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資料1

○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準(検討課題2)

−「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書において提示された条件
及びその具体化のための要検討事項(案)−

※ p○○とあるのは、「「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」関係資料集」中の該当ページを示す。

1 インフォームド・コンセント、カウンセリングの具体的な内容

(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における十分な説明の実施について

(ア) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受ける夫婦が、当該生殖補助医療を受けることを同意する前に、当該夫婦に対し、当該生殖補助医療に関する十分な説明を行わなければならない。(p35)
⇒「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明」とはどのようなものか?(説明の主体は?説明の客体は?説明する内容は?説明する方法は?説明する時期は?)
⇒説明の主体は?
(案)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けることを希望する者の診療を行っている担当医師。
 生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師。

⇒説明の客体は?
(案)提供を受けることを希望する法律上の夫婦。
 当該夫婦は同時に揃って説明を受ける。
 提供によって生まれる子の出産、育児にあたっては、より親密な家族関係が要求されることから、必要に応じて提供を受ける夫婦の両親や兄弟等の親族も同時に揃って説明を受けることが望ましい。

⇒説明する内容は?
(案)説明する内容は、以下のとおりとする。

1.生殖補助医療の医学的事項について

(1)生殖補助医療に関する一般的な医学的事項について

(@)検査について

・ 種類(※1)と各々についての具体的な実施方法、実施に要する期間等について。

・ 検査の過程における副作用のリスクと起こった際の医学的対処方法について
(A)治療について
・ 種類(※2)と各々についての医学的適応、具体的な実施方法、実施に要する期間等について。

・ 提供者・提供を受ける者・提供により生まれた子に対する副作用のリスク(多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群、手術操作に対するリスク等)と起こった際の医学的対処法について。
(B)予想される結果等について(妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病
・染色体異常・形態的な先天異常等の発生率等について。)。

(※1)例えば、基礎体温、精液検査、子宮卵管造影、頸管粘液検査、性交後試験、超音波検査、内分泌検査、子宮鏡検査、腹腔鏡検査、排卵障害の有無、多嚢胞性卵巣の有無、プロラクチン値の測定、子宮内膜症の有無、子宮筋腫の有無、卵巣嚢腫の有無、子宮内膜ポリープの有無、卵管閉鎖の有無等

(※2)例えば、タイミング療法、夫精子による人工授精、ホルモン療法、排卵誘発、子宮筋腫核出術、卵巣嚢腫摘出術、マイクロサージェリー、腹腔鏡下手術、経頸管的粘膜下筋腫、ポリープ切除、体外受精・胚移植、顕微授精等

上記(@)〜(B)の事項につき、

・ できるだけ正確な最新の情報を提供するように努めなければならない。

・ また、提案されている治療によって期待される結果と同時に、その治療の限界についても説明されなければならない。

・ 妊娠率や流産率、副作用等、提供を受ける者の年齢によって異なる結果が想定される事項については、可能な限り提供を受ける夫婦の年齢に応じた説明をするよう努めなければばならない。

・ できるだけ提供を受ける夫婦が実際に治療を受ける医療施設におけるデータと全国平均のデータの両方を用いて説明するのが望ましい。

(2)提供による生殖補助医療に関する医学的事項について

・ 上記(1)(@)〜(B)の事項の中で、提供による生殖補助医療に関して特に言及すべき事項について(Rh型不適合妊娠等、提供による生殖補助医療において特に注意が必要な事項について。)。

・ 提供による生殖補助医療を受ける医学的理由について(配偶者間の生殖補助医療では妊娠できないと判断された理由について。)。

・ 提供者に対して行っている注意事項について(特に(※3)、(※4)が挙げられる。)。

(※3)
(1) もし卵子提供者が経口避妊薬(ピル)を使用している場合には直ちに中止すること、但し子宮内避妊器具(IUD)の使用は差し支えない。しかし卵子提供者として採卵周期に入った場合は、その期間の性行為は禁止する。

(2) 卵子提供の場合、採卵を確実に実施するためには排卵誘発剤(hMG,FSH,GnRHアナログ等)による卵巣刺激法の施行、卵胞の成熟度確認、副作用の予防等のために毎日通院する必要がある

(3) 卵子提供者には卵巣刺激法の開始前に、なぜそれが必要なのか、いつから何日間位通院する必要があるのか十分な説明を受ける。

(4) 卵巣刺激開始前、中間および最終日には担当医によって経腟超音波検査、ホルモン検査等が施行される。その結果、卵胞の成熟が確認されれば、定められた時間に来院し、hCGの注射を受ける。

(5) 採卵は超音波ガイド下による経腟採卵法によって行われる。

(6) 採卵を行う際には静脈麻酔がかけられる場合があり、その場合、副作用が発生するリスクもある。

(7) 卵子提供者に対する採卵後のケアは24時間の安静、鎮痛剤、抗生剤の処方等である。また採卵後1週間、生殖医療に携わる生殖専門看護師が採卵後の症状、状態についていつでも質問、疑問に答えられるように待機する。
(※4)
(1) 非配偶者間体外受精の成功率は卵子提供者を35歳未満に限定することで通常の生殖補助医療の成績より好成績であることが報告されている。

(2) 卵巣刺激法を実施している間は下腹部の違和感、膨満感などの卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の前駆症状にに対する注意が必要であり、もし問題が生じた場合には担当医師あるいは不妊治療について十分な専門性を有する看護師等がいつでも相談に応じられるような体制を整える。

(3) 卵巣刺激法を受けることによりOHSSになる可能性はあるが、卵子提供者は胚移植を受けないので、その危険性は通常の体外受精・胚移植より少ない。

(4) 採卵操作によって通常の生殖補助医療と同様の出血、感染、他臓器穿刺、麻酔合併症などのリスクが考えられる。

(5) ゴナドトロピンによる卵巣刺激によって卵巣癌のリスクが高まるという報告もあるが、まだ実証されていない。

(6) 卵子提供の場合、卵巣刺激法を実施したことによって、その後に提供者自身の妊孕性が低下することはない。

2.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供の条件について

(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件について

(@)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件について
(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件について

・ 加齢により妊娠できない夫婦は対象とならないこと。

・ 自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできないこと。

・ 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など、生まれてくる子どもを安定して養育していける夫婦に限って提供を受けられること。

(2) 各々の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療ごとに適用される条件について
○ AIDを受ける者に対して
・ 精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができること。
○ 精子提供による体外受精を受ける者に対して
・ 女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができること。
○ 提供卵子による体外受精を受ける者に対して
・ 卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができること。
○ 提供胚の移植を受ける者に対して
・ 胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された胚の移植を受けることができること。

・ ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができること。
(A)子宮に移植する胚の数の条件について
・ 体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個まで、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとすること。

・ 1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合、もし双胎、三胎となってもそれを受け入れること。

(2)精子・卵子・胚の提供の条件について

(@)精子・卵子・胚を提供できる者の条件について
・ 精子を提供できる人は、満55歳未満の成人とすること。

・ 卵子を提供できる人は、既に子のいる成人に限り、満35歳未満とすること。
ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供する人は既に子がいることを要さないこと。

・ 同一の人からの卵子の提供は3回までとすること。

・ 同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該同一の人から提供された精子・卵子・胚を提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用してはならないこと。

・ 精子・卵子・胚の提供に当たっては十分な感染症の検査を行うこと(血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等について検査を行うこと。)。

・ 精子・卵子・胚の提供が行われる場合には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の精子・卵子(実際には、夫の精子と受精させた胚)・胚だけを使用できることとすること。

・ 遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の遺伝性疾患に関する部分及びおよびその解説の当該部分に準じたチェック(問診)を行うこと。

・ 当該チェックの結果、提供できないと判断されることもあり得ること。

・ 検査の結果は提供者に知らせること。

(A)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件について
・ 精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領することを禁止すること。ただし、実費相当分(交通費、通信費等)については、この限りでないこと。

・ 提供を受ける者より提供者に支払うことができる実費相当分の具体的な額。(P)
(←「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲について(検討課題1))

・ 医療費やカウンセリングの費用等、提供による生殖補助医療の施行に要する費用及びその支払いは、提供者が全額負担すること。

(B)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件について
・ 精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とすること。

・ 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとすること。(P)

・ 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならないこと。(P)
(C)精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性の一致等の条件について
・ ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ることとすること(合わせられない場合もあること。)。

・ Rh不適合型妊娠の可能性もあること。その際に起こり得る胎児溶血性疾患等に関する医学的事項、またその際における医学的対処について。

・ 提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについて。(P)

・ 精子・卵子・胚の提供を行った結果、子どもが生まれたかどうかについては提供者の希望がない限り知らせないこと。

(D)その他の条件について
・ 提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄すること。

・ 提供された精子・卵子の保存期間は2年間とすること。

 提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間を10年間とすること。
・ 保存期間を超過した場合の取り扱いについて(提供者に返却する、廃棄する等。)。

3.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続きや実施医療施設の施設・設備の基準について

(1)インフォームド・コンセント、カウンセリングの手続き等について

・ 同意を実施する具体的な時期や手続き方法等について。

・ 提供を受ける者、提供者に対する同意は共に、当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができること。

・ 同意の撤回により提供を受ける者は何ら不利益を被るものではないこと。
ただし、卵子提供による体外受精・胚移植の場合、提供者がhCG注射後に提供を受ける者の同意の撤回等により、採卵せずに卵胞刺激を中止すれば、提供者にOHSSの発生等のリスクが伴うこと。

・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、同意書を公的管理運営機関に提出しなければならないこと。

・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦は、当該生殖補助医療の実施に際して、当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられること。

(2)実施医療施設の施設・設備の基準について
・ 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできないこと。

4.管理体制について

生まれた子が知ることができる生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体的な内容について
・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、当該生殖補助医療を行った医療施設は、上記により保存している個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人が当該生殖補助医療により生まれた子に開示することを承認したものを公的管理運営機関に提出し、公的管理運営機関は当該情報を管理すること。

・ 公的管理運営機関は、上記により提出された個人情報を、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の要請に応じて開示するために必要な一定の期間保存すること。

5.その他について

(1)条件整備等について

(@)守秘義務について
・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に関わる者が、職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩することは禁止されていること。

(A)親子関係の確定について
(←法務省法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会で検討中)。
(B)提供により生まれた子の出自を知る権利について
・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができること。(P)

・ 生まれた子が当該権利を行使するためには、親が子に対して当該子が提供により生まれた子であることを告知することが重要であること。

・ 当該精子・卵子・胚を提供した人は、当該個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できること。(P)

・ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を公的管理運営機関に求めることができること。
(C)提供者の権利について
・ 提供者は、提供を受ける者や提供により生まれる子を同定できないこと。

・ 提供者に知らせるのは、感染症の検査の結果や採取された精子・卵子・胚の成熟度や数、もしくは提供可能な当該数等の事項等に限られ、精子・卵子の提供によって受精卵が得られたかどうか等の事項は一切提供者に知らされないこと。
 また、提供により提供を受けた者が妊娠・出産に成功したかどうかは、提供者の希望がない限り知らせないこと。

・ 提供者は、提供に関する同意の撤回ができる以外には、提供したものやその結果生まれた子に対して何ら権利を有さず、義務を負わないこと。

(D)予期せぬ事態における責任の所在等について
・ 提供者に対して行った検査・医療行為の過程において、副作用等の問題が発生した時の責任の所在、具体的な補償について。

・ 提供を受ける者に対する検査・治療の過程において、副作用等の問題が発生したときの責任の所在、具体的な補償について。

・ 予期しない生存児(突然変異の遺伝病、染色体異常、形態的な先天異常等)の生まれる可能性について。その場合でも、生まれた子供に対する義務・権利は提供を受けた夫婦者が持ち、提供者には当該義務・責任は認められないこと。

(2)その他について

(@)提供による生殖補助医療以外の選択について
・ 考え得る他の選択、利用な可能な他の方法が存在すること(子供を持たない人生もあること、養子縁組、あれば他の治療法。)。
(A)提供された精子・卵子・胚は、別に研究目的等に使用されることについてのインフォームド・コンセントを得ていない限り、提供による生殖補助医療以外の目的には使用されないこと。

(B)関係者への説明について
・ 提供者に対してどのような説明を行っているかについて(提供を受ける者に対する説明内容として。)。

・ 提供を受ける者に対してどのような説明を行っているかについて(提供者に対する説明内容として。)。

(C)代理懐胎(代理母・借り腹)及び精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は禁止されていること。(P)

⇒説明する方法は?
(案)説明する医師は、説明した内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明する。
 提供者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が当該夫婦の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた提供による生殖補助医療について十分な専門性を有する看護師等は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならない。
提供を受ける夫婦は、説明を受けたあと、記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行う。

⇒説明する時期は?
(案)説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 施術ごとに提供を受ける夫婦への説明を行う。

⇒シェアリング(P)の説明はどのように行われるのか?

⇒夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など生まれた子どもを安定して養育していけるかについてどのようなインフォームド・コンセントで対応するか?
(←検討課題1からの宿題)

(イ) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明の実施

 精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者が、当該精子・卵子・胚の提供に同意する前に、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対し、当該精子・卵子・胚の提供に関する十分な説明を行わなければならない。(p37)

⇒「精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者に対する十分な説明」とはどのようなものか?(説明の主体は?説明の客体は?説明する内容は?説明する方法は?説明する時期は?)
⇒説明の主体は?
(案)生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し、生殖補助医療に関する診療の経験が豊かで、医療相談、カウンセリングに習熟した医師。

⇒説明の客体は?
(案)提供者に配偶者がいない場合、提供者本人のみ。
 提供者に法律上の配偶者がいる場合あるいは事実婚の配偶者がいる場合には、配偶者も同時に揃って説明を受ける。

⇒説明する内容は?
(案)説明する内容は、以下のとおりとする。

1.生殖補助医療に関する医学的事項について

(1)提供による生殖補助医療に関する医学的事項について

(@)提供者の受ける検査について

・ 種類(※1)と具体的な実施方法、実施に要する期間等について。

・ 検査の過程における副作用のリスクと起こった際の医学的対処方法について
(A)提供により実施される生殖補助医療について
・ 種類(※2)と各々についての医学的適応、具体的な実施方法、実施に要する期間等について(特に注意事項として(※3)が挙げられる。)。

・ 提供者・提供を受ける者・提供により生まれた子に対する副作用のリスク(Rh不適合型妊娠、多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群、手術操作に対するリスク等)と起こった際の医学的対処方法について(特に注意事項として(※4)が挙げられる。)。

(B)予想される結果等について(妊娠率、流産率、生産率、突然変異の遺伝病
・染色体異常・形態的な先天異常等の発生率等について。)(特に注意事項として(※4)が挙げられる。)。

(※1)については、P2の(※1)を参照
(※2)については、P2の(※2)を参照
(※3)については、P3の(※3)を参照
(※4)については、P3の(※4)を参照
上記(@)〜(B)の事項につき、
・ できるだけ正確な最新の情報を提供するように努めなければならない。

・ また、提案されている治療によって期待される結果と同時に、その治療の限界についても説明されなければならない。

・ 妊娠率や流産率、副作用等、提供者の年齢によって異なる結果が想定される事項については、可能な限り提供者の年齢に応じた説明をするよう心がけねばならない。

・ また、できるだけ提供を受ける者が実際に治療を受ける医療施設におけるデータと全国平均のデータの両方を用いて説明するのが望ましい。

2.提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供の条件について 以降の「説明の内容」については、「(ア)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦に対する十分な説明の実施」における説明と同じ内容(記載を割愛。)。

⇒説明する方法は?
(案)説明する医師は、説明した内容について記載されている文書を配布した上で、それを用いて説明する。
 提供者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が当該夫婦の理解について不十分であると判断した場合、担当医師もしくは当該医師の指示を受けた提供による生殖補助医療について十分な専門性を有する看護師等は、当該提供者に対して繰り返し説明しなければならない。
 提供者は、説明を受けたあと、書類に記名押印もしくは自署による署名を行うことによって説明を受けた確認を行う。

⇒説明する時期は?
(案)説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 期間をあけないで使用される場合には1度の説明でよいこととする。
 1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度説明する必要があることとする。

⇒シェアリング(P)の説明はどのように行われるのか?

(2)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療における同意の取得について

(ア) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助医療の実施の度ごとに、当該生殖補助医療の実施について、夫婦それぞれの書面による同意を得なければならない。当該同意は当該同意に係る当該生殖補助医療の実施前であれば撤回することができる。(p33)

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、当該生殖補助 医療を受けた人が妊娠していないことを確認できたときを除き、上記により得た当 該妊娠していないことを確認できた人以外の人及びその夫の同意書を公的管理運営 機関に提出しなければならない。(p33)

⇒「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦の書面による同意」とはどのようなものか?(同意の主体は?同意の客体は?同意する内容は?同意する方法は?同意する時期は?同意書の保存方法・期間は?)
⇒同意の主体は?
(案)提供を受けることを希望する法律上の夫婦。
 当該夫婦は同時に揃って同意を行う。

⇒同意する内容は?
(案)説明する項目と同じ。

⇒同意する方法は?
(案)説明した医師の面前で同意する項目について一つづつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行う。
 同意をする夫婦に対し、確実な本人確認(パスポート、運転免許証等の写真のついてある証明書?)と法的な夫婦である確認(戸籍謄本?)を行うこととする。

⇒同意する時期は?
(案)説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 施術が繰り返される場合は、そのたびごとに提供を受ける夫婦両者の同意を得ておく必要がある。

⇒同意書の保存については?
(案)同意書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は50年とする。

⇒撤回の主体は?
(案)提供を受けることに同意した夫婦のいずれか。

⇒撤回する方法は?
(案)提供を受けることの同意に関する撤回の意思を表明した申請書に署名、捺印の上、当該申請書を公的管理運営機関に提出する。

⇒撤回する時期は?
(案)提供を受ける夫婦が同意の撤回を希望した場合、使用される前であれば提供は撤回できる。

⇒撤回の申請書の保存は?
(案)申請書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は50年とする。

⇒シェアリング(P)の同意・撤回はどのように行われるのか?

(イ) 精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療のために精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設(以下単に「精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設」という。)は、当該精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の当該精子・卵子・胚の提供及び当該提供された精子・卵子・胚の当該生殖補助医療への使用について、書面による同意を得なければならない。当該同意は当該精子・卵子・胚が当該生殖補助医療に使用される前であれば撤回することができる。(p34)

⇒「精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者の書面による同意」とはどのようなものか?(同意の主体は?同意の客体は?同意する内容は?同意する方法は?同意する時期は?同意書の保存方法・期間は?)
⇒同意の主体は?
(案)提供者に配偶者がいない場合、提供者本人のみ。
 提供者に法律上の配偶者がいる場合あるいは事実婚の配偶者がいる場合には、配偶者も同時に揃って同意を行う。

⇒同意する内容は?
(案)説明する項目と同じ。

⇒同意する方法は?
(案)説明した医師の面前で同意する項目について一つづつ確認し、同意書に記名押印もしくは自署による署名を行う。
 確実な本人確認(パスポート、運転免許証等の写真のついてある証明書?)を行うこととする。

⇒同意する時期は?
(案)説明から同意の取得の間には、3ヶ月の熟慮期間を置くこととする。
 提供した精子・卵子・胚が、1年以上の期間をあけないで使用される場合は、最初の同意取得が有効であることとする。
しかし1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度、提供者とその配偶者の両者から同意が取得されることとする。

⇒同意書の保存については?
(案)同意書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は50年とする。

⇒撤回の主体は?
(案)提供に同意した者。

⇒撤回する方法は?
(案)提供することの同意に関する撤回の意思を表明した申請書に署名、捺印の上、当該申請書を公的管理運営機関に提出する。

⇒撤回する時期は?
(案)提供者が同意の撤回を希望した場合、使用される前であれば提供は撤回できる。

⇒撤回の申請書の保存は?
(案)申請書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は50年とする。

⇒シェアリング(P)の同意・撤回はどのように行われるのか?

(3)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療におけるカウンセリングの機会の保障について

 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受ける夫婦又は当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人及びその配偶者は、当該生殖補助医療の実施又は当該精子・卵子・胚の提供に際して、当該生殖補助医療を行う医療施設又は当該精子・卵子・胚の提供を受ける医療施設以外の専門団体等による認定等を受けた当該生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを受ける機会が与えられなければならない。(p38)
⇒カウンセリングの内容や方法としてどのようなものが考えられるか?
(1) カウンセリングの客体、内容、方法、時期等により、様々なカウンセリングがあり得ると考えられるが、いくつかに類型化することは可能か?可能であるなら、具体的にどのように類型化できるか?

(2) 類型化されたそれぞれのカウンセリングを行うために必要な能力はどのようなものか?さらにそれを担保する具体的なBack Groundや知識、経験を類型化されたそれぞれのカウンセラーごとに設定できるか?(各類型のカウンセリングを行う者(カウンセラー)の要件設定)

(夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など生まれた子どもを安定して養育していけるかについてのカウンセリングのあり方を含む。(←検討課題1からの宿題))

⇒類型化された各々のカウンセリングの客体、内容、方法、時期はどのようなものか?

⇒上記の類型化された各カウンセリングのうち、受けることを義務づけるカウンセリングはあるか?

⇒カウンセラーの施設からの独立性の確保のための要件をどのように設定するか?
 (直接治療に関わっていない者であればよいのか?施設に雇用されている者以外でないといけないこととするのか?カウンセリングを行う場所についても施設以外でないといけないこととするか?)

2 実施医療施設の施設・設備の基準について

 公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。(p51)
⇒以下に示すような実施医療施設の指定(許可)基準をどのように設定するか?
⇒施設・設備・機器に関する基準は?
(案)平成13年度厚生科学研究の矢内原班の報告書(第12回部会資料5)が示す施設基準ではどうか?

⇒人的要件に関する基準は?
(案)精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の実施施設には、以下のスタッフが必要である。

(1)実施責任者(1名)

 医師の資格を持つ責任者は、当該施設で施行される精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療にたずさわる全ての個人について、決められた書式に従って公的管理運営機関に報告する義務があるとともに、変更があった場合には遅滞なく報告しなければならない。また、実施責任者は下記の事に関して最終的な責任を負う。

a. 実施施設における人的要件が、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていること。

b. 実施施設で行う精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に必要な機具、器材を整備すること。

c. 実施施設において取り扱う配偶子や胚の保存及びそれらの破棄に関して、適切な同意書を提供を受ける夫婦と取り交わし、当該同意書を公的管理運営機関に提出すること。

d. 実施施設で施行する精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の水準を維持するために必要な研修の機会を、実際に当該医療にたずさわる従事者に適切に与えること。

e. 実施施設における人的要件が、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を行うのに適切な基準を満たしていることを定期的に評価し、また公的管理運営機関に報告すること。

(2)実施医師(数名)

 提供による精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療にたずさわる実施医師は、生殖生理学、発生学、生殖遺伝学等を含む生殖医学に関する全般的知識を有し適切な生殖補助医療実施施設で通算5年以上実際の生殖補助医療に従事した経験を持つものとする。

(3)配偶子・胚取り扱いにたずさわる技術者

 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を実施する医療施設で、実際の配偶子・胚の取り扱いを行う全ての技術者は、医師、看護師、臨床検査技師、または胚培養について十分な専門性を有するもののいずれかで、且つ適当な生殖補助医療実施施設で1年間以上の実務経験のあるものに限る。
1.配偶子・胚取り扱い責任者
 配偶子・胚取り扱い責任者はその登録にあたって、施設内における配偶子・胚の取り扱い(配偶子・胚の培養・保存、記録の保管)を適切に施行するために十分な期間の実務経験と、配偶子・胚提供・遺伝子検査の意義と重要性を理解できるために十分な知識をもち、適切な生殖補助医療実施施設において3年間以上の実務経験を有するものとする。

2.配偶子・胚取り扱い協力者
 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療で実際の配偶子・胚の取り扱いを行う責任者以外の全ての技術者は、医師または、看護師、臨床検査技師等のうち胚培養について十分な専門性を有するもので、適切な生殖補助医療施設で1年間以上の実務経験があるものに限る。
(4)その他

 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に従事する医療従事者は、当該技術における個人情報の重要性、記録の重要性等について深い知識と高い倫理観を持っていなければならない。
 また、当該医療を実施する医療施設では、実施医師は必要に応じて患者が速やかにカウンセラー等から助言を受けられるようにしなければならない。

⇒倫理委員会等のシステムに関する基準は?

(案)倫理委員会等については、以下のような基準が必要である。

 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を施行するために、実施医療施設は倫理委員会を設置することが必要である。
 医療施設において、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療を受けるための医学的適応や、適切な手続の下に精子・卵子・胚が提供されていることを保障するため、また、夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など生まれた子どもを安定して養育していけるかについて保障するために、実施の是非の審査を行う倫理委員会を設置する。

○ 医療機関の倫理委員会は、次に掲げる業務を行うものとする。

・ 配偶子・胚提供による生殖補助医療について審査を行い、その適否、留意事項改善事項等について、その医療機関の長及び実施責任者に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること。

・ 生殖補助医療の進行状況及び結果について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等について医療機関の長及び実施責任者に対し意見を提出すること。
○ 医療機関の倫理委員会は次の各号に掲げる要件を満たすものとする
・ 生殖補助医療の医学的妥当性、倫理的妥当性、及び提供による生殖補助医療の結果生まれる子の福祉について総合的に審査できるよう、生物学、医学、法律、及び児童福祉に関する専門家、カウンセラー、生命倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者ならびに一般の国民の立場で意見を述べられる者から構成されていること。

・ 委員会は10名前後で構成され、委員のうち二名以上は、医療機関の関係者以外の者が含まれていること。

・ 委員のうち二名以上は、女性が含まれていること。

・ 倫理委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められているものであること。
倫理委員会の構成、組織及び運営ならびに議事の内容の公開その他生殖医療計画の審査に必要な手続に関する規則が定められ、公開されていること。

⇒説明や同意、カウンセリング等の実施手順の作成に関する基準は?

⇒未熟児の出生に備えた受入医療施設の確保等に関する実施医療施設の基準のあり方について?(←検討課題1からの宿題))

⇒指定(許可)に際しての審査方法はどうするか?(指定(許可)後の監督体制はどうするか?)(書類審査に加え、実地調査も行うこととするか?)
 ←(関連)検討課題3(実施医療施設等の監督体制)

⇒精子・卵子・胚を提供する医療施設についても一定の基準を示す必要はあるか(施設・設備・機器に関する基準、人的要件に関する基準等)?
 必要があるのであれば、その具体的な基準は?


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