02/07/29 第4回新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ研修プログラム小委員会      議事録          新医師臨床研修制度検討ワーキンググループ             第4回研修プログラム小委員会                   日時 平成14年7月29日(月)                      14:00〜                   場所 厚生労働省専用第21会議室(17階) ○堀江座長  新医師臨床研修制度検討ワーキンググループの研修プログラム小委員会の第4回を始 めさせていただきます。それでは初めに医事課長、よろしくお願いします。 ○医事課長  初めに、今日の出欠状況についてお話いたします。花井委員から欠席のご連絡をいた だいております。文部科学省からは村田医学教育課長が遅れて出席の予定です。それで は、堀江先生、よろしくお願いします。 ○堀江座長  それでは、議事に入らせていただきます。初めに、7月23日に第3回の臨床研修プロ グラム小委員会が開催されていますが、その後の経過につきまして、事務局からご説明 をお願いします。 ○医事課長  前回以降、今日の午前中に、施設基準に関する小委員会がありました。多くの委員の 方にご参加いただいていますので、詳しい内容は省略させていただきたいと思います が、施設基準の案に基づいてご議論いただきました。現在決められている施設基準の300 床であるとか3,000症例というような問題についてご議論いただいたわけですが、基本的 に、こういった数値での基準だけではなくて、実質的な研修目標の症例数をいかに達成 できるかというような観点から、こういった数字については再度検討してはどうか、と いうような意見が出されたわけです。また、診療科につきましては、現行のものに麻酔 科を追加するということについてもおおむね了承がされました。また、指導医の考え方 につきましては、診療科との関係でどのような設置の基準にするか、ということでご議 論いただいたわけですが、プログラムのほうとの関連でそこは再度詰めていくべきでは ないかということで、本小委員会での議論に託されました。  そういった関係で施設基準について議論がなされまして、定員の考え方についてもい ろいろな考え方が示されたわけですが、結論ということには至りませんでした。さら に、独立型の施設についての議論では、群として指定を受ける場合のあり方などについ ての議論が引き続き残ったという格好です。そういうことで、31日の全体会に向けて は、そういった議論の状況を取りまとめて、論点を整理するという格好でお示しする、 ということになったわけでございます。 ○堀江座長  ありがとうございました。ただいまご出席いただいております委員のほとんどの方 が、今日午前中に開催されました施設基準の小委員会にもご出席しております。第3回 の施設基準に関する委員会では、まだまだ検討されなければいけない点が残されている と思います。また、施設基準設定の上で、当プログラムに関する小委員会の審議が重要 な影響を及ぼすことになります。そういうことで、本日の審議に入らせていただきたい と思います。  第1回は、施設基準とプログラムの両方の小委員会合同で開催されましたけれども、 その後、第2回、第3回の当小委員会におきまして、まず第1に「研修目標」につきま して、大筋で皆様方のご了承が得られました。一部、字句の修正等は加わる可能性があ りますけれども、この研修目標、行動目標、ならびに経験目標に沿ってプログラムが設 定されていくことになると思います。一方、研修プログラムについては、第2回の小委 員会で、1つにはコアカリキュラムについて、内科、外科、小児科、救急を取り入れる ことで意見の一致を見ました。  そして、第2回目で結論が出ませんでした領域につきましては、第3回の委員会で、 特に精神・神経科、産婦人科のコアとしての扱いについて、あるいは保健および地域医 療について必修とするかどうか、といった点の議論がされたわけです。このときには、 小児科も含めまして、必修とした際に研修、各診療科領域で大丈夫なのかどうか、と いったことで意見交換がされました。本日は、前回の議論を踏まえ、さらに事務局が資 料を整理していただいていると思いますし、いま申し上げました関係の学会等の方々に オブザーバーとして出席していただいています。したがいまして、初めに事務局から、 資料の確認と、オブザーバーとして出席いただいている方につきまして、ご説明をお願 いします。 ○医事課長  それでは、まずお手元の資料ですが、資料1が名簿等で、資料2が本日のご議論の検 討資料ということです。 資料2−1は、「研修目標」の第3版ということでお手元に お配りしています。前回から改訂しました点は、4頁の「安全管理」という部分です。 ここは、表現上の問題で、「医療現場での安全確認」という表現が工事現場のようでよ ろしくないのではないか、というようなご議論もありましたので、「医療を行う際の安 全確認の考え方」という表現に変えてあります。それから、5頁の(8)の「医療の社 会性」というところは、法規、制度を説明できる、公費負担医療を説明できる、という ことで書いてあったわけですが、そこの表現ぶりを変えまして、何々を「理解し、適切 に診療できる」あるいは「適切に行動できる」というような表現ぶりに直しました。  それから、17頁の(2)の「予防医療」のところに、必須項目として「予防保健医 療」というのがあったわけですが、ほかの部分との表現ぶりが必ずしも統一されていな いということで、全体に「予防医療」という言い方に表現を統一しました。  18頁ですが、同様に言葉の整備として、「(3)地域保健・医療」のところで「診療 所の役割について理解し、実践する」ということをご指摘を受けましたので、追加して います。それから、これは「必須項目」の四角の中ですが、「一般診療所」という表現 であったものを「診療所」に直しました。それから、「地域の保健医療」という表現に つきましては、「地域保健・医療」ということで文言を全体に統一しました。研修目標 案についての修正点は、以上です。  引き続きまして、資料2−2の「研修プログラムの基準(案)について」です。3頁 の「基本ローテーションの構成」につきまして、前回のご議論を踏まえまして、(5)と (6)の期間を調整しまして、救急部門を3カ月、地域保健・医療については、1カ月では 足りないのではないかというご指摘もありましたので、2カ月と直しました。それか ら、注のところですが、「救急部門については、救急部等(ない場合には救急外来)、 麻酔科を適切に経験させることにより対応する」ということで、この部分の表現ぶりを やや変えてあります。主な点は以上です。これに基づきまして、またご意見をいただけ ればと思っております。そのほか、資料としまして、各委員からご提出の資料、前回議 論になりました、小児科、精神科、産婦人科、地域保健・医療関係の各団体からいただ きました資料を、資料3として付けてあります。 ○堀江座長  ありがとうございました。本日の資料の2−1として配付されていますけれども、今 回、第3版として一部修正を加えていただきました。これは、前回の第3回の審議を踏 まえてということですが、今の修正点について何かご意見ございますでしょうか。それ では、この目標については、まだ(案)が付いていて、今後、審議が進む中で修正が加 わることもあると思いますが、この目標に沿ってプログラムを構築していくということ にさせていただきます。  続きまして、資料の2−2ですけれども、3頁の「内科、外科」以外の「小児科、精 神科、産婦人科、救急部門、地域保健・医療等」という点が前回の小委員会における審 議の主な点でした。この点につきまして、本日オブザーバーとして出席していただいて おります各団体の方々からご意見をいただきたいと思います。資料3−1から資料3− 5に、委員からの意見、関連の団体からの資料が提示されていますので、それを参考に していただきながら、それぞれのお立場で、3分ほどの時間でご説明をお願いします。 それでは初めに、国診協の山口先生、お願いします。 ○山口委員  私は、もっと簡単にお話したいと思います。以前から何回も意見を述べてまいりまし たし、この地域包括医療、地域包括ケアというものの意義というものはもうご理解いた だいていると思っています。まず第1点は、それでは受け皿がどのぐらいあるのかとい うことで、我々国診協と全自病(全国自治体病院協議会)とで、共同作業としてアン ケート調査を行いました。我々が考えている指導医認定、あるいは施設の認定基準とい うものを踏まえた上で、受け皿としてどうかという意見を聞いたわけですが、その結果 がそこに書いてあります。この結果から、我々がA、B、C型と言いましたA型、B型 というものが受け皿としてはある、ということが数字として挙げてあります。ご覧に なっていただきたいと思います。  4頁ですが、数字として挙げてありますのは399施設で、これを回答率で割り戻せば 750という数字が出てきます。こういうことから、受け皿があるということになったわけ です。さらに、指導医、認定医というものの基準を、10年の臨床経験の中で地域包括医 療経験6年以上、認定医は6年の中で4年以上という考えで、指導する医師がいるの か、という問合わせをしました。その結果が5頁にも書いてあります。これで割り戻し ていきますと、期間によりますけれども、我々が当初意見を述べました4カ月に換算す れば6,000人が可能であるし、3カ月であれば8,000人が受け入れ可能である、というよ うな数字が出てきました。これが第1点です。  5頁の下のほうから6頁にかけましては、地域包括医療をする病院の基準の考え方、 理念を踏まえてのことが書いてあります。まず第1点は、保健、医療、福祉の連携がで きていること。第2点は、全人的医療を実践していること。第3点は、ヘルスだけでは なくて介護保健事業にも積極的に取り組んでいること。これは、以前の私の意見書の中 でも述べているとおりです。そして、我々が受けるとすれば協力型の病院が主体になる のではないか、ということを6頁の下以後に掲げてありまして、7頁には、我々が考え た106項目のうち46項目を抽出して、地域医療臨床研修協力型病院の認定基準というもの を作成しました。  指導者も、指導医、認定医、そして地域包括ケア指導者、これはコメディカルのス タッフで、訪問看護のときの看護師、訪問リハビリのときのリハスタッフなどですが、 これらについても、5年以上の実践経験がある者と定めました。5年という数字は、介 護保険でケアマネジャーの受講資格試験の資格が5年以上と定められていることから、 それを準用したわけです。そのほか、8頁には、このようなことを考えている、という ことが書いてあります。それを少し細かく説明したのが、8頁と9頁です。  いずれにしましても、我々はこのようなことを考えて、地域包括医療、地域包括ケア を研修してもらおうということです。別紙として付けている17頁以後に、二重丸を付け た46項目がありますが、このような項目を重点的に研修してもらうということを考えて いるわけです。そして、実際の例ですが、プログラムとして、1病院、1診療所のプロ グラムを添付させていただきました。ご参考にしていただければ幸いです。 ○堀江座長  ありがとうございました。続きまして、精神科病院協会からお願いします。 ○竹内オブザーバー  精神科病院協会の常務理事をしております竹内です。お手元の資料の3−3に、精神 科七者懇の名前で急遽取りまとめたものを提出してあります。2頁目に「研修の目標」 というのが書いてありますが、多くの患者さんに共通する精神症状の理解、特に抑うつ とか心気症、あるいは不安、不眠、意識障害というようなものを、是非、他科にいる人 に理解していただきたいということです。そして2番目に、向精神薬、特に、うつ状態 がだんだん多くなってきて、3万人も自殺者が増えているという状況の中での抗うつ薬 の使い方だとか、抗不安薬、睡眠導入剤の使い方をきちんと理解していただくというこ とが必要だろうと考えています。また、臨床心理、PSW、作業療法士といった職種と の連携、チーム医療というものも、やはり精神科領域で学んでいただきたいと考えてい ます。  また、精神障害者にとっては合併症治療がいちばん困ることなのですけれども、医療 関係者の中では最近は看護師の理解というのが大変深まっています。ただ、ドクターの 精神障害者に対する理解度というのはまだまだ低い。これは研修の仕方に問題があるの だろうと考えています。こういう中で、卒後の研修の中に1カ月でも入れていただけれ ば、かなりその辺のところは違ってくると考えます。お手元に、学会のほうで昨年まと めました「臨床研修病院一覧表」という本があります。その中には、大学病院から単科 民間精神病院まで、アンケートに答えていただいた病院の一覧表を作ってあります。  日精協関係で、まだその中に手を挙げていただいていないところもたくさんありま す。基準を満たす病院が、日精協関係だけでいいますと、820病院あります。これは、コ メディカル、いわゆる心理だとかPSW、作業療法士というものが2職種以上常勤でい るという病院、しかも看護基準が一般病院並みというところを押さえてあります。4頁 には、民間単科精神病院が304とありますけれども、現在の会員病院の中で調べますと 820あります。そういう意味では、施設ならびに指導医ともに十分に確保できていると考 えています。本日は、精神科七者懇で卒後研修委員会の委員長をしています日大の小島 教授が来いていますので、ちょっと一言お願いします。 ○小島オブザーバー  日本大学の精神科の小島でございます。2頁を見ていただきますと、実際の研修の例 として、大学病院などの研修関連病院と研修協力病院との組合わせの場合という具体的 な例が出ています。このような形で研修を行うというふうにプログラムを組んでいま す。それから、資料2には、クルズスの内容が書いてあります。資料3には、卒後研修 施設の確保ということで、ここに具体的に示してありますが、Aが80大学と近隣の精神 科病院の病院群としての研修の場合で3,840名、Bが一般病院精神科有床併設213施設で 2,556名、Cが国公立単科精神病院49施設と近隣の一般病院で588名、Dが無床併設精神 科指定149施設と自治体非指定55施設で1,224名、厚労省研修民間精神科病院と近隣の一 般病院で336名受け入れられるということで、8,544名を受け入れられるということで す。  それから、先ほど竹内委員が申し上げましたが、指導体制につきまして、ここに2,523 名と出ていますが、これは、指定医で10年以上の経験を持つ者の数です。この中で民間 精神科病院が、先ほどお話しましたように820施設になっています。そういうことからし ますと、1,201名が増えまして、10年以上の者があと1,500名ぐらいは増えるのではない かということで、大体4,000名近くの指導医が指導できるのではないかと考えています。 これにつきましては、詳しいデータを後ほど提示したいと思います。 堀江座長  ありがとうございました。日本精神科病院協会からご説明いただきましたけれども、 何かご質問はございますか。 ○北村委員  この資料を拝見して、この本には大学病院でも載っていないところがたくさんあっ て、先生の日本大学も、私の東京大学もこの本には載っていないのですが、この施設の 集計には80大学が全部入っているというのは、どういうことなのでしょうか。 ○竹内オブザーバー  大学病院は全部やっていただくということを前提にしています。ただ、アンケートを とった段階では、大学でも2、3返事をいただけなかったところがありますので、それ は載せてありません。 ○北村委員  一部の大学病院は、精神科卒後研修病院の指定は受けていないわけですね。 ○竹内オブザーバー  その本にまとめたものは、学会で認めたものです。ある基準を引いて、それに合った 病院群をまとめたものです。 ○北村委員  一部の大学は、その引いた基準以下だということですよね。 ○竹内オブザーバー  基準以下の場合もあるでしょうけれども、答えなかったというところが主だと思いま す。 ○小島オブザーバー  この調査の段階でそういう応答がなかったということでして、現段階ではかなり違っ た形になっています。 ○堀江座長  続きまして、日本産婦人科学会からお願いします。 ○落合オブザーバー  日本産婦人科学会の常務理事をしております慈恵医大の落合と申します。本日はお手 元に3−4として資料が入っていますが、その前に、総論的なことを私からお話させて いただこうと思っています。産婦人科関連の研修といいますのは、先生方でただいまご 検討いただいております「研修目標」の中の経験目標のA、B、Cいずれの部門にも関 連する事柄でして、私ども産婦人科学会としましては、従来から、基本的事項に関連す る研鑽を積むという初期研修の理念に則って、現在私どもが担当している医療の一部、 すなわち、妊娠の診断、妊婦に対する一般的医療、妊娠に関連する救急疾患の鑑別、各 年代の女性特有の背景に基づいた全人的ケアという問題は、どの科がご担当しようと、 医師の育成においては必須の事項であろうと考えています。  したがいまして、私どもは、私どもの学会の利害、損失ということを離れまして、初 期研修の趣旨を実体化するということが非常に重要ではないかと考えています。具体的 に、スーパーローテートにおける産婦人科関連の研修における到達目標としましては、 女性特有のプライマリケアを研修するということ。また、少産とはいいましても120万を 超えるお産がある現状ですので、妊産褥婦の医療に必要な基本的な事項を研修するとい うことです。特に、どの科の先生方も、妊産褥婦に対する投薬の問題、あるいは治療や 検査をする上での制限などの特殊性を理解するといったことは、きわめて重要であろう と思っています。また、現在でも、へき地にまいりますと、産科を経験した先生がいな いために総合病院の看板を下ろさなければいけないといった病院があるということで、 地域医療にもいろいろな意味で支障を来すという現状があるやに聞いています。このよ うな研修を進める上で、私ども学会の中で実際に受け皿として可能かどうかということ を調査しましたので、田中理事からご説明いただきたいと思います。 ○田中オブザーバー  新潟大学の田中です。7月24日付の中島正治課長宛の資料を見ていただきたいと思い ます。これは、平成13年7月に、卒後研修施設807施設に対しまして、研修医を受け入れ ていただけますか、受け入れていただけるとすれば何名受け入れていただけますか、と いうようなアンケートをとりました集計です。その中では、大学病院102施設を含めまし て565施設から、8,970名の研修医を受けることが可能である、1施設平均して15.8名の 研修を1.5カ月受け入れることが可能である、という返事をいただいたわけです。そ の中でも、大学病院以外の463施設の中で、厚労省指定の研修指定病院が369施設ありま す。その中でも、指導医が3名以上の病院が207施設あります。それに大学病院102施設 を加えますと、309施設が指導医が3名以上の研修を行うことが可能な病院であろうと理 解しているわけです。  そして、仮にこの309施設が、アンケートの15.8人の3分の1の5人を1.5カ月間受 け入れることが可能であると過小に評価しましても、1,500名の研修医を受けることが可 能であると。また、指導医が3名ではなくて常勤医が3名以上の病院としますと、厚労 省の研修指定病院は335施設あります。そうしますと、大学を入れますと437施設。これ が5名受け入れることが可能だとしましても、2,000名以上の研修医を受け入れることが 可能であると。そういうことで、産婦人科学会としましては、卒後研修病院としては十 分なキャパシティがあると理解しているわけです。以上です。よろしくお願いします。 ○堀江座長  ご質問ございますか。 ○星委員  今のご発言は、病院だけということで理解していいのでしょうね。お産などは、多く の場合が診療所あるいは有床診その他で行われている。あるいは小規模の単科病院など は含まれていないという認識だと思うので、そこを加えればますますキャパシティは増 える、という理解でよろしいのですか。 ○落合オブザーバー  そのとおりです。 ○堀江座長  続きまして、小児科学会からお願いします。 ○中畑オブザーバー  小児科学会の教育担当理事をしています中畑です。資料3−2をご覧いただきたいと 思います。「研修必修化に伴う小児科臨床研修体制の考え方」というところで、小児科 でのコアカリキュラムの中で研修をすることがいかにこれからの初期研修で重要である か、ということをお読みいただきたいと思います。特に小児疾患では、プライマリケア で重篤な疾患を見落とさないということを、すべての医師が身に付けることが非常に重 要だと考えています。  研修施設については、3カ月のローテートで回ってくると仮定しますと、各時期に2, 000名の研修医を受け入れるということになりますので、それに応じた計算をしていま す。次の「研修指導体制」というところを見ていただきたいと思いますが、現在、小児 科学会の認定の研修施設が544施設ありまして、このうち大学病院が80施設、それ以外の 小児科専門医が少なくとも3名以上いる病院が464施設ありますので、単純計算します と、2,000名は十分受け入れ可能であるということになります。すなわち、合計2,592名 の常勤小児科医の専門医がいるということになりますので、専門医1人当たりにします と0.77名の研修医を指導するということで、小児科としての研修は十分可能であると考 えられます。また、常勤3名以上で、小児科認定施設以外の病院は非常にたくさんあり ますので、それをさらにこの研修体制の中に組み入れるということになると、受け入れ 可能な研修医の数としては、さらに多くなっていくのではないかと考えています。  また、これは最終的にご議論いただきたいと思いますが、すべて研修指定病院の中で 行う研修と、それにプラスして、例えば外来診療を経験させるといったことも組み入れ ますと、さらに研修医の受入れが可能になるのではないかと考えられます。研修内容に つきましては、具体的な目標を掲げています。3カ月の中で実施可能項目ということで 資料を提出していますが、その中で基本的な必要な項目を十分身に付けるということ で、現在、最終的な案を検討しているところです。 ○堀江座長  小児科学会からの報告でしたが、何かご質問はございますか。 ○星委員  前回お話したときに、小児科の先生は大変少なくて、患者さんは多くて、寝る間もな くて、しんどくて大変ではないか、その上に研修医が来たら、とんでもないではない か、というようなご発言があったように記憶をしているのですが、先生方は意欲を持っ てやっていただけると理解してよろしいのでしょうか。 ○中畑オブザーバー  そう理解していただいて結構です。今、小児科学会の会長のほうからお話がありま す。 ○衛藤オブザーバー  小児科を必修科していただくことが非常に大切なことは、皆さんおわかりのとおりで す。特に小児救急は、現在非常に大事な要素になっています。そういう意味で、一般の 先生方に小児科の基本的な基礎知識、技術を履修していただくことは、今後の小児救急 の役割の中でも非常に重要な要素になっているわけです。是非、小児救急のためにも、 必修化をお願いしたいと思います。 ○北村委員  小児科の専門医が、大学が1,200人ぐらい、その他が1,300人ぐらいということで、大 体半々ということですよね。そうすると、研修医も、大学と外の病院は半々ぐらいでな いといけないという理解でよろしいのでしょうか。 ○中畑オブザーバー  現実に大学でどのぐらい受け入れ可能かということは、いま最終的な調査を行ってい る最中で、まだ結論が得られていませんが、やろうと思えば大学だけでもある程度は可 能だと考えられます。ただ、大学だけで研修するという体制よりも、むしろ地域の基幹 病院などを含めた研修体制にしていくほうがいいのではないかということで、現在、小 児科学会の中で検討しています。 ○西岡委員  これはすべての方にお伺いしたいのですが、ここに挙げられている行動目標などを見 ていますと、かなりの部分、卒前教育の部分があるように思うのです。それでいて、な おかつこれを必修にしなければならないというのは、どういったところを強調されるの でしょうか。 ○中畑オブザーバー  確かに、ご指摘のように、一部、前倒しで少し実際の患者さんを診るという形で、卒 前教育も変わってきていますけれども、もちろん指導医はいるわけですが、実際に医師 として責任を持って小児の患者を診るという形では、やはりもう1度再履修するととも に、実際に患者さんを責任を持って診ないとできない項目というのが非常にたくさんあ りますので、その辺を整理していきたいと考えています。これはまだ案ですので、最終 的に3カ月ということになれば、もう少し煮詰めて、本当の意味で研修に必要な項目を もう少し絞り込んでいきたいと考えています。 ○西岡委員  精神科の方も、いかがでしょうか。これを見させていただきますと、精神科の研修と してやるような項目は非常に少なくて、卒前教育をもっと充実していただけば、かなり の部分はできてしまうのではないかと思うのですが。 ○小島オブザーバー  実際に症例を受け持って経験させるということが、どうしても必要になってくると思 います。最近は卒前教育でもある程度受け持たせていますけれども、やはり不十分で す。このように、実際に担当させて研修させるということが1点と、もう1つは、他メ ディカルとの交流といいますか、一緒にやっていくということ、それから地域との連携 といった辺りが、実際に症例を受け持つ中で経験できるのではないかと思っています。 ○竹内オブザーバー  卒前教育の中で、大学で診られるケースと診られないケースがあります。そういう中 で、精神科は特に、単科の精神科の病院との連携での教育研修ということがいちばん大 事になってくると思います。そういう意味では、実際にケースを受け持って薬を使って みるということ、あるいは、ほかの職種との連携、保健所との連携などは、デイケアで もそうですけれども、大学では得られない。現在の大学では、単科の精神病院に対して は、1日とか2日の見学実習が多いのです。ところが、東海大学のように10日間単科の 精神病院で研修しますと、初日と10日後では理解度が全然違うのです。そういう点が非 常に大事な点だろうと思っています。 ○堀江座長  衛生学・公衆衛生学教育協議会からの発表をいただきまして、その上で各論的な質問 に入っていきたいと思います。お願いします。 ○徳永オブザーバー  関西医科大学の徳永です。衛生学・公衆衛生学教育協議会と公衆衛生学会の中に、卒 後研修検討ワーキンググループというのがありまして、その委員として今日は発言をさ せていただきます。お手元に、資料3−5があります。昨年あるいはその前からこの議 論をしていましたが、特に昨年末からは、具体的なことを審議中です。1番は、全体の スキームをこのように考えている、という図です。これもいろいろ問題がありまして、 確定しているわけではありません。この秋の協議会の席で再確認したいという段階のも のです。  我々の領域としては、過去のインターン制度の時代にあまり研修が充実したものと なっていなかったという反省がありまして、そのために、必修にして全員を受け入れて やるという意見と、期間はちょっと長めにして、希望者だけにやろうではないかという 意見が、常に戦わされています。それをどうするかというのは、まだ最終的に結論が出 ていませんが、直近の委員会では、全員を1カ月受け入れる体制が可能であろう、とい う前提で検討をしている最中です。  この図の中では「衛生・公衆衛生教室」と書いてあります。これは、あたかも卒前実 習のような印象になる危険性がありますけれども、学内と学外、特にプライマリヘルス ケア、プライマリメディカルケアをやっていくコーディネーターの役割を果たす専門家 のキーステーションという意味で書いています。また、その下の「指導医」というの は、保健所その他にもたくさん指導医がおられますので、この大きな枠とも実線でつな げるべきだと思いますが、ここでは抜けています。全体で、大学だけで80大学で約200講 座ありますので、それにそれ以外の施設を入れると相当数の数がある、という前提で す。研修内容は、右のほうにあります。これはあくまでも1つのモデルです。本当は保 健所でも地域診断といったようなもっと高度なものをしたいという希望があるのです が、現実には、なかなかそこまでできるところが数が多くないということで、一応代表 的なものを書いています。現在は、これをベースにしたモデルが別にできています。  2番目は、受け入れ可能人数です。ここにありますのは全員を1カ月受け入れるとい うときのものですが、数字についてはまだ確定していません。それから、(1)から(5)の 施設を全部回るという考え方ではなくて、どれか1つに軸足を置いて、そこに腰を据え てやるということを考えています。、保健所の場合には、保健所で1カ月なり数カ月す べてができる場合もありますけれども、場合によっては、保健所がキーステーションと なってほかの施設をやるということもありますので、その辺はフレキシブルに考えたい という意見です。指導体制については、ここに書いてあるとおりです。  もう1つ、4番目の「実施体制」の中にありますが、プライマリヘルスケア、あるい はメディカルケア、この定義その他は今日は申しませんが、我々はヘルスのほうを中心 にやろうという考え方で相談しています。いずれの場合にしましても、実効性の高い研 修にするためには、大学の人間や一部の指導医の先生方がやったのではシステムとして の日本の地域保健・医療の実習は十分でないだろうということで、各都道府県の衛生部 とか保健所、そのほか民生部等、関係の行政機関のサポートの下でやりたい、地域医 療・保健は地域の医師会の協力、へき地あるいは診療所等では例えば国保の直診協等の 協力を得てやりたいということで、連携といいますか、ネットワークをつくってやりた い、そのキーステーションとして我々が働きたい、という考え方です。  5番目に、指導医の問題があります。地域保健・医療の場合には、医師以外の保健、 福祉、あるいは行政の専門家が関係してこそいい研修ができると考えています。した がって、そういう方々にどういう資格でこの研修の責任の一端を担っていただくか、指 導の一端を担っていただくかということが非常に問題になります。これも議論が多いと ころですが、我々としては、固定した制度をつくるのは時間がかかるので、とりあえず は研修会をやろうということで、いま研修会の日程案などを考えているところです。そ して、その研修会が終わった人、あるいは、すでに資格があるとみなされている方々の 名簿を作って登録をしていきたい、ということを計画しています。今年中にはそれをや りたいと思っています。 ○堀江座長  ありがとうございました。ただいま、精神科、産婦人科、小児科研修、あるいは地域 医療に関連する研修のあり方ということでご説明をいただきました。すでにご承知のよ うに、臨床研修は、本日の配付資料の2−1に具体的に行動目標、研修目標、経験目標 が示されていますけれども、こういった目標に設定されていることを、研修医という2 年間において経験をし、その実を上げていくというのが大きな目標点と思います。した がいまして、いろいろな領域からの要望がありますし、研修に対する可能性についても 述べていただいたわけですけれども、この期間においてどういう研修が求められるのか と。この小委員会は、本日で4回目となりますが、コアとしてどこを取り込むのかが非 常に重要な問題として審議中であります。そういう観点からご審議をいただきたいと思 います。  1つには、小児科、産婦人科、精神科について、もう一方で、地域医療ということ で、衛生・公衆衛生の面も含めて、ご説明をいただきました。初めに、小児科、産婦人 科、精神・神経科領域に限定して審議をいただきたいと思います。 ○二村委員  先ほど小児救急のお話がありましたが、小児救急はニーズが非常に多いということ は、皆さんご存じのことだと思います。現場では、小児救急をやっていただく小児科の 先生方がちょっと少ないということが問題になっていまして、私の知っている多くの関 連施設では、大変困っていらっしゃるということをよく聞いています。ですから、そう いうことをやっていただく医師が増えることが必要であることは感じますが、研修医が その領域を研修することと、医師のニーズが非常に多いということとは、どのように考 え方を整理するかなと思うのです。特に小児の救急というのは、ちょっと間違うとえら いことになりますので、研修医がどれぐらいそれを理解して現場で対応できるか、とい うことについてのお考えをお聞きしたいと思うのですが。 ○中畑オブザーバー  それでは、答えさせていただきます。確かに小児救急は今、小児科医だけではなかな か担えないぐらいの非常に大きな問題になっています。したがって、小児救急を担って いただける小児科医以外の、例えば内科医なりが現体制では必要であるということは、 自明の理です。そういった先生方に小児科という科を研修していただくということが、 ほかの診療科の先生が本当のプライマリの小児の患者を診るところで非常に役に立つの ではないか、あるいは、そういった研修が必須であると考えています。特に小児救急の 場合は、普通の症状で来ても急変する場合もありますので、いかにその患者さんの状態 を把握できるかという、ものの見方というのが非常に大事ですので、そういった基本的 なところをこの研修の中で身に付けていただくとよいと思います。それは将来的に、ほ かの診療科の先生が小児救急を診るという場合でも、必ず生きてくるのではないかと考 えています。 ○星委員  関連して確認したいのですが、小児科はそういう意味でニーズがあってしかも大変だ ということもあって、地域においては、休日・夜間の診療施設を地域の医師会でやって いるとか、大学や大きな病院と協力して輪番制を敷いているとか、バックアップ体制を それぞれに敷いていると聞いています。ある意味で、小児科医が不足しているがゆえに 地域の中での分担が進んでいるのではないかと私は思うのですが、その辺はどうなので しょうか。 ○中畑オブザーバー  小児救急の問題につきましては、小児科学会の中にも小児救急を扱う委員会というの ができて、そこで、問題点とか今後の小児救急のあり方ということについての議論が精 力的に進められています。確かに、いま先生がおっしゃったように、各地域でいろいろ な救急の体制ができつつありますが、それも、各自治体、各県で全くばらばらの形で行 われています。ある程度小児科医が多い地域は小児科医だけでそういう救急体制を組ん でいますし、そうでないところは、内科の先生なども一緒になった形で救急体制をつ くっています。日本の小児科医の分布に地域差があるということもありまして、統一し た救急体制にはなっていませんので、今回ご議論いただいている初期研修といったこと も含めて、小児科学会としては、今後の救急のあり方ということについてもう少し議論 を重ねていきたいと考えています。 ○二村委員  ニーズが非常に高くて切迫しているということは非常に理解できるのですが、今の ディスカッションを聞いていまして、実際にそういうところに研修医を回して、指導体 制が十分だろうか、ということがちょっと心配だと思いました。 ○堀江座長  小児科研修を考えた場合に、2点あると思います。1つは、小児科領域において経験 される疾患で、これは経験目標の中にも示されている小児科でないと経験し難いことで す。一方、小児救急です。今の先生のご質問は2番目のほうだと思いますけれども、ま ずそのほうからお答えいただけますか。 ○衛藤オブザーバー  小児医療というのは、人口の15%を支えているわけです。そういう意味で、どの科に いっても小児の診方を勉強しなければいけないわけで、これは皆さん方ご承知のとおり なわけです。私は慈恵医大ですが、10年以上前からスーパーローテをやっていまして、 一般の小児科希望でない方も、実際にたくさん回ってきています。そういった方々と、 小児救急だけではなくて、子供の診方を指導しながらやることによりまして、子供を3 カ月診ることによってかなりの力が出てきます。その意味で、小児医療全般をレベル アップすることももちろん大事ですけれども、一般の先生方も小児の診方を勉強すると いうことは、きわめて大事なわけです。皮膚科でも耳鼻科でも、いろいろな科で診るわ けですので、是非、子供の診方をこの3カ月間で勉強していただきたい。それを実際に やって、私どもは非常にうまくいっています。それをやることによりまして、小児救急 にも非常に大きな形で貢献していただけるのではないかと思います。 ○堺委員  ご説明を伺って、大体マンパワー的には消化できるというお話はわかったのですが、 先ほどの西岡委員のご意見にもありましたように、卒前教育の充実と併せ考えて、2年 間で、しかも基本研修の中でこれを全部やるとなると、なかなか大変になると思うので す。各専門の領域では大体期間はどのぐらいとお考えか、お聞かせいただければと思い ます。 ○中畑オブザーバー  小児科としましては、小児科プロパーではない方の研修期間としては、3カ月という ことを設定して議論を進めてきました。それで十分すべての研修医を受け入れ可能だ、 ということになっています。 ○堀江座長  産婦人科は、いかがですか。 ○落合オブザーバー  ここに示されております研修の内容に関しまして、経験目標をある程度こなすために は、やはり2カ月ぐらいは必要ではないかと私どもは考えています。妊娠、分娩、産褥 といった1つの流れで見た場合、患者さんをワンポイントで切って診られない。継続的 に診る必要があると考えています。 ○堀江座長  精神・神経科は、いかがでしょうか。 ○竹内オブザーバー  精神科の場合は、1カ月、2カ月、3カ月と考えましたけれども、最低でも1カ月は 必要だと考えています。精神科イコール精神病という前提ではなくて、人の心一般を含 んでの研修と考えていただければと思います。 ○山口委員  今の先生方のお話を伺っていて、今から医師になる方々には是非、小児科、産婦人 科、精神科という分野はコアで研修をしてもらいたいなと思いました。ただ、資料にも 書いてありますが、少子高齢化ということで、小児科や産婦人科の入局者がどんどん 減っているというのは紛れもない事実だと思うのです。その減っている中で、この資料 を見ますと、現時点では受け入れ可能だということですが、5年先、10年先というもの を見通した場合は、小児科のお医者さん、産婦人科のお医者さんといった、指導をなさ る方々の数も減っていくことも予想されなくもない。そういう場合に学会その他団体と してどのようにお考えなのか、お伺いできれば幸いです。私も、これは絶対にコアで、 必修で勉強してもらいたいと考えています。そのときに、いま言いましたように減って いく中での対応策として何か特別な対策等々をお考えであれば、併せてお教えいただけ ればと思います。 ○中畑オブザーバー  小児科医につきましては一時、確かにずっと右肩下がりで減っていましたけれども、 ここ数年、お蔭さまで小児科医は増えてくる傾向にあります。今年は正式な統計はとっ ていませんけれども、いろいろな情報を総合しますと、全国の大学で小児科を目指して 入局してきている先生が非常に増えているということをお聞きしていますので、一時よ りもだいぶ増える傾向にはあるのではないかと思います。また、先生方にご理解いただ きましたような小児科のコアカリキュラムとしての必要性ということが、実際に研修医 自身にも理解されて、そういったことによって小児科医が増えていくのではないか。そ ういったところにも相乗的に働くのではないかというように考えています。 ○衛藤オブザーバー  追加しますが、昨年、理事会でアンケートをとりまして、小児科の入局者数は最近少 しずつ増えています。ですから、ご心配ないと思います。少子化対策というのは、国の 重要課題の1つですから、そういう意味では今、各大学の小児科の教授が大変キャン ペーンを張って、学生にも少しずつ人気が出ておりますので、よろしくお願いいたしま す。 ○堀江座長  それでは産婦人科の先生、お願いします。 ○田中オブザーバー  産婦人科は今、300名ほどの新専門医ができております。1万2千有余名の専門医がお り、すでにボトムはすぎているのではないか。研修体制、教育体制は大丈夫だと思いま す。 ○北村委員  特に箇月が提示されている精神科の先生と産婦人科の先生にお伺いしたいのですが、 国公私立医学部長会議では、この2つの科は、いわゆる選択必修ということで、どちら かを2カ月なり3カ月研修したほうが、1カ月という短期間でいくよりもいいのではな いか。かつての制度にあったように、1カ月だと単に見学して、お客さんであると。教 えるほうもどうも気合いが入らない。それよりも自分で選んで、やりたいという人を2 カ月なり3カ月やったほうが、教えるほうも教わるほうもいいのではないかという観点 から、選択必修ということを提案しています。先ほど衛生の徳永先生からもありました ように、選択必修というのは常に話題になると思うのですが、両方の診療科の先生、い かがでしょうか。 ○小島オブザーバー  そういうふうな見方も確かにあると思います。しかし、私たちこれまで精神医学の卒 後教育を必修科にしてほしいという要望書を3回出しておりますが、その中で、やはり 心と身体を両面から総合的に見ていくという、そういう視点を持った学生をできるだけ 増やしていきたい。一般の卒業生、医学生に、そういう視点を持ってもらいたいとい う、それがこの全人的医療ということにつながっていくのではないか。私たちは、そう いうふうな視点から、確かに現場では少しきついところもあるかもしれません。です が、今回はやはりできるだけそういうふうなコアにして、多くの、全部の学生に経験さ せたいというふうに思っています。 ○落合オブザーバー  実際に経験目標に示された項目、これを除外するということであればまた話は別です が、やはりすべての医師に必要だと思われる項目が含まれておりますので、選択にした 場合、仮にそういうことで産婦人科を回らなかった医師が出た場合、例えば冒頭に申し 上げましたが、妊産婦に対する投薬の問題を常に専門医に返さなければ、その場で判断 できないとか。あるいは、内科的、外科的ないろいろな治療を、検査をするにあたって の注意事項的なものも、単に妊娠の検査薬をすれば済むという問題ではありませんで、 そういったこともすべて専門医に一旦回さないと判断できないということになります と、やはり現場でかなり混乱を生ずると思います。ミニマムリクワイアメントとして は、私は必要ではないかと思っております。先ほど2カ月と申し上げましたが、1カ 月、2カ月、3カ月という長さで私どもはカリキュラムをいろいろ組んでおり、できれ ばということで先ほど2カ月というふうに申し上げたのです。 ○西岡委員  いま施設は十分あり、かつ指導医も十分あるという3つの科のご意見だったのです が、地域的な分布はいかがなのでしょうか。かなり都市部にかたまってしまっていると か、あるいは都市部にはあまりなくてといった部分いなっていた場合など、そういった 形での受入れ体制は十分いけるのでしょうか。 ○田中オブザーバー  産婦人科ですが、確かに都市部には集中していますが、各県においても厚生省研修指 定病院は、最低2つ3つありますので、各県においてもミニマムリクワイアメントとし ての研修は可能であると思っています。 ○小島オブザーバー  資料の最後を見ていただきますと、指定医数の都道府県別のものが出ています。これ を見ていただいても、また大学が中心になるのではないかと思うのですが、一般病院な ども含めて、十分やっていけるというふうに私たちは資料から考えております。 ○島田委員  カリキュラムの到達目標なのですが、先ほど小児科の側から、小児救急も今度は全ド クターが担う能力を持てるような、そういう考えが示されたように思うのです。産婦人 科側からも、「いや、もう今度は専門家のコンサルテーションなんかいいですよ、そこ でちゃんと判断して出来ますよ」ということでしたが、それは本当に、現実にできるの でしょうか。例えば3カ月とかやって、それであとは一切していない人が、すぐに出来 ますか。 ○中畑オブザーバー  小児科の立場から言わせていただきます。3カ月の研修で、研修医が責任を持って判 断をして診療が出来るかというと、そんな生やさしいものではとてもありません。た だ、来た時の患者さんの診方とか、重症度の捉え方とか、対応の仕方とか、そういった 基本的なことは身につくのではないか。その上で、さらに例えば内科の研修を重ねるこ とによって、ある程度のレベルで小児救急も診られるのではないか。救急というより も、特にプライマリーケア、最初の判断能力を身につけるというところが、いちばんこ の研修では大事ではないかと私は考えています。 ○堀江座長  その場合の研修機関として、先ほど3カ月ということをおっしゃいましたが、2カ月 ということではどうでしょうか。 ○中畑オブザーバー  2カ月では、いろいろな項目を考えますとちょっと無理だと思います。 ○堀江座長  産科のほうはいかがですか。 ○田中オブザーバー  確かに専門性ということも大事ではありますが、もう1つ産婦人科においては、育児 不安に対する母性、あるいはそういうものの育成、あるいは女性をトータルに見る、そ ういう意味でのまず切り口といいますか、最初の初期研修ということで、産婦人科とい うのは、専門性よりもそういうことのほうが大事ではないかと思っています。  先ほどの西岡委員のご質問ですが、厚生省研修指定病院だけではなく、有床診療所、 あるいは専門性を持った産科専門病院が多数ありますので、そのような所にも協力をお 願いすれば、各地方においても十分可能ではないかと理解しております。 ○堀江座長  矢崎先生、お願いします。 ○矢崎委員  私が医師臨床研修検討部会でまとめさせていただいた「中間まとめ」というのがあり ます。その時に、いまのお話のようにいろいろなご意見があって、これもあれもという ことで、非常に希望が強かったのです。ひるがえって、医学教育がどうであったかとい うと、やはり医学部で卒業する時に、この知識もあの知識も、これも必要だということ で、非常にもう缶詰め状態で、選択肢がない。そういう状態があって、そこが現実に問 題があるということで、いま医学教育のコアカリキュラム化というのが進んで、選択肢 を広げようということになっています。それが、やはり世の中の趨勢ではないかと思い ます。  研修のプログラムですが、確かに強く山口委員から、これとこれは入れろというお話 がありましたが、私はやはり、どこが重要でどこが重要でないということではなくて、 基本的な診療能力を持っていただくためには、もちろんストレートな入局はあり得ない わけで、ローテートが前提条件ですが、その時に診療科の積み上げということではなく て、診療部門の積み上げということで、例えば内科部門、外科部門、また私は「まと め」では小児科という言葉を使いましたが、むしろ成育部門みたいなこと、それと救急 部門、これは麻酔科も入っていますが、これを必修の基本的診療部門というふうにまと めさせていただいたのです。それ以外の所は、なるべく選択というか、研修プログラム をいかに魅力的に入れるかということで、プログラムを入れる方が、やはり精神科が必 要だ、あるいはほかの所が必要だとなれば、それを入れた魅力あるプログラムを作っ て、研修医を募集していただきたいというのが、私どもの願いだったわけです。  全然産婦人科を回らない人が来たら、それは違反ではないかという、それぞれの立場 の方があるかもしれませんが、やはりそれは、今のお話のような専門的知識ではなく、 そういう患者さんとのコミュニケーションとか、あらゆる患者に対応できるというのが 基本的診療能力の一部でありますので、何もそういう特定の方を取り上げなくてもいい のではないか。もし、そういう特定の方を取り上げる場合だったら、先ほど西岡委員が 言われた、やはり卒前教育で、コアカリキュラムをこれからしよう、臨床実習を充実し ようというところがあるので、なるべくそういう所で勉強していただいて、全人的な医 療ができないような方が研修後に現れないように、そういう方面でサポートしてほしい ということです。  「中間まとめ」で出させていただいたのは、ある程度卒前教育がコアカリキュラムに なって、臨床にオリエンティッドな、あるいはペイシェント・オリエンティッドな教育 をする。ディジーズ・オリエンティッドではなくて、そういう意味のコアカリキュラム をこれからやっていただくという前提で、いま話が進んでいると思います。したがっ て、卒前卒後の教育は、一貫したものですので、今の医学教育の下で、これから10年、 20年残る施設を、そういうところで決められると非常に大変なことになるので、内科、 外科、小児科となっていますが、私としては成育度の救急部門を必修にして、あとはそ れぞれ魅力あるプログラムを作っていただきたいというのが、私どもの趣旨でしたの で、是非その趣旨を活かしていただきたい。  何々が何カ月、何カ月と、こういうことで計算しますと、もう24カ月決まってしまう わけです。研修プログラムは、個性的な特色ある、あるいは地域特性を持ったものを作 りましょう。そこで競争して、さらに魅力あるものを作ろうという趣旨が、もう全くな くなってしまいます。だから、どこが大事だということではなく、あるいはどういう研 修体制が整ってないとか、あるとか、そういう議論ではなくて、やはりこれからの臨床 研修はどうあるべきかということを考えて、研修プログラムその他も、やはり皆さんが 良いものを作って、そこで競争していただく。それには、やはり十分な選択肢という か、余裕を持った基本方針でやらないと、そういう選択肢が、あるいはプログラムの工 夫が出来ないのではないかと思います。これは立場上の話ですので、皆さんどうぞこれ に賛成してくださいという意味ではありませんが、一言申し上げておきます。 ○堀江座長  今日、5つの団体の方々からご意見をいただきました。私は矢崎先生が部会長を担当 されていた11回の検討部会の審議に参加していて、ヒアリングを聞いていますと、長期 の研修をやらないと追いつかないような希望があったことを思い出していました。要望 は分かりますが、限られた期間の中で、まず目標として挙げられているものを、どう やって経験するか、その辺を念頭に置きながら、ご意見をいただきたいと思ったわけで す。今、ちょうど、矢崎先生にその辺のご意見をいただいたわけですが、引続いてご意 見がございましたらお聞きしたいと思います。 ○星委員  視点を変えてといいますか、先に進まなければいけないと思いますので。地域保健医 療等のところ、資料の3−5ですが、このイメージは公衆衛生教室が大学病院で研修す る人のお世話をするというイメージからどうしても抜け切れていないような気がするの です。いまや500を超える研修指定病院があって、それを倍にするか3倍にするかという 議論をしている時に、公衆衛生教室などという、人も少ないところで、卒業生全部に、 あるいはその地区全部のコーディネーションをしますということなのか、あるいは大学 でやるとすれば、こういうスキームで私たちはやりますというのか、そこはどうなので しょう。 ○徳永オブザーバー  この図のところ、すべてに私が関係しているわけではありませんが、私も検討部会の 委員の1人としてプレゼンテーションを聞いておりまして、その時に皆さんから印象と して、卒前実習の色彩が強いのではないかという指摘があったのは、はっきり覚えてい ます。それは、私が所属している団体でも強く説明して、皆さん分かってくれていま す。これは私個人の意見ですが衛生、あるいは公衆衛生というのは、卒前でも、常に外 部の10〜20、あるいはそれ以上の施設と連携しながら実習をやっているわけです。しか し、それは1週間であったり、場合によっては3日であったり、1日だったりで、1カ 月行くということはほとんど例外です。  医科大学の研修に占める役割は、非常に大きいと思っています。大学の中で、臨床系 としてカウントされないで、横に置かれてやっている立場があるのですが、やはりこれ からは、それではいけないと思うのです。そういう意味では衛生、あるいは公衆衛生、 それに類した講座なり教室というのは、臨床系の一診療科と同じような役割で、大学で の研修の責任を担うべきだと思っており、実際にそれをやろうとしている、あるいは やっているところもあるわけです。そういう意味でここに書いているわけです。  ただ、これを書いた先生の責任にするのはどうかと思いますが、我々の団体は、現実 的には大学の先生方がほとんどあります。一方で非公式に別の関係団体と議論をしてお ります。また保健所関係の行政の人とも議論をしておりますが、ここではたまたま大学 の名前が出ているというふうに理解してください。むしろ私たちは、大学の中の教員と も連携をするが、大学の外の施設の指導者と連携を高めていって、そこで我々の目指す プライマリー・ヘルスケアなりメディカルケアなりをどうやるかということを、これか ら中心的にやりたいと、そういう意図で書いているわけです。  また、先生がご指摘のように、スタッフが少ないというのは認めます。認めますが、 我々は絶対にできないとは思っていません。ただ、我々だけではできない。それが私た ちのある意味で弱みであり、ある意味での特徴です。社会の資源をうまく使って、研修 医の人たちに必要なことをやる。それをコーディネートするのが公衆衛生の基本的な任 務だと、我々は思っています。 ○山口委員  私たちが今まで述べてきましたように、地域包括医療というのは、やはり今後、医者 になる人には絶対不可欠だろうと思っていますし、介護保険も踏まえて、主治医の意見 書が不十分なために、不服審査の申立てにつながるというようなことが起こらないよう にすべきである。医者の意識、理解、認識を深める必要がある。そういうことから今ま で、非常にそういう点を強調してまいりました。ですから、そういう意味では学会にし ろ、団体にしろ、大学にしろ、いろいろな所と連携プレイをとることは一向にやぶさか ではありませんし、要請があればそれをやっていきたいと思っています。  今度のこの仕組みの中で、管理型と協力型となっていますが、そういう意味では我々 が協力型になりながら、管理型の病院と連携プレイをとっていくことは一向にやぶさか ではありません。そういうところに公衆衛生の教室の先生方がかんでこられること、特 に今度の場合には、保健・地域医療となっていますが、ヘルスという面で国保直診が やってきたヘルスケアとも共通していますので、そういう点の連携プレイ、特に市町村 保健センターと我々病院が一体となっている所、私の所もそうですが、そういう所も少 なくありません。そういう意味で、私は連携プレイはとりやすいと思っております。た だ、すべてを大学の公衆衛生の教室を通してとなると、そう現実的にはうまくいかな い。我々も煩雑になることは、極力避けたいと考えております。 ○堀江座長  地域医療あるいは保健関係の研修は、ある期間は経験してもらう必要があるだろう。 ただ、全項目ということになりますと、かなり膨大なものになってきますので、どうし てもその中での選択をしながら、いずれかを経験していくということになります。 ○徳永オブザーバー  1つ追加させてください。ほかにご質問があれば、また考えさせていただきたいと思 いますが、今までの研修の、この委員会で議論されていることは、病人にどう対応する か、適切に対応する能力をどう培っていくか、ということが基本でしたが、プライマ リー・ヘルスケアとか、メディカルケアといわれるところは、実際に社会で生活してい る人たちとのコミュニケーションというか、あるいは組織とか、いろいろな人たちのダ イナミックスみたいなものを、特に医者になり立ての人たちが理解することは非常に大 事だと思っておりまして、そういう意味で我々は役割があると。  プライマリー・ヘルスケアなどというのは、すべて公衆衛生や衛生の教室ができるも のではもともとないわけで、それをいろいろな方と一緒にやる。非常に純粋に考えた ら、我々として800人ぐらいはできるだろうという意見があるわけです。卒業した人の約 1割、これは責任を持って、喜んでもらえて良かったという研修を今でもやれる。とこ ろが8,000人やれと言われたら、やはりそこではいろいろな戦略を立てないといけない し、重点目標も決めないといけない。そういう議論をしております。ですから、その辺 は理解していただきたいと思います。 ○西岡委員  折角の機会ですので教えてください。先生のほうで指導医というのをお書きになって いるのですが、指導医というのは、どういった形をお考えなのでしょうか。臨床の場合 は、臨床経験5年とか10年とか、あるいは専門医を持っているとかいうことがあるので すが、この場合はどのくらいのところをお考えなのでしょうか。後々の私たちの参考と して、是非とも教えてほしいのです。 ○徳永オブザーバー  最近、議論になっていることでは、大学院もしくは大学を卒業してから医学部の社会 医学部門に属していて、講師まで進んできた方は、基本的に指導医の資格はあるという 議論です。ただし、臨床のある所、あるいはほかの所で経験して、今まで社会医学を やっていない人、しかし立場は講師とか助教授だとか、教授であるとかいう人は、やは り5年以上経験してもらわないと無理だろうという意見です。また、医師以外について もたくさんおられますが、こういう方々の資格認定をどうするかということですが、例 えば公衆衛生学会では、たくさんの職種の方が関係されていまして、そういう方々はそ の専門の領域で、管理的な地位に上がっている人とか、あるいは資格を持っている人で あれば、それを認めてもいいのではなかろうかということです。一方、産業医学に限定 しますと、ここは指導医制とか、専門医制度が確立されていますから、これはもう簡単 にリストアップできる。医師の中では、少なくとも専門領域で社会医学的な研究や調 査、体験のある期間が5年以上と考えております。 ○堀江座長  当委員会の審議で、一応コンセンサス的に意見が集約されたことをちょっと復習させ ていただきますと、内科、外科、小児科、そして救急、この4つの領域はコアとして扱 い、その期間は、12カ月以上ということで意見の集約がされました。次に、残りの12カ 月以下の期間になりますが、そこにコアとして取り込むとするとどうなるか。その他、 選択について考える必要があるだろうということで、前回の第3回目、そして今回の審 議につながったわけです。  この期間におけるコアとして、1つは産婦人科について、女性の患者さんに対する対 応を是非研修するという意見、また1つには、精神神経科領域における研修ということ で意見がありました。各団体から意見がありましたが、いかがでしょうか。 ○星委員  精神科あるいは産婦人科のコースは必要だという議論で、これは全体として18カ月だ と、残りが6カ月ですごく小さいような気がするので、何カ月という考え方を、ある程 度幅を持たせて、でも必修だと。つまり必修項目のことを考えると、これがいちばんの 近道だろうというのが答えだろうと思うのです。そういうふうに考えて、私はこの項目 を入れるという前提で、期間についてはある程度幅を持たせるべきだという意見です。 ○堀江座長  例えば、1カ月以上というような表現ですか。 ○星委員  それとか、あるいは52週ありますので、4週間以上とかですね。 ○西岡委員  私は、先ほどの矢崎先生のお話を非常に感激して聞かせていただきました。私は矢崎 先生のお考えでいちばん良いのではないかと思います。今度の新しい研修制度というの は、各施設がどのような魅力的なプログラムを出せるか、というところにかかっている と思うのです。しかも、そのプログラムを出して、それが実行できるかというところ で、いろいろな形のものが出てくると思います。それともう1つは、矢崎先生にご指摘 いただきましたように、卒前教育がかなり実習型にこれから変わってきます。ですか ら、先ほどの精神科のお話などは、学生の時点で修得できるものではないか。むしろそ れをさせるような医学教育に持っていかなければいけないのではないかと私は考えてい ます。そこをあまり長くしてしまいますと、私がやりました時のインターンの時と同じ プログラムになって、インターンの期間が2年になっただけのプログラムになってしま います。ですから、やはり基本はこれだけというのを決めておいていただいて、私たち が主張しました選択必修みたいな考え方を取り入れていただいてもいいですし、そうい う中途半端はいけないというのであれば、あとは選択でもいいだろうと私は考えます。 ○堀江座長  言葉の問題ですが、私は、小島教授と同じ施設ですので、リエゾン精神医学という言 葉はよく聞いておりますが、これについてちょっと説明しておいていただけますか。 ○小島オブザーバー  リエゾン精神医学というのは、例えば一般科の患者、外来の患者を見ますと、大体 30%ぐらいは精神科的な診断がつく、あるいは精神症状を持っているというようなデー タが出ておりますし、入院になりますと、それがまた10%ぐらい上がる。うつ状態など を持っている人がかなり多い。そういうことで、精神医学的な見方というのが非常に重 要であるということで、そういう知識を一般科の先生方にも是非持っていただきたいと 思っているわけです。そういう視点から、また全人的医療という両方の視点から、私た ちは是非必修科にしていただきたいということで長く言ってきているわけです。  卒前教育で大体できるのではないかというお話ですが、確かにクニカルクラークシッ プというような形で、このごろは患者を受け持たせてやったりしております。そういう ことで、前よりはそういう機会が多くなってきています。ですが、本当に総合的に心身 両面から見ていくという経験は、ある程度時間をかけないとなかなか難しい。その不足 した部分を卒後研修でやっていきたいと思っています。リエゾン精神医学が1つありま すし、それだけではなく、その他の精神医学的な知識が、どうしても必要ではないかと 私は思っているわけです。それが国民が希望している重要な点ではないか。これは大学 の立場ではなくて、むしろ今回のこのようなことは、一般国民の立場という視点から考 えております。 ○堀江座長  ということで、確認をさせていただきました。 ○矢崎委員  私がまとめた時は、国民が求める医師の育成という立場に立っていたつもりです。心 身医療的なものは、内科部門の中で、それを必ず身につけさせること、ということを ちゃんと書けばよろしいのではないか。あまり専門的な疾患のところに、ずっと拘束す るというよりは、むしろそういう部門は内科部門でしっかりフォローして、選択肢の中 で、精神科特有の問題があれば、そこで身につけていただくということでありまして、 精神科を必ずローテイトするということが国民の求めている医療のニーズに合うかどう かは、よく考えていただきたいと思います。  産婦人科、女性の問題も含めて、これは小児の問題と同じでありますので、やはり私 は、今から変えるのは難しいかもしれませんが成育部門ということの中で、やはり小児 科と産科ということだけではなく、女性科的な意味も含めて、その中に入れていただけ れば、いま先生方が言われている大きな部分はその中に取り込めるのではないかと思い ます。これが大学病院でどうのこうのとか、あるいは学会の立場でどうのということで はなく、やはりアウトカムが保証された臨床研修制度をどう制度設計するかということ で、プログラムがいちばん重要な問題ですので、是非「中間まとめ」の思いを理解して いただきたいと思います。 ○北村委員  私も矢崎先生のご意見にすごく賛成です。 ○矢崎委員  大学関係の方に賛成ですと言われると、ちょっと困るわけです。私は別に大学病院ど うのということではないわけで、臨床研修制度設計がどうあるべきかということで、私 は一臨床医としての考え方と、国民が、研修が終わった後のアウトカムを、どういう医 師を求めているかということを冷静に、1年間考えていましたので、どこがどうのとい うことではありませんので、誤解を招かないようにお願いしたいと思います。 ○北村委員  研修制度に関して、行動目標、経験目標で登るべき山を明示しているわけで、登り方 までそれほど規定しなくてもいい、自由度のあるものを作っても、結局これとこれが出 来るようになりなさいということが最初に規定してありますから。これを何カ月、ある いは何週間という、そこまで規定しますと、どこを切っても同じ金太郎飴になってしま うので、方法のほうは、プログラムを作る施設に任せていただくのが、大学ではなくて 研修医のサポートが得られる考えだと思うのです。 ○堀江座長  具体的には、資料2−2の3頁にある部分の扱いについて、期間設定、あるいはここ に書いてあります3番、4番等についての扱いについて、少し自由度を持たせるという 意味ですね。 ○北村委員  そうです。 ○堺委員  コアカリキュラムは、はっきり決めていただいたほうがいいと思うのです。期間がど うのこうのというのは、確かにそういうご意見があるでしょうが、矢崎先生もおっ しゃったように、何を修得してもらうのかということを考えた場合、やはりこの場で決 めなければならないのは、コアカリキュラムはこうだということはある程度決めておか ないと、どこまでがコアで、どこまでが選択かというのが漠然とした話になってしま う。期間はまた別の議論でいいと思いますが、コアカリキュラムについては、是非ここ で決めていただければと思います。 ○堀江座長  いまご指摘いただいた点について再確認いたします。内科及び外科は、初めは内科 系、外科系となっていましたが、「内科及び外科」とするということで確認させていた だいたと思います。また、小児科と救急部門、この4つについては、コアとする。  精神科、産婦人科、地域保健医療のコアとしての扱いはご意見があり、今日もいろい ろとご意見を各団体からいただきました。堺先生はこの点に関してはいかがでしょう か。 ○堺委員  前回、私は参加していなかったのですが、一般の花井委員からいろいろご意見があっ たようなことを伺っているのですが、その辺はいかがだったのでしょうか。 ○堀江座長  花井先生は、産婦人科、精神科もコアとして取り入れる必要がある¥というご意見 だったと思います。 ○星委員  話がゴチャゴチャになると申しわけないのですが、私は前から救急部門のこの言葉遣 いが気になっているのです。最初に救命救急センターというのは除けと言ったのです が、そうやって見ていくと、救急部門がない時には、「救急外来と麻酔科を適切に経験 させる」という言い方をしていて、救急部門に対する意識がピンとこない。麻酔科とい う言葉を入れるのがいいのか、最初は「救急・麻酔科」と書いてあったのが、いつの間 にか「救急部門」になってしまっている。どういうふうに考えたらいいかがピンとこな い。  今日の午前中の議論では、麻酔科を研修病院の必須設置科にしようという話が出てい て、それに救急部門を担わせることを1つのイメージにしているし、外科系の手術を行 う時の全身管理ができるということも、1つの到達目標の中に入れておきましょうとい うことだったですね。そういうふうにして見てみると、救急部門というのと、成育部門 と、内科、外科、精神科を含むというふうに整理をすると、確かにうまく書けそうなの ですが、でもそうなると、うちの第三内科では、すべてが見られますよというようなこ とにいつもなってしまうので、私はやはり堺委員が言うように、診療科でやらなければ いけないとすれば、必修の診療科名をここに挙げて、あとの期間については自由に組め るようにしてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○島田委員  今までの議論を聞いていると、いわゆる臨床研修初期研修科というのがあればいい。 そうしたら、すべてのことが全部、プログラムに書かれているのが出来るわけです。現 実はそうではない。近いのが総合診療部ですね。しかし、総合診療部自身も、いろいろ なところで問題がある。ですので、プログラムと、現実にある我々がやっている診療、 あるいは教育というのがズレがあるわけです。そこで、どういうふうにコアにするかし ないかというのを決めていると思うのです。いまのお話を伺っていると、例えば精神 科、産婦人科に関する限りは、かなり卒前の意味合いが強い。いわゆる診療科としての 必修コアというふうなぴったり度が少ないように思うのです。ですから私は、精神科、 産婦人科はコアには、しないほうが良いと思います。 ○北村委員  精神科、産婦人科の重要性というのはよく分かっています。それで、選択必修という 評判の悪い案を出したのですが、選択科、必修科というと、やはり自由度のほうが大事 なので、選択にしたほうがいいと思います。必修というよりは、あっても選択必修のほ うかなという気がします。 ○星委員  考えていくと、何でもいいということになってしまう。ぴったりこないとおっしゃる けれど、前から議論している時に、やはり足りない要素がありますねと。内科、外科を 回っただけでは足りない要素がある、これは多分、みんな一致していると思うのです。 産婦人科的なアプローチは必要ですね、精神科的なアプローチも必要ですというのは、 みんな一致している。ただ、今の診療科としての精神科、産婦人科をそのまま当てはめ ると、確かにぴったりこないかもしれない。ですから、新しい研修制度にぴったり合う ような診療科での研修のやり方をはめ込めばいいだけの話ではないですか。 ○島田委員  その部分を各臨床研修施設が競い合って作り出せばいい。ここでこうしなさいと言う のではなく、皆が良い考えを、良いアイディアを出して、そういう所に研修医が集まれ ばいい。何か無理矢理に作られて、これを1カ月しないといけない、これを3カ月しな いといけないというので、いろいろな施設がそういうことを無理矢理することは、研修 医のためにも、あるいは教える側にとっても、ちょっとマイナスかなと思うのです。 ○堀江座長  先ほど星先生から指摘のありました救急部門について、これも第1回目からずっと審 議の対象になっていましたが、これは救急部門で、いわゆる救命救急ではないんだと確 認しました。救急医療について目標として掲げられているものがあるわけですが、そこ には「二次救命処置ができ、一次救命処置を指導できる」という重要な項目があるわけ で、その辺を是非、必修の中に入れようという意図があったと思うのです。これを必修 化するのに、各施設で、救急部としてやっている所はどれだけあるかというのを議論に なったと思います。救急部として、専従的にこういった研修目標を研修する部署はない だろう。しかし、これを何とかプログラムの中に盛り込んでもらいましょう。それに よって、救急部に相当する期間をこのぐらい設けましょうということが、皆さんの意見 だったと思うのです。  ですから、今おっしゃっている意味での、例えば精神神経科にしても産科婦人科にし ても、研修目標は明らかなわけで、それをいかに研修プログラムに取り込むかが、星先 生の指摘しているところだろうと思うし、先生方もそういう意見だと思います。必修科 として産婦人科なのか、必修科として精神神経科なのか。いや、それよりこの項目を研 修プログラムに盛り込む必要があるというのが、先生方の考えなのかなという気がしま すが、いかがでしょうか。 ○星委員  現実には、島田委員がおっしゃるような研修になっていくのだと思います。またそう しなければいけないし、我々はそれを目指すべきだと思います。ただ、いま病院の中で 研修をしようと思った時に、そういう要素を入れながら、例えば産婦人科とか精神科の コンサルテーションを受けながら、ある診療科に属して、命令系統に入るわけで、見学 ではないわけですから、それをやりながら、そういう人たちのいろいろな教育を受けら れるかどうか。あるいはそういう状況に達しているかというと、必ずしもそうではな い。  ある病棟に行って、そこには指導教官、あるいは教授がいて、患者に「お願いしま す」と言って、初めて人間関係が築ける。あるいは実際の研修ができる。あるいは、診 療科の担当医として患者さんと向き合えるということがあるのだと思うのです。いま自 分たちがやっている医療が診療科ごとに縦に分かれているのに、研修は横割で全部やり ましょうといっても、なかなかうまくいかない。ただ、気持とすればおっしゃるような 気持はよく分かります。だとすれば、内科、外科ということも必要ないのではないか、 必要なことをすればいいのではないかということになってしまうので、私は当面、この 必要な要素を入れておいて、それをやるためにはやはりそこへ行ってくださいと。だか ら期間は書かずに、この科とこの科とこの科において、必要なことをきちんと勉強して くださいということを明記するだけでいいのだろうと思うのです。多分、同じことを表 と裏で議論しているような気がしてならないのです。 ○島田委員  私のほうが、良いシステムが出来ると思います。やはり、自由度を持たせたほうがい い。自由度を持たせて、各施設が自分たちで良いものを作る。それは別に厚生労働省か ら言われたものではないという、そういう自由度を与えたほうが絶対に良いと思いま す。 ○西岡委員  かつて、インターン制度が潰れたのですが当時は、そういう形で枠だけは全部あった わけです。ところが中身がなかった。確かに、いま星委員がおっしゃるように、大学み たいな大きな所だと、横がピッチリ分かれていて、なかなか横につながることは出来な いのですが、実際の研修病院に行くと、横のつながりがものすごく良くなっている。そ ういった意味で、到達目標と、それのアウトカムを見るという形で、あえて何々科、 何々科を入れることで足かせを付けないほうがいいのではないかと考えております。 ○山口委員  私は、地域包括医療という分野でずっと意見をまとめてまいりましたが、今の医学教 育の中で、我々が実践している地域包括医療というのは、ほとんど教育がなされていな いのではないかという感じがしております。在宅医療だとか、あるいは今までの明治以 来の在宅医療、往診という形でありましたが、これは誰しもがよくご存じです。しか し、訪問看護だとか、訪問リハビリだとか、あるいは家屋の改修だとか、いろいろな機 器類を活用することだとか、あるいは介護保険施設での介護だとかに、高齢化が進んで いく中で、国民はそれだけの期待を医師に寄せていると思うのです。介護保険では、主 治医の意見書をきちんと書いてもらいたいというのが、国民の皆さんの望みだろうと思 います。それに応えられる医者にならないといけない。  では、医学部教育の中で、介護保険もきちんと教育しているかというと、ほとんどゼ ロだと思います。これから文部科学省の中の医学部教育のカリキュラムも変わっていく と思います。変わっていって、そういうものを卒前教育の中で教育されていれば、卒業 してからは、そういう分野は選択という形で結構だと思いますが、現在の、平成16年か ら制度実施される今の医学部の学生は、それはほとんど教育を受けていません。そうい う意味で、当面はこういう分野もやはりコアの分野として、何年間かは研修をしてもら う必要があるのではないかと考えています。  医学部教育の中で、こういう分野が、カリキュラムできちんと教育がなされ、その教 育を受けた学生が医者として世の中に出てくるようになれば、このプログラムもそれな りに変えていって結構だと思うのですが、それまではやはり必修として勉強してもらい たいと思います。そうしないと、35年振りにこういう大改革をする意義がない。今まで の延長線上になってはいけないと思います。もちろん、ストレートな入局はなくなって いくでしょうが、ただ内科、外科、それが中心で良いのかという問題点は、やはり積み 残したままになるのではないか。  医学部で教育を受けていなければ、関心もないということになり、国民が期待してい る医師像とは違う医者がどんどん出てきて、期待している医者はほんの一部だけ、とい うことも何かさびしいという感じがしております。今が1つのチャンスといいますか、 そういうタイミングを逃してはならないのではないか。私自身、もうリタイアして、高 齢者で介護を受ける年齢に近くなってきておりますので、どうなるか分かりませんが、 やはりそういう点も理解した医者に、なっていただきたいと思います。私自身、若いこ ろは専門医志向で、ペーパーばかり書いていて、実際に臨床の現場では反省もずいぶん いたしました。ですから在宅ケアを半分罪ほろぼしでやっており、そういう立場からし ますと、住民の生の声をいつも聞いておりますが、そういうことをやはり研修の場で やっていただきたいというのが私の考えです。 ○島田委員  地域包括医療とか、在宅医療とか、そういうことに関しては、もし大学の卒前教育が うまく機能していないということであれば、それは相当なスピードで充実させるという 方向になっていくと思います。それはそれとしておいて、確かに先生のおっしゃるよう なことは非常に大事ですが、初期の医師の研修として何が大事かといった時に、例えば 病気をどう診るかとか、症状をどうとらえるかとか、どういうふうに処置をするかと いったことがすごく大事です。そういうことに初期研修は投入すべきである。先生の おっしゃるのは、そういうマインドを持ちながらやりなさいと、そういう話だと思いま す。実は、自治医大もそういうのは、まさに専門なのです。でも、初期の2年間は地域 包括医療はやらせない。最初は、やはり医師としての研修をやらせるわけです。ですか ら、大事なことと、初期研修を何をやらせるかはちょっと違うと思います。 ○山口委員  お言葉を返すようですが、私は先生のおっしゃることもよく分かります。だから、2 年間のうちの1年は、先生がおっしゃるような内科、外科系を中心にしたコアを、1年 では十分とは言えないでしょうが、十分にやる。しかし2年目には、私がいま言ったよ うなことをやらないと、3年目以後でそれを選択して、自分の分野として、歩く道とし て選んだ人はいいのですが。そうでない場合には、結局一生こういうことを経験しな い、研修しないままの医者が増えていったら、今後、高齢化が進んでいく中で、どうな るのかという危惧の念を持っております。 ○堺委員  ちょっと議論がズレてきているような気がします。問題は、卒前教育と卒後初期研修 の関係はよく言われたと思うのですが、その後にくる専門教育をどうするかということ だと思います。いま山口先生がおっしゃったのは非常に重要なのですが、多分それは名 称はどうするかはともあれ、専門家として非常に必要な科だと思うのです。でも、今ま ではそういうニーズがなかったというか、そういうのを作ってこなかったので、本来的 にはそういう分野はこれから開拓すべきだと思うのですが、問題は卒前教育でもできな くて、専門教育でもできないことを全部、2年間の研修に押しこめようというと、なか なか難しい。その辺、我々はアピールしていく必要があると思うのですが、だから、2 年間をどうするかというのとは、ちょっと話が違ってくる。すべてを2年間に押しこめ るのは、なかなか難しいという印象を持っております。 ○二村委員  今日の結論に向けてのディスカッションで、最終的に島田先生と星先生と少し意見の 分かれるところがありましたが、基本的には私は島田先生の意見に賛同しています。縦 割の診療科の中でやれるかどうか、星先生も大変心配されていると思いますが、研修医 をローテーションさせるという基本原則と、そこに私たちの経験では、入局しないとい う原則がある。入局してローテーションする方と、入局しないでローテーションをする 方の間には、縦割社会とどういうふうに馴染むかということで随分差があります。  入局をしないでローテーションをきちんとやれば、私は島田先生がおっしゃったよう なやり方が、効力を発揮すると思いますし、もう1つは自由度を与えるということは、 研修医にアクティビティを与えるということと同義語のようになり、アウトカムが上が ると私は思っています。ですから、自由度を与えて選択をさせる、というほうに私は賛 同したいと思っています。 ○矢崎委員  要するに、臨床研修は、絶対2年間は入局させない。ローテーションで1つの医局で 面倒を見ることはない。大学側がしっかりそれを声明して、それに違反したら指定病院 の指定を失格するぐらいのことをしないと、やはり世の中は認めないと思うのです。だ から、しっかりそういうことにする。そういう方向でいくと責任は重い。特に、西岡先 生の責任は極めて重いと思うのです。そういうことをしっかり担保するということを宣 言しない限り、この議論はいつまで経っても繰り返しになるので、それをしたいと思い ます。  もう1つ、救急部門についてですが、厚労省が臨床研修はうちで責任を持ちたいとい うことであれば、少なくとも二次医療圏で十分賄えない所については、一次救急、二次 救急の研修ができる施設を、厚労省のほうできちんと必修化に向けて方策を立てるな り、システムを作るなり、それを是非お願いしたいというふうに思っています。 ○二村委員  ちょうど救急のことが出ましたが、救急部を持っている所と持っていない所ではプロ グラムの作り方が違います。実際のところ、私の経験では、内科、外科、あるいは小児 科を回っている間に、その間に救急をどれくらいきちんと研修するかという、そこの中 でそれぞれプログラムを作ってやっておりますので、そうやっておけば、きちんと救急 部門を3カ月なら3カ月分を研修できると思います。 ○堀江座長  今の点につきましては、午前中の施設基準の審議の中でもありまして、各施設におい て、少なくとも1日の救急患者としてこのくらい持っている、ということが求められる だろうという議論がありました。そういうことにつなげて、救急として挙げられている 目標は、おそらくクリアできていくのではないかということだったと思います。いま矢 崎先生からご指摘のあった大学、特に大学における今までの制度に対しての社会的な見 方、あるいはこのワーキンググループ前の検討部会の時にも、そういう点の指摘は確か にあったと思いますが、この辺については全国医学部長、病院長会議の審議として、そ ういう方向で多分進んでいるのだと思いますが、西岡先生いかがでしょうか。 ○西岡委員  一応、私ども、矢崎先生の医道審議会の時に報告させていただきました提言というの がございまして、これもかなりいろいろなご意見はあったのですが、研修医に関しては 2年間は全く非入局である。そして、病院長預かりの身分の下に、卒後臨床研修セン ター所属ということで、研修をやっていただく。もう1つ、ストレートはないというこ とは、明らかに決めております。その形で、いろいろな分野のところで少しずつ今、準 備されているところです。 ○堀江座長  各大学において、その辺は共通の認識ですね。 ○西岡委員  確かにこの提言をまとめる時にいろいろなご意見をいただき、そういうことは出来な いとかというのがあったのですが、実際にはそれをまとめて、もう一度全国の医学部 長、病院長のほうに戻させていただきまして、この形でOKだということを認めていた だいております。 ○星委員  いつも大学の話になってしまいますね。確かに大学は、放っておいても上手にできる のでしょう。ただ、私たちは今、民間の医療機関で、研修をやるのがいいんだ、という 考えでプログラムを組みましょうということで最低限必要なものは何ですかといって、 知恵を出してこういうものを出してきた。確かにローテーションとして何カ月とかって 決めることは私も賛成はしませんが、それなのにまた大学の話に戻ってしまって、大学 ではこうです、ああいうふうにしていますと。入局者はこうでと言われる。入局させな いでやると約束されたのだから、それをやってくださればいい。  地域の病院での研修というもの、我々が理想としている研修を実際にやってみるとい うチャンスがまさにきているところで、その議論をしてもらわないと、いつまで経って も大学の話をされても前に進まないと思います。そういう意味において、一般の医療機 関で、どういう診療科があって、どんなことをすれば研修に耐えられるのかというある 程度のガイドラインを示すことが私たちにとって必要なことですし、それによって認定 をするわけですから、認定をするとすればある程度のことをしなければいけない。だと するならば、ある程度のことを示して、そしてその上でプログラムを提出させて、アウ トカムを何らかの形で評価するんだということを決めればいいと思うのです。ただ、こ ういうふうに書いて、何が何カ月で、18カ月でこうしましょうということを言ってしま うから、何となくみんなが、「そんなのされると現実に困るよな」という話になるのだ と思うのです。  要素としては、確かに精神科の要素も産婦人科の要素も私は必要だと思います。そこ は先生方も認めていらっしゃる。それは大学であれば、中でいろいろ連携でできますと 言うかもしれませんが、一般の病院の場合に、そうはいかないことがある。特に小さな 病院いくつかでグループを組んだ時に、何々先生の所でこういうことを経験させてくだ さいとか、産婦人科はうちにはないが、産婦人科のこういうところを見せてやってくだ さいと言って外に送り出す。そういうインセンティブがこのプログラムの中にないと、 うちには産婦人科がないからしなくていいやということになってしまったのでは、本末 転倒だろうと私は思うのです。 ○北村委員  これに関して、こっちのプログラムのほうにしっかりと、例えば精神科関係で言えば 「精神保健センター、精神病院等の精神保健医療の現場を経験すること」、これが必修 で残っておりますし、今日の会議のいちばん最初でも皆さんの合意を得たわけで、精神 科に入らなくても精神保健センターに行くことは可能なのです。そこで1カ月でも2カ 月でも研修できますし、産婦人科に関しても、「小児・成育医療の現場を経験するこ と」ということで、周産期のこともやりなさいとしっかり書いてあります。  細かいことでは、うつ病、分裂病をちゃんと自分で経験しなさいというようなことが 書いてあります。もちろん、外来でもいいとこちらは書いてありますが、こういうアウ トカムをしっかり規定してあるので、精神科のことを全く知らないで研修が終わること はあり得ないし、お産を一度も見ないで研修が終わることは絶対にあり得ない。そのた めに、産婦人科の部長の直接の部下にならないといけないかというと、そうでもないだ ろう。いろいろなやり方があるだろう。そこの自由度を残していただいたほうが、先ほ ど二村先生もおっしゃったように、アクティビティでもあるし、インセンティブが上が るわけで、自分で選んで自分でやっている、という気持を残していただくほうが、金太 郎飴をなぞらさせられているというよりも、余程いいと思うのです。だから、こっちも アウトカムは絶対守る。アウトカムが達成されていなかったら判こは押さないというこ とを明言しておけば、研修医はしっかりと、自分の研修手帳を見て、足りないところは 動くと思うのです。 ○堀江座長  今おっしゃっていることは、すべて「特定の医療現場の経験」というところに盛り込 まれている項目です。もしそうであるならば、基本研修事項としてということで、内 科、外科、小児、救急部門はコアとする。加えて、特定の医療現場の経験については、 カリキュラムの中に、その点を明確に記載しておくという捉え方も1つ可能なのかなと 思いますが、その辺はいかがでしょうか。 ○山口委員  意見が2つあるようですが、コアにする部分を、「中間とりまとめ」のこの意義をも し活かすとすれば、矢崎先生がおっしゃった分野を重視しながら、第2段階として北村 先生方がおまとめになった選択必修という考え方でこの6分野を入れていくという折衷 案なのですが。私は、精神科も産婦人科も、小児科同様やはり必要だと思いますし、私 たちの地域包括医療も必要だと思っていますので、せめて選択の中では、第一義的に取 り扱いますよというふうな考え方を、やはりこの際、もし文章になさるのなら入れてい ただきたい。  もう1つは、この期間は、もし4科4部門ということにすれば、いまの18カ月ではな くて、ぐっと下がっていくということも、一緒に追記をしていただきたい。いずれにし ろ明後日まとめてしまわなければいけないというタイミングがあるとすれば、その辺で 委員長と事務局とで、その文案をお作りいただければと思います。 ○星委員  そうだとすれば、その到達目標に達する方法、つまりこのローテーションはしないけ れども、これをやるためにこういうふうなプログラムを組むということを1つ1つ全部 示す必要があると思うのです。それは、私はあまり意味があることだとは思わないの で、最低限のものをクリアするために必要なものとしてこれを示します、だからこれを こういう形でやってもらえば一応いいですよというスタイルにしていただいて、もし産 婦人科を回らない、精神科を回らないというのであれば、この到達目標に達するため に、こういう方法でこういうことをやるということを具体的にプログラムの中で示し て、それは届出をするなり、認可を受けるなり、ということではいかがですか。  私は基本的には回るべきだと思うし、それが自由度が足りないというのであれば、選 んで行ってもらうというのも自由。もしそれを選ばないというのであれば、つまりコア の中に自分たちの病院では入れませんとおっしゃるのならば、その到達目標に達するた めにどうするか、ということを明確にするということを、このプログラムの中に書き込 むというのではいかがですか。 ○徳永オブザーバー  オブザーバーで恐縮ですが、研修プログラムとは何ぞやという定義をお考えいただけ れば、今の議論は答えが出てくると思います。つまり、目標と方略の一部である研修シ ステムみたいなものが、混乱して議論されていると思うのです。 ○星委員  目標を達成するためにはいろいろなものを入れると、例えば出産を一度も経験しない で医者になれるはずがないとおっしゃいました。ですから、出産を経験するための1つ の便法としては、1カ月程度回ってもらうというのが1つのやり方として非常に有意義 な方法だろうということでご納得いただけると思うのです。ただ、それを絶対にしなく てはいけないと言われると、なかなか厳しいとおっしゃるのであれば、目標は産褥期の 何とかを理解するとか、何々を理解すると書いてあるのですから、その目標達成のため に、どういう所でどういう研修をするのか、ということをプログラムの中に明記するの であれば、私はいいと思うのです。  基本ローテーションは、何科をどういうふうに回るということを外形的に決めるので はなくて、おっしゃるように中身で決めるべきで、ただし、ここに示すローテーション に沿ってプログラムを組めば、その証明の必要は病院側にはありませんよということに すれば、私は両方の意見が成り立つような気がするのですが。 ○北村委員  ご意見もっともなのですが、フレキシビリティというのは、2年間で、例えば1年終 わった時点でまた考える、改めるということもあるわけです。1年目で内科を一生懸命 頑張っていたら、分裂病の人が来て、内科で一生懸命に頑張った。2年目は、それなら ば精神科はいろいろ指導員に教えてもらったから、産婦人科を回ろうという人も出るか もしれない。あるいは1年目に内科で、妊婦で何か合併症のある人を見てしまった。2 年目は精神科に行こうということもあるかもしれないので、アウトカムでこれだけ規定 していて、逆にアウトカムを達成しないと、アンダーラインを引いてあることや、特定 の疾病、特定の病態がクリアできないと判こは押されませんよということを明示すれ ば、自然に先生がおっしゃることは伝わると思うのです。婦人科に行かなければ普通の お産は見られないと思うのですが。 ○堀江座長  時間が過ぎておりますので、今日の小委員会はこの辺で閉めさせていただきたいと思 います。ヒアリングをさせていただき、いろいろな団体の方々の意見をいただいて、実 状を認識してこれからの研修に向けての対応の可能性については、明らかにすることが 出来たと思います。一方で、ここに提示されております研修目標、具体的には行動目標 であり、経験目標ですが、これが実際に臨床研修医にとって重要な、経験すべきことと いうことは明確になったかと思いますが、そのために、経験すべき診療科はどうなのか といった部分で、多少まだ委員間にズレがあるかと思います。  具体的に各科を回るという一方の考えもありますし、一方では、そうでなくてもカリ キュラムとして、あるいはプログラムとして取り込むことによって経験できるのではな いかという意見があると思います。経験しなければいけないという点では、共通の認識 だと思いますが、それへの対応というところで、少し意見の違いがあるかと思います。 この点については7月31日に合同委員会、ワーキンググループがありますが、その時ま でに結論がでなくとも、もう一度最後の詰めに向けて、また審議いただくという機会を 設けるようにしてはいかがかと思います。事務局としても、そういう方向でよろしいで しょうか。 ○医事課長  結構です。31日に向けて、ただ今の議論を含めて、これまでのご議論を整理させてい ただいて、また31日にご議論いただければと思います。 ○堀江座長  非常に重要な審議であり、皆様にも前回と今回と、かなり突っ込んだ意見交換をして いただき方向性はだいぶ明確になってきたと思います。今回は研修すべき診療科等につ いて、結論は出ませんが、内科、外科、小児科、そして救急については結論として述べ させていただいて、その他の部分については、こういう審議がされているということで 報告をするようにしたいと思います。その後、小委員会を継続して審議をしていただ き、最終的には意見の集約を求めたいと思いますが、そういうことでよろしいでしょう か。  それでは今日は長時間、いろいろとご検討いただきありがとうございました。各団体 の方々にもお出でいただき、ご意見を述べていただきましてありがとうございました。 以上で終了させていただきます。                       照会先                        厚生労働省医政局医事課                         電話 03−5253−1111                          内線 2563,2568