審議会議事録  厚生労働省ホームページ

薬食審第0813001号
平成14年 8 月13日
  薬事・食品衛生審議会
   食品衛生分科会
    分科会長 寺 田 雅 昭 殿
乳肉水産食品部会
 部会長 熊 谷  進

乳及び乳製品の規格基準の改正に関する薬事・食品衛生審議会
食品衛生分科会乳肉水産食品部会報告について

 平成13年4月25日付厚生労働省発食第102号にて諮問された乳及び乳製品の規格基準の改正について、当部会で審議した結果、別添報告書のとおり設定することが適当であると決議したので報告する。


照会先
 厚生労働省医薬局食品保健部
  石井基準課長
  担当者:滝本(2444)、鶴身(2488)
    TEL 03-5253-1111


(別添)
乳及び乳製品等の規格基準の改正について

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
乳肉水産食品部会

I はじめに

 平成12年6月に発生した雪印乳業(株)大阪工場が製造した低脂肪乳等による食中毒事故は、近年、例をみない大規模な事故であり、平成13年3月14日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において、同様の食中毒事例の再発を防止するため、脱脂粉乳の衛生基準について検討するよう提言があった。
 また、近年の製造加工技術の多様化、病原菌の耐熱性に関する新たな知見、国際基準との整合性等を踏まえ、乳及び乳製品等の規格基準の改正について、平成13年4月、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会会長あて諮問があった。
 主な検討事項は次のとおりである。

  1. 製造方法の基準
    (1) 脱脂粉乳等の製造基準について設定すること。
    (2) 乳等の殺菌基準について見直すこと。
  2. 種類別分類
     乳及び乳製品の種類別分類について見直すこと。
  3. 容器包装の基準
     乳、乳製品及び調製粉乳の合成樹脂の容器の材質制限、組合せ制限等を緩和すること。

II 脱脂粉乳の製造基準について

 平成12年6月に発生した雪印乳業(株)大阪工場が製造した低脂肪乳等による食中毒事故の原因として、厚生省・大阪市原因究明合同専門家会議によると、(1)原因物質は黄食ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンA型と判断される、(2)雪印乳業(株)大樹工場で製造された脱脂粉乳が本事故の原因であったと判断される、(3)平成12年3月31日の脱脂粉乳製造中に発生した停電の際に、生乳又は製造ライン中の乳に由来する黄色ブドウ球菌が増殖し、エンテロトキシンA型を産生したと考えられる、(4)エンテロトキシンの産生はクリームの分離工程又は濃縮工程のライン乳タンクで起こったと考えられる、と報告されている〔1〕。

(1)脱脂粉乳製造工場の調査結果
 脱脂粉乳の製造工程の実態を把握するため、国内の脱脂粉乳製造施設に対して調査を実施した。(脱脂粉乳製造施設39施設中、回答施設33施設、資料1) 調査の結果、
(1) 多くの製造施設において、以下の工程で製造されていた。また、殺菌済みの脱脂乳から製造している施設や生乳の殺菌後にクリームの分離を行っている施設もあった。

図

(2) クリーム分離工程時の加温及び分離、殺菌・濃縮工程時における殺菌前の予熱、濃縮後の貯乳時において、品温がエンテロトキシン産生可能温度帯(10℃を超え、48℃以下〔2、3、4〕)となっていた。
(3) クリームの分離工程では、ライン乳は滞留することなく、5分程度で終了していた。
(4) 殺菌・濃縮工程では、予熱から濃縮までは最大30分以内に終了していたが、貯乳段階(脱脂濃縮乳)では、品温が約20〜50℃で4時間〜30時間(出し入れタンク)保管されている場合もあった。
(5) 乾燥工程においては、加温から冷却まで1〜8分間で行われており、滞留することなく終了していた。
(2)生乳中の黄色ブドウ球菌の汚染
 生乳中の黄色ブドウ球菌の汚染実態について、文献等を調査・検討した結果、原料の生乳の約50%は101〜103cfu/mlの黄色ブドウ球菌に汚染されており、高いものでは104cfu/mlのものも確認された。また、検出された黄色ブドウ球菌の毒素産生能力については、数%〜25%の菌がエンテロトキシンA型を産生する菌株である〔5、6〕。
 各農家から集乳された生乳は、ストレージタンク(原乳貯乳タンク)で混合され、貯乳されるため、一部の農家が搾乳した生乳が汚染されていれば、汚染が全体に広がってしまうことも考えられることから、原料となる生乳は、既に毒素産生能力を有する黄色ブドウ球菌に汚染されていることを前提として衛生基準を検討する必要がある。
(3)エンテロトキシン産生及び発症量
 雪印乳業食中毒事故の原因究明の際に試験室内で行った黄色ブドウ球菌添加エンテロトキシン産生試験では、初発菌数が102cfu/mlレベルで6時間後に、また、初発菌数が105cfu/mlレベルで3時間後にエンテロトキシンA型が検出されている〔1〕。また、濃縮乳を用いて行った追加の試験でも同様の結果が得られている。
 なお、通常、ヒトに対して黄色ブドウ球菌食中毒症状を起こすには、エンテロトキシンA型で100ng必要とされていたが、雪印乳業食中毒事故では計算上、数十ngでも発症している。
(4)衛生基準の基本方針
 脱脂粉乳について、次の基本方針に基づき衛生基準の設定を行うべきである。
 生乳段階での黄色ブドウ球菌の汚染を前提とした対策が必要である。
 生乳の受入れから乾燥工程以前までの工程において、黄色ブドウ球菌の増殖を防止するため、製品の温度及び各温度帯における時間の管理が重要である。
 各工程における二次汚染を防止し、特に殺菌後の乳の二次汚染防止を図る必要がある。
 具体的には以下の点に留意する必要がある。
 製造上必要不可欠な工程を除き、エンテロトキシン産生可能温度帯を避けること。
 クリーム分離及び殺菌工程においては、生乳の汚染が考えられるため、できる限り速やかに処理し、滞留(貯乳も含む。)しないこと。
 加熱殺菌後の濃縮乳については、殺菌済みのため黄色ブドウ球菌は死滅していると考えられることから、二次汚染を避けることが重要である。
 仮に二次汚染があってもエンテロトキシンが産生しないようエンテロトキシン産生可能温度帯で乳を滞留させないこと。
 やむを得ずエンテロトキシン産生可能温度帯で乳が滞留する場合には、エンテロトキシンが産生しないよう時間の管理を行うこと。加熱殺菌後の乳については、102cfu/mlレベルの汚染があってもエンテロトキシンを産生しないよう6時間以上滞留させないこと。
(5)脱脂粉乳の衛生基準
 以上の基本方針を踏まえ、具体的には次の衛生基準を設定することが適当である。
 製造上必要不可欠な工程を除き、黄色ブドウ球菌が増殖し、かつ、エンテロトキシンを産生する可能性のある温度帯(10℃を超え、48℃以下)を避けること。
 クリーム分離工程については、乳が滞留することのないよう、連続して行うこと。
 クリーム分離後の貯乳は10℃以下で行うこと。
 殺菌工程においては、牛乳の例により加熱殺菌すること。
 加熱殺菌後の濃縮乳が10℃を超え、48℃以下の範囲で滞留する場合は、外部からの細菌汚染がないよう閉鎖系で管理を行うこと。閉鎖系で管理を行うことが困難な場合は、6時間以上滞留することのないよう管理すること。
 回収乳を使用し脱脂粉乳の製造に用いる場合には、回収後、直ちに冷却し、10℃以下で管理すること。
(6)その他
 上記の他に以下の点についても関係者を指導すること。
 搾乳後の生乳は速やかに10℃以下に冷却すること。
 生乳の受入れの際には10℃以下のものを受入れること。
 製品の保管は湿気を帯びることのないよう管理すること。
 全粉乳、加糖粉乳、調製粉乳等についても上記衛生基準及び指導内容に準じて指導すること。
 また、消費者に対しても、家庭において、湿気を帯びることのないように保管・使用するよう啓発すること。
 コーデックス規格で定められているたん白質量の調整のための乳糖等の乳由来成分の使用については、これを認めて差し支えない。〔7〕

III 乳等の殺菌基準について

 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号、以下「乳等省令」という。)において、牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び加工乳の製造方法の基準は、「摂氏62度から摂氏65度までの間で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること。」と規定されている。また、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号、以下「告示」という。)の食品一般の製造、加工及び調理基準において、「生乳または生山羊乳を使用して食品を製造する場合は、その食品の製造工程中において、生乳または生山羊乳を62度で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。」と規定されている。
 これらはいずれも結核菌を指標として、その耐熱性に関するデータから設定したものであるが、平成10年度から開始された厚生科学研究補助金「生活安全総合研究事業」(平成12年度終了)において、生乳及び市販乳中のQ熱病原体の汚染実態及び死滅温度に関する研究が実施され新たな知見が得られた。

(1)Q熱
 Q熱は、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)において「四類感染症」に指定されている感染症で、病原体はリケッチアのCoxiella burnetiiである。ヒトへの感染は塵埃中の病原体の吸引や、汚染した非殺菌乳などが主な感染源とされており、急性感染では、突然の高熱、頭痛、筋痛等の症状に始まり、高熱が1〜2週間程度続き、肝機能障害を伴うことも多い。慢性感染では心内膜炎が多数を占めており、骨髄炎、肝炎等種々の症状を呈することもある。わが国では1988年(昭和63年)カナダでヒツジ胎仔を取り扱っていた医学研究者が帰国後に発病したのが、最初の確認である〔8〕。

(2)Q熱の発生状況
 国内におけるQ熱の発生状況は以下のとおりである。

患者数(人)備考
平成11年124月〜12月
平成12年231月〜12月
平成13年401月〜12月
感染症週報(厚生労働省/国立感染症研究所)による

 いずれも散発事例であり、食品が原因と考えられる事例は発生していないが、ヨーロッパやアメリカ等では未殺菌乳又は未殺菌乳を使用した乳製品等が原因と推測される集団発生の事例が報告されている。

(3)Q熱病原体(Coxiella burnetii)の死滅温度
 平成10年度から開始された厚生科学研究補助金「生活安全総合研究事業」(平成12年度終了)において、生乳及び市販乳中のQ熱病原体の汚染実態及び死滅温度に関する研究が実施された。
 これによるとCoxiella burnetiiは、65℃、30分では完全に死滅するが、62℃、30分及び63℃、30分では一部が生残することが確認された。
 また、63℃に達するまでに20分以上の時間をかけた後、63℃で30分加熱を行った場合、完全に死滅させることができることが明らかになった。通常のバッチ方式による殺菌であれば、予熱に要する時間は20分以上経過していることから、バッチ方式により63℃で30分加熱を行った場合、完全に死滅させることができると考えられる。

(4)国際的状況
 FAO/WHO合同食品規格委員会(以下、「コーデックス委員会」という。)において検討されている乳及び乳製品の衛生的取扱い規範においても、乳のパスチュライゼーション(殺菌)の定義としてQ熱及び結核菌を105のファクターで減じることを指標として、バッチ式において63℃、30分の加熱殺菌方法を検討している〔9〕。
 アメリカにおいてもQ熱を指標とし、バッチ方式で145F(62.8℃)、30分の殺菌基準を採用している。また、EUにおいては、乳の殺菌方法の定義として161F(71.7℃)、15秒としている。

(5)乳の殺菌基準
 以上のことから、わが国における乳によるQ熱の発生防止及び国際的整合性を図る観点から、乳の殺菌基準を次のとおり設定することが適当である。
 乳等省令における、牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳及び加工乳の製造方法の基準として、
 「バッチ方式により摂氏63度で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること。」、
 また、告示中のC 食品一般の製造、加工及び調理基準において、 「生乳又は生山羊乳を使用して食品を製造する場合は、その食品の製造工程中において、生乳又は生山羊乳をバッチ方式により63度で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならない。」とする。

(6)乳製品の殺菌について
 また、生乳を使用してナチュラルチーズを製造する場合も、その製造工程中において、生乳を63度で30分間加熱殺菌することが望まれるが、二次汚染の問題もあることから、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点) の考え方に基づく総合的な衛生対策が必要である。
 なお、リステリア菌汚染の問題となるソフト及びセミソフトタイプのナチュラルチーズについては、これまでと同様に製品での検査等によりその安全性を確認すると共に、未殺菌乳を使用したナチュラルチーズの規格基準の設定に当たっては、多種多様な製品があることから製造方法毎の組成、水分活性、pH、熟成条件等による病原菌の挙動等に関するデータを蓄積し、引き続き検討すべきである。〔10〕〜〔31〕

IV 乳等の種類別分類等について

 近年の製品の多様化や製造加工技術の進歩、国際基準との整合性等を踏まえ、消費者に対しわかりやすい商品区分とするため、乳等省令の種類別分類について見直しを行う必要がある。

(1)問題点
  ア 牛乳とは、「直接飲用に供する目的で販売する牛の乳をいう。」とされており、製菓用等、加工原料用にされるものについては位置付けが明確でない。また、脂肪の標準化等により成分を調整した乳についても種類別「牛乳」として取り扱っている。
 一方、FAO/WHO合同食品規格計画(コーデックス)では、「milk」とは、「1回以上の搾乳で得られた搾乳動物の正常な乳腺分泌物であって、それへの添加又はそれからの抽出のいずれもせずに、飲用乳として消費又はさらなる加工処理を目的にしているものをいう。」とされており、成分を調整したものは含まれておらず、加工原料用のものは含まれている〔32〕。
  イ 近年、膜処理等の技術が乳の処理に応用されており、これらの製品に対する種類別分類についての対応が必要である。
  ウ 平成12年11月に農林水産省で開催された「飲用牛乳等の表示のあり方に関する検討会」において、種類別「部分脱脂乳」及び「脱脂乳」について、「部分脱脂牛乳」及び「無脂肪牛乳」に見直すこと、さらに部分脱脂牛乳のうち、栄養改善法(昭和27年法律第248号)の基準を満たすものについては、「低脂肪牛乳」の文言の使用について検討する必要がある旨報告されている。
  エ チーズについても、コーデックス委員会において定義の見直しが行われ、たんぱく質の凝固作用を用いて製造したものをいうこととされたため、整合性を図る必要がある〔33〕。

(2)改正の要点
  ア 牛乳は、脂肪の標準化等、一切の成分調整を行っていないものとする。また、直接飲用に供する目的に限らず、製菓用等、加工原料用に使用されるものについても対象とし、牛乳の規格基準を適用する。
  イ 脱脂乳を「無脂肪牛乳」に改め、生乳のみから製造したものとする。
  ウ 部分脱脂乳を「低脂肪牛乳」に改め、生乳のみから製造したものとする。また、成分規格中、乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下とする。
  エ 新たに種類別「成分調整牛乳」を設定し、膜処理等の技術により特定の成分(水分等)を除去したものとし、「無脂肪牛乳」及び「低脂肪牛乳」を除くものとする。
  オ 成分調整牛乳について成分規格、製造及び保存の方法の基準を新設すると共に、調整を行った成分についての表示を要するものとする。
  カ 加工乳について直接飲用に供する目的に限らず、製菓用等、加工原料用に使用されるものについても対象とし、加工乳の規格基準を適用する。また、加工乳の範ちゅうには成分調整牛乳を含まない。
  キ ナチュラルチーズについて、たんぱく質の凝固作用を用いて製造したものをいうこと。

(3)成分規格並びに製造及び保存の方法の基準
 低脂肪牛乳及び成分調整牛乳について、以下のとおり成分規格並びに製造及び保存の方法の基準を設定することが適当である。
ア 低脂肪牛乳
 1 成分規格
無脂乳固形分 8.0%以上
乳脂肪分 0.5%以上1.5%以下
比重(摂氏15度において) 1.030−1.036
酸度(乳酸として) 0.18%以下
細菌数(標準平板培養法で1ml当たり) 50,000以下
大腸菌群 陰性
 2 製造及び保存の方法の基準
 牛乳の例によること。
イ 成分調整牛乳
 1 成分規格
無脂乳固形分 8.0%以上
酸度(乳酸として) 0.18%以下
細菌数(標準平板培養法で1ml当たり) 50,000以下
大腸菌群 陰性
 製造及び保存の方法の基準
 牛乳の例によること。

V 乳等の容器包装の基準

 乳及び乳製品の容器包装については、規格基準が設定されたもの以外の容器包装を使用する際には個別に厚生労働大臣の承認(以下、「例外承認」という。)が必要とされている。また、例外承認を受けた容器包装については、順次一般規格化することとされている(平成9年1月29日付衛乳第27号)。今般、これまで例外承認を受けた容器包装のうち、規格化されていないものについて一般規格化を行うものである。

(1)規格化を行う容器包装
 例外承認を受けた容器包装のうち、以下のものについて規格化を行う。
ア 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリーム
 ・ナイロンと規定材質との積層(内容物に直接接触する部分はナイロン以外のもの)の容器包装
 ・ポリプロピレンと規定材質との積層(内容物に直接接触する部分はポリプロピレン以外のもの)の容器包装
イ はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料
 ・ポリプロピレンを主成分とする合成樹脂製の容器包装
 ・ポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂製の容器包装
ウ 調製粉乳
 ・金属缶と合成樹脂ラミネートの組合せ容器包装

(2)容器包装の基準
 乳等の容器包装又はこれらの原材料の規格について、以下のとおり改正することが適当である。
 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳及びクリームの販売用の器包装
 合成樹脂製容器包装(ポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂を用いる容器包装)に、ナイロン及びポリプロピレンを加える。
 内容物に直接接触する部分は、ポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂であること。
 新たに追加されたナイロン及びポリプロピレンは、告示の第3 器具及び容器包装の規格又は基準に適合するものであること。
 はっ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の容器包装
 内容物に直接接触する部分の材質にポリプロピレンを主成分とする合成樹脂又はポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂を加える。
 内容物に直接接触する部分に使用するポリプロピレンを主成分とする合成樹脂は、乳等省令別表の四の(二)の(1)の2のbのA、B及びDに規定する規格に適合するものであること。
 ただし、冷蔵時の耐衝撃性を向上させるためエチレン等との共重合体(コポリマー)とする必要があること、また、容器包装に充填後、殺菌することがないことから、n−ヘキサン抽出物及びキシレン可溶物の基準値についてはFDAが規定している調理中の食品の包装又は保存に使用するもの以外のポリオレフィンコポリマーの規格値を採用し、以下のとおりとする。
材質試験
n−ヘキサン抽出物 5.5%以下
キシレン可溶物 30%以下
 内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂は、乳等省令別表の四の(二)の(1)の2のbのA及びB、同項の(2)の1のdのD及びE、同項の(2)の1のgに規定する規格に適合するものであること。
 調製粉乳の容器包装に、組合せ容器包装(金属缶、合成樹脂ラミネート容器包装を用いる容器包装)を加えること。

VI おわりに

 今回、脱脂粉乳の衛生基準策定のため検討を行ったが、食品の衛生管理は一義的には営業者の取組によってこそ成功するものであり、企業自らがその必要性を認識して、自主的に衛生管理を実施することにより、消費者に対してより安全な食品を提供できることは言うまでもない。
 そのためにも雪印食中毒事件に係る厚生省・大阪市原因究明合同専門家会議においても提言されている〔1〕とおり、自主的な衛生管理推進のためにも、衛生基準のみならず、高度な衛生管理を推進するため、HACCPシステムを用いた総合衛生管理製造過程の承認についても検討するべきである。

(以上)


引用文献

〔1〕雪印食中毒事件に係る厚生省・大阪市原因究明合同専門家会議:雪印乳業食中毒事件の原因究明調査結果について―低脂肪乳等による黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA型食中毒の原因について―(最終報告)、平成12年12月
〔2〕厚生省生活衛生局食品保健課監修、坂井千三編集:食中毒菌の制禦、中央法規出版
〔3〕厚生省生活衛生局乳肉衛生課監修、動物性食品のHACCP研究班編集:HACCP:衛生管理計画の作成と実践データ編、中央法規出版
〔4〕International Commission on Microbiological Specifications for Foods(ICMSF):MICROORGANISMS IN FOODS 5 Microbiological Specifications on Food Pathogens
〔5〕小峯健一他:乳牛の健康ならびに乳房炎乳房の乳汁中ブドウ球菌とその産生毒素の検出、日本獣医師会雑誌Vol.53 No.7 2000
〔6〕品川邦汎他:生乳中の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の汚染実態調査、岩手大学農学部
〔7〕CODEX STANDARD FOR MILK POWDER AND CREAM POWDER, CODEX STAN 207-1999
〔8〕山崎修道他:感染症予防必携、財団法人日本公衆衛生協会
〔9〕GUIDELINES FOR THE MANAGEMENT OF MICROBIOLOGICAL CONTROL MEASURES DURING AND AFTER PROCESSING, CX/FH 01/8
〔10〕Factors associated with hygienic control and quality of cheeses prepared from raw milk : a review, bulletin of IDF369,16
〔11〕Food safety and cheese, Food Sci Tec 1998,12
〔12〕Microbiological safety cheese made from heat-treated milk, part I. Executive summary, introduction and history, J Food Prot 1990,53
〔13〕Microbiological safety cheese made from heat-treated milk, part II. Microbiology, J Food Prot 1990,53
〔14〕Microbiological safety cheese made from heat-treated milk, part III. Technolory, discussion, recommendation, bibliography, J Food Prot 1990,53
〔15〕Behavious of potentially humanpathogenic bacteria in semihard and hard cheese from raw milk
〔16〕The fate of potentially pathogenic bacteria in Swiss hard and semihard cheeses made from raw milk, J Dairy Sci1995,78
〔17〕Survival of listeria monocytogenes during the manufacture and ripening of Swiss cheese, J Dairy Sci 1992,75
〔18〕Fate of Listeria monocytogenes during the manufacture and ripening of Parmesan cheese, J Dairy Sci 1990,73
〔19〕Behavior of Listeria monocytogenes during the manufacture and ripening of cheddar cheese, J Food Prot 1989,72
〔20〕Fate of Listeria monocytogenes during manufacture, ripening and storage of feta cheese, J Food Prot1989,52
〔21〕Survival of Listeria monocytogenes during manufacture and storage of cottage cheese, J Food Prot 1985,48
〔22〕Fate of Listeria monocytogenes during the manufacture and ripening of camembert cheese, J Food Prot 1987,50
〔23〕Fate of Listeria monocytogenes during the manufacture and ripening of blue cheese, J Food Prot 1989,52
〔24〕Fate of Listeria monocytogenes during manufacture and ripening of semi-hard cheese, Let App Mic 1987,4
〔25〕Defining the Growth/No-Growth interface for Listeria monocytogenes in Mexican-style cheese based on salt, pH, and Moisture content, J Food Prot 1999,62
〔26〕Behavior of Listeria monocytogenes during the manufacture and storage of colby cheese, J Food Prot 1988,51
〔27〕Behavior of Listeria monocytogenes during manufacture and ripening of brick cheese, J Dairy Sci 1987,72
〔28〕Effect of polyphosphate and sodium chloride on the growth of Listeria monocytogenes and Staphylococcus aureus in ultra-high temperature milk, J Dairy Sci 1994,77
〔29〕The combinated inhibitory effect of lysozyme and low pH on growth of L.m., J Food Prot 1994,57
〔30〕EC DIRECTIVE 92/46/EEC
〔31〕EC DIRECTIVE 93/43/EEC
〔32〕CODEX GENERAL STANDARD FOR THE USE OF DAIRY TERMS, CODEX STAN 206-1999
〔33〕CODEX GENERAL STANDARD FOR CHEESE: DESCRIPTION,ALINORM 01/11 APPENDIX IV


(参考)

1 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会名簿(敬称略)

>部会長 熊 谷  進  東京大学大学院農学生命科学研究科教授
委員 小 川 益 男  財団法人日本食品分析センター学術顧問
 塩 見 一 雄  東京水産大学教授
 品 川 邦 汎  岩手大学農学部教授
 清 水  誠  東京大学大学院農学生命科学研究科教授
 鈴 木 久 乃  女子栄養大学栄養学部教授
 伏 谷 伸 宏  東京大学大学院農学生命科学研究科教授
 丸 山  務  麻布大学環境保健学部教授
 三 森 国 敏  東京農工大学農学部獣医学科教授
 西 尾  治  国立感染症研究所感染症情報センター第6室長
 山 本 茂 貴  国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部長
前委員 山 崎 省 二  元国立公衆衛生院衛生獣医学部長

事務局 厚生労働省医薬局食品保健部基準課 課長 石井 甲一
 課長補佐 滝本 浩司
 乳肉水産基準係長 鶴身 和彦
 乳肉水産基準係 畑中 理恵
 前乳肉水産基準係 山中 恭史

2 乳肉水産食品部会の開催状況
    第1回  平成13年7月11日(水)
    脱脂粉乳製造施設現地調査
  平成13年8月30日(木)、31日(金)
    第2回  平成13年10月30日(火)
    第3回  平成14年1月28日(月)
    第4回  平成14年7月17日(水)


(資料)

   資料1  脱脂粉乳製造施設の調査結果概要

   資料2  乳等の容器包装の規格基準


(資料1)脱脂粉乳等の製造基準について

 ○ 脱脂粉乳の製造工程における実態調査について

脱脂粉乳の製造工程における実態を把握するため、次のとおり調査を実施した。

(1) 調査期間 平成13年8月

(2) 調査対象 国内の脱脂粉乳製造施設

(3) 調査主体 社団法人 日本乳業協会

(4) 調査方法 調査票によるアンケート方式

(5) 調査結果 別添のとおり(回答施設数:33)

(別添)

各製造工程における平均品温及び稼働時間
工程名 品温(℃) 稼働時間(時間) 備考
平均 最低 最高 平均 最低 最高
1 受け入れ 6 0 15 9 2 24  
2 冷却 4 0 10 8 2 20  
3 貯乳(生乳) 6 2 10 41 3 120  
4 加温 50 28 80 12 2 23  
5 分離 50 28 70 11 2 23  
6 冷却 9 1 21 11 2 23  
7 貯乳(脱脂乳) 13 4 21 36 5 120  
8 予熱 70 25 114 12 2 24  
9 殺菌 111 80 135 12 1 24  
10 濃縮              
濃縮入口 94 70 128 12 1 24  
濃縮出口 49 30 65        
11 冷却 28 6 50        
12 貯乳(濃縮乳) 44 15 57 15 3 30  
13 加温 68 60 75        
14 乾燥 185 140 350 13 1 29 品温は送風温度
15 冷却 32 15 45        
16 貯粉 37 28 45 29 2 96  
17 充填       8 1 20  

各工程における平均品温の図


(資料2)乳等の容器包装の規格基準

 以下の基準に定める事項以外に、食品、添加物等の規格基準の第3器具及び容器包装の部に定める事項があるものについては、その規格基準に適合するものであること。
 牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳及びクリームの販売用に使用するの容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準
@ガラス瓶
 無着色、透明、口内径が26mm以上であること。
A合成樹脂及び合成樹脂加工紙
 合成樹脂はポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂、ナイロン及びポリプロピレンに、また、合成樹脂加工紙はポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂製加工紙に限る。
 内容物に直接接触する部分はポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂であること。
 常温保存可能品の容器包装は、遮光性を有し、かつ、気体透過性のないものであること。
 各材質の個別規格は次のとおりである。
Bポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂製容器包装及びポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂加工紙製容器包装
 溶出及び強度試験
(1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
(2) 蒸発残留物
(浸出用液;4%酢酸、クリームはn−ヘプタン)
・・・・・15ppm以下
(3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
(4) 破裂強度・・・・・196.1kPa(内容量が300ml以下)
(常温保存可能品は392.3kPa)
490.3kPa(内容量が300mlを超えるもの)
(常温保存可能品は784.5kPa)
(5) 封かん強度・・・・・内圧を13.3kPaまで加圧した時、破損又は空気の漏れがないこと。
(6) ピンホール・・・・・メチレンブルー溶液を満たし30分間静置した時漏れがないこと。
 内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂には、添加剤を使用してはならない。ただし、ポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂製容器包装であって、ステアリン酸カルシウムを2.5g/kg以下若しくはグリセリン脂肪酸エステルを0.3g/kg以下使用する場合又は二酸化チタンを使用する場合は、この限りでない。
 内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂の材質試験
(1) n−ヘキサン抽出物・・・・・2.6%以下
(2) キシレン可溶物・・・・・11.3%以下
(3) ヒ素・・・・・限度試験(2ppm以下)
(4) 重金属・・・・・限度試験(鉛として20ppm以下)
C金属缶(クリームの容器に限る)
 2のFに規定する条件に適合すること。
D組合せ容器包装(合成樹脂及び合成樹脂加工紙を用いる容器包装、クリームにあっては合成樹脂、合成樹脂加工紙及び金属のうち二以上を用いる容器包装)
 合成樹脂及び合成樹脂加工紙にあってはそれぞれA及びBに規定する合成樹脂製容器包装及び合成樹脂加工紙製容器包装の規格又は基準(常温保存可能品に係る規格を除く。)に、金属にあってはCに規定する金属缶の規格又は基準に適合するものであること。
D前各号に規定する容器包装を製造するものは、製造した容器包装を殺菌すること。ただし、殺菌効果を有する方法で製造されたものはこの限りでない。
 はっ酵乳、乳酸菌飲料及び乳飲料の販売用の容器包装又はこれらの原材料の規格及び製造方法の基準
@ ガラス瓶
 透明なものであること。
A 合成樹脂製容器包装、合成樹脂加工紙製容器包装及び合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装
 内容物に直接接触する部分はポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレンを主成分とする合成樹脂又はポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂であること。
 常温保存可能品の容器包装は、遮光性を有し、かつ、気体透過性のないものであること。
 強度試験
(1) 封かん強度・・・・・内圧を13.3kPaまで加圧した時、破損又は空気の漏れがないこと。
(2) ピンホール・・・・・メチレンブルー溶液を満たし30分間静置した時漏れがないこと。
(3)次のいずれかの試験に適合すること。
(ア)破裂強度・・・・・196.1kPa(内容量が300ml以下)
(常温保存可能品は392.3kPa)
490.3kPa(内容量が300mlを超えるもの)
(常温保存可能品は784.5kPa)
(イ)突き刺し強度・・・・・9.8N以上
 各材質の個別規格は次のとおりである。
B内容物に直接接触する部分がポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂製の容器包装
 1のBのア(強度試験を除く)及びウと同じ。
C内容物に直接接触する部分がポリスチレン製の容器包装
ア 溶出試験
 (1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
 (2) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
 (3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
イ 材質試験
 (1) 揮発性物質・・・・・1,500ppm以下
 (2) ヒ素・・・・・限度試験(2ppm以下)
 (3) 重金属・・・・・限度試験(20ppm以下)
D内容物に直接接触する部分がポリプロピレンを主成分とする合成樹脂製の容器包装
ア 溶出試験
 (1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
 (2) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
 (3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
イ 材質試験
 (1) n−ヘキサン抽出物・・・・・5.5%以下
 (2) キシレン可溶物・・・・・30%以下
 (3) ヒ素・・・・・限度試験(2ppm以下)
 (4) 重金属・・・・・限度試験(鉛として20ppm以下)
E内容物に直接接触する部分がポリエチレンテレフタレートを主成分とする合成樹脂製の容器包装
ア 溶出試験
 (1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
 (2) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
 (3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
 (4) アンチモン・・・・・限度試験(0.025ppm以下)
 (5) ゲルマニウム・・・・・限度試験(0.05ppm以下)
イ 材質試験
 (1) カドミウム・・・・・限度試験(100ppm以下)
 (2)・・・・・限度試験(100ppm以下)
F金属缶
 溶出試験((3)〜(6)については、内容物に直接接触する部分に合成樹脂を使用したものにのみ適用)
(1) ヒ素・・・・・限度試験(0.1ppm以下)
(2) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
(3) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
(4) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
(5) フェノール・・・・・限度試験(30ppm以下)
(6) ホルムアルデヒド・・・・・限度試験(4ppm以下)
 内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂の材質試験((3)〜(5)については、塩化ビニル樹脂を使用するもののみ適用)
(1) カドミウム・・・・・限度試験(100ppm以下)
(2)・・・・・限度試験(100ppm以下)
(3) ジブチルスズ化合物・・・・・限度試験(100ppm以下)
(4) クレゾールリン酸エステル・・・・・限度試験(1,000ppm以下)
(5) 塩化ビニル・・・・・限度試験(1ppm以下)
G組合せ容器包装(合成樹脂、合成樹脂加工紙、合成樹脂加工アルミニウム箔又は金属のうち二以上を用いる容器包装)
 合成樹脂、合成樹脂加工紙及び密栓の用に供するものを除く合成樹脂加工アルミニウム箔にあってはそれぞれA〜Eに規定する規格に、金属にあってはFに規定する規格に適合するものであること。
 密栓の用に供する合成樹脂加工アルミニウム箔の溶出及び強度試験
(1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
(2) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
(3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
(4) フェノール・・・・・限度試験(30ppm以下)
(5) ホルムアルデヒド・・・・・限度試験(4ppm以下)
(6) 破裂強度・・・・・196.1kPa以上
 密栓の用に供する合成樹脂加工アルミニウム箔の内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂の材質試験((4)〜(6)については、塩化ビニル樹脂を使用するもののみ適用)
(1) ヒ素・・・・・限度試験(2ppm以下)
(2) カドミウム・・・・・限度試験(100ppm以下)
(3)・・・・・限度試験(100ppm以下)
(4) ジブチルスズ化合物・・・・・限度試験(100ppm以下)
(5) クレゾールリン酸エステル・・・・・限度試験(1,000ppm以下)
(6) 塩化ビニル・・・・・限度試験(1ppm以下)
H前各号に規定する容器包装を製造するものは、製造した容器包装を殺菌すること。ただし、殺菌効果を有する方法で製造されたものはこの限りでない。
 調製粉乳の容器包装又はその原材料の規格及び製造方法の基準
@金属缶
 密閉できる構造のものであること。
 開口部分の密閉に使用する合成樹脂は、ポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートであること。
 開口部分の密閉に使用するポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂には、添加剤を使用してはならない。
 封かん強度・・・内圧を13.3kPaまで加圧した時、破損又は空気の漏れがないこと。
 開口部分の密閉に使用するポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートの溶出及び強度試験((4)、(5)については、ポリエチレンテレフタレートを使用したものに限る)
(1) 重金属(浸出用液;4%酢酸)・・・・・限度試験(鉛として1ppm以下)
(2) 蒸発残留物(浸出用液;4%酢酸)・・・・・15ppm以下
(3) 過マンガン酸カリウム消費量(浸出用液;水)・・・・・5ppm以下
(4) アンチモン・・・・・限度試験(0.025ppm以下)
(5) ゲルマニウム・・・・・限度試験(0.05ppm以下)
(6) 破裂強度・・・・・196.1kPa(内容量が300g以下)
490.3kPa(内容量が300gを超えるもの)
(外包装と合わせた破裂強度の最大値が980.7kPa以上の場合196.1kPa)
 開口部分の密閉に使用するポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂の材質試験
(1) n−ヘキサン抽出物・・・・・2.6%以下
(2) キシレン可溶物・・・・・11.3%以下
(3) ヒ素・・・・・限度試験(2ppm以下)
(4) 重金属・・・・・限度試験(鉛として20ppm以下)
 開口部分の密閉に使用するポリエチレンテレフタレートの材質試験
(1) カドミウム・・・・・限度試験(100ppm以下)
(2)・・・・・限度試験(100ppm以下)
A合成樹脂ラミネート容器包装
 内容物に直接接触する部分はポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂又はポリエチレンテレフタレートであること。
 内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂には、添加剤を使用してはならない。
 封かん強度・・・内圧を13.3kPaまで加圧した時、破損又は空気の漏れがないこと。
 内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレン及びエチレン・1−アルケン共重合樹脂は、前号のエ〜キに規定する規格に適合するものであること。
 合成樹脂ラミネート容器包装を製造する者は、製造した当該容器包装を殺菌すること。ただし、殺菌効果を有する方法で製造されたものにあっては、この限りでない。
B組合せ容器包装(金属缶及び合成樹脂ラミネートを用いる容器包装)
 金属缶にあっては@に規定する規格及び基準に、合成樹脂ラミネートにあってはAに規定する規格及び基準に適合するものであること。


乳等の容器包装の規格基準(案)
試験名 試験項目 試験方法
又は条件
規格基準(案) 乳等省令 食品等の規格基準
1群*1 2群*1 1群 2群 調製粉乳 一般規格 個別規格
NY*2 PP*2 PP PET*2 PE、LLDPE*2 PE、LLDPE PS*2 PE、LLDPE PET PE、PP、
LLDPE
PS PET NY
材質試験 揮発性物質   - - - - - - ≦1,500 - - - - ≦5,000 - -
n-ヘキサン抽出物   - - ≦ 5.5% - ≦ 2.6% ≦ 2.6% - ≦ 2.6% - - - - - -
キシレン可溶物   - - ≦ 30% - ≦ 11.3% ≦ 11.3% - ≦ 11.3% - - - - - -
ヒ素   - - ≦ 2 - ≦ 2 ≦ 2 ≦ 2 ≦ 2 - - - - - -
重金属   - - ≦ 20 - ≦ 20 ≦ 20 ≦ 20 ≦ 20 - - - - - -
カドミウム ポーラログラフ法又は原子吸光度法 ≦100 ≦100 - ≦100 - - - - ≦100 ≦100 ≦100 ≦100 ≦100 ≦100
≦100 ≦100 - ≦100 - - - - ≦100 ≦100 ≦100 ≦100 ≦100 ≦100
溶出試験 重金属 4%酢酸 ≦1 ≦1 ≦1 ≦1 ≦ 1 ≦ 1 ≦ 1 ≦ 1 ≦1 ≦1 ≦1 ≦1 ≦1 ≦1
過マンガン酸カリウム消費量 ≦10 ≦10 ≦5 ≦5 ≦ 5 ≦ 5 ≦ 5 ≦ 5 ≦5 ≦10 ≦10 ≦10 ≦10 ≦10
蒸発残留物 n-ヘプタン*3 ≦30 ≦150 - - ≦75 - - - - - ≦150 ≦240 ≦30 ≦30
20%エタノール - - - - - - - - - - ≦30 ≦30
- - - - - - - - - -
4%酢酸 ≦30 ≦30 ≦15 ≦15 ≦15 ≦15 ≦15 ≦15 ≦15 -
アンチモン 4%酢酸 - - - ≦0.025 - - - - ≦0.025 - - - ≦0.05 -
ゲルマニウム 4%酢酸 - - - ≦0.05 - - - - ≦0.05 - - - ≦0.1 -
カプロラクタム 20%エタノール ≦15 - - - - - - - - - - - - ≦15
強度試験 破裂強度*4 ≦300ml - - ≧196.1kPa
(常温保存用392.3)
≧196.1kPa
(常温保存用392.3)
- - - - -
> 300ml - - ≧490.3kPa
(常温保存用784.5)
≧490.3kPa
(常温保存用784.5)
- - - - -
封かん強度   - - ≧13.3kpa ≧13.3kpa - - - - -
ピンホ -ル   - - ろ紙上に斑点を生じないこと ろ紙上に斑点を生じないこと - - - - - -
突き刺し強度*4   - - ≧9.8N - ≧9.8N - - - - - - -
その他   内容物に直接接触する部分に使用してはならない                        
*1)1群;牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳、クリ -ム、2群;はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料
*2)NY:ナイロン、PP:ポリプロピレン、PET:ポリエチレンテレフタレート、PE:ポリエチレン、LLDPE:エチレン・1-アルケン共重合樹脂、PS:ポリスチレン
*3)蒸発残留物中n-ヘプタンは、浸出溶液による係数は考慮していない数値
*4)2群は破裂強度か突き刺し強度のどちらか
 注) 特に記載の無いものの単位はppm


トップへ
審議会議事録  厚生労働省ホームページ