資料4 |
1. | はじめに 看護業務基準とは看護職の責務を記述したものである。基準は看護実践のための行動指針および実践評価のための枠組を提示するものであり、その内容は看護という職種の価値観と優先事項とを反映している。したがって、看護業務基準は保健師助産師看護師法で規定されたすべての看護職者に共通の看護実践の要求レベルを示すものである。過去、各職能委員会や業務委員会において業務の検討が行われてきたが、上記のような視点からの看護業務基準の作成には至っていない。そこで本委員会では、包括的かつ基本的な看護業務基準を作成することとした。 |
2. | 看護業務の範囲 看護業務は保健師助産師看護師法により規定され、かつ看護倫理に基づいて実践される。看護業務の範囲はあらゆる健康レベルの対象に対する看護実践である。この看護業務実践は、保健・医療・福祉の領域で展開されおり、対象は個人・家族・集団・地域社会などである。 看護業務実践は、人間のライフサイクルに応じて母性・小児・成人・老人の各発達段階で展開される実践である。また呼吸・循環・代謝・神経・精神・運動などの機能障害の種類と程度、さらには生活機能レベルなどを考慮した看護が実践される。これらを図1にまとめて示した。 |
3. | 「看護業務基準」 看護実践とは、看護職が対象に直接的に働きかける行為である。看護実践の組織化とは、看護職が看護実践を提供し、保証するためのシステムを構築することである。看護実践と看護実践の組織化をあわせて看護業務という。それらを行うには以下の基準を充足する必要がある。 <看護実践の基準> 看護実践の内容
看護実践の方法
<看護実践の組織化の基準>
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4. | 「看護業務基準」の活用 看護業務基準は、看護職の責務を記述したものであり、包括的かつ基本的な基準である。したがって、実際に看護業務を展開するにあたっては、この看護業務基準に基づいて、特定の領域、場、成長発達段階、健康レベル、機能障害の種類と程度、対象の単位、生活機能を考慮した具体的な基準を作成することが必要である。図1に示した看護業務の範囲は、その際の指針となろう。 |
5. | まとめ 本委員会では看護業務とは看護実践と看護実践の組織化の両方を合わせたものと捉え、看護業務基準の範囲を図式化し、基本枠となる看護業務基準15項目を作成した。これに基づいて、実際に看護の場と対象をふまえたさらに細かい特定領域の看護業務基準を作成する必要がある。基準を作成する看護の場と対象を捉える上では、図説した「看護業務の範囲」が参考になると考えられる。 |
6. | 今後の方向性 本委員会は今回、包括的で基本的な基準の作成と範囲の図式化を試みた。今後は、看護業務基準を各々の看護の場で実践に活用していけるようにするために、「作成した基準の検証と普及」「作成した看護業務基準に沿った具体的な基準の作成」を推進し、様々なレベル・領域でのより確かで適用可能な基準を作成していくことが重要である。 また、残された長期的な課題には、
基本枠として作成した看護業務基準にそった全ての領域での具体的な基準作成が急がれるが、なかでも@寝たきり老人や痴呆老人を対象とした在宅ケア・施設内看護の看護業務基準、Aエイズ患者の看護業務基準、B登校拒否やいじめ、小児成人病といった問題をふまえた学校保健の領域における看護業務基準などは、社会的要請に伴い特に優先度が高く、早急に基準作成に取り組み、それを現場で活用できるように広めていく必要があると考える。 |