02/08/23 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成14年8月23日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年8月23日(金) 10:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(13名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 上 原 至 雅、 垣 添 忠 生、   川 嵜 敏 祐、 木 村   哲、 小 池 克 郎、 菅 谷   忍、   早 川 堯 夫、 藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、   溝 口 昌 子 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名) 神 谷   齊、 後 藤   元、 小 室 勝 利、 吉 村   功 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 池 谷 壮 一(審査管理課長)、   豊 島   聰(審査センター長)   姫 野 孝 雄(審査センター企画調整部長)、    平 山 佳 伸(審査センター審査第一部長)、    橋 爪   章(審査センター審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、医薬品第二部会を開催させていただ きます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。当部 会委員17名中13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりま す。それでは池田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 どうも先生方、お忙しいところありがとうございます。それでは本日の 議題に入りたいと思います。その前に事務局の方から資料の確認と、資料作成に関与し た委員の報告をお願いしたいと思います。 ○事務局 それではまず資料の確認をさせていただきます。資料1〜6までがあらかじ めお送りしたものでございます。本日の席上配付資料といたしまして、議事次第、座席 表、当部会の名簿、資料7といたしまして「医薬品第二部会審議品目の薬事分科会にお ける取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要否について(案)」、資料8といたしまして専門協 議の名簿をお配りしてございます。よろしいでしょうか。それから平成13年1月23日 の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の御確認でございますが、本日 の議題2に関しまして□□先生、□□先生、□□先生が関与ということでございます。 以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは審議事項の議題1から始めさせてい ただきたいと思います。議題1は腸管糞線虫症に適応症を持ちますストロメクトール錠 でございますけれども、審査センターより審査の概要を報告していただきたいと思いま す。 ○事務局 それでは議題1、資料1の医薬品ストロメクトール錠3mgの輸入承認の可否 等について、審査センターより御報告いたします。  イベルメクチンは放線菌の発酵産物由来の半合成経口駆虫薬です。当初、農・獣医学分 野で使用が開始され、本邦でもイヌ・ネコ・ウマ等の動物用医薬品として承認されており ます。本薬の臨床開発は米国メルク社によって行われ、糞線虫症治療薬としては1993年 にフランスで初めて承認され、現時点で米国、オーストラリアの計3か国で承認されてお ります。また、海外では糞線虫症のほかにもオンコセルカ症、リンパ性糸状虫症、疥癬の 治療薬としても承認されております。オンコセルカ症、リンパ性糸状虫症に対しては、W HOの特別プログラムやNGO等の協力の下に実施されている世界的規模の配給を通じ て広く使用されております。  現在、本邦において糞線虫の駆虫薬としてはチアベンダゾールが承認されております が、チアベンダゾールは重篤な肝機能障害等が見られること、また製造過程で排出される 物質が近年の環境基準に適合していないことから、チアベンダゾールの製造・供給の中止 が検討されておりまして、申請者はその代替薬として本薬を位置付けております。なお、 本薬は平成10年11月27日に希少疾病用医薬品として指定されております。  本申請の専門委員としては、大友委員、奥村委員、折笠委員、河野委員、小嶋委員、塩 飽委員、名和委員、林委員、藤田委員、渡邊委員の10名を指名いたしました。  本薬の非臨床試験結果については、マウス単回経口投与毒性試験で見られた雌雄差につ いて専門協議等で議論がなされましたが、ヒトにおいては認められていないこと、また本 薬は脂溶性であり血中への移行率が低いことから、安全性については性差よりも個人差の 方が大きく影響する可能性が考えられました。市販後の安全性情報を解析する際には、副 作用発現に関連する因子を検討していく必要があると考えております。また、小核試験が 実施されていなかったことから、小核試験の実施を申請者に指示しており、試験結果は□ □□月に報告される予定となっております。  臨床試験としては、国内で実施された第III相試験が評価資料として、海外で実施された 試験が参考資料として提出されました。評価資料とされた国内試験は、糞線虫症患者50 例を対象として行われ、主要評価項目とされた4週間後の駆虫率は98%であり、副作用 は悪心・嘔吐が1例、臨床検査値の異常変動は4例に認められました。  効能・効果につきましては、腸管糞線虫症と腸管外糞線虫症とは厳密に区別することが 困難であることから、広く「糞線虫症」とすることが適切ではないかとの意見が専門委員 から出されました。しかし申請者からは、国内及び海外の臨床試験では腸管糞線虫症患者 のみを対象としたこと、また播種性糞線虫症などの腸管外糞線虫症はコントロールが困難 な病態であることから、効能・効果としては「腸管糞線虫症」とすることが適切であると 回答され、審査センターはこれを了承しております。  安全性につきましては、国内開発以降に報告された重篤な有害事象705件のうち262件 が神経系障害であることから、本薬の神経系に関する副作用については十分な注意が必要 であると審査センターは考えております。  以上のような審査の結果、腸管糞線虫症に対する本薬の有効性及び安全性は認められる ことから、本薬を承認して差し支えないと審査センターは判断いたしました。また、本薬 は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断 しております。なお、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当すると判断しております。薬事分科 会では審議を予定しております。御審議よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。これまで我が国ではチアベンダゾールという ものが糞線虫の駆除に使われていたわけですけれども、本薬はオーファンとしてこれま で海外ではアメリカ、オーストラリア、フランスの3国で認められていたものを、臨床 試験を通して申請してきたという次第ですが、委員の先生方の御意見を伺いたいと思い ます。どうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 これは腸管糞線虫症ですけれども、沖縄と鹿児島に多いと書かれています。 免疫不全のときは、「使用上の注意」の「重要な基本的注意」に「(3)易感染症患者(H IV感染者も含む)」と書かれて注意を喚起しているのだと思うのですが、鹿児島や沖縄 でしたらATLのことを書かなくてもよろしいのかということが一つなのです。あとも う一つはちょっと関係ないので、後で申し上げます。 ○池田部会長 審査センター、どうでしょうか。「重要な基本的注意」のところにイミ ュノコンプロマイズドホストということで「HIV感染者も含む」とわざわざ書いてあ るわけですけれども、南だということでATL…。 ○事務局 この記載は海外の添付文書に合わせた書き方になっておりますので、国内の 状況を考えると確かにATLについても書いていいと思いますし、もちろんこの記載で 含まれているとは思いますが、その辺りは申請者の方と相談いたしまして適切に対応し たいと思います。 ○池田部会長 そうですね、よろしくお願いします。 ○溝口委員 ついでにもう一つよろしいですか。今回のこの治験には直接関係ないので すけれども、「審査報告書」の3ページに「疥癬の治療薬としても承認されている」と 書かれています。日本では今γ-BHCが研究に使用許可のある試薬なのですけれども、 病院の倫理委員会などを通して外用薬として使われているのが現状です。いい治療薬が なくて老人施設やいろいろな病院で集団感染を起こして困っている病気の一つでござい ます。拝見したら非常に有効で安全性も高いようですので、もしできたら日本でも疥癬 に使えるようにしていただけると有り難いと思うのです。なぜ疥癬に効くのかよく分か らないのですけれども、11ページの薬剤の代謝の「体内分布」のところを見ますと皮膚 は全く書かれていませんので、もし海外で皮膚の薬物濃度を検討していたら併せてお教 えいただきたいと思います。やっていないようでしたら疥癬の治験を行うときに御検討 いただきたいと思います。これは希望でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。審査センターの方でありますか。 ○事務局 まず組織分布の方ですけれども、会社の方で持っているデータは一応すべて 出していただいていると思いますので、皮膚についてはこれ以上のデータは恐らくない と思われます。それから疥癬についてですけれども、現在海外で疥癬の承認が取られて いるのはフランスだけでございます。申請者の方に確認いたしましたところ、親会社で あります米国メルク社の方では疥癬についての臨床成績なり臨床試験の結果は持ち合わ せていないというのが現状だそうでございます。フランスでは政府の方の取り計らいで、 文献報告等を参考に疥癬の効能を付けたということでございます。今後の開発予定等に ついて一応確認しているのですけれども、現在メルク社の方でデータがないことから、 日本の萬有製薬としてこれから開発を行うということは現状では若干難しい状況がある とのことでございます。  それから、学会の方から厚生労働省の研究開発振興課に要望書が出されているようで もありまして、それは萬有製薬の方に伝わっているとのことでございます。そのような ことを踏まえまして、もし臨床医の方で何か試験を組まれるということであれば、こち らの薬剤提供については協力いたしますということを回答されております。 ○溝口委員 分かりました。皮膚科の雑誌には既に成績が載っておりますので、我々が 臨床試験をやろうとすれば提供していただけるということですね。 ○池田部会長 薬事法の改正でそういうことも非常にやりやすくなった…。課長、何か ありますか。 ○審査管理課長 メルク社から私の方にもその件について話が来ておりまして、日本の 学会から強く要望されていると。要するに、アメリカにあるグローバルの本部はデータ がないので非常に消極的だということです。それでどうするのだという話を聞きました ら、学会の方とよく相談してフランスのやったこと、それからいろいろな文献が出てき ていることを勘案してもう一回再考するとの回答が出ております。私としてもやはり患 者さんが非常に望んでいるようなものであれば、しかるべき評価ができるような体制を とってもらって出していただければいいのではないかという話をしてございます。 ○溝口委員 ありがとうございます。今使われているBHCは農薬などには既に禁止さ れていまして、患者さんに使って洗い流しますと環境汚染の問題もあるかと思いますの で、できたら御検討いただきたいと思います。 ○池田部会長 貴重な御意見をありがとうございました。そのほかに委員の先生方から 何か御質問はございませんでしょうか。これはチアベンダゾールの代替ということで申 請がされているのですけれども、これが許可になった場合にはチアベンダゾールはもう 製造、販売を中止にするという理解でいいですか。 ○事務局 もう既に製造の方は中止になっているという話だったと思いますので、販売 の方もこちらに切り替えられると思います。 ○池田部会長 切り替えられると。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 これは副作用も少なくなっておりますし、よろしいのではないかと 思います。オンコセルカ症やリンパ性糸状虫症についてはWHOで既にいろいろなとこ ろに配布しているということですけれども、日本においてはこれらの疾患の発生率はど のくらいあるのでしょうか。それによっては適応症も考えられるのではないかと思いま すが、いかがでしょうか。 ○事務局 申し訳ございません。そのデータを持ち合わせておりませんので、後ほど確 認いたしまして御報告させていただきたいと思います。 ○事務局 審査センターの方で補足させていただきます。この件につきまして、専門協 議の場でちょっと先生に御意見を伺ったのですけれども、長年この分野の研究をなさっ ている先生方でも1〜2例の経験があるかないかということですので、今日本の場合に はごくまれ、あるいは海外で感染する方がいるかもしれないという御意見は頂いており ます。 ○池田部会長 そのほかにどなたかございますか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 陰転しない場合に再投与することがあり得ると書いてありまして、 「添付文書(案)」でも「再投与を考慮する」ということになっています。一般的には2 週間間隔で2回ということですが、再投与の場合も2週間間隔でしょうか。もしそうだ とすれば、投与期間についても記載をする必要があるのではないかと思いますが。 ○池田部会長 審査センターの方は何かございますか。 ○事務局 まず今回2週間間隔とされている理由なのですけれども、海外の方では通常 1回投与のみで行われております。国内で2回投与とされましたのは、最初の1回目の 投与で駆虫し切れなかった場合の糞線虫が全身を回って再度腸管に戻ってくるまでの期 間を考慮して、2週間間隔とされているものでございます。半減期の長い薬ではあるの ですが、必ず2週間置かなければいけないというものではないと思います。その辺りは 海外の方に反復投与で承認されている疾患もございますので、データを確認して情報提 供できるようであれば添付文書等に盛り込むよう、今後検討したいと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 この医薬品は食事等の影響が非常に大きいというふうに書かれていますけ れども、きちんと薬剤師の方等から御説明を頂けるのだろうと思うのですが、空腹時投 与が望ましいという書き方をされた場合に、おなかがすいているときに飲んですぐに御 飯を食べるとか、一般的に消費者というのは「空腹時」の意味がよく分からないのです。 例えば飲んでからどのくらい時間を空けるとか、前後にどのくらい時間を空けるとか、 そのようにある程度具体的に書いていただいた方が、こういう問題点として、注意点と して実際の使用上で明らかになるのではないかと思いますので、ちょっと御考慮いただ ければ有り難いと思います。 ○池田部会長 何か御意見はありますか。あるいは委員の先生方から、特に薬剤の先生 方、薬剤師会の先生、何か御意見はございますか。 ○藤上委員 別に意見はないのですけれども、多分薬剤師がきちんと説明をして納得を していただくしかないのかなと思っています。 ○池田部会長 大体どのお薬でもこういう書き方をしていると理解されますね。ですか ら説明の仕方によるということになるでしょうか。 ○藤上委員 ちょっとだけよろしいでしょうか。先ほど溝口先生の方から疥癬のことで お話がありましたけれども、療養型病床群などで今疥癬がかなり蔓延しているのです。 いい治療法がないということで、このイベルメクチンを研究用に提供していただいて使 っている例がかなり多いのです。医療従事者もかなり感染するのですけれども、対象が ほとんど高齢者だということで、この米国の添付文書のところには65歳以上の高齢者と 若年者との反応性の違いはないと書いてあるのですけれども、副作用などの面でもし海 外のデータがあれば頂きたいと思うのです。 ○池田部会長 いかがですか。海外で広く使われているわけですけれども、高齢者とあ るいは…、特に副作用の報告の頻度が高いかどうかということです。 ○事務局 海外の臨床試験等では、今回の添付文書にあるとおり特に高齢者と非高齢者 で差があるというデータは出ていないと思います。それから先ほど御説明の中で申し上 げました、これまで厚生労働省に報告されている副作用報告からの705件という数字は、 ほとんどが南米やアフリカの方で投与されたオンコセルカ症などの副作用でございま す。そちらの方ではかなり高用量の投与が行われておりますので、今回の糞線虫症の用 量では余り副作用が出ていないというのが臨床成績でございます。ですので、また高齢 者については再度申請者の方に確認いたしまして、もし何かデータがあるようであれば 添付文書に反映させたいと思います。 ○池田部会長 それではそれを調べてまた報告してください。投与の方法は通常は2週 間隔2回ということですけれども、「添付文書(案)」の「2.重要な基本的注意」の(3) に、いわゆるイミュノコンプロマイズドホストではコントロールが難しいということで、 「維持療法が有用であるとの報告がある」とわざわざ書いてあるのですが、これはどの 程度のエビデンスがあるのですか。この点についてこう書いたということは、こういう 患者さんにはある程度維持量の投与を考えなさいということですか。 ○事務局 「資料概要」の12ページに海外の添付文書の記載があるのですけれども、そ ちらの方では「2週間隔で数回の投与」ということで維持療法の用量が設定されており ます。また「1か月に1回の投与が有用かもしれない」という記載にとどまっておりま して、はっきりしたエビデンスはまだそれほど集まっていないのではないかという印象 でございます。 ○池田部会長 この書き方だと何か分かりにくいですね。 ○事務局 分かりました。では国内の添付文書の記載の方は、また再度検討させていた だきたいと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。板倉委員、どうぞ。 ○板倉委員 「添付文書(案)」の4ページのところに「国内臨床試験成績」ということ で、「糞線虫陽性患者50例を対象に」という例が出ておりまして、御説明によりまして も腸管糞線虫症と普通の糞線虫症というものが非常に分かりにくい部分がございます。 適応症のところだけわざわざ腸管とうたっているわけですけれども、実際に投与する場 合にその区別がつかないとすれば、腸管でない糞線虫症だからこういう問題が起きたの だというような責任はどちらに来るのでしょうか。一方で医療従事者の方が、どちらか 分からないけれども、これは効果があるだろうと思って使ったといったときに、適応外 の使い方だからということで何か医療従事者の方の責任になるような感じもします。先 ほどの御説明のように、腸管の方であれば効果ははっきりしているけれども、それ以外 のものについてはまだ不十分であるというところが添付文書からきちんと見抜けるのか どうかということが、知識のない立場ですのであれですが、私が読んだところ分かりに くいような気がします。ですから、そういうところについて今御説明いただいたような、 全体像がはっきり分かるような部分を添付文書の方にもう少し盛り込んでいただけると 有り難いと思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。これは確かに「海外臨床試験成績」のところでは「腸 管糞線虫症の治療薬として」という書き方がしてあったり、「糞線虫陽性患者50例を対 象に」と書いてあるのですけれども、実際に国内では腸管糞線虫症を対象にしてやった のですか。 ○事務局 国内の方は腸管糞線虫です。 ○池田部会長 これは「腸管」と書くのがある意味では正しいのですね。 ○事務局 はい。それから、今回の用法・用量で駆虫し切れるというデータが集まって いるのが腸管糞線虫でございます。先ほどの維持療法の話になってしまうのですけれど も、腸管外糞線虫の方は海外の方でも文献報告で若干ある程度で、コントロールド・ス タディでまだきちんとしたデータがあるわけではないのではないかと。ですから腸管外 糞線虫症に対して、こういう用法・用量であればきちんと駆虫できるというデータがま だ集まってきていないのが現状であると思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 大変つまらないことですが、これの一般名が「イベルメクチン」なのか、 「アベルメクチン」なのかということです。化学名は「アベルメクチン」になっている のです。提出されている資料の中身は「イベルメクチン」、「アベルメクチン」が混在 しています。承認申請は「イベルメクチン」となっていますが、多分両方使われること になると混乱が生じるのではないでしょうか。将来こういうものがデータベースに載っ たりするときに、「アベルメクチン」と入れて検索すると出てこないとなるといけない のできちんと統一した名前にすべきだと思うのですが、どちらが正しいのか、ちょっと 確認をさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 審査センターの方、いかがですか。 ○事務局 イベルメクチンとアベルメクチンは別の化学物質でございます。アベルメク チンの誘導体としてイベルメクチンがあるもので、構造式としては別のものになると思 います。 ○池田部会長 そうすると、このものはイベルメクチンですね。 ○事務局 はい。例えば「審査報告書」の4ページに規格の記載があるのですけれども、 イベルメクチンについてはB1a、B1bの2種類がございます。その基になる物質としてア ベルメクチンのB1a、B1bがありまして、それぞれを抽出、精製、触媒下で水素添加する ことによってイベルメクチンになるというものでございます。 ○上原委員 元の化学名は「アベルメクチン」、それの誘導体…。 ○事務局 アベルメクチンに水素添加することによってイベルメクチンになるというも のでございます。 ○上原委員 分かりました。 ○池田部会長 そのほかに何か御意見はございますでしょうか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 この薬物はデータから見るとCYP3A4で代謝されるということでい いのだろうと思いますが、「添付文書(案)」には単に「肝で代謝される」となっており ます。CYP3A4で代謝されるとはっきり書いていただいてもよろしいのではないでしょう か。と申しますのは、半減期が約12日間と大変長いので、いろいろな薬物との相互作用 が起こる可能性も考えられますので、それを考慮しながら他の薬物の投与をやらなけれ ばいけないと思います。取りあえずそれを書いていただきたいと思います。もう一つは、 腸管循環がかなりあると記載されておりますので、それについても「代謝・排泄」のと ころに記載をしていただきたいと思います。 ○池田部会長 薬物の相互作用あるいは代謝物の活性の有無の議論について、何か補足 することはありますか。 ○事務局 CYP3A4との相互作用の程度なのですけれども、余り強いものではございませ ん。審査報告書の25ページにCYP3A4の誘導体あるいは阻害剤との併用についての記載 をしているのですけれども、双方に対してそれほど影響を与えるものではないというデ ータが出ておりまして、これを基に現在のところ相互作用について特段の注意喚起をし ていないというものでございます。こういう状況でCYP3A4に作用するものである、ある いはほかにもP糖蛋白の基質になるということについて、記載はしておいた方がいいの ではないかと申請者の方にも伝えてはいるのですが、今のところ特段問題になっていな いので記載されていないという現状でございます。 ○池田部会長 いかがですか、堀内委員。多少その議論はしたということですね。 ○堀内部会長代理 代謝はCYP3A4でされるのですね。代謝経路はエステル化とかいろい ろあるのかもしれませんけれども、CYP3A4で代謝される割合はどのくらいでしたか。 ○事務局 主たる代謝酵素がCYP3A4ということになります。 ○堀内部会長代理 それはいいわけですね。相互作用があるかどうかは別として、どう いう代謝経路か分かっている場合には記載するのを原則にしていただければ有り難いと 思います。 ○事務局 分かりました。ではそれを申請者の方に伝えます。 ○池田部会長 そのほかは何かございますか。もし先生方から追加して御議論すること がございませんでしたら、これは非常に重要な薬剤であるという位置付けはできるかと 思いますので、承認を可として薬事分科会審議とさせていただきたいと思いますけれど も、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこれを分科会審議とさせ ていただきたいと思います。  続いて議題2のファンガードですけれども、□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、以後の議事進行を堀内部会長代理にお願 いしたいと思います。よろしくお願いします。 ── 池田部会長、木村委員退室 ── ○堀内部会長代理 それでは議題2について議事の進行をさせていただきます。議題2 は「医薬品ファンガード、ファンガード点滴用50mg、同75mgの製造承認の可否、再審 査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否について」ですが、審査センターより審 査の概要を説明していただきたいと思います。 ○事務局 それでは議題2、資料2の医薬品ファンガード、ファンガード点滴用50mg及 び75mgの製造承認の可否等について、審査センターより御報告いたします。  ミカファンギンナトリウムはキャンディン系抗真菌薬であり、真菌に特異的な細胞壁の 主要構成成分であるβ-D-グルカンの生合成を阻害する新規の抗真菌薬でございます。本 邦では、深在性真菌症に対する抗真菌薬としては、アムホテリシンBやアゾール系抗真菌 薬などが承認されておりますが、アムホテリシンBは広い抗菌スペクトルを有する反面、 副作用の頻度が高いこと、アゾール系抗真菌薬については汎用された結果、耐性株の増加 が懸念されていることなどの問題点があり、新規の抗真菌薬の開発が望まれております。  本申請の専門委員といたしましては、上原委員、奥村委員、折笠委員、戸塚委員、奈良 間委員、林委員、松島委員、横山委員、吉岡委員、渡邊委員の10名を指名いたしました。  本薬の非臨床試験成績に関する問題点としましては、ラット反復投与毒性試験で観察さ れた肝臓の変異細胞巣がGST-P陽性、PCNA陽性のため、前腫瘍病変である可能性 のあることが挙げられました。しかし、臨床用量相当の投与量ではこのような副作用は認 められていないこと、また本薬の適応が生命を脅かす疾患であることから、リスク・ベネ フィットの観点より承認に当たっては差し支えないものと考えております。なお、変異細 胞巣の腫瘍への発展性を検討する試験については、承認後に追加実施し試験結果を速やか に報告するよう指導しております。  臨床試験の成績としては、国内で実施された3試験、海外で実施された5試験の結果が 添付資料として提出されております。  国内第II相試験は、アスペルギルス属及びカンジダ属による深在性真菌症患者71例を 対象として行われました。本試験では、本剤の1日投与量として12.5〜150mgまでが投与 されております。本剤の有効性評価は、臨床所見、画像所見などに基づいた総合臨床効果 で判定され、有効率はアスペルギルス症で57.1%、カンジダ症で78.6%でした。副作用 とされた随伴症状は静脈炎、関節炎などであり、臨床検査値異常で副作用とされたものは ALP、BUN、及びGPT上昇などでした。本剤との因果関係が否定されなかった重篤 な有害事象として、好中球減少が1件見られています。  用法・用量の設定については、申請されている適応では可能な限り増量する必要がある と考えられることから、150mg/日を超える用量については国内では投与経験がないもの の、海外の臨床試験結果では安全性については300mg/日までの投与量で現在までのとこ ろ特に問題は見られていないことから、菌種によらず最高用量を300mg/日とすることは 妥当であると考えております。ただし、150mgを超える用量については国内での使用経験 がないことから、市販後に有効性及び安全性の情報を収集する必要があると判断しており ます。また、80歳以上の高齢者における安全性、長期投与における安全性、他剤との相 互作用についても引き続き情報を収集する必要があると判断し、適切な市販後調査を実施 するよう、申請者に指導しております。  以上のような審査の結果、アスペルギルス属及びカンジダ属による真菌血症、呼吸器真 菌症、消化管真菌症に対する本薬の有効性及び安全性は認められることから、承認条件を 付した上で本薬を承認して差し支えないと審査センターは判断いたしました。また、本薬 は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当であると判 断しております。なお、審査報告書では原体及び製剤とも毒薬、劇薬に該当しないとして おりましたが、急性毒性試験における概略の致死量が125mg/kgであり劇薬の基準である 100mg/kgに近いこと、また、亜急性毒性試験において臨床用量の10倍以下の投与量で甲 状腺重量の減少などが認められていることから、原体及び製剤共に劇薬に該当すると判断 しております。薬事分科会では審議を予定しております。御審議よろしくお願いいたしま す。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。真菌に特異的な細胞壁成分である β-D-グルカンの合成阻害という、これまで使われている抗真菌剤と違う新しい作用機序 のキャンディン系抗真菌薬ということですが、何か御質問等がありましたらどうぞ。上原 先生、専門協議の中で何か今のことに御追加はございますか。 ○上原委員 特にまだ…、議論が出てきてからもし何かあれば追加させていただきます。 ○堀内部会長代理 この医薬品は海外でかなり治験が行われておりますけれども、一応日 本で開発された医薬品であるということです。どうぞ、藤上委員。 ○藤上委員 この薬剤は今までのものと比べて抗菌範囲が狭いような気がするのですけ れども、「カンジダ属及びアスペルギルス属に対して本剤が有効であるがその他に対して は効果が弱いことから、原因真菌を同定した後に投与するべきである」と「審査報告書」 の中に書いてあるのですが、これが添付文書の方に反映されていないような気がするの で、一言書いておいた方がいいのかなと思いました。 ○堀内部会長代理 この点についてはいかがですか。 ○事務局 分かりました。対応したいと思います。 ○堀内部会長代理 必要なことだと思いますので対応してください。ほかにいかがです か。 ○事務局 申し訳ございません、今の御説明に少し補足させていただきます。このような 疾患ですので、確実にその原因菌を特定してからこちらを投与するということは恐らく難 しいと思いますし、恐らく患者さんは待っていられないような状態であると思います。で すので、もしその原因菌が特定できてほかの菌であるような場合、あるいは症状の改善等 が見られないような場合に、ほかの適切な薬剤に変更するよう注意喚起をするという趣旨 で、添付文書の方の記載を行いたいと思います。 ○堀内部会長代理 先ほど国内での使用経験は150mgまでですが、海外での条件から300 mgまで増量するのが妥当だろうということだったのですけれども、「添付文書(案)」を見 ますと、「観察を十分に行うなど慎重に投与すること」となっているのですが、肝機能等 の検査をする必要はないのですか。 ○事務局 肝機能検査につきましてはその下の「使用上の注意」の2に記載しております。 こちらは、先ほど少し御説明した非臨床試験の結果も併せてこのような記載をしておりま す。 ○堀内部会長代理 これを分けて書くことの意味は…。 ○事務局 上の「用法・用量に関連する使用上の注意」で、「300mg(力価)まで増量した 場合の安全性は十分に確立されていないので、観察を十分に行う」ということが特に肝機 能検査に限った話ではないので、このように分けた記載としております。 ○堀内部会長代理 分かりました。板倉委員、どうぞ。 ○板倉委員 投与期間が特に書かれていませんけれども、大体どのぐらい使われるもの なのでしょうか。それから肝機能検査を「適宜」とはどの程度の頻度ということなのか、 使われるお医者様にはある程度お分かりになるのかどうかについてお答えいただければ と思います。 ○事務局 まず投与期間の話ですけれども、臨床試験の方では28日程度で投与がなされ ていたと思います。これまでの海外の臨床試験や国内で現在実施されている第III相試験 でも、2か月程度までの投与経験であると思います。ただ、このような疾患の患者さん ですので、ある程度の時期で打ち切るということはなかなか難しいと思います。それは 今後の市販後調査等でデータを集めていただいて、もし長期間投与で問題が見られるよ うであればそのときに対応することになると思います。  それから肝機能検査などの「適宜」という表現ですけれども、このような状態の患者 さんは恐らくこの薬の投与以外の理由で血液検査等は随時実施されているものと思いま すので、それに合わせて行っていただければいいのではないかと思います。 ○堀内部会長代理 よろしいですか。 ○板倉委員 例えば実際にそういう臨床試験でどの程度やられているという数字などが 入っていれば、ある程度は目安というものができるのだろうと思いますけれども、臨床 試験の期間等についてはこの取扱説明書には全然書いてありませんよね。そうすると、 やはりそれなりの目安というものがあった方が親切なのではないかと思うのですけれど も、いかがでしょうか。 ○事務局 投与期間の目安や、あるいは大体これぐらいの期間にすべきであるという記 載ができるかどうかという議論は、これまでに専門協議なりその後の申請者とのやり取 りでも行ってはいるのです。しかし、最終的にはこのようなかなり状態の悪い患者さん で、どうしても投与期間を設定できないのが通常であるということもございまして、そ の辺りはもう担当医の御判断にお任せすることになるのではないかと思います。 ○板倉委員 投与期間を決めろということではなくて、例えば副作用や臨床試験のとこ ろにこの試験をした期間をある程度入れることで、客観的な判断の参考にすることはで きないのでしょうかという意味で、先ほど御質問をしたのですけれども。 ○事務局 失礼いたしました。では「添付文書(案)」の「臨床成績」のところに、これ まで得られている成績での投与期間というものを入れるよう検討したいと思います。 ○板倉委員 よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ、垣添委員。 ○垣添委員 もし耐性の出現に関するデータがあったら、お聞かせ願えないでしょうか。 ○事務局 「審査報告書」の10ページで「作用機序」に入る前のところなのですけれど も、「試験管内耐性獲得を見た試験ではC.albicansの本薬に対する感受性はほとんど 変化しなかった」というデータは得られております。ただ、これも今後臨床事情などで どのようになるか分かりませんので、その辺りのフォローは市販後にきちんとしていた だくようにしたいと思います。 ○上原委員 今の両先生の投与期間と耐性の出現については私も大変気になっており、 重要な点だと思いまして専門協議でも指摘をさせていただきました。といいますのは、 この作用としてはサイトスタティック、ですから静菌的です。非常に長期間投与をする ことで効果を期待するという薬です。これはフルコナゾール、キャンディダに効いてい るアゾール系の経口剤と同じような使われ方をする薬剤だと思います。そうしますと、 フルコナゾールの方は長期投与の結果ABCトランスポーター、CDRという排出ポン プの発現が出て、今臨床の現場では耐性菌に対する対策が非常に問題になっております ね。ですから、これと似たようなことが将来このキャンディン系の薬でも起きるのでは ないかという危惧はいたしております。  それに対しての実験データは246ページにありますけれども、10何代継代して確かに 耐性菌は出てこないと言っております。5-FCというフルシトシンの耐性の出現が非常 に早いということはよく知られておりますが、この実験データに出ておりますフルコナ ゾールの耐性も余り出てきていません。ということで、実験的な根拠、耐性菌に対する 出現を予見するようなデータがまだ足りないということと、それから臨床で長期に使わ れた場合にどのような耐性菌が出てくるのかはまだ分からないという問題点があると思 いますので、是非そこは研究と共に薬の使い方に気を付けるように指導が必要ではない かと思いました。  ただ、これは今まで非常に待ち望まれていた薬であることは間違いないです。アスペ ルギルス症というのは今までアムホテリシンBしかなかったのです。しかし、これは副 作用として腎毒性が非常に強いということで、臨床のお医者さんも使うのが大変難しい と言われておりますが、使い方によっては非常に切れ味が鋭いということで、ゴールド スタンダードとして今でも重宝されている40年前に見付けられた薬です。そういう中に あってアスペルギルス症に対する抗真菌剤というものが今まで全然開発されてこなかっ た、非常に待ち望まれていた薬剤であることは間違いないと思いますので、是非これは 正しい使い方をして耐性菌を広めないように育てていただきたい薬だと思いました。 ○堀内部会長代理 今の上原先生の御意見は大変重要なことだと思いますので、是非よ ろしくお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。それでは私から。これは蛋 白への結合率が99.7%で大変高い。半減期も12〜14時間と大変長く、平衡状態に達す るのも4日ぐらい掛かるということなのですが、それに関する記載をもう少し明確にし ておいた方がよろしいのではないでしょうか。できるだけ早く平衡状態に達するような 使い方をするということも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局 まず、そのような情報提供につきましては添付文書の方に記したいと思いま す。それから最初の負荷投与の必要性については、今後そのような検討も含めて申請者 の方に指導したいと思います。 ○堀内部会長代理 それから、小児に対してはどういう方向に…。 ○事務局 小児につきましては、国内の臨床試験の方では対象とされておりませんでし た。海外の方で若干成績はあるのですけれども、まだ十分なデータは集められていない ということではありますが、米国の方では小児も併せて申請はされているとのことでご ざいます。日本の国内の状況なのですけれども、既に小児を対象とした臨床試験の治験 届が出されておりまして、これから臨床試験を行うとのことでございます。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。ほかによろしいですか。どうぞ、垣添委 員。 ○垣添委員 この薬が承認されますと、アスペルギルス症やカンジダ症に対して第一選 択の薬剤になると考えてよろしいわけですね。その場合に、先ほどお話のあったアムホ テリシンBとの関係はどういうことになるのでしょうか。つまりどういう場合にはアム ホテリシンBが残っていくのか、その辺りのことを聞かせていただければ有り難いです。 ○堀内部会長代理 難しい質問かとは思いますけれども、これについてはどうでしょう か。 ○事務局 まず第一選択薬とできるかどうかにつきましては、「審査報告書」の40ペー ジにも書かせていただいているのですけれども、少なくとも現在来ているデータの方で は第一選択を避けるような安全性に関する問題などは認められていないというふうに考 えております。アムホテリシンBの関係ですけれども、その辺りは今後臨床で使われて いるデータなり現状を見ていただいて、例えば学会などで使い方の指針等が出されれば 良いのではないかと思います。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。上原委員、どうぞ。 ○上原委員 今のに関連して、データが具体的にどこにあったのかは忘れましたけれど も、アスペルギルス・フミガータスの呼吸器感染のマウスの治療実験で、アムホテリシ ンBとの併用効果が非常に優れているということがあったと思います。ですから、臨床 の現場でも将来的には併用効果を試すということはあり得ると思いますし、これは理想 的にはいわゆる菌の同定をして治療にかかればいいのでしょうが、アスペルギルス症は なかなか診断が難しいということで、手遅れになると治療の時期を逸してしまうという 非常に重篤性の高い真菌症との位置付けがあります。ですので、恐らくこれはエンピリ ックセラピーというか、お医者さんの知識と経験に基づいて行われる治療の一つだと思 いますので、将来的にそういう方向に進むのだろうと思います。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。実際に臨床の場で使われて評価さ れるということと、今のように作用機序が違う薬剤ですから、両方が併用されるという 可能性もかなり高くなるのではないかと思います。それではよろしいでしょうか。ほか に特に御意見はございますか。どうぞ、小池委員。 ○小池委員 がん原性に関してちょっとお尋ねします。この場合には幾つか理由があっ てがん原性試験をやっていないということなのです。例えば使用期間が3か月以内であ るとか、反復投与毒性試験において発がん性を示唆するような所見が得られていないと いうこと、それから遺伝的毒性が陰性だということで実施していないわけです。実際に 細菌を用いた復帰突然変異や哺乳類のバイオ細胞を用いた染色体異常試験、それからマ ウスを用いた小核試験等が実施されていずれも陰性であったというので、これはこれで 結構なのだろうと思うのですけれども、通常どこまでどうなるとがん原性試験は行わな くてもいいということになっているのか、ちょっと教えていただきたい。 ○堀内部会長代理 がん原性試験について説明してください。 ○事務局 がん原性試験につきましては通常長期、3か月や半年、またそれ以上の期間 に連続的に使われるものについて行うものです。まずスクリーニング的な試験として遺 伝毒性試験がありまして、ここで明らかに陽性であればもうがん原性試験を行うまでも なく陽性であると。絶対にクロであるということで、がん原性があると分かるのでがん 原性試験はやらないと。遺伝毒性が陰性となった場合は明らかにクロではないけれども、 シロでもないし灰色かどうか分からないので、ある程度長期に用いられるものはがん原 性試験を行うということを原則としております。本剤の場合は臨床使用期間が3か月で すので、がん原性試験をやるかやらないかというのはちょっと微妙なところなのですけ れども、一番最初に御説明しましたとおり、本剤の使用対象患者が非常に重症であると いうリスク・アンド・ベネフィットから考えて、改めてがん原性試験までを求めるほど のことはないのではなかろうかという判断の下で、本剤についてはこの反復投与毒性試 験における所見が得られていないことと遺伝毒性が陰性であることから、がん原性試験 は特に求めなかったということでございます。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。 ○事務局 追加で御説明させていただきます。そのようなことで申請時はがん原性試験 の結果が出されていなかったのですけれども、反復投与毒性試験の方でがんに関連する 所見が若干得られているのではないかという指摘をして、がん原性試験のような試験を 求めているところでございます。ただ、がん原性試験を実施しなかったもう一つの理由 といたしまして、まずこの物質は経口投与ではほとんど吸収されないので通常の経口投 与での毒性試験ができません。それから静注投与になるのですけれども、通常はマウス のしっぽから行うのですが、若干刺激性があって投与期間が反復投与毒性試験で行った 6か月がほぼ限度で、通常がん原性で行う1年間の途中でもう投与ができなくなるとい う問題もありまして、がん原性試験が実施されておりません。そのときに申請者と議論 いたしまして、がん原性試験に近いような何らかのものを行っていただいて、反復投与 毒性試験で見られた所見ががんに関係するものかどうかを確認する試験を実施していた だくこととしております。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。 ○小池委員 この場合はマウスを用いた小核試験も陰性だったということで、結果的に は全部から判断してがん原性試験を行わなかったのだろうと思うのですけれども、これ に関係ないのですが、例えば前に議論した薬は小核試験をやっていなかったと。それで 小核試験の結果が出て、もしそれが陽性だったら後で考えるという記載があったと思う のですけれども、小核試験の結果は後で出てくるからそれでよしということは今まで行 われたことなのですか。しかし、それが陰性だったらいいのですけれども、例えばそれ が陽性だったときにどのように対応するのかということもお聞きしたいと思います。 ○堀内部会長代理 少し一般的な話になっておりますけれども、すぐ回答できますか。 ○事務局 あくまでも原則としては小核試験も全部やっていただいて、遺伝毒性は陰性 であるというデータを出してもらった上で承認をするのが通常なのです。しかし、薬自 体のリスク・アンド・ベネフィットの関係から早急に承認をした方がいいというものに ついては、総合的な判断として小核試験を承認後にやってもらって、まず薬を世に出す ことを優先するのも致し方なかろうという判断で、そういったものも過去にはあったと いうことでございます。それでもし陽性になったらということですけれども、その場合 には引き続きがん原性試験に入っていただいて、それでも更にがん原性が認められたと いうことであれば、また再審査などで対応を考えることになるかと思います。 ○事務局 それから今御指摘いただいた小核試験のお話は、恐らくこの前に審議された ストロメクトール錠のことだと思うのですけれども、そちらの方は2週間隔2回だけの 投与でありオーファン指定されていることもあって必要性が高いと。それから危険性も それほど高くはないのではないかということで、後でもいいのではないかという判断を しております。ただ、現在もう小核試験の方は実施されておりまして、9月にはその結 果が報告される予定となっておりますので、この後分科会の方で審議していただいて、 もし承認までにそのデータが出て万が一陽性であれば、そのときに適切に対応できるよ うにしたいと思います。 ○堀内部会長代理 よろしいでしょうか。この薬はこれから小児の治験も始まるという ことですので、できるだけ明らかにする方向でメーカーとも話し合っていただきたいと 思います。よろしいでしょうか。それでは先ほど承認条件が出ておりましたけれども、 本薬の安全性、150mgを超える高用量の場合の安全性について十分な市販後調査を実施 することという条件を附帯して、承認ということでよろしいでしょうか。ありがとうご ざいました。先ほどありましたように劇薬の指定ということですので、薬事分科会で審 議にしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 それでは池田先生にお戻りいただきたいと思います。 ── 池田部会長、木村委員入室 ── ○池田部会長 堀内先生、どうもありがとうございました。それでは議題3に移りたい と思いますので、事務局より御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは事務局から御説明いたします。資料3、生物学的製剤基準の一部改 正についてでございます。今回一部改正をいたしますのは乾燥BCG(膀胱内用)でござ います。この基準につきましては、日本ビーシージー製造株式会社のイムノブラダー膀 注用という製剤に関連したものでございます。今回の改正の目的でございますが、先月 当部会で御審議いただきました同じBCG関係のものですけれども、膀注用イムシスト に伴う新たな基準、コンノート株の基準との整合性を図るということ。それから従来の イムノブラダーが80mgの製剤であったわけですけれども、40mgという半量の製剤を造 ることに伴う製造方法、試験方法の変更ということでございます。  具体的な変更箇所につきましては、資料3の一番最後のページに「生物学的製剤基準 乾燥BCG(膀胱内用)新旧対照表」となってございますので、そこを御覧ください。名 称につきましては「日本株」を追加いたします。それから製造方法の「2.3最終バルク 及び小分け」のところで、半量の製剤を造りますので「0.5mL」を追加します。それから 「浸透圧比」のところですが、濃度を80mg/mLに調製するということでございます。現 在の製剤が1アンプル80mgというものでございますので、この濃度にするため正確に1 mL取るには検体2本が必要だったということですが、半量の製剤を造ることになります ので、記載を合わせるということで「検体の1mL」というふうにまとめさせていただく と、そのような処置を採らせていただくということでございます。御審議よろしくお願 いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。議題3について質問をお願いしたいと思いま すけれども、委員の先生方いかがでしょうか。改正案のアンダーラインを引いてあると ころが改正の骨子でございます。どうぞ、小池委員。 ○小池委員 今御説明があったと思うのですけれども、ちょっと何かよく分からなかっ たのでもう一度お尋ねしますが、最終バルクを例えば0.5mLと1mLと二つ造る理由は何 でしょうか。 ○事務局 現在80mgという製剤があるのですけれども、臨床の現場でその用量より少な い量でも使っているという状況がございます。そのために小容量の製剤を出したいとい うことがございまして、40mg製剤を造るとのことです。現在用量を減らして使うために は使用しない部分を捨てているという状況がございますので、容れ目違いを造りたいと いうことでございます。 ○小池委員 それと関係があるのかもしれないのですけれども、改正案では「3.3.3浸 透圧比」のところで「80mg/mLに調製した検体の1mL」という記載になっているのです が、この最初の「80mg/mLに調製した」というのは何で調製されているわけですか。 ○事務局 審査センターの方からお答え申し上げます。こちらにつきましては小分け製 品ということで添付溶解液が付いておりますが、こちらでこの濃度に調製をするという ことでございます。 ○池田部会長 注射用水ですか。 ○川嵜委員 グルタミン酸ソーダですね。上には「15W/V%以下の濃度のグルタミン酸 ナトリウム溶液に」と書いてあります。ですから80mg/mLというのはグルタミン酸ソー ダに…。 ○池田部会長 そうですね、グルタミン酸ソーダ溶液ですね。 ○事務局 よろしいでしょうか。グルタミン酸ソーダに溶かしているのはバルクの状況 で、それを分注した後は凍結乾燥しますので、製剤の方は乾燥品になります。乾燥品を 試験するときに、生理食塩液に溶解をして試験をするということでございます。添付溶 解液は生理食塩液でございます。 ○池田部会長 小池委員、よろしいでしょうか。 ○小池委員 はい。 ○池田部会長 そのほかに何かございますか。どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 この前に議論したものの場合に、取扱説明書等でバイオハザードの問題な ど幾つか指摘されたことがございますけれども、それとある程度調整した形でこの商品 については見直し等が図られるものなのでしょうか。 ○池田部会長 審査センターの方、いかがですか。 ○事務局 前回も御議論いただいた中で、同じような記載に合わせるということで回答 したかと思いますので、そういう措置を採りたいと思います。 ○池田部会長 そのほかはよろしいでしょうか。特にないようでしたら了承することと いたしまして、薬事分科会へは報告とさせていただきたいと思います。審議事項の議題 はこれで終わりでございます。次に報告事項に移りたいと思いますので、審査センター より報告事項の説明をお願いいたします。 ○事務局 報告事項につきまして簡単に御説明させていただきます。では初めに資料4 をお願いいたします。報告事項の議題1、医薬品キロサイドN注についてでございます。 本品目は日本新薬株式会社からの申請で、急性白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性 白血病)の再発又は難治例に対する寛解導入療法、地固め療法の効能で、既に平成12年に 承認されておりますが、これに加えまして新たに下線部の「悪性リンパ腫」の適応を追加 するものでございます。なお、本品目は適応外使用にかかわる医療用医薬品の取扱いに関 する通知に基づき申請がなされておりまして、審査センターで審査の結果、本剤の申請効 能及び用法・用量に対する有用性は医学薬学上公知であると認められることから、承認し て差し支えないと判断したものでございます。  続きまして資料5をお願いいたします。バルトレックス錠500、バルトレックス顆粒 50%の申請でございます。一般名が塩酸バラシクロビル、申請者がグラクソ・スミスク ライン株式会社でございます。本薬は帯状疱疹について平成12年に既に承認されてお りますが、今回単純疱疹について効能追加の申請がなされたものでございます。単純疱 疹に対する用法・用量は500mgを1日2回とされてございます。5の「用法・用量」の ところでございます。  続きまして資料6-1〜6-12をお願いいたします。こちらは医療用医薬品の再審査結果 についてでございます。資料としましては資料6-1のエスポー注射液750ほかから資料 6-12のポリグロビンNまででございます。合計12成分、14件の再審査報告でございま す。そのうち2成分につきましては別々の会社から二つ出ておりますので、12成分で14 件の再審査結果の報告書でございます。これらの品目につきましては、市販後の使用成 績調査・特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われまして、それぞれ審査の結果、 いずれの品目についても薬事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当し ないということを確認しております。これらの用法・用量、効能・効果等の承認事項に ついては変更の必要はない「カテゴリー1」と判定しておりまして、これらの結果につ きましては近々それぞれ通知する予定としています。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいまの報告事項について、委員の先生方 から何か御質問がございますでしょうか。どうぞ、小池委員。 ○小池委員 資料4です。非常にマイナーなのですけれども、通常化学名というものが 書かれていると思うのですが、これは化学名が書かれていないので、もし書く必要があ るのだったら追加してもらったらいいのではないかと思うのです。日本語名と英語名が これには出ていないようなのです。 ○事務局 こちらは実は効能追加のもので、ちょっとその辺の確認をいたしておりませ んでしたが、確認をして適切に追加をさせていただきたいと思います。 ○池田部会長 よろしくお願いします。そのほかに…、どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 審査結果と添付文書の両方のところに効能・効果の追加ということで書い ている文章で、「下記療法」ということで「・」が付いて二つの療法が書いてあるので すけれども、その下の「ただし」以降が両方にかかるのか、それとも下の方にかかるの かということが私にはここの文章からどうしてもよく分かりません。「ただし」が両方 にかかるのであれば、逆に言うと上に持ってきて「・」の二つの療法を並べていただい た方がいいし、下の方の「地固め療法」だけにかかるのであればもう少し文章の位置を 変えていただいた方がいいと。これはどちらなのかと思いながら読みましたので、教え ていただければと思います。 ○事務局 こちらにつきましては両方にかかるということでございますので、記載の方 の整備をさせていただきます。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。キロサイドとバルトレックスの承認事項の一 部変更と再審査結果の報告ということですけれども、よろしいでしょうか。どうぞ、小 池委員。 ○小池委員 資料6-1以降の再審査報告書の件ですけれども、なぜ再審査になっている のかということは、6-1から最後までのところでそれぞれみんな違うわけですね。それ ぞれ何のためにどうして再審査になったのかということについて、一つずつ説明がある わけですか。 ○事務局 審査センターの方から御説明いたします。御承知のとおり一応新薬が承認さ れてから6年ないしはオーファンドラッグだと10年後に再審査を受けるということに なっておりまして、部分効能について再審査対象になっていれば非常に表記しづらいわ けでございます。例示が挙げられればいいと思いますが、この部分の効能について対象 になっている場合は下線を引いた効能についてのみ対象にするということで、6-1のエ スポーの方も下線部分について…、その四角書きの一番下のところに「下線は再審査対 象の効能・効果、用法・用量」と書いてございます。なるべく見やすいようには努力し ておりますが、何かまだ見にくいということでございましたら今後いろいろ考えさせて いただきたいと思います。 ○小池委員 見にくいということではなくて、それぞれが違うわけですね。一括して何 か右に同じみたいな感じを受けたものですから。それともう一つは再審査の部分という のも、もちろん下線が引かれていて非常に明瞭に分かるのですけれども、これは例えば 何か問題があって再審査をして下線の部分のようなことになったのか、それとも単なる その後の進展でそうなったのかということも、それぞれが違うのではないだろうかとち ょっと想像したのでお尋ねしました。 ○事務局 ちょっと補足して御説明をさせていただきますが、再審査の制度につきまし ては新医薬品が承認をされたときに再審査期間を設定いたしまして、一定の年限の後に 再審査の申請を義務付けるという仕組みなっております。したがいまして新薬として、 すなわち今市場にない成分や効能が追加された場合に、一律に再審査の期間として設定 をしているものでございます。したがって、特に問題があったものをピックアップして 指定するという仕組みではございません。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかにどうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 資料5でございます。本剤が帯状疱疹の適応を最初に申請されたときも申 し上げたかもしれませんが、これは現在「4)小児適応の開発の必要性について」という ことが14ページに書かれていますけれども、水痘に適応を拡大する必要性については検 討されていないのでしょうか。今成人の水痘はほとんど入院になってしまいますので、 早期にこういうものを外来で内服できると有り難いのですけれども。 ○池田部会長 審査センターの方で何かありますか。 ○事務局 例えばその前の11ページのところにも小児の記載がございまして、申請者の 方に確認はしているのですけれども、水痘も含めて今のところ予定がないということで はございます。今後いろいろな臨床現場の要望等を踏まえてまたその辺りは変わるとは 思いますが、現在のところ開発の予定はないということです。 ○池田部会長 溝口委員、よろしいですか。先生の方からまた…。 ○溝口委員 入院して点滴をしますと医療費がかかりますので、早目に内服に切り替え られれば医療費の節減にもなるかと思いますし、患者さんの負担も軽くなります。でき れば御検討いただきたいと思います。 ○池田部会長 引き続き医療現場の方からも、あるいはこちらの方からも申請者と話し 合っていただけるとよろしいかと思います。 ○事務局 本日そのような御指摘があったということは申請者に伝えたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか報告事項について何かありますか。 どうぞ、小池委員。 ○小池委員 血液製剤の材料についてちょっとお尋ねします。それぞれの場合について その材料がどういうものか、原材料がどういう状況なのかということについて検査をす るようになっているわけです。例えば資料6-4のガンマガードの後ろを見ると、「2. 重要な基本的注意」のところで「原料血漿として供血者1人1人につきFDAで認可さ れた方法により」うんぬんということが書いてあります。お尋ねしたいことは、その中 で検査法については後ろの方に書いてありまして、例えば最近非常に進歩してよく使わ れているPCRを用いて多分ウイルスのDNAやRNAの検査をやっていると思うので すけれども、こういう検査で何かスタンダードというものが今決められているのでしょ うか。例えばこういうPCRをやりなさいということが決まっていて、それをみんなク リアしているのでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。先生のおっしゃるのは、血液製剤の原料血漿の安全性に ついてグローバルなスタンダードがあるかどうかということですね。 ○事務局 審査センターの方から御説明させていただきます。所掌は審査管理課になる のですけれども、そちらの方で適切な基準を設けております。本品につきましては輸入 品ということですので米国FDAの基準にのっとっておりますが、米国の基準につきま しても国内基準につきましても、それぞれの時代の科学的な背景その他に応じて適切に 指導されております。また、個々の品目につきまして別途規格及び試験方法ということ で品質を規定する項目がございまして、その中で必要に応じて精製バルクであるとか適 切なところでウイルス等の試験をする必要があれば指導しております。 ○小池委員 一つだけちょっと気になるのですけれども、例えばこの中でB型肝炎のウ イルスについて記載されているのですが、まず抗原・抗体の方からはHBs抗原につい て調べる、それからウイルスに関してはウイルスのDNAについて調べているというこ とで、今国外国内とも同じ方法になっているということでした。しかし、例えばFDA などではこのB型肝炎についてはHBs抗原だけではなくてHBc抗体陽性と、要する に感染歴のある血液は輸血を含めて使わないというふうになっているのではないかと思 うのです。それの記載がここの中には見えていないと私は思うので、実際にFDAのス タンダードがこのようになっているのかどうかを教えていただければと思います。 ○事務局 ただいまの時点では詳細な項目について手元にないので申し訳ないのですけ れども、米国の場合ですとちょっと献血の制度が異なっておりまして、一度献血をして 詳細な試験をされて感染歴がないという方が優先的に繰り返し献血されているというこ とで、その前段階の時点で検査は詳細に行われているかと思います。原料血漿の検査項 目も多分この項目であったと思うのですが、再度確認して記載に不備がありましたら整 備させるようにいたします。 ○池田部会長 小池委員がおっしゃっているのは、恐らく検査法のスタンダーディゼー ションということがWHOなどを通じて話し合われていると思うのですけれども、その 基準がどこに設定されているのかということですね、先生。 ○小池委員 ここに日本語で書かれていることとアメリカで行われていることがちょっ と違うような気もするのです。 ○事務局 その点は確認して適切に対応したいと思います。 ○池田部会長 これは本来だと小室委員がいらっしゃれば一番適切に答えられると思う のですけれども、基本的には恐らくグローバルスタンダードを作って血液製剤の原料血 漿の安全性を確認する方向へ、WHOを通じて議論しているということは間違いないと 思うのです。ただ現時点でどこまでということに関しては、この場では審査センターの 方からも特に提示できるものがないかもしれません。よろしいですか。 ○小池委員 はい、結構です。 ○池田部会長 そのほかにどなたかございませんか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 今のお話と全く関係ないのですけれども、今日はいろいろな医薬品 が出てきていましたので添付文書を見せていただいたのですが、添付文書だけでは分か らないことが出てくる可能性があります。その場合に文献の請求あるいは質問をしたい ということが起こり得るわけですが、電話番号もファクス番号も何も入っていないもの がかなりあるのです。大抵ファクスはあるのだろうと思いますが、電話だけのものがあ ったり、中には電話とファクスの記載があってファクスは24時間、電話は何時から何時 までと書いてあるものもあるのですけれども、是非統一をしてできるだけ情報を使いや すいように、質問のできるような形にしていただいたらいいのではないかと思います。 例えば資料6-5は本当に何もないのです。6-7はファクスまで入っているのですけれど も、6-9のサングロポールは電話も何もありません。6-11-1の武田のグロベニン-Iも、 それから6-12も連絡先が出ておりません。できれば一つ一つ載せていただきたい。今日 は安全対策課長がいらっしゃらないので…。 ○池田部会長 審議官の方から是非…。確かに文献請求あるいは問い合わせ先がきちん としているということは非常に大事だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。 どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 それに加えてなのですけれども、やはり医療の現場というのは非常に忙し いですし、今インターネットも大変発達していますから、問い合わせ先のメールアドレ スのようなものもやはりこれからは積極的に付けていただくということがあっていいの ではないかと思いますので、それも含めて御検討いただければと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかに御質問はいかがでしょうか。報告 事項について何かございませんでしょうか。もしないようでしたら報告事項を御了解い ただけたということにしたいと思います。本日の議題は以上でございます。事務局から 何かございますか。 ○審査管理課長 次回の第二部会は11月22日に予定させていただいていますけれども、 10時30分からの開催となりますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。次回は11月22日10時30分ということでご ざいます。よろしくお願いいたします。それでは本日の審議はこれで終了させていただ きたいと思います。ありがとうございました。    (了) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -