02/07/31 第2回新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ議事録       新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ第2回全体会                        日時:平成14年7月31日(水)                           10時30分〜                        場所:厚生労働省省議室 ○医事課長  ただいまから、新医師臨床研修制度検討ワーキンググループを開会します。委員の皆 様方におかれましては、お忙しい中ご出席をいただきまして誠にありがとうございま す。本日も文部科学省から医学教育課の村田課長が出席の予定です。また労働基準局監 督課から、栗真主任中央労働基準監察監督官が出席しております。よろしくお願いしま す。本日の議事につきまして矢崎座長、よろしくお願いします。 ○矢崎座長  議事に入りたいと思います。委員の皆様方には今日は、お暑い中をお集まりいただき まして、ありがとうございました。これまで3つの小委員会に分かれていただきまし て、集中的にご議論をしていただきました。本当に大変お忙しい中を精力的にご審議い ただきましたことを、初めに御礼申し上げたいと思います。  本日の2回目の全体会におきましては、各小委員会の検討結果のご報告をいただきま して、新しい医師臨床研修制度について、順に全体会としてとりまとめの議論を進めて まいりたいと思います。まず初めに、事務局から各小委員会の検討経過について説明を お願いし、その後、各座長をしていただいた委員長の方々からコメントいただき、その 後で議論を詰めたいというスケジュールで考えていますので、よろしくお願いします。 それでは事務局から、今までの3つのワーキンググループの検討経過について、よろし くお願いします。 ○医事課長  私のほうから、この間の小委員会でのご議論などのとりまとめにつきまして、ご報告 をさせていただきたいと思います。お手元の資料に基づきましてお話をさせていただき ますが、資料1はワーキンググループの委員名簿です。資料2は、この間の小委員会の 検討経過ということで、研修プログラム小委員会については4回、施設基準小委員会に ついては3回、処遇等小委員会については2回、それぞれ開催したものです。資料4の 研修プログラム小委員会の検討資料をご覧ください。これは資料4−1から4−4まで に分かれていますが、順次説明をさせていただきます。  資料4−1ですが、「医師臨床研修の目標(案)について(第3版)」というもので す。これについては小委員会で提示させていだき、ご議論をいただいたものですけれど も、大筋でこの基本的な構成、内容についてご異論等はございませんでして、現状では このような形になっています。また、この目標の特徴としては、この中の12頁をお開き いただくと、1つの例と言いますか、経験が求められる疾患・病態という格好で書いて います。その下に四角で囲って必須項目ということで特記しています。  この中にありますように、下線の疾患については外来または受け持ち入院患者で自ら 経験をする。囲みの疾患については入院患者を受け持って、その症例レポートを提出す ること。外科症例については1例以上受け持ち云々ということで、必須項目というもの を明示しているということが1つです。  その下に括弧があり、その更に下に全項目の70%以上を経験することが望ましいとい う形で、ここの目標に盛られている疾患・病態あるいは手技等について、その扱いを明 示した。特に必須項目を明らかにしたということが特徴です。内容の詳細については省 略しますが、研修目標については以上のようなものが現状での案となっているというこ とです。  資料4−2ですが、「研修プログラムの基準(案)について(第4版)」ということ です。これは1頁目をご覧いただくと分かりますように、このプログラムというのは研 修目標、研修方式、研修施設、定員、指導体制、処遇、その他というふうになってい て、それぞれについて項目を記述しているという内容です。  2頁目には、研修目標、研修ローテーションということが書いてあります。研修目標 については、先ほど4−1でお話をさせていただいた内容のことを指しているわけで す。研修方式、ローテーションということで、どのような診療科を回るかの基本を書い ています。全体で2年間、基本研修と選択研修から成っているということを書いていま す。  3頁目を開けていただくと、その基本ローテーションの構成を、どのように考えてい るかについて書いています。基本研修は24ヶ月のうちの18ヶ月という考え方を示してい て、その下に基本研修事項として内科及び外科を標準研修期間として8ヶ月、そのうち 内科、外科をそれぞれ3ヶ月以上経験すること。以下、小児科、精神科、産婦人科、救 急部門、地域保健・医療等というものを基本研修として、ここは必ず、この期間は回っ ていただくという考え方を示しています。  また、この考え方に対しては、3頁の下の四角で囲っていますようにa、b、cとい う案も出されているということです。aという考え方については、このうちで精神科と 産婦人科については必修選択としはどうかという考え方です。b案については、小児 科、産婦人科については成育部門として、あわせて研修期間を定めるという考え方はど うかということです。cについては、基本研修期間のうちの小児科から地域保健・医療 については診療科ごとに研修期間を定めずに、あわせて合計10ヶ月とするという考え方 ではどうかという3つの考え方が示されたということです。  4頁目は選択研修についてです。これは24ヶ月のうちの18ヶ月を引いた残りの6ヶ月 ということを言っています。それからまた、それぞれのプログラムの中では回る診療科 について、最小の期間は1ヶ月以上回ることとするという考え方を示しています。また 3の研修施設のところに書いていますように、研修管理委員会を設置する病院で最終的 な修了判定なども想定しているわけですが、その施設においては研修期間全体の8ヶ月 以上を、そこで研修を行うということも記しています。(3)に飛んで、研修協力施設 での研修ということですが、これは病院ではない研修に参加する施設で、診療所とか保 健所等を指しているわけですが、そういった施設での研修期間は3ヶ月以内とするとい う考え方です。  5頁目の定員のところですが、研修プログラムについては、何名募集するかという定 員を明確に定めることと同時に、20名を超える場合は、20名を超えない範囲で副プログ ラム責任者という、その研修医を2年間、責任を持って指導する者を置くことという考 え方です。また人数については、1学年について各プログラム最低2名ということを 言っています。5の指導体制ですが、プログラム責任者の役割、これは2年間、全体を 通じてプログラムの調整をするという役割ですし、また指導医は各診療科で研修期間 中、個々の研修医の指導を行うものということです。(3)で研修管理委員会の役割と いうことで、全体のプログラムの調整と、その研修の評価を受けまして最終的な研修修 了の可否を判定するということです。  6頁で処遇については別途、処遇小委員会で検討していて、これは後ほど説明させて いただきます。7としてその他がありますが、採用は原則として公募ということ。採用 にあたってはマッチングシステムを活用することなどについて書いています。以上がプ ログラムについての議論の概要ということです。  資料4−3に基づいて、「研修医の評価」ということについて若干、説明させていた だきます。研修医の評価については2頁目、評価基準についてということで書いていま す。これは先ほど説明した4−1の卒後研修の目標に基づきまして、修了の評価を行っ ていただくということです。評価については、評価者として指導医、プログラム責任 者、研修管理委員会で行っていただくわけですが、その際、次のように行うということ で、それぞれの役割を書いています。また医師だけではなくて、(1)の指導医の欄の 3つ目の○にも書いていますが、看護師等のスタッフからも意見を聴取して評価をする ということなども記載しています。それぞれの役割について、より詳細に書いていま す。  資料4−4は、「マッチングシステムの考え方」について説明した資料です。これは 1の右の下に概略のフロー図が書いてありますが、組み合わせ決定実施機関、研修希望 者、研修施設から成っています。希望者が研修施設で面接等をした後に、希望順位を組 み合わせ決定機関に登録する。施設のほうも、どの希望者を採りたいかという希望順位 を登録して、マッチングさせた結果を、それぞれ返すということです。  4頁目にその流れの図を示しています。左側が研修病院で、右側が医学生(研修希望 者)ということです。真ん中の欄がマッチングを担当する機関ということです。初めに 病院からは研修プログラムを登録して、応募を受け付けるということを表示していただ きます。そして医学生のほうも登録をしていただく。どういうプログラムがあるかとい うことを公開した後に、医学生のほうはそれぞれの施設に応募して、その応募状況も事 務機関において公開して、どの程度集中しているか分かるようにすると同時に、研修病 院では医学生を面接あるいは採用試験をするなどして、その結果に基づいて希望順位を 病院の側、医学生の側それぞれが提出し、コンピューターを用いたプログラム、アルゴ リズムで組み合わせを決定して、その結果をそれぞれに通知するという仕組みです。そ の期間を現在、想定研究しているところです。  5頁目に、そういった内容のマッチングをする際のスケジュールを示していますが、 これは平成15年において、このような格好のスケジュールが当面、考えられるというこ とです。春に医学生の登録・応募を行いまして、夏の期間に面接、希望順位の提出等を 行っていただき、秋に組み合わせ決定、結果の通知を行うという案を現在、考えている ということです。  次に資料5に基づきまして、「施設基準小委員会の検討状況」ということです。資料 5の指定基準(案)についての第3版をご覧ください。基本的にこの施設基準は単独型 の施設、病院群としての施設、これは管理型の病院と協力型の病院という言い方をして います。それと研修協力施設、これは病院として指定を受けるわけではありませんが、 研修の一部に入ってくるということで、保健所、診療所、社会福祉施設、老人介護施設 等を想定しているわけです。  2頁目ですが、主として単独型についてのご議論が交わされまして、全体としては単 独型も群としての場合も、満たすべき基準は同等なものになるであろうということか ら、単独型について特に慎重にご議論いただいているわけです。研修プログラムについ ては研修委員会を置いていただくということと、プログラムごとにプログラム責任者を 置いていただくということが書いてあります。  施設、人員に関しては、2の(1)で病床数又は入院患者数について、a、b、cと いう3つの考え方が示されています。aというのは現行の基準で300床以上、年間の入院 患者数が3,000名以上ということです。b案は病床利用率と言いますか、病床の回転率 等、平均在院日数のことですが、短縮化しているということも踏まえて、病床について は約200床ということでいいのではないかという考え方です。cの考え方については、そ ういった数字を具体的に決めるのではなく、年間の患者実数が「医師臨床研修の目標」 を達成するのに必要な症例について、十分確保されていることが明らかになっていれば いいのではないか。そういう考え方の基準にしたらどうかというものです。次に診療科 についての基準ということですが、これもaが現行の9科目についてです。これに対し てb案としては、この9にさらに最後の麻酔科というのが網掛けになっていますが、そ れも追加してはどうかという考え方です。  3頁で指導医の関係ですが、指導医については内科、外科のほかに現行としては精神 科、小児科から放射線科までの指導医の設置が義務づけられているわけです。それに対 してb案としては、さらに麻酔科という、先ほど診療科で追加したものも加えてはどう かという考え方です。c案としては、指導医の常勤設置について、内科、外科、精神 科、小児科、産婦人科という基本ローテーションに含まれている科だけに限定するとい うことで、いいのではないかという考え方です。  なお、9頁に指導医についての要件というところがあります。1−3の(2)要件と いうところです。これは現行、当該診療科で10年又は科によっては5年以上の経験を有 する。あるいは関連学会の専門医又は認定医であるということが条件になっているわけ ですが、これに対して、全国医学部長病院長会議の案では、臨床経験10年以上、かつ、 2年以上の医学生あるいは研修医の指導経験を持つ者、また研修の指導医講習会、ワー クショップなどを受講した者、学会専門医の資格を持つ者というのがb案です。c案 は、全国国民健康保険診療施設協議会から地域包括医療認定医ということで、6年以上 の臨床経験、そのうち3年以上は地域包括医療の経験者であるという条件も示されてい るわけです。  3頁に戻っていただいて病理の関係ですが、病理の基準について現在、剖検率、数等 を決めている基準を改めて、臨床病理カンファレンスを定期的に開催していること、と いう基本的な考え方で整理してはどうかということです。この場合の臨床病理カンファ レンスというのは、剖検に基づく臨床病理カンファレンスという意味であるということ です。(5)として救急医療の関係です。救急医療の研修が実施できるということで、 ここで言っている救急医療については、2次救急あるいは救急告示医療機関ということ で初期救急を取り扱っているということです。(6)として医療安全対策、(7)とし て必要な施設等についての考え方をまとめています。  4頁目の定員ですが、施設としての定員についての考え方についてです。a案として は、一般病床何床あたりの受け入れ研修医数が1名を超えないことということで、1人 の研修医についての受け持ち得るベッド数を定めてはどうかということです。数字につ いては10床程度から50床程度まで、さまざまなご意見が出されたわけです。  bの考え方としては、次のうち最も少ない数を受け入れ可能研修医数とするという考 え方です。その1つは、指導医数1名あたりの受け入れ研修医数で、指導医に対する研 修医数という基準です。2つ目は、一般病床何床あたりの受け入れ研修医1名、3番目 は、年間の患者実数何人あたりの受け入れ研修医数1名ということで、これらを組み合 わせて、そのうちのいちばん少ないものを受け入れ可能数とする、という考え方はどう かということです。  また受け入れ研修医数の下限について、単独で受け入れというのは、いかがなものか ということで、複数というのが基本的な考え方としてあります。そのうちa案として は、1施設あたりの受け入れ研修医数が少なくとも1学年2名以上いるということで、 どうかということです。b案としては、各施設が複数の研修医を毎年、継続して受け入 れられる体制であることを条件としてはどうかということです。なお、この場合の研修 医数というのは、その病院が全体として受け入れる研修医の数ということで、1年次、 2年次を含んで、特に学年ごととしていない場合については、両方合わせての数字とい う考え方であるということです。  施設基準について5頁以降ですが、病院群については詳細について、まだ議論が進め られていないということです。事務局のほうから提案した考え方について、数字のとこ ろはブランクになっていますが、それを示してあるという状況です。以上が施設基準に ついての概要です。  次に資料6に基づきまして、「処遇等の小委員会の検討状況」についてご説明しま す。資料6−1ですが、「研修医の処遇について(案)」というものです。ここでは1 として処遇の基本的考え方を書いていて、労働者性の問題、処遇についての基本的考え 方ということで、教育的側面も有するけれども、一般的には労働者性が認められると考 えられるという考え方を示しています。いずれにせよ、労働基準法で言う労働関係法令 に規定されている労働条件に相当する処遇が確保されることが必要であろうということ です。  2頁目には、2として処遇に関する基準の具体的項目について書いています。(1)とし て研修条件の明示ということで、関連法令を参考にしつつ、研修医について研修契約の 期間から健康診断等の管理体制に至るまで、こういった項目をそれぞれ明示することと いうことで、これらの点を明らかにして研修の契約を行っていただきたいということで す。  (2)の研修手当の項目ですが、これについては種々議論がありました結果、案のAとし ては、最低賃金以上の研修手当を支払うことという考え方です。案のBとしては、当該 病院における勤務医の初任給との均衡を考慮した研修手当を支払うこと、という考え方 を示してはどうかということです。案のA、Bそれぞれ、あるいは両者という議論が交 わされたわけです。  そのほか研修の時間、休日の問題等についての考え方などを、(3)で示しています。3 頁の(4)として、産前産後の女性の休暇の問題などについても、ご議論をいただいて追加 をしたところです。  3頁の後に、「研修条件通知書(イメージ)」というものを添付しています。これは 実際に、そういった条件に基づいて研修の契約をする際に、どういう形になるかという ことをイメージとして作成したものです。この中に先ほど申し上げたような項目が、そ れぞれ記述されています。参考にしていただければということですが、これはまだ労働 法規的に詳細に詰めて了承を得たという段階ではありませんので、とりあえず現時点に おけるイメージというご理解でお願いをしたいと思います。  次に資料6−2ですが、これは複数の臨床研修病院をローテートして、そういった形 での研修を行う場合についての処遇上の問題、特に雇用関係についてということで整理 したペーパーです。複数施設を回りますと処遇の関係で契約について、いろいろな形態 あるいは問題が生じ得るわけです。それを整理をしたということです。  2つ目の○に書いていますように、この中で特に国立病院等が関与するローテートに ついては、公務員についての職務専念義務あるいは定員の問題、予算の問題などがあ り、これは引き続き私どものほうで調整をさせていただきたいという状況です。した がって以下については、主として民間病院間での複数施設のローテートを想定して行う ということです。ここでは在籍型の出向によって複数の病院をローテートする形態を示 しています。  2頁目の図をご覧いただくと、在籍出向のイメージということで、まず基本となる病 院が臨床研修病院のAという左側の病院で、出向元ということです。ここと研修医が契 約を結ぶわけですが、一定期間、Bという病院に出向して特定の研修をするという場合 に、A病院とB病院が出向契約を結ぶということです。その内容については下に書いて あるようなことです。出向先のB病院と研修医も労働契約を結ぶという、二重の契約と いう形になることを示しています。その際の契約の中身について、取り決めを行ってい ただく必要があるということです。  3頁に、その際の出向契約書のイメージということで、A病院とB病院の間で、どの ような契約をすればいいのかを契約書のイメージで整理をしたものです。こういった形 で出向の期間の問題であるとか条件の問題、あるいは給与の支払いの分担の問題、保険 の負担の分担の問題等々について、契約書の中で示していただくという考え方です。  6頁をご覧いただくと、その際、具体的にどういう形で研修が行われるかということ と、その場合の雇用関係、給与、保険の関係がどうなるかを示したものです。A病院で 内科の研修を行った後に、B病院に出向して外科の研修を行い、またA病院に戻って小 児科、救急、精神科、その後、保健所に出て、今度はC病院で産婦人科を研修した後、 またA病院に戻るというようなパターンを1つ示しています。雇用の関係でいくとB病 院、保健所、C病院に出ている間が出向という関係になる。給与については、この間は 一貫してA病院から支払うということです。社会保険についても、この考え方ではA病 院が一貫して受け持つという整理での案を示しています。以上が処遇について現状での 検討状況ということです。  資料7をご覧ください。資料7は、そういったものも含めた「臨床研修必修化に向け たスケジュールのイメージ」ということです。このワーキンググループがスタートして 現在、7月31日ということで、ちょうど矢印の端のところあたりに来ているわけです が、この後、このワーキンググループのとりまとめを行っていただき、9月の段階では 諸基準を指定規則という格好で、パブリックコメントとして示す必要があるわけです。 これに基づいて10月の段階で指定規則を制定し、これに基づいて具体的に病院の申請の 始まり、またプログラムについても認定の申請を始めたいということです。年内で病院 についての申請をある程度締め切らせていただき、具体的な指定の審査に入り、来年の 春には指定を行いたい。またプログラムについても順次、認定を行って、春には一連の 作業を終了したいということです。そういったことからすると、このワーキンググルー プとしても今月末ないし来月の初旬には、とりまとめをお願いしたいという考えです。  なお、処遇については財源問題等を含め、さらに検討を要するということで、このス ケジュールには含まれていませんので、一応、お断わりを申し上げたいと思います。 ○矢崎座長  ありがとうございました。各委員会の委員長の方から補足的なコメントをいただきま す。特に議論の過程で問題のあった点について、お触れいただければ大変ありがたいと 思います。まず研修プログラム小委員会の堀江委員長からお願いします。 ○堀江委員  研修プログラム小委員会での検討内容については、今、既に医事課長から概略の報告 がありましたが、一部、補足をさせていただくということで報告いたします。資料3に ありますように、小委員会は第1回目に施設基準小委員会と合同の委員会を開催してい ますが、その後、単独の小委員会を3回、合計4回の小委員会を開催してまいりまし た。  検討すべき課題は多くありましたが、まず第1に研修目標は、お手元に資料4−1の 第3版として配付されていますけれども、審議の中で初めに国立大学医学部付属病院長 会議の常置委員会から提出された原案とか、あるいは全国医学部長病院長会議の提言を 踏まえて、まとめられた目標について審議を行い、字句の修正等が加えられ第3版とし て提示されているかが、小委員会一応のコンセンサスが得られた内容です。  その研修目標を、実際に研修医が2年間の過程の中で修めていくのに、どういうプロ グラムが求められるのかということで、具体的な研修プログラムについて検討されたわ けです。本日、配付されている資料4−2がありますが、小委員会は第1点は、内科、 外科、小児科、救急の4つの領域はコアとし、かつ、この4領域の研修期間は、12ヶ月 以上としようということでコンセンサスは得られたと思います。  ただ、そのほかの診療科について、どこを必修化するか、選択とするかが重要な審議 事項になったわけです。基本的には資料4−1にある研修の目標、その中の行動目標並 びに経験目標を実際に経験していくためには、どのような診療科が要求されるのか。特 に17頁以降にあるCの「特定の医療現場の経験」というところで、ここには救急医療、 予防医療、地域保健・医療、小児・成育医療、精神保健・医療、緩和・終末期医療等が ありますが、これらの経験をするための診療科として、救急、小児科のほかに産婦人 科、精神神経科、そして地域医療関連の施設における研修等が含まれることになると思 います。この扱いについて、かなり時間をかけて審議がされました。  現時点では、まだこの点についてのコンセンサスは得られていません。具体的には資 料4−2の3頁にある、基本研修の中の診療科、あるいは研修期間については審議中と いうことです。研修目標に挙げられている項目を研修するために、例えば具体的にプロ グラムの中に明確に提示する必要はあるが必修科目に、必ずしも産婦人科、精神科を含 まなくても良いという考え方と、これら精神科、産婦人科、さらには地域保健・医療に ついても、必修科目とするべきではないかという意見があり、この辺を今、具体的な審 議で詰めていきたいというところです。本日のワーキンググループの会議にこの点につ いての結論を申し上げることはできません。今後、さらに検討が必要と思います。  そのほか指導医について、この点も先ほどお話がありましたが、これは資料5の9頁 に具体的な提言が示されていますけれども、これは結論ではなく審議中にいろいろと意 見は出ています。具体的には各学会の認定専門医の資格、そして臨床経験何年というこ とが1つあるわけです。しかし、例えば地域保健・医療等の指導医となった場合、同じ 基準を当てはめることは難しいのではないかということも、意見として出ています。こ の指導医についても今後、具体的な審議をして、研修領域によって指導医の基準を別に 設けるという方向性も求められるのかなと思っています。  マッチングとか研修医の評価は、全国医学部長病院長会議からの提言にもあります し、また厚生労働省の事務局側からも具体案が提示されました。説明され、また多少の 意見は述べられていますが、具体的な審議にはまだ入っていない状況にあります。非常 に重要な点ですので、この点も継続的に意見交換する必要があると思っています。その ほかにいろいろ意見が出た点はありますが、小委員会としては、そのような状況にある ことを報告いたします。 ○矢崎座長  ありがとうございました。それでは施設基準小委員会の堺委員長からお願いします。 ○堺委員  概ね医事課長のお話どおりなのですが、小委員会では主に単独型と病院群の2つが設 定されているわけですが、単独型について議論がなされました。いろいろご議論があっ たわけですが、結局、これは、場の提供であって、プログラムそのものの施設でないと いうことになったわけです。根本的には、基本的診療能力を修得するにはどういう診療 科が必要だとか、例えばコアカリキュラムだけではなくて、コンサルテーションなんか あった場合でも、それに対応できるだけの診療科なり指導医が必要ではないかという議 論がありました。  指導医に関しては、やはり指導医の定義が大変重要になってくるわけですが、プログ ラム小委員会のほうで、ある程度イメージしていただいたものについて考えようという ことになっています。  定員ですが、これは議論の中でいろいろあったわけですけれども、質の保証をするに は、あるいは研修の中身の保証をするためには定員は必要ではないかということで、定 員に関しては先ほどご説明がありましたように、現行の、病床数だけによる縛りではな く、患者数なり指導医に対してどのぐらいということで結論には至っておりません。  最後に、あまり議論は出なかったのですが、研修医を評価するわけですけれども、プ ログラム、指導医を含めた施設の評価も必要ではないかという意見が出ました。 ○矢崎座長  ありがとうございました。最後に処遇に関する小委員会の大谷委員長から、よろしく お願いします。 ○大谷委員  研修医の処遇をできるだけ合理化と申しますか、応分の手当をするということにつき ましては、先ほど事務局からご説明がありましたように、概ね皆さんのご意見は一致し ております。また、もう1つの臨床研修の場を増やすために、複数の研修病院でグルー プで行うことを容易にするための連携の方策について、国がある程度のパターンを示し て連携しやすくするということについても、先ほどご説明がありましたように、皆さん のご意見は大体、一致しているかと思います。  ただ、問題は特に処遇の問題ですけれども、これは指導医のことも含めて、先ほどか ら他の部会の方々のご報告にありましたように、単に診療だけではなく、研修に相当に 厳しい条件を要求するということになるわけです。ですから、一方では、そういった従 来とは違って徒弟的ではなしに、合理的な労働者としての最低は確保するように書こう ということになると、病院自身に相当な負担がかかってくる。だから、その点で、例え ば研修手当について最低賃金以上の研修手当は支払うこととか、あるいは勤務医の初任 給を考慮して研修手当を支払うことという案が、実は示されているわけですが、これを 書くについては病院がどういう経営状況で、どうなのかという問題が当然絡んでくるわ けです。  そうしますと、処遇あるいは連携について、こういう理想案を書くことについては委 員の皆さんはすべて賛成なのですが、ただ、問題は、これに対する費用負担が個々の病 院にかかるのかどうかです。先ほど事務局からのご説明で、財政問題はまた別に審議す るというお話でしたが、私はそういうふうに考えていないのです。  国がどこまで、ワーキンググループ全体としてこれについてテコ入れするかどうかと いう問題が非常に大事な問題であって、理想論を書くのは非常にたやすいことですけれ ども、そこの点が1つ、まだ実はよく詰まっていない。2回、時間いっぱい議論してい ただきましたが、いちばん肝心のそこの点が、まだはっきりしていないので、これにつ いては部会だけの問題でなしに、ワーキンググループ全体の問題として、少なくともこ のワーキンググループとして、国の財政上のテコ入れ問題をどうするかについての意思 表示は、やはりすべきではないかと私は個人的には考えています。 ○矢崎座長  ありがとうございました。大変インテンシブに3つの小委員会で議論していただきま した。今、小委員会で問題になった点は、各小委員会の中で議論することも必要です が、やはりメンバーも相当重なっていますので、今、大谷委員も言われたような問題点 を今後は全体で議論したほうが、よろしいと思いますので、今後はそのような方向で対 応していきたいと思っています。  これから議論に入るところですが、私、まとめ役として委員の皆様方にお願いしたい ことがあります。これは今度、新しい制度ができるということで、従来の研修制度がこ のように変わったんだということを、きっちりした形で国民の皆様にイメージが描かれ るような制度設計をしていきたい。その根底は、研修医の方の身になって研修制度がベ ストな方向で制度設計ができるという、その1つの土俵の中で話し合っていただきたい と思います。私が最初に申し上げた、そういうきっちりしたイメージが描かれるような ということは、少なくともこの部会で、きっちりしたまとめを出してほしい。曖昧模糊 とした結論では皆さんが納得できないのではないか。  たとえ、ここではっきりした方針が立って、それを全国の皆さんにオープンにした時 に、それはとんでもないというご意見もいろいろあると思います。しかし、ここで相当 制度設計をきっちり詰めていけば、それにも対応することができますし、時間も迫られ ていますので、これは私の責任逃れということではなくて、皆様方個々の委員が、それ ぞれ責任を持っているんだという自覚を持って、討論に加わっていただきたいと思いま す。  今、3つのワーキンググループの報告を受けまして、私もずっと大学にいましたし現 在は厚生労働省の病院におりますが、私自身の感じは、今までも例えば研修委員会とか がございました。しかし、実際には研修医になる方と研修先の医療機関で、はっきりし たプログラムがなかった。はっきりしたというのはプログラムがないということではな くて、オープンになったプログラムもなくて、そこで行われていた。それが主流であっ た。一部でそうではない所は今はたくさんありますが、そういうことがあって、おそら く一般の皆様方も、そういうことで研修制度を捉えておられたと思います。  必ずしも3つの委員会で結論は出ていませんが、ある程度の方向性が定まったという ふうに私自身は理解しております。したがって、結論がまとまらなくてどうしようもな いということではないような感じが私個人はしていますが、これは、これからの委員の 皆様方の議論によって、いや、そうではないということになるかもしれません。委員の 皆様方は、良い研修制度を作るための建設的な、まとめる方向のご議論をいただかない と、これはいくら議論しても切りがありませんので、その点を十分に留意しながら、お 話をいただければと私は思っています。  時間も限られていますので、どういうふうに議論を進めていったらいいかということ ですが、いちばん簡単なのはワーキンググループに提案された順序に、お話をまとめて いかざるを得ないのではないかという気がします、本日は1時間ちょっとありますが、 できるだけ3つの課題まで済ませて、それを今回の一回り目の議論で不十分であれば二 回り目の議論をするということにします。今日は研修プログラム関係だけで終わりたく ないので、大体、20分を目処に、それぞれの問題点を議論します。一応、一回りの議論 をして、そこで残された問題を二回り目の議論で進めていきたいと私は考えています。 事務局、よろしいですね。 ○下村委員  やはりプログラムが、答えが出なければ駄目だと思います。だから1巡というふうな 議論の仕方はやめて、プログラムならプログラムに集中するという形でやったほうが、 いいのではないかと私は思います。プログラムが決まらないで施設が決まるということ はないし、研修の内容が決まらないで処遇問題の結論が出るとも思えないわけです。だ からプログラムは何と言っても、いちばん最初に決まってくれなければ困るので、1巡 してまた2巡してと、国会なんかはそういうやり方をするのですが、それはどうなので すかね。それが1つです。  もう1つは、今日出されたのでいくと、これは最後が書いてないので9月いっぱいな のか10月まで入っていいのか、よく分からないんだけれども、ワーキンググループの結 論を今日とりまとめるというのでなくて、10月の然るべき日までにまとめようという話 になっているのでしょうか。私、遅れたものだから分からないのです。このスケジュー ルがイメージというのも困るのですが、スケジュールはイメージでなくて具体的に示し てほしいと思います。 ○矢崎座長  分かりました。下村委員から最初からプログラムが大事だということをおっしゃって おられて、プログラムについては、いちばん大事ですから1番目ですが、一応、ここは 折り合っていただいて、プログラムについてはイメージが湧くように、なるべく議論を まとめて、それで。 ○下村委員  無理だと思います。 ○矢崎座長  でも無理かどうか、ちょっと議論を進めさせていただいてから、また進めたいと思い ます。それから2番目のスケジュールに関しては、これは新たに出てきて、本当は今 日、結論づけましょうということだったのですが、とても無理ではないかということで 少しスケジュールを変えていただいたのです。このスケジュールで、今、下村委員のお 話でございますが、私は要するに研修のプログラムを組むとか研修体制を整えるには、 これは法令で決まったから、こうやりなさいというわけにいかなくて、8,000人の人と、 それに係わる人は数万人いるわけです。そういう人をどうまとめるかとなると、今月 いっぱいに、ある程度はっきりしたイメージを描けるものを作っていかなければ、現場 の我々としては非常に困りますので、それが10月でいいとか、そういうことでは現場は 困る。 ○下村委員  実際に結論が出てないのですから、ワーキンググループとして結論を出すのであれ ば、プログラムならプログラムで、あとどのぐらい議論すれば見当が付けられるのか。 それぞれについても見当を付けることが必要なので、それによってスケジュールは決ま らざるを得ないのではないでしょうか。答えを出さなくていいのなら別です。 ○矢崎座長  目安をそこにして議論を進めていきたい思いますので、入口の議論になるとあれです から、少し議論を進めたところで、またご発言いただければと思います。大変恐縮です が研修プログラムの基準ですね、これは下村委員のご指摘のように、いちばん制度設計 の基本となるものですから、今、20分と目安を決めましたが、大体、そういう基準で少 し議論していただければと思いますので、よろしくお願いします。小委員会で言った意 見の繰り返しにならないように、よろしくお願いします。 ○山口委員  ただ、小委員会で言った意見が出てくるのだろうと思います。全体会議ですので小委 員会にいらっしゃらない委員さんもおられますから、その点はご容赦いただきたい。大 きく分けて2点ほど発言させていただきたい。  1つは、今度、何で臨床研修必修化という法律まで作って、今までの35年間のやり方 を変えようとしているのか。この原点というものを我々は今一度、踏まえて考えるべき だろうと思います。従来の臨床研修の延長線上で一部修正していくという考え方でなく て、今、世の中が変わり、国民が望んでいる医師像というのは何なのだろうかという点 を十分に我々は踏まえて、この研修内容、その他も考える必要があるのではないか。こ の原点というものを踏まえておく必要があるというのを、まず申し上げておきたいと思 います。  研修カリキュラムについてですが、今、非常に少子高齢化が進んでいますし、介護保 険というものが平成12年度から実施に移されています。救命率は非常に上がりました が、あと障害を残しているケースというのが非常に増えているわけです。それにどう対 応していくのか。我々医療関係者だけでなくて、福祉もその他のいろんな介護職も含め ての対応が、今、望まれているわけです。それに対して医師が果たすべき役割は非常に 大きなものがある。介護保険で言う要介護認定の場合の主治医の意見書が不適切なため に、不服の申立てが行われたというケースを私も経験しています。  私は広島県の介護審査会の会長をしていますが、そこに申し立てられた不服のケース の中で、主治医の意見書がもう少し適切に書いてあれば、もっと違った認定結果が得ら れたのではないかというケースもありました。そういう点は今後、医師になる方々には 十分理解をし、またそれだけの力を備えておいていただきたいと思います。そういう意 味で、4−2の3頁にあるような基本研修というのは、私は必要であろうと思います。 この期間は別としても、こういう項目は基本研修としてやっていただく必要があるので はないかと考えています。  もう1点は、今、ちょうど下村委員がいらっしゃるので意見をお伺いしてもいいので すが、お医者さんになったら、ほとんどすべての人は保険医に登録されると思います。 そうすると保険診療をやるわけです。これは、もちろん医学という学問に基づいての医 療ではあるのですが、各都道府県の審査会で審査を受けて決定します。ここで見る限り では保険診療のルールというか、担当規則、その他が十分理解されてない診療内容のレ セプトが多々見受けられます。こういう点も2年間の臨床研修の間に十分に研修を積ん で、そういうことを踏まえた診療をやっていただきたい。こういう研修もカリキュラム の中に盛り込むべきであろうと考えています。その他は、今、座長からご指摘を受けま したように小委員会でいろいろ述べましたので、ここでは省かせていただきます。 ○矢崎座長  おっしゃられるように原点は大切で、それをいかに活かすかということがあります。 ただ、このカリキュラムの中でそれをどう活かすかというのが、研修を受ける側と、医 療研修施設の責任問題だと思います。  いくつか具体的な点をお話いただきましたが、例えば介護の意見書に、主治医の問題 でいろいろ齟齬があるとか、保険のレセプトとか、これは基本のローテーションの問題 とは少し違います。基本のローテーションという意味では、山口委員が言われた、原点 に立ち帰ってどういう研修医を育てるか、という意味でローテーションを考えさせてい ただきたいと思います。 ○梅田委員  堀江委員にお伺いします。私は、施設のほうの委員会に入っていますので、プログラ ムのほうがわからないのでお尋ねします。資料4−2の4頁で、「選択研修は6カ月」 という場合に、この選択研修の6カ月は、最低1カ月という案が出ておりますが、6カ 月間1つの科だけでもいいのか、ある程度複数の科をやるのか。例えば、眼科に行きた い人間は、眼科だけ6カ月というのもあり得るのか、それともある程度バラバラにやる ことを義務づけるのか。  その下の「研修期間の8カ月以上は、研修管理委員会を設置する病院において研修を 行うこと」という案が出ておりますが、施設のほうで、病院群での検討に入っておりま せんのでここのところが出てきます。これは、私が提出させていただいた資料が後ろに 付いています。私どもでシミュレーションした病院では、内科、外科、小児科。 ○堀江委員  発言の途中ですが、プログラム小委員会では、2頁の「研修目標」を定めて、それに 対して研修を行っていくということ。その目標を達成するためには、研修期間は2年で あるということは決まっています。その中に、基本研修と選択研修を入れることについ ては、皆さん意見は一致しています。  ただ、3頁の部分の議論はまだ十分つくされておりません。したがって、選択研修が 盛り込まれることは皆さん認識していますけれども、そこが複数科で何カ月というとこ ろまで議論は至っておりません。  それから、研修管理委員会を設置する病院での研修の8カ月ということについても、 これは原案であって、まだ結論に至っておりません。ローテーションの場合に、1カ月 以上と書いてありますけれども、それが良いのか、それとも基本的には2カ月以上必要 ではないかということも言われていますので、ここは詰めていく必要があるところだと 思います。 ○梅田委員  こういう場合には、これに対しての私の意見をここで言ってもいいのでしょうか。 ○矢崎座長  はい、手短にお願いします。 ○梅田委員  意見としてですが、研修施設の場合、8カ月以上は1つの病院でやらなければならな いという場合に、病院群でやらせる場合に、これはネックになって、本当に8カ月以上 要るのだろうかと思いますので、これはもっと引き下げて、実際にその病院群できちん と行われればいいということなので、この8カ月は長すぎるのではないかと思います。 ○下村委員  よくわからないからそう思うのかもしれないのですが、非常に欲張ったことが書いて あるような気がするのです。目標とか何とか言って、人格のことまで書いてあるわけだ から、人格を涵養するというのはどこの部分でやってくれるのだろうと思って、先ほど から眺めているのです。  いちばん基本になるのは、「基本的な診療能力を身に付けさせる」というところが要 の部分になるので、それをやるのに一体どのぐらいかかるのか、というところがいちば ん重大なところではないかと思うのです。  「医療の社会性」で、保険医療法規・制度を理解し、適切に行動できる。医療保険、 公費負担医療を理解し、適切に診療できる。これは是非やってほしいと思いますけれど も、臨床研修の中でこんなことをどうやってやるのですか。5頁のところがよくわから ないのです。  基礎的なもので、一体どのぐらい取るのかというところをやっていただきたい。これ は法律で義務化するのだから、選択の持つ意味というのをもっとはっきりさせてほしい と思います。選択というのは一体何なのだ、義務であるからには、本当は一定の内容が 必ず保証されなければいけないはずなので、その選択がどういう部分で出てくるのか、 という選択の意味です。どういう意味で選択が必要だということになっているのでしょ うか。  医者としての、基本的診療能力というのはみんな同じものなのではないのか。基本的 診療能力にA、B、Cとかいろいろな種類があるのでしょうか。したがって選択が要る という話なのでしょうか。 ○堀江委員  先生がおっしゃっているのは、資料4−1についてだと思います。この研修目標に掲 げられている「基本的な診療能力を身に付ける」というところが、研修目標のいちばん ポイントになると思います。この目標を達成するために具体的な「行動目標」と「経験 目標」が挙げられています。  これらを研修していく上で、最もコアになる診療科は何か、ということは議論しまし た。そのコアとして、内科、外科、小児科、救急があります。救急は、基本的には1次 救急、2次救急への対応です。  そのコアの部分を、身につけていくためにどのぐらいの期間が必要なのかということ ですが、12カ月の間に、研修目標の基本的なところは、身に付いていけるという結果で す。  それ以外のいろいろな項目が挙げられていますけれども、それらについては、例えば 疾患の70%以上は経験するというものがありますが、その中には選択の部分も含まれて くると思います。 ○下村委員  「必ず経験しなければならない」とか、「必ずこういうものは身に付けなければいけ ない手技」というものが非常に具体的に書いてあるわけです。結構たくさん項目があり ますよね。これだけは必ずだというのならば、「12カ月以上」などという曖昧なことで はなくて、12カ月なのか、15カ月なのか、そこは明快にしていただかないと困るのだと 思うのです。  臨床研修をやる場に立ってみると、ここに書いてあってアンダーラインの引いてある ものとか、あるいはアンダーラインの引いてある症状は必ずやるということになると、 それは12カ月で本当に十分なのですか。12カ月あるとやれる、というドクターがいると いう話なのですか。 ○北村委員  この目標案を大元のところから作ることに関与したので発言させていただきます。こ れは、「基本的な診療能力」という1つの山と考えていただいて、その山に登る方法に おいては、確かにいろいろな方法があっていいと思うのです。出来上がりは頂上に登る ことです。  しかしそれを、このルートしか登れないというようなことを、あまりにも厳格に規定 しますと、研修医が窮屈になってしまいます。それで、できる最低限は決めるけれど も、あとの登り方は篭に乗ろうが、歩こうが、バスに乗ろうが、それは病院がプログラ ムの多様性というところで出してもらい、その病院を研修医が自主的に選ぶというとこ ろで達成していただきたいと思っています。 ○下村委員  それは、一般論だけではしようがないのです。そのためにはどんな病院が要るのかと いう話になると思うのです。 ○矢崎座長  北村委員の意見では、下村委員は納得されないと思うのです。私は、いま堀江委員が 言われたように、目標は12カ月で達成できる。要するに目標を定めて、いま堀江委員が 言われたように内科、外科、小児科、産婦人科を含めたものと救急部で、下村委員の言 われる基本的な、この目標に到達させるようにしなければいけないわけです。それが評 価にもかかわってくるので、そこをしっかり踏まないと山口委員が言われたような問題 になります。これは研修施設の問題で、これが2年フルに必要なのか、あるいは12カ月 なのかというのはやってアウトカムを見ないとわからないところがあります。 ○下村委員  いままでも、研修は全くゼロというわけではないわけですから、見当がつかないので すか。 ○矢崎座長  そこに問題があるから、今回新しい施設で、ストレートの研修はやめましょうという ことを皆さんが宣言したわけです。 ○下村委員  いままで言われてきたことは、学部を卒業して医師の資格を取ると、医局に入局をし て偏った研修が行われる。大学は一般的にそういう広い基礎的な診療能力を身に付けさ せるためには、いまやっているやり方、特に大学のやり方とか、大学の制度がよくない のではないかというのが、いま出ている批判ですよね。  それはローテート方式でやるというのだから、大学できちんとそれに従ってやっても らえれば、カリキュラムが重大だというのは、そういう意味で私は言っているわけで す。そういう意味からすると、梅田委員などは、「保健所へ行かなければいかん」と おっしゃるわけでしょうけれども、保健所へ行って、こんなものをいろいろ経験すると いうことはあまりないのだろうと思います。山口委員が言われるように、老健施設に 行ったからといって、こんなものをいろいろ経験することはないのだろう。  本当に12カ月でいいのですか。本来ならば、臨床研修というのは1年義務制でもよ かったという話になるのですか。よその国では一体どうなっているのですか。 ○矢崎座長  大体1年から2年です。卒前教育がしっかりできれば、この研修制度は1年で済むの ではないか、という議論は最初からあったと思います。 ○星委員  珍しく下村委員と意見が合うので非常にうれしいです。とにかく1年間で終わって目 標に達するというのなら1年でいいではないかという話なのです。ただ、法律で決めら れているのは2年間やりなさいと言っているわけです。2年間でこの目標を達成すると いう目標を立てたのです。だから、あと1年間は各施設が勝手にしていいのだという発 想になると、大学が何を考えているかわかりませんけれども、2年目は全部耳鼻科で回 るのだ、というようなことがまかり通るという環境をつくってしまう。 ○矢崎座長  誤解を招きますが、1年間はコアの部分です。あとは選択必修というところで、ほか の所を回っていただくということですので、ちょっとそこの点は誤解があるかもしれま せん。 ○星委員  1年間か、1年半なのか、15カ月なのかその期間はわかりませんけれども、少なくと も2年間を研修に当てて、それで目標を達成するのだと言っている限りにおいて、なぜ 1年間にこだわるのですか。15カ月だって、ここに示されているように18カ月だってい いだろう。そのことを議論しないでおいて、どうしても12カ月に収めたい、あるいは余 計な診療科は回りたくない、という議論をしているようにしか思えないのです。 ○矢崎座長  そういう議論ではないです。そういう議論をすると紛糾すると思いますので、堀江委 員から、そういうことではないということを、きっちりご説明いただけますか。 ○堀江委員  私が言っている12カ月以上というのは、内科、外科、小児科、救急で12カ月以上とい うことです。 ○下村委員  矢崎座長は、成育が入るというのだから、成育を入れるともうちょっと長くなるので すか。 ○堀江委員  資料4−1の17頁以降に触れられている「特定の医療現場の経験」というのがありま す。この中で矢崎座長がおっしゃるように小児・成育医療は、小児科、産科が重なるか もしれません。この部分を経験するのに領域の研修が求められるのかということです。 産婦人科を必須にする、しないで意見がわかれるところです。同じように、精神神経科 の1カ月とか、地域医療研修期間を必須に盛り込む必要があるかどうか、というのが小 委員会の審議だったわけです。ここについては、まだ結論を得ていませんけれども、コ アの研修期間以外のところで必要な月と研修をしてもらおうということです。 ○下村委員  それがよくわからないのですけれども、救急医療は確かにそれはそうかもしれないな ということでわかるのです。救急医療の現場を経験することは必要かもしれない。次の 予防医療を見ると、医師としての基本的な診療能力は身に付いていても、食事、運動、 禁煙指導、ストレスマネジメントは、予防の現場に行かないとできないのですね。一般 に、こんなことは患者に対してやるのだと思うのですけれども、ここには予防の現場に 行かないとできないと書いてあるわけです。本当なのですか、私の常識からいえば反す るわけです。そんなことはないのではないですか。  予防接種も特定医療現場だけれども、予防接種は医師としての能力があればできるの ではないですか。現場に行かないとできないと書いてあるのはどういうわけですか。そ ういうところがわからないのです、なぜなのだと。 ○堀江委員  現場の捉え方もいろいろあると思うのです。 ○下村委員  だから、現場に行くと何ができるようになるのですか。医師として必要な診療能力が 身に付いていれば、予防接種はできるのではないですか、できないですか。その辺を はっきりさせてください、その辺がわからないのです。地域保健にしても、社会福祉施 設との役割について理解し、実践する。理解し実践するというのは、医師としてここへ 行かなければいけないのですか。成育医療のところになると、多少はそうかなというと ころもありますが、母子手帳を理解し、活用できると。 ○堀江委員  ここに掲げられていることを経験していくに当たって、例えばカンファレンスを行う とか、教育のためのプログラムを組み込むことで教育できる部分もあるわけです。その 中で、実際に現場へ行くとしたら、どの部分をとりあげるのか、すべて必須でなく選択 でよい部分もあるだろうというところがいままだ結論が出ていないということです。 ○下村委員  そういう目で決めていただければいいのではないですか。極端に言えば、一般の社会 においては、医師とはかなり違うかもしれないけれども、就職をした後で、初期研修を やったり、職場のことを教えたりすることがあるわけです。これを全部経験しなければ 医者は駄目なのだ、というのはどうもよくわからないので聞いているわけです。どうい う意味なのですか。 ○島田委員  このカリキュラムのかなりの部分は、現在非常に急速に進行している卒前教育です ね。クリニカルクラークシップとか、あるいは臨床実習というものを非常に重視した流 れの中で、かなりの部分が達成されるような行動目標が出ているわけです。いまは、い ろいろそういう過程だと思うのです。ですから、こういう卒後研修でこんなのを医師と して書く必要ないのではないか、というような部分が出てくるのではないかと思うので す。  現時点では、初期の診療能力というのは、内科、外科、救急、小児科的なものを中心 にきちんと診療能力を最初の実践で身に付けさせて、あと残った2年間の初期研修は、 いままでの卒前・卒後1年の卒後を通じてできなかった部分を選択的に研修する。いま の医学教育などの課程がまだ全部できていないわけですから。 ○下村委員  その全部というのは何かを決めるのが臨床研修のプログラムなのではないのですか、 と聞いているわけです。全部というのは何ですか。 ○堺委員  いま、まさに島田委員がおっしゃったように、卒前教育でできていないものを、全部 臨床研修に押しつけるというのは非常に問題だと思うのです。ですから、下村委員が おっしゃったように、本来的に卒後臨床研修はどういうのかというのを議論していただ いて、もしできていないところがあったら、それは卒前教育でやるべきだというのをア ピールしていく。そうでないと、専門教育も入ってきますし、それで2年間でできるの かということになる。本来的には、卒後臨床研修というのは、1年ぐらいで十分だと思 うのですけれども、その辺すべてをほかでやらないところを、全部卒後臨床研修に盛り 込むというのはなかなか厳しいのではないかという気がします。 ○矢崎座長  まだ、議論は大変ご不満でしょうが、また議論をするということにしたいと思いま す。誤解を招いたところがあると思います。 ○下村委員  そんなやり方なので、私はあえて最初に異論を言ったのです。こういうところの一つ ひとつの問題をできるだけ詰めて、答えを出していかないから、いつまで経っても答え が出ないのです。1つの問題をいいかげんにして、すぐ次の問題というやり方には私は 反対です。 ○矢崎座長  ただ、いまの細かいことは詰めさせていただいて、またここの場でフィードバックし たものを出したいと思います。 ○下村委員  詰めるというのは、どこが詰めるのですか。 ○矢崎座長  下村委員が指摘された部分です。全体像について、私は誤解を招くような発言をして しまったと思います。私自身は、プログラムの原点はしっかり押さえるのですけれど も、プログラムの多様性を持たせたほうがいいということで、12カ月ということをお話 しました。それで終わりだということではなくて、ここに書いてありますように、大体 18カ月をある程度定まったプログラムにする。  少なくとも基本の必修のところはきっちり回っていただいて、そのほかは18カ月の中 で選択していただく。ですから、1年終わったらあとは自由で、先ほどお話がありまし たように、眼科なら眼科で1年過ごすということは、あり得ないということを申し上げ たいということです。 ○下村委員  そこの観念がはっきりしないから聞いているのです。24カ月のうちに、18カ月決まっ たことだけやってくれれば、あとの6カ月は好きなようにしていいよ、という考え方に なっているのですかと聞いているわけです。 ○矢崎座長  それは、プログラムによります。 ○下村委員  そうすると、24カ月以内に、18カ月だけコアの部分をきちんと履修していれば、それ は法定の義務を果たしたことになるので、逆に言えば政府のほうは、18カ月の研修を受 けるだけのものを何かで保証すれば、6カ月は好きなようにやれ。ただし18カ月の勉強 をするのに24カ月かかってもいいよ、という趣旨ですか、そういうことを言っておられ るのですか。 ○矢崎座長  いや、そういうことではないと思います。 ○下村委員  それでは、6カ月の選択というのは何なのですか。 ○医事課長  事務局としては、24カ月のうちの18カ月をコアとして回っていただく。残りの6カ月 については、それぞれ研修機関ごとにいろいろな特色もありますし、患者のデコボコも ありますし、そういったものも含めて特にここはこれを勉強してほしいというようなも のがあれば、そういうものを盛り込んでいただくという趣旨です。実際にあの必修項目 だけではなくて、それ以外の70%のところもありますし、それ以外の項目も含めて、24 カ月の中でやっていただきたいということが1つです。 ○下村委員  特色というのは一体、だから特色はもちろんありますよ。特色はあるけれども、どこ までの幅が許されるのか、ということを問題にしているわけです。 ○医事課長  私どもが理解していますのは、法律上は2年以上となっていますので、2年以上臨床 研修をしてくださいと。臨床研修というのはこういう場でしてください、というのが法 律上の要請です。その2年間は、少なくとも臨床研修病院という枠の中でやっていただ く、というのが法律上のニーズだと思うのです。それを果たしていただきます。  仮に眼科に何カ月行くのかわかりませんけれども、そこでやられたとしても、それが 臨床研修病院という枠の中で、一定のクオリティで研修が行われるのであれば、一応法 律上の義務は果たしたということになるのではないかと思っています。 ○下村委員  カリキュラムが決まってないで、決まってないカリキュラムを前提にして臨床研修病 院というのが現在存在しているのに、その臨床研修病院が一定の研修をやればなどいう ことはないではないですか。何も一定の内容がないではないですか、何も決まってない のだから。 ○矢崎座長  決まってないというと語弊があると思います。 ○堀江委員  いまの段階では、これが決まったということで外部に明確にできる状態ではないと思 います。しかし、研修目標の基本線についてはある程度意見は集約されたと思うので す。行動目標、経験目標がまとめられ、具体的な疾患名がたくさん挙がって必ず経験し てもらうおうとか、全体的にはその中の70%以上の疾患を経験してもらおう、というこ とがいま原案として作られてきているわけです。  その経験をするに当たっては、このぐらいの期間で、こういう診療科をやっていけば 経験できるだろう。そのほかに施設によってプログラムに、ある程度自由度を盛り込む ことも可能なのではないかということが、いまの選択の部分に相当すると思います。 ○下村委員  それは、施設によって特色があるとか内容が異なる点はわかります、実態としてある でしょう。医師は、どのぐらいの特色を持っていいのですか。研修を終わった医師とい うのは、特色のある研修を受けたら、それぞれ特色を持った医者が生まれるわけです ね。 ○堀江委員  2年終わった後の医師について、これはこの後の審議だと思いますけれども、研修結 果を評価するための基準を作るわけです。その評価の基準に基づいて、少なくともここ に掲げられているような目標が達成されたかを評価するわけです。 ○下村委員  それでは、評価基準が決まらないと、プログラムが決まらないということになるわけ ですか。 ○堀江委員  そんなことはありません。プログラムは研修目標を念頭に決めていくことできると思 います。 ○矢崎座長  大変ご不満でしょうが、いま、施設が決まらないからというお話もありましたので、 次の「施設基準」も、やはりプログラムと関係しますので、「施設基準」についての議 論に移らせていただきます。いちばんの問題は、いまの話を聞いていると、どういうふ うに施設の基準、指導医というものと病床数というもの、先ほどの到達目標を満足する には、相当数の患者を診ないといけない。ある程度研修医が受け持つ患者の数がない と、十分な研修が受けられないのではないかということもあります。疾患によっては特 色があるので、数だけではないと思います。  したがって施設の問題は、指導医の問題。4頁にありますように、病床数がある程度 重要であろう。指導医も重要であろう。受け持つ患者の数、内容も重要だろう。それに ついて、ある程度満足できるような施設であれば、先ほどの管理型の病院になれるので はないかということです。  例えば、病床数というのはある程度そういう意味では到達目標を考えると、病床数と いうのは、例えば目安として10床、入院患者数とすると、いまの1ベッドに大体20数 人、稼働率が80%ぐらいとすると、年間100〜120名の患者が必要ではないか。1ベッド 当たりの年間患者数、これは1人の患者がずっと1年間入院しているということではな く、新しく診る患者の数は100〜120人というのが妥当ではないかと思います。ここが空 白になっていると、いつまでも議論が進ませんので私の案として出しました。 ○下村委員  私はこの間は、グループとして指定をするのならグループとして指定をすると。ある プログラムがあって、そのプログラムを実行する病院グループみたいなものがあって、 それを一体として指定をするのではないのかと言ったわけです。そのグループの中に、 最低の標準みたいなものを決める必要があるかどうかは別として、そこで何をやるかの 問題になるわけです。  10ベッドで120人と言ってみても、ものによってはそれでは足りないかもしれないし、 ものによってはそれでも十分かもしれないしみたいな話です。本当は、ベッド数ではな くて症例数なのではないのか。症例数だとすれば、難しい所が出るかもしれないから、 症例数に代わるものとしてベッド数を採用するということはあるかもしれない。 ○矢崎座長  そういう意味です。だから、120症例ですね。 ○下村委員  それはトータルとしての、そのプログラム全体の中で、それがどういう位置付けに なっているかによって、また評価を受けることになる。 ○矢崎座長  いまは、独立型のことを申し上げています。 ○下村委員  独立型だって、そんなことを言うとアレだけれども、独立型とか管理型というと大学 病院のような所が、あるいは相当の大病院が想定されるということになると思うので す。だけれども、保健所や老健施設へも行かなければいけないのだと言われると、そこ は単独では当然できないです。だから、当然グループを組むことになりますよね。 ○矢崎座長  そういうことです。 ○下村委員  グループとして指定をするのだから、グループとしての基準を決めるほうがいいので はないのか、と言っているわけです。 ○矢崎座長  おそらく、単独型はこれからはあり得ないと思います。梅田委員が言われた部分、単 独型は大きな管理型と、管理型以外の施設との組み合わせになると思います。もう1つ は、病院群の管理型と、共同のものをどういうふうにしていったらいいかが次の問題で す。それについては、先ほど梅田委員が言われましたが、何かご意見がございますか。 ○梅田委員  私は、管理型と協力型の病院群のときは、その病院群全体で、単独型の基準を満たせ ばいいだけであって、逆に管理型、協力型の病院群の所には、細かい基準を作る必要は ないのではないかと思います。単独型のほうで、大体こういう基準だと決まればそれで いいのではないでしょうか。  また、管理型を、ある程度大きな病院にしなければいけないとか、そういうことは必 要ないのではないか。きちんとローテーションさせて、その全体のプログラムを管理で きる体制さえきちんとすればいいのではないかと考えております。 ○矢崎座長  それは、現実に可能ですか。 ○梅田委員  少なくとも、私どもの県立病院の病院群については可能だと思っております。山口委 員はいかがですか。 ○山口委員  いまの単独型、管理型、協力型の問題ですが、現実的には単独型だけを過去2回小委 員で検討しましたけれども、病院群としての管理型、協力型を併せた病院群の基準を作 り上げれば、それを満たす要件が当てはまっている単独型はあり得るだろうと思いま す。  しかし、単独型だけを最初にいろいろ議論していると、なかなか現実的な問題が先送 りされてしまうのではないか。いまから小委員会をもう一回やるということで、管理型 と協力型の病院群の基準を考えていこうということになっていますが、私はそっちのほ うを急ぐべきだろうと思っています。そして、資料にもありますが管理型、協力型を併 せた基準を満たせば、それは単独型としてもあり得るのではないかと考えています。 ○矢崎座長  それは理解できますが、例えば梅田委員から具体的にどういうスキームでそういうこ とができる、というようなものをいまでなくても結構ですが。 ○梅田委員  後日に出させていただきます。 ○矢崎座長  後日に見せていただいて、それがどれほどオールジャパンで可能であるかというの は、見ないと我々としては研修医の立場に立つと非常に不安ですので、それはきっちり した形で見せていただきたいと思います。  基本は、先ほど下村委員もお話になった、トータル病院群としてそういうような感覚 で施設基準は決めていくということでよろしいでしょうか。何かコメントがあればお願 いします。 ○堺委員  特にはないのですが、堂々巡りになってしまうものですから、どこかで突破口で決め ていくしかないと思うのです。確かにプログラムは重要ですけれども、病院としては施 設認定の議論の中では、単独型というのは、大体それが病院群を併せた形ではないか、 という認識で議論していただいたと思うのです。 ○松田委員  議論が戻るかもしれないのですが、私は大学におりますけれども、大学病院というこ とをイメージして申し上げているのではないことをまずお断りします。先ほどの単独型 と、群の中の管理型では内容が変わってもいい、変わるべきで、群としては、全体とし てはあるレベルで、単独型に近いものがあれば、というのがご意見が、梅田委員や山口 委員の意見だと思うのです。  私も小委員会で申し上げましたけれども、群の場合の中核となる管理型は、それなり の規模と、全体を見られるそれなりの条件を是非付けていただきたい。それでないと、 いろいろな病院が、皆さんたくさん手を握りましょうと言って集まって、座長もおっ しゃったように卒業生が本当にそこに行こうかという、そこで十分な研修ができるの か、心配されることです。これはでは我々が頑張ってやっても、立派なものができるか どうか大変疑問に思います。やはり、群の中の管理型というのは、それなりの基準を設 けてほしいと思います。 ○矢崎座長  基準というより、それを組んだときのプログラムの評価です。ですから全体の評価 で、あまり枠で縛らないほうがいいので、質をきっちり担保できるかどうかです。まず 梅田委員から出していただいて、それは極めてリーズナブルであれば、それはそれでよ ろしいかと思います。 ○西岡委員  いま、座長がおっしゃられた質については、確かにいろいろな所が組んでいくとき に、質がどれだけ担保できるのか、というのもお出しいただけると非常にありがたいと 思います。確かにいろいろな施設がたくさん集まっていったとき、単独型でも一緒なの ですが、そのときにどれだけの指導体制、あるいは研修の効果が保証できるのか、とい うのが研修医にとっては大事ではないかと思います。その部分も、もしお考えがあれば 出していただきたいと思います。 ○矢崎座長  お言葉を返すようですが、大学もいままでは小さい単位の集まりだ、という感じがす るわけです。いまはそういうことではない、大学が一体化してきっちり回る、というの が先生方がこれから生きていく道だと思うのです。それを担保していだければ、それは なにも大学病院で研修はいかんとか、そういうことではないと思います。両方が質を担 保してもらわない限り、我々はまとめられないのです。 ○西岡委員  私が申し上げているのはそれで、私は大学の代表としてお話をさせていただいている わけではなく、研修医を送り出す者としてお話させていただいている、ということをま ずご理解いただきたいと思います。  大学は大学で質を担保しなければいけないし、病院群を組んだときにも、その質が担 保できなければいけないというところを追加して、お考えを出していただけたら非常に ありがたいということです。 ○矢崎座長  両方が課せられた問題ですので。 ○星委員  いまは、最低基準の話をしているわけです。こういうものを持つような群なり、単独 型を設定しましょうという話をしているわけです。その中で、どんなプログラムを組む のかということについては、ちゃんと公表するし、どういう病院がどういう役割を担う のか、ということを明確にして卒業生に提示するわけです。それを選んでもらうわけで すから、なにも心配してもらう必要はないと思うのです。  我々はプログラムを外明確に出すと言っているわけですから、その評価をしないで心 配だ心配だと、小さい施設には研修ができないのではないかと心配してくださるのは大 変ありがたいけれども、我々はいまそれを目指してやろうとしているのです。 ○矢崎座長  星委員のお言葉はやはり問題があると思います。それは、良い臨床研修制度の制度設 計を作るということでみんなしているので、どこがどうのということではないのです。 私が申し上げたのは、きっちりした評価のあるプログラムと施設を組んでいただけれ ば、それで問題はなくて、どこが良くてどこが悪いということではないのです。それ を、みんなの共同意識として持つということが最低の担保だと思います。  例えば、大きな病院とすれば、大学病院で実際にどうする、どうしているか、今後ど うするのか、実際にするのかどうかということです。それと、具体的なものを、例えば 梅田委員にお願いしたようなものを作っていただく、ということもあるかと思います。 それから、大きな臨床研修病院であれば、櫻井委員の聖路加でもいいですし、私どもの 医療センターでもいいですけれども、それを提示して、こういう形でやっていきます、 ということで下村委員もある程度納得していただけると思いますので、是非それをやっ ていただきたいと思います。 ○吉田委員  ここに書いてある基準の1つに、「臨床病理カンファランス(CPC)」のことがあ ります。CPCを定期的に開催することが重要であって、それが剖検例でなくてはなら ないとすべきではない。11頁に「剖検症例についての臨床病理カンファランスとして」 と書いてあります。これはもう一度ご検討願いたい。ますます剖検例というのは少なく なってまいりますし、臨床病理カンファランスを意義あるものにするために、例えば生 検標本などを使っても、CPCは可能なわけでありますから、この辺のことをもう一度 ご検討いただきたいと思います。 ○矢崎座長  それは、剖検件数で20体あればどうのこうのというのはあまり意味がないわけです。 きっちりCPCで剖検の後検討しないといけないということですから、それは重要だと 思います。ただ、これはそういうことをやるということであって、これが先生のおっ しゃるような生検の材料をしたCPCだって当然入ってくるわけです。ただ、剖検例を 基礎にしたCPCは絶対にやってほしい、というのが基準の要望です。 ○吉田委員  よくわかりました。しかし、この文章を読みますと、かつての剖検例が何体以上とい うこととあまり変わらないような印象を受けますので、そこは「剖検症例を中心とし た」とか、そのような書き方にしてください。 ○矢崎座長  わかりました。3番目の「処遇等の問題」に移らせていただきますが、これはどうし ていいか、この場ではなかなか議論しにくいところです。大谷委員のご発言では、病院 群をつくった場合に、連携しやすい方向で処遇の問題は対応しろというお話で、特に費 用の負担には国が責任を持て。大先輩からのご指令だと私は受け止めております。この 点についていかがでしょうか。 ○下村委員  主計局にしても、あるいは保険側にしても、いま何らかのお金は払っているわけで す。したがって、研修によって何が変わって、何のための費用が必要になるのか、とい う点が明確にならないと、誰もそれはお金を出そうなどとは言わないだろう、というふ うに私は言っているわけです。  保険の関係者に向かって私が言うのは、現在既に臨床研修医については、まずアルバ イトの料金を払っていれば、臨床研修病院で行っている医療も、保険医として行ってい る部分については、相応の支払いはしているので、総額はどうなるかという点はあるに しても、要するに保険から払うお金がどう変わるのか、あるいはどういうふうな払い方 になるのか、というところが問題なのだと言っているわけです。そういう性質の問題だ ということは、よくわかっていてもらわないといけないのではないかと思います。  先ほど大谷さんが言ったような話になるのは、純粋の雇用契約というわけでもないと は思いますけれども、研修のためとは言いながら、雇用契約ということになる。雇用契 約ということになると、仮に国立大学であれば、これは国家公務員になるのだから、法 律上は間違いなく国家公務員としての俸給表が適用になるわけです。したがって、医療 職俸給表との関係というようなところは、法律的にはっきりさせておかなければとても 駄目でしょう、ということになるわけです。その場合に、それに伴う収入があるのかな いのか、という点が当然問題になってくるわけですが、そうではないのだろうか。そう いう性質の問題だと申し上げているわけです。  もう1つは、いままでの話を伺っていて、1年目と2年目は結構違うような気がしま す。1年目はどちらかといえばアレで、2年目になれば多少医者らしくなってきている のかなということになると、保険の支払いのほうも1年目と2年目とでは、実態として は違っているのでしょうね。実際に支払われている医療費の面でも考慮する必要がある ような気がします。 ○矢崎座長  全くそのとおりです。 ○下村委員  いま出たのは、賃金職員の形での費用を、東大病院などは払っているのだと思いま す。 ○矢崎座長  非常勤です。 ○下村委員  非常勤ということは、日々雇用という意味ですね。 ○矢崎座長  そうです。 ○下村委員  毎日毎日だけれども、それは実態からいえば、2年間の有期の雇用契約みたいなもの があるわけです。その2年間のところは問題になるのだそうです。2年間の有期雇用契 約という考え方がとれるのかどうか、それは労働法規の関係の問題があるわけです。  それから「職務専念義務」とか言うのだけれども、なぜ急に職務専念義務が出てくる のかよくわからないのです。国家公務員であっても、研修で長期にわたって海外へ出す とかいろいろなことをやっているわけだから、この場合だって国家公務員法との関係で は、これだけが専念義務の問題ではないと思うのです。在外公館に勤務する場合に、語 学研修などというのは数カ月にわたって行うわけだし、あるいは財務省や厚生労働省な どにしても、1年間ぐらい海外の大学に留学させるということをいまでもやっていま す。あれは、休職しているのかな。その辺のところは、いずれにしても法律問題がある わけです。その辺の整理ができていないと、この問題は軌道に乗らないだろうというこ とを言っているわけです。 ○矢崎座長  身分の点は非常に難しいと思います。国立とそうでない場合に、どういうふうなお金 を出すかという具体的な方策はいろいろ問題があると思います。専念義務については、 2年間は専念していただかないといけないのです。ただ、外国でそれと相当する臨床研 修を行った場合は、その期間に認めますが、それ以外のものだったら認めない、それか らアルバイトをしない、というのがポイントだと思います。 ○高梨委員  資料6−1の2頁に、研修手当についての案がAとBと書いてあります。前回発言し たような表現になっているのですが、私自身はBの最後のところを、「支払うこと」で はなくて、「支払うよう努めなければならない」とか、「支払うよう配慮するものとす る」という程度のものでいいのではないか考えています。  だから、Bだけでいいというのではなく、その場合であってもAの「最低賃金額以上 の研修手当を支払わなければならない」というもののほうがいいのではないか。ある意 味ではA+Bということです。表現ぶりは若干変えることにして、それが私の意見で す。 ○矢崎座長  Bの場合には、Aは当然含まれるという認識の上でBがあると思いますので、高梨委 員の言うとおり、それはきっちりするようにしたいと思います。 ○高梨委員  資料6−2のところで、社会保険の適用の関係について一定の整理をしていて、私は 大体こんなところかと思っています。その後ろに「出向契約書」のイメージが入ってい ます。その12条に労災保険の関係について書いてあって、「引き続き甲が加入し、保険 料を負担する」となっていますが、これは1頁、2頁の関係からすると、異例なケース を書いているような感じがいたします。引き続き甲ではなくて、乙が加入するというの が1頁、2頁の考え方です。甲が負担した場合に、前から申し上げておりますが、労災 保険のことだけではなく、研修医に対する安全配慮義務を果たしていたかどうかとか、 事故が起きた場合の損害賠償責任を誰が負うのか負わないのかとの関係がありますの で、ここのところは乙のほうで書いておいたほうが適切ではないかと思います。  処遇のところですが、資料4−2の3頁には「基本ローテーションの構成」について 書いてあって、下のほうの四角の中にa、b、cと書いてあります。私は、a、b、c いずれも反対です。精神科、産婦人科というのを選択にしてしまうということになれ ば、結局やらないで済むということになるのですが、これだけストレス社会になってき たときに、プライマリ・ケアで、精神科のことも1カ月がいいのか、何カ月がいいかの 議論は別として、少なくとも単位は1カ月というのが基本の思想だと思います。そうだ とすれば、そういうものをやるべきです。  また、産婦人科の問題にしても、これからの産婦人科というのは、通常のこと以外 に、不妊治療の問題もあったりするのだと思いますので、一定の期間はやったほうがい いだろうと思います。  bについても、小児科と産婦人科とはちょっと違う、というのが私の考え方です。小 さな子供を直接診るというのは、産婦人科の仕事とは別の観点があると思いますので、 分けた形で必修にしたほうがいいだろうというのが私の考え方です。  cの考え方というのは、あり得るのかもしれませんけれども、それでは濃淡が出てく るのです。地域保健・医療、あるいは救急が2カ月でいいか、3カ月でいいかという問 題はありますが、プライマリ・ケアといったら、やはり介護のことも多少は知っておい てもらわないといけないのだと思います。それから、へき地診療もやってもらえればあ りがたいわけです。そうすると、トータルで10カ月でいいというような形であれば、ほ んのわずかだけやっておく、というようなことになってしまうので、基本は上のほうの 考え方で、18カ月がいいのかどうかというところは議論があるのかもしれませんが、相 当の期間は必修だよ、ということで一定の科目については義務づける、というローテー ションの仕方をしたほうがいいと考えています。  もう1つ「基準」のところですが、私は専門家ではないので申し上げにくいのです が、いままでの大学病院は大学病院でやるのですけれども、指定される所もいくつかあ るわけです。その指定の基準を厳しくする方向でいくのか、それとも、もう少し緩やか な方向でいくのかというと、私は緩やかな方向で動いていくべきと思います。いままで よりは、手を挙げやすいというような基準作りをしていく。しかし、一旦手を挙げた以 上は、きっちりと研修ができる体制ができている、そういう所に手を挙げていただく。 単純に、ある所で機械的に線を引いて、手を挙げられないというような厳しさというの ではなくて、手を挙げるのは緩い基準で、しかし手を挙げた以上はきっちり研修をして もらう、という方向での基準作りがいいのではないかという意見です。 ○矢崎座長  3点お話をいただきました。最初の研修医の処遇については貴重なご意見で、事務局 のほうでもそれを十分勘案してリバイズしていただきたいと思います。2点目は極めて 重要なポイントです。私は、山口委員が言われた、最初の原点というのが重要だと思い ます。そのときに、実際に高梨委員に精神科の研修、あるいは産婦人科の研修がどうい うものか、そういう診療科に行ったときの研修はどういうものか、というのを十分理解 していただかないと、ただ精神科に研修に回ったから、高梨委員の言われるような心の 問題とかそういうのを解決しますよと。下村委員が言われたように、そこへ行ったから 必ずできるというものではないということです。それは違う意見もあると思います。私 はそういうふうにまとめましたので、次回反論していただければよろしいかと思いま す。  私は、女性の例えばDNA、これは失言になるかもしれませんけれども、チンパン ジーとヒトとの間では、本当に1.2%ぐらいしか違わないのです。人種個人の差は0. 2%、でも、女性と男性はDNAは10%ぐらい違うのです。失言になるといけないと思い ますが、人類の半分は女性ですし、お互いにうまく生きていかなければいけない。医療 も、これから高齢化社会にのときに、女性の数が多くなるので、そういう視野を入れた 視点で研修を組まないといけない。それが、単に産婦人科を回ったらチェックというこ とではしたくないということで申し上げたのです。これが議論になると、次回コテンパ ンに私をやっつけてください。 ○島田委員  最初、このときに研修医にアルバイトをさせない、ということがわりと課長辺りから 出たと思うのです。研修医がアルバイトをしないということは、それだけ処遇もされて いるし、それだけ研修に身が入っているということの一つのバロメーターだと思うので す。その件ついては、この案ではどういうふうに盛り込もうとしているのかということ をお聞きしたいのです。 ○星委員  研修の処遇の問題のところで私も1つ発言させていただきます。結局、お金をどこに 出すかという議論をするときに、指導医の教育のための費用とか、あるいはいまは施設 に教育をお願いするときの費用が出ていますけれども、そういう形でこれからも考えて いくのか、あるいは給与の一部分を何らかの形で流すのかという辺りは、少し明確にし ていただかないといけないということが1つです。  もう1つは、研修の施設に対して、お金を出すとすると何人引き受けてもらうからお 金を出します、という形にしなければいけないと思うのです。その辺りを、どのように お考えなのか明確にしてほしいと思います。 ○松田委員  処遇のところで是非言いたいのですけれども、これが原点だと思うのですけれども、 大谷委員が最後に個人的な意見とおっしゃいましたことです。新しい制度を作るのです から、これこそ原点に帰って、国はきっちりその処遇として、見合った給与を出すとい う基本的な方針をこのワーキングで出してもらわないと、それが曖昧だからいろいろな ことが出ているのです。  厚生労働省でも次の単年度予算でこれを予算請求されるのだと思います。そのとき に、ここのワーキンググループでの意見がいろいろバラバラで、研修医は労働者だとい うことがここでほとんどが大勢を占めたら、予算獲得は難しいと思うのです。いちばん 最初のところで、国が処遇の基本的なところは面倒を見るのだというところを、この委 員会としてはまとめるべきだと思います。大谷委員の最後のご発言を、個人的というこ とでなしにまとめていただきたいと思います。 ○吉田委員  それは、比較的はっきりしているわけであって、労働者性はあるけれども、教育的な 側面があるというのは間違いのないところなのです。したがって、教育的な側面という のは、国がちゃんとしてほしい。労働者性があるということに対しては労働者なので あって、それは病院がちゃんと担保する、というようなことははっきりして議論を進め たほうがいいと思います。 ○星委員  前にお願いしたのですが、評価のためのお金とか、その他にかかるお金がどのぐらい なのか、それをきちんと担保しますよ、ということをそろそろ言っていただかないとい けないと思います。 ○矢崎座長  そろそろタイミングですけれども、いま言えるかどうか予算の問題ですが、いまのお 話はこの部会として尊重して、是非厚生労働省に頑張ってもらうことになるかと思いま す。 ○下村委員  私が言っているのは、ただ頑張れとか、国に出してもらわなければ駄目だと言ったっ て駄目ですよと言っているわけです。その根拠が明確でなければ、そんなお金は誰も出 しませんよということなのです。 ○矢崎座長  おっしゃるとおりです。言うことは簡単ですが、きっちりした研修プログラムを作っ て皆さんにわかってもらう。施設基準についても、いままでとは違った、高梨委員が言 われたようにしっかりしたものであるというように、質は担保しながら幅広く捉えてい く。  処遇の問題についても、ある程度この部会として希望は申し上げる。おそらく1、2 の問題がきっちりすれば、3の展望も開けてくると思います。ここはオープンですの で、後ろで聞いておられるメディアの方も十分理解していただいて、新しい臨床研修が こういうふうに変わる、ということを十分その情報を集めてキャンペーンしていただけ れば大変ありがたいと思います。 ○下村委員  実態としていうと、確かに雇用という側面と、教育的な側面と両方あって、臨床研修 医がどちらのオブリゲーションに基づいて行動しているのか、はっきりしないところが ある、というのがいちばん問題だと思うのです。雇われていて、そのために今夜は残れ と言われているのか、研修のために今夜は残れと言われているのか、そこは曖昧模糊と しているところが非常にあって、そのオブリゲーションがはっきりしないのです。  研修以外の目的には、臨床研修生には余分なことはやらせない、ということを大学側 が明言して、そのとおりにやれば教育性とか研修の性格はより強くなります。だけれど も関西医大などの場合には、どうも実態からいえば雇用ではないか。その実態判断が基 にあるわけだから、実態をどう変えるか、というところをはっきりさせなければ、それ は議論ができないのです。大学が、どこまで覚悟を持ってこの問題に取り組むことがで きるか、というところが1つの鍵だと思います。 ○矢崎座長  先ほど申し上げましたようにそれぞれですね。 ○村田課長(文部科学省医学教育課長) 1つお願いがございます。下村委員のご発 言、星委員のご発言はごもっともだと思っております。今後は国立大学だけではなく、 国立病院共々独立行政法人になるわけです。国立病院のほうがちょっと先だと思いま す。その際の研修医の身分上の位置付けの問題、それは雇用契約云々とおっしゃられた 下村委員のご指摘のとおりです。正直なところ、現在のご議論を伺っている限りにおい ては、私は自分の問題として引き受けて、国立大学は大学法人になりますけれども、そ の中でどういうふうに研修医を位置付けていいか、という議論についてはよくわかりま せん。  したがって是非お願いしたいと思いますのは、労働法制ではなく、医師法上の研修と いうのが何なのか、というところを、労働との関係においてどうなのか、いまおっしゃ られたとおりですが、明確にしていただけると、今後の私どもの検討に役立つというこ とで、現段階では私どもどうしていいか正直なところよくわからないでいますので、よ ろしくお願いいたします。 ○下村委員  実態を踏まえた法律論でやらなければいけないのですが、ここは法律家がいないのだ から無理なところがあるのだけれども、その問題を決着しないと先に進まないと思いま す。 ○矢崎座長  本日、二村委員と花井委員のご発言がなかったので、簡単にご発言いただけますか。 ○二村委員  いまの、課長のご発言と関連していることが1つあります。いま、研修医は非常勤な のですが、独立行政法人化になると、労働基準法によって40時間非常勤がなくなるはず ですから、常勤で研修医を処遇しなければいけないということが1つあると思います。  もう1つ感じたことは、マッチングの問題が今回もプレゼンテーションされました が、具体的なことが今回も全く進みませんでした。これを、本当に施行するとなると、 相当な準備が必要ですし、相当大きな所が動いて、いろいろプログラムを作らないとい けません。本日日程も出ましたが、これを本当にやるとなると、制度を作るときには調 査などいろいろなお金が準備のときにかかると思います。 ○矢崎座長  マッチングについては、それほど研修医のニーズの多様性があるとは思えないので、 本当にマッチングをやると、おそらく強制配置みたいなことになってしまって、それが 可能かどうかということも議論があると思いますので、それについてはまた議論したい と思います。 ○花井委員  2点あります。1点は、先ほど島田委員から出されましたように、アルバイトをしな いで済む研修医の養成のあり方というのはどういう形で保証されていくのか。先ほど、 高梨委員から文言修正というお話が出されましたが、そのことでアルバイトをしないと いうことが担保されるのかどうかということが1つあります。  それから、研修医の評価のあり方で、評価されなかった場合にはどういう扱いになる のか。法的には、病院等の管理者になれないなど2つのペナルティーがあったかと思う のですが、評価されなかった場合もう1回研修にチャレンジできるのか、そこが初歩的 な疑問としてあります。最後に矢崎座長がおっしゃった、産婦人科を回っても、そうい うふうにはならないよというのであれば、そうならないような研修のあり方を是非ご検 討いただきたいと思います。 ○矢崎座長  先ほどは言いすぎてしまいました、申し訳ありません。 ○西岡委員  処遇のところでなのですが、これはどこで出たらいいのかよくわからないので、いま まで申し上げなかったのですが、大学を出て基礎へ行かれたような方で、途中からまた 研修をやりたい、臨床家になりたいという方はこの処遇の中にはうまく入ってこないの です。そういった方も、その時点から研修ができるような形をこの中に含めていただけ るとありがたいと思います。 ○矢崎座長  先生がおっしゃるのは応用問題で、まだ基本問題が解決していません。応用問題は後 で議論させていただきます。だいぶ時間も過ぎて、強引に議論をリードしましたので顰 蹙を買われている方もおられるかもしれません。次回も、お互いにまとめようという視 点から、是非忌憚のないご議論に加わっていただきたいと思います。  本日お頼みした宿題があります。梅田委員と西岡委員、星委員もいろいろ言われてお りますので何か参考資料を、山口委員も可能であれば持ってきていただいて、簡単に説 明していただきたいと思います。それから、下村委員が最初からお話になっていた、研 修プログラムを、下村委員が納得できるような目標をはっきりさせていただきたいと思 います。 ○下村委員  選択の意味を、はっきりさせてほしいわけです。 ○矢崎座長  はい、わかりました。次回までの宿題を解決したいと思います。本日は時間を超過し てしまい申し訳ありませんでした。 ○ 医事課長  次回の日程につきましては、ただいま調整中ですので、決まり次第連絡させていただ きます。本日はありがとうございました。                       照会先                        厚生労働省医政局医事課                         電話 03−5253−1111                          内線 2563,2568