02/05/24 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録          薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年5月24日(金) 10:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(12名)五十音順  ◎池田 康夫、 上原 至雅、 垣添 忠生、 木村  哲、   小池 克郎、 後藤  元、 菅谷  忍、 早川 堯夫、   藤上 雅子、○堀内 龍也、 三瀬 勝利、 溝口 昌子、   他 専門委員1名   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(5名)五十音順   板倉 ゆか子、神谷  齊、 川嵜 敏祐、 小室 勝利、   吉村   功 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、 池谷 壮一(審査管理課長)、   黒川 達夫(安全対策課長)、  豊島  聰(審査センター長)、   姫野 孝雄(企画調整部長)、  平山 佳伸(審査第一部長)、   森  和彦(審査第二部長)、  橋爪  章(審査第三部長)、   山田 雅信、 宇津  忍 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長  それでは定刻になりましたので、医薬品第二部会を始めさせていただきます。当部会 定足数は17名でございますが、現在11名の委員の先生に御出席いただいております。な お、□□先生は遅れていらっしゃると聞いております。               ── □□委員着席 ── ○審査管理課長  □□先生がいらっしゃいましたので12名ということで定足数に達しております。  まず前回から木村先生に当部会に御参画いただいておりますので、先生、一言お願い いたします。 ○□□委員  東京大学の木村でございます。感染症を中心に内科の方をやっております。よろしく お願いいたします。 ○審査管理課長  本日は議題1の参考委員としまして、□□□□□□□□□□□□□の□□先生にお越 しいただく予定になっておりますが、ちょっと遅れられておりますので、よろしければ 議題2からということでお願いしたいと思います。では先生、よろしくお願いいたしま す。 ○□□委員  分かりました。お手元の議事次第にございますように、本日は四つの審議事項と三つ の報告事項がございます。先生方には朝早くからお集まりいただきまして、お忙しいと ころありがとうございます。早速議題2ということで、アロマシン錠25mg等の輸入承認 の可否についてお願いしたいと思います。 ○事務局  先生、配付資料の確認をお願いします。 ○□□委員  そうですね。では配付資料を御説明いただきましょう。 ○事務局  それでは事務局から配付資料の確認をさせていただきます。資料1〜4、それから資 料7があらかじめお送りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしまして、 本日の議事次第、それから座席表、当部会の委員名簿、資料5といたしまして報告事項 の新キット製剤、資料6といたしまして新パック製剤、資料8といたしまして本日の審 議品目の薬事分科会における取扱い、及び毒薬・劇薬の指定の要否について、それから 資料9が本日の審議品目の専門委員名簿でございます。  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関係された委員の 確認でございますが、本日の議題に関しては関与された委員はいらっしゃいません。以 上でございます。 ○□□委員  ありがとうございました。それでは審議に入りたいと思います。議題2ということ で、審査センターから審査概要の御説明をお願いしたいと思います。医薬品アロマシン 錠25mgでございます。 ○事務局  それでは議題2、資料2の医薬品アロマシン錠25mgの輸入承認の可否等について審査 センターより御説明申し上げます。  本剤の有効成分エキセメスタンは、イタリアのファルミタリア・カルロエルバ社(現 在のファルマシア社)で化学合成された閉経後乳癌治療薬であり、作用機序で考えます と日本では三番目のアロマターゼ阻害剤でございます。アロマターゼ阻害剤は、アンド ロゲンからエストロゲンへの変換を阻害し、血漿中エストロゲン濃度を低下させること によりエストロゲン依存性の増殖を示す乳癌に効果を示すとされております。なお、本 剤は現在のところ世界49か国において既に承認され使用されております。  本剤の専門協議では、本日の配付資料9の2ページに示すように、□□委員、□□委 員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員を専門 委員として指名いたしました。  本剤の規格及び試験方法、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提 出された資料の内容に大きな問題はございませんでしたので、臨床試験成績について述 べさせていただきます。抗エストロゲン剤耐性閉経後乳癌患者を対象とした後期第II相 試験において、本申請用法・用量である25mg1日1回投与により、最大解析集団33例中 CR2例、PR6例を認め、奏効率は24.2%でありました。なお、この成績は海外にお いて同じ用法・用量で実施されたタモキシフェン治療後に再発した閉経後転移性乳癌患 者を対象とした二つの第II相試験における奏効率28.1%、及び23.4%を再現しておりま した。また、タモキシフェン治療後に再発した閉経後転移性乳癌患者769例を対象とし た海外第III相試験において、本剤25mg1日1回投与群での奏効率15%は、対照薬の酢 酸メゲストロール40mg1日4回投与群での奏効率12.4%との間に統計学的な有意差は認 められませんでしたが、効果持続期間、奏効期間、治療変更までの期間、及び生存期間 の中央値において本剤投与群が有意に優れておりました。以上の臨床試験成績を踏まえ て、閉経後乳癌に対する第二次ホルモン療法における本剤の有効性は認められると判断 いたしました。  次に本剤の安全性に関してですが、国内において実施された全臨床試験において、安 全性評価対象となった閉経後乳癌患者105例中42例に副作用が認められ、主な副作用は ほてり、多汗、悪心、高血圧、疲労等であり、特に問題はないものと判断いたしまし た。  以上のとおり、審査センターでの審査の結果、閉経後乳癌に対する第二次ホルモン療 法における本剤の有用性は認められ、「効能・効果に関連する使用上の注意」において 初回ホルモン療法、及び術後補助療法での本剤の有効性、安全性は確立していない旨明 記した上で効能・効果を閉経後乳癌と設定し、本効能に対する本剤の有効性及び安全性 の更なる明確化を目的とした、十分なサンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で 実施することを条件に承認して差し支えないと判断し、医薬品第二部会で審議すること が妥当と判断いたしました。なお、本剤は再審査期間6年、原薬及び製剤は毒薬・劇薬 いずれにも該当しないと判断しており、薬事分科会には報告を予定しております。御審 議のほどよろしくお願いいたします。 ○□□委員  ありがとうございました。閉経後乳癌への適応ということでただいま御説明いただき ましたが、どなたか御質問ございませんでしょうか。□□先生、どうぞ。 ○□□委員  作用機序から言うと、資料のエストロゲンレセプターありなしで効果が大分違うので はないかと思うのですが、そのような解析はなされていますでしょうか。 ○□□委員  いかがですか。 ○事務局  本剤の適応は、エストロゲン依存性の乳癌でございますので、エストロゲンに依存し ないものについては多分効果がないと思われます。 ○□□委員  「閉経後乳癌」となっているわけですが。 ○□□委員  はい。閉経後乳癌です。 ○□□委員  閉経後乳癌にもレセプター陽性と陰性の両方があるのではないですか。 ○事務局  審査センターから補足します。お手元の資料概要の「表ト-97」でございます。ペー ジから言うと、「ト-139〜140」という折り込みの有効性のまとめの表がございますが、 そこでエストロゲンレセプター、あるいはプロゲステロンレセプターの「年齢」、 「Performance Status」、「閉経後年数」、「ER/PgR」というところで各効能における 奏効率等は伺うことはできるかと思います。それが当該申請資料中のまとめでございま す。 ○□□委員  今のお話は、適応が「閉経後乳癌」となっているので、「レセプター陽性のもの」と 明記する必要があるのではないかということではないかと思いますが、いかがですか。 ○事務局  審査センターの方からお答えいたします。既承認品目の効能・効果において、エスト ロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター陽性患者に限るというような記載はして ございません。通常の日常診療においても、例えばエストロゲンレセプター、プロゲス テロンレセプターを術後にチェックされていなくて、再発の時点で種々の病院に来られ て原発巣のホルモン受容体の陽性というのが分からない、受容体不明という例が10〜20 %ほどございました。その人たちの治療機会も考えて、通常はエストロゲンレセプター、 プロゲステロンレセプター陽性に限るという表現は効能・効果の中にはしておりませ ん。当然診療の中で各処方を担当する医師はその辺をかんがみながら、エストロゲンレ セプターに対する感受性を頭に入れて、処方されると理解しております。したがって、 不明例等は結構なパーセンテージがございますので、「効能・効果」の中に明示するの はいかがかという判断をいたしました。 ○□□委員  分かりました。 ○□□委員  よろしいですか。□□先生、どうぞ。 ○□□委員  もちろんそういう事情はよく分かっているのですが、そういうふうに陽性、陰性が分 かっているもので層別化して判定した場合に、どれくらいの差になるのかということを 治療する側も説明する際に考慮しなければいけないわけで、そういうデータがあるかな いかということをちょっとお尋ねしたのです。 ○事務局  一応国内の治験の中では、この「表トー97」からも不明例あるいは陰性例…、陰性例 のところは全部つぶしてあるように症例選択基準が入っておりませんので、その辺りは 市販後でもしそういう症例に投与されることがございましたら、市販後調査の中で浮か び上がってくるのではないかと考えております。 ○□□委員  国内でやられた閉経後乳癌患者73例、あるいはタモキシフェン耐性の患者34例それぞ れについては、特にそういう層別のようなことはデータとしてはないのですね。              ── □□専門委員着席 ── ○事務局  この「表ト-97」を見ていただくと分かるのですが、「ER若しくはPgR(+)」の場合に は何%、「ER及びPgR不明」の場合には何%という記載…。例えば「評ト-3」の前期II 相で見ますと奏効率というのは36.4%、あるいは23.1%、それから「評トー4」に行き ますと「ER及びPgR不明」の場合は奏効例は2例中0%という記載。そのような状況で、 何分例数が少ないものですから、確定的なことは言えないかと思います。 ○□□委員  ありがとうございます。 ○□□委員  そのほかいかがでしょうか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  このもの自体は承認するのに問題ないのですが、「添付文書(案)」で見るとこのアロ マターゼ阻害剤の特徴は脂溶性だと思うのです。脂溶性ですので、まず「用法・用量」 で「1日1回25mgを食後に経口投与する」となっておりますが、これは吸収を促進する という意味があるのではないかと思うのです。アメリカの医薬品集等を見てみますとそ ういうように書いてあるのですが、それを書く必要がないかということ。  それから「3.相互作用」のところも、「本剤はCYP3A4及びアルド-ケト還元酵素にて 代謝される」と書いてあるのですが、これは「3.相互作用」に入れるべきことなのか どうかと。高脂肪食の後に服用すると血中濃度が40%上がると書いてあるものもありま すが、上昇するというように、高脂肪食との関係を記載した方が血中濃度の問題等から 考えると適切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○□□委員  まず最初に食事との関係をお話しいただいて、その後また相互作用のお話をしていた だきたいと思うのですが、最初の食事との関係はどうですか。 ○事務局  本剤に対する食事の影響は臨床試験で検討されておりまして、食後に投与いたします とCmax、AUCが上昇するという結果は得ております。本剤はもともとどのpHでも 溶けない難溶性の薬物でありまして、微粉化することによって溶出性を高めているとい う…、どちらかといえば胆汁酸を排泄させて、それによって吸収を促進しようという意 図で食後にしてあると思うのですが、「用法・用量」で食後と規定してある以上、それ に関して特に補足説明は必要ないのではないかと思っております。  また、「3.相互作用」の項で脂肪食を入れるべきかという話ですが、そもそも本剤 の場合は安全域が広い薬でございますので、注意するようなものではないと考えており ます。 ○□□委員  4割くらい上がっても問題はないとお考えですか。 ○事務局  それくらいでは全く問題はございません。 ○□□委員  ただ、要するに薬の性質というのは大抵溶解度が低いという話ですが、それは記載を …、医者はだれでもそれを知っているわけではありませんので、やはりそれを知った上 で患者に説明するということが大事だと思いますから、記載をしたらいかがかと思いま すが、どうでしょうか。 ○事務局  検討させていただきます。 ○□□委員  二番目の代謝経路のCYP3A4についてはどうですか。主要な代謝経路が3A4だというこ とですが、一応3A4の阻害剤との併用試験では薬物動態には余り関係はないと、影響は ないという記載がありましたが…。 ○□□委員  これは「添付文書(案)」の次のページの7にありましたよね。ですから、相互作用が 酵素で代謝されるというのは、後ろにありますから何かおかしいように思うのですが。 ○事務局  確かに「3.相互作用」の項は注意事項ですので、これは余り適切ではない表現と思 われます。これは後ろの方の「7.薬物相互作用」の方で記載がございますので、ここ のところは外してもよいかと考えております。 ○□□委員  「薬物動態」の「2.代謝」というところはどうですか。「使用上の注意」の「3.相 互作用」で、「本剤はCYP3A4及びアルド-ケト還元酵素にて代謝される」と書いてあっ て、その「薬物動態」のところでも「2.代謝」と「7.薬物相互作用」の記載を堀内先 生はおっしゃられているのだと思いますが。 ○事務局  その辺は整合性をしっかり持たせて、分かりやすい表現に変更させていただきます。 ○□□委員  よろしいですか。そのほかはいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○□□委員  治験での最終的な成績としては、本薬は第二次治療薬としての有効性が認められると いうことだと思うのですが、そしてまた外国の承認に関しても基本的には第二次治療薬 です。我が国で第一次治療薬としての有効性が証明されていない段階で、なおかつ第一 次治療薬としての成績が近々明らかにされる段階で、この薬を第二次という縛りをつけ ない形で承認する根拠はどういうところにあるのでしょうか。 ○事務局  審査センターからお答えいたします。この辺り、当初私ども審査チームの中でも考え ました。それから専門協議等でも御意見を頂いたのですが、まずこれまでの抗悪性領域 の承認内容というものが第II相試験の成績の奏効率を持ちまして、そのときに例えば標 準的治療があるリンパ腫、乳癌や白血病などの場合には、二次治療の段階での奏効率の データで承認させていただきます。その際、「効能・効果」では二次治療、セカンドラ インとかサードラインという位置付けは余り明確には盛り込みませんで、これまでは 「重要な基本的注意」でそういう注意書きを盛り込みまして、市販後第III相試験の中 でその辺の臨床的な位置付けを更に明確にしていくというスタンスで承認してまいりま した。  これはおしなべて今回のエキセメスタンのみならず、ほかの抗悪性腫瘍薬にも共通で ございまして、国内の場合にはすべて臓器の名前だけで、ただ「肺癌」とか「乳癌」、 「子宮頚癌」という書きぶりにしております。各個別の薬剤を見ると、臨床的なエビデ ンスから判断しますと、例えばセカンドラインやサードラインで使うのが適切だという ものが多々ございます。海外ではその辺が非常に詳しく、診療ガイドライン的に「効能 ・効果」の中でどういう臨床的な位置付けでありますとか、セカンドライン、サードラ インの位置付けであるとかという書きぶりになっているのです。本邦としては、余りそ こまで踏み込みますと、例えば各医師の判断が非常に異なってくるとか、エビデンスの 進歩が非常に早くてそれに追い付いていかないなどのいろいろな事情がございまして、 「効能・効果」の中ではセカンドライン、ファーストライン、サードラインという位置 付けを余り書いていないのが現状でございます。  ただそれでは危ないので、今回の場合は効能・効果に関する「使用上の注意」のとこ ろでしっかりとその情報はないということを書きまして、更に承認条件でファーストラ インの中でのこの薬の位置付けをしっかり無作為化試験で検討してくださいということ をお願いしていますし、企業の方もその方向で現在市販後調査の骨子というものを作成 しているところでございます。ほかの領域、抗菌剤や降圧剤に比べますと、その辺を 「効能・効果」の上ではまだ明確には区別していないというのが現状でございます。 ○□□委員  □□先生、よろしいでしょうか。「効能・効果」で「閉経後乳癌」と書いてあって、 実際には「使用上の注意」ということで初回治療における有効性、安全性は確立してい ない、あるいは術後の補助療法としてもエビデンスは現時点ではないと書いて、一次治 療はこういうものであってこれを二次治療に使いなさいとははっきり書かないというこ とですよね。 ○事務局  さようでございます。ただし、市販後III相試験の中できちんとやっていただくとい うことに現在なっております。企業の方にもそれを確認しております。 ○□□委員  ちなみにこれは承認条件で、「有効性及び安全性の更なる明確化を目的とした十分な サンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で実施すること」と書いてあるわけです が、もう少しこの辺のことを…。あるいはどれくらいのサンプルサイズかということに ついては、何か話は進んでいるのでしょうか。 ○事務局  一応企業の回答の中では、まず無作為化試験をやると。それからアロマターゼ阻害剤 とのヘッド・ツー・ヘッドの比較試験をやると。それから数百例規模のものをやるとい うことです。今までの既承認の品目で、特に抗癌剤の場合、承認条件の中でサンプルサ イズを十分に持ちなさいとか、無作為化比較試験をやりなさいと書かずに、市販後臨床 試験をやりなさいという表現にしていますと、例えばサンプルサイズを30例、国際共同 試験の中で国内の症例を数十例だけ入れたような試験でいかがでしょうかということを 再審査期間中に主張してくる場合がございます。それを避けるために十分なサンプルサ イズ、なおかつ無作為化比較試験でやってくださいという明確な表現にいたしました。 この間ファルマシア社の方から頂いた回答では、一応その辺を十分酌み取ったような内 容の文書を頂いております。 ○□□委員  よろしいでしょうか。ほかには何かございませんか。特にございませんでしょうか。 このアロマターゼ阻害剤に関しては、冒頭にも説明がありましたように海外でも非常に 多く使われている薬ですし、我が国の第I相試験でもそれなりの有効性と安全性が確認 されているということです。もし差し支えないということであれば、承認を可とさせて いただいて、薬事分科会に報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。 特に御異存ございませんでしょうか。ありがとうございました。それではこれは承認を 可とさせていただいて、薬事分科会報告とさせていただきたいと思います。  それでは議題1の参考委員を務めてくださいました、□□□□□□□□□□□□□の □□□□先生がお見えになりましたので、議題1を審議したいと思います。早速議題1 について審査センターから概要を説明していただきまして、その後□□先生から御追加 をお願いしたいと思います。それではセンターの方からよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは議題1、資料1のダラシンTゲル1%の承認の可否等について審査センター より御説明いたします。  リン酸クリンダマイシンはリンコマイシン系の抗生物質であり、国内では昭和58年に 凍結乾燥品の注射剤であるダラシンP注、平成4年からは凍結乾燥製剤に代わり注射液 製剤であるダラシンS注射液が販売されております。本申請は、リン酸クリンダマイシ ンの外用ゲル剤について尋常性?瘡を効能として申請がなされたものです。なお、尋常 性?瘡を効能とする抗菌薬製剤としましては、平成5年にナジフロキサシンの外用剤の アクアチムクリームが承認されております。  本申請の専門委員としては、本日御出席いただいている□□委員、□□委員、□□委 員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員を指名いたしました。  審査センターは、毒性及び薬理については特段の問題点はないものと判断しておりま す。規格につきましては、申請書の記載の一部について整備しているところでございま す。  有効性については、第II相臨床試験の結果から、基剤群と本剤群との間に明確な差が 見られており、申請された用法・用量における本剤の有効性は認められると判断いたし ました。  一方、第III相臨床試験では多くのプロトコール逸脱例が見られ、また有効性の主要 評価項目が盲検がかかっていない状況での担当医の判定による全般改善度であり、客観 性が担保されていないなどの問題点があると判断し、第III相臨床試験において本剤が 対照薬であるナジフロキサシン外用剤と比べ、統計学的に有意に有効性が高かったとす る申請者の主張は認められないと審査センターは判断いたしました。  また、安全性については大きな問題は認められていないと判断いたしました。  以上のような審査の結果、本剤の臨床的位置付けについて評価することは困難である と考えるものの、基剤群と比較して本剤の有効性は認められていること、本剤は海外に おいて豊富な使用実績があり、信頼のおける文献等においても尋常性?瘡に対して有効 な薬剤として認められていること、また国内においても院内製剤として使用されている ことを勘案し、承認して差し支えないと判断いたしました。  また、承認条件として国内における本剤の尋常性?瘡に対する臨床的位置付けをより 明確にすることを目的とした市販後臨床試験を行うこととすることが適当であると判断 いたしました。なお、本申請は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年と することが適当であると判断しております。また、薬事分科会には報告を予定しており ます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○□□委員  ありがとうございました。それでは□□先生からコメントをお願いしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○□□専門委員  このダラシンTゲルというものですが、今まで日本では外用剤としてこれと同系統の ものが全くなかったのです。外国では随分昔に出てその有効性というのは確認されて、 病院や大学の薬剤部で各自で調合するようなところはありましたが、薬としてはまだ市 販で許可されていなかったということです。それに先立って、アクアチムクリームとい うナジフロキサシンのものがもう随分前から出ていまして、それしかないということで 主に出ていたのですが、やはり皮膚科学会の中ではクリンダマイシンゲルが早く出たら という要望が非常にありました。  今説明があったとおりですが、第III相のダブルブラインドでどちらが本剤かという のが分かりますので、本当の公正性が保たれていなかったということで、やはり基本的 には第III相のこの結果は余り信用ができないのではないかという結論です。  それからもう一つは、子供のにきび、例えば新生児?瘡とかそういう一過性のもので すが、そういうもので外来を受診される方がいるので、もしこの薬が出るとすれば子供 のアクネ、また学童期のお子さんにもにきびが早く出ているようなので、そういった低 い年齢層でも使われる可能性が非常にあるのではないかと。外用剤ということで、安全 性は問題ないということは分かっておりますので、子供に対してどうかということ。  それからダブルブラインドが第III相できちんとできなかったということですが、や はり外国ではかなりもう出回っていて、国内でもそういう要望が強いものですから、外 国の文献的な傍証というか確証、有効性が認められていますので、第III相試験をもう 少し追加するかどうかという議論が出ましたが、今後なるべく早く許可して使いたいと いう要望が強いということで、全体のバランスから是非許可したいという結論です。 ○□□委員  ありがとうございました。ただいま□□委員の方から、専門委員としてリン酸クリン ダマイシンの1%ゲルの必要性についてお話しいただきましたが、委員の先生方から御 意見頂きたいと思います。□□委員、よろしくお願いします。 ○□□委員  結論から言わせていただければ□□先生と同じで、外国ではもう定評のあるにきびに 対する治療薬でございます。それから実は日本でも皮膚科では勝手に注射薬でローショ ンを造って、かなり広く使われております。PL法ができてから少し使用頻度が減った かもしれませんが、大きな病院でも院内製剤として既に使っております。ですが、こう いうきちんとした製剤が出てくれば皮膚科医としては大変有り難いと思います。  ただ二、三質問させていただきたい点とか、クレームをつけさせていただきたい点が あります。まずパッチテストですが、非常に例数が少ないものですから、刺激性を見る 分にはこれくらいでいいのかもしれませんが、感作性を見るには十分ではありません。 感作性は動物で余り心配ないことが示されているとは思いますが、実は抗生物質の外用 薬というのは一度接触過敏を起こしてかぶれてしまうと内服ができなくなってしまいま す。例えばペニシリン軟膏をつけてかぶれますと、次からペニシリンを内服するとひど い薬疹が起こりますので、ダラシンのように内服薬としても優れた薬はその点を気を付 けなければいけないと思います。外国で非常に使われておりますし、日本でも使われて おりますので、接触過敏の報告がなければそれでいいと思います。コンピューターか何 かでお調べいただいて、かぶれの報告が非常に少ないということでしたらそれでよろし いと思いますので、よろしくお願いします。  例えばゲンタシンのように外用で非常に使われても全くかぶれを起こさないようなも のもありますので、薬によってかなり違うのではないかと思います。また効果判定です が、全般改善度が「著効」、「有効」という言葉で示されていまして、概要を見させて いただきますと、炎症性の丘疹や膿胞の数が減ったか減らないかの相関性を見ていらっ しゃいます。そうなりますと、これは著効とか有効の判断を数できちんとやったのでは なくて、担当医の判断で適当にやったと言ってはちょっと具合が悪いかもしれません が、どのような方法で判定したかを教えていただきたいのです。熟練した皮膚科医が診 ていれば、数を数えたのとそう違わないとは思うのですが、個人的な判定より、数がど のくらい減ってどういうふうに判定したという方が分かりやすいと思うのですけれど も。 ○事務局  それでは審査センターの方よりお答えいたします。まず最初の接触性皮膚炎等につい てですが、臨床試験ではそれほど見られていないのですが、自発報告等で若干報告例が あるようですのでその発現頻度等を数字に出しまして、市販後の方にも十分注意するよ うに申請者の方に指導したいと思います。  それから臨床試験の有効性評価の方ですが、先生に御指摘いただきましたように副次 的評価項目としましては皮疹や丘疹などの数も見てはいるのですが、最終的な主要評価 項目としては全般改善度がそれらを踏まえた担当医による判断ということで出されてお ります。第III相試験は、特に非盲検でどちらの薬を使っているかというのが分かって いる状態での評価ですので、この試験については若干問題があったのではないかとセン ターの方では判断しております。 ○□□委員  □□委員、よろしいですか。 ○□□委員  今ので結構ですが、もう一つよろしいですか。先ほど□□先生も言われました小児へ の使用のことですが、今はもう小学生からにきびができております。今にきびの第一選 択薬はテトラサイクリンの少量長期内服療法で、これは成人あるいは成長が終わった人 には問題ないのですが、成長期の小児にはテトラサイクリンが使用できないのです。私 どもはエリスロマイシンなどを使っておりますが、いずれにしろ1年、2年の長期投与 になってしまいますので、できればこういう安全な外用薬を小児にも使わせていただき たいと思います。この添付文書ですけれども、「小児等に対する安全性は確立していな い」としか書かれていないのですが、使ってよろしいのかどうかということと、もし外 国でデータがあったらそれを使って承認できないものかという二点を教えていただきた いのですが。 ○□□委員  いかがですか。小児への投与…、これは非常に大事な点だと思うのですが。 ○事務局  □□先生からもお話しいただきましたように、専門協議の方でもその話が出ておりま す。現在提出された臨床試験の方では小児の結果が全然入っておりませんので、承認は 難しいのではないかと思っております。  また海外の成績等については、現在アメリカの方では12歳以下については安全性、有 効性が確立していないという記載が添付文書の方でもございますので、海外の試験結果 をそのまま持ち込めるかどうかについても、通常のブリッジングのような形では難しい と思います。使用経験がどれくらいあるかなども少し調べて、また本剤が承認された場 合には市販後の使用状況等を十分に確認するように申請者の方を指導いたしまして、小 児への対応を早急に行うように努めていきたいと思います。 ○□□委員  これは承認条件で市販後臨床試験を行うという条件が付いているわけですが、そこに おける小児への投与というのは具体的には話し合われているのですか。 ○事務局  今のところ、「審査報告書」の16ページの方にも記載はしています。小児については 当初市販後臨床試験のような形でデータを見た方がいいという話もあったのですが、特 別調査のような形で使用例を集めることで有効性、安全性を確認することでもいいので はないかと考えております。その辺りは申請者と相談して、なるべくデータが早く集ま るような形で対応したいと思います。 ○□□委員  □□委員、よろしいですか。「添付文書(案)」の「5.小児への投与」で「(使用経験 がない)。」と書かれているわけですね。実際に安全性は確立していないということで すが、皮膚科の先生方にお聞きすると今12歳以下でも使う可能性がかなりあるわけです か。 ○□□専門委員  質問ですけれども、「(使用経験がない)。」というのは、こういう場合は付けなくて はいけないことなのでしょうか。              ── 安全対策課長着席 ── ○□□委員  センターはいかがですか。 ○□□委員  要するに保険上の問題ですね。保険で査定されるかどうかということになると思うの です。ですから、今は添付文書によって判断をするというのが多いのでしょうか。 ○審議官  そうですね。安全対策課長が来ていますので。 ○□□委員  早速安全対策課長の方から…、分かりましたか。 ○安全対策課長  遅参いたしまして、大変申し訳ございませんでした。この記載につきましては、基本 的には新しい記載要領に基づいて平成9年以来事実関係をきちんと照会するということ で、経験がない場合には疑義ということで記載してございます。  一方で小児、妊産婦への投与の部分につきまして、更に使用者の立場に立った表現方 法はないかという御指摘も受けておりますところから、今全体の情報の中での見直しと いうところで研究班等で作業を進めておりまして、今しばらく御猶予を頂けないものか と考えております。もちろん今日の御指摘もそういったところで参考にいたしまして、 検討させていただきたいと思います。以上でございます。 ○□□委員  小児に使っても査定されないと考えてよろしいですか。その辺の表現を何とかしてい ただければと…。 ○□□委員  □□委員、どうぞ。 ○□□委員  今の査定の問題ですが、これは審査委員会の問題です。私は基本的にはこういうもの は医師の裁量の問題だと思います。それでしっかりと対応していただければ、査定され ても再申請すればいいわけですから。それをいたずらに恐れて治療を控えるということ も問題があるし、またむやみやたらに自分の考えだけでいろいろ対応されても困る問題 ですので、そこはやはり医師が医師として医療に責任を持てるという範囲で使用してい ただければ…。いたずらに査定される問題ではないと思っております。 ○□□委員  □□委員、どうぞ。 ○□□委員  今の査定の問題もございますが、「禁忌」とは書いていないので使ってもよろしいの でしょうか。使って何かが起こった場合は、「安全性は確立していない」と書いてある ので使った医者の責任になるのかどうか…、そこら辺をお伺いしたいのですが。 ○審査管理課長  要するにここの添付文書というのは、事実を情報としてお伝えしておりますので、そ れで使用する医師の判断というのが出てくるだろうと思っております。今□□先生が おっしゃったとおりだろうと思いまして、当然患者さんのことを考えてお使いいただく ケースというのはあるだろうと。ただ、その場合であってもデータはないという事実だ けをここで告げさせていただくということでございます。 ○審議官  責任論というのはなかなか難しい話でございまして、やはりこの医薬品については第 一義的には製造したり輸入したりする業者の責任なのです。最終的には、裁判でどう判 断するかになるわけですが、やはりドクターとしてはこの「使用上の注意」を頭に置い て最善の使用をしていただくということが一番大事ではないかと。そこでもって責任論 の話は議論されるのではないかと思いますが、一応このことを頭に置いて慎重に使えれ ば大部分のところは回避されるのではないかと思うのです。なった場合には、最終的に は裁判で決着となると思うのですが…。 ○□□委員  課長、どうぞ。 ○審査管理課長  いずれにしろ、当部会で承認に関して強い要望があったということで、申請業者の方 には審査管理課の方から強く指導したいと思っております。 ○□□委員  そうですね。本来でしたら小児科領域でも十分使わなければいけない薬なので、開発 の段階からそういうことを視点においてやらなければいけないということです。部会で もそういう御意見が非常に強かったということで、特に小児について特別調査の形で やっていただくと要望していただけますか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  基本的にはこの薬だけの問題ではないのですね。多くの薬剤は小児領域でも使える例 数がたくさんある。しかし、実際は「使用経験がない」という記載の薬剤がほとんどで すよね。ですから、その辺はやはりこの薬だけの問題ではなくて、きちんとメーカーに 対応するように指導するべきです。  それともう一つ、これに基づいて使った医師の責任かどうかというのは、やはり使う 必然性の問題だと思うのです。記載してあるから使ったら責任はないという問題でもな いわけでして、やはりその使用するに値する必然性がきちんと説明できるかどうかとい う問題にかかってくるわけですから、単に記載があったから責任があるとかないという 問題ではないと思っております。 ○□□委員  ありがとうございました。それでは□□委員、どうぞ。 ○□□委員  そういう面でも、添付文書というのはかなり重要な役割をするようになってきている と思うのです。1ページの「臨床成績」の「1.臨床効果」というところで有効率が 75.3%となっているのですが、私はどこからこれが出てきたのか理解できないのです。 先ほどの第II相試験でも58.8%、これも基剤群が45.5%と半分近くあるわけですよね。 それから第III相試験でも63.3%というデータになっているので、これはかなりオーバ ーディスカッションになっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局  添付文書の方に「二重盲検試験及び比較試験」と書かれておりますので、II相試験と III相試験の合算ではないかと思います。ただ、こちらの記載の…。 ○□□委員  それにしてもこんな値には…、両方なっていないのですからならないでしょう。 ○事務局  ですから、こちらの記載の方を問題ないかどうか再度確認したいと思います。今記載 されているのはII相試験とIII相試験の方で、4週間きちんと外用をされた症例数のみ を取ってきた場合の有効率ということで記載されているようですので、この記載が本当 にいいのかどうかも併せて申請者の方に確認して、適切に対応したいと思います。 ○□□委員  そうですね。正確に記載するように指導してください。そのほかはいかがですか。□ □委員、どうぞ。 ○□□委員  今の御指摘にも関連するのですが、第II相試験を見ますと基剤だけで40%以上の有効 率になっているのですね。こういうのは基剤自体にもアクネに対しての効果があるの か、効果の判定方法に問題があるのかどういうことなのか疑問なのですが。 ○□□委員  そうですね。センターの方で何かお答えありますか。あるいは専門協議で何かその点 について議論があったとか…。 ○事務局  一応今の外用剤の有効成分以外に何が入っているかというのが、「審査報告書」の方 にも少し簡単には書いているのですが…、防腐剤とか湿潤剤、pH調整剤などが入って いるような形になっております。それにゲルを構成する高分子が入っているような形で す。ですから、それ自身にそういう?瘡を治す効果があるかどうかというのは、近いと も何ともお答えしきれないところではあります。 ○□□委員  □□委員、どうぞ。 ○□□専門委員  今の防腐剤含有ということも抗菌作用という面で少し関係あるかもしれません。それ からもう一つは、治験期間中というのは患者さんは緊張して、割合毎日きちんと洗顔し てから外用するということも治験薬以外の要因…、すなわちバイアスがかかると思うの です。ですから、基剤群でも有効例の存在が必ずあります。内服薬の場合でも対照群( プラセボ群)での有効例がありますが、外用に関しても何かそういうことがバイアスと してちょっとかかるのではないかという含みはあると思うのです。  それからもう一つですが、先ほど小児で「(使用経験がない)」とされましたが、実際 には各自で造って使用されている現実があることが強く推察されます。ですから、その 表現の代わりに「臨床試験が行われていない」という形で書いていただくともう少し医 師が処方しやすくなると言えるのではないでしょうか。 ○□□委員  はい、どうぞ。 ○□□委員  今の□□先生の御質問ですが、添加物にパラオキシ安息酸メチルが入っているのでこ れは少し殺菌効果があるのではないかと思います。 ○□□委員  そのほかはよろしいですか。どうぞ。 ○□□委員  ちょっと一般的なことで、この薬が特別であるというわけではありません。この薬の 審査から派生してくることだと思いますが、この薬に対しては既に国際的にはよく使わ れているということ、それを国内で使うというケースになると思うのです。この審査の 書類を見ると、国内試験の成績が必ずしも良くないというか、試験の質は決して良くな いということになっているので、きっとそのことを踏まえて市販後の調査を課している のだと思うのです。こういうことは、結局ほかのものにも当てはまって、一般的にみん なその様になっていくような気がするのです。考え方としてはそれはそれでよろしいの でしょうか。 ○□□委員  課長、何かありますか。 ○審査管理課長  治験の質を上げるということは、この分野だけでなく今全般的に力を入れておりまし て、その方向を更に進めたいというふうには思っているわけですけれども、先生がおっ しゃられることは分からないのではないのですが、やはり日本でどんどん力をつけてい くしかないのではないかと思っております。 ○□□委員  ちょっといいですか。ここでやられているのは、旧GCPの時代の治験ですよね。で すから、私はそういう目で見ていてしようがないと思っていたのですが、今の新GCP になってこれが出てきたらやはり評価できないだろうと思います。 ○□□委員  確かにもう海外で非常に使われている薬でエビデンスがあるということ、なおかつ日 本で治験が行われてそのデータがどうも信頼できないという状況が出るようだと非常に 困るということは皆さん非常に危惧されていると思っておりますので、その辺も今後議 論を続けて指導していただきたいと思います。 ○□□委員  市販後調査というのをカタにとればそれでいいということになる気がするのですが …、それでよろしいですか。 ○審査管理課長  当然市販後調査もきちんとやるように指導していきたいと思っておりますし、新GC Pができて以降そちらの方も徐々に改善されているという認識ではございます。ただそ うは言っても、まだまだ問題のあることも承知しておりますので、そちらも別途やらせ ていただいております。 ○□□委員  決して市販後調査を型にとるからここはお目こぼしするということではないわけです ね。ということだそうです。そのほかはよろしいでしょうか。  この「添付文書(案)」の「用法・用量に関連する使用上の注意」のところで、「本剤 の使用に当たっては耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し…」と書い てあるのですが、実際には皮膚科領域で感受性を確認してやるということはないですよ ね。ですから、この辺をもう少し…、審査センターの方で何か御意見ありますか。 ○事務局  現在の記載は、既に承認されておりますナジフロキサシンの外用剤と記載を合わせて いる形ですが、今御指摘いただいたような現状も踏まえまして、削除する方向で考えた いと思います。 ○□□委員  どうもありがとうございました。それではこのダラシンTゲル1%について承認を可 として、薬事分科会報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。特 にございませんでしたら、そのようにさせていただきたいと思います。どうもありがと うございました。□□委員、どうもありがとうございました。   それでは次に議題3について、審査センターより審査の概要を御説明いただきたいと 思います。医薬品リュープリンSR注射用キットです。              ── □□専門委員退席 ── ○事務局  議題3、資料3のリュープリンSR注射用キット11.25の承認の可否などについて、 審査センターより御説明いたします。  LH-RHアゴニストである酢酸リュープロレリンは、当初4週間徐放性製剤として開発 され、3.75mg製剤が平成4年7月3日に前立腺癌の適応で承認されています。その後、 子宮内膜症、中枢性思春期早発症、閉経前乳癌及び子宮筋腫の適応で追加承認を受けて おり、今回は1キット中、酢酸リュープロレリンとして11.25mgを含有した12週間徐放 性製剤が前立腺癌を効能・効果として申請されました。  専門協議の委員に関してですが、資料9の3ページにございますように、□□委員、 □□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員を指名いたしております。  本剤と4週間製剤の相違点として、まず酢酸リュープロレリン量が3倍に増量されて いること、徐放化剤として4週間製剤でこれまで用いられた乳酸・グリコール酸重合体 の代わりに乳酸重合体が用いられていること、それから4週間製剤ではゼラチンが添加 されておりましたが、今回の製剤では添加されていないという3点が挙げられておりま すが、そのほかはほぼ同一でございます。  審査センターは、本剤の規格・安定性、毒性及び薬理試験で提出された資料について は、特段の問題がないと判断いたしました。吸収、代謝、排泄等に関しましては、クレ アチニン高値例でAUCの上昇が見られていること、また4週間製剤の使用成績調査に おいて、肝・胆道疾患を有する症例で副作用が高頻度に発現していることから、腎機能 障害及び肝機能障害患者に対する市販後特別調査が必要と判断しております。また、臨 床試験で示された有効性については、本剤と4週間徐放性製剤について血清テストステ ロン濃度の去勢域への抑制効果を主要評価項目として比較した試験において、去勢レベ ルの比率が本剤群98.0%、4週間製剤群100%と同程度であったことから、本剤と4週 間製剤とがほぼ同様の有効性を示すと判断いたしました。  また安全性については、本剤と4週間製剤の比較試験において有害事象発現頻度が本 剤群49.0%、4週間製剤群46.0%であったことから、本剤と4週間製剤とはほぼ同様の 安全性を示すと判断いたしました。なお、長期投与に関してですが、国内試験の成績が 存在せず、また提出された海外臨床試験結果も参考資料として提出されており、十分な 検討がなされていないため、市販後調査等での確認が必要であると判断しております。  以上のとおり、審査センターでの審査の結果、本剤の前立腺癌に対する有効性は認め られ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第二部会で審査することが妥当と判断い たしました。なお、本剤は新剤型医薬品に該当することから、再審査期間は4年とする ことが妥当と判断しております。また、薬事分科会へは報告を予定しております。御審 議のほどよろしくお願いいたします。 ○□□委員  ありがとうございました。本剤は1か月製剤として既承認のリュープリン注射用キッ トと同じ有効成分を有している新剤型の医薬品でございまして、12週ということです が、どなたか御意見いただけますでしょうか。□□先生、よろしくお願いします。 ○□□委員  これは既に1か月製剤が市販されているところに、新たに3か月製剤が加わることに なりますが、初めて前立腺癌の患者さんに使う際にどういうふうに使うかということに 関する記載がこの添付文書のところに書いていないように思うのですが、その辺はいか がでしょう。 ○□□委員  審査センター、どうですか。 ○事務局  この点につきましては、添付文書の1ページの重要な基本的注意のところに書いてご ざいますが、12週の持続徐放製剤であるということで、最初に投与する際には既に4週 間製剤が承認されておりますので、そちらの方の使用についても考慮することというこ とで、まずは4週間製剤を使った後に耐用性などを見て12週間製剤に切り替えるといっ た情報提供をしております。 ○□□委員  今おっしゃったのはこの(2)でしょう。恐らくこの文章はなかなかそういうふうに読 みにくいという御指摘ではないかと思うのですが。 ○事務局  それでは御指摘の趣旨を踏まえて、また文章の方を直させていただきます。 ○□□委員  よろしくお願いします。 ○□□委員  是非そうしてください。いきなり3か月製剤を使うというのは、やはり大いに問題が あると思います。1か月製剤を使って安全性を確かめた上で切り替えると。長期投与の 場合にこちらに切り替えるというふうに分かるようにしていただければ有り難いと思い ます。 ○□□委員  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。どうぞ、□□委員。 ○□□委員  このリュープリンのことについてですが、骨塩量低下の予防は添付文書に記載して注 意喚起を促すとなっておりますが、1か月製剤での骨塩量低下症例の報告があるという ことでこういう注意喚起がなされると思うのです。一つは、市販後調査でこの件に関し て調査をすることがあるのかどうか、骨密度の測定の間隔はどのくらいにすればいいの かということ。あるいは、骨密度を定期的に測定することまでは必要ないのか。また、 予防措置が必要と考えられるのであれば、どういうことをどの時点からかを教えていた だきたいのですが。 ○事務局  審査センターよりお答え申し上げます。LH-RHアゴニストを通した場合の骨密度の低 下については、文献等からそういう報告があるので注意喚起が必要と考えて添付文書に 記載しているわけですが、今年の最初に承認された酢酸ゴセレリンについても同様の注 意喚起を添付文書でさせていただいておりまして、本剤もそれに並んだ形でやっており ます。ただ、具体的な市販後調査としてするかどうかというと、そこまでの必要性とい うものは現時点ではないのではないかと考えておりまして、それは今後市販された場合 のいろいろな情報を踏まえた上で判断していくべきではないかと思います。  また骨密度の測定に関しては、申請者の方に問い合わせたところ、間隔としては通常 1、2年の測定を臨床で行うものではあると。予防措置としては、これは一般的なこと ですが、十分なカルシウム摂取とか、一般的にそういう骨密度の低下を防ぐような予防 が妥当ではないかという回答を得ておりまして、審査センターもそれが妥当と考えてお ります。 ○□□委員  □□委員、よろしいですか。 ○□□委員  予防措置として、例えばフォサマックといったような薬剤を予防的に使うことなどと いうのは考えられないのでしょうか。 ○事務局  審査センターの方からお答えいたします。実際に骨塩量を外来で測定して、骨塩量の 低下が認められるという事実はありますが、発現頻度というのは非常に高いわけではな くて、予防的に投与しますと非常に広くいろいろな薬剤が漫然と投与される可能性もご ざいます。やはり臨床症状、例えば骨塩量が低下していきますと、患者さんはいろいろ なところが痛いとおっしゃってくることもございます。そういう場合に、例えば骨塩量 を測定するなり単純骨エックス線写真を撮るなりして、その時点で対処する方がこの薬 剤から先行したゾラデックスに関しては、添付文書の中でレントゲンを何か月おきに撮 りなさいとか、骨塩量の予防をするために何かを投与しなさいというところまでは現時 点では書けないのではないかと。その辺は患者さんを見ながら、処方する方々に診療の 中でいろいろ考えていただくというところだと思います。企業の方も市販後に自発報告 であるとか、論文報告で非常に頻度が高く、有症状あるいは骨折が出てくるようなこと があれば、その時点で特別調査なり市販後の調査でしっかりとフォローするということ をしたいと申しているのだと思います。 ○□□委員  よろしいですか。そのほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。 ○□□委員  この薬と1か月用の薬との比較ということが主な内容だと思うのですが、重篤な有害 事象というので本剤が22.3%、1か月製剤が20%で、結構重篤な有害事象の頻度が高い ような気もするのです。1か月製剤の評価としては安全性、有効性が評価されていると いうことになっていて、それとこの3か月製剤を比較して有害事象に関して差がなかっ たということで、安全性それから有効性も同等であったということから、どちらもそれ でよしということになっていると思うのです。17ページの上の方に出ている「(3)有効 性について」で、「1か月製剤と比較した上での本剤の有効性について」というのは、 今私が申し上げたようなことだろうと思うのです。本剤の有効性というのはどういうこ とを意味しているのかということです。  それからもう一つは、やはり先ほど申し上げた重篤な有害事象に差が認められないと いうことで、全体的にはこの1か月製剤の重篤な有害事象の頻度が少し高いような気が するのですが、それと比べて差がなかったからいいということでこれを承認すると理解 してよろしいのですか。 ○□□委員  審査センター、どうですか。 ○事務局  審査センターからお答えいたします。まず本剤の有効性については、この薬はテスト ステロン治療、つまり去勢したのと同様の臨床効果をもたらすためということで、テス トステロン値をサロゲートマーカーとして効果を見ております。テストステロン値を去 勢域と言われるレベルに落として、それをずっと維持させると。有効と考えておりまし て、それが実際去勢した場合と同じ効果が得られるのかということに関しては、テスト ステロン値をサロゲートマーカーとして妥当であるという認識が現在の医学水準では認 められているというものであると判断しておりまして、有効率ということに関してはそ ういう判断をしております。  また、安全性について重篤な有害事象が多いのではないかという御懸念ですが、これ は恐らく国内での製剤の使用数が少ないために、ものの有害事象によっては割合を表す とそういう高い割合になってしまうものがあるかもしれません。その点では、海外での 膨大な数の実績も一応今回の評価に使っておりまして、それでは1か月製剤と比べてさ ほど大きな重篤な有害事象が増えたことはないと判断しております。その点について は、国内での成績についても今後の市販後の情報収集によって、具体的な数字というも のはこれから分かっていくものだと思いますが、現時点で本剤が有害事象という点で大 きく増えているものではないと判断しております。 ○□□委員  そうすると、この薬のメリットというのは、1か月に1回を3か月に1回注射すると いうことで有効であると考えるとすると、重篤な障害例が20%、ないしはそれ以上出て もこの薬は安全であると言っている気がするのです。それはそれでよろしいのですか。 ○事務局  私が申し上げた有効ということは、医学的に効くか効かないかということで随時判断 しているというお話があったのですが、今先生がおっしゃった意味で行くと、臨床的に 非常に有用な…。通常でも外来で患者さんをフォローする場合には、実際の臨床の泌尿 器科の先生はもし可能であれば落ち着いている方については3か月単位とか、もっと広 い範囲で患者さんを見ることで問題はないと判断していらっしゃるようですので、そう いう意味では患者さんも1か月おきに来て注射を受けるよりは、3か月おきで済むとい う点で非常に有用であるとは思います。  安全性につきましても、従来の1か月製剤と比べて多少なりとも副作用はあるのです が、少なくとも1か月製剤と比べて明らかに本剤の害が増えているということはないと 判断しております。 ○□□委員  よろしいでしょうか。そのほかはいかがですか。特に問題はございませんでしょう か。今議論があったことに尽きるかと思いますが、新しい剤型の既承認薬ということで すので、もし特に先生方から御追加の御意見がございませんでしたら、承認を可とさせ ていただいて、薬事分科会報告とさせていただきますが、よろしいでしょうか。ありが とうございました。それでは資料3はこれで終わらせていただきます。  次は議題4でございますが、これは医薬品イレッサ錠250ということで、恐らく世界 に先駆けて我が国が初めて採用する医薬品になると思いますが、審査をしていただきた いと思います。それではこの議題4について、審査センターから審査の概要を説明して いただきたいと思います。 ○事務局  それでは議題4、資料4の医薬品イレッサ錠250の輸入承認の可否等について、審査 センターより御説明申し上げます。  本剤の有効成分ゲフィチニブは、アストラゼネカ株式会社で化学合成されたEGFレ セプターチロシンキナーゼの選択的な阻害を作用機序とする、新しいタイプの抗悪性腫 瘍薬でございます。EGFレセプターは、多くの固形癌において過剰発現していること が知られており、このレセプターの活性化により細胞分裂が活性化し、腫瘍細胞が増殖 するとされております。本薬はこのEGFレセプターによる細胞内シグナル伝達の阻害 をターゲットに開発がなされました。本剤は対象疾患が癌であること、新規性が高く、 類薬にない有用性があると判断されたことから、優先審査品目に指定されております。 なお、現在のところ本剤が承認を取得した国はございません。  本剤の専門協議では、本日の配付資料9の4ページに示しますように、□□委員、□ □委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員、□□委員を 専門委員として指名いたしました。  本剤の規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された 資料の内容は妥当であると判断いたしましたが、治験で使用した製剤の処方を更に変更 して、当初申請予定であった製剤に問題があることが判明し、急遽治験で使用した製剤 での申請に切り替えたという事情から、規定のロット数での安定性試験成績が提出され ておりませんでした。しかし、その後長期の安定性が確認されている、処方変更した後 の製剤との相対比較安定性試験が実施されており、その報告書が今月中に提出される予 定であることから、この結果をもって製剤の安定性を確認したいと考えております。  また、本剤はpHが6.8以上の溶液中では溶出しないことが示されており、実際ラニ チジンとの併用による薬物動態への影響を検討した臨床試験において、胃内pHの上昇 に起因すると思われるCmax及びAUCの低下が確認されていることから、添付文書の 「相互作用」の項、及び「有効成分に関する理化学的知見」の項で情報提供を行うこと といたしました。  次に臨床試験について述べさせていただきます。プラチナ系抗悪性腫瘍剤による治療 歴のある非小細胞肺癌患者を対象とした第II相国際共同試験において、250mg1日1回 投与と500mg1日1回投与での比較が検討されており、欧米人250mg群では52例中PR5 例を認め、奏効率は9.6%、欧米人500mg群では55例中PR6例を認め、奏効率は11.1% であったのに対し、日本人250mg群では51例中PR14例を認め、奏効率は27.5%、日本 人500mg群では51例中CR1例、PR13例を認め、奏効率は27.5%と日本人において高 い有効性が示されております。この国内外での奏効率の差に関しましては、海外症例で の前治療期間の中央値が日本人症例での前治療期間の倍以上であり、本剤投与開始時に おけるPerformance Statusに差があったためではないかと考えております。なお、申請 用量は250mg群と500mg群において有効性に差が認められないことより、安全性の観点よ り250mgが選択されております。また、プラチナ系及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による 治療歴のある非小細胞肺癌患者を対象とした米国第II相試験において、250mg投与群で 102例中PR12例を認め奏効率11.8%であり、非小細胞肺癌に対する第三次治療におけ る本剤の有効性も示されております。以上の臨床試験成績を踏まえて、化学療法歴のあ る非小細胞肺癌患者に対する本剤の有効性は認められると判断いたしました。  次に本剤の安全性に関してですが、本申請の効能及び用法・用量によって実施された 臨床試験での日本人副作用評価症例51例中98%に副作用が認められ、主な副作用は発 疹、下痢、掻痒症、皮膚乾燥等でありましたが、適切な処置を施すことで対応可能であ ると判断いたしました。  以上のとおり、審査センターでの審査の結果、化学療法歴のある非小細胞肺癌に対す る本剤の有用性は認められ、「効能・効果に関連する使用上の注意」において、化学療 法未治療例及び術後補助療法での本剤の有効性、安全性は確立されていない旨を明記し た上で、効能・効果を非小細胞肺癌(手術不能又は再発例)と設定し、更に本効能に対す る本薬の有効性、及び安全性の更なる明確化を目的とした十分なサンプルサイズを持つ 無作為化比較試験を国内で実施することを条件に承認して差し支えないと判断し、医薬 品第二部会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本剤は再審査期間6年、 原薬、製剤ともに劇薬に該当すると判断しており、薬事分科会では審議を予定しており ます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○□□委員  ありがとうございました。ただいま説明がございましたように、本剤はEGFレセプ ターの阻害剤で海外でもまだ承認されていない非常に新規の薬剤であるということで、 優先審査という位置付けで審査をすることになったわけでございますが、製剤の問題あ るいは臨床効果、安全性などの問題で是非御議論いただきたいと思います。□□委員、 どうぞ。 ○□□委員  御説明の中で製剤の安定性に問題があったということがありましたが、もう少し詳し く御説明いただけますか。 ○事務局  安定性に問題があったわけではなくて、当初申請を予定していた製剤で実施した安定 性試験データが使えなくなったために、十分な資料がそろっていなかったという意味で ございます。実際のところは、たまたま1ロットで安定性試験資料がそろっておりまし て、それから見ると安定性には問題はないと。ただし、規定では3ロットの試験成績を 提出することになっておりますので、現在相対比較試験をもって3ロットの安定性を確 認したいと考えております。 ○□□委員  分かりました。別の質問をしてもよろしいでしょうか。 ○□□委員  はい、どうぞ。 ○□□委員  欧米と日本での臨床試験における奏効率に差がありますが、それは対象の非小細胞肺 癌のEGFレセプターの発現の差で何か説明がつくのでしょうか。先ほどいろいろ理由 を挙げられましたが、そういう検討はされていますか。 ○事務局  一応EGFレセプターを臨床治験では測定はしているのですが、困ったことにEGF レセプターの発現レベルと奏効率の間に全く相関性が見られないという結果になってお ります。これに関しましては、EGFレセプターの測定の問題なのか、本当に相関性が ないのかという問題がまだ明らかではないのですが、現在の時点ではこのEGFレセプ ターの発現レベルと奏効率の差というものは明らかになっておりません。 ○□□委員  この薬の根幹ですよね。 ○□□委員  そのレセプターのオキュパンシーのようなものを見たりしてはいないわけですね。そ のレセプターが何%くらいブロックされるなどということは…。 ○事務局  測定されているのは発現量だけでございます。 ○□□委員  発現量ですね。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  今のレセプターの件でもう一度確認させていただきたいのですが、この薬理作用のと ころにヌードマウスの腫瘍レセプターを見て相関がはっきりしないと書かれています が、実際の治験のときにヒトの腫瘍を採ってレセプターの発現率を調べて、それともや はり相関がないのでしょうか。もし相関がないとしますと、チロシンキナーゼを阻害し ているわけですが、EGFレセプターあるいは構造的に似たもの以外のチロシンキナー ゼも抑えている可能性があるような報告があるかどうか、その二点をお教えいただきた いのですが。 ○事務局  審査センターからお答えいたします。治験の中でも、幾つかそういう検体を採取して EGFレセプターを抑えているというデータがございますが、いかんせん先ほど事務局 から申しましたようにEGFレセプターの定量がそれぞれの実験室でかなりばらつきが ございます。一定のサロゲートマーカーとして、このEGFレセプターの定量性という ことからすると、以前この部会でも審議させていただいたハーセプチンのHER2とい う癌遺伝子の定量性に比べたらかなり悪いものでございまして、現存する臨床データを 基にEGFレセプターの発現量と奏効率を明確に相関づけるということができないとこ ろでございます。  したがって、今□□委員から御指摘がございました、ほかのチロシンキナーゼをイン ヒビションする可能性もあるのではないかという御懸念。それから検討していない、い ろいろな薬効のメカニズムによって抗腫瘍効果が発現している可能性もあるのですが、 ほかのチロシンキナーゼに関してましては、この申請のデータで種々の検討がされてい まして、余りほかのチロシンキナーゼをインヒビジョンする傾向はございませんで、割 とスペシフィックにこのEGFレセプターのチロシンキナーゼをインヒビションすると いうデータでございます。  したがって、なかなか新規性の高い薬剤で、検討した範囲ではEGFレセプターのチ ロシンキナーゼを抑えるという作用が主ではございますが、種々のファクターでこの抗 腫瘍活性が発現しているのではないかというのが、現時点での科学的な見解というとこ ろでございます。 ○□□委員  よろしいでしょうか。そのほかいかがですか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  やはりこのEGFレセプターに対する、キナーゼ活性の阻害というスペシフィシティ はどれだけかというのはかなり重要なポイントだと思うのですが、237〜238ページのと ころを見ても余りよく分からないですよね。「図ホー7」でいろいろなキナーゼ活性を 持つものを組み込んで、それにEGFやゲフィチニブを加えてどれくらいインヒビショ ンがかかるのかを見ておりますが、これを見ると何となく…、インヒビションがかから ないというお話だったのですが、かかっているように見えます。EGFを加えることに よって、インダクションがかかる量がいろいろ変化しているので、それから見るとゲ フィチニブを加えることによってインヒビションがかかっているのではないかと思いま す。この前もお話ししましたが、こういうような標的薬というのがどんどん出てくるの だと思いますが、スペシフィシティが保証されないといろいろな生体内のレギュレー ションを調節するところがやられる可能性があると思います。スペシフィシティという のは大変重要な点だと思いますので、今後こういうものが出てきた場合には是非十分に チェックしていただきたいと思います。  それと作用機序は、やはりEGFレセプターを介したとは考えないわけですか。アポ トーシスを起こすという作用機序はありますよね。              ── □□委員退室、入室 ── ○事務局  はい、公表論文での報告ではございます。 ○□□委員  審査センターとしては、それはEGFレセプターを介した作用と考えていらっしゃる と。 ○事務局  今回の申請資料につきましては、アポトーシスに関しては公表論文を参考資料で付け ておりまして、センターはそこはまだ十分評価できる資料としては考えておりません。 あくまでも推論の域だと思われます。 ○□□委員  そのほかはいかがですか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  これはちょっと注意が必要かと思って申し上げるのですが、「添付文書(案)」の2ペ ージのところに「下痢及び皮膚の副作用が現れた場合には、患者の状態に応じて休薬あ るいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと」とあるのです。これは当然休薬後の 再投与が考えられるわけですけれども、仮に皮膚の副作用がアレルギー反応であったと するならちょっと危険かと思うのですが、この薬剤の投与に伴う皮膚障害というのはE GFレセプター阻害に起因したものであることが可能性として考えられる。あるいは下 痢などの副作用のために本剤の投与を一時的に休薬してから再投与した例において、今 のところ重篤なアレルギー反応が報告された例はないということですが、100%この皮 膚の副作用がアレルギー反応ではないとは考えられないのではないかと。ですから、再 投与するときの注意が必要なのではないかと思うのです。 ○事務局  審査センターからお答えいたします。この皮膚障害に関しましては、概要の中には顔 写真などが入っておりませんのでなかなか分かりにくいのですが、実際に患者さんの写 真を見ますと正ににきびができている若者という顔になるようなものでございます。海 外の臨床試験の中では、皮膚生検等を頻回に行いまして、組織像等を判定しておりま す。それを見ますと、例えば好酸球が参集してくるというような所見はなく、むしろ角 質層が非常に薄くなってまいりまして、拡張した毛漏斗部に好中球の浸潤や角化物、微 生物というものが出てくると。全体的にこの皮膚科学的な所見から見ますと、アレル ギー反応というよりもEGFレセプターを抑えることによる反応であろうという結論が この薬についてはまず出ております。  それから今世界的に開発されておりますEGFレセプターのチロシンキナーゼの阻害 剤で、OSI744だと思いますが、これも公表論文が昨年出ておりまして、同じような皮膚 障害というものが出ております。それからC225というモノクローナル抗体でございます が、これもEGFレセプターに対する阻害薬でございまして、それの臨床試験の中でも やはり同じようなにきび様の作用、それも昨年の「British Journal of Dermatology」 という皮膚科学の雑誌にその公表論文が出ています。皮膚障害の所見なども総合します と、アレルギー性反応というよりもEGFレセプターのチロシンキナーゼを阻害するこ とによって、にきび様の皮膚所見が出てくるであろうというのが、これは多分EGFレ セプターの阻害薬共通の副作用ではないかということが今考えられているという現状で あります。  アレルギーに関しましては、先ほど臨床試験の中で再投与したのに何も起きていない とか、例えばアレルギー症状であれば全身の発赤、熱感とか呼吸困難感とかアナフィラ キシー様反応というのが種々観察されてもおかしくないのですが、そういうものも今の ところは明確に出ているわけではございませんで、現時点ではアレルギー様の皮疹とは 私どもは考えておりません。 ○□□委員  そのほかはいかがですか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  先ほどまでの薬剤は、承認条件で市販後の比較試験をするようにという文章が入って おりますが、このイレッサに関して言うと、有効性及び安全性の更なる明確化を目的と した比較試験ということは、具体的にはどういうことを指すのでしょうか。 ○事務局  本剤につきましては、現在申請された資料の中では非小細胞肺癌に対する二次療法と しての試験成績が出ているわけですが、現在海外において非小細胞肺癌の初回治療とし ての標準療法であるプラチナ系抗癌剤とほかの抗癌剤との組合せに本剤を上乗せしたも のとプラセボを上乗せしたものとの大規模な無作為化比較試験がふたつ行われておりま して、その結果が本年度中にも出ることになっております。その結果も踏まえてです が、国内においても同様の非小細胞肺癌の初回治療において、本剤を加えたものと加え ないものの大規模な比較試験を計画中であるという回答が申請者からございまして、そ れによって初回治療における本剤の有効性と安全性は検証できると考えております。 ○□□委員  どうぞ。 ○□□委員  海外できちんとした比較試験が行われていて、そのデータが公表されるわけですよ ね。そういうものに関しましては、ある意味では国内の試験より精度が高いデータが出 る可能性があるという状況にある中でブリッジングというのはあり得ないのですか。 ○事務局  それもあり得るとは思います。ただ、海外でやられている試験は単剤ではございませ んで、既存の抗癌剤カルボプラチンとタキソールの併用、あるいはシスプラチンとゲム シタビンの併用という、現行では標準的と思われる2剤併用療法に対してこのイレッサ を加えるか加えないかというアドオンの試験でございまして、必ずしも単剤の抗腫瘍効 果がこれら第III相比較試験の結果で明らかになるわけではないという事実がございま す。  一応今回の申請資料中に含まれているデータを見ますと、例えばシスプラチンを含む ような標準的な併用化学療法が2回、あるいは3回以上行われたような患者さん、これ を行う患者さんというのは大体MST…、50%程度の患者さんが亡くなるまでの期間と いうのは何もしなければ4か月ぐらいですね。そういう患者さんたちがこの薬を単独で 投与することによって抗腫瘍効果がある程度上がることに加えまして、ベストサポー ティブケアという何もしない群の第III相比較試験の結果はありませんが、このオープ ントライアルで見ますと、MSTが7か月とか10か月近いデータとなっております。今 海外で行われている初回治療を対象にしたアドオンのスタディーを待つまでもなく、単 剤としての抗腫瘍効果、セカンドラインあるいはサードライン、現行ではもうなすすべ がない方々に対してこの薬が福音を与えるであろうというデータは現在既にあると私ど もは考えて、今回部会の審議に至ったということです。  したがって、別に海外のデータを使わないということではございませんで、更にこれ から先ファーストライン、要するに今まで何も治療を受けていない人が初めてこのイレ ッサにエクスポーズされる臨床試験につきましては、国内及び海外で今後とも種々のデ ータが集積されてくるものと思いますし、今進行しているアドオンのスタディの結果も 適宜参考にさせていただくことになろうと思います。 ○□□委員  よろしいですか。そのほかにいかがでしょうか。 ○□□委員  一つだけいいですか。今のお話のように、違う治療法がない場合にこれが有効に働く というケースがある、それ自体は大変結構なことだと思うのですが、作用機序から考え るとやはりよく分からないと私は思います。それで特にこれが実際に市販された場合 に、250ページにあるような模式図がこういう作用機序で働くのではないかという…、 MRを介しての宣伝がされるのではないかと思いますけれども、例えば実際に動物実験 でここに書いてあるようなc-fosが90%抑制されるという話が出ていますが、もし そうだとすればEGFレセプターが発現しているいろいろな組織でもっといろいろなこ とが起こっているはずではないかと思います。  ところが、副作用についてはそれほど重篤な副作用が起こっていない、これ自体もよ く分からないと私は思います。ですから、今後この作用機序についてもきちんと検討す ると。私自身は今の段階で十分作用機序が説明できているとは思わないのですが、その 辺についてはいかがでしょうか。これをこのままやると、大変問題が起こるのではない かと思います。 ○□□委員  □□委員、どうぞ。 ○□□委員  今のようなことに関連して、専門委員で協議したということもありますので、私から 分かる範囲で答えさせていただきます。  その前にまずこのイレッサ、もしかしたらこれが世界に先駆けて我が国で最初に承認 される薬であるかもしれないと部会長はおっしゃいました。これはEGFレセプターの チロシンキナーゼの阻害剤の承認だけではなくて、実はこの歴史は大変古いのですが、 1986年に我が国が一番最初に見つけたインヒビターなのです。開発したのは外国だった というのは私としては残念ですが、我が国はこれを最初に承認する資格は十分にあるの ではないかと誇りに思っておりますし、これについて1月の申請からこの時期に審査ま でこぎ着けた審査センターの方々の努力に私は大いに敬意を表したいと思います。  それでいろいろ御指摘ありましたような内容ですが、この作用機序と臨床効果とは必 ずしも一致していないのではないかと、これは実は私も感じております。ところが、プ レクリニカル、ネズミのレベルまではこれはきれいに対応しているのですね。in vitro のチロシンキナーゼのEGFレセプターの阻害、それから細胞レベルでの効果、 c-fosを抑える、そのEGFレセプターからの刺激によって…、最終的に転写が起 こるところの指標の一つですからそれはそれでうまくいっています。それからネズミの 治療実験でも、EGFレセプターの高発現したヌードマウスできちんと効果を出すとい うところまでは、私は文句のつけようがないと思います。理想的にはヒトでもEGFレ セプターの高発現した癌に効けば一番良かったのですが、なぜそれが対応しないのか …、これはやはりヒトの癌の複雑さを示していると思います。EGFレセプターの高発 現だけで癌になったというものがあれば一番いいのですが、いろいろな癌で癌になって いる理由というか、依存している度合いというのはやはり違うと思うのです。ですか ら、今たまたま効いているのはそのEGFレセプターの阻害による効果によって、それ に対する癌の増殖の依存性が高いものに効いているのだろうと。ではその証拠を示して くださいということですが、いろいろ質問にお答えいただいたような理由でなかなか難 しい点があるということだと思います。  それから一番最近の知見では、EGFレセプターの過剰発現だけではなくて、この薬 が一番効果を示すのはErbB2、EGFレセプターのファミリーですが、これが高発現し ているとヘテロダイマーを造る。そういうものに対しては、非常に効果が高い。ですか ら、そういうものに対してもしかしたらこの薬が強い効果を出しているかもしれないと いうことですので、まだまだ研究段階ではあると思うのですが、例えばErbB2の高発現 がある癌に特に効いているのかどうかとか、そういうような研究も必要ではないかと。 是非メーカーの方にはそういう指導をしていただいて、これは世界に先駆けて認可して もよろしいのではないかと私は思います。 ○□□委員  ありがとうございました。そのほか何か御意見ございますか。 ○審査管理課長  もしなければ…。 ○□□委員  恐らくまだ何人か御意見があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○□□委員  それからもう一つ副作用ですが、これも実は日本の企業がなぜ開発しなかったのか …。非常に残念なのは、そういうことを開発の段階、要するに発見したときからもう心 配することばかりが先に行って、日本のメーカーはそこで開発しようと、世界に先駆け てやろうというところが非常に足りなかったですね。ですが、実は案ずるよりも産むが やすしで、こういうものができてきたのです。これは上皮成長因子ですから、皮膚に障 害が出る、副作用が出るというのはもう予想したとおりなのですね。これはもう可逆的 であると、命には危険性はそれほどないのではないかということは予想されていたこと です。それから従来の抗癌剤にあるような骨髄抑制というのは出てきていませんし、そ ういう意味では副作用もそれほど心配することはないのではないかということで、やは り私はこれを開発した企業にも敬意を表したいと思います。 ○□□委員  よろしいでしょうか。これは単剤としても、今まで効果がなかったような肺癌の患者 にも効果があるということで、非常に貴重な位置を占めるということについては皆さん 御異存ないと思うのですが、何人かの先生から作用機序の問題、今□□先生からコメン トを頂きましたが、実際にヒトに使った場合の作用機序、副作用の出方も比較的多岐に わたっていると思うのです。添付文書の中では、主に肝機能障害と下痢、皮膚というこ とがかなり強調されているのですが、今までの臨床試験を見ると、例えば静脈血栓症と か肺塞栓症とか、そのほかどういう機構でこういう副作用が見えているのかということ が必ずしもすべて説明できるようなものではないと思うのです。最近ノバルティスがグ リベック、チロシンキナーゼのインヒビターを発売して、これも昨年非常に早いスピー ドで許可をしていただいて血液領域では今ものすごく使われているわけですが、実際に 使われてみるとやはりそのbcr-ablのチロシンキナーゼの阻害だけでは説明できないよ うな副作用がかなり出ていることも確かだということです。  ここに上がっている臨床試験の安全性の評価については、重篤なものはそれほどない とは言いながら、やはりグレード3、グレード4の多彩な症状が出ているということ で、安全性の承認条件として更なる明確化を目的とした十分なサンプルサイズというの を先ほど□□委員もおっしゃられたのです。やはり個人的にはかなりピンポイントして 指導しなければいけないようなものではないかなという気もするのですが、その辺を含 めていかがでしょうか。このものが使われるということになると、実際になるべく安全 に使われるということがどうしても必要ではないかと思いますけれども、その辺につい て注文をつけておくようなことはございませんでしょうか。その辺の御議論をもう少し 頂けたらと思いますけれども。 ○□□委員  これはまたpHの問題なのですけれども、アルカリ性というか中性域に入ると吸収が 悪くなるということで、「1日1回、経口投与する」というように添付文書ではなって いるのです。しかし、後ろの方に「(5)食事の影響」ということで健常人の場合に食後 投与すると30数%AUCが上昇するという話が出ておりますが、服用の仕方というのは 特に規定はしなくてもいいのでしょうか。 ○事務局  おっしゃるとおりでございまして、実際の臨床試験では食前・食後両方を含めた形で 出されておりますので、特に食前、食後の規定はなされておりませんけれども、特に日 本人において高齢者で無酸症の方が約70%くらい存在するという現実がございます。日 本における用法に関しましては、食後にできないだろうかということは現在センターが 申請者の方と検討している途中でございます。 ○□□委員  そのほかよろしいですか。□□委員、お願いします。 ○□□委員  単剤で使うということで、国外も含めて最初というのは非常に結構だと思います。一 つ確認したいというか教えていただきたいのは、なぜ国内で予定されている市販後第III 相試験ではこれの併用を最初にしたのかということです。通常でしたら、単剤でやって それからというストーリーが考えられると思うのですが、最初から併用に持っていった というのは何か単剤でやることに問題があったからということですか。 ○事務局  本剤を単剤で用いる対象というのはあくまでも二次治療として、従来初回治療として はプラチナ系、先ほど申しましたシスプラチンとゲムシタビン、カルボプラチンとタキ ソールという併用療法が標準療法として既に確立しておりますので、その後の治療とし ては本剤の単剤が適当であるということで開発が進められたものと思います。その二次 治療、三次治療としての有効性がある程度明らかになってきましたので、初回治療とし てはどうかということで、まず今まで確立されている標準治療に加えるか加えないか、 いきなり本剤を既に標準療法が確立している初回治療の患者さんに単剤で投与して、万 一期待されたような効果がない場合は、その患者さんに対しては良からぬこととなりま すので、順番的に併用療法で始めてからまたその結果を踏まえて初回治療例に対するそ の後の開発をするというスタンスで、企業側としては開発を進めているのではないかと 考えております。 ○□□委員  そのほかいかがですか。□□委員、どうぞ。 ○□□委員  副作用のことでございますが、皮膚に関しては多少薄くなったりかゆくなったりして も可逆的であれば特に問題ないと思うのです。目に関してですけれども、外国では眼科 のドクターがきちんと診たようですが、今後日本の症例、特に有害事象の発現状態が外 国と日本では違うということが書かれていますので、目が痛くなっただけならまだいい のですが、視力障害が起こるとか、完全に可逆性であるかどうかということを今後見て いただければと思います。 ○□□委員  ありがとうございます。審査センター、それはどうですか。 ○事務局  審査センターとしても今おっしゃられたようなことは十分考えておりまして、これま での臨床試験成績では目に対する明らかな有害事象で重篤なものは認められてはいない のですが、例えば長期投与した患者さんについてはどういうことが起こるかというのは まだ分からないことですので、それは市販後に十分注意して調査をさせたいと思ってお ります。 ○□□委員  ありがとうございます。そのほかはよろしいですか。どうぞ。 ○審査管理課長  大変な御議論をありがとうございます。委員の先生たちの総意としましては、恐らく メカニズムを更に解明すべきではないかという御意見と承りましたので、承認条件にメ カニズムの解明を更に進めるということを付け加えて、企業の方を指導していきたいと 思いますが、いかがでしょうか。 ○□□委員  ただいま審査課の方からそういうお話がありましたが、よろしいですか。□□委員が おっしゃられたように、プレクリニカルでは非常にクリアだということですが、ヒトで 投与したときにどういう症状が出るか、それも含めてメカニズムというものを更に検討 していただくということを指導していただくのが非常に大事なことだと思います。その ほか…、どうぞ。 ○事務局  承認条件の詳しい文言はまた分科会の方でも御議論いただくことにいたしまして、取 りあえず本剤の作用機序に関して更なる検討を行うということと、薬理作用と臨床効果 及び有害事象の発現との関連について検討を行う、それらの結果について報告をすると いう趣旨のことでよろしいかどうか確認させていただきたいのですが。  ○□□委員  よろしいでしょうか。ただいまの御説明で今後企業を指導する方向性がかなり具体的 になったと思います。もしそれ以上委員の先生方から付け加えることがございませんで したら、一応これで部会では承認を可とさせていただくと。ただし、本品目については 薬事分科会の審議とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがと うございました。それではこの議題4についてはこれで終了させていただきまして、報 告事項に入りたいと思いますので、事務局から報告事項について説明していただきたい と思います。                ── 審議官退席 ── ○事務局  それでは審査センターから、資料5の「新キット製剤」について御報告させていただ きます。本日御報告いたしますのは、グランシリンジ75、150、M300で、有効成分とし てフィルグラスチムそれぞれ75μg、150μg、300μgを含有する既存の注射液でござい まして、それをシリンジに分注した形の製剤でございます。これにつきましては、特に キット製品として前例もございますので問題なしということで、既に本年3月11日に承 認されていることを御報告いたします。以上でございます。 ○事務局  それでは続きまして資料6を御説明させていただきます。「新パック製剤」というこ とで、販売名ランサップ400とランサップ800というものが武田薬品工業株式会社より申 請されております。有効成分がそれぞれランソプラゾール、クラリスロマイシン、アモ キシシリンの製剤でございまして、「胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター ・ピロリの除菌」を効能とする3剤を一つのシートに1日分を組み合わせたパック製剤 でございます。このようなパック製剤としては初めてのものではございますが、既にそ れぞれの製剤についてピロリの除菌に対する効能及び用法・用量が承認されていること から問題なく、承認して差し支えないのではないかということで審査を進めておりま す。以上、御報告させていただきます。 ○事務局  続きまして資料7でございます。「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて」とい うことでございます。「医薬品の名称」は非常に長いものでございますが、このものに ついては株式会社ジャパンエナジーから申請がありまして、平成7年に後天性免疫不全 症候群等が対象疾病ということで希少疾病用医薬品として指定いたしております。しか しながら、非臨床・臨床試験を行いましたところ、有効性を表すために必要な血中濃度 が維持できないことが明らかになりまして、今後これ以上開発できないので指定を取り 消すということでございます。 ○□□委員  ありがとうございました。以上、三つの報告事項について委員の先生方から何か御質 問ございますでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいですか。一応本日用 意した議題は以上でございますが、最後に事務局の方から何か連絡事項はございます か。 ○事務局  当部会におきまして、審議された品目の承認状況について御報告させていただきま す。本年1月30日及び2月20日に開催された医薬品第二部会で御審議いただきました、 ガチフロキサシン、パズフロキサシン及びオメプラゾール、クラリスロマイシン、アモ キシシリンの3剤併用によるヘリコバクター・ピロリの除菌療法、以上につきまして は、本年3月18日に開催された薬事分科会での報告を経まして、本年4月11日付けで承 認させていただきました。ありがとうございます。 ○□□委員  ありがとうございました。そのほかにございますか。 ○審査管理課長  次回の当部会ですが、7月26日の10時〜12時ということでお願いしたいと思います。 場所等はまた追って御連絡させていただきます。多分ここになると思います。 ○□□委員  それでは次回は7月26日ということで、先生方メモの方をよろしくお願いいたしま す。それではこれで本日の議題すべてを終了いたしましたので、本日の部会は終了させ ていただきたいと思います。お忙しいところ、委員の先生方にはありがとうございまし た。それではこれで終わらせていただきます。                                     ( 了 )  連絡先: 医薬食品局 審査管理課 宇津(内線2789)