02/06/17 第12回社会保障審議会介護給付費分科会議事録         社会保障審議会 第12回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成14年6月17日(月) 16時から18時    厚生労働省 省議室 2 出席委員    西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、    田中(雅)、中村、橋本、樋口、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員    新井、三宅、高梨の各参考人    岡、澄田、矢野の各委員は欠席 3 議題    報酬骨格にかかわる総括議論 ○ 資料1に沿って、介護報酬体系の見直し案について、福本企画官より説明。 (山本委員)  新たな制度は平成17年の改正のときに設けるべきであり、今回の報酬改定では新た な制度を設けるべきではない。  訪問介護については、現在3類型設定されているが、本当は一本化して時間単位の区 分のみとした方がマネジメントさえうまくできれば効率的であるが、いろいろな事情で 2類型にすることは現在ではやむを得ない。ただし、今後とも一本化を引き続き検討し てほしい。  見守り的介護については、私のところの広域連合でも家事援助に入るという意見が多 いので、身体介護ではなく、生活支援に入れてほしい。  介護タクシーについては、本来は制度外にすべきであるが、現実に適用されており、 非難を受けないよう報酬額を考えた上で、認めても仕方ないかと思う。  居宅療養管理指導については、完全に医療であって、介護ではない。介護保険制度の 中で医療と介護を同居させるのではなく、きちんと分けるべき。医師・歯科医師の場合 の算定回数の月2回への拡充については、このような意見も参考にして結論を出してほ しい。  グループホームにおける訪問看護の利用については、次回の改定までの宿題としてお くのが適当。  居宅介護支援については、一本化により時間を節約し、能率や実効性を高めるととも に、若干報酬を引き上げることが望ましい。  施設については、人員配置で報酬を決めるのではなく、一定の基準に対して報酬を決 めることが大事。職員が多くても加算の必要はなく、少なくてもちゃんとサービスを提 供できていればよい。  介護療養型医療施設について、介護職員3:1の人員配置は、医療保険では既に廃止 されているわけだから、絶対に廃止すべき。制度改正事項かもしれないが、療養病床は 医療保険で見るべきであり、医療と介護の混在はやめるべき。療養病床に入院している 患者について、主治医の勝手な判断で医療か介護かを決めるのは適当ではなく、一旦退 院してから介護療養型に入院するべきである。  重度療養管理については、長期入院患者であって、なお医療管理が必要かどうかの医 師の十分な協議が必要であり、簡単に決められるのはよくないので、納得のいくような 仕組みとすべきである。 (下村委員)  介護保険は走りながら考えるということで、制度に問題があれば随時見直すとしてい たのに、当分科会では制度に関する議論をしないのは極めて不満。介護報酬の議論の中 にも制度の問題に及ぶような議論が含まれていると思う。  在宅重視と効率化・適正化を全体の改定の考え方として、必要最小限の改定とすべ き。現状では、高齢者数の伸び以上に介護費用が伸びており、報酬単価を上げるべきも のも若干あろうが、下げられるものはできるだけ下げるべき。特に介護保険導入の前後 で収益率が高くなっているサービスについては、その内容の分析は必要だが、適正な水 準に引き下げるべき。  報酬は配置人員によらざるを得ない面もあるが、サービス内容によって評価するのが 基本であり、介護療養型の介護職員3:1の人員配置の経過措置については、制度の簡 素化にも資するので、予定どおり廃止すべき。  各委員が並行的に意見を述べる現在の議論のやり方では、対立点や問題点がはっきり しないのではないかと心配している。 (笹森委員)  介護療養施設サービスの退院時等指導加算の見直しと重度療養管理については高く評 価したい。在宅への退院が難しい痴呆の高齢者等の重症患者が、診療報酬における長期 入院の特定療養費化の影響で行き場がなくならないように、医療保険の療養病床でも介 護保険の療養病床でも受け皿を整備してほしい。 (木村委員)  退所時等相談援助加算の見直しにより、施設から在宅への自立支援のプランが継続的 に行われるようになり、また、通所リハの一本化と個別リハビリ加算により、更に継続 的なリハビリが可能となって、自立した生活を在宅で送れるようになる。それに加え て、居宅介護支援費を一本化した上で、現行の840単位より引き上げて独立性を保てるよ うにしてほしい。 (橋本委員)  今回の見直しの考え方は、医療と介護の整合性や介護保険サービス相互の整合性をと ることと、今改定しなければうまく運用できない点を改定すること。  訪問介護については、「身体介護」の名称は痴呆の見守り介護が抜けてしまっている ので、「介護」と名称を変えてほしい。2類型は賛成であるが、痴呆の見守り介護は身 体介護の方に入れるべき。  3級ヘルパーについては、介護報酬の対象からはできるだけ早く削除すべきであり、 少なくとも全ての類型について10%減算すべき。  将来的には、通所介護と通所リハの一本化も考えられ、その際には一般型・痴呆型・ リハ型に整理してはどうか。  収益率の高いサービスは報酬を適正化すべきというのは分かるが、特養の収益率が上 がったのは人件費を圧縮した分である。人件費の圧縮によって質が低下しているのは事 実であり、それを是認する形での報酬の適正化は問題があるのではないか。剰余金は、 縛らない介護やユニットケアに必要な人件費の財源とすべき。  特養の介護職に任用基準がないのはおかしいので、将来的には検討が必要。  新型特養について居住費をもらうのは当然であるが、既存の古いタイプの特養の改修 による個室化はいつ推進するのか。いたずらに財源を増やすことは希望していないが、 改修への配慮も必要であり、介護力強化病棟の療養病床への転換には補助金が出ていた のか。 (貝谷介護保険課長)  転換による療養病床の整備については、一定の国庫補助があったと思う。 (村上委員)  制度面で見直すべき点はただちに見直すという、厚生労働省がこれまで約束してきた ことはどうなったのか。各委員からも制度の見直しを求める声が多かったし、私も何回 も主張してきた。まずこの点をはっきりさせてほしい。低所得者対策や都道府県と市町 村の関係などが議論されておらず、これまでの約束と違う。見直すべき制度は見直しを 議論することが必要。報酬の見直しだけに審議を限定しようとしている分科会の運営は 不満。制度論の議論はいつからどこでやるのか回答をいただきたい。  訪問介護の3級ヘルパーについては、保険の対象から外す時期を明示すべきであり、 これをはっきりさせないで将来的に報酬を払っていくことには反対。  できる限り医療と介護を分けていくべきであり、いつの間にか介護でやる部分が増え ていくような居宅療養管理指導の改正はおかしい。  介護保険ができても社会的入院がなくならないように、重度療養管理によりお金をつ けても問題は解決しないので、保険局と老健局が連携して受け皿を整備した上で、医療 保険で見るか介護保険で見るか議論すべき。  居宅介護支援については、独立してやっていける水準に引き上げるべきであるが、一 本化には疑問がある。支給限度額が高くなれば、サービスの組み合わせも多様になるた めに、手間暇はかかるはずである。一本化によってケアマネジメントの内容等の質の問 題が解決するとは思えない。  訪問介護事業所のサービス提供責任者の人件費は介護報酬の中に組み込まれていると いうことであるが、全然稼がない人ということで介護の現場の中で浮いてしまっている との声が聞こえてくる。計画をつくるというのは大切なことであり、このような現状を ふまえ、どのように対処するのか。 (西尾分科会長)  施行5年後の制度そのものの見直しについては、どういう場でいつから議論を始める のか、厚生労働省の方でできるだけ早く決めてほしい。介護報酬に密接に絡む制度の見 直し論については、秋以降に適宜取り上げてご議論いただきたいと思う。 (橋本委員)  居宅介護支援の報酬については、一本化することで全ての問題が解決するということ はないが、現行の矛盾はかなり解消し、介護支援専門員は仕事をしやすくなる。 (堀江委員)  居宅介護支援について、第3回分科会の資料では、労働投入時間と要介護度は統計学 的に関連があるというデータが示されており、これは一本化とは逆の実態である。事業 所の経営が赤字ということが論拠であるなら、それは制度論として基本的な理念が違う のではないか。制度発足から2年が経って、今後は、高齢になって要介護という段階に 入る方や医療保険の対象から介護保険の対象に移る方に対して、ケアマネジャーが中心 的に関わることになると考えられるから、そのような今後のケアマネジャーの役割を踏 まえると、一本化した報酬を月単位で支払うことが理念的に適当かどうか、疑念をもっ ている。介護事業経営実態調査の結果や制度の見直しを待つべきではないか。 (田中(雅)委員)  制度の根幹を担うケアマネジャーは、月平均200時間以上の勤務で燃え尽き症候群に なっており、現場から撤退してしまうことがないように、やりがいとゆとりをもって利 用者本位の立場で仕事を続けられるような報酬の設定をお願いしたい。 (京極委員)  介護保険は、単なる財政支援システムではなく、保健・医療・福祉の連携システムで あり、完全に医療と峻別すると介護は介護でなくなる。  退所・退院時の相談援助に係る加算については、退所や退院を促すインセンティブと なり、在宅シフトにつながるので評価したい。  居宅介護支援については、要介護度が重くても実際は余り大したことをやっていない 人もいるので、一本化でよい。ただし、サービスを4種類以上組み合わせるのは大変で あるので、様々なサービスの組み合わせなどの客観的な基準を設けて、1割ぐらい加算 をつけてもいいのではないか。  訪問介護について、「身体介護」という名称は「専門介護」などに変えた方がいいの ではないかと思うが、見守りを中心とした生活支援の評価を上げて、予想以上に収益が 上がっている身体介護を少し見直すのは妥当。  今回の見直し案全体としては、3年目の見直しの中でやるべきことはかなり網羅され ていると思う。 (中村委員)  特養は、措置制度の残滓を引きずった形で人件費を引き締めてしまったために、収益 率が高くなっていることを反省している。今後は、今求められている質の高い介護、個 室・ユニットケアサービスづくりを即対応していく。また、介護報酬の中で人員配置基 準も3:1から限りなく2:1に近づけていきたい。  グループホームについては、新しく参酌標準3.5%が設定され、施設サービスの範疇に 入るように思うが、素晴らしい質を有する9人単位のグループホームは重装備ゆえに、 将来的に財政問題が出てくる。効率性の観点からも支えられるかどうか、制度見直しの 中で議論していただきたい。 (樋口委員)  今回の見直し案については、絶対反対の項目はなく、かなり妥当な面があると思う。 分かりやすく、シンプルに、できるだけ簡素化することが大切であり、少しは使いやす くなったという人が増えるような改定をしてほしい。  介護保険ができて高齢者にとってますますお金がかかるようになったという意見があ り、また、「高齢社会白書」でも一人暮らし高齢者の増加とその8割を占める女性の収 入の貧しさが指摘されていたが、個人的にも現行の低所得者対策は若干きめが粗いと 思っており、低所得者への配慮をもう少し何か考える必要があるのではないか。  施設の介護職員は任用資格がなく、非常勤化が進んでいるが、「家の嫁」から「社会 の嫁」へ介護労働が移るだけではよくないので、ある程度食べていけるような収入で専 門性をもって働けるようにしていただきたい。  要介護難民の受け皿づくりが必要であり、また、介護サービスの利用を拒否する親を 抱える家族などがケアマネジャーに相談に乗ってもらえずに相談難民となる事例もある ので、保険者である割に少し引きすぎているように思われる自治体が最初の受け皿とし ての相談窓口であってほしいと思う。 (井形委員)  介護保険においては、医療と福祉が自立支援という同じ目的を持っている。平均して 3つ、5つの病気を持ち健康に不安を抱えている高齢者が、いつでも医療の恩恵に浴せ るという安心感をもつことが必要であるから、医療行為を全く福祉から外してしまうべ きではない。ただし、療養病床や老健施設にどういう人が入るべきかの基準は整理すべ きであり、社会的入院の解消は今後とも大きな目的とするべき。  居宅介護支援については、制度導入時にケアマネジャーの数を確保するために範囲を 拡げたためにレベルの格差があるので、一括して待遇を改善するのではなく、認定ケア マネジャーやケアマネジメント・リーダーなど、レベルを上げようと努力した人に有利 な待遇が待っている仕組みをつくるべき。 (村上委員)  井形委員は旧部会の責任者であり、かつては走りながら見直すということで合意した わけであるから、これでいいと言うのではなく、見直すべき制度は見直すべきと言って いただきたい。  医療が介護に入ってはいけないとは言っていないが、医療と介護をどこで区切るのか 明確にすべき。ずるずると医療が増えていって、重度療養管理によって社会的入院が解 消するのか、また、長期入院の特定療養費化によってどれくらいの人が路頭に迷って、 その受け皿はあるのか、説明がない。 (井形委員)  現行の制度が満点と思っているわけではなく、在宅介護の推進については合意が得ら れているはずなので、その方向で今後制度を見直していきたい。あくまでも今回の報酬 の見直し案について、こういう方向で努力すればいいのではないかと申し上げたという ことである。 (田中(滋)委員)  今回の改定では、財政バランスは当然の必要条件であるが、サービスのボリュームと 効率化へのインセンティブに加えて、質の向上の方向性を少しでも示すべき。  スウェーデンではヘルパー不足が問題となっていて合法的な移民が介護施設等で働い ているが、日本でもサービスが不足しないように、特養や訪問介護のヘルパーの給与や 専門性の評価が大切。訪問介護の2類型化は結構であるが、身体介護の単位を下げる と、今までよりも質を下げてもいいというシグナルになりかねないので、身体介護の単 位を維持して、現行の家事援助を複合型に近づけて財政的なバランスをとることが必 要。  グループホームについては、住み慣れた家では介護は不可能で、施設では高すぎると いう方のための居宅と施設の間の第3のカテゴリーとして上手く使っていくべき。下手 につくると費用が上がるが、グループホームの集合体をつくって管理部門や調理部門等 を共通化するといったことも北欧では行われている。質の観点からは、夜勤体制や、訪 問看護によって社会的なチェックの目を入れることが必要。  居宅介護支援については、一本化はやむを得ないが、メニューの数や、ケアカンファ レンス未実施減算という逆インセンティブでもいいが、ケアマネジャーの質を高めるた めの何らかの仕掛けを入れるべき。 (山口委員)  今後の介護保険は介護の質を充実するという観点が必要であり、今回の報酬体系の見 直し案では、通所リハの個別リハ加算や退所前連携加算は非常に評価したい。  居宅介護支援については、要介護度が重くなれば必ずしも質の高いケアプランが立て られているわけではないので、今回は一本化ということであるが、ケアカンファレンス や複数サービスの組み合わせによる質の評価は要介護度にかかわらず必要。今回の見直 し案には質という文言は一つもないので、検討してほしい。  利用者の立場だけでなくサービス事業者の立場としても、重度療養患者の行き場がな いのは問題であり、医療と介護は完全に線引きはできないので、医療の裏付けのある介 護は強いと考えている。老健施設内の医療についても、他科受診の問題を始め、現場は いろいろな問題を抱えており、介護療養施設サービスの重度療養管理が医療の問題を全 て代替するかどうかは別として、報酬見直しの中で医療を検討するという考え方には賛 成である。  居宅介護支援の質の問題など、これまでの分科会で出た意見の中で今回の見直し案に 入っていないものもあるので、今まで出された意見を次回までに整理していただきた い。  居住福祉型の介護施設については、特養だけでなく老健施設でも既に検討していると ころであるが、今後の制度の見直しに向けては、家庭に復帰するための老健のユニット ケアはどうあるべきか、全老健としても検討していきたい。 (西尾分科会長)  次回までに文書で提出していただける意見については、そのままお配りするか、何ら かの整理をするかはお任せいただきたいが、いずれにしても全部の意見を当分科会に提 出したいと思う。 (青柳委員)  施設の介護報酬について現行の体系では、診療報酬と同様、構造や人員配置基準に 偏った形で設定されているが、今後、各施設の入院・入所者の要介護度のバランスがと れてケースミックスの形になれば、一人一人の要介護者に対する給付、つまりハコでは なくパジャマに報酬をつける形を考えていかなければならない。ただし、現状では各施 設へ偏った利用者が入院しているので、時期尚早である。  今年度の診療報酬改定や今回の介護報酬の見直しについて、厚生労働省の中で保険局 と老健局が十分な意見交換やすり合わせをしたという情報は聞いていない。  施設整備補助については、予算額、執行額、対象は療養病床のみか、病床数の削減の 条件はあるか、民間病院か国公立病院か、等について資料を提出していただきたい。  施設へのシフトが進んでいるのは、在宅で介護する家族の負担や1割の自己負担が高 いからであり、在宅への流れをつくるには、限度額一杯まで利用していない利用者の問 題への配慮が必要。医療保険でも定率1割負担となると、在宅で療養を続ける方は、お 金持ちか入院費用を負担できない者の2極化する恐れがあるので、利用者負担に係る医 療保険と介護保険の整合性を考えていただきたい。 (木下委員)  介護療養型の介護職員3:1の人員配置の廃止については、そもそも平成15年3月 31日までの経過措置となった経緯がはっきり示されておらず、保険料への影響だけが 理由だとすれば納得できない。  平成13年度介護サービス施設事業所調査結果によると、3施設とも要介護度は上 がっているが、介護療養型の要介護5の割合は平成12年37.9%から13年は43.9%と 増えており、介護老人福祉施設の27.6%、介護老人保健施設の15.9%と比べ明らかに高 い。一部で3施設で同じような人を見ているという意見が根強くあるが、これは明らか な間違いである。  介護療養型では、誤嚥、免疫力の低下などによる肺炎や感染症、心疾患、肝疾患、悪 性腫瘍等の危険性や、合併症のある痴呆疾患など、医療や看護の必要度が高い重度の患 者を多くみている。このような人に対して安全・安心の医療やケアを提供できる場所は 看護職員6:1、介護職員3:1の配置の介護療養型であると確信している。それ以下 の基準では、赤字経営、労働基準法の抵触、夜勤体制などの問題があって、今見ている 患者さんを全て見続けていくことは困難である。  介護職員3:1の人員配置廃止による混乱は、療養病床を医療保険と介護保険に分け たことによる問題と同様、介護療養型医療施設だけのせいにはしないでもらいたい。こ のことによる混乱の責任は3:1介護の削除を決めた人がとるべきである。医療と介護 を完全に切り離すことは不可能であり、重介護で医療度の高い者を見るために、介護職 員3:1の人員配置の存続を改めて訴えたい。 (堤老健局長)  旧部会において3施設の一元化あるいは介護報酬や人員配置のできる限りの共通化を 議論した際に、看護職員、介護職員を含めて3:1という特養の配置が共通部分という ことになったが、療養病床の2:1の配置は突出していた。療養病床を老健と比較する と、より医療密度が高いから看護職員が多いのは分かるが、介護職員は老健と同じ4: 1でいいということで、介護職員3:1の配置は平成15年3月31日までで廃止する ことで了承された経緯がある。 (山崎委員)  今回の見直し案では、在宅へのインセンティブの姿が見えないので、必ずしも満足の いかない印象がある。  1号被保険者が増加の一途の中で、保険者からは保険料を上げられないという話であ るが、自然増部分は公費で持つのかどうか確認させていただきたい。  居宅介護支援については、独立・専従で、仕事に魅力を感じながらやっていける仕組 みをつくるために、報酬の水準のアップを是非お願いしたい。また、質の担保について も、運用面できっちり書き込んでほしい。  制度見直しの際には、移送をどう位置づけるか議論すべきであり、今回の介護タク シーに係る見直し案はあくまでも暫定措置とすべき。  訪問看護については、今回は骨格にからむところはないということであるが、在宅で の医療ニーズをどのように担うのか、訪問看護の事業者数、利用者数ともに伸び悩んで いるなどの点を踏まえて、秋には運用面でのしかるべき議論をお願いしたい。 (高梨参考人)  概況調査結果では施設についてスケールメリットが出ていなかったため規模別報酬の 考え方が見直し案に入っていないようだが、基本的には規模のメリットはあるはずなの で、今後も引き続き検討してほしい。  介護療養型の介護職員3:1の人員配置の経過措置通りの廃止は当然であるが、見直 し案の重度療養管理はどのような場合に、どのような対象者に対して算定するのか、ま た、どういう目的で新設するのか、これまで議論がなく説明もないのでは賛成できな い。介護職員3:1の廃止の代替措置ではいけないし、人員配置基準との関係も不明で ある。  また、今後、介護事業経営実態調査の結果などに基づいて、単価の全体的な水準を議 論するに当たっては、保険料や保険財政への影響を当然考慮しなければならない。 (外口老人保健課長)  重度療養管理の提案理由については、医療密度が高い患者は医療保険、医療管理下で の介護の必要度が高い患者は介護保険という考え方の下、療養病床の機能分化が進む中 で、医療密度や介護の必要度が変動しやすい高齢者の対応に現場が困らないように、両 制度の相互乗り入れ的な部分がある程度必要である。厳密に区分しすぎると、医療も介 護もかなりの密度で必要な患者の中には、制度の狭間で受け入れ先がなくなることも否 定できない。医療保険の診療報酬では、日常生活障害加算や痴呆加算が設けられ、長期 入院の特定療養費化の適用除外となる患者の範囲も検討されているので、介護保険でも 重度療養管理の考え方を提示して、両制度の工夫と連携により長期療養の必要な高齢者 の行き場がなくならないようにしたいと考えており、人員配置の議論とは全く別の提案 理由である。対象者については、今後検討が必要であるが、例えば要介護4以上で頻回 の喀痰吸引や持続点滴等を受けている患者などを想定している。 (下村委員)  最終的な単位数まで見ないで体系を決めるのは無理があるので、変更の可能性を含ん でおくべき。医療保険との調整もこれからという話であるから、今回の見直し案につい て結論を出せるか疑問が残る。 (橋本委員)  居宅介護支援については、第3回分科会の資料によると、要介護度の高い人ほどサー ビス種類が多いことははっきりしているが、要介護度の高い人ほどケアマネジメントに 関する業務量が多いかどうかについては、要介護5だけは多くなっているが、それ以外 は同じような数字であり、このようなデータを基に議論すべき。 (西尾分科会長)  本日は大変活発にご議論いただいたが、次回は報酬体系見直し案を最終的にセットし なければならないので、審議が円滑に進むよう各委員の特段のご協力をお願いしたい。 (外口老人保健課長)  第13回は、7月1日(月)の16時からで、議題は、報酬体系の見直し案について審議して いただくことを予定している。 (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)