02/07/30 第3回インターネット等による医療情報に関する検討会議事録         第3回インターネット等による医療情報に関する検討会 ○日時 平成14年7月30日(火)10:30〜12:00 ○場所 厚生労働省省議室 ○出席委員 大山永昭 五十嵐良雄 石原謙 菊池令子 木本陽三 坂本憲枝       櫻井秀也 塚本亨 奈良昌治 深井寧 福島龍郎 松山幸弘 三谷博明       向山孝史 渡辺俊介 ○議事内容 ○大山座長  おはようございます。ただいまから、第3回インターネット等による医療情報に関す る検討会を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席くだ さいまして、誠にありがとうございます。  本日は、河北委員、中島委員、向山委員からご欠席のご連絡をいただいております。 定刻を過ぎましたので、始めさせていただきたいと思います。それでは、これより議事 に入らせていただきます。  本日は、都道府県が行っている医療に関する情報提供の現状等につきまして木本委 員、筒井参考人からご説明をいただき、その後に議論を進めたいと思います。  まず、早速ですが木本委員から、静岡県における取組状況についてお話をいただきた いと思います。それでは木本委員、よろしくお願い申し上げます。 ○木本委員  お手元の「静岡県のホームページによる医療情報の提供」という資料をご覧いただき たいと思います。静岡県の場合ですが、ここの1にありますように私どもは、医療情報 というものを患者あるいは県民の立場から見て、3つに区分けをして考えております。  1つは、自分が医療機関に受診をしようと思うときにどういう医療機関がどこにある かということを知りたい、というのがこの医療機関選択情報です。2点目は、受診をし ている患者が自分の診療に関する情報を知りたいであろう、という情報です。3つ目 が、安心情報と言っておりますが、例えばここにありますようにいわゆるHIV等の感 染等に対する一般的な医療情報、あるいは、静岡の場合ですと東海地震等が予測されて おりますことからそういう場合の医療救護体制の情報、あるいは、もう少し広くいきま すと食中毒や健康食品等の予防措置的な情報です。こんなふうな捉え方をして情報を提 供しております。  ただ、ここに黒字に書いておりますのがいま、具体的に提供をしている情報というこ とです。それを非常に不十分だということは重々承知しながら、現状をご覧いただくと いうことで2番目に、情報提供手段と提供している内容ということで一覧にしておりま す。  なお、1の医療情報に戻りまして、患者の診療情報ということについてです。いま、 実は静岡県では今年の9月に4つ目の県立病院として県立がんセンターを開院させます が、そこでは電子カルテを導入いたします。将来的には、地域情報ネットワークの中で この電子カルテが患者さんへの診療情報の提供となると思っておりますが、当面は、病 病あるいは病診連携の中で診療に携わる先生方の間での限定的な利用として対応してい きたい、というふうにしております。  2つ目の静岡県の医療情報です。本委員会の目的がホームページ、インターネットと いうことですので、このホームページの所で提供しているものを中心にご説明いたしま すと、第3次医療機能調査結果、それから静岡県広域救急災害救急医療情報システムと しての救急指定病院の情報、これも後ほどちょっと触れさせていただきます。それか ら、難病あるいは感染症の指定、あるいはエイズ予防対策といった特定疾患についての 対応病院の状況、それから病院名簿・診療所名簿、これらは当然、所在地、それから医 師数、あるいは診療科目等がデータとなってまいりますが、そういうようなものについ てホームページで情報提供をしております。  またこれ以外にも、病院の医療事故等についても県内の他の病院で同様の医療事故等 が発生することを防止する目的で、静岡県では、事故あるいは事故の恐れの事例が生じ た場合には、原則公表ということにしております。これはまだホームページには載せる に至っておりませんが、そういったものも適宜、ホームページを使って県民へ提供して いきたいと考えております。  2頁をお開きください。3次医療機能調査ということです。この具体的なホームペー ジへの掲載の仕方は4頁、5頁に2枚ほど抽出しておりますので、これを見ながら説明 をお聞きいただければと思います。  もともとこの3次医療調査は静岡県が独自でやっているわけではありませんで、医療 法に基づく地域保健医療計画の中で、こういうようなものを調査しなさい、ということ になっております。そこの作りがここの3つあります升目の説明です。  地域保健医療計画の中で、医療施設相互の機能分担と相互連携について記載しなさ い、計画を立てなさい、とされています。  2つ目の升目は、具体的にはその医療施設相互の機能分担というのはこういうような ものですよと、こういうものを対象にしなさい、ということです。  3つ目の升目は、それを具体化するために県内の医療状況の実態を把握するために病 院協会・医師会の協力を得てアンケート調査を実施いたしまして、その得られた回答を 数度にわたって情報を医療機関と往復させました。そしてその結果、特にがん対策の分 野についてこの4頁、5頁というような形でデータをまとめまして、これをホームペー ジでも公表しているという状況です。  内容的には、特殊な診療ごとに、個別診療機関ごとに医師数、症例数、参考として今 後の取組みを載せたということで、これが公表した都道府県が少ないということのよう です。ただ、担当した我々としますと、とてもとてもまだまだ県民にとってこれで十分 なものではないとは思っておりますが、現段階では、こういう状況になっております。 やってみまして、どういう情報を提供するかという趣旨から、逆に反省点を申し上げた いと思います。  まず、アンケートによる自主申告のデータである、という点です。それから、もとも とこのデータを収集するときに、県民への医療選択の情報として提供するということで はなくて、医療機関相互の連携に役立たせようという趣旨で調査を行いました。した がって、専門知識を有しない一般県民にとってはちょっと見ても内容が理解しづらいの ではないか、という点があります。  また、ここの公表の仕方が静岡県の医療体制を示すというような地域保健医療計画を 県民にお示しする、この中の1つのセクションとして出ていますので、実際にこれを ホームページで引いていこうとしますと、大変に手間がかかるという欠点があります。 それは、3頁をご覧いただきたいのですが、実はこういう構成になっています。  まず、静岡県のホームページを引き、それから健康福祉部のホームページを引き、そ して、所管しております健康福祉企画室のホームページにリンクしていきます。そうし ますと、この地域保健医療計画というのが出てきます。その中からもう1回、ここの3 次医療機能調査結果まで降りていかないと引けないということで、大変引きにくい状況 にあります。この辺も、情報提供するときの1つの改善点であろうと思っております。  3点目、結果としまして、がん対策を中心としたきわめて限定的な分野の情報提供に なっております。県民から見ますと、当然、もっといろいろな幅広い情報を求めている のだろう、と考えております。こういうことの中でやはり、こういうような情報につき ましてはできるならばそれぞれの関係者の理解と積極的な協力が必要ですので、全国統 一的な対応が望ましいと考えております。  私どもは、このあとに、C型肝炎について同じような趣旨で調査をいたしました。た だ、このときには、やはり医療機関で持ち合う情報というふうな扱いになりまして、情 報を県民にオープンするには至っておりません。  4つ目、静岡県広域災害救急医療情報システムです。これはここにありますように、 要するに救急医療機関をホームページでも拾える、というふうにいたしました。  資料の6頁をご覧ください。自分の受けたい市町村をクリックしまして、どういう診 療科目を受けたいのかということをクリックしますと、ここにありますように1週間ぐ らいの救急医療機関、当番院、それから救急センターが一覧で引ける、というようなシ ステムです。ただ、インターネットもまだすべての人が持っているわけではありませ ん。したがって、従来どおりの電話紹介に対する体制も引き続きとっているところで す。これが私どもの県民への情報提供ということです。  ここに書いてありませんが、今年の4月に私どもの県で新しい総合計画を立てまし た。その中では、安心して暮らせる地域保健医療体制の推進という大きな柱を立てまし た。その中で質の高い医療サービスを提供していこうということで、この総合計画では それぞれの目標に具体的な数値目標を付けることといたしました。  県民にとってどういう形でこの情報提供をしていくのがいちばん望ましいかといろい ろ検討いたしまして、結果として、この病院機能評価認定病院の割合を全国一に持って いこうではないかと。つまり、第三者による客観的、かつ専門的な医療知識のない一般 県民にも判断しやすい、そういうような情報としてこの病院機能評価を県内の病院180あ りますが、ここに普及させていくことによってそういう趣旨の情報が県民に提供できる のではないか、という考えを持っているところです。  簡単ですが、以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。次に、東京都健康局医療政策部医療改革推進担当課長の筒 井健治参考人から、東京都における取組状況についてお話をいただきたいと思います。 それでは筒井参考人、よろしくお願い申し上げます。 ○筒井参考人  東京都健康局医療改革推進担当の筒井です。資料は、「医療機関情報システムの概 要」というのが表紙になっております3枚綴りのものと、別綴じで「東京都医療機関情 報システム調査票(病院用)」となっておりますが、この2つです。まず、「医療機関 情報システムの概要」から説明いたします。  東京都の医療機関情報システムですが、その概要につきましては、都内の医療機関情 報を集積した情報提供用のインターネット・データーベースシステムであると。ねらい は2つあります。1つは医療機関選択を支援する「都民向け情報」、もう1つは専門的 な医療機関情報を提供いたしまして医療機能連携を促進する「医療機関向け情報」とい う、この2本柱で構成されています。このシステムの稼動ですが、平成15年4月にサー ビスを開始する予定です。  次に、システムの主な特徴です。第1点は、「多様なメディアからのアクセスを確 保」ということです。従来、東京都は、保健医療情報システムというものを持っていた のですが、主には電話による問合せに対して対応するというシステムでした。東京都の ホームページにも若干は載っているのですが、その情報の内容があまり豊かではないと いう状況です。  新しいシステムでは多様なメディアからのアクセスを可能として、医療機関案内等の 情報を365日、24時間提供するというようなことで、インターネット、パソコンから医療 機関情報の検索ができます。あるいは携帯電話による医療機関案内ができるということ です。  それから電話の場合にも音声自動応答装置というものを付けまして、その話声のやり とりだけである程度の医療機関情報案内ができるという、そういったシステムを併せて 整備することとしております。  特徴の2点目、「豊富な情報量と情報の階層化」ということです。現行のシステム は、例えばホームページに載っております情報というのが、医療機関名称、所在地、診 療科目、この程度がいまホームページに載っているということなのですが、その辺の情 報をかなり豊富にしたということです。別添の「東京都医療機関情報システム調査票 (病院用)」というものを参照してください。  この目次にありますとおり、医療機関の連絡担当者、医療機関名称から始まって、例 えばその医療機関の所在地だけではなくて9番の交通手段、どの交通手段からの最寄り ですとか、それから診療科目は当然ですが、16番の看護体制、28番の設備機器情報と か、27番の学会認定医・専門医という、専門医療、そういった診療機能に関する情報、 それからリハビリ医、難病、あるいは日帰り手術の対応等です。かなり詳細な医療機能 情報をこの調査票で集めまして、それをこのシステムに掲載するという予定です。  また、概要に戻っていただきます。(2)の(1)です。新しいシステムでは医療機関の 地図情報、こういったものも画面上で、見ることができるようになると思います。それ からその医療機関の得意診療領域と言いますか、専門的な診療領域、そういった都民が 医療機関を選択するのに必要だと思われる情報や診療機能、診断機器等医療機能連携に 必要な情報等を併せて大幅に充実するということです。  先ほど木本委員から医療機能連携に関する情報、それから患者さんの選択に関する情 報ということで若干、情報の濃度の差があるだろうという話があったのですが、一応、 東京都の医療機関情報システムでは、ちょっと欲張りなのですが両方とも狙おうという ものです。この調査票の中では、患者さんが必要な情報も入っておりますし、より専門 的な医療機能連携に必要な情報、こういったものも盛り込んでいるつもりです。した がって、情報の中身は、かなり多いと言いますか、濃度はかなり濃いのです。  そこでちょっと情報の階層化ということを考えまして、(2)の(2)です。都民の医療 機関の選択を支援するため誰もがアクセスできる都民向けの情報層、それから、医療機 能連携を支援するため医療機関のみがアクセスできる専門的な情報層ということで、入 口を2つに分けてシステムを構築しております。それはまた後ほど、資料でご説明した いと思います。  3番目の特徴、「情報の鮮度及び正確性の向上」です。現代の保健医療情報誌という のでは、年1回医療機関に対して調査票を送りましてデータ更新をしていく、という方 式です。  今回、新システムでは、インターネットを通したデーターベースシステムということ ですので、医療機関側で自己の情報を直接インターネットにより更新することが可能に なります。これはもちろんそういった形で医療機関の方のほうで随時、更新していただ くということが必要になるわけですが、こういった手段によりまして常にリアルタイム の情報を提供することが可能になるということです。  4点目は「インターネットのリンク機能を活用した情報提供」ということで、新しい システムでは医療機関情報、データーベースと入っているわけですが、一応、各医療機 関のホームページとのリンクということも考えております。これによって、一般的な医 療機関情報に合わせて、より詳細な医療機関情報を都民が見ることができるようになる ということです。  ただ若干、個々のこの医療機関のホームページとのリンクについては、その運用のあ り方と言いますか、必ずしも適正でないと言いますか、いろいろな種類のホームページ があるということですので、そのリンクの運用のあり方についてはいま、医療関係団体 とも検討しているところです。  5点目は「大幅な経費削減」ということで、コストダウンの話です。現行のシステム は汎用機を使用したデーターベースということで今回、大幅にダウンサイジングすると いう、サーバーを使ったインターネットのシステムということで、その点でのコストダ ウンということがかなり図られるということです。  2枚目は「システム概念図」ということで、先ほどお話しました情報の二層化と言い ますか、その説明の資料です。都民からインターネットを通して都民向け情報というこ とで交通手段情報等の必要な情報を得ることができる、ということです。  下の段に「専門的な情報」というのがありまして、この中には地域医療連携に必要な かなり専門的、詳細な情報が入っております。  真ん中に「パスワード」という仕切がありまして、この下の「専門的な情報」につい てはパスワードを入力していただかないと見られないというような、そういった形の構 成にしております。したがって、医療機関のほうにはそのパスワードをお配りしまし て、ワープロで入力していただければ連携に必要な専門的情報を見ることができるとい う、そういった構成になっております。  この情報源ということですが、先ほどご覧いただいた別添の調査票、その他医療施設 動態調査ですとか、健康局のほうである程度有しております行政情報、こういったもの も加味して情報のデーターベースの情報源ということにさせてもらいます。  3枚目をご覧ください。「医療機関情報案内情報処理(アクセス別)」ということで す。これはどちらかと言いますと、都民の方からアクセスしてどういった情報が得られ るのか、ということを整理し直した資料です。  左側にアクセスの方法がありまして、インターネット、携帯電話としては右側の医療 機関情報ホームページと、この中に入っているような情報が見られるということです。  このホームページの中で、網掛けをしている部分が新システムで新たに付け加わった 部分です。言い換えますと、現在のホームページで見られるのは、その医療機関の地 域、診療時間、診療領域の中では診療科目のみ、ということです。新しいシステムで は、路線別の最寄りの医療機関や、それから診療科目だけではなくてその診療科目の中 の専門的な診療領域、こういったものもこのホームページで見られるということです。  検索の結果です。右側に移りまして、地図情報が付いております。そこの医療機関に 至る地図案内情報を見ることができる、ということです。これがインターネット、携帯 電話を通じてホームページで見ることができる情報の説明です。下のほうは電話から得 られる情報ということです。従来も電話からは、真ん中に「相談員」というのがありま すが、基本的には、相談員を通して医療機関案内ということだけでした。  新しいシステムでは、下の箱にありますように音声認識自動応答装置というものを付 けまして、これで24時間、いつお電話をいただいても音声のやりとりを通じてある程度 の情報をお伝えすることができる、ということです。  右下ですが、医療機関案内ということで、特定された地域から同心円上に検索して案 内ということで、お住まいから半径1キロ以内ですとか5キロ以内、そういった形でど ういう医療機関、診療所があります、というようなことで情報提供することができる、 ということです。  雑駁ではございますが「東京都医療機関情報システムの概要について」、以上です。 ○大山座長  ありがとうございました。  次の議題に進む前に、本日初めてご出席いただきました御手洗委員に簡単に自己紹介 をお願いしたいと思います。 ○御手洗委員  日立製作所労政部の御手洗です。3回目からの出席になりますが、皆様といろいろ議 論をしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○大山座長  どうもありがとうございました。  次に、事務局から資料が提出されていますので説明をいただきまして、そのあとでま た全体の議論をさせていただきたいと思います。  それでは事務局側、お願いいたします。 ○伊澤補佐  それでは事務局から、「インターネット等による医療情報に関する検討会(第3回) 資料」に沿って、ご説明をいたします。1頁目は、これまでの委員の皆様方のご議論を 踏まえまして公的主体による情報提供につきまして、インターネットを中心としてどの ように利用をしていくかという点について、基本的な考え方を整理したものです。  まず、基本的な情報提供の方向性としまして、I「医療に関する情報提供を進めるに当 たっては、国民に対し信頼性の高い情報を提供していくという観点から、客観的で検証 可能な情報を中心に適切な情報提供の促進策についてご議論を深めていただいたらどう か」という形で整理しております。  これは公的主体が提供する情報ですので、その他の主体と比較して提供される情報が 国民にとって信頼性の高いものではなくてはならないのではないか、このような考え方 に立って客観的で検証可能な情報を中心に、というように整理しております。  次に、では、情報の信頼性あるいは情報の確実性というものをどのように確保してい くか、ということがご議論になろうかと思いますので、提供される情報ごとに3つほど に区分いたしまして整理してみたらどうか、と考えております。  具体的には、まずII(1)「既に客観性が十分で、検証が容易になっている情報」です。 これは例えば、住所、診療科目等のように言わば医療機関の基本的な情報で、国民の目 から見て外形的に検証がすぐできるような性質のもの、それから診療機能、治療実績、 あるいは患者へのサービスの提供の状況等のように、外形的にはすぐに判断できるもの ではありませんが、こういったサービスが提供されている、あるいはサービスが提供で きるということに関する基本的なデータを、例えば医療機関からしっかり出していただ ければ、容易に検証できるものです。  次に(2)です。例えば医療機能評価機構の病院機能評価のように、評価基準あるいは評 価方法を明確化することによって、どのような基準・方法で評価されているのか、そう いうことがはっきり第三者にもわかる形で客観性が十分に高められており、客観性が十 分あるというような情報です。  (3)です。死亡率のような、アウトカム(結果)情報です。これらにつきましては客観 性を高めるという方向性が重要であり、まず、評価基準、評価方法等を確立していく必 要があるのではないかと考えられます。そのためには、例えばデータ整備、ICDコー ドの普及ですとか重症度補正といったものですが、そういった処理技術の開発も必要で しょうし、そもそものスタンダードも必要ではないかと考えられます。インターネット で情報を提供する場合にも、こういった大きく3つの区分を念頭に置いてご議論いただ いたらどうかと考えております。  IIIでは、このように同じ情報と申しましても、その客観性ですとかそういったものに ついてレベルの差がありますが、こうした差を十分踏まえつつ、公的主体ではどのよう な情報提供をしていったらいいか、その他の主体ではどうか。また、結果として、全体 として国民に情報提供を進めていくにはどうしたらいいか、といった点について整理を しております。  (1)ですが、先ほどの整理でいきますとII(1)、(2)に該当する所です。既に客観性が十 分と評価できる情報についてはやはりまず、情報提供を積極的に進め、これを通じて国 民の医療の情報に対する信頼性を高めていく。その際には、まずは公的主体が提供を促 進していくとし、提供する情報の具体的な範囲、どこまで提供していくかということに ついてご議論を深めていただいてはどうか、と考えております。  次に、II(3)に当たるものです。これらは評価基準がないと、インターネットであって も、公的主体が提供していくのは適当ではないと考えられる情報等です。こういった情 報は国民が欲している情報ではありますが、まだまだ客観性、検証性について十分議論 する必要性がありますので、まずはスタンダードづくり、あるいは評価活動を行ってい ただく必要があるのではないかと考えられます。  その際には医学に関する学術団体、例えば医師会、歯科医師会、あるいは、いわゆる 学会と呼ばれるような所、そういった所にまずスタンダードづくりや評価をしていただ いた後でないと、公的主体が出すことはなかなか難しいのではないかと整理しておりま す。  さらに、インターネットを通じた情報提供ということでこれまで議論していただいて おりまして、情報提供の範囲については制限がないという形で議論が進んでおります。 その際に、どのようにして情報を出していくかということでは、公的主体が中心に、い わば牽引役として、あるいは情報基盤を整えるという意味で公的主体からというご議論 をいただいているかと思いますが、そのほか、医療機関(民間)からもさまざまな情報 が出されており、これらのものについては特段制限がない。ただ、制限がない中でどの ように整理していくかということで(3)を設けてあります。  こういった所から出ている情報ですが、いくら自由であるからと言って、情報をその まま出していきますと、いずれ情報提供をしている主体自体の信頼性が損われ、情報を 出すこと自体について議論が出てくるおそれもありますので、医療機関自身や民間の創 意を生かした取組は進めていただきますが、その前提として、内容の適正性を高める努 力をしていただくことについてご議論をいただいたほうがよろしいのではないか。これ はむしろ民間や医療機関自身に情報提供を促進していただきたいがゆえに、その情報自 体の信頼性を問うたほうがいいのではないかという考え方に立っております。  3頁目が、いままで申し上げたことを図に表わしたものです。いちばん上の欄の、ど のような情報かという所です。例えば住所、電話番号、診療科目など医療機関に関する 基本情報です。今日のプレゼンテーションの中でも、こういった情報の提供は既に行わ れているという説明がありましたが、先ほどの区分でいきますと、国民から見ても、こ れが正しいかどうか外形的にすぐ評価できる情報ではないかと思います。  一方、予約診察を行っているか、どのような医療機能を持っているか、患者に対して どのようなサービスを提供しているかなどの医療機能については、医療機関からバック データのようなものを出していただき、これにより、客観性や検証可能性が高められる 情報ではないかと考えております。  次の欄の第三者機能評価です。これは前回も河北委員から説明していただきました が、医療機能評価機構で行っているような第三者機能評価です。  治療成績のようなものについては、先ほどII(3)として整理させていただきましたが、 評価基準をつくるようなことによって、いずれ客観性が高まり、インターネット等を通 じて、公的主体からも提供してよろしいというような話になるのではないかと考えてお ります。  左の縦の欄では、提供主体ごとに分けた場合にどの位置づけになるかを整理してあり ます。真ん中の大きな太線までの間、例えば社会福祉・医療事業団や都道府県、あるい は医療機能評価機構、医療に関する学術団体、こういった所が現在考えられる公的な主 体と言えるのではないかと考えております。  その中でWAMNETについては、いま基本情報を出し始めておりますが、今後、医 療機能に関する情報なども拡充していく方向性で考えてみてはどうかと思います。  都道府県に関しては、基本情報の中でもより地域に密着した、地域住民が求めるよう な基本情報、いわば詳細情報を出していただいているものと思います。本日のプレゼン テーションにもありましたが、医療機能調査による情報提供を充実させていくことに よって、インターネットを通じて、国民に対する情報提供が進むと考えられます。  医療機能評価機構は、9月から評価結果を出すということですし、医療に関する学術 団体については、こういった情報について提供していただく方向で協力していただいた らどうかと考えております。  いずれにしましても、右の箱に書きましたように、いまは情報が散在しているわけで すが、それをお互いにリンクを張る。あるいは、どこかの窓口から入っていけば、こう いう情報にアクセスできるというような状況を早急につくったらどうかと考えておりま す。  次の太線の間に入っているのが、公的主体との比喩でいけば私的な主体になるかと思 いますが、患者団体、医療機関自身、NPOから出されるような情報もあるのではない かと考えております。特に患者サービスに関する情報、例えばカルテの開示、イン フォームドコンセント、セカンドオピニオンの状況といった具体例を挙げましたが、患 者サービスというものは患者さん自身の評価という部分が入ってきますので、例えばN POや患者団体の方に調査などをしていただいて、実体状どうなっているかについて、 情報提供していただくのがよいのではないか、そのように整理しております。公的主体 から提供するというのにはなじまない性質の情報ではないかと考えております。  インターネットということでここまで整理しておりますが、情報提供という意味で は、インターネット以外もあります。本や雑誌、あるいは民間でその他の媒体を使った 提供もあるかと思います。今回の検討会では、下の太線のさらに下の欄の表にある「治 療成績」までの、右端までの範囲で議論いただいたほうが整理としてはよいかと考えて おります。インターネット外の所に関して申し上げれば、信頼性が高いものであれば、 どんどん提供していただいて構わないのではないか。今回の検討としてはここまででど うかと思っておりますが、本や雑誌等では、さらにその先までということで表をつくっ てあります。それから、参考までに、現在広告可能な事項はどこまでかというものを付 けてあります。  こういった情報提供を進めていく際には、情報をどうやって国民が利用していくかが 重要です。情報が提供されるだけではなく、それが患者、国民にとってわかりやすい形 で、適切な説明が加えられる。それは解説のようなものでも構いませんし、それを読み 解いて説明していただくような場、あるいは人であっても構わないと思います。そうい うものも同時に整備していく必要があるのではないかと整理しております。  一番良いのは、かかりつけ医の先生や病院自身に相談窓口を設けることではないかと 考えております。あるいは、すでに各種行政でも相談窓口を設けているような所もあり ますし、まちの保健室の話もあったと思います。こういう所で提供された情報を利用し て国民にこの検討会でも適切に読み解いていく、もしくは一緒に考えていくという取組 みが必要なのではないかと整理しております。  4頁についてはすでに木本委員から詳細に説明がありましたので、事務局としては簡 単に説明して終わりにしたいと思います。都道府県が医療機能調査を行っております が、これは医療法に基づいて作成することになっている医療計画の中で、医療提供の現 状分析を行って、病診連携、病病連携、いわば機能分担を図る際の参考資料、あるいは 基礎資料とするという趣旨で調査と、医療計画への記載をお願いしております。  今日プレゼンテーションをしていただいた静岡県や東京都のように、一部の都道府県 においては、医療機関へ情報提供して機能分担を進めるというだけではなく、地域住民 へ提供して、医療機関選択にも役立てていただくというような取組みをされているとこ ろです。  5〜7頁は、医療計画作成指針に基づいて都道府県がどのような形で作成することが 求められているかを説明した資料です。6頁をご覧いただきますと、厚生労働省側から 提示しているものとしては、例えばがん対策を中心とした疾病ごとの分類ですが、各都 道府県は、この例示にとらわれることなく必要な医療機能を調査していただけるものと 考えております。  7頁はこの調査を前提として、どのようなものを医療計画に記載していただきたいか という例示です。例えば、医療情報として年間症例数、転院先とその件数、平均在院日 数、専門スタッフの数です。医療機関名を適宜列記していただく、足りない機能があれ ば整合表を立てていただくこととしております。そのようなことを医療計画上載せてい ただくことを例示として提案している所です。  8〜9頁は、今回の検討会の目的でありますが、医療機能調査を利用して、インター ネットを通じてどのような情報を提供しているか、どのような情報提供の取組みがなさ れているか、各都道府県で医療機能調査をどのように実施し、インターネットによって 公表しているかを都道府県にアンケート調査し、厚生労働省で取りまとめたものです。 左端が都道府県名、その隣が、すでに調査を「行っているか」、「いないか」です。ほ とんどの都道府県がすでに調査は行っています。行っていた所、あるいは行っていない 所、次回いつ行うかが次の欄です。これは医療計画の見直しに合わせて行う所が多いの で、14年度、15年度に行う所が比較的多いように見受けられます。  次欄は、どのような方法で公表しているかです。冊子で、備え付けという所が多いの ですが、インターネット・ホームページを利用している所が、予定も含めて10府県に なっております。今後、インターネットの普及状況を踏まえて、この部分はインター ネットでも提供するという所が増えてくるのではないかと考えております。  次の欄は調査結果をどのように公表しているかということですが、計画策定の趣旨に 合わせて二次医療圏単位という所が多いようです。今回プレゼンテーションしていただ いた静岡県、また、この表にある新潟県のように、個別医療機関についても提供してい る所も出ています。  いちばん右の欄では、こういった医療機能調査を一般からの照会にどのように役立て ているかです。例えば、ある特定疾患の治療をどこで行っているか問い合わせがあった 場合に、個別の医療機関を教えているかどうかという形でアンケートを取っておりま す。岩手県のように、件数は除きますが、公表に同意した医療機関については紹介して いる。東京都のケースで言えば、医療機関情報システムを平成15年度稼働予定ですの で、個別医療機関も実施する予定であり、こういった取組みも進み始めているという状 況が見てとれると思います。  事務局からの資料説明は以上です。 ○大山座長  それでは、これまでの説明を踏まえて議論を進めたいと思います。最初にお二方から 静岡県と東京都の取組みについて説明がありましたが、この内容等についてご質問等が ありましたら発言していただきます。 ○五十嵐委員  一般都民に対する情報開示の項目がどこか。そこがわかれば、その他は医療機関で しょうから、その辺を教えていただけますか。 ○筒井参考人  基本的には病院用の調査票という別添を付けてありますが、医療機関からしますと、 この調査票にある事項は全部見られます。基本的には都民の方にも、項目としては全部 見られるのですが、その項目の中で、かなり専門的な情報が一部、一般都民の方からは 見られない状況があります。いま、その範囲をどうするかに関して東京都の医師会、あ るいは歯科医師会と検討している段階です。 ○五十嵐委員  そうしますと、「概要」の3枚目、別紙2で情報処理がアクセス別になっています。 その上段の所で、インターネットや携帯電話からホームページにアクセスして検査結果 が表示される。そして、□が3つあり、最後が地図になっています。その1つ手前の医 療機関詳細情報(都民向け)の内容は全部見ることができるのですか。 ○筒井参考人  ほぼ全部と考えていただいて構わないと思います。しかしその中で、これは一般の方 には専門的すぎるというものについては省かせていただこうということで検討している ところです。 ○五十嵐委員  その項目はいま検討中ということですか。 ○筒井参考人  はい。 ○菊池委員  いまの話に関連してもう一度確認したいのですが、3枚綴りのシステム概念図を見ま すと、真ん中のほうで都民向け情報の下に、パスワードがあって専門的な情報という所 に入るようになっているのですが、下に書いてある専門的情報も都民は全員見られるわ けですか。 ○筒井参考人  資料の書き方が、情報別に上・下で分けていて、あたかも下の情報が都民の方に見ら れないような形になってしまったのですが、基本的には見られるのです。しかし、非常 に専門的なものについては一部カットしているものがある。そういう理解でよろしいか と思います。 ○菊池委員  別の資料を見たら、看護体制の情報などは診療報酬上の2対1とか、そういうつくり 方になっているのですが、それについては、クリックすると、2対1というのが入院患 者数対看護職員数であったり、実際には日中は患者さん何人に1人ぐらい、夜勤のとき は何人に1人ぐらいなど、一般の方、患者さんが見たときにもう少し具体的にイメージ できるような説明も付けられるわけですか。 ○筒井参考人  実際の検索画面はいま開発中なのですが、その辺の所は、ある程度情報が検索しやす いような形で工夫したいと思っています。あくまで実際の画面を開くときには、この調 査票のような画面が出るということではなくて、知りたい情報にたどりつきやすいよう な画面のレイアウトをいま検討しております。 ○坂本委員  都の医療機関の情報システムについて伺いたいのですが、都民向け情報と医療機関向 け情報と大きく大別されるということなのです。この情報が出来上がること自体がすご くいいと私は思うのです。  第一に、これはあくまでパソコンを使う人に対する情報です。いま実際のパソコン保 有率はと考えますと、最近出た新聞では、30代以下が6割ぐらい。高齢になると、10% いかないという状況です。実際に医療機関を探すことを考えると、高齢者の方が多く情 報を探したいという場合に、パソコンを使わない人についてどういうふうな対応を考え ているのか。  専門的な情報という所で、一般の人は難しいので知らなくていいのではないかという ようなご説明がありましたが、どういう部分で難しくて知らなくていいのか。  例えば私たちが地域で医療を受ける場合に、地域連携情報とか、どこの病院にどうい う医療機器があるのかを患者になったら知りたいという希望が非常に多いのです。そう いうものも全部含めた上で、そういうニーズをちゃんと把握した上で、一般都民にとっ ては知らなくてもいい情報であるとか難しいと考えたのか。その辺の考え方みたいなも のを伺いたいのです。 ○筒井参考人  まず、パソコンを使えない方に対してどうするかについて、概要の3枚目をご覧くだ さい。インターネットや携帯電話からこういうホームページにアクセスするのが苦手だ という方に関しては、従来どおり電話による問い合わせをしていただきます。そして、 相談員が保健医療情報センターにおりますので、その場合には相談員との電話等による やり取りということで対応させていただく。そして、相談員の所にももちろんシステム の端末がありますので、相談員がその端末をたたきながら1つひとつお答えしていく。 そういう形になろうかと思います。  一般都民の方と専門的な医療機関の情報の仕訳という点ですが、一般都民からの意見 聴取をしたのかという問い合わせがあります。率直に申しまして、この調査票をつくる ときには、医療関係団体と東京都のほうで協議して設計したということです。  我々は、一般都民の方に情報をオープンにしないということではなくて、原則的には この調査票に載っている情報を一般都民の方も見られるような形にしたいと思っており ます。しかし、情報の仕訳についてはいま検討しているところですので、ご理解いただ きたいと思います。 ○三谷委員  いまの東京都のことですが、資料の1頁目で、医療機関が自ら自己の情報を更新する というのがあります。最新の情報が入るというのは非常にいいかと思うのですが、情報 の正確性の担保というのでしょうか、その辺のことを教えてください。また、ここで登 録する内容はどういうものか。その辺の範囲を教えていただきたいのですが。 ○筒井参考人  情報の正確性をどこで担保するかということですが、都内の医療機関は、病院、診療 所、歯科診療所を含めると2万近くあることになります。率直に申しまして、その一つ ひとつについて、そして、これだけの項目について正確かどうかをチェックするという のは無理かなと考えております。  これは基本的に都民の方に利用していただく情報システムですし、医療機能連携とい うことでも活用していただくものです。このシステムの開発に当たっては、医師会や歯 科医師会等の関係団体とも協議しながら進めておりますし、情報の正確性については、 医療機関の方々のご協力をいただきたいということでお願いしているところです。  更新事項ですが、基本的には、この調査票に載っている項目すべてに関して更新が可 能です。 ○大山座長  いまの質問は静岡県の木本委員からのお話にも関係すると思いますが、木本委員から もご回答は何かありますか。 ○木本委員  私たちもアンケート調査に対する自主回答をそのまま載せました。先ほど、課題の中 で率直に申し上げたのですが、その辺をどうするか。何か別の方法で確実性を担保する 必要があるのかどうか。そういったことは議論してみる必要があるかと思っています。 ○三谷委員  そう間違いはないかと思うのですが、単純な記入間違い、あるいは、意図しないけれ ども結果的に間違った情報がないかということも考えられなくもないと思うのです。そ の辺の情報の正確性の担保というものを何か考えていく必要があるのではないかと思う のです。 ○石原委員  木本委員と筒井参考人にお教え願いたいのですが、国であれ地方自治体であれ、いま 非常に厳しい経済的状況下で、限られた予算をどう効率的に使うかということがありま す。このプロジェクトは、それぞれの都道府県がお立てになっているもの、県民の皆 様、あるいは都民の皆様に医療や医療情報について何が必要かというアンケートをお取 りになっていましたら、その上位3つを教えていただきたいというのが第1点です。  2つ目に、救急の情報というのは大変公的なバックアップの欲しいところです。すで に119番という電話番号がありますし、いざとなれば110番もあります。そことどういう ふうに差別化・区別化して公的な投資を行おうとお考えなのか。あるいは、どうダブら ないように配慮してもらえるのか。  3つ目には、コスト対効果なのです。都道府県の医師会であったり郡市医師会であっ たり、そういう所の医師会のほうも、現実にはそれぞれの先生方の業務の必要性に迫ら れて、かなりの領域でこういう情報をお持ちです。二重投資と言いますか、そういうも のとの重複を避けるためにどのようなことをお考えか。あるいは、トータルでのコス ト・ベネフィットをどういうふうに自治体としてお考えか教えていただきたいと思いま す。 ○木本委員  率直に申し上げて、住民のニーズ・アンケートはしておりません。  119番との関係ですが、これも直接のニーズをつかんではおりません。119番の場合 は、救急車をどう確保するかという情報なのです。それと、一般の県民が熱を出してし まったとか何とかというときに欲しい情報とは違いがあるのではないかと認識しており ます。私どもの広域救急災害システムの医療情報というのは、あくまでも休日や夜間に 診てもらえる診療機関がどこにどうあるか、というふうな情報を提供するという趣旨で 行っております。  コスト対効果、医師会との関係も含めた投資効果なのですが、これについては、1つ のシステムが出来上がってうまくそこに収れんされれば、それがいちばんよかろうと 思っております。しかし、先ほど私どものがんセンターの例を出しましたが、正直に 言って、電子カルテ等も含めて、医療情報のシステムというものがいろいろな形で進ん でいることから、決してそれがベストの進み具合ではないという問題意識を持っており ます。したがって、統一的な良い医療情報システムが出来ればありがたいと思います。 ○筒井参考人  医療に関する都民ニーズ調査のことです。いまその現物を持っていないので、回答が 若干不正確になるかと思うのですが、近いところでは平成13年に、生活文化局で、保健 医療に関する世論調査を行っております。そのアンケート調査の中で、医療に関する情 報が十分かどうかという設問があり、50%近い方が不十分だと答えているように記憶し ております。どの辺が不十分なのかに関しましては、それ自体の医療機関はどこに存在 するのか。医療機関情報は、必ずしも十分にわからないという回答が多かったように記 憶しています。  直接は関係しないのかもしれないのですが、昨年の5月に健康局の中に「患者の声」 相談窓口を設置いたしまして、こちらのほうで医療に関するさまざまな相談を受けてい ます。昨年5月に設置しましてから3月末までに、相談者総数が9,522人、相談延べ件数 が1万1,187件です。この中で相談として多かったのは、「こういう病気なのだけれど も、どういう治療法がいいのでしょうか」などの健康あるいは病気そのものに関する相 談。次いで多かったのは医療情報もしくは医療内容のトラブルという結果が出ていま す。直接の参考になるかどうかはわかりません。  救急の関係の情報システムとの関係ということですが、救急医療の場合にはどこに救 急医療機関があるというだけではなくて、どの病院でどの診療科目に実際に空きベッド があるとか、対応できるドクターがいるといった情報を保有していることが必要という ことで、こちらについては東京消防庁と連携いたしまして、救急医療の情報システムを 常に整理していまして、そちらのほうで対応するということです。先ほど説明しました 医療機関情報システムは救急の情報もありますが、基本的には普段の生活の中でかかり たい医療機関や、そういった情報を中心に組み立てられているということです。  コストパフォーマンスですが、この医療機関情報システムもそうなのですが、いま現 在東京都で「東京発医療改革」というスローガンも設けまして、その中で患者中心の医 療を進めていこうというのがいま施策として打ち出しているところです。この医療機関 情報の問題というのは、やはり患者中心の医療の中の重要なテーマであるということ で、健康局としても強く推進しているところです。もちろんコストも考えなければいけ ませんので、先ほどの医療機関情報システムの概要の(5)に、「大幅な経費削減」と ありますが、従来は大型の汎用機のコンピュータを使って、そこで医療機関情報のデー タベースを作っていた。これは非常に運営のコストもかかるということで、新しいシス テムに変えることで、その辺のランニングコストについては大幅なコストダウンが見込 める状況です。以上です。 ○石原委員  それぞれの都道府県での実態をどうもありがとうございました。質問を3つさせてい ただきましたのは、インターネットによる情報というのはもちろんあったほうが望まし いし、正確であったほうが望ましいのはどなたもご異論のないところだろうと思うので すが、既に民間のほうでいろいろな情報が取れる。あるいは現在の時点でもインター ネットによって、かなりの医療機関情報が得られる現実がありますので、それを越える クォリティー、あるいはそれを大幅に集約してコスト削減ができる目処が立たないと、 インターネットありき、IT技術ありきの話になってしまいかねないのです。そうする と厚労省がずいぶんご尽力なさって、救急ネットワーク等を全国都道府県に展開しまし たが、それが事実上ほとんど使われていない現実をもう一度思い起こさなければならな いと思います。そういう情報に本当にお困りかどうかというアンケートのことをお尋ね しましたのは、東京都はいくつかのアンケートをお取りですが「医療情報が不十分」が 50%ぐらいであったというのは、それはそれで正しかろうと思うのです。ただし都民の 方のニーズに序列を付けてどれが最も強いニーズなのかという視点からの投資が必要だ ろうと思うのです。9,522人の相談の中で、トップが健康、病気の相談、2つ目がトラブ ルということは、医療情報システムやネットワークがほしいというニーズはなかったわ けです。そうしますと実際にはかかりつけ医、主治医の先生方と良好な関係を持ってお られる患者は主治医を通じて、友人知人を通じて、平常時の時間の十分ある医療情報に ついては、もうルートがあるわけです。冷静に考えてみますと日本人1億2,600万人のう ち、何らかの形で医療にかかわる方々が300万人から350万人ぐらいいらっしゃいます。 友人知人を少し思い起こせば、必ず医療関係者に突き当たりまして、そこで医療の専門 家としてのアドバイスが得られるのが日本の実態です。それをどう越えるかを、地方自 治体のほうでもお考えいただけたらよいのではないかと思います。  前回確か渡辺委員がご発言になったと思いますが、種々のマスコミでのアンケートで も患者国民のニーズの明らかなトップ2は、十分な時間を取って医師からの説明がほし いというものと、待ち時間が長過ぎるの2つだったと記憶しています。ほかの調査でも そのように出ていますので、それをインターネット技術を用いて解決して差し上げると ころがそれぞれのプロジェクトについて、必要なのではないかと思います。国民、県 民、都民の患者、あるいはニーズを十分に把握したプロジェクトにはまだ到達していな いのではないかなと危惧いたします。私も愛媛県のこういうプロジェクトにいくつかか かわりまして、愛媛県はまだ全然いい状態ではありませんので大いに自分への反省も込 めまして、コメントをさせていただきました。 ○大山座長  ありがとうございました。 ○松山委員  本日のいままでの議論をお伺いしていて1つ提案があるのですが、各都道府県の現在 におけるインターネットを通じた医療情報の現状をまず把握した上で、その現状をどの ように評価するかの評価基準を決めて、ランキング的なものを作ってみたらどうかと思 うのです。というのは、今日事務局から出していただいた各都道府県の情報も非常に面 白いと思ったのですが、各都道府県と政令都市レベルの市町村、各地の医師会、国立大 学の附属病院のホームページなどを見てみると、コンテンツのレベルにものすごく格差 があるのです。おそらくこれから全体のレベルが上がっていく中で、この委員会がその 契機になればよいと考えるしだいですが、折角専門家が集まっているのですから例えば 各都道府県ではどういう情報提供の仕組みになっていて、それを比較してみた結果どこ がいちばん優れているということをちょっと見てみたら面白いのかなと。単純にイン ターネットで各都道府県の医療情報を見ていると、私の印象では岩手県が非常に見やす かったのですが、かなりこの評価はできるのではないかと思うのです。その評価機関を 公表するかはまた別なのですが、現状認識する上でそういうことをやってみると面白い のかなと。ただ、「じゃあ、お前やれ」と言われると大変なのですが、事務局の方にお 願いできればと思います。 ○大山座長  これは結構つらいかもしれない。特にないですか。 ○伊澤補佐  ランキングというのはなかなか難しいですが、インターネットに絞ったものについて は松山先生ともご相談しながら、どういうものができるかを少し検討してみたいと思い ます。 ○大山座長  ランキングはわかりやすいけれども、弊害も大きいのですよね。やり方もあるし。 ○松山委員  別に1位、2位、3位と明確に作る必要はないと思うのです。要はどのくらいのとこ ろが、我々から見てかなり進んでいるなと思えるところとか、大きく遅れているところ など、ある程度の分類は可能だと思います。 ○大山座長  そういう意味ですね。 ○深井委員  私も、いままでクライアントのいろいろな新商品の開発とかマーケティング的な意味 合いでかかわっていますが、もし新しく何かシステムを入れる場合、ニーズはどこにあ るのだろうか。競合するものはどういうところがあるのだろうか。都道府県のものもあ るかもしれない、財団法人のものも民間のものもある。では我々が作っていく新市場に 出していく商品というのは、どこの市場をねらって、例えば情報があっても信頼性が低 いから、信頼性を武器にすればニーズがあるのではないかとか、その辺の部分の競合分 析、市場分析というものをした上で出していく。その上で我々が出した場合に、どの程 度のアクセスが出てくるのだろうか。それに対して費用がいくらかかるのかと。民間企 業の場合には定数という形で考えますが、その場合に出したときの情報の良さと、それ とのコストとの対比というのを考えて市場に出していきませんと、予算的にもかなり中 央も地方も大変だと思いますので、効率的にやっていく必要があるのかなと思います。  それから静岡県は静岡県で、東京都は東京都でやられている。これがもし全部の都道 府県が全部それぞれ個別にやっていったら、非常にロスが大きいのではないかと。も し、いくつかのいいものができるのだったら、本当にあの県がやったからというのでは なくて、ほかの県もそこに乗っていくようなトータルとしてのプラスの面を考えた上 で、あまりセクショナリズムに陥らないでやっていったほうがいいのかなと思います。 ○大山座長  まだもちろん、この辺のお話についても議論をする時間があるのですが、今日の議論 のもう1つの重要なポイントとして、前回も一部議論をいたしましたが、国民に提供す ることが有効かつ望ましい情報とは何かについて、さまざまな議論をいただいたかと思 います。有効かつ望ましい情報とは何かは、さまざまな見方からいろいろな言い方があ るかと思うのですが、今日の議論ですとまずは国民に信頼いただく必要があるのだろう と。そのためにはある程度、内容が確認されたもの。今日、事務局側からその辺の説明 はあったかと思いますが、まずはこういう情報を出す。それからまだ十分な客観性、信 憑性という言い方はよくないかもしれませんが、誰が見てもそうかなと理解できるよう な、そういう説明ができるような仕かけが十分でないものについては、その標準的な評 価の仕方を含めて、あるいはそのやり方自体もこれから作り上げていこうかという議論 になると思います。  もう1つのポイントは、いま申し上げたように国民にとって有効かつ望ましい情報と いうものを提供する場合に、どういうメディアを使うか。インターネットは1つ代表的 にありまして、少しその点も含めてご議論をいただければと思います。すべてインター ネットで済むわけではないというのは言うまでもないことですが、逆にインターネット で出しているものは紙では出せないという話も本来はない。ただコストは大分違うとか いろいろありますので、その辺の皆さん方のご意見を少しお聞きしたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○塚本委員  先ほどの東京都の方に何点か質問をさせていただきたかったのですが、1点はお答え いただき、相談窓口のクライアントの声がどこに反映しているかはご説明いただきまし たが、媒体としてのインターネットで、すべての都民の方が、かなりのパーセンテージ でアクセスする基盤を持っていないわけですから、特に東京都の方にお聞きしたいのは 特別区との付き合いに関してですが、保健所機能など、以前からあるヒマワリがそれぞ れで端末をお持ちになっていましたが、iモードは別にして、電話でそれなりの情報は 得られる部分で、平成15年4月に向け、特別区とのお付き合いは、これからどのように 展開されていくのかで、何か素案がありましたらお聞かせください。 ○筒井参考人  医療機関情報システムの特別区との連携ですが、現在も保険医療情報システムは可動 していまして、これは特別区のほうでも見られる。区のほうに問い合わせがあった場合 にも現行システムを使いまして、お答えできるような形にしています。基本的にはそう いった関係を維持していきたいと考えています。 ○奈良委員  いろいろ拝聴していてちょっと気になったのは、いまご議論をいただいているような ところの情報は非常に信頼性の高いものだと思うのですが、一部突出した粗悪の情報を 出している所に何か処罰するとか、ちょっと言葉は悪いかもしれませんが排除するよう なシステムがないと、これも本当にとんでもないことが起こると思います。  例が悪いかもしれませんが、私はいまでもいろいろな医療の現場をやっていますが、 某テレビ局で何年か前に尿を飲むと健康にいいという番組をやったことがあるのです。 非常にそれが流行しまして、私が講演を頼まれて行ったり、診療をやっていると「先 生、小便を飲むといいといって私は1年間飲んでるんだけど」という話があった。皆さ んは笑い話としてお聞きになるかもしれませんが、大体お年寄り、特に高齢者の方で非 常に健康に不安を持っている方は、そういうテレビとか、よくお昼にやっている番組 で、傷んだバナナが健康にいいなんていうと途端に買いまくるということがあるので、 ここにいらっしゃる教養の高い、しかも健康な方ではわからないようなことが老人の間 では起こっているわけです。だから、そういう粗悪な情報を意識的に流したものは排除 できる。昨日、今日あたりのテレビに出ていましたが、例のワン切り業者がNTTから 止められたとか、そういうようなものをやっておかないと医療の現場で被害者が出てく るのではないかと思うのです。特に日本人というのは非常に純情ですから、ある外国人 に「日本人は血液型で性格がわかるなんて、本気に思っているのか」と言われたので す。ほかの方では本当におかしいと思うようなことが、まかり通っているような、まだ 遅れているところがありますから、初めのうちは情報を自由提供していいというのです が、ある程度そういうものに対してはきちんと組織で処罰するような、排除できるよう なシステムを作っていただかないといけないのではないか。今日お話になったような、 医療情報提供については何も申し上げることはありませんが、本や一部粗悪な情報を流 しているところに対しては相当厳しい対応をしなくてはいけないのではないかと思って います。以上です。 ○大山座長  いまの件はこの場の議論を超えているような気がします。あとはマスコミの方を含め て自由な発言がありますので。 ○渡辺委員  前回奈良先生から、例えば「日本の名医百人」みたいなものも確かに非常にまゆつば もの的な本だと思うし、国民にある意味でマイナスを与える可能性は十分にある。ある いは、いまおっしゃったテレビでもそういったことがあるし、今回話題になっている中 国の漢方やせ薬の死者が出ている被害が出ていることも現実なのですが、マスコミの立 場だから言うわけではなくて、情報に対して処罰を与えるということは、相当慎重にや らなければいけないことは確かであって、もちろん極めて悪質な、かつ被害が甚大にな るようなことは厳しく律しなければならないのは当然だと思うのです。テレビでも、あ れだけなぜみんなが見るかというのは、いまおっしゃったのはお昼の番組だと思うので すが、現実に医師の資格を持った人がアドバイスをしているようなケースもあるわけで す。だからどうのこうのというのではなくて、逆に言いますとそれだけ国民や住民が医 療情報、健康情報を求めていることは確かである。そういった意味からいいますと、先 ほど来東京都と静岡県の話を聞いていて、非常に具体的な項目まで検討なさっていて、 それにより近付こうとなさっているのだけれども、さっき厚生労働省から説明があった ような検証がまだできないものは、なかなか公的セクターでは出せない。誰が代わって 出すのかという問題は当然あるわけです。それがないと国民は一方、別な情報に走って しまう。ですから、マスコミも当然そういった悪質な情報は自粛しなければいけないこ とは確かなのですが、処罰に関することは個人的には反対です。そこをどうするかは相 一方で大体、つまりちゃんとした情報が出てこなければ、いつまで経ってもそういった 悪質なものもなくならないという問題はありますので、検証がなかなか難しい情報につ いても、なんとか出せないのかなという気持はしています。  1点だけ言うと先ほども質問したかったのですが、ある意味で患者がいちばん知りた がっている情報は、ほかにもいろいろあるでしょうが、医療機関の機能もさることなが ら、医師がどんな人かがいちばん知りたいことなのです。厚生労働省の資料にも、「医 師の経歴を知りたい」が知りたい情報の相当上位に入っていますが、ただこれは検証が 可能だったとしても、なかなかその医師がどういう人かというのは急性期によっても違 うし、慢性期によっても違うし、患者との相性もあるから、だからどうだということは 言えない部分もあります。そういったことを東京都や静岡県でどんな検討をなさったか を実は聞きたかったのだけれども、時間の関係でいいです。しかし、やはりこの部分を 進めないと、患者はとにかく日本は健康ブームですし、アメリカでも相当な健康ブーム ですが、まずそこの検証や検討が必要になるのではないかと思います。短い時間なの で、本当はもっと言いたいことがありますが、とりあえずこの辺にしておきます。 ○総務課長  ここで行う議論の整理として、第1回目のときも確保をしたのですが、いま言った尿 を飲むなどの医学療法や治療に替えるものは、ちょっとこの場の対象ではないのかと思 います。それは、その療法に対して不適格なら不適格で、別途議論していただくという ことで、ちょっとここは外れるかなと思います。あとは先ほど渡辺委員が言われたよう に名医百選みたいなものはどうかというのは、今日の資料の3頁にちょっと含みがある 部分があります。図解した矢印や棒グラフみたいな絵ですが、下から2行目に「その他 (本、雑誌、民間ベース)」に右にずっと線が引いてあって、右端が切れて波線になっ ています。まさに名医百選や奇抜な情報も含めてですが、創意工夫されたものについて はこの右端に大分存在すると思っています。今日この委員会の席ではそういったものま では完全には追いきれなくて、客観的に検証できる情報について行政、公的主体の範囲 でどこまでやろうかというのが今検討会の範囲ということです。この波線がこの検討会 の微妙な範囲を示しているのではないかと思っています。  ただし、医療機関が行う情報は、この1本上にいきますが、ホームページなら何でも いいのかということになりますと、そういったご指摘もあるのですが、別にそれを罰則 でどうこうするというのではなくて、その医療機関が自主的に出せる情報開示について はどうすれば信頼性が高まるかという議論を、この検討会の後半でお願いしているとこ ろです。  最後に、情報開示については広告の規制のときに議論したことなのですが、もしその 情報に対して信憑性や信頼性を究極に求め続けるならば、従来の規制という格好で確保 でないと出せないことになるわけですが、いまの考え方はむしろいろいろなものを出し て、患者もそれなりに責任を持って選択するという前提になっています。そのあたりの 患者側の責任、どうやって情報を選ぶ力を付けていくかの議論も併せてあるのではなか ろうかと考えています。以上です。 ○坂本委員  いまおっしゃられました患者が選ぶ立場から、いままで静岡県と東京都から紹介いた だいたのは、本当に私たちが選ぶための情報の提供ですよね。ここの場ではちょっと違 うのかなと思うのですが、それを私たちがどうやって使っていくかの使い方みたいなも のも併せて、もう少し考えていったらいいかと思うのです。いま一部ここに持ってきて いますのは、今年の5月26日に「救急医療は選べるのか」という、2月ぐらいに110番の 体験談を伺った中で、どういう救急医療の実態があるのかの患者の声をまとめたのが何 頁かあります。そのあとに、救急は身近なものというので、いらっしゃるのが首都圏の 方ということで神奈川県、千葉県、埼玉県、東京都の救急医療の情報機関をまとめたも のをこの冊子として作っているのです。これは結局、使う側がいざというときにどこに アクセスをしたら使えるか。119番をした場合は皆さんはもう焦っていて、軽症者が非常 に多いという実態があったりいろいろな問題があるのですが、救急車を呼ぶときはどう したらいいか。救急車を呼ぶほどではないときがいちばん悩むときだと思うのですが、 そういうみんなが迷っているときにどうしたらいいかの、まとまった情報がいままでは ない。前回も申し上げたのですが、6,300や3,500の各県にある情報から、私たちが困っ たときにこれを見れば、すぐにどこにどういう所にアクセスすれば、ある程度の医療機 関も紹介してくれるし、こういうような情報を使えるのだよというのを1つの冊子にま とめてあるのです。こういうものの検討も情報を提供することも含めて、住民は使い方 をまず求めているのではないかと思うのです。どんなに詳しい情報があっても、適切な 使い方、そこにあるのもわからないような実態なので、そこも患者の立場としては是非 検討してもらいたいと思います。 ○三谷委員  事務局からいただいた資料の3頁目に、「情報提供主体と提供される情報との関係」 という表をいただきまして、非常にわかりやすい表で全体が検討しやすと思ったので す。いまのお話にも関連するかもわからないのですが、民間から出る情報は質が悪い、 けしからんというような一面が指摘されましたが、民間から良い情報が出てくるという こともあります。そういう視点から、この中で提供主体を分類するときに、上の段が公 的主体になっていて、下の段が私的主体になっています。ここに一応、NPO、患者団 体、医療機関と入っていますが、民間からも良い情報を出すのが当然期待されると思う のです。ですから、この辺はその他の下に持っていくのではなくて、民間からも良い情 報を期待したいという意味も含めて、ちゃんと認知してもいいのではないかと思うので す。情報という部分で石原委員もおっしゃいましたが、コストでどれだけペイできるか というのはあるかと思います。情報コンテンツでコストをカバーできる、あるいはビジ ネスになるというのがなかなか成り立ちにくいのですが、アメリカの場合を見ている と、その辺の部分がコンテンツで消費者のニーズに応えていくような情報提供をする。 それが1つの産業に成り立っているというのがあります。良い情報が出てくるような仕 組みが環境的にできれば、前に進めていけると思うのです。もうちょっと民間の役割を 認知してもいいのではないかという気がするのです。この部分をもうちょっと大きく捉 えてもいいのではないか。多分、公的な主体は非営利、私的な主体は営利というような 分け方だと思うのですが、営利の中でも良い情報を出していくのが期待できると思いま すし、今後期待していいのではないかと思います。 ○福島委員  先ほど、東京都の現状の説明があったところでお尋ねしたかったのです。その後いろ いろご質問が出て関連していますが、現在東京では約2万件の医療機関があるので、 データの更新はアップ・ツー・デートに、直接インターネットを使ってやってもらって いるというお話だったと思うのです。先ほどの内容の問題もありますが、データのどこ が更新されたかのチェックは何かいま現在おやりになっているかどうか。  もう1つは、いまのお話と同様にデータは客観的で検証可能ということがずっと出て いますので、それは言葉で言ってもわかりませんので具体的な個々の論議になったとき に。1つの心配は、あまり客観的で検証可能なものとなると、本来ごく一般の患者が本 当にほしい情報と、情報を出す側から見るとなかなか客観的な検証ができないという ギャップがかなり出てくると思うので、確かにおっしゃるとおりいい加減な情報では非 常に困る面と、あまりそれを検証可能かどうかで突き詰めていくとなかなかほしいもの が取れないという結果にならないか。この辺は、また今後具体的になるときに意見を申 し上げたいと思いますが、ちょっと質問をしたいと思います。 ○筒井参考人  まずデータの更新なのですが、現行のシステム上は紙ベースで、年1回医療機関に調 査票を送りまして、委託ですが、こちらのほうでデータを打ち込みまして更新をしてい ます。これでいくと1年に1回だけデータ更新ですので、ある時点を過ぎるとデータが 若干古くなってくることがあります。ただ新システムになりましても、すべてのデータ を更新することを考えた場合、同様の方法でまた調査票によってデータ更新をしていく ことが必要になろうかと思います。折角インターネットを使ってやるということですの で、これは医療機関の方々のご協力になるのですが、できればリアルタイムで医療機関 側でも更新をしていただければ、より鮮度の高い情報提供ができると思います。データ を更新したかどうかがわかるような工夫ですが、その辺については今後のシステムの開 発の中でご参考にさせていただきたいと思います。 ○福島委員  現在は紙ベースですね。 ○筒井参考人  紙ベースです。 ○大山座長  皆さん方に最後にもう一度確認をお願いしたいことがあります。今日事務局から出て います資料ですが、福島委員からのご指摘にもありましたが、情報がどちらにしろ提供 されない限りは、そのあとの利用もできないわけですし、もともとどこかに隠れている 情報では困る。何か表に出していただきたい。それをどういうふうに一般の人に見やす く作っていくか。例えばちょっと目の悪い方には字を大きくするのも、もともとデータ が電子データでなければ大きくできないわけで、それと同じような話があるのかなと思 います。提供する中には1頁目に既に客観性が十分で、検証が容易な情報、これは異論 のないところだと思います。これで十分かどうかの議論ではなく、まず区分として。そ れから評価基準、評価方法の明確化によって、客観性を十分に高められている。既に第 三者評価を含めて、世の中で客観性を高めるために実施されているものがある。そうで ない3番目のものがまたあって、これの評価基準、評価方法を確立していく必要がある のですねという意味からすると、厚生労働省にはこの3つに分けた中で、それぞれに対 応をいただきたいということをこの検討会としては、これで十分と申し上げるわけでは ないですが、少なくともこの3つはやってくださいよと申し上げてよいかという確認な のです。私はこれは非常に素直な区分だろうと思いますし、またこれをおやりいただく 中で今後、次回以降これ以外のものも含めてご議論はいただきたいと思っていますが、 いかがでしょうか。ご了解いただけますか。これは1つの事務局側との相談でできた紙 ではありますが、またもし何かご意見等があれば承りたいと思います。  予定の時刻を過ぎましたので、本日はここまでとさせていただきます。次回につい て、事務局から連絡をお願いします。 ○伊澤補佐  次回の日程については、委員の皆様のご予定を伺いまして、調整の上ご連絡いたした いと思います。 ○大山座長  今日もさまざまなご意見を活発にいただきまして、ありがとうございました。それか ら東京都と静岡県の2カ所からご説明をいただきました。私はこの取組みがうまく進む ことを非常に強く願うとともに、高い評価をしたいと思っています。是非今後とも頑 張っていただきたいと思います。こういう動きが他の都道府県にも繋がるようにと思い ます。その辺はまた次回以降に議論を深めたいと思います。  それでは、本日はこれで閉会をいたします。大変お忙しいところ、長時間にわたりま してありがとうございました。 照会先 医政局総務課      竹林(内2516)