。私の見たところでも、これはもう既に売られていますし、剤型が変わっ ても何ともなければよろしいのかなと感じました。よろしければこれは分科会の方へ報 告とさせていただきます。ありがとうございました。  次は報告事項の方へ入らせていただきます。御説明お願いいたします。 ○事務局  それでは報告事項の議題1の「医薬品アルスロマチックの製造承認の可否について」 を御説明いたします。本品目はバクスター株式会社からの申請で、乳酸リンゲル液を従 来品より大容量の3,000mLのバッグに充填した製剤で、専用イリゲージョンセットと共 に関節鏡視下検査、手術又は関節切開による手術時の関節腔の拡張、灌流、洗浄として 用いるものございます。  続いて資料6、議題2の「医薬品デパケン錠他の製造承認事項一部変更承認の可否に ついて」でございます。これは抗てんかん薬として既に承認されている薬剤でございま して、今回の申請は「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」の通知に基づ きまして、公知の事実として「躁病及び躁うつ病の躁状態の治療」に対する効能追加を 行うものでございます。  続きまして、議題3の「医療用医薬品の再審査結果について」でございます。資料と しては資料7-1の「ミソプロストール分散体(原体)」、「サイトテック錠200」他から資 料7-13の「リザベン」他まで、合計13成分の再審査報告書でございます。これらの品目 につきましては、市販後の使用成績調査・特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行 われ、それぞれ審査の結果、いずれの品目についても薬事法第14条第2項各号(承認拒 否事由)のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事 項については変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものでございます。これら の結果につきましては、近くそれぞれ通知する予定といたしております。以上でござい ます。 ○河村部会長  ありがとうございました。これらの報告事項について御質問がございましたら承りた いと思います。風祭先生、資料6にデパケンの効果の判定法が書いてあるのですが、こ れは普通の効果の判定法なのでしょうか。21ページでございますが、有効性については 試験期間中における抗精神病薬の平均使用量はバルプロ酸群が幾ら、プラセボ群が幾ら と、抗精神病薬の平均使用量の減少で判定しているとありますが、これは普通の判定法 ですか。 ○風祭委員  いえ、普通の判定法ではありません。精神科の領域での興奮状態で一番困りますのは 躁病性の興奮です。分裂病性の興奮は、興奮自体は激しいのですが、処置は割合簡単 で、実際には躁病が非常に困ります。躁状態の治療には大きい三つの治療の方法があり ます。一つは、とにかく興奮しているのを鎮静作用の強い抗精神病薬で眠らせるなりお となしくするということ。それから二つ目は、少し特殊な薬で炭酸リチウムという製剤 があって、これは非常に高揚した気分だけを落ち着ける作用があり、ここ数十年間使わ れているのですが、残念なことに即効性がないのです。今興奮している状態の人に飲ま せて翌日治るというわけにいかないのです。三つ目が従来抗てんかん薬として使われて いたカルバマゼピンやバルプロ酸、アメリカではクロマゼパムなどを用いる方法で、こ れは非常に単純な考えなのですが、てんかんは脳の細胞の興奮で起こる、それと同じよ うに、精神的な興奮も抗てんかん薬が効くのではないかという考えから始まった治療法 で実際に効果があります。  日本ではこれまで前の二つだけが躁状態に対して適応があったのですが、実はバルプ ロ酸は余り鎮静作用がなく、それだけを飲ませても今興奮している状態がすぐに良くな ったということが1、2日のうちには分からないのです。それから、この薬は割合に半 減期の短い薬でございまして、たしかTmaxが1時間くらい、半減期もせいぜい数10時 間くらいで、少なくとも1日2、3回飲ませないといけないのですが、躁病の患者さん に飲ませるのはなかなか大変なのです。  そのようなこともあって、この薬が効くことは外国の教科書にはみんな書いてあった のですが、日本では実際にはプラセボを対照とか従来薬を対照とするような試験は、患 者さんの性質からちょっと構成できなかったのではないかと思います。  実際には躁病に対する薬物の効果を見る場合には、リチウムが効かないケースにプラ セボを用いて一定の評価基準を使って検討したというような臨床試験が本当は理想的な のです。しかし、目の前で非常に興奮している患者にインフォームド・コンセントを得 た上で薬を飲ませるという治験が現実には我が国では非常に難しいのです。外国、特に 欧州では今言ったように躁病には鎮静作用のある抗精神病薬をどうしても使わないわけ にいかないので、その使う量がバルプロ酸を一緒に使うと非常に少なくて済んだという ことで、この薬が効いているのだという効果の判定の仕方があってもいいのではないか と思います。 ○河村部会長  ありがとうございました。まとめてどれでもよろしゅうございますが、ほかに御質 問、御発言はございますか。どうぞ。 ○首藤委員  大変長い審査報告書が書いてあるのですが、御説明のような形で新しい効能・効果が 追加ということになっています。それにもかかわらず触れていないことの一つは、これ は催奇形性があるわけでてんかんのときには原則禁忌ということになっていますが、効 能・効果を追加するときにそのままでいいかどうかという議論がなされていません。そ れでいいのかもしれませんし、専門の先生方が考えてやはりこれは禁忌にすべきだとい うことになるのかもしれないと思うのですが、そこを皆さんで御討議していただきたい と思います。 ○河村部会長  御返事できますか。 ○事務局  まず審査センターの方から簡単に御説明させていただきます。先生の御指摘のよう に、バルプロ酸に催奇形性があることはいろいろな知見から得られておりまして、二分 脊椎といったような子供が生まれているという事実はあるということでございます。し たがって、原則バルプロ酸を妊婦等に投与するのは避けているというのが現状でござい ますが、他剤でコントロールできないとか、そういった例も確かに存在するということ で、今はてんかんの方ではなるべく単剤で使用する、あるいは使用量を極力減らすとい うような治療が行われていると考えております。  抗てんかん薬の場合と同様に、今回の躁病についても症状をうまくコントロールしな いと、結局患者さんが興奮状態になって胎児虐待であるとか、妊娠中の症状をうまくコ ントロールしておかないと、むしろ分娩後に精神障害のリスクが上昇するといったよう な可能性もあるということで、海外等を見ましてもこれは躁病に対する使用が禁忌とな っている国はないということでございます。米国等でも注意して使うようにという添付 文書になっているということです。  今回は効能追加ということでございますので、毒性等の資料は一切提出されておりま せんで、審査センターとしても催奇形性に関する詳細な検討は行っておりませんが、こ の申請のときに米国あるいはEU等で何か添付文書上の変更がなかったかどうか、ある いはこの催奇形性について変更するようなことはなかったかということは確認しており ます。そういったことを踏まえて、審査センターとしては今回の適応についてもてんか んの場合と同様に、原則禁忌のままでいいのではないかということで、特に変更等はし ていなかったということでございます。風祭先生の方からも御意見を頂ければと思いま すが、よろしくお願いいたします。 ○風祭委員  今お話が出たのは催奇形性、つまり妊娠中の婦人あるいは妊娠の可能性のある婦人に 投与したときに、胎児に構造的な奇形が現れるかどうかという危険性だと思います。こ の奇形の問題は、もしここに基礎医学関係の先生がおられるならむしろそちらの方がお 詳しいかと思いますが、薬物に本当に非常に強い催奇形性がある場合には大体流産いた します。それから非常に奇形が軽い場合には臨床的に余り問題になりません。臨床的に 催奇形性自体が問題になるのは有名なサリドマイドのように、分娩、妊娠はきちんとで きるけれども、生後にかなり目立つ構造的な奇形がある場合です。  このバルプロ酸自体は1974年に抗てんかん薬として承認され、ずっと使われていま す。てんかんの治療にはいろいろな種類の発作の形がありますが、原則としては半永久 的に服薬して発作を抑制する必要があります。先ほども申しましたようにこれは非常に 半減期の短い薬でございますから、2、3日薬をやめるともう発作が起こるので、たく さんの長期投与の経験がございます。  今事務局の方からちょっと説明がございましたように、要するに今度の効能追加以前 に、この薬を抗てんかん薬として長期投与した場合に、妊娠あるいは妊娠可能な婦人の 胎児への影響ということについては、てんかん学会を中心としてここ30年間非常にいろ いろな研究をして、大体のガイドラインが出来ております。それは細かく申しませんけ れども、できるだけ避けるということが「原則禁忌」ということなのでしょうか。今度 の躁病への適応拡大の場合でも、私はそれでいいのではないかと思います。と申します のは、今回の適応拡大は気分障害というのは新しいICDの病名で…、先生方が御存じ の躁うつ病と同じと考えていただいていいのですが、その躁うつ病の躁状態の治療に使 うわけです。ですから、てんかんのように半永久的にずっと使うというわけではなく て、躁状態が激しいとき、この期間はなかなか難しいのですが、大体週から月の単位で 悪いときだけに使うわけですから、その時期にたまたま妊娠したり、受胎するというこ とがあっても、従来どおり原則としては使わないようにするというふうな「使用上の注 意」の注意があれば、これ以上に厳しい縛りはしなくていいだろうと思います。  それから少し長くなりますが、催奇形性が実際に問題になりますのは、一番最初にお 話ししたように大体奇形が起こるクリティカルなピリオドというか、構造的な危険が起 こる時期というのは大体妊娠12週から20何週ぐらいまでという辺りで、おなかが目立っ てきた時期の服用は構造的な奇形には影響がないのです。ですから、そういうことを考 えますと、この薬を服用する期間は割合短いですし、この問題については従来の抗てん かん薬にある注意の程度で、適応が拡大しても私は臨床的に差し支えがないのではない かと思います。  それからもう一つは、適応拡大とは別のことを申しますと、てんかんの方では、この バルプロ酸は全般発作と、特に昔ピクノレプシーといった短時間の意識喪失の発作に非 常によく効く薬なのです。この発作に対して今効く薬は、実はミノ・アレビアチンとい うトリメタジオン系の薬とこのバルプロエイトで、主なものはその二つなのです。とこ ろが、トリメタジオンというのは非常に催奇形性の強い薬で、これは「使用上の注意」 に絶対禁忌で、妊娠の可能性のある患者には使ってはいけないとなっているのです。そ うしますと、バルプロ酸も絶対禁忌になってしまうと使える薬がなくなってしまうので す。そのようなことをいろいろ考えますと、結論としては現在「使用上の注意」に「原 則禁忌」というふうになっていれば、適応が拡大してもそちらの方のことは今のところ は変えなくてもいいのではないかと思います。ただ、その問題が非常に大きな問題にな るのでしたら、適応拡大の問題とは別に今後またそこのところは討議すべきだろうと考 えます。 ○河村部会長  そういう御意見でございますが、よろしゅうございますか。 ○首藤委員  審査の過程にそれが書いていないので、それが一番気になったのです。結論的には判 断がそうであるということだったら納得できると…。 ○河村部会長  今先生に御発言いただいたので記録にも残りますし、大変有り難かったと思います。 ほかにございますか。よろしゅうございましたら、これは全部まとめて報告という扱い にさせていただきたいと思います。本日はちょっと早めでございますが、事務局の方か ら御連絡その他ございましたら、どうぞ。 ○事務局  次回の当部会でございますが、10月11日金曜日、午後2時から開催させていただきま すので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○河村部会長  ほかにはございませんか。今日は大変お暑いところありがとうございました。お陰様 で司会の不手際にもかかわらず今日はスムーズに済みました。お助けいただきまして、 ありがとうございました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 林(内線2734)