02/07/01 社会保障審議会 第13回介護給付費分科会議事録         社会保障審議会 第13回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成14年7月1日(月) 16時から18時30分    厚生労働省 省議室 2 出席委員    西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、    田中(雅)、中村、橋本、樋口、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員    新井、三宅、高梨の各参考人    岡、澄田、矢野の各委員は欠席 3 議題  報酬体系の見直し案   施設の入所(入院)者に関する運営基準の見直し案 について ○ 資料1に沿って、施設の入所(入院)者に関する運営基準の見直し案の諮問につい  て、資料2の1〜4ページに沿って、特別養護老人ホームへの入所について先行して  取組みを進めている自治体の例について、石井計画課長より説明。 ○ 資料2の5〜7ページに沿って、介護支援専門員(ケアマネジャー)に対する支援  及び資質の向上等について、福本企画官より説明。  (喜多委員)  報酬体系の見直し案については、大筋で反対するものではないが、保険料や負担のあ り方などを含めた制度面で改善すべき問題も視野に入れなければ、第2の国保への道を 走る危険性があると心配している。介護報酬については、必要不可欠のものまで切り下 げるべきではないが、具体的な単価の設定に当たっては、コスト意識を十分持って妥当 な報酬案が出てくることを期待している。  訪問介護の介護タクシーについて、例外的な措置として限定的に認めるということで あるが、今後は拡充の方向が推測される。制度改正の議論ではないかと疑義を感じてい るが、実施するのであれば現行の外出支援サービスとの整理もきちんとしていただきた い。  通所系サービスについては、時間延長理由等をもう少し時間をかけて分析し、延長時 間の介護のあり方を十分踏まえた報酬設定とすべき。  居宅介護支援については一本化でいいが、ケアマネジャーのレベルアップをどう図り 、質の担保をどうするか、検討が必要。  施設については、規模別報酬は採用されないようであるが、介護報酬の引き下げに当 たっては小規模施設に対する配慮は必要であり、今後とも施設の現況調査を十分に行っ てほしい。  新型特養の低所得者対策については、低所得者の定義を明確にするとともに、どの程 度の減額が妥当で、それを誰が負担するのか、慎重に検討してほしい。  (田中(滋)委員)  報酬体系の見直し案については、全体としてはこの方向でよい。個別の問題点はいろ いろとあるが、システム変更には時間がかかるので、早めに体系を決めないと現場が混 乱する。個別の単位については経営実態調査の結果を待つ必要があり、現時点では、体 系の見直し案という形で着実な前進を図ることに賛成。  重度療養管理は新しい提案であり賛成。療養型の入院患者の多くは何らかの医学的管 理が不可欠であり、長期療養を必要とする患者が医療保険と介護保険の狭間に落ちるこ とを避けるためにも重要。  介護の質を上げるインセンティブを少しでも入れ、逆に少なくとも介護の質を下げる インセンティブを入れないことが大切である。ケアマネジャーの資質の向上は保険制度 とは別のプログラムが必要なのに対し、保険制度の中ではケアマネジメントの質が担保 されるような加算又は減算を導入する必要があるのではないか。  運営基準の見直しについて神戸市の事例は、恣意性の入りにくい客観指標、地域への 開示、合議制の委員会など大変いい見本である。  (村上委員)  分科会の進め方について、第1ラウンドは制度や報酬体系の問題を一通り議論し、そ れを受けて前回初めて具体的な案が提案されたが、議論が始まったと思ったら、今回シ ステム変更の話が出てきて、本日が刻限というのはおかしい。システム変更の刻限は設 計次第でやり方はいろいろあるはずなので、もう少し議論を積み重ねるべき。  居宅療養管理指導の見直しについては、今年度の診療報酬改定の関連と考えられる。 健保法と介護保険法は横の関係であるので、相互の関係があるのであれば互いが同時期 に議論し合う必要があり、片方が決まったからこちらも認めるやり方はおかしい。回数 を増やす必要性の説明が今のところない。  重度療養管理については、医療と介護の狭間で受け入れ先がない患者を本当に救える のか、材料を出してほしい。介護保険は社会的入院をなくすためにつくったが社会的入 院は全然なくなってない。報酬をつければ上手くいくわけではなく、制度をできるだけ シンプルにするというこれまでの議論にも逆行しており、これでは診療報酬のように複 雑で分かりにくくなってしまう。診療報酬で痴呆加算等を設けたから介護保険でもとい うのはおかしな話であり、互いに影響するところは並行して議論しないと、議論のやり 方としてもおかしい。  ケアマネジャーの処遇を改善し質の向上を図るためには、報酬を相当上げるべきであ るが、報酬設定区分を一本化する理由は分からない。ケアマネジャーの研修だけでなく 、ケアプランをつくるときにすべき最小の仕事はこれだけというガイドラインをつくら ないと、質の担保はなかなかできない。  施設の運営基準の見直しについては、透明性・公平性を担保するために神戸市のよう な事例を参考にするということであるが、情報公開による透明性の担保と、市民が参加 して入所に関する審議機関をチェックすることによる公平性の担保が必要。  (木村委員)  居宅療養管理指導について、今回の報酬見直しの目的である在宅重視を考えると、施 設での療養管理が在宅に帰ったときに切れてしまっている現状があり、在宅でも継続的 な療養管理指導を行ってほしいというニーズがある。このような療養管理指導を受けて いる患者は、通院困難で寝たきりに近い人なので、月1、2回以上もっと必要なときに 訪問できる体制が必要。ただし、利用者負担が高くなるのは問題があるので、回数を増 やしたことに比例して報酬の支払いが増えることにはならない。また、医療保険と介護 保険で同じサービス内容にもかかわらず利用者負担が異なることについて混乱があるの で、医療保険も介護保険も同じ考え方で進める方がよい。薬剤師が行う居宅療養管理指 導については、要介護認定を受けていると介護保険の方が優先されるので、医療保険と 介護保険の整合性がないと利用者にとっては矛盾であり、今回の見直し案の方向でやっ ていただきたい。  居宅介護支援について、現場のケアマネジャーの感覚としては、種類数や質の問題も 確かにあるが、訪問してアセスメントを行う内容は要介護度の高低にかかわらずあるの で、報酬区分を一本化した上で中身の質を高めることが大事。質の向上については、各 種研修の実施や第三者評価の導入等により、しっかり考えていくべき。  ショートステイの支給限度額の一本化を決めたとき、システム改修のために1年間待 って現場は混乱したので、現場の方の期待感に応えるためにも、本日システム変更の方 向を決めて来年の4月から実施できるようお願いしたい。  (中村委員)  入所に関する検討委員会に第三者を加えることについては、措置時代の入所判定委員 会に逆戻りする危惧を覚える。現在、施設が主体性を持って、運営責任の所在がはっき りした形で生活指導員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等が協議して入所者の検 討を行っている。老施協総研の調査でも、高齢者のみの世帯か、介護力があるか等を踏 まえた取扱いの成果が上がっていることが示されているので、それに逆行しないようお 願いしたい。第三者によるチェックについては、現行の苦情処理や都道府県の指導によ って担保できていることをはっきりさせてほしい。  (樋口委員)  施設入所に関する神戸市のような基準が出てきたのは、施設指向が強く、施設に行列 ができているからであるが、実態的にはダブル・トリプルブッキングがある。施設に空 きができたので入所待ちの人に連絡を入れたところ、まだ入所しなくても大丈夫という ことで次々に断られ、入所順が49番目の人がようやく入所したという大都市の例もある 。入所申込者の名寄せをして実態をもう少し解明するなど、施設不足に余り浮き足立た ない方がいい。介護保険の素晴らしさは、他の要因が入らず要介護度に応じてサービス が受けられるところにあるので、特に不足気味の施設の入所判定には何らかの社会的要 因の加味が必要とは思うが、措置時代には絶対逆戻りすることのないよう最低限にして ほしい。介護保険らしさを生かすことの一つの意味は住民参画なので、神戸市の事例に 加えるならば住民代表や地域ボランティア活動代表の参加であるが、それと同時に、情 報公開が進む中で個人情報保護をしっかりやっていただきたい。  (木下委員)  報酬体系の見直し案についてはおおむね了解であるが、介護療養型医療施設の3:1 介護の廃止に関しては反対の立場をとり続ける。前回の分科会で3:1介護廃止の経緯 について伺ったが、介護職員は老健施設と同じ4:1でいいという説明は納得できない 。最近厚生労働省から発表されたデータを見ても、介護療養型医療施設と老健施設の平 均要介護度の差は1以上あるし、要介護5の比率は介護療養型医療施設で43.9%、老健 施設で15.9%である。グループホームの夜勤を認めるのは大変結構であるが、9人から1 8人に1人の夜勤が必要と一方で認めておいて、介護療養型医療施設の夜勤は30人に1 人となる4:1介護で十分という考えは理解できない。さらに痴呆性老人については、 肺炎や心筋梗塞等の病気になっても症状をうまく訴えられないし、後回しにされること も多く、的確な診断や治療を受けていない可能性もある。痴呆のケアについては、問題 行動の対処だけでなく、しっかりした医療の裏付けが必要であり、これを担うのが介護 療養型医療施設と確信している。  重度療養管理については、患者の状態に合った支払方式であり賛成。いずれにしても 、要介護度が高くて医療の必要な人が安心してサービスを受けられる介護保険制度でな ければならない。  (高梨参考人)  報酬体系の見直し案を基に諸準備を進めることについて了承。  介護タクシーの報酬体系の運用について、夫婦2人の要介護者で介護タクシーを利用 する場合や、近所の高齢者が2、3人で1台の介護タクシーを共同利用する場合に1回 当たりの報酬単価を割り引けば利用促進につながるので、検討してほしい。高齢社会で は地域を始めとする支え合いの精神が大切で、近隣の高齢者が共同利用することによっ て地域コミュニティづくりにも貢献できる。  本日、見直し案に対する分科会の意見をまとめるに際しては、以前の分科会で矢野委 員が発言したように、介護保険財政の健全性を保つことが大事であること、厳しい経済 雇用情勢や少子高齢化の環境条件の下では保険料の引き上げができないことを前提とし て、どうすれば現在の制度がよくなるかを議論することが必要であり安易な報酬の引き 上げはできないこと、等の趣旨を盛り込んでいただきたい。表現ぶりについて難しけれ ば、少なくとも保険財政への影響を考慮するという趣旨は盛り込んでほしい。  (下村委員)  前回の分科会で保険者側としての意見をまとめて示す旨申し上げたが、事務的な手違 いで本日提出できないので、まとまり次第改めて会長又は事務局へ提出したい。  これまでの議論は個別項目についての議論であり、本日の報酬体系の見直し案を基に システムを検討することは結構だが、体系や骨格について議論すべき部分がまだ残って いると思うので、今後の議論を反映できるよう多少弾力性を持たせることも考慮してほ しい。  介護療養型医療施設の3:1介護の廃止の経緯について、当時は3施設の一元化の考 え方が背景にあったということだが、今はどうなのか議論があってしかるべき。  現在の介護療養型では受け入れが難しいから重度療養管理を設けるとのことだが、機 能分化を進める一方で相互乗り入れが必要というのは矛盾している。確かに現行の施設 体系からは漏れる部分かもしれないが、それは施設体系について検討すべき問題が残っ ているということである。グループホームの夜勤についても、本来痴呆の方を受け入れ るところがないために、重度者がグループホームに流れて夜勤が必要になったという経 過であり、施設体系の問題と関連している。  報酬の議論をするのに経営実態調査の結果もまだ出ていないし、市町村の介護保険事 業計画の集計も7月になるという段階で、最終的な結論を出すことには反対。  施設の入所検討委員会については、特養では順番待ちが激しいので先着順以外にも何 らかの合理的な考え方を取り入れる考えは賛成であるが、透明性の確保が必要であり、 しかるべき基準をつくって運用することを考えてほしい。  (山本委員)  電算システム用コードについてまだ議論が十分でないという意見もあり、施行時には システムがうまくいかずに介護給付費の支払いで随分誤差が出て混乱したので、やはり 半年ぐらい前からきちんと検討・準備しておく必要がある。  重度療養管理については、今回の資料を見ると完全に医療のように思われるので、今 後十分な議論が必要である。  施設の入所指針については、神戸市だけでなく、他の市町村でもそれぞれのやり方で やっているはずなので、余り縛りを付けない方がいい。  ケアマネジャーの研修については、新人を研修するのか、既に現場で職に就いている 人を研修するのか、どういった指導者が研修するのか、きちんと考えた方がいい。ただ 研修をすれば質が向上するということではなく、2年間半の実務経験でそれなりに質は 向上しているはずだから、もう少しケアマネジャーの業務内容を検討した方が質は向上 するのではないか。制度をつくったときにケアマネジャー等の質を信頼すべきという議 論をしたが、質の話をする人自身が立派な質を持っているかどうか分からないので、質 の話は余りしない方がいい。  ヒアリング等でも各施設からは介護報酬の値上げ改定の要望が多かったが、来年度か らの新保険料を決めるに際してこれ以上保険料を上げることは保険者としても被保険者 としても耐えられないので、できるだけ保険財政に影響を与えることは今回はやるべき でない。  分科会の運営について、意見がばらばらでまとまっていないので、できれば今後は一 つ一つまとめていくように計らってほしい。  (西尾分科会長)  これまで当分科会では何も決定しておらず、本日初めて報酬体系の見直し案を取りま とめなければならないので、しばらくお時間を頂き、私と分科会長代理と事務局で、本 日の意見等を踏まえて取りまとめ案を協議させていただきたい。  (20分間休憩)   ○ 「介護報酬体系の見直しについて(案)」について、福本企画官より読み上げ    。   ○ 運営基準の見直し案の諮問に対する報告案について、石井計画課長より読み上    げ。  (喜多委員)  3級訪問介護員については、現在その資格を持っている人は今後どうなるのか、3級 の資格をなくすということか。  (木倉振興課長)  現在でも、3級ヘルパーには2級へのステップアップを目指して、できるだけ早期に 2級の資格を取っていただくように研修制度を推進しているが、こういった研修をでき る限り早期に受けていただくための努力を続けていきたい。  (喜多委員)  守口市では3級ヘルパーの資格を奨励してきて、現在千人近い市民が資格を取ってい るが、その中には年齢や他の仕事の関係で2級の講習会に出ることができない人もたく さんいる。単に3級をなくしたから2級の講習会を受けて下さい、ということで済むの か。  (木倉振興課長)  新しく3級ヘルパーから資格を取りたいという人については、現在の研修体系ではで きるだけ広くホームヘルパーへの参加を得ようという趣旨で入門編の研修を行っている が、2級へのステップアップ研修を受けやすいように、一定の科目の免除等の仕組みも 設けているところ。いつまでに全員が2級へのステップアップを終わるかは、配置の状 況を見ながら判断しなければいけないが、介護報酬上の評価もそれと関連してくるもの である。  (堀江委員)  3級訪問介護員について、「将来的に」は5年か10年先という理解で了承する。1級 、2級ヘルパーの資格付与のあり方や経験年数をどう加味するかの問題があるし、1級 、2級ヘルパーの供給源としての3級ヘルパーを廃止する、とまでは今の段階で言えな いはずである。  (橋本委員)  3級ヘルパーについては、介護保険の報酬の対象となる資格はどういうものかという 議論であり、長期的に考えるものではない。家族介護者やNPO等の地域の支え合いの担 い手が3級ヘルパーになるのは奨励すればいいが、介護報酬はプロに対して払うべきも のであり、いつまでも3級も対象とするわけにはいかない。  (村上委員)  3級ヘルパーについては、准看護師のようにならないよう早急に結論を出すべき。  電算システム用コード案については、報酬体系の見直し案全体のことをいうのか、そ れとも、例えば重度療養管理や居宅介護支援の報酬区分などについての今後の議論を踏 まえたものをいうのか。  今回改定する介護報酬は平成15〜17年度の3年間の保険料に影響するが、制度見直し は施行後5年ということになっており、平成17年度から見直し後の新しい制度が始まる とすると、この辺の3年と5年の制度設計のずれはどうするのか。それで制度見直しの 議論を一緒にすべきと言っているので、「議論を開始する」だけでは不満である。  (堤老健局長)  施行後5年の制度見直しと基本的に3年の報酬改定の関係については、制度見直しに もレベルの大小があるが、できるだけ早めに議論できるようにしたいと思っており、そ の中には介護報酬と密接に関係するものと直接関係はないものがある。今後の議論次第 ではあるが、介護報酬に密接に絡む制度見直しについては、システムとの関係もあるの で、法律を出して介護給付費分科会で更に議論した上で平成18年度から実施することも 考えられ、報酬に関わらない制度見直しについては前倒しできることもあると思う。い ずれにしても、制度見直しの内容、介護報酬との関係、市町村の実務に支障を来さない ような実施のスケジュールなどを踏まえて、制度見直しの議論を始めていただくことに なると思う。  (村上委員)  制度見直しの際に報酬に関係する話が出た場合は、後ろ倒しにして平成18年度まで見 送るということか。介護保険制度をつくったときには見直すべき点は前倒して見直すと 言っていたが、1回つくると見直しが3年、5年と後ろ倒しになって矛盾が拡大するこ とになる。制度見直しの議論は、開始するのではなく、もう既に始めている。  (下村委員)  3級訪問介護員については、「2級以上への移行を進め」の部分と「将来的に」の部 分を分けて、後段については強い反対意見もあるので、方向性をはっきり限定しないで 、「そういうことも含めて検討する」とした方がいいのではないか。  「関係者の意見を聞きつつ」と「制度見直しの議論を開始するべきである」の関係に ついて、制度見直しの議論をいつから開始するかについて関係者の意見を聞くというよ うにも読めるが、当分科会の議論では、秋には多少制度面の議論もすると言っていたの で、文章のニュアンスが少し違うのではないか。  (山本委員)  報酬体系の見直し案、運営基準の見直し案ともに、現時点ではやむを得ないので了承 する。  (中村委員)  運営基準の見直し案の諮問に対する報告案について、「特に入所希望者が多い」や「 透明かつ公平」というのは、介護療養型医療施設も介護老人保健施設も同じと思うので 、介護老人福祉施設に限定しないように修正していただきたい。  報酬体系の見直し案については、介護報酬の話であるから、「医療と介護の役割分担 」は「介護と医療の役割分担」とすべきではないか。  (笹森委員)  運営基準の見直し案の諮問に対する報告案について、待機者の多い介護老人福祉施設 についてはガイドラインを施設及び自治体に示すとなっているが、介護老人保健施設と 介護療養型医療施設における先駆的な取組みが分かれば教えてほしい。  (石井計画課長)  介護老人保健施設と介護療養型医療施設については、優先入所基準をつくっている事 例は聞いていない。  (笹森委員)  待機者は特養が多いことは事実であるが、他の2施設でも内容的にはきちんとしたも のがあってしかるべきかと思う。  (木下委員)  病院における入院判定基準については、多くの病院で入院判定会議を行っており、行 政に言われなくても当然やるべきものと考えている。  (山口委員)  運営基準の見直し案の諮問に対する報告案については、介護老人福祉施設だけでなく 介護保険施設全体の問題として考えるべきであるが、多くの病院や老健では、全部主治 医任せだと現場の混乱も出てくるので、入退院又は入退所の判定基準をつくって判定会 議を実施している。  報酬体系の見直し案については、居宅介護支援の質の向上等の3つの点について今後 検討することを、見直し案に追加したものと受けとめている。制度見直しの時期等につ いては、当分科会で秋以降に各サービスの単価等を議論していく中で、引き続き議論す べきことかと思う。  (橋本委員)  3級ヘルパーについては、旧部会でも議論したが、当時はヘルパーの数を必要として いたため、3級も認めざるを得ないというのが共通認識だったと理解している。3級ヘ ルパーの研修は50時間、うち実務研修は8時間の見学実習だけであり、そういう人が1 人で訪問しサービスを提供している。3級ヘルパーをやめるべきとは言わないが、介護 保険の対象となるヘルパーは実力を持ってほしいという願いである。  「次回」というのは、平成15年度のことか、平成18年度のことか。  (堀江委員)  運営基準の見直し案の諮問に対する報告案について、「ガイドラインを施設及び自治 体に示す」というのはどういうことか。介護保険では契約が基本となっているが、施設 入所の優先順位等については保険者・行政が関与すべきと以前発言した。施設と自治体 を同列に扱わないでほしい。  (石井計画課長)  実際に当事者として新しい運営基準を運用するのは施設であるが、自治体の方でも施 設任せにせず、協議の場を設けるなど汗をかいていただきたいという趣旨である。  (京極委員)  報酬体系の見直し案については、基本的な方向としては賛成。介護保険事業計画を策 定している保険者としては早く報酬体系を知る必要があるので、単価水準の問題も重要 であるが、それ以上に時期の問題が切羽詰まっている。  運営基準の見直し案の諮問に対する報告案については、内容的には結構である。従来 の施設は行政の措置の受け皿で主体性がなかったために介護保険ができたが、今度は必 要があっても順番待ちで入所できないので、必要性を勘案して施設が対応できるような 基準をつくることとなったという趣旨を踏まえ、余り緩やかでも余り堅くてもいけない 。「入所の決定」というのは措置の決定のような感じがするので、「入所が」として、 入所契約の際に施設側の判断が公平かつ透明に行われるという点を表現した方がいいの ではないか。  (西尾分科会長)  もう一度お時間を頂き、表現に関するいろいろな意見等を踏まえて、文章の修正につ いて協議させていただきたい。  (20分間休憩)   ○ 運営基準の見直し案の諮問に対する報告案の修正箇所について、石井計画課長    より読み上げ。   ○ 「介護報酬体系の見直しについて(案)」の修正箇所について、福本企画官よ    り読み上げ。  (木下委員)  介護療養型医療施設については、「入所」ではなく「入院」を使ってほしい。  (見坊委員)  多年にわたる措置制度を経て、低所得者も保険料を払いその運営に一般市民が参画す ることとなった介護保険制度は、専門性の高いサービスの実現を期しているもので、3 級ヘルパーの問題についてもレベルアップする方向で対処してほしい。  居宅介護支援については、単に質の向上を言うだけでなく、担当ケース数とその内容 を見て、努力している人が報われるような方向で、介護報酬の引き上げとともに具体的 な対策を検討していただきたい。  運営基準の見直し案については、特に介護老人福祉施設は生活や人格の全てを委ね、 場合によっては終の棲家になる施設なので、入所希望者が多いことだけにとらわれずに 、公平・公正な入退所の判定と質の高い処遇が行われるような委員会を設けるべき。措 置制度の時代には厳格に運営されていて、それがまた信頼を高めていたので、措置制度 の良かったところは大いに取り入れてほしい。自治体、施設、施設団体等が全体として 取り組み、施設の運営や入所判定のあり方と施設の特色を公開して、それによって利用 者が自らのニーズに合った選択ができるようにしていただきたい。  (西尾分科会長)  今後も引き続き検討すべき点の指摘もあったが、全体の文案については了承するとい うことでよろしいか。  (各委員)  異議なし。  (西尾分科会長)  これをもって、当分科会としての介護報酬体系の見直しについての意見及び運営基準 の見直し案の諮問に対する報告とする。  当分科会の審議は今回で一段落とさせていただき、次回の具体的な日程等については 改めて連絡することとする。  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係     TEL03(5253)1111(内3948 3949)