02/08/01 第1回厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会議事録                    第1回              厚生科学審議会生活環境水道部会                 水質管理専門委員会                    議事録                厚生労働省健康局水道課            第1回厚生科学審議会生活環境水道部会               水質管理専門委員会議事次第  日時 平成14年8月1日(木) 15:00〜16:45  場所 三田共用会議所第三特別会議室  出席委員(敬称略)  安藤正典、宇都宮暁子、遠藤卓郎、大谷倫子、大村達夫、国包章一、  中村栄子、西村哲治、平田強、古米弘明、眞柄泰基 1.開会 2.議事 (1) 生活環境水道部会水質管理専門委員会について (2) 諮問について (3) 審議の進め方について (4) その他 3.閉会 ○松田室長補佐  それでは、定刻となりましたので、ただいまから生活環境水道部会水質管理専門委員 会を開催いたします。  委員の皆様には、御多忙にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうござい ます。  伊藤委員と江馬委員は、所用により本日は御欠席ということで、大村委員と国包委員 は少々遅れてお見えになるという連絡を受けてございます。  本日は、午前中に生活環境水道部会が開催されまして、この水質管理専門委員会の設 置が決定されております。また、厚生科学審議会生活環境水道部会の運営細則というも のがございまして、この第3条に基づきまして委員長には眞柄委員が選任されておりま す。  これ以降の議事は、眞柄委員長にお願いしたいと存じます。眞柄先生、よろしくお願 いいたします。 ○眞柄委員長  ただいま御紹介いただきました眞柄でございます。午前中に開催されました生活環境 水道部会で、この専門委員会の委員長を務めるようにということが決まりましたので、 委員長をさせていただきます。後ほど水道課の方からごあいさつやこの委員会の目的等 詳しく御紹介があるかと思いますが、御存じのように、水道法で定める水質基準が平成 4年に大改正をして以来10年経ちました。この10年の間に、環境リスクあるいは水道水 の水質管理に関する科学技術が大変目覚しく進歩いたしました。また、水道法の改正に 伴いまして、水道事業の在り方も従来に比べれば水道事業者の自己責任の下で性能を発 揮させるようにという方向性も打ち出されてきております。  それから、現在WHOで飲料水の水質ガイドライン、これも10年ぶりに大幅に見直す という作業が進められております。そのようなことなどを踏まえて、水道法に定める水 質基準を今後どうするかということについて、皆さん方の御協力をいただきながら、そ れなりのレポートをつくるというのが私どもの仕事でございますので、是非、先生方の お持ちの御経験や知識を御提供いただいて、しかるべき成果を出したいと思いますの で、よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入りますが、まず、最初に、開会に当たり、谷津水道課長よりごあ いさつをお願いしたいと思います。 ○谷津水道課長  厚生労働省健康局水道課長の谷津でございます。第1回の水質管理専門委員会の開会 に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  初めに、委員の皆様方におかれましては、大変お暑い中、また、御多忙の中、この専 門委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。また、水道行政の推 進につきましても、日ごろから御指導、御協力を賜り改めて御礼を申し上げます。  さて、後ほど御説明をさせていただきますが、去る7月24日付をもちまして、厚生科 学審議会の会長に対しまして水道法に基づく水質基準などの見直しにつきまして諮問を させていただきました。この諮問でございますが、本日午前中に生活環境水道部会が開 催されたわけでございますが、そちらの部会に諮問事項が付議をされてございます。本 日午前中の部会におきましては、この諮問に関します審議内容が科学技術に係る専門的 事項にわたるということでございまして、部会の下に本専門委員会を設けさせていただ くということが決定されたわけでございます。これを受けまして、早速、第1回の専門 委員会ということになった次第でございます。  この諮問の背景でございますが、先ほど眞柄委員長のお話の中にもございましたが、 平成4年の水質基準の全面的な見直しから10年を経過し、その間、さまざまな水質に関 する問題が出てまいったということが1点。  2点目といたしましては、WHOが現在、飲料水の水質ガイドラインの見直し作業を しておりまして、10年ぶりの大改正ということでございます。来年2月ぐらいに、その 成案がまとまるのではないかというふうに見込まれるわけでございます。  第3点目の背景といたしましては、規制改革の流れがございまして、水質の測定体制 などにつきましても、より合理的、効率的な方式が求められておるというような背景が ございます。こうしたことから、水道法に基づく水質基準の見直しなどにつきまして、 今回御審議を賜り、政府としても一層の充実を図るという方針で臨んでいるわけでござ います。  御案内のように、水道の普及率は96%を現在超えておりまして、国民皆水道というよ うな状況に至ったわけでございますけれども、一方で、より安全な水、おいしい水に対 する国民の皆様方の関心というのは極めて高くなっているわけでございます。これらの 声にこたえて水質管理の充実を図るということが大きな政策課題になっているわけであ ります。  委員の皆様方におかれましては、このような趣旨、このような状況を御理解賜りまし て、十分な御審議をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。  スケジュールでございますが、私どもといたしましては、できますれば来年の夏ごろ を目途に御答申をちょうだいいたしたいというふうに考えておるわけでございます。そ れに向けて、本専門委員会の検討結果の取りまとめにつきまして、これからいろいろ御 指導、御審議をいただければというふうに思っておるわけでございます。スケジュール 的にかなりタイトな中での御審議ということで、今後たびたび貴重なお時間をちょうだ いするということになるかと存じますが、よろしく御協力、御指導のほどお願い申し上 げます。  はなはだ簡単ではございますが、開会のあいさつに代えさせていただきます。どうぞ よろしくお願い申し上げます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、初めての会議でございますので、本日御出席の委員を事務局より御紹介い ただきたいと思います。お願いいたします。 ○松田室長補佐  それでは、本日出席の委員の御紹介をさせていただきます。  安藤正典委員でございます。  宇都宮暁子委員でございます。  遠藤卓郎委員でございます。  大谷倫子委員でございます。  大村達夫委員でございます。  国包章一委員でございます。  中村栄子委員でございます。  西村哲治委員でございます。  平田強委員でございます。  古米弘明委員でございます。  本日は、御欠席の委員でございますが、江馬眞委員と伊藤禎彦委員にもお願いしてご ざいますので、改めて御紹介申し上げます。 ○眞柄委員長  どうもありがとうございました。  それでは、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。事務局から お願いします。 ○松田室長補佐  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  資料1、水質管理専門委員会の名簿でございます。  資料2「厚生科学審議会の構成について」でございます。  資料3「厚生科学審議会生活環境水道部会運営細則」でございます。  資料4「厚生科学審議会生活環境水道部会水質管理専門委員会の設置について」でご ざいます。資料3と資料4は、部会で決定されたものでございます。  資料5「諮問書」でございます。  それと、申し遅れましたが、別途1枚紙でお配りしておるものがございますが、「付 議」というふうに書かれておると思います。寺田審議会長から部会長あての付議でござ います。これも資料5の最後に添付していただければと思います。  資料6「審議の進め方について(案)」でございます。  資料については以上でございまして、次に、参考資料について御紹介させていただき ます。  参考資料1「水道の現状と課題」でございます。  参考資料2「水道水質に関する基準について」でございます。  参考資料3「水道法における水質関連条項について」でございます。  参考資料4「水道水質等の状況について」でございます。  参考資料5「国際機関・諸外国の水質基準等について」でございます。  続きまして、参考資料6「水質基準に関する省令の一部改正について」でございま す。  参考資料7「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針改正の概要」でござい ます。  参考資料8は、課長あいさつにもございましたが、規制改革・公益法人改革に関する 資料でございます。  参考資料9「統計等資料」でございます。  最後の参考資料10でございますが、「生活環境審議会水道部会水質専門委員会・水質 管理専門委員会報告(抜粋)」となってございます。  資料については、以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。足りないものがございましたら、事務局までお申し出いた だきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、早速議事に入りたいと思います。最初に、議題1の生活環境水道部会水質 管理専門委員会について、でございますが、資料2から資料4まで、この専門委員会に 関連する事項が準備されておりますので、これらをまとめて説明をしていただきたいと 思います。お願いします。 ○岸部水道水質管理官  水質を担当しております岸部でございます。よろしくお願いいたします。  もう既に、眞柄委員長、それから、谷津課長から言及がありましたが、この専門委員 会の設置に至る経緯を資料2から資料4を使いまして、整理して御説明を申し上げたい と思います。  従来、水道関係の審議につきましては、生活環境審議会という審議会がございまし て、そこで御議論をいただいていたわけでございますけれども、御承知のとおり、先年 の省庁再編に伴いまして審議会も再編をされ、水道関係の事項につきましては資料2の 頭にございますけれども、厚生科学審議会で審議することとされたわけでございます。  審議会の下に大きく分科会が2つ、感染症の分科会と生活衛生の分科会とございま す。ここまでは法律、政令で規定されているものでございますけれども、審議会の決定 の中で部会を置くことができるということで、下から2段目、生活環境水道部会という 部会が置かれてございます。  この水道部会の審議事項と申しますのは、建築物の衛生云々とありまして、もう一 つ、水道に関する重要事項というようなことで、今回の諮問に関してはこの水道に関す る重要事項ということで本部会でご審議いただくことになったわけでございます。  今ざっと申し上げたましたところの根拠規定として、次のページから逆とじになって いますが、厚生労働省設置法、それから、厚生科学審議会令、厚生科学審議会の運営規 程がございます。  全体の詳細な説明は省略しますが、見ていただきたいのは、逆とじのページ番号5と 打ってございますけれども、厚生科学審議会運営規程というものがございます。その第 五条、審議会の会議は公開とするというようなことでございまして、それに倣った形で 後ほど御説明申し上げますけれども、この専門委員会につきましても公開で開催をさせ ていただいております。  更に、議事録についても第六条第2項にございますように、公開とするというような ことでございまして、本委員会につきましてもこれに倣った形で、議事録についても整 理の上、公開をさせていただきたいというふうに考えております。  それを部会で決定いただきましたのが資料3でございまして、厚生科学審議会生活環 境水道部会運営細則、先ほどの生活環境部会におきまして決定をされたということでご ざいます。  この中で、委員会の構成でございますけれども、委員会は厚生科学審議会の委員、臨 時委員、または専門委員の中から部会長が指名する者により構成するというようなこと でございまして、そのために本日御参集いただいた先生方のところには、委員、臨時委 員、または専門委員の辞令を資料と一緒に置かせていただいております。それと併せ て、この専門委員会の委員とするという指名書を置かせていただいております。  また、委員会に委員長を置くということで、委員長につきましては部会長が指名をす るということとされております。  それから、先ほども御説明差し上げましたけれども、第五条のところで、会議の公開 ということで、この委員会は個人情報の保護の問題があるとか、そういった特段の理由 がない限り公開をするということで公開でやらせていただきます。  同じく第六条におきまして、議事録につきましても個人情報の保護といった特段の問 題がない限り、公開をさせていただくというようなことでございます。  次に、資料4でございますが、こういった審議会令、運営規程、それから、運営細則 に基づきまして、生活環境水道部会に水質管理専門委員会を置くということを先般の生 活環境水道部会で決定いただいたものでございます。資料4の1の「設置」でございま すけれども、厚生科学審議会の運営規程、それから、生活環境水道部会の運営細則に基 づきまして、生活環境水道部会の下に水質管理専門委員会、本委員会を置くということ でございます。  委員会の構成につきましては、先ほど御説明いたしましたが、厚生科学審議会の委 員、臨時委員、または専門委員の中から、水道水質管理に関し学識経験を有する者とし て部会長が指名する者により構成するということで、先生方にお集まりいただいたとい うことになります。  それから、本委員会の検討事項でございますけれども、水質管理専門委員会は、水道 水質管理に係る専門的事項につき調査審議を行うものとするとされております。  更に、当面の検討事項と検討スケジュールということで決定されております。本委員 会におきましては、当面、先ほど言及がありました7月24日付の諮問について調査検討 を行うということでございます。検討の結果については、パブリック・コメント手続を 経て、来年度の早い時期を目途に取りまとめ、部会に報告するということを求められて おります。  その他の運営に必要な事項につきましては、部会長または委員長が定めるということ で決定されてございます。同時に、私どもとして専門委員会の委員としてこういった先 生方を考えているというようなことを部会に御説明申し上げ、了承されたところでござ います。  説明は以上でございます。 ○眞柄委員長  ただいまの説明について御質問がございましたら、どうぞ出していただければと思い ます。  それでは、特にないようですので、具体的な議題に入りたいと思います。まず、諮問 についてであります。では、資料もございますので、資料に基づいて御説明をお願いし ます。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料5に基づきまして、諮問につきまして御説明申し上げます。  まず、諮問書を読み上げさせていただきます。 (資料5「諮問書」朗読) ○岸部水道水質管理官  以上が諮問書でございますけれども、会長に諮問いたしましたところ、先ほど事務局 から御説明申し上げましたとおり、生活環境水道部会に付議するということで、水道部 会で議論をするというようなことになったわけでございます。  諮問の中身について、もう少し御説明をさせていただきます。資料5の3ページのと ころに「諮問説明資料」というふうに書いてございます。趣旨・背景につきましては、 たびたび委員長なり課長なりからお話がありましたので省略いたしまして、具体的に何 を御審議、御意見をいただきたいかという点から御説明をさせていただきたいと思いま す。  4ページの2で「今回見直しを行おうとする事項」というふうに書いてございます が、私どもとして御審議いただきたいと考えている点は3点ございます。  1点目は、たびたび申し上げていますとおり10年ぶりに水道法の4条に基づく水質基 準につきまして全面的に見直しをしていただきたい、というのが1点目でございます。  2点目は、規制改革3か年推進計画、本年3月に閣議決定した計画でございますけれ ども、その中で、水道水質の検査について、もう少し合理的なあるいは効率的なありよ うがあるのではないかというふうな指摘を受けました。従来、私どもそれを水質検査計 画の制度化ということで対応しようというように検討してまいりましたので、ここに書 いてございますように、水質検査計画の制度化等について御審議いただきたいというい うことでございます。  それから、3点目は、公益法人関係でございまして、御承知のとおり水道法20条にお きまして水質検査を行う機関は、水道事業者、地方公共団体の機関または厚生労働大臣 の指定する機関、いわゆる20条機関と言われている機関で行うこととされております。 また、簡易専用水道の管理状況の検査につきましては、地方公共団体の機関または厚生 労働大臣の指定する機関、いわゆる34条機関と言われている機関で行うこととされてお りますけれども、こういった2つの制度につきまして、指定制度というのは行政の裁量 の余地が大きいことから、いわゆる20条機関、34条機関についても、現在の指定制度か ら登録制度に変更するということが、ここに書いてございますような、公益法人に対す る行政関与の在り方の改革実施計画、本年3月の閣議決定におきまして指摘されまし て、それを受けまして、現在の指定制度から登録制度に移行するに当たって、どのよう な点に注意したらよいか、あるいはどのような登録制度にすべきかといった点を御審議 いただきたいというふうに考えてございます。  以上、3点が私どもとして本審議会におきまして御議論いただき、御答申をいただき たい点でございます。  それから、審議の進め方につきましては、諮問に係る審議内容が専門的かつ多岐にわ たるということで専門委員会を設置させていただきたいということで、御了承いただき ました。その上で、この委員会で具体的に検討を進めていただき、検討結果につきまし ては、パブリック・コメント手続を経て、専門委員会報告として取りまとめの上、部会 に報告いただくということでございます。部会では、専門委員会報告をもとにご審議い ただき、最終的に答申をいただく、というような形にさせていただきたいということで ございます。  最後に、「参考」のところでスケジュール、目安ということで、事務方としてはこう いうスケジュールでお願いしたいということでございます。平成14年8月、本日でござ いますけれども、生活環境水道部会を開催させていただきました。そして、その部会で 設置が決定されました本委員会におきまして、本日、具体的な審議をお願いしていると いうことでございます。  それから、本年11月WHO飲料水水質ガイドライン改訂案、今回3訂版になりますけ れども、この案が公表される予定でございます。  本委員会の審議経過については、途中経過を部会に報告する必要があろうということ で、本年12月に中間報告という形で委員会の審議状況を報告させていただきたいと考え ております。  それから、年が明けて2月になりますとWHOの飲料水水質ガイドラインが改訂され る予定でございます。  こういったWHOの新ガイドラインも見つつ、できれば来年の3月か4月辺りに専門 委員会報告案という形を取りまとめていただければ、というふうに思っております。そ の上で、パブリック・コメント手続、大体これは約1か月を要しますので、パブリッ ク・コメント手続を経た上で、可能であれば来年の5月か6月ぐらいに本委員会の報告 を取りまとめていただければ、というふうに考えております。  専門委員会の報告が取りまとめられた後は、それを生活環境水道部会に御報告し、そ の上で部会でご審議いただき、答申をいただきたいというように希望しているところで ございます。  説明は以上でございます。 ○眞柄委員長  ただいま事務局から会長に諮問をされ、そして、付議された事項等について御説明が ありましたが、何か御質問はございましょうか。この専門委員会で具体的にすること は、次の「審議の進め方について」というところで詳しく説明をしてもらいますが、よ ろしゅうございますか。  それでは、次の議題に入ってください。これが本日の主題でございますので、ここの ところでいろいろと御意見あるいは御質問等をいただきたいと思いますので、よろしく お願いします。それでは、まず、事務局から説明をしてください。 ○岸部水道水質管理官  それでは、資料6「審議の進め方について(案)」につきまして御説明させていただ きます。  実際にここで御審議いただきたいというふうに考えて準備いたしましたのは、ここで の審議の進め方をどうしたらよいか、それから、審議日程をどういうふうな形で進めた らよいかということでございます。  その前に、これを考える上でどういった検討課題があるだろうかということで、試案 として取りまとめたものを2ページ以降に添付しております。なお、この具体的な内容 あるいは項目につきましては、今後、本委員会で御審議いただくもので、審議方法とい うものを議論するために、仮にまとめたものでございます。  Iとして「基本的な考え方」、総論部分でございます。  総論で何を議論していただくかというと、まず、水質基準の在り方・性格ということ になろうか、と思います。  それから、2番目といたしまして、地域性・効率性を踏まえた柔軟な基準というよう なことで、例えば、すべての項目をすべての水道事業体で検査をする必要があるのだろ うかというようなところも御議論いただく必要があるのだろうというふうに考えたもの でございます。その意味で、必須基準項目というのは水道事業であれば日本全国どこで も検査しなければいけない項目であり、選択基準項目というのは原水の種類、原水の 質、浄水方法、これによって検査を省略することができる項目ということでございまし て、そういったものについて、どういったものがあるかというのを議論していただく必 要があるのではないか、と考えたものでございます。そして、どういったものが必須基 準項目であって、どういったものが選択基準項目であるかというのを決定する手段とし て、水質検査計画というものが位置づけられるのではないかということでございます。  それから、3番目といたしまして、逐次改正方式。WHOの方ではRolling revision というふうに言っているんですが、WHOのガイドラインもそうですし、私どもの基準 もそうですが、大体10年とかある程度一定期間を置いた上で見直しというようなシステ ムを今まで取ってきたわけですけれども、今回、WHOは、そういった形は今後取らな い、逐次新しい情報あるいは知見が得られた段階で逐次ローリング的に改正をしていく というようなことを言っております。WHO一辺倒ということではありませんが、これ は非常に理屈にかなったことなのかなということで、私どもの水質基準につきまして も、そういったことを検討していくことはあり得るだろうなということで、(1)の逐次改 正方式の導入というようなことで議論いただく必要があろうと考えたものでございま す。ただ、そのとき大事なのは、私ども行政が改正しようというアクションを取るきっ かけをどういうふうに考えたらいいのだろうか、あるいはどういう場合に水質基準の項 目を追加したり、削除したらよいのか、そういった要件については、この委員会で具体 的に御議論いただかないといけないのではないかというふうに考えております。  それから、水道事業体に水質検査の義務が課せられておりますけれども、別に水道事 業体ということではなくて、水道行政を担当している国あるいは地方の部局が、水道水 の状況をモニタリングするシステムというものも必要なのかなと、そういったことにつ いても議論していただく必要があるのではないかというようなことでございます。  それから、4番目といたしまして「水質基準の設定に当たっての考え方」。まず、微 生物に係る基準ということで、いわゆるHACCPの考え方を取り入れた管理というのが今後 必要になってくるのかなというようなことでございます。そういったことになります と、(2)にございますように水質基準の性格というのも少し考え方が変わってくるのでは ないだろうかというようなことでございます。  それから、化学物質に係る基準というようなことで、毒性評価をどうするか、それか ら、暴露分析をどうするか、それから、処理技術あるいは検査技術のレベルをどういう ふうに基準に反映させるか。その上で、どういう基準を設定するかという総論的な考え 方を整理しておく必要があろうというようなことでございます。勿論この辺りにつきま しては、生活環境審議会の時代にもいろいろ御議論をいただいていますけれども、そう いったものをもう一度今回レビューをした上で、よいものは採り、改めるべきものは改 めて再度整理をしていただく必要があろうというようなことでございます。  それから、英語のAcceptabilityに当たります性状に係る基準についても、どういうふ うに考えていくべきかということでございます。  それから、水質検査の問題がございます。まず、水質検査方法をどうするのかという ようなことでございます。次に、水質検査の品質保証、いわゆるQA/QCと呼ばれている ものでございます。先ほど御説明申し上げましたけれども、従来の指定制度から登録制 度というようなことがありますので、こういった品質保証の考え方についても再度整理 をする必要があろうというようなことでございます。  それから、水質検査のためのサンプリング、評価の基準。一応これまでも水質検査の ためにどういう頻度でサンプリングし、どういうふうに評価するというのは、通知レベ ルではお示ししていますが、この際、水質基準のための検査というのはどうあるべきか というのを再度整理していただく必要があろうかなと思っております。その上で、水質 検査計画の制度をどういうふうに考えるかというようなことを整理していただく必要が あろうかと思います。  こういった総論を踏まえまして、II「水質基準」以下は各論の部分でございまして、 微生物に係る基準、化学物質に係る基準、性状に係る基準、水質検査法といった各論を 順次御検討いただくのかなと思っております。  III「水質検査及び評価」でございますけれども、まず、1の水質検査における品質保 証の在り方でございますが、具体的にしっかりした品質保証制度をつくるべきであろう というふうなことを総論で御議論いただいた上で、具体的にどのような制度にすべきか というようなことで、内部精度管理の在り方、外部精度管理の在り方、その上で20条機 関における精度管理の在り方、水道事業体における精度管理の在り方といったものを御 議論いただくのかなと思っております。  次に、水質検査のためのサンプリング・評価として、サンプリング指針あるいは評価 指針というようなものをおまとめいただければ、というふうに考えております。  次に、水質検査計画はどういうものであるべきか。イメージといたしましては、各水 道事業体が作成するというのをイメージしていますけれども、どういう検査項目は必ず 測定する、どういう検査項目は省略する、その上でどういうふうな形で水質検査を行う か、といった水質検査計画の各論を検討していただくのかなと思っております。  それから、「情報公開」の問題についても触れる必要があろうというようなことでご ざいます。  IVで、水質管理手引書、アメリカですと「Health Advisory」と言われていますが、基 準にはならない項目についてもアドバイザリーがつくられておりますが、そういったも のの日本語版というものも必要なのではないかというようなことで、1つ項目を作って ございます。  それから、V「34条機関の登録基準」。先ほど御説明しましたとおり、貯水槽水道の管 理の在り方から始まりまして34条機関の在り方、それから、登録基準の在り方について 御議論をいただく必要があろうというようなことでございます。  最後に「今後の課題」というようなものをここでお示しいただくのかなというような ことでございます。  今、御説明しましたところは、繰り返しになりますけれども、仮に事務局がこういっ た検討項目があるのかなというふうに整理したものでございまして、今後の本委員会で 議論をいただく部分でございます。そういったことを頭に置いた上で、審議の進め方に ついてどういうふうなことが考え得るかというふうに整理させていただきましたのが、 1ページに戻りまして審議の進め方の案でございます。  検討事項が多岐にわたるというようなことで、具体的な検討に際しては、基本的に以 下のようなところで作業を進めていただいたらどうかということでございまして、主要 検討課題ごとに委員の中から主査を指名していただく。例えば、微生物に係る基準につ きましては遠藤委員、化学物質に係る基準につきましては江馬委員、サンプリング・評 価につきましては国包委員、水質検査法及び検査の品質保証につきましては安藤委員、 34条機関につきましては眞柄委員長、こういった形でお願いをして、その上で主査は、 私どもも当然作業をさせていただきますけれども、厚生科学研究などの場を活用して担 当検討課題ごとに検討課題はどういったものがあるか、検討結果の取りまとめ、あるい はこの水質管理専門委員会の報告原案の作成などをしていただく。本委員会におきまし ては、そういった主査からの、あるいは私どもからの報告を基に審議を行って、その上 で専門委員会報告として取りまとめていただくというようなことが1つ審議の進め方と して考えられるというふうに思います。  それから、2番目が審議日程でございますけれども、先ほどから申し上げております ように、平成15年6月を目途に報告を取りまとめていただければというふうに考えてお ります。それから逆算して、あるいは審議量から考えると、おおむね今後一月に1回程 度の頻度で会議を開催させていただけないかということでございます。目安は、先ほど 御説明したような形のスケジュールで審議を進めていただければありがたいというよう なことでございます。そういった形で審議を進めていただいたらどうかということで、 つくらせていただきました。  事務局からの説明は以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。こんなに仕事があるのだったら、委員を引き受けなければ よかったというのが皆さん方の率直な感想かもしれませんが、お互い前向きに議論をさ せていただきたいと思います。  それでは、2ページの主要な検討課題で一応御説明をいただきましたが、委員の方か らもう少し詳しいところをというような御質問なり、あるいはもう理解しているけれど もこれはこういうことかというようなところまで御意見をお出しいただきたいと思いま す。  最初に、「基本的考え方」のところがいわば入り口だと思いますので、まず、その部 分から御質問なり御意見を承っていきたいと思います、どうぞ。わかったよ、というな ら話は簡単ですが、なかなか難しいと思いますので、1ページ目のところに主査に指名 するということで、主査にお願いしたいと思いますが、まず、その主査の先生から確認 的な意味で御質問なり御意見をいただくということで進めていきたいと思います。  まず、遠藤委員から口火を切ってください。 ○遠藤委員  私が口火を切るべき立場かどうかは別といたしまして、御指名をいただきました。ま だ案が確実に決まっているわけではございませんが、御承知のように、クリプト問題を 境にいたしまして、生物学的な安全性、微生物学的安全性についての対応を取らなけれ ばいけないというのが、我々の差し迫った問題だろうと認識しております。そういう意 味からいたしまして、ここの案にもございますように、管理の体制については新しい方 法を導入せざるを得ないのではないかと考えております。WHO等でも言われておりますよ うに、食品の方で既に取り入れられておりますHACCPの概念を水道水質の安全性を確保す るために導入するという考えには妥当性のあることだろうと思います。また、この方法 以外になかなか対応し切れないのではないかということで、是非ともこのHACCPの概念と いうものを認識し、水道の方へ導入をしていく方向で検討したいと考えております。  HACCPの導入を前提と致しますと、当然ながら、これまで用いてきました大腸菌である とか、一般細菌であるといった測定値の持つ価値もおのずから変わってくるだろうと考 えられます。従いまして、これらについても再評価をしていく必要性があるのではない かと考えております。本会議にお示しいただきました事務局案に従いまして、私どもも 精いっぱい検討してみたいと考えております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  平田先生、何か微生物関係の方で御質問や御意見があったら、どうぞ出してくださ い。 ○平田委員  今日は黙っていればいいのだと思って出席したんですが、前に眞柄先生の方からお話 がありましたときに、遠藤先生の方からお話があったクリプト問題をどう扱うかという ことに関して、水道水の許容リスクというものをどう考えるのかということが非常に大 きな根本問題だと思うんです。化学物質については、一応既に10−5/生涯ということ で、一応のコンセンサスが得られていて、実質それが運用されてきているというふうに 理解をしているんですが、微生物についてはUSEPAが10−4/年という数値を出して以 来、一応それが1つの基準だというふうに動いているように感じておりますが、それを そのまま仮に使うとしても、実は年のリスクの積算値が10−4/年という解釈でいくの か、それともデイリーの、1回の摂水行動に伴って生じるリスクを10−4/年に相当す る1回分といいましょうか、そういうレベルでいくのか、いろいろな研究者がいろいろ なリスクモデルを出して解析しておりますが、そこは両方あって、どっちを使うか、そ れによって多分計算上100倍ぐらい数値が違う。この問題をどうするのかというのが、微 生物でここに加えていただいた者としては、方策をどうしようかというのを悩んでいる というのが正直なところで、その辺り、もう少し情報を集めなければいけないと思いま すが、その辺りもできれば基本的な方針といいましょうか、考え方をお示しいただける と物事が進めやすいかなというふうには思っております。 ○眞柄委員長  事務局から答えてもらうよりも、今日はお互いに考えているところを話し合おうとい うことにしたいと思います。多分、今、平田先生がおっしゃったことは、水質基準の在 り方とか性格のところで議論すべきことだろうと思いますので、そういう意味では事務 局が示すというよりも、我々が、両方あってこっちの方が日本の水道の状況や国民の意 思を尊択するとこちらの方になるよというようなものを書き込まなければならない性格 にあろうかと思いますが、大村先生、微生物関係について何か御意見がありましたら出 してください。 ○大村委員  今、遠藤先生とか平田先生の方からHACCPの話とか、リスクを含めた形の水質基準をと いうことでお話がありましたが、私もそういう方向でいけば将来、例えば、水質基準を セッティングするときにパブリック・アクセプタンスといいますか、皆さんに受け入れ られるような水質基準ができるのではないかという気がしていまして、私は大賛成なん です。  ただ、それをやりますと、いろいろな微生物がいますので、それぞれの微生物につい てリスクを評価して、それに対応するような水質基準をつくるというのは非常に難しい ものがあるのではないかと思います。そういうようなところは、やはり今までどおりの 例えば大腸菌の役割、一般細菌の役割というのがあると思います。10年前に大改正があ りましたけれども、それ以前も病原微生物に関して、国民的に問題なったということは そんなにあったとは思いません。また、クリプトみたいな形で突然に現れたリスクにつ いては、どうして原因が起こったんだということをきちんと明確にしていけばいいと思 います。しかし、将来、今、先生方が言われたように、どんな病原微生物が突然現れる かわからない。そういう時代になりましたので、環境リスクというものはこのくらいあ りますよということを少し考えながら、水質基準に反映していくということが将来の 我々の快適な水道水の利用に結びついていくのではないかと思います。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、続いて化学物質に係る基準の関係、江馬先生に主査をお願いすることにし ておりますが、今日は御欠席でございますので、化学物質に関する基準とその次のサン プリング・評価の主査をしていただく国包先生から、併せて化学物質とサンプリング・ 評価について何か御意見なりコメントがあれば出してください。 ○国包委員  今、委員長から特定の課題についてというお話がありましたが、今日は初回というこ とでもありますし、必ずしも枠にとらわれない話をさせていただきたいと思います。  1つは、この専門委員会の所掌範囲と言うのはちょっとおかしいかもしれませんが、 どういった範囲の議論をするかということに関連してなんですけれども、この資料6の 2ページ目のタイトルは「水道水質に関する基準の見直し等に係る検討課題」というふ うになっていますね。この「等」が実は気になっておりまして、いろいろ基準を中心に 議論をしていく過程で、先ほど来のHACCPの話もありますけれども、場合によっては、狭 い意味での水質基準の議論だけでは済まない部分が結構出てくると思うんです。こう いった機会ですので、基準に限っての議論をお願いしたいということには決してならな いというふうに私は思っているんですが、恐らく基準そのものよりも、場合によっては それ以外のもう少し広い意味での水質に係るいろいろな制度全体の在り方が非常に大事 になると思いますので、そういった部分の議論も是非大いにさせていただければと思っ ております。それは、今の委員長から御指名があった私の分担の部分にも勿論かかわる 話だろうと思っております。それが第1点でございます。  それから、ちょっと細かいことは省かせていただきますが、私の分担に関係がある部 分で、先ほど御紹介いただきました資料5の最後の4ページのところで「今回見直しを 行おうとする事項」ということで3課題が書いてございます。この中の2番目の「規制 改革3カ年推進計画に対応するための水質検査計画の制度化等について」、この辺りが 私の主として担当させていただく部分と大いにかかわりがあることではないかと思って いるんですが、できましたら後ほど若干立ち入ってこの辺のところを御説明いただけれ ばありがたいなというふうに思いました。  それから、もう一点は、これでおしまいにいたしますが、少なくとも10年前の水質基 準の改正のときには結果は勿論公表されておりますけれども、その詳細な根拠について は公表されなかったという経緯がございますね。今回は先ほど来いろいろお話がありま して、少なくとも審議の過程ですとか資料等もでしょうか、公開ということがありまし たが、最終的にこういった考えに基づいてあるいはこういった検討をした結果、基準な りをこういうふうに定めます、改正しますというふうなことが、これは恐らく当然だろ うと思いますが、そういった根拠が今回に関しましては全部きちんと整理をされた形で 公表されるというふうに私は期待しておりますし、恐らくそういうふうにされるのだろ うと思うんですけれども、せっかくの機会ですので、その辺りのことを御確認いただけ ればありがたいと思います。  以上です。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、今、国包先生から3つの点について御意見なり御要望を出していただきま したので、事務局の方から御回答をお願いします。 ○岸部水道水質管理官  お答えというか、御説明をさせていただきたいと思います。  1点目は、水道水質に関する基準の見直し等に係る「等」というのは何かというよう な御質問かと思いますが、これは役所の書き方でございまして、先ほど資料5の方で御 説明いたしましたように、3点ほど御審議いただきたいというようなことがあると申し 上げたと思うんですが、その1番目がメーンのところで水質基準の在り方、これが「見 直し」に該当し、(2)、(3)を含めて「等」と言っている、資料としてはそういうふうな 趣旨でこの「等」を書いてあるということでございます。勿論、専門委員会での議論は 別として、事務局の意図としてはそういう形でこの「等」を使わせていただきました。  それから、2点目に検査計画の制度化等についてというようなことで御質問がござい ましたけれども、これにつきましては、先生御承知のとおり、前々から指摘されている ものでございまして、水質検査項目は非常に増えるし、検査は負担が大変だというよう なことで、その検査の合理化ができないかという指摘がございまして、それをどういう ふうに合理化するかということで、さきの審議会でも御議論いただいたんですが、従 来、それを水質検査計画の制度化というような形で対応しようということで議論をされ てきたということでございまして、今回も従来の用語を使ってはおりますが、水質検査 の合理化についてどういった形で、安全な水を確保しつつ検査が合理化できるかについ て御議論いただこうというようなことが、この(2)でございます。  それから、資料等の公表でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、個人 情報の保護とか特段の支障を生じない限り原則公開ということで、本日も資料を含めて 公開というような形にさせていただいております。今後とも原則公開ということで進め させていただきます。  以上でございます。 ○眞柄委員長  ということで、その上で国包先生、何か御質問や御意見があったら出してください。 ○国包委員  特段はございません、わかりました。おいおいまた具体的な議論はさせていただけれ ばというふうに思っております。 ○眞柄委員長  それでは、江馬先生がいらっしゃらないので、化学物質関係のWHOを含めて国際的 な動き、それから、我が国の水道水の化学物質に関係する事柄などについて、国包さ ん、もし御承知のところがあったら御説明をください。あるいは、こういうところが主 たる検討課題になりそうだというのをお願いします。 ○国包委員  それでは、御指名ですので、何かしゃべらないわけにはいかないようですので。私の 今の時点での大まかな考えを申し上げるとすれば、恐らく10年前の改正のときと仮に比 較するとすればですけれども、今回は前回ほどの大幅な変更にはならないのではないか という感じがしております。ただ、幾つかのものについては、やはりその後新しい情報 が出てきて、例えばWHOのガイドラインなども一部見直されつつあるといったことも ありますので、そういうことを踏まえて、我が国の水質基準なりを見直していく必要が あるのではないかと思っています。  具体的な項目を幾つか挙げなければいけないと思うんですが、これはむしろ眞柄委員 長の方がより的確なお話をしていただけるのではないかと思っているんですけれども、 鉛に関しましては既に措置が取られておりますので、それ以外のものということになり ますと、消毒副生成物関係ではジクロロ酢酸を中心とした、いわゆるハロ酢酸類、これ は先ほど御説明いただいたどこかの資料にもあったと思います。それから、それ以外の MXなどがどのくらい問題になるのか、これは今のところ何とも申し上げられません が、眞柄先生が前に御指摘になったと思います。  それから、あとはオゾン処理で特に問題になります臭素酸ですとか、非イオンの界面 活性剤ですとか、あと、これはどういう議論になるかわかりませんが話題性のあるもの としては、1,4-ジオキサンですとか、こういったものになるのでしょうか、是非、安 藤先生あるいは西村先生あるいはほかの方からも補足をいただけるとありがたいと思い ます。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  今の水質基準を改正するときに、平成4年、10年ぐらい前ですが、あるいはそれの10 年ぐらい前にWHOがガイドラインを出したり、あるいはEPA、アメリカの環境保護 局が安全飲料水法に基づいて最大許容汚染濃度の制度をつくっているわけですけれど も、両方ともないのが界面活性剤でありまして、WHOも界面活性剤については何もコ メントしておりませんし、EPAもコメントしていないし、EUも言っていないので我 が国だけがあるという状況なんですが、そういうほかの国になくて我が国にあるものの 代表が界面活性剤だと思うんです。宇都宮さん、この辺は水道としてやはりその基準を 維持するかどうかとか、あるいはそんなものはもう国際的に恥ずかしい話だから外した 方がいいとか、いろいろ御意見があるかと思うんですが、いかがですか。 ○宇都宮委員  非イオン界面活性剤が今問題になっているというふうに理解しております。なぜ非イ オン界面活性剤がこのところ騒がれているのかということは、水道の方の観点から言う と発泡性ということで、これについては、平成10年度の専門委員会の時も御議論が あったようですが。もう一つの課題は、内分泌かく乱性です。内分泌かく乱性の毒性評 価についてはまだ世界的にもきちんとした評価がされていないという状況ですので、現 段階では、発泡性で見るしか今のところはないのかなと考えています。ただ、今回の委 員会では内分泌かく乱性のことも念頭に置いて考えていく必要があるというように思っ ております。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それでは、続いて水質検査法と検査の品質・保証ということで安藤先生に主査をお願 いしているわけですが、安藤先生何かここら辺りで御意見がありましたらお願いしま す。 ○安藤委員  私も今のところは大した意見はないですが、いずれにしても水質基準の改訂をすると いうことは、先ほどの「今回見直しを行おうとする事項」という2番目、3番目のお話 につながることであろうと思います。つまり、精度の問題というものについて踏み込む 絶好の機会だろうと思います。前回までは、確かに精度的なお話の触りぐらいまでは いったけれども、もう一つ踏み込んでいないというところがあったと思うんです。そこ に踏み込むことが非常に大事ではないかと思っております。  先ほど遠藤先生あるいは平田先生が微生物関係でおっしゃいましたが、管理というお 話に踏み込むんだということです。そうすると、微生物だけがHACCPなり何なりのいろい ろな情報については、ちゃんと管理しなさいよという話だけでは進まないわけで当然、 化学物質のいろいろなデータというものについてちゃんと管理していかなければいけな いということになる。ということは、HACCPの問題だとかそういうものは全部に共通する 問題で、これは精度に最終的にはつながる問題であろうというふうに思います。  それから、もう一つは、公営という水道事業体から民営というものが入り込んでくる ということからすると、どうしてもそこにクリアな面を求めなければいけないというこ ともあります。あるいは情報を公開するんだということもあるんだと。それから、先ほ どのリスクの低減化ということもありましたけれども、いずれにしても、数値や判断の 正当性というものを第3者にもわかるようにクリアにしていくということでは、精度を 明確にするということになるし、そのためには幾つかのHACCP的な管理ということを私が 一応まとめ役というところでも導入していかないといけないのではないか、そんなふう に考えています。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  中村先生、水道の水質試験方法、水質基準を決めると自動的に試験方法も出すことに なっているんですが、昨今GC/MS、ICP、LCというところまでどんどん機器分析 が入ってきているんですが、そろそろ先ほどの精度管理のことも含めると重量や容量分 析は大体機器分析に限ってもいいというような気もしないわけではないんですが、どの レベルまでこういう水道分野あるいは環境分野も含めてですが、分析技術の水準をどの 辺に設定したらいいかというようなことについて、御意見があったら出していただけま すか。 ○中村委員  私は分析が専門で、今まではほとんど環境水の分析で今回初めて水道水ということに 参加させていただいているんですが、今の委員長からの質問に対しては、例えば、すべ てをGC/MSとかICP/MSでやるといった場合に、先ほど水質の測定もいろいろ 制度化していくという点で、すべての事業所でそれがちゃんと管理できるかなという点 で、やはり基準値と合った測定法をそれぞれ選んでいくというのが、今は大変重要では ないかと私は思っております。それでお答えになっていますでしょうか。 ○眞柄委員長  はい、ありがとうございました。  大谷さん、今のことについて、水質検査計画と当然連動するわけですが、検査方法と いうか試験方法を現状程度でとどめるのか、もう少し踏み込んでも対応可能なのかどう か、御経験上御意見があったら聞かせていただきたいんですが。 ○大谷委員  札幌の大谷でございます。今は衛生研究所というところにおりますが、以前は札幌市 水道局の水質試験所の方におりました。  今の委員長からの御質問の件なんですけれど、やはり全国的に見れば分析機器の整備 という点では、全部一律にどこの水道事業体も立派なというか、かなり金額も高くて精 度が得られるような機器を整備できるかというと、そういう状況ではないと思いますの で、今、中村先生も言われたように、全部最先端のものというわけにはいかないのでは ないかと思います。  それと、もう一つ、以前も衛生研究所の方にいたことがあるんですが、3年前に衛生 研究所の方に戻ってみましたら、食品関係の方の精度管理はすごく進んでいて、環境サ イドではそういうものはないんですけれども、工場関係では先ほど来話題になっていま すHACCPがありますし、分析する立場でもSOPとかGLPが食品衛生法の関係で全部決まって います。それで微生物で言えば、孵卵器一つとっても温度を連続的に記録して、検査結 果が間違いないということを科学的に証明できるということが要求されています。そう いう面では環境分析の方は、pHメーターの検定みたいなものはあるんですけれど、日常 の機器の定期検査とかも含めた精度管理という点では、食品関係に比べるとちょっと遅 れている面があるかなというふうに感じています。その辺りも安藤先生もおっしゃられ たように、微生物と併せて環境分析に関する精度の保証についても全国どの事業体でも やれるのをどのレベルにするのかというのは、かなり考えていかなければならないと思 います。  最後に、規制改革について少し。今のところ水質検査については、なるべく自前で各 事業体が、それが難しい場合には広域でやっています。水質検査を民間に委託するとい うことになりますと、水道事業体の側から言えば、データの信頼性については精度管理 の実施などで保証されると思うんですが、出てきた数値が異常の場合にどう評価してど のような対応を採ったらいいのかを民間の機関では示せるのだろうかという不安があり ます。自前でやっているのであれば、浄水処理などについてもある程度知識があるの で、こういうデータが出た場合は、どこをどうすれば良いというようなことを水質試験 所としてもアドバイスできるんですが、民間の検査機関であれば正しいデータは出せる けれど、水道事業体にとって必要なノウハウを備えているかどうかがわからない部分だ と思います。もし、規制緩和ということで登録制を採用して、民間の検査機関に検査を どんどん委託するようになるのであれば、やはり水質管理のノウハウを全国的に広める というか、管理マニュアルみたいなものを作るとかしなければ、かなり難しいのではな いかと思います。何か雑ぱくな話ばかりで。 ○眞柄委員長  いいえ、ありがとうございます。  国包先生、今の3番目の基準はそうで、検査して結果が超えたとなったときにどうす るかというときの水質管理マニュアルみたいなものをどうするかということについて、 何か御意見があるか、そういうものはアドバイザリーになるのかどうかわかりませんけ れども、何かお考えがあったら出していただけますか。 ○国包委員  今、御指摘のようなことは、私の知っている例でも、これは具体的に名前を挙げても 差し支えないと思うんですが、沖縄県で、あそこは割合小規模の事業体が多いものです から、水質の検査をある機関が請け負ってされて、その結果を出すだけではなくて、い ろいろそれにプラスアルファでいわゆる助言的なことをされているという例があるのを 知っております。  御指摘のようなことというのは、特に小さいところにとっては大事なことになってく ると思います。今後もっと、もしかしたら水質検査だけの外注というのは増えるかもし れませんので、そうしますと、中規模あるいは大規模についてもそういった必要は出て くるかもしれないと思いますが、ある意味では新しいビジネスということになるかと思 うんですけれども、御指摘のように、何がしか片一方でそういったことについてのフォ ローのための例えばガイドラインを整備していくですとか、ある意味では維持管理指針 的なものになるのかもしれませんが、何かそういったことも片一方では規制緩和と併せ て考えていく必要があるのだろうと思います。ちょっと具体的に私はどうすればいいの かというのはわからないんですけれども、お答えになりましたかどうか。 ○眞柄委員長  国包先生に主査になっていただくところに評価というものがあるので、今、大谷さん が言われたようなことを評価の中で制度化して位置づけられるかどうか、20条の機関が 仕事を受けたときに、結果を報告するときに評価も一緒にするというようなことを制度 化できるかどうかということも御検討いただければということではないかなと思うの で、よろしくお願いいたします。 ○国包委員  お話は今承りましたが、私自身はここの部分の評価というのは、基準に適合してい る、あるいはしていないという意味での評価というところまでというふうに考えており ました。ですから、今のお話のような意味での評価ということになりますと、評価とい うよりは、むしろ評価が出た後のフォローの体制なりということになりますから、そこ までは少なくとも今の今まで私は考えておりませんでして、それがやれるのかどうか、 あるいはそこまでしなくてはいけないのかどうかというのは、もう少しお時間をいただ いて考えさせていただければありがたいと思います。 ○眞柄委員長  来年の夏までありますので。  安藤先生、何かございますか。 ○安藤委員  評価のお話はちょっと置いておきまして、今の大谷先生のお話というのは非常に私も 危惧している点です。つまり、水質基準というものができました。それについて、こう いう体制でやりましょう、こういうことでちゃんとしたデータを出してくださいよとい うのは制度としてできると思うんです。問題は、水源もそうですが、その途中でもどこ でも突発的な何か問題があったときに、そこですぐ対応できるようにするにはどうした らいいのだろうか。これは、例えば民間の検査機関ですぐ対応できない。民間に知識が あるならばある程度はできるだろうけれども、そこからできなくなる。そういうふうな 非常に緊急の時間的に切迫した問題が出た場合どうするか。そこを何かの仕組みで考え ないと、困ることが起きるだろうなという気が非常にしております。つまり、水道とい うのは単なる水があって、そこで処理すればできるという話ではなくて、あくまで環境 の水を処理して、その中で工場のようなところでつくって、それを末端まで配るという 水源、処理過程、配給水の3つの過程があり、それらが一連の1つのラインに乗ってい るわけですから、そこで何かが起きたときにどう対応できるんだということの仕組みま で議論しないと、まずいのではないかという気がしております。 ○大村委員  今のお話で、水道の場合ですとそういう問題が起こったときには、どちらかというと 給水ストップというような形で対応している。その給水ストップを補うために、いろい ろなところで上水道のベースの健全なところからうまく水を回したりして、それに対応 するというような形でやられてきたのではないかと私は思うんです。平田先生、例え ば、下水処理場の中の排水の中にクリプトが出た場合に、これに対応するために凝集剤 を入れてそれをなくすというような対応策を取られたことはありますよね。 ○平田委員  下水サイドから言うと。 ○大村委員  だから、例えばそういう何か問題が起こったときにそれに対応する、あるスポット的 に対応できるような技術というものも必要だと思いますし、そういう周りからの支援も 必要だと思いますので、基準を決めた後のフォローアップというところの考え方も根本 にきちんと入れていかなければいけないなという気も私はします。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  では、古米先生、何か御意見なりあったらどうぞお出しください。 ○古米委員  全体的にお話を聞いて、本委員会では水道水質基準の見直しが中心であることを理解 しておりますが、やはり水の質を考える場合、私は原水水質の方が重要だという認識が あります。良い水質であれば通常の適当な処理を施せば問題は生じないわけです。この 原水水質の問題と浄水の水質とをどこまで結びつけてこの専門委員会で議論するのかと いう点が非常に気になっています。  水道事業者は、浄水場では原水の水質測定も行いますが、最終的な浄水の水質を確保 する役割と責任を持っているわけです。一方で、給水管末端で飲む時点での水質が安全 であり、おいしいということが究極の目標であると、最終的な水利用者に対してどんな 水質を確保できるかということをもってして、水道基準のあるべき姿を議論すべきとも 考えます。現実的には浄水場の出口での水質として基準を作らざるを得ないですが。水 質基準項目や基準値を考える際にも、水道水質をよりよくするためにどの時点での水質 に着目するかが重要です。従来から、浄水場での水処理技術に頼りながら、安全な水質 を確保していますが、90年代に水源水質をどう保全すればいいかという話が出てまいり ました。例えば、汚濁発生源を十分にコントロールできれば、監視項目も大きく変わり えます。原水水質と浄水水質との関連を将来的にどのように見据えていくのかという議 論もあってもいいだろうと考えます。また、配水管なり給水管末端での水質をどう将来 的に押さえて、その水質と浄水場出口での水質をいかに関連付け、位置付けて考えるの かも気になっています。  次に、本日の配布資料にある基本的考え方における「柔軟な基準」という点について ですが、私も地域性や効率性を考えると、すべての浄水場ですべての基準項目を分析す るということには無駄があるだろうと思っています。水道原水が湖沼なのか河川なの か、あるいは地下水なのかによって水質は当然違う。さらに言えば、水系の分類ではな くて、水源の集水域がどういう状況なのかという意味における原水の類型化をするべき ではと思います。類型化された水源の浄水場ごとに、集水域内にどのような汚染源を 持っているかを把握した上で、浄水場ごとに分析すべき水質項目の測定頻度のランク付 けするなど、地域的な状況を踏まえた水質基準設定がありえるかもしれません。さら に、農薬や藻類由来の物質など特定時期に現れる水質項目もあるわけですから、季節に 応じた水質項目の設定を考慮しても良いようなこともありえます。したがって、地域 性、効率性、場合によっては時間的な軸も入れた柔軟な基準項目設定という切り口もあ り得るという感じがします。  水質監視あるいはサンプリングについては、厚生労働省の水道分野で一生懸命測って いる原水データと、環境省が測っている水質データと、場合によっては国土交通省の データなどもあります。水道分野だけで水質監視を効率化する次元を超えて、もう少し 国全体として水道原水として使っているものをどう把握して、浄水後の水道水質基準を 守るべく努力するかということを考えることも有意義ではと考えます。水道水質のため に、もう少し水質監視やモニタリングの効率化の視点を広げうるのではと感じていま す。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。  それに関係するのが、化学物質に関係する基準の中で多分農薬だろうと思うんです が、西村先生、農薬についてどんなアプローチが考えられるか、お考えを出していただ けますか。 ○西村委員  農薬については、特定の時期にまかれることから、原水中に流れ出てくる濃度が、あ る時期に非常に高い可能性があることで、その時期をどのように把握するかということ があると思います。その点で、実際のサンプリングの仕方等も検討しなければいけない とは思いますが、例えば、使用量に毒性評価、ADIというものを何らかの形で加味し て評価することで、農薬の測定する項目を選ぶ方法に対する考え方を検討するアプロー チがあると思っています。 ○眞柄委員長  ありがとうございます。  あと34条機関のことは私が主査ということでありますが、20条機関もそうですが、先 ほど来お話がありますように、検査をして結果は出てくるけれども、どうフォローする かというところが重要なポイントだと思いますし、厚生科学研究費で水道技術センター でやりましたACT21の中で、1つのビジネスモデルとしてパブリック・サービス・ ユニットという、要するに公的なサービスを行うユニット、電子媒体上でだれでも使え るようなシステムをというのを報告しておりますが、そのようなものを念頭に置きなが ら、やはりパブリックなサービス・ユニットというものがこれからますます必要になる だろうと思いますので、そのような視点も含めながら検討をしていきたいと思います。  いろいろ今日は1回目でございますので、各委員からそれぞれそれなりに有益な御意 見をいただきまして、ありがとうございました。資料6「審議の進め方について (案)」というものが先ほど来出されておりますが、一応この案に基づいて専門委員会 の仕事を進めていきたいというふうに思います。  審議の進め方の2番目に書いてありますように、各主査の先生方は大変なことだと承 知しておりますが、厚生科学研究などの場等を御活用いただきまして、課題の抽出や検 討結果の取りまとめ、報告の原案の作成などを進めていただきたいと思います。  それから、午前中に開催されました生活環境水道部会で、必要に応じて水道事業体の 方々から御意見を伺ったりあるいは御協力をいただくようなこともあるというようなこ とが話題になりましたので、主査の先生方はそういうようなことも議論になったという ことを踏まえて、積極的に場を活用していただきたいと思いますので、よろしくお願い をいたします。  それから、今日は第1回目で審議の進め方ということでございますが、その後は月に 1回程度開いて、要するに、取りまとめが済んだものから順次どんどんと進めていくと いうやり方で進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、議題のその他ですが、何かございましたら事務局の方からお願いします。 ○遠藤委員  審議の進め方の中に入るかと思いますけれども、extreme events、すなわち、緊急事 態への対応というものを平常時から持っておく必要があると思います。当然、今でも やっているのだろうと思いますが、特に、昨今ワールドカップサッカーなどで話題にな りましたテロ対策とかいったものも含めた上での緊急事態に対して特異な形で対応する というのは、そのような行為を助長することにもなりかねません。むしろ、いかにそれ を平常時の中で対応していくのかということも併せて御検討いただくという必要がある のだろうと考えております。いかがでしょうか。 ○眞柄委員長  国包先生からWHOでそういうものも話題になっていたと思いますので、ちょっと御 紹介していただけますか。 ○国包委員  今日の資料6の最後のページのIVにもヘルス・アドバイザリーのことが出てまいりま すけれども、これもそういったことを若干念頭に置いて書かれたのではないかと思って おりますが、今、委員長からもお話がありましたように、遠藤先生にも出ていただきま したけれども、本年5月の東京でありましたWHOの飲料水水質ガイドラインの会議の ときにも御指摘のようなことを考慮して、通常のWHOのガイドラインの値とは別に、 短期間に何らかの事情でそれを超えた場合でも、ある程度の限度内であれば項目ごとに ですけれども、この程度であれば実質問題はないよとか、そういうレベルの設定につい て考えたらどうだということで、いろいろ議論はありました。  ただ、その場ではごく大まかな全体的なことについての意見交換があったぐらいで、 個々の物質についてどういう根拠でどういうふうに決めていこうというところまではな かなかなかったわけですけれども、翻って我が方の水質基準の検討の中でそういったこ とも場合によってはあるのかもしれませんし、それ以前に、現行の基準ですと一応は一 切超えてはいけないというふうに読めるような基準になっておりますが、この辺は実態 としては超えているケースもあるわけですから、そういった場合に、むしろどういった アクションを取るべきかということをまずきちんと決めていく必要もあるだろうと思い ます。  それと、たまたま1回超えた場合ということではなくて、何がしかの事情があって特 に高い値が続いたとか、あるいは地域によってといった場合の考え方の検討というの は、私もやる必要があるのではないかと思っています。 ○眞柄委員長  ありがとうございました。 ○大村委員  1つ、この場の話とマッチングしているかどうかちょっとわかりませんけれども、例 えば、水質基準を決めるような水質項目に対しては、あらかじめある程度わかった物質 なんですね。ところが、例えば将来の水質基準を考えたときに、今現在、水道となる水 の中に含まれている物質はもっといっぱいあるはずなんですね。中村先生にお聞きした いんですが、例えば、GC/MSなどをやりますと、標準物質やわかっている物質につ いてはぱっぱっとわかるけれども、残っているunknownな物質がいっぱいあって、そうい う物質は実際含まれているわけですから、それがどの程度我々のところに実際に将来害 を及ぼすかということは非常に私は重要ではないかと思っています。その残った部分の 中で、我々はそれを捨ててしまっているわけですね。だけれども、その辺のところを捨 てずに、無駄にせずに、ある頻度で非常によく現れるようなunknownの物質については、 きちんと同定する必要があると思います。自然界では物質変換は常に起こっているわけ ですから変換後の物質についてもやはりデータを捨てるのではなくて、必要なものとし てある程度きちんと明確にしていく必要が私はあるのではないかという気がするんです が、その辺のところはどうでしょうか、やはり評価していかなければいけないのではな いですか。 ○中村委員  先ほども10年見直しではなくて、例えば、逐次入れていくというような考え方も出さ れていましたよね。今、分析にかかってunknownが出て、それが例えばどのくらいの毒性 とかそういう毒性評価のデータというのを水道の方ではどこから入手しているのです か。今、いろいろな方が化学物質の毒性評価というのをやっていらっしゃいますよね。 その辺のデータをどういうふうにここで使っていくかというのも大変重要になってくる と思うんです。毒性評価の方々がやっているデータをこちらで本当に有効に利用してい るのかどうかという辺りを時々環境水の分析などでも感じるところがあります。だか ら、世界的に集められた化学物質の毒性評価のデータをどう生かしていくかというの が、これから問題になってくるのではないかと思うんですが。 ○大村委員  ですから、そういうunknownな物質をそういう形で整理していけば、例えば日本発の水 道水の安全管理というものの中にもいろいろなデータを出し得るような気がするんです よね。ですから、もし可能ならば、是非考えておいてほしいなという気がします。 ○眞柄委員長  是非、大村先生には今後の課題というところを書いていただいて。是非、お願いしま す。 今日は最初ですので、フリーディスカッションということにいたしましたけれども、水 道の水質基準をもとに水道でどう管理をしていくかというのは、非常に大きな問題でも ありますし、さまざまな問題を抱えておりますが、一方では、今話題にありましたよう に、水道水の中に含まれている物質が新たなものが具体的にわかり、それの毒性情報が 増えてくるということを考えると、管理の対象にしなければならない項目は増えること はあっても減ることはない。しかし、管理をするために少なくともこれだけは必ず把握 しておかなければならないというのを明確にするというのが基準だろうというふうに思 いますので、基準をつくればそれは日本の水道サービスのベンチマークになるわけです から、そういう観点で専門委員会を進めていただければというふうに思います。  それと、やはりこれまでの基準の制度の中で無かったのは、モニタリングとサーベイ ランスの部分と、クオリティ・アシュアランスが足りなかったということでありますの で、その部分については新たに水質基準の制度の中にどう位置づけるかということを御 検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局の方で今後の予定等ありましたら、どうぞ出してください。 ○岸部水道水質管理官  ありがとうございます。先ほど御承認いただきましたけれども、大体月に1回程度と いうことで、早速次回の日程調整をさせていただきいと思います。恐縮でございます が、先生方のお手元に日程調整表をお配りさせていただきますので、もし、現時点で日 程がおわかりでしたら、ご記入の上、帰りに事務局にいただければと思います。今わか らない先生方におかれましては、後ほどFAXでお送りいただければというふうに思っ ております。  以上でございます。 ○眞柄委員長  専門委員会は一月に1回ということでございますが、それぞれの主査の先生方は、適 宜事務局なりグループでワーキングなりディスカッションをしていただきたいと思いま す。その辺については事務局と御相談をいただいてどんどんと進めていただきたいと思 いますので、よろしくお願いします。  それでは、今日は第1回目でございまして、具体的に決めることはございませんが、 いろいろと御意見をいただきましたので、その御意見をベースに今後進めていきたいと 思います。  どうもお忙しいところをありがとうございました。                    −了− 照会先:厚生労働省健康局水道課 電話 :03−5253−1111(内線4032)