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参考資料1

御意見募集で寄せられた意見(平成14年6月12日〜6月21日)


受付番号:48
受付日:平成14年6月12日
年齢:48歳
性別:女性
氏名:(匿名希望)

御意見

 私は、子供が欲しい一患者として、非配偶者間体外受精が認められるようになり、とても嬉しく思っております。
法的な整備がなされて、一日も早く実施に向けて進められることを、心から願っております。患者は、可能な限り「自分たちの子供」を望んで、不妊治療を続けています。
しかし、卵子(卵巣)か精子の一方に障害がある場合、どちらか(どちらであっても)を残したい率直な気持ちが根本にあります。AIDも、同様であると思います。
非配偶者間体外受精で、卵子、精子、受精卵の提供が受けられることは、患者自身の責任は言うまでもなく、提供者の気持ちや生まれる子供のことを考えると、立ち止まっては考え、諦らめる患者もいれば、また、考えを新たに時期を待ち望んでいる患者も多くいると思います。
誰が提供者になり得るかも大切です。もし、相手の同意があれば、血縁者からも積極的に受けられるように配慮されることを、心から願っております。
また、実施に当たっては、症例により個々別々に、ことに高齢患者には、事前に対象となる特例を設けていただけますように、お願いいたします。
 私は、現在48歳です。高校生の時から、重症の拒食症のため、約15年間悩まされてきました。
大学病院には、二度入院、近くの病院へも通いました。
両親は、心配のあまりに、北九州や大阪方面の寺院に相談に伺ったり、長い間、いろいろと手を尽くしてくれました。
30歳を過ぎてからようやく落ち着き、45歳で結婚をしました。
その後、3年間、不妊外来に通院し、体外受精を2回、人工授精を1回、行いました。
今は、卵子の提供を受けるしかありません。
拒食症が原因とは言っても、自己管理できなかった長い年月は、後悔しても取り返しがつきません。
2001年3月、医師から「卵子の提供が受けられるようになった」と伺った時、明るい気持ちになりました。私は、本来、縁があって結婚した相手との子供を得ることが、自然であり親としての自覚と自信を持てるのだと考え、今でもその考え方は持っていますが、この一年間で非配偶者間体外受精は、希望を与えてくれる一つの選択肢としてとらえるようになりました。
私には、32歳の姪がいます。仕事ももっていますが、今年末、2人目の子供が生まれる予定です。
できましたら、私は、この血縁者から卵子の提供を受けたいと思っております。私共のように、すでに加齢の問題があり、情報が得られず不安ですが、希望を捨てないで待っている患者に、何とぞご配慮くださいますようお願い申し上げます。


受付番号:49
受付日:平成14年6月21日
年齢:20歳代
性別: 男性
職業: アルバイト勤務
氏名:(匿名希望)
所属団体:(匿名希望)

II この問題に関心を持った理由
養子ではなく、自分と血の繋がった子供が欲しいから。

III 意見

はじめまして。私は性同一性障害で20年近く悩んでいます。
現在、性同一性障害の“治療”を受けております。

私は“脳が男”で“体が女”で生まれました。つまりFTMなのです。そのことでずっと悩み、苦しんできました。私の体は、現実問題、子宮も卵巣もある女性です。だから当然ながら精子はありません。しかし、脳(性自認)は男なのです。その為、「パートナーである女性に、自分の子供を産んで欲しい。」という、普通の男性がごく自然に思う事と同じ考えを持っています。
つまり、第三者の血を受け継いだ“養子”ではなく、自分の遺伝子とパートナーの遺伝子を受け継いだ“自分達の子供”が欲しいのです。

これは、私個人の意見ではなく、大多数のFTMが抱えている現実問題です。
女性は愛する人の子供が欲しいと願うし、男性は愛する人に自分の子供を産んでもらいたいと願うのは人として、ごく自然の考えではないでしょうか?
そこで私たちは考えました。
海外では代理母出産という方法があります。その原理を利用できないか?と考えました。

つまり、FTMの卵子を取り出し、パートナー(体も心も女性。つまり純女)の男兄弟の精子と人工授精させ、その受精卵をパートナーの子宮に着床させる。生まれた子供は私の遺伝子と彼女の兄弟の遺伝子を持つことになるため、お互いの血を受け継ぐ事になります。また、第三者の子宮を借りなくてもよいのです。

説明の補足(図式)

FTM(脳は男・体は女)=A
FTMのパートナー(体も脳も女。つまり普通の女性)=B
上記Bの兄弟=C

Aの卵子 → Cの精子


受精


Bの子宮に着床・出産

この方法は拒絶反応も少ないだろうと考えられ、医学的にも可能ですが、法的な問題があります。
何故なら、上記例で出産した子の父親は遺伝的にはCであり、遺伝的な母親はAです。
しかし、私達FTMが望むのは、法的に父親になる事であります。現在の日本では戸籍の訂正が認められておらず、法的にFTMが父親になるのは現段階では不可能です。

しかし、FTMにも人権があります。
我々FTMは不妊男性と同じだと思っております。
自らを女性生殖器を持った男ではなくて、男性生殖能力を持たない男だと思っております。
不妊男性にも人権があるように、FTMにも「愛する女性と結婚して家庭を持ち、父親になりたい。」と思う人権はあるはずです。だから第三者の精子を使っての受精・出産は望んでいません。
誰しも、自分と愛するパートナーの血を分けた子供が欲しいと願っています。
FTMも、愛する妻と自分自身の子供が欲しいと思っているし、女性も彼(=FTM)との子供が欲しいと願っているのです。

もちろん、FTMーTSは自分自身の体(女性器)に違和感・嫌悪感を持っているのであるから、性別再適合手術を望んでいます。つまり、自分の体から卵子を採取した後は、卵巣・子宮の摘出(性別再適合手術)を望んでいます。
将来、法的にFTMの戸籍訂正が認められる日が訪れるでしょう。
そうなれば、FTMが法的に父親になれるという事です。
どうか、FTMの幸福追求のための人権も考えて下さい。


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