02/07/26 第16回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録            第16回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                    議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課          第16回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年7月26日(木)13:00〜16:00 場所  厚生労働省共用第7会議室(第5合同庁舎)5階 議事  1.検討課題2について  1.その他について ○桑島生殖補助医療対策準備室長  定刻になりましたので、ただいまから第16回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催 させていただきます。  本日は先生方、お忙しい中、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。  本日、ご欠席のご連絡をちょうだいしておりますのは、加藤委員、相良委員、福武委 員でございます。高久委員におかれましては、多少遅れられるというご連絡をいただい てございます。  それでは、早速議事に入らせていただきたいと存じます。矢崎部会長、どうぞよろし くお願いいたします。 ○矢崎部会長  本日はお暑いところをお集まりいただきましてありがとうございました。先日、お役 所の方から、軽装を推薦すると、あれは8月1日からでしょう。きょうはいいんでしょ うか。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  もうやっておりますので。 ○矢崎部会長  ネクタイもしないでいいという通知をいただいたので、最初から上着を脱いでいま す。きょうはクーラーがよく効いていますので、途中で寒くなって着るかもしれません が、よろしくお願いいたします。  では、恒例の資料の確認からお願いします。 ○桑島室長  それでは、先生方のお手元に配らせていただいております資料の確認をさせていただ きます。  まず資料1は、検討課題2につきまして、事務局でまとめさせていただいたものでご ざいます。資料2は、資料1を概括していただくためのものでございます。  参考資料1は、才村委員からちょうだいいたしました資料でございます。参考資料2 は、御意見募集で寄せられましたご意見をまとめたものでございます。参考資料3は、 昨年の厚生科学研究で提出されました矢内原班の施設基準等についてのペーパーでござ います。それから、机上配付資料をいただいてございます。  資料は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、前回、机上配付資料として、これは日本産科婦人科学会の「倫理審議会答 申書(諮問事項 胚提供について)に関して」を配付させていただきましたが、前回、 荒木委員がご欠席でしたので、荒木委員からお話しいただけますでしょうか。 ○荒木委員  机上配付資料をごらんいただきたいと思います。私どもの日本産科婦人科学会では、 倫理審議会という審議会がございます。次のこの裏のページを見ていただきたいと思い ますが、これは倫理委員会から審議会に諮問して答申を受けるその審議会でございま す。ここから胚の提供はノーという答申をいただいたわけでございます。これが誤解さ れまして、マスコミでは、あたかも日本産科婦人科学会が、胚の提供は非ということに なって世間に広く伝えられたところでございます。これから会員の意見を7月末日まで 聞くことになっておりまして、学会の倫理委員会で第一次案をつくり、これを理事会、 代議員会にかけ、学会の統一見解として会告で出すことになっております。あたかも学 会が胚の提供は認めないということを決めたように思われますが、これはまだその途中 の段階の審議過程の1つの案でございますので、どうぞ誤解なさらないようにお願いい たします。  ただ、倫理審議会の答申は、学会としても重く受けとめなければならないもので、大 きく変わるようなことはならないかと思いますが、さらに検討していく次第で、この資 料を出させていただいたわけでございます。  澤委員から追加があればお願いいたします。澤委員は倫理審議会に出ておりますの で、もう少し追加していただけますか。 ○澤委員  とりあえずこの審議会の中で問題になりましたのは子の福祉ということでございま す。今回もし胚が提供されるとすれば、胚を提供するご夫婦には必ずお子さんがおられ る。そのお子さんとそのお子さんの兄弟姉妹になる胚があって、それが提供されるわけ でございます。胚を提供された方のすでに、生まれている子の立場ということを考える ということを、これは小児科の先生方が強く主張された訳ですが、そうすると実際のと ころ胚の提供に関しては、そういう観点から見たらなかなか他の配偶子と同じ考えで は、うまくいかないのではないのかというのが論理の進行の状況でございました。○矢 崎部会長  どうもありがとうございました。この胚といった場合は、いわゆる余剰胚ということ でとらえてよろしいのでしょうか。 ○澤委員  そういうことでございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。それでは、この議論は次の機会ということで、今回 は資料を才村委員からいただいております。「生殖補助医療に伴う子どもの権利擁護と ソーシャルワーク」ということですが、才村委員から簡単にご説明いただけますでしょ うか。 ○才村委員  参考資料の1をごらんください。今回、「生殖補助医療に伴う子どもの権利擁護と ソーシャルワーク」ということで、先日6月1日に、日本社会福祉会という社会福祉士 の集まりなのですけれども、そこの学会がありまして、そこでもう一人の宮島さんとい う方と共同発表しました内容を資料としてつけさせてもらいました。そのことをかいつ まんで説明いたしますと、1枚目ですけれども、私の方は、生殖補助医療で生まれた子 どもが健全に育つための権利、そのための支援。それから、夫婦が真実を告知するため のサポート。子どもが知りたいと思ったときに出自を知る際の支援・サポートについ て、現行の里親制度・養子制度を参考にすることができるかと思われましたので、その 辺との比較をもしながらの提案をさせてもらいました。  1枚目のところは、特別養子縁組というのは、ご承知のとおり、昭和62年にできたも のなのですけれども、現在里親制度に委託されている児童数が載っていますけれども、 かなり少ないです。この里親制度は都道府県立の児童相談所で調査をしまして、里親さ んの審議会にかけ、子どもを育てられる夫婦を知事が認定するという作業のもとに登録 された方が里親さん。そこへ子どもを里親委託ということで委託している数なのですけ れども、里親には養子里親と養育里親がありまして、すべてが養子というわけではない です。  次のページに行きまして、特別養子縁組の成立の数はごらんのとおりで、日本ではか なり少ない。  特別養子縁組の性格は、何度も申していますけれども、子どもの利益ということでの 家庭裁判所の審判によって成立する。  次の「真実告知」へのカップルの対応ということで、これは1995年(平成7年)で ちょっと古いですけれども、社団法人家庭養護促進協会が、特別養子縁組が成立してい る方へのアンケート調査ということで、真実告知について、どのように実際告知してい るか。不安があるか、どんなふうに告知したかというアンケート内容をここに載せさせ てもらっています。ただ、ここの事例は、140 ケースの中で120 の回収なのですけれど も、特別養子縁組をスタートしたのが昭和63年です。子どもさんの引き取った年齢が5 歳ぐらいまでですので、調査時点では0歳から10歳ぐらいまでなのですけれども、年齢 の小さい方が多いので、実際には告知している数はまだまだ少ないというデータが出て います。  ここの中で見てもらいましてわかるのですけれども、調査結果の2番目ですが、「も し将来、子どもが実親に会いたいと言ったらどうするか」ということで、「本人の意思 にまかせる」という人が63%いる。一般論として真実告知、真実のことを「うちあけた 方がいい」と思われる方が59%ということで、「したかどうか」、「真実告知をした」 人は、年齢も小さいこともあるし、実際に必要だと思っていてもなかなかやれてないと いうことで27.5%、「真実告知をしていない」人が70.8%あった。「いずれわかること だからいわなければならないと思った」という人が40%ほどです。  次のページに行きまして、「うちあけてよかった」という人が78%。打ち明けること への不安もいろいろあります。  真実告知の内容については、「育ての親であること」、「施設でそれまで生活してい たこと」、「実の親の情報について」のことで打ち明けたという方がありました。  それから、内容ですけれども、「お母さんのお腹から生まれていない」という人が 80%、「子どもを産めない体である」が60%、「私たちが選んでもらった」が60%と いった内容でした。  その次のページに行きまして、特別養子制度の「真実告知」に対する考え方なのです けれども、ここに述べましたような、いろんな根拠、子どものアイデンティティの確保 といったことで、特別養子制度については、実の親を知るということをスタートライン としてできている制度である。その辺のことが載せています。  その次の5ページ、特別養子制度と普通養子縁組。今回の生殖補助医療との親子の比 較をしてみました。最後の図1は、生殖補助医療に伴う子どもの権利擁護を前提とした ソーシャルワーク・システムというイメージの図なのですけれども、今までカウンセリ ングやコーディネーターの役割が出てきているのですけれども、私の方としましては、 どんなものになるかはまだまだ議論の最中なのですけれども、子どもを産み、育てる中 でソーシャル・ワークがぜひ必要であると。  カップルの右の方に、児童沿相談所等公的機関というのが当事者の代弁/協力となっ ているのですけれども、ご夫婦が子どもを育てる上で相談したいこと、子どもさんを育 てる上でのいろんな悩みを、児童相談所はもともと0から18歳の子どもさんの養育のサ ポートをしているところですので、それと里親さんへの認定ということもやっておりま すので、子どもが育てる上でのご夫婦の精神的、経済的、社会的いろんな面での、子育 てに耐えられるかどうかといった児童相談所の判断が生殖補助医療にも活かせるのでは ないかと思います。  また、子どもさんが大きくなってきて、子ども自身が出自を知ることを望む時期に なってきたときに、例えば公的管理運営機関に、自分の出自を知る権利の開示請求をし たときにも、公的管理運営機関にソーシャルワーカーを置くべきではないかと思うので すけれども、そこのソーシャルワーカー、カウンセラーとが連携しながら、児童相談所 のノウハウをも協力しながら、その辺にサポートしながら応えられるのではないかと思 いました。  あと、18歳以上については、法律的に児童相談所では18歳未満の子どもないしは親子 への援助というふうになっておりますので、それ以上になりますと、公的機関で考えら れるのは、例えば福祉事務所ということになるかと思います。  それと左の方の、身近なところでの相談窓口として社会福祉士事務所を想定している のですけれども、国家資格である社会福祉士が最近独立して全国で150 カ所ほど開業さ れていますので、その辺で地域のサポートの機関としてこういう生殖補助医療により誕 生した子どもへの親子・家族への援助がまたできるのではないかと思いました。  あと、公的管理運営機関の役割はまだ決まってはないわけですけれども、ソーシャル ワーカーの役目として、地域の機関とのネットワークないしは、子どもを育てる上での 夫婦のサポート、子どもへのサポートもできると思いますし、また、実施医療施設がど こになるかはまだ論議の最中だと思われますけれども、そこへも医療ソーシャルワー カー・MSWの方を置いて、家族への支援、地域とのネットワークを駆使しながら、地 域で生活するご夫婦へのサポートが必要ではないかと思いました。  長くなりまして申し訳ありません。下の保健センターですけれども、健康教育等(市 町村保健センター)ということで、最近、保健師と名前変わっていますけれども、保健 師マニュアルが2002年6月にできたようなんですけれども、そこに生殖補助医療で生ま れた親子への援助を保健師さんの役割という形で載せられているのも見ました。やっと できた子どもさんで、期待がすごく実った。だけど、現実が子育てに大変だと。その ギャップへのサポートも保健師さんの方でやっていただくというようなところでのネッ トワークもこれから必要ではないかと思いました。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。カウンセリングとソーシャルワークというのはほぼ 一体としてとらえられるものではないかと思いますので、今のお話大変参考になりまし た。ありがとうございました。  それではいよいよ検討に入りたいと思いますが、その前に、戻りますが、荒木委員と 澤委員からお話のあった胚移植の今後のスケジュールとか、先ほど後で議論しますとい う言葉が適切でなかったのですが、今後のこれのスケジュール的なものは何かございま すでしょうか。 ○荒木委員  確定したスケジュールではございませんが、平成14年度内に、3月に行われます理事 会、評議員会でほぼこれが決まると思います。そして来年度の4月ないしは5月をもっ て会告として出させていただくような予定になっています。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。  それでは、いよいよ検討課題2に入りたいと思います。過去数回にわたりまして、こ の検討課題2についてヒアリングを受けたわけであります。今回提出した資料は、前回 までのヒアリングの際に毎回つけさせていただいた要検討事項についての資料に、ヒア リングを参考にしながら、事務局が内容を追加し作成したもので、まだ完全な形には なっておりませんので、この後、また何回かバージョンが出てくる可能性もあります が、事務局から簡単に説明をお願いいたします。 ○桑島室長  それでは事務局からご説明を申し上げます。全体としては、資料1かなり厚いものに なってございますので、概括していただくために、資料2でご説明を簡単にさせていた だきたいと思います。ごらんいただきますとおり、資料の全体の構成、ページも入れて ございますので、目次のような形にもなってございますけれども、「◎」のところをご らんいただきたいと思いますが、大きく分けまして、まず「インフォームド・コンセン ト」、「カウンセリングについて」、「施設・設備の基準について」、この三本の柱に なってございます。  インフォームド・コンセントについては、「(1)説明について」、「(2)同意・ 撤回」についてと大きく2つに分かれてございまして、(1)については(ア)として 提供を受ける夫婦に対するものと、提供者及びその配偶者に対するものと分かれてござ います。  それぞれ分類されたところについて、誰がやるのか、どういった人が受けるのか、内 容、方法、時期の項目にそれぞれ分かれております。特に内容のところが非常に厚く なってございますが、この内容については詳細な案となってございますけれども、提供 を受ける夫婦にも、提供による生殖補助医療について十分認識してもらいたいというこ とで、かなりそういう意味では厚くなってございますけれども、今までヒアリングを受 けたものも含めまして、こういった案をつくらせていただいているところでございま す。  それから、今回この資料1につきまして、2つ目の大きな項目のカウンセリングの部 分が若干まだ手薄になってございます。前回お示ししたものとほとんど変わってござい ませんけれども、実は事務局の中でもカウンセリングについては議論がいろいろとござ いまして、そういう意味ではまだまとまりきらなかったというのが正直なところでござ いまして、次回以降できるだけ早い時期にこの部分を事務局案として提案させていただ きたいと考えてございます。  それから、施設・整備等の基準のところでございますが、これは前回、吉村先生から ご提案いただいてございます矢内原先生の報告書のかなりの部分をちょうだいいたしま して、事務局案としてつくらせていただいたものでございます。  全体の概要については、簡単ではございますが、以上でございます。 ○矢崎部会長  それでは議論を進めていきたいと思いますが、資料1で、最初から順に議論していき たいと思います。内容によっては極めて専門的な医学事項がたくさん入っておりますの で、それについては吉村委員を中心に説明していただくということで議論を進めさせて いただきたいと思います。  まず1の「インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容」の(1) の「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における十分な説明の実施につい て」、さらに(ア)の「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に 対する十分な説明の実施」というところから始めさせていただきたいと思います。事務 局からここを読んでいただいて議論を進めさせていただきたいと思います。  ご参考までに、机上配付させていただいた資料は、課題1の最終的なバージョンとい いますか、一応はこういう結果になりましたということで置いてありますので、次回以 降もこれを参照しながらということでございますので、もしお持ち帰りも結構ですし、 事務局でバインダーの中に綴じていただいて、次回以降対応するときがありましたら、 資料を参照していただければと思います。  事務局から順次お願いいたします。 ○桑島室長  それでは、一番最初のところから読ませていただきます。まず専門委員会では、この 部分については、「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、 当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当 該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行われなければならない」と いったところまでお決めいただいてございます。  それを受けまして、説明の主体はということで、この後は事務局(案)として出させ ていただいてございますが、「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けるこ とを希望する者の診療を行っている担当医師」が行っていただく。担当医師の条件でご ざいますが、「生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識 を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟 した医師」ということでつくらせていただいてございます。よろしくお願いいたしま す。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。アンダーラインの「生殖遺伝学」、こういう言葉ありましたか。 ○荒木委員  学会でもカウンセラーの養成ということに目を向けまして、まず生殖遺伝カウンセ ラーの養成をしようという意見が出てまいりまして、この言葉を使っているんです。不 妊学会、受精着床学会、産科婦人科学会、人類遺伝学会と一緒になったカウンセラーの 養成や、知識の普及のため、勉強会をつくろうと、現在学会としても前向きな姿勢とし りまして動き始めております。「生殖遺伝学」、「学」があるどうかわかりませんけれ ども、生殖遺伝にたけた方でないと生殖補助医療でいろいろな正しい回答を得ることが できないのではないかと思っております。あるいは「学」はとった方がいいかもわかり ませんね。吉村先生いかがですか。 ○吉村委員  今、荒木先生がおっしゃったとおりでいいと思うんですが、「遺伝学」を入れるかど うか、私もわかりませんが、生殖補助医療に伴う遺伝的な側面に精通した人という意味 で、最近「生殖遺伝学」という言葉も時折使われておりますので、私はこれでもよろし いのではないかと思います。 ○矢崎部会長  わかりました。ありがとうございました。これは説明の主体ということで、担当医師 ということでございますが、よろしいでしょうか。 ○鈴木委員  きょうの議論の進め方の確認なんですけれども、報告である35ページのあたりから始 まっているということでよろしいわけですね。 ○矢崎部会長  はい。 ○鈴木委員  今、担当医師ということなのですが、例えば卵提供、これは担当医師であり、かつこ れらもろもろに習熟したドクターという2つの条件が重なっているという意味でしょう か。 ○矢崎部会長  この案は、こういう習熟した医師が担当医になるべきだという考え方では……。 ○鈴木委員  それは必ずしもそうではないと私は考えます。卵提供を望む女性の場合、仮に例えば 最初から卵巣がない女性の場合ですと、例えば身近な産婦人科のドクターでずっとおつ き合いしているという可能性もあるわけですよね。そういった主治医が必ずしも卵提供 に伴う、いわゆる生殖技術に関して非常にお詳しいとは限らないと私は考えますが、い かがなものでしょう、荒木ドクター。 ○荒木委員  私もこの担当医師というと、漠然とすれば、卒業して3年目の方でもこういう発生 学、生殖遺伝学にたけている人だったらいいのかというとちょっと疑問です。もう少し 生殖補助医療に対してのハイレベルな見識を保つためには私は5年以上の先生。といい ますのは、「産婦人科専門医」というようなことを入れていただければ、5年以内の先 生方がこういうふうにカウンセリングに携わることはできないのではないかと思う。5 年間の学会のカリキュラムの中には、生殖補助医療とかそういうカリキュラムは組んで ありますので、5年以上の先生だったら十分ではないかと思います。  確かに鈴木委員がおっしゃったように、開業して3年ぐらいの方も採卵をやったりし ている事実もありますので、そういう点は先生方のご意見をお聞きしたい。私個人とし ては、ここに「産婦人学会認定産婦人科専門医」というぐらいに入れていただければあ りがたいかなと思っております。 ○矢崎部会長  鈴木委員の言われた趣旨と荒木委員の言われた趣旨とちょっと違うような感じがしま すが、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  私はイメージとして、例えば女性なりがかかりつけ医というような形でずっとかかっ てきて、多分生殖補助医療を担っているドクターは、もし高度な治療が必要な場合、通 常はそういうことのできる病院とかドクターに紹介をするような形にするわけですよ ね。 ○矢崎部会長  これはインフォームド・コンセントを最終的にとる医師はどういう医師かということ で、今お話しのは。 ○鈴木委員  もし最終段階はそのドクターが担当医になるのだという意味であれば、これはわかり ます。 ○矢崎部会長  提供された配偶子による生殖補助医療というのはある程度決められた機関でやります ね。たしか指定された施設で行うということが専門委員会のお話で、前文が、「生殖補 助医療を行う医療施設」ということになっているんです。 ○鈴木委員  だとしたら、そこを幾つか条件として確認してからお話ししていただけると非常にわ かりやすいのですが、これは認定した機関のドクターであるというようなイメージで書 かれているということなのですか。 ○矢崎部会長  私はその理解でしたが、いかがでしょうか。 ○吉村委員  余りそういったことが問題になると思いませんでしたので、鈴木さんのおっしゃって いることがわからないんです。 ○矢崎部会長  鈴木委員の言われたのは、身近なヒューマン・リレーションとか患者・医師関係の密 な人にインフォームド・コンセントをとっていただいた方がいいのではないかというこ とですか。 ○吉村委員  そういうことですか。 ○鈴木委員  違います。私が前提を勘違いというか、そこの話がなかったので、いきなり誰が説明 するかという話でここが始まったので、まず誰が説明するかという、ここの大前提に認 定の専門病院あるいは専門施設でこれが行われるというイメージで話していかれるので あればこのことはわかります。今は全くそういうイメージで私はこの話をとらえてな かったものですから。 ○矢崎部会長  それ以外は。 ○澤委員  鈴木委員が間違えるのはごもっともで、「診療を行っている」と進行形になっている ので、これからまさしく始めるんですよね。だから「希望する者の診療を行う」か何か に直すと、初めて、これはある程度限られたところの施設で行われるというふうにわか りますよね。「行っている」というと、確かに卵巣をとっちゃわざるを得ない。そこで 話さなければいけないのかという、そういう誤解にもつながるような気がするんですけ れども。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。それでよろしいですか。 ○鈴木委員  はい。だと、わかりやすいと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。 ○平山委員  物わかりが悪くて申し訳ないんですけど、確認なんですが、つまり説明といっても、 プライマリーな部分と今システムでつくろうとしているのは最終的に実施医療機関での インフォームド・コンセントということであって、それ以前に多分この医療を受けるか どうか悩む時期であるとか、受けようとする時期があるわけですね。それは今のところ このシステムでは検討していないところで、ここでのインフォームド・コンセントとは 別というふうに考えてよろしいですね。じゃないと、ちょっと別になってきますよね。 ○矢崎部会長  そこまではこういう議論の及ばない範囲ですので、最終的な医療を行う場面でこうい うことを保証しましょうということです。よろしいでしょうか。  それでは次の「説明の客体は?」というところでお願いします。 ○桑島室長  次のページにまいります。「説明の客体?」でございますけれども、「提供を受ける ことを希望する法律上の夫婦」であること。「当該夫婦は同時に揃って説明を受け る」、ここは多少議論があるかもしれません。「提供によって生まれる子の出産、育児 にあたっては、より親密な家族関係が要求されることから、必要に応じて提供を受ける 夫婦の両親や兄弟等の親族も同時に揃って説明を受けることが望ましい」。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。ここまで決める必要があるかどうかということですが、いかがで しょうか。「望ましい」だからいいですか。 ○石井委員  夫婦が希望したらその方たちにも説明するという体制は必要かもしれませんが、「望 ましい」というのはプライバシーの問題で、確かに出自の知る権利を認めるというのは 子どものためであって、当然に周りの人がそういう医療を受けて生まれた子どもがそう であるということを知ってなくてはいけないと、そういうことになってしまうことはお かしいのではないかという気がするのですが。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○岸本委員  石井委員のおっしゃるとおり、私も知っている方で、卵子提供受けて出産された方い らっしゃるのですけど、卵子提供受ける人の女性の母親にはもちろん相談をずっとされ ていたのですけど、ご主人の方の親にも一切今のところ言いたくないし、両親が一緒に 揃って説明を受けるとか、そういうのはプライバシーに関わる問題なので、ご夫婦がき ちんと受ければ、両親までというのは強制はできないのではないかという部分で、ほと んど知らないままで提供を受ける方もいらっしゃると思うので、その辺まで受けなさい というのは無理かなと思います。 ○矢崎部会長  ケース・パイ・ケースですので、案としては、上の2行でとどめ置くということでよ ろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○矢崎部会長  ありがとうございます。次は説明する内容、これが大変なのですが、一応順々に一ぺ んに行くと大変ですので、室長から。 ○桑島室長  それでは、少し細かいですが、区切らせていただきます。 1.生殖補助医療の医学的事項について (1)生殖補助医療に関する一般的な医学的事項について  1つ目が「検査について」というところですが、種類(※1)で下に細かいことを書 いてございますが、それと各々についての具体的な実施方法、実施に要する期間等につ いて。あるいはその検査の過程における副作用のリスクと起こった際の医学的対処方法 について説明するということでございます。よろしゅうございますでしょうか。 ○矢崎部会長  まず生殖補助医療に関する一般的な医学的事項ですが、これは検査、治療について、 それぞれ大変細かいこと、予想される結果などについて、これも専門的な部分ですが、 これは専門家のご意見。 ○桑島室長  先生、失礼いたしました。関連のところをもう一度確認させていただきます。今、検 査だけについてのところでとまってしまったのですけれども。 ○矢崎部会長  ちょっと私が先へ行ってしまいましたが、検査については、(※1)で下に書いてあ りますよね。これは吉村委員から簡単にコメントを。 ○吉村委員  一般的に不妊の方がおみえになった場合にこういった検査をする。現実に生殖医療を 行っている機関ではこういった検査についてリスク、具体的な方法についてご説明をし ているということで、これは一応検査の列挙でありますので、すべてをやっているかど うかわかりません。大体このような検査は行われておりますので、私はこれで問題ない のではないかと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。それでは、次の(A)治療について。 ○桑島室長  これも下の(※2)で細かく書いてございますけれども、それぞれの医療についてど んな医学的な適応、具体的な実施方法、実施に要する期間等についてご説明する。提供 者・提供を受ける者・提供により生まれた子に対する副作用のリスク(多胎妊娠、卵巣 過剰刺激症候群、手術操作に対するリスク等)、あるいはそのリスクに対して医学的な 処置法についてご説明をさせていただくということでございます。 ○矢崎部会長  これについてもいかがでしょうか。 ○吉村委員  例えばこの中で問題となってくるのは、妻が卵管性不妊でご主人が精子なかった。そ うしますと精子提供による体外受精を受けることになるわけですが、こういった場合に も従来から行われておりました卵管の疎通性を回復するような手技があるということも お話ししなくてはいけませんし、手術適応、そういったことについてご説明することは 必要だと思いますけれども。 ○矢崎部会長  説明する内容ですね。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  それでは(B)。 ○桑島室長  (B)予想される結果等について(妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病・染 色体異常・形態的な先天異常等の発生率等について。) ○矢崎部会長  これについてはいかがでしょうか。 ○吉村委員  妊娠率、流産率、生産率に関しましては、日本産科婦人科学会から体外受精、顕微授 精については統計は出ております。突然変異の遺伝病、染色体異常については、統計が 我が国では有効なものがありません。これは欧米のデータが中心となります。体外受精 については、現在のところ余り染色体異常、先天異常については差がないと言われてお りますが、顕微授精については、こういった異常が多くなるというデータ、変わらない というデータが今のところありますので、そういったことも必要に応じてお話をすると いうことでございます。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。我が国でこれらのエビデンスがないということは、AIDも含め て、これからはしかるべき施設で行われれば、当然我が国のエビデンスがつくられます ね。 ○吉村委員  そういうことは出ると思います。AIDに関しましてはどうしてなかったかと申しま すと、妊娠率を十分に把握できない状況にある。そういったことから、すべての妊娠、 その転帰も把握できるようになれば、そういったことができるようになってくると思い ます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは一番最後のところ。 ○桑島室長  2ページの一番下のところでございます。  上記の(@)〜(B)の事項につき、  ・ できるだけ正確な最新の情報を提供するように努めなければならない。  ・ また、提案されて治療によって期待される結果と同時に、その治療の限界につい   ても説明されなければならない。  ・ 妊娠率や流産率、副作用等、提供を受ける者の年齢によって異なる結果が想定さ   れる事項については、可能な限り提供を受ける夫婦の年齢に応じた説明をするよう   努めなければならない。  ・ できるだけ提供を受ける夫婦が実際に治療を受ける医療施設におけるデータと全   国平均のデータの両方を用いて説明することが望ましい。 ○矢崎部会長  これは既にエビデンスがあるという前提の上で書かれているところがありますが、吉 村委員、何かコメントございますか。 ○吉村委員  特に問題は私はないように思うのですが。 ○矢崎部会長  生殖補助医療を受ける方に正確な情報をできる限りお知らせするというのが趣旨で、 その時どきの蓄積されたデータを必ずお示しなければいけないというのが趣旨ではない かと思います。よろしいでしょうか。 ○石井委員  質問なのですが、こういうことが説明されるというと、今のことだけではなくて、 (1)全体なのですが、望ましいとは思うのですが、提供された精子・卵子・胚による 生殖補助医療を受ける人は、既に生殖補助医療を通常は受けてきて、ある意味で最後の 手段としてこれを受けるということですね。そうすると本来これらのうち、かなりの部 分は既に説明を受け、自分も受けている、そういうことになる。その点はどうなのか。 ○矢崎部会長  そのあたりの整理ですね。 ○吉村委員  (1)は一般的な医学事項でありまして、(2)が提供による生殖補助医療に関する 医学的事項ですので、もし(1)を除けるのであれば、(1)を除いて(2)からお話 しになってもいいというような趣旨で書かれているのではないでしょうか。と私は思っ たのですが、ですから(1)をあえて書かなくてもいいということであればそうですけ れども、こういったことを書いておいても別に、より完全な形になっているのではない かと私は思うんですけれども。 ○矢崎部会長  そうしますと、一番最後の項目のデータというのは、一般的なことですね。だからA IDは入っていないということになりますね。 ○吉村委員  そういうことですね。 ○矢崎部会長  私のさっきの説明は取り消します。 ○石井委員  私の申し上げたかったのは、これが要らないという趣旨ではなくて、ぜひ生殖補助医 療を行う、この限られた施設ではなくて、すべての医療施設でこのようなことが行われ るように産婦人科学会としては方向として目指していただきたい、そういう趣旨なので ございます。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。荒木委員、澤委員がおられますので、それについては趣旨が 活かされるようにお願いします。 ○荒木委員  石井委員のおっしゃるとおり、私どもの学会もそういうところを望んでいるわけでご ざいます。 ○矢崎部会長  それでは(2)、よろしくお願いします。 ○桑島室長  (2)につきまして、これは提供された配偶子の生殖補助医療のことについての医学 的な事項についてでございます。  ・ 上記の(1)、(@)〜(B)の事項の中で、提供による生殖補助医療に関して   特に言及すべき事項について、例えば(Rh型不適合妊娠等、提供による生殖補助   医療において特に注意が必要な事項について)。  ・ 提供による生殖補助医療を受ける医学的理由について(配偶者間の生殖補助医療   では妊娠できないと判定された理由について。)  ・ 提供に対して行っている注意事項について。  これは非常に細かいことが(※3)と(※4)で挙げさせていただいてございます。 先生下のところはいかがいたしましょうか。 ○矢崎部会長  これはたくさんあって、専門的な部分ですから、吉村委員にコメントしていただくと して、その前に。 ○荒木委員  吉村先生、(※3)の(6)、静脈麻酔がかけられる場合に、一般的には静脈麻酔は余り されてないですよね。 ○吉村委員  採卵のときは大体NLAでやっていることが多いと思うんですが、ですからそういう 意味だと思います。採卵は昔はよく全麻でやられることもあったのですが、最近は経膣 採卵やりますと、NLAをかけなくてはいけないということで、そういった意味で静脈 麻酔と言われたのではないかと私は理解しているのですけど。 ○荒木委員  「場合があり」だから、いいんですけれども、普通は一般的投与で充分です。ホリゾ ンとかソセゴンぐらいで。 ○吉村委員  一応NLAが一般的には麻酔という意味で使っているのだろうと思います。○荒木委 員  わかりました。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょう。これは前段の一般的な事項の、先ほどの注意事項の中のこ とは生殖補助医療でデータが蓄積されたら、それは当然話すということがこの中に入っ ているわけですね。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○鈴木委員  質問です。「・」の3つ目は、もらおうと希望しているカップルに対して提供してく ださる方は、(※3)、(※4)のような処置を受けているのですよということを説明 するのが大事であるという趣旨で書かれているのでしょうか。 ○吉村委員  これは両方とも入っていると思います、鈴木さんおっしゃるように。提供受ける人も ありますけれども、そういった一般的医学事項が書かれていると思います。 ○矢崎部会長  これは提供された配偶子の生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施の中 の項目ですよね。 ○吉村委員  そうです。 ○矢崎部会長  ですから、これは提供を受ける方にもこういうことを説明しますという理解していた だいて。 ○吉村委員  鈴木さんの疑問は、提供者と提供を受ける側が両方あるわけですけれども、それが一 緒に入っていますけれども、これは提供を受ける側のことを言っているのに、こういっ たことも説明しなくてはいけないのかというような……。 ○鈴木委員  私はこの説明をするのは大事なことで、むしろこれが入っているということに非常に 驚きというか。 ○吉村委員  大変よくわかります。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。それでは、次の2、よろしくお願いします。 ○桑島室長  4ページでございます。今度は、「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の 実施及びそれぞれの条件」のところでございますが、(1)で「提供された精子・卵 子・胚による生殖補助医療の実施の条件について」。  受けることのできる者条件について説明をするところでございますが、  (1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件について。  ・ 加齢により妊娠できない夫婦は対象とならないこと。  ・ 自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受   けることはできないこと。  ・ 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など、生まれてくる子どもを安定し   て養育していける夫婦に限って提供を受けられること。  こうしたことをちゃんと説明をしましょうということでございます。よろしゅうござ いますでしょうか。 ○矢崎部会長  はい。今のところでいかがでしょうか。「加齢により妊娠できない夫婦」というもの の定義は、この資料にございますように、検討課題1で一応示しておりますので、ここ にはあえて示さないで、こういう記載になっておりますが、よろしいでしょうか。それ では、(2)をお願いします。 ○桑島室長  (2) 各々の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療ごとに適用される条件につ いて  ○ AIDを受ける者に対して   ・ 精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精    を受けることができること。  ○ 精子提供による体外受精を受ける者に対して   ・ 女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ    妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることがてきること    。  ○ 提供卵子による体外受精を受ける者に対して   ・ 卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受    精を受けることができること。  ○ 提供胚の移植を受ける者に対して   ・ 胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された胚の移植を受けるこ    とができること。   ・ ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受ける    ことが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができること。  検討課題1で大体お決めいただいたことをまとめております。 ○矢崎部会長  これはダブっているんですね。実際には課題1と。 ○桑島室長  (A)子宮に移植する胚の数の条件について  ここにつきましても、課題1のところでお決めいただいているところでございますけ れども、  ・ 体外受精・胚移植又は胚提供の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は   原則として2個まで、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとすること。  ・ 1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合、もし双胎、三胎となってもそれを受   け入れること。  こうしたことについて、ご説明をいただくということでございます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。これは説明するという意味でダブってここに記載されていると ころですので、お認めいただければと思います。  それでは(2)お願いします。 ○桑島室長  (2)精子・卵子・胚の提供の条件について (@)精子・卵子・胚を提供できる者の条件について  ・ 精子を提供できる人は、満55歳未満の成人とすること。  ・ 卵子を提供できる人は、既に子のいる成人に限り、満35歳未満とすること。ただ   し、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供   する人は既に子がいることを要さないこと。  ・ 同一の人から卵子の提供は3回までとすること。  ・ 同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠し   た子の数が10人に達した場合には、当該同一の人から提供された精子・卵子・胚を   提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に仕様してはならないこと。  ・ 精子・卵子・胚の提供に当たっては十分な感染症の検査を行うこと(血清反応、   梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等について検   査を行うこと)。  ・ 精子・卵子・胚の提供が行われる場合には、提供時及びウィンドウ・ピリオドを   終了した後に、上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の精   子・卵子(実際には、夫の精子と受精させた胚)・胚だけを使用できることとする   。  ・ 遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告(非配偶者間人工授精と精子   提供」に関する見解」の遺伝性疾患に関する部分及びその解説の当該部分に準じた   チェック(問診)を行うこと。  ・ 当該チェックの結果、提供できないと判断されることもあり得ること。  ・ 検査の結果は提供者に知らせること。  こうした、非常に細かいですけれども、課題1で大体ご検討いただいたお話を再度書 かせていただいてございます。 ○矢崎部会長  生殖補助医療を受ける方に、一応その条件について再び説明申し上げるということで す。  続いて(A)、これが一番問題になったところで、読んでいただけますか。○桑島室 長  (A)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件について  ここはまだペンディング部分ではございますが、  ・ 精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領するこ   とを禁止すること。ただし、実費相当分(交通費、通信費等)については、この限   りでないこと。  ・ 提供を受ける者より提供者に支払うことができる実費相当分の具体的な額。(ペ   ンディングになってございます)。  ・ 医療費やカウンセリングの費用等、提供による生殖補助医療の施行に要する費用   及びその支払いは、提供者が全額負担すること。 ○矢崎部会長  問題はペンディングの部分ですね。実費相当分として認められるものの具体的な範囲 について、これは検討課題1でなかなか認められなかった。  次の「提供者が全額負担すること」というのはおかしいですね。 ○桑島室長  すいません、「提供を受ける方」でございます。とんでもないことになります。申し 訳ございません。ケアレスミスでございます。 ○矢崎部会長  当然そうですけれども。実費相当の具体的な額をここで議論すると……このペンディ ングは課題3まで行った後、最終的に残るのは2〜3カ所しかないと思います。このペ ンディングはまた次に議論させていただくということで、(B)をよろしくお願いしま す。 ○桑島室長  (B)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件について  ・ 精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とすること。  ・ 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提   供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する   人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリン   グが行われ,かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子   ・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭   等の対価の供与がないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供   を認めるとすること。(ここの部分についてはペンディング)。  ・ 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は   、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上   記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなけれはならないこ   と。(この部分につきましては、第3の課題でございますので、ペンディング) ○矢崎部会長  2番目の大きなペンディングのところでございますが、これは兄弟姉妹の提供と子の 出自を知る権利の2つの課題がここに入ってきておりますが、これは検討課題1で随分 議論されたところで、皆様に配付された検討課題1の19ページ、兄弟姉妹からの配偶子 の提供を認めるかというときに、皆様の案は第3の案が強かった。姉妹等からの卵子の 提供のみ認めると。  議論を進めるに当たって論点を少し整理しないといけないかと思いますが、そのとき は、たしかカウンセリング、インフォームド・コンセントの内容を踏まえた上で、ある いは出自を知る権利の議論を踏まえた上で最終的に決定しましょうということになって おりますので、先ほどの金銭の授受の実費相当分の具体的な額、この出自を知る権利と 兄弟姉妹からの提供、この3点が最終的に一番議論の多いところでございますので、こ れはまた積み残しになると形は悪いのですが、最終的に討論いただくということで、も う一度認識を新たにしていただければということで、できれば次にステップ……どう ぞ。 ○石井委員  3つあるのですが、1つは、インフォームド・コンセントとカウンセリングとの切り わけ。情報を与えるというのでインフォームド・コンセントで与えられる情報、あるい はカウンセリングの中で、例えば先ほどのあれでも、夫婦が子育てができるというよう なことが入っているわけですが、そういう事柄と関連して情報は本来あるべき、養子の 問題とかいろいろな問題もあるかと思うのですが、そういう情報はどこで与えられるの かというような切りわけですね。  それともう一つは、事務の方にはご苦労だったことはわかるのですが、提供する側に 関する事柄をずらずらっと書いてあるので、提供を受ける側にとって、提供者について の条件で説明されるべき事柄という観点で書いていただく必要があるのではないか。卵 子提供を受ける人には、卵子提供に関わってこういうこと。例えば、先ほどの「※」の ことも知らされた方がいいと鈴木さんがおっしゃったのは、こんな大変な思いをして提 供してもらっているんですよというものがわかってもらう、そういう趣旨もあって、い ろいろな検査等もわかった方がいいと思うんですけれども、というものが2点目。  3点目は、匿名性の問題等々については、きちんと独立に説明される必要があるので はないか。親子関係との関係も含めて説明する必要があるのではないかと思う点でござ います。 ○矢崎部会長  そうですね。ですから5ページの最後の(A)と次の(B)は極めて重い項目で、こ の中に埋め込むのが正しいどうかというのは問題で、石井委員の言われるとおりだと思 います。これにつきましては、提供を受ける側と提供する側と両方十分にインフォーム ド・コンセントされなければいけないという趣旨はあります。インフォームド・コンセ ントの中に、子の出自を知る権利があるので、提供を受ける側にもそういうことを認識 してもらいたいと。匿名にすることだけでは十分ではないのではないかというお話かと 思います。これについては、また総括的に、今、石井委員の言われたことも含めて、ま ず、ここでは提供を受ける側のインフォームド・コンセントということで対応していき たいと思います。  あとカウンセリングについては、インフォームド・コンセントの議論が終わった後で まとめさせていただきたい。その区分けは今のところは、まずできるだけインフォーム ド・コンセントをしていただく情報をここで挙げさせていただくということで案をつく らせていただきましたが、よろしいですね。事務局の方でもそういう対応で。  何かほかにいかがでしょうか。ご発言いっぱいあると思うんですね、この部分は。で すからこの部分は、全体的に一番大変なところが1ページに書き込まれてしまっている ので、これについてはまた……。 ○町野委員  非常に初歩的な、もしかして私聞き落としたかもしれないのですが、一番最初の主体 のところで2つ挙がっていますよね。担当医師と医師。片方がインフォームド・コンセ ントで片方がカウンセリングかなと思って聞いていたんですけど、そうではないんです か。 ○矢崎部会長  これですね。行う担当医師は、下の望まれる条件として3行が入っているので、この 医師が分かれているのではないです。 ○町野委員  そうですか。それは聞き落としていました、すみません。ということは、一人でもい いということですね。 ○矢崎部会長  そういうことです。 ○町野委員  そうですね。その人がインフォームド・コンセントもカウンセリングも行うという趣 旨なんですか。わざわざカウンセリングと書いてあるので、私はこっちにかなり重きが あるのかと思って聞いておりましたのですけれども。 ○矢崎部会長  説明は専門知識を持った方に説明していただくと。ただ、この趣旨は、担当医とクラ イアントのご夫婦だけの中で生殖補助医療が行われないように、透明性を保つ意味で、 専門委員会でこういう説明を受ける機会を保証するということになっていると思いま す。ですから恐らく担当医だけ一人でインフォームド・コンセントでそれで済むという ことではないと。生殖補助医療はですね。 ○石井委員  カウンセリングは別にあるんですよね。 ○矢崎部会長  ええ。そういう意味で、第三者でしょうか、担当医とご夫婦以外に、透明性を高める 意味で、それがカウンセラーの方に入っていただくか、どういう形になるかは今後検討 していかないといけないと思います。 ○吉村委員  町野先生は、多分カウンセリングということで非常に気になられたと思うんです。カ ウンセリングというのは心理カウンセリング、遺伝カウンセリング、様々なものがあり ますが、これはカウンセリングマインドを持った医師であるということです。イン フォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容ということになりますと、こ の上に書いてあるカウンセリングは全く違ったカウンセラーがやることになると思いま す。 ○平山委員  カウンセリングの主体については、また今後の検討事項で議論になるところであると 思いますけれども、基本的な考えとしては、インフォームド・コンセントというのは、 あくまで既成の事実のきちんとした説明と同意のプロセスですよね。  一方、カウンセリングというのは、例えば説明は受けたけれども、例えば治療の意味 であるとか、この治療が今後の人間関係にどんな影響を与えるかとか、そういうことに ついて、実際のクライアントと一緒に考えていくプロセスであって、他の情報提供とは 全く異なるものというふうに、非配偶者間生殖医療におけるカウンセリングはそういう ものであろうと思います。  内容については、また検討課題の中で検討をしていくことだとは思いますけれども、 例えば治療がうまくいかなかったらどうなるだろうとか、生まれてきた子の後の問題に ついてとか、そういうことについても、どうしていくかということを本当にクラアント さんと一緒に考えていくプロセスがカウンセリングであって、インフォームド・コンセ ントとは全く別のプロセスであるという理解をしていただきたいと思います。それをす るのが、ドクターが本当にやっていけるのか、あるいはほかのカウンセラーと呼ばれる 人たちがやっていくのか、また、ナースやソーシャルワーカーと呼ばれる人たちが入っ ていくシステムをつくっていくのかということについて、今からここで検討していこう という状況だと思います。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。 ○町野委員  一番最初のところで、私は誤解しておりました。今ので大体わかりました。先ほど矢 崎先生が、カウンセリングのことも透明性を確保すると言われたので、また再び混乱し たのですけれども、それはここでの問題ではないですね。 ○矢崎部会長  ごめんなさい。私の説明がまずくてすいません。 ○町野委員  それから、石井さんも言われたので、カウンセリングも2つ入っているから、切りわ けた方がいいと言われたので、ますます私はわからなくなったところがありまして、そ うするとこういうことですか、一番最初のスタートのところで、担当医師であって、こ の医師はカウンセリング・マインデッドであるものが望ましい、そういう趣旨なんです ね。 ○吉村委員  そういうことです。 ○町野委員  これを見ますと、アンドかオアかわからないしというので、かなり長いこと悩んでお りました。わかりました。 ○矢崎部会長  すいません、私の説明も要領を得ない説明で、平山委員が言われたように、情報開示 ということで、それがメインになる。 ○古山委員  今の町野先生の疑問に追加するようなことですが、説明の主体のところでは、担当医 師の望まれる条件として3行あるわけですが、ずっと長いのがあって、「習熟した医 師」というのが非常に漠然としているんですね。ですから、これを先ほど荒木先生が おっしゃったように、産婦人科学会認定産婦人科専門医であると同時に、今、産婦人科 学会で検討されている生殖遺伝カウンセラーの資格を持っているというような、具体的 な資格を「習熟した医師」の後に、そういう人が望ましいと入れるとわかりやすくなる のではないかと思うのですが。  生殖遺伝カウンセラーというのは、荒木先生、これは医師を対象にしているんです ね。○荒木委員  医師です。 ○古山委員  ということですね。そういうふうな表現にすると非常にわかりやすくなるのではない かと思うんですけれども。 ○矢崎部会長  よくわかりますが、こういうところにそういう文言がなじむのですか、どうでしょう か。なじまないのではないでしょうか。というのは、学会の認定医あるいは専門医と いっても、必ずしもこういうものになじむ資格であるかどうかということもございます よね。できれば、あいまいもことしていますが、カウンセリングマインドを持ったと いっても、なおさらわかりにくくなりますから、「習熟した医師」ということでご勘弁 いただければ。 ○鈴木委員  また蒸し返すようですが、今ずっと読んできて、要するにこういった提供の受けられ る人はこういう人ですよという条件についてもきっちり説明をしましょうという趣旨で すべてが羅列というか、だっと書いてあるわけですよね。それはもちろん賛成ですしわ かるのですが、だとすると、これを医師が説明するのは恐ろしく大変だろうと単純に 思っております。一番最初の説明の主体が「医師」と限定されていること。そこで多分 後で、例えば心理カウンセラーですとか、先ほど才村委員がおっしゃっていたソーシャ ルワーカーの方がどこに入ってくるのか、そういう問題もあると思いますので、ここは 後でぜひ整理していただければと思いますけれども。  もう一つ、インフォームド・コンセントとオリエンテーションは違うのではないかと 私は思っております。ここに今条件として書いてあるのは、インフォームド・コンセン トというより、これの実施前に、こういうふうに、今このことが希望する方に、まずや るかどうかを決める前にいろいろオリエンテーションをしなければいけないわけですよ ね。その後に、もっと詳しい医療情報が入ってくるのではないかとも思うんですけれど も、必ずしも、この条件に関しては、医師が説明しなければならないというふうには私 は考えませんでしたが、これも後でご検討ください。 ○平山委員  この後で、9ページに「説明する方法は?」というところで、事務局で考えてくだ さっているみたいなので、それで考えてもいいのかなと。医師がとりあえず説明を、今 の事項を全部説明すると。だけど、一回で全部ができるわけでもないし、やってもなか なか理解が得にくい場合には看護師等の専門職を使って繰り返し説明するというふうに 書いてあるので、それのところでちょっと話し合った方がいいですか。 ○矢崎部会長  私個人はできるだけ担当医から、あらゆる情報、説明を受けた方がお互いの信頼感に もつながるので、書かせていただいた方がいいのではないかと思いますが。 ○石井委員  私も確かなことはわからないのですが、これだけの情報が与えられるということにつ いて責任を負うのは担当医師であって、具体的に説明するのはそれぞれの項目にふさわ しい体制が医療機関でとられると、それでもいいのではないか。必ずしも医師が、先ほ どカウンセリング等の切りわけという形で申しましたのですけれども、親子関係につい て、産婦人科のお医者さんよりは、子どもとの親子関係がどうなるのかというようなこ とについては別の方が説明される方がふさわしいこともあるだろうし、私の観点からい けば、先ほどの出自を知る権利に関わって、親子関係がどうなるとか、法的な問題等々 についても説明は必要なのではないかと思うのですが、それが医師がうまくできること なのかどうかというようなこともありますので、必ずしもすべてを医師が説明するのが いいかどうかというのはわからないと思っています。 ○矢崎部会長  本来は医師がすべて説明できるような人がやらなければいけないかと思いますが、 今、現実的にはおっしゃられたとおりでありまして、それについては、また後で議論す るということで、今コメントいただいた点は、また再び検討したいと思います。一応こ ういう条件その他については書かせていただくということでよろしいでしょうか。 ○町野委員  終わりかけたところで申し訳ありません。先ほど石井さんが言われた最後のことです けれども、それは私も気になっておりまして、子どもの権利、法的地位についての説明 は必ずなければ私はいけないだろうと思いますから、それは別の項目を起こした方がい いと思います。もちろん、これ、かなりのところ未確定ですし、親子関係等について、 まだ別のところで議論しているわけですから、そういう問題はありますけれども、それ は別の項目を必ず立てなければ私はいけないだろうと思います。  もう一つは、先ほどのことですけれども、「主体」と書いてあるので、実際にやらな ければいけないように普通の人は読んでしまいますから、その人がいろんな人をお願い して一緒にやるとか、その人に任せることはあり得るわけですね。ですから、そこら辺 のところを理解したような書き方にしていただければと思います。 ○矢崎部会長  それは事務局でうまくやっていただくということで、おっしゃるとおりだと思いま す。繰り返しになりますが、2の項目と3の項目は独自にまた案を書かせていただくと いうことで、単なる提供の条件の中で済まされる問題ではないかもしれませんので、こ れはまたご議論をいただこうと思います。よろしいでしょうか。  それでは、6ページの(C)ですね。 ○桑島室長  6ページの(C)精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性の一致等の条件 について  ・ ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望   があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来   ることとすること(合わせられない場合もあること)。  ・ Rh不適合型妊娠の可能性もあること。その際に起こり得る胎児溶血性疾患等に   関する医学的な事項、またその際の医学的な処置について。  ・ 提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・   卵子・胚の残りを第2子のために使用することについて。(これはまだペンディン   グでございます)。  ・ 精子・卵子・胚の提供を行った結果、子どもが生まれたかどうかについては、提   供者の希望がない限り知らせないこと。  この部分につきましても、第1課題のところでご議論いただいたところでございま す。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  これは1番目と2番目は決着がついたところですが、3番目、4番目、これはどうで したか、吉村委員。 ○吉村委員  3番目はまだです。 ○矢崎部会長  この項目は提供者への内容に入りますか。提供された精子・卵子・胚を使用して第1 子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することに ついて。 ○吉村委員  これは先生、大事なことではないでしょうか。要するにこの医療を受ける夫婦ですか ら、その夫婦にとっては同じ遺伝子を持った、例えば同じ人から卵をもらえるのか、同 じ人から精子をもらえるのかということですから、極めて重要なことだと思います。こ れはペンディングなのですが、これはあってもいいのではないかと思います。  4番目も提供者に知らせるんですかということは、クライアント夫婦はお思いになる のではないでしょうか。 ○矢崎部会長  これは裏を返せば、提供者の希望があった場合には知らせますよということですか。 ○吉村委員  そういうことですね。 ○矢崎部会長  これは文章が逆のような気がしますけれども、提供者の希望があれば知らせることも あり得ると、逆の方がわかりやすいかもしれないですよね。3番目は、いかがでしょう か。インフォームド・コンセント、属性の一致で、第2子を。 ○石井委員  第2子を希望されてきた場合に可能性があるという説明をするということなのではな いですか。 ○吉村委員  結構これは多いと思います。 ○矢崎部会長  そうですか。 ○吉村委員  ええ。 ○矢崎部会長  そうすると文章を直した方がいいかもしれませんね。今、石井委員が言われた。 ○石井委員  これはでも全部の問題です。ここだけではないんです。 ○矢崎部会長  ここだけでも済ませた方がいいのではないかと思うんですね。 ○吉村委員  要するに、第1課題で決まったことをそのまま文章にとってきております。ですか ら、そういう観点には皆さんの質問もそういうことなんですけど、これはそのように書 き直すのであれば、全部をそういうふうにしないと何となく整合性がとれなくなります よね。 ○石井委員  ここだけはすべて直しておく。 ○矢崎部会長  課題1の場合とここに出てくるのとちょっと提供を受ける側ですから。 ○石井委員  そうすると、3番目だけですと、1番も合わせられるのはABO式だけであって、ほ かのことは希望は入れられませんよという、そういう説明の仕方をしなければいけな い。 ○矢崎部会長  3番目は必要ですかね。 ○鈴木委員  3番目、こういう理解ですよね。精子あるいは卵子をいただいて、私たち夫婦の胚を つくりましたと。1回目の胚移植で子どもができて、胚が残ったので凍結保存しておい てくださいと。それを第2子に、2年後、私たちが使いたいということができますよ と、あるいはできませんよということは説明しなければいけないわけですよね。できる か、できないかは、たしか前回の話し合いで、提供者の拒否権というのでしょうか、撤 回が可能かどうかという話がまだペンディングになっていたということではなかったで しょうか。ですから、とっておけるのか、とっておけないのかということ。仮にとって おいたとしても、提供者がノーと言ったら、2年後使えないことはありますよという話 は説明しなければいけませんよね。 ○矢崎部会長  そうですね。そういうふうに文章を直していただくと、鈴木委員と。  3番目は文章として理解できないので、3番目をとるか、あるいは特殊な場合と思い ましたが、吉村委員のお話ですと、結構希望者があるということですので、今のような 趣旨で文章をわかりやすくしていただければ、お願いします。  では(D)。 ○桑島室長  それでは6ページの下、(D)その他の条件について  ・ 提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄すること   。  ・ 提供された精子・卵子の保存期間は2年とすること。  ・ 提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを   受精させて得られた胚は、ともに保存期間を10年間とすること。  ・ 保存期間を超過した場合の取り扱いについて(提供者に返却する、廃棄する等)   。  ○矢崎部会長  これは第1課題で検討しましたので、一応済まさせていただきます。 ○鈴木委員  これも確認です。今と同じ話ですが、提供者の死亡が確認されたときは、提供によっ てできた私たち夫婦の胚は廃棄されるということですよね。 ○矢崎部会長  はい。 ○澤委員  胚の場合は、お二方いらっしゃる、ご夫婦が。この中ではどうとらえるのですか。ど ちらかがお亡くなりになった。デボース(離婚)したらどうするんですか。 ○矢崎部会長  死亡した場合は廃棄ですよね。離婚された場合は当事者間の、法律といいすか、ガイ ドラインで決めるあれではないような気がします。 ○鈴木委員  というより、そこは話し合っていないのだと思います。ここの部会で。 ○矢崎部会長  話し合う課題かどうかということですけれども。 ○鈴木委員  話し合あわなくてよいのでしょうか。 ○矢崎部会長  死亡だけは決めておかないといけないと。それから保存期間ですね。配偶子の場合に は保存期間2年、胚の場合は10年、そういう理解でしたよね、吉村委員。 ○吉村委員  ちょっと前のことなので忘れましたけど、専門委員会では離婚したときのこともやり ましたよね。 ○石井委員  提供のというイメージ……。 ○吉村委員  片一方でも同意が得られなかった場合は使えないのでしたよね。そうではなかったで すか。 ○石井委員  そういうことですね。 ○吉村委員  そうだったですね。例えば精子を誰かから提供を受けて、ご夫婦で妻の卵子を使って やった場合に、胚をつくって、妻に戻した場合に、そのご夫婦が別れた場合には、夫が 使ってはいけませんと言ったらば使えないんでしたよね、胚は。 ○石井委員  離婚してしまったら、ここでは……。 ○吉村委員  使えないですね。離婚したら法律上の夫婦ではないから。 ○石井委員  そうではなくて、提供した夫婦が離婚した話ですよね、澤先生がおっしゃっているの は。 ○澤委員  そうそう。胚の場合提供するのはあくまでもカップル。もうすでに子をもつ 法的な夫婦。ですから保存期間10年とはいえ、さまざまな要因がからんでいる可能性 は 高いと思うのです。 ○石井委員  どちらかが亡くなったら廃棄という趣旨ですね。 ○矢崎部会長  それはそうですね。 ○石井委員  離婚は廃棄自由にならないでしょうね。 ○矢崎部会長  ならないでしょうね。 ○町野委員  一回も議論してないなら、どこか別のところで議論せざるを得ないと思いますけれど も、私は廃棄自由にならないと思います。死んだ人の子どもができるというのがだめだ という考え方ですから、離婚しても両方生きているんですから、このことは直接の関係 ない。だけど、議論すべきだということだったら、議論しなければいけないだろうと思 いますけれども。 ○矢崎部会長  これは提供の場合に両方の同意というのがたしかあったような記憶があるのですが、 これは受ける側ですから、法律的な夫婦に限りますから、離婚というのは提供側の問題 ですので、これについてはまた。休憩を今から10分間とって思い出します。2時50分か ら再開しますので、時間厳守で再開させていただきます。よろしくお願いします。                     (休憩)                   (再開) ○矢崎部会長  それでは、お約束の時間参りましたので、後半戦といいますか、あと1時間頑張りた いと思います。  先ほど澤委員から離婚の問題提議されまして、町野委員から議論はしておいた方がい いのではないかということでございます。 ○町野委員  ここでという趣旨ではないです。 ○矢崎部会長  わかります。どうも言葉が足りないで、すいません。 ○澤委員  十分理解いたしました。 ○矢崎部会長  これについては、事務局から、後ほど議題に入るようになっていますので、そのとき に専門委員会で離婚の問題、デボースしたご夫婦がどうするかということを少し議論す るように議題として取り上げたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、7ページの3から始めます。 ○桑島室長  7ページ3のところでございます。 (1)インフォームド・コンセント、カウンセリングの手続等について  ・ 同意を実施する具体的な時期や手続き方法等について  ・ 提供を受ける者、提供者に対する同意は共に、当該同意に係る当該生殖補助医療   の実施前であれば撤回することができること。  ・ 同意の撤回により提供を受ける者は何ら不利益を被るものではないこと。    ただし、卵子提供による体外受精・胚移植の場合、提供者がhCG注射後に提供   を受ける者の同意の撤回等により、採卵せずに卵胞刺激を中止すれば、提供者にO   HSSの発生等のリスクが伴うこと。  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助   医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、同意書を公的管理   運営機関に提出しなければならないこと。  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦は、当該生殖補助医   療の実施に際して、当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリ   ングを受ける機会が与えられること。  以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございます。これは先ほどちょっと議論になったインフォームド・ コンセント、カウンセリングの区分けとかそういうものがはっきりしないということ と、カウンセリングが後で出てきますよね。これは位置的にどうでしょうか。  私、前もって事務局と十分議論詰めるべきでしたが、(ア)は夫婦に対する説明です よね。10ページの(イ)が提供する人に説明すると。 ○桑島室長  資料2をごらんいただくと構成が、1枚紙で配付しておりますけれども。 ○矢崎部会長  わかりました。 ○町野委員  ここは、これを全部組み直すのはかなり大変なことなので、順番にやっていかれて、 それからもう一回考えられた方がいいというのが私の意見ですけれども、これを今から どこに組み分けるかとか、そういうことやるとかなり大変だと思いますので、最後まで やれば、ある程度見当がつくのではないか。 ○矢崎部会長  貴重なご意見ありがとうございました。それを委員の皆様が納得していただければい いんですが、また……。 ○石井委員  第二ラウンドが絶対必要だということですね。 ○矢崎部会長  そうですね。ただ、最初から結構細かいところまで議論していたので。  それでは、今ご意見いただきました(1)については、手続ということで話を進めさ せていただければと思います。今、室長からお読みいただきましたが、いかがでしょう か。○石井委員  説明の内容の中でと先ほどおっしゃったんですけれども、最初の方は提供する側につ いての説明としては必要なのですが。 ○矢崎部会長  ちょっとわかりにくいですね。受ける側。先ほどの鈴木委員の言われるように、最初 の3つぐらいは、提供者がこういうことですよということを提供を受ける方にも手続と してですか。私も詰めておけばよかったのですが。 ○吉村委員  先生が迷われるのはわかるような気もするのですが、お金も払うのに、注射も打って 途中でやめてしまったのと思われるクライアントの夫婦が当然お見えになるわけです ね。その場合には、提供者がこういう条件でやっていますので、ですからこういったこ とも理解してもらわないと困りますよということは十分クライアント夫婦に言う必要は あるわけですね。ですから、その場合に注射を打たないでやめたのですけれども、提供 者はOHSSになるかもしれないですね。そういう場合に、その医療費はクライアント 夫婦が持たなくてはいけないかもしれないわけですね。当然のことながら、誰が持つわ けにもいかないし、医療機関が持つわけにもいかないですから、そうしますとそういっ たことも十分言っておかないと、こういう医療はできなくなりますね。  ですから受けるクライアントの夫婦は、途中でhCGをとめるのも提供者の自由です し、しかし、それに対して医療費は払わなくてはいけないことも責任としてあるわけで すね。その辺を理解してもらわないとだめなので、こういったことはお話ししていくこ とは大切なことですね。 ○矢崎部会長  わかりました。そうしますと文章がわかりにくくて、実施前であれば、撤回される場 合があるとか、要するに提供を受ける側からの文章でないと、これは提供者側の文章に なっていますので、提供を受ける側の方のインフォームド・コンセント。そういう意味 で、先ほどもそうですが、そのまま提供者の条文として入っていたものがこのまま来て しまいましたので、事務局でわかりやすい文章に直してしていただければと思います。 本筋は、今、吉村委員がおっしゃったことに私全く賛成でございますが、文章からこの 場所での位置づけが読み取れなかったのですが、文章を直せば趣旨に合うと思いますの で、よろしくお願いいたします。  では(2)お願いします。 ○桑島室長  (2)実施医療施設の施設・設備の基準について  ・ 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定基準に基づき、提供された精子・卵   子胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ   、当該生殖補助医療を行うことはできないこと。 ○石井委員  そういう施設に来て、今、まさに受けようとしている。 ○矢崎部会長  このままお認めいただいて、指定の基準とかその他についてはまた議論を。 ○荒木委員  国が指定した医療施設でなければ、生殖補助医療を受けることはできない。生殖補助 医療の具体的な内容と項目は決めてありますか、今までの議論では。 ○矢崎部会長  これは提供配偶子による生殖補助医療。 ○荒木委員  それだけですか。 ○矢崎部会長  ええ。 ○荒木委員  わかりました。具体的にそういうふうに書いた方がよろしいのではないでしょうか。 これは誤解されやすいのではないでしょうか。生殖補助医療一般のどの部分がというこ とを。 ○矢崎部会長  でも最初に「提供された」というのが入っていますので、それは誤解ないのではない かと思いますが、ただ、第三者配偶子以外の生殖補助医療もそうすべきかどうかという のはまた議論が別で、提供配偶子に限って、今回は。では4をお願いします。 ○桑島室長  4.管理体制について  生まれた子が知ることができる生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的 な内容について  この部分はかなりペンディングではございますけれども、  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人は妊娠していないこと   を確認できたことを除き、当該生殖補助医療を行った医療施設は、上記により保存   している個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人が当該生殖補助医療に   より生まれた子に開示することを承認したものを公的管理運営機関に提出し、公的   管理運営機関は当該情報を管理すること。  ・ 公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子   ・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために必要な一   定の期間保存すること。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○吉村委員  私、これはおかしいと思うんですけれども、開示することを承認したものだけは、子 どもに知らせることができるのですけど、情報はすべて公的管理運営機関に保存されて いるのではないですか。開示する否かは別として、ですからこれはおかしいと私は思う んですけど。 ○矢崎部会長  そうですね。それはそれをすべて認めていただいた上で提供していただくということ ですよね。 ○吉村委員  情報は保存されておくけれども、開示するかどうかは別ですよね。まだそれはこの部 会で決まっていませんので、どの程度まで開示するかどうかはわかりませんけれども、 情報は全部持っておくということではないのでしょうか。これはちょっと違うような感 じするのですけど、どうでしょうか。 ○金城委員  吉村先生のご意見に賛成です。これは仮に、私は出自を知る権利を完全に認める方向 で検討していただきたいと思いますけど、万が一そうでなくても、時代が変わるにした がって、これは開示の方向に行かざるを得ないわけです。ですから、そういう意味では すべての情報をきちんと管理しておかなければ、そういう時代の変化に対応していけな いと思います。 ○石井委員  これは文章が抜けたのではないですか。 ○才村委員  この情報の管理ですけれども、どれだけの情報を管理するかどうかという論議は最初 からしているかどうかということがあると思うんですが、すべての情報をまず管理する のだということが前提になっているのかどうかということ。というか、情報の時代です から、本人がそこは保管されたくないといった場合に、それはだめだということで、全 部管理するのだということになるのかどうかというところを押さえないといけないかと 思います。 ○谷口母子保健課長  この部分については部会の中で検討課題3になっておりますので、十分な議論がなさ れていないところでございますけれども、専門委員会報告の中でまとめていただいた文 章をそのまま実はここに書いておりまして、その時点ではこういうことになったという だけの話でございまして、これを受けて、今後検討課題3の中で、確かに情報はすべて 公的管理運営機関の中で管理をし、承認したものだけが公開するとか、という議論は当 然この部会の中で議論していただければそれで十分かと考えております。とりあえずペ ンディングという形で今のところは進めさせていただいてもいいのかなと思っておりま す。 ○矢崎部会長  ですから吉村委員の言われるように、開示がされないのが1万分の1になるのか、2 分の1になるか、確率が、先ほど万が一と言われましたけれども、万が一ではなくて、 出自を知る権利は今後大きな問題でございます。したがいまして、これは文章を、情報 をすべて管理するということで、公開は、出自を知る権利で随分喧々諤々とやりまし て、ともかく知らせるべきだという、この部会で決まりかかったところを、やっぱり提 供する方のプライバシーの権利を認めるべだというお話もあって、そこでせめぎ合いが 中途半端になっています。どちらが勝つかどうかは別としまして、その準備として、今 言われたように、全部情報を管理すると。ですから提供した方は全部情報が管理される ことを承知の上で提供していただくと、課題1ではそういう方向にまとまったのではな いかと理解していますが、吉村委員が言われたように。  たしか、町野委員、そういう……。 ○町野委員  私は言った覚えはないですが、まだペンディングの部分ありますから、これは何もか もずっと書いてありまして、これですと、まさに委員会が決めたことを全部説明しろみ たいに聞こえますから、かなり削るべきものもあるし、もしかしたら、つけ加えること もあるかもしれませんけれども、一応それはそのことを含んだ上で先に進まれた方が、 このままでは永遠に終わらないのではないか。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。私もそれを心配していて、ここで変えられれば変えようと 思ったんですが、先ほど課長が言われたように、一応全部管理するけれども、公開は時 代とともにどの程度まで公開するかというのは変わっていくと思いますので、これは専 門委員会の報告よりちょっと進んで、先ほど課長の言われたような感じで文章を変えて いただけますか。7ページの最後のところは、一応ペンディングにしますけど、大体そ ういう方向でまとめさせていただきたいと思います。 ○鈴木委員  これも確認ですが、ここは提供者の情報だけでなく、どこの誰それが、誰それ夫婦に あげましたという、双方の情報が管理されるということですよね。要するにあなたたち 夫婦が誰それからもらったという記録がどこかに残るのだということがクライアントに 伝わることが重要だということですよね、もう一つ。提供者が誰がという情報だけでは なくて。 ○矢崎部会長  そうですね。それは当然把握していかなくてはいけないので、それを文言として入れ るべきかどうか、事務局と。  それでは、「その他について」ということで、よろしくお願いします。 ○桑島室長  8ページ5でございます.その他について (1)条件整備等について (@)守秘義務について  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関わる者が、職務上知り得た人   の秘密を正当な理由なく漏洩することは禁止されていること。 (A)親子関係の確定について  これは現在法制審の方で検討されてございます。 (B)提供により生まれた子の出自を知る権利について  ここもペンディングが多いわけでございますけれども、  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、そ   の子に係る精子・卵子・胚を提供した人関する個人情報のうち、当該精子・卵子・   胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提   供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができること。  ・ 生まれた子が当該権利を行使するためには、親が子に対して当該子が提供により   生まれた子であることを告知することが重要であること。  ・ 当該精子・卵子・胚を提供した人は当該個人情報が開示される前であれば開示す   ることを承認する自己の個人情報の範囲を変更できること。  ・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わ   らず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を公   的管理運営機関に求めることができること。 ○矢崎部会長  ここまでで一応。(@)、(A)はよろしいかと思いますが、(B)の出自を知る権 利で、これは専門委員会のままの条文ですが、さっきからのご議論にありますように、 検討課題1では、最終的な結論はついておりませんで、ご意見としては個人の特定がで きる情報を開示すべきだということと、提供者のプライバシーを守る意味で個人情報を ある制限を持って開示するという2つの案があって、外国の事情をお聞きしますと、全 部開示すべきだというところはまだなくて、一部提供者の希望によって提供する情報が 制限されてもやむを得ないという条項が入った例が多かったと思います。出自を知る権 利を完全に守るには、提供者すべてに情報が将来開示されますということを承認を得た 上で行わなければならないということになるかと思います。そうした場合に本当に提供 された配偶子ないしは胚による生殖補助医療ができるかどうか、実際上の現実的な問題 があるので、そのことも十分考えながら議論を進めていきたいと思います。 ○高久委員  よろしいですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○高久委員  この場合に変更を可能にしたら、直前になって、何も知らせてくれるなという変更も できるわけですね。これを残したら。 ○矢崎部会長  はい。 ○才村委員  「子の出自を知る権利」のところで議論してもらったらいいのですけれども、「成人 後」というところも一緒に議論していただきたいと思います。年齢的に私は20歳以上だ けではなくて、子どもの年齢も知る権利があると思いますので、お願いいたします。  それとこれを全部担当医師がやるとなるとなかなか難しいのではないかと。全部に習 熟といいましても、この後で議論もあると思うのですけど、養子縁組とか先ほど言いま した里親制度についてのこともインフォメーションとして入れてもらうべきだと思うん ですけれども、それらをすべて担当医師がやるのはちょっと無理があるのではないかと 思いまして、そこのところの議論もまた戻ってお願いいたします。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。確かに「成人後」というのはありますね。それと高 久委員が言われた3番目ですね。 ○桑島室長  部会長申し訳ございません。ここに出させたいただいた文章は、実は先ほどもござい ましたけれども、専門委員会の文章をそのまま持ってこさせていただいておりますの で、ある意味では、課題1で整理をさせていただいたものを持ってこなくちゃいけない のかもしれませんけれども、ペンディング部分が非常に多かったものでこういったもの を使わせていただいておりますので、もう一度整理をして出させていただいた方がよろ しいかと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございます。ただ、ペンディングは、案1、案2、案3で膨大な資 料になってしまいますので、一応ペンディングということでしましたが、確かに3番目 の高久委員の言われたのは、変更できることということではなくて、変更できないこと の方がいいかもしれませんね。成立した後では。  今、問題提起された、本当に担当医がやるべきものかどうかということと、出自を知 る権利を完遂した場合の現実の医療としてどうでしょうか、吉村委員から。 ○吉村委員  これは今話す状況ではないと思うんですが、出自を知る権利も結論は永遠に出ないで すね。10年後、20年後には出るかもしれませんが、現実には非常に難しいと思いますの で、専門委員会でも3〜4回を出自を知る権利に使ったぐらいですので、ですから、現 実面を言いますと、恐らく提供者は当然いなくなるだろうと思います。兄弟姉妹のみに なってしまうだろうと思います。そういった質問の答えでよろしいのでしょうか。 ○矢崎部会長  はい。 ○石井委員  出自を知る権利について、検討課題1で決まった内容について、ここでは説明すると いうことの内容だけで進められた方がよろしいのではないでしょうか。もし出自を知る 権利があるということをきちんと説明をするということは必要だと思うんですね。知る 情報はこういうことですよというよりは、子どもにはこういう権利があるのですよとい うことをよく説明しておかなくてはいけないということは必要なのだと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。ですから、ここの項目を少し考えさせていただきたいと思 います。どういうことかというと、私も石井委員が言われたように、情報が開示されま すよということを承知の上で、補助医療を受けてくださいということはここの重要な項 目ですよね。細かい云々ということは、課題1の出自を知る権利のところでペンディン グのところも、またもとに戻ってそこで決めさせていただくと。ありがとうございまし た。  担当医がやるべきことかどうかというのは、これはすべて担当医がやるべきか……。 主体はここまでかかってくるのでしたか。担当医がやるべきことで、きついけれども、 要するに個人が特定される情報も開示されることもありますよということは担当医が説 明しておいた方がいいですね。細かい、子の出自を知る権利については、課題1の方で 説明する。そうしますと(B)は、課題1のところで、子の出自を知る権利について述 べるとともに、そういう情報が将来開示される可能性があることを十分承知の上で医療 を受けるということを加えさせていただくということでよろしいでしょうか。  それでは(C)の「提供者の権利について」ということでお願いします。 ○桑島室長  (C)提供者の権利について  ・ 提供者は、提供を受ける者や提供により生まれた子を同定できないこと。  ・ 提供者に知らせるのは感染症の検査の結果や採取された精子・卵子・胚の成熟度   や数、もしくは提供可能な当該数等の事項等に限られ、精子・卵子・の提供によっ   て受精卵が得られたかどうか等の事項は一切提供者に知らされないこと。    また、提供により提供を受けた者が妊娠・出産に成功したかどうかは、提供者の   希望がない限り知らせないこと。  ・ 提供者は、提供に関する同意の撤回ができる以外には、提供したものやその結果   生まれた子に対して何ら権利を有せず・義務を負わないこと。  以上でございます。 ○石井委員  これも違いますよね。 ○桑島室長  そうですね。 ○矢崎部会長  これはいかがでしょうか。今までの文章も、ここは提供を受けた方の、受けられる方 の立場に立った文章であるべきところが、提供者に対する言葉となっていますので、 ちょっとわかりにくい点があるんですね。この1番目、2番目、3番目もちょっとわか りにくい。いかがでしょうか。 ○石井委員  今申しましたのですが、これは第1課題のところの文章とも違いますし、提供する人 の希望があれば、子どもが生まれたかどうかも知らせるという可能性もあるということ 等があるかと思います。 ○矢崎部会長  提供者の希望がない限り知らせないことは、先ほどと同じように、提供者の希望があ れば知らせる可能性があるということですよね。 ○町野委員  わかりにくいのはここだけに限ったことではございませんので、正直言いまして。恐 らく全体的に最後に私はやり直さなければいけないと思います。 ○矢崎部会長  それは当然ですね。 ○町野委員  同時に、だから、1つ1つ直していたら恐らくきりがないし、しかも前に前提問題と して解決がついてないところも随分あるわけですから。 ○矢崎部会長  そうですね。ありがとうございます。それでは少なくとも二重否定になる、否定文を 否定するという文章というのはわかりにくいので、そういうのも出てきますので変えさ せていただきます。これは一応議論を済んでいますので、議論の済んだ方向に直させて いただくということにいたします。  では(D)お願いします。 ○桑島室長  8ページの一番下でございます。(D)予期せぬ事態における責任の所在等について  ・ 提供者に対して行った検査・医療行為の過程において、副作用等の問題が発生し   たときの責任の所在、具体的な補償について。  ・ 提供を受けるもの対する検査・治療の過程において、副作用等の問題が発生した   ときの責任の所在、具体的な補償について  ・ 予期しない生存児(突然変異の遺伝病、染色体異常、形態的な先天異常等)の生   まれる可能性について。その場合でも、生まれた子どもに対する義務・権利は提供   を受けた夫婦が持ち、提供者には当該義務・責任は認められないこと。 ○矢崎部会長  これはペンディングのサインがないんですが、これは議論終わったのか……。これは どこから入ってきた文章なんですか。専門委員会の文章ですか。 ○吉村委員  これは私がインフォームド・コンセントのことで述べた。 ○矢崎部会長  吉村委員の資料ですね。思い出しました。 ○吉村委員  これは町野先生にお聞きしたら、「予期しない」というのは正しい訳ではないという ふうにして、「ロングフル」というんですけど、日本語がないので、どういうふうにし たらいいのかちょっとわからなかったのですが、インフォームド・コンセントの厚生科 学研究でやったときにこういうことを。 ○矢崎部会長  矢内原班の。 ○吉村委員  そうです。 ○矢崎部会長  そうですね。思い出しました。どうも失礼しました。 ○古山委員  予期せぬ事態の中に胚の取り違いは入りますか。実際にそういうことはあるのだろう と思うのですが。 ○矢崎部会長  そうですね。あれは医療過誤の中に入っちゃいますね。 ○石井委員  予期しないではなくて、それはそうですけれども、それでも責任は認められない… …。 ○矢崎部会長  そこまで予想していなかった。吉村委員、「補償について」、「……ついて」という のはインフォームド・コンセントの内容にはなってないですよね。 ○吉村委員  これは私の文章と同じですか。前のことだから忘れました。提供者に対して行った検 査・医療行為の過程において、副作用の問題が生じたときは、クライアント夫婦が責任 を負うとか、具体的に補償をするとかというような文章だったと思うんですけど。検 査・治療の過程において、副作用の問題が起きたときは、クライアント夫婦がその責任 を負うというふうだったと思います。 ○谷口課長  確かに吉村先生からいただきました文章をもとに、事務局で文章の特に末端の方など を少し調整をいたしましたけれども、基本的にこの議論がまだ部会の中で十分にこなれ ておらない時点で決めを打つというのはなかなか我々としては辛うございまして、この 辺につきましては、議論があれば、まさにここでやっていただいてよろしいのではない かと、むしろ我々としては思っているところでございますが。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。それでは、今、吉村委員の言われたのは大変リーズナブルな 具体的な内容だと思いますが、大体そういうことで文章を書いて、また第2課題で残っ た問題について議論するということでよろしいでしょうか。 ○鈴木委員  たしか骨髄移植の場合は、いわゆる保険というのでしょうか、移植を、もらう方が現 実にたしか1件か2件、ドナーに対しての補償というのが支払われたと記憶しているの ですが、それは財団から保険しておいたようなお金で支払われたのでないかと思ってい ます。そういうやり方も1つあるのではと思いますし、本人が負担するのではなく、も し公的管理運営機関が例えば財団のような形で運営されるのであれば、そういった何ら かの補償の基金というものせ考えられるのではないかと。  あともう一つ、結局中身については、これら全然ほかのものも話してないものも多く て、きょうの目次の確認ということでいいわけですよね。 ○矢崎部会長  いや……。 ○鈴木委員  これを話していくと、これだけでも多分時間がかかるかと思います。 ○矢崎部会長  確かにおっしゃるとおりですが、例えば1番で、今、吉村委員の言われた、確かに提 供者に対して何か起こった場合に、まだ提供を受けるご夫婦と1対1の関係にないわけ ですよね。だから、クライアントのご夫婦が補償するということも一概に言えなくて、 先ほど鈴木委員の言われた財団みたいなところが補償するとか、そういうことでないと 無理ですよね。提供者に万が一の場合。 ○吉村委員  この場合は1対1の対応になっていると思いますけど。 ○矢崎部会長  当人同士がわからなくても。 ○吉村委員  そうです。わからなくても、それはその人に提供するということになると思います。 クライアントの夫婦がなければ提供者を別に探す必要ないわけですから。例えば卵子提 供の場合特にそうなると思います。精子提供の場合にこういったことが起こることはま ずないと思います。卵子提供をこれは予想していますので、卵子提供者がそんなにたく さんいると思えませんので、例えばクライアントの夫婦でどなたがするかわかりません けれども、これは1対1の対応として考えてよろしいのではないかと思います。そうし ないと、こういった医療をやっていく上で財源がどこにあるのかということが問題にな りますし、何でも国にやってもらうということはいいかもしれませんけれども、今の日 本の国を考えるととてもじゃないけど、財政は破綻しますね。ですから、それは当然ク ライアントの夫婦がそれに対して責任を持たなければ誰が持つのでしょうか。 ○矢崎部会長  胚になった場合にはこういう問題は起こらないからいいわけですね。 ○吉村委員  そうですね。いわゆる余剰胚であればそういう問題は起こらないと思います。これは 卵子提供に限った問題で、それが様々な医学的なリスクが高いわけですから、その辺を 1対1の対応で考えていかないとなかなか難しいのではないでしょうか。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。 ○町野委員  しかし、ここでこう決めたから、法律的にそうなるという問題でもないです。こう書 いてあるから責任は負わないんだよと言っても、もしかした納得しないで、訴訟になれ ば、また話は別でしょう。ここで法律をつくるわけにまいりませんから。だから、ここ のところで法的な損害賠償の権利義務のことについて説明されようということだろうと 思いますけれども、これは不明確な点はかなりあるわけですから、それをここのところ でやるというのは、私は要らないのではないかと、全体的にそう思いますけれども、一 般的な医療についての何か損害発生したときの問題、それとは別なことがここであるな ら話は別ですけれども、別なことを今ここでやろうとするのは、また法的にはかなり難 しいし、恐らく権限外のことだろうと思います。 ○石井委員  自分が受けている医療でなくて、自分の知らないところで行われている医療につい て、責任を負うことになるかもしれないということは情報としては与えられておく必要 性はあると思いますね。 ○町野委員  かもしれないということでしょう。 ○石井委員  かなり……。 ○町野委員  そこまでやるかと。それだったらいろんなこと随分ありますからね。 ○矢崎部会長  これは矢内原班でそういう議論はあったのでしょうか。 ○吉村委員  ありました。だから、誰が負うかということは当然問題になりましたので、卵子提供 に関しては1対1の対応にならざるを得ないと。そうすると誰が負うのだろうかと。そ れは法律的な問題とかそういう問題ではなくて実際の医療費ですね。例えば入院するこ とだって当然あるわけですから、その入院費用を誰が負うのかということだってありま すから、これは当然そのときの弁護士を立ててということもちゃんと書いてあったと思 うんですけれども、その条件下で医療をやっていかないと、こういった医療は全然でき なくなってしまうのではないでしょうか。 ○石井委員  現実に1対1対応でなければできないとしても、本当に1対1対応のものとして、こ の人がこの人にあげるという医療の仕組みとして、これを理念的には考えるのではなく て、誰かにあげる。それを誰かからもらうというシステムでつくろうというものじゃな かったのかという気がするんですけれども。 ○高久委員  骨髄バンクの場合には、提供者と受けるレシピエントとはお互いわからないという原 則があります。財団がレシピエントからお金をもらって、そのお金の中から事故があっ た場合には財団が払うというシステムをとっています。ですからこの場合でも、誰がも らったかということがわかって良いのなら、それでも良いのですが、もし誰に行ったか わからないというシステムにするならば、直接もらうのは難しいですね。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。そうしますと、予期せぬ事態における補償問題については大 変難しくて、高久委員の言われるように、どこかワンクッション置くようなシステムを つくるかどうかということ、これはこの中に入れるかどうかですね。インフォームド・ コンセントの中で、一応そういうことが起こった場合に、補償をしなければならない事 態がありますよと。 ○吉村委員  例えば、私がこういう医療をしてくださいと言われたとき、一番困る問題です。例え ば子どもさん生まれまして、この子ども要りませんよと。私はそんな子どもを欲しくな かったですよと、クライアント夫婦がおっしゃった場合、これは一番大きなところだと 思うんですね。実際に施術をした人が困る問題だと思うんですね。 ○石井委員  それは絶対言っていただく必要、今、お金の問題の方ですよね。 ○吉村委員  それは当然お金の問題も大変な問題です。誰が払うと。医療側が払うべき問題ではな いと思うんです。医療側がやってほしいと言ったわけではないですから。 ○石井委員  医療側がミスがあれば医療側には必要ですね。 ○吉村委員  ミスがあればそうかもしれませんが、現実にミスがなくてもこういうことは起こり得 るわけです。例えばOHSSで入院するということは、体外受精の場合には大体7〜 8%の割合で入院ということが起こるわけですから、そういった費用をどういう人が持 つかということは、私たちの中ではこれは一番大きな問題だったんですね。 ○石井委員  骨髄移植のように保険制度を考えるということまでここで議論するかどうか。 ○矢崎部会長  なかなか、私に任されても、これは……。 ○石井委員  逆に提供する側にも、説明として、もし何かあったときにどうなるかということは説 明、今、後ですることでしょうけど、その説明は必要になりますから。そして、医療を 受ける人がちゃんと補償できる人かどうかなどということは何の保証もないわけで。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○岸本委員  1つ参考までなんですけど、これは高齢ということで非配偶者間でなくて配偶者間の 体外受精をされて、胚移植をしたのですけれども、生まれた子が染色体の欠失というこ とだったんですね。その方が言うには、たくさん受精卵がある中で、なぜ染色体のそれ を採ったエンブリオロジストか医者かわからないですけれども、私はある日、訴えた い。この責任をとってもらいたいという意見を聞いたことあるんです、そのお母さんか ら。  私も、それはどこに責任をといっても、たまたまたくさんある受精卵の中で、それを 採ったおかげで、私の子はこういう子ができた、と言って叫んでおられたお母さんの声 を聞くと、こういう場合もあるのだなということを参考までにお話させていただきま す。 ○渡辺委員  そこら辺は現実に小児科では大変な問題になっていまして、例えば染色体異常がある 赤ちゃんを新生児の医者が告知して、そして親のケアをしながらやっていくわけですけ れども、そのプロセスの中で私も関与していますけれども、もちろんお子さんを育てて いらっしゃるんですけれども、お母さんの言い分としては、かなり早い時期にエコーで わかっていたはずだと。なぜ、最後まで産ませたかという問題をリアルにおっしゃるん ですね。  今の医学ですと、割と早い時期に、特にベテランの医者は勘でわかりますから、それ をわかっていながら、親の産みたいという希望を実現しようと思う親心と、それから、 もしかして生まれた子どもが障害児かもしれないという不確定な事実とに取り組んでい く医者も大変ですし、ここら辺に関して、実験というんですか、実験としてリスクがあ るのだということをもう少し明確にしたインフォームド・コンセントにした方が私は フェアだと思うんですね。だから、そういうこともあり得ると。実験の場合、最悪の事 態をきちんと確認してやり始めた方がいいと思うんですね。  そうなるとやはり安易にやる人は減ると思いますね。ですけど、覚悟をしてやる人は 増えると思うんですね。人類の実験だと私は思いますし、生まれた子は人間ですし、命 として、受精卵として生まれたときから人間として扱うのであれば、これはこれから子 どもがもしかして生まれなくなる時代になったりしたときに、きちんと科学的に、人間 的にやる価値のある実験だと思うんですね。ですから、私はそういう意味では、お母さ んたちの本音というのをよく反映した形のインフォームド・コンセントにして、これ一 言ちゃんと覚悟させれば、親はどんな子どもでも、障害児でもいいから産んでみたいと か、育ててみたいというお母さんも結構いますから、本当に上手に育てて、本当にかい がって、今現に私が見ている子どもたちは、もう1〜2年しか生きないとわかっている けれども、一緒に親と世界旅行していますから、いろんな人生あっていいと思うんです けれども、ですから、そこら辺のリスクをはっきり出しても私は構わないのではないか と思います。 ○岸本委員  その方は5カ月ぐらいのときに出生前診断で、医者に染色体に欠失があるということ で説明を受けて、それで産む決心をされて、今は子どもさんも3つ、4つで大きくなら れているんですけれども、配偶者間であれ、体外受精するときには、そういう説明をこ こできちんとした方がいいと思います。 ○矢崎部会長  インフォームド・コンセントの内容では、そういうことをきっちり医学的事項と一般 的事項と生殖補助医療に関するインフォームド・コンセントの中ではそれはきっちり話 す、先ほどお話いただいたわけで、そういうことはそこできっちり内容を説明すればよ ろしいのではないかと思いますが……。 ○町野委員  よろしいですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○町野委員  また終わりかけたところを申し訳ないのですけれども、今の皆さんのお話を伺ってい ると、結局生まれた子どもに問題があるので引き取らないというような事態が起こりう るということが1つ問題なんでしょうね。それが最大の問題で、そのことについては、 皆様言われたとおり、そういうことは言ってはいけない。引き取っていただきたいとい うことを言うことは、私も必ずインフォームド・コンセントの内容にしなければいけな いだろうと思います。しかし、そのほかに幾つか問題があって、1つは、先ほどから話 に出ていますとおり、既に生まれる前にそのことがわかっていたということですね。そ のときに、それを中絶すべきどうかという問題が実はあって、これをしなかったときに お医者さんが責任を問われるかどうかという問題がある。むしろ提供者でなくてお医者 さんの方に責任がくるわけです。その問題と生まれた子どもに予期せぬ障害があったと きについて、またお医者さんに責任を問うということもあり得るわけですね。  あとの2つの損害賠償の問題は、ここでは決めることは到底できないし、決められな いことを説明しろというのはむちゃくちゃな話でございますから、それはインフォーム ド・コンセントの内容にしないというのが適切なので、先ほどの引き取る義務があるい うのは、それは渡辺先生が言われるとおり、私は確かにそのとおりだろうと思います。 これこそまさにインフォームド・コンセントの内容ではないかと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。8ページの最後から補償問題とか、ここまで決めるのは、吉 村先生のインフォームド・コンセントの内容としては、我々としてはそこまで踏み込め ないと。ただ、今、町野委員が言われたことに関しては、先ほどの2ページの結果につ いて、きっちりインフォームド・コンセントをすると。しかし出生前診断云々というの は、これは任せるよりしようがないのではないでしょうか。 ○町野委員  これは先ほど言いましたとおり、一般的な医療の問題ですから、ここで特にイン フォームド・コンセントしなければいけないというのは、生殖補助医療技術についてで すから、それ固有の問題ではないということは言えるわけですね。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○金城委員  言葉なんですけれども、「予期しない生存児」というのはまずいと思うんですね。 「予期しない障害を持つ子、例えば突然変異の遺伝病」とか、そういう書き方がよろし いと思うんですが。 ○矢崎部会長  これは先ほどの2ページの「生殖補助医療に関する一般的な医学的事項について」の (B)の「予想される結果等について」、これではだめですか。その中には、突然変異 の遺伝病、染色体異常、形態的な先天異常等の発生率等についてということで、もう一 回、「その他」で取り上げる。どうでしょうか、吉村委員。 ○吉村委員  それで結構だと思いますが、ここで言っているのは一般的なことですよね。例えば夫 婦間で体外受精をされました。夫婦間で顕微授精をされました。こういった一定のリス クで障害児が生まれますと。体外受精の場合には通常の自然妊娠と変わりありません。 顕微授精に関してはまだ結果は出ていません。こういうことをお知らせするわけです ね。  私たちが厚生科学研究で非常に大きな問題にしたのは、そうではなくて、精子をもら いました、卵子をもらいました、胚をいただきましたといった医療においては、特別な 感覚があり得るということです。それは欧米などでもそういうことで引き取らないと か、そういうことが非常に大きな問題になっているので、私たちとしてはこういったこ とは特に強調すべきであるといった意味で、この3番目は非常に大きなファクターとし て挙げたわけです。ですから通常のご夫婦が普通に子どもを産まれる場合とは違ってい るからという意味です。 ○矢崎部会長  それはよく理解できますが、ですから3ページの(2)で、(@)〜(B)の事項の 中で、特に言及すべき事項について(Rh型不適合妊娠等……)と書いてありますが、 このところに、先生の言われたことを書き込めばいいですね。余りここの補償をどうの とか、責任の所在を大前提に議論すると、これはなかなか難しいと思うので、イン フォームド・コンセントとしては、そういうことをきっちりお知らせすると。それでは だめでしょうか。 ○吉村委員  それでも結構ですけど、ただ、こういった現実面で起こり得るであろう医学的に考え られることをクライアントの夫婦は余り認識をされないわけです。 ○矢崎部会長  それを認識させるようにですね……。 ○吉村委員  それでも結構です、方法として。 ○矢崎部会長  3ページの(2)の「提供による生殖補助医療に関する医学的事項について」で、提 供に関する、特に言及すべき事項についてということで、ここでそれを述べさせていた だくと。 ○吉村委員  はい。 ○澤委員  卵子の提供者、先ほど吉村先生もおっしゃったとおりでございまして、卵子の提供者 というのは全く健常人でございまして、これに対していろいろ副作用のある薬を打たざ るを得ない、麻酔をせざるを得ない、採卵をせざるを得ないというのは、今、一組みに なって一応医療というふうに言っていますけれども、そういう気持ちが我々にあります か、全く健常な方にそれをやるわけですから、何か予期せぬ事態が生じたときに、これ はどこにも責任の所在も何もない、ここでは触れないということでは、これこそ、この 部会で何かしら、橋頭堡といいますか、そういうものがほしいんですよね。○矢崎部会 長  それは高久委員いらっしゃいますが、骨髄移植の場合でもいろいろな事件が起こっ て、その結果としていろんな仕組みがつくられた経過があるのではないかと。 ○高久委員  骨髄財団が始まる前に血縁者で事故がありまして、それで当然今度は血縁者でなく て、それこそ健常な提供者ですから、その方に事故が起こり得るわけですね。全身麻酔 しますし、骨髄から採るわけですから、実際にちょこちょこした事故は始終起きている わけで、そのときの費用は全部財団が払っています。  先ほど鈴木委員がおっしゃったのとも関係があるのですけど、もともとここには公的 管理運営機関というのをつくるんですね。その機関の運営の費用は誰が金を出すかと いったら、クライアントが出すべきではないか。もし提供を受けて、生殖補助医療を受 けるとするならば、あらかじめある程度のお金をもらっておかないと機関が運営できな いと。そのお金の中で、もし提供者に事故が起きたときにはお金を払う。もちろん保険 会社が関与しますけれども、それの方がスムースかもしれませんね。財団の方式はまさ しくそのとおりなんですけれども。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。それでは、8ページの、先ほどのいろんな事故が起こる危険 性については、特に3ページのところで言及しましても、(D)の「予期せぬ事態にお ける責任の所在について」は、今後また検討させていただきたいと思います。  ありがとうございました。なかなか難しい面もあって、また十分私の方で詰めてな かった責任もあって申し訳ないと思いますが、一応8ページのところまでは議論済んだ ということにさせていただきたいと思います。時間が参りましたので、きょうはこれ で、3時間というのは随分司会している方はくたびれますよね。余り愚痴を言ってもし ようがありませんが。  それでは、事務局から今後の予定を。 ○桑島室長  それでは次回の生殖補助医療部会でございますが、先生方のお手元にも紙を配らせて いただいてございますが、日程の変更がございます。次回、第17回でございますが、8 月21日14時〜17時と申し上げておりましたけれども、変更させていただきたいと存じま す。8月22日の14時〜17時、場所は厚生労働省の9階の省議室ということでございま す。よろしくお願いを申し上げます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。それでは本日の部会を終わりたいと思います。きょ う幾つか宿題をいただきましたので、次回までに何とかそれを事務局と相談して、一応 次回はどういうところが変わったということをアンダーラインして、もう一度きょうの 済んだ過程を振り返って検討したいと思います。  きょうはお暑い中をありがとうございました。 ○鈴木委員  部会長、スケジュールのことで。 ○矢崎部会長  はい。 ○鈴木委員  年内は大体どのあたりを、私たちは目標になるのでしょうか。秋以降。 ○矢崎部会長  本当は8月は夏休みで休みだったんですけれども、今のご指摘のスケジュールについ ては、事務局と相談して次回までに何とか今後のスケジュール、それも含めて検討させ ていただきたいと思います。よろしいでしょうか。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              桑島(内線:7933)                              小林(内線:7939)