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パートタイム労働研究会中間報告から最終報告への主な変更点

1 多元的な雇用システムのメリット

(1) 企業側にとって

・パートを含めた「働きに応じた処遇」を図ることは企業経営にとってマイナスか。
 最近の大手スーパーの動きとして、パートと正社員との不合理な仕事の垣根や処遇の違いをなくしていく取組が実際に進行。
 (cf 優秀な人材確保、処遇全体の見直しやモラール向上によるコスト吸収などのメリット)
→パートの増加の下で、正社員との不合理な処遇の違いをそのままにしておくことの方が企業活力の低下をもたらす恐れが大きい(cf. 日経連ダイバーシティー・ワーク・ルール研究会(本年5月))

(2) 働く側にとって

・例えば、年齢を重ねるごとに「正社員指向」が強まる若年フリーターの経済的自立の問題。
→「拘束性の高い正社員」か「補助的パート」という二者択一でない連続的な仕組みができることにより、多様な層の経済的自立の可能性が増す。

(3) 社会全体にとって

・「働きに応じた処遇」による労働市場のアンバランスの改善→雇用のミスマッチの改善
・多元的な働き方の仕組み→より多くの層の就業可能性の向上と経済的自立→支え手の拡大
・少子化対策として出産・子育て後に再就職しやすくすることが重要との世論調査
→いったん子育てのために退職しても再び活躍できる柔軟な仕組み→少子化抑制効果

2 目指すべきルールと道筋

(1) 法制のタイプ

 目指すべきルールは「均等処遇原則タイプ」と「均衡配慮義務タイプ」の二者択一でなく以下の二つの組合せ。

(1)「同一職務・合理的理由なしケース」・・・「均等処遇原則タイプ」に基づいてパートと正社員の処遇決定方式を合わせること
(2)「処遇を異にする合理的理由があっても、現在の職務が正社員と同じケース」等・・・幅広く「均衡配慮義務タイプ」に基づく均衡配慮措置を求める

(2) そこに至る道筋

・上記ルール実現のためには、部分的なパートの処遇改善でなく、正社員の働き方や処遇のあり方も含めた見直しが必要。それには時間を要する。
・にも関わらず、このルールを法的措置として直ちに導入した場合には、パート雇用機会の減少、派遣・構内下請等への代替、低処遇のまま職務分離の進行、などの影響が懸念。
→ルール実現への方向性を確実にするための方策が必要
(1) 均衡考慮の内容の明確化
・ガイドライン策定により、均衡処遇ルールの具体的考え方を社会的に浸透・定着させる。
・ルール遵守を図るための法制の道筋としては、(イ) 上記(1)(1)のケースも含め、均衡配慮措置を先行させる考え方と、(ロ) 時間はかかっても均等処遇も含めた法整備をする考え方あり。→いずれにしても、時機を計りつつ、また、国民的合意形成を進めながら検討を。
(2)処遇決定等へのパートの実質的参加の促進。→パートも含めた労使協議の中で、パートのみならず正社員も含めた公平な配分のあり方について検討することの有効性。

3 ガイドライン案の提示(最終報告に添付)

 「雇用管理における透明性・納得性の向上」、「雇用管理区分間の行き来を可能にすること」、雇用管理における公正なルールの確保」に係る6つのルール等を明示。


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