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第7回年金資金運用分科会議事要旨

1.日時平成14年7月16日〈火〉14時〜16時
2.場所厚生労働省省議室
3.参加者・内海委員 ・大和委員 ・杉田委員 ・高梨委員 ・竹内委員
・福井委員 ・吉原委員 ・米澤委員 ・若杉委員

4.議事要旨(○は委員、●は事務局、△は年金資金運用基金の発言)

《第6回分科会の議事要旨について》
 第6回議事要旨については、配付資料のとおり確認。

1.厚生年金及び国民年金の積立金の運用の状況が年金財政に与える影響の評価について

 ○ 資料1−1の様式は、まず、印象として、一般の人には分かりにくい。
 例えば、財政再計算上の前提値は、長期的には、名目運用利回り4.0%、名目賃金上昇率2.5%となっているわけだが、名目運用利回りについては、平成10年度から17年度までは4.0%と異なっており、賃金上昇率も平成10年度と11年度の2か年度は2.5%と異なっている。また、厚生年金と国民年金とでも異なっている。
また、市場運用部分は運用利回りがよくなかったけれども、預託部分の利子収入が高かったので年金積立金全体がプラスとなっており、全体としては運用は非常にうまくいったという印象を受けかねないが、そのような印象を与えないようにすべきではないか。
 ● まず、平成11年度の財政再計算の立ち上がりの時期における名目運用利回りと賃金上昇率の数値については、確かに、長期的には各々4.0%、2.5%としているが、財政計画を立てるに当たり、できるだけぶれを含まないものとしようという考え方から、賃金上昇率は、平成11年の財政再計算作業時に実績見込み値として出ていた数値をそのまま用いている。また、名目運用利回りも、財投改革が平成11年度から実施されることを前提として、約140兆円の積立金が順次償還されることを踏まえ、各年度ごとの旧資金運用部に預託している預託残高と償還額を計算し、償還される積立金については市場運用されて4.0%で運用されるものとして計算し、まだ償還されていない預託分については実際の預託金利で計算し、その加重平均値を出すという方法で計算し、設定されている。また、国民年金と厚生年金の財政計画上の名目運用利回りが異なっているが、これは、各々の積立金の過去における年度ごとの預託金額が異なった結果、厚生年金の積立金の預託金利と国民年金の積立金の預託金利が異なることとなったことに起因する違いである。
また、運用が全体として非常にうまくいっているような印象を受けかねないという点については、旧年金福祉事業団の市場分はマイナス、預託部分はプラスと各々区分して表示している。
 いずれの点についても、御指摘のとおり、分かりやすく、また、ミスリードとならないように説明したい。
 ○ この数値は、国民に明らかになっているのか。
 ● 「厚生年金・国民年金 平成11年財政再計算結果」において考え方を記載している。
 ○ 財政再計算における、名目運用利回りや名目賃金上昇率などの前提数値の算出の仕方については、明記して欲しい。
 ● 御指摘のとおりとしたい。
 ○ 財政再計算上の前提値と実績値について、グラフなども用いて説明することが必要ではないか。
 ○ 冒頭の運用状況についての指摘と関連するが、旧資金運用部の預託の方がよかったという誤解を招きかねないので、財投改革が行われた趣旨を合わせて説明する必要があるし、また、旧年金福祉事業団による運用と年金資金運用基金による自主運用は仕組みが全く異なることも説明すべきである。
 財投改革によって、資金がマーケットに出ていき、そこで効率的に運用されるので、長い目で見れば、年金受給者にとって市場運用は必要なものであるし、結果として、日本経済の成長という観点から見ても必要なことを説明すべきである。
 ● 御指摘のとおり、財投への預託の方がよかったといった方向にミスリードすることのないよう、注意しながら説明することとしたい。
 ● 本日は、年金積立金全体で見た場合の収益状況についても、資料として提出させて頂いている。この収益状況は、年金積立金全体で、実績と財政再計算上の予定との実質的な利回りによって評価すべきであることを当分科会においても一貫して御確認頂いている。今回、あえて、旧年金福祉事業団の累積利差損を含んだ年金積立金全体の連結決算を作ってみた。本来、年金資金運用基金の市場運用部分の運用結果のディスクローズを7月末に、年金積立金全体のディスクローズを9月末頃に行うことを予定していたが、このような経済状況の中で、年金資金運用基金の市場運用部分のみの運用結果を出すことは、いたずらに年金財政への不安をかきたてることになりかねない。このようなことを考慮して、大まかな数値ではあるが、平成12年度までの年金積立金全体で見た場合の収益状況について、合わせてお示ししたところである。平成12年度までにおいては、年金積立金全体の収益状況は、年金財政が見通している財政バランスを上回っている。
  本年秋以降、年金積立金の運用の在り方について、根本から議論を行って頂くことをお願いしているが、その際にも、現在までのところは年金財政のバランスが確保できていることを大まかに示しておいた方が、落ち着いた議論ができるのではないかと考えて御説明することとしたもの。なお、秋以降の議論においては、株式を組み込んだ分散投資を行うべきかどうかという年金資金運用の根本的な在り方から徹底的に議論して頂きたい。
 ○ 市場運用部分で損失が出ているのは、財政融資資金への借入金利の支払が市場金利と比較して割高になっていることが1つの要因であるが、「この部分と預託部分を合計したもの」と、「純粋な旧年金福祉事業団の市場運用の損益」とを区分する方法で計算するのはどうか。
 ● この資料においては、旧年金福祉事業団が純粋な市場運用の損益と旧資金運用部への借入金利の支払を合わせてディスクローズしてきた経緯も考えて、分かりやすさを重視して借入金利の支払を含む市場運用部分と預託部分という分類としている。
 ○ 資料1−2において、平成12年度までの数値を見ると、市場運用部分がマイナスとなっているが、これは、民間でも同じように厳しい結果となっている。この結果自体はやむを得ない面もあるが、運用受託機関はマーケットが悪かったのだから仕方がないといった平気な態度である。しかし、そうであるとしてもやはり、マイナスの運用結果であるのだから、もっと重く受け止めるべき。従って、年金資金運用基金は、運用受託機関を厳しく評価し、解約、新規採用などを行っていくべき。
 ● 個々の運用機関の運用プロセスについては、年金資金運用基金において、厳しくチェックしていく必要がある。また、厚生労働省においても、寄託の状況など全体のオペレーションを省みる必要がある。
 ちなみに、年金資金運用基金においては、運用機関について、運用プロセスを中心に点検を行い、実績を含めた総合的な評価が3年及び5年の単位で見て悪ければ、解約を含めた厳しい措置をとっていくこととしている。
 ○ 今は、年金制度全体の持続可能性に国民が漠然とした不安を持っているため、市場運用部分のパフォーマンスについても絶対値を見てセンシティブになっている。このような環境にあることを念頭に置いて、ディスクローズを行う必要がある。
 従って、運用結果は何と比較すべきなのかをしっかり説明しないと、運用が下手だ等の短絡的な反応に結びつきかねないので、そういうことのないように説明することが肝要である。他の市場のファンドと比較するなどの方法が考えられるが、少なくとも受託者責任を果たす意味で、運用先の選定等をきちんと行っているかなども説明していくことが必要。
 また、預託部分の利子収入は今後減少していくという、市場運用には見られないイレギュラーな動きをしていく。従って、そうした影響を持つ預託利子収入と市場運用を合わせた、積立金全体の運用状況だけに着目するとした場合には、市場運用部分の評価があいまいとなり、運用が悪化の傾向を強めていくような誤解を招きかねない。従って、市場運用部分と預託部分を異なる動きのものとして区別し、評価することが必要である。
 ○ 年金積立金全体の収益状況を見た資料については、数字の意味、説明の仕方、また、数字をどう評価するかという点をしっかり考え、誤解をもたれないように慎重に説明してもらいたい。
 ● 御指摘のとおり、誤解を招かないよう説明していく。
 市場運用部分の運用結果の公表は、年金制度の信頼性に関わる大きな問題。現在までのところは、年金財政で見通している財政バランスが確保できているが、今後、年金積立金全額を市場で自主運用することになる。この場合における年金積立金の運用の在り方について、秋以降、オープンな形で、ポートフォリオの在り方そのものを含め、議論して頂くことを再度お願いしたい。
 ○ 数値が下2桁でよいかどうかは検討が必要。
 ○ 数値を、このような様式で出すことは概ね了承。その際、説明文がはじめに来るべきであり、要点とその詳しい説明を記載する必要がある。この表は、その後に記載すべきである。このような体裁を基本として、報告書は工夫を凝らして作成して頂きたい。表現の仕方については、十分に検討頂きたい。
 ● 御意見を踏まえて、改めてよく整理する。

2.年金資金運用基金の平成13年度資金運用業務概況書について

 ○ 業務概況書はいつ報告する予定か。
 ● 次回分科会において報告したい。
 ○ 従来の四半期別の運用報告について、国内債券の代替資産として運用されていた外国債券を国内債券として評価していたが、運用評価、分析においては国内債券と外国債券に区別して、ベンチマークと比較すべきではないか。
 また、外国債券においてヘッジ付きのものは、ヘッジなしのものと区別して評価、分析すべきではないか。
 △ 検討したい。
 ○ 時間もないので、次回までに年金資金運用基金から各委員に個別に意見を聴いて頂きたい。

以上


 〈照会先〉年金局運用指導課
  企画係長 下向(しもむかい)
  TEL 5253−1111(内線3350)
   夜間 3595−2868


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