02/07/05 薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会 平成14年7月5日議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年7月5日(金) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(9名)五十音順   安 藤 正 典、○大城戸 宗 男、 杉 村 民 子、 長 尾   拓、   米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子、 望 月 正 隆、 山 本   都、 吉 岡 初 子 他 参考人1名 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(2名) 井 上   達、 日和佐 信 子 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 池 谷 壮 一(審査管理課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)、   姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画調整部長)、   橋 爪   章(医薬品医療機器審査センター審査第三部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、ただいまから化粧品・医薬部外品部 会を開催させていただきます。現在のところ、当部会委員数11名中7名に御出席いただ いております。後ほど2名いらっしゃることになっておりますので、定足数に達してい ることを御報告申し上げます。本日はお忙しい中、先生方には御出席いただきまして誠 にありがとうございます。    本日は審議品目の関係で、専門委員としてお越しいただいている先生がいらっしゃい ますので、御紹介させていただきます。議題1、薬用ターターコントロールリステリン の件で長谷川昭和大学歯学部教授にお越しいただいております。お忙しいところ、誠に ありがとうございます。それでは審議官、御挨拶をよろしくお願いいたします。 ○審議官 医薬担当審議官の鶴田でございます。本日は大変御多忙の中、御出席してい ただきありがとうございます。国民の健康に対する意識の高まりを背景に、化粧品・医 薬部外品の安全性に関する関心が非常に高まりつつあるわけでございます。また、科学 技術の進歩や国際流通の進展など、医薬安全行政、それから化粧品などの環境も大きく 変化してきているわけでございます。  そういった中で、現在薬事法の一部を改正する法律を国会の方に提案しております。 参議院では全会一致でパスしておりまして、衆議院で10日から実質的な審議を行うとい うことで会期も7月いっぱいとなっているわけですが、大きな問題が起こらなければ薬 事法改正が期待できるのではないかと考えております。  今回の改正の柱は、一つは医療機器に対する安全対策を抜本的に見直すこと。もう一 点は、バイオ・ゲノムの世紀にふさわしい安全確保対策、生物由来製品についての安全 対策を充実、強化すること。もう一点は、承認許可制度の見直しということが挙げられ るわけでございます。先ほど申しましたように、化粧品・医薬部外品に対しては、これ らのものが非常に身近なものであるということからも非常に関心が高いものでありま す。先ほど述べましたように、こういった変化とともに今般の薬事法の改正を踏まえま して、化粧品・医薬部外品を取り巻く情勢に的確に対応できるようにしてまいりたいと 考えております。  本日御審議していただく予定となっております新医薬部外品につきまして、委員の皆 様方におかれましては薬事・食品衛生審議会に対する国民の厚い信頼にこたえるべく、 それぞれの専門分野における最新の科学的知見、豊かな経験を基に厳正な御審議をお願 い申し上げたいと思います。これをもちまして、私の挨拶とさせていただきます。どう ぞよろしくお願いします。 ── 安藤委員着席 ── ○審査管理課長 ありがとうございました。また、委員の改選がございまして、国立医 薬品食品衛生研究所長に長尾先生が就任され、今回新たな委員になられております。ち ょっと遅れられていると思いますので、後ほどいらっしゃいましたら最後の方にでも御 挨拶していただこうと思っております。それでは部会長、よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは本日の議題に入らせていただきます。まず事務局の方からお手 元にあります配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 本日の資料といたしましては、事前に委員の先生方に資料1〜3までを御送 付させていただいております。机の上には議事次第、座席表を用意させていただいてお ります。そのほかに資料1としまして、薬用ターターコントロールリステリン、資料2 としまして花王育毛剤f、資料3として化粧品基準の一部改正について、以上が本日の 資料でございます。足りない資料等はございますでしょうか。それでは部会長、進行の 方をよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 それでは議事に入ります。まず議題1、「医薬部外品薬用ターターコン トロールリステリンの輸入承認の可否について」ですが、事務局から資料の説明をお願 いいたします。 ○事務局 資料1、医薬部外品「薬用ターターコントロールリステリン」について審査 センターより御説明申し上げます。「審査報告書」に基づきまして報告させていただきま すが、「審査報告書」の1ページから御説明させていただきます。  本品はワーナー・ランバート株式会社で開発されたもので、1,8-シネオール、チモール 等の有効成分を含有する既承認の薬用リステリンに、新たな有効成分として塩化亜鉛を追 加することにより、新たな効能・効果として、「歯石の沈着を防ぐ」を追加するための申 請でございます。本品は既に米国を始めとして、スペイン、イギリス、オーストラリア、 ドイツ、カナダなどで歯石の予防、歯石の沈着防止等の効能で承認され、販売されている ものでございます。  本品の審査に関しましては、本日参考委員として御出席いただいております長谷川先生 を始めとした専門委員との専門協議を踏まえて、審査センターにおいて審査を進めてきた ものでございます。  次に審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。塩化亜鉛は化粧品種別許可 基準に収載されており、既に歯磨きなどに配合量上限0.1%で配合を認められている成分 でございます。規格、安定性及び安全性については、審査の過程において申請者から適切 な対応がなされたこともあり、特に問題はないと考えております。    審査センターから申請者に対して、塩化亜鉛の歯石形成抑制の作用機序について説明を 求めたところ、歯石形成のイニシエーターである第二リン酸カルシウム二水和物の結晶形 成阻害によるものであるとの説明がなされ、センターとしては了承しております。本品の 有効性を示すヒトの使用成績としては、米国での使用成績2試験が提出されております が、いずれも米国の歯科研究機関によって実施されたものでございます。  申請製品の歯石形成抑制について、通常のブラッシング条件下で容易に歯石が形成され る334名で二重盲験比較平行群間試験法により実施されております。第I相試験で歯石形 成が適当である被験者を選出し、第II相試験として洗口液である本品と、陽性対照として 日本未発売の歯石予防歯磨きを置き、それぞれの陰性対照を作製し、申請品群として本品 と歯石予防歯磨きの陰性対照、陽性対照群として本品の陰性対照と歯石予防歯磨き、陰性 対照群として本品の陰性対照と歯石予防歯磨きの陰性対照を置いた3群比較が実施され ております。本試験では、1日2回60秒間の歯磨きと、20mLで30秒間の洗口を16週間 実施し、16週間後の歯石スコアにより評価されております。その結果、申請品群は20.9 %歯石形成を抑制し、陽性対照群は、20.5%と、いずれも陰性対照群に比較して有意に 優れており、申請品と陽性対照と同等の歯石防止効果があり、製品による副作用は見られ なかったという結果でございます。  さらに塩化亜鉛の配合量について検討するため、通常のブラッシング条件下で容易に歯 石が形成される265名に対して二重盲験比較平行群間試験法により、試験が実施されてお ります。塩化亜鉛の配合量0.09%洗口液の本申請品と、0.15%を配合した洗口液、申請 品の陰性対照、陽性対照として歯石予防歯磨きとその陰性対照を置いた4群比較が実施さ れ、12週間後の歯石スコアにより評価されております。その結果、塩化亜鉛0.09%洗口 液群が18.2% 0.15%洗口液群が14.7%、それからポジティブコントロールである歯石 予防歯磨き群が16.6%といずれも陰性対照群に有意に優れており、申請品は陽性対照と 同等の歯石防止効果を有することが示されております。これらの試験成績等を基に、効能 ・効果、用法・用量が設定されており、通常の使用では適切なものと判断しております。  以上のような審査の結果、審査センターは提出された申請内容について本品目を承認し て差し支えないと判断し、本化粧品・医薬部外品部会において審議されることが適当と判 断いたしました。御審議のほどよろしくお願いいたします。          ── 説明途中、長尾委員着席 ── ○溝口部会長 ありがとうございました。ただいまの内容に関しまして、御質問、御意 見がありましたらお願いいたします。まず長谷川先生の御意見を伺いたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○長谷川専門委員 専門協議での審議は、ただいま御報告いただいたとおりでございま す。この席で再度御審議いただくという趣旨で、私が何か追加すべきことがあるとすれ ば、ちょっと余分なことかもしれませんが、この背景について、歯科を御存じの先生は 少ないのではないかと思いますので、少し説明させていただきたいと思います。  このターターコントロールという名称ですが、「ターター」というのは歯石のことで すが、実は医学用語ではなくて、普通の方々が歯石のことを言うとき「ターター」と言 うのだそうです。先生方は御存じでしょうが、歯石というのは歯あるいは入れ歯等に付 着し、実はかぶせた金属にも付着しますが、いわゆる目で見える部分に付着する歯石の ことを「歯肉縁上歯石」という名で呼んでおります。資料の中でも何カ所か書いてござ います。もう一つ歯石がございまして、歯と歯茎の間に隙間があるのですが、これが歯 周病になりますとだんだん深くなってまいりまして、この目に見えない部分に歯石が形 成されます。これは「歯肉縁下歯石」と呼んでおります。この二つの歯石があるわけで す。この二つの歯石は形成機序がかなり違います。  今回の商品は歯肉縁上歯石、目で見える部分の歯石を対象にしており、臨床試験もそ のように行われております。歯石ができるとどういう不都合があるかといいますと、歯 肉縁下歯石、つまり目で見えない部分の歯石というのは歯周炎の促進因子として非常に 高いリスクを持ったものでございまして、ある意味では我々が目の敵にしている対象の 一つでございます。しかし、これはちょっと自分では対応できず、専ら歯科医に行って 除去するということになっております。入り組んだ目に見えないところにできておりま すので、これを除去するためには専用の器具等を使ったり、麻酔をしたりということで 対応するわけです。  歯肉縁下歯石というのは直接歯周病の促進因子として働くのですが、では目に見える 部分の歯肉縁上歯石というのはどういう役割を果たすかというと、昔はかなり悪者扱い されていたのですが、最近、悪さをする理由として考えられているのは歯石があること によって非常に細菌がたまりやすい環境がそこに造られるということです。したがって、 歯石そのものよりも歯石を足場として細菌が活躍する、あるいは数が増えてくるという ことです。また、歯茎が炎症を起こしたり、口が臭くなるような結果になったりという ことで、歯周病の発症因子としてもかなり注目されているわけです。歯石がどうやって できてくるかというと、歯肉縁下歯石というのは歯茎の下にございますので、唾液など といったものの影響は余り受けず、うがいをしたり薬物を入れたりということでもその 効果がなかなか届かない場所でして、これは成分的にも血液成分とかなり類似したもの からできており、できてくるものについては血液由来と考えております。今回の対象と なっている歯肉縁上歯石の形成については、唾液が非常に影響しております。そういっ た点では、口の中の環境、唾液あるいは食べるもの、口腔清掃、口の中をきれいにする とかしないということが非常に影響しまして、そういう意味ではいわゆる医薬部外品の 対象になり得るものであるわけです。  そのようなことで開発されてきたのでしょうけれども、おそらくこの審査の中で一番 問題になったのは、塩化亜鉛の安全性につきましては0.1%までが自動的に認められて おりますので特に問題なかったのですが、臨床試験については海外のデータだけで申請 されてきた経緯がございまして、これについてどう評価するかということが話題になり ました。そういう意味での同等性につきまして、歯石のでき方について人種差があるの かどうか、あるいは安全性等について著しい問題があるのかどうか検討したのですが、 今まで一つとして歯石のでき方について人種差があるという報告はございません。そう いった意味では同等性があると考えて、海外データに基づいて審査を行った次第でござ います。以上でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。今御説明がありましたように、安全性に関し ては配合が日本で認められているものですので、この塩化亜鉛が新規の有効成分として どうかということが問題になるのです。今おっしゃって頂きましたように臨床データを すべて外国でやったものだそうでございます。いかがでございましょうか。  長谷川先生、二つほど教えていただきたいのですが、よろしいでしょうか。まず一つ 目ですが、歯石スコアというのは、肉眼で見て判定できるものなのでしょうか。 ○長谷川専門委員 幸い対象としているのが目に見える部分の歯石で、かつ、こういう 歯石の抑制実験の研究対象というものは、この資料の中に書いてございますが、容易に 歯石が形成される人たちを選びます。これはどの人種でもそうなのですが、同じように 口の中を汚していても、つまり歯石ができるコアになるのは細菌性のプラークですけれ ども、それが同じような状態であっても石灰化しやすい人としない人がいるわけでござ います。こういう歯石形成抑制を試みる研究では、容易に歯石が形成されるというグル ープを対象にしないとなかなか結果が出てこない。もともとできない人にこういったも のを使っても駄目なものですから、できやすい人たちを使って研究を進めるわけです。  歯石というのは目で見て分かりますし、それをどう評価するかというのは幾つかの方 法があるのですが、一番一般的に行われるのは歯の対角線、あるいは垂直の3か所に1 本の歯について、その3か所における歯石の付着、長さを計測してそれをスコアにする 方法。それから全体の歯面の面積の中で歯石がどのくらいの面積を占めるのかというこ とを指標として、指数化されているものなどが二、三ございます。これはどの指数を使 ったかどうかちょっと記憶していないのですが、いずれにしましても代表的なものの一 つが使われたと思っております。 ○溝口部会長 ありがとうございます。もう一つ、1ページの「用法・用量」のところ に「すすいでから吐き出す」と書いてありますが、こういう洗口液はみんなまずくて自 然に吐き出してしまうものなのでしょうか。それとも間違って飲んだとき、先ほど配合 量で安全性は問題ないとおっしゃいましたが、間違えて飲んでも安全だというところま でこういう製品は確認されているのでしょうか。 ○長谷川専門委員「すすいでから吐き出す」というのは、恐らく液体の歯磨きにはほぼ 書いてあると思うのですが、この製品の場合は基になっているリステリンのアルコール 濃度が非常に高いのです。これは□□%あると思うのです。聞くところによればアメリ カでは飲む人がいるのだそうで、アルコール中毒の人はリステリンを使ってはいけない という注意書きがあるそうですけれども、日本ではこれを飲むなどということはいまだ かつて聞いたことがないです。ただ、恐らくその辺からも吐き出すということが書いて ある理由の一つだろうと思います。 ○溝口部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。どうぞ吉岡委員、お願い します。 ○吉岡委員 飲み込むことは当然ないだろうと思うのですが、これは子供も使うのでし ょうか。 ○長谷川専門委員 「使用上の注意」に子供は使わない、適さないと書いてございます が、この表現がいいかどうか、あるいはもう少し強い表現でもいいのではないかという 話もあったのですが、いずれにしましてもこのものは非常に強い味をしていまして、私 どももいいと分かっていてもなかなか日常的に使うことができないくらい、割と強い味 をしています。そういった意味では、家庭内でこれが洗面台にのっていて、お子さんが 仮に間違って口にしたとしても、飲み込むという状況はちょっと考えにくいように思い ます。この包装がどういう形でされているのか分かりませんが、中には1回分だけしか 出ないような包装をしているリステリンもございます。したがって、もしお子さんへの 影響というものが生じるということになれば、何らかの対応をしなければいけないのだ ろうとは思います。ただ、味そのものが非常にきつく、何といいましょうか、いちごの 味がする歯磨粉というのは結構お子さんがなめたりとかするように聞いていますが、こ れについては味が非常に分かりやすいので、子供が飲み込むということは考えられない のではないかと私は理解しておりますけれども、その辺も含めて御審議いただければと 思います。 ○大城戸部会長代理 今と全く同じ質問なのですが、「使用上の注意(案)」に「幼児の 御使用には適しません」と。このアメリカの表示を見ますと、字がすごく小さいのです けれども、12歳以下の子供に使用禁止と書いてあるのですが、これを変えられた理由は やはりそのようなことなのですか。アメリカでは12歳以下、日本では幼児となっており ますが。 ○長谷川専門委員 この幼児の使用には適さないという表現で、アメリカの注意書きと 同じ対応をしているかどうか判断できないのですが、もう少し強い書き方であってもい いのではないかという感じはいたします。 ○溝口部会長 事務局の方、いかがですか。「使用上の注意(案)」というのがあります が、今ここにある製品のラベルか何かを日本語に変えて発売されるのでしょうか。その ときに付けるのが今の「使用上の注意(案)」なのでしょうか。今の3人の方の御指摘の ように、これを変える予定があるのかどうか、そこら辺をお教えいただきたいのですけ れども。 ○事務局 ちょっと準備不足で後で確認いたしますが、まず外国のものと処方が違うと いうことがございます。この申請につきましては、塩化亜鉛の入っていない既承認の薬 用リステリンを基にいろいろと申請がされておりますので、多分この「使用上の注意 (案)」というのは、現状の薬用リステリンを基に考えていると思いますので、このまま 特に当部会等で指示事項等が付かなければ、薬用リステリンに合わせて今提案されてお ります文面で使用上の注意を付けて販売されることになると思います。 ○大城戸部会長代理 つまらないことですが、「資料概要」の2ページに、これはアメ リカではカテゴリーがOTC医薬品、イギリスでは化粧品ということで、これを見ます と世界中でこのイングレディエントは全部公開しているわけですが、今回日本で医薬部 外品となると一体どこまで公開されるのでしょうか。つまり一番最初のページのないと ころでは、「販売名」、「成分・分量」と書いてありますが、この有効成分が5種類だ けで、あとの成分の表示を省いているのですが、これは部外品の定義から言ってこの5 種類だけが表示されることになるのでしょうか。 ○事務局 事務局の方から御説明いたします。医薬部外品については、表示するべき成 分というものについてのみ表示する義務がございますが、おそらく塩化亜鉛は表示する べき成分とはなっていないと思います。ただ、企業の自主的な表示という形で、現状の 規制はそうなっております。 ○大城戸部会長代理 「承認申請書(写)」の一番最初の「別紙(1)」というところを見 ますと、香料とか法定色素というのが入ってきているのですが、こういうものは部外品 では表示しなくていいのですか。日本では化粧品のときにはすべて表示しないといけな いとなっていますが、部外品のときにはどうなっているのでしょうか。 ○審議官 これは通知などを見なければならないと思うのですが、化粧品の場合はもう 個別の承認許可をなくしまして、そのかわりネガティブリスト、ポジティブリストを作 ること、すべての成分を表示し、消費者の方が見て分かるということでやっています。 ○事務局 よろしいでしょうか。医薬部外品の表示成分というのは、厚生労働省の告示 で決まっております。実際に人体に直接作用されるものとして140成分が指定されてお りまして、ここにある成分については含有している場合には表示をしなくてはいけない となっております。その意味といいますのは、直接人体に使用される医薬部外品のうち、 特にアレルギー等の皮膚障害を起こすおそれのある製品について注意喚起するという観 点から表示成分が指定されているということでございます。この100幾つかの成分の中 に入っていないものにつきましては、メーカーの自主性に任せられるということでござ います。なお、香料につきましては、香料を含有しているということだけ表示をすると いう形になっております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。杉村委員、どうぞ。 ○杉村委員 非常にアルコール濃度が高いのですが、やはり「使用上の注意」にアルコ ールに関する表示、例えばアルコールの弱い方は奈良漬け屋の前を通っても酔ってしま う方がいらっしゃるくらいなので、幼児だけではなく、アルコールに弱い方のための注 意も加えた方がいいのではないかという気がいたしますが。 ○溝口部会長 今の御意見も踏まえまして、先ほどから「使用上の注意(案)」がまだ討 議中だったと思いますが、幼児の御使用には適しませんというところがこれでいいかと いうことと、ただいま御指摘がありましたエタノールのパーセントが高いので、非常に 弱い方がいるのでそれを表示することが自主的で義務づけられないならば、使用上の注 意に書けないだろうということだと思いますが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 必要があるものにつきましては、当部会の方で御意見頂ければそのよ うに指導させたいと思っております。 ○溝口部会長 そうしましたら、今の二つの御意見につきましてまとめたいと思います。 杉村委員、アルコールに関しましては濃度を書いていただくということでよろしいです か。年齢に関しましてはいかがいたしましょうか。単なる幼児にしますか。外国の製品 といろいろな濃度、成分が異なるので、必ずしも「12歳以下」としなくてもいいのかも しれませんが、何か適切な表示方法はありますでしょうか。  もし幼児よりも12歳以下の方がよろしいという御意見が多ければ変えますが、このま までもよろしいですか。日本ですと、例えば親がやりなさいということはないでしょう か。 ○大城戸部会長代理 私は「12歳以下」と書かなくてもいいと思うのです。ただ、余り 日米で違うと物議を醸し出しそうだなと思うわけです。 ○長尾委員 要するに、これは永久歯ぐらいになってから使うというイメージですよね。 幼児といったらまだ生え変わるとかいろいろな時期で、どのくらいのイメージかという と、幼児というのは12歳より大分下のような感じなのですけれども。 ○審議官 生える前くらいですか。 ○長尾委員 そういう感じですが。 ○溝口部会長 長谷川先生、いかがでしょうか。幼児は歯石はたまらないのですか。小 学生くらいから使った方が歯石は付かないのでしょうか。 ○長谷川専門委員 唾液の粘稠度や量が全然違っていまして、お子さんは歯石が付くと いうことはまずないですね。医療行為の中でも、子供に歯石除去をしたなどというのは 聞いたことがありません。実際には小児歯科の領域ではまれなことと思います。年齢を はっきり書くということの善し悪しという点では、12歳以下の使用ということをやると 逆に12歳以上はいいのかという話になってしまうかもしれません。では何歳くらいから 実際使うだろうかということを考えますと、おそらく最近の若い青年たちが清潔好きな どということもありまして、やはり都会ではもう高卒くらいからリステリンを使ってい る子供もいるのではないかと思うのです。  そういった面で、ある意味ではこれと同時にリステリンでも問題になることでしょう けれども、その辺で飲んだとかいう事例が、リステリンでどの程度報告されているのか などということはいかがなのでしょうか。青年以上が飲むということはまず考えにくい のですが、何歳以下は駄目ということを書くと、逆にそれ以上はいいということにとら れるので、それよりもアルコールの濃度がかなり高いので何か注意という形で収めた方 がいいのではないかと私は思いますけれども。 ○大城戸部会長代理 先生、ついでにちょっとお聞きしますが、今日本人の乳児の歯が 永久歯に入れ替わるのは大体何歳くらいなのでしょうか。 ○長谷川専門委員 そうですね。個人差がありますけれども、やはり12歳以降ですね。 中学校2年生くらいから、どこまで生えそろうかということはありますが、15歳くらい で大体完成するだろうと思います。ただ、歯石というのは若い人には余り付かないもの ですから、これと普通のリステリンを消費者がどう区分けするのかなというところが私 自身よく分からないのです。 ○吉岡委員 「幼児」というと、先生方がおっしゃるようにかなり低い年齢層を示して いると思います。乳を飲まなくなったくらいから、幼児という考え方を持っているお母 さんたちというのは多いと思うのです。それからアルコールについてなのですが、多分 少年ぐらいから口臭を気にし出す。そういうところから、歯石が付かなくても口臭を気 にするということで使う可能性は多分あると思うのです。エタノールですから当然飲め ば酔う可能性もありますし、特に低アルコールのものですけれども、子供のうちからア ルコールを飲む子供もありますので、間違えて飲むのと、興味があってちょっと飲んで みようという両方があるような気がするので、注意は少しきつめにしておいた方がいい のではないかと思います。 ○溝口部会長 大変まずくて飲めないようなものではあるようですが、注意書きとしま して年齢はこのままにして、エタノールの濃度が□%ですので御注意くださいと書くだ けにするか、年齢に制限を加えるかだと思いますが、先ほど長谷川先生がおっしゃった ように、年齢に制限を加えますとその年齢より上の人がどんどん飲んでしまう危険もあ るということですので、いかがいたしましょうか。 ○山本委員 アメリカの方は12歳以下とか、日本の方では幼児の使用には適さないと書 いてありますが、この背景として、例えば永久歯に生え変わる前は必要ないということ からなのか、それとも幼児の場合は誤って飲んでしまうから気を付けなさいという意味 なのかどちらなのかということ。  それからもう一つ、塩化亜鉛は入っていないかもしれませんが、要するにいろいろな ものがありますが、ああいうものの表示はどうなっているのでしょうか。 ○溝口部会長 表示に関しましては、義務付けられているもの以外は自主的にというこ となのでそれ以上は言えないと思うのですが、先ほどの最初の方の御質問はいかがでし ょうか。 ○審査管理課長 多分先生が御指摘のとおりだと思うのです。なめてみるとお分かりに なると思うのですが、とても普通では飲み込めないという味になっています。幼児です と、それも分からず飲み込んでしまう危険性があるのではないかというのが一つ予想さ れます。  それと同時に、既存の商品で塩化亜鉛を入れていないものについては、多分これで今 までやってきているのだろうというのがありますので、今回当部会で御指示いただきま すればそのようにメーカーの方を指導しようとは思っておりますが、どのようにいたし ましょうか。 ○溝口部会長 今机の上に載っているリステリンは、このまま日本で市販されるもので す。これは外国のものですが、今既にリステリンは売られていて特に問題は起こってい ないのですか。 ○審査管理課長 はい。 ○溝口部会長 少しアルコールの濃度が違うのかもしれませんが、これでしたらよろし ゅうございますか。 ○長谷川専門委員 これでもふたは子供では開かない形に設定してあるのですが、一番 初期の段階では押さないと出てこないような形でありました。また、本来のリステリン もそうですが、最近大人でないと開かないようなものにしていますので、これなども一 つの条件付けとしてメーカーの方にお願いするのも一つの手かと思います。 ○溝口部会長 今のは非常にいい御指摘だと思いますが、大人ではないと開けられない ようなふたにしていただきたいということを条件にして、アルコールの濃度を書いて御 注意くださいということと、「幼児の御使用には適しません」というのはこのままでよ ろしゅうございますか。問題があるようでしたらどうぞ。 ○吉岡委員 問題ではないのですけれども、特に幼児の場合には化粧品などというもの でも鏡台に置いてあると食べてしまうということがあって、幼児の手の届かないところ に置いてくださいという表現をしてあるものが結構あるように思うのですが、そういう のも一つの手法かなと思います。  それからもう一つ伺いたいのですが、このにおいはかなりきつくて飲みたくなるよう なにおいではないのですが、これは香料によるにおいなのでしょうか。それとも何か素 材のにおいなのでしょうか。 ○審査管理課長 これは多分一番はチモールだと思います。 ○溝口部会長 ただいまの幼児の手が届かないところにという点はいかがでしょうか。 何か劇物ではないと表示できないということもなく、これはどのようなものでも表示で きると思いますが。 ○審査管理課長 「幼児の御使用には適しません」という言葉がありますから、そうい うことを指導したいと思っております。 ○溝口部会長 それではよろしゅうございますか。ほかに御意見はございますでしょう か。どうぞ、お願いします。 ○望月委員 一般的な使い方かもしれないのですが、30秒間というのは私から考えると 随分長いような気がするのです。薬が効いてくるには短いような気がするのですが、こ れはどういう根拠で決まっているものなのでしょうか。 ○事務局 一つの判断材料と致しましては、本品のアメリカでの試験が歯磨き60秒間、 それから20mLで30秒間という形で決まっておりますので、有効性を示すためには30 秒、逆に言えばこのデータは30秒で有効性が示されたということになっております。多 分アメリカでも30秒という形で規定しているのではないかと思います。 ○望月委員 例えばそれは10秒、20秒、30秒、1分とやってみた上でということです か。おおもとの考えなのですけれども、口の中で30秒やらないと歯全体に届かないのか という気もするのですが。要するに慣例としてやっているということですか。 ○事務局 試験の方は30秒で有効性を見ておりますので、逆に用法・用量が通常の洗口 剤の前例どおりになっておりまして、逆に30秒という規定がないところの方が問題かも しれませんが、それはどういたしましょうか。 ○溝口部会長 今のはデータは全部30秒でやっているけれども、使用の説明にはその規 定は書いていないということですね。それはすべての洗口剤がそうなのでしょうか。 ○事務局 このもの以外でも、通常の承認の内容でも適宜洗うという形になっておりま すので、秒数を記載したものはないと思います。 ○大城戸部会長代理 よろしいですか。ちょっとこの審査の趣旨から外れますが、この 成分の中にサリチル酸メチルが入っていて非常に低濃度は低濃度なのですが、何の目的 で入れるのですか。 ○溝口部会長 これもいろいろな洗口剤に入っているものなのでしょうか。それはない ですか。これの特徴でしょうか。細胞毒ではありますから濃度が非常に低いのなら問題 はないのかもしれませんが、必要性があるかどうかという御質問かと思います。 ○事務局 一つの判断材料として、洗口剤の承認前例にサリチル酸があり、入っており ますので、前例のなかで、上限量と下限量があり、その上限と下限の間で配合されてい れば、組み合わせて全体としての有効性があるのではないかという形で承認されており ますので、これ単独で部分、部分で何が効いているのかというのは答えにくいことだと 思います。 ○溝口部会長 分かりました。そうすると、何にこれが有効かはなかなか判定しにくい けれども、この濃度ならば問題はないということでよろしゅうございますか。先生、よ ろしゅうございますね。 ○大城戸部会長代理 はい。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。ほかに御意見はございませんでしょうか。そうしま したら、先ほどの「使用上の注意(案)」のところを変えていただくという指示事項だけ でこれを御了承いただいてよろしゅうございますか。何か追加の御意見がありましたら 承りますが、よろしゅうございますか。では先ほどのことを指示事項として承認して差 し支えないことといたします。ありがとうございます。長谷川先生、お忙しいところど うもありがとうございました。 ──  長谷川専門委員退席 ── ○溝口部会長 それでは続きまして議題2、医薬部外品花王育毛剤fの製造承認の可否 についての説明をまず事務局からお願いします。 ○事務局 それでは資料2、医薬部外品花王育毛剤fについて審査センターより御説明 いたします。「審査報告書」の1ページから順に御説明させていただきたいと思います。  本品は花王株式会社で開発されたもので、新有効成分トランス-3,4'-ジメチル-3-ヒド ロキシフラバノン(以下、本成分)を□%配合する薬用育毛剤でございます。本成分は、オ トギリソウエキス中に含まれる育毛効果を持つと報告されているフラバノノール誘導体 中のアスチルビンに注目して、毛髪伸長促進効果等を指標として、見いだされた新規合成 化合物であり、海外でも使用実績はございません。 次に審査センターにおける審査の概略を御説明いたします。当初、本成分のみを有効成 分である製剤として花王の方から申請されてまいりましたが、添加剤として配合されたl -メントール□%は、育毛剤の有効成分として配合前例があること、薬用育毛剤の効能・ 効果は幅広いこと等から、新規有効成分単独で申請効能を標榜することの妥当性について 申請者に説明を求めた結果、メントールを有効成分と変更して配合するという回答があっ たものでございます。提出された規格、安定性、安全性については、審査の過程におい て申請者から適切な対応がなされたこともあり、特に問題はないと考えております。そ れから吸収、代謝につきましても、一応適切な対応がとられておりまして、問題はない と考えております。  報告書9ページから始まる「ホ.効能又は効果に関する資料」について御説明させてい ただきたいと思います。効能・効果に関する資料の中で、効能・効果を裏付ける基礎的試 験といたしまして、本成分の効果を示すため、in vivo試験、それからラット髭の器官培 養毛の伸長促進試験、ラットの毛包組織を利用したin vitro試験が提出されており、本 成分が毛包に直接作用すること、本成分が毛乳頭細胞増殖促進作用を介して毛乳頭組織の 細胞数を増加させ、毛包を太くする効果を発現する可能性が示唆されていると説明されて おります。  審査センターから、試験系の妥当性、それから作用につきまして本成分の効果は毛母細 胞特異的であるか、他の生体内の細胞に影響を与えないかについて、説明を求めました。 申請者からは、試験系についての説明がなされ、審査センターとして了承しております。 それから本成分が毛乳頭細胞を活性化することで成長期毛包の誘導及び毛包の増大効果 を発現していると説明し、経皮投与反復投与毒性試験における皮膚組織等の病理所見等か ら、本成分は毛包細胞に対して毛の成長を促進させる細胞増殖促進作用を有するが、適用 部位皮膚を含む、全身のその他の細胞・組織にその作用はないと説明され、審査センター としてはこれらの説明を了承しております。  ヒトにおける使用成績として、二つの試験結果が提出されております。最初のものが男 性型脱毛部における毛成長促進作用で、男性型脱毛を自覚する男性14名について、ハー フヘッド法で片側に本成分配合育毛剤、他方には本成分のみを配合していない育毛剤を1 日2回塗布する方法で実施されております。解析項目としては、毛髪の太さの変化、毛伸 長の変化、抜け毛数の変化とされております。その結果、使用4か月後、6か月後ではプ ラセボ側の太さに対する割合が、開始時と比較して有意に増大しておりました。その効果 は、毛先のある毛(新生毛)で高いことが示唆されております。また、毛髪伸長量の変化割 合については、3日間の伸長量が1mm以上であるよく伸びる毛髪の数が有意に増加し、毛 伸長促進作用が確認されております。抜け毛については、14名中協力が得られた8名で 検討されておりますが、有意に抜け毛が減少しておりました。  次に今回申請されております製品による比較試験を、男性型脱毛の成人男性203例につ いて、本成分含有の申請品と申請品から本成分を除いた陰性対照、それからポジティブコ ントロールとして既承認品のペンタデカン酸グリセリド配合養毛剤について、二重盲験法 による3群間比較試験が実施されております。1日2回適量を脱毛部位全体に塗布して軽 くマッサージする方法で投与され、30週間継続されております。硬毛数については、申 請品及び既承認品はプラセボ群との間に有意な差が認められております。それから洗髪時 の抜け毛量の変化については、各群の間に差は見られなかったと報告されております。 脱毛周辺部に設けた観察部位における成長期硬毛数変化率は、申請品では+23.97%に対 して、プラセボは−24.40%、既承認品+9.5%であり、本申請品はプラセボ群及び既承認 品群より有意に硬毛数増加率が高かったと報告されております。  皮膚症状については、ふけについてはいずれも有意な軽減が認められましたが、紅斑及 び掻痒感については有意差が認められなかったと報告されております。それから総合改善 度、有用性について、プラセボに比較して有意に勝っていたと報告されております。なお、 解析対照197例について副作用は認められなかったと報告されております。審査センター からは、製品のヒトによる使用試験で洗髪時の抜け毛量の変化に有意差が認められなかっ たことについて、効能又は効果の妥当性を含めて申請者に対して説明を求めました。申請 者からは、製品による試験は抜け毛の少ない季節に開始して、抜け毛の多い季節に試験を 終了したために抜け毛数減少効果が季節的な抜け毛増加により打ち消されたものであっ たと説明しております。  さらに、このような個人差の大きな項目についてはハーフヘッド試験が望ましく、製 品ではないが、本成分配合養毛剤は本成分を配合しない製品に対して抜け毛量の減少が確 認されているということで、抜け毛に対する効果は確認されていると説明しております。 審査センターといたしましては、これらの説明を了承いたしました。 以上のような審査の結果、審査センターは提出された申請内容について本品を承認して 差し支えないこと、申請後少なくとも2年間の安全性に関する市販後調査を実施するこ とが適当と判断し、本化粧品・医薬部外品部会に御審議をお願いするものでございます。 御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 御審議をお願いいたします。御質問、御意見がおありでしたらお願いい たします。 ○安藤委員 ちょっとお伺いしたいのですが、最初の1ページから2ページにかけてで すけれども、トランス-3,4'-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノンのみが最初出されて、そ の後l-メントールが添加剤として使われていると。l-メントールは有効成分なのでう んぬんと書いてありますが、結局この実験系ではどちらが効いているのかなと。それは 明確なのでしょうか。l-メントールというのをここに織り込んでしまったのですが、新 有効成分の効果は明確に示されるのでしょうか。 ○事務局 最後のヒトでの試験のことですか。 ○安藤委員 結局はそうですね。 ○事務局 その点、例えば掻痒感とか紅斑に対して差がつかなかったということは、l- メントールがベースとしてかなり効いているという形で、今回の新有効成分については そういう効果が余りないということで、差がなかったと見られるのではないかと思いま す。本剤は主に最初の開発の経緯のところにございますように、毛髪の伸びを指標に合 成品の中からスクリーニングされて最終的に選ばれた化合物でございますので、主に新 有効成分は毛包細胞に効く作用の方がメインなもので、l-メントールのような掻痒感と いった点については作用がないものと思われます。 ○安藤委員 それとは別であると。 ○溝口部会長 これは今御指摘がありましたが、動物実験とin vitroの実験はこの新し い成分でやっており、ヒトのときはl-メントールも入ったものを有効成分としてやって いるということですか。 ○事務局 ヒトにおける使用成績につきましては、二つの試験を行っておりまして、一 番目の方は先ほど申しましたようにl-メントールを含まない、新有効成分等で行いまし て、二番目の方の試験では、本申請品を用いて行っておりますので、新有効成分及びl- メントールが共に入っております。 ○溝口部会長 一番目は入っていなくて、二番目が入っているということですか。 ○事務局 二番目の方の300何人の方の試験が、この製品に処方が決まりまして、l- メントールとこの新有効成分が入ったものが試験薬で、対照はl-メントールだけが有効 成分等に入っていまして、この新有効成分が入っていないものを対照とした比較でござ います。 ○溝口部会長 分かりました。非常に多数例の二重盲検法でこういうものをやるのは難 しいので、いい試験だったと思うのですが、ちょっと余計なものが入ったのが残念とい うか、有効性がより高くなっているのがこれのせいかという問題がちょっと残ったよう な気もします。もちろんin vitroと動物実験では入っていないわけで、ハーフヘッド試 験も入っていないわけですから、有効性は否定するものではないと思います。  これは花王が開発した世界で初めての部外品になるそうでございますので、審議の方 をよろしくお願いします。 ○大城戸部会長代理 この部外品の申請時の動物実験やヒトでの試験というのは、何々 をやらなくてはいけないというデザインは決まっているのですか。それに沿ってやると このような方法になるのでしょうか。 ○審査管理課長 部外品で全く新しい有効成分を含有するものは、一通りこういうこと をしてくださいというのがございます。ただ、品目によっていろいろ提出が必要なデー タの違いが出てきますし、品目独自のものも出てまいります。安全性と有効性について は動物実験データの提出が求められますが、やり方についてはそれほど明確な規定はな いということになっております。 ○大城戸部会長代理 質問の意味するところは、医薬品と同等の治験をしろということ ではありません。これを見ると似ているのですが、そこまで要求されているのでしょう か。 ○審査管理課長 リアップという医薬品があったと思いますが、あちらはかなり厳格な 医薬品としての治験をやっております。それと比較すると、こちらの方はまだマイルド かなと思っております。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。杉村先生、どうぞ。 ○杉村委員 「効能・効果」で「発毛促進」というのがあるのですが、これは先ほど伺 いましたら、太くするのと伸びを良くするということだったのですが、どういうことで 言えるのですか。 ○事務局 「発毛」といいますのは、何もなかったところから生えてくるということで、 「育毛」というのは、少しあるところから更にという意味で、それぞれに応じたデータ が取られているということだと思います。 ○審査管理課長 医薬部外品は過去からずっと経緯がございまして、医薬部外品として の育毛、養毛についてうたえる効能はこの範囲というのがございます。何らかの有効成 分、例えばl-メントールとか殺菌剤、その他育毛に処せられるようなものが入っていま すと、部外品については自動的に効能としてうたえるという扱いになっております。 ○溝口部会長 先ほどの大城戸先生の御質問にも関係しますが、こういうデータで二重 盲検でやらないと「発毛」や「育毛」と言ってはいけないというところまではまだ決ま っていないわけですね。ただ、何となく医薬部外品の場合は、化粧品よりはある程度の データを要求しているという程度で認識してよろしいのでしょうか。 ○事務局 新規有効成分を配合した部外品という形で承認された育毛成分としては、ペ ンタデカンという成分がございますが、ペンタデカンと本品で2例目くらいでございま すので、確立した方法論とかどういうふうな試験系をやれということはまだケース・バ イ・ケースの対応でございます。 ○溝口部会長 試験方法に関しては今のところメーカー任せであるけれども、ペンタデ カンもプラセボと差があったと思いますが、その二重盲検法で差が出ることは最近では ある程度要求されると考えてよろしゅうございますか。いかがですか。 ○杉村委員 やはり「発毛」というと、ないところに生えてくるという印象があります から、ちょっとそのように思ったのですけれども。 ○審査管理課長 部外品は作用緩和なものであるという薬事法の定義がございまして、 やはり本当に生えてくるならば医薬品ということになるでしょうし、作用緩和な目的と し、それから一般論としてここまでは経験上行けるというところくらいまでが部外品か なと思っております。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。世界で初めての成分だそうですが、安全性の方はよ ろしゅうございますか。はい、どうぞお願いいたします。 ○山本委員 これはオトギリソウの成分と類似しているということで、オトギリソウは セイヨウオトギリソウの肝代謝酵素を誘導することがよく知られています。その辺りの 説明が2ページにちょっと書いてありますが、これでは詳しくないのでよく分かりませ んが、こういう感じの回答で大体大丈夫というか、その辺りの確認はどうでしょうか。 ○溝口部会長 このCYP3A4に関することですか。肝代謝酵素を誘導する懸念があるとい うことでしょうか。 ○山本委員 前に問題になっていたのは、経口投与というか、飲んだ場合にほかのもの との相互作用というのが問題になっていたので、この場合はそういう経路がいろいろ違 いますから大丈夫かと思いますが、一応確認ということでお聞きしたいと思います。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。事務局の方でお答えいただけますでしょうか。 ○事務局 毒性の資料、「イ」の16ページの回答では不十分ということでの御質問でし ょうか。 ○山本委員 ただの確認で、その辺りはどの程度まで議論があったのかなということな のですが。曝露経路が違うから、こういう場合には特にそういうことは問題にならない ということであれば、それでいいと思うのですが。 ○溝口部会長 何か薬剤のようなものを内服していた場合に、これを外用して併用の問 題が起こるかどうかという意味ですか。 ○山本委員 セイヨウオトギリソウで問題になっていた場合は、セイヨウオトギリソウ の成分を含む食品とほかの医薬品で相互作用がある場合があるということが問題になっ ていたので、この場合は経口投与ではないですからその程度で大丈夫かなと思うのです が、確認という意味です。 ○事務局 一応議論になりました、「イ」の16、17ページのところで、経皮では肝細胞 の肥大などの指標が見られないということで、一応申請者の方はそういう懸念はないで あろうという説明はしております。  それからこの成分は新規合成成分でございまして、オトギリソウの中にはこの成分は 入っていないわけで、厳密なことを言うと骨格が同じでも置換基一つで作用が大きく変 わる場合もあるわけです。それから行くと、同じ投与経路で肝臓に対しての変な影響が ないということで、一応申請者としては問題なしという形で説明をしております。審査 センターとしては、今のところは必ず全有効成分について酵素の誘導まで見ろという形 のことはあえて求めていないのが現状だと思います。 ○審査管理課長 当然その懸念は検討して議論したということが一点、それから毒性試 験の方でその懸念に対する何らかのシグナルかサインが出ているのかを確認したとこ ろ、それは出ていないというのが二点目。それから通常に使うものと比べると、非常に 安全域が広いということの三点から大丈夫というふうに判断させていただいたと思って おります。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。よろしければ、効 能・効果の方も併せて御検討ください。ちょっとよろしゅうございますか。この成分は、 毛包上皮細胞と毛乳頭細胞両方を増殖させる効果があるようで、in vitroの試験にもそ れがきれいに載っておりますけれども、12ページで他の細胞に影響を与えないかという 説明を審査センターの方で求めていらっしゃるようですが、in vivoの試験をやってい てほとんど問題がないということが書いてありますので、これで結構かと思います。し かしこの毛乳頭細胞というのは繊維芽細胞に非常によく似ていまして、親戚のようなも のですので、花王はいろいろな実験をやっているところです。繊維芽細胞に対してこれ が効果があるかどうか、この申請とは関係ないかもしれませんが、もしかしたらしわに も効くのではないのだろうかという期待もありますので、もしデータをお持ちでしたら 教えていただきたいということです。クレームではございませんで、もしかしたらある のではないかということです。効能は特によろしゅうございますか。お願いいたします。 ○望月委員 言葉が分からないのですが、男性型脱毛というのはどういう定義なのでし ょうか。 ○溝口部会長 「M型」と言われることもありますが、このメールパターンボールドネ スですと、ちょうど生え際の両端のところが後退していくのが男性型ということです。 ○望月委員 そのほかのものにはこれは効かないということなのですか。テストはして いないということなのかどうか。 ○溝口部会長 テストをしていないのでしょうか。例えばミノキシジルなどは上がはげ ているのをやっていたと思うのですが、これは男性型しか試験していません。 ○大城戸部会長代理 メールパターンというのはいろいろな種類、要するに若はげから 年寄りのはげまであります。そういうのを全部含めて「M型」、「男性型」と言ってい るのです。 ○望月委員 これを出すときには、男性型にしか効かないというふうにして出すという ことですか。 ○大城戸部会長代理 男性型に効くというのはすごいことなので、男性型に効くのでし たらほかの脱毛症には効くのでしょうね。   ○吉岡委員 最近は女性でも大分薄くなる方をお見掛けするのですが、当然効くと考え てよろしいのですか。 ○大城戸部会長代理 多分似たような機序だと言われていますので効くと思います。 ○溝口部会長 これは特に対象は、女性が使ってはいけないなどということはなくて、 検査は男性でやっているけれども、使用対象は当然男女区別はないわけですね。リアッ プなどは最初のころはあったように思いますが。 ○事務局 先ほど審査管理課長も触れられましたが、医薬品と医薬部外品でその辺ちょ っと差がございます。部外品としてとにかく発毛効果があるかないかというのを、一番 分かりやすい経緯という形で、男性型脱毛でダブルブラインドをかけた試験を行って有 効性が示された場合、部外品は消費者の方が医療の専門家である医師を介さずに選んで 使うものでございます。男性型であるか、その他の脱毛であるかを判定して使うという ことは非常に困難ですので、発毛効果があれば一律に発毛促進、今ある効能・効果を認 めているのが現状でございます。したがって、男性型とは規定はつけられません。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。これは新しいものということで、2年間の安 全性に関する市販後調査も実施するように義務付けられているわけですね。 ○大城戸部会長代理 2年間の市販後調査というのは副作用のことですね。ちょっと余 計なことかもしれませんが、これは先行した同種類のものに比べて同等の効果があった ということになりますので、ダブルブラインドは成功したわけですね。その2年後の効 果の、例えば医薬品ですと効果の再評価を盛んにやっておりますが、こういうのはそれ に該当するのでしょうか。医薬部外品や化粧品は初期の効能・効果と違うという市場調 査というのはやらないのでしょうか。 ○審査管理課長 作用が緩和なものとして選ばれて、ある一定の枠内で動いているのが 部外品という制度でありますので、安全性の方はかなり厳密に追求しますけれども、有 効性はある一定の範囲内だったらということで、承認しています。ですから、例えば先 ほどありましたように、l-メントールだけでも先ほど言った効能・効果がうたえるよう な状況になっておりますので、何か特に問題があるということであれば行政指導ベース では考えられるのですが、今のところはそういうことは起こってきていないと思ってお ります。 ○溝口部会長 ほかによろしゅうございますか。どうぞ、お願いします。 ○吉岡委員 関係のないことかもしれませんが、世界初ということですけれども、それ を宣伝に使われると部外品としての効能・効果以上の期待を消費者に持たせることにな らないかと思うのです。実際、この種のものはあまり目に見える効果が現れない。その 結果として、少しは速度が緩和されるのかもしれないのですが、効果らしいものはあま り見えなくても仕方がないという、その程度のものでしょうか。 ○審査管理課長 作用が緩和ということでありますので、先行している品物が出ており ますが、それほど大きなことにはなっていないと思っております。むしろミノキシジル の方は世界的にも出ていますし、結構強い薬から造られていたということがあって、循 環器系の薬の採諾書のようなものが要るのでかなり厳密に行われています。医薬品の方 は再評価制度がありますが、部外品の方は安全性中心で作用が緩和なものということで 承認していくということになっておりますので、今のところそこまで考えてはおりませ ん。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。既商品群よりも有意な差があったのは硬毛数 増加率だけで、ほかは同等でございます。また、先ほど話題になったミノキシジルとは 比べていませんので、どういう宣伝をするかはちょっと分かりませんが。 ○吉岡委員 結構です。ただ、宣伝のところで「世界初」などということをうたうとす れば、それは問題があると思います。確かに世界初には違いないのでしょうが、それを うたわれるとちょっと誤認を招くかなと思いましたので、そういう表現はしてほしくな いということです。 ○審査管理課長 部会でそういう御意見があったということを会社の方に伝えさせてい ただきます。 ○溝口部会長 それでよろしゅうございますか。これの「用法・用量」は「適宜、適量 を頭皮に」という簡単なものですので、ここに付いていなかったように思いますが、特 に使用上の説明も何もなく売られるものと解釈してよろしゅうございますか。安全性に も問題がなくて、使用法も簡単だからということで、特に添付文書なしでこのまま発売 されるというふうに解釈してよろしいですか。 ○事務局 特記すべき使用上の注意については、議論はございませんでしたので、資料 が付いておりませんが、部外品についてもある範囲で使用上の注意は付けることになっ ております。申請書の中でうたっているのは、眼瞼の周囲、粘膜などに付けないとか、 幼少児の手の届かないところに置くことくらいは入れたいという形で、この資料の申請 書の方に記載がございます。 ○溝口部会長 すみません、申請書の方に書いてありました。 ○事務局 申請書の7ページのところに構造式が書いてあり、「10.備考1」に使用上の 注意としてこれは入れるということがございました。念のためにこれだけかと審査セン ターの方から確認を取りますと、資料を用意してございませんが、湿疹、皮膚(かぶれ、 ただれ等)の皮膚障害があるときは悪化させるおそれがあるので使わないでください。そ れから刺激等の異常が出たら使用を中止し、皮膚科医へ相談してください。まぶたの周 辺、粘膜等に噴射しないでください。それから目に入らないように注意し、目に入った ときや顔等に付いたときはすぐに十分洗い流してください。それから子供の手の届かな いところに置いてくださいという項目は付けたいという回答を得ております。 ○溝口部会長 分かりました。よろしゅうございますか。そうしますと、特に指示事項 はなしで承認ということになります。また、先ほどの「世界初」等の表現に関すること が一点ございますが。 ○審査管理課長 検討させていただきます。  ○溝口部会長 そうしましたら、これは承認して差し支えないということにいたします が、よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。  それでは最後の議題でございますが、議題3、「化粧品基準の一部改正について」の 説明を事務局からお願いします。 ○事務局 化粧品基準といいますのは、以前は化粧品品質基準という形で定められてお りましたが、化粧品の規制緩和の流れの中で平成12年に現在の化粧品基準というものが 出されております。内容としましては、まず「ネガティブリスト」という形で配合して はならない成分というものを定めております。そのほかに、「ポジティブリスト」と言 われておりますが、防腐剤あるいは紫外線吸収剤、タール色素といった目的で配合した い場合には、このポジティブリストの中に入っている成分から配合しなくてはいけない ということが定められている基準でございます。各企業においては、この基準に従いま して企業責任の下に安全性を確認し、選択した上で化粧品としていろいろな成分を配合 できるということとされております。  本日はこの中の紫外線吸収剤として配合が可能な成分1成分、またネガティブリスト として化粧品には配合してはいけない成分を規定させていただきたいということで、こ の化粧品基準の改正について御審議いただきたいと思います。まずポジティブリストの 関係から御説明させていただきます。 ○事務局 まず資料3を1ページめくっていただきますと、今回のポジティブリスト収 載希望成分というものでドロメトリゾールトリシロキサンというものがございます。2 ページめくっていただきますと、「ポジティブリスト収載希望成分の評価に関する報告 書」というものが1ページから始まってございますが、これに従いまして御説明させて いただきたいと思います。  今回収載希望がございましたのは、成分名ドロメトリゾールトリシロキサンという1 成分でございます。2ページに開発の経緯等がございますが、本成分はロレアル社、ロ ーヌプーランケミー社で開発された紫外線吸収剤でございまして、UVB(290〜320nm) 及びUVA(320〜400nm)の両領域にまたがる広域の紫外線を吸収するものでございま す。本成分はヨーロッパ共同体(EU)において、1998年9月に紫外線吸収剤として最高 15%の濃度で使用することが承認され、日やけ止め等の製品に配合されて販売されてお ります。米国では現在のところ使用されておりません。本邦では平成12年12月22日に、 日本ロレアル株式会社から紫外線吸収剤として化粧品での最大配合量として粘膜に使用 することがない化粧品のうち、洗い流すもの、洗い流さないものと同様に15%でポジテ ィブリストへの収載要請がなされたものでございます。  規格、安定性につきまして、審査の過程において申請者から適切な対応がなされたこ ともあり、特に問題はないと考えております。安全性につきましては、ラットの経口単 回投与毒性試験で雌雄ともLD50は2,000mg/kgを超えまして、毒性所見は認められなか ったと報告されております。反復投与毒性試験は、ラットで3か月経口投与毒性試験に より実施されましたが、無毒性量は1,000mg/kg/日と推定されております。審査センタ ーからは毒性試験を経口で実施した理由について説明を求めましたが、局所適用しても 全身毒性をもたらすことがないと判断して経口で実施した旨説明があり、審査センター としてはその説明を了承しております。   生殖発生毒性試験は、ラットを用いた経口投与による器官形成期投与試験が実施されま した。摂食量に関して1,000mg/kg/日投与群で、6〜11妊娠日の間に対照群に比較して優 位に低かったという結果が出ておりますが、体重及び体重増加度に対する影響は認められ ず、一般状態、剖検所見、胎児についても投与の影響は認められず、母動物胎児の無毒性 量はともに1000mg/kg/日とされております。 皮膚一次刺激試験はウサギで実施されておりますが、異常所見は認められないと報告さ れております。それから連続皮膚刺激性試験はモルモットを用いて実施されております が、皮膚反応、病理組織学的検査において異常所見は認められなかったと報告されており ます。 感作性試験は、モルモットを用いたマキシマイゼーションテストで実施されており、異 常所見は認められないと報告されております。光毒性試験及び光感作性試験はモルモット で実施されておりまして、感作誘発後の異常所見は認められなかったと報告されておりま す。 眼刺激性試験はウサギで実施され、結果としては眼刺激性に問題はないと報告されてお ります。遺伝毒性試験は細菌を用いた復帰突然変異試験、ほ乳類の培養細胞による染色体 異常試験及びマウスでの小核試験が実施され、すべて陰性所見でございました。  光遺伝毒性試験として、大腸菌を用いた光誘発性復帰突然変異試験、及びCHO細胞を 用いた光誘発性染色体異常試験を行い、いずれも陰性所見でございました。ヒトパッチテ ストは、本成分15%を含むワセリン分散物、本成分□%含有の製剤で実施されましたが、 いずれも陰性所見であったと報告されております。 吸収・分布・代謝・排泄については、ヒトの保存皮膚を用いたin vitroの試験で、本 成分20%配合の製剤で16時間で皮膚表面から吸収された本成分は1.5%であったと報告 されております。  14C-標識本品をマウスに単回経皮投与し、局所部位を開放した状況及び閉塞した状況で 血漿中放射濃度を測定しておりますが、見掛かけのTmaxは雄で24時間、雌で4時間と いう形で差が出ておりますが、Tmaxにおける血漿中の全放射能は適用量の1%以下と推 定されました。Tmax以後の血漿中の14C-標識体の濃度低下は極めて緩やかで、72時間 後の測定値も0でなく、本成分及び代謝物の排泄は遅いと推察されております。同様に標 識体をラットに単回経皮膚投与した場合も、Tmaxは雄で1時間、雌で8時間であり、T max時に血漿中に入る本成分は1%以下と推定されております。排泄時間につきましても 72時間後も0にならず、排泄が遅いと推察されております。 本成分の血漿中の蓄積性を見るために、ラットに本成分1,000mg/kg/日を3か月間経口 投与し、第4週、第13週に血漿中濃度を測定したところ、雌雄で差が認められず、4週 と13週での差もなかったことが観測されておりまして、本成分を長期投与しても血漿中 に蓄積されないと推察されると報告されております。 本成分をラット血漿中、ヒト血漿中、水中という3条件で24時間存在させた場合、分 解物が見いだされなかったと報告されております。ラット肝細胞、ラット及びヒト肝ミク ロゾームによる代謝についても検討されましたが、代謝産物は見つからなかったと報告さ れております。  本成分の生体内分布を見るには、経口及び経皮吸収される本成分の分量が微量であり、 測定が極めて困難ということで、生体内分布の試験については実施されませんでした。そ れについても審査センターとしては了承しております。 以上のような審査の結果、審査センターは提出された資料から見て、粘膜に使用するこ とがない化粧品のうち洗い流さないもの、及び洗い流すものについて15%を上限として、 ポジティブリストに収載して差し支えないと判断しております。以上でございます。 ○溝口部会長 ありがとうございました。御審議をお願いいたします。御質問、御意見よ ろしくお願いします。はい、どうぞ。 ○米谷委員 一つお聞きしたいのは吸収・分布・代謝のところなのですが、吸収される量 は少なく、血中濃度には差がないのですが、マウスの場合は雌雄でTmaxが非常に違う。 それから今度はマウスでは雌が早くて、ラットでは逆に雄が早いということですが、Tmax の値がその後経口投与においては雄しか書いていないのです。後ろの資料を見ますと、T maxの違いというのは非常に大きく出ているのです。この辺は濃度は低いのですが、その 理由を少し知りたいと思います。 ○溝口部会長 雌雄差が出ているようですが、いかがでしょうか。審査センターの方で追 加のご説明はありますでしょうか。 ○事務局 現在のところ、日本ロレアルからそれについての回答は得られておりませんの で、本部会での指示事項ということで頂ければ回答させたいと思いますが、いかがでしょ うか。 ○溝口部会長 では会社の方に回答をお願いするということでよろしゅうございますか。 ほかにいかがでしょうか。ここで認めますと、15%を限界としてポジティブリストの中に 収載されますが。  ちょっとお尋ねしたいのですけれども、ヨーロッパの方では随分使われているようです が、4ページの眼刺激性試験の方に、投与1時間後にすべての動物の粘膜に軽度の発赤と 浮腫が現れたが、その後は認められず問題ないとされていますが、これはヨーロッパで使 われていて、特に眼刺激性で問題になったというデータはないのでしょうか。 動物で赤くなると、どのくらいの意味があるかちょっと分からないのですが。 ○事務局 まずヨーロッパの状況については、特記事項として目に刺激があったという報 告は申請者から特には上がっておりません。それから眼粘膜の方は今ちょっと調べており ますが、もしも通常やる溶媒についても反応した場合であれば、よくあるパターンでござ いますので、もしも溶媒のみのものがなくてすべての目に発赤があったということがあれ ば、それについて説明を求める必要がございますが、提出された資料を確認しておりま すのでしばらくお待ちください。ネガティブコントロールも含めて一過性の発赤というこ とであれば、これは刺激性なしと説明されると思うのでそれを含めて確認をしたいと思い ますが、それでいかがでしょうか。 ○溝口部会長 お願いします。角膜及び虹彩に異常が認められなかったということから、 恐らく器質的な異常は何もないと思いますが、よろしくお願いします。ほかにいかがでし ょうか。大城戸先生、お願いします。 ○大城戸部会長代理 ちょっと課長に聞きたいのですけれども、EUとアメリカと日本の 三極の化粧品、部外品もそのときは日本では化粧品に準じているのでしょうが、例えばこ の例のようにEUで既に使っているのは、自動的に日本でも使うという合意ではなかった のですか。それは私の思い違いですか。 ○審査管理課長 個別に判断するということだと思いますけれども。 ○溝口部会長 よろしゅうございますか。ほかにございませんでしょうか。もしよろしけ れば、次のネガティブリストの方を御説明をお願いいたします。 ○審査管理課長 今御指摘のあった二点を確認して、了解が得られればオーケーというこ とでやらせていただきたいと思います。 ○溝口部会長 では今の二点の質問に答えていただいて、問題なければこのまま了解とい うことですね。よろしゅうございますか。 ○事務局 眼刺激だけ読み込みまして分かりましたので、追加でご説明いたします。眼刺 激につきましては、片眼に試験剤を入れて片眼は何も投与せずに、それとの比較で1時間 後に発赤等が見られたという報告がここに書いてございます。その後、時間がたつにつれ て所見がすべてなくなったということです。それから高濃度群も低濃度群も差がなかった ということで、それを根拠に眼刺激性はないという形でやっておりますので、残念ながら ネガティブの溶媒だけというのはなかったようでございます。これについて、コメントを 求めてお出しするということでよろしゅうございますか。通常これで眼刺激性はないと評 価するというまとめが返ってくると思いますが。 ○溝口部会長 分かりました、結構です。そうしましたら、先ほどの雌雄差の件と併せて 回答が得られれば、承認して差し支えないということでよろしゅうございますか。それで はネガティブリストの方に移らせていただきます。 ○事務局 先程のポジティブリスト等の国際化の整合性の話ですけれども、規制緩和が 化粧品について進められる中で、この辺についてはやはり非常に重要な問題だというこ とで、今後調和を図っていくために継続的な活動が求められております。現在のところ、 日、米、欧の中で、そもそも化粧品の規制制度自体の違いというものもございますので、 そういった中で既にEUで認められている成分をそのまま日本にというところまでの規 定は、現在のところされておりません。したがいまして、個別の成分ごとに安全性を確 認した上で、こういった形でポジティブリストの方に収載していくという形になってお ります。 ○溝口部会長 大城戸先生の御質問に対する答えだと思いますが、よろしゅうございま すか。 ○事務局 はい。引き続きネガティブリストのお話ですが、資料3の表紙から三枚目に なります。ネガティブリストということで、あらゆるすべての化粧品に対して配合でき ない成分でございます。今回挙げさせていただいておりますのはウシ由来の成分で、こ れは既に規制されておりますが、BSEの感染リスクが非常に高い部位ということで、 脳、脊髄、眼などの部位を使用したウシ、及びその他の類縁反芻動物の由来原料を原産 国によることなくすべての国のウシ由来のこういった部位の原料については配合できな いと定めたいというものでございます。 ○溝口部会長 御審議をお願いいたします。いかがでしょうか。原産国に関係なく、こ こに書かれている部位の使用は許されない、つまり配合できないということでございま す。 ○大城戸部会長代理 「その他類縁反芻動物」という定義ですけれども、具体的に動物 の名前は挙げられるのでしょうか。 ○事務局 ヒツジ、ヤギ、水牛、シカ、カモシカ等です。 ○溝口部会長 いかがでしょうか。今の動物も含めまして化粧品に配合できないという ことでございますが、よろしゅうございますか。ではこれはネガティブリストとして、 このままこの化粧品基準を一部改正で差し支えないということになりますが、よろしゅ うございますか。では御了承いただいたというふうにいたします。どうもありがとうご ざいました。  これで議題はすべて終わりですが、今回は報告事項はなしということでよろしゅうご ざいますね。特にございませんでしょうか。どうぞ。 ○審査管理課長 長尾先生は初めての部会であると思いますので、一言お願いします。 ○長尾委員 国立医薬品食品衛生研究所の長尾です。よろしくお願いします。 ○溝口部会長 それではよろしければ、今日審議いたしました件については薬事分科会 に報告することにいたします。お忙しいところ御出席、御審議いただきまして、どうも ありがとうございました。                         ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -