02/08/01 確定拠出年金連絡会議(第2回)議事録              ┌――――――┬――――――――――┐┌―――┐              |確定拠出年金|   第3回    ||資料7|              | 連絡会議 |平成14年10月3日||   |              └――――――┴――――――――――┘└―――┘             確定拠出年金連絡会議(第2回)                    議事録                 平成14年8月1日 確定拠出年金連絡会議(第2回) 議事録 日  時:平成14年8月1日(水) 10:00〜12:11 場  所:厚生労働省 省議室(9階) 出席委員:御手洗座長、太田委員、大場委員、河合委員、徳住委員、長久保委員      中村委員、秦 委員、光谷委員、渡邊委員、泉 委員、 オブザーバー     田村正雄(社団法人生活福祉研究機構理事)     石田成則(山口大学経済学部教授) 関係団体等     平井康行(日本経済団体連合会国民生活本部副本部長)     向山孝史(代)村杉直美(日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局部長)     小野 明(日本商工会議所新規プロジェクト担当付副部長)     持永哲志(経済産業省経済産業政策局参事官) 事務局     厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 ○ 御手洗座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第2回確定拠出年金連絡会議」を 開催いたします。  本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  それでは、事務局よりメンバーの出欠状況を報告していただきたいと思います。 ○ 山崎課長  本日は、メンバーの方は全員が出席されております。  なお、前回の連絡会議の最後に、座長よりご指示いただきまして、私どもの方から、 この確定拠出年金の実施企業の方々に情報提供を行いましたところ、本日は二十数名の 実施企業の方々が傍聴されていらっしゃいますことをご報告させていただきます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、早速議事に入りたいと思います。まず「確定拠出年金の施行状況について 」、事務局から説明をお願いいたします。 ○ 山崎課長  お手元の資料1でございます。これは前回6月にも同じように施行状況を報告させて いただきました。その後、実施企業数が伸びておりまして、簡単でございますが、ご紹 介させていただきます。  企業型の方でございますが、7月31日現在で134 社(又はグループ)ということでご ざいます。前回が6月18日時点で、105 社でございましたので、その後、増えてござい ます。加入者につきましては、約10万8,000 人というところでございます。  また、個人型の方も増えておりまして、全体で2,262 名となってございます。  あと、一覧表等をおつけしておりますが、何かございましたらご参照いただきたいと 思います。  以上でございます。 ○ 御手洗座長  それでは、次の議題でございます「各実施事業所の実施状況等の報告」に移ります。  前回の連絡会議で事務局から説明がありましたとおり、概ね確定拠出年金の導入順に 各メンバーの方々からそれぞれの企業における実施状況等をご報告していただくことに なっております。  本日は、まず私の方から日立製作所の実施状況について報告させていただいて、その 後、サンデン株式会社の秦様、アプライドバイオシステムズジャパン株式会社の太田様 からご報告をお願いしたいと思います。  各メンバーそれぞれ15分、相当厚い資料でございますので、少し延びるかもしれませ んが、15分めどでご報告していただきまして、ご質問等につきましては、3名の報告が 終わった後、まとめて時間をとりたいと思っております。  それでは、まず私から日立製作所の実施状況につきまして、お手元の資料に従って報 告させていただきます。  まず1ページ目、「1.確定拠出年金制度の導入経緯」と書いてございます。左側に はいろいろな環境の変化の部分をまとめて書いてございます。  それに対応して真ん中の部分で退職給付の在り方という観点から、我々としての課題 が書いてございます。他施策とのアンマッチ解消ということで、実力・成果主義との関 係、時価主義の徹底との関係、対費用効果の改善、退職給付費用の適正化、これは積立 不足の問題がありまして、その解消という問題がございます。経営インパクトの最小化 というのは、会計が変わりまして退職給付債務の問題が非常に大きな問題になっており まして、これの圧縮という問題がございます、制度移行時の柔軟性確保、年金資産のポ ータビリティの向上。  このような課題を持っておりまして、それの対応策ということで、右にありますよう な給付の適正化、これは年金の給付でございます。それから退職金、年金のポイント制、 確定拠出年金、代行返上。更にキャッシュバランス化ということについても検討しなけ ればと思っておりまして、こんな全体の位置づけの中で確定拠出年金があるということ でございます。  次のページは、少し年次別に展開させていただきますと、1968年に厚生年金基金がで きまして、ずっと給付等をやっておったのですが、直近の節目になりましたのは、98年 に基金の予定利率の引下げ、年金水準の適正化を行ったということでございます。これ は右側に外的環境を書いてございますが、こういったことを踏まえて実施したというこ とでございます。  2000年に退職一時金・年金につきまして、ポイント制化、このときはS字カーブを勤 続にリニアな形に変えるという支給体系の変更もやっております。2001年度には、確定 拠出年金制度導入、2002年度には、基金代行返上ということでございまして、多分1年 半程度のうちに新しい確定給付年金制度へ移行するということで、ここでどういう形で やるかということも大きな課題であると考えております。  3ページ目、確定拠出年金制度導入の狙いでございますが、大きく人事戦略と財務戦 略の二つに分かれると思っておりまして、人事戦略的には、そこにありますような最近 のいろんな制度を貫くモノの考え方、その根っこには自立した強い“個”の確保・育成 が必要だということでございまして、まさに個の確保・育成に確定拠出年金制度は大い に役立つのではないか。  財務戦略的には、退職給付費用の適正化ということでございまして、こういった二つ の狙いをもとに確定拠出年金制度を導入しました。  続きまして、4ページ目、当社の退職給付制度全体の状況でございますが、公的年金 が根っこにございまして、その上に厚生年金基金、更に当社は退職金一時金がございま して、年金化してない退職一時金の半分を確定拠出年金に移行したということでござい ます。ですから基本的モノの考え方は、確定給付年金が根っこにあって、そういう安定 した土台の上に確定拠出年金をのせるということでして、欧米の企業もかなりこういう ところも多いと聞いておりますが、そういう方向で考えておるということでございます  全体の水準ですが、退職金・年金制度ということで書いてございますが、技能職60歳 ・勤続40年で2,000万円となっておりまして、2,000万円の20%で60歳時点の確定拠出金 移行後は約400万円ということでございます。ただ、これも拠出限度額が大きくなって くれば、多分もう少し違った形になってくるだろうと思っております。  次の5ページは、支給でございますが、60歳〜70歳の間で必要とする時期に一時金、 または5年有期年金を選択し給付することになってございます。そこにありますように、 当社の基金の加算年金、いろんな形ございまして、そこに新たなバリエーションで確定 出年金を加えるということで、老後生活のプランの充実を図る、そんなことができるの なと思っております。  次の6ページ、制度の概要でございますが、制度の選択につきましては、今回導入時 に、50歳以上か50歳未満かで二つに分けました。運用の年限等々を考えまして、大きく その二つに分けた方がいいだろうということでございまして、50歳以上につきましては、 確定拠出年金を選択してもいいし、退職一時金でもいいと、そういう選択でございます。 50歳未満につきましては、確定拠出年金か退職金の前払いか、そういう選択をしてもら ったということでございます。  次の7ページは、運用商品でございます、そこにありますような商品、バランス型か ら成長性重視のインデックス、自社株。安定性重視の債券のインデックス。安全性重視 ということで、そこにあるような19商品ということで、数は多いのですが、ニーズは多 様にあるだろうということで、そのニーズに見合った、それぞれ特徴のあるものを入れ ようということでこういう形になっております。  次の8ページでございますが、労使でどんなことが論議のポイントになったかという ことでございますが、一つは、制度内容では、想定利率をどうするかということでござ いまして、これにつきましては、2.5 %ということで考えております。シミュレーショ ン等を行い、リスク等を見まして、お互いに妥当性の確認をし合ったということでござ います。  それから費用負担につきましては、下表のとおりの考え方でございまして、個人が持 つのは、商品の運用手数料等はなかなか分けられないものです。記録関連運営管理機関 管理手数料、ただし、8年間は会社負担でございます。特別法人税、これは凍結中とい うことでございます。  次の9ページでございます。このような制度を決めまして、今度は従業員に教育した わけでございます。全体的に言いますと、そこにありますが、テキストと説明会、コー センター、これを三位一体であろうということでございます。それぞれ次のページ以降 で詳細があります。  まず説明会でございますが、制度への参画の動機づけをやらないとなかなか徹底しな いということもございまして、そこにありますが、約700 回(2カ月間)でやりました 就業時間内に80分程度でやりまして、説明者は会社から制度を説明して、専門のフィナ ンシャル・プランナーの人を派遣してもらいまして、資産運用、商品の説明をやってい ただいたということでございます。  次の10ページに、工夫点ということで書いてございますが、ノートブック、これは 書き込み可能なようにしたり、終了後のアンケートを回収し、どんなことがわからない か明らかにしたり、欠席者等のためにビデオ・DVDなども作って、同じような教育が きちんとできるような平準化を図りました。  留意事項は非常に苦労したことでございまして、推奨・助言をしないようにというこ とを徹底しました。  そういうことで、説明会をやりまして、あとweb、ノートブックで見ていただいて、 あとはわからないところはコールセンターを開設して、コールセンターで聞くと、三位 一体でやっております。  そういうことで、今度は制度に入るということになります。今度は制度のモニタリン グをきちんとしていかなければいけないだろうと。このモニタリングをして、それを明 らかにすることによって、導入後の教育もある程度兼ねられるのではないかということ で、これを精緻にやっていこうということで今やっております。そこにモニタリングの 考え方が書いてございますが、制度を導入して、モニタリング、評価・分析、フィード バックというのは今申し上げたとおりでございまして、個人の情報を制度全体に集約す るということでございます。  次の13ページに、どのような感じでやっているかということで、JIS&Tさんか らファイルをもらいまして、運用情報のデータベースを作りまして、これと人事情報の データベースをマッチングしまして、評価・分析し、各種レポートを作るということで ございます。これは自前で運営管理機関やっておりまして、そういう関係から少し評価 ・分析については詳細なものがより出せるのではないかと、そんなふうに思っておる次 第でございます。  次の14ページは、そのモニタリングをしている現状でございますが、確定拠出年金 制度選択状況でございます。全体的に言いますと、一番下にありますように、制度の選 択率は73%なのですが、先ほど申し上げましたように、50歳以上につきましては、退職 一時金の選択と、基本的にはそちらでいいですよというような、そんな感じでございま して、50〜59歳については26%、50歳未満については86%の選択率なのですが、もう少 し上を見てみますと年齢別の状況が書いてございます。赤線が女性、青線が男性でござ います。明らかなように若い女性の選択率が大きく落ちております。これは予想してい たとおりでございまして、60歳までおろせないということがございまして、長期勤続を 前提としない方々にとってはそういう面では少しきついのかというのがこういう形で出 ております。  続きまして、資産の配分の状況でございますが、最初の1月時点では投資信託が約半 分49.7%、自社株が3.6 %、生保7.2 %、定期預金39.5%でございます。自社株3.6% につきましては、こんなものかなと思っております。当社は持株会がございまして、そ こでかなり優遇した制度を出しておりますので、健全な結果かと思っております。  次の16ページ、資産配分状況の変化でございますが、1月の資産残高と3月、これ は拠出分なので単純には比べられないのですが、見ていただきますと、投資信託が49.7 %が52.8%ということで、こういう感じで過去分を移管した経過もありますので、1月 はかなり金額が多いのと、毎月の拠出分は少しそういう意味で違いがあるのですが、1 月と3月と比べますと、少し世の中の状況を見たりしながらも変わっているのではない かと思っております。  次の17ページには、今度は資産の組入れ比率と選択商品数、全体状況、職群というの は、当社は職群制度をとっておりまして、総合職、これはおわかりのとおりの総合職で ございますが、事務職というのはいわゆる一般職、総合職に移らないような人たち、技 能職は現場で働いている方でございます。  そういう点で言いますと、資産の組入れ比率も随分違っておりまして、総合職が投資 信託中心、技能職が定期預金中心でございまして、これは教育の浸透度との関係もある のかなということで、我々としては考えさせられる結果だったと思っております。  商品の選択数もそのとおりでございまして、総合職と技能職は随分違うということで ございます。  18ページは、スイッチング状況が書いてございます。5カ月間で650 回ということで、 一人当たり0.014 回。これは多いか少ないかという評価なのですけれども、決して多く はなく少ないと思っておる次第でございます。  次の19ページに資産運用状況ということで、これは個人の資産残高を想定利率での 理論運用残高で割った、さっきの2.5 が入っているということです。それを加えてどう かということですが、1月にやって3月なので、まだこういうモニタリングをしますと いう結果でしかないのですが、3月時点ではこういう状況です。今はいろんな形でまた 厳しい運用状況になっていますので、これが相当悪くなっているかなと、そんな感じで ございます。  続きまして最後のページになるのですが、今後の課題でございます。制度的な課題は いっぱいあると思っておりまして、これはまたおいおいここで議論させていただいたら と思っております。それ以外の当社の今現在考えていることでございまして、一つは、 日立製作所自体としましては、モニタリングをもう少しきめ細かくやって、きちんとし た制度運営のモデルをつくりたいと思っております。  それから日立グループ、当社は連結対象で1,000 社あるのですが、1,000社全部とい うわけにいかないものですから、主だったところが100 社ぐらいありまして、少なくと も100社が確定拠出年金を入れましょうということをやっていきたいと思っていまして、 その際に、より効率的な運営、規模による効率化が大事だと思っておりまして、そうい う意味でグループ企業の運営管理業務を集約して実施するということをやっていきたい と思っています。  それから、日立製作所、グループも含めてそういうことでございますけれども、日立 製作所を退職される方との関係でいいますと、一つは個人型との関係では事務手続がま だまだ円滑にいっているとは思えないものですから、ここを国基連さんとよく相談しな がら円滑にやっていくようにしていかないと、間でこぼれるような人たちが出てくるの ではないか、これを少し工夫していかなければいけないと思っております。  それから他企業型との関係でございますが、特に同じような、例えば日立グループの 他社との関係で言いますと、現物移換をやっていかないと全く意味がないわけでござい まして、金融機関の方とかレコードキーピングの方にお願いしたいのは、現物移換をき ちんとやれるような体制を是非つくっていただきたいと思っておりまして、こんなとこ ろをこれから要請していこうと思っております。  いずれにしましても、これの一番大きなメリットはポータビリティだと思っておりま して、ポータビリティによって人事交流も円滑化していくということでございまして、 それがメリットになるように努力していかなければいけないと思っています。  以上でございます。  それでは、次にサンデン株式会社の秦様からご報告をお願いいたします。 ○秦委員 おはようございます。  私のご説明は、今、日立製作所さんからありましたように、どういう形で制度移行す るかということと、それ以外に現状この確定拠出年金制度がいろいろ仕組み上問題ある のではないかということについて、ちょっと長く時間をとらせていただこうと思ってお ります。大分大胆なお話をさせていただきますが、とはいうものの、多分導入された企 業の多くの方々が、確かにそうだなとか、ここは問題だなと思っておられるような点が たくさんあるのではないかと思います。まだ、今の段階でどうこうということではない かもしれませんけれども、例えばこういう見方もあるということで、今後の議論に役立 たせていただければと思います。  次の2ページなのですが、サンデンの仕組みにつきましては、いろんなところで既に 出ておりますので説明は少し省かせていただきます。特にサンデンがなぜ移ったかとい う基本的なポリシーは、一番上にあります給付負担を先送りしないで、自分の退職金は 自分で稼いでもらう。または会社は社員の退職金用のお金は毎年きちんと支払って終わ りにしようよと、こういう仕組みにさせていただいたということでございます。  次の3ページですが、特徴といたしましては、サンデンの厚生年金基金を解散して、 その厚生年金基金のお金をもって確定拠出年金に行く第1号であるということとともに、 もう一つの特徴は、残る40%部分、旧一時金の部分につきましては、ここにも税制非適 格の確定拠出年金制度を入れた。したがって100 %確定拠出になっているという形でご ざいます。  少し飛ばさせていただきまして5ページをお願いいたします。サンデン型の退職金制 度のある意味で設計上のユニーク性を並べてございますけれども、第一には、会社の基 本的ニーズに基づいて純論理的に仕組みを作り上げたということでございます。従いま して、過去のいきさつなどは一度無視してというかご破算にして、過去分も含めて組み 直したというところが一つの大きな特徴になろうかと思います。  3番目は、私ども先ほどの日立さんと違いまして、工場が伊勢崎というところにある こともあって、余り社員が動くということが前提にされておりませんので、基本的に確 定拠出年金の一つの特徴であるポータビリティということを設計上余り重視してないと いうのが逆に言うと変な特徴になるかもしれません。  4番目は、先ほど申しましたように、基金のお金を使って確定拠出年金へ行くという ことです。  社員全員が確定拠出年金に行く。つまりどこか年齢で区切ることも考えたわけですが、 区切ると必ず1年前、半年前の人に不利が出て、その議論をやるのは非常に難しいとい うことです。社員全員が行く。極端に言うと、59歳11カ月、私ども60歳定年ですが、全 員行っていただいたということです。  それから、検討を開始したのが1998年と非常に早かったこともあって、組合交渉等も 十分時間がとれた。結果として社員に対する説明会も、制度の変更の説明会と確定拠出 年金用の投資の説明会が別個に行うことができたということで、時間的には相当余裕が あったということでございます。  次の6ページですが、サンデン型の確定拠出年金の特徴といたしましては、私ども運 営管理機関をサンデン自身が行うこと。  それから、徹底した社員向け教育を行ったということで、先ほども申しましたけれど も、制度変更は労使合同で1時間半の業中の勉強会を行っており、そこから実は法律の 成立が遅れたために1年ぐらい間があきまして、投資教育用の勉強会をやった。これは 就業時間内に約2時間半、大体30名〜50名ぐらいのクラスでやっております。  私どものもう一つ特徴と思われるのは、投資商品というのは投資信託だけではなくて 預金も含めてですが、全投資商品について半年毎に専門機関による定性評価を実施して います。投資信託は“三菱アセットブレインズ”さん、それ以外は“富士総合研究所” さんにやっていただいております。  制度のところを少しは省かせていただきましたが、次の7ページから少し細かくお話 しをさせていただきます。  最初の話ですが、信託報酬、投資信託の大きな手数料としてあるわけですが、実は信 託報酬というのは一本で取られていると見えるのですが、実は内訳があるわけです。そ の内訳が左側に書いてありますような図でございまして、運用金融機関が取る部分とカ ストディアン、本来の資産管理機関が取る部分と販売金融機関が取っていく部分なので すが、そのうち、最近の議論でほぼ金融機関さんの間で煮詰まっていると思いますが、 販売金融機関の手数料のうち、運営運営機関への手数料を一部キックバックするという 形で今この手数料ができていると思います。  しかしながら、確定拠出年金というのは販売というコンセプトが基本的にはないはず です。ですから販売金融機関の手数料はそもそも確定拠出年金になじまないのではない かというそもそも論の議論をもともと私はしていたわけですが、実際マーケットが、こ ちらにおられますトヨタさんのご尽力によりまして急速に変わってきておりまして、実 際、今そういう形になりつつあるのではないかと思っております。したがって、信託報 酬というのは、運用金融機関の部分、カストディアンの部分、それと運営管理機関への 部分、これだけにスクイーズ、全体が縮んできているのではないか、こう思います。  従って、そうだとすると、運用金融機関と販売金融機関を分けて、販売金融機関しか そもそも確定拠出年金が販売できない、ないし記録関連機関に接続できないという今の 仕組み自体がおかしいのではないか。現在その制度のために外銀さんや外証さんを始め として、これらの商品が自分で販売機関を持ってないために、銀行等に依頼して販売す るというような形をとらざるを得ない。こういうものが、例えばユーザーに直接結べる ようになってくるのではないか。  後でも出てくるかもしれませんけれども、運営管理機関の手数料等が高いねと。つま り加入員の手数料が高いという一つの理由として、この部分があろうかと思いますので、 今後この部分は、私どもが予想した以上に早く、マーケットがそうなっている以上、仕 組みも変えていく方向を考えていただいたらいいのではないか。  同じように、運営管理機関の手数料が信託報酬からだけしか入らない。例えば保険商 品、預金商品は、それでは埒外なのかというと、これもまた平等ではないわけで、これ も中ではいろいろ金融機関さんとお話し合いしていたのですが、どうやら保険商品や預 金も今のマーケットの状況ですから薄いとは思いますが、取る形に収れんしていく方向 だと聞いておりますので、これはこれでよろしいのかと思っております。  2番目、T+α問題と訳のわからないのがついているのですが、これは何かといいま すと、基本的に加入員に最終的に自分の投資した商品が手に入るのがいつかというタイ ミングの問題なんですね。例えば拠出する。私ども実は給料日が25日でございますので、 多くの会社さんはそうかもしれませんが、25日に基本的に拠出することになっておりま す。  ところが、私どもJIS&Tを使っているわけですが、データの持ち込みは、少なく とも10営業日前の13日にはすべてのデータがJIS&Tに行っているわけですね。とこ ろが実際上振込みの代わり金は25日に私どもは指定金融機関に入れるわけです。そうす ると、翌26日に代わり金の入金確認が行われて、やっと27日に購入を開始する。したが って、そのタイミングで夜バッチ作業しブッキングがされますので、28日、これは営業 日ベースですので休みが入ったら延びますが、入金確認になるのが28日以降になってし まう、こういう形になっているわけです。  これは極めておかしいのではないか。第一に、代わり金の入金のリスクが金融機関に とって問題だということになるわけですが、そうであるならば、既に金融機関は、例え ば一般の総合振込とかいろいろ言葉はあるかと思いますが、25日とか月末の振込みの情 報などは事前に全部出して同じようなことをやっているわけです。それに対して本件は やらないと。加えて通常の送金などの場合には相手に金が行くわけですから、何か間違 いであったとしても取り返すのは大変だと思いますけれども、本件の場合には金が外へ 出て行っているわけではないですから、当然オーダーしたやつを、言ってみれば反対取 引をしてひっくり返していけばいいわけです。したがってプライスリスクしか残らない。 それにも関わらずこのリスクが取れないということで、こういう事務フローになってい る。  まして、それがスイッチング、先ほどもお話出ていましたけど、途中で自分の持って いるAという投資信託を売ってBという投資信託に乗り換えようというようなことにな ると、悪い言い方しますと天文学的に日数が長くかかってしまう。ですから、いつ一体 自分の買いたい方のプライシングが値決めがされたのかわからないような状況になって いる。これはめちゃくちゃな仕組みではないか。  今、日本では、証券会社さんを中心にして、株でさえ、あるAという銘柄を売って、 その代わり金を持って、当日Bの株がすぐ買えるわけです。しかも確定拠出年金という のは、基本的にお金がスイッチングのときに外へ出て行くわけではない。全部中にある わけだから、入金するもしないも、もしも間違っていたとしたら、それは金融機関相互 で間違えている話であって、全く加入員なんて関係ないにも関わらず、仕組み全体がこ ういうばかげたことになっているということなのです。  次の9ページですが、なぜこんな問題が出るのかといいますと、一つには、日本の決 済制度全体が他の先進国に比べ、遅れている。一例を挙げますと、例えばシンガポール は株もキャッシュ・ディスペンサー(自動支払機)と同じに、今日、例えば日立製作所 さんの株買おうと思ったら即日買えるわけです。ですから、そういうふうになっている にも関わらず日本はまだそれはできない。これはこれとして一つの問題としてはありま すが、やはり確定拠出年金としての問題は仕組みに大きな問題があるのではないか。そ れはなぜかというと、基本的にレコードキーピング会社と資産管理機関が別組織だから です。  そもそも資産管理機関とはなんぞやということになるわけですが、資産管理機関とい うから、資産を管理しているような気がされるかもしれませんが、実際は何も資産は管 理していません。先ほど申しましたように、本当の資産を管理しているのはカストディ アンなわけですから、資産管理機関は何をやっているかといったら、キャッシュフロー 管理をやっている。単にストックではなくて、フローの方のキャッシュフロー管理をし ているだけです。したがって、このようなことのために一つの金融機関を用意する必要 はないのではないか。  ですからレコードキーピング会社と併合して、レコードキーピング会社にやらせてし まえば即日確認が可能なわけですから、すべての問題が解決するのではないか。言って みれば、資産管理機関の存在そのものが、旧来の既得権確保以外何物でもないのではな いか。これは資産管理機関なるものに手数料を払っている部分は相当大きいわけですか ら、この部分をなくすためにも、この確定拠出年金全体の一つの大きなサービス上の欠 陥であろうと思いますので、是非直していただきたいと思っております。  次10のページですが、レコードキーピング会社は現在大きいところが2社ございま す。JIS&TとNRKということですけれども、なぜ2社必要か。いろいろ金融機関 さんが相互に集まってやったのだけど、意見が割れてとかいろいろ経緯はあるようで、 私はそこについてはよく存じませんけれども、恐らく最終的にはサービス競争が二つあ った方がより良いサービスが加入員にできるという思想であったのだろうと思いますが、 しかしながら、現在の状況は少なくともレコードキーピング会社は、いわばインフラに なってしまったのではないか。一種の社会資本化してしまっていて、競合他社がいる、 いないで手数料がどうなるような話ではないのではないか。  むしろ、今はレコードキーピング会社にとってシステム開発の遅さによるサービスの 低下が非常に大きな問題なのではないか。一例を挙げますと新商品、例えば外貨預金、 外貨MMF等を接続するなんていうことはまだできておりません。3週間くらい前です か、日経新聞さんであたかもできるかのように出されましたけれども、私もJIS&T とNRK確認しましたが、できないというわけで、これはレコードキーピング会社さん が接続できてないということが大きな問題になろうかと思います。  その他、例えば60歳になって、定年後、老齢給付金で受けていくときの仕組みも必ず しもまだシステムが十分でないとか、まだやらなければいけないことがたくさんあるに もかかわらず、これが2社あって金がないとか、人員が足りないという理由でもってで きてない。どちらかを向いた開発優先かというのは、これは後で具体的な事例を挙げて お話ししたいと思います。  要するにこれから新しいシステムが出てくるごとにいろんな複雑な開発をしていかな ければいけないのが、2社でやっていくことになれば、当然これは二重投資になる。そ うすると最終的にそれはどこに行くかといったら、加入員のコストにはね返ってしまう わけですから、是非ともこれを2つやっている理由はないだろう。なるべく早く2社合 併する必要があるのではないか。それがシステム全体のサービスアップに向上するので はないかと思っております。  次の11ページに移りますが、確定拠出年金の投信の商品のあり方についてなのです が、現在、私自身は確定拠出年金は、マスのシステム商品と基本的に位置づけておりま す。マスということである以上、共通の土俵で商品がつくられていくべきではないか。 したがって、私募投信とか、そういう形ではなくて、むしろベビーファンドで可能なの ではないかということで、この辺も金融監督庁との相談になると思いますが、共通の土 俵で、例えば信託報酬を、うちの会社の場合には幾らにしてくれよというような交渉が 金融機関とやれるようになるべきなのではないか。  問題は、確定拠出年金採用企業の加入者がすべて同一商品について、同一条件でなけ ればならないという必要性があるのかないのかというところの基本的な議論が必要なの であろうと。もしも必要ないというのであれば、上に書いてあるような方式でやってい けるのではないか。もしも、これがそうではないということになるといろいろ別の議論 が出てくると思います。  いずれにしましても、自由競争で同じ仕組みの中で戦っていけるような形の考え方を とるべきでなのではないかというのが一つのご提案です。  実はそこにBと書いてあって、これはここと少し違うのですが、最近出てきた顕著な ことですので、触れておきたいと思った問題です。これは何かといいますと、現在マー ケットで、ある金融機関から非常に安い信託報酬の商品が出てきております。これは先 ほど申しましたように、信託報酬の中に占める販売会社手数料の部分がほとんどない、 非常にそういう意味では割安の商品が出てきております。これは正直、導入しました私 どもにとっては大変悩ましい問題なのです。  それはなぜかといいますと、片方で、私どもは私どもで自分たちに良かれと思う金融 機関から良い商品をそれなりに調達してきて並べているわけです、社員のために。とこ ろが、バランス型のパッシブのマザーファンドとか、インデックス型で例えば日経225 とか、そういう商品で、全く同等であろうと思われる商品で信託報酬が、例えば10ベー ス、20ベース違うのならいいのだけど、極端なこと言うと何倍も違う。そのぐらい手数 料が違ってきたものが世の中に出てきていますと、加入員から、是非あの商品を入れさ せてくれよと言ってきたときに、その金融機関と取引関係が全くないとしますと、冗談 じゃないよと言って会社が突っぱれるのかという問題が大きな問題として出てくるわけ ですね。  といったときに、それを突っぱねないからということになって、今度その商品を入れ ます。そうすると、今まで同じ商品を、例えばサンデンの親しい金融機関から調達した としますね。その金融機関に対しても、ちょっと申し訳ないのですけれど、Aという金 融機関から、同じ商品をもう一つ入れさせていただきますよと。お宅の商品は入ってい るからいいですよねというふうに言ったところで、手数料がまるで違っていたら、これ は選ばれる方向というのはおのずと決まってしまうわけで、しかも金融機関からしたら、 商品をサンデンに並べること自体が問題ではなくて、もちろんそれも第一の関門ではあ りますけど、最後の彼らの最大の狙いは、どれだけ残高を取るかということになってい るわけですね。そうなったときに、まるで手数料が違うのを二つ並べて、並べたからい いでしょうという話にはならないことになってしまう。  これは、とあるところでお話したときに、基本線は加入員のためというのが大前提に なろうかと思うのですけど、そうはいっても、そのためにサンデンのおつき合いしてい る金融機関がみんなそっぽを向いてしまって、サンデンがつぶれてしまったということ になったら、これも大変な問題になるわけです。最終的に社員は退職金をもらえなくな りますから、ですからこの問題は非常に悩ましい問題になる。恐らく今後急速になるの ではないかと思いますので、ご注意を喚起させていただきたいという意味で、ここに書 かせていただきました。  5番目ですけれども、自社株規制の問題です。これはアメリカでもエンロン事件があ りましたので、何らかの規制の動きが今出ていると聞いております。ところが今のとこ ろアメリカも日本も規制はないわけなのですが、自社株というのは、先ほどもちょっと 日立さんからお話出ていましたけれども、確定拠出年金商品に加えるについては二面性 があると思います。  一つは、基本的に社員の退職金は、会社から払うのだから、リスクは企業と切り離す 。基本的に確定拠出年金というのは前払いの仕組みなのだから、切り離しは当然ではな いか、こういう考え方です。  もう一つは、自社株こそ最もそのリスクを判断しやすい株ではないか。いろんな個別 株といっても、自分の会社が一番良くわかる。他の商品と比べれば、自分が頑張れば運 用良化もできるかもしれない。だからインセンティブとしての効果も期待できるのでは ないか。 これは会社も良くなる、自分も良くなるで、こんないい商品ないではないか。こういう 二つの意見があろうかと思います。  従いまして、これは導入するか、しないかというのは、社員と会社で良くお話し合い していただいて個別に決めていただくことであって、これを云々することは必要ないの ではないかと思うわけです。  しかしながら一方で、確定拠出年金というのは基本的に分散投資をしなさい、リスク を分散しながら、長期安定的に運用してくださいねという基本線からいって、この前起 きているように、全部を自社株に導入するというようなことや、またはある特定の銘柄 の投資信託みたいのをつくって投入していくというようなことはやはり問題なのではな いか。基本的にこういう投信等の商品について、あるレベルを超えて投資をするという ようなことについては規制が必要なのではないか。ですから自社株に限らないかもしれ ませんが、分散投資の観点から何らかの規制が望まれるのではないかというポイントで ございます。  6番目 Default Fund 、Default Fundというのは余りなじみがない言葉かと思うの ですが、これは何かといいますと、社員が何も選択しなかった。または選択に間違いが あったときにどこにそのお金が入っていくかということなのですね。だから言ってみれ ば、無作為でやった社員が最終的に自動的に選ばれてしまうファンドの場所をDefault Fundといいます。  日本の場合は大体1年物の定期預金に行っているのがほとんど大多数ではないかと思 います。なぜ1年物定期でいいのかということが、私の提起したい問題点でございまし て、例えばイギリスなどでは低リスクのバランス型ファンドを用意して、そういうのを 設定していると聞いております。ですから導入企業も安直に1年物定期預金でしてない か。今みたいな0.04%でも、それでいいのではないかということにしてないか。どうも 金融機関さんも本来の目的に合うような商品の開発を怠っていないか。ですから現在あ る投資信託の安定型よりもっと安定型の商品になるかもしれませんが、そういうような タイプの商品が必要なのではないでしょうかと。ですから選択しなかったとか、選択で きなかった加入員のための受け皿として、本当に1年物定期預金でいいのですかという 議論をもっとそれぞれしていかなければいけないのではないか。  導入企業も金融機関も、安直というと言葉が良くないかもしれませんが、責任回避で はなくて、積極的に長期的に見た加入員のために何らかの商品開発をしていくべきなの ではないかということです。  次、7番目ですが、これは個人型の、これは私の直接関係するところではないのです が、そこに泉さんおられていてなんですが、手数料の徴求方法の問題です。  私どもも社員やめると、国基連さんにお世話になるので、ここについての問題点なの ですが、これはこうではないかと私が推定しているので、もしかして間違っているかも しれませんが、現在検討されていると思われる方法は、個人型については、毎年の拠出 金から差し引くという形で設計されているのではないか。  個人指図型については、どうやら確定拠出年金の残高から差し引くということになっ ているのではないでしょうか。  そもそも個人型は拠出金が小さくてある意味で魅力に乏しい面がある。そこへ持って きて、上のような、今お話し申し上げたような徴求方法をとるということは何かという と、要するに取りはぐれしないように金融機関のエゴが見えちゃう。ちょっときつい言 葉で申し訳ないのですが、限られた税法上の上限の中で、いかにしてお客さんである加 入員に有利な商品を提供するかという基本的な視点にこれは欠けているのではないです かと。そもそも金融機関とレコードキーピング会社さんがこういうシステム開発をして いくということ自体が、私は基本的に使命感とか、どうあるべきか論に欠けているので はないでしょうか。  先ほど宿題にしておりました点なのですけれども、私どもおつき合いしているレコー ドキーピング会社さんは、このシステム開発のために、来年の7月まで新規のほかのこ とは一切できないと言っているわけです。ちょっと頭の構造がおかしいのではないか、 悪い言い方します。そもそも手数料を取るというのは、金融機関さんが最もお得意とす る口座振替とか自動引き落としを持っているわけで、なぜ元本から落とすのか、全く理 解できない。こういうようなやり方でやるのは、そもそもの問題でどんな話があるかと いうと、取れるところまで取っていって残高がなくなったらどうしようなんていう議論 もまことしやかにされているというので、本末転倒の議論ではないか。むしろそんな先 のことを考えるくらいだったらば、当局に何らかの形の要請をしていって解決を図るべ きだと。例えば残高が100 万円以下の小さい残高で、個人指図型などに移られたような 方については、例えば10%とか20%の源泉課税を払ってキャッシュ化する施策を認める とか、そういうような別の道を探るべきであって、手数料がとにかく取れる限り取って いこうというような考え方でやるのはちょっとおかしいのではないでしょうかと、こう いうお話です。  それから、8番目なのですが、先ほど日立さんからもお話が出ました。日立さんの場 合にはご自身の方が開発されたというふうに認識しておりますけれども、企業型を入れ た場合にどのくらい企業として経営情報、追加商品の必要性、どういうサービス、勉強 会をやっていったらいいか、先ほど日立さんからお話がありましたような、そういうこ とをやっていくためにも何らかのモニタリングが導入企業はいずれにしても必要になる と思います。その導入していくときに、例えば自社が運営管理機関になった場合は、企 業にどのくらいの個人情報がある意味では流されてしかるべきなのかというポイントな のですね。  企業の人事とか労務に情報が入ってしまうということは、ある意味では全社ベースに 情報が入ってしまうということなので、実はサンデンの場合はそれをやめたのですね。 経営情報についてはすべてレコードキーピング会社の方しか情報がないのだから、そこ で作るべきだということでずっと言い続けているのですが、今、これがなかなか満足な サービスが得られないという、これも頭にきているところなのですが、その場合の一つ のネックとして、どこまでの個人情報だったら出せるのか。例えば男女別なのか年齢別 なのか、部署別なのか、そういう細かい切りわけをしていたときに、なかなか男女別な どに対して抵抗があるわけです。なぜかというと、ある部署では女性が一人しかいなか ったら、その人わかっちゃうではないですか、そういう議論になるわけですね。ただ、 程度問題だと私は思うので、どの辺のところまでなら、基本的に出したらいいのかとい うあたりのコンセンサス作りは必要になってきているのではないか。そういうポイント でございます。  長くなってしまいまして大変申し訳ございませんでした。以上で終わります。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それでは、次にアプライドバイオシステムズジャパン株式 会社の太田様からご報告をお願いいたします。 ○ 太田委員  それでは、私、太田の方から当社の状況を説明させていただきます。  多分皆さんにはほとんど知られていない企業ですので、当社の概要をかいつまんで最 初にご説明させていただきたいと思います。こちらにありますとおり、いわゆる外資系 の企業で、本社はアメリカにありますApplera Corporation という会社です。  日本における事業の歴史なのですけれども、ことしで約17年ほどになります。  次の3ページなのですが、当社の製品ですけれども、分子生物学の研究者の方々に利 用されるようないわゆる分析器を販売しております。例えばDNAの塩基配列の解析装 置あるいは分子の質量を測定する機器といったものになります。DNAの解析装置にお いては、世界的に80%以上のマーケットシェアを持っている企業です。  次のグラフなのですが、オレンジのグラフは売上高の推移を示してあります。ライン のグラフが人員のグラフなのですけれども、売上高の年間成長率は約15〜20%、人員は 今約300 名程度ということになります。  次の5ページは、当社は基本的に販売会社なのですけれども、セールスに従事してい る人間は極めて少なくて22%、反対に多いのは売っている機器がそういう特殊な機器で すので、研究者の方々をサポートする技術サポート、マーケティング、それから修理、 単なる修理だけではなくていろんな操作説明等々も含むのですけど、そちらの方が極め て大きなウエイトを持っております。  続きまして、学歴構成なのですけれども、これはマスター以上が全社で18%、大学卒 以上、こういう切り口で見ますと7割以上、どちらかというと高学歴の人間が集まって いるということが言えるかと思います。  次の7ページ、年齢の分布、大体ピークは20代後半から40歳くらいに集中しておりま すけれども、平均年齢は36.8歳です。  8ページ目、勤続年数ですが、年間の離職率は5%、外資系というと極めて高いので はないかということを思われるかもしれませんが、但し、人員を毎年かなり増加させて いるので平均勤続は6.3 年、このような状況にあります。  次の入社時年齢分布ですが、これは当社に入社とき何歳だったのかというところで分 析しているのですけれども、20代の後半から30代の前半くらいで入社する方が多いのが 見てとれるかと思います。つまり当社を2社目、3社目として入社される方が極めて多 いのがこちらでご理解いただけるかと思います。  これらの背景の中で、私たちはいろいろ確定拠出年金の導入についても考えていった わけですが、10ページ目にありますとおり、一つ大きな背景が、1999年にパーキンエル マーのアプライドバイオシスムズ事業部という部門とパーセプティブバイオシステムズ という二つの会社の合併が大きな引き金になりました。  合併に伴い、当然処遇制度のいろんな統合等々を図っていったわけですが、一番大き なネックのところが、退職一時金、年金の制度だったわけです。その合併前の状況は、 こちらに示されるとおり、一方の企業は適格年金、厚生年金基金に入っていた。もう一 方は入っていなかった。この制度の格差をある程度時間をかけながら調整していこうと いうところでいろいろなことを進めていきました。  ただし、次12のページですが、厚生年金基金は存続会社の制度の方に加入すること になったので、旧アプライドバイオシステムズ事業部の従業員に関しては脱退というこ とで、一時金もしくは年金の選択が99年の年に既に行われていました。  次の13ページ、合併の当初の段階から、私たち会社の中で「カンパニーミーティン グ」、人員数が200 名とか300 名ですのでこういうことができるのですが、全社集まっ て、経営状況等を説明する会議なのですけれども、年に2〜3回行うカンパニーミーテ ィングを通じて、99年当時から確定拠出年金を使って、脱退することになった厚生年金 基金これの不利益は解消するよ、退職金制度の統合も確定拠出年金によって上手くやっ ていくよ、というようなことをアナウンスしたわけです。法案の成立の準備を待ってい たわけですが、それが整った昨年の6月、この段階から従業員に対して、このような制 度を入れたいということを説明していきました。  その骨子が次の14ページに載っております。こちらに書いてありますとおり、当社 はいわゆる月給そのものが基本給になるわけですが、そこの2.25%を拠出します。手数 料に関しては、運営管理手数料、資産管理に関しては両方とも会社で負担する。ただし、 拠出の上限は1万1,000 円というような形で決めました。これはちなみにですが、かつ て入っていた厚生年金基金、これは標準報酬がベースになりますけれども、こちらに対 しての3.35%程度の拠出だったのですけれども、この確定拠出年金になりますと、月給 の2.4%というような差になりました。  次は、この2.25%ということを考えるときに、どのようにして決めたのかということ ですが、想定利率に関しまして、当社の場合、完全にゼロでやりました。累積の拠出額 を持って、かつて入って厚生年金基金を十分補填できる水準というところで考えました  次のページ、また併せて既に従業員に対しても適格年金、これは1987年から入ったの ですけれども、この部分の取り込みも近い将来行うということを既にアナウンスしてあ る形になります。  次の17ページですが、どの程度のイメージになるかということですが、物すごくラフ なモデルですけれども、当社の場合、モデル賃金といったものが存在しないので、どち らかというと実態に基づく推定値というような感じですが、もし仮に管理職で勤続30年 の者がいたとしたならばということですが、確定拠出からの給付が最終的には13%、適 格年金からの給付、これは現在のものですが、30%、これはすべて取り込むということ になりますと、都合45%くらいをごく近い将来に確定拠出の方に持ち込んでいこうとい うことで考えています。  今回、確定拠出年金を入れるに当たってのステップのところですが、次の18ページ に載っております。今のような制度のかなり詳細にわたる説明を10月の段階で全社員に 対して行いました。その段階で運営管理機関を選定したのですけれども、当社は日本生 命さんにさせていただいたのですが、そのときのポイントは、非常に限られた期間、2 〜3カ月の間で規約の制定等々も含めて実際の運用開始に持ち込みたいということで、 いろんな生命保険会社、証券会社の方にいろいろ説明を受けたのですが、当社は先ほど 申し上げたとおり300 名程度の非常に小さな企業であること。人事の中を見ましても、 福利制度の企画の担当部門があるわけでもない。そのような中で、どのような制度導入 のサポートをしていただけるのかというのが私たちが選択する基準の中で極めて大きな ポイントを置いたところです。  その後、社員の教育等々も行って導入したわけですが、実際導入までに至った中で、 従業員の教育、当社はサイズが小さいので6回だったのですけれども、この部分、想定 していたよりも極めて重要な項目だなというのを実感しました。ここのところに関して なのですが、それなりのプロの方、日本生命の方に派遣していただいて全面的にお願い したわけですが、結果的に従業員からも非常に好評で、私どもとしては結果的に日本生 命さんを運営管理機関にしたことは極めて正しい選択だったと考えております。  次に資産管理機関、これに関しては余り重要な事項ではなかったので、料金体系の違 い、このことをポイントに選択させていただきました。  次に当社の場合、ちょっと特殊な、多分ほかの会社とは違うと思うところを説明させ ていただきます。商品の選択に関して、次の19ページにありますとおり、商品選択コ ミティーというのを会社で募集しまして、商品選択に関して社員にリーダーシップをと らせるような形に持っていきました。年齢構成、性別、家族構成等を考慮して、2回の ミーティングを通じて商品選択を自ら社員にやってもらうというところで運んでいきま した。  結果的には次のありますとおり、11種 16品目、こちらのような選択になりました。  21ページですが、現時点での残高なのですけれども、元本確保型、預金自体は24%な のですけれども、いわゆる元本確保型が44%、信託が56%、このような状況になってい ます。  社員の反応なのですけれども、2年にわたる準備期間がありましたので、極めてポジ ティブに社員は受け取っております。もう一つは、当社の場合、アメリカ系の企業とい うこともありまして、ストックオプションの制度が10年以上前から導入されています。 社員の7割以上がストックオプションを、株数はかなり違いますけれども、提供されて いるという状況の中で、いわゆる市場の株価の変動により、自分の持っている資産の経 済的価値が大きく変動することにならされているので、そのことも受け入れやすかった ことなのかなと思います。  それから、会社の中でShared Valueということで、次の23ページ、24ページにある のですが、要は会社の中全般にわたって「リスクをとっても行動する」、それから「自 主的に行動する」ことに対して非常にいろんな機会を通じて社員に周知徹底を図ってい ます。そういった背景があるもので、確定拠出年金の基本的な考え方の一つである自己 責任ということに関しては、むしろ社員は非常に魅力ある制度というふうにとらえるわ けです。これは受け入れやすかったことなのかなと思っています。  導入後の状況の中で、もう一つ、いろんな運営管理機関が提供してくれるサービス、 これが極めて重要な要素になってくるのでコールセンター、インターネットの状況に関 して少し説明させていただきたいと思います。26ページですが、当社は日本生命さんの 方からのコールセンター、インターネットを通じた情報提供を受けているわけですが、 インターネットのページが開設されたのが3月以降ですが、それまではコールセンター しかなかったので、コールセンター、これは2月だけ発生していますけれども、3月以 降、コールセンターとインターネットは併存していても、すべての照会はインターネッ トで行われている。ここからもいろんな情報提供においてインターネットが非常に重要 なものであるというのがご理解いただけると思います。  次の27ページですが、では何のために使っているのかというところですが、そのほ とんどが資産評価額の照会ということになっています。  実際のスイッチングですけれども、運用変更、これは1%とありますけれども、件数 的には3月に1件、6月に1件と、実はこの程度しかない。これは日立さんからの説明 でもまだ少ない状況です。  最後に今後の課題ということですが、当社の場合に、社員にも既に周知してあるとお り、適格年金制度を廃止して確定拠出年金に移行するということなので、社員のサイド としては資産の運用経験、これを今の段階から蓄積していくという点だと思います。そ れから会社側としては、社員が自己責任を持って合理的な意思決定をしていく上でわか りやすい情報、使いやすい情報を提供していくということなので、ここのところインタ ーネットの情報のですけれども、まだ私が見ても若干改善をしていかなければいけない ところもあるのかなと思います。この部分に関しては、できだけ早急に、NRKさんの 問題もあるのですけれども、改善していかなければいけないと思っています。  次にインフラなのですけれども、特に中小企業にとっては、私どものようなサイズの 企業にとってなのですけれども、制度の導入、維持といった面において、外部のパート ナー、これに頼らなければいけない部分が極めて大きいわけです。運営管理機関、こち らの方はいろんな企業があるわけなのですけれども、企業の勤労厚生担当者に対して導 入をサポートできるパッケージ、これを準備していただけることが導入の垣根を低くし ていくことにつながるのではないかというふうに思います。  それから、資産管理機関なのですけれども、私どもの感覚としても、お金は払ってい るのだけれども、何ら便益を得てないというのが率直な感じです。そういった面をもう 少し合理化していただいて、導入した企業の運営コストを縮減していただけるような環 境がつくられることを望みます。  以上です。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それでは、ただいま3件の報告につきまして、何かご質問 等ございましたらお願いしたいと思います。  太田さんと私のはどちらかというと、導入の考え方とか運営の現状について、秦さん が運営のあり方という観点からかなり刺激的な問題提供をいただいたわけでございます けれども、その辺につきまして、特に秦さんの報告につきまして、こんなところ、私は そう思うよとか、いや、そうじゃないのではないか等のご意見ありましたら、そういう のを含めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。         (傍聴席より「質問、よろしいですか」と声あり) ○ 御手洗座長  今は、委員さんに「どうぞ」ということですので、すみません。とりあえずこちらを 優先で考えたいと思うのですが。 ○ 吉武審議官  太田さんの企業だけでなくほかの企業の方もそうだと思うのですが、太田さんのとこ ろは一番典型ではないかと思うのですが、国内の規模が大きくなっておられて、これで 拝見しますと世界ベースの5%ぐらい、人の数もそうですし、売上もだんだんそうなっ ておられます。想定できるのは今既にやっておられるかもしれませんが、例えば日本の 本社で採用した従業員の方が、ある時期、米国本社に行かれてそこで仕事をされるとい うようなことが起きてくるのではないかと思うのですね。  公的年金で申し上げますと、私ども今アメリカなどと年金通算ということで、保険料 の二重払いを避けるとか、給付を数珠つなぎでつないでいくというようなことを検討し ているのですが、401kだけでなく、企業年金の世界でグローバル化して、日本人の 従業員の方が20年アメリカで働かれ、20年日本で働かれるとか、場合によってはヨーロ ッパで10年、アメリカで15年、日本で15年、そういう時代が来たときに、そこをグルー プ全体で通算なり統合化するといったご議論があるかどうか、お聞かせください。 ○ 太田委員  日本からアメリカの本社の方に出向というか出る人間は、会社の歴史が17年、人員の 規模がこの程度ですので、人数でいってもまだ4〜5名しかおりません。ただ、一般的 な日本にある販売現地法人、製造現地法人、そういった企業よりは本社に行くというよ うなケースは私ども極めて多いのではないか。行っている期間は大体2年から3年なの ですけれども、当然行っている期間は日本の厚生年金基金、健康保険料はそのまま継続 して払い続けるということになっています。残念ながら、本社がドイツでなくてアメリ カにありますので。  確定拠出年金は、確かにアメリカでも制度があるのですけれども、当社グループ間で、 例えばヨーロッパの人間がアメリカに行く、あるいはオランダの人間が日本に来るとか、 そういうこともあるわけです。すべて基本に置いているのは、本国の付加給付の部分な のです。付加給付の水準自体が、例えばオランダの付加給付の水準と日本の付加給付の 水準、アメリカの付加給付の水準が違いますので、あくまでもベースに置くのはその出 身母体であるところ、それを基本的には継続するという考え方です。 ○ 御手洗座長  法人を変わるときの年金のあり方は一番大きな問題だと思うのですね。特にアメリカ と日本とかというものはありますけれども、日本の国内同士で、例えば我々の会社は分 社とか他社との統合とかいろんな形で会社が変わっています。そういう中で、最後に問 題になってくるのは年金の問題でございまして、きちんと通算ができないとか、そうい う意味でいろいろ我々として改善してもらいたいということを厚労省さんにいろいろ申 し上げているところです。非常に大きな問題だと思っています。 ○ 平井副本部長  太田さんへの質問が先にありましたので、関連してお伺いします。日本で確定拠出年 金を導入するときに、本国の本社といろいろ相談をされたかと思います。そのとき、要 は日米の制度が違うものですから、そういう意味で、日本の制度を理解してもらうため に、どのような点が苦労されたのか、差し支えない範囲でお伺いできればと思います。 ○ 太田委員  いわゆる確定給付型と確定拠出型というところの考え方なのですけれども、これは実 はアメリカの方にもおいても確定給付型という考え方は存在しているのです。特にヨー ロッパの企業などにおきましては確定給付型、確定拠出型両方併存しているというよう な状況に既にあったわけです。ですから日本の方で、既に例えば確定給付型の制度があ りますと。それに対して確定拠出を上乗せしたいといっても、それほど本社サイドの方 で、給付の水準だとかそういうところでのいろんなやりとりはありますが、制度そのも のが理解できなくて納得してもらうのに苦労があったとか、そういうことは全くありま せん。  というか、日本が今まで確定給付型の制度しかなかった。それがむしろ珍しい状況だ ったのではないかと思いますけれども。 ○ 平井副本部長  もう少し明確にお伺いすればよかったのかもしれませんが、例えばマッチングなどに ついて、どうして日本ではできないのかというような、本国からの指摘はあったのでし ょうか。 ○ 太田委員  本社の方と相談するときに、いわゆる基本的な考えのところだけしか相談しないので、 そういうような問題は全く発生しませんでした。 ○ 御手洗座長  他にございませんか。 ○ 山崎課長  私が質問するのは何かと思いますが、秦さんのプレゼンテーションですけど、いつも こういうお話を聞いておりまして、大変感銘を受けているのですが、こういう本当の意 味でのコストの問題、手続の問題、金融関係の問題等について、秦さんはどうやって対 処していらっしゃるのか。今、お一人でやっていらっしゃるのですか。こういう連絡会 議があって情報がわかるようになって大変ありがたいと思っているのですが、逆に言う と、こういう問題は、個別に交渉相手とやっているというのが現実の状況なのですか。 ○ 秦委員  大変お答えにくいご質問ですけれども、この手のたぐいの議論を、私自身が最初に金 融機関にし始めたのは1999年夏に、今日、お話している販売会社手数料ではなくて、い わゆる販売手数料そのものです。これがあるのは論理的におかしいのではないかという ことで、実は、私どもお声をおかけした金融機関全部に対して球を投げて、それは冗談 じゃないということで、こちらとしては突っぱねたわけです。結果として、その段階で、 二つの金融機関さんがディクラインされた。方針的にそれは飲めないということですね。  今のマーケットから見たら、そういうことはばかげた議論になってしまっていますね。 今はノーロードが当たり前で、今販売手数料ある商品はないと思います。ところが私が そういうのを始めた頃は、まだどこにもそういうことを始めている会社さんがたまたま なかったということもあって、孤立無援で中にはディクラインしてこられたところもあ ったということですが、そういうところから始めたものですから、金融機関さんとかレ コードキーピング会社さんもJIS&Tさんを選択させていただいたわけですが、最初 に走っていることもあって、いろいろ問題ありだねと。  きょうJIS&Tさんがおられないことを願っているわけですけれども、例えば老齢 給付金の支払い方法なんていうのは、私が指摘するまで開発してなかったのですね。解 約するときにどうするのか。サンデンは59歳11カ月の人まで入るのだから、すぐ老齢給 付金始まるよと。そう言ったらば、びっくりしたような顔されて、とにかく受け入れる 方だけしか考えてなかった。  例えば、そういうようなことがいろいろあって、JIS&Tさんの方も、秦が言って くることは一応もっともな部分もあるなということで、都度お回りになられるような、 いろいろな金融機関さんが、そういう意味では私のところにいろいろ情報提供なり、ま た意見を聞いていただけるような、そういうパイプが方々に結果としてできたというの が多分一番大きいと思います。  ですから今後同じようなご意見を是非、日立さんやトヨタさんが入られた。私どもと 違って知名度高いですから、金融機関さんとの取引関係も強いので、そういうところか らどんどん言っていただけるのが、物事を進めるのに一番いいのではないかと思うので、 是非こういう会議を使って圧力をかけていただきたいと思います。  敵は相当手ごわいです、正直言って、そういうことでございます。 ○ 御手洗座長  思いは同じでございまして、特に信託報酬、トヨタさんが今度随分頑張られて、やは り自由競争といいますか、非常に大事なことだと思っておりまして、それぞれ最大限努 力していい方向に持っていかなければいけない。是非この場でも、そういう議論を、今 後積極的にやっていきたいと思っております。  とりあえずきょうは後ろにまだ議題がございますので、この質問につきましてはこれ で終わりたいと思いまして、その次は、大変申し訳ございませんが、また機会をとりま して、こういう議論は是非やっていきたいと思っております。  それでは、次の議題でございますけれども、本日、年金局企業年金国民年金基金課の 水上孝基金数理室長に、3月にアメリカに訪問調査をされた際のご報告として、「米国 401kにおける投資教育の現状と日本の確定拠出年金」というテーマでお話しをいた だきたいと思います。  まず、室長から15分程度ご報告いただきまして、その後、質疑応答の時間を設けたい と思っておりますのでよろしくお願いいたします。 ○ 水上室長  基金数理室長の水上でございます。3月にアメリカにて401kの投資教育に関して の調査をしてきておりますので、ご報告したいと思います。  そもそも我が国の確定拠出年金においては、投資教育の責務は事業主が負っていると ともに、内容や実施の方法について、労使合意で企業型の年金規約に明記する必要があ りますけれども、米国の401kについて、金融機関が実際に行っている投資教育の内 容についてはいろいろな情報があったわけですが、投資教育や運用商品の選定等につき まして、労使がどの程度実際に米国において関与しているのか、またどのような対応を しているのかという情報がほとんどありませんでしたので、その実態を十分明らかにす ることが米国に行った目的の一つであります。  それから、我が国の国民性といいましょうか、アメリカに比べて投資に不慣れなとこ ろがあるかと思いますが、20年以上の確定拠出型のプランを持っております米国におい て、実際に企業が投資教育に関してどのようなものを行っているのか、その実態につい ても調べようということがありました。  最後に、昨年の11月に米国のエンロン社の問題が起こりまして、このエンロン問題を 機に、自社株についてどのような変化が生じているのであろうかということを調査する という目的もありました。  それで、実際にいろいろ企業と従業員の方々、いわゆる企業の方々がどういうことを やっておられるのか、金融関係の方々がどういうことをやっておられるのかという観点 から、企業・従業員関係者といたしましては、米国企業給付協議会というのがございま すが、これは企業の代表のようなものでございますが、そこの方とかカミソリのジレッ ト社、ECMという、これはもう少し小さい会社でございますけれども、そういったと ころを訪問しております。  金融機関関係としましては、米国の生命保険協議会、いわゆるアクチャリー的なとこ ろでありますけれども、そこと401kの米国の最大手の取り扱い金融機関になります けれども、フィデリティとか、年金コンサルタント会社のタワースペリンなども訪問し ております。  そういったことでいろいろ訪問しておりまして、その結果を簡単ではございますが、 お手元の資料5ということでまとめさせていただいております。  主な点ということで、日本の確定拠出年金と米国の401kを対比させて並べており ますが、まず当初の目的でありました労働組合や従業員がどのような形で投資教育の内 容等について関与しているのかということでございますが、米国におきましては、基本 的には企業が受託金融機関と相談の上、投資教育等について内容を決定しておりまして、 結果として労働組合や従業員が投資教育の中身について関与するということはほとんど ない状況であります。  日本の場合ですと、労使の合意によって、規約の中に投資教育の内容を明記する必要 がございます。ただし、評価のモニタリングについては、法令や法令解釈通知において も特に明定はしていないという状況です。  それから、実施機関の選定の一つの着眼点といったものについては、受託金融機関を いろいろ選定するに当たって幾つかの視点があるわけですが、特に加入者への投資教育 を重視している関係上、加入者とのいわゆる意思疎通が充実している、そういった教育 の技術が高い。要するに加入している人の不満が生まれにくいというような環境を整え ることができる。そういった投資教育のうまさを重要なポイントとして受託金融機関を 選定するという傾向があるようでございます。  それから、定期性等ということで、三つ目に書いてありますことは、要するに投資教 育を継続して行っているものがどの程度あるかということでありますが、9割の企業に おきまして、加入時において投資教育はもちろん行われているわけでありますけれども、 これを継続的に定期的なものとして実施しておるところは金融機関としては6割程度に とどまっているということでありました。ただ、企業側としては、定期的な継続的な投 資教育が必要とされているというような認識が今後強まっていくものだという感触を持 っておるようでした。  最後に自社株の話でございますけれども、確かにエンロンの問題におきまして、自社 株についての反省点といいましょうか、そういった動きがあるのかということで関係者 の意見等を集めてみたわけでございますけれども、もちろん企業のマッチング拠出につ いて、運用規制を設けていること自身が問題であるということはあるかもしれないです けれども、加入者が自由に自分の選択で自社株を運用するということにつきましては特 段問題がない。 むしろ401kの自己責任において資産を運用するという観点からは、401kの趣旨 そのものではないかといったような感触でありました。ですからエンロン問題を契機と して、投資教育の内容を変えるとか、そういった動きは出ていないということでありま した。  それから、欄外に小さく書いてございますのは、いろいろ投資教育ということで、内 容的に次のページに書いてございますような、リスク概念の内容、リスクの耐性、専門 的な用語の解説とかいろいろ教育を行っているわけでございますけれども、教育を受け た上で利用者の方が何を言うかというと、投資教育全般について、投資というものはど ういったものであるのかよくわかりましたと。ただ、それで私はどの商品を選んだらい いのでしょうかといったような声が聞かれるということが米国においてもよくあるそう であります。  米国には、ERISA法という受給権を保護する法律があり、金融機関の人が利益相 反行為をやってはいけないと規定されています。つまり受託の金融機関が自社の商品が 中に混じっておりますと、それについての、例えば投資アドバイスをしますと利益相反 行為に当たるおそれがあるということで、投資アドバイスをしてはいけないというよう なものであります。今言ったように、利用者の側から、一体どのような商品を選んだら いいのといったときにアドバイスができないのは、金融機関にとっても不便ではないか というような考え方がございまして、人の名前が頭についていますけれども、投資アド バイスを行うことを解禁する法案が今出されているそうであります。賛否両論があると いうのは、金融機関や企業からは、これはこういった解禁をやってもらった方が利便性 が上がるという観点からの賛成であるけれども、また、一方ではERISA法で規定さ れているような利益相反行為のきっかけになるというような観点から、米国の労働省や 労働団体から反対の声があるということであります。  以上が概略でございますが、少し時点が古いものもありますけれども、後ろに投資教 育についての統計を掲げさせていただいております。  表1の中で意外に思いましたのは、インターネットの活用というのが、62%というこ とで、思ったより少ないという感じでございます。ただ、インターネットの活用といい ますのは、ここ数年で随分増加しているふうにも聞いておりますので、1999年から見ま すと、現在の時点ではもう少し増えているかもしれませんという感じだったと思います。  簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。それでは、ただいまの水上室長のご報告につきまして、何 かご質問等ございましたらお願いいたします。 ○ 秦委員  ご質問させていただきたいのですが、アメリカにおいて、アドバイザリー業務そのも のはあると考えてよろしいのでしょうか。それとは別に、今回、教育をやる金融機関に 対しても、その機能をやっていいよということなのでしょうか、法案ができてないのか どうかでわからないのかもしれないのですが、通常考えられておるアドバイザリーは1 対1でやるわけだから、それはそれでいいのですけれども、例えば、ここの教育金融機 関がやる場合には、1対1の部分もあるかもしれないけれども、全体としてこんな方向 のものを勧めますよなんていうことまでを含んでいるのか、含んでないのか、その辺の あたりはどうなのでしょうか。 ○ 水上室長  このボーナー法案につきましては、詳しいことは私もとらえてないのですけれども、 いわゆる投資のアドバイザーという職業はもちろんアメリカにあるわけでありまして、 そういった観点からではなくて、日本で言うならば、運営管理機関に当たるところの4 01kの金融機関が投資教育も請け負ってやるわけなのでありますけれども、金融機関 が投資商品の中にたまたま自社のものが入っておりますと、これをどんどん運用しなさ いと言ったとすれば、それが金融機関のために勧めているとか、もしくはそういったお それがあるということで今禁じられています。  そうすると利用者として本当にこの商品を選んでいいのかと聞いたときに、何も教え てくれないというような不便さがあるということで、これを解禁しましょうという考え が、このボーナー法案なのです。 ○ 秦委員  そうするとある意味では少し狭いと考えてよろしいわけですね。 ○ 水上委員  そうですね。多分相手が投資教育を請け負っているところに、受託機関に当たるとこ ろにアドバイスをできるように緩めるということになるのではないかと思います。 ○ 吉武審議官  日本の立法過程でも、政府内でもそうなのですが、与党でもこれは議論になりました。 その最大の原因は過去の変額保険の事例がございまして、変額保険のときに果たして生 命保険会社が十分な説明をしたのかどうかというのがご議論になっておりまして、運営 管理機関というのは相当数が金融機関設立の、あるいは金融機関自身でありますから必 ずその問題が出てくると。いわゆる利益相反行為なり双方代理的な色彩が出てくるので、 そこをどうするかということでありまして、金融機関自身はもちろん自分の金融商品の 特質なりメリットを説明されるのは自由なわけですけれども、そこと運営管理機関の業 務がダブってしまうという、問題がありまして、端的に申し上げますと、日本の場合に はスタートは相当慎重にやるべきではないかというのが与党での議論でもございまして、 その経験というか、別の分野での経験があり、また、逆に金融サービス法などが制定さ れましたので、ある意味で金融サービス法などに基づく金融機関のサービスについて説 明なり、通常で申し上げれば、インフォームド・コンセントみたいな、そういうことは どの程度の水準に上がっていくかということも影響してくるのではないかと思います。  多分いろんな考え方かあって、そこは規制をしないで、そのかわり規制はしないけれ ども、利益相反行為みたいなことが起きたときに、事後的に厳しく監督していくという、 今は規制緩和の流れですから、本来的にはそうなのかもしれませんが、ただ、そのとき に、現実それぞれの働いている方に対する損失のようなことが生じますから、規制違反 が起きて、事後的に例えば行政的な手段で監督を行ったところで、その損失はどうなる のかということになって、多分これは民事上の問題になりますから、民事上の問題にな ったときに、個別のサラリーマンが果たして訴訟なりいろいろな手続で損失の回復がス ムーズにいくかどうかという問題にも多分つながってくると思います。 ○ 徳住委員  室長への質問と、先ほどサンデンの秦さんから非常に刺激的な話がございましたので、 それに関して若干のコメントをさせてもらいたいと思います。出張へ行かれまして、ア メリカはご案内のように、ここ10年、非常に運用環境が良かったということで、確定拠 出が急激に伸びた背景にもそういうことがあったという考え方もあるようでございます が、最近マーケットの環境が非常に厳しくなってきているというところで、逆に投資の 問題、教育の問題、商品選択の問題ということについて従業員の方々からいろんな要望 が出てきているというような形になっているのかどうかという、環境の変化に伴う従業 員の対応の変化というような件について、もしご調査の例があればお聞かせいただきた い。  それとサンデンのご発表で非常に刺激的でございましたのですけど、二つほどコメン トさせてもらいますと、今の話との絡みで、エンロンとの関係で自社株の制限について は、向こうの方ではそんなに意識がなかったということでございましたけど、サンデン さんからは、自社株というのは、要するに自分の人生を今会社にかけているリスクに加 えて、老後のリスクまで会社にかけるということについては、ある一定の制限をすると いうような形でやった方がいいのではないかと、50%程度というような一つのご提案が ございまして、非常に示唆的な話だとは思いますけれども、私は商品の選択に関して、 できるだけ制約をつけない方が逆にいいのではないか。これはアメリカでの話でもあっ たと思いますけれども、投資教育で自社株というのは、サンデンさんも当然そのことを ご案内のとおりだと思いますので、そういう商品なのですよということを徹底する方が 正論かと考えております。  以上でございます。 ○ 水上室長  最初の方の、米国におきましても、運用の環境が昔ほどではなくなってきたことに関 して、従業員から投資教育について何か要求というか要望の中身に変化が生じているの かという問いかけでございましたけれども、実際出張に行きまして、関連方面の方々に お会いして投資教育についていろいろなことを教えてもらったわけでございますが、特 段そういった運用環境の変化によって、従業員の方から今までとは違った希望が出てき たということは特に聞いてはございません。むしろ投資教育で利用者が一番気にしてい るのは、もちろんいろいろな仕組みなども知りたいというのはあるのですけれども、や はりリターンがどれだけになるのかということに一番関心が強いということでありまし た。昔に比べればリターンは少なくなっているということもあるのでしょうが、リター ンが非常に気になるわけでございますから、そのリターンを追求するためにどういう組 み合わせが最適なのでしょうかという考え方が全面に出されてくるのだと思います。  そのリターンを達成するためには、こういった商品の組み合わせ方があるということ はもちろん提示することはできるのですが、併せてそれにはそれに伴うリスクが生じて いるのだというようなことを教育、きちんと伝えるということが必要になってくるのだ と思います。 ○ 御手洗座長  秦委員、何かございますか。 ○ 秦委員  まず徳住さんのお話につきまして、私も基本線はそのとおりだと思います。基本的に は教育を徹底すれば別に規制などは必要ない。問題は教育が徹底できるか、今の段階で 日本において。アメリカは既に中学にまで投資の勉強をさせるというような状況で当た り前になっている。言葉がいいかどうかわかりませんが、自立しているような形の民族 性の国民と、今、まだ日本はそういう状況になってないのではないか。だから最終的な 着地点は当然自分ですべて選び、規制などないというのがベストだと思いますけれども、 スタートしていく段階で、本当にそれでいいのかというようなことは議論されていいの ではないかという観点でございます。  それから、室長に引き続きお話しを伺いたいと思ったのですが、先ほど審議官からお 話ありましたように、現実にこの教育をどうやっていくかということについては非常に 悩ましい問題で、私どもも実は非常に解決に苦労した。多分多くの企業の方々が、この 問題に本当は苦労しているはずだと思うのですね。  なぜかというと、日本の場合には大体自分たちの企業の最も大事な金融機関さんを運 営管理機関に指定するわけですね。したがって、その金融機関からの関連するところか ら、一切投資商品を選ばないなんていうことは形式的にはあり得ない形ですね。したが って、それを完全に分離させるとかなんかというのはなかなか難しいので、今どういう ことをやっているかというと、そういう教育をやるところを、一応金融機関本体から少 し放した、資本関係はもちろん100%であったり何十%だったりはしますけど、そうい うコンサルティングサービス的な会社が一応請け負う形にして切り離してはいるけれど も、同じグループの中であることに間違いないというような形になっているわけですね。  そういう中で、それではどうやって、先ほど審議官からお話があった点をすり抜けて きたかというと、個別の商品を勧めるようなことをしてはいけない。これは間違いない わけです。ところがこういうリスクをこうとっていきたいということに対しては、この 商品がぶつかっていますという形ですね。言ってみれば、その方のリスクの取り方、そ れによってこういう商品が選択できますよと、そういう誘導の仕方をある意味ではして いるわけです。ですから個別の商品に対してではなくてリスクの取り方に対して、各人 の方々の判断をある意味では聞き、それに対しては、そうなったらば、こういうリスク を取れる商品がありますねという形でやらざるを得なかった。  アメリカでも出ていましたけど、そういう選択のフローチャートを私どももつくりま して、リスクのある形によって分散していくような形でとって、これがすれすれかなと 思ってやったのですけれども、この辺のところのニーズというのは、組合から何かから も非常に強かったですね。どういう商品、どういう選んだらいいのだということに対し てのニーズは、日本の場合、私はどこの会社さんでも強いのでないかと思います。 ○ 山崎課長  今の秦さんの関係ですが、一番悩ましい問題です。一方で本当の意味の教育が必要で ありますが、一方では利益相反の問題もありますから。私たちも行為準則を決めて原則 は出していますが、その上で、積み重ねの中で、どこまでできるのかという事例を一つ 一つやっていく必要があると思っています。今の段階ではみんなトライアルでやってい ますので、役所が一方的にこの辺だよというのではなくて、少しずつトライ・アンド・ エラーで、皆さんで議論しながら、ここまでは大丈夫だろうとか、そういう形で進めて いく、それを行政の方も見ながらやっていくという形ではないかと思っています。  正直言って、本当に微妙なケースありますし、ただ、一方で、先ほど言われたように、 一般のサラリーマンが、まさに安いコストでやるという商品ですから、そんな高額なア ドバイザーなんて当然雇えませんから、そういう現実的な要請ありますので、それこそ この連絡会議を含めていろいろな情報交換や議論をしていただきたいと思っています。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。お時間もございませんので、室長の報告に対する質疑はこ の辺で終わりたいと思います。  残りの時間でございますが、前回フリートーキングということで、税制と投資教育に ついて議論したいということでございます。投資教育については、今軽く触れたような ことでございますけれども、時間もございませんので、今回、税制に絞りまして、自由 にご発言をいただきたいと思っています。お手元にパンフレットも用意してございます ので、必要であればご参照いただきながらお願いしたいと思います。ご自由にご発言を お願いいたします。  税制といいますと、一つは拠出限度額の問題、それから特別法人税の問題、そういう ことだと思うのですけれども、いかがでしょう。 ○ 中村委員  拠出限度額について、特に確定拠出年金の個人型の、なおかつ企業に勤めているサラ リーマンタイプの場合の限度額があちこちで言われているわけですけれども、年額18万。 今会社に入る人が40年拠出するとしてようやく700 万ちょっとにしかならない。運用次 第でありますけれども。そういう中ではなかなか老後の支えという部分では非常に不十 分かなという気がします。  また、特に今の40代後半以降の人間については、到底それまでの期間の積み重ねがで きませんので、そういう意味では老後の生活の支えの一つという形で位置づけるのであ れば、例えば中高年については、更に限度額を増やしてある程度たまるようにしていく とか、そういったことも必要かなと。もちろん現在の18万自体も低いのですけれども、 更に40代、50代、この人間についての特例措置もつけないと老後の備えには不十分だろ うと思っています。  特に、なかなか公的年金についての信頼度というのがなくなってきている中で、そう いう意味で、こういう自己責任の確定拠出年金は意味があるわけですので、意味がある ような形の内容にしていく意味でも限度額の問題はもっと工夫すべきところがあると思 っています。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。 ○ 太田委員  個人型年金の方に入ってしまうのですけれども、いわゆる専業主婦の人たちは制度自 体に加入できないのです。多分これは税制の関係も大きくあるのかと思うのですけれど も、そういった人たちのところも考えていく必要があるのかと思います。そういったこ ともあるから、例えば日立さんのところで、女性社員20代の方々の加入率が極めて低い というようなところも出てくるのだと思うのです。 ○ 御手洗座長  それは中途引出しも含めて考えると。それかまたは専業主婦も含めて考えるか、いろ んな選択肢がありますねということですね。 ○ 長久保委員  日商岩井も日立さんと同じように、特別法人税は個人負担となっています。今は2.5 %で期待運用益を設定はしているものの、今凍結になっている特別法人税が、万が一実 行されるとなると、確定拠出年金導入の大きな障害になると思いますね。我々もこの確 定拠出年金導入のときに、この点について大いなる議論になったのですけど、これは凍 結を続けるか、廃止になるということを期待して導入したこともあります。先取りして。  ですから考え方としては、拠出時とか運用時は利益が確定してないわけで、実際に自 分が使える状況になったら税金も払えるということもあろうかと思うので、是非給付時 に課税という形に変えていただきたいと思います。ですから廃止を是非、実現いただき たいと思っています。 ○ 徳住委員  限度額の問題ですけれども、各社さんもいろいろご苦労なさって今の退職給付プラン の中に確定拠出プランをどうやって入れ込むかということで、上手い具合に入れられて いるところもございますけれども、今、日商岩井さんおっしゃいましたように、枠があ るために限度枠外の部分は前払いにせざるをえない。その部分が本当に退職後まで用意 されるのかどうかという意味からも限度額の問題は見直していただきたいと思います。 そもそも額がいいのか、率ということがいいのかという手法もございますけれども、額 でいいましても、企業年金のない従業員の場合に、月額3.6 万円という計算の前提は、 ご案内のように、厚生年金基金の加算部分で特別法人税がかからない部分の、代行部分 の2.7 倍までということを前提に計算されていますけれども、それは5.5 %で回ったこ とを前提に計算された数字でありまして、今、おっしゃっておりますように、大体皆さ ん2.5 %程度で割り引いているわけでございますし、5.5 %程度というのは高度成長時 代のときの運用利回りということでございますから、それにまた特別法人税がかかるか ら2.7 倍までという話の問題も含めてあるのだろうと思います。  確かにこの限度額について、五省庁の方でご検討いただいたときには、もっとこのあ たりについての振れ幅について使いやすいようなものにしていきたいという話があった わけですが、課税当局、党税調でいろんなご議論の末、決まったという話でございます けれども、公的年金の役割は変わらないとは思いますが、私的年金の役割が非常に重要 になってくるということは国際的な少子高齢化の進展する中では、世界的な潮流になっ ているわけですから、是非そのあたりを、行政当局の方のご理解と併せて政治の方々に も是非ご理解していただきたいと思います。それぞれの企業で、労使で話し合って、退 職給付プランで本当にいいものをみんなでつくっていこうというような、本当にまじめ な取組が各企業で行われているわけですから、決して浮ついた話ではないということも 非常に大きな説得材料になると思いますので、是非拠出額の見直しをお願いしたい。  併せて特別法人税についても、先ほどご意見があったとおりだと思いますので、この 問題についても撤廃の方向で是非進めていただきたいと思います。 ○ 渡邊委員  今のご意見に関連してですが、会社の拠出金ということだけが認められておりますけ れども、自分が拠出する拠出金というものも、これも認めて一つの口座に納めていただ くというような制度もつくっていただきたいと思います。そうなることによって、限度 額も不足してくるというようなことが出てくると思いますし、そういうことになって、 自主的にやってみたいというような真剣性というものがはっきりしてくるのではないか というような気がいたします。  加入者の本人拠出を認めることによって、確定拠出年金への加入者の自主性と真剣性 をより高じることができるのではないかと思います。 ○ 御手洗座長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。 ○ 泉委員  私の立場であまり制度論みたいなことを申し上げるのはいかがという感もあるのです が、限度額の問題や特法税の問題、これは皆さんおっしゃるので、議事録に残しておく 意味でも、私も担当していて感じていることを二つばかり申し上げようかと思います。  一つは、既に先ほどサンデンの秦さんがご指摘になった問題なのですけれども、残高 の少ない個人型指図者という問題であります。今、企業型を導入した企業をお辞めにな った方、転職先に企業型があればそこへ持っていけばよろしいのですけれども、まだな い。ないけれども、厚年基金や適年はあると、こういうケースが非常に多いし今後増え てくると思うのですね。そういう方は、個人型指図者という道しかないわけでございま す。  この制度の税制上の最大のメリットは掛金が所得控除になるという部分ですが、指図 者というのはそのメリットが使えないわけですので、結局個人型指図者というのは、何 とか手数料に負けないように頑張って運用しようと、それだけの存在になってしまうと いうことがあります。  この解決策として、先ほど秦さんからは一時金でもらえるようなことを工夫したらと いうご発言がありましたけれども、個人型の加入資格というところをどう考えるかとい うのが一つあるのかと思います。制度をつくられたときは、あくまで企業年金がまず普 及している中で、企業年金のない方が入れる個人型とこういう考え方でつくられたこと は十分承知しておりますけれども、今申し上げたようなケースがいろいろ出てくると、 せっかくのポータビリティなのに、そうした方からいろいろ不満が出てくるのではない かというところを若干危惧しております。  もう一点、これはある方から、こういうことはできないのかという相談を受けたりし たことがあるのですが、今既に厚年基金や適格年金をやっておられる企業、これからそ れをどうしていこうかということで非常にいろいろなことを苦慮されておられます。も ちろん皆様方のように企業型を設立されて、そこに資産を入れられるという道があるわ けですけれども、企業の置かれた状況によっては、企業型をつくるのもとてもしんどい のだと。何とか適年の後始末はやって、従業員には個人型をやらせたいと、こういうお 考えの方もおられるようであります。それはそれで道はあるのですけれども、そうした 場合に、これまでの企業年金部分をダイレクトに個人型に持っていくという道というの はないのですね。ですから、そうした方は、適年の後始末は後始末でやられ、別途個人 型は一から始めることになります。企業型をつくるというのも、今皆さんおっしゃった ようにいろいろと検討事項が多々あって難しいということもあるようでありますので、 そうしたニーズがどれくらいあるのか十分つかんでおりませんけれども、具体的に私の 耳に入った話でそんなこともありましたので、制度論を言い出すといろんなポイントあ るかと思いますが、そういうところの道ももし検討していく中であり得るのであれば考 えていってもいいのではないかという気がしております。 ○ 河合委員  目新しい意見でも何でもございませんけれども、皆さん方おっしゃっている特法税の 件は当然でありますし、途中でも出ました専業主婦の件、中途引出しの件等々すべて実 現をしてほしいというところが正直なところでございますけれども、プライオリティを どういうふうに考えるのかという意味でいきますと、それぞれの企業の立場、個人の立 場で優先度が違うと思うのですけど、私どもなどですと、特法税のところはどこでも同 じかと思いますけれども、加入者、今、制度のスタートを切ろうとしているところでい きますと、専業主婦の問題、途中での引出しの問題、脱退一時金で受け取れるかどうか、 この辺のところをもう少しフレキシビリティーのある制度にするということが、確定拠 出年金という制度自身を広めていくためには緊急度が高いのではないかという認識を持 っております。  これから、私どもグループの各社もいろいろ導入に向かって準備を進めてくると思っ ていますけれども、グループの中でもとりわけ小さなところがこの制度を導入しやすい ようにするために連合型、税制とは違うかもわかりませんが、連合型という形を中小の 企業も入ってきやすいような形で、そういう仕組みの整備ということも緊急度が高いの ではないかと考えております。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。この場は結論を出す場ではございませんので、言いっぱな しということでございますけれども、多分委員の皆さんのご意見は一つの方向なのかな と、そんな感じがいたしました。是非この辺を反映したく、よろしくお願いしたいと思 います。  それでは、そろそろ時間も参りましたので、最後に次回の予定につきまして、事務局 から説明をお願いいたします。 ○ 山崎課長  次回でございますが、引き続きまして、メンバーの方々から、各企業における実施状 況の報告、更にその後、フリートーキングということを予定しております。次回でござ いますけれど、トヨタ自動車の河合様、すかいらーくの大場様、日本ベニアの光谷様の お三方から、それぞれの企業における導入状況、今後の課題についてご報告いただきた いと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○ 御手洗座長  よろしいですか。 ○ 河合委員  はい。 ○ 山崎課長  よろしくお願いします。次回の開催でございますが、ちょっと時間を置いておりまし て、11月上旬頃を予定しております。前回と同様に日程調整表を机の上にお配りさせて いただいておりますので、会議終了後に皆さんのご都合をご記入の上、テーブルの上に 置いていただきますようお願い申し上げます。開催日時、場所につきましては、今後調 整しまして、また追ってご連絡申し上げたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 御手洗座長  ありがとうございました。  それでは、本日の連絡会議はこれで終了いたします。大変お忙しいところありがとう ございました。 照会先 厚生労働省 年金局企業年金国民年金基金課 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111   (内線)3369、3370 堀田、亀田