02/07/26 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録            薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 日時 :平成14年7月26日(金)  16:00〜18:38 場所 :厚生労働省 省議室(中央合同庁舎5号館 9階) 出席者:寺田分科会長、井上委員、小川委員、小沢委員、垣添委員、熊谷委員、     黒川委員、小林委員、清水委員、高仲委員、羽生田委員、村上委員、     柳川委員、山崎委員、吉倉委員、和田委員  食品保健部長、企画課長、基準課長、新開発食品保健対策室長、食品国際規格調整官 ○ 事務局  定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催しま す。  本日は、御多忙のところを御参集いただき厚くお礼申し上げます。本日は、児玉委 員、品川委員、首藤委員、田中委員が欠席。羽生田委員、吉倉委員、熊谷委員が遅刻と の連絡を事前に受けておりますが、分科会委員総数20名のうち16名出席で過半数に達し ておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それではまず、開催にあたりまして、食品保健部長から挨拶を申し上げます。 ○ 食品保健部長  分科会の先生方には、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。 本日、分科会で御審議いただきます内容につきましては、既に御連絡をさせていただい ておりますが、食塩に添加されます添加物の関係につきまして、後ほど経緯等につきま しては詳細を御説明申し上げますが、私から簡単に申し上げます。  6月中旬ごろに、中国からの食塩に、日本で指定されていない添加物が含まれている ことが判明し、これが本日御議論いただきますフェロシアン化物でございました。その 後、塩だけではなく、食品の加工品につきましても、こういった塩が使われてその中に 含まれているというケースが自治体の方から報告がございました。そういった情勢の中 で、私どもは国内で指定されていない食品添加物であるフェロシアン化物につきまし て、塩という基礎的な食材の中に入っているわけでもあり、その実態等につきまして、 早急に調べてまいりました。  その間、1つは、国際的に広く使われており、欧米諸国、東南アジア、オセアニア、 こういった地域でフェロシアン化物が使われているということでございました。そう いった中で、既にその安全性についてはJECFAの方で確認はされているということ がございまして、そういったものが、塩そのものではなくて加工品にも含まれている、 使用されている、そのような実態がわかってきたわけであります。そういったものにつ きまして、食品衛生法上は、違反という事実は動かないわけでございますが、そういっ たものの取扱いをどうするのかというところを大臣まで上げまして御相談をしたわけで あります。  そういった中で、食品衛生法上の形式的な違反であるということをもって回収措置を 取るのがいいのかどうか。そういったことにつきましての厚生労働省としての対応につ きまして、正直申し上げまして非常に悩んだわけでございますが、最終的には、7月12 日に厚生労働省の対応方針として公表させていただいたわけでございますが、審議会に お諮りするという前提をもちまして、早急にこのフェロシアン化物については添加物と して指定する、そのような方向で考えたいということが1点でございます。  また、今回のこういったフェロシアン化物が広く使われているということがございま すが、それ以外にこういった類似のものがないのかどうか。国際的に見てみますと、御 承知のとおり、日本にはカロリーベースで6割の食品が輸入されているという現状がご ざいます。非常にグローバルな動きがある中で、我が国の添加物の指定を、従来のよう に、企業と申しますか、そういったところからの指定要請を受けるという形で対応して いいのかどうか。そういった点もまた議論させていただけたらと思います。  そうした中で、今回のフェロシアン化物のような、安全性について問題がないという 大前提を置きまして、国際的によく使用され、汎用性が高いもの、こういったものにつ いて同様のものがないのかどうかを精査した上で、そうした指定要請を待たずに、場合 によっては、厚生労働大臣の職権でそういったものを指定をする方向で審議会にお諮り する、そういったことを考えざるを得ないという方向性も、対応として公表させていた だいたわけでございます。  こういった指定をされていないものの取扱いについて、従来の考え方では、食品衛生 法上の違反という事実をもって基本的には回収を命ずるとか、場合によっては自主回 収、いろいろなそういった手立てをとったわけでございますが、こういうケースをその ようにしていいのかどうか。非常に広範囲にわたる食品に使われている可能性が高い。 また同様に、そういったものを確認することがなかなか難しいということもございます し、食品の多くのものがそういった疑いを持たれるという状況になりますと、回収をす ることによって社会的な混乱も予想されますので、今回、塩については、「指定」とい う形がとられるまでは、自主的に販売を自粛していただく。ただし、加工食品につきま しては、そういった回収等の措置はとらない。そういう決断をしたわけでございます。 こういった取扱いについてはいろいろな御意見があることは十分承知した上での対応方 針の決定でございます。  本日、そのフェロシアン化物につきまして、去る7月18日に、添加物部会、毒性部 会、両部会の合同部会を開かせていただき、これに関しますデータを御覧いただきまし て、本日、後ほど御紹介申し上げます部会の報告をいただくことになったわけでありま す。分科会の委員の方々におかれましては、合同部会からの御報告と経緯につきまして 事務局から御説明申し上げますが、十分な御審議をお願いいたしたいと思います。どう かよろしくお願い申し上げます。  また、昨今、この添加物の問題以外にも、健康食品ですとか、中国の輸入ほうれんそ うの問題等、食品に関する事案がいろいろございます。それもあわせて御審議の後で御 報告させていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。 ○ 事務局  それでは、以後の進行につきましては、寺田分科会長にお願いしたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○ 寺田分科会長  それでは、分科会の議事を進めたいと思いますが、その前に、資料の確認をお願いい たします。 ○ 事務局  配付資料の確認をさせていただきます。  まず、1枚紙で、議事次第及び配席図、委員の皆様方の名簿をお配りしております。  それ以外に番号を振ってありますもので、資料1−1「指定外添加物(フェロシアン 化物)を使用する食塩及びその食塩を使用し製造した食品への対応」。資料1−2「塩 等を使用した食品の輸入状況等」。資料1−3「フェロシアン化物の食品添加物として の指定の可否に関する諮問について」。資料1−4「食品添加物の指定等に関する薬 事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会報告について」。資料1−5 「国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定についての考 え方(案)」。資料1−6「暫定的調査により想定される添加物候補」。資料1−7 「『新規食品添加物・フェロシアン化物の指定について』に対して寄せられた御意見等 について」でございます。  続きまして、参考資料といたしまして、参考資料1−1「食品衛生法の一部を改正す る法律案の概要について(議員立法)」。参考資料1−2「食品衛生法の一部を改正す る法律案」。参考資料2−1「ダイエット用健康食品による健康被害事例への対応につ いて」。参考資料2−2「7月25日午後5時現在、都道府県から報告を受けた健康被害 事例」、参考資料2−3「都道府県等から報告されたいわゆる健康食品に係る健康被害 事例に関する製品名等の公表について」。参考資料3−1「厚生労働省及び外務省によ る中国国家質量監督検験検疫総局との中国産冷凍ほうれんそうの安全性確保体制に関す る日中技術協議」。参考資料3−2「厚生労働省及び外務省による中国衛生部に対する 中国製健康食品による健康被害問題に関する協力要請」。  それから、資料番号をつけておりますもの以外に、和田委員より、番号をつけていな い資料を1枚配付させていただいておりますが、御確認をお願いしたいと思います。  資料はございますでしょうか。 ○ 寺田分科会長  よろしゅうございますか。それでは審議に入ります。  本日の議題案件は、「フェロシアン化物(フェロシアン化カリウム、フェロシアン化 カルシウム及びフェロシアン化ナトリウム)の食品添加物としての指定の可否につい て」の件でございます。また、その他の報告事項といたしましては、「食品衛生法の一 部改正について」、「ダイエット用健康食品による健康被害事例への対応について」、 「中国産冷凍ほうれんそうの安全性確保体制や中国製健康食品による健康被害問題に対 する中国政府との協議概要について」の3件について報告をいただくことになっており ます。  それでは、本日の議事を進めさせていただきます。議題にございますフェロシアン化 物の指定の可否につきまして審議することになります。  事務局より説明をお願いいたします。 ○ 基準課長  それでは、1番台の資料が沢山ございますが、通して説明させていただきたいと思い ます。  まず、資料1−1を御覧いただきたいと思います。これは、7月12日に私どもがフェ ロシアン化物についてプレス発表したときの資料でございます。中身の経緯につきまし ては、先ほど部長の挨拶の中でも取り上げましたので、今回は資料に沿って簡単に経緯 を申し上げたいと思います。  次のページから参考資料が出ております。資料1−1の2枚目、参考資料の1ページ では、1「食品衛生法上の添加物の取扱い」ということで、指定されたもの以外は食品 に使うことができないということです。いわゆる「ポジティブリスト制」という制度に なっておりまして、指定されたもの以外は食品に使ってはならないことになっておりま す。それから、そういう状況のもとで、日本、米国、EUを、単純には比較できないわ けですが、今ある数字で比較してみますと、このようになっております。日本では、指 定添加物が 339、既存添加物が 489でありまして、米国、EUは数字の上ではこのよう な状況になっております。また、安全性の面で、JECFAという、WHO、FAOの 合同食品添加物専門家会議というものがありまして、ここで評価が終了した品目が約 900あり、その中で日本との重複を見ますと、指定添加物で約 220、既存添加物で約80で ございます。ただ、このJECFAの評価は、1999年9月現在の数字でありますので、 現在では若干違っております。このように、JECFAで評価しているものを全て日本 で認めているわけではないことがわかります。  参考に一番下ですが、食品衛生法の6条で添加物についての指定について規定内容が 示されています。ここでは、人の健康を損なうおそれのない場合として、厚生労働大臣 が審議会の意見を聞いて定める場合を除いては、この添加物を含む食品は、輸入された り使用されたりしてはならないということでありまして、未指定の添加物の流通を禁ず ることになっております。  続いて、参考資料の2ページ目に参ります。添加物の指定につきましては、昭和40年 のガイドラインあるいは平成8年の新ガイドラインが出ておりまして、指定にあたって 提出すべき動物試験の中身とか、そういったものについて説明しており現在まで添加物 の指定は関係企業ほかからの要請に基づき検討する仕組みに運用上はなっております。  また、昭和47年の法改正時の附帯決議がございまして、安全であるだけではなく、消 費者に何らかの利点を与えるものについて指定するということを原則としておりまし て、海外において使用が認められていることのみをもって指定をしてはいない。我が国 の食文化の特性等も踏まえて行っております。後でパブリックコメントでも言及されて おりますが、附帯決議の内容がそこに衆、参両院のものが書かれておりますが、安全性 については、その時々の最高の科学的水準で点検を強化し、使用は極力制限する方向で 措置するという趣旨の衆、参両院からの附帯決議がございます。  フェロシアン化物の経緯につきましては、部長の挨拶のところでありましたので、こ こはご覧いただきたいと思いますが、(4)にありますように、中国だけではなく、非 常に多くの国で塩の中にフェロシアン化物が広く使われているということでありまし て、その塩を使った加工品が日本にかなり輸入されているという実態から、回収等の措 置をとることによって大きな経済的影響が出ることが指摘されました。  7月1日でありますが、日本輸入食品安全推進協会から食品添加物として重要である ということから、指定の要請がなされ、その辺りからいろいろな資料の収集・整理を始 めたわけであります。  最後のページですが、フェロシアン化物は、後ほど要請の中でも出てまいりますが、 食塩が固くなることを防ぐ固結防止剤として使われているということでありますが、日 本においてはこれまで指定されておりませんので、日本では炭酸マグネシウム、リン酸 三カルシウムが塩の固結防止として使うことができる状況になっております。また、J ECFAという、FAO/WHOの専門家会議での安全性評価は、ラットの試験結果を もちまして、一日許容摂取量が0.025mg /kg体重/日となっております。諸外国の取扱い は、先ほど申しましたように、非常に多くの国で使用が認められていることと、注にご ざいますように、コーデックスの方で、フェロシアン化物はどのような食品に使ってい いかということで整理がされておりまして、例えば塩につきましては、20ppm を上限と して、これ以下であれば使ってもよいという国際基準になっております。  もとに戻っていただきまして、資料1−1の1ページ目ですが、そういった背景のも とで、先ほど挨拶の中で説明をさせていただきましたが、安全性については問題がない であろう、また、国際的に広く長く使用されてきている事実があるということでござい ます。次に「現行規制と今後の対応」でございますが、法令上形式的な違反となり、製 品回収等で市場の混乱を招くことがいろいろな状況から予想される。このために、以下 のような是正措置をとるということで、私どもが集めたデータを見る限り、フェロシア ン化物をできるだけ早く、この時点では7月中にということで記者発表させていただき ましたが、審議会の審議を経て指定することができると判断したわけであります。  また、同じような未指定の食品添加物がある場合には、使用実態等も勘案しまして、 指定の方向で要請を待つまでもなく検討をする必要があるという方向性も示させていた だきました。そういう中で、(3)ですが、市場に今あるものについてチェックして、 そういったフェロシアン化物を使っている食塩あるいはその食塩を使用した加工食品に つきましては、まず加工食品については、安全性あるいは混乱の程度を考えて輸入販売 の規制はしない。ただし、食塩そのものにつきましては、こういったものの場合、添加 物表示の義務もある。そういった食塩を使った加工品になりますと、その表示の義務は 生じないこともあり、この取扱いについては区別して、食塩そのものは、指定までの 間、輸入販売の自粛を要請した。こういう経緯でございます。  また、資料1−2を御覧いただきたいと思います。合同部会でも、このような経緯を 説明したわけでありますが、実際にどの程度の影響があるのかを多くの消費者が事前に 承知していないということで、そのような意見が委員からもございまして、部会におい て、問題になるのは塩ですが、塩の輸入がどの程度かということで資料をお配りしまし たので、本日は資料1−2として配らせていただいております。  まず1番のところでありますが、我が国に輸入される加工食品について、その輸入重 量を調べました。また、輸入届に際して、その加工食品の原材料として塩を使ってい る、あるいは、当然塩が含まれている味噌を使っているなど、明らかに塩を原材料とし て明確に届出があったものをその中で調べてみますと、トータルが、加工食品の全輸入 重量が13年速報値で 605万トンでございました。その中で、塩及び味噌ということで、 明らかに塩を原材料としているものが 131万トンでございまして、2割強が明らかに塩 を使っていることがこれで推定されるわけであります。また、材料として記載されてい ないものであっても、やはり2次的、3次的に塩が入っているものもさらにあることが 推定されました。  また、同じ輸入という点で、食塩の輸入状況を見ますと、平成13年の速報値を記して ございますが、トータルで2万 6,000トンの輸入重量がございます。これは、国内で食 塩に精製される原塩を含みませんので、数字の点では少なくなっております。しかし、 その中で、中国からの塩が55%、オーストラリアからの塩が22%となっておりまして、 特に中国の塩のほとんどにはフェロシアン化物が使われていることも一方で分かってま いりました。また、オーストラリアでもフェロシアン化物を使用している塩が多いとい うことでありますので、国内に輸入されている塩についても、フェロシアン化物の塩の 広がりは大きいと考えたわけであります。  2番目に「平成13年度塩需給見通し」と書いてございますが、生活用と業務用に分か れます。生活用は、いわゆる食卓塩。業務用は、いわゆるそれ以外の、直接そのままは 食べないけれども、食品の製造用に用いられるものが約70%。その他のものが残りであ りますけれども、そのような分け方をしております。したがって、食品という形で考え ますと、生活用と業務用の数字の70%が食品として摂取される可能性があります。これ を国内の需給見通しということで、財務省が発表したものであります。国内産、外国産 をそれぞれ分類しておりますが、生活塩については外国産は少ないけれども、業務用に ついては、ある程度のパーセントになっていることが伺えるということであります。  資料1−2の2ページ目につきましては、これは御参考ですが、塩類の輸入量の推移 が、13年の数値は前ページで示しましたが、12年までの推移を書いてございまして、最 近、塩の輸入が増えてきておりまして、特に今年の4月から自由化され、相当な輸入量 になってくることが見込まれます。  以上、経緯及び塩についての輸入等、比率の大きさを御説明させていただきました。  資料1−3からがフェロシアン化物の指定の関連でございます。そういうことで、私 ども、急ぎ要請をしていただきまして、指定に向けての準備をいたしました。それにつ いて、指定はいかがかということの諮問書が資料1−3の2枚目にございますが、7月 11日付けで諮問させていただいております。それから、その諮問を行うに当たっての指 定要請の概要ということで、最後のページに付いてございます。  その要請書を受けまして、食品衛生分科会の毒性・添加物部会合同部会が7月18日に 開かれました。資料1−4でございます。その合同部会の報告ということでまとめさせ ていただきました。7月25日付けで作成されたものであります。要請書についておりま す有効性あるいは安全性その他の資料を、その合同部会で審議をしていただきましてま とめられたものであります。  1枚めくっていただきまして、資料1−4の2ページであります。7月18日に開催さ れたということと、委員の名簿をつけております。  3ページは、「フェロシアン化物の指定について」ということで、検討した内容を整 理して報告書にしております。品目名はフェロシアン化物。これには3つの塩がござい ます。分子式及び分子量、用途は塩の固結防止剤ということであります。4が「起源ま たは発見の経緯及び使用状況等について」であります。このフェロシアン化物が固結防 止効果を示すことは古くから知られており、既に、欧米、オーストラリア等、食塩の固 結防止剤として広く使用されております。FAO/WHOのJECFAにおける安全性 評価では、何回かの評価を経て、今現在の直近の評価が、古うございますが、1974年の 18回会合において、ADIが0.025mg/kg体重/日 と設定されているということでありま す。  米国においては、60年ごろから使用されており、現在の基準では、無水フェロシアン 化ナトリウム換算で13ppm まで添加することが認められております。欧州委員会では、 これもかなり古くから使用されているということでありますが、90年には、欧州委員会 の科学委員会で安全性評価をしておりまして、JECFAと同様にADIを0.025mg/kg 体重/日 と評価した上で、食塩に無水フェロシアン化カリウム換算で20ppm までの添加 が認められております。また、コーデックスにおいても、食品添加物の一般使用基準づ くりが進められておりまして、こういった塩類の食塩等に対する固結防止剤として、4 ページでありますが、フェロシアン化ナトリウム換算で20ppm 以下とする基準が策定さ れているという、このものの現状をまずまとめてございます。  このように、フェロシアン化物は、JECFAでも国際的に安全性評価が行われてお り、欧米諸国で使用されていることから、添加物指定に当たってのガイドラインで求め る安全性を担保する十分な資料がそろっていると思われたこと。フェロシアン化物は海 外においては安全性が確認された食塩の固結防止剤として、その使用が定着している添 加物であること。また、我が国における輸入食品の割合がカロリーベースで約6割と非 常に高くなっている中、食塩という基礎的食材であることから、フェロシアン化物を含 有した食品が相当程度流通していることが想定され、回収等の措置を講じた場合、一時 的にせよ大多数の加工食品が撤去されるなど、大きな影響、混乱が予想されること。そ ういった背景を受けて、今般、厚生労働大臣からの諮問が急ぎなされました。  そういう要請を受け、合同部会として、フェロシアン化物の食品添加物としての指定 につき早急に検討を行ったものであるという合同部会のまとめであります。合同部会に おいては、この取扱いの考え方については理解はするが、国民に対して、なぜ早期に やったかという十分な説明が必要ではないかという御指摘がなされました。  5 の「有効性/必要性について」でございます。食塩の結晶は正六面体結晶である が、食塩の製造段階で塩水にフェロシアン化物を添加して晶析すると、樹状結晶の食塩 ができて、それによって接触面積が減少し固まりにくくなることが広く知られており、 その有効性は確認されております。  さらに、6が最も重要で、私どもも安全性についてどの程度の資料があるかというこ とで、当初、集めながら一番心配したところでありますが、安全性に関する資料として は、1974年のJECFAの報告書。さらにFDAの評価資料。2001年にEU委員会にお ける動物飼料中の食塩の固結防止剤としてのフェロシアン化物について、安全性等の評 価をした報告書。及びそれらの原著文献などが提出されたということであります。  毒性試験についてでありますが、急性毒性試験はラットで行われておりまして、LD 50はこのような数字であったということであります。  5ページ目にまいります。90日間の反復投与毒性試験がございまして、これにつきま しては、原著に当たって評価をしていただきました。 0.5%投与群までの量ですと、 ラットの腎への軽度な障害が認められたということでありまして、0.05%投与群の投与 量が無影響量であるということであります。  さらに、雌雄各4頭のビーグル犬でありますが、そこに示しましたような用量で13週 間、90日間の混餌投与試験が行われております。この結果、いずれの投与群でもフェロ シアン化物に起因する影響は認められなかったというものであります。  慢性毒性・発がん性併合試験が行われました。ウィスター系ラットにフェロシアン化 ナトリウムをここに示す用量で3用量で行われておりまして、 104週から 107週間の混 餌投与試験において、 0.5%投与群のメスで、わずかではあるが有意な体重減少が認め られた。それ以外にいろいろな症状がございますが、ここには書いておりませんけれど も、この実験者のレポートによれば、こういった変化は、いわゆる高齢化といいます か、通常の変化であって、この試験者は、一番高い用量が無影響量という評価を下して おります。また、発がん性については認められなかった。この点については、合同部会 での評価の結果を後ほどに記載しております。  催奇形性試験でございますが、妊娠ラットにフェロシアン化カリウムのエアゾールを 妊娠期間中、継続的に吸入投与した試験が行われておりまして、特に催奇形性は認めら れなかったことが指摘されております。ただ、これは吸入投与であることが議論の対象 になっておりまして、また後ほどその結果を御説明いたします。  変異原性試験ですが、サルモネラを用いた変異原性試験、E.coliP Q35などを用いた SOSクロモテストという試験がなされており、また、フェロシアン化カリウムについ てRecアッセイという変異原性の試験がなされております。いずれも陰性であったとい うことであり、また、フェロシアン化物であることは間違いありませんが、原著に当た れなかったものですから、このほか被験物質の塩種は不明ではあるけれども、ヒトリン パ球を用いた試験、マウスリンフォーマ細胞を用いた試験、いわゆる染色体異常あるい は細胞を用いた試験においても、いずれも陰性であったという報告がECの評価報告の 中で出てまいりました。  また、抗原性試験、皮膚、目の刺激性試験の結果も、簡単ではありますがサマリーが ありまして、いずれも問題がなかったという結論であります。  以上が安全性試験でありますが、さらに(2)、体内動態(主として排泄)試験がな されております。ラットにおける経口投与による体内動態の試験、犬における静脈注射 したものがどのように排泄されるかという試験。7ページにまいりますと、同じく犬の 静脈内投与の試験、ウサギの静脈内投与の試験、また、ヒトに0.55gから6.2g の用量で 静脈内投与の試験、9日から14カ月齢の乳児6例に静脈内投与した試験、健常人の試 験、肝臓・腎障害のある患者を含む被験者に投与した試験ということで、時代が古いも のですから、かなり人を使った試験が代謝試験として多うございますが、こういった試 験がございました。  8ページにまいります。以上、今まで御説明いたしました試験の中身につきまして は、別紙1に試験のタイトルをつけております。これは12ページ以降でありますが、後 ほど御覧いただきたいと思います。そういった試験について、原著あるいはサマリーで チェックいただいたということであります。  合同部会の議論の結果であります。慢性毒性・発がん性併合試験、一部の変異原性試 験、催奇形性試験、またここには書いてありませんが、感作試験も、簡単なデータしか ありませんでしたが、皮膚刺激といったものについては、原著文献等の詳細なデータが 示されていないものの、試験概要は提出されており、基本的な内容の確認は可能であっ た。催奇形性試験において、経口投与ではなく、吸入投与という特殊な条件の試験系に より実施されていたが、24時間吸入し続けるというかなり過酷な投与条件で実施されて おり、より毒性の発現しやすい条件での催奇形性試験であったということで、曝露量的 には問題はないと思われるということであります。  さらに、体内動態試験としては、経口投与による試験成績が少なかったけれども、 フェロシアン化物は数%しか体内に吸収されないと考えられることから、体内の摂取後 の動態を見る面では、むしろ静脈内投与による試験成績が利用できるので評価はでき る。そういったことで議論をしております。  以上のような議論等を踏まえ、今般提出された試験成績をもってフェロシアン化物の 安全性を評価することは十分可能であるとの意見で一致したということで、あとは、A DIの設定をどう考えるかということに進んでまいります。なお、今後、念のため、慢 性毒性・発がん性併合試験、一部の変異原性試験等、原著・論文に当たれなかったもの については、原著文献を入手して、詳細な内容の確認を行う必要がある。また、催奇形 性試験については、問題はないと思うけれども、添加物ですので、経口投与による試験 の実施も必要に応じて検討してはどうかという宿題が出されております。  ただ、その後、慢性毒性・発がん性併合試験ということで、ADIの設定に対しては 一番核となる試験であります。これにつきましては、EUの評価が行われた際にデータ が提出されておりましたが、18日までの段階では、サマリーの部分のみを入手しており ました。その後、実際に試験を行いました実験施設に対して、私どもから直接アプロー チをいたしまして、その結果、一部の毒性部会の先生方には、昨日の朝お届けいたしま したが、ここに示しましたように、 300ページ以上、個表を入れますと 800ページにも なりますが、長期毒性試験の、いわゆるファイナルレポートの詳細を入手することがで きまして、これは後でまた関係の委員から、その中身の結果を御説明いただけることに なっております。そういったことで、一番重要なデータにつきましては、入手して評価 していただいたということでございます。  以上のような、特に安全性についての試験成績の評価をした結果、一日摂取許容量 (ADI)を、まずJECFAについて説明しております。JECFAにおいては、A DIは、90日間のラットの試験を用いて、無毒性量は25mg/kg体重と評価し、90日間投与 ですから、通常、長期投与ですと安全係数は 100をとるところでありますが、 90日投与 ですのでさらに10倍とっておりまして1,000をとっております。従いまして、ADIを0. 025 mg/kgと評価しております。その内容は次に示してあります。  合同部会においては、このADIの妥当性について、以下のとおり確認したというこ とで、9ページでございます。まず、試験対象の妥当性、いわゆる90日のラットの試験 の妥当性でありますが、ラットのみならず一連の毒性試験結果を見ると、主な毒性は腎 臓毒性であると思われる。当該試験においては、腎臓への影響を評価するに当たり、用 量設定も適切であった。また、試験検査項目、解析等も適切に実施されていることか ら、50年代という古い試験成績ではあるが、ADIを評価するに当たり採用し得る試験 であると判断した。  無毒性量についても、原著に当たって、0.05%を無毒性量としておりますが、これは そのとおり確認できた。安全係数につきましても、先ほど説明しましたように、 100で はなく 1,000をとっているということで妥当と思われた。  さらに、毒性所見として観察された腎臓の変化については、ヒトにおける排泄試験に おいても同様に高用量で認められているが、これらの変化は回復するということで可逆 性の変化でもあること。また、腎臓所見以外に、発がん性、変異原性等も含め注目すべ き所見は観察されていないことから、ADIについての評価は妥当であろうということ であります。  さらに、FDAにおいて、かなり昔でありますが、フェロシアン化物が酸性条件下で シアンを生ずるという指摘があることから、FDAがこの点について細かく評価をして おります。その評価資料によると、フェロシアン化物は安定な化合物である。体内にお いてもほとんど分解しない。仮に分解したとしても、食塩の固結防止剤程度の量であれ ば、生成するシアンは微量であり、安全性上の懸念はないと報告されているところであ り、実際に動物実験を行っているわけですが、結果としてシアンによる毒性は認められ ていないことなどから、問題はなかろうという結論であります。  なお、EU委員会の資料についても言及しております。EU委員会では、2001年に、 動物飼料中の食塩の固結防止剤としてフェロシアン化物を評価しております。その評価 によると、ラットにおける2年間の慢性毒性・発がん性併合試験を評価しております。 これによりますと、先ほど申しましたように、試験者は最高用量でも問題ないというこ とでありましたが、EUでは、尿中沈査所見に基づいて、無毒性量は0.005 %( 2.5mg/ kg体重) であると評価しております。さらに、欧州の科学委員会、これは食品の方の委 員会でありますが、このデータに基づき安全係数 100をとって、結果として、JECF Aの評価と同じ0.025mg/kg体重/日 をADIとしているということであります。結果的 には同じになり、適当な評価であると合同部会では考えたということであります。  10ページに参ります。続きまして、ADIが設定された結果、そのADIと一日摂取 量との比較をしております。コーデックスの方で、塩に対しては20ppm という基準を設 定しておりますので、今回、要請者はその20ppm でどうかという形で要請しておりま す。その摂取量とADIの比較をしておりますが、日本において、摂取する塩の中にす べて20ppm フェロシアン化物が含有されているという仮定のもとに計算しますと、そこ に書いてありますが、ADIの20%程度、約5分の1程度と考えられ、十分な安全域が 見込まれるということであります。  使用基準(案)でございますが、今回は急遽の指定でありますので、食塩だけをター ゲットにしております。第2パラですが、その結果、使用基準(案)につきましては、 食塩にあっては、1kgにつき20mg以下でなければならないという使用基準にするという ことで結論を得ております。  10番目は品質成分規格であります。成分規格は、国際的整合性を図るために、JEC FA規格に準じて、当面は別紙2のとおりとするということで、別紙をつけてあります が、「当面」と書いてありますのは、このJECFA規格が1973年に設定されたもので あるため、純度試験にベンジジンという有害試薬とされているものが使われておりま す。この代替法につきまして、私ども今回、その代替法の開発をできるだけ急いだわけ ですが、ちょっと間に合わないということで、これについては早急に切り換えを図るよ うに開発を急ぐということで、部会の結論としてはそのようにさせていただいておりま す。したがって、代替法ができましたら、いま一度諮問をし、この試験方法を変更する ということでございます。  11番の「その他」でございます。これはまた本日も御議論いただきますが、こういっ たフェロシアン化物の取扱いを考える上で、私ども厚生労働省が、「国際的に安全性が 確認され、かつ、汎用されている添加物の今後の取扱いについて(案)」として、その ものをお示しし、検討を行っていただきました。その検討結果を整理させていただいて おります。  合同部会では、我が国においては、これまで添加物については食の安全性確保の観点 から、極力その数を増やさない方針で対処してきたところであるが、食品の多様化、国 際流通化が今後さらに活発化することが予想される中、海外で安全性が確認され、か つ、汎用されている添加物については、その対象範囲を十分精査する必要があるもの の、我が国においても積極的に必要なデータをそろえ、さらに、我が国における食習慣 や添加物の使用状況も勘案しつつ評価していくことが、むしろ食の安全性確保につなが ることにもなるというお考えの意見も出されました。  ただし、添加物については不安を覚える消費者がいることも事実であり、そのような 不安を解消するためにも、今後、添加物を取り巻く現状等について、国として透明かつ わかりやすい情報を引き続き開示していくことが重要であるといった、いわゆるリスク コミュニケーションの重要性を指摘する意見も出されました。また、逆に、我が国での み独自に使用されている添加物についても、その必要性を再確認し、必要性が認められ ないものについては、指定あるいは既存添加物から削除する。一方、必要性が認めら れ、安全性も問題ないものについては、国際的にも認められるよう、我が国として努力 して働きかけていくことも今後必要と考える。こういったいろいろな意見が出されまし た。  これに対しまして事務局からは、今回の取扱案は、安全性に関しては、今日の科学的 水準により問題がないことが確認されているものに限り、さらに国際的な使用実態を見 て、必要と思われる一定の範囲のものについては、要請を待たずに検討を進めようとい うものであって、むやみに添加物の指定を増やそうというものではないなどの考えが説 明されました。  以上のような議論の結果、合同部会としては、厚生労働省がまとめた案につき、その 考え方の基本的なところは了承したということであります。  以上が合同部会からの報告書であります。別紙1は、そのときに議論の対象になった 添付資料であります。13ページまでございます。  それから、14ページが成分規格の案でございまして、先ほどベンジジンと申しました のは、「純度試験」というものがありますが、その(2)のところにフェリシアン化塩 が一定以下であることを示すものとして、ベンジジンが試薬として使われているという ことでの指摘であります。純度試験としては、先ほどFDAの評価を御説明しました が、シアンそのものも純度試験として、一定以下になっていることを純度試験で確認し ようとするものであります。  以上が、資料1−4、合同部会の報告でございます。  時間が長くなって申し訳ありませんが、さらに資料1−5につきまして、あわせて御 議論をいただくために続けさせていただきます。  先ほどの合同部会の「その他」のところで、御議論をいただきましたものが、改めて 分科会の方として御提示し、御議論いただくものであります。「国際的に安全性が確認 され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定についての考え方(案)」でございま す。1つ目の○印は現状についてでありますが、国際流通が頻繁になっていること、カ ロリーベースで6割と非常に高く輸入食品が増えている。一方、欧米で使用されている 添加物と、我が国で指定されている添加物の間に不整合が存在する。そういう状況下の 中で、輸入食品について、国際的には安全性について一定の評価がなされているけれど も、指定されていない添加物が含まれて輸入される可能性が大きいという状況にある。 一方、そのものの安全性、ADIの設定等について見れば、毒性の専門家の科学的評価 でありますので、その科学的評価の結果に国際的な大きな乖離があるとは考えがたいと いう前提に立ちまして、今後の取扱いの基本的考え方として大きく2つに分けて記載し ております。  一つは、香料を除く添加物であります。香料という添加物は、においですのでごく微 量のいろいろな化学物質を調合して使うという点で、一般的に使用量を多く使う一般添 加物とは区別されて国際的にも議論がなされております。したがって、ここでも、香料 を除く添加物についてまず議論しております。対象品目として、以下の条件を満たすも のについては指定の方向で検討していくこととするということで、大きく2つの条件を 掲げております。JECFAで国際的に安全性評価が終了し、一定の範囲で安全性が確 認されているものであり、かつ、米国及びEU諸国で使用が広く認められており、国際 的に必要性が高いことが想定されるものを対象品目として捉え、具体的な品目選定であ りますが、国内で未指定添加物の海外における実態調査等に基づいて、厚生労働省とし て候補リストを作成し、薬事・食品衛生審議会で議論し、具体的な品目を確定する。こ れらの品目に関しては、収集した資料に基づき、審議会にて安全性、品質等に関して個 別に審議するということでありまして、こういうものについて、まずは要請を待つまで もなく重要なものと位置付けて、いろいろな資料の収集等を積極的に図ることをここで 前提として述べております。  次の2ページ目です。では、具体的に指定にかかる審議に当たっての留意点でありま すが、安全性の評価と曝露量評価の2つに分けております。安全性評価については、審 議会で評価確認を行うに当たっては、現在、添付資料の基本をガイドラインとして示し ております。したがって、そのガイドラインに基づくものとする。ただし、長い外国に おける使用経験等、また、個別によっても違うと思いますが、添付資料の範囲に関して は、今でも合理的な理由がある場合には、なくてもよいという取扱いをしております が、そういった取扱いの弾力的な運用を適宜図ることを基本とする。具体的には、JE CFAの報告書をもととし、その原著を積極的に評価対象として受け入れる。さらに、 そのものを文献検索を行った結果、あるいは、米国、EU諸国でその後どのような評価 が行われたのかということも含めて、広く資料を収集し補充するということで、審議会 資料の作成を行うということであります。それに基づいて評価をしていただくというこ とです。  (ロ)の「曝露量評価」ですが、この点においては、まさに各国での食文化の違い、 特に我が国は我が国としての食文化の違いを踏まえまして、その添加物として指定した 場合に、食品ごとの摂取量を日本における摂取量調査をもとに、どのくらい摂取するの かということを調査し、その各食品ごとの添加物の使用基準を設ける。ここでは海外の データをそのまま受け入れられるかどうかということについて、こういった食文化の違 いを反映して考える必要があるということを述べております。  今後の進め方でありますが、今後、未指定添加物に係る調査を行い、安全性、必要性 について積極的に情報を入手し、対象範囲を明確にした上で、評価確認可能なものから 順次指定の検討に着手するという手続で進めさせていただくというのが基本的考え方で あります。  一方、香料についてでありますが、香料についても、そういった安全性、あるいは、 広く使われていることはもちろん前提でございますが、ここで例外的に書いてあります のは、JECFAにおける評価が、一般添加物の場合と異なり、注を見ていただいた方 がよろしいかと思いますが、個々の品目ごとに一連の動物実験データを備えて個別に評 価をするという一般的な、通常の添加物の評価の仕方をしておりません。非常に微量な ものを使うということでありますので、化学構造、代謝等の観点からの類似性というこ とで、一定の類似の構造式を持つものを、トータルとしてグループ分けをして、そのグ ループの中で安全性の評価をする。また、人体中での代謝とか摂取量などを考慮して安 全性評価を行うということで、そういった評価方法を行っているということでありま す。  また上に戻っていただきますが、香料については、我が国では、JECFAでの香料 の評価方法をこれまで検討したことがございませんので、香料についてはリストアップ の前に、まずその方法論の是非について、審議会において検討するというワンステップ が要るということをここで整理させていただきまして、方法論の評価をまず行っていた だきたいということを、ここで申し述べて記載させていただいております。  次の資料1−6でございます。これは、私ども7月12日に記者発表したわけですが、 香料以外の品目でどのくらいあるのかという御質問があり、30品目弱が今のところ想定 されていると申し上げたところ、それでもいいから出せと言われてお出ししたものであ ります。ここにもありますように、これは暫定的調査によって、JECFAで一定の評 価がなされ、あるいは、量を決めるまでもなく安全であるという評価、いわゆる安全性 について問題なしという評価が、古い、新しいは関係なく、そういうものをまずリスト アップし、かつ、国内で未指定のものを選んで、それにアメリカFDAが認め、かつ、 EU委員会が認めているもの、これは注のところに書いてありますが、そういったもの を単に機械的にリストアップしただけでございます。このものが一体どの程度のデータ があるかは全く精査しておりません。そういったもので、香料物質を除いて考えると、 このようなものがあるということで、これは全く参考までにお示しいたしております。  以上が部会においての議論の結果と、そのときにお出しした基本的考え方及び参考資 料であります。  最後に資料1−7がございます。ここまで通して御説明してから御議論いただきたい と思います。  18日に合同部会で、指定の方向で差し支えないという御結論をいただきました。した がいまして、このことにつきまして直ちに、指定の方向でよいということ、使用基準が どうだということも含めまして公表いたしまして、パブリックコメントを求めました。 ここにありますように、期間が非常に短期間で大変申し訳なかったわけでありますが、 25件の意見が出されました。ここに書きましたような団体及び個人であります。  表紙をめくっていただきまして1ページ目から、かなり重複しておりますので、でき るだけ詳細な回答にしておりますけれども、重複した部分は、本日の説明では省かせて いただきます。  まず日本消費者連盟からでありますが、なぜこんなに急ぐのかという点。それから、 こうしたのは業界優先であって消費者優先ではないということで、安全性確保を無視す るような官僚的手続指定であるということ。誰の責任でこういう方針を決めたのかとい う点であります。  まず1番ですが、フェロシアン化物は、先ほどの経緯のところでも御説明いたしまし たが、私どもが集めたいろいろなデータから、いわゆるガイドラインに示す必要な資料 がそろっていると確認しまして審議会での安全性審議が十分可能と判断した。また、安 全性は確認されており、使用実態からみて添加物としての必要性は高く、国際的な必要 性も高いと考えられた。あるいは、加工食品の原材料として、基礎的な材料として塩に 使われる添加物であるということで、こういったものを回収等の措置を講じた場合、極 めて多くの影響、混乱が生ずるということで、決して業界だけではなくて国民の生活面 にも影響を与えることから、混乱を最小限にとどめることが必要と考え、データもある ことから、速やかな指定の手続を進めることを前提として、こういった方針を決定した ということで、これは厚生労働省、厚生労働大臣の責任のもとで方針を決定したという ことであります。  なお、厚生労働省としては、メーカー等からの要請を前提としてこれまでは指定を 行ってきたわけでありますが、一定の範囲の、重要だと考えられるものについては、審 議会の了解を得るわけですが、そういうものは指定の要請を待つことなく、今後は指定 に向けての検討を進めることとしたということで、今後の予定も回答させていただくこ とにしております。  2ページ目です。これも消費者連盟からのコメントですが、米国塩協会の機関紙に、 米国農務省を通じて厚生労働省に働きかけがあったので、フェロシアン化物添加の承認 を求めて了解を得たと書かれているけれども、事実かと。事実でなければ抗議をすべき ではないかということであります。 今回の措置に至る過程において、在京の各国大使館から、フェロシアン化物問題に関し て早急な解決を図るような要望申入れは受けました。さらに、輸入加工食品へ予想され る影響の大きさについて説明を受けたことは事実であります。今回の措置の背景・考え 方は、先ほど説明したとおりであります。したがって、承認を求めてとか、直接働きか けがあったということはございません。  4番。添加物指定に際し、従来どおり急性毒性、慢性毒性、発がん性、催奇形性の試 験データにより安全性の確認を消費者は求める。早急な指定手続の中でそれは確認され たのかということであります。これも先ほど申し上げましたが、指定の審議に際して は、JECFAの評価結果、確かにこれでは90日までの動物試験しかございませんが、 その後のEUの評価報告書、FDAの評価資料及びその原著文献などをもとに議論を 行ったということでありまして、問題なく検討を行ったことを申し上げております。18 日の合同部会においては、これらの安全性データに基づき、問題はないという結論が得 られておりますということで回答させていただくことにしております。  5番目ですが、フェロシアン化物は早急に審議会の審議を経て指定するとあるが、審 議会を開催する前に指定すると決めているのは、審議会は形式的なものなのかと。これ は、軽視ではないかという趣旨であろうと思います。御意見に対する考え方を3ページ に示しております。(1)、(2)、(3)は、先ほど述べたようなフェロシアン化物 の状況を説明しております。厚生労働省としては、指定の要件を満たしていると判断 し、速やかに指定の手続を進めることが適当と判断し、審議会へ諮問することとした と。私どもとしては、指定はできると考えたということを説明しております。実際に も、18日に開催された合同部会において各種試験を見ていただき、問題はないという結 論に、確認的になりますが、そういった結論を得ております。  6番。1972年に食品衛生法改正の附帯決議で、使用は極力制限すると。常時、科学的 水準の最高の水準で点検をするとあるが、この決議をどのように考えているのか、把握 しているのかという御意見であります。1は、そういう決議が求められていることは確 認しております。今回の取扱い方針は、安全性に関しては、今日の科学的水準により問 題がないことが確認されたものに限って検討していくものであって、取扱いに変わりは ありませんが、食品添加物としての必要性について、今日の状況を考えると、いわゆる 取扱いを見直し、要請を待たずに指定の検討を進めようとする点においては、これまで の取扱いを大きく変えていることを申し上げております。ただし、安全性と必要性に関 しては十分な検討を行っていくということであり、むやみに食品添加物の指定を増やし ていくことを考えているものではないということで、決議の趣旨につきましては、それ ほど変更したつもりはないということであります。ただし、手続的に、要請がなくても 行うという点では大きな変化があるということを申し上げております。  日本塩工業会でありますが、毒性試験の点については、既に回答しておりますので、 それと同様であるということ。  それから、世界的にフェロシアン化物の反対運動がある、あるいは、フェロシアン化 物を国内で添加する必要性はない、加工品へのフェロシアン化物も無添加の塩は使用で きる、いわゆる無添加でも問題ないという御意見でございます。そういった世界的に反 対運動があるとの御指摘、あるいは、海外において加工品にはフェロシアン化物無添加 のもので問題はないという御指摘につきましては、私どもが在京各国大使館等を通じて 得た情報、資料からの認識からすると、フェロシアン化物の使用は広く定着しているも のと理解しております。  さらに、フェロシアン化物の必要性がないとの御指摘については、国内では要らない という御指摘については、国内への輸入食品の輸入量増加を考えますと、国際的な観点 も無視できないと考えているということで御理解をいただきたいということでありま す。特にフェロシアン化物についての国民生活への影響を最小限にするとの配慮のもと での今回の審議ということも付け加えさせて進めさせていただいております。  全国消費者団体連合会からでありますが、その他にリストアップされた食品添加物等 を新たに指定する際は、ちゃんと詳細なデータに基づいて行うことと。その他のリスト というのは、多分、先ほどお配りした26品目のリストのことを指していると思われま す。新たに添加物を指定する場合には、従来よりも、海外における評価等も参考にして いますが、その評価をそのまま受けるのではなくて、科学的なデータに基づいてさらに 調査をし、また、使用基準の設定等に当たっては、我が国における食文化等も勘案した 上で行っております。ということで、今後も同様な方針で対処することとしております と答えさせていただきたいと思っております。  2です。新たに指定しようとする食品添加物について、安全性の情報、審議会の審議 状況など、国民にオープンにすること。食品添加物の使用を極力制限するという国会決 議について厳守すること。後者につきましては、先ほどのところでの答弁を御参照と なっておりますが、前者につきましては、これまでも審議状況について、議事録等の情 報をホームページに掲げる等をしてきたところであります。また、今回のものにつきま しても、合同部会の審議資料、分科会での審議資料については、情報公開室に登録して おります。今後とも、より透明かつわかりやすい情報提供に努めてまいりたいと考えて おります。今回も、リスクコミュニケーションのあり方は非常に難しゅうございました が、今後もいろいろ検討していかなければならない課題であることも申し上げたいと 思って思います。  日本生協連組合活動部からであります。安全性審査は安全性データを公開するととも に慎重な検討を行うこと。これにつきましても同様、原則公開としてやっておりますと いうこと。ただし、今回入手した根拠資料のうち、非公表資料については、情報開示に つき試験実施者の賛同を求め、可能な限り開示の努力をしていきたいと申し上げまし た。先ほどお示ししました未公表資料につきましては、直接ラボラトリーから私どもが 頂いております。これについては、利用するというところまでの条件で頂いておりまし て、これを広く公表するというところまでの同意をまだ得ておりません。そのものにつ いては、これからどこまでのものであれば公表していいのか、交渉を続けます。その結 果で、できるだけ開示できるようにしたいということを申し上げております。  2として、フェロシアン化物添加の塩を使用した食品の国内流通の実態を明らかにす ることと。ここでは、先ほどの塩の輸入あるいは輸入食品がどのくらい占めているとか いうことでしか、今のところはお答えできません。具体的な数値を把握することは困難 ですけれども、6割の輸入食品依存度、あるいは、輸入加工食品のうち2割に、先ほど 申しました塩・味噌が原材料として使われていること、あるいは、塩の輸入実態、各国 大使館からのヒアリング状況といったことを掲げさせており、結果として大きな混乱が 想定されるということを説明しております。  3として、その他の指定外添加物についても、海外の規制や使用実態及びこれらを使 用した食品の日本での輸入・流通実態の情報公開を行うことと。今後、どういったもの を優先検討の対象にするかは、先ほどのリストは粗々のものでありまして、これから調 査をしていくわけでありますが、そういう場合には、当然ながら、海外の状況も調べて まいります。そういったものは適宜、必要な時機に、できるだけ情報提供する努力を今 後ともしていきたいと答えております。  4として、食品添加物の指定は極力抑制すること。情報公開、消費者との対話を進 め、指定に当たっては合意形成を図りながら進めていくこと。日本独自の評価基準に基 づき、場合によっては国際基準を変更させるなどの対応を求めることということであり ます。国会決議と関係で、この趣旨の点についてはお答えしていると思われます。た だ、情報公開や消費者の意見の反映、国際基準への日本の主張などについては、今まで 以上に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますということを、お答えさせてい ただきたいと思っております。  7ページの「食品安全行政の抜本改革を求める」ということに関しましては、先生方 も御存じのとおり、BSE問題をはじめ未指定添加物の問題、輸入冷凍ほうれんそうの 残留農薬の問題等を背景として、食の安全性に対する不安が高まっているということ は、極めて残念なことと考えております。抜本的な見直しについては、本年4月2日に まとめられたBSEの委員会報告書において指摘されております。また、6月4日に は、与党「食の安全確保に関するプロジェクトチーム」の提言においても、抜本的な改 正をすべきとの御指摘を受けているところであります。これらの内容も十分に踏まえま して、私どもとしても食品衛生法の全面改正に向けて検討しておりまして、次期通常国 会で改正法案を提出できるように、今後さらに検討を進めてまいりたいという回答でご ざいます。  主婦連合会からは、フェロシアン化物を指定しなければ市場の混乱を招くことが予想 されるとのことだが、その実態を示すことと。これは先ほど既にお答えしているところ を参照していただきたいということであります。また、先ほどのリストですが、約30品 目の食品添加物についてでありますが、安全確認をちゃんと行ってくださいということ に対しても、8ページになりますが、今後積極的に、要請を待たずに行っていくという 方針を打ち出したところでありますが、御指摘の添加物候補として示した26品目につい ては、先ほどの注のところに書いてあるようなものであって、これは今後、さらに検討 するということで、粗々の範囲を示したリストであることを申し上げております。必要 なものは何なのかは、これから検討します。  なお、新たな添加物を指定する場合には、従来より、海外における評価等も参考にし ていますがということで、先ほどの繰り返しになりますが、そのままではなくて、新し いデータも調べ収集していきます。また、使用基準の設定に当たっては、食文化等も勘 案した、いわゆるリスク管理も行っていくということであります。  3番目ですが、欧米で使用されている添加物に対する対応が必要ということであれ ば、欧米で認められておらず、日本では認められ使用されている添加物についても安全 性の確認が必要ではないかということであります。この点につきましては、合同部会に おいても、我が国でのみ独自に使用されている添加物について意見があったことは、先 ほども申し上げました。そういった御意見も出されており、今後検討していきたいとい うことで、今後の検討課題と捉えていることを申し上げております。  それから、一般個人の方々からのコメントであります。国際的に安全性が確認された としても、日本で独自の安全性試験を行うべきという点でありますが、ここは、若干、 私どもも意見があるところであります。食品添加物の指定に当たっての動物実験そのも のは、国内、国外、どこでやろうが適正な条件で行われていれば問題はないのではない かと考えております。したがって、海外のものでも評価が可能であれば問題ないのでは ないかという意見で、私どもとして考え方を示しております。  それから、フェロシアン化物が添加された塩を用いて製造した加工食品について、 フェロシアン化物は、塩から別の食品へということで「キャリーオーバー」と言ってお りますが、キャリーオーバーとなるために、現行、食品衛生法でもその時点で原則とし て表示の対象とならなくなる。消費者が自らの判断で選択できないので、気づかないま ま毎日摂取してしまう可能性があるということで、アレルギーの問題なども含めて心配 であるという御意見であります。  食品添加物についてのADIの設定と使用基準の設定の考え方をまず示しており、 フェロシアン化物についても同様にADIを確認し、我が国の栄養調査から、塩そのも のを食べている量だけではなくて、加工食品も含めて、日本人がどのくらいの塩を摂る かという量を見て、その結果として、フェロシアン化物が最大量使われているとしてA DIを超えないということで使用基準を設定する。そういう方向で今議論が進められて おります。したがって、安全性に問題はないと考えます。また、アレルギーのことを言 われておりますので、動物実験では感作性は認められていませんということをつけ足し ております。  フェロシアン化物の添加方法、使用方法のばらつきが多いということであります。結 果として、安全性が確保できない懸念があるということでありますが、これは、製造す る方々、これを使って塩の固結防止を図ろうとする方々の製造行為であります。した がって、それはそれぞれのメーカーの責任において、当然うまくやるということであり ますが、場合によって、粗悪品が流通するということがわかれば、流通しないような適 切な対応なり指導を行っていきたいということであります。  10ページ。加熱、酸、紫外線など、一定の条件下で容易に分解する。したがって、有 毒なシアンが発生するおそれがあるということで、シアンの指摘であります。ここでは 具体的に、このコメントを出された方は、pH3以下の酸性とし60度以上に加熱した場 合、あるいは、フェロシアン化物水溶液に紫外線を照射すると分解してシアンイオンが 生成してくることを推察させる実験データを紹介していただきました。このような条件 が通常の食品製造あるいは加工調理過程でどの程度起こり得るのかは不明であり、いず れにしても、今回の食塩の最大添加量は20ppm であること、FDAでの安全性に関する 評価資料によれば、 300ppm までシアン化水素を混和したラット試験があって、特に影 響はないということから見ると、量的に見て問題はないと考えております。また、これ までの諸外国の状況を見ましても、問題があったという事例は承知しておりません。と いうことを述べております。  それから、これはかなり細かい話になりますが、生あんの基準がありますが、生あん はシアン化合物が検出されるものであってはならないと規定されております。フェロシ アン化物を使用した食品中のシアン化合物について定められていないという指摘でござ います。生あんについては、シアン化合物を含有する豆類を原料として製造する可能性 があることから、豆以外の、いわゆる天然のシアンが入ることがあるということで、生 あんはそういうものが検出されてはならないという規格が定められているものでありま す。それから、前の問いでも述べたように、諸外国においてフェロシアン化物を添加し た食塩を用い、シアンが出るという発生事例はございませんということで、問題はない と考えますということを伝えております。 加工用に大量に塩を使用する工場などの排水基準について考慮する必要があるという御 意見であります。食塩に添加するフェロシアン化物から発生するシアンを懸念しての御 指摘かと思われますが、シアンに関しては、河川・海域等の公共用水域における定期的 なモニタリングによって監視されており、さらに工場などからの排水についても水質汚 濁防止法に基づき規制がかけられていますということで、要は、その防止対策はできて おります、その中に本品も含まれるものになりますという回答であります。  次に、シアンガステロに使用される危険性があるということでありますが、現在、 フェロシアン化カリウムが工業用として、顔料とか写真用、印刷インキの製造など、広 く別の用途として使用されております。今後、国内でフェロシアン化物を食品添加物と して製造する添加物製造業者及びこの塩を使用する食品業者に対しては、必要であれ ば、そのものの管理の徹底を指導することを考えております。  中国から輸入した食塩の回収にかかった経費等について、補償措置等を考慮していた だきたいということでありますが、今回の措置は安全性の確保を前提として、一時的に せよ回収措置をとることによる国民生活の影響を最小限にすることを優先して行ったと いうことでありまして、そういった点での御理解をお願いするということであります。  パブリックコメントは、新聞等を活用するなど、さらに広く消費者の意見が収集でき るように努めるべきであると。公表方法の一つとして、ホームページの掲載は認められ ているところでありますが、さらに他の方法も活用できないか、検討してまいりたい。  また、ホームページや広報誌などで食品添加物の安全性情報のさらなる公開を望む。 できれば、一般向けと専門家向けに分けて情報発信してほしい。特に許可品目が取り消 された場合などは、そういう説明を十分にしてほしいということであります。リスクコ ミュニケーションの重要性については承知しているところであります。今後、よりよい リスクコミュニケーションの方法について、引き続き検討してまいりたいと考えており ます。  こういった意見でありますが、最後に、フェロシアン化物をごく少量で食塩に使用す るなら認可してもよい。今回の迅速な対応を評価するという意見も、1通ではありまし たが、ございました。  時間を大変使って申し訳ありませんでしたが、以上で説明を終わらせていただきま す。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。  引き続きまして、毒性・添加物合同部会の座長を務められました黒川委員から補足説 明がございましたらお願いいたします。 ○ 黒川委員  今の御説明で十分ですけれども、御指名ですので少しだけ。  資料1−4にございますように、添加物部会の山崎部会長と私とで、7月18日、これ は急遽会議をするということで、6時から始まりまして8時半ごろまで非常に熱心な御 討論をいただきました。今の御説明の中で改めて繰り返す点は、資料1−4の8ページ にある3つのポイントが一番重要かと思われます。つまり、1つは発がん性試験などの データが、詳細なものはなかったのですけれども、基本的な内容の確認は可能であった ということを確かめております。2番目には、催奇形性試験の問題点。3番目として、 経口投与の体内動態試験が不足しているが、ほかのデータが利用できると考えたという ことであります。簡単に申しますとそういうことでありまして、これらの議論を踏まえ て安全性評価は可能であったという結論に達しました。  それから、塩への添加量、使用基準ですけれども、国際基準としての20ppm を採用し た場合、最大限としてもADIの5分の1であるという計算上の安全性が出てきます。 これは10ページの上の方に書いてございますが、そのようなことがポイントでございま した。  詳細なデータがなかったと申し上げましたけれども、その後、事務局が努力なさいま して、慢性毒性・発がん性併合試験、これは先ほどちょっと御紹介があった膨大な量の ものですけれども、それがつい最近手に入って、毒性部会の中でも動物の毒性に関する 先生方でサーベイしていただきました。その結果は、本日お見えの井上委員から説明し ていただけるということでございます。  私からは以上でございます。 ○ 寺田分科会長  それでは、井上委員、よろしくお願いします。 ○ 井上委員  ただいまの御指摘の点について御説明申し上げます。御説明申し上げる前に一言だけ 申し述べたいと思いますことは、毒性・添加物合同部会で討議されたまとめの資料1− 4の4ページにございますように、事務局の方々は、フェロシアン化物が、JECFA でも国際的に安全性評価が行われていて、安全性を担保する十分な添加物指定に当たっ てのガイドラインで求める必要資料がそろっていると思われたということを前提にお進 めになりました。  事務局には事務局のお立場があると思いますが、私ども、JECFAの会議等に参加 して、こういったものを評価している立場の人間としては、当然、こういった資料がそ ろっていると考えておりまして、農薬等でも、FAOとかJMPRといったところで評 価されたものと、私どもが独自に評価する内容がずれることに対して、通常は非常にセ ンシティブに考えております。しかも、それは大変よく一致するものでございます。そ のことは、先ほどの事務局の御説明の中にあった、同じ動物が使われた試験であれば、 どこで行われた試験であっても、若干のずれが発生するとしても、基本的に同じもので ある、同等の評価がなされるものであるということを、我々通常の農薬等の評価等で実 感しておりますので、これはサマリーだけしか例え一時的に見つからなくても、最終的 に最終資料が見つかれば、それは必ず証明されるものであるということを、行政とはま た別の立場から実感しておりました。そのことを一言申し上げておきたいと思います。  その結果、ただいまの黒川先生の御説明にもありましたように、慢性毒性・発がん性 併合試験についての詳細データは、今の御説明にもありましたように、昨日午前中いた だきました。その本文とテーブルについては、1ページ残らず全部目を通しました。そ の結果として基本的に2つの重要な点が確認されました。  全体的にEU委員会で評価された内容が基本的に正しい、そのとおりであるというこ とであります。何ゆえこう申し上げたいかと申しますと、ただいま申し上げている資料 と同じ資料ですけれども、これの5ページ、(ウ)に「慢性毒性/発がん性併合試験」 というものがあります。ここでは、一番下の行に「本剤投与に起因する変化は観察され なかった。」となっております。  この点は、その後ろの方のEU委員会の評価における、9ページの下から2パラ目 (第2パラグラフ)の「なお、EU委員会では」というところとの評価内容と違ってお ります。ここでの評価内容は、尿中沈査所見(urinary cell excretion)に細胞が出て おりまして、そのことは、腎臓におけるそれなりの影響を反映しているものと考えられ るわけですけれども、その所見に基づきますと、それが0.5 %と0.05%のところで観察 されますので、したがって、ここでの無毒性量を0.005 %にEU委員会では結論づけた わけでありますが、この表記と先ほどの表記は乖離があります。この乖離は本文により ますと試薬に基づく影響は観察されなかったという結論が書いてあるのですけれども、 その詳細な表を検討いたしますと、結論をそのままではなく、EU委員会がこうした表 の内容を個々に評価して一つ一つのテーブルの結果に基づいて、無毒性量を0.005%に定 めたことがうかがわれました。  しかしながら、これは2年間試験ですので、安全係数は 100をとる考え方に私どもは 沿っておりまして、それに基づいて出た結果が、既に事務局が御説明になった、90日間 毒性試験の結果と、結果としては全く同じであったということですので、そのことは、 こうした幾つかの重層的な試験が行われた結果の高い信憑性を示すものであろうと考え ております。  そのほか、この2年間の慢性毒性試験が行われております。そこでは、オス・メスの 生殖器に関する病理組織学的試験も行われております。生殖発生毒性についての問題点 が先ほど指摘されましたけれども、これについて、精巣においても卵巣においても全く 変化がないことが、各途中経過段階を含めて病理組織学的な記載がなされております。 話は医薬品の安全性に関する国際的なハーモナイゼーションの会議、ICHの話になります が、このICHでの黒川先生がかつて指導された国際共同実験でも、生殖発生毒性試験より も、場合によっては、こうした生殖器に関する病理組織学的な検査の方が、より正確で さえあると確認されていることに基づきますと、今回の結果は、これで安全性が担保さ れるものであると考えられます。  今、2点申し上げましたけれども、重要な点は、そういった点を骨子として、基本的 にEU委員会のサマリーに沿った内容であったということを御報告申し上げます。  以上でございます。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。  それでは、ただいま事務局より説明がありました2つの事項ですが、まずフェロシア ン化物の食品添加物としての指定の可否に関しまして、御質問、御意見をどうぞ。もう 1つの方の、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定に ついての考え方は、それはまたいろいろな問題があるかもわかりませんので後にしたい と思います。まず、こちら側の問題について、合同部会の先生方の御説明を含めまし て、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。 ○ 村上委員  科学的なことを十分に御検討なさったことは、今までの報告でよくわかりました。そ こで、合同部会の報告書の中にも、再三でてきましたけれども、科学の枠を越えたリス クコミュニケーションといいますか、情報が今回のケースは非常に重要な役割を持つよ うに思うので、要望を少しだけ申し上げたいと思います。  リスクコミュニケーションが今回は試されるケースではないかと思います。食品添加 物は、消費者にとって、食品への不安の断然トップをいつもいくものです。それは、科 学的なリスクの大小とはかなり乖離していて、情報といいますか、科学を離れたところ の問題も非常に大きいからです。特に今回の場合は、今までの国の添加物を増やすまい とした姿勢が、 180度変わったように思われる。そういうことに対する疑惑。もう1つ は、今回消費者は、輸入食品の安全性チェックが万全ではなかった、と知った、その ショック。その2つに対する十分な説明というか、情報が必要ではないか。  疑惑の方は、国際ハーモナイゼーションの方を先に向いていて、安全性は後回しでは ないかという、これは疑問というか心配でございますけれども、そうではないというこ と。それから、今までの手続を曲げてしまうのではなくて、それを満たして、かつ、国 際的な問題も網羅するということ。そして、国の独自性、日本で自立的にこれは安全だ と判断したそのあたりをはっきりさせることが大事かと思います。  もう1つの疑惑は、食生活を混乱させないために回収の回避をということですが、や はり業者のためではないかという疑問が出るわけです。実際にこれを認可しなかった場 合に予想される混乱の大きさが、単なる業者保護の問題ではなくて、もっと大きな問題 であるというあたりのことなども、少し具体的に、予想される混乱の度合いをはっきり させた方がいいのではないかということ。  それから、先ほど、ショックと申し上げたのは、今回、輸入食品から発見された問題 物質が、たまたま安全性が確かめられていたものだったので、一件落着のようですけれ ども、ここで私どもがショックを受けたのは、今実際に輸入されている食品の中身の安 全性を、国は十分把握できていなかったことを露呈したと思えたからです。今実際に輸 入されて、私どもが口にしているものの中身について、安全の保障がなかったというこ の衝撃をどうしてくれるのかという気持ちも強うございます。やはりこれを機会に、 100%の安全の保障を国がすることはとても難しいことで、非現実的ですけれども、最小 限度の安全性を保障することを、国なりしかるべき機関で、制度的にも固めた方がいい のではないかと思いますので、この2つを申し上げます。 ○ 寺田分科会長  御意見は、私もごもっともなところが沢山あると思いますが、事務局から何かござい ますか。 ○ 基準課長  今、先生がおっしゃられたようなことも意識して、私は先ほど丁寧に説明したつもり でございまして、誤解を受けているような部分、これまで私どもは中で、どのようにす べきか相当悩んで、このような対応をしました。したがって、その過程を十分に説明す ることができていなくて結果が外に出たという意味で、これからもどんどん増やしてい くのかという誤解を与えたりしたことに対しては反省しなければならないと思っており ます。  今日のパブリックコメントに対する回答を通じて、例えば業者寄りではないかという 点について、それだけではなくて、これだけの大きな混乱があるという面で、今日は、 十分かどうかわかりませんが、塩の輸入量とかそういったもの、これも一切事前には表 には出ていなかったものであります。したがって、そういうものを使って、これからも できるだけの情報をお示ししながら、要は、少しでも納得していただけるような情報開 示をしていかなければならないと思っております。  ただ、このケースもそうですが、リスクコミュニケーションというものをどのように 末端の方々まで届けられるかという点については、これからも、そのやり方につきまし て検討していかなければならないと思っております。 ○ 小沢委員  合同部会のときに出席させていただきましたので、科学的な評価の専門家ではない立 場から、今、村上先生がおっしゃってくださったようなことはいろいろ伺いました。そ のことはこの部会の報告にはかなり丁寧には盛り込まれているなとは思うのですが、そ のときに伺いそびれたことが1つあります。  実は、お塩のフェロシアン化物については、私が最初に耳にしたときに、日本の塩は 海から採れて、ヨードがそれなりに天然で入っている。ところが、今回、このフェロシ アン化物が添加されているような、主に岩塩を中心とするような国に暮らしている人は 海のそばにはおりませんので、必然的にヨードを添加することが義務づけられていると ころもある。中国などは、ヨードの添加が義務づけられていると聞きました。  今回、たまたまこの場では焦点が当たっておりませんけれども、ヨード自体は食品添 加物としての指定がありません。恐らく、対象となる輸入されている岩塩経由の塩につ いてはヨードが入っている可能性が非常に高い。そうすると、おのずと加工食品などに 入っているヨードの問題も、やはり同じように指定していない添加物として入っている 可能性が非常に高いのではないか。そうすると、取扱いは一体どうなるのだろうかとい うことを、合同部会でも全く検討してございませんでしたので、その辺について伺いた いと思います。 ○ 基準課長  今日の産経新聞にもそのことが触れられていたと思います。私どもは今回、塩の問題 を6月下旬あたりからずっと検討してきておりまして、フェロシアン化物の問題とし て、各国からの影響に対していろいろな要望がございました。そういう中では、特に ヨードの問題につきましては私どもは聞いていなかったものですから、ヨードがどの程 度海外で使用されているかという点については、現時点では詳細は承知しておりませ ん。したがって、海外における使用実態、使用の規制状況とか、そういったものを調査 する必要があると思っております。  ただ、ヨードとフェロシアン化物では目的が全然違うわけでございまして、フェロシ アン化物は基本的に食塩が固まるのを防ぐために入れているもの、ヨードは、いわゆる 栄養素としてのヨウ素欠乏の状況を、食品を通じて何らかの形で添加することによって 欠乏症を防ぐという目的を持ったものであります。そういう点では目的が違うのかなと いうこと。それから、ヨードの欠乏状態にある食生活のある地域において、ヨードの添 加がなされていて、すべからく固結防止の場合と同様に使われているものなのかどうな のか、その辺のところが、ある一定の地域ではどうしても必要という部分はわかります が、全体であるかどうか、ヨーロッパも含めてどうなのかという点については承知して いないこともあり、この点については今後どのようにすべきなのか、影響等はどうなの かということを検討していかなければならないと思っております。  ただ、ヨードについては、日本人で言えば、ヨードの摂取は通常の食生活の中で十分 に摂っているということもありますし、そういった点から、ヨードの塩への添加が日本 として必要なのかどうなのかという点とあわせて、加工食品の中に入ってしまっている 状況がどうなのかということも含めて、これは検討しなければいけないと思っておりま す。その点は、今日の段階ではどうですということは言えないのですけれども、考えて いかなければならない問題だと思っております。 ○ 食品保健部長  基本的には、今、基準課長から説明したとおりでございますが、例えばそれぞれの国 がヨードを添加しているという、言葉上、添加していることは事実でしょうけれども、 添加物として扱っているのかどうかということもよく調べなければいけないと思ってお ります。それと、御存じだと思いますが、WHOは、大陸部と申しますか、海に接して いないような国では、ヨードを摂取することを推奨している。これまでもそういう運動 をしているわけでありまして、そういった国々がどの程度混ぜているのか、添加してい るのかということは調べなければいけないと思っております。  いずれにしても、世界的にどの程度、どういうところに使われているのか。それと、 我が国に入ってくるものについて、こういったものがどの程度あるのか。私どもが検疫 の方で確認いたしましたら、検疫の方では、書類上、ヨード添加塩と明記されているも のについては、それは食品衛生法上違反になりますからということで輸入を止めたと。 いわゆる廃棄なり積戻しの措置をとったケースはこれまでにございます。そういうこと も実際にございますが、それでは、そういうものをくぐり抜けて入ってきているものが ないかといいますと、そこの実態はよくわからないと。そういうことも含めて、私ども 早急に調べさせていただきたいと思います。その上で、どう対応するのがいいのかとい うこともあわせて整理をさせていただきたいと思っております。 ○ 和田委員  私どもは、今日の資料に加えさせていただきました申入れ書を出しておりまして、こ の点につきましても、例えば1番の、どの程度の市場の混乱があるのかということは、 今、資料としてお示しいただいております。これを見ておりますと、非常に広い範囲 で、しかも大変多くの国で使われていて、加工されたものが入っているという実態を見 ますと、逆に、どうして今日までわからなかったのだろうかということが、どうしても 理解できないんです。  今日、急にここまで増えたものではなくて、相当前から使われていた実態があり、輸 入されていた実態があると思いますので、もっと早く、同じ対応をするにしても、対応 がとられていれば、このように急いでやるという事態を避けることができたのではない かと考えております。  今日の御説明ですと、日本での企業での分析によって初めてわかったということです けれども、どうしてこれだけ、塩ないしは味噌を使ったものが総輸入重量の2割を超し たもの、これは塩と味噌だけですから、もっと増えているだろうと思います。そうする と、今これだけ情報が国際的に十分に行き来しており、しかも、それぞれの国の大使館 に厚労省の方も出向していらっしゃる状況の中で、なぜ今日までこの事態が全然わから なかったのか、その辺のところがどうしても理解できません。それが1点です。  もう1つは、これだけ使われているので、食品衛生法違反だということでそのまま実 行すると大変混乱するという御説明がありましたけれども、昨年からのBSE問題など も含めて、食べ物に対する不安が大変大きくなっているときに、一般の消費者にとって は、食品添加物に対する方針が変わったという端的な受け止め方をせざるを得ないよう な状況になりますと、そこの不安もこれまた計り知れないものがあると申し上げておき たいと思います。  それと、私どもが食品添加物に対して、できるだけ使用を制限していくことにつきま しては、個々の添加物もそうですけれども、一般の消費者が一番不安を覚えております のは、これは添加物だけではなくて、農薬もあり、いろいろな化学物質について、複合 して私たちが摂取することに対する不安を非常に大きく感じております。その点が、今 回、方針がある程度変わったと言わざるを得ないと思うのですけれども、その点につい て、複合摂取についてはどのようなお考えを国として持っていらっしゃるのか伺いたい と思います。  それから、私どもは、3点目の質問として、日本で認められているもので、他の国で は認められていない、あるいは、安全性について疑問があると言われているものについ て、ぜひ対応が必要だと言っておりますことに対して御説明がありますけれども、これ は、必要性を再確認して、必要性が認められないものについては削除する。一方、必要 性が認められ、安全性も問題がないものについては、国際的にも認められるよう努力し て働きかけていくことも検討していく必要があると言われておりますけれども、それよ りも前に、安全性について、よその国で問題があるとされているものについて、ぜひ急 いで対応していただきたい。そうでないと、消費者にとりましては、国際平準化という ことがどうしても納得できないということを申し上げておきたいと思います。  もう1点は質問です。今日の資料1−1の1ページ、真ん中辺に、1として添加物に 対する国際比較で、JECFAで評価が終了したものが 900。日本との重複というの は、日本でも認めているということだと思います。これが 300となっておりまして、先 ほどの質問と重なりますが、日本で指定しているものはすべてJECFAが評価が終了 しているのかどうか。その点を質問したいと思います。  以上です。 ○ 食品保健部長  最後の数の問題については基準課長から御説明申し上げますが、最初の御質問には私 からお答え申し上げます。  1点目の、今まで気づかなかったのかという御質問につきましては、そういう御指摘 を受け、私ども誠に、そういう認識がなかったことは事実でございます。今回、私だけ をいいましても、昨年1月に食品保健部長になったわけでございますが、そのとき以 来、今回の塩の関係が表面化、その問題が出てくる中で、それ以前には添加物の問題 が、こういったことがあるという認識が私はありませんでした。非常に恥ずべきことで ありますが、そういう認識がなかったのは事実でございます。恐らく、過去に、個人個 人を見れば、そういうことをお考えになった方がいるかもしれませんけれども、行政の 組織として、見直そう、そういう方向性について検討すべきではないかという議論を、 審議会なりにお諮りすることが過去にはなかったことも事実でございます。  それは恐らく、私、個人的にこの添加物の関係、今回のケースからさかのぼって考え てみますと、先ほどからお話がございますように、添加物というのは化学物質ですから できるだけ控えるにこしたことはないというのは、厳然たる事実だと思います。そうい う方向でいいだろうと思いますが、そういった中で、世の中が、時間が経過し、こう いった国際化になり、あるいは、国際的な動きがコーデックスなどであることなどを頭 に置いた上で、日本がそういった中で従来どおりの考え方でいいのかどうかということ は、ある時期には行政として気づくべき話であったことはそのとおりだろうと思いま す。そういうことをきちんと議論していただくようなことを行政としてしなかった、あ るいは、そういう認識がなかったことは責められても仕方のないことだというのが、私 の正直な気持ちでございます。  ですから、今回、こういう件に私どもあたりまして、過去の考え方にとらわれていい のかどうかというところが、今回の私ども、大臣までの議論の大きなポイントでござい ました。そういう中で、本当に今後のことを考えた場合にどう対応すべきかということ で、今日御説明したような資料1の方針を、厚生労働省としてとるべきであると決定し たということでございます。そこのところは御理解いただきたいと思います。  複合の影響について、どうかと言われますが、そこのところはわからないというのが 正直なところでございます。そういった研究がうまくできるのかどうかということもご ざいますが、そういったところはまた御専門の先生方の意見も聞きながら、どういった 対応あるいは研究が可能かということは御相談したいと思いますけれども、今のとこ ろ、専門家の方でも、そういったところについてきちんとはおわかりになっているわけ でもないでしょうし、十分な研究がなされているものではないというのが私どもの認識 でございます。  それと、安全性に疑問があるという御指摘がございました。日本で指定されているけ れども、外国では指定されていないと。添加物の中で、既存添加物も含めてそういった 御議論のあるところ、あるいは、評価を見直すところは、私ども順次手をつけていると ころでございます。特にデータ的に海外で問題があるということ、あるいは、国会でそ ういう御指摘があったような添加物については、必要であればきちんとデータを集め る、あるいは試験をしていただく、そういうこともやっていくことにしておりますし、 そういう意味では、今、和田委員がおっしゃったような、問題がある添加物というのは 具体的に何をお指しになっているのかというところがございますけれども、もし、具体 的なものがあれば、おっしゃっていただければ、私どももきちんと、まずどういう評価 がなされているのか、そういった上で見直しの必要があるかどうかというところは取り 組みたいと思っております。  最後の話は基準課長からお答え申し上げます。 ○ 基準課長  資料1−1の参考資料のところでございますが、ここは、先ほどもちょっと御説明し たつもりだったわけですが、JECFAで1999年9月の時点で 900のものを評価してお ります。評価が終了したものと日本との重複のところでありますが、指定添加物につい て言いますと、 900の中で、我が国で指定されているものが約 220。したがって、残り はJECFAでのみ評価を終了しているということでございます。 ○ 小沢委員  今、尾嵜部長がお答えくださってはいるのですが、実は、外国の指定状況と日本の指 定状況の乖離に気づくチャンスはいろいろあったと思います。実は、1993年にも一挙に 7品目の指定があって、そのときは減らしたものもあったのですが、そのときにも、 コーデックスの従来のランクでA1リストといったものが 124あるということで、その ときにも日本とのギャップに当然気づいてしかるべきで、むしろそういうことは厚生省 の御担当の方がおっしゃっているわけです。ですから、抜本的な仕組みのところで、そ ういうことがきちんと積み重なっていかないというか、仕組みなっていない部分がある のではないか。御担当も当然しょっちゅう代わられますし、むしろ、端からいろいろ見 させていただいている消費者団体の方がそういうことの状況をよく把握しているという ことも、冗談ではなくあるわけです。その辺の仕組み、あるいは、外国の場合でもきち んとリストアップして、そういうことをウォッチングしている仕組みはあるはずなの で、その辺の仕組みについて、もっと国が責任を持つ形で仕組み自体を見直す必要があ ると思っております。 ○ 食品保健部長  そのとおりだと思いますし、私が申し上げたのは、数の相違といいましょうか、コー デックスと差があるというところは、確かに担当レベルなり担当課長もそうでしょう し、そういう数字の差について認識することは当然過去にもあるし、現在でもあったと 思います。ただし、それを、我が国に実際に輸入される食品、日本国内で販売される食 品の中で、それをどう整理していかなければいけないかというところまでのことを考 え、問題提起し、議論するという形になっていなかった、結果的にはそういう形できて いたということを私は申したわけでございます。ですから、差について全く認識してい なかったかといいますと、数字的な認識はあったかもしれませんが、それが、今回のよ うなことが出てきた際に、そういう問題でどう対処すべきか、あるいは、どう考えるべ きかというところの議論が初めて中でされたということであろうと、私は認識をしてい るわけでございます。 ○ 寺田分科会長  ほかにございませんか。  今、和田委員が言われたこと、いろいろな説明のところで、申請主義になっている、 あるいは、受け身でやっているというところで、そういう立場から言いますと、この食 品衛生審議会の食品衛生分科会の委員の先生方も含めて物事を受け身でやって、諮問さ れたものに対して答えを出すという立場で、反省すべきところは随分あると思います。 だから、こういうことは私どもも認識して、受け身ではなく問題提起をしていくことが 大切だと思います。こういうことだけではなくて、一番大事な食品を扱っているところ ですから、それは実際に具体化して問題提起したものが解決できるかどうかは別にして も、問題を出すような態度が本当に必要だとつくづく感じております。  だからといって、それが今から解決できるものではありませんが、先ほど村上委員が 言われた、幸いと言ってはおかしいですが、今回、入っていることがわかったものが、 一応国際的に安全だと認められたものであるから良かったと思います。しかし、そうで ないものがあることがまだ残っていますから、その次段階として、ぜひ、これからどの ようにするかということを考えていかなければいけないですね。大変ですけど。  何か御意見がございますか。さきほどのフェロシアン化カルシウム、ナトリウム、カ リウムの話で。  塩はいつごろから輸入がされていますか。年次的なことがありませんね。要するに、 国内産はこれだけあって、輸入はこれだけありますと。例えば、20年前から、中国はな かったかもしれませんが、オーストラリアなどはどうであったか。添加物が入っている ものがその時代から随分あったのかどうかということ。どのようなものでしょうか。 ○ 基準課長  加工品になりますと推察はなかなか難しいのですが、資料1−2の2ページ目で、参 考までに私が申し上げた表ですが、塩そのものは専売品でございまして、過去は輸入は ほとんどありませんでした。それが、枠を作りまして、例えば平成8年と平成12年を比 べますと、輸入量に大きな違いがございます。したがって、塩そのものについていえ ば、そんなに昔から輸入食塩が入っていたわけではないと考えられます。これは、輸入 届から持ってきている資料だと思います。  ただ、加工品、外国での塩を使って加工したものがいつからかとなりますと、何とも 言えないところであります。もちろん、加工食品で届出があって、加工食品でも塩を 使っていて、その塩の中にフェロシアン化物も入っているという届出があるものも過去 にありまして、そういうものに対しては、チェックして、送り返すとか廃棄処分になっ たという事例も追っていけばありますので、それをずっと追っていけばいつごろからと いうことがわかると思いますけれども、加工食品そのものについては、ちょっとわかり かねます。 ○ 寺田分科会長  ほかに何かございますか。 ○ 柳川委員  資料1−4の10ページのところの一日摂取量についてお伺いしたいのですが、国民栄 養調査によりますと食塩摂取量は平均12.3gということですけれども、実際にはかなり ばらつきがありまして、50歳台の男性ですと15g近く摂っております。標準偏差が6g とかそのくらいありますので、20g以上摂っている方もかなりいらっしゃるわけです。 ここで、フェロシアン化物の最大摂取推定量は、摂取許容量の約5分の1程度と書いて ございますが、このようなことを勘案しても、やはり十分な安全域が見込まれると考え ていいのかどうか。その辺について御意見をいただければと思います。 ○ 基準課長  その点では、これは平均的なものとしてやっておりますが、要請書について見ます と、いわゆる90パーセントタイル値も含めております。最高でというのは例外的なもの がありますけれども、90パーセントタイルのところでの摂取量をみて検討しておりまし て、その場合は、かなり入っているという前提のもとに、平均ではなくて、多く食べて いる人でも3分の1の量になっていることを確認しておりまして、トータルとして問題 ないと考えております。 ○ 寺田分科会長  合同部会で細かいことになりますが、腎臓への毒性というか、重量が増えるとかタン パク尿が出るとか、それについて、メカニズムとかはわかりませんか。ほとんどが経口 投与で便に出ますね。 ○ 井上委員  あいにくと、正確なメカニスティックな背景については解明できておりません。 ○ 寺田分科会長  ほかにございませんか。  このフェロシアン化物の食品添加物に関しての意見は、ある程度出尽くしたという か、意見がないようでしたら、ここで、分科会としてこれを了承したいと思いますが、 その他に何かございますか。 ○ 井上委員 1点補足させてください。  背景が解明されていない理由は、病理所見が余り認められていないんです。それが原 因です。わかっていないという意味ではございません。 ○ 寺田分科会長  ほかにございませんか。  それでは、このフェロシアン化物の食品添加物としての指定の可否については、分科 会としてこれを了承いたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。           (「賛成」、「異議ありません」と声あり) ○ 寺田分科会長  では、報告書を整理して分科会の報告といたします。  それでは、薬事・食品衛生審議会第3条の規定に基づいて、分科会の議決をもって審 議会の議決とし、厚生労働大臣あてに答申いたしたいと思います。  答申書(案)はございますか。 ○ 事務局 ございます。ただいまから配付させていただきます。                (答申書(案)配付) ○ 事務局  それでは、答申書(案)を読み上げさせていただきます。  薬事・食品衛生審議会内山会長から坂口厚生労働大臣あての答申書(案)でございま す。  平成14年7月11日付厚生労働省発食第0711005 号をもって諮問のあった食品添加物の 指定については、下記のとおり答申する。  記。フェロシアン化物(フェロシアン化カリウム、フェロシアン化カルシウム及び フェロシアン化ナトリウム)については、人の健康を損なうおそれはないことから、食 品添加物として指定することは、差し支えない。なお、指定に当たっては、別添1のと おり使用基準及び成分規格を設定することが適当である。  別添につきましては省略させていただきますが、使用基準と成分規格を設定するとい うことでつけさせていただいております。  以上でございます。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。それでは、今後の取扱いはどうなりますか。 ○ 基準課長  答申をいただきましたので、事務手続に入らせていただきます。私ども、今回のケー スはできるだけ早急にということで御審議いただきまして、大変ありがとうございまし た。したがいまして、できるだけ早く、今のところ、8月の初めに指定をすることで準 備を進めておりますので、そのようにさせていただきたいと思っております。 ○ 寺田分科会長  ということで、「答申(案)」の「(案)」を取らせていただいて結構でございます か。 ○ 和田委員  こういうことができるのかどうかわかりませんけれども、「記」のところの4行は、 これで適当というか、やむを得ないというか、認証いたしますけれども、ここへ、先ほ どからいろいろ発言がありました、例えばここに至った経緯が、私はどうしても、行政 のやり方として十分ではなかった、あるいは、コミュニケーションのとり方として不十 分であったと。どういう文章になるのかわかりませんけれども、そういう文章を入れる ことは、この答申の中ではできないことでしょうか。 ○ 寺田分科会長  いかがでしょうか。 ○ 食品保健部長  審議会として御意見があったということで、それをこの中で付記されることについて は、それは審議会の御意見でございますので、そういうことをしてはならないというこ とはございません。 ○ 寺田分科会長 ただいまの御意見について、いかがでございましょうか。 ○ 小沢委員  そういうことが可能であるということでしたら、ぜひこの間の経緯というか、先ほど 和田委員からもお出しされている中身を、今後のためにもぜひ触れていただきたいと思 います。 ○ 寺田分科会長  ほかにいかがでございますか。 ○ 小林委員  和田委員の御意見もわかるのですけれども、実際には、御質問もされ、文書も出さ れ、部長もきちんと答えられて、発見できなかったことは残念であったということも表 明をされているわけですから、また、公開されていますし、議事録も残ることですか ら、私は、そこまで答申書に書く必要はないのではないかと思っております。 ○ 寺田分科会長  ほかに御意見ございませんでしょうか。この分科会としての意見になりますから。 ○ 井上委員  先ほど、農薬の例を引いて、FAOとかJMPRの話をいたしましたけれども、私の 受けます印象は、先ほども分科会長がおっしゃいましたように、現在の行政のシステム が、申請に基づいて、それを許可するとか、申請がなければそれがそのままになると か、そういうようなシステムで、しかも、例えばこの添加物について申しますと、増や さないという国会決議に縛られている状況があると、当然、それを調査する予算措置な ども削られるでしょうし、そういうことで、行政のこれまでの経過の中の詳細はもちろ んわからないのですが、どうも今のシステムで、そういうことをここで決議することに よって事態が改善するとはとても思えないんです。  私は、今回の方針転換は、ある意味では、実態との乖離を認識して、本当に問題にな る可能性があるものに直ちに、ある意味では予算措置を含めて、申請を待たずして チェックしていくような、方針転換という意味では、国民の健康という観点からすると 大英断だという印象を受けております。もちろん、これまでのことに対して、それなり のことがわかることも大事だと思いますが、私は、そちらのポイントに強い印象を受け ておりますので、いかがなものかというのが私の意見でございます。 ○ 寺田分科会長  ここに書くか書かないかということと、これをどう受けとめるかということと、また それぞれの立場があると思います。大事なことは、今、委員が言われたことはみんな同 じだと思いますが、安全に対して、国として、この審議会として、内閣府にも食の安全 委員会などが検討されておりますけれども、本当にこういういろいろなことが出てきて いるときですから、真剣になって、もちろん真剣になっていますけど、物事を、受け身 ではなくて、こういう問題があるのではないかということを、プロスペクティブにいろ いろなことを考えていかないと、結果としては、ここの問題も含めて無作為の行政の罪 ということもあります。そういうことは議事録にきちんと書きとめて、私自身として は、答申にそこまで書き込むことはないような感じがします。もちろん、私は委員長の 立場ですから、委員の皆さんの御意見がどうか是非お聞きしたいと思います。  ここにまで書き込まなくても、今ここでいろいろ議論されたことは、いろいろな場で 言われていると思います。バイオテクノロジーとかそういうことは、これからいろいろ なところで重要だといっても、それが本当にマーケットバリューとして国民に還元する ためには安全というキーを通さなければいけない。しかし、その場合には、全体とし て、国としての安全を守る組織、そういうことがものすごく必要だと思います。だか ら、そこまで踏み込むようなことがこれからは求められるのではないかと考えておりま す。居直っているとかそういうことではなくて、日本は日本なりのやり方がありますけ れども、FDAには1万人の国家公務員がいて、アメリカは国民の健康を軍隊として 守っているわけです。それから、CDCは 8,000人いる。数が多ければいいということ ではなくて、意識の問題です。ヨーロッパはヨーロッパで別のやり方がありますけれど も、日本は、食品はこれだけ輸入に頼っていて安全性の問題はより重要です。ですの で、ある自治体から話が出てきたというのが、たまたまこれだったから良かったけれど も、そうでなくて全然データがないものだと、逆にもっと危ないものだとしたらパニッ ク状態になりますね。その可能性もなきにしもあらずです。ですから、そういうことも 含めて組織をどのようにするのか、日本全体としての組織をどうするのか、ぜひ真剣に 考える必要があると思います。  それとは別に、この答申へ書き込むのはちょっとというのが私の意見ですが、いかが なものかということであります。 ○ 山崎委員  添加物の部会長を仰せつかっている立場から一言申し上げたいと思います。部長、課 長からの御発言もあって、先生方も御理解いただけたと思いますが、添加物の承認審査 に関しましては、まず第1に、昭和47年の国会の附帯決議があって、添加物は増やして いかないことが基本的な前提になっております。それから、申請に基づいて承認審査を するということも今までございました。  一方で、国際情勢がかなり変化してまいりまして、今までの御説明の中にもありまし たように、60%を超える輸入食品があり、その中の加工食品の中で、たまたま今回は生 活に不可欠な塩という問題がありましたので、この問題が大きな動機になったというこ とがございます。合同部会でも、幸か不幸か夜の会議になったものですから、ほとんど の委員が出席して、かなり真剣に検討されました。その中で、今後、未指定添加物で国 際的に使われているようなものをどうしようかということが、先生方の御発言の中にそ ういうことに関連する御発言もございましたけれども、それについても検討されまし て、今後は、厚生労働省の立場としても、そのような国際的なデータをどんどん取り入 れて、それでデータをそろえて申請を待たずにやっていこうという方針もそこで同意さ れているわけです。  したがいまして、寺田先生がおっしゃったように、議事録その他、その会議も公開で ございましたので、そのことに関しては、同意の過程が理解されるのではないかという ことで、私は、何人かの先生方がおっしゃったように、答申書の中に書き込むことはし ないで、今後、この分科会あるいは部会での対応に注目していただくということで、承 認・審査の方向がこれから変化することを理解していただくことができるのではないか と考えております。 ○ 寺田分科会長  ありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○ 小川委員  今日の議論は、これからの食品衛生行政を進める上で重要なことが話されたと思いま す。やはり国として、もう少し国民の健康と食べ物の関係を重く見てもらわなければい けないのではないか。例えばアメリカでは、クリントン大統領が自ら食べ物の安全性を 直接国民に向けて演説している。そういう強い姿勢が日本ではないんですよね。今まで は経済優先、生産優先でこれたけれども、ここまで経済も成熟したわけですから、これ からは食品の安全性にもっと人やお金をまわしてもらうことが非常に大事ではないか。  厚生労働省が担当している健康問題にはいろいろありますが、特に食べ物のことを重 要施策として取り組んでいただくことを、この分科会を後押しする形で、こういう機会 にぜひ部長などから大臣にも言っていただくことがむしろ大事ではないかと思います。 ただここでいろいろ反省すべきことがあったということだけではなくて、国として力を 入れてもらうよう厚生労働省から言っていただくことをお願いできればと思います。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。それでは、この答申書どおりということでよろしゅ うございますか。 ○ 和田委員  はい。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。そうさせていただきます。  今後のことは、先ほど課長から話がありましたので、今後は、大変大事な、前向き な、国際的に安全性が確認され、かつ、汎用されている未指定添加物の指定についての 考え方の案につきまして、先ほどまでの先生方の御意見を踏まえて、事務局の方でどの ようにとりまとめられ、あとはどのように扱われますか。 ○ 基準課長  まずこの扱いですけれども、基本的にこのように考えているということにつきまし て、部会では基本的な考え方は了解したということでいただいております。ただ、当 然、部会でも、細かい、例えばデータの取扱いとか香料につきましても、評価方法をど うするのかということで、次のステップを考えていかなければいけないということがあ りますので、細かいところはこれから私どもで整理をして、審議会の御意見をいただき ながら考えていけたらというものでございます。  したがって、今回の基本的な考え方そのものにつきまして、国際的な考え方との乖離 を埋めるという点で、これまでの取扱いにつきましても、反省すべきは反省せよという 言葉なり、いろいろな御意見がございましたが、今お聞きしておりまして、基本的なと ころはこういう形で受けとめさせていただいて、今後進めていきたいと捉えてよろしい のではないかと考えております。そういう上で、さらに御意見をお寄せいただき、これ から我々は細かい点の整理をしながらやっていく上で、また、具体的な品目について検 討していく上での参考とさせていただくような御意見をいただければありがたいと思っ ております。 ○ 寺田分科会長  資料1−5の扱いは、こういう考え方でやりますがよろしいですかということですよ ね。だから、これがどんどん変わっていくし、例えば、逆に日本で使われていて外国で は承認されていないものをどう扱うかということも当然この中に入ってくると思いま す。そのような方針ということで御了解願えればいいと思いますので、これに書いてな いからやらないとか、そういうことではないとこの処理を了解しますと、これでよろし いのではないかと考えます。「(案)」は取った方がやりやすいでしょうから、 「(案)」は取る。今のようなことを付け加えていただいた方が、大事なことだと思い ますので、国際的なことをやる場合、添加物として日本の中では認められているけれど も、外国では認められていないこともちゃんとやる必要があると。  それでよろしゅうございますか。  それでは、報告事項が3件ございます。事務局より、食品衛生法の一部改正につきま して報告をお願いします。 ○ 企画課長  お手元に3件の資料がございます。時間も大分押しておりますので、簡単に触れさせ ていただきます。  まず、参考資料1−1でございます。新聞等で御案内のとおり、現在、今国会に食品 衛生法の一部を改正する法律案が提案されております。現在、衆議院の本会議を通過し ておりますが、これはお手元の資料の1、2に書いておりますように、いわゆる中国産 の冷凍ほうれんそうにクロルピリホスが大変高い値で、これは残留農薬基準違反という 形で発見されております。こういうものも含めて、今後、検疫所において水際でチェッ クできない可能性のあるもの、他に手段のとれないものにつきましては、EUの法制に ならいまして、特定の国あるいは地域を限り、また、特定の産品に限りまして、食品衛 生法上、輸入禁止の措置がとれると。これは非常措置ですけれども、そういうものを発 動し得る法律の枠組みを、与党を中心に出されました議員立法が今国会に提案されてお ります。  今後の審議の見通し等はまだ不明でございますけれども、法律として成立した場合に は、十分、当該産品等を調査いたしまして、この趣旨を帯して実行していきたいと考え ております。これが1点目でございます。  関係の参考資料1−2では、現在国会に出ております法律案、要綱等をお手元にお示 ししております。後ほど御参照いただきたいと思っております。  2点目でございますけれども、参考資料2は、これも昨今新聞をにぎわせておりま す、ダイエット用健康食品による健康被害事例でございます。これは、2−1の2ペー ジを御覧いただきますと、これも中国からの痩身を目指した幾つかの銘柄のものに、本 来は食品に含まれてはいけないものが発見されております。その毒性等については未だ 明らかではないところがございますけれども、2ページの中ほどに書いておりますよう に、これまでの健康被害事例として、未承認医薬品、すなわち医薬品に含まれるべき成 分につきまして、薬事法の許可を得ていないということで、これが14製品で 337人の被 害が肝機能障害を中心に出ております。また、未承認の医薬品ではない、すなわち医薬 品成分が出ていないものにつきましても、食品衛生法のジャンルとして考えていくわけ ですが、これにつきましても41製品、55人の、各県からの被害事例の報告がございま す。  次のページでございますが、現在、厚労省としてはいろいろな対策を打ちつつあるわ けですけれども、特に原因物質の分析調査を急ぐ。それから、輸出元である中国当局と の情報交換。これは後ほど言いますように、食品保健部長が中国の衛生部に申入れをし ております。それから、未承認薬品等の薬事法による取締の徹底。それから、各県から 寄せられた被害情報の収集・公表ということで、法違反のものはもちろん、特定の健康 食品につきましても、予防的な見地から公表することをしております。これにつきまし ては、参考資料2−3に、7月23日付で、健康食品のジャンルのものにつきましても、 一定の基準のもとに予防的な措置から、現在まで、2−3に示しております3品につい て健康被害の報告があるということで、情報公開をし、注意喚起を図っているところで ございます。  さらに、検疫におきましても、薬事サイドと協力し、こうした医薬品まがいのものは 水際でストップできるような措置を講じつつあるところでございます。  資料3−1と3−2がございますが、これは、今まで述べました中国産の冷凍ほうれ んそうの問題、ダイエット食品の問題につきまして、先般、食品保健部長が参りました 際に中国に対して申入れを行った中身の要約をお手元に配付をしております。  以上でございます。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。  ただいまの報告事項につきまして、何か御質問、コメントがございますか。 ○ 小林委員  例の中国の薬の話ですけれども、亡くなられた方がいらっしゃるということですか ら、ここに書いてないだけかもしれませんけれども、やはり病理解剖して、きちんと科 学的に詰めておいていただけたらと思います。もし、やっていらっしゃるなら構いませ んけど。  それから、亡くなられていない方でも、血液検査とか肝機能検査とか、そういう必要 なデータは、こういう大きな事件ですので、きちんと残されることを御期待申し上げた いと思います。 ○ 寺田分科会長  血液検査とか、医療情報をとっておくことは大変大事ですよね。もちろん、患者さん の御同意がないとだめですが。 ○ 吉倉委員  質問ですが、このNニトロソ−フェンフルラミンは自然界にあるものですか。それと も、完全に合成されたものですか。 ○ 新開発食品保健対策室長  合成されたものでございます。 ○ 吉倉委員  自然界ではないんですか。 ○ 新開発食品保健対策室長  ございません。 ○ 寺田分科会長  ニトロソ化合物で発がん性とか変異原性はないわけですか。 ○新開発食品保健対策室長  その点については未確認でございます。 ○ 寺田分科会長  ほかにございませんか。  それでは、事務局より伝達事項はございませんか。 ○ 基準課長  1点だけ伝達事項がございます。  分科会でも先に御報告し、了解を得ましたが、塩化ビニール製のもので、ある種のフ タル酸エステルを含有するもので、容器包装として、特に油性の食品に接触するものに ついて使用を禁止する。それから、おもちゃにつきまして、その特定の範囲のものにつ いて使用禁止するということで了解を得ておりますが、8月2日になると思いますが、 告示されまして、1年間の猶予期間を持ち、来年8月1日より施行となっておりますの で、あわせて御報告申し上げます。 ○ 寺田分科会長  どうもありがとうございました。事務局からほかに何かございませんか。 ○ 事務局  ございません。 ○ 寺田分科会長  それでは、分科会はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございまし た。                                     (了) 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部基準課 電話 :03―5253−1111(内線2453)