02/07/03 第2回インターネット等による医療情報に関する検討会議事録 第2回インターネット等による医療情報に関する検討会 ○日時 平成14年7月3日(水)15:00〜17:00 ○場所 経済産業省別館944会議室 ○出席委員 大山永昭 五十嵐良雄 石原謙 河北博文 菊池令子 坂本憲枝        櫻井秀也 塚本亨 中島みち 奈良昌治 深井寧 福島龍郎 松山幸弘       三谷博明 向山孝史   渡辺俊介 ○議事内容 ○大山座長  定刻を過ぎましたので、ただいまから第2回「インターネット等による医療情報に関 する検討会」を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中 をご出席くださいまして、誠にありがとうございます。お礼申し上げます。  本日より新たに愛媛大学医学部附属病院教授の石原謙委員および株式会社日立製作所 労政部長の御手洗尚樹委員に、本検討部会の委員にご就任いただいております。本日は ご都合により御手洗委員はご欠席でございますが、石原委員がご出席ですので、まず石 原委員をご紹介申し上げたいと思います。 ○石原委員  愛媛大学医療情報部の石原でございます。よろしくお願い申し上げます。 ○大山座長  なお、本日は木本委員からご欠席の連絡をいただいております。また櫻井委員および 塚本委員から遅れてご出席されるとのご連絡をいただいております。  本日は、医療に関する情報提供の現状等につきまして、田端参考人および河北委員、 松山委員からご説明をいただき、その後に議論を進めたいと思います。  まず社会福祉・医療事業団情報調査部長の田端光参考人から、社会福祉・医療事業団 における取組み状況につきましてお話をいただきたいと思います。それでは、田端参考 人よろしくお願い申し上げます。 ○田端参考人  WAM NETを担当しております、社会福祉・医療事業団の田端でございます。お 手元に「WAM NETによる福祉保健医療情報の提供」という資料がありますので、 ご覧にいただきたいと思います。  WAM NETは、平成11年3月に運用を開始し、3年が経過しております。1頁は WAM NETの概要です。WAM NETシステムは、いつでも、どなたでも情報が 閲覧できるWebサイトのWAM NET(Open)と、WAM NETの情報はもちろ んのこと、意見交換や自らが自らの情報を修正・追加など書き込むことができる機能を 使うために、WAM NET利用申請をしていただいて、事業団からIDが付与された 施設等が利用するWAM NET(Community)、この2つで構築されております。  利用状況は数字が掲げてありますが、本年5月の1カ月間のOpenとCommunityの情報ヒ ット数は450万件を超えております。ちなみに昨年は、月平均380万件でした。  内容的には厚生労働省情報と介護保険関係情報へのヒット数が多く、全体の約40%を 占めています。またWAM NETの意見交換の場や掲示板などの機能を利用するため に、WAM NETの利用申請をしていただいて、IDを保有している地方自治体、関 係団体、福祉施設、医療施設や介護保険事業者は6月20日現在で3万4,445の会員となっ ております。現在も月平均200程度の施設が新たに利用申請をしてきている状況にありま す。  1昨年IPA、いわゆる情報処理振興事業協会が実施した介護分野の情報化に関する 調査では、福祉分野で67.7%、医療分野で59.7%が「WAM NETに接続している」 、「したことがある」と回答しております。WAM NETの知名度もそれなりに浸透 しつつあると自負しているところです。  最近では、団体等が開催するイベント、セミナー情報の掲載依頼がたくさんあります 。ある団体がセミナーへの参加を広報誌で募り、その数は1日1、2件程度でしたが、 WAM NETのイベント広場で掲載した日から、1日に20〜30件の申し込みがあり、3 00人の定員を100人増やし、400人にしたという報告も受けています。徐々にではありま すが、利用される人が増えてきていると思っています。  2頁は「医療施設情報の提供の現状」です。現在、WAM NETのWebサイトに は全国の医療施設、病院9,359、一般診療所9万2,823、歯科診療所6万3,361が掲載され ています。  情報内容は、施設名称、所在地、電話番号、診療科目名、救急告示の有無、休止情報 の基本項目のみを提供しています。下段のWAM NET(Community)については、後 ほど説明させていただきます。  Webサイトの検索方法ですが、3頁です。これがWAM NETホームページのト ップ画面です。現在、地域住民を中心として考えておりましたので、地域情報の中で我 が街を検索することからスタートするようになっています。  4頁です。「我が街」を検索すると、市町村内のすべての介護保険事業者情報、保育 所を含めた福祉施設、医療施設などが閲覧できます。最初に「我が街」として、ここで は東京都港区を選択したあと、5頁ですが、「医療機関」を選択して次の画面で「病院 」を選択しますと、各病院情報が表示されます。さらに、「所在地」をクリックします と、所在地の地図も表示されます。ここでは診療科目での検索も可能となっています。 さらに病院などが検索した市町村にない場合は、ここから近隣の市町村を閲覧すること が可能になっています。  また市区町村の広報誌等に掲載されている休日・夜間当番医の情報ですが、毎月3,000 を超す市町村から情報収集することは現在はできていませんが、すでに市町村のWeb サイトに出ている所がありますので、この画面からリンクを張っています。現在1,872市 区町村の休日・夜間当番医の情報が閲覧できます。  今後、情報提供項目が増えて特定機能病院か災害拠点病院かどうかなど、全国的な検 索が必要になることを想定していますので、それら検索方法も含めて、システムの見直 しを検討していくことにしております。  またトップページの医療機関の情報がどこにあるか分からないのではないかと思って おりますので、タブ表示を地域情報ではなく、医療機関情報として独立化させ、分かり やすくしたいと考えています。  2頁に戻ります。下段の病院のデータですが、これは会員のみが見られるCommunityサ イトで多少詳細な情報を持っています。平成10年度に日本医師会のご協力を得て、全国 の病院に事業団独自のアンケート調査を実施しました。調査項目は、基本項目とお手元 に記載してある16項目です。約9,000の病院を調査し、すべて回答をいただいた施設、一 部の回答をいただいた施設を併せて回収率は46%となっています。  6頁です。これがWAM NET(Community)の会員のページです。キーワード、所 在地、診療科目、病院名称、病床数の範囲での検索が可能です。  7頁が表示項目です。病院の室内の画像や所在地図も表示することができます。  8〜10頁にわたり、携帯電話を使った医療機関情報などの提供です。iモードに対応 しております。内容はWAM NETのWebサイトと同じものとなっておりますので 、後ほどお読みいただけたらと思います。  11頁です。福祉分野の資源情報です。全国の介護保険事業者情報を把握しているのは WAM NETサイトしかありません。  12頁、13頁が検索画面です。この資料にはありませんが、検索された介護保険事業者 一覧が表示されます。一覧の中から事業所の詳細を表示させますと14頁と15頁になりま す。15頁にはダウンロード機能がありますが、これは会員のみが使えるもので、WAM  NET(Open)のWebサイトにはありません。  14頁の詳細情報ですが、表示されている背景の色が緑の項目はWAM NETの会員 となり、自らが自らの情報を修正・追加ができるもので、事業所の特色などをPRする こともできます。背景の色が白の項目は都道府県に届出をしている内容ですが、修正す るには都道府県に再申請、または修正依頼して、都道府県において修正していただく項 目です。  最後に16頁です。福祉施設の提供情報で、全国が網羅されております。介護福祉施設 の基本情報に加えた第三者評価などの利用者が選択するための情報も、併せて提供する ことがWAM NETの課題となっています。インターネットが普及しますと、必要と する情報がどこにあるのか、どの情報を信頼すれば良いのか、分からない状況が起きて いると思います。  またWebサイトも多くなれば、それぞれにアクセスしなければ情報が得られないな ど、利用者にとっては大変です。公的な機関が全国のすべての情報を画一的に提供する ことが利用者の利便性に繋がるとの観念に立ち、WAM NETはこれらの介護事業者 、医療施設、福祉施設の情報を提供しています。  平成15年4月から身体障害者施設などが支援費制度となりますが、支援費制度にかか わる事業者情報もWAM NETで提供することとなっています。  はなはだ簡単でしたが、説明を終わらせていただきます。 ○大山座長  ありがとうございました。次に河北委員から、財団法人日本医療機能評価機構におけ る取組み状況について、ご説明をいだきたいと思います。 ○河北委員  それでは、財団法人日本医療機能評価機構から、篠塚事業部長がまいりましたので、 彼にパーポイントの操作をお願いしたいと思います  スライド1:財団法人日本医療機能評価機構の概要、あるいは事業を簡単にご説明い たします。財団法人ですから寄付行為に基づいて設立された団体で、1995年に設立され ました。日本の医療の機能評価は、1980年代に入り、何とか機能評価、あるいはアウト カム評価をしなければいけないという議論が起こってきて、1985年に厚生省と日本医師 会が合同委員会として病院機能評価検討委員会だったと思いますが、設置したころから 盛んになってきたのです。そのときに日本の医療というのは自己評価で終わらせるか、 あるいは第三者が中立的に評価をするかという議論があって、日本医療機能評価機構と いうのは中立的に医療を評価するということです。 スライド2:「評価機構の目的」は、「国民が良質な医療を得る」、「病院が自主的に 受審する」というのがポイントです。国民が良質な医療を得るというのは、いま日本に は9,300ほどの病院がありますが、それぞれの病院がいまのままでどのぐらいの水準にな るかということではなく、受審することによって日本の病院の機能が向上して、ある一 定水準を超えていくことを、我々は目的にしているということをご理解いただきたいの ですが、そのことで受審病院がどのぐらい増えているか、後ほど説明したいと思います 。  あくまでもこれは強制的ではなく、病院が自主的に受審するということです。ちなみ に財団法人ですが、基本財産としての出資金が3億4,700万円で、国から1億円、日本医 師会1億円、ほかの病院団体が数千万円ずつで合計3億4,700万円の寄付行為がありまし た。 スライド3:「機能評価事業」ですが、最初に病院機能評価事業、病院機能改善支援事 業、サーベイヤーの養成です。私どもは病院の現場に出掛けて訪問審査をすることがあ りますので、どういう人たちが審査をするのかですが、主に診療部問、看護部問、事務 部門の3者です。そこにいろいろな専門分野の人たちが入りますが、現在、約500名のサ ーベイヤーと言われる人たちを養成しています。それぞれの人たちはサーベイヤーにな るときには、例えば、病院長に相当する経験5年以上、あるいは看護部長経験5年以上 、その他といった資格を持って、サーベイヤーの研修を受けていただき、認定をするこ とになっています。  機能評価に関する研究・開発、あるいは普及・啓発。普及・啓発の中で、解説集の刊 行、あるいはNewsletterの発行、病院機能改善支援セミナーの開催を行っています。6 番目は、今年度からの事業ですが、EBM(Evidence-based Medicine)に関する医療情 報サービスの事業を開始することになっています。これは主にクリニカル・ガイドライ ンを作成するといったことを含めて、日本の診療のある標準化が進んでいくことを念頭 に入れて、利用される方たちに分かりやすいクリニカル・ガイドラインを出す。実際に 臨床の現場でドクターたちが必要とするものであり、学術的に研究に応用するようなも のにするといった3つの立場から、内容的には同じですが、表現を分かりやすくするこ とと考えています。 スライド4:「評価機構の概要」ですが、中立性、学術性、客観性ということが非常に 大事であると思っており、先ほど申し上げましたように、日本の医療の、さらに日本の 病院の機能が、ある一定水準以上になるように受審をし、その審査をするということで 、そこにはスタンダードを決めることが大切であるということで、私どもは評価項目と して、日本の場合にはいろいろな種類の病院、いろいろな規模の病院がありますので、 それぞれいくつかの分野に種別し、それぞれにスタンダードを作っています。  ちなみに比較的規模の大きな、総合病院的な病院であると、小項目を含めて500項目ほ どの項目に関して審査をすることになります。それが大項目、中項目、小項目と分かれ ています。  これは現在の評価の限界ですが、医療機能評価機構の行っている評価のうち、Structu re(構造)評価は病院の建物がどうであるか、あるいは人員配置が何人ぐらいいるかと いったことです。Process(過程)評価は、診療がどのように行われているか、あるいは どのように病院が動いているかといった評価ができます。ここに欠けているのがアウト カム評価で、診療の結果がどうなっているかということは、まだ我々は手付かずになっ ています。 スライド5:「病院機能評価の領域」は大項目ですが、1が「病院組織の運営と地域に おける役割」、2が「患者の権利と安全の確保」で、黄色になっていますが、次にこの 項目だけを抜き出してあります。「療養環境と患者サービス」、「診療の質の確保」、 「看護の適切な提供」、「病院運営管理の合理性」、それから精神科領域、療養病床に 関して、機能評価のスタンダードが決められています。 スライド6:実は1995年に設立され、1997年から、この審査が本稼働しましたが、我々 の認定というのが、認定証の掲示期間5年間有効であるということになっており、それ を1つの期にして、今回4月から新しいスタンダードを設定しました。ですから、平成1 4年度の後半から新体系で病院の審査が行われるようになります。その中で、特に古いも のと新しいものの差は、「患者の権利と安全の確保」でペーシェン・セーフティーとい うものを中心に、スタンダードが作られています。「患者の権利の尊重と患者−医療者 のパートナーシップ」、「説明と同意」、「患者の安全確保のための体制」「患者の安 全を確保するための手順の確立」、「患者の安全確保に対する情報収集・分析・改善」 、「医療事故への対応」、「院内感染管理」ということが、かなり細かくこの中に書か れています。 スライド7:「評価調査者の体制」ですが、区分は今日は持ってきませんでしたが、例 えば、4名の体制でいく所、あるいは7名の体制でいく所があります。審査というのは 、自主的に申し込むことが大切で、審査の申込みがあると、説明会をします。説明会で どのように、そのあと最終的な認定にまで持っていくかということですが、説明会があ り、その次に書面審査票という、書面でいろいろな病院の管理に関する事項の書き込み をしていただきます。書面審査票を基に、それを分析し、訪問審査を行うときに評価調 査者が事前にそれを見て、どんな病院であるかを認識してから現場へまいります。現場 で4名のチーム、あるいは7名のチームを組み、いま概ね2日間、今後は3日間現場に いて、いろいろな部署を見ることになります。  我々の限界は、訪問審査を行っていても、その日、その時の状態でその評価をしなけ ればいけないということで、その日、その時の状態がある一定水準を超えているかどう かということです。それから訪問審査を行って、そのあとに各4名、7名の中にリーダ ーがいて、リーダーを中心に報告書をまとめます。そこから出されてきた報告書を評価 部会で、かなりいろいろな意味で手を付けて報告書に直しながら、最終的には評価委員 会で認定をするのか、あるいは再審査になるのか、留保するのかということが決定され ます。 スライド8:「評価機構の現状」ですが、1997年度から2002年度まで、最初は9,300の病 院の中で審査を受けることを非常に躊躇するということがあって、120前後でずっと推移 してきたものが、6月現在で、今年度の審査の申込数が462と非常に増えてきました。こ れは1つには、ほかの病院が受けてきたので自分も受けなければいけないと思っている 病院があることと同時に、新しいスタンダードに変わったときになかなか難しくなるの ではないかという印象を持っていて、旧バージョンで受けたいという所が駆込み的に申 し込んできたというものもあります。 スライド9:後ほど数字は出ますが、現在、約700の病院が認定を受けていますが、これ は認定数で、1997年は58、それから128と推移して、2001年度が183と多少伸びてきて、 今年度は400を超えて認定されるのではないかと思います。 スライド10:6月現在の日本における全病院数が9.266、申請病院数は1,286です。前 回のこの検討会の中で、2,000病院を認定していくという資料が出ましたが、このままい きますと、おそらく我々の評価対象になるものは、9,300の病院の中で3,000〜4,000の間 ぐらいになるのではないかと思っています。それ以外の病院は、いろいろな意味で転換 をしていくことになっていくのではないかと思います。すべてがということではありま せんが、病院の機能が多少変わるということと、福祉施設のほうに転換をしていくもの が出てくるのではないかと考えています。いまのところ、申請率が13.9%、審査終了が7 97、そのうちの695が認定されており、審査に対する認定率が87.2%だということです。 スライド11:「認定証」はこのようなこのようなものです。これは新しい認定証で、 古い認定証は縦型のものですが、今度は横型になります。その中で、右側にある、この 部分に関しては今後、種別が多少変わることと、例えば、救急機能、第3次というより も2.5次から3次ぐらいの高次の救急機能、それからリハビリテーションの機能、臨床研 修機能、緩和ケアといったモデュールと言いますが、そういったものの付加審査が書き 込まれることになるだろうと思っています、 スライド12:今後の課題ですが、診療結果をどのように評価の中に盛り込んでいくか は、今後の課題の1つです。それから医師の評価をどうするのかです。病院のシステム が整っていても、1人ひとりの医師によってかなり診療は大きく動くことが考えられて いますし、経営分析と機能評価ということで、例えば、国立、あるいは自治体立等の他 会計からの補助金が多額にある所が非常にいい評価結果を得ていることが往々にしてあ りますので、そういうものをどのように繋げていくかです。患者さんの視点をもっとも っと我々はこの評価の中に書き込んでいかなければいけないのではないかということが 、今後の課題として挙げられています。 スライド13:「国際的な動向」ですが、日本が国際的に遅れているかというと、決し てそうではなく、JCAHOというのはアメリカで1951年に設立された同じような団体 ですが、こちらのほうが国際的に圧倒的に古い歴史を持っており、50数年間の歴史の中 でかなり進んだ評価を行っています。ただし、ここは実際にはJCAHOの認定がアメ リカのメディケア、メデケードの支払い給付の対象になるということになっていますの で、アメリカの80数パーセントの病院は、JCAHOの認証を取って、もし取っていな い場合には州政府の認定を取っているということが主です。  ISQuaというのはボランタリーグループですが、International Society for Qua lityアシュアランスだったかヘルスケアだったか、そういうグループがあって、その中 にALPHAというプログラムがあって、各国の認定機関を認定するような活動をして います。私どもも今年度から来年度にかけて、ALPHAのプログラムで財団法日本医 療機能評価機構自体が認定を受ける準備をしています。  ISOですが、これはご存じのとおりですが、私の病院はISO14001という地球環境 保全の認証を取っていますが、ISOと日本医療機能評価機構の審査のいちばん違うと ころは、ISOのほうは常に継続して改善する仕組みを持っているかどうかを認定する ということで、こちらはどの水準になるかということではなく、継続して改善をする仕 組みを持っているかを認定するのがISOの仕組みである。日本医療機能評価機構とい うのは、ある一定水準を越えているか越えていないかというところにスタンダードが定 められています。 スライド14:そこで「評価機構の広報」ですが、基本的な姿勢としては、できるだけ 事実だけを述べる。分かりやすく述べようということですし、国民が病院に関する適切 な情報を得る、認定病院の医療の質のさらなる向上ができるよう、向上していくような 広報でなければいけない。認定病院と、それぞれ他の認定病院と比較が可能でなければ 情報として意味がない。最終的には認定病院の同意を前提としている。これは認定病院 が強制で受けるのではなく、自主的に受けることを意味しています。 スライド15:「病院機能評価の報告書」ですが、この場合には所有権と著作権という のがあって、今までの評価機構の広報は、特に認定病院に関しては、認定病院だけに関 してで、再審査中、あるいは留保になった病院に関しては、まだ広報の中には載せてお りません。 スライド16:認定病院の情報に関しては、認定病院の名称、所在地、電話番号、認定 表記ということが、いままで公表されてきたものです。この考え方は、先ほどWAM  NETの中で全国的な情報が今後必要になってくるのではないかという説明がありまし たが、私どもは病院の機能というのは、かなり地域に限極した機能である。特定機能病 院等を除くのかもしれませんが、地域の中である病院の名称、所在地、電話番号等が公 表されれば、その地域の人たちが自分でその病院に行って、その病院に報告書を見せて ほしいということを言いながら、その病院の機能の改善、向上に参画していただきたい という意図を持って、これだけにとどめてきたわけです。 スライド18:これは6月27日に理事会、評議員会があって、その中で承認をしていた だいたことですが、認定病院に関して審査結果報告書の総括、評価・判定結果、これは すべての中項目を記載する。再審査による認定の場合は、再審査結果報告書、再審査後 の中項目の評点。中項目の評点に関しては、ほかの病院と比較できるように、他の認定 病院の中項目の評点分布を記載するということを、インターネット等で行うようになり ました。 スライド17:1つ前に戻りますが、それはホームページ等で行うことになります。今 年の9月1日から掲載できるように準備をしております。認定病院のホームページとリ ンクができるようにしていくつもりでいます。スタンダードの中で、一般の方にはなか なか分かりにくい用語もありますので、用語の解説集を付けること。認定病院の中だけ の分布になりますので、実際には9,300の病院の中で現在まだ認定をされている病院が約 700、各種別に分けますと、それぞれ何分の1かになってしまいますが、それぞれの中の 比較で、まだまだ認定を受けていない病院が世の中にたくさんあるということも見る方 にご理解いただくために、全ページに認定病院数と全病院数を書き込むようにしたいと 思っています。  改善審査は、評価というのは5段階評価になっています。1〜5で、5というのは日 本全国で最も模範になるぐらいのレベルを「5」とし、全くその機能が存在していない とか、機能していないものを「1」とし、おおむね標準的であるのが「3」、それぞれ の中間が「4」と「2」です。すべての中項目が「3」以上の評点を取ったものは、自 動的に認定になりますが、「2」以下、「1」は全く問題にならないと思いますが、「 2」の項目がいくつかあっても、実際に認定をしている病院もあります。ただし、これ から中項目がすべて出されていくときに、「2」のままで残っている項目を改善したい という病院があったときには、改善審査を我々も受けようと考えています。年1回の刊 行物として、認定病院の結果に関しては記載をして販売することも考えております。 スライド19:実際には、どんなものであるのかをご覧にいただきたいと思います。 スライド20:これは今までのページですが、病院の名前、所在地、電話等、こういっ た形で今まで出されています。 スライド21:それがこうやって地域分布でそれぞれクリックしていただくと、それぞ れの認定病院が出るようになっています。 スライド22:これからですが、認定病院の名前を入れると、これから中項目、その認 定病院の報告書に関するものが出てきます。 スライド23:これが各内容ですが、これは「診療の質の確保」というところで項目が たくさんあって、真ん中から少し下の赤い文字で書かれている所が、例えば、再審査の 対象になる項目になりました。薬剤の管理ですが、最初の訪問審査で「2」という評点 が付いて、再審査の対象になった場合、今までの認定だと、再審査を行って改善された ということだけしか記載されていませんので、そのまま「2」が残ります。 スライド24:今後に関しては、この項目が1回再審査を受けて、まだ駄目で、再度再 審査を受けた再々審査を受けたときに「4」に改善されたという場合、今後は改善され た評点の書き直しをして、それを記載する。ただし、再審査を受けたという事実はその まま記載することになります。 スライド25:「Newsletter」としては発行対象がこうなっていて、新しく発行対象を このように増やしました。主な内容としては、体系概要、研究者論文、委員会の論点、 統計数値、質問への回答というものです。 スライド26:「AMAP」というのは、松山委員のお話の中に出てくるかもしれませ んが、私が1997年にアメリカ医師会に行ったときに、アメリカン・メディカル・アクレ ンテーション・プログラムと言いますが、アメリカ医師会の会員が、アメリカ医師会に 対して、自分が自主的に申し込んだ人に関して、その人の過去の診療経験をすべてアメ リカ医師会が評価をし、アメリカ医師会のホームページに記載するというのがAMAP です。全国的にそのドクターの過去の診療に関するいろいろな情報が載っています。た だし、医療提供側であってもプライバシーという問題をどのようにこれから扱っていく かが課題になると思います。 ○大山座長 それでは、次に松山委員から、アメリカの最新事情についてお話をいただ きたいと思います。 ○松山委員  ご説明いたします。私のほうは、アメリカの最新事情について報告したいと思います 。 スライド2:まず最初に、アメリカの医療情報というのは、質と量が極めて膨大で、医 療情報の提供者も多彩です。提供者として一番大きな役割を果たしているのが、最大の 保険者である連邦政府です。州政府も重要な役割を果たしています。これは背景に医師 免許と保険会社の営業免許を所管しているのが州政府であるという事情があります。あ とでも出てきますが、医師会の場合はMedemというインターネットの医療情報提供会社を 設立して、積極的にいま事業展開を始めております。それからアメリカ病院界も非常に 大きな役割を果たしています。それから各大学研究機関、医療機関、各種NPOがそれ ぞれかなり高いレベルで医療情報を提供しているというのがアメリカの実情です。  日本との比較でいうと、病院による医療情報提供というときに、日本の場合には個々 の病院による医療情報提供を想定しているような印象がありますが、アメリカの場合は 、最近はどちらかというと、その病院が所属している地域の医療ネットワークが、個々 の病院情報も含めて提供しているというイメージになっています。 スライド3:ちなみにアメリカの地域のネットワークはどうなっているかというと、こ れはIntegrated Healthcare Networkと言われるものですが、IHNと略称されておりま して、急性期ケアのデータをベースに見ると、病院数では44%、入院患者と手術件数で は約65%ぐらいのシェアを持っています。つまり、急性期の病院の大部分がこのネット ワークに入っていることになります。1990年代になって、これが作られるようになり、1 995年は291だったのですが、今年の1月現在では602あり、約9割が非営利方式になって います。平均的には1つのネットワークで6病院が入っており、重要なのはそこに参加 している医師で、その数の平均は直近データでは2,218名です。1年前の平均は1,550名 でしたので、1つのネットワークに参加する医師が非常に増えているという印象です。  参加している医師の大部分は、ネットワークに直接雇用されているのではなく、その 地域で独立開業をしている医師です。これらの医師たちは、自主的に自分たちの判断で このネットワークに参加しているということです。したがって、その医師の情報は、そ のネットワークに十分蓄積され、その一部が公開されることになります。ちなみにこの ネットワークの急性期病院の平均入院日数は5.92ということで、昨年の統計が6.ちょっ とだったので、少しまた縮まったという感じです。 スライド4:アメリカの医療機関におけるインターネットの利用目的に関しては、HI MSSという略称で知られる医療情報管理システム協会が毎年アンケート調査をしてお ります。いちばん使われているのが「医療機関のマーケティングと宣伝のために」であ り、アンケート回答は97%でした。次に大きいのは「職員のリクルートのために」86% の医療機関が使っています。「医療提供者のディレクトリ」というのは、医師としてど ういう人が入っているかなどという医師の検索機能のために使っているということです 。  我々が関心のある消費者向けの医療情報というのは、医療機関の中でインターネット を通じて行っているのが71%です。ちなみにHIMSSの資料によると、医療情報への 国民のアクセスの件数は、現在は1カ月で5,000万件を超えています。  今後どうなるかについてアンケートをしたところ、「患者のスケジュール作成」つま りインターネットを通じてアポイントメントを取ることが、今後急速に増えてくるので はないかということです。ここでいちばん注目するのは、今年1月時点でアンケートを 取ったときに「現在実施中の利用目的」に入っていなかった「インターネットを使った 患者によるカルテの閲覧」です。たぶん2年以内に、患者がインターネットを通じて自 分のカルテを見られるようになってくるのではないか、と回答したのが29%ありました 。ただし、今年の3月にアメリカに調査に行ったときに、5カ所のネットワークへ行き ましたが、その中で患者にインターネットを通じて自分のカルテを閲覧できるようにす ると明確に言ったのは、ソルトレークシティにあるIHNインターマウンティンです。 そこは今年中にその体制が整うと言っていました。ただし、条件があって、無条件に自 分のカルテを患者に見せるのではなく、当面は、インターネットで開示する内容は、あ くまで主治医が許可した範囲のものしか見せないと言っていました。それはセキュリテ ィの問題がいちばん大きいのではないかと思います。ですから、インターネットでなけ れば患者に対してはカルテの中身を全部見せるわけですが、インターネットを通じてや る場合は、多少制約をかけると言っていました。 スライド5:そのネットワークによる医療情報の提供の具体例ですが、これはUPMC というピッツバーグにあるピッツバーグ大学の医療事業部門のネットワークのホームペ ージです。  これは典型的なデザインで、ここにHealthA−Z、つまり、医療情報のすべてみたい な項目があって、隣にUPMC Servicesというのがあり、これはこのネットワークが持 っているいろいろな医療施設の紹介で、これをクリックすると、施設が何百と出てきま す。次がFind A Doctorで、医師の検索です。  これは職員募集の項目で、これが検索機能の所です。医療情報のA−Zですが、中身 はこのように6つに分かれております。 スライド6:それについて説明しますと、最初の「Diseases & Conditions」というのは 、病気と治療方法の説明で、この下にずっと項目があって、1つ1つクリックしていく と、細かく見られるようになっています。例えば、「Blood Pressure」というのがあり ますが、これをクリックすると、 スライド7:このようなものが出てきて、高血圧について入門的な説明を見ることがで きます。それからリンクがあって、このリンクをたどっていくと、この病気について、 いろいろ専門的な知識も得られるようになっています。  それから、病気ごとの医師の検索機能がここにあります。これは非常に便利にできて います。 スライド8:次がMedicine Cabinetですが、これは処方された薬の効能と副作用情報を かなり詳しくここで見ることができます。 スライド9:それから、これが非常に面白かったのですが、Health Toolsというのがあ って、肥満度などの健康評価、運動プログラムの提示をやってくれますが、 スライド10:その中で例えば、こういうのがあって、今日あなたが感じている痛みに ついて問診をやって、医者に行ったほうがいいかどうかという結論をくれるということ です。なぜこれが人気があるのかよく分かりませんが、先ほどのHIMSSのアンケー トでも、Health Toolsの機能の拡大が、今後2年間注目されているという結果になって います。 スライド11:ここは地域住民、医師向けの医療講座、スポーツイベントなどの項目が カレンダー別にものすごい分量出ていて、有料の講座もありますが、自分でもっと詳し く知りたければそこへ行きなさいということでプログラムがあります。 スライド12:これは「Health Sciences Library」で、ピッツバーグ大学の医学情報部 のサイトです。その中にHealth Sciences Library Systemというのがあって、かなり細 かい医療情報があります。 スライド13:これがライブラリーのサイトで、ここにちょうど我々が研究しようと思 っているテーマがあります。つまり、消費者に対する医療情報の提供はどうするかとい うのがここにあります。これをクリックすると、 スライド14:ここにありますように、一般情報とか専門用語の説明、病気の説明、薬 の説明、医療検査の中身の説明、地域の医療施設がでてきて、注目されるのはEBMに ついての内容です。これはさらに次のようになっています。 スライド15:EBMをクリックすると、EBMに関する情報がこれだけ出てきます。 主なものだけでも「連邦政府の診療ガイドライン」、それをさらに解説した「やさしい 診療ガイドライン解説」があり、「ピッツバーグ大学自身による解説」、「コクラン共 同計画」という消費者の情報ネットワークの国際的なものもあります。この「コクラン 計画」については日本事務局のサイトのホーム・アドレスを書いておきましたが、かな り大きな活動をやっています。それから「ペンシルバニア州の病院のパフォーマンス、 経営情報」をここで見ることができます。それから「治療選択の出版物評価情報」です が、いろいろな治療選択の情報が出ていますが、その情報を評価したものがここに出て きて、かなり細かくなっています。 スライド16:「連邦政府の診療ガイドライン」はご覧になった方も多いと思いますが 、こういうサイトになっております。これは直近のものですが、ここに現在964あると書 いてあり、この下からずっと検索できるようになっています。 スライド17:ちなみにこれはアルツハイマー病のガイドラインの頁で、この下にかな りの分量の説明が続いており、さらに詳しく見たければもっと見られるようになってい ます。 スライド18:次に医師検索を見たいと思います。医師検索をクリックすると、 スライド19:「医師検索の情報提供機関」がこのようにあります。アメリカ医師会、 アメリカ専門医認定委員会、ネットワークであるUPMC自身の保険子会社の頁、ネッ トワーク(IHN)自身、UPMC自身、地元の医師会、州の医師免許審査委員会、州 の専門職ライセンス局、州の医師会というように医師の情報もこれだけのものを提供し ています。 スライド20:具体的には、例えば、UPMCのネットワークの医師検索の頁を見ると 、ここで「あなたが探しているお医者さんの専門分野は何ですか」とか、住所、自宅か らの距離など、いろいろ条件を入れると、その名前が出てくるようになっています。 スライド21:これはUPMCとは別のバージニア州にあるセンタラ(SENTARA )というネットワークのホームページですが、ここにFind A Doctorという医師検索の機 能があります。 スライド22:それを見ると、同じように検索のボタンがありますが、そこの文章を読 むと、「参加している医師は、州の医師免許を取得し、継続的に医療教育を受けており 、全員優秀である。安心して来なさい」というのと、「このセンタラというネットワー クは、医師に対して定期的な能力評価を実施しています」ということを書いています。 スライド23:具体的にどういう医師の評価かというと、ベンチマーク対比で1人ひと りの医師を評価しているわけですが、この評価表は肺疾患を専門とする1人の医師のグ ラフであり、0%のところがベンチマークの標準値です。これは死亡率ですが、「あな たの患者は、全体の基準から見て、死亡率が高かった」、「治療中に呼吸障害を起こし た確率が高かった。だから何か問題があるのではないか」ということで、1つ1つの項 目についてベンチマーク対比の評価があり、その先生に知らせることになっています。 スライド24:もう一つは、同じ専門分野の先生方で比較してみる。これは丸の大きさ が、その人が9カ月間に扱った患者の数で、ここが中心点で平均です。横軸はコストが 高い、低い。縦軸は入院日数が長い、短いです。左下にいる医師はコストも安く、患者 の入院日数が短かったということで、相対的に「優秀」という評価が出ます。こちらは コストもかかり、入院日数も長いということで、「何か問題があるのではないか」とい う評価になります。このデータはすべて重症度の補正をやったあとのデータで比較して います。こういう成績表というのは、実際はここにありますが、1人の先生で大体20頁 ぐらいあり、これを半年に1回作成し、指導しています。 スライド25:ベンチマークですが、3種類あって、1つは全米レベルのもので、全米 レベルにもこの3つがあります。それから州レベルのもので、州レベルの中で特に重要 なのはPeer Review Organization、医療の審査委員会の情報が非常に重要だそうです。 もう一つは、ネットワーク自身が作るものです。ここにすべて重症度補正後データと書 いてあります。「医療の評価というのは非常に難しい。しかしながら、専門家が専門家 たり得る所以は、その説明能力にあるのであり、とにかく評価をするように努力しなけ ればいけない。それが患者に対する義務だ」という考え方に基づき、手間のかかる重症 度補正という作業を行っているとのことです。 スライド26:センタラの経営者に聞いたのですが、専門診療科グループごとに数名の 代表を選び、医師自らが臨床プロトコル(標準的医療行為)を作成する。つまり、同じ 専門診療科の先生方が集まって代表選手を出し、その人たちにまず自分たちの標準的医 療行為を研究させ、それを啓蒙と実践を行い、各医師のベンチマーク対比評価成績表を 半年に1回ぐらい作成し、医務部長クラスの臨床指導医、いわゆる医師の教官に当たる 人たちが問題点、改善点を指摘してスキルアップしていくという仕組みです。そのとき 重要なのは成績表をその先生の評価のために使っているのではなく、スキルアップのた めだということで、最初にまず「ベンチマークというのは完全ではない」という考え方 を明示した上で話をするそうです。  それから、先ほどのような成績表は、センタラというネットワーク自身は外部に公開 しません。しかしながら、ほぼ同じ情報を州政府のサイトから見ることができると言わ れていました。  もう一つは、地域住民は、こういう医師の評価情報をインターネットで見ることはで きるが、実際はあまり見ていないということです。見ていない理由の1つは、このネッ トワークに入っている医師に対する信頼度が非常に高いので、わざわざそれをチェック してこないという回答でした。  重要なことは、こういう評価情報を作るときに、医師から見ても有益と支持されるよ うな評価情報データベースでなければ自己増殖していかないということで、私は一般消 費者、もしくは患者に評価情報を提示する前に、その評価情報の仕組みが専門家である 医師にとって非常に有益でなければ機能しないだろうと考えております。 スライド27:先ほど州政府が同レベルのものを出しているということでしたので、バ ージニア州の州政府のサイトを探したのですが、全く同じものはありませんでした。し かしここにありますように、かなり詳細な情報が出ていました。これはバージニア州政 府の医師情報のサイトを見ると、すべての医師の名前が列挙されており、それをクリッ クすると、それぞれの先生の情報が出てきます。その情報はここに1つ1つ項目があり ますが、具体的には一般情報、医療施設の住所、専門医認定の内容、診療範囲、受賞歴 、アカデミックな任命歴、つまりいろいろな学会で何か役職に就いたとか、政府の委員 をやっているなどということも出てきます。それから著作・論文、州の医療委員会等か ら指導を受けたことがあるかどうか、医療過誤歴等が、すべて無料で見られるようにな っています。 スライド28:HIMSSのアンケート調査の中に、「医療情報テクノロジーの将来予 測」というのがあって、その中で面白い項目がありました。1つは、最初に出てきまし たが、「オンライン予約システムを5年以内に3分の1ぐらいが達成するか」について は、「賛成」が44でした。質問の2番目は、「5年以内に患者のプライバシー漏洩に対 する心配が小さくなって、医療に必要という理由で患者が自分の医療情報が関係者間で 共有されることの必要性を受け入れようになると思うか」については、25%で、これは かなり低いのではないかという印象を持ちました。次は、「病院や医師を選択するに当 たり、消費者がHealth Grades.comの『5つ星ランキング』のようなオンライン評価シス テムを利用するようになると思うか」については、医療情報の専門家たちは40%が「そ うなるだろう」と答えています。この40%が高いか低いかは評価が分かれるかと思いま す。 スライド29:ちなみにHealth Gradesのページを見ますと、病院については、5,000病 院以上、医師については62万人、ナーシングホーム(介護施設)については、1万6,000 以上、在宅ケアについては7,000以上の事業者について評価情報があって、5つ星ランキ ング等の評価を行っているということです。 スライド30:これはHealth Gradesのホームページのさらに中を見たもので、介護施設 の場合と医師の質の評価レポートです。これは有料で、最初の3冊については24ドル95 セント(約3,000円)ぐらいで購入できることが書いてあります。 スライド31:ここが作っているデータは、risk-adjustmentということで、患者の重症 度の補正をしています。その方法論についてはこの中身を見てくださいということで、 詳しく出ています。 スライド32:今月になってからのホットニュースですが、アメリカの医師会が設立し たMedemというインターネット会社は、今年の6月からオンライン・コンサルタン ト事業を開始しています。これはどういうことかと言うと、患者がメールで医師に医療 の相談を受けたときに、医師がメールで回答した場合、それを有料にすることですが、 1回当たり大体20$から30$のビジネスだそうです。  このビジネスは過去にもいろいろな民間のベンチャー企業がトライしたのですが、こ とごとく失敗に終わりました。失敗に終わった中でアメリカの医師会が、いまの時点で あえてもう1度これをやるということは相当注目されているのですが、論評を見ると、 この事業が成功するためには保険の給付対象になることが条件だろうということです。 そのためにはオンライン・コンサルタントというものが外来診療の代替となって、医療 費節約に貢献することを立証する必要があるということです。これができれば当然保険 給付の対象になり得るということです。これはあと数年経ってみないとわからないと思 いますが、仮にこれが日本でもうまくいくようであれば、こういうビジネスが出てきて もおかしくないのかと思います。 スライド33:結論の部分ですが、今後医療情報提供のあり方を検討する場合に、私は 個々の医療機関が独自に情報の提供をする場合と、その地域医療圏の中で第三者機関的 なものが中立の立場で情報提供する場合を区別して議論する必要があるのではないかと 思います。逆に言うと、地域住民から見た情報の信頼性、利便性を高める仕組みとして 、地域医療圏のWebサイト的なものが必要になってくるかもしれないと考えています 。  2つ目はアメリカとの対比で考えると、消費ニーズに応えることができる水準まで医 療情報コンテンツの質と量を拡充するためには、そのインフラとなるデータベースの構 築が急務ではないかと思います。そのためにはタイプの異なる複数の医療圏で臨床とコ ストのデータベース構築を加速させられるような仕組みを創ることが必要ではないかと 考えています。以上です。 ○大山座長  以上でお3方の説明を終わりまして、次に事務局からから資料が提出されております ので、簡単に説明をお願いいたします。 ○伊澤補佐  お手元にある「インターネット等による医療情報に関する検討会(第2回)資料」で 説明いたします。1頁ですが、これは前回提示した資料です。このうち「医療機関(ホ ームページ)などから情報を入手していると答えた方の性別や年齢別の状況について、 塚本委員からどのような状況になっているかというご質問がありましたので調べました 。それを次の頁に提示しています。  次の頁ですが、これは例えば、アンケート調査自体の回答者総数が30代の女性の場合 に3,194人いましたが、そのうちで医療機関ホームページを情報入手先としている方が1, 028人いたということで、32.2%という数字となっています。他の数字も同様ですから、 各年代、各性別ごとの回答数の割合がわかります。  次の3頁、4頁は、前回の検討会で委員から出していただいた主な意見を事務局のほ うでとりまとめたものですので、今後の議論の参考にしていただければと思います。事 務局からの資料は以上です。 ○大山座長  それではこれまでの説明を踏まえて議論を進めたいと思います。まずお3方のご説明 がありましたので、ご説明いただいた内容について、ご質問、ご意見等があれば出して いただきたいと思いますが、本日は、国民に提供することが有効かつ望ましい医療情報 とは何か、あるいは、そのような情報をどのような媒体(メディア)が提供していくべ きかといった点を中心にご議論いただければと思います。いかがでしょうか。 ○中島委員  前回、私は、日本医療機能評価機構の認定目標が平成18年までに2,000件というのは如 何にも少ないと申し上げましたが、先ほど河北委員が言われたように、、結局のところ は時代の動きとともに駆け込みになってきて、3,000、4,000になることが予測されると 。本当にいままで医療機能評価機構は頑張ってきた甲斐はあったと思うのです。  ところで、前回、患者がいちばん知りたいのは「この病院はどういう結果を出してい るのか」、そういうことを知りたいということが何人かの皆さんからお声があったよう に思うのです。私もそういうことを考えていて、前回、日本医療機能評価機構が結果評 価を出さないできた理由と、今後の方向性として結果評価があってもよいのではないか ということを、病院の死亡率を例に挙げながら、申し上げました。  それで今日いろいろご説明をうかがい思ったことは、まず平成18年までに2,000なり、 3,000でも4,000でもいいのですが、それだけのものを認定できるとしても、平成18年ま でに4年あるわけですが、その間に民間の企業などが外国の評価機関などと組んでだい ぶ力をつけて、どんどん入ってくるのではないか。こちらのペースが上がらないとそう なるのではないかと思っています。それに関連して、例えばさきにISOというお話が 出ましたが、ISOの案内資料を読むと、「アウトカム、結果評価を私どもはいたしま す」と書いてあったと思うのです。「日本医療機能評価機構は構造評価だけれども、我 々はプロセス評価と結果評価をいたします」と。  ところが、いま河北委員のお話を承ると、日本医療機能評価機構はプロセス評価もあ るわけです。そして結果評価はありませんということでした。ISOは医療の継続的な 仕組みを評価するところで、河北委員のところでも一部それを用いているというお話が あったかに思います。  私はISOの案内資料を読んだときに感じたのは、800万円とかものすごいお金で、私 のそのときの偽らざる気持から言うと、こういうものがどんどん入ってくると、そして 患者側は結果評価をとても欲しがっている、そうなってくると、万が一いい加減な評価 をした場合、それだけのお金を取って、それで患者のほうもそれを見るわけだからどう なるのだろうと思いました。そうしたらそこへまた次の情報で、日経の何日か前の記事 に、川渕孝一さんの機構がインターネット上の医療機関の個人情報保護体制を審査する ものを立ち上げたという記事を読んだし、三谷委員のところでは審査基準に適合した病 院にマークを交付しているというのを読みました。  こうなってくると、私ども患者側としては、結果評価は欲しいけれども、この後この スピードで日本医療機能評価機構がいく場合も大変頑張っているのはよくわかるのです が、一体、他の評価機関との関係がとうなっていくのか、そういうものについて行政は どうお考えになっているのか。  もう1つ質問としては、河北委員が病院でお使いになっているというISOについて 、「あんな高いもの」と私は思ったのですが、あれは読み間違いだったかと思ったりし て、率直なところでどうお考えになっているのか伺いたいと思います。  それから、ISOは仕組みの評価だけれども、日本医療機能評価機構はプロセスと構 造とおっしゃってきたのですが、そこのところは結果評価までISOはやっているとい うことを宣伝しているけれども、その辺はどういうことなのかということと、私も読ん でもわからないという状況では、一般患者としてはそういうのものがどんどん出てきた ときに、わけがわからないということになるのではないかと思うのですが、その辺につ いてどうお考えかということを、どなたかご説明ください。 ○河北委員  財団法人日本医療機能評価機構は民法34条の財団法人で、これは民間です。ただし民 間であっても第三者であるという立場がすごく大切なのではないかと思っていて、先ほ ど私が申し上げたように、この機構に関しての評価は、ストラクチャー(構造)とプロ セス(どのように機能しているか)ということが中心であることは間違いありません。  ただ、どういう記事をご覧になったのかわかりませんが、ISOが結果評価をできる とは私はまったく思っていません。それは誤りだと思います。結果評価に関してはいろ いろなやり方がありますが、東京都病院協会で、いまアウトカム評価、24の疾患を取り 上げて、その24の疾患に関して約20病院からデータを集めて、データの収集に関しても 標準化をするということで、診療情報管理の標準化をして、コーディングをして、きち んとそれが信頼性のあるデータであることに基づいて、24疾患に関してその評価を分析 していることが1つあります。  ただ川渕さんがなさっているようなものも、DRG/PPS等を含めて、1つのアウ トカム評価になっていることは事実であって、ISOがそこまでやっているかというと 私はまったくそうでないと思うのは、アウトカム評価に関してはデータに信頼性が持て るかどうかというところで、相手を信頼してきちんとしたデータを出すという仕組みが ない限りはアウトカム評価はあまり意味がありません。ISOに関してはまったくそう いうことはないと私は思っています。  ただ、ISOの審査を受けるのは非常にお金がかかるのは事実で、私のところも800万 円どころではなくて、もう少しお金がかかりました。それはいいのですが、今後この委 員会でどのような情報を議論をするかということ、もう1つはどのように提供するかと いう中で、最初にご説明のあったWAM NETというのは、これは社会福祉・医療事 業団というところが提供されているネットワークですから、そういうところも必要でし ょうし、我々のような第三者としてのきちんとした評価の仕組みを持っているところが 提供する情報も大切でしょうし、将来的には株式会社として営利を目的に情報提供する ことがあってもいいと思いますが、信頼性に関しては国民がそれを判断できる目を持つ ことが大切であると思います。 ○中島委員  少なくともISOの分厚い資料を見たとき「そんなにいろいろできるのか」「だけど こんなに高いのに入る病院があるのかしら」などと思っていたら、今日、河北委員がお 入りになっているというのでちょっと驚いたのですが、これからこの種のものがさまざ ま野放しになると大変なことになるということはありませんか。いま伺っただけでも、 日本医療機能評価機構は構造評価しかできないけれども、自分のところはプロセス評価 もアウトカム評価も全部できるというのには疑問もあるようで、今後、特にインターネ ット上でいろいろ発表されるようになってきたりすると、まさに第2回の主題であると ころに関係してくると思うのですが。 ○河北委員  いまの「インターネット上で野放しになる」ということが私は理解できないのですが 、ISO14001とか、9002というものの認証を取得しても、それはあくまでも自主的にお 金を払ってISOの審査を受けているところがその情報に関しては所有権を持っていま す。著作権はISOの審査機関が持っていますけれども。ですから、インターネット上 でそれを出すか出さないかというのは情報の所有権を持つところ、あるいは著作権を持 っているところがどのように扱うかというところで制限を受けるはずなのです。何でも 野放しに出るということではありません。  それで今回、日本医療機能評価機構が9月1日から報告書の内容をできるだけ出して いくということは、これは著作権と所有権の問題であって、所有権を持っている各病院 の同意を得て出すことと同時に、著作権の立場としては、改竄ではないのですが、意図 的に一部の情報しか出さないということよりは、機能評価機構が代行して、すべての情 報を出すほうが公正な情報提供になるという立場から、各病院が個々に出す情報ではな くて、財団法人日本医療機能評価機構が代行して出すという信頼性をぜひ国民に認めて いただくという立場をとっています。 ○奈良委員  アウトカム評価というのは非常に難しいものがあって、例えば私の家は医者家族なの ですが、医者でいちばん嫌なのは死亡診断書を書くことなのです。その意味で、死亡診 断書を書くのが嫌なために開業をしている先生が特に公的病院に「患者をお願いします 」ということは非常に多いわけです。  実は私は30年前にアメリカで生活していて、デトロイトのフォードの病院のすぐそば にハーパーホスピタルというやや貧しい人が行く病院があったのですが、そこの病院の 死亡率は非常に高かったのです。ただ、フォードというのは医者もエリートだし、お金 持ちだし、フォードの病院に受診できるような人は非常にレベルの高い方が多いもので すから、私たちが扱っていたハーパーとかレシビングホスピタルは、低所得者の集まる 病院でした。  それで、大体3分の1が無料で、何で無料なのかと言うと、ハーパーホスピタルに来 た患者の中に「こういう研究をしているけれども、協力してくれれば無料で治療します よ」ということで、かなり厳しい、例えば癌のパイロットスタディなどもしていたこと があります。そういうところは比較的死亡率が高かったということがあって、アウトカ ム評価というのは他の医療施設、特に個人病院が嫌がるようなものを引き受けている医 療施設というのが世の中にありますから、そういうところの死亡率が高いから云々とい うのは、これは一般の人に誤解を招くのではないかということもあるのです。  それから、民間の評価がどんどん進んでしまってということをご心配なさっています が、極端な例を挙げると、私は本屋に行って医療関係の欄を見ると、『日本の100有名病 院』とか、『100の専門医』とか、そういうものが出ていますが、私どもの病院にもそう いう出版社の人が来て、「お宅の病院もどうですか」と。いろいろ聞いてみると非常に 高い掲載料を取るのがあるのです。それから、ものによっては、よく問題になっている ので紳士録というのがあって、高いレベルの紳士録もあるかと思うと、そうではなくて 少し有名になった人が載せてもらうと非常に高いお金を取って載せるという、いろいろ な紳士録があります。  それと同じで、私はその評価が、「何でもかんでも評価しますよ、お宅の病院は大変 いい病院ですよ、あなたは大変名医ですよ」ということを勝手にやられては困るので、 実は私どもの病院も医療機能評価を受けました。非常にお金がかかります。やはり340〜 350万かかるのですが、病院の将来のためには受けておいたほうがいいということで、当 時院長をやっていましたから、院長命令で「受けろ」といって受けたのですが、病院の 職員は非常に不安に思っていました。  どういう厳しい評価をされるかわからない、お金がかかる。「これだけお金をかけて 受けてもあまりいい評価を受けられなかったら大変困るのではないか」ということを言 われたのですが、「いや、これからの世の中は第三者機関の評価は大切になるから、や れ」と命令をしてやりました。  それで、大変よかったです。というのは、予備審査のときに、こことここのポイント はまだまだお宅は改善の余地があるということで、いろいろご指摘もいただいて、ほぼ 1年がかりで病院の職員がそういうところを改善しながら、見事にパスすることができ ました。中には、例えばここが不備だということで、本当に1,000万円以上の設備投資を して通ったという話もあります。でも、それは病院の機能やレベルを高めるためには必 要最少減のところがあって、東京都か神奈川だかは、たしか医療機能評価機構を受ける のに多少補助が出る仕組みがあると承ったことがあるのですが、そういうことで僕は医 療機能評価機構というのは非常に高く評価しています。  非常に厳しい評価をしているから私はいいと思っているのですが、安易な評価を『日 本の名医100人』とか、そういう調子でやられては困ると思います。一般の方はそういう 実情をわからないでいると、例えば本屋に行ってパラパラとめくって、100人の名医集と いって、あの先生は大変な名医だという評価をするかもしれませんが、我々プロ仲間か ら見るとちょっとおかしいというものも非常にあるので、これからはそういうものを慎 重にやっていかなければならないと思います。インターネットというのはアクセスすれ ば、結構いろいろなことにアクセスできます。かなり怪しからんものもあります、怪し からんものにアクセスしてしまって、後で取締まられたという話も聞くこともあります 。アメリカ辺りに変なポルノグラフィーか何かアクセスできますから、そういうものに アクセスした後、ひどい目にあったという話もあります。そういうことで、インターネ ットというのは、これからある程度の倫理的な規制を、特に医療関係のものについては かけていかなければならないと考えています。以上です。 ○大山座長  国民に提供することが有効かつ望ましい医療情報の判断の仕方の大事なポイントのご 意見をいただいたのではないかと思います。事務局のほうからいまのことに関して補足 説明がありますので、よろしくお願いいたします。 ○企画官  中島委員と河北委員からお話の出た、第三者機能評価とISOについて、広告規制と の関係でこれまでもいろいろと議論をいただいてきましたので、若干ご紹介させていた だきます。  平成13年3月に公告規制が緩和されたときに、日本医療機能評価機構の認定を受けて いるかどうかについて公告が解禁されました。その際に機能評価の内容に至るまで公告 が認められるかどうかについて、その時点では認定を受けたかどうかということのみが 認められたということです。しかし、その後昨年から今年かけて医療部会でいろいろご 議論いただいたときに、機能評価の結果の内容についても公告を認めてもいいのではな いか、それからこれとは別に、いまお話の出たISOについても公告を認めてもいいの ではないかということで、公告を今年の4月から認めた経緯があります。  考え方として、医療機能評価機構については個々の審査項目が、かなり医療の内容に 関与する部分があって、これも消費者から見て有用な情報であろうということでした。 ISOについては、どちらかというと国際的な、標準的な品質管理の認証制度なので、 むしろプロセスの中でいかに品質を確保するかという審査項目が多くなっています。し たがって、結果を担保するものでもないし、審査項目個々が医療と密接になっているも のでもないので、ISOについては、認定を受けているかどうかの公告をできるという ところまで、認められたということです。  先ほど奈良委員からお話のあった、『日本の名医100人』の類は、第三者評価というの は他にもいろいろあるのかもしれませんが、医療部会で、やはり国民の目から見て信頼 性に足りる第三者評価としては、この2つまでということで、医療部会でご議論いただ いて、我々も認めているということです。以上です。 ○松山委員  いま奈良委員がおっしゃられたように、アウトカムというのは評価が難しくて、一般 の患者にそれを提供したときに誤解を生むかもしれないというリスクはわかるのですが 、逆に日本の医療界の中で、医師同士、つまり同じ専門の医師同士でアウトカムの評価 ができるような状況になっているのかどうかです。それができていればある程度は救わ れるかと思うのです。  もしできているとすれば、それをいつの時点で国民にどういう形で出せるかという話 になると思うのですが、それが仮にいまの時点で必ずしも十分にできていないというこ とであれば、もともと出せる情報がないということですから、それをどうやって作るか という話になるのではないかと思うのです。私は医師ではないので、それが現場でどう いうふうにお考えかがわからないので、教えていただければと思うのですが、いかがで しょうか。 ○河北委員  先ほど私が言ったように、取りあえずいま準備段階であるということで、多少世の中 に出しても信頼性を持てるものというのは、川渕さんが分析をしてきた部分と、QIP (クオリティー・インディケータ・プロジェクト)として京都大学の今中先生がなさっ ているものと、東京都病院協会の診療情報の標準化とデータベース化と。この3つはあ る量の情報が集まってきていますから、結果としてお示しすることは可能と思っていま す。  しかし、個々の病院のデータを比較することはできますが出さないということになっ ていて、例えば20病院集めて、20病院のある特定の疾患に関して、全体を集めてそれを 分析したものと、個々の病院にその病院のデータをお返ししますから、それを個々の病 院として全体と自分を比較することは可能になっています。 ○大山座長  先ほどのISOの話もそうだと思うのですが、ソフトウェアとか、商品をつくるほう の世界で、プロセスのインプルーブメントという話がよくあって、そのときは自分が失 敗したとか、自分が問題だと思うときに、それをどこにフィードバックしたら改善され るか、その仕掛けを生産する現場、あるいは品質を管理するところも含めて全部がわか っていれば、決して下には行かない、必ずいい方向に行く、それを徹底する仕掛けを持 っているかどうかだと思います。  先ほど河北委員からお話のあった、医療機関の中にもそういう形で出てくることが必 要なのではないかという気がします。したがって、そのときにアウトカムをそのまま表 に出すのか、わかっているものをフィードバックをかけることなのか。逆に言うと、ほ んの小さなことがもっと大きな専門性とか、いろいろなものに対して逆の評価を生んで しまうこともあり得ます。その辺は国民から見ると、信頼できる情報をどうやって得る か、それを望んでいるのではないかという気がするのです。  一方、『名医100人』とか何とかいいですけれども、あれはおもしろいと思うのですが 、『悪い医者100名』というのを出すと名誉毀損で訴えられて終わりなのです。逆だから できるのです。お金を取ってでもできてしまうのです。それが社会的に問題を起こせば 、何らかの制裁、あるいは出版停止などがあるのですが、一般的にはできないことで、 言論の自由とか出版の自由もありますから、その辺のところからもともと憲法で保障さ れている範囲ですから、そういう整理になっているのではないかと思います。  インターネットの話が少し出ましたが、私の知っている限りで言うと、違法コンテン ツと有害コンテンツとに分けています。違法コンテンツは法律に対して反しているもの で、先ほどのポルノグラフィーの話を言えば、日本でそれを出すと違法です。ところが 米国は合法なので、日本では違法と扱うことはサイトに対しては何もできないのです。 それでどうしているかというと、自主的に入ってくることを止める。結局国境はないも のですから、そこに対して法律は各国のサイトの場所で決まっていますから、日本でい くら違法でも、外国からのものに対して法律は効力を発しないのです。  したがって日本の中でどうするかというと、普通は有害なコンテンツ、例えば若い人 には駄目ですとか、いろいろなものがあると思うのですが、そういうものに対してはレ イティングというのをしていて、このコンテンツについては何点とか、レベル分けをし ます。これはいくつ以上の人でないと駄目ですよ、これは注意が要りますよとか、映画 のPG13(ペアレントガイド13)とかR指定と同じです。それを付けておく。見る側が コンピュータにそれをフィルタリングをして外す機能を持つというのが、いま日本では 経済省をはじめとして、一般的にやられています。  そういうことを医療において、例えば今回の情報を提供するときにレイティングをや るかというのは1つの考え方ではあるのですが、ちょっと議論が必要かと思います。例 えば要するに信頼性についてレイティングをやりますかと。そのままだと普通はやりづ らいと思います、まだ合法ですから。インターネットのほうはこのような整理になって いるということをご紹介いたしました。いかがでしょうか。 ○三谷委員  まだ情報の評価という所までいかないで、それ以前の医療の中身の評価という部分で 今日は議論が出ていると思いますので、コメントさせていただきたいのです。評価とい う部分のやり方に日本人はまだ全く慣れてないと思います。どちらかというと第三者、 上がお墨付きを与えてくれる。そういう意味での裏付を与えてくれるようなものは結構 利用されるのでしょうけれども、全く第三者が中立的な視点で評価した情報を利用する という仕組みが日本にはまだないと思います。いま医療の中身を評価して公開するとい うのは非常にいいことだと思いますが、評価したときのメリット、デメリットみたいな ものをよく考えておく必要があるのではないかと思います。  特に、いま日本でこのような評価情報を提供している分野はあまりないと思いますの で、9月から始められるこのような取組は画期的だと思うのです。しかし、そのときに 、例えば利用者がその情報を見て、5段階の評価がされている。そして、5が付いてい ると、いちばんいいのだというような単純な、確かに断片的には評価しているのでしょ うけれども、それだけで評価してしまう可能性があるのではないか。それから、評価に 漏れたような所もあるかもわからない。評価の限界とデメリットみたいなものを一緒に 出していかないと、ただ一方的に両方出して、これを見れば安心だというふうにした場 合に、いろいろ問題が出てくるのではないかと思う部分があるわけです。  誰が評価するかという部分で、いまの評価機構の審査の仕組みをお話しいただいたの ですが、どちらかというと、医療の専門家(プロフェッショナル)、ある従事者が評価 しているというふうな所があって、医療を受ける側の患者からの評価というものが現時 点ではないような気がします。  これは参考事例として聞いていただければいいと思いますが、同じ病院や医療機関を 評価する場合でも、専門家が評価する方法と利用者側が評価する方法とがあります。  アメリカのカリフォルニアのほうでは「ペプシ・プロジェクト」というものがありま す。これは住民2万人ぐらいが100ぐらいの病院を評価している。8項目ぐらいに分かれ るのですが、どちらかというと技術的なことの評価については患者さんはわかりません ので、病院の対応がどうであったか、インフォームド・コンセントがあったかどうか、 心情的なサポートがあったかどうか、病院から退院するときのサポート・システムが十 分であったかどうかなど、患者の視点から見た評価というものがあって、それを点数化 して、3段階なのですが、「3つ星」というような形で出していくというものです。  それは全部公開されているのですが、その中で全部項目別に、3つの星が付いている 所もあれば、1つしかない所もある。それも一緒に、同列に表示されているのですが、 おそらく、それはたぶん、それぞれの医療機関がそこに参加することによって質を高め ていこうというコンセンサスがあるのだと思うのです。そこに参加することによって、 逆に病院の質を上げようとしているということが外から見てもわかるというような仕組 みになっているのです。そのような、患者の視点から見た評価というものがどこかに関 わってこないと、どうしても一方的な評価に終わってしまうのではないか。評価の結果 が単純・安易に利用されるという懸念が考えられますので、患者の視点というものをと らえる必要があるのではないかと思います。  評価の中で患者、あるいはコンシューマー、実際のその地域住民の意見が反映される ような評価の仕組みが必要ではないかと思います。  評価を実際に行うのは2〜3日と聞いたのですが、たぶん、そのときは病院側も、評 価されるということで、構えてやると思うのですが、それ以外の日、日常のときはどう なのかということ、これは実際の患者でないとわからない部分があると思うのです。そ の場合の、患者から見た「実はこうなのです」というようなことがフィードバックされ るような体制も必要ではないかと思います。一方的に評価して、これでおしまい、とい うのではなくて、それが実際にどうなっているのかというような情報の検証につながっ ていくようなフィードバックの仕組みが必要なのではないかと思います。基本的には情 報を使わせてもらうということは非常にいいことだと思うのですが、そのときの情報の 評価、病院の評価の限界のようなことをきちんと利用者側に出しておかないと、何か単 純な評価に終わってしまう。もう少し有効な評価の仕組みがこれを機会に出てくると思 いますので、その辺を考慮していただいたほうがいいような気がします。 ○坂本委員  患者の視点に立った医療情報の提供ということでこの委員会が持たれたと思うのです 。私たち一般に届いている情報というものが、あるにはあるのですが、私たちというの は、情報がどこにあるかわからない。情報の中身の問題もあるのですが、例えば院内掲 示でかなりの医療の仕組みについての情報が載っています。しかし、院内掲示の見方な ど、そこにそんなに重大なことが書いてあるのかということにも気付かない。  それから、情報があっても、理解できないことが多い。私たちの調査では、「看護基 準」などという言葉は、その言葉を聞いたことがあって意味がわかる人が5%ぐらい。 それが入院生活、そしてお金の面でも大事だということを全く知らないで、医療法で決 まっているから院内掲示にあると。また、差額ベッドの料金も、料金だけ書いてある。 書いてある所はよくて、半分ぐらいの所が待合い室に書いてあります。しかし、その意 味がほとんどわからない。また、医療評価機能のことが規制緩和になっています。これ はとても画期的なことで、いろいろな問題があるでしょうけれども、取りあえず1つ病 院というものを第三者機関が評価するということでは非常に意味がある。そして、それ が今回評価結果も出すということは、取りあえず、すごく評価できると思うのです。  しかし、その前に、病院に行くと、認定病院ですという盾があるのですが、一般の人 はその意味がほとんどわかっていないと思います。皆さんがそれをどの程度理解してい るかと言ったら、おそらく5%の人がわかっているか。言葉も知らないという状況では ないかと思うのです。せっかく、とてもいいシステムをつくって、すごい努力をされて いることはわかります。ですから、消費者にその辺がわかるようにしていただきたいの です。  私はこの前、日本医療機能評価機構のホームページを開いてみました。その中で「効 果と利点」ということがずっと出てきたので、その辺を見たのです。要するに、効果と 利点というものが、ほとんど病院にとって効果があるということ。めぐり巡って、病院 が向上してくれれば、私たちにとってもすごい効果になると思うのです。しかし、その 辺の、私たちにとってどうなのかという部分が伝わってこないのです。効果も5個出て いるのですが、とにかく、病院にとっての向上、その辺がもっと私たちに伝わってくる ような伝え方をしてもらいたいと思います。  私たちが受け取っている医療情報というのは、広報や本、ネット、口コミです。その 中で東京都が行っている「ひまわり」。そして、この「ひまわり」自体も、ちょっと調 べたら、5%以内しかそれをわかっていない。利用者として、いままで24万件ぐらいし かアクセスがなかった。1,200万人以上の都民がいて24万件というのは非常に少ない。情 報が非常にたくさんある中で、もっと情報を整理して、本当に届かなくてはいけない情 報がどこにあるのか。そして、患者のニーズに沿った情報の整理、そこから入っていく 必要があるのではないかと思います。取り留めがなくなりましたが、都がやっている「 ひまわり」もそうですし、救急車の問題などもいろいろある。軽度の人がすごく使って いる状況があるとか、墨東病院が出来まして第3次救急になった。そういう状況でも、 現場としては非常に混乱しているということを聞いているのです。要するに、正しく使 うための。例えば、救急車を呼ぶほどではないときはどうしたらいいか、というような ことを相談する機関が、いろいろ調べていくと、各県でいろいろあるのです。そういう ことも、一般の人にまで届いていない。  そういう現状を見たうえで、患者が何を要求しているのか。その中で、医療の仕組み みたいなものも当然知らなくてはいけないのですが、病院を選ぶための信頼できる情報 が非常に欲しいということが原点なのです。信頼できる情報が何かというと非常に難し いのですが、信頼できる所につながるためには、患者のニーズがどこにあるか。そこを まず分類して、いまある情報がもっと有効に伝わるような手段を考える。そこから入っ ていくのが筋ではないかと思います。 ○大山座長  いまのお話に関係すると思いますので、河北委員、その後のお話をお願いします。 ○河北委員  日本医療機能評価機構では用語集を出します。できるだけわかりやすくなっています ので、日本医療機能評価機構のホームページをご覧いただけば、機能評価に関しては今 後わかりやすくなります。  病院にとっての利点が強調されすぎている。まさに、そうなのです。いままでは受審 病院の数を増やすことが大変だったものですから、それを強調してきたことは事実です 。しかし、これからはそうではなくて、国民にとって、あるいは地域の人たちにとって 、機能評価を受けている病院がこういう病院なのだということに切り換えていくように なります。  結果として、病院がよくなれば本当に医療がよくなって、地域の人たちの健康度が上 がるということにつながっていくことは事実です。ですから、それは病院にとっての利 点でもあります。ただし、そこの病院に患者さんが集中すれば、いちばん困るのはその 医療機関だという事実もあります。そこはいまの日本の医療制度の中で非常に困ること なのです。いいと言われると、そこに患者さんが集中してしまう。そして、本当に現場 が困るということがあります。  ちょっと話が違うのですが、患者さんの立場でのことを考えて、私がAIDSの拠点 病院の評価を6年ほど行ってきました。その中で患者さんの立場として、大阪にあるC OMLという団体の人たちに参加していただいて、AIDSの患者さんにSimulated Pat ientという立場で実際に訪問審査に加わっていただいたことが審査を非常にわかりやす くしてきた。そのレポートは厚生労働省に出してあります。  もう1つそのことに関してですが、訪問審査をするというのは、お金もかかるし、物 理的に非常に大変なのです。それで、インターネット上でそれを全部、自己評価である けれども、第三者評価に近いものにする工夫を、AIDSの拠点病院の評価ではいたし ました。インターネット上で、367の全ての病院が、自己評価をすることを前提にして、 その病院で登録をした患者さんとその家族、それから職員の人たちがそこに書き込める ようなページをつくってあります。これもそのうちに参考にしていただけると、いいも のになってくると思っています。 ○中島委員  私はまさに、三谷委員と坂本委員がおっしゃることを聞いているうちに、医療機能評 価機構に患者側として入っている者として、無力感と反省の想いを抱き、また、私ども への応援として今日のお言葉を承りました。  いままで努力してきたことを少し言わせていただきます。認定は、医療機能のいい所 、病院側のいい所を一方的に発表するだけに終わるということではないと考えています 。例えば認定機関だというのを玄関に大きく掲示する。そして、評価項目の表を置いて もらう。そういうことを行っていただくように、何年もかけて随分頑張ってきたのです 。その目的は、評価機構から見てここはこういうことで合格点だと言っても、来ている 患者さんから見れば、「何言ってるの。私はインフォームド・コンセントなんて、ちゃ んとやってもらってないよ」とか、「何分しかやってもらってない」など、いろいろな 問題があると思うのです。それを言ってもらって、フィードバックをしてもらいたい。 そこから1歩ずつ進めていくために、それを玄関に掲げていただくとか、評価結果の厚 いものでもオープンに出して、質問が出たら必ず答えなければいけないようにする。そ ういうフィードバックの仕組みを念頭においてやってきたのです。しかし、まだ本当に 無力で、ここまでしかできておりません。  それから、もう1つ前に私が手を挙げていたのは、奈良委員の御発言についてです。 それは、再三申し上げてきたように結果評価というものを出すのは非常に難しい。私も 5年前に、医療機能評価機構で、「ミシュラン」のように、結果評価が出たらいいとい うことだったけれども、その当時は、そんなことをやれば、まさに、いまおっしゃった とおりで、大変なことになると言うのであきらめたのでした。  しかし、5年の歳月の中で、医療環境は本当に変わってきました。いま例をお挙げに なったメディケイドの人たちの来る地区の死亡率の高さ、そういうものを発表しても理 解できる時代が近づいてきていると思うのです。ですから、「なぜ死亡率がここは高い か」。「ここは、がんの4期の人でも受け入れる。終末期医療を一生懸命にやっている 。だから、うちの死亡率は100%です」ということを誇りを持って出せるような、そうい う時代が動いてきていると思います。  あとは松山委員と大山座長さんが、私が手を挙げて言おうと思っていたことをおっし ゃいましたが、そのとおり。全くそう言いたい。医療側、医師同士のの中でも、結果評 価も全くわからない。こういう状況の中で、どうなのでしょうかと。 ○渡辺委員  先ほど三谷委員がおっしゃったことで、私も同感の部分があるのです。まず、患者サ イドから言いますと、前回の厚生労働省の資料にあるとおり、患者が知りたい情報とい うのは、非常に高いパーセンテージで、「医師や看護婦の接遇態度」「患者同士の評判 」があります。  確かにそのとおりで、機能の評価も大事なのだけれども、いまの多くの日本の患者が 不満に思っているのは、病院の態度の悪さと言いましょうか。そういった接遇の問題が 大きいと思います。だから、そういうものに対する評価も一方で必要です。  もちろん、疾病によりますし、プライマリーケアか、セカンダリーケアか、サードリ ーケアかによって違うと思いますし、老人の慢性的なものなら、それほど高い機能を必 要としなくて、接遇の問題が重く出るかもしれません。また、脳卒中を起こした患者だ ったら、接遇の問題よりも、まず高い機能ということが必要になるかもしれません。そ ういった意味から言いますと、同じ「患者本位」と言いましても、疾病別、慢性期か急 性期か、プライマリーか、セカンダリーか等々によって違ってくると思うのです。そう いった意味の評価、情報の出し方というものを区別して考えないといけない。  『日本の名医100人』みたいなものがよく売れる、という例を先ほど奈良先生が出され ましたが、それを逆に言いますと、そういった情報を患者が求めていても、そういった ことを満足させてくれるものが世の中には全然ないわけです。あれを読んでみると、や はり、高い機能よりも接遇の問題、あるいは、例えば胃の内視鏡だったら、苦しまずに ちゃんとやってくれるとか。そういったいろいろな情報を患者が求めているわけです。 かなり分野別に分けないと、同じ求めている情報と言っても違ってくるのかという気が しますので、その辺の整理が必要なのかと思っています。 ○菊池委員  患者さんに対する医療情報の提供ということで、今後それが推進される。そして、情 報の内容も今後充実していくと思うのです。すでにいくつかあるのですが、患者側から 見たら、なかなか活用できないという状況があります。そういうことを考えたときに、 情報の在処や活用のし方について相談に乗るような人たちも、重要になると思います。  すでに医療機関ではそういう相談窓口を設けていたり、情報図書館を持っていたりす る所があります。それ以外の身近な所では、訪問看護ステーション、保健所、市町村、 役所関係の所など。日本看護協会は「まちの保健室」ということでそういうことを進め ようとしていますけれども、身近な所で情報の活用のし方、在処、それから、情報の意 味というようなものを説明できるような人や機関を充実していくことも、今後重要だと 考えています。 ○塚本委員  まず、前回資料をお願いしたことにお礼を申し上げます。その背景をちょっと申し上 げますと、その資料に基づいて、年齢階層別にいろいろな情報をいただきました。その 背景として、きっかけはともあれ、受療された後のアウトカムの問題です。当然それは 資料の中からは出てこないのですが、その辺の問題提起をしたかったのです。それは本 日の論議と同じなのですが。  私どもは、歯科診療所を主体とした組織体をあずかっている立場上、先ほどの論議と は若干違います。受療をしてすぐにそこから問題が起き上がっている。いまの時代の審 美やエステ、そういった部分ですでにトラブルにあった事例が出ています。医療団体と いう立場からの発言としては異論ととらえられるかもしれませんが、そうではなくて、 本来はかかりつけ医やかかりつけ歯科医を持っていただきたい。それから、専門性を持 った部分で機能の分化があって、その中で情報が的確に国民に出ていくのだということ で選んでいただくのが本旨ではないかと思います。  院内感染に対しての有識者会議というのが今日同時刻に立ち上がりました。国民に対 する情報開示という問題もありますので、その辺の視点も是非論議の中に入れていただ きたく発言させていただきました。 ○福島委員  いままで、患者(国民)の求める情報が何かという議論もいくつか出てきましたが、 それはこれからの問題だと思うのです。通常どのような形で情報を収集するかというこ とで、よく一般に扱われるアンケートの問題やいろいろな聴き取などがありますが、こ れこそ、患者への対応、地域性の問題など、情報の評価の問題は、どういうふうに評価 してまとめていくかということが、大変幅のある難しい問題だろうと思うのです。  提供する情報について、こういう所でおまとめになるときに、例えば確実に検証がで きるものということで、いろいろ制限が加えられることが多いのですが、ちゃんと検証 ができるかどうかということ等をあまり突き詰めていきますと、逆に、患者が知りたい 本当の生きた情報というものが消えてしまうようなところがあると思います。バランス が難しいと思いますが、検証ができるかどうか等にあまり厳格にこだわらないほうがい いのではないかと思います。 ○奈良委員  情報は「患者さんの立場で知りたいもの」というのがいちばん大切なのです。昔もい まも、おそらく将来も変わらないのは、いうなれば評判ということです。評判というの はいろいろなものが入っていますけれども、昔はちまたに、あそこの病院はいいとか、 あのお医者さんは名医だというような評判が、意外に確かなものがありました。  1つ皆さんがたに是非わかっていただきたいのは、医療というのは突発的に起こる契 約なのです。ある日突然に、頭が痛くなって倒れた。そして、患者さんがチョイスする 暇もなく、たまたま救急車を呼んだとか、そこにある病院、医院の門をたたいたという ことで、それがクモ膜下出血であることもある、そういうことがありますので、普通の 契約というのは、話し合いの上に、お互いの合意の上に契約が成立するのですが、医療 というのは全くそういうことがありません。もし何かあった場合にはすぐ医療が成立し なくてはいけないということがあります。ある程度急性期を過ぎたり、あるいは慢性期 の方がどこの病院を選ぶか、どういうお医者さんを選ぶかということでは、これは大変 役に立ちます。ここにいらっしゃる方で自分の健康の経験をなさった方は中島委員ぐら いではないかと思うのですが、やはり患者さんの体験で評判を集めたほうがいいのでは ないかと思っております。 ○松山委員  河北委員に教えていただきたいのですが、アメリカのネットワークを見ていると、患 者満足度調査というのを毎年行って、その結果を全てインターネットで公開している所 があるのです。ということは、地域の医療事業体が地域住民から、自らがどう評価され ているかを第三者に評価させて、そして、その結果を出すことで、要は自分をさらけ出 すことで、次のステップをどういうふうにしますと、そういうことを行うことが最近ブ ームになっているようです。日本の評価機構では、患者満足度の調査のようなものは、 これからどういうふうになさろうとしているのでしょうか。 ○河北委員  個々の病院が患者満足度調査をするということは項目に入っています。それともう1 つ。患者満足度と同時に、従業員満足度というものの調査も行っている所もかなりあり ます。それを公表しているかどうかというのは別ですが、実際にそのデータを病院が活 用しているという所はかなり増えています。 ○松山委員  患者満足度とか職員の満足度とかというときに、方法論の審査を行っているというこ となのですか。 ○河北委員  機能評価機構としては、そういう調査をしていますかという所で終わってしまってい るのです。 ○松山委員  私が見た限りでは、アメリカの場合は、患者満足度調査の手法というものがある程度 確立されていて、それが市販されており、それを使って第三者にやらせるということを 行っているのです。いまの議論だと、日本も、患者がどう見ているかということが重要 だということですから、そういうこともやった上でインターネットで流すということに 意味があるのかなという気がしますが。 ○大山座長  皆さんご存じだとは思うのですが、アメリカの場合は民間保険組合がやっていて、そ こと医療機関との提携があります。それから外れてしまうと、医療機関も大変なのでと いう、日本とは違う側面もあるという気がします。私もアメリカに実際に住んでいて、 昔と変わってないと思っているのですが。その辺の所はまだいろいろご意見があるかと 思います。実は本日は「国民に提供することが有効かつ望ましい医療情報」という話で 皆さんのご意見を伺おうと思っていたのですが、どうも、主語が、誰が提供することが 、あるいは誰が有効かつ望ましいと判断するのかという所でいろいろなご意見があった かのように思います。ここにつきましては、事務局等含めて、こちらでも頭の整理をさ せていただきたいと思います。  それから、どのような情報をどのような媒体・メディアで提供するかというのは、先 ほどご意見がありましたが、どこに情報があるのかよくわからないということにも絡む かと思います。いま実際に利用可能な媒体・メディアが、将来を含めて言えば可能性は たくさんあるかもしれませんが、見えているものというのはいくつかあります。そうい う所についても引き続き、ご意見等がございましたら、いただければと思います。もう 5時になり、そろそろ予定の時間になっておりますので、本日はここまでとしたいと思 います。次回の日程につきまして、事務局から連絡をいただきたいと思います。 ○医政局総務課長  次回は7月30日(火)午前10時30分から正午まで、前回お越しいただきました、厚生 労働省の省議室で開催を予定しております。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○大山座長  次回までちょっと時間がありますので、私と事務局で宿題をいただいた形にさせてい ただいて整理したいと思います。 ○福島委員  会議の進め方のことですが、時間が年末までに限られていると聞いております。でき れば、次回の資料の準備として、討議項目をなるべく具体化してもらえば論議が早いの ではないかという気がいたします。 ○大山座長  素案の形で出すことができるかどうかわかりませんが、ご意見はわかりました。 ○医政局総務課長  今日の資料で、前回の検討会で出していただいた意見等整理していますが、この辺り が今後の議論の大きな項目になると思います。しかし、今日出た新しい論点もあります ので、その辺りも加えながらもう一遍組み立てて、次回に柱ぐらいを示して参考に供し たいと思いますので、よろしくお願いします。 ○大山座長  よろしいでしょうか。本日はこれで閉会いたします。大変お忙しいところ、長時間に わたりありがとうございました。 照会先 医政局総務課 伊澤(内2516)