02/06/07 社会保障審議会 第11回介護給付費分科会議事録        社会保障審議会 第11回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成14年6月7日(金) 10時から12時    東海大学校友会館 阿蘇の間(霞ヶ関ビル33階) 2 出席委員    西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(雅)、    中村、橋本、樋口、堀江、村上、山口、山崎、山本の各委員    新井、三宅、高梨の各参考人    岡、澄田、田中(滋)、矢野の各委員は欠席 3 議題    介護報酬について(通所介護、通所リハビリテーション、痴呆対応型共同生活介    護等) ○ 資料1に沿って、通所介護・通所リハビリテーション、短期入所生活介護・短期入 所療養介護、居宅療養管理指導、痴呆対応型共同生活介護の報酬体系の見直し案等につ いて、福本企画官より説明。  (山本委員)  今後の審議会の予定について、広域連合の議会は1月であり、それまでに15年度の 介護報酬ができれば明らかになっていた方がよい。できれば年内に終わらないか。  (小林総務課長)  審議会の大体の予定は、7月に骨格の取りまとめ、この4月に実施した経営実態調査 を基にして9月から12月にかけて集中的に報酬単価を議論し、年明け早々ぐらいに報 酬単価の諮問答申の手続という審議スケジュールになる。  (山本委員)  審議会は少しまとめると1か月くらいは短縮できるのではないか。  介護療養型医療施設の人員配置の看護6:1と介護3:1について、実績から見て、 当然に本年度いっぱいで予定通り廃止することが必要。また、介護4:1で介護保険の 方は実績から見て十分やれる。  デイケアのリハビリについて、あくまで全体の枠の中で考えるべきで、後に非常に費 用が高くなり、報酬が高くなるという結果になるので、十分に配慮されたい。  居宅療養管理指導の報酬について、薬剤師のような医療関係者が指導するので、全額 を医療保険で負担すべき。医療と介護というのは歴然と分かれており、役割分担してい るため、あくまでも医療保険として処理すべきである。  療養型病床群も同じで、医療保険の適用とするのがすっきりする。  グループホームの夜勤と宿直は同じようなものなのか、あくまで夜勤は夜勤、宿直は 宿直なのか、分からない。とにかく夜遅くに職員の人がいれば事足りるのか。最初から 夜勤、夜の勤務体制があって、24時間体制を前提に考えなければならないにも関わら ず、昼間だけを考えて夜は別に勤務していると言っている。しかし、その点は矛盾して おり、24時間体制で報酬を考えることが必要である。  (福本企画官)  夜勤と宿直は労働基準法の整理であり、宿直は、実態として夜にあまり重度な労働は しない、軽微な労働だけで仮眠もある程度できるという場合に宿直とし、労働基準監督 署から許可をもらう。夜間勤務をすることは原則は夜勤になる。  夜勤の場合、すべてを労働時間としてカウントするので、ローテーションを組んで週 40時間ならば40時間の中で夜勤の時間帯も含めて考えなければならなく、それだけ 余分に人を配置する必要があるが、宿直の場合、宿直の時間帯が労働時間の中に入らな い。  今の制度として宿直を原則とするのは、夜間の勤務として労働基準法の宿直に該当し うる程度の勤務を考えていたが、現実には、資料にあるようにこれだけのケアをしてい るために夜勤になり、労働基準法上も夜勤体制でローテーションを組んで人を余分に置 いている。現に入っている入所者にも差があるので、事業所にも宿直と夜勤の差がある 。  (山本委員)  宿直は、本来は仕事をしなくて、何か事故が起こったときにその要件が発生するわけ で、そういうグループホームではお年寄りの介助をする必要はなく、宿直をしてはなら ない。夜勤の人がいるときは宿直は要らない。これはダブって勤務しているのか。  (福本企画官)  夜勤の場合は夜勤ということで別に宿直はいない。夜勤の体制でやっているか、宿直 の体制でやっているかどちらかである。  (山本委員)  宿直に介護報酬を出すのは適当でない。事実上、24時間体制でなければならないの で、夜勤、宿直を抜きにして、24時間体制の介護報酬を決めるのが適切である。  看護協会から意見があるが、グループホームへの訪問看護について、保険者の立場か ら、今でも保険料で頭が痛く、また財政上の負担を多くすることになる。グループホー ムは出発したばかりで、実態を十分に調査した上で、やる必要があるならば次の18年 度に検討するということで、今回は宿題として残すべきである。まだ実績のないものに 対して予測の上でつくることは、保険者として、合理性が生じてからやってほしい。    (下村委員)  労働基準法は変わっていない。夜勤の実態が出てきたが、グループホームが当初考え ていた性格と違ってきた。性格を変えたいという話か。そもそも24時間サービスを前 提とせず、もう少し軽い人を中心に考えていたが、実態として、もう少し夜勤を必要と するものに変わってきたと言う。そうすると、施設体系の変更のような話に結び付くが どうか。今の説明は不十分で、実態が変わってきたというだけではすまない。  今回の改定で何をやるのか。介護保険は5年以内の見直しになっているから、常識的 には17年が見直しの年になる。施設体系などの見直しは、本来はそこでやる。今は保 険料の問題なども絡んでくるが、収入が大幅に増えることは当然に期待できない状況で あるから、本格的な改定を今回の改定の中に取り上げるのかどうか、基本点をはっきり すべき。保険料の問題がはっきりしないと、個別にいろいろな問題を取り上げても議論 しにくい。  市町村の集計が終われば保険料もある程度は見当がつくという説明もあったが、それ なら12月までに中身を決めることも不可能でない。政府予算が確定するまでできない というと12月に決めることはできないので1月以降になる。  体系の変更に及ぶことまでむやみに持ち込むのはできない。ユニットケア、療養型の 関係なども問題にしたが、全体としての位置付けははっきりしない。そういう基本的な 改定についての基本的な考え方を明らかにしないまま、個別施設について議論しにくい 。ひとつひとつは全く根拠がないものはないが、今の段階は必要最小限な手直し、出っ 張るところは抑え、足りないところは多少継ぎ足す、メンテナンスのような改定をやる のが本当である。  (福本企画官)  この審議会が議論している話は、基本的に報酬の話と認識している。介護報酬の改定 の話であり、あくまでも報酬に関わるというように認識している。逆に、制度そのもの に関わる話は、法律議論あるいは制度論を待って、報酬も考えていくのが基本的認識で ある。  グループホームに関して、すべてを夜勤にするのではなく、夜勤と宿直が現にあるこ とに着目し、ベースとしては人員基準上あるいは施設基準上の最低基準として宿直とな っており、ベースとしては宿直とした上で、現実に夜勤体制のところはそれなりの必要 のある人が入っており、そこに着目して、報酬上、加算体系を設けることが必要である 。  (下村委員)  相手がだれであろうと、夜勤をやれば夜勤の料金を払うということはどうか。そうい うサービスが必要な人が入って、それに対して必要なサービスが提供された場合に払う ならば、それは施設の性格を変えようとしている。そもそも24時間サービスの施設と して構成されていなかったが、実態の利用が変わってきたのか、はっきりさせるべき。 夜勤をやっていないところに払わないのは当たり前。夜勤をやれば払うなら、夜勤体制 は全部払われることになるので、グループホームを夜勤体制に全部切り替えることに等 しい。  (中村委員)  最近、医療機関や老健で、通所リハを廃止して通所介護の指定を受けている事例があ る。それをみると、通所介護と通所リハビリテーションを一本化していくべき。  8時間以上10時間までの延長のサービス提供は評価すべき。  今回の改正ポイントは低所得者対応にあるが、グループホームの場合は減免措置はな い。特養とデイ、ヘルパー、ショートが社福の減免対象だが、低所得者にとって費用負 担が多く、減免措置の対象に追加すべき。  利用者負担の問題について、ショートステイの場合に支給限度額があるため、上限を 超えた部分は全額自己負担である。こういう部分も施設入所者との不公平感があるので 考えるべき。  グループホームについて、多分、今回の介護報酬の改定によりグループホームへのシ フトが進むが、例の住所地特例は早急に考えないと市町村にアンバランスが生じる。  居宅療養管理指導について、かなり指定を受けているが、実質は機能していない事業 所がある。その場合、介護保険の指定は必要ないという申し出がないと取り消されない 。  一度、制度として洗ってほしい。  (橋本委員)  通所介護と通所リハビリテーションについて、制度的には一本化していくのが適当。 ただ、もう少しいろいろなことを調整していく方がいい。今日のデータは、通所介護の 方がどちらかと言うと集団活動をやっており、通所リハの方が個別的な活動を実施して いる比率が高い。しかし、通所リハが個別的ということは、スタッフは大勢いるわけで はないため、個別的な対応をしている間、ほかの人たちは何をしているのか。集団活動 も個別活動も必要だ。  通所サービスの提供時間別の割合は、通所介護の方が日常生活上の世話は本当は主体 的で、その比重が重いはずだが、通所リハの方が長時間サービスをやっている。通所リ ハと通所介護はそう差がない。幼保一元化の議論と同じではないか。複雑にする必要が ない。延長について、働きながら介護をするなら、長時間のサービスは必要。  将来的に通所介護について、少し多様なタイプを考えるのはどうか。介護保険になっ て通所介護の質の問題に関するデータがなかなか見られないが、そう変わっていない。 通所介護は女性が多く利用するが、男はあまり利用していない。男も社会的な孤立感を 解消するために通うところが必要であり、利用に限定が付き、突飛な発想かもしれない が、カルチャーセンターをデイサービスとして活用することはどうか。都市型だが、あ り得るか。設備と人員配置の基準を少し緩和しなければいけないが、将来的に検討した い。  通所介護について定員を超えてはならないという規定があるが、全国の老施協のデイ サービス分科会が調査をした今年の3月の報告書は、通所介護の定員に対する利用率は 平均して66%、痴呆の人の利用率が59%。1日も定員をオーバーしてはならないな ら、定員の設定を高くせざるを得ない。ショートステイが利用しやすくなったために通 所介護の利用が低下しており、これについて今やるべき。  痴呆対応型の共同生活介護について、当初の予想と違っていた。もともと中軽度の人 を対象にすることは長くなれば絶対無理だ。平均すると要介護度2を少し超えている程 度だが、痴呆のお世話は大変難しく、ショートステイが非常に苦情が多いのも痴呆の人 がよく利用するからで、痴呆のケアで見守りが大切なのは、単に身体機能が低下してい る人の見守りと違い、生活そのもの、できるだけ自立的な能力を維持していこうと見守 りながら安全や適切な日常生活をサポートすることが重要で、やってみて違っていたな ら変えざるを得ない。  (山口委員)  通所リハと通所介護の違いは有資格者であるリハスタッフがいるかである。集団的な 機能訓練は通所介護も通所リハビリもやっており、介護職員等でやれるという体制にな っており、その点は両者共通している。しかし、リハスタッフ、PT.OT等が必ずい て、リハビリテーションを提供するという点は通所リハビリの特徴であり、集団リハか ら個別リハへという今の医療の流れから、通所リハビリテーションにも個別リハを導入 するという発想は必要。けっして制度自体の改正にならない。  通所リハは3類型化されており、1つにすることはわかりやすくなる点に賛成。  その延長について、実際には2、3時間の利用はあまりない。6時間前後が多いとい う実態から、これを更に延長し、サービスが利用しやすい体制をつくることは必要。  ショートステイについて、規模別が一つの考え方としてあるが、現時点では、調査結 果を見ても整合性がない、不必要である。規模によらず同一の報酬単価を設定する案に 賛成。  グループホームについて、制度自体の改正につながらない。現行制度は夜間に勤務す るスタッフがいる。ただ、宿直体制なのか、それとも24時間体制なのかの違いがある 。夜間にスタッフがいるということは同じで、3年目に入り、夜勤体制が増えてきたの は、それだけ介護が充実してきている。この夜勤を、今後、政策誘導としても充実強化 していく必要がある。夜勤を報酬評価をすることは賛成。  (青柳委員)  今日、介護報酬に関係する重点項目として資料を提出した。過日、日本医師会として の提言を提出した後、看護協会、老人保健施設協会、介護療養型医療施設連絡協議会、 デイケア連絡協議会で項目をつめて作成した。  平成12年10月に事務局は施設の概況調査をしており、そのデータを基に3つの介 護保険施設の入所入院者1人に対して常勤換算で職員従事者数を計算すると、特養は入 所者1人に対して職員が2.5、老健は1人に対して2.1、療養病床は1人に対して 1.2である。職員が入院入所者にどう充実したケアを提供するか、ニーズに対応する 形でそれぞれの施設が施設なりに対応をとっている。これをどういう理由で必要ない、 そんなに要らないと議論するのか。もちろん財源面は十分に考慮しているが、現場でど のように従業員が仕事しているのか、日中、夜勤も含めて、現場を視察して把握された い。  グループホームについて、訪問看護婦の算定を可能にしてほしい。今日の資料の中で グループホームの要介護者、要介護度別の入所者の実態がある。当初の予想に不確定要 素があったが、要介護度4、5という人が実際に入所している。当初の考え方だけで、 宿直体制も含めて介護サービスのメニュー、人員配置がいいのかどうか。初回の介護報 酬を設定する過程でどういう議論が行われたのか。  通所リハビリテーションと通所介護について、基本部分、共通部分はある。制度的に いずれ考えるしても、介護報酬上は基本部分は統一していい。個別のリハビリテーショ ンはそれなりの評価をする体系に基本的に賛成。  医師による居宅療養管理指導に関して事務局提案はないが、主治医意見書を書きなが ら、実際に全く情報を得ない。いくつかの設定、あるいは算定しやすい内容に見直すべ きで、それは1か月に1回ではなくて、1か月に2回、そして初回と2回目は差を付け 、トータルとしては1か月という単価はキープするということで構わない。そういう算 定しやすい仕組みを事務局として知恵を絞るべき。  診療報酬に変更があったから、即に介護報酬にも反映させようとしても、可能な部分 と可能でない部分がある。事務局として都合のいい部分だけが調整という項目に入り、 都合の悪いのは医療保険と介護保険の違いを認めたままである。よって、介護報酬を設 定する場で、最終的に右から左へという形で移行するということはいかがか。特に、今 回、診療報酬改定の中でペナルティらしき、罰則らしき、あるいは減算という形の診療 報酬改定がいくつか行われておりますが、否定したい。  (山崎委員)  グループホームの夜勤を評価するのは、介護保険前に当直でなく夜勤でないかと発言 しており、実態を見て夜勤を評価するというのはよいが、問題がないわけではない。現 行は当直という人員基準なので、夜勤が現場の努力で進むと、日勤、21時から翌朝7 時までの間を除いた部分が、8人が入所していようと勤務者が1人になるような、質の 低下を伴うような勤務形態も予測される。夜勤の評価は人員基準に関係し、グループホ ームに関してのあり方、性格づけを含めて、今後も更に検討が必要。  在宅の痴呆の人が訪問看護が受け、グループホームに入ると受けられないのも、クオ リティを落とすので、現行の運用の中でも訪問看護が行ける仕組みは多分つけられるし 、保険料に響くほどの大きな額を使っていないので、今回検討すべき。  東京都のグループホームが16ユニット、171人を調査したら、痴呆老人の日常生活の 自立度4、かなり重度の痴呆だが、要介護度と必ずしもリンクしていない。重度の痴呆 4という人の要介護度が2から5までばらついて判定される。逆に、要介護度4、5と 判定された人の中でも、痴呆の自立度1から4まで、軽度から重度までばらついている 。しかも、2年たって、痴呆の人は2歳加齢し、いかにいいケアをしてもそれなりに進 行するので、当初入った人がADLが落ちたり、問題行動が起きたり、いろいろ状態が 落ちている。今の人員基準や外部サービスを使えない状態でQOLが確保できるのか。 こういう声も現場から出ているので、微調整の中でもできることをきっちり配分すべき 。  (下村委員)  3年後に介護報酬の改定は当然にやらなければならないが、今回の改定で、介護報酬 のどういう点を見直して、どういう問題点が出ているのか、がよく分からない。各施設 ごとに1つか2つぐらいずつ問題が出て議論しているが、そういう問題点はどうやって ピックアップしたのか。介護保険の本格的見直しは5年以内で、多分、それはまた別に やる。  夜勤について、労働基準法を引合いに出すからおかしい。予想と違ったなら、かなり 本質的な性格は変わるという側面がある。そういう見直しは今回やるものとは違う。  各施設ごとにいろいろな問題が出ているが、全体的に介護報酬を見直した上でどうし ても今の時点でやる必要があるものが、いかなる基準、考え方で出ているのか。夜勤に 明確に反対というわけではなく、その問題がどういう性質かをまずはっきりさせたい。  (京極委員)  痴呆性のグループホームについて、現実の動きは夜勤が実際に大きな問題になってい るし、もともと在宅か施設か白黒に分けられないグレーゾーンの領域だった。介護保険 の発足当初ははっきりしなかったので、もう少し夜間の体制についてやっているところ に評価してよい。また、グループホームから療養型病床群のようなかえってコストの高 いところに行くより、住み慣れたところで生活しているお年寄りにプラスであり基本的 に賛成。  (堀江委員)  論議の基本スタンスについて、サービスを提供する事業者等ができる範囲で効率的な サービス提供の努力をして、その上で最終的にどう報酬単価を見直すかという議論につ なげるべき。利用者の立場だけだと保険財政はどうなるのか。保険財政を最終的に見通 さない報酬単価の議論は空論である。  現場の状況を承知せずに机上論をするのは正確でなく、現場確認をしながら、理想的 な介護保険の運営のあり方を考えるべき。秋に詳細な実態調査も出るので、そういうデ ータを基に、あるいは、個別の議論で課題になった事項についても、事務局で具体的な ケーススタディができる材料を提供されたい。  通所介護、通所リハビリテーションは、実態上は共通のサービスが多いから、報酬単 価を1つにして、個別のリハビリに加算するという考え方自体は尊重するが、介護報酬 の現行の単価がそれぞれ異なる。措置時代を引き継いだということなので、当然に報酬 単価の根拠の見直しが必要になる。施設の運営状況、通所介護または通所リハビリテー ションは黒字の事業所が多い。既存施設を使って、例えば、入浴サービスやリハビリに しても提供できる施設が通所介護、通所リハビリテーションの事業所として指定される から当然である。よって、措置時代をそのまま移行するのでなく、根拠を見直すべき。 そうすれば、黒字発生のメカニズムも見直される。  時間延長について、6時間から8時間が実態上は確かに多いが、6時間から8時間の 通所介護、通所リハビリテーションは適切な時間設定なのか。どういう根拠で6時間か ら8時間が一番多かったのか。本当に必要な通所介護サービスやリハビリテーションは もっと短いはず。その余の時間はいろいろな性格づけができるが、今回の提案は逆に時 間を延長する。時間延長により利用者の利便性が向上するならば結構だが、それは制度 内なのか、それとも自己負担の問題なのか、区分けした議論が必要。  グループホームについて、入居金とか保証金とか、入居者に対して相当額を契約時に 徴収している。それを基にしてその後のサービスの報酬単価が決まっているのか、共同 生活介護の報酬の見直しももっと厳密に行われるべきで、トータルの事業者からの費用 徴収等も含めて、この点は規制がかなり緩い現状なので、その実態を前提に改定された い。例えば訪問看護が必要という意見について、看護婦配置済みの事業所もあり、また 、基本的な議論を整理した上で訪問看護の必要性などを個別に論ずべき。実態をもっと 明らかにして問題点を整理されたい。  (高梨参考人)  通所介護、通所リハについて、提供時間の事務局案に賛成。  短期入所、ショートステイについて、規模別で本体の方に合わせるのがよく、仮にそ ういう結論が出るとすれば、それに関連してこちらの方も改正するというのがいい。こ この議論よりは本体をどうするかということが中心である。  居宅療養管理指導について、14年度の診療報酬改定に伴うもので、診療報酬ならび の改定でよい。これに限らず、今回の介護報酬の改正に当たっては、経済の動向とか、 国民勤労者や企業の負担余力とか、あるいは診療報酬改定がどのように動いているのか 、当然に考慮しながら検討すべき。  グループホームについて、夜間勤務の加算はこの程度が妥当。  今回の論点整理の中で有料老人ホームなどの特定施設の問題についてほとんど出てい ないが、4月のヒアリングの際、特定施設の報酬のあり方について意見が出たが、施設 の一部には、在宅サービスを利用すると要介護度の高い方が支給限度額が高くなるとい うことで、特定施設を選択せず在宅サービスを選択するという動きがある。特定施設の 報酬よりも支給限度額の方がコストが高いという問題があるので、一定の関係を整理す る必要がある。  (喜多委員)  昼間の勤務体制まで、人員配置まで変えなければならないとなれば、制度上の改正で ある。介護報酬だけでけりをつけるところに無理があり、介護保険を成立させるために はある程度収入の方をきっちり把握をしておかなければ、どんどんサービスのためにお 金を払っていればいいというものではない。  特に低所得者対策も必要だという意見について、低所得者対策をすればそのお金は誰 がお払いになるのか、国民皆がまた割り戻して払うのか、それでは進歩はない。やはり 財政論、基本制度というものはつきまとってくる。要するに、どこかの新聞に最近載っ ていたが、コスト意識が議論の中にない。事務局もきっちりしたコスト意識を初めから 持つ。金額が出ていないから高いとか安いとか問題になる。ここの議論も認めたら何か 値上げにつながって短絡していることが問題である。  通所リハビリについて、幼保一元化も所管が違って理想どおり進んでいないが、せめ てこれは国民にわかりやすいように一元化するのがよい。  ただし、通所介護と通所リハの違いはリハビリの専門性がどれだけかということだか ら、メリハリをつけて評価することに賛成。  時間延長ついて、保育所の延長保育に類似した議論であるが、ただ延長するだけでい いか。まだ制度は始まって2年間だから、もう少し見守る必要があるか。介護の充実を 期することであれば必要だが、もし少し時間をかける必要があるか。ちなみに、市長会 に常任幹事会があるが、ここでも意見が2つに割れている。  短期入所について、規模別、階層別に設定という前提なら、基本的に事務局案でよい 。  居宅療養管理指導について、市長会として、平成14年度の診療報酬改定に準じた考 え方なので特に意見はない。  個人的には、夜間をきっちりして入所者の夜間の体制も万全にすべきだが、事務局の 話を聞くと反対せざるを得ないのかなとも思う。  (笹森委員)  痴呆性対応のグループホームの夜勤体制の加算について、例えばデータの夜間帯の職 員の介護行為の内訳を見ても、夜勤体制と宿直体制で多少数字は違うが、かなり多くの 介護行為が行われている。痴呆性老人は夜間は不安感が強くなるので、不穏状態に陥る ことが多くて夜間介護を受ける人が多いのは当然で、例えば要介護度が低いから介護が 楽である、手のかかりが少なくていいということは絶対ない。むしろ極端に言えば、要 介護4、5の人とどちらが手がかかるか、どちらとも言えない。  痴呆性老人の日常生活自立度が低いから手がかからないわけでもない。たくさんグル ープホームを見学しているが、残念ながら伺うのは全部昼で、夜のことはスタッフから 聞きくだけだ。痴呆性老人の在宅介護の経験者として、夜に何遍も起こされるいわゆる 細切れ睡眠をやって、心身ともに体力を消耗するのが一番つらかったという経験を持っ ており、当初から宿直体制自体が少し無理だったのか。  勤務体制の加算は大変に評価できますが、これは制度の問題で、例えば費用や人員配 置で即にというわけにはいかないが、やはり全部勤務体制ということが望ましい。勤務 体制加算なのか、あるいは、従来の宿直体制なのか、利用者からはよくわからない。可 能であれば全部夜勤体制が望ましい。  (樋口委員)  デイサービスの時間延長について、無限に延ばすとは言わないが、10時間の預かり ができるとフルタイムの労働者の勤務体制を両立するようになる。さまざまな調査で年 間約10万人から11万人の労働者が家族介護のために仕事を中断して辞める。厚生労 働省という厚生行政と労働行政と一緒になったところで、子育てについては仕事と子育 ての両立支援に少子化対策も含めて取り組んでいるが、デイサービスも在宅支援によっ ても広く言えば仕事と家庭の両立支援するものであり、10時間まで延長することは、 まず第1段階として妥当ということで賛成。  ショートステイの個室に入った場合に居住費の負担を求めることについて、この案で 納得できる。低所得者の負担軽減は、誰かの負担にかかるため一定の歯止めをつけるべ きだが、個室の負担料について、1日といえ貧しい人にとって負担は大きい。報酬上は 低所得者の負担軽減は行わないのでいいのかなという気がするが、月3万円から3万6 ,000円とあるが、たまたま、グループホームの家賃、居住費負担とほぼ金額は同じ になって、居住費については前回に4、5万円になると言われているが、個室の居住費 について事務局はどのように概算しているのか。  介護報酬を見直すに当たり、制度的にわかりにくかったり、多岐にわたっている。で きるだけ単純化していく。利用者にとってわかりやすい制度にする。この制度は見切り 発車の面があり、グループホームの夜勤か宿直かという問題は、決定的に宿直だという ほどでもなくて、夜勤の方が本当は必要だけれどもというニュアンスだったと記憶して いる。制度の根幹を変えるというほどではないのではないか。  ただ、グループホームはかなり規制が緩いから入居金が現実に要る。重要事項説明書 の義務規定がグループホームにあるのなら、入居金はじめ本当に1人いくらかかるのか 厚生労働省なり団体なりでまとめて情報提供してほしい。グループホームばかりでなく 入居施設の情報開示内容には問題がある。「高齢社会をよくする女性の会」のグループ 会員の「特養ホームをよくする会」の在宅介護支援サービスの情報提供に関する調査分 析報告書によれば、ケーススタディはわずか8施設だが、重要事項説明書が不備で、併 設施設などでショートステイをわずか4人引き受けるのに、本体の特養の人数が書いて あったりと、標準化されていない。こういう基準づくりはそれほどお金がかからず、利 用者にとって大変に重要なので、一時金がいくらで、その後のお金のかかり方がどうと か、標準化したものを示すべき。 (西尾分科会長)  ショートステイの居住費の試算は当初に事務局が説明している。  (田中(雅)委員)  通所系の延長時間について、利用者の要望、それから、家族の負担あるいは利用者自 身の自立を図るならば、通所サービスは重要な役割を果たしており、大いに評価できる 。  グループホームについて、加算の評価を大変に評価したいが、さまざまな事業者が参 入する分野だ。ある事業者、全く福祉や医療と関係ない人が参入するとのことで相談さ れたが、ツーユニットを建設すれば経営として成り立つ、スリーユニットから容易に経 営できると言われたが、介護従事者とか人の問題は、普通の民間の、例えば、スーパー マーケットなどで働くよりも若干高めにすれば誰でも人がくると言われた。  指定基準は介護等に関する知識や経験を有する者を原則として介護従事者として配置 するとしかない。特にグループホームなどはどうしても密室化、小グループでやるとい うことは密室化の可能性が高い分野である。どのようにグループホームが多く建てられ 、そして、サービスがどのようにして担保されるかという議論しないと、介護保険制度 は利用者自身の保険を払うという理由づけにならない。  グループホームにおける介護従事者の質の問題、特に資格という問題について議論し 、その資格職の配置に関して一定の加算するということも見直しの中に入れるべき。在 宅サービスか、施設サービスか、という議論もあるが、少なくとも前回の各団体の方の ヒアリングにおいて、例えば重度化している要介護5の人が現に利用しているという実 態を見れば、痴呆の方はある程度の期間において重度化するのは十分にあり得る。ター ミナルステージの人も現に利用している。グループホームはどのような方向に向かうの かもこれからの議論になるが、その前に、夜勤体制における人員不足あるいは人員配置 、それから、今の運営基準における介護従事者の質の問題をクリアしなければ、単なる 加算や報酬を設定するという議論にはならない。  (木下委員)  通所リハについて、個別の専門職のリハを評価するというのはいい制度である。  グループホームの夜勤について、夜勤だけを何とかすればすむという単純な問題では ないので、もう少し広く考えていく必要がある。  また、平成13年10月の介護事業経営概況調査の資料で、グループホームの平均要 介護度が夜勤2.28、宿直2.20とでており、0.08の差であるのに要介護度に 差があるという説明がされている。一方で、先ほど5月10日に発表された平成13年 介護サービス施設事業所調査結果速報によると、介護老人福祉施設、介護老人保健施設 、介護療養型医療施設の要介護度5の比率は明らかな差が出て16%以上の差があるの に、3施設に同じような人が入っているという解釈は矛盾がある。先ほど4:1で介護 ができているという話もあったが、4:1でやる施設は30%で、3:1は60%ある 。少ない方の数で全体ができるというような話は矛盾する。  利用者は医療と介護を完全に切り離すことはできない。片方のサービスの人もいます が、両方のサービスを必要とする人に安全で安心してサービスができる制度は維持しな いといけない。  (新井参考人)  居宅療養管理指導について、請求頻度等から見て、歯科医あるいは歯科衛生士等の関 わりは極めて現状少ない状況だが、日本歯科医師会としては、口腔ケア等、自立支援に 向けて介護の現場で大いに貢献できると信じている。先ほど居宅療養管理指導の回数評 価方法等の見直しについての発言があったが、現場の歯科医からは、複数回の出動はな かなか困難で、現状のままで十分な評価をしてほしいという意見がある。  その反面、利用する側にとって、一部負担金等の問題もあり、なかなかニーズがディ マンドにつながってこないという悩みがある。利用者にとって使いやすい仕組み、すな わち、現場の声を十分にくみとって今後の見直しに向けて対応されたい。  (見坊委員)  制度の基本的なあり方まで踏み込むのは5年に1回だが、運用上の改善は必要だ。運 用上の改善をしないでただ介護報酬を議論しては問題が解決しない。  通所介護と通所リハビリテーションについて、介護保険前から、地域により、医療機 関のデイケアと福祉系のデイサービスが競合し、場合によってはお客さんを奪い合うよ うなところが特に西に多い。その流れが現在でも続いている。したがって、若干の調整 が必要ではないか。特に共通部分が多いにも関わらず、どこがどう違うのかよくわから ないまま、車の迎え方がいいとか、おやつがよかったとか、そんなことで右往左往して いるところが現在でもある。行政機関にお願いするよりは、それぞれの地域の専門機関 あるいは専門家間で、住民とよく話し合うことをお願いしたい。全国組織として立派な 組織があるが、単に全国段階の中央レベルで議論するのではなく、介護保険は市町村ご との運用によって住民にわかりやすい形で行われており、その場で、それぞれの専門家 は十分に理解を深めるような話し合いをされたい。  通所介護、通所リハ、いろいろ経過があるが、この共通部分を共通の報酬という方向 は賛成で、将来は当然に一本化の方向が必要。延長サービスの加算はお願いしたい。  居宅療養管理指導は重要であるが、一般の利用者サイドも分からない。特に薬剤師、 歯科衛生士、管理栄養士の場合、高齢者にとって重要な問題であり、関心を高めている 。私の組織でも学習が盛んになっているが、特に歯、栄養、薬の問題が、在宅になった 場合に機会を失して、いい指導が行われない。したがって、日常生活がまた元に戻るの で、もう少し居宅療養管理指導のPRと活用する方向において努力されたい。  グループホームについて、現在、介護保険は在宅志向ということだが、施設志向が圧 倒的に強い。それは家族の介護並びに家族の負担があって、これが社会化される。介護 の社会化によりその負担が軽減される。その圧力がグループホームにも表れている。グ ループホームの実態に即した夜勤は今回の提案のとおりだが、基本的なグループホーム のあり方、位置付け、方向を明確にしないと、グループホームは、共同生活の場か、あ るいは、小規模の施設か、ユニットケアを独立させたのか、わからない。十分に検討さ れ、報酬を妥当なものにされたい。  (木村委員)  居宅療養管理指導は限度額の枠外なので、ケアマネージャーの研修の中で十分研修さ れず、日本薬剤師会を挙げてケアマネージャーの研修会の中でしっかり薬剤師による居 宅療養管理指導の重要性を訴えている。もちろん医師、歯科医師の先生方との協力を持 ちながら、ものすごい力を入れて進めている。  通所リハビリのリハビリの評価、8時間から10時間の延長はされたい。  (井形委員)  走りながら考えるということで、問題が起こったら柔軟に対応するのが約束であった 。今日のテーマはやっているうちに出てきた問題で、一本化、延長、あるいは夜勤の問 題、おおむねうまく解決してくれることを期待したい。  財政の問題とどう調和するかが議論になったが、この審議会こそ英知を働かせてその 調和を図り、財政は財政、サービスはサービスと別の議論をしたのではらちが明かない 。  今日の資料の2ページの初回受け入れ時のアセスメントの主たる担当者に介護支援専 門員、ケアマネージャーの影が薄い。看護職員、介護職員はケアマネージャーの資格を 持つ人だろう。理学療法士、作業療法士が主にアセスメントをやることは異存はないが 、広い視野を持って、自分の職だけのプランをつくらないように、チームでつくるべき 。  (外口老人保健課長)  第12回は、6月17日(月)の16時からで、議題は、報酬骨格に関わる総括議論を 予定している。  (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL 03(5253)1111(内3948 3949)