臨床研修WG
研修評価の在り方(案)
研修評価の対象は、研修医、指導医、ならびに研修システムの3つの評価が必要である。
研修医の評価においては、充実した研修をするための評価と最終的に終了認定するための評価が必要である。指導医の評価については、指導医であることの資格認定の評価と、よりよい指導を行うための評価が必要である。研修システムの評価についても、研修実施病院であることの認定のための施設やプログラムを含めた研修システムの評価と、より良い研修を提供するための評価が必要である。さらに、研修システムの評価については、マッチングシステムに必要でもあり、必ず公表されるべきである。
1)研修医の到達度・経験等の評価
研修期間の途中に行われ評価の結果が研修医にフィードバックされる形成的評価と、研修の最後に終了認定のために行われる総括的評価が必要である。
●形成的評価:
研修協力病院における研修期間も含めて、一定の研修期間終了毎に到達目標に対する自己評価と指導医による評価を行い、評価表を卒後臨床研修センターに提出させる。
看護師等のコメディカルスタッフによる評価も参考にすることが望ましい。
全ての受け持ち患者の記録を提出させ評価に用いる。
指導医は研修目標達成度の評価内容を研修医に伝え、その後の研修について指導する。
●総括的評価:
指導医による研修医の到達度評価(4段階) (国立大指針を参考)
- | 患者-医師関係、チーム医療、問題対応能力、安全管理、医療面接、身体診察、臨床検査、基本的手技、基本的治療法、医療記録、症例提示、診療計画、救急医療、予防医療、緩和・終末期医療、医療の社会性 |
- | 経験すべき症状・病態・治療(経験例数) 緊急を要する症状・病態、経験が求められる疾患・病態(各臓器・器官別疾患、全身性変化疾患) |
到達目標が達成されたかどうかの最終的な評価は卒後臨床研修センターが行う。
総括的評価は全国統一的基準に則って行われることが望ましい。そのためには全国共通の総合評価試験法の開発と実施組織の設立が必要である。
目標達成度が不十分であれば修了認定をせず、研修期間を延長するなどの処置を講じる。
2)指導医の評価
●指導医の資格の評価
別項に示すような指導医であることの要件を満たしていることを証する書類を研修センターに提出して指導医であることの認定を受ける。
●指導医の指導内容・方法の評価
研修医の指導実績を報告する。また、指導研修セミナーなどの参加実績を報告する。 さらに、研修医に加え、上級指導医、同僚、指導助手、コメディカルスタッフによる評価を受ける。
3)研修施設(カリキュラム内容・指導医・設備等)の評価(別表)
以下に示す事項などについて自己評価し公表する。さらに、全国的あるいはブロック単位の評価機関による評価も受け、内容を公表する。
●各研修病院群における研修内容(特にコア内容)が適正であること(公開)
●研修指導医の質・数が十分であること(公開)
●研修指導方法が適切であること(公開)
●経験すべき症例が十分であること(公開)
●研修修了時の評価が適切であること(公開)
●研修医による研修病院群の評価内容。
4)総合評価・改善等のための全体的機構
●全国的な臨床研修総合評価改善システム(仮称)の設置:
研修内容の改善、研修修了時の共通評価基準の作成と公開、各研修施設の評価・改善指針等の作成と公開、指導医の研修・講習認定
有識者・患者代表・研修施設側等から構成
全国的に統一した研修公募・マッチング方式の策定
●各地域ブロックにおける地域ブロック研修調製システム(仮称)の設置
各地域ブロック内の医療供給体制と研修施設の調整
研修施設への研修医の振り分け
研修施設の相互評価
別表 研修施設、研修体制、指導体制について公表が望まれる項目として以下のものが考えられる。
1.研修施設
病床数、医師数(常勤)、コメディカル(看護職員、薬剤師、理学療法士、作業療法士、栄養士等)の数
開設診療科の名称と各々の病床数、医師数(認定医・専門医・臨床教授の数)、ICU、CCU、NICUなどの開設の有無とベッド数
病床占有率、在院日数
平均外来患者数、救急外来受診者数、紹介患者率
手術数、出産数
研修指定の有無(学会の研修施設認定の有無)
剖検数・率、臨床-病理検討会の有無と回数
図書室の有無(司書、書物購入費)
インターネット接続の可否
医師の宿泊施設の有無
卒後臨床研修センターの有無
2.研修体制
研修の目標
選抜の方法
研修プログラム
研修方式、研修可能な診療科・部門、病院群
手当て、休日、社会保険(健康保険、失業保険、医療事故保険など)
研修の評価体制
目標到達度をどのように評価しているか。
どのようにフィードバックしているか。
研修医の受入実績
研修医の研修修了認定実績
研修修了後の研修医の進路
各々の研修医のローテイション表(2年間)
各々の診療科・部門の受入研修医数(各期間における)
各々の診療科・部門の研修プログラム(カンファレンスのスケジュールなど)
研修医に対する全病院的な教育プログラム
(救急蘇生法の講習会・保険診療に関する講習会など)
診療における研修医の役割(各診療科・部門)
外来診療の有無
手術、麻酔での役割
研修医の業務内容(勤務時間、当直日数、受持患者数など)
手術数、麻酔数/月
3.指導体制
病院全体あるいは診療科・部門における管理指導責任体制が確立しているか。
研修担当科の専門医数
指導医数・氏名および指導助手数(目標としては、指導医用教育プログラムを受講したものを指導医とする)
指導医・指導助手に対する教育プログラムとその受講率
研修医の指導に実際に携わっている平均指導医および指導助手数/日
指導医および指導助手が研修医の指導に携わっている平均時間/日
指導の方法
(指導医・指導助手による指導、グループミーティングによる指導)
研修医による指導医・指導助手および指導体制についての評価および満足度